説明

スケジュール管理装置およびスケジュール管理機能を備えた携帯電話機

【課題】 指定された時刻に、予め記憶した予定の内容を想起し得るアラーム音を発生させるための手間を省くことができるとともに、当該アラーム音を他者に聴かれることなく、使用者に対してのみ報知することができるスケジュール管理機能を備えた携帯電話機を提供すること。
【解決手段】 携帯電話のカラー液晶画面に表示された予定入力画面から、登録する予定の内容を示す識別情報が入力され(S1)、登録キーが押されると(S2)、入力された予定の内容を示す識別情報が記憶される(S3)。この識別情報の中に、予め記憶している各音声データに対応付けられた識別情報のいずれかが含まれていた場合は(S5,YES)、その識別情報が対応付けられた音声データをアラーム音としてセットする(S6)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、予定された事柄に関連した内容を記憶し、表示するスケジュール管理装置およびスケジュール管理機能を備えた携帯電話機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、パーソナルコンピュータ(以下、PCという)や携帯型情報端末装置などを利用して、個人のスケジュールを記憶し、表示するスケジュール管理装置やスケジュール管理システムが数多く提案されている。また、近年では、ネットワークを介して各種イベントのスケジュール情報などを配信し、PCや携帯型情報端末装置のスケジュール管理機能を実行した際に表示される予定表へ反映させるものも提案されている。
【0003】
たとえば、特許文献1に開示された情報端末装置は、サーバから各種スポーツまたはコンサートの開催日や、映画/音楽ソフトの発売日などの予定データのうち、所望する予定データを選択してダウンロードし、スケジュール管理機能によって表示された予定表内に反映させるとともに、当該予定表に入力した各予定の開始日時またはその所定時間前に、ブザー、メロディー、または音声等を発生させるアラーム機能を搭載したものが開示されている。また、上述したアラーム機能について、特許文献2〜4には、ユーザが任意に録音した音声をアラーム音として用いることができるものが開示されており、さらに特許文献5には、予め録音された複数の音声のうち、所望する音声をアラーム音に設定することができるものが開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2002−351849
【特許文献2】実開平5−64797
【特許文献3】実開平5−92786
【特許文献4】特開平8−313656
【特許文献5】特開平10−300872
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述した情報端末装置のスケジュール管理機能と、アラーム機能とを組み合わせた場合、予め用意された複数のアラーム音の中から所望するアラーム音を、予定表に入力した各予定に対応付けることができるものが考えられる。しかしながら、たとえば、聴いただけで予定の内容が想起されるようなアラーム音(たとえば、予定の内容を話している音声など)を、入力した予定に対応付けたい場合などは、予め記憶されている複数のアラーム音を一つずつ再生して、適切なアラーム音を選択しなければならないため、対応付けが煩雑になるという問題がある。
【0006】
そこで本発明は、指定された時刻に、予め記憶した予定の内容を想起し得るアラーム音を発生させるための手間を省くことができるスケジュール管理装置を提供することを目的としている。
【0007】
また、本発明は、指定された時刻に、予め記憶した予定の内容を想起し得るアラーム音を発生させるための手間を省くことができるとともに、当該アラーム音を他者に聴かれることなく、使用者に対してのみ報知することができるスケジュール管理機能を備えた携帯電話機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明は、予定された事柄に関連した内容を記憶し、表示するスケジュール管理装置であって、各々に識別情報が対応付けられた複数種類の音声データを記憶する記憶手段と、前記予定された事柄の存在を知らせる時刻を設定する時間設定手段と、前記時間設定手段によって設定された時刻となったときに、前記予定された事柄に関連した内容を示す識別情報と一致する識別情報が対応付けられた音声データを、前記記憶手段から読み出して再生する再生手段とを具備することを特徴としている。
【0009】
ここで、予定された事柄に関連した内容とは、予定された事柄自体の内容、予定された事柄が行われる場所・時間(年月日、曜日を含む)、予定された事柄に関係している人(たとえば面会相手など)の名前などをいう。また、識別情報とは、文字、数字、記号、図形などの情報をいう。
