説明

スイッチ装置

【課題】モジュールスイッチのレイアウトの自由度を向上させる。
【解決手段】第1軸X周りに回動可能に支持されたノブ60Cと、モジュールスイッチ80Cと、を備え、ノブ60Cの回動時に、ノブ60Cから延びるノブ脚64がジョイントブロック70を操作して、モジュールスイッチ80Cの操作子81をスライドさせて、モジュールスイッチ80Cをオンさせるようにしたスイッチ53において、ジョイントブロック70を、ノブ60Cの回動中心Xを通り操作子81のスライド方向Zに直交する基準線S1上で、第1軸Xに平行な第2軸Y周りに回動可能に支持させると共に、ノブ脚64とジョイントブロック70の係合部71とを、基準線S1上で係合させ、ジョイントブロック70の係止部74と操作子81とを、操作子81のスライド方向Zに沿って基準線S1から離れる方向にオフセットした位置で係合させた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノブの操作によりオンされるスイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両用パワーウインド装置の窓開閉用のスイッチ装置(パワーウインドスイッチ)であって、ノブの操作によりオンされるスイッチ装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−265863号公報
【0004】
図8は、従来例にかかるスイッチ装置の断面図である。
特許文献1に開示された従来例にかかるスイッチ装置100は、本体ケース101の回動軸102周りに回動可能に支持されたノブ103と、ノブ103から本体ケース101内に延びるノブ脚104と、ノブ脚104の先端の係合溝105に操作子106を係合させたモジュールスイッチ107とを備えて構成される。
【0005】
モジュールスイッチ107の操作子106は、図中符号Zで示す線分に沿って進退移動(スライド)可能に設けられており、ノブ103の操作に連動して回動軸102周りで回動するノブ脚104が、中立位置にある操作子106を、ノブ103の操作方向(回動方向)に応じて決まる方向にスライドさせることで、モジュールスイッチ107がオンされるようになっている。
そして、例えば操作子106が、中立位置から一方向にスライドしてモジュールスイッチ107がオンされると、図示しないモータが駆動されて窓が開かれると共に、他方向にスライドしてオンされると、図示しないモータが反転駆動されて、窓が閉じられるようになっている。
【0006】
ここで、ノブ103の回動範囲は限られており、この限られた範囲内のノブ103の回動で操作子106のスライド距離が最大となるようにする必要がある。
そのため、従来例にかかるスイッチ装置100では、中立位置にある操作子106とノブ脚104との係合位置は、回動軸102を通り操作子106のスライド方向に延びる線分Zと直交する基準線S1上に、必然的に決められていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、パワーウインドスイッチとミラーコントロールスイッチとの一体化や、スイッチの省スペース化のために、スイッチやノブのさらなる小型化が求められている。
このような状況のもと、モジュールスイッチの操作子とノブ脚との係合位置が、基準線S1上に決められる従来例に係るスイッチでは、操作子が基準線S1上に位置するようにモジュールスイッチを配置する必要があり、モジュールスイッチのレイアウトに自由度がない。そのため、本体ケース内の空間の最適な利用が阻害されて、小型化の阻害要因となることがある。
【0008】
本発明は、スイッチ装置の小型化を可能とするために、モジュールスイッチのレイアウトの自由度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、本体ケースで第1軸周りに回動可能に支持されたノブと、ノブの回動に連動して操作される操作子を有するスイッチ素子と、を備え、ノブの回動時に、ノブと操作子とを連結する連結部材が、操作子を中立位置からノブの回動方向に応じて決まる方向にスライドさせて、スイッチ素子をオンさせるようにしたスイッチ装置において、連結部材と中立位置にある操作子とを、ノブの回動中心を通り操作子のスライド方向に直交する基準線から、操作子のスライド方向にオフセットした位置で係合させた。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、スイッチ素子の操作子と連結部材との係合位置を、基準線からオフセットさせた位置とすることで、スイッチ素子(モジュールスイッチ)のレイアウトの自由度が向上する。よって、本体ケース内の空間の最適な利用が可能となり、スイッチ装置のさらなる小型化が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】スイッチモジュールの分解斜視図である。
