説明

スイッチ及びその製造方法並びにリレー

【課題】接点どうしの接触面を平滑に形成し、また接点どうしを確実に接触させられるようにして接点間の接触抵抗を小さくする。
【解決手段】固定接点部33は、固定接点基板41の上に密着層43と配線層44が積層され、その上に接点層45が形成される。接点層45の可動接点部34と対向する端面が固定接点46(接触面)となっており、固定接点46は配線層44や密着層43、固定接点基板41から突出している。可動接点部34は、可動接点基板51の上に密着層53と配線層54が積層され、その上に接点層55が形成される。接点層55の固定接点部33と対向する端面が可動接点56(接触面)となっており、可動接点56は配線層54や密着層53、可動接点基板51から突出している。この固定接点46及び可動接点56は、接点層45及び55を蒸着やスパッタリング等により成長させる工程で、モールド部の側面に接していた面である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスイッチ及びその製造方法並びにリレーに関する。具体的には、可動接点部の移動方向と垂直な面が接点となったスイッチとその製造方法に関し、さらに当該スイッチの構造を用いたリレーに関する。
【背景技術】
【0002】
(特許文献1)
可動接点部の移動方向と垂直な面が接点(接触面)となったMEMS(Micro Electrical-Mechanical Systems)スイッチとしては、特許文献1に開示されたものがある。このスイッチ11においては、図1(a)に示すように、基板12aの上面に絶縁層13aを形成し、その上にAlやCuなどからなる導電層14aを形成し、さらに導電層14aの上面から端面にかけてAuなどのメッキ層15aを成長させることによって可動接点部17を形成している。同様に、基板12bの上面に絶縁層13bを形成し、その上にAlやCuなどからなる導電層14bを形成し、さらに導電層14bの上面から端面にかけてAuなどのメッキ層15bを成長させることによって固定接点部18を形成している。そして、可動接点部17を矢印方向に移動させ、図1(b)に示すようにメッキ層15aの突出領域である可動接点16aとメッキ層15bの突出領域である固定接点16bを接触させ、あるいは離間させることにより可動接点部17と固定接点部18の間でスイッチング動作を行わせている。
【0003】
しかしながら、このようなスイッチ11では、導電層14aの端面に形成された可動接点16aの表面と導電層14bの端面に形成された固定接点16bの表面とを接離させる構造となっているので、可動接点16aと固定接点16bは各メッキ層15a、15bの成長方向と垂直な面(メッキ表面)で互いに接触することになる。ところが、メッキ層の表面は粗くて微細な凹凸が存在するため、可動接点16aと固定接点16bとを接触させたときの実質的な接触面積がかなり小さくなり、接点どうしの接触抵抗が大きかった。
【0004】
また、メッキ処理のために導電層14a、14bに電圧を印加したとき、導電層14a、14bの端面では電界強度が高い(電気力線が集中している)ので突出領域(可動接点16a、固定接点16b)ではメッキ被膜の成長速度が大きく、接点間のギャップ距離を制御するのが難しい。一方、接点の表面が粗くて不規則な微細凹凸を有しているので、ギャップ距離のバラツキにより接点どうしが近づくとその間に放電が発生しやすい。そのため、このようなスイッチ11では、接点間のギャップ距離の狭小化が困難であった。
【0005】
(特許文献2)
また、可動接点がベース基板と平行に移動して可動接点どうしが接触又は離間する静電リレーとしては、例えば特許文献2に開示されたものがある。この静電リレー21では、図2に示すように、可動櫛歯状電極22aと固定櫛歯状電極23aに電圧を加えることによってレバー24aを弾性的に撓ませ、同時に可動櫛歯状電極22bと固定櫛歯状電極23bにも電圧を加えることによってレバー24bを弾性的に撓ませ、レバー24aの先端に形成された可動接点25aとレバー24bの先端に形成された可動接点25bを接触させて可動接点25a、25b間を閉じる。また、各櫛歯状電極22aと23a及び可動櫛歯状電極22bと23bの間の印加電圧を解除することによって可動接点25a、25b間を開離させている。この静電リレー21では、レバー24a、24bの先端部に蒸着、スパッタリング等で金属膜を成膜することにより可動接点25a、25bを作製している。
【0006】
特許文献2の静電リレー21でも、レバー24a、24bの端面に形成された可動接点25a、25bの表面どうしを接離させる構造となっている。従って、この静電リレー21でも、可動接点25a、25bは、その蒸着膜等の成長方法と垂直な面で互いに接触する。
【0007】
しかし、これらの接点の成長方向と垂直な面(接点の表面)はミクロに見るとかなり粗く、不規則で微細な凹凸を有している。そのため、微細に見ると接点どうしの接触面積が小さくなり接点が閉じているときの接触抵抗が大きい。さらに、対向する接点の表面どうしの平行度を得にくいため、余計に接点どうしの接触抵抗が大きくなりやすかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特表2006−526267号公報
【特許文献2】特開平9−251834号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、このような技術的課題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは接点どうしの接触面を平滑に形成し、また接点どうしを確実に接触させられるようにして接点間の接触抵抗を小さくできるスイッチとその製造方法並びに当該スイッチの構造を用いたリレーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るスイッチは、第1の基板の上方に第1の接点層を含む複数の層を形成された第1の接点部と、第2の基板の上方に第2の接点層を含む複数の層を形成された第2の接点部とを備え、前記第1の接点層における、当該接点層の成膜時における成長方向に平行な端面を第1の接点部の接点とし、前記第2の接点層における、当該接点層の成膜時における成長方向に平行な端面を第2の接点部の接点とし、前記第1の接点部と前記第2の接点部のうち少なくとも一方の接点部において、当該接点部の接点が、当該接点部における接点層以外の層及び当該接点部の基板のそれぞれの端面よりも突出し、前記第1の接点部の接点と前記第2の接点部の接点とを対向させて両接点を互いに接触又は離間させるようにしたことを特徴としている。
【0011】
本発明のスイッチにあっては、第1及び第2の各接点層の成長方向に平行な端面をそれぞれ第1の接点部の接点と第2の接点部の接点としているので、MEMS技術を用いて第1及び第2の接点層を形成する際に各接点となる面を平滑にすることができ、また、接点どうしの平行度も向上させることができる。よって、接点どうしの実質的な接触面積を大きくすることができ、接点間の接触抵抗を小さくできる。また、両接点の接触面が平滑になることで接点どうしの溶着が起こりにくくなり、スイッチの開閉寿命が増す。さらに、接点間距離を狭小化することができるので、アクチュエータを低電圧で駆動して接点どうしを開閉することが可能になる。
【0012】
また、本発明のスイッチにあっては、第1の接点部と第2の接点部のうち少なくとも一方の接点部において、その接点部の接点が、当該接点部における接点層以外の層及び当該接点部の基板のそれぞれの端面よりも突出しているので、第1の接点部と第2の接点部の接点どうしが接触する前に接点層以外の層や基板どうしが接触して、第1の接点部の接点と第2の接点部の接点との接触が妨げられることがなくなる。また、接点どうしが当接することで、接点層以外の層どうしの接触を妨ぐことができ、接点層以外の層どうしの固着を防止して接点寿命を延ばすことができる。
