説明

スイッチ

【課題】対称な位置関係で設置されるスイッチの共通化を図ること。
【解決手段】スイッチベース10と、このスイッチベース10に設けられた接点部20と、この接点部20の切り替え操作を行う操作ノブ30と、を備え、前記スイッチベース10および前記操作ノブ30のいずれか一方には、他方側に突出した一の回動支持軸31が、他方には、前記回動支持軸31が係合可能な第一軸係合部121および第二軸係合部122が設けられ、前記スイッチベース10の平面方向で見て、前記第一軸係合部121の中心と前記接点部20の中心の距離は、前記第二軸係合部122の中心と前記接点部20の中心の距離と等しく設定され、前記操作ノブ30は、第一軸係合部121および第二軸係合部122のいずれか一方に係合された前記回動支持軸31によって前記スイッチベース10上で回動自在に支持された状態で、前記接点部20に連結されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対称な位置関係で設置される装置に好適に用いられるスイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
車両用シートの背もたれや着座部を任意の角度や位置に調整するパワーシート装置が知られている。この種のパワーシート装置に用いられるスイッチは、通常、右座席ではシートの右側に、左座席ではシートの左側に設けられる。この場合、右座席と左座席のスイッチの操作性を共通化するため、操作ノブなどは左右対称に配置しなければならない。つまり、スイッチ本体の中心軸線からずれて配置される部品などは、右座席用と左座席用の二種類が必要となる。
【0003】
特許文献1には、この種のパワーシート装置に用いられるスイッチであって、左座席(左ハンドル)用スイッチと右座席(右ハンドル)用スイッチの本体ケースの共通化を図った構成が開示されている。かかる構成は、スイッチ素子(接点)が係合可能な小ケースと称される部材を、本体ケースの中心軸線に関し対称となる位置(二箇所)のいずれか一方に、選択的に配置できるよう本体ケースが形成されたものである。これによれば、小ケースを一方の位置に配置した場合には左座席用として用いることができるスイッチが得られ、他方の位置に配置した場合には右座席用として用いることができるスイッチが得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平2−69436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の構成は、左座席用スイッチと右座席用スイッチの本体ケースを共通化することができるだけであって、その他の部材全ての共通化が図れるものではない(その点についての具体的な開示がない)。また、小ケースと称される新たな部材を追加することが必要であり、コストダウンの効果としては不十分である。
【0006】
上記実情に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、対称な位置関係で設置されるスイッチの共通化を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明にかかるスイッチは、スイッチベースと、このスイッチベースに設けられた接点部と、この接点部の切り替え操作を行う操作ノブと、を備え、前記スイッチベースおよび前記操作ノブのいずれか一方には、他方側に突出した一の回動支持軸が、他方には、前記回動支持軸が係合可能な第一軸係合部および第二軸係合部が設けられ、前記スイッチベースの平面方向で見て、前記第一軸係合部の中心と前記接点部の中心の距離は、前記第二軸係合部の中心と前記接点部の中心の距離と等しく設定され、前記操作ノブは、第一軸係合部および第二軸係合部のいずれか一方に係合された前記回動支持軸によって前記スイッチベース上で回動自在に支持された状態で、前記接点部に連結されていることを要旨とする。
【0008】