【0010】
上述したスケジュール管理装置によれば、時間設定手段によって設定された時刻になると、記憶している予定された事柄に関連した内容を示す識別情報と、一致する識別情報が対応付けられている音声データを再生する。すなわち、たとえばある人物の音声データと、当該人物の名前を表す文字情報とを対応付けて予め記憶手段に記憶させておけば、記憶されている予定の中にその人物の名前を表す文字情報が含まれていた場合、その予定の存在がその人物の声によって知らされる。このため、予定を入力する際に、逐一その予定の内容を想起させる音声データを選択して当該予定に対応付ける必要がなくなり、手間をかけることなく、設定した時刻に、その予定の内容を想起し得るアラーム音を発生させることができる。
【0011】
また、本発明は、着信した音声を発する受話装置と、発信する音声を入力する送話装置とを備えて音声による電話通信を行うとともに、予定された事柄に関連した内容を記憶し、表示するスケジュール管理機能を備えた携帯電話機であって、各々に識別情報が対応付けられた複数種類の音声データを記憶する記憶手段と、前記予定された事柄の存在を知らせる時刻を設定する時間設定手段と、前記時間設定手段によって設定された時刻となったときに、呼出音を発生する呼出信音発生手段と、前記呼出音に応じて受話操作がなされたときに、前記予定された事柄に関連した内容を示す識別情報と一致する識別情報が対応付けられた音声データに基づく音声を前記受話装置から発生する音声発生手段とを具備することを特徴としている。
【0012】
ここで、受話装置とは、使用者が耳を当てて受信した音声を聴き取るためのものであり、外部に向けて音声を伝達することを目的としたスピーカなどとは区別されるものである。また、受話操作とは、呼出音に応じて電話をかけてきた相手と通話するために行う操作をいう。
【0013】
上記の携帯電話機によれば、時間設定手段によって設定された時刻になると、呼出音が発生し、これに応じて受話操作を行うと、記憶している予定された事柄に関連した内容を示す識別情報と、一致する識別情報が対応付けられている音声データが、受話装置から再生される。すなわち、たとえばある人物の音声データと、当該人物の名前を表す文字情報とを対応付けて予め記憶手段に記憶させておき、また、記憶されている予定の中にその人物の名前を表す文字情報が含まれていた場合、時間設定手段によって設定された時刻になると、まず、呼出音が鳴り、受話操作を行うと、受話装置から上記予定の存在を、その人物の声によって知らされる。このため、予定を入力する際に、逐一その予定の内容を想起させる音声データを選択して当該予定に対応付ける必要がなくなり、手間をかけることなく、設定した時刻に、その予定の内容を想起し得るアラーム音を発生させることができる。また、たとえば他者と面会中に上記時間設定手段によって設定された時刻になった場合、面会相手にはあたかも通常の電話に出るように見せながら、上述した予定の内容を想起し得るアラーム音を聴くことができる。また、当該音声は、受話装置から発生するので、たとえば個人的な内容を示す音声が発生したとしても、他者に知られることなく聴き取ることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明のスケジュール管理装置およびスケジュール管理機能を備えた携帯電話によれば、設定した時刻に、登録した予定の内容を想起し得るアラーム音を発生させるための手間を省くことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0016】
図1は、本実施の形態に係る携帯電話1の外観を示す正面図である。携帯電話1は本体部2と蓋部3とからなる折りたたみ式の構造になっており、図1は蓋部3を開いた状態を示している。蓋部3の図中上部には、図示せぬ基地局とやりとりされる無線信号を送受信するためのアンテナ4が設けられている。基地局から受信した音声信号は、受話装置5で聴くことができる。受話装置5はスピーカであるが、受話装置5から発生する音は、直接耳を当てなければ聴くことができない程度の音量で発生される。受話装置5の下側には、カラー液晶ディスプレイ(以下、LCDという)6が設けられており、携帯電話1から電話をかけるときに入力される電話番号、携帯電話1へ電話をかけてきた相手の電話番号、および、携帯電話1が有するアクセサリ機能を実行したときに表示される画面など、様々な情報が表示される。ここで、携帯電話1が有するアクセサリ機能としては、スケジュール管理機能、アドレス帳機能、電子メール機能、インターネットアクセス機能、電卓機能、メモ帳機能がある。
【0017】
