説明

スイッチング電源

【課題】スイッチング電源から出る出力電力を制御するための技術を提供すること。
【解決手段】本スイッチング・レギュレータは電源のエネルギー移送要素に結合されるスイッチを有する。このスイッチのスイッチングを制御して電源出力部の出力で出力電圧と出力電流を調節するために制御器がスイッチに結合される。フィードバック回路がその制御器に結合される。このフィードバック回路は電源の出力部からフィードバック信号を受け取る。出力電圧と出力電流の組合せが出力領域に対応する。少なくとも1つの調節された出力領域と1つの無調節の出力領域がある。少なくとも1つの無調節の出力領域は自己保護自動再始動領域である。少なくとも1つの無調節の出力領域の中では、スイッチング・レギュレータは連続的な出力電力をスイッチング・レギュレータの実質的に最大の出力電力で供給する。各々の出力領域はフィードバック信号の大きさと持続時間に対応する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は全体として電子回路に関し、さらに特定すると、本発明はスイッチング電源に関する。
【背景技術】
【0002】
スイッチング電源の一般的な用途はバッテリを充電することである。バッテリ充電器の出力電力は普通では調節された電圧と調節された電流を供給するように制御される。電圧は出力電流の範囲全体にわたって最大電圧と最小電圧との間で調節される。電流は出力電圧の範囲全体にわたって最大電流と最小電流との間で調節される。バッテリが充電されているとき通常、バッテリ電圧が閾値に到達すると自動的に、調節された出力電流から調節された出力電圧への急激な遷移が生じる。すなわち、デカルト座標にプロットされる出力電圧と出力電流の軌跡は普通では遷移点に鋭い角を有し、それは最大出力電力点に対応する。通常では、電圧が閾値よりも下に低下すると出力電流を大幅に削減して出力の短絡もしくは同様の故障から損傷を防止する要求もやはり存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
調節された出力電圧と調節された出力電流との間の急激な遷移を有するバッテリ充電器の設計の実装は結果として、望ましい機能を提供するために必要以上にコストを要する製品につながる。調節された出力電圧と調節された出力電流との間で調節されない遷移を設計することによってバッテリ充電器のコストを削減し、かつすべての要求を満たすことが可能なことがある。調節されない遷移領域での出力電圧と出力電流はスイッチング・レギュレータの本来の出力特性によって拘束され、通常では所定の出力電圧や電流に関する最大出力電力の曲線に追従する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
さらに低いコストを達成するために、スイッチング・レギュレータは調節された出力電圧と調節された出力電流との間でレギュレータが無調節に遷移させる制御回路と共に動作するように設計され、それにより、電圧と電流は特定された境界線の中に保たれる。特定された境界線の中の無調節の遷移の適切な設計は最大電力出力を削減し、高い出力電力を保証するための部品よりもさらにコストの低い部品の使用が可能である。この制御回路はフィードバック信号の大きさに従って調節された電圧、調節された電流、無調節の遷移、または自己保護のためにスイッチング・レギュレータを動作させる。
【発明の効果】
【0005】
通常ではバッテリ充電器は調節を目的として出力電圧を感知するための1つの回路と、出力電流を感知するための異なる回路を使用する。多くの応用例では、出力電流を感知する回路を除外し、調節された電圧と自己保護閾値電圧との間で無調節の遷移を使用することで設計の要求を満たすことが可能である。出力電流を感知する回路の除外はコストを下げ、効率を高める。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本発明の教示に従って出力電力を制御することが可能なスイッチング・レギュレータの一実施形態を示す機能ブロック図である。
【図2】本発明の教示に従って出力電力を制御するスイッチング・レギュレータの一実施形態の出力電圧および出力電流の境界線を示す図である。