本発明にかかるスイッチは、回動支持軸が係合される軸係合部を二つ設けておき(第一軸係合部と第二軸係合部)、このうちいずれか一方を用いて操作ノブを回動支持軸に回動自在に支持させる。第一軸係合部と第二軸係合部は、一の接点部の中心から等距離にあるから、どちらの軸係合部を使用することも可能である。つまり、本発明にかかるスイッチは、車両用シートのパワーシート装置など、対称な位置関係で設置される装置に対し、一方(右側)の装置では第一軸係合部を用いて操作ノブを回動自在に支持させ、他方(左側)の装置では第二軸係合部を用いて操作ノブを回動自在に支持させる、といったように切り替えが可能である。このように、操作ノブを回動自在に支持する位置を変化させることができるため、対称な位置関係にある両方の装置に適用可能となる。特に、本発明は、対称な位置関係にある両方の装置に適用可能な構成であるにも拘わらず、一つの接点部を共通して使用することができることから、コストダウン(構造の簡略化)に資する。
【0009】
また、前記スイッチベースの平面方向で見て、前記第一軸係合部の中心と前記第二軸係合部の中心は、前記接点部の中心を対称中心として互いに点対称に設定されているとよい。
【0010】
第一軸係合部の中心と第二軸係合部の中心が、回動支持軸の中心を対称中心として互いに点対称であると、第一軸係合部の中心、第二軸係合部の中心、および回動支持軸の中心が一直線上に位置する。そのため、使用しない他方の軸係合部を操作ノブで覆い隠すことができる。すなわち、意匠性に優れたスイッチとすることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、スイッチベースあるいは操作ノブに設けられる第一軸係合部と第二軸係合部のいずれか一方を用いて、回動支持軸に操作ノブを回動自在に支持させることができるため、対称な位置関係で設置されるスイッチの共通化を図ることができる。また、いずれの態様で使用される場合であっても、一つの接点部を利用することができる(接点部が従来に比べて増加することがない)構成であるため、コストダウン(構造の簡略化)に資する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第一の実施形態にかかるスイッチの上面図であって、第一軸係合部に回動支持軸を係合させた態様を示した図である。
【図2】本発明の第一の実施形態にかかるスイッチの上面図であって、第二軸係合部に回動支持軸を係合させた態様を示した図である。
【図3】図1におけるA−A線断面図(ハッチングは省略)である。
【図4】図1におけるB−B線断面図(ハッチングは省略)である。
【図5】図1におけるC−C線断面図(ハッチングは省略)である。
【図6】図1に示した構成において、操作ノブを回動操作した場合における操作軸などの動きを説明するための概略図であり、図6(a)は操作ノブが原位置にある状態、図6(b)は操作ノブを左方向に回動させた状態、図6(c)は操作ノブを右方向に回動させた状態を示す。
【図7】本発明の第二の実施形態にかかるスイッチの上面図であって、第一軸係合部に回動支持軸を係合させた態様を示した図である。
【図8】本発明の第二の実施形態にかかるスイッチの上面図であって、第二軸係合部に回動支持軸を係合させた態様を示した図である。
【図9】スイッチベースに回動支持軸が設けられた変形例(第一の実施形態の変形例)の断面図(ハッチングは省略)である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態にかかるスイッチについて図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明において、単に軸方向とはスイッチベースの長手方向(図1および図2におけるX軸方向)をいい、単に幅方向とはスイッチベースの短手方向(図1および図2におけるY軸方向)をいい、単に上下方向とは軸方向および幅方向に直交する方向(図3〜図5における上下方向)をいう(操作ノブが配置される側を上とする)。
【0014】
本発明の第一の実施形態にかかるスイッチ1は、車両用シートのパワーシート装置に適用されるスイッチである。スイッチ1は、左座席のパワーシート装置(左座席の左側面に取り付けられる)、および、右座席のパワーシート装置(右座席の右側面に取り付けられる)の両方に適用できるものであり、シートの背もたれの角度調整(リクライニング操作)に用いられるリクライニングスイッチ部2と、シートの着座部のスライド操作や角度調整を行うスライドスイッチ部90と、を備える。
【0015】