本体部2には、電話番号および文字などを入力されるためのテンキー7が設けられている。テンキー7は、いわゆるプッシュホン式の電話機に備えられているキーと同様のキーで構成されており、「0」〜「9」の数字に対応する10個のキー(以下、数字キーという)と、「*」および「#」の記号に対応する2つのキーの、計12個のキーで構成されている。また、数字キーのそれぞれには、平仮名およびアルファベットが適宜対応付けられており、携帯電話1が有するアクセサリ機能を実行中に文字などを入力する際にも用いられる。テンキー7の上方には、発信キー8と終了キー9が設けられている。発信キー8は、携帯電話1にかかってきた電話を受けるとき、および、テンキー7により電話番号を入力して携帯電話1から電話をかけるときに使用する。終了キー9は、携帯電話1による通話を終了させるとき、および、携帯電話1が有する各種機能を終了させるときなどに使用する。また、終了キー9は、携帯電話1の電源スイッチも兼ねている。
【0018】
発信キー8と終了キー9との間には、上下左右の4方向を指示可能な円板形状の多方向キー10が設けられており、携帯電話1が有する各種機能において、LCD6に表示された複数の選択肢を選択する際に使用する。ここで、多方向キー10の表面には「↑」、「↓」、「→」、「←」のマークが付されており、「↑」マークの位置を押すと上方を指示することとなり、同様に、「↓」、「→」、「←」のマーク位置を押すと、それぞれ、下方、右方、左方を指示することになる。多方向キー10の中心位置には、多方向キー10とは独立して作動する決定キー11が設けられており、たとえば、LCD6に表示された複数の選択肢のうち、多方向キー10によって選択した内容を確定するときに使用される。発信キー8の上方には第1コマンドキー12が、終了キー9の上方には第2コマンドキー13が、それぞれ設けられている。これらコマンドキー12,13は、携帯電話1が有するアクセサリ機能を実行したときに、当該実行された機能において用いられるコマンドが適宜割り当てられる。以下では、テンキー7、発信キー8、終了キー9、多方向キー10、決定キー11、第1コマンドキー12、および、第2コマンドキー13をまとめて操作部と呼ぶこととする。テンキー7の下方には、携帯電話1において電話通信を行っているとき相手側へ送信する音声を入力するマイク14が設けられている。また、図1においては図示を省略しているが、本体部3の裏面には、呼出音などの音声を外部に向けて発生するスピーカ(後述する)が設けられている。
【0019】
次に図2を参照して携帯電話1の内部ハードウェア構成について説明する。この図において、図1に示した各部と同じものについては、同一の符号を付し、その説明を省略する。図2において、制御部20は、操作部7〜13およびマイク14を用いて行われる電話通信の制御を行うとともに、携帯電話1が有する各種アクセサリ機能を実現するためのプログラムを実行する。また、これらの処理に伴う情報(たとえば、送信または受信した相手の電話番号、通話時間、各種アクセサリ機能の入出力画面など)を適宜LCD6へ表示する。送受信部21は、アンテナ4が前述した基地局から受信した無線信号を復調して制御部20へ出力するとともに、制御部20から出力された各種信号を変調し、無線信号としてアンテナ4から前述した基地局へ送信する。EEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)22は、携帯電話1が有するスケジュール管理機能において登録された予定に関する情報や、アドレス帳機能において登録された個人情報などを記憶する。また、この他にも、マイク14により録音された音声データ、インターネットを介して取得した画像データおよび音声データ、および、電子メールでやり取りされた情報なども記憶する。カレンダーIC23は、内部に水晶発振子を有し、現在の年月日および時刻を計時する。音声制御部24は、制御部20から出力された音声データをアナログ音声信号に変換し、制御部20によって指定された出力デバイスへ出力する。この出力デバイスには、受話装置5と、本体部2の裏面に設けられた前述のスピーカ25とがある。また、音声制御部24は、マイク14から入力された音声をデジタルデータ化し、制御部20へ出力する。
【0020】
次に、図3を参照して、携帯電話1が有するスケジュール管理機能(以下、単にスケジュール管理機能という)において、登録した予定の存在を知らせるアラーム音の種類を決定する際に参照される対応リストの内容について説明する。対応リストは、EEPROM22に記憶されるものであり、図3に示すように、EEPROM22に記憶されている各音声データのファイル名と、携帯電話1の使用者がテンキー7から入力した識別情報との対応を表したものである。ここで、各データに対応付ける識別情報は、スケジュール管理機能において入力可能な情報であれば、文字、数字、記号、アイコンの他、いわゆる絵文字であってもよい。たとえば、図3に示すリストの「No.」欄の「1」においては、ファイル名「cheer.wav」という音声データに、ジョッキを示した絵文字が対応付けられている状態を示している。
