スイッチ装置
【課題】高い防水性と外観性を確保することができるスイッチ装置を提供すること。
【解決手段】ロータリスイッチ機構を操作する回転ノブ2の中央に、プッシュスイッチ機構を操作する操作ノブ4を設け、回転ノブ2,3と操作ノブ4の各操作がロータ5,6及び操作ロッド7を介してスイッチボディ8内に収容されたロータリスイッチ機構とプッシュスイッチ機構にそれぞれ伝達されるよう構成されたスイッチ装1置において、前記回転ノブ2を、操作ノブ4を保持するグリップ部2Aと、前記ロータ5が挿入される貫通孔2aが形成されたベース部2Bとで構成し、操作ノブ4に一端が取り付けられ、他端が回転ノブ2の貫通孔2aの周縁に固定された防水部材23を回転ノブ2内に設け、操作ノブ4と回転ノブ2及び防水部材23によって操作ユニット30を構成し、該操作ユニット30を回転ノブ2の貫通孔2aを介してロータ5に取り付ける。
【解決手段】ロータリスイッチ機構を操作する回転ノブ2の中央に、プッシュスイッチ機構を操作する操作ノブ4を設け、回転ノブ2,3と操作ノブ4の各操作がロータ5,6及び操作ロッド7を介してスイッチボディ8内に収容されたロータリスイッチ機構とプッシュスイッチ機構にそれぞれ伝達されるよう構成されたスイッチ装1置において、前記回転ノブ2を、操作ノブ4を保持するグリップ部2Aと、前記ロータ5が挿入される貫通孔2aが形成されたベース部2Bとで構成し、操作ノブ4に一端が取り付けられ、他端が回転ノブ2の貫通孔2aの周縁に固定された防水部材23を回転ノブ2内に設け、操作ノブ4と回転ノブ2及び防水部材23によって操作ユニット30を構成し、該操作ユニット30を回転ノブ2の貫通孔2aを介してロータ5に取り付ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータリスイッチ機構とプッシュスイッチ機構を複合して1つのボディに内蔵して成るスイッチ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のヘッドランプやサイドランプを点灯させるための複数のスイッチ機能が備えられているコンビネーションスイッチには、ロータリスイッチ機構とプッシュスイッチ機構を複合して1つのボディ(スイッチケース)に内蔵して成るものがある。
【0003】
スイッチ装置に関して、例えば特許文献1には、作動軸と共に回動するロータに保持された接点板と第1のターミナルベースの接点によって間欠駆動と低速駆動及び高速駆動の切替位置を選択する3つの切替スイッチを形成するとともに、ロータの接点板と第1のターミナルベースの抵抗膜によって可変抵抗を形成し、第2のターミナルベースの接点と操作軸の押圧部によって押圧される可動体に保持された接点板によってウォッシャスイッチを形成することによって小型化を図ったワイパースイッチのような複合スイッチの構成が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公平7−043905号公報
【特許文献2】特開2000−090781号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特にトラクタ等の農業機械に採用されるコンビネーションスイッチは雨水に晒されることが多いため、斯かるスイッチ装置には高い防水性を有する必要がある他、自動車に採用されるものよりもコンパクトな構造とすることが望まれている。
【0006】
雨水に晒されるスイッチ装置に高い防水性を確保するため、例えば特許文献2において提案されているように、蛇腹状の防水部材を操作ノブとスイッチ装置の外面との間に設けるようにすることが考えられているが、このような構成では、スイッチ装置が大型化する他、外観性が悪く、スイッチ装置の操作機構の配置が限定されてしまうという問題がある。
【0007】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、高い防水性と外観性を確保するとともに、機能性の向上を図ることができるスイッチ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、ロータリスイッチ機構を操作する回転ノブの中央に、プッシュスイッチ機構を操作する操作ノブを設け、前記回転ノブと前記操作ノブの各操作が軸部を介してスイッチボディ内に収容された前記ロータリスイッチ機構と前記プッシュスイッチ機構にそれぞれ伝達されるよう構成されたスイッチ装置において、
前記回転ノブを、前記操作ノブを保持するグリップ部と、前記軸部が挿入される貫通孔が形成されたベース部とで構成し、
前記操作ノブに一端が取り付けられ、他端が前記回転ノブの貫通孔の周縁に固定された防水部材を前記回転ノブ内に設け、
前記操作ノブと前記回転ノブ及び前記防水部材によって操作ユニットを構成し、該操作ユニットを前記回転ノブの貫通孔を介して前記軸部に取り付けたことを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記軸部を、前記回転ノブが取り付けられる回転軸部と、前記操作ノブが取り付けられる摺動軸部とで構成し、前記摺動軸部を前記回転軸部の内部を貫通して配設したことを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、前記防水部材の前記回転ノブへの固定を、前記回転ノブのベース部に形成された貫通孔の周縁と前記グリップ部とで防水部材の他端を挟持することによって行うことを特徴とする。
【0011】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3の何れかに記載の発明において、前記回転ノブのグリップ部の固定部と前記ベース部に孔部をそれぞれ形成するとともに、前記グリップ部又は前記ベース部の何れか一方の孔部は、他方の孔部に嵌合する突部に連接して設けられ、前記突部が他方の孔部に嵌合することによって、前記各孔部が連通して間隙部が形成されることを特徴とする。
【0012】
請求項5記載の発明は、請求項1〜4の何れかに記載の発明において、前記操作ノブに、前記回転ノブのグリップ部に形成された挿通孔を貫通して突出する操作部と、前記挿通孔よりも大径に形成され、前記回転ノブ内で前記グリップ部の内面に当接して当該操作ノブの抜け止めを図るフランジ部を設け、該フランジ部に前記防水部材の一端を取り付けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の発明によれば、操作ノブと回転ノブ及び防水部材によって操作ユニットを構成し、該操作ユニットを回転ノブの貫通孔を介して軸部に取り付けることにより、軸部と操作ユニット間への浸水を操作ユニット体内に配置された防水部材によって確実に防ぐことができる。
【0014】
請求項2記載の発明によれば、軸部を回転軸部と摺動軸部とで構成し、回転ノブが取り付けられる回転軸部内に操作ノブが取り付けられる摺動軸部が貫通して配設されるため、回転軸部と摺動軸部間への浸水を操作ユニットに軸部を取り付けるだけで、操作ユニット内に配置された防水部材によって防ぐことができる。そのため、Oリング等のシール部材を配設しなくても高い防水性を確保することができ、操作ノブの操作性が低下することがない。
【0015】
請求項3記載の発明によれば、防水部材の回転ノブへの固定を、回転ノブのベース部に形成された貫通孔の周縁とグリップ部とで防水部材の鍔部を挟持することによって該防水部材の鍔部(他端)を回転ノブに固定したため、防水部材の両端部の浮きを防止して、当該スイッチ装置内への浸水を確実に防ぐことができる。
【0016】
請求項4記載の発明によれば、回転ノブのグリップ部をベース部に嵌合させることによって、突部に連接して形成された一方の孔部と突部が嵌合する他方の孔部が連通することによって形成される間隙部を排水経路とすることができ、特別に排水経路を設ける必要がないため、スイッチ装置の構成を簡素化することができる。
【0017】
請求項5記載の発明によれば、回転ノブの内部に収容される操作ノブのフランジ部に防水部材の一端を取り付ける構成を採用したため、スイッチ装置の外部に蛇腹状の防水部材を配置して操作ノブを覆う必要がなく、又、操作ノブ自体をゴム製とする必要がないため、スイッチ装置の操作機構が限定されることなくスイッチ機構を」構成することが可能となり、スイッチ装置の外観性も高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係るスイッチ装置の縦断面図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】図2のB部拡大詳細図である。
【図4】本発明に係るスイッチ装置の分解斜視図である。
【図5】本発明に係るスイッチ装置の第1の回転ノブの操作系の構成を示す斜視図である。
【図6】本発明に係るスイッチ装置の第2の回転ノブの操作系の構成を示す斜視図である。
【図7】本発明に係るスイッチ装置のスライダを示す図であって、(a)は内面図、(b)は外面図、(c)は(a)のC−C線断面図である。