リクライニングスイッチ部2は、スライドスイッチ部90と共通のスイッチベース10と、このスイッチベース10に設けられた接点部20と、接点部20の切り替え操作を行う操作ノブ30と、を備える。
【0016】
スイッチベース10は、内部に所定の大きさの空間が形成された直方体の箱状の部材であり、各断面図に示すように、ベース板11と、このベース板11を覆う本体部12と、を有する。ベース板11上には、基板111が配置されている。この基板111上には、接点部20が配置されている。本体部12の上側には、操作ノブ30が配置されている。
【0017】
本体部12の上壁には、貫通穴123が形成されている。貫通穴123は、スイッチベース10を幅方向に二分する直線L上に位置する。詳細を後述する接点部20の操作軸24は、この貫通穴123を通じて本体部12の上壁から上方に突出している。かかる貫通穴123は、操作軸24の可動範囲に合わせた大きさに形成されている。そのため、スイッチベース10内部に塵などが入り込まないよう、貫通穴123と操作軸24の隙間は図示されないカバーで覆われている。このカバーは、操作軸24の動きを妨げることのない可撓性材料で形成されている。また、本体部12の上壁には、第一軸係合部121および第二軸係合部122が形成されており、詳細を後述する操作ノブ30に形成された回動支持軸31が、この第一軸係合部121および第二軸係合部122のいずれか一方に係合される。
【0018】
接点部20は、基板111上に固定された固定接点21、および、この固定接点21に対して揺動自在に設けられた可動接点22を有する。可動接点22には、接点操作凸部23が当接しており、この接点操作凸部23が図4における左側に移動することによって可動接点22が左側に傾き、固定接点21の左側と可動接点22の左側が接触し、当該接点がオン状態となる。また、接点操作凸部23が図4における右側に移動することによって可動接点22が右側に傾き、固定接点21の右側と可動接点22の右側が接触し、当該接点がオン状態となる。また、接点部20は、上方に延びる操作軸24を有する。この操作軸24の下端に接点操作凸部23が固定されている。したがって、接点操作凸部23は操作軸24と共に移動する。すなわち、操作軸24を操作することによって、上記接点の切り替え(三つの状態の切り替え;左側の接点がオン状態/右側の接点がオン状態/オフ状態)が可能である。
【0019】
なお、本実施形態にかかるスイッチ1を含むスイッチユニットが搭載されたパワーシート装置では、左側の接点および右側の接点の一方がオン状態となることによって背もたれが後方に傾倒し、他方がオン状態となることによって背もたれが前方に起立するように設定される。
【0020】
操作ノブ30には、回動支持軸31および接点連結部32が形成されている。操作ノブ30の中央に接点連結部32が形成され、操作ノブ30の一方側に回動支持軸31が形成されている。この接点連結部32の軸線と回動支持軸31の軸線との距離は、スイッチベース10の貫通穴123の軸線と第一軸係合部121の軸線との距離、および、貫通穴123の軸線と第二軸係合部122の軸線との距離に等しい。
【0021】
回動支持軸31は、操作ノブ30の内底面からスイッチベース10側に突出して形成されている。この回動支持軸31がスイッチベース10の第一軸係合部121および第二軸係合部122のいずれか一方に係合されることにより、操作ノブ30はスイッチベース10上で回動自在に支持される。すなわち、操作ノブ30の回動中心軸は、第一軸係合部121の軸線あるいは第二軸係合部122の軸線と略一致する。
【0022】
接点連結部32は、操作ノブ30の内底面中央からスイッチベース10側に突出して形成された筒状の部分である。この接点連結部32に接点部20の操作軸24が連結されている。操作ノブ30を回動支持軸31を支点として回動させると、接点連結部32を介して操作軸24が移動する。これにより接点が切り替えられる。なお、操作軸24は、貫通穴123に挿通されているため、この貫通穴123の大きさの範囲内(操作軸24が貫通穴123の内面によって移動が規制される範囲内)で移動可能である。すなわち、操作ノブ30の回動範囲は、貫通穴123の大きさによって規制され、この回動範囲内において接点が切り替え可能に構成されている。
【0023】