【0021】
各音声データに対する識別情報の対応付けは、たとえば次のようにして行われる。まず、携帯電話1の蓋部3を開いたときに、「対応付け」というコマンド名を含むコマンド一覧がLCD6に表示されるようにしておき、多方向キー10および決定キー11により、「対応付け」というコマンド名が選択されたときに、EEPROM22に記憶されている音声データのファイル名の一覧をLCD6に表示する。そして、使用者が、多方向キー10によって所望するファイル名を選択し、決定キー11によって確定すると、対応付ける識別情報を入力するための入力画面をLCD6に表示し、テンキー7を用いて適宜識別情報が入力され、決定キー11が押されると、図3に示す対応リストの最後尾に、選択されたファイル名と入力された識別情報を追加する。
【0022】
また、たとえば、インターネットを介して音声データのダウンロードが完了したとき、または、マイク14により音声を入力し終えたときに、上述した識別情報入力画面をLCD6に表示するようにして、音声データと識別情報との対応付けを行うようにしてもよい。このように、EEPROM22は、上述した対応リストによって、各々に識別情報が対応付けられた複数種類の音声データを記憶する記憶手段に相当する。
【0023】
次に、図4および図5を参照して、上記スケジュール管理機能において予定を登録する際に制御部20が行う予定登録処理の内容について説明する。ここで、図4は上述した予定登録処理の流れを示すフローチャートであり、図5は、当該予定登録処理においてLCD6に表示される予定入力画面の内容を示す図である。
【0024】
携帯電話1の使用者によって、スケジュール管理機能の実行が指示されると、制御部20はデータ入力処理を行う(ステップS1)。ここで、使用者によるスケジュール管理機能の実行指示は、たとえば、前述したLCD6に表示されるコマンド一覧の中に「スケジュール」というコマンド名を含めておき、多方向キー10および決定キー11により当該コマンド名を選択、決定することによって行われるものとする。
【0025】
ステップS1のデータ入力処理が開始されると、制御部20はまず、図5(a)に示すスケジュール概略表示画面をLCD6に表示する。ここで、スケジュール管理機能を実行中のLCD6の画面は、タイトル表示領域T、メイン表示領域M、および、割当機能表示領域Kとによって構成されている。タイトル表示領域Tは、現在実行中のアクセサリ機能の内容を示すタイトル名を表示する領域であり、図5(a)では、スケジュール管理機能を実行中であることから、「スケジュール」という文字が表示されている。メイン表示領域Mは、現在実行中のアクセサリ機能よって使用される表示領域であり、図5(a)では、メイン表示領域Mがm1とm2に分割され、表示領域m1には当日の年月日および曜日と、当月のカレンダーとが表示される。当該カレンダーの当日の日付(図5(a)においては10日になっている)にカーソルCが表示されている。また、表示領域m2には、カーソルCが表示されている日付に何らかの予定が登録されていた場合、その概略内容(後述する)が表示される領域であり、図5(a)に示す例では、10日の予定が入力されていないため空欄になっている。
【0026】
割当コマンド表示領域Kには、メイン表示領域Mに表示されている画面において、多方向キー10の有効移動方向、および、決定キー11、第1コマンドキー12、および、第2コマンドキー13に、それぞれ割り当てられたコマンドが表示される。すなわち、割当コマンド表示領域Kの表示領域k1、k3、k4には、それぞれ、第1コマンドキー12、決定キー11、第2コマンドキー13に割り当てられたコマンドの内容が表示され、表示領域k2には、多方向キー10の有効移動方向が表示される。図5(a)においては、第1コマンドキー12には「戻る」というコマンドが割り当てられていることを示しており、第1コマンドキー12が押された場合、前述したコマンド一覧画面に戻る。また、多方向キー10については、カーソルCを上下左右方向に移動し得ることを示している。ここで、図5(a)に示す画面では、カーソルCの移動可能範囲は、表示領域m1に表示されたカレンダーの各日付(「1」〜「31」)となっている。また、決定キー11には、「選択」というコマンドが割り当てられていることを示しており、図5(a)に示す画面において決定キー11が押されると、カーソルCが表示されている日付について、登録された詳細な予定が表示される。なお、第2コマンドキー13には、何らコマンドが割り当てられていないため、表示領域k4には何も表示されていない。
【0027】