【図8】本発明に係るスイッチ装置の第1のベース部材を示す図であって、(a)は内面図、(b)は外面図、(c)は(b)のD−D線断面図である。
【図9】本発明に係るスイッチ装置の第2のベース部材を示す図であって、(a)は内面図、(b)は外面図、(c)は(b)のE−E線断面図である。
【図10】本発明に係るスイッチ装置のスライドベースを示す図であって、(a)は平面図、(b)は(a)のF−F線断面図である。
【図11】本発明に係るスイッチ装置の第1のロータを示す図であって、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図、(d)は(b)のG−G線断面図である。
【図12】本発明に係るスイッチ装置の第2のロータを示す図であって、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図、(d)は(b)のH−H線断面図である。
【図13】本発明に係るスイッチ装置の第1及び第2の回転ノブの操作角度を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0020】
図1は本発明に係るスイッチ装置の縦断面図、図2は図1のA−A線断面図、図3は図2のB部拡大詳細図、図4は同スイッチ装置の分解斜視図、図5は第1の回転ノブの操作系の構成を示す斜視図、図6は第2の回転ノブの操作系の構成を示す斜視図、図7はスライダを示す図であって、(a)は内面図、(b)は外面図、(c)は(a)のC−C線断面図、図8は第1のベース部材を示す図であって、(a)は内面図、(b)は外面図、(c)は(b)のD−D線断面図、図9は第2のベース部材を示す図であって、(a)は内面図、(b)は外面図、(c)は(b)のE−E線断面図、図10はスライドベースを示す図であって、(a)は平面図、(b)は(a)のF−F線断面図、図11は第1のロータを示す図であって、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図、(d)は(b)のG−G線断面図、図12は第2のロータを示す図であって、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図、(d)は(b)のH−H線断面図、図13は第1及び第2の回転ノブの操作角度を示すスイッチ装置の平面図である。
【0021】
本実施の形態に係るスイッチ装置1は、ハザードスイッチ機能とライトスイッチ機能及びフラッシャスイッチ機能の3つの機能を備えたコンビネーションスイッチであって、例えばトラクタ等の農業用機械に設置されるものである。
【0022】
図1に示すように、本実施の形態に係るスイッチ装置1は、同軸上に配された上下2段の第1の回転ノブ2と第2の回転ノブ3及び第1の回転ノブ2の中央に配された操作ノブ4を備えており、第1の回転ノブ2と第2の回転ノブ3は同軸上に配された軸部である第1のロータ5と第2のロータ6の各上端部に結着されている。又、操作ノブ4は押圧操作されるものであって、その中心部から下方に向かって垂直に延びる軸部としての操作ロッド(プッシュロッド)7はスイッチボディ8内に収容されたスライダ9に連結されている。
【0023】
ここで、第1の回転ノブ2は、操作ノブ4を保持するグリップ部2Aと、前記第1のロータ5が挿入される貫通孔2aが形成されたベース部2Bで構成されている。又、前記操作ノブ部4は、第1の回転ノブ2のグリップ部2Aの中央に形成された挿通孔2bを貫通して上方に突出する操作部4Aと、そのグリップ部2Aに形成された挿通孔2bよりも大径に形成され、第1の回転ノブ2内でグリップ部2Aに当接することによって当該操作ノブ4の抜けを防ぐフランジ4Bを有している。尚、図1において、4bは操作ロッド7が嵌合するロッド連結部、4cはそのロッド連結部4bを径方向に付勢して操作ロッド7の連結状態を補助するコイルスプリングである。
【0024】
前記スイッチボディ8は二重筒状に成形され、その上面の中心部には円筒部8aが上方に向かって一体に立設され、該スイッチボディ8の下面の開口部はカバー10によって塞がれており、カバー10の中央には下方に向かって延びる角筒状のコネクタ接続部10aが一体に形成されている。そして、スイッチボディ8内には、略有底筒状のスライドベース11が前記スイッチボディ8の内壁に嵌合する状態で収容されており、図10に示すように、スライドベース11の上壁の略中心部には矩形のスライド挿入孔11aが形成され、その両側には矩形の開口部11bがそれぞれ形成されている。
【0025】
図1に示すように、上記スライドベース11内の略中央には、前記操作ロッド7の下端に連結された前記スライダ9がスライドベース11の前記スライド挿入孔11aを貫通して上下動可能に収容されており、その両側には図1の紙面垂直方向に長い第1のベース部材12と第2のベース部材13が配され、これらの第1及び第2のベース部材12,13の外側であって、且つ、スライドベース11の内面部との間には第1のスライド部材14と第2のスライド部材15が図1の紙面垂直方向に摺動可能に配されている。
【0026】
上述のようにスライドベース11内には、スライダ9、第1及び第2のベース部材12,13、第1及び第2のスライド部材14,15が収容されているが、スライダ9は、第1及び第2のベース部材12,13の相対向する内面によって挟まれる空間に配置されている。そして、このスライダ9と操作ロッド7及び操作ノブ4は、スライダ9とカバー10との間に縮装されたスプリング16によって常時上方に付勢されている。
【0027】
ここで、上記スライダ9の第1のベース部材12の内面に対向する側には、図7(b)に示すように、軸17に巻装されたカムスプリング18が設けられており、このカムスプリング18の一端は当該スライダ9に係止され、他端(自由端)は第1のベース部材12側に向かって屈曲する係合部18a(図7(c)参照)を構成している。又、スライダ9の第2のベース部材13の内面に対向する面には、図7(a),(c)に示すように、3つのフラッシャ用端子19が横方向に適当な間隔で配置されている。
【0028】
又、前記第1のベース部材12のスライダ9に対向する内面には、図8(a)に示すように、カム部であるカム溝12aが形成されており、このカム溝12aにはスライダ9に設けられた前記カムスプリング18の係合部18aが係合している。これらのカムスプリング18とカム溝12aは、操作ノブ4の操作位置を保持するカム機構を構成しており、このカム機構によってオルタネイト型(プッシュオン・プッシュオフ型)のプッシュスイッチ機構が構成されている。即ち、操作ノブ4を一度押すと、該操作ノブ4は押し込まれた位置に保持され、次に操作ノブ4を押すと該操作ノブ4はスプリング16の付勢力によって元の位置に戻る。
【0029】
そして、第1のベース部材12の第1のスライド部材14に対向する外面には、図8(b)に示すように、第1のスライド部材14の摺動に連動して切り替えられるライトスイッチ回路20が設けられている。尚、このライトスイッチ回路20は、不図示のヘッドランプの点灯のON/OFF、Hiビーム及びLoビームの切り替えを行うためのものである。
【0030】
前記第2のベース部材13のスライダ9に対向する内面には、図9(a)に示すように、スライダ9の上下の摺動に連動して切り替えられるハザードスイッチ回路21が設けられている。又、第2のベース部材13の第2のスライド部材15に対向する外面には、図9(b),(c)に示すように、第2のスライド部材15の軸直角方向の摺動に連動して切り替えられるフラッシャスイッチ回路22が設けられている。尚、フラッシャスイッチ回路22は、不図示の左右のフラッシャランプの一方を選択的に点滅させるためのものである。
【0031】
ところで、図1、図2及び図4に示すように、第1の回転ノブ2のグリップ部2Aの内部には、グリップ部2Aと共に一体に回転する前記ベース部2Bが設けられており、該ベース部2Bの中心部に垂直に立設された円筒部2cの外周には操作ノブ4が上下動可能にガイドされて嵌合している。そして、第1の回転ノブ2のグリップ部2Aとベース部2Bによって画成される空間内には円筒蛇腹状の防水部材23が配置されており、この防水部材23の上端内周部は操作ノブ4の外周に形成された凹溝4aに嵌着されている。
【0032】
更に、防水部材23の下端外周に形成された鍔部23aはベース部2Bの内底面上に載置され、第1の回転ノブ2の上壁内面から垂直下方に向かって形成された円筒状の押圧リブ2dとベース部2Bによって挟持されている。そのため、操作ノブ4は、防水部材23の付勢力によって、操作ロッド7に嵌合されていない状態でも、グリップ部2Aの挿通孔2bから突出するように構成される。尚、防水部材23の上端内周部を操作ノブ4の凹溝4aに嵌着したときにフランジ部4Bと略面一となるように下側よりも上側のフランジ部4Bを大径とすることが好ましい。このように構成することによって、高圧洗浄による水圧が掛かった場合でも防水部材23の上端内周部が凹溝4aから外れることを防止することができる。
