説明

スタウロスポリンを含む組み合わせ

本発明は、FLT−3キナーゼ阻害剤とヒストンデアセチラーゼ阻害剤(HDAI)の医薬的組み合わせでの、骨髄異形成症候群、リンパ腫および白血病、およびまた固形腫瘍の処置に関する。これはまた、上記の疾患または悪性腫瘍の処置のためのヒストンデアセチラーゼ阻害剤とFLT−3キナーゼ阻害剤の医薬的組み合わせの使用、および、疾患または悪性腫瘍の処置用医薬の製造のためのこのような医薬組成物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、骨髄異形成症候群、リンパ腫および白血病、特に急性骨髄性白血病(AML)、およびまた例えば結腸直腸癌(CRC)および非小細胞性肺癌(NSCLC)のような固形腫瘍を、FLT−3キナーゼ阻害剤およびヒストンデアセチラーゼ阻害剤(HDAI)の医薬的組み合わせで処置する方法に関する。上記の疾患または悪性腫瘍を処置するためのヒストンデアセチラーゼ阻害剤とFLT−3キナーゼ阻害剤の医薬的組み合わせの使用、およびこのような医薬組成物の、これらの疾患または悪性腫瘍処置用医薬の製造のための使用にも関する。
【0002】
本発明により、驚くべきことに、FLT−3キナーゼ阻害剤とヒストンデアセチラーゼ阻害剤(HDAI)の組み合わせが、それらが骨髄異形成症候群、リンパ腫および白血病、特に急性骨髄性白血病(AML)、およびまた例えば結腸直腸癌(CRC)および非小細胞性肺癌(NSCLC)のような固形腫瘍の処置に特に有用となるような、治療特性を有することが、判明した。
【0003】
本発明の組み合わせでの使用に特に興味深いFLT−3キナーゼ阻害剤は、式
【化1】

(ここで、(II)は化合物(I)の部分的水素化誘導体である)

【化2】


〔式中、
およびRは、互いに独立して、非置換もしくは置換アルキル、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、エーテル化もしくはエステル化ヒドロキシ、アミノ、モノ−もしくはジ置換アミノ、シアノ、ニトロ、メルカプト、置換メルカプト、カルボキシ、エステル化カルボキシ、カルバモイル、N−モノ−もしくはN,N−ジ−置換カルバモイル、スルホ、置換スルホニル、アミノスルホニルまたはN−モノ−もしくはN,N−ジ−置換アミノスルホニルであり;
【0004】
nおよびmは、互いに独立して、0(0を含む)から4まで(4を含む)の数字であり;
n'およびm'は、互いに独立して、0(0を含む)から4まで(4を含む)の数字であり;
、R、RおよびR10は、互いに独立して、水素、−O、30個までの炭素原子を有するアシル、いずれの場合も29個までの炭素原子を有する脂肪族、炭素環式もしくは炭素環式−脂肪族ラジカル、いずれの場合も20個までの炭素原子を有し、かついずれの場合も9個までのヘテロ原子を有するヘテロ環式もしくはヘテロ環式−脂肪族ラジカル、30個までの炭素原子を有するアシルであり、ここで、Rはまた存在していなくてよい;
またはRが30個までの炭素原子を有するアシルであるとき、Rはアシルではなく;
pは、Rが存在しないとき0であり、またはRおよびRの両方が存在し、いずれも上記のラジカルの1個であるとき1であり;
は水素、いずれの場合も29個までの炭素原子を有する脂肪族、炭素環式もしくは炭素環式−脂肪族ラジカルであるか、またはいずれの場合も20個までの炭素原子を有し、かついずれの場合も9個までのヘテロ原子を有するヘテロ環式もしくはヘテロ環式−脂肪族ラジカル、または30個までの炭素原子を有するアシルであり;
【0005】
、RおよびRはアシルまたは−(低級アルキル)−アシル、非置換もしくは置換アルキル、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、エーテル化もしくはエステル化ヒドロキシ、アミノ、モノ−もしくはジ置換アミノ、シアノ、ニトロ、メルカプト、置換メルカプト、カルボキシ、カルボニル、カルボニルジオキシ、エステル化カルボキシ、カルバモイル、N−モノ−もしくはN,N−ジ−置換カルバモイル、スルホ、置換スルホニル、アミノスルホニルまたはN−モノ−もしくはN,N−ジ−置換アミノスルホニルであり;
Xは2個の水素原子;1個の水素原子とヒドロキシ;O;または水素と低級アルコキシを意味し;
Zは水素または低級アルキルを意味し;
そして波線により特徴付けられる2個の結合のいずれも環Aで存在せず、4個の水素原子で置換されており、そして環Bの波線は、それぞれ各々の平行している結合と共に、二重結合を意味するか;
または波線により特徴付けられる2個の結合は環Bで存在せず、合計4個の水素原子で置換されており、そして環Aの波線は、それぞれ各々の平行している結合と共に、二重結合を意味するか;
または環Aおよび環Bの両方の4個の波線が存在せず、合計8個の水素原子で置換されている。〕
のスタウロスポリン誘導体、または、少なくとも1個の塩形成基が存在するとき、その塩である。
【0006】
前記および後記で使用する一般的用語および定義は、好ましくはスタウロスポリン誘導体について、下記の意味を有する:
接頭語“低級”は、関連するラジカルが、好ましくは最大7個まで(7個を含む)の炭素原子、とりわけ最大4個まで(4個を含む)の炭素原子を含むことを示す。
【0007】
低級アルキルは、とりわけメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、またはtert−ブチル、およびまたペンチル、ヘキシル、またはヘプチルである。
【0008】
非または置換アルキルは、非置換、または、ハロゲン、例えばフッ素、塩素、臭素またはヨウ素、C−C14アリール、例えばフェニルまたはナフチル、ヒドロキシ、エーテル化ヒドロキシ、例えば低級アルコキシ、フェニル−低級アルコキシまたはフェニルオキシ、エステル化ヒドロキシ、例えば低級アルカノイルオキシまたはベンゾイルオキシ、アミノ、モノ−もしくはジ置換アミノ、例えば低級アルキルアミノ、低級アルカノイルアミノ、フェニル−低級アルキルアミノ、N,N−ジ−低級アルキルアミノ、N,N−ジ−(フェニル−低級アルキル)アミノ、シアノ、メルカプト、置換メルカプト、例えば低級アルキルチオ、カルボキシ、エステル化カルボキシ、例えば低級アルコキシカルボニル、カルバモイル、N−モノ−もしくはN,N−ジ置換カルバモイル、例えばN−低級アルキルカルバモイルまたはN,N−ジ−低級アルキルカルバモイル、スルホ、置換スルホ、例えば低級アルカンスルホニルまたは低級アルコキシスルホニル、アミノスルホニルまたはN−モノ−もしくはN,N−ジ置換アミノスルホニル、例えばN−低級アルキルアミノスルホニルまたはN,N−ジ−低級アルキルアミノスルホニルにより置換されている、好ましくはC−C20アルキル、とりわけ低級アルキル、典型的にメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、またはtert−ブチルである。
【0009】
ハロゲンは好ましくはフッ素、塩素、臭素、またはヨウ素、とりわけフッ素または塩素である。
エーテル化ヒドロキシはとりわけ低級アルコキシ、C−C14アリールオキシ、例えばフェニルオキシ、またはC−C14アリール−低級アルコキシ、例えばベンジルオキシである。
【0010】
エステル化ヒドロキシは好ましくは低級アルカノイルオキシまたはC−C14アリールカルボニルオキシ、例えばベンゾイルオキシである。
【0011】
モノ−もしくはジ置換アミノは、とりわけ低級アルキル、C−C14アリール、C−C14アリール−低級アルキル、低級アルカノイルまたはC−C12アリールカルボニルでモノ置換またはジ置換されたアミノである。
【0012】
置換メルカプトは、とりわけ低級アルキルチオ、C−C14アリールチオ、C−C14アリール−低級アルキルチオ、低級アルカノイルチオまたはC−C14アリール−低級アルカノイルチオである。
【0013】
エステル化カルボキシはとりわけ低級アルコキシカルボニル、C−C14アリール−低級アルコキシカルボニルまたはC−C14アリールオキシカルボニルである。
【0014】
N−モノ−もしくはN,N−ジ置換カルバモイルは、とりわけ低級アルキル、C−C14アリールまたはC−C14アリール−低級アルキルでN−モノ置換またはN,N−ジ置換されたカルバモイルである。
【0015】
置換スルホニルは、とりわけC−C14アリールスルホニル、例えばトルエンスルホニル、C−C14アリール−低級アルカンスルホニルまたは低級アルカンスルホニルである。
【0016】
N−モノ−もしくはN,N−ジ置換アミノスルホニルは、とりわけ低級アルキル、C−C14アリールまたはC−C14アリール−低級アルキルでN−モノ置換またはN,N−ジ置換されたアミノスルホニルである。
【0017】
−C14アリールは、6個から14個の炭素原子を環系に有するアリールラジカル、例えばフェニル、ナフチル、フルオレニルまたはインデニルであり、これらは非置換であるか、またはとりわけハロゲン、例えばフッ素、塩素、臭素、またはヨウ素、フェニルまたはナフチル、ヒドロキシ、低級アルコキシ、フェニル−低級アルコキシ、フェニルオキシ、低級アルカノイルオキシ、ベンゾイルオキシ、アミノ、低級アルキルアミノ、低級アルカノイルアミノ、フェニル−低級アルキルアミノ、N,N−ジ−低級アルキルアミノ、N,N−ジ−(フェニル−低級アルキル)アミノ、シアノ、メルカプト、低級アルキルチオ、カルボキシ、低級アルコキシカルボニル、カルバモイル、N−低級アルキルカルバモイル、N,N−ジ−低級アルキルカルバモイル、スルホ、低級アルカンスルホニル、低級アルコキシスルホニル、アミノスルホニル、N−低級アルキルアミノスルホニル、またはN,N−ジ−低級アルキルアミノ−スルホニルで置換されている。
【0018】
指数nおよびmは、いずれも好ましくは1、2またはとりわけ0である。一般に、nおよびmがいずれも0(零)である式(I)の化合物がとりわけ好ましい。
【0019】
非環式置換基で置換され、好ましくは最大18個、とりわけ最大12個、そして原則として7個を超えない炭素原子を有する、29個までの炭素原子を有する、脂肪族炭水化物ラジカルR、R、RまたはR10は、飽和または不飽和であってよく、特に非置換であるか、または非環式置換基で置換されている、直鎖または分枝鎖低級アルキル、低級アルケニル、低級アルカジエニルまたは低級アルキニルラジカル置換基である。
【0020】
低級アルキルは、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチルまたはtert−ブチル、およびまたn−ペンチル、イソペンチル、n−ヘキシル、イソヘキシルおよびn−ヘプチルであり;低級アルケニルは、例えば、アリル、プロペニル、イソプロペニル、2−もしくは3−メタリルおよび2−もしくは3−ブテニルであり;低級アルカジエニルは、例えば、1−ペンタ−2,4−ジエニルであり;低級アルキニルは、例えば、プロパルギルまたは2−ブチニルである。対応する不飽和ラジカルにおいて、二重結合はとりわけ遊離結合価に対して、α位より高次に位置する。置換基は、とりわけ本明細書でRの置換基として下記に定義のアシルラジカル、好ましくは遊離またはエステル化カルボキシ、例えばカルボキシまたは低級アルコキシカルボニル、シアノまたはジ−低級アルキルアミノである。
【0021】
いずれの場合も29個までの炭素原子を有する炭素環式または炭素環式−脂肪族ラジカルR、R、RまたはR10は、とりわけ、芳香族性、環状脂肪族、環状脂肪族−脂肪族または芳香族性−脂肪族ラジカルであり、これは非置換形であるか、またはRの置換基として下記に定義のラジカルで置換されている。芳香族性ラジカル(アリールラジカル)RまたはRは、最もとりわけフェニル、またナフチル、例えば1−もしくは2−ナフチル、ビフェニリル、例えばとりわけ4−ビフェニリル、およびまたアントリル、フルオレニルおよびアズレニル、ならびにそれらの1個またはそれ以上の飽和環を有する芳香族性類似体であり、これは非置換形であるか、またはRの置換基として下記に定義のラジカルで置換されている。
【0022】
好ましい芳香族性−脂肪族ラジカルは、アリール−低級アルキル−およびアリール−低級アルケニルラジカル、例えばベンジル、フェネチル、1−、2−もしくは3−フェニルプロピル、ジフェニルメチル(ベンズヒドリル)、トリチル、およびシンナミル、およびまた1−もしくは2−ナフチルメチルのような、例えば末端フェニルラジカルを有するフェニル−低級アルキルまたはフェニル−低級アルケニルである。低級アルキルのような非環式ラジカルを担持するアリールラジカルにおいいて、様々な位置にメチルラジカルを有する、o−、m−およびp−トリルおよびキシリルラジカルを特記する。
【0023】
29個までの炭素原子を有する環状脂肪族ラジカルR、R、RまたはR10は、とりわけ置換されているか、または好ましくは非置換のモノ−、ビ−または多環式シクロアルキル−、シクロアルケニル−またはシクロアルカジエニルラジカルである。最大14個、とりわけ12個の環炭素原子を有し、かつ3−から8−、好ましくは5−から7−、および最もとりわけ6−員環のラジカルが好ましく、これらはまた1個またはそれ以上の、例えば1個の、脂肪族炭化水素ラジカル、例えば上記のもの、とりわけ低級アルキルラジカルまたは他の環状脂肪族ラジカルを置換基として有し得る。好ましい置換基は、下記でRについて挙げた非環式置換基である。
【0024】
29個までの炭素原子を有する環状脂肪族−脂肪族ラジカルR、R、RまたはR10は、非環式ラジカル、とりわけ最大7個、好ましくは最大4個の炭素原子を有するもの、例えばとりわけメチル、エチル、およびビニルが、1個またはそれ以上の上記で定義の環状脂肪族ラジカルを担持するものである。シクロアルキル−低級アルキルラジカル、ならびに環が不飽和であるおよび/または鎖で不飽和であるが、非芳香族性である、および鎖の末端炭素原子に環を担持するその類似体を特記できる。好ましい置換基は、下記でRについて挙げた非環式置換基である。