【図3】本発明の教示に従って出力電力を制御するスイッチング・レギュレータの一実施形態に関して、出力電圧および出力電流の境界線の内側の4つの特定の動作領域を示す図である。
【図4】本発明の教示に従って出力電力を制御するスイッチング・レギュレータの別の実施形態に関して、出力電圧および出力電流の境界線の内側の3つの特定の動作領域を具体的に示す図である。
【図5】本発明の教示によるスイッチング・レギュレータの実施形態に関して、出力電力を制御するための方法の一実施形態を示すフローチャートである。
【図6】本発明の教示に従って出力を調節するためにパルス幅変調を使用するスイッチング・レギュレータの一実施形態の制御特性を説明する図である。
【図7】本発明の教示に従って出力を調節するためにオン/オフ制御を使用するスイッチング・レギュレータの一実施形態の制御特性を説明する図である。
【図8】本発明の教示に従って制御される通常のスイッチング・レギュレータ式バッテリ充電器の出力の電圧と電流の特性を示す図である。
【図9A】本発明の教示による集積回路制御器を備えた電源の回路の一実施形態を示す図である。
【図9B】本発明の教示による集積回路制御器を備えた電源の回路の別の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
添付の図面の中で本発明が、単なる例であって限定ではない方式によって詳しく具体的に示される。
【0008】
電源の中で利用することができる電源レギュレータの実施形態が開示される。以下の説明では、本発明の完全な理解を与えるために数多くの特定の詳細が述べられる。しかしながら、この特定の詳細が本発明を実施するために必ずしも使用される必要がないことは当業者にとって明らかであろう。実行に関連してよく知られている方法は本発明を不明瞭にすることを回避するために詳細には説明されていない。
【0009】
本願明細書全体にわたって「一実施形態」または「実施形態」への言及は、その実施形態に関連して述べられる特定の特徴、構造、または特性が本発明の少なくとも1つの実施形態の中に含まれることを意味する。したがって、本願明細書全体にわたる様々な箇所での「一実施形態」または「実施形態」という語句の出現は必ずしもすべて同じ実施形態に関するものではない。さらに、特定の特徴、構造、または特性が1つまたは複数の実施形態の中でいずれかの適切な方式で組み合わされることが可能である。
【0010】
電源に関して調節されない動作モードを与える技術が開示される。それは従来の解決策よりも低いコストでバッテリ充電器の必要条件を満たすことができる。具体的に示すために、図1は本発明の教示によるバッテリ充電器である電源レギュレータの実施形態を含む電源の機能ブロック図を示している。図1に示された電源のトポロジはフライバック・レギュレータとして知られている。スイッチング・レギュレータの多くのトポロジと構成が存在することや、図1に示されたフライバックのトポロジが、本発明の教示に従って他のタイプのトポロジにも当てはまる本発明の実施形態の原理を例示するために与えられていることは理解できるであろう。
【0011】
図1の電源は無調節の入力電圧VIN105から負荷165へ出力電力を供給する。一実施形態では負荷165は再充電可能なバッテリである。入力電圧VIN105はエネルギー移送要素T1125とスイッチS1120に結合される。図1の例では、エネルギー移送要素T1125は電源の入力部と電源の出力部との間に結合される。図1の例のエネルギー移送要素T1125は2つの巻き線を備えた変圧器として示されている。通常、他の負荷に電力を供給するため、バイアス電圧を供給するため、または負荷の電圧を感知するために変圧器は2つの巻き線よりも多く、追加の巻き線を設けることもある。スイッチS1120への最大電圧を制御するためにクランプ回路110がエネルギー移送要素T1125の一次巻き線に結合されている。スイッチS1120は本発明の教示による制御回路145の一実施形態に応答してオン、オフに切り換えられる。一実施形態では、スイッチS1120は例えば電力用の金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)のようなトランジスタである。一実施形態では、制御器145は集積回路や個別電気部品を有する。スイッチS1120の動作は整流器D1130に脈動電流を生成することである。その電流はキャパシタC1135によってフィルタ処理され、負荷165に実質的に一定の出力電圧VOまたは出力電流IOを与える。