【0013】
本発明に係るスイッチのある実施態様は、前記第1及び第2の接点層が、貴金属、合金、導電性を有するSi系材料又は導電性酸化物のうちのいずれかの材料によって形成されていることを特徴としている。かかる実施態様によれば、第1及び第2の接点層を高硬度で、かつ、比抵抗が比較的小さな材料で形成することが可能になる。
【0014】
本発明に係るスイッチの別な実施態様は、前記第1の接点部が、前記第1の基板の上方に第1の配線層を形成され、前記第1の配線層の上面に前記第1の接点層を形成され、前記第2の接点部が、前記第2の基板の上方に第2の配線層を形成され、前記第2の配線層の上面に前記第2の接点層を形成されていることを特徴としている。かかる実施態様によれば、配線用の配線層と開閉用の接点を有する接点層を分けることができるので、配線層と接点層にそれぞれ最適な材料を選択することができる。
【0015】
本発明に係るスイッチのさらに別な実施態様は、接点が接点層以外の層及び基板のそれぞれの端面よりも突出した前記少なくとも一方の接点部においては、当該接点部の配線層の端面は、当該接点部の接点層と接する側の縁から当該接点部の基板に近くなる方向に向けてしだいに引っ込んだ傾斜面となっていることを特徴としている。かかる実施態様によれば、配線層どうしが接触するのを避けながら、配線層によって接点層の突出部分をそれぞれ支持させることができる。
【0016】
本発明に係るスイッチのさらに別な実施態様は、前記第1及び第2の配線層が、貴金属、合金、導電性を有するSi系材料又は導電性酸化物のうちのいずれかの材料によって形成されていることを特徴としている。かかる実施態様によれば、第1及び第2の配線層を比抵抗が小さく、かつ、比較的高硬度の材料で形成することが可能になる。
【0017】
本発明に係るスイッチの第1の製造方法は、基板の上方において接点層を含む複数の層を前記基板の厚み方向で成長させることにより前記基板の上方に接点層を含む複数の層を形成し、その最上面に所定パターンのモールド部を形成する工程と、前記モールド部をマスクとして前記接点層を含む複数の層をエッチングすることにより前記接点層を含む複数の層を複数領域に分割するとともに、前記接点層のエッチングされた面によって接点となる面を形成する工程と、前記接点層を含む複数層の分割された領域間において前記基板の表面を等方性エッチングして前記基板の表面にリセスを形成する工程と、前記接点層を含む複数層の分割された領域間において前記基板を異方性エッチングすることにより、前記接点層を含む複数層の分割された領域に合わせて前記基板を複数に分割する工程と、前記分割された領域のうち少なくとも1つの領域において、前記接点層以外の層をエッチングすることによって前記接点層以外の層の端面を前記接点層の接点となる面よりも後退させる工程とを備えたことを特徴としている。上記接点層は、例えば、蒸着、スパッタリング、MBE、CVD、メッキ、スプレー法、ゾルゲル法、インクジェット法又はスクリーン印刷などの堆積法によって形成される。
【0018】
本発明にかかるスイッチの第1の製造方法にあっては、接点層をエッチングして分割する際にエッチングされた面が接点となるので、各接点となる面を平滑にすることができ、また、接点どうしの平行度も向上させることができる。よって、接点どうしの実質的な接触面積を大きくすることができる接点間の接触抵抗を小さくできる。また、両接点の接触面が平滑になることで接点どうしの溶着が起こりにくくなり、スイッチの開閉寿命が増す。さらに、接点間距離を狭小化することができるので、アクチュエータを低電圧で駆動して接点どうしを開閉することが可能になる。
【0019】
また、当該製造方法にあっては、各接点が接点層以外の層及び当該接点部の基板のそれぞれの端面よりも突出しているので、各接点部の接点どうしが接触する前に接点層以外の層や基板どうしが接触して、接点どうしの接触が妨げられることがなくなる。また、接点どうしが当接することで、接点層以外の層どうしの接触を妨ぐことができ、接点層以外の層どうしの固着を防止して接点寿命を延ばすことができる。
【0020】
本発明に係るスイッチの第2の製造方法は、基板の上方に所定パターンのモールド部を形成し、前記基板の上方において前記モールド部の形成されている領域を除く複数領域で接点層を含む複数の層を前記基板の厚み方向で成長させることにより前記基板の上方に前記接点層を含む複数の層を形成する工程と、前記モールド部を除去し、前記接点層の前記モールド部側面に接していた面によって接点となる面を形成する工程と、前記接点層を含む複数層の分離された領域間において前記基板の表面を等方性エッチングして前記基板の表面にリセスを形成する工程と、前記接点層を含む複数層の分離された領域間において前記基板を異方性エッチングすることにより、前記接点層を含む複数層の分割された領域に合わせて前記基板を複数に分割する工程と、前記分離された領域のうち少なくとも1つの領域において、前記接点層以外の層をエッチングすることによって前記接点層以外の層の端面を前記接点層の接点となる面よりも後退させる工程とを備えたことを特徴としている。上記接点層は、例えば、蒸着、スパッタリング、PLD、MBE、ALD、MOCVD、熱CVD、メッキ、スプレー法、ゾルゲル法、インクジェット法又はスクリーン印刷のうちのいずれかの成膜方法によって形成される。
【0021】
本発明にかかるスイッチの第2の製造方法にあっては、接点層のうちモールド部に接していた面が接点となるので、各接点となる面を平滑にすることができ、また、接点どうしの平行度も向上させることができる。よって、接点どうしの実質的な接触面積を大きくすることができる接点間の接触抵抗を小さくできる。また、両接点の接触面が平滑になることで接点どうしの溶着が起こりにくくなり、スイッチの開閉寿命が増す。さらに、接点間距離を狭小化することができるので、アクチュエータを低電圧で駆動して接点どうしを開閉することが可能になる。
【0022】
また、当該製造方法にあっては、各接点が接点層以外の層及び当該接点部の基板のそれぞれの端面よりも突出しているので、各接点部の接点どうしが接触する前に接点層以外の層や基板どうしが接触して、接点どうしの接触が妨げられることがなくなる。また、接点どうしが当接することで、接点層以外の層どうしの接触を妨ぐことができ、接点層以外の層どうしの固着を防止して接点寿命を延ばすことができる。
【0023】
本発明に係るスイッチの第1又は第2の製造方法の別な実施態様は、前記接点層を含む複数の層は、前記基板の上方に形成された配線層の上面に接点層を形成されたものであることを特徴としている。かかる実施態様によれば、配線用の配線層と開閉用の接点を有する接点層を分けることができるので、配線層と接点層にそれぞれ最適な材料を選択することができる。なお、この配線層は、蒸着、スパッタリング、MBE、CVD、メッキ、スプレー法、ゾルゲル法、インクジェット法又はスクリーン印刷などの堆積法によって形成することができる。
【0024】
また、この実施態様においては、前記接点層以外の層の端面を前記接点層の接点となる面よりも後退させる前記工程で、前記配線層の端面を前記接点層側から前記基板に向かうに従って大きく後退するように傾斜させることができる。かかる実施態様によれば、配線層どうしが接触するのを避けながら、配線層によって接点層の突出部分をそれぞれ支持させることができる。
【0025】
