説明

スキンケアまたは皮膚をメイクアップするためのコンパクトパウダー

本発明の主題は、付ける際にソフトでクリーム質であり、また、5nmと10μmの間の平均の大きさおよび2未満の屈折率を有する粒子が表面に配置された小板状の基材からなるフィラーを含む、コンパクトパウダーである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スキンケアまたは皮膚をメイクアップするための化粧料組成物に関し、この組成物は、コンパクトパウダーの形態であり、また微粒子フィラーを含む。
【背景技術】
【0002】
化粧料組成物、例えば、ブラッシャー、アイシャドウおよびファンデーションの多くは、さらさらした、コンパクト化された、または成型されたパウダーの形態である。コンパクトパウダー(あるいは、コンパクト化されたパウダー)は、着色もしくは無着色のパウダーと、特に脂肪物質を含むバインダーとの混合物から本質的に構成される。バインダーには、最終製品に一定の密度をもたせ、微粒子相の無機および/または有機粒子に一定の凝集力をもたせ、メイクアップ製品に柔らかさおよびエモリエント性をもたせ、皮膚へのその製品の付着性を向上させる意図がある。
【0003】
これらのコンパクトパウダーは、通常、指で、または例えば、スポンジ、パウダーパフまたはブラシなどのアプリケータを用いて皮膚に付けられる。使用者は、このような製品を用いる場合、通常、付ける心地よさを期待し、これは特に、柔らかさ、皮膚で滑り溶けることができること、および微細でクリーム質のテクスチャなどの品質によって表される。
【0004】
付ける際の滑り性および柔らかさは、通常、選択されるバインダーの性質および量に関連する。このため、組成物は、その外観が均一であることを保証し、付けている間の良好な引延し性をもたせ、時間と共にメイクアップが劣化することを防ぎ、その良好な可浸蝕性(erodability)を保証し、ひび割れ(これは、特に衝撃によって引き起こされ得る)を防ぐのに十分な量のバインダーを含むべきである。ところで、状況によっては、バインダーの性質およびこの十分な量のバインダーは心地よさの点で不利であることが示されることもある。
【0005】
したがって、通常、オイルおよびワックスが、特にファンデーションパウダー、アイシャドウ、ソリッドマスカラ、リップスティックおよびブラッシャーにおいて、パウダーのためのバインダーとして固体化粧品に用いられる。オイルおよびワックスは、それらの滑り性のために、皮膚でクリーム質の感触を与える。しかし、パウダーの凝集力を保証するのに必要とされる脂肪物質の量が多くなると、使用者によっては、その製品をべとべとすると感じることがある。
【0006】
例えば、特許US−A−5 023 075、EP 1 184 028、EP 792 633およびEP 1 698 323に記載されているように、バインダーとしてポリブテンを、あるいはシリコーンオイルを、あるいは出願EP−A−469 602に記載されているように、フルオロオイルを用いることが実際に知られている。長鎖脂肪酸エステル、例えばステアリン酸イソセチルに基づく、コンパクト化パウダーのためのバインダーも特許US−A−5063050またはEP 723 776に記載されている。
【0007】
さらに、コンパクトパウダーの製造は実際に多くの困難を提起する。これは、最終組成物が容易に取り出すことができ、その上ある脆さを防ぐために十分に均一でコンパクトでなければならないためである。さらに、固体粒子は均一な製品の塗布を可能にするように、十分に分散しているべきである。
【0008】
ところで、本発明によるコンパクトパウダーを調製するために、バインダーの存在下でパウダーをプレス成型する公知技術を用いることができる。場合によって、成型のあらゆる時点で一定圧力を得ることが難しいことがあり、得られるコンパクトパウダーは脆い部分を示し得る。本発明による組成物はこれらの欠点を有さず、丈夫である、すなわち耐衝撃性があり、滑らかで、平坦な表面を有する。
【0009】
さらに、消費者は、コンパクト化された形態の組成物で、それらの滑らかでクリーム質の感触が、皮膚に付けた後、グリースが残留する感触として残らない(これは、通常のバインダーでは常にそうとは限らない)組成物を求めている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、固体粒子の良好な分散、および良好な凝集力を示し、任意にブラシを用いて容易に取り出すことができ、付けること、および付けていることを快適にする特性を有するコンパクト化パウダーの形態の組成物を提供することによって、先行技術の困難性および欠点を克服しようとするものである。
【0011】
本出願人は、驚くべきことに、小さいサイズの粒子により被覆されたフレーク状基材から構成される特定のコンポジットフィラーが、満足すべき特性を有するコンパクト化組成物を、特に、良好な凝集力、および付ける際の一定の滑り性を得るために通常必要とされる量のバインダーを加える必要なく、生じ得ることを見出した。
【0012】
いくつかの文献が、薄板状(lamellar)ベースを有するコンポジットパウダーを含むメイクアップ組成物を記載している。
【0013】
例えば、文献JP2002−154929の主題は、2種のパウダー:
−A:球状粒子により被覆された薄板状コンポジットフィラー、および
−B:1/1と1/40の間の短軸/主軸の比、0.5以下の厚さ/主軸の比、および1.60と2.15の間の屈折率によって特徴付けられる薄板状パウダー、例えば、窒化ホウ素
の組合せを含むメイクアップ組成物である。
【0014】
文献JP2002−047138は、3種のパウダー:
−A:球状粒子により被覆された薄板状ベースを有し、球状粒子/薄板状ベースの比=20/80〜80/20によって特徴付けられるコンポジットフィラー、
−B:顔料により被覆された真珠光沢剤、例えば、酸化鉄で覆ったTiO被覆マイカ顔料、
−C:1/1から1/20の短軸/主軸の比、および0.1以下の厚さ/主軸の比によって特徴付けられる薄板状パウダー、例えば、窒化ホウ素
の組合せを含むメイクアップ組成物に関する。
【0015】
本出願人は、その柔らかくクリーム質で滑らかな感触が、通常のコンパクト化配合のものに匹敵し、皮膚に付けた後で残留するグリースの感触が通常のコンパクトパウダーに比べて少ないコンパクト化パウダーを提案する。