【0025】
各々20個までの炭素原子を有し、かつ各々9個までのヘテロ原子を有するヘテロ環式ラジカルR、R、RまたはR10はとりわけ芳香族性特性の、単環式であるが、二−もしくは多環式、アザ−、チア−、オキサ−、チアザ−、オキシアザ−、ジアザ−、トリアザ−またはテトラアザ環式ラジカル、ならびに部分的に、または最もとりわけ完全に飽和されているこのタイプのヘテロ環式ラジカルであり、こえらのラジカルは−必要であれば−さらにおそらく環式、炭素環式またはヘテロ環式ラジカルを担持するおよび/またはおそらく官能基、好ましくは脂肪族炭化水素ラジカルの置換基として上記のもので、モノ−、ジ−またはポリ置換されている。最もとりわけそれらは、窒素、酸素または硫黄原子を有する非置換もしくは置換単環式ラジカル、例えば2−アジリジニル、およびとりわけこのタイプの芳香族性ラジカル、例えばピリル、例えば2−ピリルもしくは3−ピリル、ピリジル、例えば2−、3−もしくは4−ピリジル、およびまたチエニル、例えば2−もしくは3−チエニル、またはフリル、例えば2−フリル;類似の二環式酸素、硫黄または窒素原子を有するラジカル、例えばインドリル、典型的に2−もしくは3−インドリル、キノリル、典型的に2−もしくは4−キノリル、イソキノリル、典型的に3−もしくは5−イソキノリル、ベンゾフラニル、典型的に2−ベンゾフラニル、クロメニル、典型的に3−クロメニル、またはベンゾチエニル、典型的に2−もしくは3−ベンゾチエニル;好ましい数個のヘテロ原子を有する単環式および二環式ラジカルは、例えば、イミダゾリル、典型的に2−もしくは4−イミダゾリル、ピリミジニル、典型的に2−もしくは4−ピリミジニル、オキサゾリル、典型的に2−オキサゾリル、イソオキサゾリル、典型的に3−イソオキサゾリル、またはチアゾリル、典型的に2−チアゾリル、およびベンゾイミダゾリル、典型的に2−ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、典型的に2−ベンゾオキサゾリル、またはキナゾリニル、典型的に2−キナゾリニルである。適当に、部分的に、とりわけ、完全に飽和された類似のラジカルもまた考慮され、例えば2−テトラヒドロフリル、2−もしくは3−ピロリジニル、2−、3−もしくは4−ピペリジル、およびまた2−もしくは3−モルホリニル、2−もしくは3−チオモルホリニル、2−ピペラジニルおよびN−モノ−もしくはN,N'−ビス−低級アルキル−2−ピペラジニルラジカルである。これらのラジカルはまた1個またはそれ以上の非環式、炭素環式またはヘテロ環式ラジカル、とりわけ上記のモノを担持し得る。ヘテロ環式ラジカルRまたはRの遊離原子価は、それらの炭素原子に由来しなければならない。ヘテロシクリルは非置換であるか、またはRについて挙げた置換基の1個またはそれ以上、好ましくは1個または2個で置換されていてよい。
【0026】
ヘテロ環式−脂肪族ラジカルR、R、RまたはR10は、1個、2個またはそれ以上のヘテロ環式ラジカル、例えば前段落に挙げたものを担持する、とりわけ最大7個、好ましくは最大4個の炭素原子を有する、とりわけ低級アルキルラジカル、例えば上記のものであり、該ヘテロ環式環は、またその窒素原子の1個により脂肪族に結合している可能性がある。好ましいヘテロ環式−脂肪族ラジカルRは、例えば、イミダゾール−1−イルメチル、4−メチルピペラジン−1−イルメチル、ピペラジン−1−イルメチル、2−(モルホリン−4−イル)エチルおよびまたピリド−3−イルメチルである。ヘテロシクリル非置換であるか、またはRについて挙げた置換基の1個またはそれ以上、好ましくは1個または2個で置換されていてよい。
【0027】
各々20個までの炭素原子を有し、かつ各々10個までのヘテロ原子を有するヘテロ脂肪族ラジカルR、R、RまたはR10は、1個、2個またはそれ以上の炭素原子の代わりに、同一または異なるヘテロ原子、例えばとりわけ酸素、硫黄、および窒素を含む、脂肪族ラジカルである。
【0028】
ヘテロ脂肪族ラジカルRのとりわけ好ましい配置は、1個またはそれ以上の炭素原子が、好ましくは直鎖アルキル中で、好ましくは互いに数個の(とりわけ2個の)炭素原子で中断されるように酸素原子で置換されているオキサ−アルキルラジカルであり、必要であれば多反復基(O−CH−CH−)(ここで、q=1から7である)である。
【0029】
、R、RまたはR10としてとりわけ好ましいのは、アシル以外に、低級アルキル、特にメチルまたはエチル;低級アルコキシカルボニル−低級アルキル、とりわけメトキシカルボニルメチルまたは2−(tert−ブトキシカルボニル)エチル;カルボキシ−低級アルキル、とりわけカルボキシメチルまたは2−カルボキシエチル;またはシアノ−低級アルキル、とりわけ2−シアノエチルである。
【0030】
30個までの炭素原子を有するアシルラジカルR、R、R、R、R、RまたはR10は、必要であれば官能的に修飾されたカルボン酸、有機スルホン酸または、必要であればエステル化されているリン酸、例えばピロ−もしくはオルトリン酸に由来する。
【0031】
必要であれば官能的に修飾されたカルボン酸由来の、Acと命名したアシルは、とりわけ部分式Y−C(=W)−{式中、Wは酸素、硫黄またはイミノであり、そしてYは水素、29個までの炭素原子を有するヒドロカルビルR、ヒドロカルビルオキシR−O−、アミノ基または置換アミノ基である}のもの、とりわけ式RHN−またはRN−{式中、Rラジカルは、互いに同一または異なっていてよい}を有するものである。
【0032】
ヒドロカルビル(炭化水素ラジカル)Rは、29個までの炭素原子を有する、とりわけ18個までの、および好ましくは12個までの炭素原子を有する、非環式(脂肪族)、炭素環式または炭素環式−非環式炭化水素ラジカルであり、飽和または不飽和、非置換または置換されている。1個、2個またはそれ以上の炭素原子の代わりに、同一または異なるヘテロ原子、例えばとりわけ酸素、硫黄、および窒素を非環式および/または環部分に含み得る;後者の場合、ヘテロ環式ラジカル(ヘテロシクリルラジカル)またはヘテロ環式−非環式ラジカルと呼ぶ。
【0033】
不飽和ラジカルは、1個またはそれ以上の、とりわけ連続したおよび/または分離した、多重結合(二重または三重結合)を有するものである。環状ラジカルなる用語はまた、隣接した二重結合を有する芳香族性および非芳香族性ラジカル、例えば最大数の非累積的二重結合を含む、少なくとも1個の6−員炭素環式または5−から8−員ヘテロ環式環も含む。少なくとも1個の環が6−員芳香環(すなわちベンゼン環)として存在する炭素環式ラジカルはまたアリールラジカルとして定義される。
【0034】
非環式非置換炭化水素ラジカルRは、とりわけ直鎖または分枝鎖低級アルキル−、低級アルケニル−、低級アルカジエニル−または低級アルキニルラジカルである。低級アルキルRは、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチルまたはtert−ブチル、およびまたn−ペンチル、イソペンチル、n−ヘキシル、イソヘキシルおよびn−ヘプチル;低級アルケニルは、例えば、アリル、プロペニル、イソプロペニル、2−もしくは3−メタリルおよび2−もしくは3−ブテニル;低級アルカジエニルは、例えば、1−ペンタ−2、4−ジエニル;低級アルキニルは、例えば、プロパルギルまたは2−ブチニルである。対応する不飽和ラジカルにおいて、二重結合はとりわけ遊離原子価に対して、α位より高次に位置する。
【0035】
炭素環式炭化水素ラジカルRはとりわけ単−、二−または多環式シクロアルキル−、シクロアルケニル−またはシクロアルカジエニルラジカルまたは対応するアリールラジカルである。最大14個、とりわけ12個の環−炭素原子を有し、かつ3−から8−、好ましくは5−から7−、および最もとりわけ6−員環が好ましく、これらはまた1個またはそれ以上、例えば2個の非環式ラジカル、例えば上記のもの、とりわけ低級アルキルラジカルまたは他の炭素環式ラジカルを担持できる。炭素環式−非環式ラジカルは、1個またはそれ以上の、上記の炭素環式の、必要であれば芳香族性である、ラジカルを担持する、とりわけ最大7個、好ましくは最大4個の炭素原子を有する、非環式ラジカル、例えばとりわけメチル、エチルおよびビニルである。シクロアルキル−低級およびアリール−低級アルキルラジカル、ならびに環が不飽和であるおよび/または鎖で不飽和である、および鎖の末端炭素原子に環を担持するその類似体を特記できる。
【0036】
シクロアルキルRは、最もとりわけ3個から10個まで(10個を含む)の炭素原子を有し、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびシクロオクチル、ならびにビシクロ[2,2,2]オクチル、2−ビシクロ[2,2,1]ヘプチル、およびアダマンチルであり、これらはまた1個、2個またはそれ以上の、例えば低級、アルキルラジカル、とりわけメチルラジカルで置換されていてよい;シクロアルケニルは例えば1−、2−または3−位に二重結合を有する既に上記で上げた単環式シクロアルキルラジカルの一つである。シクロアルキル−低級アルキルまたは−低級アルケニルは、例えば上記のシクロアルキルラジカルの一つで置換されている−メチル、−1−もしくは−2−エチル、−1−もしくは−2−ビニル、−1−、−2−もしくは−3−プロピルまたは−アリルであり、これらの置換直鎖の最後での置換が好ましい。
【0037】
アリールラジカルRは、最もとりわけフェニル、またナフチル、例えば1−もしくは2−ナフチル、ビフェニリル、例えばとりわけ4−ビフェニリル、およびまたアントリル、フルオレニルおよびアズレニル、ならびに1個またはそれ以上の飽和環を有するそれらの芳香族性類似体である。好ましいアリール−低級アルキルおよび−低級アルケニルラジカルは、例えば、例えばベンジル、フェネチル、1−、2−、または3−フェニルプロピル、ジフェニルメチル(ベンズヒドリル)、トリチル、およびシンナミル、およびまた1−もしくは2−ナフチルメチルのような、末端フェニルラジカルを有するフェニル−低級アルキルまたはフェニル−低級アルケニルである。アリールは、非置換または置換されていてよい。
【0038】
ヘテロ環式−非環式ラジカルを含むヘテロ環式ラジカルは、とりわけ芳香族性特性の、単環式だけでなく、また二−もしくは多環式、アザ−、チア−、オキサ−、チアザ−、オキシアザ−、ジアザ−、トリアザ−またはテトラアザ環式ラジカル、ならびに、対応する部分的に、または最もとりわけ完全に飽和されているこのタイプのヘテロ環式ラジカル;必要であれば、例えば上記の炭素環式またはアリールラジカルと同様、これらのラジカルは、さらに環式、炭素環式またはヘテロ環式ラジカルを担持できおよび/または官能基でモノ−、ジ−、またはポリ置換されていてよい。ヘテロ環式−非環式ラジカルの非環式部分は、例えば対応する炭素環式−非環式ラジカルについて示した意味を有する。最もとりわけそれらは、窒素、酸素または硫黄原子を有する非置換もしくは置換単環式ラジカル、例えば2−アジリジニル、およびとりわけこのタイプの芳香族性ラジカル、例えばピロリル、例えば2−ピロリルまたは3−ピロリル、ピリジル、例えば2−、3−もしくは4−ピリジル、およびまたチエニル、例えば2−もしくは3−チエニル、またはフリル、例えば2−フリル;類似の酸素、硫黄または窒素原子を有する二環式ラジカルは、例えば、インドリル、典型的に2−もしくは3−インドリル、キノリル、典型的に2−もしくは4−キノリル、イソキノリル、典型的に3−もしくは5−イソキノリル、ベンゾフラニル、典型的に2−ベンゾフラニル、クロメニル、典型的に3−クロメニル、またはベンゾチエニル、典型的に2−もしくは3−ベンゾチエニル;数個のヘテロ原子を有する好ましい単環式および二環式ラジカルは、例えば、イミダゾリル、典型的に2−イミダゾリル、ピリミジニル、典型的に2−もしくは4−ピリミジニル、オキサゾリル、典型的に2−オキサゾリル、イソオキサゾリル、典型的に3−イソオキサゾリル、またはチアゾリル、典型的に2−チアゾリル、およびベンゾイミダゾリル、典型的に2−ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、典型的に2−ベンゾオキサゾリル、またはキナゾリニル、典型的に2−キナゾリニルである。適当に、部分的に、とりわけ、完全に飽和された類似のラジカルもまた考慮され、例えば、2−テトラヒドロフリル、4−テトラヒドロフリル、2−もしくは3−ピロリジル、2−、3−もしくは4−ピペリジル、およびまた2−もしくは3−モルホリニル、2−もしくは3−チオモルホリニル、2−ピペラジニル、およびN,N'−ビス−低級アルキル−2−ピペラジニルラジカルである。これらのラジカルはまた1個またはそれ以上の環式、炭素環式またはヘテロ環式ラジカル、とりわけ上記のものを担持し得る。ヘテロ環式−非環式ラジカルは、とりわけ最大7個、好ましくは最大4個の炭素原子を有する非環式ラジカル、例えば上記のものに由来し、そして、1個、2個またはそれ以上のヘテロ環式ラジカル、例えば上記のものを担持でき、該環またその窒素原子の1個により脂肪族に結合している可能性がある。
【0039】
