説明

スケジュール修正装置及びスケジュール修正方法

【課題】部品に対する連続した処理の実行の途中であっても、処理槽や搬送装置の使用時間の重複を未然に防止することを目的とする。
【解決手段】スケジュール作成装置は、作成されたスケジュールに基づいた連続した処理が複数の部品に対して並列して実行されている場合に、操作入力部によって、実行済みの処理の終了時刻又は実行前の処理の開始時刻の入力を受け付ける。そして、スケジュール作成装置は、受け付けた時刻以降に実行されるスケジュールに含まれる、クレーンの移動時間への待ち時間の付加及び処理槽による処理時間の変更を行うことでスケジュールを修正し、同一の処理槽及び同一のクレーンの使用時間に重複が生じない修正後のスケジュールを選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スケジュール修正装置及びスケジュール修正方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
部品を処理槽から他の処理槽へ搬送装置で移動させることによって、該部品に対して複数の処理を連続して実行させるためのスケジュールの作成は、作業者の経験と技量に依存しており、作業の効率化がなされていない場合がある。
【0003】
この問題を解決するために特許文献1には、半導体ウエハに対する各種処理を行う複数の処理槽を備える半導体製造装置であって、各処理槽及び搬送機構の使用時間が重複しないタイミングを算出して処理槽への処理液の供給タイミングを算出した結果に応じて、搬送機構等の動作を制御する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平7−22144号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、複数の部品に対して並列して連続して処理を実行させている場合であって、スケジュールにより示される処理が遅れていたり、早まっていたりすると、処理槽や搬送装置の使用時間が重複し、混乱が生じる場合があった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、部品に対する連続した処理の実行の途中であっても、処理槽や搬送装置の使用時間の重複を未然に防止できるスケジュール修正装置及びスケジュール修正方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のスケジュール修正装置及びスケジュール修正方法は以下の手段を採用する。
【0008】
すなわち、本発明に係るスケジュール修正装置は、処理対象である部品を処理槽から他の処理槽へ搬送装置で移動させることによって、該部品に対して複数の処理を連続して実行させるためのスケジュールを修正するスケジュール修正装置であって、作成されたスケジュールに基づいた連続した処理が複数の前記部品に対して並列して実行されている場合に、実行済みの前記処理の終了時刻又は実行前の前記処理の開始時刻の入力を受け付ける受付手段と、前記受付手段によって受け付けられた時刻以降に実行されるスケジュールに含まれる、前記搬送装置の移動時間への待ち時間の付加及び前記処理槽による処理時間の変更の少なくとも一方を行うことで、前記スケジュールを修正する修正手段と、前記修正手段によって修正された前記スケジュールであって、同一の前記処理槽及び同一の前記搬送装置の使用時間に重複が生じないスケジュールを選択する選択手段と、を備える。
【0009】
本発明によれば、作成されたスケジュールに基づいた連続した処理が複数の部品に対して並列して実行されている場合に、受付手段によって、実行済みの処理の終了時刻又は実行前の処理の開始時刻の入力が受け付けられる。
そして、修正手段によって、受付手段で受け付けられた時刻以降に実行されるスケジュールに含まれる、搬送装置の移動時間への待ち時間の付加及び処理槽による処理時間の変更の少なくとも一方が行われることでスケジュールが修正され、選択手段によって、同一の処理槽及び同一の搬送装置の使用時間に重複が生じない修正後のスケジュールが選択される。
【0010】
以上のように、本発明は、処理の終了時刻又は処理の開始時刻が入力された場合に、スケジュールを修正するので、部品に対する連続した処理の実行の途中であっても、処理槽や搬送装置の使用時間の重複を未然に防止できる。
【0011】
また、本発明のスケジュール修正装置は、前記処理槽による処理が、前記部品に対する処理に応じて、処理時間の許容範囲が予め定められ、前記修正手段が、前記処理槽による処理時間を、前記許容範囲内で変更してもよい。
