説明

スクリーン印刷装置およびスクリーン印刷方法

【課題】マスクプレート上におけるペーストの残留状態を精度良く検出することができるスクリーン印刷装置およびスクリーン印刷方法を提供することを目的とする。
【解決手段】ブラケット19をスキージング動作方向からみてスキージ部材17の両側の外側に位置するようフレーム14にそれぞれ配設し、一方のブラケット19の下端部に投光器20Aを、他方のブラケット19の下端部に受光器20Bを保持させる。スキージ部材17の上昇動作における所定のタイミングにて受光器20Bが投光器20Aから投光される検査光を受光した場合、表示部36は報知処理部34からの指令によりマスクプレート12上のクリーム半田Pの量が少ない旨の報知画像を表示する。これにより、クリーム半田Pの投光器20A、受光器20Bへの付着を抑制してクリーム半田Pの残留状態の検出の信頼性を高めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板にペーストを印刷するスクリーン印刷装置およびスクリーン印刷方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子部品実装工程において、基板上にクリーム半田等のペーストを印刷する方法としてスクリーン印刷が用いられている。この方法は、印刷対象部位に応じてパターン孔が設けられたマスクプレートに基板を当接させ、マスクプレート上にペーストを供給してスキージを摺動させるスキージング動作を行うことによって、パターン孔を介して基板上にペーストを印刷するものである。
【0003】
印刷作業を繰り返すことによってマスクプレート上のペーストの量は次第に減少するが、このペーストの量を確認するため、スキージに取りつけられたセンサーによりペーストの残留状態を検出する機能を備えたスクリーン印刷装置が知られている(例えば特許文献1を参照)。これにより、当該センサーによってペーストの残留状態を検出してスキージの押し込みストローク等の印刷条件を適正に設定し、またペーストの量が少ないと判断したならば新たにペーストを補充する等の措置をとることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3444625号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の特許文献を含めセンサーをスキージに設ける構成の従来技術では、検出対象のペーストとセンサーとの距離が近くなるため、スキージング動作においてペーストがセンサーに付着し易く、その結果、ペーストの残留状態の検出の信頼性が低下するという問題点があった。
【0006】
そこで本発明は、マスクプレート上におけるペーストの残留状態を精度良く検出することができるスクリーン印刷装置およびスクリーン印刷方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の本発明は、パターン孔が設けられたマスクプレートに基板を当接させ、ペーストが供給された前記マスクプレート上で板状のスキージ部材をスキージ移動手段によって摺動させることにより、前記パターン孔を介して前記基板に前記ペーストを印刷するスクリーン印刷装置であって、前記スキージ部材が装着されたスキージホルダと、前記マスクプレートに対して前記スキージホルダを昇降させる昇降手段と、前記昇降手段が配設され前記スキージ移動手段によって移動するフレームと、前記フレームに配設され前記マスクプレート上の前記スキージ部材によって掻き寄せられたペーストの残留状態を検出する検出手段を備えた。
【0008】
請求項3記載の本発明は、スキージ部材が装着されたスキージホルダと、パターン孔が設けられたマスクプレートに対して前記スキージホルダを昇降させる昇降手段と、前記マスクプレート上で前記スキージ部材を摺動させるスキージ移動手段と、前記昇降手段が配設され前記スキージ移動手段によって移動するフレームと、前記フレームとともに移動して前記マスクプレート上の前記スキージ部材によって掻き寄せられたペーストの残留状態を検出する検出手段を備えたスクリーン印刷装置を用いて、前記マスクプレート上で前記スキージ部材を摺動させるスキージング動作を行うことにより、前記パターン孔を介して前記マスクプレートに当接した基板に前記ペーストを印刷するスクリーン印刷方法であって、前記スキージング動作を終えた前記スキージ部材の前記昇降手段による上昇動作における所定のタイミングにて、前記マスクプレート上の前記スキージ部材によって掻き寄せられたペーストの残留状態を検出する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、マスクプレート上のスキージ部材によって掻き寄せられたペーストの残留状態を検出する検出手段を、スキージ部材が装着されたスキージホルダではなく、昇降手段が配設されスキージ移動手段によって移動するフレームに配設しているので、検出手段へのペーストの付着を抑制してペーストの残留状態の検出の信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置の正面図