【図2】窓開閉用スイッチの構成を示す断面図である。
【図3】図2におけるA−A線断面図である。
【図4】図2におけるB−B線断面図である。
【図5】ジョイントブロックを介したノブ脚と操作子との連結を示す斜視図である。
【図6】窓開閉用のスイッチの動作を説明する図である。
【図7】左右の窓開閉用スイッチの構成を示す断面図である。
【図8】従来例に係るスイッチの構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を、パワーウインド装置、ドアミラー装置、そしてドアロック装置の操作用のスイッチが、共通のケース内に纏められたスイッチユニット1に適用した場合を例に挙げて説明する。
図1は、実施形態にかかるスイッチユニット1の分解斜視図である。
【0013】
スイッチユニット1では、ドアミラー装置、ドアロック装置、そしてパワーウインド装置のスイッチが、アッパケース10とロアケース11とからなる共通の本体ケース2に纏められている。
このスイッチユニット1は、ドアミラー装置の操作用のスイッチ31〜33と、ドアロック装置の操作用のスイッチ40と、パワーウインド装置の操作用のスイッチ51〜55とを、備える。これらスイッチの操作ボタンやノブの各々は、ユーザによる操作が可能となるように、スイッチユニット1が組み立てられた状態において、アッパケース10に固定された化粧板3から上方に突出している。
【0014】
スイッチ31は、図示しないドアミラーの向きを調整するミラースイッチであり、スイッチ32は、向きを調節するミラーを指定するためのミラー切り替えスイッチであり、スイッチ33は、ドアミラーの位置を、使用状態の位置と折りたたまれた格納状態の位置との間で切り替えるための格納スイッチである。
【0015】
ミラースイッチ31のノブ31aは、アッパケース10の支持部12において、直交する2軸周りに揺動可能に支持されており、ノブ31aの所定位置が押圧されると、アッパケース10内でノブ31aの下に位置する被操作子31bが、押圧された位置に対応するラバコンシート31cの可動接点(図示せず)を、プリント基板4の固定接点4aに当接させる。これにより、図示しない制御部が図示しないモータを駆動して、ノブ31aの押圧位置に応じて決まる所定方向に、ミラーが傾動させられるようになっている。
【0016】
ミラー切り替えスイッチ32のノブ32aは、アッパケース10の支持部13で支持されており、ノブ32aの操作に連動して操作される被操作子32bが、接点32cとプリント基板4の固定接点4bとの接触位置を切り替えることで、向きを調節するミラーが指定されるようになっている。
【0017】
格納スイッチ33のノブ33aは、アッパケース10の支持部14で一軸周りに回動可能に支持されており、ノブ33aの操作に連動して操作される被操作子33bが、接点33cとプリント基板4の固定接点4cとの接触位置を切り替えることで、ドアミラーの位置が切り替えられるようになっている。
【0018】
ドアロック装置の操作用のスイッチ40は、車両用ドアロック装置のロックの施錠/開錠状を切り替えるためのドアロックスイッチである。
ドアロックスイッチ40のノブ40aは、アッパケース10の支持部15で一軸周りに回動可能に支持されており、ノブ40aの操作に連動して操作される被操作子40bが、接点40cとプリント基板4の固定接点4dとの接触位置を切り替えることで、ドアロックの施錠/開錠が切り替えられるようになっている。
【0019】
パワーウインド装置の操作用のスイッチ51〜54は、窓の開閉を行うためのスイッチ装置であり、スイッチ55は、窓の開閉操作を禁止するためのプッシュロックスイッチである。
スイッチ51〜54は、それぞれ、車両の前席左側の窓、前席右側の窓、後席左側の窓、そして後席右側の窓の開閉を行うために設けられており、これらスイッチ51〜54のノブ60A〜60Dは、アッパケース10の支持部16〜19で一軸周りに回動可能に支持されている。