【0016】
得られるコンパクト組成物は、取り出す際に柔らかくクリーム質であり、指またはブラシで容易に崩潰する。また、該コンパクト組成物は、コンパクト化が容易であり、十分な凝集力を有し、時間が経っても安定であり、耐衝撃性があり、滑らかで平坦な表面を有する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
第1の実施形態によれば、本発明の主題は、微粒子相および脂肪相を含む、コンパクト化された形態のメイクアップまたはケア化粧料組成物であり、
−前記微粒子相が、5nmと10μmの間の平均の大きさ、および2未満の屈折率を有する有機もしくは無機粒子により被覆された小板状の基材を含む、少なくとも1種のコンポジットフィラーを含むこと、および
−前記脂肪相が、組成物の重量に対して、15重量%未満、好ましくは10重量%未満、さらには5重量%未満を占めること
を特徴とし、
前記コンポジットフィラーが、組成物の全重量に対して、2重量%から95重量%を占めることを特徴とする。
【0018】
本発明の第2の実施形態は、微粒子相および脂肪相を含む、コンパクト化された形態のメイクアップまたはケア化粧料組成物に関し、
−前記微粒子相が、アルミナおよび水酸化アルミニウムから選択される、5nmと10μmの間の平均の大きさを有する無機粒子により被覆された小板状の基材を含み、該粒子が2未満の屈折率を有するコンポジットフィラーを含むこと、および
−前記脂肪相が、420g/molを超える分子量の1種または複数のオイルを含む場合、該オイルもしくは該オイルの全てが、組成物の重量に対して5重量%未満を占めること
を特徴とし、
前記コンポジットフィラーは、組成物の全重量に対して、2重量%から95重量%を占める。
【発明の効果】
【0019】
本発明によるコンパクトパウダーは、入射光をいくつかの方向に散乱させることによって、光学的効果を通じて、皮膚の欠点を減らす、または除くのに、特に有効である。それは、特に、肌の色を一様にすること、または、細かい起伏、皺、小皺、小孔もしくは皮膚の色の変化などの、皮膚の欠陥をぼかすことを助けることを可能にする。それは、皮膚の欠陥、例えば、小孔、斑紋(mark)、均質でない肌理、色調の違い、または斑点(spot)を視覚的に隠すことを可能にする。
【発明を実施するための形態】
【0020】
コンポジットフィラー
本発明による化粧料組成物の一部であるコンポジットフィラーは、有機もしくは無機粒子により被覆された小板状の基材を含み、該粒子の屈折率は2未満、さらには1.8未満である。別の言い方をすると、基材は、2以上(例えば、TiO)、またはさらには1.8以上(例えば、ZnO)の屈折率を有する如何なる粒子によっても被覆されていない。
【0021】
コンポジットフィラーは、好ましくは、組成物の全重量に対して8重量%から95重量%を、例えば、組成物の全重量に対して10重量%から80重量%を占める。一実施形態において、前記組成物は、組成物の全重量に対して、15重量%から70重量%、またはさらには40重量%から60重量%を含む。
【0022】
コンポジットフィラーの平均の大きさは、0.1と100ミクロンの間、好ましくは5と50ミクロンの間で、好ましくは30ミクロン以下、15ミクロン以下、さらには10ミクロン以下であり得る。平均の大きさ(または粒径)は、本出願の全体を通して、D50として知られる、母集団の半数に対する統計的粒径分布によって与えられる大きさとして定義される。
【0023】
小板状の基材は、好ましくは、3つの寸法:長さ、幅および厚さによって特徴付けられ、小板の幅と長さの比は、好ましくは、1/1と1/50の間にあり、好ましくは、厚さと長さの比は、1/5未満、好ましくは1/10未満、より好ましくは1/20未満である。
【0024】
前記基材は有機物または無機物であり得る。好ましくは、それは、無機ケイ酸塩、タルク、オキシ塩化ビスマス、有機ポリマーまたは硫酸バリウム、ガラス、セラミック、グラファイト、金属酸化物、アルミナ、シリカ、ケイ酸塩、特に、アルミノケイ酸塩およびホウケイ酸塩、ならびに合成マイカ(雲母)(この列挙は限定ではない)などの薄板状パウダーから選択される。
【0025】
前記組成物の一部であり得る前記ポリマーは、例えば、ポリ(メタクリル酸アルキル)、ポリエチレンナフタレート、ポリアルキレンテレフタレートまたはポリイミドである。
【0026】
好ましい一実施形態によれば、基材は、ケイ酸塩から、例えば、天然もしくは合成のマイカから選択される。マイカは、白雲母、金雲母、チオタイト(tiotite)、絹雲母(sericite)、鱗雲母およびパラゴナイト、合成マイカ、ならびにこれらの混合物から選択され得る。
【0027】
前記粒子は、小板の表面の一部を、該表面を覆う連続層を好ましくは生成せずに、覆うように、有利には、大きさが基材よりずっと小さい。好ましくは、粒子の大きさと基材の厚さの比は、1/10と1/1の間にある。
【0028】
したがって、粒子は5nmと10ミクロンの間、好ましくは10と600nmの間、例えば、100〜200nmの程度、または200〜300nmの程度の平均の大きさを有する。小板の表面に配置される粒子は、利点のある光学的効果を付与するように、好ましくは、本質的に同じ形状を有する。それらの形状はまた、光の散乱を促進するように、好ましくは均一であり、例えば、本質的に球状または円柱状である。
【0029】
本発明の第1の実施形態において、粒子は、有利には、アルミナまたは水酸化アルミニウムまたはシリカなどの、金属の酸化物または水酸化物から構成される。
【0030】
したがって、コンポジットフィラーは、アルミナ(Al)、水酸化アルミニウム(Al(OH))、シリカ(SiO)またはこれらの混合物を含む粒子により表面被覆された無機ケイ酸塩の粒子から構成される。コンポジットフィラーには、例えば、
−マイカ基材およびアルミナ粒子(INCI名:マイカ&アルミナビーズ&ジメチコーン、もしくは、マイカ&アルミナビーズ)、または
−マイカ基材および水酸化アルミニウム粒子(INCI名:マイカ&水酸化アルミニウム&ジメチコーン、もしくは、マイカ&水酸化アルミニウム)、または
−マイカ基材およびシリカ粒子(INCI名:マイカ&シリカ&ジメチコーン、もしくは、マイカ&シリカ)
が含まれ得る。
【0031】
