説明

スイッチ・モジュール

この発明は、軸受ハウジングに軸支して設置されたセレクタレバー(14)を有するスイッチ・モジュールに関する。セレクタレバー(14)は、互いに反対側にあって突出する2つのトラニオンを有し、前記軸受ハウジングは複数の収容開口(18)を有する。
収容開口(18)の少なくとも一部分は、多角形状に形成されており、セレクタレバー(14)には、そのトラニオン(20)とともに、頂部の方向に、力が加えられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、スイッチ・モジュール、特に、軸受ハウジングに軸支して設置されたセレクタレバー(Schalthebel)を有するスイッチ・モジュールに関する。セレクタレバーは、互いに反対側にあって突出する2つのトラニオンを有し、軸受ハウジングは複数の収容開口を有する。
【背景技術】
【0002】
このようなスイッチ・モジュールは、例えば、自動車両に設けられたステアリング・コラム・スイッチとして用いられる。このようなステアリング・コラム・スイッチは、例えば、ヘッドランプ・スイッチ、ブリンカー・スイッチ、ワイパー・スイッチ等として用いられる。セレクタレバーは比較的長く、車両は常に振動を引き起こすので、軸受には、軸受の寿命の長さおよびがたつきのないことへの要求がなされる。特に、軸受の遊びは、部分的に妨害的と感じられるノイズを引き起こす。従来の軸受は丸い収容開口を有し、その収容開口には、丸いボルトが取り付けられている。このようなスイッチ・モジュールは極端な温度変化に晒されているので、いずれにせよ、丸いボルトが収容開口内で締め付けられており、セレクタレバーの回動が不可能であるか、または最早確実に不可能であることが防止されねばならない。従って、収容開口に位置している丸いボルトは、常に、遊びを有する。しかし、このことは、上記の問題をもたらすことがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、この発明の課題は、余りノイズを引き起こさないスイッチ・モジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題は、明細書導入部に記載したタイプのスイッチ・モジュールを用いて、この発明に基づき、収容開口が、少なくとも一部分を多角形状に形成されており、セレクタレバーにトラニオンとともに、収容開口のある頂部の方向に、力が加えられていることによって解決される。
【0005】
収容開口を多角形状に構成することによって、トラニオンのための不連続の接触面が形成される。それ故に、所定の力によって収容開口の頂部の方向へ押しやられるトラニオンは、所定の位置を占める。この場合、収容開口にある接触面は、平らにまたは凸面状または凹面状に湾曲していてもよい。収容開口の、トラニオンを保持する頂部が、V字形状の部分によって形成されることが好ましい。それ故に、トラニオンは、収容領域の2つの辺に接触している。トラニオンが接触面から外れることは、トラニオンが、特に調整可能な所定の力で接触していることによって、阻止される。従って、ガタガタいうノイズを恐れる必要なく、遊びを非常に大まかな寸法にしてもよい。
【0006】
この発明の実施の形態では、軸受ハウジングが軸受台を形成し、この軸受台自体は、収容開口の軸に対して直交している軸を有する2つのトラニオンを具備することが提案されている。この場合、モジュール・ハウジングは、同様にその一部分を多角形状に形成されている、軸受台のトラニオンのための2つの収容開口を有する。このことによって、軸受台のトラニオンも、多角形状の収容開口に遊びなしに保持され、同様に、所定の力の下で、接触面に接触している。
【0007】
この発明によれば、セレクタレバーのトラニオンおよび軸受台のトラニオンは、軸受台に形成された収容開口およびモジュール・ハウジングに形成された収容開口とともに、カルダン軸受を形成する。従って、セレクタレバーは、操作者によって、上下にならびに前後に回動されることができる。すべての回動方向および/または回動運動は、遊びに関して補償されている。
【0008】
モジュール・ハウジングのある壁部において支持される接触部材用ガイドが、軸受に関し、セレクタレバーの反対側にあることは好ましい。この発明では渦巻き状の圧縮ばねによって加えられるこの支持力は、変換レバーのトラニオンを軸受台の収容開口に押しやり、軸受台のトラニオンをモジュール・ハウジングの収容開口へ押しやる。遊びの補償のためには、唯一のばね要素で十分である。しかし、渦巻き状の圧縮ばねの代わりに、押圧力を発生させるために、他の構成部材、特に、収容開口の領域にある材料堆積物、例えばばねリップ(Federlippen)等も用いることができる。しかし、トラニオンに作用するばね要素も、収容開口の領域に直接設けられていてもよい。
【0009】
好ましい実施の形態では、収容開口は実質的に三角形状に形成されている。この場合、トラニオンは、三角形の2辺の間に位置しており、三角形の2辺の開き角によって、収容開口内でのトラニオンの押圧力従ってまた摩擦モーメントも、調整されることができる。
【0010】
この発明の好ましい実施の形態では、セレクタレバーに、操作者の方に向いた操作端の方向で、力が加えられる。このことは、容易な方法で、既述のように、操作端と反対側の端部に圧縮ばねが作用することによって、なされる。
【0011】
この発明の他の利点、特徴および詳細は、従属請求項ならびに以下の記述から明らかである。この記述では、図面を参照して、特に好ましい実施の形態が詳述されている。この場合、図面に示されかつ明細書および請求項に記載された各々の特徴は、単独でまたは任意の組合せでこの発明にとって本質的であり得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は、例えばステアリング・コラム・スイッチの形で用いられる、全体的に参照符号10が付されたスイッチ・モジュールを示す。このようなスイッチ・モジュール10によって、例えば、ブリンカー、フロントガラス用ワイパー、ライト等が切り換えられることができる。スイッチ・モジュール10はモジュール・ハウジング12を有する。このモジュール・ハウジングは例示しているに過ぎない。モジュール・ハウジング12からはセレクタレバー12が突出しており、このセレクタレバーは第1の軸16を中心としてモジュール・ハウジング12に回動自在に取り付けられている。このことのために、モジュール・ハウジング12は、2つの反対側に設けられた収容開口18を有する。これらの収容開口には、夫々1つのトラニオン20が取り付けられている。
