説明

スイッチ装置および車両用ドアのアウトハンドル装置

【課題】スイッチ収納ケースと、スイッチ収納ケース内に固定配置されるホルダと、ホルダ内に収容、固定されるスイッチと、スイッチに押圧力を作用せしめることを可能としたスイッチボタンとを備えるスイッチ装置において、2種類のスイッチボタンにそれらのスイッチボタン以外の部品の変更なく対応可能とする。
【解決手段】スイッチ16を覆う蓋部60aと、該蓋部60aの周縁部に連なる筒部60bとを一体に有する中間キャップ60がホルダ51に取付けられ、第1のスイッチボタン66から蓋部60aへの押圧力の作用に応じて筒部60bを変形させるための第1変形部62が筒部60bに設けられ、第2のスイッチボタンから蓋部60aの中央部への押圧力の作用に応じて蓋部60aの中央部を変形させるための第2変形部63が蓋部60aに設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押圧操作でオンオフするスイッチ装置、ならびにそのスイッチ装置が配設される車両用ドアのアウトハンドル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スイッチ装置の構成として、開口部を有する収納ケースと、少なくとも前記開口部側の一端を開放した筒状のホルダ主部を有するとともに前記開口部に対応した位置で前記スイッチ収納ケース内に固定配置されるホルダと、被押圧部を有するとともに被押圧部に押圧力が作用するのに応じてスイッチング態様を変化させるようにして前記ホルダの前記ホルダ主部内に収容、固定されるスイッチと、前記開口部内に配置される押圧操作部を有するとともに該押圧操作部の操作に応じて前記スイッチに押圧力を作用せしめるように作動することを可能としつつ前記ホルダ主部の一端部を覆うように配置されるスイッチボタンとを備えるものがある。またスイッチを収容するスイッチケースが車両用ドアのアウトハンドル内に固定配置され、前記スイッチを覆うスイッチキャップがスイッチケースに取付けられ、スイッチキャップを介して前記スイッチに押圧力を作用せしめるようにしたスイッチボタンが、前記アウトハンドルに支持されるようにしたスイッチ装置が、特許文献1で知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4211471号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1で開示されたスイッチ装置は、外周縁部がアウトハンドルに固定的に支持されるゴム材製のスイッチボタンの中央部が、押圧操作力の作用でスイッチ側に撓み、スイッチボタンからの押圧力がスイッチキャップを介してスイッチに作用するように構成されている。一方、デザイン上の観点から、ゴム製のスイッチボタンに代えて、硬質の合成樹脂によって形成されるスイッチボタンを用いたいこともあり、その場合、押圧操作力が作用したときにスイッチボタン全体が移動してスイッチに押圧力を及ぼすことになる。このように作動態様が異なる2種類のスイッチボタンの使い分けを行う際に、スイッチボタン以外の他の部品を変化させることなく対応できれば、2種類のスイッチボタンの選択が容易となり、意匠性の向上を図ることができるであろう。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、2種類のスイッチボタンにそれらのスイッチボタン以外の部品の変更なく対応し得るようにしたスイッチ装置、ならびにそのスイッチ装置が用いられる車両用ドアのアウトハンドル装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、開口部を有するスイッチ収納ケースと、少なくとも前記開口部側の一端を開放した筒状のホルダ主部を有するとともに前記開口部に対応した位置で前記スイッチ収納ケース内に固定配置されるホルダと、被押圧部を有するとともに被押圧部に押圧力が作用するのに応じてスイッチング態様を変化させるようにして前記ホルダの前記ホルダ主部内に収容、固定されるスイッチと、前記開口部内に配置される押圧操作部を有するとともに該押圧操作部の操作に応じて前記スイッチに押圧力を作用せしめるように作動することを可能としつつ前記ホルダ主部の一端部を覆うように配置されるスイッチボタンとを備えるスイッチ装置において、前記ホルダが、前記ホルダ主部の一端部を前記開口部の周縁部内面に対向させて前記