本発明に係るリレーは、本発明に係るスイッチと、前記第1の接点部と前記第2の接点部のうち少なくとも一方の接点部を前記第1の接点部と前記第2の接点部の接点どうしの接触面に垂直な方向へ移動させて前記接点どうしを接触又は離間させるためのアクチュエータとを備えたことを特徴としている。かかるリレーにあっては、第1の接点部と第2の接点部の接点どうしの接触面を平滑に形成することができるので、接点どうしが接触するときの接触抵抗が小さくなる。また、両接点の接触面が平滑になることで、接点どうしが近接したときに放電しにくくなり、接点どうしの溶着が起こりにくくなる。その結果、リレーの寿命が増す。また、接点が他の層の端面や基板の端面よりも突出しているので、接点どうしが接触する前に接点層以外の層や基板どうしが接触して、第1の接点部の接点と第2の接点部の接点との接触が妨げられることがなくなる。
【0026】
なお、本発明における前記課題を解決するための手段は、以上説明した構成要素を適宜組み合せた特徴を有するものであり、本発明はかかる構成要素の組合せによる多くのバリエーションを可能とするものである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1(a)及び(b)は、特許文献1に開示されたMEMSスイッチを示す断面図である。
【図2】図2は、特許文献2に開示された静電リレーの斜視図である。
【図3】図3(a)及び(b)は、本発明の実施形態1によるスイッチの構造を示す断面図である。
【図4】図4(a)〜(d)は、実施形態1のスイッチの第1の製造方法を説明する概略断面図である。
【図5】図5(a)〜(d)は、図4(d)に続く工程を示す概略断面図である。
【図6】図6(a)〜(d)は、実施形態1のスイッチの第2の製造方法を説明する概略断面図である。
【図7】図7(a)〜(d)は、図6(d)に続く工程を示す概略断面図である。
【図8】図8(a)〜(d)は、実施形態1のスイッチの第3の製造方法を説明する概略断面図である。
【図9】図9は、本発明の実施形態2によるスイッチの構造を示す断面図である。
【図10】図10(a)〜(d)は、実施形態2のスイッチの第1の製造方法を説明する概略断面図である。
【図11】図11(a)〜(c)は、図10(d)に続く工程を示す概略断面図である。
【図12】図12(a)〜(d)は、実施形態2のスイッチの第2の製造方法を説明する概略断面図である。
【図13】図13(a)〜(c)は、図12(d)に続く工程を示す概略断面図である。
【図14】図14は、本発明の実施形態3による静電リレーを示す平面図である。
【図15】図15は、図14のA部を拡大して示す斜視図である。
【図16】図16は、図14のB−B線に沿った概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態を説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々設計変更することができる。
【0029】
[第1の実施形態]
(構造)
図3(a)は、本発明の実施形態1によるスイッチの構造を示す断面図である。このスイッチ31は、固定接点部33と可動接点部34を備えている。固定接点部33は、絶縁膜42を介してその下面をベース基板32の上面に固定され、可動接点部34はベース基板32の上面から浮いていてアクチュエータによってベース基板32の上面と平行な方向(白抜き矢印で示す方向)に移動する。例えば、本発明のスイッチは、特許文献1に開示されているような構造のMEMSスイッチにも用いることができる。
【0030】
固定接点部33は、固定接点基板41の上面に配線パターン部48を設けたものである。配線パターン部48は、固定接点基板41の上面に位置する密着層43と、その上に積層された配線層44及び接点層45からなる。また、可動接点部34は、可動接点基板51の上面に配線パターン部58を設けたものである。配線パターン部58は、可動接点基板51の上面に位置する密着層53と、その上に積層された配線層54及び接点層55からなる。
【0031】
密着層43は、配線層44と固定接点基板41との密着強度(剥離強度)を高めるための層である。密着層53は、配線層54と可動接点基板51との密着強度(剥離強度)を高めるための層である。密着層43、53は、例えば下層Cr/上層Auからなる2層構造となっており、CVD、蒸着、スパッタリング、電解メッキや無電解メッキ等の方法により形成される。配線層44、54は、比抵抗が小さくて高硬度の材料で形成されていることが好ましく、Pt、Rh、Pd、Auなどの貴金属や合金、ポリシリコン(Poly-Si)、不純物をドープしたドープド・シリコン(doped Si)、ドープド・ポリシリコンなどのSi系材料や、AgO、SrRuOなどの導電性酸化物で構成される。また、接点層45、55も、比抵抗が小さくて高硬度の材料で形成されていることが好ましく、Pt、Rh、Pd、Auなどの貴金属や、ポリシリコン、ドープド・シリコン、ドープド・ポリシリコンなどのSi系材料や、AgO、SrRuOなどの導電性酸化物で構成される。また、配線層44、54及び接点層45、55は、蒸着、スパッタリング、MBE、CVD、メッキ、スプレー法、ゾルゲル法、インクジェット法又はスクリーン印刷などの堆積法によって形成される。
【0032】
ただし、接点層45、55は互いに接触・離間する固定接点と可動接点を形成するための層であり、高硬度の材質である方が接点どうしの接触時にスティック(固着)が起こりにくく、スイッチ31の寿命が長くなるので、接点層45、55の材料は高硬度であることを優先して選択することが望ましい。これに対し、配線層44、54は信号を伝送するための層であって、互いに直接接触することはなく、また多少柔らかくても接点どうしの接触時の衝撃を緩和する効果を期待できるので、配線層44、54は高硬度であることよりも低抵抗材料であることを優先して材料を選択することが望ましい。従って、配線層44、54も接点層45、55も同じように低抵抗で高硬度の材料が好ましいが、一般には配線層44、54が接点層45、55よりも比抵抗の小さな材料で形成され、接点層45、55が配線層44、54よりも硬度の高い材料で形成される。
【0033】
密着層43、53、配線層44、54及び接点層45、55は、それぞれの材料を厚み方向(図3の矢印方向α)に成長させることによって形成されている。接点層45と接点層55の互いの対向端面のうち、接点層45の対向端面が固定接点46(電気的接触面)となり、接点層55の対向端面が可動接点56(電気的接触面)となっている。従って、固定接点46は、接点層45の成長方向αと平行な端面もしくは接点層45の表面と垂直な面となっている。可動接点56も、接点層55の成長方向αと平行な端面もしくは接点層55の表面と垂直な面となっている。固定接点46と可動接点56は互いに平行となっており、いずれも平滑に形成されている。ただし、固定接点46と可動接点56は必ずしも平面でなければならない訳ではなく、湾曲面となっていても差し支えない。
【0034】
可動接点部34と対向する面において、固定接点46は、固定接点基板41の端面及び密着層43の端面よりも水平方向に突出している。配線層44の上面の端は固定接点46と揃っているか、あるいは固定接点46よりも引っ込んでおり、配線層44の端面49は固定接点基板41側へ近づくほど可動接点部34から離れるように引っ込んでいる。同様に、固定接点部33と対向する面において、可動接点56は、可動接点基板51の端面及び密着層53の端面よりも水平方向に突出している。配線層54の上面の端は可動接点56と揃っているか、あるいは可動接点56よりも引っ込んでおり、配線層54の端面59は可動接点基板51側へ近づくほど固定接点部33から離れるように引っ込んでいる。