【0012】
調節されるべき出力の量はUO150であって、通常、それは出力電圧VO、出力電流IO、またはそれら2つの組合せである。調節された量は必ずしも一定である必要はないが、しかしフィードバック信号に応答して所望の方式で変化するように調節される。フィードバック信号に応答しない出力は調節されない。フィードバック回路160が出力量UO150に結合されることでフィードバック信号UFB155を生成する。それが制御器145への入力である。制御器145への別の入力はスイッチS1120内の電流ID115を感知する電流感知信号140である。例えば電流変圧器、または例えば個別抵抗器の両端の電圧、または例えばトランジスタが導通しているときのトランジスタの両端の電圧といったスイッチング電流を測定するために知られている方式のいずれかを、電流ID115を測定するために使用することが可能である。制御器が出力量UO150を調節するために変化させるパラメータを示すために、図1は電流ID115の波形の例も示している。電流ID115の最大値はIMAXであり、スイッチング周期はTSであり、デューティ比はDである。通常では、制御器はデューティ比を100%未満の最大値DMAXに制限する。
【0013】
一実施形態では、出力UO150をその望ましい値に実質的に調節するように制御器145がスイッチS1120を動作させる。一実施形態では、出力UOは出力電圧または出力電流の大きさに応答して出力電圧から出力電流へと変わる。一実施形態では、制御器145は実質的に規則的なスイッチング周期TSを決める発振器を有する。一実施形態では、スイッチング周期の中でスイッチの導通時間を制御することによって調節が行われる。各々のスイッチング周期の中で、スイッチが閉じられるスイッチング周期の割り合いがスイッチのデューティ比である。一実施形態では、スイッチの最大電流IMAXを制御することによって調節が達成される。別の実施形態では、スイッチング周期TSを制御することによって調節が達成される。
【0014】
一実施形態では、レギュレータのパラメータはフィードバック信号UFBの範囲全体にわたってUFBとは実質的に無関係である。フィードバック信号UFBとは実質的に無関係であれば、パラメータIMAX、D、TSは固定されるか、あるいは、例えば入力電圧VIN105または負荷165といった他の量の変化に応答して変わるかのどちらかである。一実施形態では、そのような変化はフライバック・トポロジといった電力変換器のトポロジの本来の特性によって決定される。したがって、レギュレータの一実施形態は、出力が本発明の教示に従ってフィードバック信号によって調節されないときに、出力が望ましい方式で挙動するように設計されることが可能である。
【0015】
図2は本発明の教示に従って動作するスイッチング電源の一実施形態の出力電圧と出力電流のための境界線を示している。この電源の出力は外側境界線205と内側境界線210の中に入る。外側境界線は最大出力電圧VOMAXと最大出力電流IOMAXを設定し、それらがVOMAXとIOMAXの線の交点200で最大出力電力PMAXを決める。実線の領域215の中の出力特性を有する電源は外側境界線205と内側境界線210との間で最大出力電力PMAX未満で動作する。そのような電源は通常ではPMAXで動作するものよりコストが少ない。
【0016】
図3は本発明の教示に従って動作する電源の一実施形態に関して、出力電圧と出力電流の境界線の内側の4つの特定の領域を示している。CV領域300は調節された電圧の領域であって、そこでは出力電圧の変動は出力電流の広い範囲にわたって制限される。CC領域310は調節された電流の領域であって、そこでは出力電流の変動は出力電圧の広い範囲にわたって制限される。UT領域305は遷移領域であって、そこでは出力電圧と出力電流はDV領域300とCC領域の間で調節されない。AR領域315は自動再始動領域であって、そこでは電源は出力の短絡故障、または制御器から到達するフィードバック信号を妨害する故障による損傷を回避するために低い出力電圧と低い平均出力電流で動作する。AR自動再始動領域では、電源は自動再始動サイクルで動作する。