本発明の第2の実施形態において、コンポジットフィラーは、アルミナ(Al)、水酸化アルミニウム(Al(OH))、またはこれらの混合物を含む粒子により表面被覆された無機ケイ酸塩の粒子から構成される。
【0032】
前記において、用語「構成される」は、コンポジットフィラーが、想定されているもの以外の無機粒子(例えば、TiOまたはBaSO)を、全く含まないことを意味する。しかし、有利には、コンポジットフィラーは、シリコーン化合物(これは、例えば、被覆剤として用いられ得る)、例えばジメチコーンを、好ましくは0.1%と5%の間、例えば2〜3%の程度の量で含み得る。
【0033】
両方の実施形態において、コンポジットフィラーは、アルミナビーズにより被覆されたマイカから好ましくは構成され、該ビーズは、10ミクロンに等しい平均の大きさを有する。
【0034】
基材と粒子の間の質量比は、好ましくは、20/80と90/10の間、例えば、40/60から90/10、好ましくは50/50と80/20の間、より好ましくは70/30と80/20の間である。
【0035】
本発明の組成物に用いられるコンポジットフィラーは、好ましくは、低い摩擦係数を有し、摩擦係数は、例えば、CCIC社による動摩擦計(Kinetic Friction Meter)により測定できる。この装置により測定されるコンポジットパウダーの摩擦係数は、好ましくは、0.50未満、より好ましくは0.30未満である。
【0036】
コンポジットフィラーは、Miyoshi KaseiからExcel Mica JP−2(登録商標)およびSXI−9(登録商標)の参照名で、または、Feathery Powder 12(登録商標)(SACI−CFPA社によって販売されている)の参照名で購入できる。それらは、かなりの軟焦点効果、および低い摩擦係数によって特徴付けられると同時に、透明である。
【0037】
他のパウダー
微粒子相は、コンポジットパウダー、および、好ましくは第2のパウダーを含み、好ましくは、該微粒相は、組成物の全重量の75重量%から99重量%、より好ましくは組成物の全重量の85重量%から90重量%を占める。
【0038】
第2のパウダー(フィラーとも呼ばれる)は、前記コンポジットフィラーとは別のものであり、無機および有機フィラーから選択される。用語「有機フィラー」は、単独の有機化合物から構成されるフィラー、または、有機もしくは無機である別の化合物により被覆された有機基材から構成されるフィラーを意味するものとする。用語「無機フィラー」は、単独の無機化合物から構成されるフィラー、または、有機もしくは無機である別の化合物により被覆された無機基材から構成されるフィラーを意味するものとする。
【0039】
それぞれのタイプのフィラーは、本発明の組成物に特定の異なる特性をもたせることを可能にする。したがって、例えば、無機薄板状フィラーは、柔らかさをもたらし、無機球状フィラーは、良好な崩潰性をもたらし、有機球状フィラーは、構造を与える役割を有し、柔らかさをもたらす。化粧料としての良好な特性を有する組成物を得るために、相補的な性質を有する少なくとも2種の異なるフィラーを混合することが好ましい。
【0040】
無機フィラーは、例えば、タルク、マイカ、シリカ、カオリン、中空シリカマイクロスフィア、ガラスマイクロカプセル、酸化チタン、酸化鉄および酸化亜鉛から選択される材料を含み得る。
【0041】
無機フィラーは、TiOおよびシリカを含む複合物(compound)、マイカおよびTiOを含む複合物、シリカおよびTiOを含む複合物、またはこれらの混合物であり得る。無機フィラーは、薄板状または非薄板状であり得る。
【0042】
無機フィラーの中で、特に
−弾性シリコーンパウダー、KSPの参照名でSHIN ETSUによって販売されている、
−シリカで被覆された二酸化チタン、例えば、Eckartによって販売されているFlonac TS 40 C(登録商標)、
−3と15ミクロンの間の粒径を有するシリカマイクロビーズ、例えば、Miyoshiによって製造されるSilica Beads SB 150(登録商標)、またはAsahi Glassによって製造される、3ミクロンに等しい粒径を有するSunsphere H31(登録商標)シリカマイクロビーズ、
−1.5ミクロンに等しい粒径を有するシリカ小板、例えば、Sumitomoによって販売されているChemiceler(登録商標)もしくはFinesil F−80(登録商標)、
−例えば0.6ミクロンに等しい粒径を有する、二酸化チタンおよび多孔質シリカにより被覆されたシリカ、例えば、Catalysts and Chemicalsによる製品ACS−0050510(登録商標)、シリカ/二酸化チタン/多孔質シリカの比率は85/5/10に等しくなっている、
−硫酸バリウムおよび酸化チタンにより被覆されたマイカ、例えば、Merckによる製品Naturaleaf(登録商標)、マイカ/硫酸バリウム/酸化チタンの比率は66/22/12に等しくなっている、
−アモルファスシリカにより被覆された、シリカおよび酸化セリウムの複合体(complex)、1と10ミクロンの間の粒径を有する、例えば、製品Ceriguard SC(登録商標)、
−シリカおよび酸化チタンの複合体で、ポリハイドロジェンメチルシロキサンにより、例えば、93/5/2の比率で被覆されたもの、
−酸化チタン、アルミナおよびシリカにより被覆された絹雲母の小板、例えば、Catalysts and Chemicalsによって販売されているCoverleaf AR−20121 M(登録商標)、この粒径は5と10ミクロンの間であり、絹雲母/酸化チタン/アルミナ/シリカの比率は67/5/18/10に等しくなっている、
−ほぼ40ミクロン未満の大きさを有する粒子状の、水和マグネシウムタルクもしくはケイ酸塩、
−2から200ミクロン、好ましくは5〜70ミクロンの寸法、および0.1から5ミクロン、好ましくは0.2〜3ミクロンの厚さを有する小板状である様々な組成のマイカまたはアルミノケイ酸塩、これらのマイカは、天然由来(例えば、白雲母、真珠雲母、バナジン雲母、リピドライト(lipidolite)、黒雲母)、または合成由来であることが可能である
を挙げることができる。
【0043】