このような構成のスイッチ1において、スイッチベース10の平面(XY平面)方向で見て、第一軸係合部121の中心P1(第一軸係合部121の軸線とXY平面の交点)と第二軸係合部122の中心P2(第二軸係合部122の軸線とXY平面の交点)は、接点部20の中心P3を対称中心として互いに点対称に設定されている。なお、「接点部の中心」とは、XY平面における固定接点21の左側および固定接点21の右側と等距離にある点をいう(以下同じ)。第一軸係合部121の中心P1と第二軸係合部122の中心P2は、スイッチベース10を幅方向に二分する直線Lを対称軸として線対称でもある。したがって、第一軸係合部121の中心P1と接点部20の中心P3との距離M1は、第二軸係合部122の中心P2と接点部20の中心P3との距離M2と等しく、第一軸係合部121の中心P1、第二軸係合部122の中心P2、および、接点部20の中心P3は一直線上に位置する。また、本実施形態では、第一軸係合部121の中心P1、第二軸係合部122の中心P2、および、接点部20の中心P3を繋ぐ直線は、スイッチベース10を幅方向に二分する直線Lと直交する。
【0024】
以上のようにスイッチ1では、第一軸係合部121の中心P1と第二軸係合部122の中心P2は、接点部20の中心P3を対称中心として互いに点対称に設定され、第一軸係合部121の中心P1と接点部20の中心P3との距離M1は、第二軸係合部122の中心P2と接点部20の中心P3との距離M2と等しくなっているため、図1に示すように操作ノブ30の回動支持軸31を第一軸係合部121に係合させることもできるし、図2に示すように第二軸係合部122に係合させることもできる。このように、予め設けられた二つの軸係合部のうち、使用する軸係合部を任意に選択することができる。すなわち、操作ノブ30の回動中心を二種類から任意に選択することができる。
【0025】
したがって、本実施形態にかかるスイッチ1は、操作ノブ30の取付方向を変えることにより、対称な位置関係にある左座席用のパワーシート装置および右座席用のパワーシート装置の両方に適用可能である。すなわち、一方のパワーシート装置には第一軸係合部121を使用した構成のスイッチ1を適用し、一方のパワーシート装置と対称な他方のパワーシート装置には第二軸係合部122を使用した構成のスイッチ1を適用することができる。そしてこの場合、どちらのパワーシート装置においても、操作ノブ30の上部が可動側端部となるように設定される。つまり、どちらのパワーシート装置においても、接点の切り替え操作を行う際、操作ノブ30の上部を持って操作ノブ30を回動(揺動)させる。このように、本実施形態によれば、操作ノブ30の操作方向(操作性)の共通化も達成される。
【0026】
さらに、本実施形態では、接点部20の中心P3は、第一軸係合部121の中心P1および第二軸係合部122の中心P2から等距離にあるから、いずれの軸係合部を使用した場合であっても当該一つの接点部20を使用することが可能である。つまり、本実施形態にかかるスイッチ1は、操作ノブ30の回動中心軸を移動させることにより対称な位置関係で設置されるスイッチの共通化を可能とし、かつ、両態様において一つの接点部20を共有することを可能とする。
【0027】
また、本実施形態では、第一軸係合部121の中心P1と第二軸係合部122の中心P2は、接点部20の中心P3を対称中心として互いに点対称に設定され、第一軸係合部121の中心P1、第二軸係合部122の中心P2、および、接点部20の中心P3は一直線上に位置する。したがって、図1、図2、および図6に示されるように、操作ノブ30によって、使用されない他方の軸係合部が覆われる構成とすることができる。具体的には、操作ノブ30を、回動支持軸31が形成されていない側に十分に大きくすれば(操作ノブ30の回動範囲内において、使用されない他方の軸係合部が、未使用係合部覆部33に常に重なるようにすれば)、使用されない他方の軸係合部が操作ノブ30に覆われる。そのため、意匠性に優れたスイッチ1となる。また、使用されていない軸係合部から塵などがスイッチベース10内部に入り込むことを抑制できる。
【0028】