既に記載した通り、ヒドロカルビル(ヘテロシクリルを含む)は、1個、2個またはそれ以上の同一または異なる置換基(官能基)で置換し得る;1個またはそれ以上の下記の置換基を考慮し得る:低級アルキル;遊離、エーテル化およびエステル化ヒドロキシル基;カルボキシ基およびエステル化カルボキシ基;メルカプト−および低級アルキルチオ−および、必要であれば、置換されているフェニルチオ基;ハロゲン原子、典型的に塩素およびフッ素であるが、臭素およびヨウ素でもある;ハロゲン−低級アルキル基;ホルミル(すなわちアルデヒド)およびケト基の形で、また、対応するアセタールまたはケタールで存在する、オキソ基;アジド基;ニトロ基;シアノ基;1級、2級および好ましくは3級アミノ基、アミノ−低級アルキル、モノ−もしくはジ置換アミノ−低級アルキル、慣用の保護基(とりわけ低級アルコキシカルボニル、典型的にtert−ブトキシカルボニル)で保護されている1級または2級アミノ基、低級アルキレンジオキシ、およびまた遊離または官能的に修飾されたスルホ基、典型的にスルファモイルまたは、遊離形または塩として存在するスルホ基。ヒドロカルビルラジカルはまた、遊離であるか、1個またはそれ以上の置換基を担持できるカルバモイル、ウレイドまたはグアニジノ基、ならびにシアノ基を担持し得る。上記の“基”の使用は、また、個々の基も包含すると取るべきである。
【0040】
ハロゲン−低級アルキルは、好ましくは1個から3個のハロゲン原子を含む;好ましいのは、トリフルオロメチルまたはクロロメチルである。
【0041】
ヒドロカルビルに置換基として存在するエーテル化ヒドロキシル基は、例えば、低級アルコキシ基、典型的にメトキシ−、エトキシ−、プロポキシ−、イソプロポキシ−、ブトキシ−、およびtert−ブトキシ基であり、これはまた、とりわけ(i)ヘテロシクリルで(ここで、ヘテロシクリルは好ましくは4個から12個の環原子を有することができ、不飽和、または部分的にもしくは完全に飽和であってよく、モノ−もしくは二環式であり、窒素、酸素および硫黄から選択される3個までのヘテロ原子を含んでよく、最もとりわけピロリル、例えば2−ピロリルまたは3−ピロリル、ピリジル、例えば2−、3−もしくは4−ピリジル、およびまたチエニル、例えば2−もしくは3−チエニル、またはフリル、例えば2−フリル、インドリル、典型的に2−もしくは3−インドリル、キノリル、典型的に2−もしくは4−キノリル、イソキノリル、典型的に3−もしくは5−イソキノリル、ベンゾフラニル、典型的に2−ベンゾフラニル、クロメニル、典型的に3−クロメニル、ベンゾチエニル、典型的に2−もしくは3−ベンゾチエニル;イミダゾリル、典型的に1−もしくは2−イミダゾリル、ピリミジニル、典型的に2−もしくは4−ピリミジニル、オキサゾリル、典型的に2−オキサゾリル、イソオキサゾリル、典型的に3−イソオキサゾリル、チアゾリル、典型的に2−チアゾリル、ベンゾイミダゾリル、典型的に2−ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、典型的に2−ベンゾオキサゾリル、キナゾリニル、典型的に2−キナゾリニル、2−テトラヒドロフリル、4−テトラヒドロフリル、2−もしくは4−テトラヒドロピラニル、1−、2−もしくは3−ピロリジル、1−、2−、3−もしくは4−ピペリジル、1−、2−もしくは3−モルホリニル、2−もしくは3−チオモルホリニル、2−ピペラジニルまたはN,N'−ビス−低級アルキル−2−ピペラジニルである);およびまた(ii)2,2,2−トリクロロエトキシ、2−クロロエトキシまたは2−ヨードエトキシラジカルのように、とりわけ2位をハロゲン原子で、例えばモノ−、ジ−、またはポリ置換されまたは(iii)ヒドロキシでまたは(iv)2−メトキシエトキシラジカルのように、各々好ましくは、とりわけ2位をモノ置換されている低級アルコキシラジカルで、置換されていてよい。このようなエーテル化ヒドロキシル基は、また非置換もしくは置換フェノキシラジカルおよびフェニル−低級アルコキシラジカル、例えばとりわけベンジルオキシ、ベンズヒドリルオキシ、およびトリフェニルメトキシ(トリチルオキシ)、ならびにヘテロシクリルオキシラジカルであり、ここで、ヘテロシクリルは好ましくは4個から12個の環原子を有し、不飽和または部分的にもしくは完全に飽和されていてよく、モノ−もしくは二環式であり、そして窒素、酸素、および硫黄から選択される3個までのヘテロ原子を含んでいてよく、最もとりわけピロリル、例えば2−ピロリルまたは3−ピロリル、ピリジル、例えば2−、3−もしくは4−ピリジル、およびまたチエニル、例えば2−もしくは3−チエニル、またはフリル、例えば2−フリル、インドリル、典型的に2−もしくは3−インドリル、キノリル、典型的に2−もしくは4−キノリル、イソキノリル、典型的に3−もしくは5−イソキノリル、ベンゾオキサゾリル、キナゾリニル、典型的に2−キナゾリニル、2−テトラヒドロフリル、4−テトラヒドロフリル、2−もしくは4−テトラヒドロピラニル、1−、2−もしくは3−ピロリジル、1−、2−、3−もしくは4−ピペリジル、1−、2−もしくは3−モルホリニル、2−もしくは3−チオモルホリニル、2−ピペラジニルまたはN,N'−ビス−低級アルキル−2−ピペラジニルである;例えばとりわけ2−もしくは4−テトラヒドロピラニルオキシである。
【0042】
この文脈でのエーテル化ヒドロキシル基は、シリル化ヒドロキシル基、典型的に例えばトリ−低級アルキルシリルオキシ、典型的にトリメチルシリルオキシおよびジメチル−tert−ブチルシリルオキシ、またはフェニルジ−低級アルキルシリルオキシおよび低級アルキル−ジフェニルシリルオキシを含むと取る。
【0043】
置換基としてヒドロカルビルに存在するエステル化ヒドロキシル基は、例えば、低級アルカノイルオキシである。
【0044】
置換基としてヒドロカルビルに存在するカルボキシル基は、水素原子が上記のヒドロカルビルラジカル特性のものの一つ、好ましくは低級アルキル−もしくはフェニル−低級アルキルラジカルで置換されているものである;エステル化カルボキシル基の例は、低級アルコキシカルボニルまたは、必要であればフェニル部分を置換されているフェニル−低級アルコキシカルボニル、とりわけメトキシ、エトキシ、tert−ブトキシ、およびベンジルオキシカルボニル基、ならびにラクトン化カルボキシル基である。
【0045】
ヒドロカルビルの置換基としての1級アミノ基−NHはまた、慣用の保護基により保護された形で存在し得る。2級アミノ基は、2個の水素原子の代わりに、ヒドロカルビルラジカル、好ましくは非置換のもの、典型的に上記のものの一つ、とりわけ低級アルキルを担持し、また、保護された形でも存在し得る。
【0046】
置換基としてヒドロカルビルに存在する3級アミノ基は、2個の異なる、または、好ましくは、同一のヒドロカルビルラジカル(ヘテロ環式ラジカルを含む)、例えば、上記の非置換ヒドロカルビルラジカル、とりわけ低級アルキルを担持する。
【0047】
好ましいアミノ基は、式R11(R12)N−(式中、R11およびR12は、いずれの場合も独立して、水素、非置換非環式C−C−ヒドロカルビル(例えばとりわけC−CアルキルまたはC−Cアルケニル)または、必要であればC−C−アルキル、C−C−アルコキシ、ハロゲンおよび/またはニトロで置換されている単環式アリール、アラルキル、またはアラルケニルであり、最大10個の炭素原子を有し、ここで、炭素−含有ラジカルは、炭素−炭素結合または、必要であればヒドロカルビルで置換されている酸素原子、硫黄原子または窒素原子を介して連結し得る)のものである。このような場合、それらはアミノ基の窒素原子と共に窒素−含有ヘテロ環式環を形成する。とりわけ好ましいジ置換アミノ基の例は、ジ−低級アルキルアミノ、典型的にジメチルアミノまたはジエチルアミノ、ピロリジノ、イミダゾール−1−イル、ピペリジノ、ピペラジノ、4−低級アルキルピペラジノ、モルホリノ、チオモルホリノおよびピペラジノまたは4−メチルピペラジノ、ならびに必要であればとりわけフェニル部分を、例えば低級アルキル、低級−アルコキシ、ハロゲンおよび/またはニトロで置換されているジフェニルアミノおよびジベンジルアミノであり;保護された基の例はは、とりわけ低級アルコキシ−カルボニルアミノ、典型的にtert−ブトキシカルボニルアミノ、フェニル−低級アルコキシカルボニルアミノ、典型的に4−メトキシベンジルオキシカルボニルアミノ、および9−フルオレニルメトキシカルボニルアミノである。
【0048】
アミノ−低級アルキルは、最もとりわけ低級アルキル鎖の1位をアミノで置換されており、とりわけアミノメチルである。
【0049】
モノ−もしくはジ置換アミノ−低級アルキルは、1個または2個のラジカルで置換されているアミノ−低級アルキルであり、ここでアミノ−低級アルキルは、最もとりわけ低級アルキル鎖の1位をアミノで置換されており、とりわけアミノメチルである;アミノ置換基は、ここでは、好ましくは(2個の置換基が各アミノ基に互いに独立して存在するとき)低級アルキル、例えばとりわけメチル、エチルまたはn−プロピル、ヒドロキシ−低級アルキル、典型的に2−ヒドロキシエチル、C−Cシクロアルキル、とりわけシクロヘキシル、アミノ低級アルキル、典型的に3−アミノプロピルまたは4−アミノブチル、N−モノ−もしくはN,N−ジ−(低級アルキル)−アミノ−低級アルキル、典型的に3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル、アミノ、N−モノ−もしくはN,N−ジ−低級アルキルアミノおよびN−モノ−もしくはN,N−ジ−(ヒドロキシ−低級アルキル)アミノから成る群からである。
【0050】
ジ置換アミノ−低級アルキルはまた、低級アルキルに窒素原子(好ましくは1位で)を介して結合し、かつ、0個から2個、とりわけ0個または1個の酸素、窒素、および硫黄から選択されるヘテロ原子を有する5または6−員、飽和または不飽和ヘテロシクリルであり、これは、非置換であるか、とりわけ低級アルキル、典型的にメチル、およびまたオキソからなる群からの1個または2個のラジカルで置換されている。ここで好ましいのは、ピロリジノ(1−ピロリジニル)、ピペリジノ(1−ピペリジニル)、ピペラジノ(1−ピペラジニル)、4−低級アルキルピペラジノ、典型的に4−メチルピペラジノ、イミダゾリノ(1−イミダゾリル)、モルホリノ(4−モルホリニル)または、チオモルホリノ、S−オキソ−チオモルホリノまたはS,S−ジオキソチオモルホリノである。
【0051】
低級アルキレンジオキシはとりわけメチレンジオキシである。
【0052】
1個または2個の置換基を担持するカルバモイル基は、とりわけ窒素を1個またはそれ以上のラジカルで置換されているアミノカルボニル(カルバモイル)である;ここで、アミノ置換基は好ましくは(2個の置換基が各アミノ基に互いに独立して存在するとき)、低級アルキル、例えばとりわけメチル、エチルまたはn−プロピル、ヒドロキシ−低級アルキル、典型的に2−ヒドロキシエチル、C−Cシクロアルキル、とりわけシクロヘキシル、アミノ−低級アルキル、典型的に3−アミノプロピルまたは4−アミノブチル、N−モノ−もしくはN,N−ジ−(低級アルキル)−アミノ−低級アルキル、典型的に3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル、アミノ、N−モノ−もしくはN,N−ジ−低級アルキルアミノおよびN−モノ−もしくはN,N−ジ−(ヒドロキシ−低級アルキル)アミノからである;アミノカルバモイルにおけるジ置換アミノはまた、結合している窒素原子を有し、かつ、0個から2個、とりわけ0個または1個の酸素、窒素、および硫黄から選択されるヘテロ原子を有する5または6−員、飽和または不飽和ヘテロシクリルであり、それは、非置換であるか、または、とりわけ低級アルキル、典型的にメチル、およびまたオキソからなる群からの1個または2個のラジカルで置換されている。ここで好ましいのは、ピロリジノ(1−ピロリジニル)、ピペリジノ(1−ピペリジニル)、ピペラジノ(1−ピペラジニル)、4−低級アルキルピペラジノ、典型的に4−メチルピペラジノ、イミダゾリノ(1−イミダゾリル)、モルホリノ(4−モルホリニル)、または、チオモルホリノ、S−オキソ−チオモルホリノまたはS,S−ジオキソチオモルホリノである。
【0053】
Acと命名する、有機スルホン酸由来のアシルは、とりわけ部分式R−SO−{式中、Rは上記で一般的な意味および具体的な意味を定義したヒドロカルビルであり、後記がまたここで好ましい}を有するものである。とりわけ好ましいのは、低級アルキルフェニルスルホニル、とりわけ4−トルエンスルホニルである。
【0054】
Acと命名する、必要であればエステル化されている、リン酸由来のアシルは、とりわけ部分式RO(RO)P(=O)−{式中、ラジカルRは、互いに独立して、上記で一般なおよび具体的な意味を定義した通りである}を有するものである。
【0055】
前記および後記で示す置換基における縮小したデータを優先すると見なすべきである。
【0056】