一実施形態での自動再始動サイクルにおいて、制御器は、負荷が仕様の範囲内にあるときに電源の出力を自動再始動閾値よりも上に上げるために充分に長い持続時間について電力スイッチが無調節で動作し、その後、許容されたスイッチングの持続時間中に出力が閾値に到達しなければスイッチングの無い長い時間間隔に引き継がれる。自動再始動サイクルは電源の出力が自動再始動閾値よりも上に上がるまで反復する。すべての用途が動作の自動再始動領域を必要とするわけではないであろうことは理解されるであろう。本発明の実施形態のいくつかの応用例はAR領域315を伴なわずにUT領域305から恩典を得る。
【0017】
本発明の実施形態のいくつかの応用例は調節された動作の2つの領域を必要としない。図4は電源の1つの実施形態がどのようにして1つだけの調節された領域、すなわち一定電圧CV領域400を備えて出力電圧と出力電流の特定の境界線の範囲内で動作することが可能であるかを示している。無調節の遷移UT領域405は調節された一定電圧CV領域400と自動再始動AR領域415との間である。自己保護のための自動再始動領域415を必要としない応用例では、一定電圧CV領域400と無調節の遷移UT領域405だけで必要条件が満たされる。一実施形態では、自動再始動AR領域は必要とされず、出力電流に大幅な減少を伴なうことなくUT領域405がゼロ出力電圧へと広げられる。
【0018】
図5は本発明の教示によるスイッチング・レギュレータの出力電力を制御するための方法の一実施形態を説明するフローチャートの具体的例である。図示されるように、フィードバック信号UFBはブロック503で測定される。その後、ブロック505で信号の大きさが閾値と比較される。ブロック507、509、511で判定された比較の結果が動作の特定の領域を選択するために使用される。図5では、閾値はU1、U2、U3であって、0<U1<U2≦U3である。
【0019】
フィードバック信号が充分に小さければ(U1以下であれば)、制御器はブロック513に示されるように無調節の自動再始動AR領域でレギュレータを動作させる。フィードバック信号が上側の閾値よりも大きければ(U3以上であれば)、制御器はブロック515に示されるように電力スイッチがオフになるように無調節の阻止されたスイッチング・モードでレギュレータを動作させる。その他の大きさのフィードバック信号については、制御器はブロック519に示されるように制御されたモードに電源出力を制御するか、あるいはブロック517に示されるように最大の無調節電力を生成させるように無調節モードでレギュレータを動作させるかのどちらかである。
【0020】
一実施形態では、フィードバック信号がフィードバック閾値と交差するときの領域間の動作の変化は瞬時ではない。一実施形態では、フィードバック信号の値は制御器が本発明の教示に従って異なる領域へと動作を変更する前の固定された時間について閾値条件を満たす。
【0021】
電源はフィードバック信号UFBの大きさに応答してこれらの出力領域のうちの1つで動作する。一実施形態では、フィードバック信号UFBの大きさは図6に例示された関係に従って電源の動作を決定する。
【0022】
図6は図5に述べられた方法の一実施形態の制御特性の実施形態をパルス幅変調型制御器で示しており、そこではデューティ比がフィードバック信号に応答して変化する。一実施形態では、一定周波数のクロックが、電力スイッチが導通することが可能なサイクルを決める。図6の実施形態に示されるように、フィードバック信号UFBがU2とU3の間にあるとき、デューティ比Dは本発明の教示によると調節された出力の領域でフィードバック信号の大きさと共に直線的に変化し、ゼロと最大値DMAXの間を進む。
【0023】
一実施形態では、フィードバック信号UFBがU1とU2の間にあるとき、レギュレータは無調節の遷移UT領域で動作する。フィードバック信号UFBがU1よりも小さいとき、それは自動再始動AR領域で動作する。無調節の遷移領域では、制御器はフィードバック信号の大きさに実質的に無関係である電力スイッチの最大デューティ比DMAXによって、または最大電流IMAXによってのみ電力スイッチのオン時間を制限する。自動再始動領域を伴なう一般的なパルス幅変調型制御器は、通常、無調節の遷移UT領域を有しており、それは無視し得るほどに小さい設計の所産であって、その目的は無調節の動作を回避することである。本発明の教示によるスイッチング・レギュレータの出力電力の制御で恩典を実現するために、本発明の実施形態は制御器の無調節の遷移領域に広がる。