このスイッチ51〜54では、ノブ60A〜60Dの操作に連動して操作されるジョイントブロック70で、モジュールスイッチ80A〜80Dをオンさせることで、窓の開閉が行われるようになっている。
【0020】
以下、スイッチ51〜54のうちのスイッチ53を例に挙げて、パワーウインド装置における窓開閉用のスイッチの詳細を説明する。
図2は、スイッチユニット1におけるスイッチ53の部分の断面図であり、ノブ60Cとモジュールスイッチ80Cの操作子81とが中立位置にある場合を示す図である。図3は、図2におけるA−A線断面図であり、図4は、図2におけるB−B線断面図である。
なお、図3では、ノブ60C内に設けられた節度機構の図示は省略してある。
【0021】
図2に示すように、スイッチ53のノブ60Cは、アッパケース10の支持部18で、第1軸X周りに回動可能に支持されている。
支持部18は、アッパケース10の開口10aを囲むように設けられており、図4に示すように、開口10a挟んで対面配置された側壁18aおよび側壁18bと、側壁18aと側壁18bの端部同士を繋ぐ前側壁18cおよび後側壁18dと、から一体に形成されている。
【0022】
図3に示すように、側壁18aと側壁18bの上端側には、それぞれ円筒突起18e、18fが、同じ高さ位置で設けられている。
円筒突起18e、18fは、互いに同軸に設けられており、円筒突起18e、18fを通る第1軸Xに沿って、それぞれ同じ方向に突出している。
【0023】
ノブ60Cは、天井部61と、天井部61のアッパケース10側の面を囲む周壁部62を備え、図4に示すように、周壁部62は、側壁62aと、側壁62bと、前側壁62cと、後側壁62dとから一体に形成されている。
【0024】
図3に示すように、ノブ60Cの周壁部62で囲まれた空間S内では、支持壁63とノブ脚64とが、天井部61からアッパケース10側に延出しており、これらは、ノブ60Cの側壁62a、62bに対して平行に設けられている。
【0025】
支持壁63には、側壁18bの円筒突起18fが挿入される円筒孔65が設けられている。ノブ60Cの側壁62aにも、側壁18aの円筒突起18eが挿入される円筒孔66が設けられている。これら円筒孔65、66は、円筒突起18e、18fを通る第1軸X上で、同軸に設けられており、円筒孔65、66に、円筒突起18e、18fを挿入することで、ノブ60Cが、アッパケース10の支持部18で、第1軸X周りに回動可能に支持されるようになっている。
【0026】
ノブ脚64は、薄肉の板状部材であり、図2に示すように、等幅の基部64aと、基部64aの先端から延びる縮幅部64bと、縮幅部64bの先端に設けられた係合部64cとを備えて構成される。
係合部64cは、第1軸Xの軸方向から見て略円形形状を有しており、ノブ60Cが支持部18に支持された状態において、アッパケース10の開口10a内で、ジョイントブロック70の係合凹部71aに係合している。
【0027】
ジョイントブロック70は、ノブ60Cのノブ脚64とモジュールスイッチ80Cの操作子81とを連結するものであり、アッパケース10の支持板24で、回動可能に支持されている。
支持板24は、支持部18の前側壁18cと後側壁18dの下端同士を接続するように設けられており、図3に示すように、側壁18a、18bに対して平行に設けられている。
支持板24のロアケース11側の下端の両側には、円筒突起25、25が設けられている。これら円筒突起25、25は、第1軸Xに対して平行な第2軸Yに沿って、同軸に設けられている。
【0028】
図5は、ジョイントブロック70を介したノブ脚64とモジュールスイッチ80Cの操作子81との連結を示す斜視図であって、ノブ脚64と、ジョイントブロック70と、モジュールスイッチ80Cのみを示した図である。
【0029】
図3および図5に示すように、ジョイントブロック70は、係合部71、72と、係止部74とを有する。
係合部71、72は、互いに平行に配置されており、ロアケース11側の一端は、接続部73により接続されている。係合部71、72のアッパケース10側の他端は、幅方向における中央部が切り欠かれて、側面視においてコ字形状の係合凹部71a、72aが形成されており、この係合凹部71a、72aには、ノブ脚64の係合部64cが係合される。
