説明

スクリーン印刷用メタルマスク

【課題】スクリーン印刷時の交差部における印刷材料の印刷量が他の部分よりも過剰に供給されないように改善されたスクリーン印刷用メタルマスクを得る。
【解決手段】スキージ面側から被印刷面側に貫通する印刷パターン開口部が一層目に形成され、印刷パターン開口部は、一方向のラインとこれと直交する他方向のラインとの交差部が十字形又はL字形又はT字形となる部分を含む縦横方向のライン開口パターン4であり、版枠の内側に張設されたスクリーン紗の中央部に固定されているメタルマスクであって、一層目の縦横方向のライン開口パターンの交差部の開口面積を、交差部以外の他の部分の開口面積よりも小さくなるように構成し、かつメタルマスクの被印刷面側に二層目として縦横方向のライン開口パターンに沿ってその両側に凸部5を形成することにより、スクリーン印刷時にライン開口パターンの下方に印刷材料の通路となる凹部を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、スクリーン印刷用メタルマスクに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、イメージセンサ、MEMS(Micro Electro Mechanical System)、液晶表示材料等の電子部品の分野では、電子部品を保護(封止)するための保護カバー封止用の接着材リブ等からなる印刷材料をスクリーン印刷技術により形成する方法が採用されており、電子部品の周辺全体を囲むように四角形状の閉じたラインに形成することが行われている。しかし、保護カバーを接着層部にて接着した際、印刷材料である接着材のダレにより、印刷される印刷材料からなるラインが交差する角部(コーナー部)の形状を正確に再現することは難しく、該ラインが交差する角部においては、印刷材料(接着材等)が、イメージセンサや液晶表示部等の電子部品に触れ、不良の原因となっていた。このため、ライン開口パターンの各角部の開口内側に開口凹みを設けることにより、角部において、接着材が内側のイメージセンサや液晶表示部等の電子部品に接触することがないようにしたスクリーン印刷版が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、被印刷物上に目的の印刷パターンを形成するための印刷材料を吐出する開口部が設けられたスクリーン印刷版であって、この開口部は帯状であり、開口部が印刷方向に対して平行な方向から垂直な方向に角度をもって曲折する折曲部の角が、丸みをおびた形状を有し、また、印刷方向に対して、垂直な方向に配置されている帯状の開口部の幅が、目的の印刷パターンより細くして、スクリーン印刷時の印刷滲みによる導電パターンのリークを抑制するスクリーン印刷版が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−23716号公報
【特許文献2】特開2009−72994号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のスクリーン印刷版では、縦横方向のライン開口パターンの各角部の開口内側に開口凹みを設けることにより、角部において、接着材が内側のイメージセンサや液晶表示部等の電子部品に接触することがないようにしているが、開口外側を良好な直角形状にするものではなく、開口外側については全く考慮がなされていない。また、印刷方向に対して、垂直な方向に配置されている帯状の開口部の幅が、目的の印刷パターンより細くして、スクリーン印刷時の印刷滲みによる導電パターンのリークを抑制する従来のスクリーン印刷版では、垂直な方向と水平な方向との交差部において印刷材料の供給量が他の部分よりも過剰に供給されてしまうという問題点は解決されていない。
【0006】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、一方向のラインとこれと直交する他方向のラインとの交差部が十字形又はL字形又はT字形となる部分を含む縦横方向のライン開口パターンを有するものであって、スクリーン印刷時の交差部における印刷材料の印刷量が他の部分よりも過剰に供給されないように改善したスクリーン印刷用メタルマスクに関するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係るスクリーン印刷用メタルマスクにおいては、スキージ面側から被印刷面側に貫通する印刷パターン開口部が一層目に形成され、印刷パターン開口部は、一方向のラインとこれと直交する他方向のラインとの交差部が十字形又はL字形又はT字形となる部分を含む縦横方向のライン開口パターンであり、版枠の内側に張設されたスクリーン紗の中央部に固定されているスクリーン印刷用メタルマスクであって、一層目に形成される縦横方向のライン開口パターンの交差部の開口部面積を、交差部以外の他の部分の開口部面積よりも小さくなるように構成し、かつメタルマスクの被印刷面側に二層目として縦横方向のライン開口パターンに沿ってその両側に凸部を形成することにより、スクリーン印刷時にライン開口パターンの下方に印刷材料の通路となる凹部を形成したものである。