【0035】
なお、固定接点部33及び可動接点部34においては、密着層43、53と各基板41、51との間に絶縁層を形成していてもよい。
【0036】
このスイッチ31では、アクチュエータ等によって可動接点部34をベース基板32の上面と平行方向に移動させると、図3(b)に示すように、固定接点部33の固定接点46と可動接点部34の可動接点56が接触し、固定接点46と可動接点56の間が電気的に閉じられる。しかも、接点層45、55がそれぞれ配線層44、54及び密着層43、53の端面や各基板41、51の端面よりも水平方向に突出しているので、固定接点46と可動接点56が接触する前に配線層44、54どうしが接触したり、密着層43、53どうしが接触したり、あるいは両基板41、51どうしが接触したりして、固定接点46と可動接点56の接触が妨げられることがない。また、固定接点46と可動接点56が当接することで、配線層44、54どうしや密着層43、53どうしの接触が妨げられるので、配線層44、54や密着層43、53に硬度の低い材料が用いられている場合でも、配線層44、54どうしや密着層43、53どうしが粘着することがなく、接点寿命に影響することがなくなる。
【0037】
また、配線層44、54の端面49、59は上方ほど突出するように傾斜しているので、配線層44、54どうしが接触するのを避けながら、配線層44、54によって接点層45、55の突出部分をそれぞれ支持させることができる。
【0038】
また、このスイッチ31のような構造であれば、下記のように種々の製造方法を採用することができる。
【0039】
(第1の製造方法)
スイッチ31は、MEMS技術を用いて製作される。図4(a)〜(d)及び図5(a)〜(d)は、スイッチ31の製造工程の一例を表している。
【0040】
図4(a)は、Siからなる基板A1の上面に蒸着、スパッタリング等の方法によって密着層A3を形成した状態を示す。密着層A3は、下層を密着性の高い材料、例えばCr、Ti等の材料を用い、さらにその上に低抵抗材料、例えばAu、Cu、Al等の材料を形成する。基板A1の上面に密着層A3を形成した後、密着層A3の上面にフォトレジストを塗布し、フォトレジストをフォトリソグラフィ技術でパターニングし、図4(b)に示すように密着層A3の上面において配線パターン部48、58を形成しようとする領域以外の領域にモールド部A2を設ける。
【0041】
ついで、図4(c)に示すように、蒸着やスパッタリング、電解メッキなどの方法により密着層A3の上に配線層の材料を堆積させ、配線パターン部48及び58形成しようとする領域に配線層A4を積層する。続けて、蒸着やスパッタリング、電解メッキなどの方法により配線層A4の上に接点層の材料を堆積させ、配線パターン部48及び58形成しようとする領域に接点層A5を積層する。
【0042】
この後、剥離液に浸漬させてモールド部A2を剥離させると、図4(d)に示すように、配線パターン部48及び58形成しようとする領域に配線層44、54と接点層45、55が形成される。また、モールド部A2に接していた接点層45、55の端面は平滑に、かつ、互いに平行に形成され、それぞれ固定接点46と可動接点56になる。
【0043】
ついで、配線層44、54、接点層45、55及び基板A1が耐性を有するエッチング液を用いて密着層A3を選択的にエッチングし、図5(a)に示すように、密着層A3の接点層45、55から露出した領域を除去するとともに密着層A3をオーバーエッチングさせて密着層A3の縁を配線層44、54の縁よりも引っ込めて密着層43、53をパターニングする。
【0044】
この後、接点層45と接点層55の中間の領域A6において、接点層45、55をマスクとして基板A1を等方性エッチングする。このとき、図5(b)に示すように、接点層45、55、配線層44、54及び密着層43、53が耐食性を有するエッチング方法を用い、基板A1の上面が密着層43、53間の開口幅よりも広い幅でエッチングされるように基板A1をオーバーエッチングさせ、基板A1の上面にリセスA7を設ける。基板A1を等方性エッチングする方法としては、たとえば六フッ化硫黄とパーフルオロシクロブタンをガス種としてRIE(Reactive Ion Etching)を行う(例えば、圧力10〜100Pa、高周波電力50〜200Wの条件で行う)。等方性エッチングを行う方法としては、これ以外にもガス種としてキセノンガスを用いてドライエッチングする方法や、フッ硝酸液を用いてウェットエッチングする方法などもある。
【0045】
こうして図5(b)のように基板A1の上面にリセスA7が形成されたら、接点層45、55をマスクとしてさらに基板A1をリセスA7側から異方性エッチングし、図5(c)のように異方性エッチングにより基板A1を固定接点基板41と可動接点基板51に分割し、固定接点基板41の端面を固定接点46よりも引っ込めるとともに、可動接点基板51の端面を可動接点56のよりも引っ込める。異方性エッチングの方法としては、たとえば六フッ化硫黄をガス種としてDRIE(Deep Reactive Ion Etching)を行う(例えば、圧力3〜10Pa、高周波電力200〜800Wの条件で行う)。異方性エッチングを行う方法としては、これ以外にもイオンミリングや、KOH水溶液、TMAH液を用いてウェットエッチングする方法などもある。また、異方性エッチング後の固定接点基板41と可動接点基板51の距離(あるいは、固定接点基板41、可動接点基板51の端面を後退させる程度)は、図5(b)のリセスA7の幅によって制御することができる。
【0046】
さらに、配線層44、54の端面をエッチング(エッチバック)して配線層44、54の端面49、59を傾斜させる。図5(d)では、配線層44、54の上面の端は固定接点46及び可動接点56に揃っているが、固定接点46及び可動接点56から引っ込んでいてもよい。なお、配線層44、54の端面49、59は傾斜面でなくてもよく、固定接点46及び可動接点56から引っ込んでいれば両接点46、56と平行な垂直面となっていても差し支えない
【0047】
こうして一方のブロックは、固定接点基板41、密着層43、配線層44及び接点層45が積層した固定接点部33となる。この固定接点部33は絶縁膜42を介してベース基板32の上面に固定されている。また、他方のブロックは、可動接点基板51、密着層53、配線層54及び接点層55が積層した可動接点部34となる。この可動接点部34は、最後に下面の絶縁膜をエッチング除去することによりベース基板32から分離される。この結果、スイッチ31(MEMSスイッチ)が製作される。
【0048】
こうして作製されるスイッチ31にあっては、固定接点46及び可動接点56となる面は、接点層45、55の成長方向と平行な面となっていて、モールド部A2の両側面により成形されるので、接点層45、55の表面に比べて平滑に形成することができ、また、平行度も向上する。よって、両接点46、56どうしを確実に接触させることができ、接点間の接触抵抗を小さくできる。また、両接点46、56の接触面を平滑にすることができるので、接点どうしが近接したときに放電しにくく、固定接点46と可動接点56の溶着が起こりにくくなり、スイッチ31の開閉寿命が増す。
【0049】
さらに、このような製造方法によれば、モールド部A2の幅によって固定接点46と可動接点56の間の接点間距離を精度よく決めることができ、また上記のように接点間で放電も発生しにくくなるので、固定接点46と可動接点56の間の接点間距離を狭小化することが可能になり、アクチュエータを低電圧で駆動して接点どうしを開閉することができる。
【0050】
(第2の製造方法)