【0030】
係合部71、72では、係合凹部71a、71bよりも接続部73側の位置に、係合部71、72を厚み方向に貫通する円筒孔71b、72bが、同軸に形成されている。
ジョイントブロック70は、これら円筒孔71b、72bに、アッパケース10の支持板24の円筒突起25、25を挿入することで、支持板24で、第2軸Y周りに回動可能に支持されるようになっている。
【0031】
図2に示すように、第2軸Yは、軸方向から見て、第1軸Xを通りモジュールスイッチ80Cの操作子81の操作方向に沿う線分Zと直交する基準線S1と交差しており、この基準線S1上において、第1軸Xに並行に位置している。
モジュールスイッチ80Cの操作子81が中立位置にある場合において、ノブ脚64は、基準線S1に沿ってノブ60Cから延出しており、ジョイントブロック70の係合部71、72もまた、基準線S1に沿って位置している。よって、ノブ脚64の係合部64cと係合部71の係合凹部71aとは、基準線S1上で互いに係合している。
【0032】
ジョイントブロック70の係止部74は、係合部71の下端であって、操作子81のスライド方向Zに沿って基準線S1から離れる方向にオフセットした位置から、ロアケース11側に延出している。
係止部74は、ジョイントブロック70が支持板24で支持された状態において、プリント基板5のスリット5aをロアケース11側に貫通し、先端側に形成された係止溝75にモジュールスイッチ80Cの操作子81を係止させている。
【0033】
係止溝75は、係止部74の先端の幅方向における基準線S1寄りの位置から、基準線S1に沿って形成されている。そのため、係止部74は、係止溝75を境にして、第1係止部74aと、第2係止部74bとに分かれており、第1係止部74aの幅W1は、第2係止部74bの幅W2よりも広くなっている。
【0034】
ここで、実施形態にかかるジョイントブロック70は第2軸Y周りに回動するので、係止部74における操作子81との係合位置は、プリント基板5に対して垂直となる方向に変位する。そのため、係止溝75は、ジョイントブロック70の回動範囲に応じて決まる所定深さh1で形成されている。
【0035】
中立位置にある操作子81は、基準線S1から操作子81のスライド方向Zに沿って、基準線S1から離れる方向にオフセットした位置を通り、かつ基準線S1に対して平行な線分S2上で、第1係止部74aと第2係止部74bとの間に把持された状態で、係止部74に係止されている。
【0036】
第1係止部74aでは、下端から、係止溝75の長さ方向における中央部までの範囲に、プリント基板5から離れるにつれて基準線S1から離れる方向に傾斜する傾斜面74a1を有している。傾斜面74a1は、係止部74の先端側が第2軸Y周りに図中右方向に回動した際に、操作子81の図中右方向へのスライドが、第1係止部74aで阻害されないようにするために設けられている。
また、第2係止部74bの先端側にも、基準線S1側に傾斜する傾斜面74b1が設けられている。スイッチ53の組み付け時に、係止溝75への操作子81の挿入を容易にするためである。
【0037】
モジュールスイッチ80Cは、プリント基板5のロアケース11側の面に設けられており、モジュールスイッチ80Cの操作子81は、プリント基板5に対して平行な方向Zにスライド可能とされている。
モジュールスイッチ80Cは、操作子81が図2に示す中立位置にある場合はオフ状態とされ、中立位置から図中右方向または左方向に所定量移動させられるとオンされるようになっており、例えば操作子81が図中右方向に移動してモジュールスイッチ80Cがオンされると、図示しないモータが駆動されて窓が閉じられ、図中左方向に移動してオンされると、図示しないモータを反転駆動されて窓が開かれるようになっている。
【0038】
モジュールスイッチ80Cは、図2において図示を省略した端子をプリント基板5の配線に接続した状態で、プリント基板5に載置されており、この状態において、ロアケース11のターミナルブロック11aからアッパケース10側に延びる隔壁11b、11cの間に設けられている。
ここで、操作子81とジョイントブロック70の係止部74との係止位置が、基準線S1から離れる方向にオフセットしているので、その分だけモジュールスイッチ80Cを、オフセットさせて、アッパケース10とロアケース11とからなる本体ケース2内に、プッシュロックスイッチ55(図1参照)を配置するための空間11dが確保されている。