無機フィラーはまた、カオリンもしくはケイ酸アルミニウム水和物、窒化ホウ素、タルク、絹雲母、ほとんどのチタン−マイカ、例えば、IKEDA社によるナノチタンマイカCoverleaf PC 2055M(登録商標)、酸化亜鉛および酸化チタン(通常、数マイクロメートルを超えない寸法を有する粒子状で用いられる)、特に、IKEDA社によるSPHERITITAN(登録商標)などの球状二酸化チタン、沈降炭酸カルシウム(これは、10ミクロンを超える寸法を有する粒子状である)、炭酸マグネシウム、炭酸水素マグネシウム、非多孔質球状シリカ、ヒドロキシアパタイト、ならびにこれらの混合物からも選択され得る。
【0044】
第2のパウダーはまた、例えば、
−シリコーンエラストマーのパウダー、SHIN ETSUによってKSPの参照名で販売されている;
−テトラフルオロエチレンポリマーのパウダー、例えば、MONTEFLUOS社によるFluon(登録商標)、またはHOECHST社によるHostaflonq(登録商標)、およびAJINOMOTO社によるラウロイルリシンAminope LL−11(登録商標);
−8から22個の炭素原子、好ましくは12から18個の炭素原子を有する有機カルボン酸から誘導される金属石鹸、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸リチウム、ラウリン酸亜鉛またはミリスチン酸マグネシウム、これらの石鹸は、クリーム質の感触を有し、皮膚へのパウダーの付着を容易にする;
−50ミクロン未満の寸法を有する粒子状の、無膨張合成ポリマーパウダー、例えば、ポリエチレン、ポリエステル(例えば、ポリエチレンイソフタレートもしくはテレフタレート)およびポリアミド(例えば、ナイロン)、これらは、吸収性を有し、皮膚にビロードのような外観を与える;
−天然由来の有機材料の粉末、例えば、トウモロコシデンプン、コムギデンプンまたは米デンプン;
−アクリルポリマーの微多孔質マイクロスフィア、例えば、架橋アクリレートコポリマーからなるもの、DOW CORNING社によるPolytrap(登録商標)、およびポリ(メタクリル酸メチル)のもの、SEPPIC社によるMICROPEARL M(登録商標)もしくはMICROPEARL M 100(登録商標);TOSHIKI社によってPLASTIC POWDER FPSQ(登録商標)の商用名で販売されているスチレン/ジビニルベンゼンコポリマーのマイクロスフィア(これらには、スクアランが含侵されており、スクアランはエモリエント美容活性剤である);ならびに
−塩化ビニリデン/アクリロニトリルコポリマーのマイクロカプセルである、Kemanord Plast社によるEXPANCEL(登録商標)
などの有機フィラーからも選択され得る。
【0045】
ナイロンなどのポリアミドのパウダー、ポリ−β−アラミンパウダー、ポリエチレンパウダー、ポリテトラフルオロエチレンパウダー、ラウロイルリシン、デンプン、ポリ塩化ビニリデン/アクリロニトリルからなるものなどの中空ポリマーマイクロスフィア、例えば、Expancel(登録商標)、架橋アクリレートコポリマー、例えば、Polytrap(登録商標)、およびシリコーン樹脂マイクロビーズ、例えば、Tospearl(登録商標)が、特に好ましい。
【0046】
好ましくは、第2のパウダーは、50ミクロン以下、好ましくは30ミクロン以下、より好ましくは15ミクロン以下で、優先的には10ミクロン以下の平均粒径を有する。
【0047】
第2のパウダーは、無機パウダーおよび金属石鹸を含むパウダーであり得る。この場合、フィラーは、1)マイカまたはタルク、および2)8から22個の炭素原子、好ましくは12から18個の炭素原子を有する有機カルボン酸から誘導される金属石鹸(例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸リチウム、ラウリン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム、ジミリスチン酸アルミニウム)を含むコンポジット、ならびにこれらの混合物から好ましくは選択される。例えば、無機フィラーは、マイカおよびミリスチン酸マグネシウムのコンポジット、または、タルクおよびジミリスチン酸アルミニウムのコンポジット、またはこれらの混合物である。
【0048】
特定の一実施形態において、本発明による組成物の微粒子相は、コンポジットフィラー、窒化ホウ素、マイカ/ミリスチン酸マグネシウム、およびメタクリレートポリマーの組合せを含む。この実施形態では、組成物は、50〜60重量%の前記コンポジットパウダー(任意選択で、タルクおよびジミリスチン酸アルミニウムのコンポジットとの混合物として)、5〜15重量%の窒化ホウ素、8〜15重量%のマイカ/ミリスチン酸マグネシウム、ならびに5〜12重量%のメタクリレートポリマーを有利には含む。
【0049】
組成物中に存在するフィラーは、他の成分と混合される前に、有利には、微粒子化される。
【0050】
顔料
本発明による組成物は、組成物の全重量に対して、0.1重量%から15重量%の比率で顔料を含み得る。
【0051】
本発明での顔料は、例えば、真珠光沢剤、反射性顔料または干渉性顔料などの、特殊効果を有する顔料から選択され得る。
【0052】
特殊効果を有する顔料の例として、白色真珠光沢顔料、例えば、チタンもしくはオキシ塩化ビスマスにより被覆されたマイカ、着色真珠光沢顔料、例えば、チタンおよび酸化鉄により被覆されたマイカ、チタンおよび特にフェリック(ferric)ブルーもしくは酸化クロムにより被覆されたマイカ、チタンおよび有機顔料により被覆されたマイカ、さらにオキシ塩化ビスマス系の真珠光沢顔料を挙げることができる。真珠光沢顔料として、Engelhardにより販売されている真珠光沢剤Cellini(登録商標)(mica−TiO−レーキ)、Eckartにより販売されているPrestige(登録商標)(mica−TiO)、および、Merckにより販売されているColorona(登録商標)(mica−TiO−Fe)を挙げることができる。
【0053】
基材に固定されているのではない、干渉効果を有する顔料、例えば、液晶(WackerによるHelicones HC(登録商標))、またはホログラフィー干渉小板も挙げることができる。特殊効果を有する顔料にはまた、蛍光顔料(これらが、日光で蛍光性である物質であろうと、紫外蛍光発光を生じる物質であろうとも)、燐光性顔料、フォトクロミック顔料およびサーモクロミック顔料も含まれ得る。
【0054】