また、スイッチ31は、図6(a)〜(d)及び図7(a)〜(d)に示すような工程で作製することもできる。以下、この第2の製造方法を説明する。
【0051】
まず、図6(a)に示すように、Siからなる基板A1の上面に蒸着、スパッタリング等の方法によって密着層A3を成膜し、その上面にさらに配線層A4と接点層A5を積層する。
【0052】
ついで、接点層A5の上にフォトレジストを塗布してパターニングし、図6(b)のように配線パターン部48及び58を形成しようとする領域にモールド部A2を形成する。モールド部A2がパターニングされたら、図6(c)に示すように、そのモールド部A2をマスクとして接点層A5の露出領域を選択的にエッチングし、配線層A4の上面で接点層45、55をパターニングするとともに接点層45、55の端面にそれぞれ固定接点46と可動接点56を形成する。さらにエッチング液を交換し、図6(d)に示すように、モールド部A2をマスクとして配線層A4の露出領域を選択的にエッチングし、密着層A3の上で配線層44、54をパターニングする。
【0053】
さらに、接点層45、55及び基板A1が耐性を有するエッチング液を用いて密着層A3を選択的にエッチングし、図7(a)に示すように、密着層A3の接点層45、55から露出した領域を除去するとともに密着層A3をオーバーエッチングさせて密着層A3の縁を配線層44、54の縁よりも引っ込めて密着層43、53をパターニングする。ついで、剥離液に浸漬してモールド部A2を剥離させる。
【0054】
この後、第1の製造方法の図5(b)〜(d)と同様の工程を経て、等方性エッチングにより基板A1の上面にリセスA7を形成し(図7(b))、基板A1を異方性エッチングして固定接点基板41と可動接点基板51に分割し(図7(c))、配線層44、54の端面49、59をエッチバックさせ(図7(d))、スイッチ31を作製する。
【0055】
このような方法でも、固定接点46及び可動接点56はモールド部A2をマスクとして接点層A5をエッチングすることにより形成されるので、固定接点46及び可動接点56を平滑に、かつ、互いに平行となるように形成することができる。また、固定接点46と可動接点56との接点間距離も高精度で寸法出しすることができる。
【0056】
(第3の製造方法)
また、スイッチ31は、図4(a)〜(d)及び図8(a)〜(d)に示すような工程で作製することもできる。第3の製造方法でも、始めに図4(a)〜(d)の工程により、基板A1の上面に密着層A3を形成し、配線パターン部48、58を形成しようとする領域以外の領域にモールド部A2を設け、配線パターン部48、58を形成しようとする領域において密着層A3の上に配線層A4と接点層A5を積層した後、モールド部A2を剥離液で剥離させる。この図4(a)〜(d)の工程については、すでに説明しているので省略する。
【0057】
第3の製造方法では、図4(a)〜(d)の工程により密着層A3の上に配線層44、54と接点層45、55を形成した後、図8(a)のように、接点層45、55及び基板A1が耐性を有するエッチング液を用いて密着層A3を選択的にエッチングする。その結果、密着層A3の接点層45、55から露出した領域が除去されるとともに密着層A3がオーバーエッチングされて密着層A3の縁が配線層44、54の縁よりも引っ込められる。
【0058】
この後、接点層45と接点層55の中間の領域A6において、接点層45、55をマスクとして上面側から基板A1を異方性エッチングし、図8(b)のように基板A1を固定接点基板41と可動接点基板51に分割する。異方性エッチングの方法としては、たとえば六フッ化硫黄をガス種としてDRIEを行う。異方性エッチングを行う方法としては、これ以外にもイオンミリングや、KOH水溶液、TMAH液を用いてウェットエッチングする方法などもある。
【0059】
ついで、接点層45、55をマスクとして固定接点基板41及び可動接点基板51を上方から等方性エッチングし、図8(c)に示すように、固定接点基板41と可動接点基板51の上面角部にリセスA7を形成する。このとき、接点層45、55、配線層44、54及び密着層43、53が耐食性を有するエッチング方法を用い、基板A1の上面が密着層43、53間の開口幅よりも広い幅でエッチングされるように基板A1をオーバーエッチングする。固定接点基板41及び可動接点基板51を等方性エッチングする方法としては、たとえば六フッ化硫黄とパーフルオロシクロブタンをガス種としてRIEを行う。等方性エッチングを行う方法としては、これ以外にもガス種としてキセノンガスを用いてドライエッチングする方法や、フッ硝酸液を用いてウェットエッチングする方法などもある。
【0060】
さらに、配線層44、54の端面をエッチング(エッチバック)し、図8(d)のように配線層44、54の端面49、59を傾斜させる。なお、図5(d)では、配線層44、54の上面の端は固定接点46及び可動接点56に揃っているが、固定接点46及び可動接点56から引っ込んでいてもよい。また、配線層44、54の端面49、59をエッチバックさせる際には、同時に固定接点基板41及び可動接点基板51をさらにエッチングして、固定接点基板41の端面を密着層43の端面から引っ込めるとともに、可動接点基板51の端面を密着層53の端面から引っ込めることが望ましい。
【0061】
[第2の実施形態]
(構造)
図9は、本発明の実施形態2によるスイッチ31Aの構造を示す断面図である。このスイッチ31Aでは、固定接点基板41の上面に形成された密着層43の上に直接に接点層45を形成して固定接点部33を形成してあり、可動接点基板51の上面に形成された密着層53の上に直接に接点層55を形成して可動接点部34を構成している。接点層45、55の互いに対向する端面が固定接点46及び可動接点56となっている点は実施形態1と同じである。したがって、実施形態1のスイッチ31と比較すると、スイッチ31Aには配線層44、54が存在せず、配線パターン部48は密着層43と接点層45の2層構造となり、配線パターン部58も密着層53と接点層55の2層構造となっており、接点層45、55が接点どうしを接触させる機能と信号を伝送する機能(配線層の機能)とを兼ねている。
【0062】
(第1の製造方法)
図10(a)〜(d)及び図11(a)〜(c)は、スイッチ31Aの製造工程の一例を表している。
【0063】
図10(a)は、Siからなる基板A1の上面に蒸着、スパッタリング等の方法によって密着層A3を形成した状態を示す。密着層A3は、下層を密着性の高い材料、例えばCr、Ti等の材料を用い、さらにその上に低抵抗材料、例えばAu、Cu、Al等の材料を形成する。基板A1の上面に密着層A3を形成した後、密着層A3の上面にフォトレジストを塗布し、フォトレジストをフォトリソグラフィ技術でパターニングし、図10(b)に示すように密着層A3の上面において配線パターン部48、58を形成しようとする領域以外の領域にモールド部A2を設ける。
【0064】
ついで、図10(c)に示すように、蒸着やスパッタリング、電解メッキなどの方法により密着層A3の上に接点層の材料を堆積させ、配線パターン部48及び58形成しようとする領域に接点層A5を積層する。
【0065】
この後、モールド部A2を除去すると、図10(d)に示すように、配線パターン部48及び58形成しようとする領域に接点層45、55が形成される。この結果、モールド部A2に接していた接点層45、55の端面が平滑に、かつ、互いに平行に形成され、それぞれ固定接点46と可動接点56になる。
【0066】
ついで、接点層45、55及び基板A1が耐性を有するエッチング液を用いて密着層A3を選択的にエッチングし、図11(a)に示すように、密着層A3の接点層45、55から露出した領域を除去するとともに密着層A3をオーバーエッチングさせて密着層A3の縁を接点層45、55の縁よりも引っ込めて密着層43、53をパターニングする。