【0008】
また、スキージ面側から被印刷面側に貫通する印刷パターン開口部が一層目に形成され、印刷パターン開口部は、一方向のラインとこれと直交する他方向のラインとの交差部が十字形又はL字形又はT字形となる部分を含む縦横方向のライン開口パターンであり、版枠の内側に張設されたスクリーン紗の中央部に固定されているスクリーン印刷用メタルマスクであって、一層目に形成される縦横方向のライン開口パターンの交差部の開口部面積を、交差部以外の他の部分の開口部面積よりも小さくなるように構成し、一層目のライン開口パターンの一層目ブリッジの下に片持ち形の二層目ブリッジを互い違いに形成し、一層目の交差部の下に二層目筋交いブリッジを形成し、かつメタルマスクの被印刷面側に三層目として縦横方向のライン開口パターンに沿ってその両側に凸部を形成することにより、スクリーン印刷時にライン開口パターンの下方に印刷材料の通路となる凹部を形成したものである。
【0009】
また、縦横方向のライン開口パターンの交差部がL字形の場合は、一方の矩形状又は長方形状の開口の先端部をL字形の交差部先端に達するまで延長させ、これと直交する他方の矩形状又は長方形状の開口の先端部をL字形の交差部の直前で所定の間隔を置いて止めておくことが、L字形の交差部の隣接間で交互に行われているものである。
【0010】
また、縦横方向のライン開口パターンの交差部がL字形の場合は、一方の矩形状又は長方形状の開口の先端を先細にした舟形状の開口にしてL字形の交差部先端の前に達するまで延長させるとともに、これと直交する他方の矩形状又は長方形状の開口の先端を先細にした舟形状の開口にしてL字形の交差部の直前で所定の間隔を置いて止めておくものである。
【0011】
また、一方の舟形状の開口は先端を片刃形状とし、これと直交する他方の舟形状の開口の先端を両刃形状としたものである。
【0012】
また、縦横方向のライン開口パターンの交差部が井桁形の場合は、井桁の4個所で十字形に交差するように配置される4個の矩形状又は長方形状の開口の先端を先細にした舟形状の開口にして十字形の交差部で所定の間隔を置いて四方向から突き合わせたものである。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、一方向のラインとこれと直交する他方向のラインとの交差部が十字形又はL字形又はT字形となる部分を含む縦横方向のライン開口パターンを有するものであっても、スクリーン印刷時の交差部における印刷材料の印刷量が他の部分よりも過剰に供給されてしまうという問題点を改善できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明の実施例1におけるスクリーン印刷用メタルマスク版をスキージ面側から見た斜視図である。
【図2】この発明の実施例1におけるスクリーン印刷用メタルマスクの縦横方向のライン開口パターンの配置構造を示す要部拡大斜視図である。
【図3】この発明の実施例1におけるスクリーン印刷用メタルマスクの縦横方向のライン開口パターンの配置形状を示す要部拡大平面図である。
【図4】この発明の実施例1におけるスクリーン印刷用メタルマスク(二層構造)を被印刷面側から見た要部拡大斜視図である。
【図5】この発明の実施例2におけるスクリーン印刷用メタルマスク(三層構造)を被印刷面側から見た要部拡大斜視図である。
【図6】この発明の実施例3におけるスクリーン印刷用メタルマスクの縦横方向のライン開口パターンの配置構造を示す要部拡大斜視図である。
【図7】この発明の実施例3におけるスクリーン印刷用メタルマスクの縦横方向のライン開口パターンの配置形状を示す要部拡大平面図である。
【図8】この発明の実施例3におけるスクリーン印刷用メタルマスクの二層構造を被印刷面側から見た要部拡大底面図である。
【図9】この発明の実施例4におけるスクリーン印刷用メタルマスクの縦横方向のライン開口パターンの配置構造を示す要部拡大斜視図である。
【図10】この発明の実施例4におけるスクリーン印刷用メタルマスクの縦横方向のライン開口パターンの配置形状を示す要部拡大平面図である。
【図11】この発明の実施例4におけるスクリーン印刷用メタルマスクの二層構造を被印刷面側から見た要部拡大底面図である。