本発明の組成物は、反射性顔料も含んでいてよく、これらは、色彩角度依存性(goniochromatic)顔料であることもそうでないこともあり、また、干渉性顔料であることもそうでないこともある。反射性粒子は、好ましくは、少なくとも10μm、例えば、約20μmと約50μmの間の大きさを有する。
【0055】
銀により被覆された、小板状のガラス基材による粒子が、TOYAL社によってMICROGLASS METASHINE REFSX 2025 PS(登録商標)の名称で販売されている。ニッケル/クロム/モリブデン合金により被覆されたガラス基材による粒子が、同じ会社によってCRYSTAL STAR GF 550(登録商標)、GF 2525(登録商標)の名称で販売されている。それらの形状に関係なく、反射性粒子はまた、少なくとも1種の金属化合物(特に、例えば、酸化チタン、特にTiO、酸化鉄、特にFe、酸化スズ、酸化クロムから選択される金属酸化物、硫酸バリウム、および次の化合物:MgF、CrF、ZnS、ZnSe、SiO、Al、MgO、Y、SeO、SiO、HfO、ZrO、CeO、Nb、Ta、MoS、ならびにこれらの混合物またはこれらの合金)の少なくとも1つの層により少なくとも部分的に被覆された合成基材による粒子からも選択され得る。
【0056】
反射性粒子は、酸化物の層により被覆された基材から構成される。対照的に、前記コンポジットパウダーは、独立した粒子(これらは、金属酸化物粒子であり得る)がその表面に配置された基材から構成されている。それゆえに、反射性粒子は、コンポジットパウダーと同じ化合物を含み得るが、これらの化合物の形状および配置が異なる。
【0057】
このような粒子の例として、例えば、二酸化チタンにより被覆された合成マイカ基材を含む粒子、褐色酸化鉄もしくは酸化チタン(2を超える屈折率)、酸化スズまたはこれらの混合物により被覆されたガラス粒子、例えば、ENGELHARD社によってREFLECKS(登録商標)の商用名で販売されているものを挙げることができる。NIPPON SHEET GLASS CO.LTD社によって販売されているMETASHINE 1080R(登録商標)製品群の顔料も、本発明に適している。粒子の全重量の12%を占める二酸化チタンにより被覆された合成マイカ基材(フッ素金雲母)を含む、80と100μmの間の大きさの粒子(NIHON KOKEN社によってPROMINENCE(登録商標)の名称で販売されている)も挙げることができる。
【0058】
本発明の組成物は、1種または複数の色彩角度依存性顔料を含み得る。色彩角度依存性着色剤は、例えば、多層干渉構造体、および液晶着色剤から選択され得る。使用され得る多層干渉構造体の例は、例えば、MERCK(Darmstadt)社によってXIRONAの名称で販売されている顔料である。SHISEIDO社によるINFINITE COLOR顔料も挙げることができる。
【0059】
本発明の組成物はまた、パーフルオロアルコールホスフェート、およびシラン(例えば、トリエトキシカプリリルシラン)により処理された顔料も含み得る。これらの複合物は、特に、次の参照名に対応する:
−FOTS−52 Talc JA−46R(登録商標):タルク(および)C9〜15フルオロアルコールホスフェート(および)トリエトキシカプリリルシラン、
−FOTS−52 Sericite FSE(登録商標):マイカ(および)C9〜15フルオロアルコールホスフェート(および)トリエトキシカプリリルシラン、
−FOTS−52 Sericite GMS−4C(登録商標):マイカ(および)C9〜15フルオロアルコールホスフェート(および)トリエトキシカプリリルシラン、
−FOTS−52 TiO2 CR−50(登録商標):二酸化チタン(および)C9〜15フルオロアルコールホスフェート(および)トリエトキシカプリリルシラン、
−FOTS−52 Red R−516L(登録商標):酸化鉄(C.I.77491)(および)C9〜15フルオロアルコールホスフェート(および)トリエトキシカプリリルシラン、
−FOTS−52 Yellow LLXLO(登録商標):酸化鉄(C.I.77492)(および)C9〜15フルオロアルコールホスフェート(および)トリエトキシカプリリルシラン、
−FOTS−52 Black BL−100(登録商標):酸化鉄(C.I.77499)(および)C9〜15フルオロアルコールホスフェート(および)トリエトキシカプリリルシラン。
【0060】
本発明による組成物は、有利には、DayGlo Color Corp社によってDERMAGLO(登録商標)の参照名で販売されている複合物を含み得る。これらの複合物は樹脂に分散された染料である。それらは、次の参照名に対応する:
−DG−R222−Polyester−3、D&C Red No.22、
−DG−R228−Polyester−3、D&C Red No.28、
−DG−R422−Polyester−3、D&C Red No.22、
−DG−R428−Polyester−3、D&C Red No.28、
−DG−11−Polyester−3、D&C Red 28 & Red 21、
−DG−13−Polyester−3、D&C Red 28 & Orange 5、
−DG−14−Polyester−3、D&C Yellow 7、Orange 5 & Red 28、
−DG−0205−Polyester−3、D&C Orange No.5、
−DG−Y410−Polyester−3、D&C Yellow No.10、
−DG−17−Polyester−3、D&C Yellow No.7、
−DG−20−Polyester−3、D&C Violet No.2。
【0061】
顔料はまた、特許出願EP 1 184 426に記載のコンポジット顔料の形態でもあり得る。これらのコンポジット顔料は、特に、無機コア、このコアに有機顔料を結び付けるための少なくとも1種のバインダー、および、コアを少なくとも部分的に被覆する少なくとも1種の有機顔料を含む粒子からなり得る。
【0062】
脂肪相
本発明の組成物はまた、少なくとも1種のオイル、または少なくとも1種のワックスを含む脂肪相も含み得る。
【0063】
脂肪相の構成物の一部であるオイルの中で、以下を挙げることができる:
−脂肪酸エステル、例えば、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸へキシル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、ラウリン酸2−へキシルデシル、パルミチン酸2−オクチルデシル、ミリスチン酸2−オクチルドデシル、乳酸2−オクチルドデシル、コハク酸2−ジエチルへキシル、マレイン酸ジイソステアリル、トリイソステアリン酸グリセリル、またはトリイソステアリン酸ジグリセリル;
−シリコーンオイル、例えば、ポリメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、脂肪酸、脂肪アルコールまたはポリオキシアルキレンにより変性されたポリシロキサン;
−ひまし油、またはホホバオイル;
−炭化水素オイル:パラフィン、スクワレン、ワセリン(petroleum jelly);
−高級脂肪酸、例えば、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、またはイソステアリン酸;
−高級脂肪アルコール、例えば、セタノール、ステアリルアルコール、またはオレイルアルコール。
【0064】
使用され得るワックスの中で、蜜蝋、ラノリンワックスおよびイボタ蝋(China insect wax);カルナウバワックス、キャンデリアワックス、オウリキュリー(ouricury)ワックス、コルク繊維ワックス、サトウキビワックス、木蝋(Japan wax)、水素添加ホホバワックス、ならびに水素添加オイル、例えば、水素添加ヒマワリ油、水素添加ひまし油、水素添加ココナッツオイルおよび水素添加ラノリン;マイクロクリスタリンワックス、モンタンワックスおよびオゾケライト(ozokerite);ポリエチレンワックス、例えば、New Phase Technologiesによって販売されているPolywax 500またはPolywax 400、フィッシャー−トロプシュ合成によって得られるワックス、ワックス状コポリマーおよびそれらのエステル、パラフィンワックス、例えば、Strahl&PitschによるパラフィンS&P 206、S&P 173およびS&P 434、ならびにシリコーンワックス、例えば、ポリアルコキシシロキサンおよびポリアルキルシロキサンを挙げることができる。
【0065】
炭化水素系ワックスには、長鎖線状アルコール、例えば、20から50個の炭素原子のポリエチレンおよびアルコールの混合物を含む製品、特に、New Phase Technologiesによって販売されている、Performacol 425、またはPerformacol 550(20/80の比率の混合物)が含まれる。
【0066】
本発明の組成物は、好ましくは、5重量%未満、特に、4重量%未満、さらに良好には3重量%未満、2重量%未満、好ましくは1重量%未満の、分子量が420g/molを超え、さらには350g/molもしくは300g/molを超えるオイルを含む。
【0067】
アイシャドウまたはファンデーション組成物では、組成物中の脂肪相の比率は、組成物の重量に対して、5重量%と15重量%の間であり得る。ブラッシャーまたはコンシーラー組成物では、組成物中の脂肪相の比率は、組成物の重量に対して、1重量%と10重量%の間であり得る。フェイスパウダー組成物では、組成物中の脂肪相の比率は、組成物の重量に対して、0.1重量%と5重量%の間であり得る。アイシャドウ組成物では、組成物中の脂肪相の比率は、組成物の重量に対して、0.5重量%と8重量%の間であり得る。
【0068】
サンスクリーン
有利には、本発明による組成物は、UV−Aおよび/またはUV−B域において活性であり、それらのINCI名によって特定される次の化合物、およびそれらの混合物から選択される、少なくとも1種のサンスクリーンを含む:
パラ−アミノ安息香酸誘導体:
−PABA、
−エチルPABA、
−エチルジヒドロキシプロピルPABA、
−エチルヘキシルジメチルPABA、特に、ISPにより「ESCALOL 507」の名称で販売されているもの、
−グルセリルPABA、
−PEG−25PABA、BASFにより「UVINUL P25」の名称で販売されている、
サリチル酸誘導体:
−ホモサレート、RONA/EM INDUSTRIESによって「EUSOLEX HMS」の名称で販売されている、
−サリチル酸エチルヘキシル、HAARMANN and REIMERによって「NEO HELIOPAN OS」の名称で販売されている、
−サリチル酸ジプロピレングルコール、SCHERによって「DIPSAL」の名称で販売されている、
−サリチル酸TEA、HAARMANN and REIMERによって「NEO HELIOPAN TS」の名称で販売されている、
ジベンゾイルメタン誘導体:
−ブチルメトキシジベンゾイルメタン、特に、DSMによって「PARSOL 1789」の商用名で販売されているもの、
−イソプロピルジベンゾイルメタン、
ケイ皮酸誘導体:
−メトキシケイ皮酸エチルヘキシル、特に、DSMによって「PARSOL MCX」の商用名で販売されているもの、
−メトキシケイ皮酸イソプロピル、
−メトキシケイ皮酸イソアミル、HAARMANN and REIMERによって「NEO HELIOPAN E 1000」の商用名で販売されている、
−シノキサート、
−メトキシケイ皮酸DEA、
−メチルケイ皮酸ジイソプロピル、
−ジメトキシケイ皮酸エチルヘキサン酸グリセリル、
β,β’−ジフェニルアクリル酸エステル誘導体:
−オクトクリレン、特に、BASFによって「UVINUL N539」の商用名によって販売されているもの、
−エトクリレン、特に、BASFによって「UVINUL N35」の商用名で販売されているもの、
ベンゾフェノン誘導体:
−ベンゾフェノン−1、BASFによって「UVINUL 400」の商用名で販売されている、
−ベンゾフェノン−2、BASFによって「UVINUL D50」の商用名で販売されている、
−ベンゾフェノン−3、またはオキシベンゾン、BASFによって「UVINUL M40」の商用名で販売されている、
−ベンゾフェノン−4、BASFによって「UVINUL MS40」の商用名で販売されている、
−ベンゾフェノン−5、
−ベンゾフェノン−6、NORQUAYによって「HELISORB 11」の商用名で販売されている、
−ベンゾフェノン−8、AMERICAN CYANAMIDによって「SPECTRA−SORB UV−24」の商用名で販売されている、
−ベンゾフェノン−9、BASFによって「UVINUL DS−49」の商用名で販売されている、