スイッチ収納ケース内に固定され、前記被押圧部に押圧力を作用せしめることを可能として前記スイッチを覆う蓋部と、該蓋部の周縁部に連なる筒部とを一体に有した弾性材料製の中間キャップが前記ホルダ主部の一端を閉じるようにして前記ホルダに取付けられ、前記ホルダ主部の一端部および前記開口部の周縁部内面間で移動することを可能とした第1の鍔部を前記ホルダ側の端部外周に有する第1のスイッチボタンから前記蓋部への押圧力の作用に応じて前記蓋部の全体で前記スイッチを押すように前記筒部を変形させるための第1変形部が前記筒部に設けられ、前記ホルダ主部の一端部および前記開口部の周縁部内面間で挟持される第2の鍔部を前記ホルダ側の端部外周に有する第2のスイッチボタンから前記蓋部の中央部への押圧力の作用に応じて前記蓋部の中央部で前記スイッチを押すように該蓋部の中央部を変形させるための第2変形部が前記蓋部に設けられることを第1の特徴とする。
【0007】
また本発明は、第1の特徴の構成に加えて、合成樹脂から成る前記中間キャップの前記蓋部とは反対側の端部が、合成樹脂から成る前記ホルダが備える前記ホルダ主部の一端部に、相互に凹凸係合するようにしてインサート結合されることを第2の特徴とする。
【0008】
本発明は、第2の特徴の構成に加えて、前記中間キャップおよび前記ホルダが、水素結合で密着することを可能とした材料の組み合わせで形成されることを第3の特徴とする。
【0009】
さらに本発明は、第1〜第3の特徴の構成のいずれかのスイッチ装置でドアの施錠および解錠の少なくとも一方を行うようにした車両用ドアのアウトハンドル装置において、前記ドアの一部を構成するアウターパネルの外方に配置されて長尺に形成される把持部を有する操作ハンドル、ならびに該操作ハンドルの端部に対応して前記アウターパネルに取付けられるベース部材のいずれかを前記スイッチ収納ケースとして、前記スイッチ装置が構成されることを第4の特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の第1の特徴によれば、スイッチを収納、固定する筒状のホルダ主部を有するホルダが、スイッチ収納ケースに設けられる開口部の周縁部内面にホルダ主部の一端部を対向させてスイッチ収納ケース内に固定され、スイッチを覆う蓋部ならびに該蓋部の周縁部に連なる筒部を一体に有した弾性材料製の中間キャップがホルダに取付けられ、第1のスイッチボタンが有する第1の鍔部がホルダ主部の一端部および開口部の周縁部内面間で移動可能であり、第2のスイッチボタンが有する第2の鍔部がホルダ主部の一端部および前記開口部の周縁部内面間に挟持され、押圧操作部への押圧操作に応じて全体が移動する第1のスイッチボタンから蓋部への押圧力の作用に応じて蓋部の全体でスイッチを押すように筒部を変形させるための第1変形部が筒部に設けられ、押圧操作に応じて第2のスイッチボタンの押圧操作部から蓋部の中央部に押圧力が作用するのに応じて蓋部の中央部でスイッチを押すように該蓋部の中央部を変形させるための第2変形部が蓋部に設けられるので、押圧操作に応じて全体が移動する第1のスイッチボタンならびに押圧操作に応じて押圧操作部だけが撓む第2のスイッチボタンの2種類のスイッチボタンに、それらのスイッチボタン以外の部品の変更なく対応することを可能とし、意匠性の向上を図ることができる。
【0011】
また本発明の第2の特徴によれば、中間キャップの蓋部とは反対側の端部がホルダが備えるホルダ主部の一端部にインサート結合され、中間キャップおよびホルダ主部が相互に凹凸係合するので、中間キャップおよびホルダ主部の結合部に隙間が万一生じたとしても、その隙間がラビリンス形状となることによってホルダ内のスイッチ側へのホルダの外側からの水の浸入を抑制することができる。
【0012】
本発明の第3の特徴によれば、中間キャップおよびホルダが水素結合で密着するので、ホルダ内への水の浸入をより確実に防止することができる。
【0013】
さらに本発明の第4の特徴によれば、操作ハンドル、ならびに操作ハンドルの端部に対応してアウターパネルに取付けられるベース部材のいずれかをスイッチ収納ケースとしてスイッチ装置が構成されるので、車両用ドアのアウトハンドル装置に本発明のスイッチ装置を適切に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1の実施の形態の乗用車両の斜視図である。
【図2】図1の要部を拡大して示す側面図である。