本発明の好ましい化合物は、例えば、Rが下記の好ましい意味を有するものである:低級アルキル、とりわけメチルまたはエチル、アミノ−低級アルキル(ここで、該アミノ基は、保護されていないか、慣用のアミノ保護基で−とりわけ低級アルコキシカルボニル、典型的にtert−低級アルコキシカルボニル、例えばtert−ブトキシカルボニルで保護されている)、例えばアミノメチル、R,S−、R−もしくは好ましくはS−1−アミノエチル、tert−ブトキシカルボニルアミノメチルまたはR,S−、R−または好ましくはS−1−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)エチル、カルボキシ−低級アルキル、典型的に2−カルボキシエチル、低級アルコキシカルボニル−低級アルキル、典型的に2−(tert−ブトキシカルボニル)エチル、シアノ−低級アルキル、典型的に2−シアノエチル、テトラヒドロピラニルオキシ−低級アルキル、典型的に4−(テトラヒドロピラニル)−オキシメチル、モルホリノ−低級アルキル、典型的に2−(モルホリノ)エチル、フェニル、低級アルキルフェニル、典型的に4−メチルフェニル、低級アルコキシフェニル、典型的に4−メトキシフェニル、イミダゾリル−低級アルコキシフェニル、典型的に4−[2−(イミダゾール−1−イル)エチル)オキシフェニル、カルボキシフェニル、典型的に4−カルボキシフェニル、低級アルコキシカルボニルフェニル、典型的に4−エトキシカルボニルフェニルまたは4−メトキシフェニル、ハロゲン−低級アルキルフェニル、典型的に4−クロロメチルフェニル、ピロリジノフェニル、典型的に4−ピロリジノフェニル、イミダゾール−1−イルフェニル、典型的に4−(イミダゾリル−1−イル)フェニル、ピペラジノフェニル、典型的に4−ピペラジノフェニル、(4−低級アルキルピペラジノ)フェニル、典型的に4−(4−メチルピペラジノ)フェニル、モルホリノフェニル、典型的に4−モルホリノフェニル、ピロリジノ−低級アルキルフェニル、典型的に4−ピロリジノメチルフェニル、イミダゾール−1−イル−低級アルキルフェニル、典型的に4−(イミダゾリル−1−イルメチル)フェニル、ピペラジノ−低級アルキルフェニル、典型的に4−ピペラジノメチルフェニル、(4−低級アルキルピペラジノメチル)−フェニル、典型的に4−(4−メチルピペラジノメチル)フェニル、モルホリノ−低級アルキルフェニル、典型的に4モルホリノメチルフェニル、ピペラジノカルボニルフェニル、典型的に4−ピペラジノカルボニルフェニル、または(4−低級アルキル−ピペラジノ)フェニル、典型的に4−(4−メチルピペラジノ)フェニル。
【0057】
好ましいアシルラジカルAcは、部分式R−CO−{式中、Rは、ヒドロカルビルラジカルRの上記の一般的なおよび好ましい意味を有する}により特徴付けられるカルボン酸のアシルラジカルである。とりわけ好ましいラジカルRは、ここで、低級アルキル、とりわけメチルまたはエチル、アミノ−低級アルキル(ここで、該アミノ基は、非保護であるか、または慣用のアミノ保護基で、とりわけ低級アルコキシカルボニル、典型的にtert−低級アルコキシカルボニル、例えばtert−ブトキシカルボニルで保護されている)、例えばアミノメチル、R,S−、R−または好ましくはS−1−アミノエチル、tert−ブトキシカルボニルアミノメチルまたはR,S−、R−または好ましくはS−1−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)エチル、カルボキシ−低級アルキル、典型的に2−カルボキシエチル、低級アルコキシカルボニル−低級アルキル、典型的に2−(tert−ブトキシカルボニル)エチル、テトラヒドロピラニルオキシ−低級アルキル、典型的に4−(テトラヒドロピラニル)オキシメチル、フェニル、イミダゾリル−低級アルコキシフェニル、典型的に4−[2−(イミダゾール−1−イル)エチル]オキシフェニル、カルボキシフェニル、典型的に4−カルボキシフェニル、低級アルコキシカルボニルフェニル、典型的に4−エトキシカルボニルフェニル、ハロゲン−低級アルキルフェニル、典型的に4−クロロメチルフェニル、イミダゾール−1−イルフェニル、典型的に4−(イミダゾリル−1−イル)フェニル、ピロリジノ−低級アルキルフェニル、典型的に4−ピロリジノメチルフェニル、ピペラジノ−低級アルキルフェニル、典型的に4−ピペラジノメチルフェニル、(4−低級アルキルピペラジノメチル)フェニル、典型的に4−(4−メチル−ピペラジノメチル)フェニル、モルホリノ−低級アルキルフェニル、典型的に4−モルホリノメチルフェニル、ピペラジノカルボニルフェニル、典型的に4−ピペラジノカルボニルフェニル、または(4−低級アルキルピペラジノ)−フェニル、典型的に4−(4−メチルピペラジノ)フェニルである。
【0058】
さらに好ましいアシルAcは、炭酸のモノエステル由来であり、部分式R−O−CO−により特徴付けられる。低級アルキルラジカル、とりわけtert−ブチルが、これらの油導体においてとりわけ好ましいヒドロカルビルラジカルRである。
【0059】
他の好ましいアシルAcは、炭酸のアミド(またはチオ炭酸)に由来し、式RHN−C(=W)−もしくはRN−C(=W)−(ここで、ラジカルRは、互いに独立して上記で定義の通りであり、そしてWは硫黄およびとりわけ酸素である)に由来する。特に、Acが式RHN−C(=W)−(ここで、Wは酸素であり、そしてRは下記の好ましい意味の一つを有する:モルホリノ−低級アルキル、典型的に2−モルホリノエチル、フェニル、低級アルコキシフェニル、典型的に4−メトキシフェニルまたは4−エトキシフェニル、カルボキシフェニル、典型的に4−カルボキシフェニル、または低級アルコキシ−カルボニルフェニル、典型的に4−エトキシカルボニルフェニル)の化合物が好ましい。
【0060】
部分式R−SO−{式中、Rは、一般的におよび特異的に上記で定義した通りのヒドロカルビルである}の好ましいアシルAcは、低級アルキルフェニルスルホニル、典型的に4−トルエンスルホニルである。
【0061】
pが0であるとき、Rと結合する窒素原子は荷電されていない。pが1であるとき、Rはまた存在しなければならず、そしてRとRを結合する窒素原子(4級窒素)は正に荷電する。
【0062】
各々29個までの炭素原子を有する脂肪族、炭素環式または炭素環式−脂肪族ラジカルまたは各々20個までの炭素原子を有し、かつ各々9個までのヘテロ原子を有するヘテロ環式もしくはヘテロ環式−脂肪族ラジカルまたは30個までの炭素原子を有するアシルの定義は、各々好ましくは対応するラジカルRおよびRについての定義と一致する。とりわけ好ましいのはRは、低級アルキル、とりわけメチル、または最もとりわけ水素である。
【0063】
Zはとりわけ低級アルキル、最もとりわけメチルまたは水素である。
【0064】
波線により示される2個の結合が環Aに存在しないとき、二重結合は、式(I)において番号1、2、3および4により特定される炭素原子の間には存在せず(4水素化誘導体)、一重結合のみであり、一方環Bは芳香族性である(式(I)において、8と9として特定される炭素原子の間の、および10と11として特定される炭素原子の間の二重結合)。波線により示される2個の結合が環Bに存在しないとき、二重結合は、式(I)において番号8、9、10および11より特定される炭素原子の間には存在せず(4水素化誘導体)、一重結合のみであり、一方環Aは芳香族性である(式(I)において、1と2として特定される炭素原子の間の、および3と4として特定される炭素原子の間の二重結合)。波線により示される合計4個の結合が環AおよびBで存在しないとき、合計8個の水素原子で置換されており、二重結合は、式(I)において1、2、3、4、8、9、10および11の番号の炭素原子の間に存在せず(8水素化誘導体)、一重結合のみである。
【0065】
その性質により、本発明の化合物はまた。塩形成基を含むならば、薬学的に、すなわち生理学的に、許容される塩として存在し得る。単離および精製のために、薬学的に許容されない塩も使用し得る。治療使用のために、薬学的に許容される塩のみが使用され、そして、これらの塩が好ましい。
【0066】
故に、遊離酸基、例えば遊離スルホ、ホスホリルまたはカルボキシル基を有する式(I)の化合物は、塩形成塩基成分との塩として、好ましくは生理学的に許容される塩として存在し得る。これらは主に金属またはアンモニウム塩、例えばアルカリ金属またはアルカリ土類金属塩、例えばナトリウム、カリウム、マグネシウムまたはカルシウム塩、またはアンモニアもしくは適当な有機アミン、とりわけ3級モノアミンおよびヘテロ環式塩基、例えばトリエチルアミン、トリ−(2−ヒドロキシエチル)−アミン、N−エチルピペリジンもしくはN,N'−ジメチルピペラジンとのアンモニウム塩であり得る。
【0067】
塩基性特性を有する本発明の化合物はまた付加塩、とりわけ無機および有機酸だけでなくとの酸付加塩として、また4級塩としても存在できる。故に、例えば、置換基としてアミノ基のような塩基性基を有する化合物は、一般的な酸と酸付加塩を形成し得る。適当な酸は、例えば、ハロゲン化水素酸、例えば塩酸および臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸または過塩素酸または脂肪族、非環式、芳香族性またはヘテロ環式カルボン酸またはスルホン酸、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、フマール酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、シュウ酸、ピルビン酸、フェニル酢酸、安息香酸、p−アミノ安息香酸、アントラニル酸、p−ヒドロキシ安息香酸、サリチル酸、p−アミノサリチル酸、パモン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ヒドロキシエタンスルホン酸、エチレンジスルホン酸、ハロベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸またはスルファニル酸、およびまたメチオニン、トリプトファン、リシンまたはアルギニン、ならびにアスコルビン酸である。
【0068】
遊離形の化合物(とりわけ式(I))と、例えば新規化合物の精製または同定において中間体として使用できる塩を含むそれらの塩の形、および、それらの溶媒和物の密接な関係から、遊離化合物に関する前記および後記の言及は、また対応するその塩および溶媒和物、例えば水和物を、適当であり、予測される限り、意味すると理解されるべきである。
【0069】
式(A)、(B)、(C)、(D)、(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)または(VI)の化合物、とりわけRが水素であるものは、価値のある薬理学的特性を有する。
【0070】
前記および後記においてラジカルまたは化合物の群の場合、一般的な同定は、また、適当であり予測される限り、前記および後記のより一般的な定義に置き換え得る。
【0071】
下記のものである式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)の化合物、または、少なくとも1個の塩形成基が存在するとき、その塩が好ましい:
およびRが、互いに独立して低級アルキル、ハロゲンで置換されている低級アルキル、C−C14アリール、ヒドロキシ、低級アルコキシ、フェニル−低級アルコキシ、フェニルオキシ、低級アルカノイルオキシ、ベンゾイルオキシ、アミノ、低級アルキルアミノ、低級アルカノイルアミノ、フェニル−低級アルキルアミノ、N,N−ジ−低級アルキルアミノ、N,N−ジ−(フェニル−低級アルキル)アミノ、シアノ、メルカプト、低級アルキルチオ、カルボキシ、低級アルコキシカルボニル、カルバモイル、N−低級アルキルカルバモイル、N,N−ジ−低級アルキルカルバモイル、スルホ、低級アルカンスルホニル、低級アルコキシスルホニル、アミノスルホニル、N−低級アルキルアミノスルホニルまたはN,N−ジ−低級アルキルアミノスルホニル;ハロゲン;低級アルコキシ;C−C14アリールオキシ;C−C14アリール−低級アルコキシ;低級アルカノイルオキシ;C−C14アリールカルボニルオキシ;低級アルキル、C−C14アリール、C−C14アリール−低級アルキル、低級アルカノールまたはC−C12アリール−カルボニルでモノ置換またはジ置換されているアミノ;シアノ;ニトロ;メルカプト;低級アルキルチオ;C−C14アリールチオ;C−C14アリール−低級アルキルチオ;低級アルカノイルチオ;C−C14アリール−低級アルカノイルチオ;カルボキシ;低級アルコキシカルボニル、C−C14アリール低級アルコキシカルボニル;C−C14アリールオキシカルボニル;カルバモイル;低級アルキル、C−C14アリールまたはC−C14アリール−低級アルキルでN−モノ−もしくはN,N−ジ置換されているカルバモイル;スルホ;C−C14アリールスルホニル;C−C14アリール−低級アルカンスルホニル;低級アルカンスルホニル;または低級アルキル、C−C14アリールまたはC−C14アリール−低級アルキルでN−モノ−もしくはN,N−ジ置換されているアミノスルホニル(ここで、C−C14アリールは、環系に6個から12個の炭素原子を有するアリールラジカルであり、非置換であるか、ハロゲン、フェニルまたはナフチル、ヒドロキシ、低級アルコキシ、フェニル−低級アルコキシ、フェニルオキシ、低級アルカノイルオキシ、ベンゾイルオキシ、アミノ、低級アルキルアミノ、低級アルカノイルアミノ、フェニル−低級アルキルアミノ、N,N−ジ−低級アルキルアミノ、N,N−ジ−(フェニル−低級アルキル)アミノ、シアノ、メルカプト、低級アルキルチオ、カルボキシ、低級アルコキシカルボニル、カルバモイル、N−低級アルキル−カルバモイル、N,N−ジ−低級アルキルカルバモイル、スルホ、低級アルカンスルホニル、低級アルコキシスルホニル、アミノスルホニル、N−低級アルキルアミノスルホニルまたはN,N−ジ−低級アルキルアミノスルホニルで置換されていてよい)であり;
nおよびmが、互いに独立して0または1または2、好ましくは0であり;
【0072】