【0024】
図7は図5のフローチャートに述べられた方法の別の実施形態の制御特性を示している。電力スイッチの電力のデューティ比を変えるためにフィードバック信号を使用する図6のパルス幅変調型制御器とは対照的に、図7に記述されたオン/オフ制御器の実施形態は電力スイッチの動作を単純に有効化またはディセーブルするためにフィードバック信号を使用する。調節された出力の領域は閾値U2とU3によって決定される狭い領域に限定される。最も単純な限定のケースでは、U2とU3は単一の値U23へと合流する。調節は閾値U23よりも上および下へのフィードバックの変化によって達成され、クロック・サイクルの中で電力スイッチが導通することを阻止または有効化する。フィードバック信号UFBの大きさが調節された出力のための領域よりも下であると、制御器は図6に例示されたパルス幅変調型制御器と同じ方式で無調節の遷移UT領域かまたは自動再始動AR領域かのどちらかで動作する。
【0025】
図8は本発明の教示に従って動作するスイッチング電源の一実施形態の出力電圧と電流の特性を示している。出力特性の線区分800は一定電圧CV領域の出力電圧と出力電流の軌跡である。線区分805は無調節の遷移UT領域の出力電圧と出力電流の軌跡である。線区分810は自動再始動AR領域の出力電圧と出力電流の軌跡である。図示されるように、出力電圧と出力電流は特定された境界線815と820の中に入る。
【0026】
一実施形態では、電力スイッチ、電流感知回路、制御器が集積回路へと組み合わされてスイッチング・レギュレータの出力電力を制御する。具体的に示すために、図9A、9Bは本発明の実施形態の回路図を図7に例示されたオン/オフ制御特性を実現するために集積回路900を使用する電源として示している。図示されるように、図9Bは図9Aのいくつかの要素の例の実施形態をさらに詳細に示すものであって、以下の検討は図9Aと9Bの両方に当てはまる。エネルギー移送要素907は一次巻き線909にDC電圧入力908を受けて、二次巻き線912からDC出力電圧910と、二次巻き線913からバイアス出力電圧911を供給する。バイアス出力電圧911はエネルギー移送要素907の変圧器作用を通じて出力電圧910に結合されており、それにより、バイアス出力電圧911は出力電圧910の指標となる。その結果、出力電圧910はバイアス電圧911の調節によって間接的に調節される。
【0027】
集積回路900はエネルギー移送要素907の一次巻き線909のドレイン端子949に結合される。集積回路900はドレイン端子949に結合されたMOSFET電力スイッチ915と電圧調整回路947を有する。電圧調整器947は調節された電圧をバイパス・キャパシタ914に結合されるバイパス端子945へと供給する。バイパス端子945の調節された電圧は集積回路900の内部回路のための電源である。
【0028】
バイアス電圧911に比例するフィードバック電圧を受けるためにフィードバック端子905が抵抗器906、916に結合される。ソース端子946はMOSFET915のソースに結合される。
【0029】
発振器971はスイッチング・サイクルを決めるクロック信号を生成する。発振器971から出る出力は各々のサイクル中において、電力スイッチの最大デューティ比に対応する時間の間高論理である。発振器971は制御器が自動再始動領域で動作するときに発振器の周波数を下げる信号を受け取る。図9Bは発振器971の一実施形態を詳細に示している。電流源920と921、トランジスタ922と924、インバータ923がタイミング・キャパシタ931を充電するために周波数選択入力LOWFREQに従って大電流または低電流のどちらかを供給する。インバータ926、トランジスタ927、928、929、930、ヒステリシスを備えた非反転のバッファ932が発振器回路を完結させる。一実施形態では、周波数選択入力LOWFREQが高論理であるとき、発振器の周波数は因数20で下げられる。
【0030】