【図3】図2の3−3線断面図である。
【図4】図2の4−4線拡大断面図である。
【図5】第1のスイッチボタンを押圧操作した状態での図6に対応した断面図である。
【図6】第1のスイッチボタンに代わる第2のスイッチボタンの非押圧操作状態での図4に対応した断面図である。
【図7】第2のスイッチボタンを押圧操作した状態での図5に対応した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図1〜図7を参照しながら説明すると、先ず図1において、この乗用車両が備えるドアDたとえば前部サイドドアの一端部(前端部)は車体Bで回動可能に支承されており、前記ドアDの前部にはドアミラー11が配設される。また前記ドアDの他端側すなわち後端側にはアウトハンドル装置12が取付けられる。
【0016】
図2および図3を併せて参照して、前記アウトハンドル装置12は、操作ハンドル13と、該操作ハンドル13の一端部を回動可能に支承するようにして前記ドアDに取付けられる支持部材14と、前記操作ハンドル13の他端部に対応して前記ドアDに取付けられる合成樹脂製のベース部材15と、前記ドアDの施錠および解錠意志の少なくとも一方を示すための車両ユーザの操作によってオンオフするスイッチ16を支持するようにして前記ベース部材15に取付けられるスイッチ支持部材17とを備える。
【0017】
前記操作ハンドル13は、前記ドアDの一部を構成するアウターパネル18に回動可能に支承されるものであり、車両ユーザが把持することを可能としつつ車両の前後方向(図2の左右方向)に延びて長尺に形成されるとともに前記アウターパネル18の外方に配置される把持部13aと、該把持部13aの一端部(この実施の形態では車両の前後方向に沿う前端部)に一体に連設される支持腕部13bと、前記把持部13aの他端部(この実施の形態では車両の前後方向に沿う後端部)に一体に連設されるガイド腕部13cとを有して、硬質の合成樹脂によって形成される。
【0018】
また前記操作ハンドル13の一端側で前記アウターパネル18には硬質の合成樹脂から成る支持部材14が取付けられ、前記操作ハンドル13の他端側で前記アウターパネル18には硬質の合成樹脂から成るベース部材15が取付けられる。
【0019】
前記アウターパネル18には、前記操作ハンドル13の把持部13aおよび前記アウターパネル18間に車両ユーザの手を挿入することを可能とするための窪み19を形成するための彎曲部18aが内方側に膨らむようにして設けられ、その彎曲部18aを車両の前後方向に沿う前後両側から挟む位置でアウターパネル18の外面には、第1および第2取付け座21,22が設けられる。
【0020】
支持部材14と、第1取付け座21との間には合成樹脂から成る薄板平板状の第1シール部材23が介装される。しかも支持部材14には、第1シール部材23およびアウターパネル18を貫通してアウターパネル18の内方に挿入されるハンドル支持部14aが一体に設けられる。また支持部材14の前記アウターパネル18に臨む面には金属製の第1ナット24が埋設されており、アウターパネル18に内方側から挿通される第1ボルト25を第1ナット24に螺合して締めつけることによって支持部材14がアウターパネル18の第1取付け座21に取付けられる。
【0021】
前記支持腕部13bは、略L字状に屈曲するように形成されて前記把持部13aの一端部に一体に連設されており、前記アウターパネル18の第1取付け座21および支持部材14には、前記支持腕部13bをアウターパネル18の内方に挿入するための第1透孔26が設けられ、前記ハンドル支持部14a内に配置される前記支持腕部13bは、支持ピン27を介して前記ハンドル支持部14aに回動可能に支承される。すなわち操作ハンドル13の一端部は、支持部材14を介してアウターパネル18に回動可能に支承されている。
【0022】
前記ベース部材15は硬質の合成樹脂により形成されるものであり、アウターパネル18における第2取付け座22の外方に配置されるベース部材主部15aと、前記操作ハンドル13における把持部13aの他端部に略直角に連設される前記ガイド腕部13cをガイドするようにして前記ベース部材主部15aの前部からアウターパネル18の内方に延出されるガイド部15bと、前記ベース部材主部15aの後部からアウターパネル18の内方に延出される被取付け部15cとを一体に有し、ベース部材主部15aの少なくとも周縁部および第2取付け座22間にゴムもしくは合成樹脂等の弾性材から成る薄板平板状の第2シール部材28が介装される。