【0013】
図2から認められるのは、トラニオン20が軸受台22から突出しており、軸受台22自体が、図4からも見て取れるように、複数の収容開口24を有し、これらの収容開口にトラニオン26が係合し、トラニオンが接触部材用ガイド(Schaltstueckfuehrung)28に設けられていることである。これらのトラニオン26は、第1の回動軸16に対して直交している第2の回動軸30を形成する。
【0014】
図7から認められるのは、セレクタレバー14が軸受を越えて接触部材用ガイド28に一体的に入り込んでおり、接触部材用ガイド28が中空に形成されており、固定ボルト32を取り囲み、軸方向に延びていることである。固定ボルト32は、セレクタレバー14の操作の際に、モジュール・ハウジング12に形成されたガイド穴34に沿って移動し、このガイド穴で渦巻き状の圧縮ばね36の力により支持される。
【0015】
渦巻き状の圧縮ばね36は、固定ボルト32の太い自由端38と、接触部材用ガイド28の肩部40との間にある。この結果として、渦巻き状の圧縮ばね36の力によって、接触部材用ガイド28が、図7で左へ、モジュール・ハウジング12から押し出される。このことによって、接触部材用ガイド28のトラニオン26が、図4および5に示すように、多角形状の収容開口24の2つの側面42へ押圧される。
【0016】
矢印44(図5を参照せよ)によって、ばね36の力が示されている。矢印46は、側面42へのトラニオン26の押圧力を示す。角度ωの変化によりおよびトラニオン26の直径の変化により、側面42におけるトラニオン26の所定の摩擦モーメントが調整される。
【0017】
トラニオン26が収容開口24において支持されるので、軸受台22は、同様に、左へ押される。この結果として、軸受台22のトラニオン20が、力48(図3を参照)によって、収容開口18へ押され、そこでは、力50に付勢されて収容開口18の側面52に接触していることが生じる。ここでも、角度ωおよびトラニオン20の直径によって、収容開口18におけるトラニオン20の所定の摩擦モーメントが調整されることができる。
【0018】
いずれにせよ、すべてのトラニオン20および26が、所定の付勢力の下で、多角形状に形成された収容開口18および24に位置している。このことによって、万一遊びがあってもその遊びは確実に補償される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】スイッチ・モジュールの斜視図を示す。
【図2】図1に示す部分的に切り取られたスイッチ・モジュールの斜視図を示す。
【図3】図2に示す部分IIIの拡大図を示す。
【図4】セレクタレバーの、モジュール・ハウジングに設置された部分および軸受台の斜視図を示す。
【図5】図4に示した部分Vの拡大図を示す。
【図6】図1のVI−VIの断面図を示す。
【図7】図6のVII−VIIの断面図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸受ハウジングに軸支して設置されたセレクタレバー(14)を有するスイッチ・モジュールであって、前記セレクタレバー(14)は、互いに反対側にあって突出する2つのトラニオン(26)を有し、前記軸受ハウジングは複数の収容開口(18)を有してなるスイッチ・モジュールにおいて、
前記収容開口(18)は、少なくとも一部分は多角形状に形成されており、前記セレクタレバー(14)には、そのトラニオン(20)とともに、頂部の方向に力が加えられていることを特徴とするスイッチ・モジュール。
【請求項2】
前記軸受ハウジングは軸受台(22)を形成し、この軸受台自体は、前記収容開口(24)の軸(30)に対して直交している軸(16)を有する2つのトラニオン(20)を具備することを特徴とする請求項1に記載のスイッチ・モジュール。
【請求項3】
前記モジュール・ハウジング(12)は、その一部分を多角形状に形成されている、前記軸受台(22)の前記トラニオン(20)のための2つの収容開口(18)を有することを特徴とする請求項2に記載のスイッチ・モジュール。
【請求項4】
前記セレクタレバー(14)の前記トラニオン(26)および前記軸受台(22)の前記トラニオン(20)は、前記軸受台(22)に形成された前記収容開口(24)および前記モジュール・ハウジング(12)に形成された前記収容開口(18)と共に、カルダン軸受を形成することを特徴とする請求項2または3に記載のスイッチ・モジュール。
【請求項5】
前記モジュール・ハウジング(12)の壁部において支持される接触部材用ガイド(28)が、軸受に関し、前記セレクタレバー(14)の反対側にあることを特徴とする請求項1に記載のスイッチ・モジュール。
【請求項6】
前記収容開口(18、24)は、実質的に三角形状であることを特徴とする前記すべての請求項のいずれか1に記載のスイッチ・モジュール。
【請求項7】
前記セレクタレバー(14)には、ばね(36)によって、力が加えられていることを特徴とする前記すべての請求項のいずれか1に記載のスイッチ・モジュール。
【請求項8】
前記セレクタレバー(14)には、操作者の方に向いた操作端の方向で、力が加えられていることを特徴とする前記すべての請求項のいずれか1に記載のスイッチ・モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2007−517361(P2007−517361A)
【公表日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−541834(P2006−541834)
【出願日】平成16年11月20日(2004.11.20)
【国際出願番号】PCT/EP2004/013207
【国際公開番号】WO2005/055261
【国際公開日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(303049337)バレオ・シャルター・ウント・ゼンゾーレン・ゲーエムベーハー (18)
【Fターム(参考)】