【0067】
この後、接点層45と接点層55の中間の領域A6において、接点層45、55をマスクとして基板A1を等方性エッチングする。このとき、図11(b)に示すように、接点層45、55と密着層43、53が耐性を有するエッチング方法を用い、基板A1の上面が密着層43、53間の開口幅よりも広い幅でエッチングされるように基板A1をオーバーエッチングし、基板A1の上面にリセスA7を設ける。基板A1を等方性エッチングする方法としては、たとえば六フッ化硫黄とパーフルオロシクロブタンをガス種としてRIEを行う(例えば、圧力10〜100Pa、高周波電力50〜200Wの条件で行う)。等方性エッチングを行う方法としては、これ以外にもガス種としてキセノンガスを用いてドライエッチングする方法や、フッ硝酸液を用いてウェットエッチングする方法などもある。
【0068】
こうして図11(b)のように基板A1の上面にリセスA7が形成されたら、接点層45、55をマスクとしてさらに基板A1をリセスA7側から異方性エッチングし、図11(c)のように異方性エッチングにより基板A1を固定接点基板41と可動接点基板51に分割するとともに、固定接点基板41の端面と可動接点基板51の端面がそれぞれ密着層43、53の端よりも引っ込むまでエッチングする。異方性エッチングの方法としては、たとえば六フッ化硫黄をガス種としてDRIEを行う(例えば、圧力3〜10Pa、高周波電力200〜800Wの条件で行う)。異方性エッチングを行う方法としては、これ以外にもイオンミリングや、KOH水溶液、TMAH液を用いてウェットエッチングする方法などもある。また、異方性エッチング後の固定接点基板41と可動接点基板51の距離(あるいは、固定接点基板41、可動接点基板51の端面を後退させる程度)は、図11(b)のリセスA7の幅によって制御することができる。
【0069】
こうして一方のブロックは、固定接点基板41、密着層43及び接点層45が積層した固定接点部33となる。この固定接点部33は絶縁膜42を介してベース基板32の上面に固定されている。また、他方のブロックは、可動接点基板51、密着層53及び接点層55が積層した可動接点部34となる。この可動接点部34は、最後に下面の絶縁膜をエッチング除去することによりベース基板32から分離される。こうしてスイッチ31A(MEMSスイッチ)が製作される。
【0070】
こうして作製されるスイッチ31Aにあっても、固定接点46及び可動接点56となる面は、モールド部A2の両側面により成形されるので、接点層45、55の表面に比べて平滑に形成することができ、また、平行度も向上する。よって、両接点46、56どうしを確実に接触させることができ、接点間の接触抵抗を小さくできる。また、両接点46、56の接触面を平滑にすることができるので、接点どうしが近接したときに放電しにくく、固定接点46と可動接点56の溶着が起こりにくくなり、スイッチ31Aの開閉寿命が増す。
【0071】
さらに、このような製造方法によれば、モールド部A2の幅によって固定接点46と可動接点56の距離をバラツキなく高精度で作製することができ、また上記のように接点間で放電も発生しにくくなるので、固定接点46と可動接点56の間の距離を狭小化することが可能になり、アクチュエータを低電圧で駆動して接点間を開閉することができる。
【0072】
(第2の製造方法)
また、スイッチ31Aは、図12(a)〜(d)及び図13(a)〜(c)に示すような工程で作製することもできる。以下、この第2の製造方法を説明する。
【0073】
まず、図12(a)に示すように、Siからなる基板A1の上面に蒸着、スパッタリング等の方法によって密着層A3を成膜し、その上面に接点層A5を形成する。
【0074】
ついで、接点層A5の上にフォトレジストを塗布してパターニングし、図12(b)のように配線パターン部48及び58を形成しようとする領域にモールド部A2を形成する。モールド部A2がパターニングされたら、図12(c)に示すように、そのモールド部A2をマスクとして接点層A5の露出領域を選択的にエッチングし、接点層45、55をパターニングするとともに接点層45、55の端面にそれぞれ固定接点46と可動接点56を形成する。
【0075】
さらに、接点層45、55及び基板A1が耐性を有するエッチング液を用いて密着層A3を選択的にエッチングし、図12(d)に示すように、密着層A3の接点層45、55から露出した領域を除去するとともに密着層A3をオーバーエッチングさせて密着層A3の縁を接点層45、55の縁よりも引っ込めて密着層43、53をパターニングする。
【0076】
この後、接点層45と接点層55の中間の領域A6において、モールド部A2をマスクとして基板A1を等方性エッチングする。このとき、図13(a)に示すように、接点層45、55と密着層43、53が耐性を有するエッチング方法を用い、基板A1の上面が密着層43、53間の開口幅よりも広い幅でエッチングされるように基板A1をオーバーエッチングし、基板A1の上面にリセスA7を設ける。
【0077】
こうして図13(a)のように基板A1の上面にリセスA7が形成されたら、モールド部A2をマスクとしてさらに基板A1をリセスA7側から異方性エッチングし、図13(b)のように異方性エッチングにより基板A1を固定接点基板41と可動接点基板51に分割するとともに、固定接点基板41の端面と可動接点基板51の端面をそれぞれ密着層43、53の端よりも引っ込める。
【0078】
この後、配線層44、54の上のモールド部A2を剥離液によって剥離させ、スイッチ31Aが製作される。
【0079】
こうして作製されるスイッチ31Aにあっては、固定接点46及び可動接点56となる面がエッチングにより成形されるので、接点層45、55の表面に比べて平滑に形成することができ、また、平行度も向上する。よって、両接点46、56どうしを確実に接触させることができ、接点間の接触抵抗を小さくできる。また、両接点46、56の接触面を平滑にすることができるので、接点どうしが近接したときに放電しにくく、固定接点46と可動接点56の溶着が起こりにくくなり、スイッチ31Aの開閉寿命が増す。また、固定接点46と可動接点56の間の距離を狭小化することが可能になり、アクチュエータを低電圧で駆動して接点間を開閉することが可能になる。
【0080】
なお、上記スイッチ31においては、固定接点46と可動接点56の双方が各基板41、51、密着層43、53、配線層44、54の端面から突出しており、また、スイッチ31Aにおいては、固定接点46と可動接点56の双方が各基板41、51、密着層43、53の端面から突出していたが、固定接点46と可動接点56のうちいずれか一方の接点だけが突出するようにし、他方の接点は基板や密着層などの端と揃っていても差し支えない。
【0081】
[第3の実施形態]
つぎに、本発明の実施形態3による高周波用の静電リレー31Bの構造を説明する。図14は、静電リレー31Bの構造を示す平面図である。図15は、図14のA部を拡大して示す斜視図、図16は、図14のB−B線に沿った概略断面図である。
【0082】
この静電リレー31Bは、Si基板やガラス基板等からなるベース基板32の上面に固定接点部33、可動接点部34、固定電極部35、可動接点部34を支持する可動電極部36、弾性バネ37、弾性バネ37を支持する支持部38を設けたものである。
【0083】