【0023】
ベース部材15におけるベース部材主部15aの前記窪み19側の端部すなわち前端部には、前記把持部13aの他端部を受け入れるための受け入れ凹部29が設けられる。而して前記ベース部材主部15aは、前記受け入れ凹部29に前記把持部13aの他端部を受け入れた状態で、把持部13aおよびベース部材主部15aの一体感が得られるような形状を有するように形成されるものであり、ベース部材主部15aの受け入れ凹部29には前記ガイド腕部13cを挿入せしめる矩形状の挿入孔30が設けられ、前記ガイド部15bは前記挿入孔30に連なって角筒状に形成される。
【0024】
前記被取付け部15cは、前記ドアDの他端側すなわち後端側の端壁38に取付けられるものであり、この被取付け部15cには、車両の後方に向かうにつれてアウターパネル18から遠ざかるように傾斜した軸線を有して前記アウターパネル18と斜めに交差する方向に延びる有底の取付け孔33が設けられ、第2ナット31が前記取付け孔33の開口端部に圧入によって固定される。
【0025】
一方、前記ドアDの後端側の端壁38には、前記被取付け部15cに対応する部分で前方側に凹んだ凹部39が設けられており、その凹部39は、前記被取付け部15cの先端すなわち第2ナット31に当接する支持板部39aを閉塞端に有するように形成される。而して前記支持板部39aには、第2ナット31に対応した挿通孔40が設けられており、前記支持板部39aにワッシャ41を介して係合する拡径頭部42aを有する第2ボルト42が前記挿通孔40に挿通され、この第2ボルト42を第2ナット31に螺合して締め付けることによって前記ベース部材15が前記ドアDに取付けられる。
【0026】
前記操作ハンドル13が一体に備えるガイド腕部13cは、前記アウターパネル18に対して略直交する方向への移動を可能として、ベース部材15の前記挿入孔30からガイド部15b内に挿入される。一方、ベース部材15には、前記操作ハンドル13の回動軸線に直交する軸線まわり回動自在なレバー43が回動自在に支承され、このレバー43の一端部は、前記操作ハンドル13のガイド腕部13cに設けられて該ガイド腕部13cの左右両側に開口する開口部44内に挿入される。また前記ガイド腕部13cの先端側で前記開口部44の一側壁に形成されて外方側に臨む当接面45がガイド腕部13cに形成されており、ナイロン等の摩擦係数の低い合成樹脂で形成されて前記レバー43の一端部に装着されるレバーカバー46が前記開口部44内で前記当接面45に当接される。
【0027】
また前記レバー43と前記ベース部材15との間には、前記当接面45にレバーカバー46を当接させたレバー43を非作動位置側に付勢する戻しばね(図示せず)が設けられており、操作ハンドル13は、その戻しばねで開位置側にばね付勢されることになる。
【0028】
前記ベース部材15の被取付け部15cには、該被取付け部15cに設けられた有底の前記取付け孔33の内端閉塞部に一端を開口させて前記取付け孔33の軸線に沿う方向に延びるたとえば一対の係合孔47…が、その他端を前記被取付け部15cの外周に開口するようにして設けられ、前記スイッチ支持部材17には、前記係合孔66…の他端部にそれぞれ係合する一対の係合突起17aが一体に設けられる。また前記スイッチ支持部材17に関して前記被取付け部15cとは反対側で前記ベース部材15のベース部材主部15aには取付けボス48が一体に突設されており、前記スイッチ支持部材17にその外側方に張り出すようにして一体に設けられる支持突部17bが前記取付けボス48にねじ部材49によって締結される。すなわち前記係合突起17a…を前記係合孔47…に係合させた状態の前記スイッチ支持部材17がねじ部材49で前記ベース部材15に締結され、前記スイッチ支持部材17は、前記ガイド部15bおよび前記被取付け部15c間で前記ベース部材15の内面側に固定されることになる。
【0029】
図4を併せて参照して、前記ベース部材15はスイッチ収納ケースとしての機能を果たすものであり、前記スイッチ支持部材17に対応する部分で前記ベース部材15のベース部材主部15aには、円形の開口部50が設けられる。また少なくとも前記開口部50側の一端を開放した筒状のホルダ主部51a、この実施の形態では両端を開放した円筒状のホルダ主部51aを有して前記ベース部材15のベース部材主部15a内に配置されるホルダ51が、前記開口部50に対応した位置で前記スイッチ支持部材17を介して前記ベース部材主部15aに固定される。