【0033】
而して、前記第1のロータ5は、第1の回転ノブ2のベース部2Bの円筒部2cの内部に挿通嵌着され、その上端部外周には前述のように操作ノブ4が上下動可能に嵌合している。これにより、この嵌合部は防水部材23によって覆われてシールされるため、操作ノブ4と挿通孔2bとの隙間から浸入した水はその嵌合部に到達できず、更に操作ロッド7が貫通している第1のロータ5のロッド挿通孔5cにも到達できない。そのため、第1のロータ5と第1の回転ノブ2のベース部2Bの円筒部2cとの嵌合部及び第1のロータ5の操作ロッド7が貫通するロッド挿通孔5cへの水の浸入を防ぐことができる。これにより、操作ロッド7とロッド挿通孔5cとの間にはOリング等のシール部材を介在させる必要がないため、操作ノブ4の操作性を低下させることなく、高い防水性を達成することができる。尚、図1において、24は第1のロータ5と第2のロータ6、第1のロータ5と第1の回転ノブ2のベース部2Bの貫通孔2a及びスイッチボディ8と第2のロータ6の嵌合箇所からの水の浸入を更に防止するためのシール部材としてのOリングである。
【0034】
本実施の形態では、図1及び図2に示すように、操作ノブ4と第1の回転ノブ2及び防水部材23によって操作ユニット30が構成されており、該操作ユニット30は、第1の回転ノブ2(ベース部2B)の貫通孔2aを介して前記第1のロータ5の上端部外周に取り付けられている。
【0035】
ところで、本実施の形態では、図2及び図3に示すように、第1の回転ノブ2に形成された前記押圧リブ2dとベース部2Bの相対向する周方向2箇所には孔部2e,2fがそれぞれ形成されており、そのベース部2Bの孔部2fの上方には係合爪状の突部2gが形成されている。そして、2つの突部2gが押圧リブ2dの2つの孔部2eにそれぞれ嵌合することによって、第1の回転ノブ2を構成するベース部2Bがグリップ部2Aに結合一体化される。そして、2つの突部2gが押圧リブ2dの2つの孔部2eにそれぞれ嵌合することによって、第1の回転ノブ2を構成するベース部2Bがグリップ部2Aに結合一体化される。このように互いに係合する各突部2gに連接して形成された孔部2fと各孔部2eとが連通することにより、図示のように間隙部δがけ形成されるように構成している。即ち、第1の回転ノブ2を構成するベース部2Bとグリップ部2Aとを一体的に嵌合させるために形成される孔部2e,2fを利用して第1の回転ノブ2内に浸入した水を排水するための排水経路を形成している。
【0036】
尚、本実施の形態では、突部2gをベース部2B側に形成したが、押圧リブ2d側に突部2dを形成し、この突部2gをベース2B側の孔部2fに嵌合させる構成を採用しても良い。又、防水部材23の下端外周に形成された鍔部23aの一部に蛇腹部から鍔部23aの先端にかけて連通した凹状の排水溝を形成するか、円筒状の押圧リブ2dの一部に排水用の切欠部を形成しても良い。このように構成すれば、円筒状の押圧リブ2dとベース部2Bによって挟持されていても、鍔部23aに堆積した水も排出することができる。更に、突部2gの傾斜面に付着した水が孔部2fに向かって流れるように傾斜角度を設定することが好ましい。
【0037】
次に、第1及び第2のロータ5,6の構成について説明する。
【0038】
図1に示すように、第1のロータ5と第2のロータ6は、スライドベース11の外部において同軸上に相対回転可能に配置されており、第1のロータ5は、図11に示すように、上下方向に延びる円筒状の軸筒部5Aと、該軸筒部5Aの下端に形成されたクランク状のアーム部5Bとで構成されており、軸筒部5Aの内部には操作ロッド7が挿通する操作ロッド相通孔5cが形成されている(図1参照)。
【0039】
第1のロータ5の上記アーム部5Bの上面には波形の複数の係合溝5aが形成され、下面にはピン5bが垂直下方に向かって一体に突設されている。図1に示すように、第1のロータ5のアーム部5Bはスイッチボディ8内に収容されており、該アーム部5Bに形成された係合溝5aの1つには、スプリング25によって付勢されたスチールボール26が係合している。ここで、係合溝5aとこれに係合するスチールボール26及び該スチールボール26を付勢するスプリング25はクリック機構を構成しており、このクリック機構によって第1の回転ノブ2の回転にクリック感が付与される。
【0040】
又、図5に示すように、第1のロータ5のアーム部5Bに形成された前記ピン5bは、図10に示すスライドベース11に形成された開口部11bを貫通してスライドベース11内に臨んでおり、このピン5bは、スライドベース11の内部に収容された前記第1のスライド部材14の上面に平行に立設された一対のガイドリブ14a間に係合している。これによって第1の回転ノブ2によって操作される第1のロータ5の回転は、第1のスライド部材14の軸直角方向の直線的な摺動に変換される。
【0041】
他方、第2のロータ6は、図12に示すように、上下方向に延びる円筒部6Aと、該円筒部6Aの下端に形成されたクランク状のアーム部6Bとで構成されている。ここで、第2のロータ6の円筒部6Aは第1のロータ5の軸筒部5Aよりも大径であって、その内部に第1のロータ5が挿通することによって第2のロータ6が第1のロータ5の軸筒部5Aによって回転可能に軸支されている(図1参照)。
【0042】
第2のロータ6の前記アーム部6Bの上面には波形の複数の係合溝6aが形成され、下面にはピン6bが垂直下方に向かって一体に突設されている。図1に示すように、第2のロータ6のアーム部6Bはスイッチボディ8内に収容されており、該アーム部8Bに形成された係合溝6aの1つには、スプリング27によって付勢されたスチールボール28が係合している。ここで、係合溝6aとこれに係合するスチールボール28及び該スチールボール28を付勢するスプリング27はクリック機構を構成しており、このクリック機構によって第2の回転ノブ3の回転にクリック感が付与される。
【0043】
又、図6に示すように、第2のロータ6のアーム部6Bに形成された前記ピン6bは、図8に示すスライドベース11に形成された開口部11bを貫通してスライドベース11内に臨んでおり、このピン6bは、スライドベース11の内部に収容された前記第2のスライド部材15の上面に平行に立設された一対のガイドリブ15a間に係合している。これによって第2の回転ノブ3によって操作される第2のロータ6の回転は、第2のスライド部材15の軸直角方向の直線的な摺動に変換される。即ち、本実施の形態に係るスイッチ装置1では、第1及び第2のベース部材12,13のプッシュスイッチ機構の反対の面にライトスイッチ回路20とフラッシャスイッチ回路22を配置し、プッシュスイッチ機構とは直交する方向に直線的に摺動するスライドスイッチ機構により、第1の回転ノブ2と第2の回転ノブ3によるスイッチ機構を構成している。そのため、スイッチボディ8の平面方向に第1の回転ノブ2によるロータリスイッチ機構と、第2の回転ノブ3によるロータリスイッチ機構をそれぞれ設けるよりも、ハザードスイッチ回路21によって形成されるスペースを利用して、ライトスイッチ回路20とフラッシャスイッチ回路22の配置面を効率的に形成することができる。従って、複数のスイッチ回路を集約して配置することができるため、スイッチボディ8を小型化することが可能となる。
【0044】
尚、図1に示すように、スイッチボディ8の上部に立設された円筒部8aの外周には取付用ナット29が螺合しており、この取付用ナット29を締め付けることによって当該スイッチ装置1を所定の箇所に取り付けることができる。
【0045】
次に、以上のように構成されたスイッチ装置1の作用について説明する。
【0046】
本実施の形態に係るスイッチ装置1は、前述のようにハザードスイッチ機能とライトスイッチ機能及びフラッシャスイッチ機能の備えるものであって、例えばハザードランプを点滅させるには、操作ノブ4を1回だけ押し込む。すると、操作ノブ4の押し込みは操作ロッド7を経てスライダ9に伝達され、該スライダ9がスプリング16の付勢力に抗して下方へと摺動し、これらの操作ノブ4と操作ロッド7及びスライダ9がカム機構によってその位置に保持され、スライダ9に設けられたフラッシャ用端子19(図7(a),(b)参照)が第2のベース部材13の内面に設けられたフラッシャスイッチ回路22と導通してハザードランプを点滅させる。
【0047】
そして、上記状態から操作ノブ4を再度押し込むと、カム機構の作用によって該操作ノブ4と操作ロッド7及びスライダ9がスプリング16の付勢力によって上動して図1に示す元の位置に戻されるため、スライダ9に設けられたフラッシャ用端子19と第2のベース部材15の内面に設けられたフラッシャスイッチ回路22との導通が遮断され、ハザードランプの点滅が停止される。
【0048】