【0039】
次に、スイッチ53の動作を、図2および図6を用いて説明する。
スイッチ53のノブ60Cが、図2に示す中立位置から、図中矢印Uで示す方向に操作されて、第1軸X周りに回動すると、図6の(a)に示すように、ノブ脚64の係合部64c側は、第1軸X周りで、図中矢印U1で示す方向に回動する。
【0040】
ノブ脚64が回動すると、ジョイントブロック70の係合部71の係合凹部71a側は、ノブ脚64の係合部64cにより押されて、第2軸Y周りで、矢印U2で示す方向に回動させられるので、第2軸Yを挟んで、係合凹部71aの反対側に位置する係止部74は、第2軸Y周りで、矢印U3で示す方向に回動する。
【0041】
この際、係止部74は、モジュールスイッチ80Cの操作子81を把持した状態で、第2軸Y周りで回動するので、モジュールスイッチ80Cの操作子81は、図2に示す中立位置から、線分Zに沿って矢印U4で示す右方向にスライドし、モジュールスイッチ80Cがオンされる。
これにより、図示しないモータが駆動されて、窓が閉じられることになる。
【0042】
一方、ノブ60Cが、図2に示す中立位置から、図中矢印Dで示す方向に操作されて、第1軸X周りに回動すると、図6の(b)に示すように、ノブ脚64の係合部64c側は、第1軸X周りに、図中矢印D1で示す方向に回動する。
【0043】
ノブ脚64が回動すると、ジョイントブロック70の係合部71の係合凹部71a側は、ノブ脚64の係合部64cにより押されて、第2軸Y周りで、矢印D2で示す方向に回動させられるので、係止部74は、第2軸Y周りで、矢印D3で示す方向に回動する。
これにより、モジュールスイッチ80Cの操作子81が、図2に示す中立位置から、線分Zに沿って矢印D4で示す左方向にスライドし、モジュールスイッチ80Cがオンされるので、図示しないモータが反転駆動されて、窓が開かれることになる。
【0044】
ここで、図1に示すパワーウインド装置の操作用のスイッチ51〜54では、車両の左側窓の開閉用のスイッチ51、53のノブ60A、60Cと、右側窓の開閉用のスイッチ52、54のノブ60B、60Dとの間で、ノブ脚と支持壁の構成が若干異なっている。
【0045】
スイッチ53とスイッチ54の場合を例に挙げて具体的に説明する。
図7は、スイッチ53、54の構成を示す断面図である。
【0046】
図7に示すように、スイッチ53を支持する支持部18と、スイッチ54を支持する支持部19では、側壁18a、18bの円筒突起18e、18fと、側壁19a、19bの円筒突起19e、19fとが、本体ケース2の幅方向における外側の方向であって、互いに反対方向に突出している。
そのため、ノブ60Cとノブ60Dでは、周壁部62における円筒孔66の位置と、ノブ脚64と支持壁63との位置関係が異なっており、ノブ60Cの支持壁63およびノブ脚64と、ノブ60Dの支持壁63およびノブ脚64とは、本体ケース2の幅方向における中心を挟んで対称に位置している。
【0047】
実施形態では、互いに平行に配置された係合部71、72を有するジョイントブロック70を採用して、ノブ60Cのノブ脚64は、係合部71の係合凹部71aに、ノブ60Dのノブ脚64は、係合部72の係合凹部72aに、それぞれ係合させることで、ノブ脚64と、モジュールスイッチ80C、81Dの操作子81とを連結している。
このようにすることで、ノブ脚64が、左側窓の開閉用のスイッチ51、53のものであるか、右側窓の開閉用のスイッチ52、54のものであるかに関係なく、同一形状のジョイントブロック70を共通して用いることができる。
よって、ノブ60Cのノブ脚64用のジョイントブロックと、ノブ60Dのノブ脚64用のジョイントブロックというように、ノブごとにジョイントブロックを用意する必要がないので、部品点数の増加が防止される。
【0048】
ここで、実施形態におけるモジュールスイッチ80A〜80Dが、発明におけるスイッチ素子に相当し、実施形態におけるジョイントブロック70が、発明における操作部材に相当し、実施形態における円筒突起18e、18f、25が、発明における支持軸に相当する。さらに、実施形態におけるノブ脚64とジョイントブロック70とで、発明における連結部材を構成する。
【0049】