【0030】
前記ホルダ51は、前記ホルダ主部51aと、該ホルダ主部51aの軸方向中間部内面から半径方向内方に突出する内向き鍔部51bとを一体に有するものであり、前記スイッチ16は、前記内向き鍔部51bの周縁部に前記開口部50とは反対側から外周部を当接させる円板状の基板52に固定され、前記ホルダ主部51aの内面の周方向複数箇所には、前記基板52の外周部の周方向複数箇所を前記内向き鍔部51bの内周部との間に挟む仮止め用突起51c…が一体に突設される。しかも前記基板52の外周部の周方向複数箇所が前記内向き鍔部51bの内周部および前記仮止め用突起51c…間に挟まれた仮止め状態で、前記ホルダ主部51a内にその他端部側からポッティング剤53を充填することで前記基板52が前記ホルダ51のホルダ主部51a内に固定され、前記基板52とは反対側の端部中央に被押圧部16aを有するとともに被押圧部16aへの押圧力の作用に応じてスイッチング態様を変化させるようにして前記基板52に固定される前記スイッチ16も前記ホルダ主部51a内に収容、固定される。
【0031】
前記ホルダ主部51aは、剛性材料から成る円筒状の補強部材54に嵌合されており、この補強部材54が前記スイッチ支持部材17に圧入される。すなわち前記スイッチ支持部材17には、前記開口部50側の大径孔55と、その大径孔55よりも小径である小径孔56とが、大径孔55および小径孔56間に環状段部57を形成するようにして同軸に設けられており、前記補強部材54は、前記ホルダ主部51aの他端を前記環状段部57に当接させるようにして前記大径孔55に圧入され、前記補強部材54の前記開口部50側の端部には、前記大径孔55の前記小径孔56とは反対側の端部周縁に当接する鍔部54aが半径方向外方に張り出すようにして一体に設けられる。而して前記ホルダ51は、前記ホルダ主部51aの一端部を前記開口部50の周縁部内面に対向させて前記ベース部材15のベース部材主部15a内に固定されることになる。また前記基板52から延びる導線58…は前記小径孔56からスイッチ支持部材17の外方に引き出される。
【0032】
前記ホルダ51には、該ホルダ51における前記ホルダ主部15aの一端を閉じるようにして弾性材料から成る中間キャップ60が結合される。この中間キャップ60は、前記スイッチ16の前記被押圧部16aに押圧力を作用せしめることを可能として前記スイッチ16を覆う蓋部60aと、該蓋部60aの周縁部に一端が連なる円筒状の筒部60bと、該筒部60bの他端から半径方向外方に張り出す鍔部60cと、該鍔部60cの外周から前記蓋部60aとは反対側に突出する円筒状の外側筒部60dと、該外側筒部60dとの間に環状凹部61を形成するようにして前記鍔部60cの半径方向中間部から外側筒部60dと同一方向に突出する円筒状の内側筒部60eとを一体に有しており、前記内側筒部60eの前記鍔部60cからの突出量は前記外側筒部60dの前記鍔部60cからの突出量よりも大きく設定される。
【0033】
而して前記中間キャップ60は、その中間キャップ60の前記蓋部60aとは反対側の端部が前記ホルダ51の前記ホルダ主部51aの一端部にインサート結合されることで前記ホルダ51に取付けられるものであり、ホルダ51に結合された前記中間キャップ60に押圧操作力が作用していない状態では、前記蓋部60aはスイッチ16の被押圧部16aから図4で示すように離間した位置にある。
【0034】
前記中間キャップ60は、その蓋部60aとは反対側の端部に、鍔部60c、外側筒部60dおよび内側筒部60eを有しているので、中間キャップ60の蓋部60aとは反対側の端部をインサート結合するようにして前記ホルダ51を型成形する際に、前記ホルダ主部51aの一端側内周が前記外側筒部60dの外周で規定され、前記内向き鍔部51bの前記開口部50側の面および内周が前記外側筒部60dおよび前記内側筒部60eで規定され、前記外側筒部60dおよび前記内側筒部60e間の環状凹部61に入り込むようにして前記内向き鍔部51bの内周部から突出する環状突部51dが前記ホルダ51の型成形時に該ホルダ51に一体に形成される。
【0035】
すなわち中間キャップ60の前記蓋部60aとは反対側の端部は、前記ホルダ51が備える前記ホルダ主部51aの一端部に凹凸係合するようにしてインサート結合されることになる。