又、第1の回転ノブ2を回すと、第1のロータ5が一体的に回転し、その回転は前述のように第1のスライド部材14の軸直角方向(図1の紙面垂直方向)の摺動に変換されるため、該第1のスライド部材14の摺動によって第1のベース部材12の外面に設けられたライトスイッチ回路20が切り替えられ、前述のようにヘッドランプの点灯のON/OFF、Hiビーム及びLoビームの切り替えが行われる。即ち、第1の回転ノブ2が図13に示すOFF位置にあるときにはヘッドランプが消灯され、第1の回転ノブ2をOFF位置から図13の時計方向に図示の角度α(本実施の形態では30°)だけ回すとヘッドランプがLoビームに切り替えられ、そこから更に角度αだけ時計方向に回すとヘッドランプがHiビームに切り替えられる。尚、前述のように第1の回転ノブ2の回転にはクリック機構によってクリック感が付与される。
【0049】
他方、第2の回転ノブ3を回すと、第2のロータ6が第1のロータ5の軸筒部5Aを中心として一体的に回転し、その回転は前述のように第2のスライド部材15の軸直角方向(図1の紙面垂直方向)の摺動に変換されるため、該第2のスライド部材15の摺動によって第2のベース部材15の外面に設けられたフラッシャスイッチ回路22が切り替えられ、左右のフラッシャランプの点滅が切り替えられる。即ち、第2の回転ノブ3を中立位置Nから図13に示す角度β(本実施の形態では20°)だけ時計方向にR位置まで回すと右側のフラッシャランプが点滅し、中立位置Nから角度βだけ反時計方向にL位置まで回すと左側のフラッシャランプが点滅する。尚、前述のように第2の回転ノブ3の回転にもクリック機構によってクリック感が付与される。
【0050】
以上において、本実施の形態では、操作ノブ4と第1の回転ノブ2及び防水部材23によって操作ユニット30を構成し、該操作ユニット30を第1の回転ノブ2の貫通孔2aを介して第1のロータ5の上端部外周に取り付けたため、操作ノブ4と挿通孔2bとの隙間から第1のロータ5と操作ユニット体30の隙間への浸水を確実に防ぐことができる。
【0051】
又、本実施の形態では、軸部を回転軸部である第1及び第2のロータ5,6と摺動軸部である操作ロッド7とで構成し、第1の回転ノブ2を第1のロータ5に取り付け、操作ノブ4を操作ロッド7に取り付けたため、操作ノブ4と挿通孔2bとの隙間から操作ロッド7とロッド挿通孔5cの隙間を介してスイッチボディ8内への浸水を操作ロッド7とロッド挿通孔5c間にOリング等のシール部材を配設しなくても防ぐことができる。そのため、操作ノブ4の操作性を低下させることなく、高い防水性を確保することができる。
【0052】
更に、本実施の形態では、防水部材23の第1の回転ノブ2への固定を、第1の回転ノブ2のベース部2Bの内底面とグリップ部2Aに形成された押圧リブ2dとで防水部材23の鍔部23aを挟持することによって該防水部材23の鍔部(他端)23aを第1の回転ノブ2に固定したため、操作ユニット30として組み立てたものを第1のロータ5に取り付けるだけで、操作ノブ4と第1のロータ5との隙間から当該スイッチ装置1内への浸水を確実に防ぐことができる。
【0053】
そして、本実施の形態では、第1の回転ノブ2のグリップ部2Aをベース部2Bに突部2gと孔部2eとの嵌合によって取り付ける際に突部2gに連接された孔部2fと孔部2eとが連通して形成される間隙部δ(図3参照)が排水経路を構成することにより、グリップ部2Aとベース部2Bとの嵌合部が排水経路を兼用するため、操作ノブ4の構成を簡素化することができる。尚、図2に矢印にて排出経路を示すように、操作ノブ4と第1の回転ノブ2の挿通孔2bとの隙間から第1の回転ノブ2の内部に浸入した水は,押圧リブ2dに形成された2つの孔部2eとベース部2Bに形成された2つの孔2fを通過して第1の回転ノブ2の外部に排出される。
【0054】
又、本実施の形態では、第1の回転ノブ2の内部に収容される操作ノブ4のフランジ部4Bに防水部材23の一端を取り付ける構成を採用したため、スイッチ装置1の外部に蛇腹状の防水部材を配置して操作ノブ4を覆う必要がなく、又、操作ノブ4自体をゴム製とする必要がないため、スイッチ装置1の操作機構が限定されることなく、外観性も高められる。
【0055】
その他、本実施の形態に係るスイッチ装置1においては、プッシュ操作されるスライダ9を2つに分割された第1及び第2のベース部材12,13の間の空間に配置するようにしたため、該スライダ9を操作位置に保持するためのカム機構を効率良く配置することができ、構造の大型化を招くことなくオルタネイト型のプッシュスイッチ機構を構成することができる。
【0056】
又、第1及び第2のスライド部材14,15にライトスイッチ回路20とフラッシャスイッチ回路22の配置面を大きく取ることができるため、例えばスイッチ装置1を車両用として使用する場合には、ハザードスイッチ等のように2つのサイドランプを点滅させる回路を2つ配置することが可能となる。
【0057】
更に、第1及び第2のベース部材12,13の外面を利用して、第1及び第2の回転ノブ2,3によってそれぞれ切り替えられるライトスイッチとフラッシャスイッチを構成することができるため、複数のスイッチ機能を備えたスイッチ装置1の小型化を図ることができる。
【0058】
又、本実施の形態では、操作ノブ4の操作力をスライダ9に伝達する操作ロッド7を第1のロータ5内に挿通保持するとともに、第1のロータ5の軸筒部5Aで第2のロータ6を回転可能に軸支し、操作ノブ4と第1及び第2のロータ5,6を同軸上に配置する構成を採用したため、スイッチ装置1の径方向寸法を小さく抑えてその小型化を図ることができるという効果が得られる。
【符号の説明】
【0059】
1 スイッチ装置
2 第1の回転ノブ
2A 第1の回転ノブのグリップ部
2B 第1の回転ノブのベース部
2a 第1の回転ノブの貫通孔
2b 第1の回転ノブの挿通孔
2c ベース部の円筒部
2d 第1の回転ノブの押圧リブ
2e,2f 第1の回転ノブの孔部
2g 第1の回転ノブの突部
3 第2の回転ノブ
4 操作ノブ
4A 操作ノブの操作部
4B 操作ノブのフランジ部
4a 操作ノブの凹溝
4b 操作ノブのロッド連結部
4c コイルスプリング
5 第1のロータ(回転軸部)
5A 第1のロータの軸筒部
5B 第1のロータのアーム部
5a 第1のロータの係合溝
5b 第1のロータのピン
5c 第1のロータのロッド挿通孔
6 第2のロータ(回転軸部)
6A 第2のロータの円筒部
6B 第2のロータのアーム部
6a 第2のロータの係合溝
6b 第2のロータのピン
7 操作ロッド(摺動軸部)
8 スイッチボディ
8a スイッチボディの円筒部
9 スライダ
10 カバー
10a カバーのコネクタ接続部
11 スライドベース
11a スライドベースのスライド挿入孔
11b スライドベースの円筒部
12 第1のベース部材
12a 第1のベース部材のカム溝
13 第2のベース部材
14 第1のスライド部材
14a 第1のスライド部材のガイドリブ
15 第2のスライド部材
15a 第2のスライド部材のガイドリブ
16 スプリング
17 軸
18 カムスプリング
18a カムスプリングの係合部
19 フラッシャ用端子
20 ライトスイッチ回路
21 ハザードスイッチ回路
22 フラッシャスイッチ回路
23 防水部材
23a 防水部材の鍔部
24 Oリング
25 スプリング
26 スチールボール
27 スプリング
28 スチールボール
29 取付用ナット
30 操作ユニット
δ 隙間部
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータリスイッチ機構とプッシュスイッチ機構を複合して1つのボディに内蔵して成るスイッチ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のヘッドランプやサイドランプを点灯させるための複数のスイッチ機能が備えられているコンビネーションスイッチには、ロータリスイッチ機構とプッシュスイッチ機構を複合して1つのボディ(スイッチケース)に内蔵して成るものがある。
【0003】
スイッチ装置に関して、例えば特許文献1には、作動軸と共に回動するロータに保持された接点板と第1のターミナルベースの接点によって間欠駆動と低速駆動及び高速駆動の切替位置を選択する3つの切替スイッチを形成するとともに、ロータの接点板と第1のターミナルベースの抵抗膜によって可変抵抗を形成し、第2のターミナルベースの接点と操作軸の押圧部によって押圧される可動体に保持された接点板によってウォッシャスイッチを形成することによって小型化を図ったワイパースイッチのような複合スイッチの構成が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公平7−043905号公報
【特許文献2】特開2000−090781号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特にトラクタ等の農業機械に採用されるコンビネーションスイッチは雨水に晒されることが多いため、斯かるスイッチ装置には高い防水性を有する必要がある他、自動車に採用されるものよりもコンパクトな構造とすることが望まれている。
【0006】