、R、R、R10が、互いに独立して水素、低級アルキル、低級アルケニルまたは低級アルカジエニルであり、いずれの場合も、非置換であるか、または下記から独立して選択される置換基により、モノ置換またはポリ置換、好ましくはモノ置換またはジ置換されている:低級アルキル;ヒドロキシ;低級アルコキシ(これは、非置換であるか、または(i)不飽和であるか、完全に飽和または部分的に飽和されていてよく、単環式または二環式であり、窒素、酸素および硫黄から選択される3個までの置換基を有していてよく、最もとりわけピロリル、例えば2−ピロリルまたは3−ピロリル、ピリジル、例えば2−、3−もしくは4−ピリジル、または広い意味ではまたチエニル、例えば2−もしくは3−チエニル、またはフリル、例えば2−フリル、インドリル、典型的に2−もしくは3−インドリル、キノリル、典型的に2−もしくは4−キノリル、イソキノリル、典型的に3−もしくは5−イソキノリル、ベンゾフラニル、典型的に2−ベンゾフラニル、クロメニル、典型的に3−クロメニル、ベンゾチエニル、典型的に2−もしくは3−ベンゾチエニル;イミダゾリル、典型的に1−もしくは2−イミダゾリル、ピリミジニル、典型的に2−もしくは4−ピリミジニル、オキサゾリル、典型的に2−オキサゾリル、イソオキサゾリル、典型的に3−イソオキサゾリル、チアゾリル、典型的に2−チアゾリル、ベンズイミダゾリル、典型的に2−ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、典型的に2−ベンゾオキサゾリル、キナゾリニル、典型的に2−キナゾリニル、2−テトラヒドロフリル、4−テトラヒドロフリル、4−テトラヒドロピラニル、1−、2−もしくは3−ピロリジル、1−、2−、3−もしくは4−ピペリジル、1−、2−もしくは3−モルホリニル、2−もしくは3−チオモルホリニル、2−ピペラジニルまたはN,N'−ビス−低級アルキル−2−ピペラジニルである、4個から12個の環原子を有するヘテロシクリルで(ii)ハロゲンで、(iii)ヒドロキシでまたは(iv)低級アルコキシでモノ−、ジ−またはトリ置換されていてよい);フェノキシ;フェニル−低級アルコキシ;ヘテロシクリルオキシ(ここで、ヘテロシクリルはピロリル、例えば2−ピロリルまたは3−ピロリル、ピリジル、例えば2−、3−もしくは4−ピリジル、または広い意味ではまたチエニル、例えば2−もしくは3−チエニル、またはフリル、例えば2−フリル、インドリル、典型的に2−もしくは3−インドリル、キノリル、典型的に2−もしくは4−キノリル、イソキノリル、典型的に3−もしくは5−イソキノリル、ベンゾフラニル、典型的に2−ベンゾフラニル、クロメニル、典型的に3−クロメニル、ベンゾチエニル、典型的に2−もしくは3−ベンゾチエニル;イミダゾリル、典型的に1−もしくは2−イミダゾリル、ピリミジニル、典型的に2−もしくは4−ピリミジニル、オキサゾリル、典型的に2−オキサゾリル、イソオキサゾリル、典型的に3−イソオキサゾリル、チアゾリル、典型的に2−チアゾリル、ベンズイミダゾリル、典型的に2−ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、典型的に2−ベンゾオキサゾリル、キナゾリル、典型的に2−キナゾリニル、2−テトラヒドロフリル、4−テトラヒドロフリル、2−もしくは4−テトラヒドロピラニル、1−、2−もしくは3−ピロリジル、1−、2−、3−もしくは4−ピペリジル、1−、2−もしくは3−モルホリニル、2−もしくは3−チオモルホリニル、2−ピペラジニルまたはN,N'−ビス−低級アルキル−2−ピペラジニル、例えばとりわけ2−もしくは4−テトラヒドロピラニルオキシである);
【0073】
低級アルカノイルオキシ;カルボキシ;低級アルコキシカルボニル;フェニル−低級アルコキシカルボニル;メルカプト;低級アルキルチオ;フェニルチオ;ハロゲン;ハロゲン−低級アルキル;オキソ(アシルになるため、1位のときを除く);アジド;ニトロ;シアノ;アミノ;モノ−低級アルキルアミノ;ジ−低級アルキルアミノ;ピロリジノ;イミダゾール−1−イル;ピペリジノ;ピペラジノ;4−低級アルキルピペラジノ;モルホリン;チオモルホリノ;非置換もしくはフェニル部分を低級アルキル、低級アルコキシ、ハロゲンおよび/またはニトロで置換されている、ジフェニルアミノまたはジベンジルアミノ;低級アルコキシカルボニルアミノ;非置換もしくはフェニル部分を低級アルキルまたは低級アルコキシで置換されているフェニル−低級アルコキシカルボニルアミノ;フルオレニルメトキシカルボニルアミノ;アミノ−低級アルキル;モノ置換またはジ置換アミノ−低級アルキル(ここで、アミノ置換基は低級アルキル、ヒドロキシ−低級アルキル、C−Cシクロアルキル、アミノ−低級アルキル、N−モノ−もしくはN,N−ジ(−低級アルキル)アミノ−低級アルキル、アミノ、N−モノ−もしくはN,N−ジ−低級アルキルアミノおよびN−モノ−もしくはN,N−ジ−(ヒドロキシ−低級アルキル)アミノである);ピロリジノ−低級アルキル;ピペリジノ−低級アルキル;ピペラジノ−低級アルキル;4−低級アルキルピペラジノ−低級アルキル;イミダゾール−1−イル−低級アルキル;モルホリノ−低級アルキル;チオモルホリノ−低級アルキル;S−オキソ−チオモルホリノ−低級アルキル;S,S−ジオキソチオモルホリノ−低級アルキル;低級アルキレンジオキシ;スルファモイル;スルホ;カルバモイル;ウレイド;グアニジノ;シアノ;アミノカルボニル(カルバモイル)およびアミノカルボニルオキシ(これは、非置換、であるか、窒素上を1個または2個のラジカルで置換されており、該アミノ置換基は、互いに独立して低級アルキル、ヒドロキシ−低級アルキル、C−Cシクロアルキル、アミノ−低級アルキル、N−モノ−もしくはN,N−ジ(−低級アルキル)アミノ−低級アルキル、アミノ、N−モノ−もしくはN,N−ジ−低級アルキルアミノおよびN−モノ−もしくはN,N−ジ−(ヒドロキシ−低級アルキル)アミノから成る群から選択される);ピロリジノカルボニル;ピペリジノカルボニル;ピペラジノカルボニル;4−低級アルキルピペラジノカルボニル;イミダゾリノカルボニル;モルホリノカルボニル;チオモルホリノカルボニル;S−オキソ−チオモルホリノカルボニル;およびS、S−ジオキソチオモルホリノ;
【0074】
フェニル、ナフチル、末端フェニルラジカルを有するフェニル−低級アルキルまたはフェニル−低級アルケニル(これは、非置換であるか、または低級アルキル、低級アルケニルまたは低級アルカジエニルの置換基として上記に挙げたラジカルでモノ置換またはジ置換されている);
またはヘテロシクリル−低級アルキル(ここで、ヘテロシクリルはピロリル、例えば2−ピロリルまたは3−ピロリル、ピリジル、例えば2−、3−もしくは4−ピリジル、または広い意味ではまたチエニル、例えば2−もしくは3−チエニル、またはフリル、例えば2−フリル、インドリル、典型的に2−もしくは3−インドリル、キノリル、典型的に2−もしくは4−キノリル、イソキノリル、典型的に3−もしくは5−イソキノリル、ベンゾフラニル、典型的に2−ベンゾフラニル、クロメニル、典型的に3−クロメニル、ベンゾチエニル、典型的に2−もしくは3−ベンゾチエニル;イミダゾリル、典型的に1−もしくは2−イミダゾリル、ピリミジニル、典型的に2−もしくは4−ピリミジニル、オキサゾリル、典型的に2−オキサゾリル、イソオキサゾリル、典型的に3−イソオキサゾリル、チアゾリル、典型的に2−チアゾリル、ベンズイミダゾリル、典型的に2−ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、典型的に2−ベンゾオキサゾリル、キナゾリニル、典型的に2−キナゾリニル、2−テトラヒドロフリル、4−テトラヒドロフリル、2−もしくは4−テトラヒドロピラニル、1−、2−もしくは3−ピロリジル、1−、2−、3−もしくは4−ピペリジル、1−、2−もしくは3−モルホリニル、2−もしくは3−チオモルホリニル、2−ピペラジニルまたはN,N'−ビス−低級アルキル−2−ピペラジニル(これらは、いずれも非置換であるか、または低級アルキル、低級アルケニルまたは低級アルカジエニルの置換基として上記に挙げたラジカルによりモノ置換またはジ置換されている));
【0075】
または部分式Y−C(=W)−{式中、Wは酸素であり、そしてYは水素、R、R−O−、RHN−、またはRN−である(ここで、ラジカルRは同一または異なり得る)}のアシルまたは部分式R−SO−のアシル
(ここで、式(II)の化合物についてはRはまた存在していなくてよい);または
は式(II)の化合物では存在せず、式(I)の化合物では水素またはCHであり、そしてRは部分式Y−C(=W)−{式中、Wは酸素であり、そしてYは水素、R、R−O−、RHN−またはRN−である(ここで、ラジカルRは同一または異なり得る)}のアシル
または部分式R−SO−のアシルであり、
【0076】
ここで、該ラジカル中のRは下記:置換または非置換低級アルキル、とりわけメチルまたはエチル、アミノ−低級アルキルヒドロキシ−低級アルキル(ここで、アミノ基は非保護であるか、慣用のアミノ保護基で−とりわけ低級アルコキシカルボニル、典型的にtert−低級アルコキシカルボニル、例えばtert−ブトキシカルボニルで保護されている)、例えばアミノメチル、R,S−、R−もしくは好ましくはS−1−アミノエチル、tert−ブトキシカルボニルアミノメチルまたはR,S−、R−または好ましくはS−1−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)エチル、カルボキシ−低級アルキル、典型的に2−カルボキシエチル、低級アルコキシカルボニル−低級アルキル、典型的に2−(tert−ブトキシカルボニル)エチル、シアノ−低級アルキル、典型的に2−シアノエチル、テトラヒドロピラニルオキシ−低級アルキル、典型的に4−(テトラヒドロピラニル)オキシメチル、モルホリノ−低級アルキル、典型的に2−(モルホリノ)エチル、フェニル、低級アルキルフェニル、典型的に4−メチルフェニル、低級アルコキシフェニル、典型的に4−メトキシフェニル、イミダゾリル−低級アルコキシフェニル、典型的に4−(2−(イミダゾール−1−イル)エチル)オキシフェニル、カルボキシフェニル、典型的に4−カルボキシフェニル、低級アルコキシカルボニルフェニル、典型的に4−エトキシカルボニルフェニルまたは4−メトキシフェニル、ハロゲン−低級アルキルフェニル、典型的に4−クロロメチルフェニル、ピロリジノフェニル、典型的に4−ピロリジノフェニル、イミダゾール−1−イルフェニル、典型的に4−(イミダゾリル−1−イル)フェニル、ピペラジノフェニル、典型的に4−ピペラジノフェニル、(4−低級アルキルピペラジノ)フェニル、典型的に4−(4−メチルピペラジノ)フェニル、モルホリノフェニル、典型的に4モルホリノフェニル、ピロリジノ−低級アルキルフェニル、典型的に4−ピロリジノメチルフェニル、イミダゾール−1−イル−低級アルキルフェニル、典型的に4−(イミダゾリル−1−イルメチル)フェニル、ピペラジノ−低級アルキルフェニル、典型的に4−ピペラジノメチルフェニル、(4−低級アルキルピペラジノメチル)−フェニル、典型的に4−(4−メチルピペラジノメチル)フェニル、モルホリノ−低級アルキルフェニル、典型的に4−モルホリノメチルフェニル、ピペラジノカルボニルフェニル、典型的に4−ピペラジノカルボニルフェニル、または(4−低級アルキルピペラジノ)フェニル、典型的に4−(4−メチルピペラジノ)フェニル;の意味を有し;
【0077】
pは、Rが存在しないとき0であり、またはRおよびRの両方が存在し、いずれも上記のラジカルの1個であるとき1であり;
は水素または低級アルキル、とりわけ水素であり、
Xは2個の水素原子、O、または1個の水素原子とヒドロキシを意味するか、または、1個の水素原子と1個のアルコキシを意味し、
Zは水素またはとりわけ低級アルキル、最もとりわけメチルであり;
そして、式(II)の化合物について、波線により特徴付けられる2個の結合のいずれも環Aで存在せず、4個の水素原子で置換されており、そして環Bの波線は、それぞれ各々の平行している結合と共に、二重結合を意味するか;
または波線により特徴付けられる2個の結合は環Bで存在せず、合計4個の水素原子で置換されており、そして環Aの波線は、それぞれ各々の平行している結合と共に、二重結合を意味するか;
または環Aおよび環Bの両方の4個の波線が存在せず、合計8個の水素原子で置換されている。
【0078】
特に好ましいのは、下記のものである式(I)の化合物、または、少なくとも1個の塩形成基が存在するとき、その塩である;
mおよびnが各々0であり;
およびRが、互いに独立して水素、非置換であるか、互いに独立してカルボキシ;低級アルコキシカルボニル;およびシアノから選択されるラジカルでモノ−もしくはジ置換、とりわけモノ置換低級アルキルであるか;または
が水素または−CHであり、かつRが上記の通りであるか、または好ましくはRが、部分式R−CO{式中、Rは低級アルキル;アミノ−低級アルキル(ここで、該アミノ基は保護されていない形で存在するか、または、低級アルコキシカルボニルで保護されている);テトラヒドロピラニルオキシ−低級アルキル;フェニル;イミダゾリル−低級アルコキシフェニル;カルボキシフェニル;低級アルコキシカルボニルフェニル;ハロゲン−低級アルキルフェニル;イミダゾール−1−イルフェニル;ピロリジノ低級アルキルフェニル;ピペラジノ−低級アルキルフェニル;(4−低級アルキルピペラジノメチル)フェニル;モルホリノ−低級アルキルフェニル;ピペラジノカルボニルフェニル;または(4−低級アルキルピペラジノ)フェニルである}のアシルであるか、
または部分式R−O−CO−{式中、Rは低級アルキルである}のアシルであるか;
または部分式RHN−C(=W)−{式中、Wは酸素であり、そしてRは下記の意味を有する:モルホリノ−低級アルキル、フェニル、低級アルコキシフェニル、カルボキシフェニル、または低級アルコキシカルボニルフェニル}のアシルであるか;
またはRが低級アルキルフェニルスルホニル、典型的に4−トルエンスルホニル;
好ましいR基のさらなる具体例は、好ましい式(II)の化合物について下記である;
が水素または低級アルキル、とりわけ水素であり、
Xが2個の水素原子またはOを意味し;
Zがメチルまたは水素である。
【0079】
特に好ましいのは、下記のものである式(II)の化合物、または、少なくとも1個の塩形成基が存在するとき、その塩である;
mおよびnが各々0であり;
およびRが、互いに独立して水素、非置換であるか、または互いに独立してカルボキシ;低級アルコキシカルボニル;およびシアノから成る群から選択されるラジカルでモノ−もしくはジ置換、とりわけモノ置換されている低級アルキルである;