【図2】本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置の側面図
【図3】本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置の平面図
【図4】本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置を構成するスキージヘッドの構成図
【図5】本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置の制御系のブロック図
【図6】本発明の一実施の形態のスクリーン印刷の動作説明図
【図7】本発明の一実施の形態のスクリーン印刷の動作説明図
【図8】本発明の一実施の形態のペーストの残留状態の検出を示す図
【図9】本発明の一実装の形態のペーストの残留状態の検出を示す図
【図10】従来技術におけるスキージヘッドの構成を示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
まず図1〜図3を参照して、スクリーン印刷装置の構造を説明する。図1において、スクリーン印刷装置は、基板位置決め部1の上方にスクリーン印刷機構を配設して構成されている。基板位置決め部1は、Y軸テーブル2、X軸テーブル3およびθ軸テーブル4を段積みし、更にその上に第1のZ軸テーブル5、第2のZ軸テーブル6を組み合わせて構成されている。
【0012】
第1のZ軸テーブル5の構成を説明する。θ軸テーブル4の上面に設けられた水平なベースプレート4aの上面側には、同様に水平なベースプレート5aが昇降ガイド機構(図示省略)によって昇降自在に保持されている。ベースプレート5aは、複数の送りねじ5cをモータ5bによってベルト5dを介して回転駆動する構成のZ軸昇降機構によって昇降する。
【0013】
ベースプレート5aには垂直フレーム5eが立設されており、垂直フレーム5eの上端部には基板搬送機構8が保持されている。基板搬送機構8は基板搬送方向であるX方向に平行に配設された2条の搬送レールを備えており、これらの搬送レールによって印刷対象の基板10の両端部を支持して搬送する。なお、X方向と直交する方向であるY方向は、後述するマスクプレート12上でスキージ部材17を摺動させるスキージング動作方向(スキージ部材17の摺動方向)となっている。第1のZ軸テーブル5を駆動することにより、基板搬送機構8によって保持された状態の基板10を、基板搬送機構8とともに後述するスクリーン印刷機構に対して昇降させることができる。図2、図3に示すように、基板搬送機構8は上流側(図2、図3において左側)および下流側に延出し、上流側から搬入された基板10は基板搬送機構8によって搬送され、さらに基板位置決め部1によって位置決めされる。そして後述するスクリーン印刷機構によって印刷が行われた後の基板10は、基板搬送機構8によって下流側に搬出される。
【0014】
第2のZ軸テーブル6の構成を説明する。基板搬送機構8とベースプレート5aの中間には、水平なベースプレート6aが昇降ガイド機構(図示省略)に沿って昇降自在に配設されている。ベースプレート6aは、複数の送りねじ6cをモータ6bによってベルト6dを介して回転駆動する構成のZ軸昇降機構によって昇降する。ベースプレート6aの上面には、上面に基板10を保持する下受け面が設けられた基板下受部7が配設されている。
【0015】
第2のZ軸テーブル6を駆動することにより、基板下受部7は基板搬送機構8に保持された状態の基板10に対して昇降する。そして基板下受部7の下受け面が基板10の下面に当接することにより、基板下受部7は基板10を下面側から支持する。基板搬送機構8の上面にはクランプ機構9が配設されている。クランプ機構9は、左右対向して配置された2つのクランプ部材9aを備えており、一方側のクランプ部材9aをクランプ駆動機構9bによって進退させることにより、基板10を両側からクランプして固定する。
【0016】
次に、基板位置決め部1の上方に配設されたスクリーン印刷機構について説明する。図1、図2において、マスク枠11にはマスクプレート12が展張されており、マスクプレート12には基板10において印刷対象となる電極10aの形状・位置(図3参照)に対応してパターン孔12aが設けられている。マスクプレート12上には、クリーム半田供給機構(不図示)によってペーストとしてのクリーム半田Pが供給される。