【0036】
しかも前記中間キャップ60および前記ホルダ51は、中間キャップ60およびホルダ51間の間隙からホルダ51内に水が浸入するのを防止するために、前記インサート結合に伴って水素結合で密着することを可能とした材料の組み合わせで形成されるものであり、この実施の形態においては、前記ホルダ51が、たとえばポリエチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系樹脂から成るのに対して、前記中間キャップ60は、熱可塑性ポリエステルエラストマー(エステルエーテル型)で形成される。而して前記インサート結合により、前記ホルダ51および前記中間キャップ60の境界面は、前記ホルダ51を構成する材料のC=O基と、前記中間キャップ60を構成する材料のOH基とが水素結合することで密着することになる。
【0037】
また前記ポッティング剤53および前記ホルダ51間の間隙からホルダ51内に水が浸入するのを防止するために、前記ポッティング剤53としては前記ホルダ51のホルダ主部51aに水素結合するものが選択されるものであり、この実施の形態で前記ポッティング剤53はウレタンである。
【0038】
前記中間キャップ60の筒部60bには、図4および図5で示す第1のスイッチボタン66から前記蓋部60aに押圧力が作用するのに応じて前記蓋部60aの全体で前記スイッチ16の被押圧部16aを押すように前記筒部60bを変形させるための第1変形部62が設けられ、前記蓋部60aには、図6および図7で示す第2のスイッチボタン67から前記蓋部60aの中央部に押圧力が作用するのに応じて前記蓋部60aの中央部で前記スイッチ16の被押圧部16aを押すように蓋部60aの中央部を変形させるための第2変形部63が設けられる。
【0039】
第1変形部62は、前記筒部60bの軸方向中間部を半径方向外方に突出させるようにして蛇腹状に形成される。また第2変形部63は、前記蓋部60aの中央部内面に形成される第1環状溝64と、第1環状溝64よりも大径にして前記蓋部60aの中央部外面に第1環状溝64と同軸に形成される第2環状溝65とで構成される。
【0040】
第1のスイッチボタン66は、前記ベース部材15の前記開口部50内に配置される押圧操作部66aを一端閉塞部に有した有底円筒部66bと、その有底円筒部66bの他端開口縁から半径方向外方に張り出す第1の鍔部66cとを一体に有し、硬質の合成樹脂によって形成される。しかも第1のスイッチボタン66が、前記ホルダ51側の端部外周に有する第1の鍔部66cは、前記ホルダ51における前記ホルダ主部51aの一端部および前記開口部50の周縁部内面間に配置されており、第1の鍔部66cは、前記ホルダ主部51aの一端部および前記開口部50の周縁部内面間で移動可能である。
【0041】
ところで第1のスイッチボタン66の押圧操作部66aの中央部内面は、前記中間キャップ60の蓋部60aの中央部に常時当接しており、中間キャップ60が発揮する弾発力によって第1のスイッチボタン66は、図4で示すように、第1の鍔部66cが前記開口部50の周縁部内面に当接する非操作位置側に付勢される。
【0042】
図5において、第1のスイッチボタン66の押圧操作部66aに押圧操作力を作用せしめると、第1の鍔部66cが前記ホルダ51におけるホルダ主部51aの一端に当接するまで第1のスイッチボタン66の全体が移動し、それによって第1変形部62が設けられた前記筒部60bが、押圧操作部66aに当接している蓋部60aの全体で前記スイッチ16の被押圧部16aを押すように変形する。
【0043】
図6において、第2のスイッチボタン67は、前記ベース部材15の前記開口部50内に配置される押圧操作部67aを一端閉塞部に有した有底円筒部67bと、その有底円筒部67bの他端開口縁から半径方向外方に張り出す第2の鍔部67cとを一体に有し、ゴム等の弾性材料によって形成される。しかも第2のスイッチボタン67が、前記ホルダ51側の端部外周に有する第2の鍔部67cは、前記ホルダ51における前記ホルダ主部51aの一端部および前記開口部50の周縁部内面間に挟持される。
【0044】
また第2のスイッチボタン67における前記押圧操作部67aの内面には、前記中間キャップ60における前記蓋部60aの中央部に常時当接する突部67dが一体に突設され、第2の鍔部67cが前記ホルダ主部51aの一端部および前記開口部50の周縁部内面間に挟持された状態で、押圧操作部67aに押圧操作力を加えることで押圧操作部67aが内方に撓むように変形するのを促すための環状溝68が押圧操作部67aを囲むようにして前記有底円筒部67bの一端閉塞部外面に設けられる。