【図12】この発明の実施例5におけるスクリーン印刷用メタルマスクの縦横方向のライン開口パターンの配置構造を示す要部拡大斜視図である。
【図13】この発明の実施例5におけるスクリーン印刷用メタルマスクの縦横方向のライン開口パターンの配置形状を示す要部拡大平面図である。
【図14】この発明の実施例5におけるスクリーン印刷用メタルマスクの二層構造を被印刷面側から見た要部拡大底面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0015】
図1はこの発明の実施例1におけるスクリーン印刷用メタルマスク版をスキージ面側から見た斜視図、図2はスクリーン印刷用メタルマスクの縦横方向のライン開口パターンの配置構造を示す要部拡大斜視図、図3はスクリーン印刷用メタルマスクの縦横方向のライン開口パターンの配置形状を示す要部拡大平面図、図4はこの発明の実施例1におけるスクリーン印刷用メタルマスク(二層構造)を被印刷面側から見た要部拡大斜視図である。
【0016】
図において、1はアルミニウム材料等で四角形の枠状に構成された版枠、2は版枠1の内側に張設されたスクリーン紗である。このスクリーン紗2は、例えばステンレス等の網状体からなる金属製スクリーン紗でも良いし、テトロン、ポリエステル等の網状体からなる樹脂製スクリーン紗でも良い。3は一方向のラインとこれと直交する他方向のラインとの交差部が十字形又はL字形又はT字形となる部分を含む縦横方向のライン開口パターン4が一層目に設けられた二層構造のメタルマスクであり、スクリーン紗2の中央部に接着固定されている。このメタルマスク3は、スキージ(図示せず)の移動方向(図示矢印Aの方向)に対して縦横方向のライン開口パターン4の一方向のラインとこれと直交する他方向のラインが略45°の角度となるように設けられている。また、このメタルマスク3は、二層目として、被印刷面側に縦横方向のライン開口パターン4に沿ってその両側に帯状の凸部5を形成している。そして、この帯状の凸部5によって両側を挟まれたライン開口パターン4の下方には印刷材料である接着剤の通路となる凹部が形成されている。なお、凸部5は帯状でなく間欠状であっても良い。
【0017】
この発明によるスクリーン印刷用メタルマスク3の一層目に形成される縦横方向のライン開口パターン4は、図2及び図3に示すように、一方向のラインとこれと直交する他方向のラインが延びる方向に沿って2列ずつ等間隔に略矩形状又は長方形状の開口4aが規則正しく複数個配置されている。しかし、十字形の交差部(交点)では、スクリーン印刷時の交差部における印刷材料の印刷量が他の部分よりも過剰に供給されないような考慮が払われている。すなわち、十字形の交差部(交点)では、交差部以外の部分の開口部面積の約1/3〜1/4の開口部面積となるように開口パターンの一部を塞いで無くすようにしている。ここでは、交差部の開口部面積を約1/3〜1/4にする方法として、スキージ移動方向Aの交差部位に位置する開口を塞いで、スキージ移動方向Aと直交する交差部位に位置する開口を4個の直角三角形状の開口4bとし、交差部中央を中心点として点対称となるように配置している。このように交差部を4個の直角三角形状の開口4bのみとし、他の開口を塞ぐことにより、スクリーン印刷時の交差部における印刷材料の印刷量が他の部分よりも過剰に供給されないように改善することができる。なお、この場合、一方向のラインとこれと直交する他方向のラインとの交差部が十字形又はL字形又はT字形となる部分を含む縦横方向のライン開口パターン4は、図2に示すように、スキージの移動方向に対して一方向のラインとこれと直交する他方向のラインが45°の角度となるように版枠の内側に張設されたスクリーン紗の中央部に固定するのが好ましい。また、この発明によるスクリーン印刷用メタルマスク3の二層目に形成される帯状の凸部5は、図4に示すように、メタルマスク3の被印刷面側に縦横方向のライン開口パターン4に沿ってその両側に形成される。そして、この帯状の凸部5によって両側を挟まれたライン開口パターン4の下方には印刷材料である接着剤の通路となる凹部が形成されている。なお、凸部5は帯状でなく間欠状であっても良い。
【実施例2】
【0018】
図5はこの発明の実施例2におけるスクリーン印刷用メタルマスク(三層構造)を被印刷面側から見た要部拡大斜視図である。
【0019】
上記実施例1では、二層構造のメタルマスクについて説明したが、この実施例2においては、三層構造のメタルマスクについて説明する。