雨水に晒されるスイッチ装置に高い防水性を確保するため、例えば特許文献2において提案されているように、蛇腹状の防水部材を操作ノブとスイッチ装置の外面との間に設けるようにすることが考えられているが、このような構成では、スイッチ装置が大型化する他、外観性が悪く、スイッチ装置の操作機構の配置が限定されてしまうという問題がある。
【0007】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、高い防水性と外観性を確保するとともに、機能性の向上を図ることができるスイッチ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、ロータリスイッチ機構を操作する回転ノブの中央に、プッシュスイッチ機構を操作する操作ノブを設け、前記回転ノブと前記操作ノブの各操作が軸部を介してスイッチボディ内に収容された前記ロータリスイッチ機構と前記プッシュスイッチ機構にそれぞれ伝達されるよう構成されたスイッチ装置において、
前記回転ノブを、前記操作ノブを保持するグリップ部と、前記軸部が挿入される貫通孔が形成されたベース部とで構成し、
前記操作ノブに一端が取り付けられ、他端が前記回転ノブの貫通孔の周縁に固定された防水部材を前記回転ノブ内に設け、
前記操作ノブと前記回転ノブ及び前記防水部材によって操作ユニットを構成し、該操作ユニットを前記回転ノブの貫通孔を介して前記軸部に取り付けたことを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記軸部を、前記回転ノブが取り付けられる回転軸部と、前記操作ノブが取り付けられる摺動軸部とで構成し、前記摺動軸部を前記回転軸部の内部を貫通して配設したことを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、前記防水部材の前記回転ノブへの固定を、前記回転ノブのベース部に形成された貫通孔の周縁と前記グリップ部とで防水部材の他端を挟持することによって行うことを特徴とする。
【0011】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3の何れかに記載の発明において、前記回転ノブのグリップ部の固定部と前記ベース部に孔部をそれぞれ形成するとともに、前記グリップ部又は前記ベース部の何れか一方の孔部は、他方の孔部に嵌合する突部に連接して設けられ、前記突部が他方の孔部に嵌合することによって、前記各孔部が連通して間隙部が形成されることを特徴とする。
【0012】
請求項5記載の発明は、請求項1〜4の何れかに記載の発明において、前記操作ノブに、前記回転ノブのグリップ部に形成された挿通孔を貫通して突出する操作部と、前記挿通孔よりも大径に形成され、前記回転ノブ内で前記グリップ部の内面に当接して当該操作ノブの抜け止めを図るフランジ部を設け、該フランジ部に前記防水部材の一端を取り付けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の発明によれば、操作ノブと回転ノブ及び防水部材によって操作ユニットを構成し、該操作ユニットを回転ノブの貫通孔を介して軸部に取り付けることにより、軸部と操作ユニット間への浸水を操作ユニット体内に配置された防水部材によって確実に防ぐことができる。
【0014】
請求項2記載の発明によれば、軸部を回転軸部と摺動軸部とで構成し、回転ノブが取り付けられる回転軸部内に操作ノブが取り付けられる摺動軸部が貫通して配設されるため、回転軸部と摺動軸部間への浸水を操作ユニットに軸部を取り付けるだけで、操作ユニット内に配置された防水部材によって防ぐことができる。そのため、Oリング等のシール部材を配設しなくても高い防水性を確保することができ、操作ノブの操作性が低下することがない。
【0015】
請求項3記載の発明によれば、防水部材の回転ノブへの固定を、回転ノブのベース部に形成された貫通孔の周縁とグリップ部とで防水部材の鍔部を挟持することによって該防水部材の鍔部(他端)を回転ノブに固定したため、防水部材の両端部の浮きを防止して、当該スイッチ装置内への浸水を確実に防ぐことができる。
【0016】
請求項4記載の発明によれば、回転ノブのグリップ部をベース部に嵌合させることによって、突部に連接して形成された一方の孔部と突部が嵌合する他方の孔部が連通することによって形成される間隙部を排水経路とすることができ、特別に排水経路を設ける必要がないため、スイッチ装置の構成を簡素化することができる。
【0017】
請求項5記載の発明によれば、回転ノブの内部に収容される操作ノブのフランジ部に防水部材の一端を取り付ける構成を採用したため、スイッチ装置の外部に蛇腹状の防水部材を配置して操作ノブを覆う必要がなく、又、操作ノブ自体をゴム製とする必要がないため、スイッチ装置の操作機構が限定されることなくスイッチ機構を」構成することが可能となり、スイッチ装置の外観性も高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係るスイッチ装置の縦断面図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】図2のB部拡大詳細図である。
【図4】本発明に係るスイッチ装置の分解斜視図である。
【図5】本発明に係るスイッチ装置の第1の回転ノブの操作系の構成を示す斜視図である。
【図6】本発明に係るスイッチ装置の第2の回転ノブの操作系の構成を示す斜視図である。
【図7】本発明に係るスイッチ装置のスライダを示す図であって、(a)は内面図、(b)は外面図、(c)は(a)のC−C線断面図である。
【図8】本発明に係るスイッチ装置の第1のベース部材を示す図であって、(a)は内面図、(b)は外面図、(c)は(b)のD−D線断面図である。
【図9】本発明に係るスイッチ装置の第2のベース部材を示す図であって、(a)は内面図、(b)は外面図、(c)は(b)のE−E線断面図である。
【図10】本発明に係るスイッチ装置のスライドベースを示す図であって、(a)は平面図、(b)は(a)のF−F線断面図である。
【図11】本発明に係るスイッチ装置の第1のロータを示す図であって、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図、(d)は(b)のG−G線断面図である。
【図12】本発明に係るスイッチ装置の第2のロータを示す図であって、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図、(d)は(b)のH−H線断面図である。
【図13】本発明に係るスイッチ装置の第1及び第2の回転ノブの操作角度を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0020】
図1は本発明に係るスイッチ装置の縦断面図、図2は図1のA−A線断面図、図3は図2のB部拡大詳細図、図4は同スイッチ装置の分解斜視図、図5は第1の回転ノブの操作系の構成を示す斜視図、図6は第2の回転ノブの操作系の構成を示す斜視図、図7はスライダを示す図であって、(a)は内面図、(b)は外面図、(c)は(a)のC−C線断面図、図8は第1のベース部材を示す図であって、(a)は内面図、(b)は外面図、(c)は(b)のD−D線断面図、図9は第2のベース部材を示す図であって、(a)は内面図、(b)は外面図、(c)は(b)のE−E線断面図、図10はスライドベースを示す図であって、(a)は平面図、(b)は(a)のF−F線断面図、図11は第1のロータを示す図であって、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図、(d)は(b)のG−G線断面図、図12は第2のロータを示す図であって、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図、(d)は(b)のH−H線断面図、図13は第1及び第2の回転ノブの操作角度を示すスイッチ装置の平面図である。
【0021】
本実施の形態に係るスイッチ装置1は、ハザードスイッチ機能とライトスイッチ機能及びフラッシャスイッチ機能の3つの機能を備えたコンビネーションスイッチであって、例えばトラクタ等の農業用機械に設置されるものである。
【0022】
図1に示すように、本実施の形態に係るスイッチ装置1は、同軸上に配された上下2段の第1の回転ノブ2と第2の回転ノブ3及び第1の回転ノブ2の中央に配された操作ノブ4を備えており、第1の回転ノブ2と第2の回転ノブ3は同軸上に配された軸部である第1のロータ5と第2のロータ6の各上端部に結着されている。又、操作ノブ4は押圧操作されるものであって、その中心部から下方に向かって垂直に延びる軸部としての操作ロッド(プッシュロッド)7はスイッチボディ8内に収容されたスライダ9に連結されている。
【0023】