以下、本実施形態にかかるスイッチ1が有するスライドスイッチ部90について簡単に説明する。図1、図2、および図5に示すように、スライドスイッチ部90は、三つの接点部を有する。最もリクライニングスイッチ部2に近い第一接点部91、および、最も遠い第三接点部93は、操作軸914,934を幅方向に円弧を描くように移動させることで接点が切り替えられる。一方、第一接点部91と第三接点部93の中間に位置する第二接点部92は、操作軸924を軸方向に移動させることで接点が切り替えられる。操作ノブ94は、これら第一〜第三の接点部91,92,93を覆うように取り付けられる。
【0029】
このような構成において、操作ノブ94全体を軸方向にスライドさせると、第二接点部92(操作軸924)が軸方向にスライドし、第二接点部92の接点が切り替えられる。これにより、車両用シートの着座部が前後方向にスライドする。一方、第二接点部92の操作軸924を回動中心として操作ノブ94を回動させると、第一接点部91および第三接点部93が幅方向にスライドし、第一接点部91および第三接点部93の接点が切り替えられる。これにより、車両用シートの着座部の傾斜角度が変化する。
【0030】
スライドスイッチ部90の第一〜第三接点部91,92,93の中心(操作軸914,924,934の中心)は、スイッチベース10を幅方向に二分する直線L上に形成されている。すなわち、リクライニングスイッチ部2の接点部の中心P3とは、同じ直線L上に位置する。また、操作ノブ94の操作方向(各操作軸914,924,934の移動経路)は、直線Lを対称軸として線対称である。したがって、スライドスイッチ部90は、対称な位置関係にある左座席用のパワーシート装置および右座席用のパワーシート装置の両方にそのまま適用可能である。よって、スイッチ1全体として見れば、リクライニングスイッチ部2の操作ノブ30の方向を切り替えるだけで、対称な位置関係にあるパワーシート装置の両方に適用可能な構成となる。なお、本実施形態では、左座席用のパワーシート装置および右座席用のパワーシート装置のいずれの場合であっても、スライドスイッチ部90がシートの前側に、リクライニングスイッチ部2がシートの後側に位置する。したがって、両スイッチ(スライドスイッチ部90およびリクライニングスイッチ部2)の操作方向(操作性)の共通化が達成できる。
【0031】
以下、本発明の第二の実施形態について説明する。なお、以下の説明は、上記第一の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0032】
図7および図8に示す本発明の第二の実施形態にかかるスイッチ2は、上記第一の実施形態にかかるスイッチ1とは、第一軸係合部421および第二軸係合部422の配置位置が異なる。詳しくは、第一軸係合部421の中心Q1と第二軸係合部422の中心Q2とは、接点部50の中心Q3を対称中心とした点対称の関係にない。ただし、本実施形態においても、第一軸係合部421の中心Q1と接点部50の中心Q3の距離は、第二軸係合部422の中心Q2と接点部50の中心Q3の距離と同じである。また、第一軸係合部421の中心Q1と第二軸係合部422の中心Q2は、スイッチベース40を幅方向に二分する直線Lを対称軸として線対称である。
【0033】
操作ノブ60には、回動支持軸61および接点連結部62が設けられている。回動支持軸61は、第一軸係合部421および第二軸係合部422のいずれか一方に係合される。これにより、操作ノブ60は、当該係合された軸係合部の軸線を中心として回動自在に支持される。接点連結部62は接点部50の操作軸54と連結される。なお、接点部50の構成は、第一の実施形態にかかるスイッチ1と同一である。第一軸係合部421に回動支持軸61を回動自在に支持させた場合、操作ノブ60の可動側端部は図7に示すように斜め上方を向く。一方、第二軸係合部422に回動支持軸61を回動自在に支持させた場合、操作ノブ60の可動側端部は図8に示すように斜め下方を向く。
【0034】
このように、第二の実施形態にかかるスイッチ2は、上記第一の実施形態にかかるスイッチ1と同様に、予め設けられた二つの軸係合部のうち、使用する軸係合部を任意に選択することができる。つまり、上記第一の実施形態にかかるスイッチ1のように、第一軸係合部421の中心Q1と第二軸係合部422の中心Q2とが、接点部50の中心Q3を対称中心とした点対称の関係になくとも、第一軸係合部421の中心Q1と接点部50の中心Q3の距離が、第二軸係合部422の中心Q2と接点部50の中心Q3の距離と同じであれば、左座席用のパワーシート装置および右座席用のパワーシート装置の両方に適用可能なスイッチが構成できる。
【0035】
また、この第二の実施形態によれば、操作ノブ60の可動側端部を、回動中心から斜め方向を向くように位置させることができるため、設計の幅が広がる。つまり、リクライニング操作の操作性を考慮し、操作ノブ60を斜めに設置することが可能となる。ただし、使用していない軸係合部を操作ノブ30で覆い隠すことができる(意匠性に優れる)といった点では、第一の実施形態の方が有利である。
【0036】
なお、第二の実施形態にかかるスイッチ2が有するスライドスイッチ部90は、既に説明したスライドスイッチ部90と同一の構成である。スライドスイッチ部90を構成するの各接点部の中心は、接点部50の中心Q3とともに直線L上に位置する。
【0037】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0038】
例えば、上記実施形態にかかるスイッチ1,2は、車両用シートのパワーシート装置に適用されるものであることを説明したが、対称な位置関係で設置されるその他の装置のスイッチにも適用可能である。
【0039】
また、上記実施形態では、操作ノブ30(60)を回動自在に支持する回動支持軸31(61)が操作ノブ30(60)自体に設けられていることを説明したが、スイッチベースに設けられていてもよい。すなわち、例えば図9に示すように、スイッチベース80に上方に突出する二つの回動支持軸(第一回動支持軸81および第二回動支持軸82;両者は接点部20の中心を対称中心として点対称に位置する)を設け、その回動支持軸81、82のいずれか一方を操作ノブ70に形成された軸係合部71に係合させ(図9では第一回動支持軸81が軸係合部71に係合されている)、操作ノブ70がスイッチベース80上で回動自在に支持される構成としてもよい。また、可動接点を動作させる操作軸を操作ノブ自体に形成してもよい。
【0040】
また、上記実施形態にかかるスイッチ1,2が有するスライドスイッチ部90の構成は一例である。操作ノブの操作方向(各操作軸の移動経路)が、直線Lを対称軸として線対称であるスイッチであり、左座席用のパワーシート装置および右座席用のパワーシート装置の両方にそのまま適用可能であれば、その構成は適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0041】
1 スイッチ
10 スイッチベース
121 第一軸係合部
122 第二軸係合部
20 接点部
30 操作ノブ
31 回動支持軸
32 接点連結部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチベースと、このスイッチベースに設けられた接点部と、この接点部の切り替え操作を行う操作ノブと、を備え、
前記スイッチベースおよび前記操作ノブのいずれか一方には、他方側に突出した一の回動支持軸が、他方には、前記回動支持軸が係合可能な第一軸係合部および第二軸係合部が設けられ、
前記スイッチベースの平面方向で見て、前記第一軸係合部の中心と前記接点部の中心の距離は、前記第二軸係合部の中心と前記接点部の中心の距離と等しく設定され、
前記操作ノブは、第一軸係合部および第二軸係合部のいずれか一方に係合された前記回動支持軸によって前記スイッチベース上で回動自在に支持された状態で、前記接点部に連結されていることを特徴とするスイッチ。
【請求項2】
前記スイッチベースの平面方向で見て、前記第一軸係合部の中心と前記第二軸係合部の中心は、前記接点部の中心を対称中心として互いに点対称に設定されていることを特徴とする請求項1に記載のスイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−123925(P2012−123925A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−271371(P2010−271371)
【出願日】平成22年12月6日(2010.12.6)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【Fターム(参考)】