−ベンゾフェノン−12
ベンジリデンカンファー誘導体:
−3−ベンジリデンカンファー、CHIMEXによって「MEXORYL SD」の名称で製造されている、
−4−メチルベンジリデンカンファー、MERCKによって「EUSOLEX 6300」の名称で販売されている、
−ベンジリデンカンファースルホン酸、CHIMEXによって「MEXORYL SL」の名称で製造されている、
−カンファーベンザルコニウムメトサルフェート、CHIMEXによって「MEXORYL SO」の名称で製造されている、
−テレフタリリデンジカンファースルホン酸、CHIMEXによって「MEXORYL SX」の名称で製造されている、
−ポリアクリルアミドメチルベンジリデンカンファー、CHIMEXによって「MESORYL SW」の名称で製造されている、
フェニルベンゾイミダゾール誘導体:
−フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸、特に、MERCKによって「EUSOLEX 232」の商用名で販売されているもの、
−ベンゾイミダジレート(benzimidazilate)、HAARMANN and REIMERによって「NEO HELIOPAN AP」の商用名で販売されている、
トリアジン誘導体:
−アニソトリアジン、CIBA GEIGYによって「TINOSORB S」の商用名で販売されている、
−エチルヘキシルトリアゾン、特に、BASFによって「UVINUL T150」の商用名で販売されているもの、
−ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、SIGMA 3Vによって「UVASORB HEB」の商用名で販売されている、
フェニルベンゾトリアゾール誘導体:
−ドロメトリゾールトリシロキサン、RHODIA CHIMIEによって「SILATRIZOLE」の名称で販売されている、
−メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、FAIRMOUNT CHEMICALによって「MIXXIM BB/100」の商用名で、固体状で、または、CIBA SPECIALTY CHEMICALSによって「TINOSORB M」の商用名で、微粒子化された形態で、水性分散体として販売されている、
アントラニル酸誘導体:
−アントラニル酸メンチル、HAARMANN and REIMERによって「NEO HELIOPAN MA」の商用名で販売されている、
イミダゾール誘導体:
−ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリンプロピオン酸エチルヘキシル、
ベンザルマロン酸エステル誘導体:
−ベンザルマロン酸エステル官能基を含むポリオルガノシロキサン、HOFFMANN LA ROCHEによって「PARSOL SLX」の商用名で販売されている。
【0069】
一層特別に好ましい有機UVスクリーンは、以下の化合物、およびこれらの混合物から選択される:
−サリチル酸エチルヘキシル、
−ブチルメトキシジベンゾイルメタン、
−メトキシケイ皮酸エチルヘキシル、
−オクトクリレン、
−フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸、
−テレフタリリデンジカンファースルホン酸、
−ベンゾフェノン−3、
−ベンゾフェノン−4、
−ベンゾフェノン−5、
−4−メチルベンジリデンカンファー、
−ベンゾイミダジレート、
−アニソトリアジン、
−エチルヘキシルトリアゾン、
−ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、
−メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、
−ドロメトリゾールトリシロキサン。
【0070】
サンスクリーンは、組成物中に、所望の保護をもたらすのに十分な量で存在する。例えば、組成物は、5〜15重量%のメトキシケイ皮酸エチルヘキシルを含む。
【0071】
本発明による組成物はまた、化粧品分野において通常用いられる任意の添加剤、例えば、酸化防止剤、芳香剤、保存剤、または水和剤もしくはビタミンなどの美容活性剤を含み得る。これらの添加剤は、組成物の全重量に対して、0〜15重量%の比率で組成物中に存在し得る。
【0072】
一実施形態によれば、本発明の組成物は、本質的に無水である。本発明の組成物は、不純物として、または組成物によって吸着されて組成物中に存在する、調製過程の間に付加される5%未満の水を含む。好ましくは、無水組成物は、3%未満の水、またはさらには1%未満の水を含む。
【0073】
言うまでもなく、当業者は、この、もしくはこれらの任意選択の添加化合物、および/またはそれらの量を選択するのに、本発明による組成物の利点のある特性が、想定される添加によって損なわれない、または実質的に損なわれないように、注意を払うであろう。
【0074】
本発明による組成物は、化粧品の形態に、特に、メイクアップ製品、殊に、ファンデーション、コンシーラー製品、アイシャドウ、ブラッシャーまたはフェイスパウダーの形態にあり得る。
【0075】
以下の実施例は、本発明を例示する。これらの実施例において、示される比率は、重量によるパーセンテージである。
【実施例1】
【0076】
次の組成を有するメイクアップコンパクトパウダーを調製する。
【0077】
【表1】

【0078】
様々な成分を混合した後、該混合物を、例えば、Hosokawa Alpineによって販売されているAlpine 100AS装置を用いて、エアージェット微粒子化法によって微粒子化する。次いで、組成物は36barでコンパクト化される。
【0079】
得られるパウダーは、メイクアップブラシにより、容易に試し取りでき、皮膚上で粗くない。それは、取り出す際に、ソフトでクリーム質の感触がする。
【実施例2】
【0080】
次の組成物を、実施例1と同様に調製する。
【0081】
【表2】

【0082】
得られるパウダーは、メイクアップブラシにより、容易に試し取りでき、皮膚上で粗くない。
【実施例3】
【0083】
次の組成物を実施例1と同様に調製する。
【0084】
【表3】

【実施例4】
【0085】
次の組成を有するメイクアップコンパクトパウダーAおよびBを、実施例1に記載のものと同じ方法で調製する。