ここで、第1の回転ノブ2は、操作ノブ4を保持するグリップ部2Aと、前記第1のロータ5が挿入される貫通孔2aが形成されたベース部2Bで構成されている。又、前記操作ノブ部4は、第1の回転ノブ2のグリップ部2Aの中央に形成された挿通孔2bを貫通して上方に突出する操作部4Aと、そのグリップ部2Aに形成された挿通孔2bよりも大径に形成され、第1の回転ノブ2内でグリップ部2Aに当接することによって当該操作ノブ4の抜けを防ぐフランジ4Bを有している。尚、図1において、4bは操作ロッド7が嵌合するロッド連結部、4cはそのロッド連結部4bを径方向に付勢して操作ロッド7の連結状態を補助するコイルスプリングである。
【0024】
前記スイッチボディ8は二重筒状に成形され、その上面の中心部には円筒部8aが上方に向かって一体に立設され、該スイッチボディ8の下面の開口部はカバー10によって塞がれており、カバー10の中央には下方に向かって延びる角筒状のコネクタ接続部10aが一体に形成されている。そして、スイッチボディ8内には、略有底筒状のスライドベース11が前記スイッチボディ8の内壁に嵌合する状態で収容されており、図10に示すように、スライドベース11の上壁の略中心部には矩形のスライド挿入孔11aが形成され、その両側には矩形の開口部11bがそれぞれ形成されている。
【0025】
図1に示すように、上記スライドベース11内の略中央には、前記操作ロッド7の下端に連結された前記スライダ9がスライドベース11の前記スライド挿入孔11aを貫通して上下動可能に収容されており、その両側には図1の紙面垂直方向に長い第1のベース部材12と第2のベース部材13が配され、これらの第1及び第2のベース部材12,13の外側であって、且つ、スライドベース11の内面部との間には第1のスライド部材14と第2のスライド部材15が図1の紙面垂直方向に摺動可能に配されている。
【0026】
上述のようにスライドベース11内には、スライダ9、第1及び第2のベース部材12,13、第1及び第2のスライド部材14,15が収容されているが、スライダ9は、第1及び第2のベース部材12,13の相対向する内面によって挟まれる空間に配置されている。そして、このスライダ9と操作ロッド7及び操作ノブ4は、スライダ9とカバー10との間に縮装されたスプリング16によって常時上方に付勢されている。
【0027】
ここで、上記スライダ9の第1のベース部材12の内面に対向する側には、図7(b)に示すように、軸17に巻装されたカムスプリング18が設けられており、このカムスプリング18の一端は当該スライダ9に係止され、他端(自由端)は第1のベース部材12側に向かって屈曲する係合部18a(図7(c)参照)を構成している。又、スライダ9の第2のベース部材13の内面に対向する面には、図7(a),(c)に示すように、3つのフラッシャ用端子19が横方向に適当な間隔で配置されている。
【0028】
又、前記第1のベース部材12のスライダ9に対向する内面には、図8(a)に示すように、カム部であるカム溝12aが形成されており、このカム溝12aにはスライダ9に設けられた前記カムスプリング18の係合部18aが係合している。これらのカムスプリング18とカム溝12aは、操作ノブ4の操作位置を保持するカム機構を構成しており、このカム機構によってオルタネイト型(プッシュオン・プッシュオフ型)のプッシュスイッチ機構が構成されている。即ち、操作ノブ4を一度押すと、該操作ノブ4は押し込まれた位置に保持され、次に操作ノブ4を押すと該操作ノブ4はスプリング16の付勢力によって元の位置に戻る。
【0029】
そして、第1のベース部材12の第1のスライド部材14に対向する外面には、図8(b)に示すように、第1のスライド部材14の摺動に連動して切り替えられるライトスイッチ回路20が設けられている。尚、このライトスイッチ回路20は、不図示のヘッドランプの点灯のON/OFF、Hiビーム及びLoビームの切り替えを行うためのものである。
【0030】
前記第2のベース部材13のスライダ9に対向する内面には、図9(a)に示すように、スライダ9の上下の摺動に連動して切り替えられるハザードスイッチ回路21が設けられている。又、第2のベース部材13の第2のスライド部材15に対向する外面には、図9(b),(c)に示すように、第2のスライド部材15の軸直角方向の摺動に連動して切り替えられるフラッシャスイッチ回路22が設けられている。尚、フラッシャスイッチ回路22は、不図示の左右のフラッシャランプの一方を選択的に点滅させるためのものである。
【0031】
ところで、図1、図2及び図4に示すように、第1の回転ノブ2のグリップ部2Aの内部には、グリップ部2Aと共に一体に回転する前記ベース部2Bが設けられており、該ベース部2Bの中心部に垂直に立設された円筒部2cの外周には操作ノブ4が上下動可能にガイドされて嵌合している。そして、第1の回転ノブ2のグリップ部2Aとベース部2Bによって画成される空間内には円筒蛇腹状の防水部材23が配置されており、この防水部材23の上端内周部は操作ノブ4の外周に形成された凹溝4aに嵌着されている。
【0032】
更に、防水部材23の下端外周に形成された鍔部23aはベース部2Bの内底面上に載置され、第1の回転ノブ2の上壁内面から垂直下方に向かって形成された円筒状の押圧リブ2dとベース部2Bによって挟持されている。そのため、操作ノブ4は、防水部材23の付勢力によって、操作ロッド7に嵌合されていない状態でも、グリップ部2Aの挿通孔2bから突出するように構成される。尚、防水部材23の上端内周部を操作ノブ4の凹溝4aに嵌着したときにフランジ部4Bと略面一となるように下側よりも上側のフランジ部4Bを大径とすることが好ましい。このように構成することによって、高圧洗浄による水圧が掛かった場合でも防水部材23の上端内周部が凹溝4aから外れることを防止することができる。
【0033】
而して、前記第1のロータ5は、第1の回転ノブ2のベース部2Bの円筒部2cの内部に挿通嵌着され、その上端部外周には前述のように操作ノブ4が上下動可能に嵌合している。これにより、この嵌合部は防水部材23によって覆われてシールされるため、操作ノブ4と挿通孔2bとの隙間から浸入した水はその嵌合部に到達できず、更に操作ロッド7が貫通している第1のロータ5のロッド挿通孔5cにも到達できない。そのため、第1のロータ5と第1の回転ノブ2のベース部2Bの円筒部2cとの嵌合部及び第1のロータ5の操作ロッド7が貫通するロッド挿通孔5cへの水の浸入を防ぐことができる。これにより、操作ロッド7とロッド挿通孔5cとの間にはOリング等のシール部材を介在させる必要がないため、操作ノブ4の操作性を低下させることなく、高い防水性を達成することができる。尚、図1において、24は第1のロータ5と第2のロータ6、第1のロータ5と第1の回転ノブ2のベース部2Bの貫通孔2a及びスイッチボディ8と第2のロータ6の嵌合箇所からの水の浸入を更に防止するためのシール部材としてのOリングである。
【0034】
本実施の形態では、図1及び図2に示すように、操作ノブ4と第1の回転ノブ2及び防水部材23によって操作ユニット30が構成されており、該操作ユニット30は、第1の回転ノブ2(ベース部2B)の貫通孔2aを介して前記第1のロータ5の上端部外周に取り付けられている。
【0035】
ところで、本実施の形態では、図2及び図3に示すように、第1の回転ノブ2に形成された前記押圧リブ2dとベース部2Bの相対向する周方向2箇所には孔部2e,2fがそれぞれ形成されており、そのベース部2Bの孔部2fの上方には係合爪状の突部2gが形成されている。そして、2つの突部2gが押圧リブ2dの2つの孔部2eにそれぞれ嵌合することによって、第1の回転ノブ2を構成するベース部2Bがグリップ部2Aに結合一体化される。そして、2つの突部2gが押圧リブ2dの2つの孔部2eにそれぞれ嵌合することによって、第1の回転ノブ2を構成するベース部2Bがグリップ部2Aに結合一体化される。このように互いに係合する各突部2gに連接して形成された孔部2fと各孔部2eとが連通することにより、図示のように間隙部δがけ形成されるように構成している。即ち、第1の回転ノブ2を構成するベース部2Bとグリップ部2Aとを一体的に嵌合させるために形成される孔部2e,2fを利用して第1の回転ノブ2内に浸入した水を排水するための排水経路を形成している。
【0036】
尚、本実施の形態では、突部2gをベース部2B側に形成したが、押圧リブ2d側に突部2dを形成し、この突部2gをベース2B側の孔部2fに嵌合させる構成を採用しても良い。又、防水部材23の下端外周に形成された鍔部23aの一部に蛇腹部から鍔部23aの先端にかけて連通した凹状の排水溝を形成するか、円筒状の押圧リブ2dの一部に排水用の切欠部を形成しても良い。このように構成すれば、円筒状の押圧リブ2dとベース部2Bによって挟持されていても、鍔部23aに堆積した水も排出することができる。更に、突部2gの傾斜面に付着した水が孔部2fに向かって流れるように傾斜角度を設定することが好ましい。
【0037】
次に、第1及び第2のロータ5,6の構成について説明する。
【0038】