図5(a)に示すように、10月10日にカーソルCが表示されている状態で決定キー11が押されると、メイン表示領域Mには、図5(b)に示すように、10月10日の詳細な予定入力画面が表示される。この予定入力画面は、既に10月10日の詳細な予定が入力されていた場合、その内容を表示する表示画面も兼ねている。また、割当コマンド表示領域Kの表示領域k4には、第2コマンドキー13に対して、「登録」というコマンドが割り当てられていることが示されている。この「登録」コマンドは、メイン表示領域Mに表示された予定入力画面において、使用者が所望する予定の内容を入力した内容を確定させる(すなわちEEPROM22に記憶させる)コマンドである。
【0028】
この予定入力画面のメイン表示領域Mには、入力する予定の日付を入力する領域d、当該予定の開始時刻を入力する領域stおよび終了時刻を入力する領域et、用件を入力する領域b、用件の内容を示すアイコン(後述する)が表示される領域IC、予定の内容を入力する領域c、場所を入力する領域p、アラームを設定する領域aが含まれている。そして、多方向キー10により所望する領域にカーソルCを移動させた後、決定キー11を押すことにより、その領域に関する内容が可能となる。各領域に対する登録内容の入力は、テンキー7を用いて行われる。ここで、用件を入力する領域bへ用件を表す文字情報を入力した後、決定キー11が押されると、LCD6に表示される画面が、図6(a)に示す内容に切り替わる。この画面は、用件の内容を視覚的に表現するためのアイコンを選択するアイコン選択画面であり、たとえば、ビールが注がれたジョッキ、ナイフとフォーク、電車などの絵を描いたアイコンや、「会」、「休」、「習」といった文字を示すアイコンなど、用件の内容を想起させやすいアイコンが25個、一覧表示されている。使用者は、これらのアイコンの中から、用件を入力する領域bに入力した用件の内容に即したアイコンを、多方向キー10を用いてカーソルCを所望するアイコンの表示位置まで移動させ、決定キー11を押して選択することができる。
【0029】
図5(b)に示す例では、予定の日付として「2005年10月10日」という文字情報が、当該予定の開始時刻および終了時刻として「15:00」および「16:00」という数字および記号情報が、当該予定の用件として「打合せ」という文字情報が、予定の内容として「○木課長と××の件について」という文字情報が、予定の場所として「△△会議室」という文字情報が、それぞれ入力された状態を示している。また、用件の内容を示すアイコンとして、白抜きの文字で「会」と表示されたアイコンが選択された状態を示している。これら各項目のうち、開始時刻、終了時刻、および、場所に関する情報、ならびに、用件を示すアイコンが、予定の概略内容として、図5(a)の表示領域m2へ表示される。
【0030】
また、アラームに関する設定を行うアラーム設定領域aについては、その設定内容として、「OFF」、「通常」、「秘匿」の3つの選択肢(モード)が表示されており、カーソルCを所望するモードの文字上へ移動させることにより選択、設定する。ここで、「OFF」モードとは、登録された予定の存在を知らせるためのアラームを鳴らさないモードである。また、「通常」モードおよび「秘匿」モードは、いずれも後述するアラーム時刻になったときに、アラーム音を発生させるモードである。以下、これら3つのモードをあわせてアラームモードという。また、使用者が多方向キー10によりカーソルCを「通常」または「秘匿」モードの位置に移動させると、図6(b)に示すアラーム時刻設定画面atが、メイン表示領域Mに表示される。そして、アラーム時刻設定画面at内の時間入力領域tに、図5(b)に示す開始時刻入力領域stに入力した予定開始時刻の何分前にアラームを鳴らすのかをテンキー7により数字を入力する。ここで、図6(b)では、予定開始時刻15:00の30分前に設定しているので、アラーム時刻は14:30となる。このように、アラーム時刻設定画面atは、予定された事柄の存在を知らせる時刻を設定する時間設定手段に相当する。
【0031】
なお、たとえば「14:30」というように、直接アラーム時刻を入力できるようにしてもよい。また、アラーム時刻設定画面atを表示した際に、時間入力領域t内に初期値として予め設定された時刻(たとえば、予定開始時刻の10分前など)を表示させるようにしてもよい。
【0032】
上述したステップS1のデータ入力処理中は、「登録」コマンドが割り当てられた第2コマンドキー13(図4においては、「登録キー」と表記)が押されたか否かを監視しており(ステップS2)、第2コマンドキー13が押されるまで、ステップS1のデータ入力処理が行われる。そして、第2コマンドキー13が押されると、ステップS2の判断結果がYESとなって、制御部20は、図5(b)および図6(b)に示す各予定入力画面から入力された予定の内容をEEPROM22の所定の記憶領域に記憶する(ステップS3)。すなわち、図5(b)および図6(b)に示した入力例の場合、予定の日付として「2005年10月10日」という文字情報が、予定の開始時刻として「15:00」という数字・記号情報が、予定の終了時刻として「16:00」という数字・記号情報が、用件として「打合せ」という文字情報が、用件の内容を示唆するアイコンとして、白抜きの「会」という文字を表したアイコンを示す情報が、予定の詳細内容として「○木課長と××の件について」という文字情報が、場所として「△△会議室」という文字情報が、アラームモードとして「通常」モードを示す情報が、アラーム時刻として「14:30」という数字・記号情報が、それぞれ記憶される。ここで、図5(b)に示すアラーム設定領域aにおいて、「OFF」モードが設定された場合、アラームモードとして「OFF」を示す情報が記憶されるが、アラーム時刻については何も記憶されない。また、「秘匿」モードが設定された場合は、「通常」モードが設定されたときと同様、アラーム時刻を示す数字・記号情報がEEPROM22に記憶される。
【0033】
次に、ステップS3の処理によりEEPROM22に記憶された予定のうち、設定されたアラームモードが、「OFF」モードであるか、「通常」または「秘匿」モードであるかを判断する(ステップS4)。もし、「OFF」モードが設定されていた場合は、判断結果がNOとなって、予定登録処理を終了する。一方、「通常」または「秘匿」モードが設定されていた場合は、判断結果がYESとなって、記憶した予定の用件、詳細内容、および、場所を示す識別情報の中に、図3に示した対応リストの「識別情報」の欄に記憶されている識別情報と一致するものがあるか否かを判断する(ステップS5)。
【0034】
もし、上述した各項目の内容を示す識別情報の中に、図3に示した対応リストの「識別情報」の欄に記憶されている識別情報と一致する識別情報が含まれていた場合は、判断結果がYESとなって、図3に示した対応リストを参照し、一致した識別情報に対応するファイル名をアラーム音として、ステップS3で記憶した予定の内容とともにEEPROM22に記憶し(ステップS6)、予定登録処理を終了する。たとえば、図5(b)および図6(b)に示した内容の予定が登録された場合、「内容」の項目に「○木」という識別情報(文字情報)が含まれている。したがって、図3の対応リストにおいて、「○木」という識別情報(文字情報)が対応付けられている「○木の声.wav」というファイル名の音声データが、アラーム音として使用される音声データとして記憶されることになる。
【0035】
一方、一致する識別情報がなかった場合は、判断結果がNOとなって、予め定められているアラーム音に対応する音声データのファイル名を、ステップS3で記憶した予定の内容とともにEEPROM22に記憶し(ステップS7)、予定登録処理を終了する。
【0036】
ここで、図7を参照して、図4に示す予定登録処理によって登録された予定の記憶内容について説明する。図7に示すように、登録された予定の記憶内容は、予定の日付、開示時刻および終了時刻、用件、アイコン、詳細内容、場所、アラームモード、アラーム時刻、および、アラーム音として用いる音声データのファイル名である。ここで、アラームモードとして「OFF」モードを示す情報が記憶された場合、アラーム時刻およびアラーム音に関する項目については何も記憶されない。一方、「通常」または「秘匿」モードを示す情報が記憶された場合は、アラーム時刻およびアラーム音に関する項目について、アラーム時刻およびアラーム音として用いる音声データのファイル名が記憶されることになる。
【0037】
次に、上述した予定登録処理によって登録された予定のうち、アラーム時刻が設定されている予定について、アラーム音を発生させるためのアラーム処理について、図8のフローチャートを参照して説明する。
【0038】
まず、制御部20は、カレンダーIC23から現在の日付および時刻に関する情報を取得する(ステップS10)。そして、図7に示すEEPROM22に記憶された各予定の日付およびアラーム時刻を参照し、記憶されている日付およびアラーム時刻と一致する日付および時刻になったか否かを判断する(ステップS11)。一致しなかった場合は、判断結果がNOとなり、ステップS1へ戻って再度現在の日付および時刻をカレンダーIC23から取得する。これに対して、記憶しているいずれかの予定の日付およびアラーム時刻と、現在の日付および時刻とが一致した場合は、判断結果がYESとなって、その予定のアラームモードが、「秘匿」モードであるか、「通常」モードであるかを判断する(ステップS12)。ここで、もし、アラームモードが「通常」モードであった場合は、判断結果がNOとなって、当該予定のアラーム音として記憶されているファイル名の音声データをEEPROM22から読み出し、スピーカ25から当該音声データに基づく音声を発生することを指示するコマンドとともに、音声制御部24へ出力する(ステップS13)。これにより、音声制御部24は、制御部20から出力された音声データに基づく音声を、スピーカ25から発生する。たとえば、図7に示す予定の記憶内容について、現在の時刻が10月10日の14:30となると、制御部20は、EEPROM22から「○木の声.wav」というファイル名の音声データを読み出し、音声制御部24へ出力する。また、音声制御部24は、入力された「○木の声.wav」というファイル名の音声データに基づく音声を、スピーカ25から発生する。
【0039】
一方、ステップS12において、アラームモードが「秘匿」モードであった場合は、判断結果がYESとなって、制御部20は、予め設定されていた呼出音に対応する音声データをEEPROM22から読み出し、スピーカ25から呼出音に対応する音声データに基づく音声を発生することを指示するコマンドとともに、音声制御部24へ出力する(ステップS14)。これにより、音声制御部24は、制御部20から出力された呼出音に対応する音声データに基づく音声を、スピーカ25から繰り返し発生させる。また、音声制御部24は、呼出音に対応する音声データに基づく音声を発生した回数を、制御部20へ出力する。
【0040】
ステップS14の処理を終えると、制御部20は、携帯電話1の使用者が発信キー8を押したか否か、すなわち、受話操作を行ったか否かを判断する(ステップS15)。そして、受話操作がなされた場合は、判断結果がYESとなり、当該予定のアラーム音として記憶されているファイル名の音声データをEEPROM22から読み出し、受話装置5から当該音声データに基づく音声を発生することを指示するコマンドとともに、音声制御部24へ出力する(ステップS16)。これにより、音声制御部24は、制御部20から出力された音声データに基づく音声を、受話装置5から発生する。
【0041】
一方、ステップS15において、使用者が受話操作を行わなかった場合は、判断結果がNOとなって、呼出音の発生回数が所定回数(たとえば、10回)に達したか否かを判断する(ステップS17)。ここで、呼出音の発生回数が、所定回数に到達していなかった場合は、判断結果がNOとなり、ステップS15に戻って再度使用者による受話操作が行われたか否かを判断する。以下、呼出音の発生回数が所定回数に達するまで、ステップS15およびステップS17の処理を繰り返し行い、この間に使用者による受話操作が行われた場合は、ステップS16の処理へ移行し、当該予定に対応付けられた音声データに基づく音声を受話装置5から発生させる。
【0042】
一方、呼出音の発生回数が所定回数に達しても、使用者による受話操作が行われなかった場合は、ステップS17の判断結果がYESとなって、制御部20は、音声制御部24に対して、呼出音の発生処理の停止を指示し(ステップS18)、アラーム処理を終了する。
【0043】
以上説明したように、本実施の形態における携帯電話1におけるスケジュール管理機能によれば、図4に示す予定登録処理において、予定が登録されると、登録された予定の内容の中に、予め記憶している音声データに対応付けられた識別情報が含まれている場合(図4,ステップS5,YES)は、当該識別情報に対応付けられた音声データを、アラーム音として使用することを決定し(図4,ステップS6)、当該予定のアラーム時刻になると(図8,ステップS11,YES)、アラームモードとして「通常」モードが設定されていた場合(図8,ステップS12,NO)は、スピーカ25から、上記登録された予定の内容の中に含まれている識別情報に対応付けられた音声データに基づく音声が、スピーカ25から発生する(図8,ステップS13)。したがって、制御部20による図8のステップS11⇒S12⇒S13の処理、および、ステップS13の処理によって、アラーム音をスピーカ25から発生させる音声制御部24は、設定された時刻となったときに、前記予定された事柄に関連した内容を示す識別情報と一致する識別情報が対応付けられた音声データを、前記記憶手段から読み出して再生する再生手段に相当する。
【0044】
このように、予定を登録したときに、登録した予定を示す識別情報内に、予め記憶されている音声データに対応付けられた識別情報が含まれていた場合、当該識別情報に対応付けられた音声データがアラーム音として使用することが決定されるため、使用者自ら登録する予定の内容と、その内容を想起させるような音声データの対応付けを行う手間を省くことができる。
【0045】
また、アラームモードとして「秘匿」モードが設定されていた場合は、設定したアラーム時刻になると(図8,ステップS11,YES、および、ステップS12,YES)、まず、スピーカ25から呼出音が発生し(図8,ステップS14)、使用者による受話操作が行われると(図8,ステップS15,YES)、受話装置5から、上記登録された予定の内容の中に含まれている識別情報に対応付けられた音声データに基づく音声が発生する(図8,ステップS16)。したがって、制御部20による図8のステップS11⇒S12⇒S14の処理、および、ステップS14の処理によって、呼出音をスピーカ25から発生させる音声制御部24は、設定された時刻となったときに、電話通信の着信を知らせる呼出音を発生する呼出音発生手段に相当する。また、制御部20によるステップS15⇒S16の処理、および、ステップS16の処理によって、アラーム音を受話装置5から発生させる音声制御部24は、呼出音に応じて受話操作がなされたときに、予定された事柄に関連した内容を示す識別情報と一致する識別情報が対応付けられた音声データに基づく音声を前記受話装置から発生する音声発生手段に相当する。
【0046】
上述した「秘匿」モードにおいては、「通常」モード時と同様の効果を奏するのみならず、他者に対しては、通常の電話通信に応答するように見せつつ、使用者に対してのみ、登録した予定の内容を想起させ得る音声を聞かせることができる。
【0047】
なお、本実施の形態においては、携帯電話に搭載されたスケジュール管理機能を例に挙げたが、アラームモードとして「通常」モードを設定したときに行われる処理については、携帯電話に限らず、たとえばPDA(Personal Digital Assistant)におけるスケジュール管理機能に対しても適用が可能である。また、スケジュール管理機能に特化したスケジュール管理装置に対しても適用が可能であることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施の形態における携帯電話の外観を示す正面図である。
【図2】同携帯電話の内部のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図3】同携帯電話のスケジュール管理機能においてアラーム音として用いられる音声データと識別情報との対応付けを説明するための説明図である。
【図4】同スケジュール管理機能において、予定の内容を登録する際に実行される予定登録処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】同スケジュール管理機能を実行したときに表示される画面の内容を説明するための説明図である。
【図6】同スケジュール管理機能を実行したときに表示される画面の内容を説明するための説明図である。
【図7】同スケジュール管理機能において、登録された予定の記憶内容を説明するための説明図である。
【図8】同スケジュール管理機能において、アラームを発生する際に実行されるアラーム処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0049】
1 携帯電話
5 受話装置
20 制御部
22 EEPROM
24 音声制御部
25 スピーカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予定された事柄に関連した内容を記憶し、表示するスケジュール管理装置であって、
各々に識別情報が対応付けられた複数種類の音声データを記憶する記憶手段と、
前記予定された事柄の存在を知らせる時刻を設定する時間設定手段と、
前記時間設定手段によって設定された時刻となったときに、前記予定された事柄に関連した内容を示す識別情報と一致する識別情報が対応付けられた音声データを、前記記憶手段から読み出して再生する再生手段と
を具備することを特徴するスケジュール管理装置。
【請求項2】
着信した音声を発する受話装置と、発信する音声を入力する送話装置とを備えて電話通信を行うとともに、予定された事柄に関連した内容を記憶し、表示するスケジュール管理機能を備えた携帯電話機であって、
各々に識別情報が対応付けられた複数種類の音声データを記憶する記憶手段と、
前記予定された事柄の存在を知らせる時刻を設定する時間設定手段と、
前記時間設定手段によって設定された時刻となったときに、電話通信の着信を知らせる呼出音を発生する呼出音発生手段と、
前記呼出音に応じて受話操作がなされたときに、前記予定された事柄に関連した内容を示す識別情報と一致する識別情報が対応付けられた音声データに基づく音声を前記受話装置から発生する音声発生手段と
を具備することを特徴とする携帯電話機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−109119(P2007−109119A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−301136(P2005−301136)
【出願日】平成17年10月17日(2005.10.17)
【出願人】(598098526)アルゼ株式会社 (7,628)
【Fターム(参考)】