以上の通り、本実施形態では、アッパケース10で第1軸X周りに回動可能に支持されたノブ60Cと、ノブ60Cの回動に連動して操作される操作子81を有するモジュールスイッチ80Cとを備え、ノブ60Cの回動時に、ノブ60Cから延びるノブ脚64が、操作子81を係止させたジョイントブロック70を操作して、操作子81を、図2に示す中立位置からノブ60Cの回動方向に応じて決まる方向にスライドさせて、モジュールスイッチ80Cをオンさせるようにしたスイッチ53において、ジョイントブロック70を、ノブ60Cの回動中心Xを通り操作子81のスライド方向Zに直交する基準線S1上で、第1軸Xに平行な第2軸Y周りに回動可能に支持させると共に、ノブ脚64と、ジョイントブロック70の係合部71とを、基準線S1上で係合させる共に、ジョイントブロック70の係止部74と、操作子81とを、操作子81のスライド方向Zに沿って基準線S1から離れる方向にオフセットした位置で係合させた構成とした。
これにより、操作子81が基準線S1上に位置するようにモジュールスイッチ80Cを設ける必要がないので、モジュールスイッチのレイアウトの自由度が向上する。よって、本体ケース内の空間の最適な利用が可能となるので、スイッチのさらなる小型化が可能になる。
とくに、操作子81とジョイントブロック70の係止部74との係合位置を、操作子81のスライド方向Zに沿って基準線S1から離れる方向にオフセットさせることで、モジュールスイッチ80Cの位置も基準線S1から離れる方向に移動させることができるので、本体ケース2の内にプッシュロックスイッチ55(図1参照)を配置するための空間11d(図2参照)を確保することができる。これにより、スイッチユニット1(図1参照)に含まれるノブやボタンをさらに近接させて設けることができるので、スイッチユニット1全体の小型化が可能になる。
【0050】
また、第2軸Y周りに回動可能に設けられたジョイントブロック70を介して操作子81をスライドさせる構成とした。
ここで、操作子81のスライド量は、図6の(a)に示すノブの操作点Pとノブの回動中心Xとの距離L1、そしてノブの回動中心Xとジョイントブロックの操作点Jとの距離L2、ジョイントブロックの操作点Jと操作子81の係合点Kとの距離L3、並びに図6の(b)に示す操作点Jから第2軸Yまでの距離L4、および係合点Kから第2軸Yまでの距離L5を適宜設定することで決定される。
例えば、距離L3を長くしたうえで、距離L4よりも距離L5を長くする(L4<L5)と、ノブ脚64により操作されてジョイントブロック70が第2軸Y回りに回動した際に、係止部74側を第2軸Y回りに大きく回動させることができる。これにより、係止部74と操作子81との係合位置もまた大きく変位するので、操作子81のスライド量(ストローク量)を増やすことができる。
特に、距離L1、L2を変えずに、距離L3を長くしたうえで、距離L4<距離L5の関係を充足するようにすると、ノブの操作角度(回動角度)を変えずに、操作子81のスライド量(ストローク量)を増やすことができる。
さらに、実施形態では、ジョイントブロック70の係止部74と操作子81との係合点Kが、操作子81のスライド方向Zに沿って基準線S1から離れる方向にオフセットしているので、オフセット量に応じて距離L3、L5を長くすることができるので、このことによっても、操作子81のスライド量を増やすことができる。
よって、本体ケース2の厚みが薄くなったとしても、距離L1〜L5、距離L4と距離L5との長さ比、さらに係合点Kの基準線S1からのオフセット量を、適宜設定することで、操作子81の操作のために必要なスライド量を確保することができる。
また、図2に示すように、モジュールスイッチ80Cの位置をプリント基板5側にオフセットさせることもできるので、オフセットさせた距離h2の分だけ、本体ケース2の厚みを薄くすることも可能である。
【0051】
また、ノブ60Cとジョイントブロック70は、アッパケース10の支持部18の円筒突起18e、18fと、アッパケース10の支持板24の円筒突起25、25で、それぞれ回動可能に支持されており、これら円筒突起18e、18f、25は、アッパケース10と一体に形成されている構成とした。
これにより、ノブ60Cとジョイントブロック70は、本体ケース2のアッパケース10と一体に形成された支持軸(円筒突起)で支持されており、ノブ60Cとジョイントブロック70とを支持するための部材を、本体ケース2とは別に設ける必要がない。よって、部品点数を抑えることができ、スイッチの作製コストの低減が可能となる。