この三層構造のメタルマスクは、一層目と三層目とが実施例1における一層目と二層目と同一構造であり、二層目が新規に追加されたものである。すなわち、図5に示すように、一層目には実施例1と同様の縦横方向のライン開口パターン4が形成され、三層目には実施例1と同様の帯状の凸部5が形成される。そして、一層目と三層目の間には二層目として、一層目のライン開口パターン4の一層目ブリッジの下に2種類の二層目ブリッジ6aが互い違いに半分だけ形成される。ここで、1種類の二層目ブリッジ6aは、一側から中央に向かって延びてその中央部で終わる片持ち形の二層目ブリッジ6aであり、もう1種類の二層目ブリッジ6aは、他側から中央に向かって延びてその中央部で終わる片持ち形の二層目ブリッジ6aであり、互い違いに片持ち形となるように片架け式にされている。また、一層目の交差部(交点)の下には二層目筋交いブリッジ6bを設けることにより、交差部以外の部分の体積の約1/3〜1/4の体積となるようにしている。
【実施例3】
【0020】
図6はこの発明の実施例3におけるスクリーン印刷用メタルマスクの縦横方向のライン開口パターンの配置構造を示す要部拡大斜視図、図7はスクリーン印刷用メタルマスクの縦横方向のライン開口パターンの配置形状を示す要部拡大平面図、図8はスクリーン印刷用メタルマスクの二層構造を被印刷面側から見た要部拡大底面図である。
【0021】
この発明によるスクリーン印刷用メタルマスクの縦横方向のライン開口パターン4は、図6及び図7に示すように、一方向のラインを構成する上下両端部が丸い略長方形状の開口4cと、これと直交する他方向のラインを構成する左右両端部が丸い略長方形状の開口4dとで構成されており、4個所でL字形に交差するように配置されている。この場合、一方向のラインを構成する上下両端部が丸い略長方形状の開口4cと、これと直交する他方向のラインを構成する左右両端部が丸い略長方形状の開口4dとを含む縦横方向のライン開口パターン4は、図6及び図7に示すように、スキージの移動方向に対して一方向のラインを構成する開口4cが直交し、他方向のラインを構成する開口4dが平行となるように版枠の内側に張設されたスクリーン紗の中央部に固定するのが好ましい。しかし、L字形の交差部では、スクリーン印刷時の交差部における印刷材料の印刷量が他の部分よりも過剰に供給されないような考慮が払われている。すなわち、L字形の交差部(交点)では、交差部以外の部分の開口部面積の約1/2の開口部面積となるようにしている。ここでは、交差部の開口部面積を約1/2にする方法として、L字形の交差部では、一方の略長方形状の開口4c又4dの先端部をL字形の交差部先端に達するまで延長させ、これと直交する他方の略長方形状の開口4d又は4cの先端部をL字形の交差部の前で所定の間隔を置いて止めておくことが、L字形の交差部の隣接間で交互に行われている。そして、このようにL字形の交差部先端に達するまで先端部を延長させた一方の略長方形状の開口4c又4dと直交する他方の略長方形状の開口4d又は4cの先端部をL字形の交差部の前で所定の間隔を置いて止めておくことが、L字形の交差部の隣接間で交互に行われていることにより、スクリーン印刷時の交差部における印刷材料の印刷量が他の部分よりも過剰に供給されないように改善することができる。なお、端部が丸い略長方形状の開口4c、4dは、端部が丸い略矩形状の開口であっても良い。また、メタルマスク3の二層目に形成される帯状の凸部5は、図8に示すように、メタルマスク3の被印刷面側に縦横方向のライン開口パターン4に沿ってその両側に形成される。そして、この帯状の凸部5によって両側を挟まれたライン開口パターン4の下方には印刷材料である接着剤の通路となる凹部が形成されている。
【実施例4】
【0022】
図9はこの発明の実施例4におけるスクリーン印刷用メタルマスクの縦横方向のライン開口パターンの配置構造を示す要部拡大斜視図、図10はスクリーン印刷用メタルマスクの縦横方向のライン開口パターンの配置形状を示す要部拡大平面図、図11はスクリーン印刷用メタルマスクの二層構造を被印刷面側から見た要部拡大底面図である。
【0023】
この発明によるスクリーン印刷用メタルマスクの縦横方向のライン開口パターン4は、図9及び図10に示すように、一方向のラインとこれと直交する他方向のラインが延びる方向に沿って1列等間隔に略長方形状の開口4eが規則正しく複数個配置されている。この場合、一方向のラインとこれと直交する他方向のラインに形成される開口4e、4f、4gからなる縦横方向のライン開口パターン4は、図9及び図10に示すように、スキージの移動方向に対して一方向のラインを構成する開口4e、4gが直交し、他方向のラインを構成する開口4e、4fが平行となるように版枠の内側に張設されたスクリーン紗の中央部に固定するのが好ましい。