ここで、Rはまた存在していなくてよいか;
またはRが存在せず、そしてRが部分式R−CO{式中、Rは低級アルキル、とりわけメチルまたはエチル;アミノ−低級アルキル(ここで、アミノ基は非保護であるか、または低級アルコキシカルボニル、典型的にter−低級アルコキシカルボニル、例えばtert−ブトキシカルボニルで置換されている)、例えばアミノメチル、R,S−、R−または好ましくはS−1−アミノエチル、tert−ブトキシカルボニルアミノメチルまたはR,S−、R−、または好ましくはS−1−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)エチル;テトラヒドロピラニルオキシ−低級アルキル、典型的に4−(テトラヒドロピラニル)オキシメチル;フェニル;イミダゾリル−低級アルコキシフェニル、典型的に4−[2−(イミダゾール−1−イル)エチル)オキシフェニル;カルボキシフェニル、典型的に4−カルボキシフェニル;低級アルコキシカルボニルフェニル、典型的に4−メトキシ−もしくは4−エトキシカルボニルフェニル;ハロゲン−低級アルキルフェニル、典型的に4−クロロメチルフェニル;イミダゾール−1−イルフェニル、典型的に4−(イミダゾリル−1−イル)−フェニル;ピロリジノ−低級アルキルフェニル、典型的に4−ピロリジノメチルフェニル;ピペラジノ−低級アルキルフェニル、典型的に4−ピペラジノメチルフェニル;(4−低級アルキルピペラジノメチル)フェニル、典型的に4−(4−メチルピペラジノメチル)フェニル;モルホリノ−低級アルキルフェニル、典型的に4モルホリノメチルフェニル;ピペラジノカルボニルフェニル、典型的に4−ピペラジノカルボニルフェニル;または(4−低級アルキルピペラジノ)フェニル、典型的に4−(4−メチルピペラジノ)フェニルである}のアシルであるか;
または部分式R−O−CO−{式中、Rが低級アルキルである}のアシルであるか;
または部分式RHN−C(=W)−{式中、Wが酸素であり、そしてRが下記の好ましい意味を有する:モルホリノ−低級アルキル、典型的に2−モルホリノエチル、フェニル、低級アルコキシフェニル、典型的に4−メトキシフェニルまたは4−エトキシフェニル、カルボキシフェニル、典型的に4−カルボキシフェニル、または低級アルコキシカルボニルフェニル、典型的に4−エトキシカルボニルフェニル}のアシルであるか;または
低級アルキルフェニルスルホニル、典型的に4−トルエンスルホニルであり;
pは、Rが存在しないとき0であり、またはRおよびRの両方が存在し、いずれも上記のラジカルの1個であるとき1であり;
が水素または低級アルキル、とりわけ水素であり、
Xが2個の水素原子またはOを意味し;
Zがメチルまたは水素であり;
そして波線により特徴付けられる2個の結合のいずれも環Aで存在せず、4個の水素原子で置換されており、そして環Bの波線は、それぞれ各々の平行している結合と共に、二重結合を意味するか;
または波線により特徴付けられる2個の結合は環Bで存在せず、合計4個の水素原子で置換されており、そして環Aの波線は、それぞれ各々の平行している結合と共に、二重結合を意味するか;
または環Aおよび環Bの両方の4個の波線が存在せず、合計8個の水素原子で置換されている。
【0080】
最もとりわけ好ましい式(II)の化合物は;
8,9,10,11−テトラヒドロスタウロスポリン;
N−[4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)ベンゾイル]−1,2,3,4−テトラヒドロスタウロスポリン;
N−(4−クロロメチルベンゾイル)−1,2,3,4−テトラヒドロスタウロスポリン;
N−(4−(ピロリジン−1−イルメチル)ベンゾイル)−1,2,3,4−テトラヒドロスタウロスポリン;
N−(4−(モルホリン−4−イルメチル)ベンゾイル)−1,2,3,4−テトラヒドロスタウロスポリン;
N−(4−(ピペラジン−1−イルメチル)ベンゾイル)−1,2,3,4−テトラヒドロスタウロスポリン;
N−エチル−1,2,3,4−テトラヒドロスタウロスポリン;
N−トシル−1,2,3,4−テトラヒドロスタウロスポリン;
N−トリフルオロアセチル−1,2,3,4−テトラヒドロスタウロスポリン;
N−[4−(2−イミダゾール−1−イル−エトキシ)ベンゾイル]−1,2,3,4−テトラヒドロスタウロスポリン;
N−メトキシカルボニルメチル−1,2,3,4−テトラヒドロスタウロスポリン;
N−カルボキシメチル−1,2,3,4−テトラヒドロスタウロスポリン;
N−テレフタロイルメチルエステル−1,2,3,4−テトラヒドロスタウロスポリン;
N−テレフタロイル−1,2,3,4−テトラヒドロスタウロスポリン;
N−(4−エチルピペラジニルカルボニルベンゾイル)−1,2,3,4−テトラヒドロスタウロスポリン;
N−(2−シアノエチル)−1,2,3,4−テトラヒドロスタウロスポリン;
N−ベンゾイル−1,2,3,4−テトラヒドロスタウロスポリン;
N,N−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロスタウロスポリニウム・アイオダイド;
N−BOC−グリシル−1,2,3,4−テトラヒドロスタウロスポリン;
N−グリシル−1,2,3,4−テトラヒドロスタウロスポリン;
N−(3−(tert−ブトキシカルボニル)プロピル)−1,2,3,4−テトラヒドロスタウロスポリン;
N−(3−カルボキシプロピル)−1,2,3,4−テトラヒドロスタウロスポリン;
N−(4−イミダゾール−1−イル)ベンゾイル]−1,2,3,4−テトラヒドロスタウロスポリン;
N−[(テトラヒドロ−2h−ピラン−4−イルオキシ)アセチル]−1,2,3,4−テトラヒドロスタウロスポリン;
N−BOC−I−アラニル−1,2,3,4−テトラヒドロスタウロスポリン;
N−I−アラニル−1,2,3,4−テトラヒドロスタウロスポリンヒドロクロライド;
N−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−6−メチルスタウロスポリン;
N−(4−カルボキシフェニルアミノカルボニル)−1,2,3,4−テトラヒドロスタウロスポリン;
N−(4−エチルフェニルアミノカルボニル)−1,2,3,4−テトラヒドロスタウロスポリン;
N−(N−フェニルアミノカルボニル)−1,2,3,4−テトラヒドロスタウロスポリン;
N−(N−[2−(1−モルホリノ)エチル]アミノカルボニル)−1,2,3,4−テトラヒドロスタウロスポリン;
N−(N−[4−メトキシフェニル]アミノカルボニル)−1,2,3,4−テトラヒドロスタウロスポリン;
1,2,3,4−テトラヒドロ−6−メチルスタウロスポリン;
N−BOC−1,2,3,4−テトラヒドロスタウロスポリン;
N−BOC−1,2,3,4−テトラヒドロ−6−メチルスタウロスポリン;
N−BOC−1,2,3,4−テトラヒドロ−6−メチル−7−オキソ−スタウロスポリン;
1,2,3,4,8,9,10,11−オクタヒドロスタウロスポリン;
または少なくとも1個の塩形成基が存在するとき、それらの薬学的に許容される塩
から選択される。
【0081】
最もとりわけ好ましいのは1,2,3,4−テトラヒドロスタウロスポリンまたは(特に薬学的に許容される)その塩と命名される式(I)の化合物(ここで、式(I)中のmおよびnが0であり、Rが水素であり、塩が存在しない(p=0)とき、Rが存在しないか、または塩が存在するとき、水素であり(p=1)、Rが水素であり、波線により示される2個の結合は環Aで存在せず、4個の水素原子で置換されており、環Bにおける波線で示される2個の結合は、いずれも、平行する結合と一体となって二重結合であり、Xは2個の水素原子を意味し、そしてZはメチルである)。
【0082】
最もとりわけ好ましいのは;
A)X=O;R、R、R=H;Q=−(CH)−O−CH(CH)OH−(CH)
B)X=O;R、R、R=H;Q=−(CH)−O−CH(CHN(CH))−(CH)
C)X=2個の水素原子;R、R、R=H;Q=
【化3】


である、式(A)の化合物である。
【0083】
最もとりわけ好ましいのは;
A)X=2個の水素原子;R、R、R、R=H;R=CH;Z=CH(スタウロスポリン)
B)X=(R)または(S)異性体形の1個の水素と1個のヒドロキシ原子;R、R、R、R=H;R=CH;Z=CH(UCN−01およびUCN−02)
C)X=2個の水素原子;R、R、R=H;R=CH;R、=ベンゾイル;Z=CH(CGP41251またはPKC412またはミドスタウリン)
D)X=O;R、R、R=H;R=CH;R=エチルオキシカルボニル;Z=CH(NA382;CAS=143086−33−3)
E)X=1個の水素と1個のヒドロキシ原子;R、R、R=H;R=CH;Z=CH;そしてRが(CH)OH;−CHCH(OH)CHOH;−CO(CH)CONa;−(CH)COH;−COCHN(CH)
【化4】


から選択される
F)X=2個の水素原子;R、R、R=H;R=CH;Z=CH;そしてRがN−[0−(テトラヒドロピラン−4−イル)−D−ラクトイル];N−[2−メチル−2−(テトラヒドロピラン−4−イルオキシ)−プロピオニル;N−[0−(テトラヒドロピラン−4−イル)−L−ラクトイル];N−[0−(テトラヒドロピラン−4−イル)−D−ラクトイル];N−[2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルオキシ)−アセチル)]から選択される
G)X=O;R、R、R=H;R=CH;Z=CH;そしてRがN−[0−(テトラヒドロピラン−4−イル)−D−ラクトイル];N−[2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルオキシ)−アセチル)]から選択される
H)X=1個の水素と1個のヒドロキシ原子;R、R、R=H;R=CH;Z=CH;そしてRがN−[0−(テトラヒドロピラン−4−イル)−D−ラクトイル];N−[2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルオキシ)−アセチル)]から選択される
である、式(I)の化合物である。
略語“CAS”は、CHEMICAL ABSTRACTS登録番号を意味する。
【0084】
最も好ましい式(I)の化合物、例えばミドスタウリン[国際一般名]は、1988年12月21日公開の欧州特許0296110ならびに1992年3月3日公開のUS特許5,093,330、および日本特許2708047によりカバーされ、かつ具体的に記載されている。他の好ましい化合物は、両方とも1995年12月7日に公開のWO95/32974およびWO95/32976によりカバーされ、かつ記載されている。これらの文献に記載のすべての化合物を、引用して本明細書に包含する。
【0085】
最もとりわけ好ましいのは;
A)X=2個の水素原子;R、R、R=H;R=CH;R=メチルオキシカルボニル;Z=H(2−メチルK252a)
B)X=2個の水素原子;R、R、R、R=H;R=メチルオキシカルボニル;Z=H(K−252a)
C)X=2個の水素原子;R、R、R、R=H;R=メチルオキシカルボニル;Z=CH(KT−5720)
である、式(III)の化合物である。
【0086】
最もとりわけ好ましいのは;
A)X=O;R、R、R=H;R=CH−NMe2;R=CH;m'=n'=2
B)X=O;R、R、R=H;R=CH−NH;R=CH;m'=2;n'=1(Ro−31−8425;CAS=151342−35−7)
である、式(IV)の化合物である。
【0087】
最もとりわけ好ましいのは;
A)X=O;R、R、R=H;R=CH;R10=−(CH)−NH;(Ro−31−7549;CAS=138516−31)
B)X=O;R、R、R=H;R=CH;R10=−(CH)−S−(C=NH)−NH;(Ro−31−8220;
CAS=125314−64−9))
C)X=O;R、R、R=H;R=CH;R10=−CH
である、式(V)の化合物である。
【0088】
最もとりわけ好ましいのは;
A)X=2個の水素原子;R、R、R=H;R=CH;Z=CH;Rがメチルまたは(C−C10)アルキル、アリールメチル、CCH−から選択される、
である、式(VI)の化合物である。
【0089】
スタウロスポリン誘導体およびそれらの製造法は、多くの先行文献に具体的に記載され、当分野の当業者に既知である。
【0090】
式(A)、(B)、(C)、(D)の化合物およびそれらの製造法は、例えば1995年6月14日公開の欧州特許0657458、1994年11月17日公開の欧州特許0624586、1992年2月12日公開の欧州特許0470490、1989年8月16日公開の欧州特許0328026、1990年8月29日公開の欧州特許0384349ならびに、Barry M. Trost* and Weiping Tang Org. Lett., 3 (21), 3409-3411のような多くの文献に記載されている。
【0091】
式(I)の化合物およびそれらの製造法は、1988年12月21日公開の欧州特許0296110、ならびに1992年3月3日公開のUS特許5,093,330および日本特許2708047に具体的に記載されている。Rにテトラヒドロピラン−4−イル)−ラクトイル置換を有する式(I)の化合物は、1994年11月17日公開の欧州特許0624590に記載されている。他の化合物は、1993年12月29日公開の欧州特許0575955、1987年9月23日公開の欧州特許0238011(UCN−01)、1998年7月03日にW099/02532として公開された国際出願EP98/04141に記載されている。