【0045】
図7において、第2のスイッチボタン67の押圧操作部67aに押圧操作力を作用せしめると、第2のスイッチボタン67の前記押圧操作部67aだけが前記中間キャップ60における前記蓋部60aの中央部を前記突部67dで押すように変形し、それによって第2変形部63が設けられた前記蓋部60aの中央部が、前記スイッチ16の被押圧部16aを押すように変形することになる。
【0046】
次にこの実施の形態の作用について説明すると、スイッチ16を収納、固定する筒状のホルダ主部51aを有するホルダ51が、ベース部材15のベース部材主部15aに設けられる開口部50の周縁部内面にホルダ主部51aの一端部を対向させてベース部材15内に固定され、スイッチ16を覆う蓋部60aならびに該蓋部60aの周縁部に連なる筒部60bを一体に有した弾性材料製の中間キャップ60がホルダ51に取付けられ、第1のスイッチボタン66が有する第1の鍔部66aがホルダ主部51aの一端部および開口部50の周縁部内面間で移動可能であり、第2のスイッチボタン67が有する第2の鍔部67aがホルダ主部51aの一端部および前記開口部50の周縁部内面間に挟持され、押圧操作部66aへの押圧操作に応じて全体が移動する第1のスイッチボタン66から蓋部60aへの押圧力の作用に応じて蓋部60aの全体でスイッチを押すように筒部60bを変形させるための第1変形部62が筒部60bに設けられ、押圧操作に応じて第2のスイッチボタン67の押圧操作部67aから蓋部60aの中央部に押圧力が作用するのに応じて蓋部60aの中央部でスイッチ16を押すように該蓋部60aの中央部を変形させるための第2変形部63が蓋部60aに設けられるので、押圧操作に応じて全体が移動する第1のスイッチボタン66ならびに押圧操作に応じて押圧操作部67aだけが撓む第2のスイッチボタン67の2種類のスイッチボタンに、それらのスイッチボタン66,67以外の部品の変更なく対応することを可能とし、意匠性の向上を図ることができる。
【0047】
また中間キャップ60の蓋部60aとは反対側の端部が、ホルダ51が備えるホルダ主部51aの一端部にインサート結合され、中間キャップ60およびホルダ主部51aが相互に凹凸係合するので、中間キャップ60およびホルダ主部51aの結合部に隙間が万一生じたとしても、その隙間がラビリンス形状となることによってホルダ51内のスイッチ16側へのホルダ51の外側からの水の浸入を抑制することができる。
【0048】
しかも中間キャップ60およびホルダ51が水素結合で密着するので、ホルダ51内への水の浸入をより確実に防止することができる。
【0049】
さらにアウターパネル18に取付けられるベース部材15をスイッチ収納ケースとしてスイッチ装置が構成されるので、車両用ドアのアウトハンドル装置12に本発明のスイッチ装置を適切に用いることができる。
【0050】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【0051】
たとえば上記実施の形態では、ベース部材15をスイッチ収納ケースとして用いた場合について説明したが、ドアDの一部を構成するアウターパネル18の外方に配置されて長尺に形成される把持部13aを有する操作ハンドル13をスイッチ収納ケースとして用いることも可能である。
【0052】
また上記実施の形態では、ホルダ51、基板52、中間キャップ60、第1および第2のスイッチボタン66,67が円筒状および円形である場合について説明したが、これに限定されず、上記部材51,52,60,66,67は、たとえば四角筒状および四角形の形状または角が円弧状の横断面形状を有する略四角筒状および略四角形の形状を有するものであってもよい。さらにホルダ51を略四角筒状、基板52を略四角形状、第1および第2のスイッチボタン66,67を円形状、中間キャップ60の蓋部60aを円形状、中間キャップ60の鍔部60cを略四角形として、スイッチ装置の外郭が略四角形状であってスイッチ押圧部分が円形状となるように組み合わせたものとしてもよい。
【符号の説明】
【0053】
13・・・操作ハンドル
13a・・・把持部
15・・・スイッチ収納ケースであるベース部材
16・・・スイッチ
16a・・・被押圧部