しかし、L字形の交差部では、スクリーン印刷時の交差部における印刷材料の印刷量が他の部分よりも過剰に供給されないような考慮が払われている。すなわち、L字形の交差部(交点)では、交差部以外の部分の開口部面積の約1/2の開口部面積となるようにしている。ここでは、交差部の開口部面積を約1/2にする方法として、L字形の交差部では、一方の略長方形状の開口の先端を片刃形状とした略舟形状の開口4fにしてL字形の交差部先端の前に達するまで延長させるとともに、これと直交する他方の略長方形状の開口の先端を両刃形状とした略舟形状の開口4gにしてL字形の交差部の前で所定の間隔を置いて止めておくことにしている。そして、このように一方の略長方形状の開口の先端を片刃形状とした略舟形状の開口4fにしてL字形の交差部先端の前に達するまで延長させるとともに、これと直交する他方の略長方形状の開口の先端を両刃形状とした略舟形状の開口4gにしてL字形の交差部の前で所定の間隔を置いて止めておくことにより、スクリーン印刷時の交差部における印刷材料の印刷量が他の部分よりも過剰に供給されないように改善することができる。なお、略長方形状の開口4eは略矩形状の開口であっても良いし、略舟形状の開口4g、4fは、両方ともに片刃形状であっても良いし、両方ともに両刃形状であっても良い。また、メタルマスク3の二層目に形成される帯状の凸部5は、図11に示すように、メタルマスク3の被印刷面側に縦横方向のライン開口パターン4に沿ってその両側に形成される。そして、この帯状の凸部5によって両側を挟まれたライン開口パターン4の下方には印刷材料である接着剤の通路となる凹部が形成されている。
【実施例5】
【0024】
図12はこの発明の実施例5におけるスクリーン印刷用メタルマスクの縦横方向のライン開口パターンの配置構造を示す要部拡大斜視図、図13はスクリーン印刷用メタルマスクの縦横方向のライン開口パターンの配置形状を示す要部拡大平面図、図14はスクリーン印刷用メタルマスクの二層構造を被印刷面側から見た要部拡大底面図である。
【0025】
この発明によるスクリーン印刷用メタルマスクの縦横方向のライン開口パターン4は、図12及び図13に示すように、一方向のラインとこれと直交する他方向のラインが延びる方向に沿って1列等間隔に略矩形状又は略長方形状の開口4hが規則正しく複数個配置されている。この場合、一方向のラインとこれと直交する他方向のラインに形成される開口4h、4iからなる縦横方向のライン開口パターン4は、図12及び図13に示すように、スキージの移動方向に対して一方向のラインを構成する開口4h、4iが直交し、他方向のラインを構成する開口4h、4iが平行となるように版枠の内側に張設されたスクリーン紗の中央部に固定するのが好ましい。しかし、一方向のラインと他方向のラインとが交差する部分は井桁形に交差している。この井桁形の交差部では、スクリーン印刷時の交差部における印刷材料の印刷量が他の部分よりも過剰に供給されないような考慮が払われている。すなわち、井桁形の交差部(交点)では、交差部以外の部分の開口部面積の約1/3〜1/4の開口部面積となるようにしている。ここでは、交差部の開口部面積を約1/3〜1/4にする方法として、井桁形の交差部では、井桁の4個所で十字形に交差するように配置されている。そして、4個の略矩形状又は略長方形状の開口の先端を先細にした略舟形状の開口4iにして十字形の交差部で所定の間隔を置いて四方向から突き合わせている。そして、このように井桁形の交差部の4個所で十字形に交差するように配置される4個の略矩形状又は略長方形状の開口の先端を先細にした略舟形状の開口4iにして十字形の交差部で所定の間隔を置いて四方向から突き合わせていることにより、スクリーン印刷時の交差部における印刷材料の印刷量が他の部分よりも過剰に供給されないように改善することができる。また、メタルマスク3の二層目に形成される帯状の凸部5は、図14に示すように、メタルマスク3の被印刷面側に縦横方向のライン開口パターン4に沿ってその両側に形成される。そして、この帯状の凸部5によって両側を挟まれたライン開口パターン4の下方には印刷材料である接着剤の通路となる凹部が形成されている。
【符号の説明】
【0026】
1 版枠
2 スクリーン紗
3 メタルマスク
4 ライン開口パターン
4a 略矩形状又は略長方形状の開口
4b 直角三角形状の開口
4c〜4d 略長方形状の開口
4e、4h 略長方形状の開口
4f〜4g、4i 略舟形状の開口
5 帯状の凸部
6a 二層目ブリッジ