【0012】
本発明によれば、処理槽による処理時間が、予め定められた範囲内で修正されるので、スケジュールの修正を適切に行うことができる。
【0013】
また、本発明のスケジュール修正装置は、前記修正手段が、前記受付手段によって受け付けられた時刻に応じて、以降に実行される処理の処理時刻が繰り上げ又は繰り下げられた後のスケジュールに含まれる、前記搬送装置の移動時間への待ち時間の付加及び前記処理槽による処理時間の変更の少なくとも一方を行うことで、前記スケジュールを修正してもよい。
【0014】
本発明によれば、スケジュールは、受付手段によって受け付けられた時刻に応じて、以降に実行される処理の処理時刻が繰り上げ又は繰り下げられるので、より正確に処理槽や搬送装置の使用時間の重複を未然に防止できる。
【0015】
また、本発明のスケジュール修正装置は、前記受付手段が、新たに処理対象となる部品に関する情報を受け付け、前記修正手段が、前記受付手段で受け付けられた前記部品のスケジュールも修正の対象としてもよい。
【0016】
本発明によれば、既に作成済みのスケジュールと共に、新たに処理対象となる部品のスケジュールが修正の対象となるので、部品に対する連続した処理の実行の途中に、新たな部品が処理の対象に含まれても、処理槽や搬送装置の使用時間の重複を未然に防止できる。
【0017】
また、本発明のスケジュール修正装置は、前記修正手段によって修正された後の前記スケジュールを表示する表示手段を備えてもよい。
【0018】
本発明によれば、修正された後のスケジュールが表示されるので、作業者は、容易に修正後のスケジュールを確認できる。
【0019】
一方、本発明に係るスケジュール修正方法は、処理対象である部品を処理槽から他の処理槽へ搬送装置で移動させることによって、該部品に対して複数の処理を連続して実行させるためのスケジュールを修正するスケジュール修正方法であって、作成されたスケジュールに基づいた連続した処理が複数の前記部品に対して並列して実行されている場合に、実行済みの前記処理の終了時刻又は実行前の前記処理の開始時刻の入力を受け付ける第1工程と、前記第2工程によって受け付けられた時刻以降に実行されるスケジュールに含まれる、前記搬送装置の移動時間への待ち時間の付加及び前記処理槽による処理時間の変更の少なくとも一方を行うことで、前記スケジュールを修正する第2工程と、前記第2工程で修正された前記スケジュールであって、同一の前記処理槽及び同一の前記搬送装置の使用時間に重複が生じないスケジュールを選択する第3工程と、を含む。
【0020】
本発明によれば、処理の終了時刻又は処理の開始時刻が入力された場合に、スケジュールを修正するので、部品に対する連続した処理の実行の途中であっても、処理槽や搬送装置の使用時間の重複を未然に防止できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、部品に対する連続した処理の実行の途中であっても、処理槽や搬送装置の使用時間の重複を未然に防止できる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態に係る表面処理装置の構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係るスケジュール作成装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態に係るHDDに記憶されている処理パターンデータを示す模式図である。
【図4】本発明の実施形態に係るHDDに記憶されている処理時間データを示す模式図である。
【図5】本発明の実施形態に係る処理槽マップデータを示す模式図である。
【図6】本発明の実施形態に係るスケジュール作成処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施形態に係る部品の開始時スケジュール作成処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施形態に係る部品の投入開始時の説明に要する模式図である。
【図9】本発明の実施形態に係る作成されたスケジュールを示す模式図であり、(A)は、同一のクレーンの使用時間に重複がある場合のスケジュールであり、(B)は、同一の処理槽及び同一のクレーンの使用時間に重複のないスケジュールである。
【図10】本発明の実施形態に係るスケジュール修正処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】本発明の実施形態に係る画像表示装置に表示されるスケジュールの一例を示す図であり、(A)は、スケジュールの全体を表示させる場合であり、(B)は、終了した処理を表示させる場合である。