インバータ936、937、938、NANDゲート939を含むパルス発生回路は電力スイッチのオン時間を決定するための信号を供給する。ANDゲート939の出力は各発振器クロック・サイクルの開始時の狭い正のパルスである。
【0031】
フィードバック端子905のフィードバック電圧は、フィードバック信号の大きさを閾値U1、U23とコンパレータ934、961それぞれによって比較する測定回路960によって受け取られる。フィードバック信号がU1よりも大きい限り、コンパレータ934の出力は高論理であり、自動再始動カウンタ933の出力を低位に保ち、自動再始動動作をディセーブルする。レギュレータが自動再始動領域で動作するとき、カウンタ933の出力はフリップ・フロップ942から一定数のドライブ・パルスがMOSFET915のゲートへ到達できるようにし、それに続いてドライブ・パルスの無い大幅に長い時間間隔がある。一実施形態では、ドライブ・パルスの無い時間間隔はドライブ・パルスを伴なう時間間隔の20倍である。カウンタ933の高論理出力は発振器971の周波数を下げ、その一方でインバータ925からANDゲート914の一方の入力部へと低論理を供給してフリップ・フロップ942からのドライブ信号を遮断する。
【0032】
フィードバック信号UFBがU23よりも大きいとき、コンパレータ961はANDゲート940の入力部に低論理信号を加え、それがパルス発生器972から出るパルスがフリップ・フロップ942を設定するのを妨げ、MOSFET915のゲートへのドライブ信号を阻止する。その結果、スイッチングが阻止される。フィードバック信号UFBが閾値U23よりも下に下がると、コンパレータ961の高論理信号によって、フリップ・フロップ942がMOSFET915のゲートをドライブする。フリップ・フロップ942がORゲート941への最大デューティ比の入力または電流制限のどちらかによってリセットされると、MOSFET915はオフに切り換わる。どちらかの事象がフリップ・フロップ942の出力部をリセットし、MOSFET915のゲートのドライブを外す。
【0033】
コンパレータ961は電流源935、919とともに、トランジスタ917、918、943、944を含む。抵抗器901、902、903は電流源919とともに閾値U1、U23を設定する。
【0034】
電流感知回路970はドレイン電流904を導通させるときのMOSFET915のドレイン電圧を測定する測定するコンパレータ948を含む。ドレイン電圧はMOSFETのオン抵抗による電流904に実質的に比例する。電流制限コンパレータ948の出力はドレインのオン電圧がVILIMITを超えると高論理となる。ANDゲート951の出力部の高論理によって、フリップ・フロップ942をリセットしてMOSFET915のドライブを外す。リーディングエッジ・ブランキング回路950はANDゲート951とともにMOSFET970がオンに切り換わるとその後の短い持続時間について電流制限コンパレータ948の出力をマスクし、寄生容量の放電による初期の大電流からのオン時間の予定より早い終了を回避する。
【0035】
前記の詳細な説明の中で、本発明の方法および装置が特定の例となる実施形態を参照しながら述べられてきた。しかしながら、本発明のさらに広い精神と範囲から逸脱することなく様々な改造および変形が為され得ることは明らかであろう。したがって本願明細書および図面は限定ではなく、具体的例示に関する。
【符号の説明】
【0036】
105 入力電圧、110 クランプ回路、115 電流、120 スイッチ、12、907 エネルギー移送要素、130 整流器、135 キャパシタ、140 電流感知信号、145 制御器、150 出力量、155 フィードバック信号、160 フィードバック回路、165負荷。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力変換制御器回路であって、
スイッチに結合される制御回路を備え、前記制御回路は、前記スイッチに結合されるエネルギ移送要素の一次側巻線に結合される電流検知回路と、前記エネルギ移送要素の二次側巻線に結合される測定回路を備え、
前記制御回路に結合されかつ電力変換器の出力量から派生されるフィードバック信号を受けるように結合され、前記測定回路に信号を出力するフィードバック回路を備え、前記測定回路の出力および前記電流検知回路の出力は前記スイッチのスイッチングを制御して前記電力変換器の出力電圧または出力電流を調整するように結合され、