6b 二層目筋交いブリッジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スキージ面側から被印刷面側に貫通する印刷パターン開口部が一層目に形成され、前記印刷パターン開口部は、一方向のラインとこれと直交する他方向のラインとの交差部が十字形又はL字形又はT字形となる部分を含む縦横方向のライン開口パターンであり、版枠の内側に張設されたスクリーン紗の中央部に固定されているスクリーン印刷用メタルマスクであって、
一層目に形成される前記縦横方向のライン開口パターンの前記交差部の開口部面積を、交差部以外の他の部分の開口部面積よりも小さくなるように構成し、かつ前記メタルマスクの被印刷面側に二層目として前記縦横方向のライン開口パターンに沿ってその両側に凸部を形成することにより、スクリーン印刷時にライン開口パターンの下方に印刷材料の通路となる凹部を形成したことを特徴とするスクリーン印刷用メタルマスク。
【請求項2】
スキージ面側から被印刷面側に貫通する印刷パターン開口部が一層目に形成され、前記印刷パターン開口部は、一方向のラインとこれと直交する他方向のラインとの交差部が十字形又はL字形又はT字形となる部分を含む縦横方向のライン開口パターンであり、版枠の内側に張設されたスクリーン紗の中央部に固定されているスクリーン印刷用メタルマスクであって、
一層目に形成される前記縦横方向のライン開口パターンの前記交差部の開口部面積を、交差部以外の他の部分の開口部面積よりも小さくなるように構成し、一層目のライン開口パターンの一層目ブリッジの下に片持ち形の二層目ブリッジを互い違いに形成し、一層目の交差部の下に二層目筋交いブリッジを形成し、かつ前記メタルマスクの被印刷面側に三層目として前記縦横方向のライン開口パターンに沿ってその両側に凸部を形成することにより、スクリーン印刷時にライン開口パターンの下方に印刷材料の通路となる凹部を形成したことを特徴とするスクリーン印刷用メタルマスク。
【請求項3】
一方向のラインとこれと直交する他方向のラインとの交差部が十字形の場合は、縦横方向のライン開口パターンの交差部の開口部面積を、交差部以外の他の部分の開口部面積の1/3〜1/4にしたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のスクリーン印刷用メタルマスク。
【請求項4】
一方向のラインとこれと直交する他方向のラインとの交差部がL字形又はT字形の場合は、縦横方向のライン開口パターンの交差部の開口部面積を、交差部以外の他の部分の開口部面積の1/2〜1/3にしたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のスクリーン印刷用メタルマスク。
【請求項5】
縦横方向のライン開口パターンの交差部がL字形の場合は、一方の矩形状又は長方形状の開口の先端部をL字形の交差部先端に達するまで延長させ、これと直交する他方の矩形状又は長方形状の開口の先端部をL字形の交差部の前で所定の間隔を置いて止めておくことが、L字形の交差部の隣接間で交互に行われていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のスクリーン印刷用メタルマスク。
【請求項6】
縦横方向のライン開口パターンの交差部がL字形の場合は、一方の矩形状又は長方形状の開口の先端を先細にした舟形状の開口にしてL字形の交差部先端の直前に達するまで延長させるとともに、これと直交する他方の矩形状又は長方形状の開口の先端を先細にした舟形状の開口にしてL字形の交差部の前で所定の間隔を置いて止めておくことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のスクリーン印刷用メタルマスク。
【請求項7】
一方の舟形状の開口は先端を片刃形状とし、これと直交する他方の舟形状の開口の先端を両刃形状としたことを特徴とする請求項6記載のスクリーン印刷用メタルマスク。
【請求項8】
縦横方向のライン開口パターンの交差部が井桁形の場合は、井桁の4個所で十字形に交差するように配置される4個の矩形状又は長方形状の開口の先端を先細にした舟形状の開口にして十字形の交差部で所定の間隔を置いて四方向から突き合わせたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のスクリーン印刷用メタルマスク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−235510(P2011−235510A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−107995(P2010−107995)
【出願日】平成22年5月10日(2010.5.10)
【出願人】(300071823)株式会社ボンマーク (54)
【Fターム(参考)】