図1に示すように、第1のロータ5と第2のロータ6は、スライドベース11の外部において同軸上に相対回転可能に配置されており、第1のロータ5は、図11に示すように、上下方向に延びる円筒状の軸筒部5Aと、該軸筒部5Aの下端に形成されたクランク状のアーム部5Bとで構成されており、軸筒部5Aの内部には操作ロッド7が挿通する操作ロッド相通孔5cが形成されている(図1参照)。
【0039】
第1のロータ5の上記アーム部5Bの上面には波形の複数の係合溝5aが形成され、下面にはピン5bが垂直下方に向かって一体に突設されている。図1に示すように、第1のロータ5のアーム部5Bはスイッチボディ8内に収容されており、該アーム部5Bに形成された係合溝5aの1つには、スプリング25によって付勢されたスチールボール26が係合している。ここで、係合溝5aとこれに係合するスチールボール26及び該スチールボール26を付勢するスプリング25はクリック機構を構成しており、このクリック機構によって第1の回転ノブ2の回転にクリック感が付与される。
【0040】
又、図5に示すように、第1のロータ5のアーム部5Bに形成された前記ピン5bは、図10に示すスライドベース11に形成された開口部11bを貫通してスライドベース11内に臨んでおり、このピン5bは、スライドベース11の内部に収容された前記第1のスライド部材14の上面に平行に立設された一対のガイドリブ14a間に係合している。これによって第1の回転ノブ2によって操作される第1のロータ5の回転は、第1のスライド部材14の軸直角方向の直線的な摺動に変換される。
【0041】
他方、第2のロータ6は、図12に示すように、上下方向に延びる円筒部6Aと、該円筒部6Aの下端に形成されたクランク状のアーム部6Bとで構成されている。ここで、第2のロータ6の円筒部6Aは第1のロータ5の軸筒部5Aよりも大径であって、その内部に第1のロータ5が挿通することによって第2のロータ6が第1のロータ5の軸筒部5Aによって回転可能に軸支されている(図1参照)。
【0042】
第2のロータ6の前記アーム部6Bの上面には波形の複数の係合溝6aが形成され、下面にはピン6bが垂直下方に向かって一体に突設されている。図1に示すように、第2のロータ6のアーム部6Bはスイッチボディ8内に収容されており、該アーム部8Bに形成された係合溝6aの1つには、スプリング27によって付勢されたスチールボール28が係合している。ここで、係合溝6aとこれに係合するスチールボール28及び該スチールボール28を付勢するスプリング27はクリック機構を構成しており、このクリック機構によって第2の回転ノブ3の回転にクリック感が付与される。
【0043】
又、図6に示すように、第2のロータ6のアーム部6Bに形成された前記ピン6bは、図8に示すスライドベース11に形成された開口部11bを貫通してスライドベース11内に臨んでおり、このピン6bは、スライドベース11の内部に収容された前記第2のスライド部材15の上面に平行に立設された一対のガイドリブ15a間に係合している。これによって第2の回転ノブ3によって操作される第2のロータ6の回転は、第2のスライド部材15の軸直角方向の直線的な摺動に変換される。即ち、本実施の形態に係るスイッチ装置1では、第1及び第2のベース部材12,13のプッシュスイッチ機構の反対の面にライトスイッチ回路20とフラッシャスイッチ回路22を配置し、プッシュスイッチ機構とは直交する方向に直線的に摺動するスライドスイッチ機構により、第1の回転ノブ2と第2の回転ノブ3によるスイッチ機構を構成している。そのため、スイッチボディ8の平面方向に第1の回転ノブ2によるロータリスイッチ機構と、第2の回転ノブ3によるロータリスイッチ機構をそれぞれ設けるよりも、ハザードスイッチ回路21によって形成されるスペースを利用して、ライトスイッチ回路20とフラッシャスイッチ回路22の配置面を効率的に形成することができる。従って、複数のスイッチ回路を集約して配置することができるため、スイッチボディ8を小型化することが可能となる。
【0044】
尚、図1に示すように、スイッチボディ8の上部に立設された円筒部8aの外周には取付用ナット29が螺合しており、この取付用ナット29を締め付けることによって当該スイッチ装置1を所定の箇所に取り付けることができる。
【0045】
次に、以上のように構成されたスイッチ装置1の作用について説明する。
【0046】
本実施の形態に係るスイッチ装置1は、前述のようにハザードスイッチ機能とライトスイッチ機能及びフラッシャスイッチ機能の備えるものであって、例えばハザードランプを点滅させるには、操作ノブ4を1回だけ押し込む。すると、操作ノブ4の押し込みは操作ロッド7を経てスライダ9に伝達され、該スライダ9がスプリング16の付勢力に抗して下方へと摺動し、これらの操作ノブ4と操作ロッド7及びスライダ9がカム機構によってその位置に保持され、スライダ9に設けられたフラッシャ用端子19(図7(a),(b)参照)が第2のベース部材13の内面に設けられたフラッシャスイッチ回路22と導通してハザードランプを点滅させる。
【0047】
そして、上記状態から操作ノブ4を再度押し込むと、カム機構の作用によって該操作ノブ4と操作ロッド7及びスライダ9がスプリング16の付勢力によって上動して図1に示す元の位置に戻されるため、スライダ9に設けられたフラッシャ用端子19と第2のベース部材15の内面に設けられたフラッシャスイッチ回路22との導通が遮断され、ハザードランプの点滅が停止される。
【0048】
又、第1の回転ノブ2を回すと、第1のロータ5が一体的に回転し、その回転は前述のように第1のスライド部材14の軸直角方向(図1の紙面垂直方向)の摺動に変換されるため、該第1のスライド部材14の摺動によって第1のベース部材12の外面に設けられたライトスイッチ回路20が切り替えられ、前述のようにヘッドランプの点灯のON/OFF、Hiビーム及びLoビームの切り替えが行われる。即ち、第1の回転ノブ2が図13に示すOFF位置にあるときにはヘッドランプが消灯され、第1の回転ノブ2をOFF位置から図13の時計方向に図示の角度α(本実施の形態では30°)だけ回すとヘッドランプがLoビームに切り替えられ、そこから更に角度αだけ時計方向に回すとヘッドランプがHiビームに切り替えられる。尚、前述のように第1の回転ノブ2の回転にはクリック機構によってクリック感が付与される。
【0049】
他方、第2の回転ノブ3を回すと、第2のロータ6が第1のロータ5の軸筒部5Aを中心として一体的に回転し、その回転は前述のように第2のスライド部材15の軸直角方向(図1の紙面垂直方向)の摺動に変換されるため、該第2のスライド部材15の摺動によって第2のベース部材15の外面に設けられたフラッシャスイッチ回路22が切り替えられ、左右のフラッシャランプの点滅が切り替えられる。即ち、第2の回転ノブ3を中立位置Nから図13に示す角度β(本実施の形態では20°)だけ時計方向にR位置まで回すと右側のフラッシャランプが点滅し、中立位置Nから角度βだけ反時計方向にL位置まで回すと左側のフラッシャランプが点滅する。尚、前述のように第2の回転ノブ3の回転にもクリック機構によってクリック感が付与される。
【0050】
以上において、本実施の形態では、操作ノブ4と第1の回転ノブ2及び防水部材23によって操作ユニット30を構成し、該操作ユニット30を第1の回転ノブ2の貫通孔2aを介して第1のロータ5の上端部外周に取り付けたため、操作ノブ4と挿通孔2bとの隙間から第1のロータ5と操作ユニット体30の隙間への浸水を確実に防ぐことができる。
【0051】
又、本実施の形態では、軸部を回転軸部である第1及び第2のロータ5,6と摺動軸部である操作ロッド7とで構成し、第1の回転ノブ2を第1のロータ5に取り付け、操作ノブ4を操作ロッド7に取り付けたため、操作ノブ4と挿通孔2bとの隙間から操作ロッド7とロッド挿通孔5cの隙間を介してスイッチボディ8内への浸水を操作ロッド7とロッド挿通孔5c間にOリング等のシール部材を配設しなくても防ぐことができる。そのため、操作ノブ4の操作性を低下させることなく、高い防水性を確保することができる。
【0052】
更に、本実施の形態では、防水部材23の第1の回転ノブ2への固定を、第1の回転ノブ2のベース部2Bの内底面とグリップ部2Aに形成された押圧リブ2dとで防水部材23の鍔部23aを挟持することによって該防水部材23の鍔部(他端)23aを第1の回転ノブ2に固定したため、操作ユニット30として組み立てたものを第1のロータ5に取り付けるだけで、操作ノブ4と第1のロータ5との隙間から当該スイッチ装置1内への浸水を確実に防ぐことができる。
【0053】
そして、本実施の形態では、第1の回転ノブ2のグリップ部2Aをベース部2Bに突部2gと孔部2eとの嵌合によって取り付ける際に突部2gに連接された孔部2fと孔部2eとが連通して形成される間隙部δ(図3参照)が排水経路を構成することにより、グリップ部2Aとベース部2Bとの嵌合部が排水経路を兼用するため、操作ノブ4の構成を簡素化することができる。尚、図2に矢印にて排出経路を示すように、操作ノブ4と第1の回転ノブ2の挿通孔2bとの隙間から第1の回転ノブ2の内部に浸入した水は,押圧リブ2dに形成された2つの孔部2eとベース部2Bに形成された2つの孔2fを通過して第1の回転ノブ2の外部に排出される。