さらに、円筒突起18e、18f、25をアッパケース10と一体に形成することにより、第1軸Xと第2軸Yとを位置精度良く設けることができる。よって、ノブ60Cの操作時に、モジュールスイッチ80Cをオンさせるのに必要な操作子81のストローク量を、誤差なく確保することができる。
【0052】
実施形態では、図3に示すように、ノブ60Cは、本体ケース2と一体に設けられた支持部18の円筒突起(支持軸)18e、18fで、ジョイントブロック70は、本体ケース2と一体に設けられた支持板24の円筒突起(支持軸)25で、それぞれ回動可能に支持されている場合を例示した。
しかし、支持部18に円筒突起の代わりに円筒形状の孔(支持孔)を形成すると共に、ノブ60Cに円筒突起を一体に形成し、ノブ60Cの円筒突起を支持孔に挿入することで、ノブ60Cが支持部18において回動可能に支持されるようにしても良い。
さらに、支持板24に円筒突起の代わりに円筒形状の孔(支持孔)を形成すると共に、ジョイントブロック70に円筒突起を一体に形成し、ジョイントブロック70の円筒突起を支持孔に挿入することで、ジョイントブロック70が支持板24において回動可能に支持されるようにしても良い。
すなわち、ノブ60Cとジョイントブロック70は、それぞれ本体ケース2との間で、一方に設けられた支持軸と、他方に設けられた支持孔で回動可能に支持されていれば良い。なお、他のノブ60A、60B、60Dについても同様である。
【符号の説明】
【0053】
1 スイッチユニット
2 本体ケース
4、5 プリント基板
10 アッパケース
11 ロアケース
12〜20 支持部
18a 側壁
18b 側壁
18c 前側壁
18d 後側壁
18e 円筒突起(支持軸)
18f 円筒突起(支持軸)
24 支持板
25 円筒突起(支持軸)
31 ミラースイッチ
32 ミラー切り替えスイッチ
33 格納スイッチ
40 ドアロックスイッチ
51〜54 スイッチ
55 プッシュロックスイッチ
60A〜60D ノブ
61 天井部
62 周壁部
63 支持壁
64 ノブ脚
64c 係合部
65、66 円筒孔
70 ジョイントブロック(操作部材)
71、72 係合部
71a、72a 係合凹部
71b、72b 円筒孔
74 係止部
74a1 傾斜面
74b1 傾斜面
74a 第1係止部
74b 第2係止部
75 係止溝
80A〜80D モジュールスイッチ(スイッチ素子)
81 操作子
S1 基準線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ケースで第1軸周りに回動可能に支持されたノブと、
前記ノブの回動に連動して操作される操作子を有するスイッチ素子と、を備え、
前記ノブの回動時に、前記ノブと前記操作子とを連結する連結部材が、前記操作子を中立位置から前記ノブの回動方向に応じて決まる方向にスライドさせて、前記スイッチ素子をオンさせるようにしたスイッチ装置において、
前記連結部材と前記中立位置にある前記操作子とを、前記ノブの回動中心を通り前記操作子のスライド方向に直交する基準線から、前記操作子のスライド方向にオフセットした位置で、係合させたことを特徴とするスイッチ装置。
【請求項2】
前記連結部材は、
前記ノブから前記基準線に沿って延びるノブ脚と、
前記ノブ脚により操作されて、前記操作子をスライドさせる操作部材と、を備え、
前記操作部材は、前記基準線上で前記第1軸に平行な第2軸周りに回動可能に支持されており、前記ノブ脚と前記基準線上で係合する係合部と、前記操作子が係止される係止部と、を有することを特徴とする請求項1に記載のスイッチ装置。
【請求項3】
前記ノブと前記操作部材は、それぞれ本体ケースとの間で一方に設けられた支持軸と他方に設けられた支持孔で、回動可能に支持されていることを特徴とする請求項2に記載のスイッチ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2010−205683(P2010−205683A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−52721(P2009−52721)
【出願日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(390001236)ナイルス株式会社 (136)
【Fターム(参考)】