【0086】
【表4】

【0087】
コンパクト化した後1日後(D+1)に、組成物AおよびBのそれぞれについて以下を実施した:
−組成物が壊れる前に、組成物が落下させられる回数に相当する破壊指数(breaking index)の測定、
−針貫入度の測定、
−製品の崩潰性能に対応する、パウダー性の評価。
【0088】
破壊指数は、長さ1.5メートルで、地面に対して45度の角度をなし、木製のストップで終わるプラスチック滑走面で、57mm×45mm×5mmの寸法を有するコンパクトを滑らせることによって測定する。コンパクトは、滑走面の最上端から放たれる。破壊指数は、壊れることなくコンパクトがストップにぶつかる回数の平均(8個のコンパクトについての)である。
【0089】
貫入度は、NORMALAB ANALIS社によるP734の参照名を有する自動貫入度試験器を用いて、57mm×45mm×5mmの寸法を有するコンパクトの中央および隅で行う、5回の測定の平均に等しい。貫入時間は5秒であり、針(シャフトの重さは47.46gであり、針の重さは2.57gである)に、追加の荷重は加えない。
【0090】
結果を次の表に要約する。
【0091】
【表5】

【0092】
本発明による組成物Aは、組成物Bより堅くなく、そのため、崩潰性能の向上を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微粒子相および脂肪相を含み、
−前記微粒子相が、5nmと10μmの間の平均の大きさ、および2未満の屈折率を有する有機もしくは無機粒子により被覆された小板状の基材を含む、少なくとも1種のコンポジットフィラーを含むこと、および
−前記脂肪相が、組成物の重量に対して、15重量%未満、好ましくは10重量%未満、さらには5重量%未満を占めること
を特徴とし、
前記コンポジットフィラーが、組成物の全重量に対して、2重量%から95重量%を占める、コンパクト化された形態のメイクアップまたはケア化粧料組成物。
【請求項2】
前記粒子が、アルミナまたは水酸化アルミニウムまたはシリカなどの、金属の酸化物または水酸化物の粒子であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
微粒子相および脂肪相を含み、
−前記微粒子相が、アルミナおよび水酸化アルミニウムから選択される、5nmと10μmの間の平均の大きさを有する無機粒子により被覆された小板状の基材を含み、該粒子が2未満の屈折率を有するコンポジットフィラーを含むこと、および
−前記脂肪相が、420g/molを超える分子量の1種または複数のオイルを含む場合、該オイルもしくは該オイルの全てが、組成物の重量に対して、5重量%未満、好ましくは3重量%未満、より好ましくは1重量%未満を占めること
を特徴とし、
前記コンポジットフィラーが、組成物の全重量に対して、2重量%から95重量%を占める、コンパクト化された形態のメイクアップまたはケア化粧料組成物。
【請求項4】
前記コンポジットフィラーの基材がケイ酸塩であることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
前記ケイ酸塩が天然または合成マイカであることを特徴とする、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記粒子の形状が、本質的に球状である、または本質的に円柱状であることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記微粒子相が、組成物の全重量に対して、75重量%から99重量を占めることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
アイシャドウ、ファンデーション、コンシーラー製品またはブラッシャーの形態にあることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記コンポジットパウダーの平均の大きさが、30ミクロン以下、より好ましくは15ミクロン以下、優先的には10ミクロン以下であることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記コンポジットフィラーが、INCI名:
−マイカ&アルミナ、
−マイカ&水酸化アルミニウム、
−マイカ&アルミナ&ジメチコーン、
−マイカ&水酸化アルミニウム&ジメチコーン
を有するフィラーから選択されることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記コンポジットフィラーが、INCI名:
−マイカ&シリカ、
−マイカ&シリカ&ジメチコーン
を有するフィラーから選択されることを特徴とする、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項12】
前記基材と前記粒子の質量比が、20/80と90/10の間、好ましくは70/30と80/20の間であることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
窒化ホウ素、架橋アクリレートポリマー、およびこれらの混合物から選択される別のパウダーを含むことを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
前記コンポジットフィラー、および組成物中に任意選択で存在する他のフィラーが、微粒子化されていることを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
請求項1から14のいずれかに記載の組成物を局所的に皮膚に付けることを含む、頬および瞼などの皮膚をメイクアップするための化粧方法。

【公表番号】特表2011−524406(P2011−524406A)
【公表日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−514022(P2011−514022)
【出願日】平成21年6月16日(2009.6.16)
【国際出願番号】PCT/EP2009/057471
【国際公開番号】WO2009/153260
【国際公開日】平成21年12月23日(2009.12.23)
【出願人】(508283406)シャネル パフュームズ ビューテ (23)
【Fターム(参考)】