前記電力変換器制御回路は、前記フィードバック信号の大きさおよび持続期間に応答して前記スイッチのスイッチングを制御して前記電力変換器を調節された出力領域、第1の無調節出力領域、および第2の無調節出力領域で動作させ、前記フィードバック信号の大きさおよび持続期間は前記出力電圧および出力電流の組合せに対応し、
前記第1の無調節出力領域は、自己保護自動再始動領域であり、
前記第2の無調節出力領域は、前記電力変換器の実質的に最大出力電力で連続した出力電力を与える前記電力変換制御器回路の拡張された無調節の遷移領域であり、
前記電力変換制御器回路の電流制限は、前記第2の無調節出力領域の間、前記フィードバック信号の大きさと独立であり、
前記制御回路は、前記スイッチのスイッチングサイクルを規定するクロック信号を生成する発振器を含む、電力変換制御器回路。
【請求項2】
前記電力変換制御器回路は、バッテリー充電器に含まれる、請求項1記載の電力変換制御器回路。
【請求項3】
集積回路が前記制御回路を含む、請求項1記載の電力変換制御器回路。
【請求項4】
前記制御回路は、個別電気部品を含む、請求項1記載の電力変換制御器回路。
【請求項5】
前記調節された出力領域は、調節された定電圧領域である、請求項1記載の電力変換制御器回路。
【請求項6】
前記拡張された無調節遷移領域は、前記調節された定電圧領域と前記自己保護自動再始動領域の間に延在する、請求項5記載の電力変換制御器回路。
【請求項7】
前記制御回路は、パルス幅変調制御回路である、請求項1記載の電力変換制御器回路。
【請求項8】
前記制御回路は、オン/オフ制御回路である、請求項1記載の電力変換制御器回路。
【請求項9】
電力変換器を動作させる方法であって、
前記電力変換器のエネルギ移送要素の一次側巻線から受けたフィードバック信号を測定するステップと、
前記エネルギ移送要素の一次側巻線から受けた電流を検知するステップとを備え、前記電力変換器の出力電力は、クロック信号と、前記フィードバック信号と当該検知された電流とに応答して制御され、
前記フィードバック信号が第1のしきい値よりも小さいとき、前記電力変換器を無調節自動再始動モードで動作させるステップと、
前記フィードバック信号が前記第1のしきい値と第2のしきい値との間にありかつ第3のしきい値より大きいとき、前記電力変換器を調節されたモードで動作させるステップと、
前記フィードバック信号が前記第1のしきい値と前記第3のしきい値との間にあるとき前記電力変換器を無調節最大出力電力モードで動作させるステップとを備え、
前記電力変換器の電流制限は、前記無調節最大出力電力モードの間、前記フィードバック信号の大きさと独立である、方法。
【請求項10】
前記フィードバック信号が前記第2のしきい値よりも大きいとき前記電力変換器を無調節のスイッチング阻止モードで動作させるステップをさらに備える、請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記第1のしきい値は前記第3のしきい値よりも小さい、請求項9記載の方法。
【請求項12】
前記第3のしきい値は、前記第2のしきい値以下である、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記電力変換器が前記無調節自動再始動モード、前記無調節スイッチング阻止モードおよび前記無調節最大電力モードのいずれかで動作しているとき、前記電力変換器の出力電力は前記フィードバック信号に不応答である、請求項9記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【公開番号】特開2012−105546(P2012−105546A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−30582(P2012−30582)
【出願日】平成24年2月15日(2012.2.15)
【分割の表示】特願2006−7124(P2006−7124)の分割
【原出願日】平成18年1月16日(2006.1.16)
【出願人】(501315784)パワー・インテグレーションズ・インコーポレーテッド (125)
【Fターム(参考)】