【0017】
図1、図2、図4において、マスクプレート12上にはスキージヘッド13が配設されている。スキージヘッド13は同一構成の1対のスキージホルダ16をそれぞれ独立して昇降させる1対のスキージ昇降機構15を水平なフレーム14に配設した構成となっている。図4に示すように、フレーム14の上面に配設された1対のスキージ昇降機構15は下部から下方に延出する昇降軸15aをそれぞれ有しており、各昇降軸15aの下端部には板状のスキージ部材17が装着されたスキージホルダ16が固着されている。
【0018】
スキージ昇降機構15を駆動することによりスキージホルダ16は昇降し(矢印a)、これによりスキージ部材17の下端部がマスクプレート12の上面に当接する。すなわちスキージ昇降機構15は、マスクプレート12に対してスキージホルダ16を昇降させる昇降手段となっている。また図4において、スキージング動作方向であるY方向からみてスキージ部材17の両側部には、Y方向と直交するX方向へのクリーム半田Pの漏れを防止するための板状のペースト漏れ防止部材18がそれぞれ設けられている(図9(a)も併せて参照)。クリーム半田Pはスキージング動作方向からみてその両側がペースト漏れ防止部材18によって囲まれた位置に供給される(図9(a)を参照)。図1、図6、図7においては便宜上、ペースト漏れ防止部材18を省略している。
【0019】
図4において、フレーム14にはブラケット19がマスクプレート12の配設方向である下方に延出して設けられている。図2に示すように、ブラケット19はスキージング動作方向からみてスキージ部材17の両側の外側に位置するようにそれぞれフレーム14に配設されており、一方のブラケット19の下端部には光学センサとしての投光器20Aが、他方のブラケット19の下端部には同じく光学センサとしての受光器20Bが保持されている。図2、図4に示すように、投光器20A、受光器20Bの中心TはX方向において同一直線上に位置している。
【0020】
投光器20Aの中心TからX方向に水平に投光された線状の検査光は受光器20Bへと向かい(図2に示す矢印b)、受光器20Bによる当該検査光の受光の有無によって検査光路上における検査対象物(ここではクリーム半田P)の有無を光学的に検出する。ブラケット19は、スキージ昇降機構15により昇降自在なスキージホルダ16と独立してフレーム14に設けられているため、投光器20A、受光器20Bの中心Tからマスクプレート12上面までの鉛直方向への距離L1、及びスキージ部材17が下降してその下端部がマスクプレート12の下面に当接した状態において投光器20A、受光器20Bの中心Tからスキージ部材17までの水平方向への距離L2は常に一定である(図4参照)。上記構成において、投光器20A、受光器20Bの中心Tの位置は、スキージ部材17の摺動方向側に設定された検査対象物の検出位置となっている。
【0021】
次に、スキージヘッド13を移動させる移動機構について説明する。図2に示すように、縦フレーム21上にはガイドレール22がY方向に配設されており、ガイドレール22にスライド自在に嵌合したスライダ23は、ブロック24を介してフレーム14の両端に結合されている。これにより、フレーム14を含むスキージヘッド13はナット25、送りねじ26および送りねじ26を回転駆動するスキージ移動用モータ(図示省略)より成るスキージ移動手段によってY方向に水平移動する。上記構成において、フレーム14は昇降手段が配設され且つ移動手段によって移動するようになっている。
【0022】
次に図5を参照して、スクリーン印刷装置の制御系の構成について説明する。図5において、制御部30はスクリーン印刷装置に備えられた演算処理装置であり、記憶部31、機構駆動部32、光学センサ制御部33、報知処理部34を有している。操作・入力部35はキーボードやマウス等の入力手段であり、操作コマンドやデータの入力を行う。表示部36は液晶パネル等の表示装置であり、操作・入力部35による入力時の案内画面や、報知処理部34からの指令によりマスクプレート12上のクリーム半田Pの量が少ない旨の報知画像を表示する。
【0023】