【0054】
又、本実施の形態では、第1の回転ノブ2の内部に収容される操作ノブ4のフランジ部4Bに防水部材23の一端を取り付ける構成を採用したため、スイッチ装置1の外部に蛇腹状の防水部材を配置して操作ノブ4を覆う必要がなく、又、操作ノブ4自体をゴム製とする必要がないため、スイッチ装置1の操作機構が限定されることなく、外観性も高められる。
【0055】
その他、本実施の形態に係るスイッチ装置1においては、プッシュ操作されるスライダ9を2つに分割された第1及び第2のベース部材12,13の間の空間に配置するようにしたため、該スライダ9を操作位置に保持するためのカム機構を効率良く配置することができ、構造の大型化を招くことなくオルタネイト型のプッシュスイッチ機構を構成することができる。
【0056】
又、第1及び第2のスライド部材14,15にライトスイッチ回路20とフラッシャスイッチ回路22の配置面を大きく取ることができるため、例えばスイッチ装置1を車両用として使用する場合には、ハザードスイッチ等のように2つのサイドランプを点滅させる回路を2つ配置することが可能となる。
【0057】
更に、第1及び第2のベース部材12,13の外面を利用して、第1及び第2の回転ノブ2,3によってそれぞれ切り替えられるライトスイッチとフラッシャスイッチを構成することができるため、複数のスイッチ機能を備えたスイッチ装置1の小型化を図ることができる。
【0058】
又、本実施の形態では、操作ノブ4の操作力をスライダ9に伝達する操作ロッド7を第1のロータ5内に挿通保持するとともに、第1のロータ5の軸筒部5Aで第2のロータ6を回転可能に軸支し、操作ノブ4と第1及び第2のロータ5,6を同軸上に配置する構成を採用したため、スイッチ装置1の径方向寸法を小さく抑えてその小型化を図ることができるという効果が得られる。
【符号の説明】
【0059】
1 スイッチ装置
2 第1の回転ノブ
2A 第1の回転ノブのグリップ部
2B 第1の回転ノブのベース部
2a 第1の回転ノブの貫通孔
2b 第1の回転ノブの挿通孔
2c ベース部の円筒部
2d 第1の回転ノブの押圧リブ
2e,2f 第1の回転ノブの孔部
2g 第1の回転ノブの突部
3 第2の回転ノブ
4 操作ノブ
4A 操作ノブの操作部
4B 操作ノブのフランジ部
4a 操作ノブの凹溝
4b 操作ノブのロッド連結部
4c コイルスプリング
5 第1のロータ(回転軸部)
5A 第1のロータの軸筒部
5B 第1のロータのアーム部
5a 第1のロータの係合溝
5b 第1のロータのピン
5c 第1のロータのロッド挿通孔
6 第2のロータ(回転軸部)
6A 第2のロータの円筒部
6B 第2のロータのアーム部
6a 第2のロータの係合溝
6b 第2のロータのピン
7 操作ロッド(摺動軸部)
8 スイッチボディ
8a スイッチボディの円筒部
9 スライダ
10 カバー
10a カバーのコネクタ接続部
11 スライドベース
11a スライドベースのスライド挿入孔
11b スライドベースの円筒部
12 第1のベース部材
12a 第1のベース部材のカム溝
13 第2のベース部材
14 第1のスライド部材
14a 第1のスライド部材のガイドリブ
15 第2のスライド部材
15a 第2のスライド部材のガイドリブ
16 スプリング
17 軸
18 カムスプリング
18a カムスプリングの係合部
19 フラッシャ用端子
20 ライトスイッチ回路
21 ハザードスイッチ回路
22 フラッシャスイッチ回路
23 防水部材
23a 防水部材の鍔部
24 Oリング
25 スプリング
26 スチールボール
27 スプリング
28 スチールボール
29 取付用ナット
30 操作ユニット
δ 隙間部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータリスイッチ機構を操作する回転ノブの中央に、プッシュスイッチ機構を操作する操作ノブを設け、前記回転ノブと前記操作ノブの各操作が軸部を介してスイッチボディ内に収容された前記ロータリスイッチ機構と前記プッシュスイッチ機構にそれぞれ伝達されるよう構成されたスイッチ装置において、
前記回転ノブを、前記操作ノブを保持するグリップ部と、前記軸部が挿入される貫通孔が形成されたベース部とで構成し、
前記操作ノブに一端が取り付けられ、他端が前記回転ノブの貫通孔の周縁に固定された防水部材を前記回転ノブ内に設け、
前記操作ノブと前記回転ノブ及び前記防水部材によって操作ユニットを構成し、該操作ユニットを前記回転ノブの貫通孔を介して前記軸部に取り付けたことを特徴とするスイッチ装置。
【請求項2】
前記軸部を、前記回転ノブが取り付けられる回転軸部と、前記操作ノブが取り付けられる摺動軸部とで構成し、前記摺動軸部を前記回転軸部の内部を貫通して配設したことを特徴とする請求項1記載のスイッチ装置。
【請求項3】
前記防水部材の前記回転ノブへの固定を、前記回転ノブのベース部に形成された貫通孔の周縁と前記グリップ部とで防水部材の他端を挟持することによって行うことを特徴とする請求項1又は2記載のスイッチ装置。
【請求項4】
前記回転ノブのグリップ部の固定部と前記ベース部に孔部をそれぞれ形成するとともに、前記グリップ部又は前記ベース部の何れか一方の孔部は、他方の孔部に嵌合する突部に連接して設けられ、前記突部が他方の孔部に嵌合することによって、前記各孔部が連通して間隙部が形成されることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のスイッチ装置。
【請求項5】
前記操作ノブに、前記回転ノブのグリップ部に形成された挿通孔を貫通して突出する操作部と、前記挿通孔よりも大径に形成され、前記回転ノブ内で前記グリップ部の内面に当接して当該操作ノブの抜け止めを図るフランジ部を設け、該フランジ部に前記防水部材の一端を取り付けたことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のスイッチ装置。
【請求項1】
ロータリスイッチ機構を操作する回転ノブの中央に、プッシュスイッチ機構を操作する操作ノブを設け、前記回転ノブと前記操作ノブの各操作が軸部を介してスイッチボディ内に収容された前記ロータリスイッチ機構と前記プッシュスイッチ機構にそれぞれ伝達されるよう構成されたスイッチ装置において、
前記回転ノブを、前記操作ノブを保持するグリップ部と、前記軸部が挿入される貫通孔が形成されたベース部とで構成し、
前記操作ノブに一端が取り付けられ、他端が前記回転ノブの貫通孔の周縁に固定された防水部材を前記回転ノブ内に設け、
前記操作ノブと前記回転ノブ及び前記防水部材によって操作ユニットを構成し、該操作ユニットを前記回転ノブの貫通孔を介して前記軸部に取り付けたことを特徴とするスイッチ装置。
【請求項2】
前記軸部を、前記回転ノブが取り付けられる回転軸部と、前記操作ノブが取り付けられる摺動軸部とで構成し、前記摺動軸部を前記回転軸部の内部を貫通して配設したことを特徴とする請求項1記載のスイッチ装置。
【請求項3】
前記防水部材の前記回転ノブへの固定を、前記回転ノブのベース部に形成された貫通孔の周縁と前記グリップ部とで防水部材の他端を挟持することによって行うことを特徴とする請求項1又は2記載のスイッチ装置。
【請求項4】
前記回転ノブのグリップ部の固定部と前記ベース部に孔部をそれぞれ形成するとともに、前記グリップ部又は前記ベース部の何れか一方の孔部は、他方の孔部に嵌合する突部に連接して設けられ、前記突部が他方の孔部に嵌合することによって、前記各孔部が連通して間隙部が形成されることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のスイッチ装置。
【請求項5】
前記操作ノブに、前記回転ノブのグリップ部に形成された挿通孔を貫通して突出する操作部と、前記挿通孔よりも大径に形成され、前記回転ノブ内で前記グリップ部の内面に当接して当該操作ノブの抜け止めを図るフランジ部を設け、該フランジ部に前記防水部材の一端を取り付けたことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のスイッチ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−33357(P2012−33357A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−171243(P2010−171243)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【出願人】(000138462)株式会社ユーシン (241)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【出願人】(000138462)株式会社ユーシン (241)
【Fターム(参考)】
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