【図12】本発明の実施形態に係る画像表示装置に表示される実績入力画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明に係るスケジュール修正装置及びスケジュール修正方法の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0024】
図1は、表面処理装置10の構成図の一例である。
本実施形態に係る表面処理装置10は、例えば、処理対象である部品に対して表面処理の一種であるメッキ処理を行う装置であり、複数の処理槽12内に部品を入れることで、脱脂、水洗、メッキ及び乾燥等の処理を予め定められた順番で行う。
【0025】
各処理槽12は、予め定められた処理液が貯留されていたり、部品を乾燥させるために空とされていたりする。なお、本実施形態に係る処理槽12は、一度に一つの部品(一つにまとめられた複数の部品も含む)ずつ処理する。
【0026】
また、表面処理装置10には、処理槽12から他の処理槽12へ部品を移動させるための搬送装置としてクレーン14が設置されている。クレーン14は、各処理槽12の上方に設けられているレーン16上を横移動(図1のA方向)し、処理槽12において部品を上げ下げすることによって部品を処理槽12内外へ移動させる。なお、本実施形態に係るクレーン14は、一度に一つの部品(一つにまとめられた複数の部品も含む)ずつ移動させる。
【0027】
さらに、表面処理装置10には、部品を表面処理装置10へ移動させるための搬送装置であるコンベアライン18A、処理槽12の列から他の処理槽12の列へ部品を移動させるためにコンベアライン18Bが設置されている。
【0028】
なお、図1の点線は、処理槽12を移動する部品の流れの一例を示している。
【0029】
さらに、表面処理装置10は、スケジュール作成装置20及び操作盤22が備えられている。
【0030】
スケジュール作成装置20は、情報処理装置であり、表面処理装置10によって、部品に対して複数の処理を連続して実行させるためのスケジュールを作成する。
【0031】
操作盤22は、スケジュール作成装置20で作成されたスケジュールに従って、作業員が操作することによって、クレーン14及びコンベアライン18A,18B、並びに処理槽12への処理液の供給及び排出等を制御する。
【0032】
図2は、本実施形態に係るスケジュール作成装置20の電気的構成を示すブロック図である。
本実施形態に係るスケジュール作成装置20は、スケジュール作成装置20全体の動作を司るCPU(Central Processing Unit)30、各種プログラムや各種パラメータ等が予め記憶されたROM(Read Only Memory)32、CPU30による各種プログラムの実行時のワークエリア等として用いられるRAM(Random Access Memory)34、各種プログラム及び各種データを記憶する記憶手段としてのHDD(Hard Disk Drive)36を備えている。
【0033】
さらに、スケジュール作成装置20は、キーボード及びマウス等から構成され、各種操作の入力を受け付ける操作入力部38、各種画像を表示する、例えば液晶ディスプレイ装置等の画像表示部40、通信回線42を介して他の情報処理装置等と接続され、他の情報処理装置等との間で各種データの送受信を行う外部インタフェース44を備えている。
【0034】
これらCPU30、ROM32、RAM34、HDD36、操作入力部38、画像表示部40、及び外部インタフェース44は、システムバス46を介して相互に電気的に接続されている。従って、CPU30は、ROM32、RAM34、及びHDD36へのアクセス、操作入力部38に対する操作状態の把握、画像表示部40に対する画像の表示、及び外部インタフェース44を介した他の情報処理装置等との各種データの送受信等を各々行なうことができる。
【0035】
なお、部品に対して得たい最終的な処理状態に応じた処理パターンは、予め決定されており、HDD36には、複数の処理パターンを示す処理パターンデータが記憶されている。図3は、処理パターンデータの一例を示した模式図であり、図3に示すように、処理パターンは、一連の処理(処理項目)の順番(図3の処理項目のうち、左から右に処理を進める。)が処理槽12に対応した処理リストとして示されている。
【0036】
さらに、HDD36には、各処理項目に応じて予め定められている処理槽12における処理時間を示す処理時間データ、並びに表面処理装置10における処理槽12の配置を示した処理槽マップデータを記憶している。
【0037】
図4は、処理時間データの一例を示した模式図であり、処理時間データは、処理項目毎に標準時間及びSPECを定めている。標準時間は、処理項目に応じた基準となる処理時間であり、SPECは、処理時間の許容範囲を示しており、標準時間はSPECの範囲内又はSPECと同じ時間とされている。
【0038】
図5は、処理槽マップデータの一例を示す模式図であり、隣接する処理槽12間の距離を示している。そして、CPU30は、クレーン14を処理槽12から他の処理槽12へ移動させる場合に要する時間を、処理槽マップデータに示される処理槽12間の距離から算出する。
【0039】
そして、本実施形態において作業者は、一連の処理を並行して実行させる(同時進行させる)複数の部品(例えば、部品A,B,C)、各部品に対する処理パターン、及び一連の処理の開始時刻を決定すると、スケジュール作成装置20にスケジュール作成処理を実行させる。
【0040】
図6は、スケジュール作成処理を行う場合に、スケジュール作成装置20によって実行されるスケジュール作成プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、スケジュール作成プログラムはHDD36の所定領域に予め記憶されている。
なお、スケジュール作成プログラムは、作業者によって、スケジュール作成処理の開始指示が操作入力部38を介してスケジュール作成装置20に入力された場合に、実行される。
【0041】
まず、ステップ100では、一連の処理を並行して実行させる複数の部品(例えば、部品A,B,C)を特定するための情報(例えば、部品を識別するための識別番号や部品を運搬するための容器の番号等)、各部品に対する処理パターン、及び一連の処理の開始時刻を、操作入力部38を介して受け付ける。
【0042】
次のステップ102では、ステップ100で入力された複数の部品毎に、入力された開始時刻から一連の処理を実行させるためのスケジュールを作成する開始時スケジュール作成処理を実行する。
【0043】
図7は、ステップ102で行われる開始時スケジュール作成処理の流れを示すフローチャートである。
【0044】
まず、ステップ200では、ステップ100で入力された複数の部品を処理槽12へ投入させる順番である投入順番を決定する。なお、投入順番は、例えば、CPU30がランダムに決定してもよいし、作業者が、操作入力部38を介して部品毎に投入順番を入力してもよい。
なお、以下の説明において、投入順番を、一例として部品C、部品A、部品Bの順番として説明する。
【0045】
次のステップ202では、ステップ200で決定した投入順番に基づいて、各部品毎に、一連の処理を実行させるためのスケジュールを作成する。
【0046】
具体的には、ステップ202では、HDD36から処理パターンデータ、処理時間データ、及び処理槽マップデータを読み出す。
そして、処理パターンデータに基づいて部品C,A,B毎に、使用する処理槽12の順番が特定され、処理時間データに基づいて処理パターンに応じた各処理槽12での処理時間が特定される。さらに、処理槽マップデータに基づいて処理槽12から他の処理槽12へのクレーン14の移動時間が特定され、これらを組み合わせることで各部品毎のスケジュールが作成される。
【0047】
また、図8の模式図の例に示すように、各部品の最初の処理槽12への投入開始時刻は、投入順番の降順に所定時間間隔で段階的に異なる時刻とされる。具体的には、最初に処理が開始される部品の開始時刻を基準として、その後に処理が開始される部品のスケジュールを、各部品の最初のクレーン14の使用時間及最初の処理槽12の使用時間の重複が生じない時刻まで前に詰め、各部品の最初の処理槽12への投入開始時刻を段階的に異なる時刻とする。
【0048】
次のステップ204では、後述するステップ206において処理時間を変更する部品を選択する。なお、例えば、処理時間を変更する部品を、CPU30がランダムに選択してもよいし、作業者が操作入力部38を介して選択してもよい。
【0049】
次のステップ206では、ステップ204で選択した部品に対し、処理時間を変更する処理を選択し、処理時間を変更する。なお、変更される処理時間は、選択した処理に対応する処理時間データで示されるSPECの範囲内で変更(減少または増加)される。
なお、例えば、処理時間を変更する処理を、CPU30がランダムに選択してもよいし、作業者が操作入力部38を介して選択してもよい。また、変更される処理時間も、予め定められた時間(例えば、1分)で変更されてもよいし、作業者が操作入力部38を介して入力した時間で変更されてもよい。
【0050】
次のステップ208では、ステップ204で選択した部品に対し、移動時間に待ち時間を付加するクレーン14の移動を選択する。持ち時間とは、部品を吊りあげたままクレーン14を停止させる時間である。
なお、例えば、待ち時間が付加されるクレーン14の移動を、CPU30がランダムに選択してもよいし、作業者が操作入力部38を介して選択してもよい。また、付加される待ち時間も、予め定められた時間(例えば、1分)としてもよいし、作業者が操作入力部38を介して入力した時間としてもよい。
【0051】
ステップ210では、一番初めに投入される部品以外の部品のスケジュールの投入開始時刻を早める。この場合、早める時間は、予め定められた時間としてもよいし、作業者が操作入力部38を介して入力した時間(例えば、5分)としてもよい。
【0052】
次のステップ212では、作成した各部品同士のスケジュールに、同一の処理槽12又は同一のクレーン14の使用時間に重複があるか否かを判定し、肯定判定の場合は、ステップ204へ戻り、重複が生じないスケジュールが作成されるまで、ステップ204からステップ210までの処理を繰り返す。一方、重複が生じず、否定判定となった場合は、ステップ214へ移行する。
【0053】
図9に作成されたスケジュールの一例を示す。なお、アルファベットが付されている矩形領域は、処理槽12の使用時間を示している。また、異なるアルファベットは、異なる処理槽12を示し、同一のアルファベットは、同一の処理槽12を示している。一方、斜線で示される矩形領域は、クレーン14の使用時間を示している。
図9(A)は、部品Aの処理槽Jによる処理の後のクレーン14の使用時間と部品Bの処理槽Dによる処理の後のクレーン14の使用時間とが重複しているように、同一のクレーン14の使用時間が重複した場合のスケジュールの一例である。このスケジュールのまま、表面処理装置10が操作されると、作業者は、例えば、部品Aの移動を終えた後に、部品Bの移動を行う等する必要があり、効率的な運転が行えないばかりか、それ以降に実行される処理の処理時間もずれてしまう。なお、同一の処理槽12の使用時間が重複した場合も同様の問題が生じる。
一方、図9(B)は、処理槽12及びクレーン14の使用時間に重複のないスケジュールである。図9(B)では、部品Bの処理槽Dによる処理時間をSPECの時間内で延長する変更が行われることによって、クレーン14の時用時間の重複が防止されている。なお、これに限らず、例えば、部品Aの処理槽Jによる処理時間をSPECの時間内で短縮する変更が行われることによって、クレーン14の時用時間の重複が防止されてもよい。また、他の処理槽12の処理時間の変更又はクレーン14の移動時間への待ち時間の付加によって、クレーン14の時用時間の重複が防止されてもよい。
【0054】
ステップ214では、作成したスケジュールをHDD36に記憶させる。
【0055】
次のステップ216では、スケジュールの作成回数(ステップ204からステップ212までを繰り替した回数)が所定回数(例えば、10回)に達したか否かを判定し、肯定判定の場合は、ステップ218へ移行し、否定判定の場合は、ステップ204へ戻る。
【0056】
ステップ218では、HDD36に記憶された複数のスケジュールのうち、部品の全処理の完了時刻が最も早いスケジュールを選択し、開始時スケジュール作成処理を終了すると共に、図6に示されるスケジュール作成処理のステップ104へ移行する。
【0057】
以上、開始時スケジュール作成処理によって作成及び選択されたスケジュールに基づいて、作業者は、複数の部品(部品A,B,C)に対して一連の処理を実行するように、操作盤22を用いて表面処理装置10を制御する。
【0058】
また、本実施形態に係るスケジュール作成装置20は、実行済みの処理の終了時刻又は実行前の処理の開始時刻の入力の受け付けを、操作入力部38を介して可能とされている。
【0059】
そこで、スケジュール作成処理のステップ104では、最後に実行された処理の終了時刻又は実行前の処理の確定している開始時刻の入力を、操作入力部38を介して受け付けたか否かを判定し、肯定判定の場合は、ステップ106へ移行し、否定判定の場合は、ステップ108へ移行する。
なお、スケジュール作成装置20は、スケジュールが未だ作成されておらず、新たに処理対象となる部品が有る場合、実行済みの処理の終了時刻又は実行前の処理の開始時刻の入力と共に、新たに処理対象となる部品に関する情報(部品を特定するための情報及び部品に対する処理パターン)の入力の受け付けも可能とされている。
【0060】
ステップ106では、スケジュールを修正するためのスケジュール修正処理を行う。
図10は、ステップ106で行われるスケジュール終了処理の流れを示すフローチャートである。
【0061】
まず、ステップ300では、入力された実行済みの処理の終了時刻又は実行前の処理の開始時刻に応じて、それ以降の処理の処理時刻を繰り上げ又は繰り下げる。
【0062】
次のステップ302では、新たに処理対象となる部品が有るか否かを判定し、肯定判定の場合は、ステップ304へ移行し、否定判定の場合は、ステップ308へ移行する。
【0063】
ステップ304は、新たに処理対象となる部品の投入順番を決定する。なお、新たに処理対象となる部品に関しても、開始時スケジュール作成処理のステップ200と同様に投入順番が決定される。
【0064】
次のステップ306は、新たに処理対象となる部品のスケジュールを作成し、ステップ308へ移行する。なお、本ステップ306は、開始時スケジュール作成処理のステップ202と同様にスケジュールが作成される。
【0065】
ステップ308からステップ312は、開始時スケジュール作成処理のステップ204からステップ208と同様の処理を行うため、説明を省略する。
なお、ステップ302で肯定判定となり、ステップ304からステップ308へ移行した場合は、既に作成済みのスケジュールと共に、新たに処理対象となる部品のスケジュールが修正(クレーン14の移動時間への待ち時間の付加及び処理槽12による処理時間の変更)の対象となる。
【0066】
ステップ314では、未投入の部品が有るか否かを判定し、肯定判定の場合は、ステップ316へ移行し、否定判定の場合は、ステップ318へ移行する。なお、ステップ302で肯定判定となった場合は、新たに処理対象となる部品が未投入の部品となるため、必然的に肯定判定となる。
【0067】
ステップ318では、未投入の部品の投入開始時刻を早め、ステップ318へ移行する。なお、本ステップ318は、開始時スケジュール作成処理のステップ210と同様に投入開始時刻が早められる。
【0068】
ステップ318からステップ324は、開始時スケジュール作成処理のステップ212からステップ218と同様の処理を行うため、説明を省略する。
そして、ステップ324は、その処理が終了すると、図6に示されるスケジュール作成処理のステップ108へ移行する。
【0069】
以上、スケジュール修正処理によって修正及び選択されたスケジュールに基づいて、作業者は、複数の部品(部品A,B,C)に対して、未実行の一連の処理を実行するように、操作盤22を用いて表面処理装置10を制御する。
【0070】
ステップ108では、スケジュール作成処理の終了が、例えば操作入力部38を介して入力されたか否かを判定し、肯定判定の場合は、本プログラムを終了する一方、否定判定の場合は、ステップ104へ戻る。なお、スケジュール作成処理の終了が入力される場合とは、例えば、全部品に対する一連の処理が完了した場合である。
【0071】
なお、本実施形態に係るスケジュール作成装置20は、作成したスケジュール及び修正後のスケジュールを画像表示部40に表示可能としている。
【0072】
図11は、画像表示部40に表示されるスケジュールの一例である。
【0073】
図11(A)は、スケジュールの全体を表示させる場合の一例であり、時刻と共に各部品毎のスケジュールが画像表示部40に表示される。
【0074】
一方、図11(B)は、処理中の処理項目を表示させる場合の一例であり、各部品が処理項目に応じた処理槽12に到着した時刻を表示すると共に、該処理の完了の有無を表示する。なお、完了が表示されていない部品は、表示されている処理が実行中の部品であり、完了が表示されている部品は、次の処理を行うために、他の処理槽12へ移動している部品である。
【0075】
また、図12は、作業者が実行済みの処理の終了時刻及び実行前の処理の開始時刻をスケジュール作成装置20へ入力するために画像表示装置40に表示される画像(以下、「実績入力画像」という。)50である。例えば、処理名称とクレーンA、コンベアラインA、又はクレーンBで特定される「From」の位置におけるボタン52Aに表示される時刻が、実行済みの処理の終了時刻であり、「To」の位置におけるボタン52Bに表示される時刻が、実行前の処理の開始時刻である。
【0076】
なお、実績入力画像50と作成されたスケジュールとは、関連付けられており、HDD36に記憶されているスケジュールの内容に基づいて、実績入力画像50が構築される。具体的には、スケジュールから、部品に応じた各処理項目毎に使用される処理槽12、クレーン14又はコンベアライン18A,18B、並びに各処理の終了時刻及び開始時刻が特定されるため、各部品の各処理項目毎に特定されたクレーン14やコンベアライン18A,18Bに対応してボタン52A,52Bに時刻が表示されることとなる。
【0077】
そして、作業者は、終了した処理に対応するクレーン14等のボタン52Aを押し、開始する処理に対応するクレーン14等のボタン52Bを押す。なお、ボタン52A,52Bを押した場合に、図6のステップ104が肯定判定となると共に、ボタン52A,52Bを押した時刻がスケジュール作成装置20に入力されることとなる。すなわち、ボタン52A,52Bに表示されている時刻と同時刻に、ボタン52A,52Bが押されると、実行中の一連の処理とスケジュールとに時間のずれは生じていないこととなる。しかし、ボタン52A,52Bに表示されている時刻と異なる時刻に、ボタン52A,52Bが押されると、実行中の一連の処理とスケジュールとに時間のずれが生じていることとなる。
【0078】
以上説明したように、本実施形態に係るスケジュール作成装置20は、作成されたスケジュールに基づいた連続した処理が複数の部品に対して並列して実行されている場合に、操作入力部38によって、実行済みの処理の終了時刻又は実行前の処理の開始時刻の入力を受け付ける。
そして、スケジュール作成装置20は、受け付けた時刻以降に実行されるスケジュールに含まれる、クレーン14の移動時間への待ち時間の付加及び処理槽12による処理時間の変更を行うことでスケジュールを修正し、同一の処理槽12及び同一のクレーン14の使用時間に重複が生じない修正後のスケジュールを選択する。
【0079】
従って、本実施形態に係るスケジュール作成装置20は、処理の終了時刻又は処理の開始時刻が入力された場合に、スケジュールを修正するので、部品に対する連続した処理の実行の途中であっても、処理槽12やクレーン14の使用時間の重複を未然に防止できる。このため、部品に対する処理に遅れ等が生じても、作業者が、適宜、処理の終了時刻又は処理の開始時刻をスケジュール作成装置20に入力することによって、スケジュールを修正することができるので、処理槽12やクレーン14の使用時間の重複を未然に防止できる。
【0080】
また、本実施形態に係るスケジュール作成装置20は、処理槽12による処理時間を、予め定められたSPEC内で修正するので、スケジュールの修正を適切に行うことができる。
【0081】
また、本実施形態に係るスケジュール作成装置20は、操作入力部38によって受け付けられた時刻に応じて、以降に実行される処理の処理時刻を繰り上げ又は繰り下げるので、より正確に処理槽や搬送装置の使用時間の重複を未然に防止できる。
【0082】
また、本実施形態に係るスケジュール作成装置20は、新たに処理対象となる部品に関する情報を受け付け、既に作成済みのスケジュールと共に、新たに処理対象となる部品のスケジュールを修正の対象とするので、部品に対する連続した処理の実行の途中に、新たな部品が処理の対象に含まれても、処理槽12やクレーン14の使用時間の重複を未然に防止できる。
【0083】
また、本実施形態に係るスケジュール作成装置20は、修正された後のスケジュールを画像表示部40に表示するので、作業者は、容易に修正後のスケジュールを確認できる。
【0084】
以上、本発明を、上記実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更または改良を加えることができ、該変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0085】
例えば、上記実施形態では、本発明を、メッキ処理を行う表面処理装置に対応させて用いる形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、例えば、メッキ処理以外の表面処理を行う処理装置や半導体製造装置等の他の処理装置に対応させて用いる形態としてもよい。
【0086】
また、上記実施形態では、操作盤22とスケジュール作成装置20とが別の装置として抗せされている形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、操作盤22とスケジュール作成装置20とが一体の装置として構成された形態としてもよい。
【0087】
また、上記各実施の形態で説明したスケジュール作成プログラムの処理の流れも一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりすることができることは言うまでもない。
【0088】
例えば、上記実施形態では、開始時スケジュール作成処理のステップ216において否定判定となった場合に、ステップ204へ戻るが、本発明は、これに限定されるものではなく、ステップ200へ戻ってもよい。
【0089】
また、上記実施形態では、処理槽12による処理時間の変更及びクレーン14の移動への待ち時間の付加を行っているが、本発明は、これに限定されるものではなく、処理槽12による処理時間の変更及びクレーン14の移動への待ち時間の付加の何れか一方のみを行ってもよい。
【0090】
また、上記実施形態では、処理槽12による処理時間の変更及びクレーン14の移動への待ち時間の付加を行った後に、同一の処理槽12又は同一のクレーン14の使用時間に重複が生じているか否かを判定するが、本発明は、これに限定されるものではなく、同一の処理槽12又は同一のクレーン14の使用時間に重複が生じているか否かを判定し、重複が生じているスケジュールに対し、処理槽12による処理時間の変更及びクレーン14の移動への待ち時間の付加の少なくとも一方を行ってもよい。
【符号の説明】
【0091】
10 表面処理装置
12 処理槽
14 クレーン
20 スケジュール作成装置
22 操作盤
30 CPU
38 操作入力部
40 画像表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理対象である部品を処理槽から他の処理槽へ搬送装置で移動させることによって、該部品に対して複数の処理を連続して実行させるためのスケジュールを修正するスケジュール修正装置であって、
作成されたスケジュールに基づいた連続した処理が複数の前記部品に対して並列して実行されている場合に、実行済みの前記処理の終了時刻又は実行前の前記処理の開始時刻の入力を受け付ける受付手段と、
前記受付手段によって受け付けられた時刻以降に実行されるスケジュールに含まれる、前記搬送装置の移動時間への待ち時間の付加及び前記処理槽による処理時間の変更の少なくとも一方を行うことで、前記スケジュールを修正する修正手段と、
前記修正手段によって修正された前記スケジュールであって、同一の前記処理槽及び同一の前記搬送装置の使用時間に重複が生じないスケジュールを選択する選択手段と、
を備えたスケジュール修正装置。
【請求項2】
前記処理槽による処理は、前記部品に対する処理に応じて、処理時間の許容範囲が予め定められており、
前記修正手段は、前記処理槽による処理時間を、前記許容範囲内で変更する請求項1記載のスケジュール修正装置。
【請求項3】
前記修正手段は、前記受付手段によって受け付けられた時刻に応じて、以降に実行される処理の処理時刻が繰り上げ又は繰り下げられた後のスケジュールに含まれる、前記搬送装置の移動時間への待ち時間の付加及び前記処理槽による処理時間の変更の少なくとも一方を行うことで、前記スケジュールを修正する請求項1又は請求項2記載のスケジュール修正装置。
【請求項4】
前記受付手段は、新たに処理対象となる部品に関する情報を受け付け、
前記修正手段は、前記受付手段で受け付けられた前記部品のスケジュールも修正の対象とする請求項1から請求項3の何れか1項記載のスケジュール修正装置。
【請求項5】
前記修正手段によって修正された後の前記スケジュールを表示する表示手段を備えた請求項1から請求項4の何れか1項記載のスケジュール修正装置。
【請求項6】
処理対象である部品を処理槽から他の処理槽へ搬送装置で移動させることによって、該部品に対して複数の処理を連続して実行させるためのスケジュールを修正するスケジュール修正方法であって、
作成されたスケジュールに基づいた連続した処理が複数の前記部品に対して並列して実行されている場合に、実行済みの前記処理の終了時刻又は実行前の前記処理の開始時刻の入力を受け付ける第1工程と、
前記第2工程によって受け付けられた時刻以降に実行されるスケジュールに含まれる、前記搬送装置の移動時間への待ち時間の付加及び前記処理槽による処理時間の変更の少なくとも一方を行うことで、前記スケジュールを修正する第2工程と、
前記第2工程で修正された前記スケジュールであって、同一の前記処理槽及び同一の前記搬送装置の使用時間に重複が生じないスケジュールを選択する第3工程と、
を含むスケジュール修正方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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