18・・・アウターパネル
50・・・開口部
51・・・ホルダ
51a・・・ホルダ主部
60・・・中間キャップ
60a・・・蓋部
60b・・・筒部
62・・・第1変形部
63・・・第2変形部
66・・・第1のスイッチボタン
66a,67a・・・押圧操作部
66c・・・第1の鍔部
67・・・第2のスイッチボタン
67c・・・第2の鍔部
D・・・ドア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部(50)を有するスイッチ収納ケース(15)と、少なくとも前記開口部(50)側の一端を開放した筒状のホルダ主部(51a)を有するとともに前記開口部(50)に対応した位置で前記スイッチ収納ケース(15)内に固定配置されるホルダ(51)と、被押圧部(16a)を有するとともに被押圧部(16a)に押圧力が作用するのに応じてスイッチング態様を変化させるようにして前記ホルダ(51)の前記ホルダ主部(51a)内に収容、固定されるスイッチ(16)と、前記開口部(50)内に配置される押圧操作部(66a,67a)を有するとともに該押圧操作部(66a,67a)の操作に応じて前記スイッチ(16)に押圧力を作用せしめるように作動することを可能としつつ前記ホルダ主部(51a)の一端部を覆うように配置されるスイッチボタン(66,67)とを備えるスイッチ装置において、前記ホルダ(51)が、前記ホルダ主部(51a)の一端部を前記開口部(50)の周縁部内面に対向させて前記スイッチ収納ケース(15)内に固定され、前記被押圧部(16a)に押圧力を作用せしめることを可能として前記スイッチ(16)を覆う蓋部(60a)と、該蓋部(60a)の周縁部に連なる筒部(60b)とを一体に有した弾性材料製の中間キャップ(60)が前記ホルダ主部(15a)の一端を閉じるようにして前記ホルダ(51)に取付けられ、前記ホルダ主部(51a)の一端部および前記開口部(50)の周縁部内面間で移動することを可能とした第1の鍔部(66c)を前記ホルダ(51)側の端部外周に有する第1のスイッチボタン(66)から前記蓋部(60a)への押圧力の作用に応じて前記蓋部(60a)の全体で前記スイッチ(16)を押すように前記筒部(60b)を変形させるための第1変形部(62)が前記筒部(60b)に設けられ、前記ホルダ主部(51a)の一端部および前記開口部(50)の周縁部内面間で挟持される第2の鍔部(67c)を前記ホルダ(51)側の端部外周に有する第2のスイッチボタン(67)から前記蓋部(60a)の中央部への押圧力の作用に応じて前記蓋部(60a)の中央部で前記スイッチ(16)を押すように該蓋部(60a)の中央部を変形させるための第2変形部(63)が前記蓋部(60a)に設けられることを特徴とするスイッチ装置。
【請求項2】
合成樹脂から成る前記中間キャップ(60)の前記蓋部(60a)とは反対側の端部が、合成樹脂から成る前記ホルダ(51)が備える前記ホルダ主部(51a)の一端部に、相互に凹凸係合するようにしてインサート結合されることを特徴とする請求項1記載のスイッチ装置。
【請求項3】
前記中間キャップ(60)および前記ホルダ(51)が、水素結合で密着することを可能とした材料の組み合わせで形成されることを特徴とする請求項2記載のスイッチ装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のスイッチ装置でドア(D)の施錠および解錠の少なくとも一方を行うようにした車両用ドアのアウトハンドル装置において、前記ドア(D)の一部を構成するアウターパネル(18)の外方に配置されて長尺に形成される把持部(13a)を有する操作ハンドル(13)、ならびに該操作ハンドル(13)の端部に対応して前記アウターパネル(18)に取付けられるベース部材(15)のいずれかを前記スイッチ収納ケースとして、前記スイッチ装置が構成されることを特徴とする車両用ドアのアウトハンドル装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−51038(P2013−51038A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−186797(P2011−186797)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000155067)株式会社ホンダロック (164)
【Fターム(参考)】