図16に示すように、固定接点部33は、Siからなる固定接点基板41の下面を絶縁膜42(SiO)によってベース基板32の上面に固定されている。図15に示すように、固定接点基板41の上面には、下層を密着性の高い材料(例えば、Cr、Ti等の材料)を用い、さらにその上に低抵抗材料(例えば、Au、Cu、Al等の材料)を形成した2層構造からなる密着層43a、43bが形成されており、密着層43a、43bの上にPt等の配線層44a、44bと接点層45a、45bが積層されている。
【0084】
また、図14及び図15に示すように、固定接点基板41はベース基板32の上面端部において幅方向(X方向)に延びており、中央部には可動接点部34側へ向けて突出した張出部41aが形成され、両端にそれぞれパッド支持部41b、41bが形成されている。配線パターン部48a、48bは固定接点基板41の上面に沿って配線されており、配線パターン部48a、48bの一方端部は張出部41aの上面で互いに平行に配置され、張出部41aの端面から突出した接点層45a、45bの先端面は同一平面内に位置していてそれぞれ固定接点46a、46b(電気的接触面)となっている。また、配線パターン部48a、48bの他方端部には、前記パッド支持部41b、41bの上面において金属パッド部47a、47bが形成されている。なお、配線パターン部48が図3のスイッチ31のように密着層43a、43b、配線層44a、44b及び接点層45a、45bの三層構造となっている場合には、接点層45a、45bは必ずしも配線パターン部48a、48bの全体に設ける必要はなく、少なくとも固定接点46及び可動接点56を含む張出部41aの近傍にあればよい。
【0085】
可動接点部34は張出部41aに対向する位置に設けられている。可動接点部34は、図15に示すように、Siからなる可動接点基板51の上面に下層Cr/上層Auからなる密着層53が形成されており、密着層53の上にPt等の配線層54と接点層55が積層されている。図16に示すように、接点層45a、45bと対向する接点層55の端面は、可動接点基板51の前面から突出し、しかも固定接点46a、46bと平行に形成されており、当該端面が可動接点56(電気的接触面)となっている。可動接点56は、固定接点46aの外側の縁から固定接点46bの外側の縁までの距離にほぼ等しい幅を有している。
【0086】
また、可動接点基板51は、可動電極部36から突出した支持梁57によって片持ち状に支持されている。可動接点基板51及び支持梁57の下面はベース基板32の上面から浮いており、可動電極部36とともにベース基板32の長さ方向(Y方向)と平行に移動できる。
【0087】
この静電リレー31Bにおいては、固定接点部33の金属パッド部47a、47bに主回路(図示せず)が接続され、可動接点56を固定接点46a、46bに接触させることによって主回路を閉じることができ、可動接点56を固定接点46a、46bから離間させることにより主回路を開くことができる。また、配線層44a、44b、54の端面はそれぞれ下方へ行くほど後退するように傾斜しており、また張出部41a及び可動接点基板51の端面もそれぞれ固定接点46a、46b及び可動接点56から引っ込んでいるので、接点間を閉じる際に配線層44a、44bと配線層54が接触したり、張出部41aと可動接点基板51が接触したりして可動接点56と固定接点46a、46bとが接触不良を起こすのを防いでいる。
【0088】
可動接点部34を動かすためのアクチュエータは、固定電極部35、可動電極部36、弾性バネ37及び支持部38によって構成されている。
【0089】
図14に示すように、ベース基板32の上面には複数本の固定電極部35が互いに平行に配置されている。固定電極部35は、平面視においては、矩形状のパッド部66の両面からY方向へ向けてそれぞれ枝状をした枝状電極部67が延出されている。枝状電極部67は、それぞれ左右対称となるように枝部68が突出しており、枝部68はY方向において一定ピッチで並んでいる。
【0090】
図16に示すように、固定電極部35においては、固定電極基板61の下面が絶縁膜62によってベース基板32の上面に固定されている。また、パッド部66において、固定電極基板61の上面にはCu、Al等によって固定電極63が形成されており、固定電極63の上に電極パッド層65が設けられている。
【0091】
図14に示すように、可動電極部36は、各固定電極部35を囲むように形成されている。可動電極部36には、各固定電極部35を両側から挟むようにして櫛歯状電極部74が形成されている(固定電極部35間においては、一対の櫛歯状電極部74によって枝状となっている)。櫛歯状電極部74は、各固定電極部35を中心として左右対称となっており、各櫛歯状電極部74からは枝部68間の空隙部へ向けて櫛歯部75が延出している。しかも、各櫛歯部75は、その櫛歯部75と隣接して可動接点部34に近い側に位置する枝部68との距離が、当該櫛歯部75と隣接して可動接点部34から遠い側に位置する枝部68との距離よりも短くなっている。
【0092】
可動電極部36は、Siの可動電極基板71からなり、可動電極基板71の下面はベース基板32の上面から浮いている。また、可動電極部36の可動接点側端面の中央には支持梁57が突設されていて支持梁57の先端に可動接点部34が保持されている。
【0093】
支持部38はSiからなり、ベース基板32の他方端部においてX方向に長く延びている。支持部38の下面は絶縁膜39によってベース基板32の上面に固定されている。支持部38の両端部と可動電極部36(可動電極基板71)とは、Siによって左右対称に形成された一対の弾性バネ37によってつながっており、可動電極部36は弾性バネ37を介して支持部38によって水平に支持されている。また、可動電極部36は弾性バネ37を弾性変形させることによってY方向に移動可能となっている。
【0094】
上記のような構造を有する静電リレー31Bにあっては、固定電極部35と可動電極部36の間に直流電圧源が接続され、制御回路等によって直流電圧がオン、オフされる。固定電極部35では、直流電圧源の一方端子は電極パッド層65に接続される。直流電圧源の他方端子は支持部38に接続される。支持部38及び弾性バネ37は導電性を有しており、支持部38、弾性バネ37及び可動電極部36は電気的に導通しているので、支持部38に印加した電圧は可動電極部36に加わることになる。
【0095】
直流電圧源によって固定電極部35と可動電極部36の間に直流電圧が印加されると、枝状電極部67の枝部68と櫛歯状電極部74の櫛歯部75との間に静電引力が発生する。しかし、固定電極部35及び可動電極部36の構造が、各固定電極部35の中心線に関して対称に形成されているので、可動電極部36に働くX方向の静電引力はバランスし、可動電極部36はX方向には移動しない。一方、各櫛歯部75と隣接して可動接点部34に近い側に位置する枝部68との距離が、当該櫛歯部75と隣接して可動接点部34から遠い側に位置する枝部68との距離よりも短くなっているので、各櫛歯部75が可動接点部側へ吸引され、弾性バネ37を撓ませながら可動電極部36がY方向に移動する。この結果、可動接点部34が固定接点部33側へ移動し、可動接点56が固定接点46a、46bに接触して固定接点46aと固定接点46bの間(主回路)を電気的に閉じる。
【0096】
また、固定電極部35と可動電極部36の間に印加していた直流電圧を解除すると、枝部68と櫛歯部75の間の静電引力が消失するので、弾性バネ37の弾性復帰力によって可動電極部36がY方向で後退し、可動接点56が固定接点46a、46bから離間して固定接点46aと固定接点46bの間(主回路)が開かれる。
【0097】
このような静電リレー31Bは、つぎのような工程で作製される。まず、表面全体を絶縁膜で覆われたベース基板32(Siウエハ、SOIウエハなど)の上面にSi基板(導電性を有する別なSiウエハ)を接合し、当該Si基板の上面に金属材料を蒸着させて電極膜を成膜する。ついで、この電極膜をフォトリソグラフィ技術によりパターニングし、電極膜によりパッド部66において固定電極基板61の上面に固定電極63を形成する。