【0092】
式(II)の化合物およびそれらの製造法は、1988年12月21日公開の欧州特許0296110ならびに1992年3月3日公開のUS特許5,093,330、および日本特許2708047に記載されている。
【0093】
式(III)の化合物およびそれらの製造法は、1991年7月24日出願のUS特許出願US920102を優先権主張する特許出願に記載されている。(1997年4月16日公開のすなわち欧州特許0768312、2000年5月24日公開の1002534、1995年5月19日公開の0651754)。
【0094】
式(IV)の化合物およびそれらの製造法は、各々1993年5月10日および1994年2月21日に出願の英国特許出願GB9309602およびGB9403249を優先権主張する特許出願に具体的に記載されている。(すなわち1994年11月17日公開の欧州特許0624586、2000年5月24日公開の1002534、1995年5月10日公開の0651754)。
【0095】
式(V)の化合物およびそれらの製造法は、各々1998年2月10日、1988年11月25日、1988年2月23日および1989年12月13日出願の英国特許出願GB8803048、GB8827565、GB8904161およびGB8928210を優先権主張する特許出願に具体的に記載されている。(すなわち1989年8月16日公開の欧州特許0328026および1990年8月29日公開の0384349)。
【0096】
式(VI)の化合物およびそれらの製造法は、1991年10月10日出願のUS特許出願07/777,395(Con)の優先権を主張する特許出願に具体的に記載されている(すなわち1993年4月15日公開の国際特許出願WO93/07153)。
【0097】
特許出願または科学文献の引用が、特にスタウロスポリン誘導体化合物に関して成されているいずれの場合も、最終産物、医薬製剤および特許請求の範囲の対象を本願にこれらの文献を引用することにより包含する。
【0098】
コード番号、一般名または商品名により同定した活性成分の構造は、標準概論“The Merck Index”の現行版またはデータベース、例えばPatents International(例えばIMS World Publications)から取り得る。それらの対応する内容は、引用して本明細書に包含する。
【0099】
本発明の好ましいスタウロスポリン誘導体は、式(VII):
【化5】


のN−[(9S,10R,11R,13R)−2,3,10,11,12,13−ヘキサヒドロ−10−メトキシ−9−メチル−1−オキソ−9,13−エポキシ−1H,9H−ジインドロ[1,2,3−gh:3',2',1'−Im]ピロロ[3,4−j][1,7]ベンゾジアゾリン−11−イル]−N−メチルベンズアミドまたはその塩である(以後:“式(VI)Iの化合物またはミドスタウリン”)。
【0100】
式(VII)の化合物はまたミドスタウリン[国際一般名]もしくはPKC412として既知である。
【0101】
ミドスタウリンは、天然に存在するアルカロイドであるスタウロスポリンの誘導体であり、1988年12月21日公開の欧州特許0296110および1992年3月3日公開のUS特許5,093,330、および日本特許2708047に具体的に記載されている。
【0102】
本発明の組み合わせでの使用に特に興味深いHDAI化合物は、式(X):
【化6】


〔式中、
はH、ハロまたは直鎖C−Cアルキル(とりわけメチル、エチルまたはn−プロピルであって、このメチル、エチルおよびn−プロピル置換基は非置換もしくはアルキル置換基について下記の1個またはそれ以上の置換基で置換されている)であり;
はH、C−C10アルキル(好ましくはC−Cアルキル、例えばメチル、エチルまたは−CHCH−OH)、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキルアルキル、シクロアルキルアルキル(例えば、シクロプロピルメチル)、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル(例えばベンジル)、ヘテロアリールアルキル(例えばピリジルメチル)、−(CH)C(O)R、−(CH)OC(O)R、アミノアシル、HON−C(O)−CH=C(R)−アリール−アルキル−および−(CH)から選択され;
【0103】
およびRは、同一または異なり、かつ独立してH、C−Cアルキル、アシルまたはアシルアミノであるか、またはRおよびRは、それらが結合している炭素と一体となって、C=O、C=SまたはC=NRを示すか、またはRは、それが結合している窒素と一体となり、かつRは、それが結合している炭素と一体となってC−Cヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、ポリヘテロアリール、非芳香族性ポリヘテロ環またはアリールと非アリールの混合ポリヘテロ環を形成でき;
はH、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、アシル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル(例えばベンジル)、ヘテロアリールアルキル(例えばピリジルメチル)、芳香族性多環、非芳香族性多環、アリールと非アリールの混合多環、ポリヘテロアリール、非芳香族性ポリヘテロ環、およびアリールと非アリールの混合ポリヘテロ環から選択され;
【0104】
n、n、nおよびnは、同一または異なり、かつ独立して0−6から選択され、nが1−6であるとき、各炭素原子は所望によりかつ独立してRおよび/またはRで置換されていてよく;
XおよびYは、同一または異なり、かつ独立してH、ハロ、C−Cアルキル、例えばCHおよびCF、NO、C(O)R、OR、SR、CN、およびNR1011から選択され;
はH、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、シクロアルキルアルキル(例えば、シクロプロピルメチル)、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル(例えば、ベンジル、2−フェニルエテニル)、ヘテロアリールアルキル(例えば、ピリジルメチル)、OR12およびNR1314から選択され;
はOR15、SR15、S(O)R16、SO17、NR1314およびNR12SOから選択され;
はH、OR15、NR1314、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル(例えば、ベンジル)、およびヘテロアリールアルキル(例えば、ピリジルメチル)から選択され;
はC−Cアルキル、例えば、CHおよびCF、C(O)−アルキル、例えばC(O)CHおよびC(O)CFから選択され;
10およびR11は、同一または異なり、かつ独立してH、C−Cアルキルおよび−C(O)−アルキルから選択され;
12はH、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキルアルキル、アリール、アリールと非アリールの混合多環、ヘテロアリール、アリールアルキル(例えば、ベンジル)、およびヘテロアリールアルキル(例えば、ピリジルメチル)から選択され;
【0105】
13およびR14は、同一または異なり、かつ独立してH、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル(例えば、ベンジル)、ヘテロアリールアルキル(例えば、ピリジルメチル)、アミノアシルから選択されるか、またはR13およびR14は、それらが結合している窒素と一体となって、C−Cヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、ポリヘテロアリール、非芳香族性ポリヘテロ環またはアリールと非アリールの混合ポリヘテロ環であり;
15はH、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキルおよび(CH)ZR12から選択され;
16はC−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ポリヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキルおよび(CH)ZR12から選択され;
17はC−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、アリール、芳香族性多環、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ポリヘテロアリールおよびNR1314から選択され;
mは、0〜6から選択される整数であり;そして
ZはO、NR13、SおよびS(O)から選択される。〕
の化合物、またはその薬学的に許容される塩として記載される。
【0106】
適当であれば、ここでの非置換は置換基が存在しないか、唯一の置換基が水素であることを意味し、前記および後記で使用する一般的用語および定義は、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤(HDAI)について好ましくは下記の意味を有する:
ハロゲンは好ましくはフッ素、塩素、臭素、またはヨウ素、とりわけフッ素または塩素である。
【0107】
アルキル置換基は特記されない限り直鎖および分枝鎖C−Cアルキルを含む。適当な直鎖および分枝鎖C−Cアルキル置換基の例は、メチル、エチル、n−プロピル、2−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、t−ブチルなどを含む。特記されない限り、アルキル置換基は非置換アルキル基ならびに、不飽和(すなわち1個またはそれ以上の二重または三重C−C結合が存在する)、アシル、シクロアルキル、ハロ、オキシアルキル、アルキルアミノ、アミノアルキル、アシルアミノおよびOR15、例えば、アルコキシを含む1個またはそれ以上の適当な置換基で置換されたアルキル基の両方を含む。アルキル基の好ましい置換基は、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、オキシアルキル、アルキルアミノおよびアミノアルキルを含む。
【0108】
シクロアルキル置換基は、特記されない限り、C−Cシクロアルキル基、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどを含む。特記されない限り、シクロアルキル置換基は、非置換シクロアルキル基ならびにC−Cアルキル、ハロ、ヒドロキシ、アミノアルキル、オキシアルキル、アルキルアミノおよびOR15、例えばアルコキシを含む、1個またはそれ以上の適当な置換基で置換されたシクロアルキル基の両方を含む。シクロアルキル基の好ましい置換基は、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、オキシアルキル、アルキルアミノおよびアミノアルキルを含む。
【0109】
アルキルおよびシクロアルキル置換基の上記の記載は、限定しないが、アルコキシ、アルキルアミン、アルキルケトン、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、アルキルスルホニルおよびアルキルエステル置換基などを含む、他の置換基のアルキル部分にも当てはまる。
【0110】
ヘテロシクロアルキル置換基は、窒素、硫黄、酸素から選択される1個から3個のヘテロ原子を含む、3〜9員脂肪族環、例えば4〜7員脂肪族環を含む。適当なヘテロシクロアルキル置換基の例は、ピロリジル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロチオフラニル、ピペリジル、ピペラジル、テトラヒドロピラニル、モルフィリノ、1,3−ジアザパン、1,4−ジアザパン、1,4−オキサゼパンおよび1,4−オキサチアパンを含む。特記されない限り、環は非置換であるか、または炭素原子上を、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル(例えば、ベンジル)、およびヘテロアリールアルキル(例えば、ピリジルメチル)、ハロ、アミノ、アルキルアミノおよびOR15、例えばアルコキシを含む1個またはそれ以上の適当な置換基で置換されている。特記されない限り、窒素ヘテロ原子は非置換であるか、またはH、C−Cアルキル、アリールアルキル(例えば、ベンジル)、およびヘテロアリールアルキル(例えば、ピリジルメチル)、アシル、アミノアシル、アルキルスルホニル、およびアリールスルホニルで置換されている。
【0111】
シクロアルキルアルキル置換基は、式−(CH)n5−シクロアルキル(式中、n5は1−6の数字である)の化合物を含む。適当なアルキルシクロアルキル置換基は、シクロペンチルメチル−、シクロペンチルエチル、シクロヘキシルメチルなどを含む。このような置換基は非置換であるか、またはアルキル部分もしくはシクロアルキル部分を、上記でアルキルおよびシクロアルキルについて列記したものを含む、適当な置換基により置換されている。
【0112】