次に、制御部30について説明する。記憶部31はスクリーン印刷装置の各機構を駆動制御するための処理プログラム及び投光器20A、受光器20Bから成る光学センサを制御するための処理プログラムを記憶する。機構駆動部32は記憶部31に記憶された処理プログラムに従って基板位置決め部1、基板搬送機構8、クリーム半田供給機構37、クランプ駆動機構9b、スキージ昇降機構15、スキージ移動手段38の各機構を駆動制御する。光学センサ制御部33は記憶部31に記憶された処理プログラムに従って投光器20A、受光器20Bから成る光学センサを制御する。報知処理部34は受光器20Bが検査光を受光した際に光学センサ制御部33から送信される信号を受けて、表示部36に対してクリーム半田Pの量が少ない旨の報知画像を表示すべき旨の信号を送信する処理を行う。すなわち、報知処理部34、表示部36は作業員に対してクリーム半田Pの量が少ない旨の報知を行うための報知手段となっている。
【0024】
次に、スクリーン印刷機構による印刷動作について、図6、図7を参照して説明する。まず基板搬送機構8によって基板10が印刷位置に搬入されると、図6(a)に示すように、第2のZ軸テーブル6を駆動して基板下受部7を上昇させ、基板10の下面を下受けする。そしてこの状態で基板10をクランプ部材9aによって挟み込んで固定し、基板位置決め部1を駆動して基板10をマスクプレート12に対して位置合わせする。この後、図6(b)に示すように、第1のZ軸テーブル5を駆動して基板10を基板下受部7とともに上昇させてマスクプレート12の下面に当接させる。
【0025】
そしてこの状態で、クリーム半田Pが供給されたマスクプレート12上でスキージ部材17をY方向に摺動させるスキージング動作を行うことにより、クリーム半田Pはスキージ部材17によって掻き寄せられる。これにより、パターン孔12aを介して基板10の所定箇所にクリーム半田Pが印刷される。なお、スキージング動作はその進行方向に応じて1対のスキージホルダ16のうち何れかのスキージホルダ16を下降させることによって行う。
【0026】
スキージング動作について、図7を参照して詳しく説明する。便宜上、図7において左側のスキージホルダを16A、右側のスキージホルダを16Bとする。図7(a)に示すように、矢印c方向にスキージング動作を行う場合には、図7(a)において左側に位置するクランプ部材9a上へスキージヘッド13を移動させた状態で、左側のスキージホルダ16Aをスキージ昇降機構15によって下降(矢印d)させてスキージ部材17の下端部をマスクプレート12の上面に当接させ、この状態でスキージ移動手段によってスキージヘッド13を矢印c方向に移動させる(図7(b)も併せて参照)。このとき、掻き寄せられたクリーム半田Pがスキージング動作方向側(図7(b)において右側)のクランプ部材9a上に位置するところまでスキージヘッド13を移動させる。スキージング動作を終えたならば、図7(c)に示すようにスキージホルダ16Aをスキージ昇降機構15によって上昇(矢印e)させる。
【0027】
そして矢印c方向と正逆方向へスキージング動作を行う場合は、右側のスキージホルダ16Bを下降させて当該スキージホルダ16Bに装着されたスキージ部材17の下端部をマスクプレート12に当接させ、この状態でスキージ移動手段によってスキージヘッド13を矢印c方向と正逆方向に移動させる。スキージング動作を終えたならば、スキージホルダ16Bを上昇させる。
【0028】
次に、マスクプレート12上に供給されたクリーム半田Pの残留状態の検出について説明する。上述したスキージング動作を繰り返し行うにつれ、マスクプレート12上のクリーム半田Pは次第に減少する。そのため、クリーム半田Pの残留状態を所定のタイミングで検出し、検出した残留に応じて新たにクリーム半田Pを補充する必要がある。
【0029】
図8(a)、(b)はそれぞれ図7(b)、(c)の一部を拡大したものである。図8(a)において、クリーム半田Pは矢印c方向(図7(a)参照)へのスキージング動作によって下方に右側のクランプ部材9aが位置するマスクプレート12上で掻き寄せられた状態となっている。このとき、投光器20Aの中心Tからは検査光が受光器20Bに向けて投光されているが、当該検査光はペースト漏れ防止部材18によって受光器20Bへの投光が遮断された状態となっている(図9(a)も併せて参照)。
【0030】
この後、図8(b)に示すように、スキージ昇降機構15によるスキージホルダ16Aの上昇(矢印e)に伴い、スキージ部材17及びペースト漏れ防止部材18も上昇する。また、クリーム半田Pは粘性を有するので、スキージ部材17とペースト漏れ防止部材18に付着したクリーム半田Pの一部は上昇するこれらの部材に追従して上方に延びる。そして、ペースト漏れ防止部材18が上昇することによって当該ペースト漏れ防止部材18による遮光は解除される。クリーム半田Pの残留状態の検出は、ペースト漏れ防止部材18による遮光が解除されてからのスキージ部材17の上昇動作における所定のタイミングで、受光器20Bが検査光を受光したか否かを光学センサ制御部33が検知することによって行われる。
【0031】
図8(b)のケース1のように、スキージ部材17の上昇動作における所定のタイミングで検査光路上(換言すれば投光器20Aの中心Tの水平方向)にクリーム半田Pが存在する場合、検査光は当該クリーム半田Pによって受光器20Bへの投光が遮断される(図9(b)も併せて参照)。かかる場合、受光器20Bは検査光を受光しないので光学センサ制御部33は報知処理部34に対して信号を送信せず、その結果、報知手段による報知は行われずに引き続きスキージング動作が実行される。
【0032】
これに対し図8(b)のケース2のように、スキージ部材17の上昇動作における所定のタイミングで検査光路上にクリーム半田Pが存在しない場合、検査光は受光器20Bに到達する(図9(c)も併せて参照)。光学センサ制御部33は受光器20Bによる検査光の受光を検知すると報知処理部34に対して信号を送信し、報知処理部34は当該信号をうけて表示部36に対してクリーム半田Pの量が少ない旨の報知画像を表示すべき旨の信号を送信する。
【0033】
このように本実施の形態においては、スキージング動作を終えたスキージ部材17のスキージ昇降機構15による上昇動作における所定のタイミングにて、マスクプレート12上のスキージ部材17によって掻き寄せられたクリーム半田Pの残留状態を検出するようにしている。そしてクリーム半田Pの残留状態の検出は、スキージ部材17の上昇動作における所定のタイミングにて、投光器20Aから投光された検査光を受光器20Bが受光をしたか否かを光学センサ制御部33が検知することによって行われる。
【0034】
つまり、スキージ部材17の上昇動作における所定のタイミングにて受光器20Bが検査光を受光しなかった場合、マスクプレート12上におけるクリーム半田Pの量は十分であると判断して報知処理部34による上述の報知は行わない一方、所定のタイミングで受光器20Bが検査光を受光した場合、クリーム半田Pの量は不十分であるとして報知処理部34による上述の報知が行われる。すなわち本実施の形態においては、スキージ部材17の摺動方向と直交する方向からみたクリーム半田Pの断面幅W1,W2を、投光器20A、受光器20Bを用いて検出することによって、クリーム半田Pの残留状態を検出するようになっている(図8(b)を参照)。
【0035】
なお、クリーム半田Pの残留状態の検出のための所定のタイミングは作業員によって任意に設定することができるが、クリーム半田Pを含むペーストは品種によって粘性が異なるので、スキージ部材17が上昇動作を開始してペースト漏れ防止部材18による遮光状態が解除された直後のタイミングでペーストの残留状態を検出するのが望ましい。これにより、粘性が異なる何れのペーストに対しても信頼性の高い検出精度を実現することができる。
【0036】
上記構成において、ブラケット19、投光器20A、受光器20Bは、フレーム14に配設されマスクプレート12上のスキージ部材17によって掻き寄せられたペーストの残留状態を検出する検出手段となっており、フレーム14とともに移動する。そして投光器20A、受光器20Bは、スキージ部材17の外側に配設され、スキージ部材17の摺動方向側に設定された所定検出位置においてペーストをスキージ部材17の摺動方向と水平面内において直交する方向から光学的に検出する光学センサとなっている。さらにブラケット19は、光学センサを保持する保持手段となっている。
【0037】
このように、投光器20A、受光器20Bをスキージ部材17が装着されたスキージホルダ16Aではなくフレーム14に設け、且つスキージング動作方向からみてスキージ部材17の外側に配設することにより、クリーム半田Pの投光器20A、受光器20Bへの付着を抑制してクリーム半田Pの残留状態の検出の信頼性を高めることができる。
【0038】
また、クリーム半田Pの残留状態を検出する従来技術の一つとして、図10に示すように、ペースト漏れ防止部材18AにスリットSを設け、当該スリットSからスキージング動作時におけるクリーム半田Pのローリング状態を目視する方法が広く知られている。しかしながらこの従来技術では、スキージング動作を継続するにつれスリットSにクリーム半田Pが付着しクリーム半田Pのローリング状態を確認することができなくなるという問題が生じていた。また、スリットSに付着したクリーム半田Pの除去作業は作業員に対して多大な手間と労力をかけるとともに、生産性を低下させる要因にもなっていた。
【0039】
これに対し本発明によれば、スキージング動作を終えた後のスキージ部材17の上昇動作における所定のタイミングにて、スキージ部材17の両側の外側に配設された光学センサ(投光器20A、受光器20B)によってクリーム半田Pの残留状態の検出を行うので、ペースト漏れ防止部材18にスリットを設ける必要がない。したがって、上述した残留状態の検出の不具合が発生することはなく、クリーム半田Pの除去作業の必要もない。また、スリットからクリーム半田Pが漏れ出してマスクプレート12を汚し、さらに漏れ出したクリーム半田Pが光学センサに付着してしまうといった事態も発生しない。
【0040】
なお、光学センサとしては上述の投光器20A、20Bに限られず種々のものを用いることができる。例えば、一方のブラケット19の下端部に検査光を投光する投光器を、他方のブラケット19の下端部に投光された検査光を正逆方向に反射させる反射板を設け、この反射板に反射した検査光を投光器が受光したか否かによってクリーム半田Pの残留状態を検出するようにしてもよい。
【0041】
また、クリーム半田Pの量が少なくなった旨の報知は上述の表示部36を用いた構成に限定されず、例えばスクリーン印刷装置に設けられた警告灯を点灯させ、または警告音を発して作業員に報知する等、種々の構成を用いることができる。さらに、投光器20A、受光器20B(光学センサ)の中心Tの位置は、ペーストの特性や各種の実験等に基づいて作業員が任意に設定してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明によれば、信頼性の高いペーストの残留状態の検出を行うことができ、基板にペーストを印刷して電子部品を実装する電子部品実装の分野において特に有用である。
【符号の説明】
【0043】
10 基板
12 マスクプレート
14 フレーム
15 スキージ昇降機構
16 スキージホルダ
17 スキージ部材
19 ブラケット
20A 投光器
20B 受光器
P クリーム半田

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パターン孔が設けられたマスクプレートに基板を当接させ、ペーストが供給された前記マスクプレート上で板状のスキージ部材をスキージ移動手段によって摺動させることにより、前記パターン孔を介して前記基板に前記ペーストを印刷するスクリーン印刷装置であって、
前記スキージ部材が装着されたスキージホルダと、
前記マスクプレートに対して前記スキージホルダを昇降させる昇降手段と、
前記昇降手段が配設され前記スキージ移動手段によって移動するフレームと、
前記フレームに配設され前記マスクプレート上の前記スキージ部材によって掻き寄せられたペーストの残留状態を検出する検出手段を備えたことを特徴とするスクリーン印刷装置。
【請求項2】
前記検出手段は、前記スキージ部材の外側に配設され、前記スキージ部材の摺動方向側に設定された所定検出位置において前記ペーストを前記スキージ部材の摺動方向と水平面内において直交する方向から光学的に検出する光学センサを有することを特徴とする請求項1記載のスクリーン印刷装置。
【請求項3】
スキージ部材が装着されたスキージホルダと、パターン孔が設けられたマスクプレートに対して前記スキージホルダを昇降させる昇降手段と、前記マスクプレート上で前記スキージ部材を摺動させるスキージ移動手段と、前記昇降手段が配設され前記スキージ移動手段によって移動するフレームと、前記フレームとともに移動して前記マスクプレート上の前記スキージ部材によって掻き寄せられたペーストの残留状態を検出する検出手段を備えたスクリーン印刷装置を用いて、前記マスクプレート上で前記スキージ部材を摺動させるスキージング動作を行うことにより、前記パターン孔を介して前記マスクプレートに当接した基板に前記ペーストを印刷するスクリーン印刷方法であって、
前記スキージング動作を終えた前記スキージ部材の前記昇降手段による上昇動作における所定のタイミングにて、前記マスクプレート上の前記スキージ部材によって掻き寄せられたペーストの残留状態を検出することを特徴とするスクリーン印刷方法。
【請求項4】
前記検出手段は前記スキージ部材の外側に配設された光学センサを有し、前記スキージ部材の摺動方向側に設定された所定検出位置において前記ペーストを前記スキージ部材の摺動方向と水平面内において直交する方向から光学的に検出することを特徴とする請求項3記載のスクリーン印刷方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−43362(P2013−43362A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−182398(P2011−182398)
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】