【0098】
ついで、電極膜の上からSi基板の上面に密着層を形成し、その上に配線層と接点層を積層する。ついで、接点層、配線層及び密着層をパターニングして固定接点部33の配線パターン部48と可動接点部34の配線パターン部58を形成する。また、パッド部66において固定電極63の上に電極パッド層65を形成する。
【0099】
この後、フォトレジストなどをエッチング用マスクとしてSi基板をエッチングし、各領域に残ったSi基板により固定接点部33の固定接点基板41、可動接点部34の可動接点基板51、固定電極部35の固定電極基板61、可動電極部36の可動電極基板71、弾性バネ37、支持部38を作製する。
【0100】
最後に、Si基板から露出している領域の絶縁膜と可動接点部34及び可動電極部36の下面の絶縁膜をエッチングによって除去し、個々の静電リレー31Bにカッティングする。
【0101】
可動接点部34と固定電極部35はこのような静電リレー31Bの製造工程において、例えば実施形態1のスイッチ31に関連して説明した工程と同様な工程で作製されるので、固定接点部33の固定接点46a、46bと可動接点部34の可動接点56は、接点層の成長方向と平行な側面となり、研磨などを行うことなく、平滑性と平行性の良好な接点を得ることができる。よって、この静電リレー31Bにおいても、実施形態1のスイッチ31と同様な作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0102】
31、31A スイッチ
31B 静電リレー
32 ベース基板
33 固定接点部
34 可動接点部
35 固定電極部
36 可動電極部
37 弾性バネ
41 固定接点基板
51 可動接点基板
43、53 密着層
44、44a、44b、54 配線層
45、45a、45b、55 接点層
46、46a、46b 固定接点
56 可動接点
63 固定電極
67 枝状電極部
74 櫛歯状電極部
A1 基板
A2 モールド部
A3 密着層
A4 配線層
A5 接点層
A7 リセス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基板の上方に第1の接点層を含む複数の層を形成された第1の接点部と、第2の基板の上方に第2の接点層を含む複数の層を形成された第2の接点部とを備え、
前記第1の接点層における、当該接点層の成膜時における成長方向に平行な端面を第1の接点部の接点とし、
前記第2の接点層における、当該接点層の成膜時における成長方向に平行な端面を第2の接点部の接点とし、
前記第1の接点部と前記第2の接点部のうち少なくとも一方の接点部において、当該接点部の接点が、当該接点部における接点層以外の層及び当該接点部の基板のそれぞれの端面よりも突出し、
前記第1の接点部の接点と前記第2の接点部の接点とを対向させて両接点を互いに接触又は離間させるようにしたことを特徴とするスイッチ。
【請求項2】
前記第1及び第2の接点層は、貴金属、合金、導電性を有するSi系材料又は導電性酸化物のうちのいずれかの材料によって形成されていることを特徴とする、請求項1に記載のスイッチ。
【請求項3】
前記第1の接点部は、前記第1の基板の上方に第1の配線層を形成され、前記第1の配線層の上面に前記第1の接点層を形成され、
前記第2の接点部は、前記第2の基板の上方に第2の配線層を形成され、前記第2の配線層の上面に前記第2の接点層を形成されていることを特徴とする、請求項1に記載のスイッチ。
【請求項4】
接点が接点層以外の層及び基板のそれぞれの端面よりも突出した前記少なくとも一方の接点部においては、当該接点部の配線層の端面は、当該接点部の接点層と接する側の縁から当該接点部の基板に近くなる方向に向けてしだいに引っ込んだ傾斜面となっていることを特徴とする、請求項3に記載のスイッチ。
【請求項5】
前記第1及び第2の配線層は、貴金属、合金、導電性を有するSi系材料又は導電性酸化物のうちのいずれかの材料によって形成されていることを特徴とする、請求項3に記載のスイッチ。
【請求項6】
基板の上方において接点層を含む複数の層を前記基板の厚み方向で成長させることにより前記基板の上方に接点層を含む複数の層を形成し、その最上面に所定パターンのモールド部を形成する工程と、
前記モールド部をマスクとして前記接点層を含む複数の層をエッチングすることにより前記接点層を含む複数の層を複数領域に分割するとともに、前記接点層のエッチングされた面によって接点となる面を形成する工程と、
前記接点層を含む複数層の分割された領域間において前記基板の表面を等方性エッチングして前記基板の表面にリセスを形成する工程と、
前記接点層を含む複数層の分割された領域間において前記基板を異方性エッチングすることにより、前記接点層を含む複数層の分割された領域に合わせて前記基板を複数に分割する工程と、
前記分割された領域のうち少なくとも1つの領域において、前記接点層以外の層をエッチングすることによって前記接点層以外の層の端面を前記接点層の接点となる面よりも後退させる工程と、
を備えたことを特徴とするスイッチの製造方法。
【請求項7】
基板の上方に所定パターンのモールド部を形成し、
前記基板の上方において前記モールド部の形成されている領域を除く複数領域で接点層を含む複数の層を前記基板の厚み方向で成長させることにより前記基板の上方に前記接点層を含む複数の層を形成する工程と、
前記モールド部を除去し、前記接点層の前記モールド部側面に接していた面によって接点となる面を形成する工程と、
前記接点層を含む複数層の分離された領域間において前記基板の表面を等方性エッチングして前記基板の表面にリセスを形成する工程と、
前記接点層を含む複数層の分離された領域間において前記基板を異方性エッチングすることにより、前記接点層を含む複数層の分離された領域に合わせて前記基板を複数に分割する工程と、
前記分離された領域のうち少なくとも1つの領域において、前記接点層以外の層をエッチングすることによって前記接点層以外の層の端面を前記接点層の接点となる面よりも後退させる工程と、
を備えたことを特徴とするスイッチの製造方法。
【請求項8】
前記接点層は、蒸着、スパッタリング、MBE、CVD、メッキ、スプレー法、ゾルゲル法、インクジェット法又はスクリーン印刷などの堆積法によって形成されることを特徴とする、請求項6又は7に記載のスイッチの製造方法。
【請求項9】
前記接点層を含む複数の層は、前記基板の上方に形成された配線層の上面に接点層を形成されたものであることを特徴とする、請求項6又は7に記載のスイッチの製造方法。
【請求項10】
前記接点層以外の層の端面を前記接点層の接点となる面よりも後退させる前記工程においては、前記配線層の端面を前記接点層側から前記基板に向かうに従って大きく後退するように傾斜させることを特徴とする、請求項9に記載のスイッチの製造方法。
【請求項11】
前記配線層は、蒸着、スパッタリング、MBE、CVD、メッキ、スプレー法、ゾルゲル法、インクジェット法又はスクリーン印刷などの堆積法によって形成されることを特徴とする、請求項9に記載のスイッチの製造方法。
【請求項12】
請求項1に記載したスイッチと、前記第1の接点部と前記第2の接点部のうち少なくとも一方の接点部を前記第1の接点部と前記第2の接点部の接点どうしの接触面に垂直な方向へ移動させて前記接点どうしを接触又は離間させるためのアクチュエータとを備えたことを特徴とするリレー。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate