説明

スキンケアにおける安定化された植物由来の成長因子の使用方法

局所治療薬、皮膚科学および化粧品において使用するための、成長因子、または遺伝子導入植物から精製された成長因子、またはエキスとしての、もしくは精製された形態にある遺伝子導入植物由来の成長因子の混合物を含有する遺伝子導入植物のエキスを含有するスキンケアのための美容用組成物および皮膚用組成物。重要なことは、本発明によって、安定化された、より安全な成長因子が、美容上の処置および局所的処置のための使用のために利用できるようになることである。好ましい組成物は、植物によって産生された成長因子およびヒアルロン酸を含む。安定化された成長因子を含むこのスキンケア/皮膚用組成物は、望ましくない分解生成物およびその結果生じる組成物の活性の喪失というリスクを有しない。さらには、当該組成物は、動物からまたは動物もしくはバクテリアの細胞に基づく発現系から生じる可能性がある混入物質および伝染性物質を含まない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、スキンケア、皮膚用途のための、安定化された成長因子およびサイトカインを含む美容用および皮膚用組成物、ならびにスキンケア製品を製造するための方法に関する。特に、本発明は、遺伝子導入植物から得られる安定化された異種の成長因子、ならびに美容用製品および医薬品におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚は、保護、バリア、温度調節、排泄および呼吸などの種々の機能を果たす、人体の最大の器官である。時間とともに、そして加齢とともに、それらの機能は急速に衰え、様々な生理的な変化が皮膚に起こる。これらの変化は、皮膚の主要構成要素である表皮、真皮および皮下組織の厚さの減少として現れる。脂質組成の変化は、脂質層の水分バリアの役割を弱体化させ、皮膚の乾燥を生じる。さらに、年齢とともに、年齢によるしみ(age spots)、雀卵斑(そばかす)、色素沈着または種々の皮膚病変の発生も増加する。
【0003】
上皮の代謝回転速度の年齢依存的低下は、低い質の角質層の蓄積に関与し、老人性乾皮症、過度の色素沈着および縮緬皺を生じる。これは、一部には、異常な角化細胞分化に起因する可能性がある。汚染およびUV線などの環境要素は、皮膚の老化を加速する可能性がある。活性酸素種およびフリーラジカル、ならびに疲労またはストレスなどのいくつかの生理的状態は、タンパク質、核酸および膜脂質にとって特に有害であり、皮膚の老化を導く。従って、これまでから、皺、年齢によるしみまたは雀卵斑、皮膚の弾力の喪失、色素沈着、ならびに皮膚の乾燥およびひび割れの発生に関する多くの研究がある。
【0004】
皺、たるみおよび太陽光によって引き起こされる皮膚の弾力の低下を改善することを目的として、皮膚の老化および皮膚の皺の問題を防止または緩慢化するために、様々な美容用組成物が開発されてきた。特許文献1は、コラーゲンの合成によって皮膚の皺を改善するための方法を開示する。特許文献1は、コラーゲンを分解してコラーゲン代謝を促進するコラゲナーゼの活性は、加齢とともに低下し、これは架橋コラーゲンの増加および皮膚の皺の増加を導く可能性があるということを教示する。
【0005】
皮膚の状態:
乾癬は、皮膚の赤い着色および鱗屑状の斑およびその場所での皮膚の剥離を生じる皮膚の状態である。乾癬性の斑は、表皮の細胞の変質した成長挙動から生じる、表皮における細胞発生および細胞分裂の速度の変化に起因する過剰の皮膚産生の部位である。乾癬性の斑の部位の細胞は、炎症反応を生じる細胞シグナル伝達化合物を産生するということが知られている。乾癬は、感染などの外的条件によって誘発される可能性がある自家不和合性を生じうる免疫応答の一形態であると仮定されてきた。
【0006】
湿疹:
湿疹は、皮膚炎、または表皮の炎症の一形態である。用語「湿疹」は、ある範囲の持続的な皮膚の状態に広く適用される。これらの状態としては、乾燥、ならびに赤み、皮膚浮腫(腫脹)、かゆみおよび乾燥、痂皮形成、白点形成、水疱形成、ひび割れ、またはさらには滲み出しもしくは出血という症候のうちの1以上を有することができる再発性の発疹が挙げられる。皮膚炎は、コルチコステロイド剤を用いて処置されることが多い。コルチコイドに関連するリスク、例えば皮膚の菲薄化が原因で、ステロイドは、湿疹の症状の出現を制御するためだけに、慎重に施用される必要がある。
【0007】
湿疹が重篤で、他の形態の処置に反応しないとき、シクロスポリンなどの免疫抑制薬が処方されることがある。これらは、免疫系を抑えるので、湿疹を改善する可能性があるが、副作用を引き起こす可能性がある。重篤なかゆみについては、鎮静作用がある抗ヒスタミン薬を使用することができるが、これは眠気を引き起こす可能性がある。
【0008】
瘢痕組織は、内的および外的の両方で損傷を受けた組織の上に、例えば外科手術または創傷(wounding)後に治癒した後の皮膚の上に残る印である。瘢痕組織は、治癒した創傷または傷口の上および/またはその周囲に生成する高密度の線維性の結合組織であり、皮膚の弾力に悪影響を及ぼす可能性があり、皮膚上で目に見えるときの美的な問題および不都合を生じる可能性がある。広範囲に及ぶ瘢痕組織は、熱傷などの外傷性の経験から回復している個体の外観および生活の質に対して悪影響をもたらす可能性がある。
【0009】
成長因子は、細胞の増殖および分化を制御する上での中心的存在であり、傷害または損傷の際に表皮および基底板を再構築することに関与する。成長因子は細胞の再生にとって重要であり、従って、老化のいくつかの態様に対抗し、角化細胞分化、線維芽細胞成長を正常化し、細胞および細胞産物の代謝回転および再生を誘導することができる。
【0010】
Itoらの非特許文献1は、気道平滑筋(ASM)細胞におけるマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)および組織メタロプロテアーゼ阻害物質(TIMP)の発現は、これらの細胞のコラーゲン代謝回転および遊走に関与することができ、従って気道の組織修復に寄与する可能性があるということを教示する。PDGFは、RNAおよびタンパク質のレベルでマトリックスメタロプロテアーゼ−1(MMP−1)の発現を強く上方制御する。PDGFは、TGF−βと組み合わされたとき、相乗的なMMP−3の上方制御を引き起こした。TIMP−1は、加えて、TGF−βおよびPDGFによって上方制御された。
【0011】
Nakataniらの非特許文献2は、ヒアルロナンが歯周靭帯細胞におけるMMP−1の発現およびタンパク質レベルに影響を及ぼすということを教示する。ヒアルロナンオリゴ(Hyaluronan oligo、HAoligo)は、mRNAおよびタンパク質のレベルの両方でMMP−1発現を顕著に高めたが、TIMP−1およびTIMP−2のmRNAの発現に対しては効果を示さなかった。HAoligoはHPDL細胞においてMMP−1発現を誘導し、p38MAPKは、HAoligoによって誘導されるMMP−1についてのシグナル伝達において非常に重要な役割を果たすということが示唆された。
【0012】
ItoおよびNakataniの例は、気道平滑筋および靭帯細胞におけるシグナル経路に限定されるが、それらは、成長因子およびヒアルロナンが、細胞外マトリクスおよび基底板の構成要素の組織修復および代謝回転にどのように影響を及ぼしうるかを別々に記載する。
【0013】
成長因子は、種々の皮膚障害および皮膚傷害に対して有益な効果を及ぼすことができ、細胞レベルで損なわれまたは衰えている保護機構の結果である老化の効果に対抗することができるということが認識されている。成長因子は、細胞の再生および増殖を促進することができ、創傷の治癒プロセスの自然の構成要素である。
【0014】
表皮成長因子(EGF)は、外胚葉および中胚葉に由来する種々の上皮細胞の分裂を促進する。EGFは、体液中に広範囲に、とりわけ尿および母乳中に分布している(非特許文献3)。EGFは、53アミノ酸残基からなる単一のポリペプチドであり、6,200ダルトンの分子量を有する(非特許文献4)。1962年に、Cohenは、成長した雄のマウスの顎の下の腺からEGFを単離した。1972年に、SavageおよびTaylorは、マウスEGFの一次構造、および生理的機能にとって必須のEGFの中の3つの分子内ジスルフィド結合の位置を特定した。
【0015】
EGFは、皮膚の傷害に対して優れた効果を有すると考えられている。なぜなら、EGFは、上皮細胞、内皮細胞および線維芽細胞の増殖を強く促進し、上皮細胞が欠損している部位への上皮細胞の遊走および増殖も強く促進するからである。成長因子は、組織完全性の維持における、および細胞対細胞の情報交換における中心的存在であり、従って、上皮組織の変性に抵抗する際に保護的な役割を果たす。
【0016】
参照によりその全体を本願明細書に援用したものとする特許文献2は、皮膚の老化を低減し、皮膚の外観を改善するためのEGF、TGF−aおよびFGFを含む美容用組成物を開示する。
【0017】
特許文献3は、EGFが、化粧品で使用されるレチノールの効果を顕著に高め、かつレチノールの皮膚刺激作用を効果的に緩和するということを教示する。
【0018】
PDGFなどの成長因子は、凝固段階のあいだに創傷部位で放出され、好中球、マクロファージおよび線維芽細胞についての化学誘引物質として作用する。これらの細胞は、細菌を死滅させることおよび創傷部位での壊死性残屑の除去において重要な役割を果たす。次に、活性化されたマクロファージは、血管新生を促進する成長因子を放出し、B細胞媒介性免疫応答およびT細胞媒介性免疫応答と情報交換する。マクロファージは、新しい細胞外マトリクスを産生するように線維芽細胞を刺激するTGF−β、および血管新生を刺激するVEGFを分泌する。角化細胞が分裂し、創床(wound bed)を覆うにつれて、上皮化が進行する。このように、成長因子が治癒プロセスの重要なメディエーターであることが十分に確立されており、研究により、G−CSFは、感染性の糖尿病性潰瘍を処置するために有益である可能性があるということが示されている。EGFは、線維芽細胞および角化細胞の増殖を刺激する。
【0019】
FGFは、上皮細胞に対して増殖効果を有し、動物モデルにおいて骨の治癒および創傷の治癒を加速することが観察されている。KGF−2は、創傷の治癒、とりわけ創傷の閉鎖を顕著に加速する。
【0020】
動物の組織または血液から単離された成長因子は、ウイルス、ビリオン(ウイルス粒子)、プリオン、他の同時精製する成長因子など(これらに限定されない)の望まれない混入物質および伝染性物質のリスクを運ぶ。汚染する伝染性物質および内在性の成長因子の同じリスクは、生物工学的な手段によって動物またはヒトの細胞で産生された成長因子にも存在する。生物工学的な手段を用いて細菌の中で産生された成長因子は、免疫系を乱すことが知られている細菌性内毒素の持ち越し汚染のリスクを引き起こす。多くの場合、細菌は、未変性の形態の成長因子またはサイトカインを産生できず、成長因子の生理活性にとって必要な、成長因子の三次構造を変性された状態へと変形させ、そして成長因子を細胞内の封入体の中へと詰め込む。単離された封入体からの変性された成長因子は、生理活性を取り戻すために、困難で広範な再折りたたみを必要とする。さらには、細菌はタンパク質をグリコシル化することができず、このことは、いくつかの症例では、タンパク質をより不安定に、プロテアーゼによる分解をより受けやすくさせるということが知られている場合がある。伝染性物質、内毒素または混入物質のリスクは、開放創および炎症の症候を有する障害を抱えた表皮を処置するための、細菌、酵母または動物細胞で産生された成長因子の使用、従って皮膚用途および美容上の用途における使用については、明らかに懸念材料である。
【0021】
上記の問題および短所を最小にするかまたは解消するように調製された、高品質の成長因子および他の生物活性のあるタンパク質についての要求が継続して存在する。
【0022】
植物の中で産生される成長因子およびサイトカインは、動物またはヒトのウイルス、ビリオンおよびプリオンおよび細菌性内毒素などの伝染性の感染病原体を含まない。人間に感染することができる多くの動物疾患とは異なり、人間において疾患を引き起こすことができた植物疾患の事例は報告されていない。従って、植物は、成長因子の産生については、上記の細胞のタイプ、動物細胞、動物組織、酵母および細菌よりも安全な生産生物を構成する。植物は、シグナル伝達エレメントとしての成長因子の作用および関与を必要とする動物の免疫系に相当する免疫系を欠く。それゆえ植物は、動物またはヒトの成長因子と同様の成長因子を自身で産生せず、遺伝子導入技術を使用する組み換え成長因子のための純粋な宿主源を与える。植物はタンパク質をグリコシル化することができ、このことは、タンパク質の安定性を改善し、その活性に影響を及ぼすことができ、それゆえ、細菌の中で産生される成長因子と比較して優れた成長因子を産生することができる。植物は、未変性の生理活性の形態の、従って細菌の中で産生される変性され再び折りたたまれた成長因子よりも上質の成長因子およびサイトカインを産生する。本発明に係る生物工学的な手段を用いて植物の中で成長因子を産生することで、これらの安全性、品質、および純度の問題が回避される。それゆえ植物由来の成長因子は、エキスの形態にあろうと、または精製された未変性の形態にあろうと、皮膚科学、局所治療薬、皮膚移植片、毛髪移植片、スキンケアおよび化粧品における使用について、現在の生産方法を用いて産生される成長因子よりも、安全でクリーンである。
【0023】
植物は、植物において保護的な役割を果たし、非生物的要因および生物的要因によって引き起こされるストレス、例えば脱水および酸化的ストレスを緩和するいくつかのタンパク質を産生する。これらのタンパク質のうちのいくつかは、細胞組織の脱水を伴う種子の成熟の際に植物の種子の中に特異的に蓄積する。デヒドリンは、乾燥などのストレスに応答してまたは種子発生などの成熟プロセスの一部として蓄積する1つのクラスのタンパク質である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0024】
【特許文献1】特開平5−246838号公報
【特許文献2】米国特許第5,618,544号明細書
【特許文献3】米国特許第6,589,540号明細書
【非特許文献】
【0025】
【非特許文献1】Ito I、Fixman ED、Asai K、Yoshida M、Gounni AS、Martin JG、Hamid Q.、「Platelet−derived growth factor and transforming growth factor−beta modulate the expression of matrix metalloproteinases and migratory function of human airway smooth muscle cells」、Clin Exp Allergy、2009年9月、第39巻、第9号、1370−80頁、電子出版2009年6月11日。
【非特許文献2】Nakatani Y、Tanimoto K、Tanaka N、Tanne Y、Kamiya T、Kunimatsu R、Tanaka E、Tanne K.、「Effects of hyaluronan oligosaccharide on the expression of MMP−1 in periodontal ligament cells」、Arch Oral Biol.、2009年8月、第54巻、第8号、757−63頁、電子出版2009年6月11日。
【非特許文献3】Carpenter,G.およびCohen,S.、「Epidermal growth factor」、Ann.Rev.Biochem.、1979年、第48巻、192−216頁
【非特許文献4】Campion,S.R.およびNiyogi,S.K.、「Interaction of epidermal growth factor with its receptor」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
美容上の製品およびスキンケア製品において成長因子の局所的使用を可能にする低アレルギー性の製剤における、安定化された、異種の植物によって産生された組み換え成長因子の使用方法を提供することが本発明の目的である。長期間にわたる成長因子の安定性は、局所的処置としての成長因子の使用にとって非常に重要である。なぜなら、タンパク質は、生来、分解および触媒反応に敏感だからである。
【課題を解決するための手段】
【0027】
健康な皮膚に対してだけでなく、敏感な皮膚および(湿疹および乾癬におけるような)障害を抱えた皮膚に対しても、成長因子の施用および使用を可能にする非アレルゲン性の、非刺激性の組成物を得るための最小の数の成分を用いて、異種の植物によって産生された成長因子の製剤を、安定化された組成物として、提供することは本発明の重要な特徴である。
【0028】
創傷、火傷、膿疱、潰瘍、病変または外科手術(医療用の外科手術および形成外科など)の治癒の際およびそれらの後の瘢痕組織形成に対して有益な軽減効果を有する植物由来の成長因子を含む組成物を提供することが本発明の一態様である。本発明のこの実施形態は、皮膚上での瘢痕組織の徴候を低減させる上で特に有用であり、従って、破裂した皮膚の肌色および治癒を改善し、皮膚の外観を改善する。
【0029】
局所治療薬および化粧品において使用するための、成長因子、または遺伝子導入植物から精製された成長因子、またはエキスとしての、もしくは精製された形態にある遺伝子導入植物由来の成長因子の混合物を含有する遺伝子導入植物のエキスを含有するスキンケアのための美容用組成物を提供することが本発明の目的である。植物エキスは、本願明細書中では、注目する異種の成長因子を産生する宿主植物のタンパク質エキス(例えば種子タンパク質エキス)を指す。このエキスは、部分的にまたは実質的に精製することができ、これは、このエキスが、1以上の好適な精製工程を用いて注目するタンパク質について濃縮されているということを示す。重要なことは、本発明によって、より安全な成長因子が、美容上の処置および局所的処置のための使用のために利用できるようになることである。これらの植物によって産生された成長因子は、それら成長因子がそのアミノ酸骨格の中にグリコシル化部位を保有するとき(これは、タンパク質の安定性を改善することが知られておりかつその生物活性に影響を及ぼす可能性がある特徴である)、植物の中でグリコシル化されていてもよい。美容上の使用および局所的使用のための組成物のための、未変性の形態でのこれらの有効成分の生産は、本発明によってより経済的になる。より具体的には、成長因子、および任意に組成物の中に、エキスの中の他の天然に存在する植物系の有益なポリペプチド(デヒドリンおよびグロブリンなど)を含むスキンケア組成物を提供することが本発明の目的である。これらの種子タンパク質は、植物において細胞レベルおよび生化学的レベルで保護機能を有し、本発明の対象としての成長因子との独特の組み合わせにおいて、これらの種子タンパク質は、育成および治癒の条件をもたらすことができ、細胞レベルで脱水および酸化的ストレスを緩和することができる。ざ瘡、表皮の炎症、湿疹、乾癬の処置として、皮膚の皺、年齢によるしみ、雀卵斑、汚斑(痣)または他の色素沈着、特に手、肘、踵および足のひび割れた(cracked)表皮の改善として、ならびに皮膚の湿潤化、および創傷の治癒および瘢痕組織の減少として好適な安定なスキンケア組成物を提供することが本発明の目的である。
【0030】
本発明の1つの態様では、安定化された成長因子は、移植外科手術の際およびその後の切除された濾胞ユニット(FU)の処置による、毛髪移植の成功を改善するために使用することができる。
【0031】
本発明についての好適な成長因子または2以上の成長因子の組み合わせは、表皮成長因子(EGF)、ケラチノサイト成長因子(KGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、形質転換成長因子β(TGF−β)、腫瘍壊死因子α(TNF−α)、血管内皮成長因子(VEGF)、神経成長因子(NGF)、インスリン様成長因子(IGF)、線維芽細胞成長因子2(FGF−2)、FGF 酸性、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子:GM−CSF、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、インターロイキン(IL−s、IL−1、IL1−α、IL−6、IL−8、IL−10)、ノギン、チモシンβ4、および骨形成タンパク質(BMP)などの(これらに限定されない)植物由来の組み換え成長因子から選択されてもよい。これらの植物によって産生された成長因子は、被害を受けた、病的状態のおよび外科的な創傷の治癒、ならびに瘢痕組織形成の低減/予防において、本発明に従って使用されてもよい。成長因子の選択物は、毛髪移植などの手術において、切除された濾胞ユニットの生存率を改善するため、および移植手術後の治癒プロセスを加速し進行させるために、例えば、切除された濾胞ユニットを、植物由来の組み換え成長因子を含有する溶液に浸漬することにより、エキソビボ処置のために使用されてもよい。
【0032】
チモシンβ4およびノギンなどの成長因子の選択は、本発明のこの使用についての好ましい成長因子の例であり、それらは、移植後の段階で毛包の中の細胞の屈折段階(refractive stage)を乱し、髪の成長を誘導することが見出される。本発明は、髪の成長を再活性化するため、および移植外科手術の効果からの治癒のために、屈折段階の頭皮および濾胞および/または濾胞ユニット(FU)を、低アレルギー性の配合の安全な植物由来のヒトの成長因子を用いて処置するための組成物および手段を提供する。ヒトまたは動物源から調達されず、かつ細菌性内毒素で汚染されていない組み換えのヒトの成長因子を使用できることは、いくつかの治療への応用における顕著な改善である。
【0033】
上記の植物由来の成長因子のうちのいずれかなどの1以上の植物由来の成長因子とヒアルロナンとを含む組成物を提供することは、本発明のさらなる態様である。さらに、皮膚の代謝に対する成長因子およびヒアルロナンの効果は、皮膚組成に対して有益な相乗効果、細胞分化の正常化、細胞分裂の活性化をもたらし、基底板の構成要素の再生を導き、若返った皮膚、創傷の治癒および持続的な皮膚の状態の軽減を生じ、炎症を低減することができる。
【0034】
別の態様では、本発明は、局所用の美容用製品を製造する方法であって、成長因子を含む遺伝子導入植物のエキスを安定化媒体の中で準備することを含む方法、を提供する。この植物由来の異種の成長因子は、本願明細書中でこのあと列挙される成長因子のうちのいずれかから選択されることが好ましい。好ましくは、遺伝子導入植物のエキスは大麦種子エキスである。産生される成長因子は、スキンケア/皮膚用組成物を作製するために特に有用である。
【0035】
なおさらなる態様では、本発明は、遺伝子導入植物から単離された1以上の異種の成長因子を提供する。この成長因子は、当業者に公知の他の応用例で使用されてもよい。
【0036】
本発明のさらなる態様では、美容上の目的のために、および治癒軟膏剤または局所用医薬組成物の他の形態におけるような有効成分として使用されるための成長因子を含有する新規な植物エキスが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】EGFを含有する遺伝子導入植物のエキスを含む、2つの染色されたゲルを示す。
【図2】VEGFを含有する遺伝子導入植物のエキスを含む、2つの染色されたゲルを示す。
【図3】IGF−1を含有する遺伝子導入植物のエキスを含む、2つの染色されたゲルを示す。
【図4】IL−1aを含有する遺伝子導入植物のエキスを含む、2つの染色されたゲルを示す。
【図5】精製された、再構成された、凍結乾燥した植物由来のEGFの安定性負荷試験を示す。
【図6】実施例7で説明されるように、本発明の局所用組成物の施用の前(a)および後(b)の、冬季湿疹の徴候を呈する被験者の手を示す。
【図7】「冬季の足」(冬季湿疹)の皮膚の問題を抱える足を示し、実施例8で説明されるように、(a)および(b)は、5日間の本発明の局所用組成物の施用の前の足の写真であり、図(c)および(d)は施用後の写真である。
【図8】実測のパラメータおよび計算によるパラメータを用いた典型的な皮膚変形曲線。
【図9】スプリットフェイス(split−face)試験における、安定化された異種の植物由来のEGF製剤および無EGF対照を用いて処置された顔の皮膚の力学的特性の比較測定の結果。実施例9を参照。
【図10】植物由来の異種のEGF(pd−EGF)を含有する製剤化された植物エキスまたはプラセボを用いた局所的処置を受けている12人の個体における相対的弾力を測定する非侵襲的皮膚分析の結果。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本願明細書で使用する場合、「植物由来の」成長因子は、遺伝子導入植物または遺伝子導入植物の子孫から得られる成長因子であり、用語「植物によって産生された」とほとんど同義で使用される。従って、用語「植物由来の成長因子」は、本願に関しては、一般に、生産ビヒクル(媒体)として使用される宿主植物にとって未変性ではない、異種の成長因子を指す。本発明に係る成長因子は、いずれかのヒトのまたは非ヒトの成長因子であってもよく、その遺伝子は、好ましくは組み換え技術を使用して、植物またはその植物の先祖に導入される。単離された成長因子は、美容用組成物または治療用の局所用組成物の中の有効成分として使用されてもよい。
【0039】
植物の中に異質の遺伝子を導入し発現させるための方法は当該技術分野で周知である。遺伝子的に形質転換することができる植物は、コード領域についてのDNA配列を含めた異種のDNA配列が導入され、発現され、安定に維持され、そして後の世代の子孫へと伝えられうる植物である。除草剤耐性(例えば、ビアラホスまたはバスタが挙げられる)、または抗生物質耐性(ハイグロマイシン耐性など)を選択可能なマーカーとして使用している遺伝子操作および形質転換の方法が使用されて、大麦植物が生成されている。
【0040】
好適な栽培品種が選択され、異質の遺伝子の導入のための好適な方法が選択される。用語「形質転換」または「遺伝子的形質転換」は、遺伝子的に安定な遺伝を生じる、宿主生物のゲノムへの核酸分子の移植を指す。形質転換された核酸断片を含有する宿主生物は、「遺伝子導入」生物と呼ばれる。本発明の「遺伝子導入植物宿主細胞」は、ゲノムの中に安定に組み込まれた少なくとも1つの異質の、好ましくは2つの異質の核酸分子を含有する。植物の形質転換の方法の例としては、Agrobacterium(アグロバクテリウム)媒介による形質転換(De Blaereら、1987)および粒子照射または「遺伝子銃」形質転換技術(Kleinら、1987年、米国特許第4,945,050号明細書)が挙げられる。
【0041】
国際公開第2006/016381号パンフレットは、形質転換を受けやすい特定の有用な大麦栽培品種を記載し、好適な形質転換方法を詳細に記載する。
【0042】
国際公開第2005/021762号パンフレットは、大規模に容易に精製されるキメラタンパク質を作製することによりタンパク質を改変するための方法を開示する。
【0043】
本発明に従って好適に産生および使用される成長因子は、形質転換成長因子b(またはβ)(TGF−bまたはTGF−β、TGF β1、TGF β2、TGF β3など)、形質転換成長因子a(またはα)(TGF−aまたはTGF α)、TNF α、表皮成長因子(EGF)、血小板由来成長因子(PDGF AA、PDGF BB、PDGF Rb)、ケラチノサイト成長因子(KGF)、線維芽細胞成長因子aおよびb(aFGFおよびbFGF)、FGF−4、FGF−6、肝細胞成長因子(HGF)、血管内皮成長因子(VEGF)、エリスロポエチン(Epo)、インスリン様成長因子I(IGF−I)、インスリン様成長因子II(IGF−II)、インターロイキン−1(IL−1)(IL−1αおよびIL−1βなど)、インターロイキン−2(IL−2)、インターロイキン−4(IL−4)、インターロイキン−5(IL−5)、インターロイキン−6(IL−6)、インターロイキン−7(IL−7)、インターロイキン−8(IL−8)、インターロイキン−10(IL−10)、インターロイキン 13(IL−13)、インターロイキン−15(IL−15)、インターロイキン−18(IL−18)、インターロイキン−20(IL−20)、レプチン、腫瘍壊死因子a(TNF−a)、腫瘍壊死因子b(TNF−b)、インターフェロン−g(INF−g)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、マクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)、胎盤成長因子(PLGF)、神経成長因子(NGF)、ノギン、骨形成タンパク質(BMP−4)、およびチモシンβ4などの種および群から選択されてもよいが、これらに限定されない。
【0044】
本発明のある実施形態では、遺伝子導入植物の中で産生されようとする注目するポリペプチドは、そのポリペプチドのN末端もしくはC末端のいずれかに、または両末端に親和性タグを含有する。このようなタグは、反復HQ配列、ポリヒスチジン尾部、GST、CBMまたは当該異種のペプチドの精製を単純にするいずれかの他の有用な親和性タグを含んでもよい。
【0045】
ヒアルロナンは、ヒアルロン酸およびヒアルロン酸塩とも呼ばれ、これらの用語は同義語であり、本願明細書の本文では互換的である。ヒアルロナンは、結合組織、上皮組織、および神経組織全体にわたって広く分布しているアニオン性の、非硫酸化グリコサミノグリカンである。
【0046】
本願明細書で使用する用語「スキンケア/皮膚用組成物」は、治療用の皮膚用途のための医療用組成物/医薬組成物と、美容上の使用のための組成物および治療用の使用および美容上の使用の両方のために使用することができる組成物との両方を包含する。
【0047】
投与量
本発明に係る局所的な治療への応用については、成長因子の用量は、好ましくは組成物1gあたり0.01〜100μgの範囲、より好ましくは1gあたり0.1〜50μgの範囲にある。皮膚の老化または脱毛の処置のための局所的美容用組成物は、好ましくは、組成物1gあたり0.2〜50μgの活性物質を含む。
【0048】
処置の長さは、病理または所望の効果に応じて変わる。強皮症の処置の場合には、施用は、病理の重症度に従って1日〜12ヶ月の範囲である。皮膚の自然の老化または早期老化に対する処置の場合には、施用は、1〜400日間の範囲、好ましくは少なくとも30日間である。同様に、脱毛を予防するためまたは毛髪の再成長を促進するための処置の場合には、施用は、1〜400日間の範囲である。
【0049】
本発明に係る皮膚用組成物は、乾燥肌、湿疹、皮膚炎、発疹、乾癬、皮膚の発赤、および浮腫などの皮膚の状態の処置のために好適に使用することができる。本発明の組成物は、瘢痕組織の治癒および低減ならびに踵のひび割れた皮膚を治癒させ改善するためにも有用である。
【0050】
好ましくは、当該遺伝子導入植物のエキスは、上記の成長因子のタンパク質、それらの模倣体、または成長因子受容体への結合および成長因子受容体の活性化を可能にする少なくともそれらのドメインのうちのいずれか1以上を含有する大麦の麦粒から調製される。記載した非限定的な実施例は、遺伝子導入大麦エキス由来の異なる成長因子の例示的使用を示す。
【0051】
本発明に従って使用されるエキスは、注目する成長因子を含む、遺伝子導入の宿主植物由来のタンパク質エキスを指す。この成長因子以外のタンパク質が、この成長因子の活性に干渉せず、あらゆる他の望まれない効果をまったく引き起こさないならば、この成長因子は、エキスの少量成分にすぎなくてもよい。このようなエキスは、例えば、種子の中で当該異種の成長因子を発現する植物に由来の種子タンパク質エキスである。このエキスは、より高い程度まで精製されてもよいし、またはより低い程度までしか精製されなくてもよく、すなわちこのエキスは、当該異種の成長因子について濃縮するための1以上の精製工程によって部分的に精製されてもよい。
【0052】
美容用組成物および医薬組成物の局所施用のための多くのビヒクルが当該技術分野で公知である。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、Gennaro,A.R.編、第20版、2000年、Williams and Wilkins、米国、ペンシルベニア州を参照。局所投与する美容用組成物のために通常用いられるすべての組成物は、有効成分としての当該異種タンパク質が安定化されている限り、例えば、クリーム、ローション、ゲル、ドレッシング材、洗髪剤、チンキ剤、ペースト、血清、軟膏剤、膏薬、粉末、液体または半液体の製剤、パッチ、リポソーム調剤、溶液、懸濁液、リポソーム懸濁液、W/OまたはO/Wエマルション、ポマードおよびペーストなどとして使用されてもよい。当該組成物の施用は、適宜、例えば窒素、二酸化炭素、フレオンなどの噴霧剤を用いて、またはポンプ式スプレーのように噴霧剤なしでエアロゾルによってもよく、点滴薬、ローション、またはスワブによって施用することができる濃厚組成物などの半固体であってもよい。特定の組成物では、膏薬、クリーム、ローション、ペースト、ゲル、軟膏剤などの半固体組成物が好都合に使用されるであろう。
【0053】
本発明の組成物は、溶液、懸濁液、リポソーム懸濁液、W/O(水/油)またはO/W(油/水)エマルションを含む非経口の、全身性使用または局所的使用のために提供されてもよい。好ましい実施形態では、活性物質は、好適な凍結乾燥添加剤に混合され、治療的に許容できる希釈剤を用いて容易に再溶解できる、凍結乾燥された形態で製剤化される。有用な凍結乾燥添加剤は、バッファー、多糖、スクロース、マンニトール、イノシトール、ポリペプチド、アミノ酸および当該活性物質と相溶性のいずれかの他の添加剤である。本発明の好ましい実施形態では、活性物質は、凍結乾燥後の成長因子/リン酸塩比が1:1〜1:2に含まれるような量のリン酸バッファー(NaHPO/HO−−NaHPO/2HO)に溶解される。非経口使用に好適な希釈剤は、水、生理溶液、砂糖溶液、ヒドロアルコール溶液、油性希釈剤、ポリオール(グリセロール、エチレングリコールまたはポリプロピレングリコールなど)、または無菌性、pH、イオン強度および粘度に関して投与方法と適合するいずれかの他の希釈剤である。
【0054】
好ましくは、局所的施用のビヒクルは、何らの非天然の防腐剤または抗菌剤なしに生来的に抗菌性である製剤である。わずかな数の成分を使用し、かつアレルギー誘発物質および/または刺激物質として作用する可能性がある複雑な成分を排除することが好ましいであろう。当該製剤は、活性タンパク質成分の長期安定性も確保し、好ましくは1年以上の室温での保存など長い貯蔵寿命ももたらすべきである。
【0055】
好ましい実施形態では、活性化合物、植物によって産生された選択された組み換え成長因子、が、グリセロール、塩化ナトリウム、塩化カリウムおよび塩化カルシウムなどの塩(これらに限定されない)(塩化カルシウムが最も好ましい)、精製水、およびエタノールのうちの1以上、好ましくはこれらのすべてを含有する、局所的施用に好適な製剤に加えられる。このような組成物は、驚くべきことに、選択された成長因子によって表される組み換えタンパク質を効果的に安定化するということが示された。組み換えタンパク質がグリコシル化されているか否かによらず、この製剤が、組み換えタンパク質を効果的に安定化するということは、本発明の1つの態様である。当該製剤は、好ましくは、本質的に抗菌性であり、それゆえ皮膚用および美容上の使用のための局所用製剤として特に好適である。
【0056】
本発明の組成物は、ヒアルロン酸(ヒアルロン酸塩)などの任意の添加剤をさらに含んでもよい。
【0057】
エマルションまたは懸濁液の場合には、当該組成物は、医薬の製剤で一般に使用される非イオン型、双性イオン型、アニオン型またはカチオン型の好適な界面活性剤を含有してもよい。油/水型(O/W)親水性エマルションは非経口の全身性使用のために好ましいのに対し、水/油型(W/O)親油性エマルションは局所的使用または局所的使用のために好ましい。
【0058】
さらに、本発明の組成物は、糖類またはポリアルコールなどの等張剤、バッファー、キレート剤、抗酸化物質、抗菌剤のような任意の添加剤を含有してもよい。
【0059】
本発明に係る液体形態は、溶液またはローションを含むことができる。これらは、水性、エタノール/水のようなヒドロアルコール性、またはアルコール性であってもよく、凍結乾燥した物質を可溶化することにより得られる。
【0060】
あるいは、活性物質溶液は、デンプン、グリセリン、ポリエチレングリコールまたはポリプロピレングリコール、ポリ(メタ)アクリレート、イソプロピルアルコール、およびヒドロキシステアレートのような公知のゲル化剤の添加によってゲルの形態で製剤化されてもよい。
【0061】
局所的使用のための他のタイプの組成物は、ポマード、ペースト、クリームの形態のエマルションまたは懸濁液である。W/Oエマルションは好ましく、より速い吸収をもたらす。親油性賦形剤の例は、流動パラフィン、無水ラノリン、白色ワセリン、セチルアルコール、ステアリルアルコール、植物油、鉱油である。皮膚透過性を増大させ、これにより吸収を容易にする薬剤を、有利に使用してもよい。このような薬剤の例は、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールまたはジメチルスルホキシド(DMSO)のような生理的に許容できる添加剤である。
【0062】
当該局所用組成物で使用される他の添加剤は、等張剤(糖類またはポリアルコールなど)、バッファー、キレート剤、抗酸化物質、抗菌剤、増粘剤、分散剤である。
【0063】
さらには、当該調剤は、本願明細書に記載される調剤において通常用いられる従来の構成成分をさらに含有してもよく、そのような構成成分としては、油、脂肪、ワックス、界面活性剤、湿潤剤、増粘剤、抗酸化物質、粘度安定剤、キレート剤、バッファー、防腐剤、芳香剤、染料、低級アルカノールなどが挙げられる。
【0064】
局所的使用または全身性使用のための遅延放出組成物が有用である可能性があり、このような遅延放出組成物は、ポリ酪酸、ポリ(メタ)アクリレート、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースおよび当該技術分野で公知の他の物質のようなポリマーを含む。例えば、ポリ酪酸または他の生分解性ポリマーに基づく皮下インプラントの形態の遅延放出組成物も、同様に有用である可能性がある。
【0065】
凍結乾燥された形態、従って安定な形態で活性物質が包装されることが好ましいが、当該医薬組成物は、有利に、当該成長因子を活性な形態で安定化する物質を含む。このような安定剤は、分子間ジスルフィド結合の形成を阻害し、これにより当該活性物質の重合を防止する。しかしながら、活性物質を不活性なモノマー形態へと還元することを同時に防止するために、安定剤の量は、慎重に測定されるべきである。このような物質の例は、システイン(Cystein)、システアミン(Cysteamine)、または還元型のグルタチオンである。
【0066】
油の非限定的な例としては、オリーブ油および硬化油などの油脂;ビーズワックスおよびラノリンなどのワックス;流動パラフィン、セレシン(切蝋)、およびスクアレンなどの炭化水素;ステアリン酸およびオレイン酸などの脂肪酸;セチルアルコール、ステアリルアルコール、ラノリンアルコール、およびヘキサデカノールなどのアルコール;ならびにミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピルおよびステアリン酸ブチルなどのエステルが挙げられる。界面活性剤の例として、ステアリン酸ナトリウム、セチル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸エステル、N−アシルグルタミン酸ナトリウムなどのアニオン性界面活性剤;塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウムおよび塩化ステアリルトリメチルアンモニウムなどのカチオン性界面活性剤;アルキルアミノエチルグリシン塩酸塩溶液およびレシチンなどの両性界面活性剤;ならびにグリセリンモノステアレート、ソルビタンモノステアレート、スクロース脂肪酸エステル、プロピレングリコールモノステアレート、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンココナツ脂肪酸モノエタノールアミド、ポリオキシプロピレングリコール(例えば商標「Pluronic」として販売されている物質)、ポリオキシエチレンヒマシ油、およびポリオキシエチレンラノリンなどの非イオン性の界面活性剤が挙げられてもよい。湿潤剤の例としては、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、およびプロピレングリコールが挙げられ;低級アルコールの例としては、エタノールおよびイソプロパノールが挙げられ;増粘剤の例としては、キサンタンガム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレングリコールおよびカルボキシメチルセルロースナトリウムが挙げられ;抗酸化物質の例としては、ブチル化ヒドロキシトルエン、ブチル化ヒドロキシアニソール、没食子酸プロピル、クエン酸およびエトキシキン(ethoxyquin)が挙げられ;キレート剤の例としては、エデト酸二ナトリウムおよびエタンヒドロキシ二リン酸が挙げられ;バッファーの例としては、クエン酸、クエン酸ナトリウム、ホウ酸、ホウ砂、およびリン酸水素二ナトリウムが挙げられ;防腐剤の例は、パラヒドロキシ安息香酸メチル、パラヒドロキシ安息香酸エチル、デヒドロ酢酸、サリチル酸および安息香酸である。これらの物質は、単に例示に過ぎず、当業者は、機能性の喪失なしに他の物質を代わりに用いてもよいということを認識するであろう。
【実施例】
【0067】
実施例1:組み換えEGFを含有する遺伝子導入植物のエキスの調製
成長因子EGFを含有する、収穫された遺伝子導入大麦の種子をミルの中で粉砕して、微粉末(穀粉)を得ることにより、遺伝子導入植物のエキスを調製した。抽出バッファー(50mM リン酸カリウム pH 7.0)を、5/1の抽出バッファー/粉砕した穀粉の体積/重量比で、粉砕した大麦穀粉に加えた。得られた溶液を4℃で60分間撹拌した。冷却した遠心分離機(Heraeus Primo R)の中で8300rpm以上で15分間遠心分離して、固形分を、遠心力によって液体エキスから分離し、上清を新しいバイアルにデカンテーションした。このエキスの成長因子含有量は、SDS−PAGEおよびEGF特異的抗体を用いたウエスタンブロット法によって分析した。この実験では、EGF含有量は、このエキスのタンパク質含有量の約0.01%であった。結果を図1に示す。
【0068】
図1(A)は、可溶性タンパク質全体を染色する、ゲルのクマシー・ブルーで染色した部分を示す。(B)は、同じエキスの抗EGF抗体を用いたウエスタンブロットを示し、この遺伝子導入植物のエキスの中の成長因子EGFの存在を示す。レーン:1:サイズマーカー、2:遺伝子導入大麦種子エキス、3:IMAC精製工程からの素通り画分、4:IMAC捕捉工程からのEGFの溶出。
【0069】
実施例2:成長因子VEGFおよびデヒドリンを含有する、部分的に精製した遺伝子導入植物のエキス
実施例1に従って調製した、VEGFを含有する遺伝子導入大麦種子エキスを、効果的にVEGFに結合するIMACクロマトグラフィー樹脂をこのエキスに添加することにより、さらに処理した。エキスおよび樹脂の混合物を、50mM リン酸カリウム、0.5M NaCl、50mM イミダゾール;pH7.0の中で、+4℃で60分間撹拌した。5000×gで15分間の遠心分離によって、IMAC樹脂を液体から分離した。液相をデカンテーションして除き、樹脂を、洗浄バッファー(50mM リン酸カリウム、0.5M NaCl、50mM イミダゾール;pH7.0)に再懸濁し、回転して沈降させ、液相を樹脂からデカンテーションした。この洗浄を3回繰り返した。この樹脂を、イミダゾールを含有する溶出バッファー(50mM リン酸カリウム、0.5M NaCl、500mM イミダゾール;pH7.0)に再懸濁して、樹脂からVEGFを溶出させ、遠心分離後、上清を樹脂からデカンテーションし、バッファー交換のためにゲル濾過イオンクロマトグラフィーに流した。得られたタンパク質ピークをSDS−PAGEおよびウエスタンブロットで分析した。この場合、VEGFはタンパク質エキスのおよそ25%として存在した。結果を図2に示す。
【0070】
図2。組み換え成長因子VEGFおよびデヒドリンを含有する部分的に精製した遺伝子導入植物のエキス。A)エキスの中に存在する全タンパク質を染色する、クマシー・ブルーで染色したSDS−PAGEゲル。B)デヒドリンを含有する部分的に精製した大麦種子エキスの中のVEGFの存在を示すウエスタンブロット。レーン番号付け:1 サイズ標準、2 エキス、3 IMAC素通り画分、4 IMAC溶出液。矢印は、この部分的に精製したエキスの中のデヒドリンおよびVEGFの存在を示し、これらは、アミノ酸シーケンシングによって同定された。
【0071】
実施例3:大麦グロブリンおよびIGF−1を含有する部分的に精製した遺伝子導入植物のエキス
遺伝子導入大麦種子を、実施例1に係る抽出バッファーII(50mM リン酸カリウム pH7.0 200mM NaCl)の中に抽出した。このエキスを、実施例2で説明したようにして、IMAC樹脂に結合して、溶出し、その後溶出液を脱塩し、バッファーを100mM KPi pH 6.8に変えた。次いで、この部分的に精製したエキスを、IGF−1を効果的に結合する条件下でイオン交換クロマトグラフィー樹脂に添加することにより、この部分的に精製したエキスをさらに処理した。このとき使用したマトリクスはSP−Sepharose(GE Healthcare)であった。対応する分画を、SDS−PAGEおよび銀染色、および特異的抗IGF−1抗体を用いたウエスタンブロットを用いて分析した。この部分的に精製した植物エキスのIGF−1含有量は60%であった。
【0072】
図3。大麦グロブリンおよびIGF−1を含有する部分的に精製した遺伝子導入植物のエキス。A)銀染色したSDS−PAGEゲル。レーン番号付け:1 サイズ標準、2 脱塩しバッファー交換した、IMACカラムからの溶出液、3 SP−Sepharose IECからの素通り画分、4 IGF−1および大麦グロブリンを含有するSP−Sepharose IECからの溶出液、5 陽性対照:細菌中で産生された組み換えIGF−1。
【0073】
実施例4:遺伝子導入大麦種子エキスから精製した、精製し単離した成長因子IL−1α
遺伝子導入植物のエキスは、精製した形態で成長因子を単離するためにさらに精製してもよい。ゲル濾過を用いたバッファー交換後、IMAC溶出液を、イオン交換カラムSepharose FFにかけ、溶出バッファーのNaCl含有量を増加させる段階的溶出によって、エキスの中のタンパク質を分離した。このようにして、デヒドリンから成長因子を成功裏に分離することが可能であった。図4に示すように、成長因子は、このようにして高純度、95%超(レーン7)へと精製することができ、遺伝子導入植物のエキスから単離されて精製された単離されて精製されたIL−1αをもたらすことができる。
【0074】
図4。遺伝子導入植物のエキスからのIL−1αの精製および単離。A)エキスの中に存在する全タンパク質を染色する、クマシー・ブルーで染色したSDS−PAGEゲル。B)IL−1αを含有するエキスのウエスタンブロット。レーン番号付け:1および9 サイズマーカー、2 エキス、3 IMAC素通り画分、4 IMAC溶出液、5 濃縮したIMAC溶出液、6 IECからの35% NaCl溶出液、7 75% NaCl溶出液、8 100% NaCl溶出液。D:デヒドリン、IL−1a:インターロイキン1α。
【0075】
実施例5:組成物における植物由来の成長因子の使用
以下の実施例は、本発明に係る美容用組成物の製剤を説明するが、それらは、決して、本発明を限定することは意図されていない。
【0076】
製剤1:皮膚軟化剤(皮膚ローション、血清)
6〜9のpH範囲で緩衝して安定な組成物を調製することができる。
成分 量(重量%)
EGF(遺伝子導入植物に由来) 0.00025
グリセロール 10〜90%
塩化カルシウム 0.1mM〜200mM
精製水 適量
ヒアルロン酸ナトリウム 0.01〜2
エタノール 0.1〜10
【0077】
製剤2:栄養補給エマルション(ミルクローション)
成分 量(重量%)
EGF(遺伝子導入植物に由来) 0.0002
プロピレングリコール 6.0
グリセリン 4.0
トリエタノールアミン 1.2
酢酸トコフェリル 3.0
流動パラフィン 5.0
スクアレン 3.0
マカダミアナッツオイル 2.0
ポリソルベート 60 1.5
ソルビタンセスキオレエート 1.0
カルボキシビニルポリマー 1.0
香料 0.2
メチルパラベン 0.2
イミダゾリジニル尿素 0.2
精製水 適量
【0078】
製剤3:栄養補給クリーム
成分 量(重量%)
VEGF(遺伝子導入植物に由来) 0.0005
ワセリン 7.0
流動パラフィン 10.0
ワックス 2.0
ポリソルベート 60 2.0
ソルビタンセスキオレエート 2.5
スクアレン 3.0
プロピレングリコール 6.0
グリセリン 4.0
トリエタノールアミン 0.5
カルボキシビニルポリマー 0.5
酢酸トコフェリル 0.1
香料 0.2
メチルパラベン 0.2
イミダゾリジニル尿素 0.2
精製水 適量
【0079】
製剤4:マッサージクリーム
成分 量(重量%)
EGF(遺伝子導入植物に由来) 0.0002
プロピレングリコール 6.0
グリセリン 4.0
トリエタノールアミン 0.5
ワックス 2.0
酢酸トコフェリル 0.1
ポリソルベート 60 3.0
ソルビタンセスキオレエート 2.5
セテアリルアルコール 2.0
流動パラフィン 30.0
カルボキシビニルポリマー 0.5
香料 0.2
メチルパラベン 0.2
イミダゾリジニル尿素 0.2
精製水 適量
【0080】
製剤5:顔パック
成分 量(重量%)
TGF−a(遺伝子導入植物に由来) 0.0005
プロピレングリコール 2.0
グリセリン 4.0
カルボキシビニルポリマー 0.3
エタノール 7.0
PEG−40 硬化ヒマシ油 0.8
トリエタノールアミン 0.3
香料 0.2
メチルパラベン 0.2
イミダゾリジニル尿素 0.2
精製水 適量
【0081】
製剤1〜5は、[発明を実施するための形態]で列挙されたいずれかの代替の成長因子を用いて、同様に製剤化することができる。
【0082】
製剤6:局所的施用のためのW/Oエマルション
20μgの活性物質を含む量の凍結乾燥された物質を、10% DMSOを含む、5mlの10% エタノールのヒドロアルコール溶液にする。この溶液を、10未満のHLB係数を有するW/Oエマルションに好適な界面活性剤を使用して、皮膚への施用のために、殺菌した植物油の中で乳化する。このエマルションは、組成物1gあたり約2μgに等しい活性物質を含有する。
【0083】
製剤7:O/Wエマルション
約20μgの活性物質を含む量の凍結乾燥された物質を、30% DMSOを含む5mlのヒドロアルコール溶液の中に可溶化し、好適な界面活性剤を用いて植物油系の親油性溶媒の中で乳化する。得られたO/Wエマルションは、組成物1gあたり約3μgの濃度の活性物質を含有する。
【0084】
製剤8:ゲルの形態の局所用組成物
100μgの活性物質を含む量の凍結乾燥された物質を、20% DMSOを含む20mlの10% エタノールのヒドロアルコール溶液にする。次いで、この溶液に、ポリエチレングリコール(400〜4000)およびポリプロピレングリコールの混合物を加える。活性物質は、組成物1gあたり2μgに等しい量で存在する。このゲルは、美容用途に好適である。
【0085】
製剤9:カルボマー(1%)を含有する局所用ゲル製剤
EGF(遺伝子導入植物に由来) 5mg
カルボマー 934P 1g
パラオキシ安息香酸メチル 0.2g
プロピレングリコール 20g
水酸化ナトリウム 適量
注射用蒸留水 適量
合計 100g
【0086】
上記の成分を所与の量で使用して従来の方法に従って上記製剤を調製する。具体的には、パラオキシ安息香酸メチルを適切な量の注射用蒸留水に溶解させ、カルボマー934Pをこの溶液に加え、撹拌してその溶液に分散させる。水酸化ナトリウムを用いてこの溶液のpHを制御し、この溶液を、プロピレングリコールとブレンドし、加熱によって滅菌する。次いで、この溶液に、注射用蒸留水中のEGFの濾過し滅菌した溶液を加え、100gの製剤を得る。
【0087】
製剤10:ポロキサマー(15%)を含有する局所用製剤
EGF 2.5mg
ポロキサマー 407 15g
パラオキシ安息香酸メチル 0.2g
リン酸水素ナトリウム 272.18mg
塩化ナトリウム 666.22mg
リン酸 適量
プロピレングリコール 20g
注射用蒸留水 適量
合計 100g
【0088】
上記の成分を所与の量で使用して従来の方法に従って上記製剤を調製する。具体的には、所与の量のリン酸水素ナトリウム、塩化ナトリウムおよびリン酸を使用して、リン酸塩バッファーを調製する。防腐剤としてのパラオキシ安息香酸メチルを、このリン酸塩バッファーに溶解させる。ポロキサマー407(BASF、ドイツ)をこの溶液に加え、撹拌してその溶液に分散させる。次いで、この溶液をプロピレングリコールとブレンドし、撹拌しながらその中に分散させる。次いで、水酸化ナトリウムを用いてこの溶液のpHを制御し、この溶液を、プロピレングリコールとブレンドし、加熱によって滅菌する。次いで、この溶液に、注射用蒸留水中のEGFの濾過し滅菌した溶液を加え、100gの製剤を得る。
【0089】
製剤11:カルボマー(0.1%)を含有するクリーム製剤
EGF 0.05mg
グリセリン 4.5g
パラオキシ安息香酸メチル 0.15g
パラオキシ安息香酸プロピル 0.05g
カルボマー 940 0.1g
ステアリルアルコール 1.75g
セチルアルコール 4.00g
スパン 番号60 0.50g
ポリオキシル 番号40 ステアレート 2.00g
トリエタノールアミン 適量
注射用蒸留水 適量
合計 100g
【0090】
上記の成分を所与の量で使用して従来の方法に従って上記製剤を調製する。具体的には、グリセリンおよびパラオキシ安息香酸メチルを適切な量の注射用蒸留水に溶解させ、カルボマー940(BF Goodrich、米国)をこの溶液に加え、撹拌しながらその溶液に分散させる。次いで、パラオキシ安息香酸プロピルなどをこの溶液に加え、融解させて乳化させる。次いで、トリエタノールアミンを用いてpHを制御した後にこの溶液を滅菌し、注射用蒸留水中の(植物から発現され単離された)EGFの濾過し滅菌した溶液と混合し、100gの製剤を得る。
【0091】
実施例6:植物によって産生されたEGFの安定性試験
この実施例は、3週間まで種々の温度でインキュベーションした(すなわち、+4℃で冷蔵、+37℃および室温(RT)でインキュベーション)際の、実施例5、製剤1の製剤における、精製し、再構成した、非グリコシル化の、植物によって生成されたEGFの安定性負荷試験を示す。結果を図5に示す。サイズマーカー11kDaおよび17kDaは第1のレーンにある。結果は、当該成長因子の、37℃、RTおよび+4℃で数週間の優れた安定性を示す。細菌(E.coli)により製造されたEGFの製造業者の記載によれば、再構成した、精製した形態の細菌由来の組み換えEGFは2℃〜4℃で一週間しか安定ではない(http://www.cellsciences.com/PDF/CRE100.pdfを参照)。
【0092】
実施例7:手の冬季湿疹を緩和する施用
実施例5の製剤1のタンパク質安定化配合の植物由来の異種の表皮成長因子(EGF)を含む部分的に精製した遺伝子導入大麦種子エキスを含有する本発明の組成物を、9歳の少年の発疹(すなわち冬季湿疹)のある乾燥してひび割れた、かゆみを伴う、赤い皮膚に局所的に施用する。明らかに冬季湿疹を患っている手の甲に、3滴の上記局所用製剤を均一に広げる。図6a)は、上記製剤としての本発明の組成物の局所的施用の前の手を示し、図6b)は、本発明の組成物を用いた処置の24時間後の同じ手を示し、図6b)は、皮膚回復の明らかな徴候および冬季湿疹の症候の緩和を示す。
【0093】
実施例8:冬季湿疹 −「冬季の足(Winter foot)」
図7a)および図7b)は、「冬季の足」を抱え重篤な皮膚の問題を生じている10歳の少年の足を示す。この乾燥した、かゆみを伴う、赤い皮膚は、皮膚の深いひび割れおよび重篤な障害を受けた表皮からの刺激作用および出血を引き起こす。
【0094】
図7a)および図7b)は、処置の開始前に撮影したものであり、図7c)およびd)は、実施例5の製剤1を構成するタンパク質安定化配合の植物由来の異種の表皮成長因子(EGF)を含む部分的に精製した遺伝子導入大麦種子エキスを含有する本発明の組成物で、片方の足あたり4〜5滴、5日間毎日、局所的施用した後に撮影したものである。表皮は治癒し、高い程度に弾力および柔らかさおよび再水和を回復した。
【0095】
実施例9:皮膚の弾力
実施例5の製剤1を構成するタンパク質安定化配合の植物由来の異種の表皮成長因子(EGF)を含む部分的に精製した遺伝子導入大麦種子エキスを含有する本発明の組成物の、顔の皮膚の弾力および堅さに対する効果を客観的に測定するために、制御された吸引技術を用いて皮膚の力学的特性を評価した。
【0096】
典型的な皮膚変形曲線を図8に例示する。以下のパラメータを分析した:Ue、即時膨張 − これは、変形後に皮膚がその最初の位置に戻る能力を測定し、弾性線維の機能と関連する;Uv、遅れた膨張;[R0] Uf、最終の膨張[皮膚の伸展性];Ur、即時退縮;R、測定サイクルの最後での残留変形[反発的な膨張];[R2] Ua/Uf、皮膚の全体の弾力(粘性変形を含む);[R5] Ur/Ue、粘性変形なしの皮膚の正味の弾力;[R7] Ur/Uf、生体(biological)弾力、すなわち、全膨張に対する即時退縮の比;[R6] Uv/Ue、弾性膨張に対する粘弾性膨張の比;およびR8、粘性部分、すなわち、変形曲線の吸引部分の下の面積。2回の測定の平均値を後の計算で使用した。
【0097】
非侵襲的な吸引デバイス(Cutometer(登録商標) MPA580)を使用して、顔の皮膚の力学的特性を検討した。このデバイスは、小さい開口部の中へと引っ張り込まれ、陰圧に曝された皮膚の生体力学的特性を測定する。2つの異なるスキンケア製剤、すなわち、安定化された異種の植物によって産生されたEGFを含む本発明の組成物を含有する血清およびEGFを欠く対応する血清、を、頬、目の周囲および額を含めた、顔の両側にそれぞれ施用した。4ヶ月の処置の後、Cutometer(登録商標) MPA580を使用して弾力および堅さを測定した。簡潔に言えば、2秒間の一定圧力の印加時間、次いで2秒間の緩和時間、合わせて4秒の実行時間で、0mbarから450mbarまでの吸引の漸進的な増加を皮膚に加えた。顔の各側で皮膚の弾力および粘弾性を測定および評価し、次いで、2つの異なる処置領域の間で値の比較を行った。
【0098】
結果を図9に示す。EGFで処置した皮膚(上側の曲線)は、有意に高い弾力パラメータ(すなわちUe、Ur、Ua/Uf、Ur/Uf、Ur/Ue)および低い粘弾性パラメータ(すなわちUvおよびUv/Ue)を特徴とした。明らかに、これら2つの異なって処置した領域を比較すると、皮膚の弾力の上昇および粘弾性の低下は、安定化された異種の植物由来のEGFを含む本発明の組成物を含有する血清を用いた処置と関連がある。本発明の組成物を用いて処置した皮膚は、高められた皮膚弾力および堅さを特徴とした。
【0099】
実施例10:植物由来の異種のEGF(pd−EGF)を含有する製剤化された植物エキスの1ヶ月の施用後の、顔の皮膚の弾力の評価
被験者は、30〜70歳の12人の女性であった。この研究は、老化している皮膚の明らかな徴候という試験対象患者基準を何ら含まなかった。額、頬および目の周囲に毎日2回、1ヶ月間施用するために、これらの被験者のうちの8人は、実施例5の製剤1を構成するタンパク質安定化配合の植物由来の異種の表皮成長因子(EGF)を含む遺伝子導入大麦種子エキスを使用したのに対し、4人の被験者は、遺伝子導入大麦種子エキスを含まない血清、すなわちプラセボ血清を用いた。この検討期間のあいだ、被験者には、自身の通常の毎日のスキンケア手順を続けることを許容した。
【0100】
最初に(ベースライン=0日目)および施用期間の最後に、処置した領域の皮膚表面で非侵襲的分析による検査を実施し、ベースライン(0日目)の結果を1ヶ月の施用後の結果と比較した。定量的測定結果を、Soft Plus Skin Analysing System(Callegari1930)によって得た。この検討で試験したパラメータは、吸引に対する抵抗性によって測定される、皮膚の弾力であった。検討を完了したすべての個体について、すべてのデータを、検討前(ベースライン=0日目)の平均値および検討の最後での平均値として分析する。最終の結果を、ベースライン値と比較した未処置の領域と比較して、処置した領域の誘導倍率(すなわち相対値1=0日目)として提示する(図10)。
【0101】
実施例10:抗菌活性
この実施例は、実施例5、製剤1に係る本発明の組成物の微生物負荷の試験、および抗菌性の維持の効果の判定を示す。
【0102】
細菌を用いてこの組成物を負荷し、この組成物の抗菌特性を確立した。Pseudomonas aeruginosa(シュードモナス・エルジノーサ、緑膿菌)(株 ATCC 9027)の0.5mlの培養液を50mlの安定化組成物上に播いた。試料を標準条件下でインキュベーションし、欧州薬局方5.1.3.の「Efficacy of Antimicrobial preservation(抗菌性の維持の効果)」について詳細に記載される方法に基づいて細菌の数を決定した。接種材料を、当該細菌の保存培養物、9g/Lの塩化ナトリウムを含有する滅菌懸濁液体から調製する。107細菌/mlを得るようにこの培養物を上記液体で希釈し、1mlを、当該安定化組成物が入っている容器の中に接種材料として加え、十分に混合する。接種した生成物を、光から保護して22℃で維持する。特定の時間間隔で、接種した生成物から1mlの試料を抜き取り、細菌の数をプレートカウントによって決定する。
【0103】
【表1】

【0104】
これらの結果は、本発明の組成物の明らかな抗菌活性を示し、従来の防腐剤および抗菌剤の使用なしで、局所用調剤についての欧州薬局方による抗菌活性の推奨される効果を満たす。従って、これらの製剤は、局所用の美容用組成物および/または治療用組成物に好適であり、かつ潜在的に刺激性の防腐剤、抗菌剤、および敏感な皮膚にとって障害性である他の添加剤の起こりうる副作用を回避する。
【0105】
参考文献:
Ito I、Fixman ED、Asai K、Yoshida M、Gounni AS、Martin JG、Hamid Q.、「Platelet−derived growth factor and transforming growth factor−beta modulate the expression of matrix metalloproteinases and migratory function of human airway smooth muscle cells」、Clin Exp Allergy、2009年9月、第39巻、第9号、1370−80頁、電子出版2009年6月11日。
【0106】
Nakatani Y、Tanimoto K、Tanaka N、Tanne Y、Kamiya T、Kunimatsu R、Tanaka E、Tanne K.、「Effects of hyaluronan oligosaccharide on the expression of MMP−1 in periodontal ligament cells」、Arch Oral Biol.、2009年8月、第54巻、第8号、757−63頁、電子出版2009年6月11日。
【0107】
Technical specification sheet,EGF Recombinant Human Epidermal Growth Factor,Cell Sciences、米国、マサチューセッツ州(http://www.cellsciences.com/PDF/CRE100.pdf)
【0108】
5.1.3 Efficacy of Antimicrobial Preservation(抗菌性の維持の効果): 528−529、欧州薬局方 6.0
【図1A)】

【図1B)】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒアルロン酸と、少なくとも1つの、遺伝子導入植物由来の成長因子と、少なくとも1つの薬学的におよび/または美容上許容できる賦形剤とを含むスキンケア/皮膚用組成物。
【請求項2】
前記成長因子タンパク質を安定化する賦形剤配合を含む、請求項1に記載のスキンケア/皮膚用組成物。
【請求項3】
前記ヒアルロン酸は、約0.01〜約2重量%の範囲の濃度で与えられる、請求項1または請求項2に記載のスキンケア/皮膚用組成物。
【請求項4】
前記成長因子は、前記美容用組成物の中に含まれる遺伝子導入植物のエキスの成分として与えられる、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のスキンケア/皮膚用組成物。
【請求項5】
前記成長因子は、全タンパク質含有量の約0.0001%〜約70%の範囲の量で、前記遺伝子導入植物のエキスの中に存在する、請求項4に記載のスキンケア/皮膚用組成物。
【請求項6】
前記植物エキスは、前記成長因子を濃縮するために精製されている、請求項4または請求項5に記載のスキンケア/皮膚用組成物。
【請求項7】
乾燥肌、湿疹、皮膚炎、ひび割れた皮膚、発疹、皮膚の発赤、瘢痕組織、乾癬、および浮腫のうちの1以上から選択される皮膚の状態の処置に好適な、請求項4または請求項5に記載のスキンケア/皮膚用組成物。
【請求項8】
前記タンパク質安定化配合は、グリセロール、水、および塩化カルシウムを含む、請求項2から請求項7のいずれか1項に記載のスキンケア/皮膚用組成物。
【請求項9】
前記タンパク質安定化配合は、以下の成分(重量%)、10〜90%の範囲のグリセロール、0.1mM〜200mMの範囲の塩化カルシウム(6〜9のpH範囲に緩衝化されている)、および適量の精製水を含む、請求項8に記載のスキンケア/皮膚用組成物。
【請求項10】
さらなる抗菌剤または防腐剤を含有しない、請求項8または請求項9に記載のスキンケア/皮膚用組成物。
【請求項11】
遺伝子導入植物由来の複数の成長因子を含む、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のスキンケア/皮膚用組成物。
【請求項12】
前記複数の成長因子は、遺伝子導入植物に由来のエキスの混合物の成分として存在する、請求項11に記載のスキンケア/皮膚用組成物。
【請求項13】
前記複数の成長因子は、タンパク質含有量の約0.0001%〜約70%の範囲の量で、遺伝子導入植物のエキスの混合物の中に存在する、請求項11に記載のスキンケア/皮膚用組成物。
【請求項14】
前記少なくとも1つの成長因子または複数の成長因子は、遺伝子導入植物から、約70%〜約99.9%の範囲のレベルの純度まで単離されて精製されている、請求項1から請求項13のいずれか1項に記載のスキンケア/皮膚用組成物。
【請求項15】
1以上の植物由来の精製された成長因子が、植物由来の成長因子をすでに含有する遺伝子導入植物のエキスに添加されている、請求項1から請求項14のいずれか1項に記載のスキンケア/皮膚用組成物。
【請求項16】
前記少なくとも1つの成長因子または複数の成長因子は、表皮成長因子(EGF)、血管内皮成長因子(VEGF)、血小板由来成長因子(PDGF)(PDGF−AA、PDGF−BB、およびPDGF−Rbなど)、線維芽細胞成長因子(FGF)(FGF−a、およびFGF−b、FGF−4およびFGF−6など)、形質転換成長因子β(TGF−b)(TGF β−1、TGF β−2、TGF β−3など)、形質転換成長因子α(TGF−a)、エリスロポエチン(Epo)、インスリン様成長因子I(IGF−I)、インスリン様成長因子II(IGF−II)、インターロイキン−1(IL−1)(IL−1αおよびIL−1βなど)、インターロイキン−2(IL−2)、インターロイキン−4(IL−4)、インターロイキン 5(IL−5)、インターロイキン−6(IL−6)、インターロイキン−7(IL−7)、インターロイキン−8(IL−8)、インターロイキン−10(IL−10)、インターロイキン−13(IL−13)、インターロイキン−15(IL−15)、インターロイキン−18(IL−18)、インターロイキン−20(IL−20)、腫瘍壊死因子α(TNF−a)、腫瘍壊死因子β(TNF−b)、インターフェロン−γ(INF−g)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、マクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)、胎盤成長因子(PLGF)、神経成長因子(NGF)、ケラチノサイト成長因子(KGF)、骨形成タンパク質(BMP−4)、肝細胞成長因子(HGF)、レプチン、ノギン、およびチモシンβ4からなる群から選択される、請求項1から請求項15のいずれか1項に記載のスキンケア/皮膚用組成物。
【請求項17】
前記成長因子またはサイトカインは、対応するヒトの遺伝子配列に由来する、請求項1から請求項16のいずれか1項に記載のスキンケア/皮膚用組成物。
【請求項18】
前記成長因子またはサイトカインは、それぞれの成長因子またはサイトカインについてのヒトの遺伝子配列に対応する合成された遺伝子に由来する、請求項1から請求項16のいずれか1項に記載のスキンケア/皮膚用組成物。
【請求項19】
前記遺伝子導入植物のエキスは、デヒドリンおよび/もしくはグロブリン、または他の種子タンパク質を含有する、請求項4から請求項6のいずれか1項に記載のスキンケア/皮膚用組成物。
【請求項20】
前記組成物は、クリーム、ローション、ゲル、ドレッシング材、洗髪剤、チンキ剤、ペースト、軟膏剤、膏薬、粉末、液体または半液体の製剤、血清、パッチ、リポソーム調剤、溶液、懸濁液、リポソーム懸濁液、W/OまたはO/Wエマルション、軟膏剤、ポマードおよびペーストおよび皮膚軟化剤クリーム、顔パック、マッサージクリーム、および栄養補給クリームまたは栄養補給エマルションから選択される形態にある、請求項1から請求項19のいずれか1項に記載のスキンケア/皮膚用組成物。
【請求項21】
少なくとも1つの、遺伝子導入植物由来の成長因子と、グルセロール、および適量の精製水を含むタンパク質安定化配合とを含む、スキンケア/皮膚用組成物。
【請求項22】
塩化ナトリウム、塩化カリウムおよび塩化カルシウムから選択される塩をさらに含む、請求項21に記載のスキンケア/皮膚用組成物。
【請求項23】
ヒアルロン酸をさらに含む、請求項21または請求項22に記載のスキンケア/皮膚用組成物。
【請求項24】
遺伝子導入植物由来の成長因子と、少なくとも以下の成分(重量%)、10〜90%の範囲のグリセロール、0.1mM〜200mMの範囲の塩化カルシウム、緩衝剤および適量の精製水を含むタンパク質安定化配合とを含む、請求項22または請求項23に記載のスキンケア/皮膚用組成物。
【請求項25】
さらなる抗菌剤または防腐剤を含有しない、請求項21から請求項24のいずれか1項に記載のスキンケア/皮膚用組成物。
【請求項26】
前記成長因子は、表皮成長因子(EGF)、血管内皮成長因子(VEGF)、血小板由来成長因子(PDGF)(PDGF−AA、PDGF−BB、およびPDGF−Rbなど)、線維芽細胞成長因子(FGF)(FGF−a、およびFGF−b、FGF−4およびFGF−6など)、形質転換成長因子β(TGF−b)(TGF β−1、TGF β−2、TGF β−3など)、形質転換成長因子α(TGF−a)、エリスロポエチン(Epo)、インスリン様成長因子I(IGF−I)、インスリン様成長因子II(IGF−II)、インターロイキン−1(IL−1)(IL−1αおよびIL−1βなど)、インターロイキン−2(IL−2)、インターロイキン−4(IL−4)、インターロイキン 5(IL−5)、インターロイキン−6(IL−6)、インターロイキン−7(IL−7)、インターロイキン−8(IL−8)、インターロイキン−10(IL−10)、インターロイキン−13(IL−13)、インターロイキン−15(IL−15)、インターロイキン−18(IL−18)、インターロイキン−20(IL−20)、腫瘍壊死因子α(TNF−a)、腫瘍壊死因子β(TNF−b)、インターフェロン−γ(INF−g)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、マクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)、胎盤成長因子(PLGF)、神経成長因子(NGF)、ケラチノサイト成長因子(KGF)、骨形成タンパク質(BMP−4)、肝細胞成長因子(HGF)、レプチン、ノギン、およびチモシンβ4からなる群から選択される1以上である、請求項17から請求項25のいずれか1項に記載のスキンケア/皮膚用組成物。
【請求項27】
医薬として使用するための、非植物の遺伝的起源の植物によって産生された異種の成長因子。
【請求項28】
乾燥肌、湿疹、皮膚炎、ひび割れた皮膚、発疹、瘢痕組織、乾癬、皮膚の発赤、および浮腫のうちの1以上から選択される皮膚の状態の処置のための医薬として使用するための、非植物の遺伝的起源の植物によって産生された異種の成長因子。
【請求項29】
表皮成長因子(EGF)、血管内皮成長因子(VEGF)、血小板由来成長因子(PDGF)(PDGF−AA、PDGF−BB、およびPDGF−Rbなど)、線維芽細胞成長因子(FGF)(FGF−a、およびFGF−b、FGF−4およびFGF−6など)、形質転換成長因子β(TGF−b)(TGF β−1、TGF β−2、TGF β−3など)、形質転換成長因子α(TGF−a)、エリスロポエチン(Epo)、インスリン様成長因子I(IGF−I)、インスリン様成長因子II(IGF−II)、インターロイキン−1(IL−1)(IL−1αおよびIL−1βなど)、インターロイキン−2(IL−2)、インターロイキン−4(IL−4)、インターロイキン 5(IL−5)、インターロイキン−6(IL−6)、インターロイキン−7(IL−7)、インターロイキン−8(IL−8)、インターロイキン−10(IL−10)、インターロイキン−13(IL−13)、インターロイキン−15(IL−15)、インターロイキン−18(IL−18)、インターロイキン−20(IL−20)、腫瘍壊死因子α(TNF−a)、腫瘍壊死因子β(TNF−b)、インターフェロン−γ(INF−g)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、マクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)、胎盤成長因子(PLGF)、神経成長因子(NGF)、ケラチノサイト成長因子(KGF)、骨形成タンパク質(BMP−4)、肝細胞成長因子(HGF)、レプチン、ノギン、およびチモシンβ4からなる群から選択される、請求項27または請求項28に記載の植物によって産生された異種の成長因子。
【請求項30】
表皮成長因子である、請求項27または請求項28に記載の植物によって産生された異種の成長因子。
【請求項31】
局所用製品を製造する方法であって、ヒアルロン酸と、少なくとも1つの賦形剤と、成長因子を含む遺伝子導入植物のエキスとを一緒に混合する工程を含み、前記成長因子は、表皮成長因子(EGF)、血管内皮成長因子(VEGF)、血小板由来成長因子(PDGF)(PDGF−AA、PDGF−BB、およびPDGF−Rbなど)、線維芽細胞成長因子(FGF)(FGF−a、およびFGF−b、FGF−4およびFGF−6など)、形質転換成長因子β(TGF−b)(TGF β−1、TGF β−2、TGF β−3など)、形質転換成長因子α(TGF−a)、エリスロポエチン(Epo)、インスリン様成長因子I(IGF−I)、インスリン様成長因子II(IGF−II)、インターロイキン−1(IL−1)(IL−1αおよびIL−1βなど)、インターロイキン−2(IL−2)、インターロイキン−4(IL−4)、インターロイキン 5(IL−5)、インターロイキン−6(IL−6)、インターロイキン−7(IL−7)、インターロイキン−8(IL−8)、インターロイキン−10(IL−10)、インターロイキン−13(IL−13)、インターロイキン−15(IL−15)、インターロイキン−18(IL−18)、インターロイキン−20(IL−20)、腫瘍壊死因子α(TNF−a)、腫瘍壊死因子β(TNF−b)、インターフェロン−γ(INF−g)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、マクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)、胎盤成長因子(PLGF)、神経成長因子(NGF)、ケラチノサイト成長因子(KGF)、骨形成タンパク質(BMP−4)、肝細胞成長因子(HGF)、レプチン、ノギン、およびチモシンβ4から選択される、方法。
【請求項32】
前記少なくとも1つの賦形剤はグリセロール、塩化カルシウムおよび水を含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記遺伝子導入植物のエキスは大麦種子エキスである、請求項31または請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記遺伝子導入植物のエキスから前記成長因子を単離する工程をさらに含む、請求項31から請求項33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
単離する前記工程は、イオン交換クロマトグラフィーを使用することを含む、請求項34に記載の方法。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6a)】
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【図6b)】
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【図7a)】
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【図7b)】
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【図7c)】
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【図7d)】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2013−516460(P2013−516460A)
【公表日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−547591(P2012−547591)
【出願日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際出願番号】PCT/IS2011/050001
【国際公開番号】WO2011/083500
【国際公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(511002401)
【Fターム(参考)】