アリール置換基は、非置換フェニルならびにC−Cアルキル、シクロアルキルアルキル(例えば、シクロプロピルメチル)、O(CO)アルキル、オキシアルキル、ハロ、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、アミノアルキル、アルキルケトン、ニトリル、カルボキシアルキル、アルキルスルホニル、アミノスルホニル、アリールスルホニル、およびOR15、例えばアルコキシを含む、1個またはそれ以上の適当な置換基で置換されたフェニルを含む。包含される好ましい置換基は、C−Cアルキル、シクロアルキル(例えば、シクロプロピルメチル)、アルコキシ、オキシアルキル、ハロ、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、アミノアルキル、アルキルケトン、ニトリル、カルボキシアルキル、アルキルスルホニル、アリールスルホニルおよびアミノスルホニルを含む。適当なアリール基の例は、C−Cアルキルフェニル、C−Cアルコキシフェニル、トリフルオロメチルフェニル、メトキシフェニル、ヒドロキシエチルフェニル、ジメチルアミノフェニル、アミノプロピルフェニル、カルボエトキシフェニル、メタンスルホニルフェニルおよびトリルスルホニルフェニルを含む。
【0113】
芳香族性多環は、ナフチル、およびC−Cアルキル、アルキルシクロアルキル(例えば、シクロプロピルメチル)、オキシアルキル、ハロ、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、アミノアルキル、アルキルケトン、ニトリル、カルボキシアルキル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アミノスルホニルおよびOR15、例えばアルコキシを含む、1個またはそれ以上の適当な置換基で置換されたナフチルを含む。
【0114】
ヘテロアリール置換基は、N、OおよびSから選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子、例えば1個から4個のヘテロ原子を含む、5〜7員芳香環を含む。典型的なヘテロアリール置換基は、フリル、チエニル、ピロール、ピラゾール、トリアゾール、チアゾール、オキサゾール、ピリジン、ピリミジン、イソオキサゾリル、ピラジンなどを含む。特記されない限り、ヘテロアリール置換基は、非置換であるか、または炭素原子上を、アルキル、上記で定義のアルキル置換基、および他のヘテロアリール置換基を含む、1個またはそれ以上の適当な置換基で置換されている。窒素原子は非置換であるか、例えばR13で置換されている;とりわけ有用なN置換基は、H、C−Cアルキル、アシル、アミノアシル、およびスルホニルを含む。
【0115】
アリールアルキル置換基は、式−(CH)n5−アリール、−(CH)n5−1−(CH−アリール)−(CH)n5−アリールまたは−(CH)n5−1CH(アリール)(アリール)(ここで、アリールおよびn5は上記で定義の通りである)の基を含む。このようなアリールアルキル置換基は、ベンジル、2−フェニルエチル、1−フェニルエチル、トリル−3−プロピル、2−フェニルプロピル、ジフェニルメチル、2−ジフェニルエチル、5,5−ジメチル−3−フェニルペンチルなどを含む。アリールアルキル置換基は、非置換であるか、またはアルキル部分もしくはアリール部分または両方を、アルキルおよびアリール置換基について上記の通り置換されている。
【0116】
ヘテロアリールアルキル置換基は、式−(CH)n5−ヘテロアリール(ここで、ヘテロアリールおよびn5は上記で定義の通りであり、架橋はヘテロアリール部分の炭素または窒素に結合している)の基、例えば2−、3−もしくは4−ピリジルメチル、イミダゾリルメチル、キノリルエチル、およびピロリルブチルを含む。ヘテロアリール置換基は非置換であるか、またはヘテロアリールおよびアルキル置換基について上記の通り置換されている。
【0117】
アミノアシル置換基は、式−C(O)−(CH)−C(H)(NR1314)−(CH)−R(ここで、n、R13、R14およびRは上記の通りである)の基を含む。適当なアミノアシル置換基は、天然および非天然アミノ酸、例えばグリシニル、D−トリプトファニル、L−リシニル、D−もしくはL−ホモセリニル、4−アミノブチリックアシル、±3−アミン−4−ヘキセノイルを含む。
【0118】
非芳香族性多環置換基は、各環が4−9員であり得て、かつ各環が0、1またはそれ以上の二重および/または三重結合を有し得る、二環式および三環式縮合環系を含む。非芳香族性多環の適当な例は、デカリン、オクタヒドロインデン、ペルヒドロベンゾシクロヘプテン、ペルヒドロベンゾ−[f]−アズレンを含む。このような置換基は、非置換であるか、またはクロアルキル基について上記の通り置換されている。
【0119】
アリールと非アリールの混合多環置換基は、各環が4−9員であり得て、かつ少なくとも1個の環が芳香族性である、二環式および三環式縮合環系を含む。アリールと非アリールの混合多環の適当な例は、メチレンジオキシフェニル、ビス−メチレンジオキシフェニル、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン、ジベンゾスベラン、ジヒドロアントラセン、9H−フルオレンを含む。このような置換基は非置換であるか、またはニトロでもしくはシクロアルキル基について上記の通り置換されている。
【0120】
ポリヘテロアリール置換基は、各環が独立して5または6員であり得て、かつO、NまたはSから選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子、例えば、1個、2個、3個または4個ヘテロ原子を、縮合環系が芳香族性であるように含む、二環式および三環式縮合環系を含む。ポリヘテロアリール環系の適当な例は、キノリン、イソキノリン、ピリドピラジン、ピロロピリジン、フロピリジン、インドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフラン、ベンズインドール、ベンゾオキサゾール、ピロロキノリンなどを含む。特記されない限り、ポリヘテロアリール置換基は、非置換であるか、または炭素原子上を、アルキル、上記のアルキル置換基および式−O−(CHCH=CH(CH)(CH))1−3Hの置換基を含む、1個またはそれ以上の適当な置換基で置換されている。窒素原子は非置換であるか、または、例えばR13で置換されている;とりわけ有用なN置換基はH、C−Cアルキル、アシル、アミノアシル、およびスルホニルを含む。
【0121】
非芳香族性ポリヘテロ環式置換基は、各環が、O、NまたはSから選択される1個またはそれ以上ヘテロ原子、例えば、1個、2個、3個または4個のヘテロ原子を含む4−9員であり得て、かつ0または1個またはそれ以上のC−C二重または三重結合を含む二環式および三環式縮合環系を意味する。非芳香族性ポリヘテロ環の適当な例は、ヘキシトール、cis−ペルヒドロ−シクロヘプタ[b]ピリジニル、デカヒドロ−ベンゾ[f][1,4]オキサゼピニル、2,8−ジオキサビシクロ[3.3.0]オクタン、ヘキサヒドロ−チエノ[3,2−b]チオフェン、ペルヒドロピロロ[3,2−b]ピロール、ペルヒドロナフチリジン、ペルヒドロ−1H−ジシクロペンタ[b,e]ピランを含む。特記されない限り、非芳香族性ポリヘテロ環式置換基は、非置換であるか、または炭素原子上を、アルキルおよび上記のアルキル置換基を含む、1個またはそれ以上の置換基で置換されている。窒素原子は非置換であるか、または、例えば、R13で置換されている;とりわけ有用なN置換基はH、C−Cアルキル、アシル、アミノアシル、およびスルホニルを含む。
【0122】
アリールと非アリールの混合ポリヘテロ環置換基は、各環が4−9員であり得て、O、NまたはSから選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を含み、かつ環の少なくとも1個が芳香族性でなければならない、二環式および三環式縮合環系を含む。アリールと非アリールの混合ポリヘテロ環の適当な例は、2,3−ジヒドロインドール、1,2,3,4−テトラヒドロキノリン、5,11−ジヒドロ−10H−ジベンズ[b,e][1,4]ジアゼピン、5H−ジベンゾ[b,e][1,4]ジアゼピン、1,2−ジヒドロピロロ[3,4−b][1,5]ベンゾジアゼピン、1,5−ジヒドロ−ピリド[2,3−b][1,4]ジアゼピン−4−オン、1,2,3,4,6,11−ヘキサヒドロ−ベンゾ[b]ピリド[2,3−e][1,4]ジアゼピン−5−オンを含む。特記されない限り、アリールと非アリールの混合ポリヘテロ環式置換基は、非置換であるか、または炭素原子上を、−N−OH、=N−OH、アルキルおよび上記のアルキル置換基を含む、1個またはそれ以上の適当な置換基で置換されている。窒素原子は非置換であるか、または、例えば、R13で置換されている;とりわけ有用なN置換基はH、C−Cアルキル、アシル、アミノアシル、およびスルホニルを含む。
【0123】
アミノ置換基は1級、2級および3級アミンおよび塩形では、4級アミンを含む。アミノ置換基の例は、モノ−およびジ−アルキルアミノ、モノ−およびジ−アリールアミノ、モノ−およびジ−アリールアルキルアミノ、アリール−アリールアルキルアミノ、アルキル−アリールアミノ、アルキル−アリールアルキルアミノなどを含む。
【0124】
スルホニル置換基は、アルキルスルホニルおよびアリールスルホニル、例えばメタンスルホニル、ベンゼンスルホニル、トシルなどを含む。
【0125】
アシル置換基は、式−C(O)−W、−OC(O)−W、−C(O)−O−Wまたは−C(O)NR1314(ここで、WはR16、Hまたはシクロアルキルアルキルである)の基を含む。
【0126】
アシルアミノ置換基は、式−N(R12)C(O)−W、−N(R12)C(O)−O−Wおよび−N(R12)C(O)−NHOH(ここで、R12およびWは上記で定義の通りである)を含む。
【0127】
置換基HON−C(O)−CH=C(R)−アリール−アルキル−は、
【化7】


の基である。
【0128】
好ましい各置換基は下記を含む:
がH、ハロ、または直鎖C−Cアルキルであり;
がH、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、アルキルシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、−(CH)C(O)R、アミノアシルおよび−(CH)から選択され;
およびRが、同一または異なり、かつ独立してHおよびC−Cアルキルから選択されるか、またはRおよびRは、それらが結合している炭素と一体となって、C=O、C=SまたはC=NRであり;
がH、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、芳香族性多環、非芳香族性多環、アリールと非アリールの混合多環、ポリヘテロアリール、非芳香族性ポリヘテロ環、およびアリールと非アリールの混合ポリヘテロ環から選択され;
n、n、nおよびnは、同一または異なり、かつ独立して0−6から選択され、nが1−6であるとき、各炭素原子は非置換であるか、または独立してRおよび/またはRで置換されており;
XおよびYが、同一または異なり、かつ独立してH、ハロ、C−Cアルキル、CF、NO、C(O)R、OR、SR、CN、およびNR1011から選択され;
がH、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、アルキルシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、OR12およびNR1314から選択され;
がOR15、SR15、S(O)R16、SO17、NR1314およびNR12SOから選択され;
がH、OR15、NR1314、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキルおよびヘテロアリールアルキルから選択され;
がC−CアルキルおよびC(O)−アルキルから選択され;
【0129】
10およびR11が、同一または異なり、かつ独立してH、C−Cアルキルおよび−C(O)−アルキルから選択され;
12がH、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキルおよびヘテロアリールアルキルから選択され;
13およびR14は、同一または異なり、かつ独立してH、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキルおよびアミノアシルから選択され;
15がH、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキルおよび(CH)ZR12から選択され;
16がC−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキルおよび(CH)ZR12から選択され;
17がC−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキルおよびNR1314から選択され;
mが、0〜6から選択される整数であり;そして
ZがO、NR13、S、S(O)から選択される
またはその薬学的に許容される塩。
【0130】
有用な式(I)の化合物は、nおよびnの一方が0であり、かつ他方が1であるものを含む、R、X、Y、R、およびRがHであるもの、とりわけRがHまたは−CH−CH−OHを含む。
【0131】
ヒドロキサメート化合物の一つの適当な群は、式(Xa):
【化8】


〔式中、
は0−3であり、
はH、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、アルキルシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、−(CH)C(O)R、アミノアシルおよび−(CH)から選択され;
'はヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル(例えば、ピリジルメチル)、芳香族性多環、非芳香族性多環、アリールと非アリールの混合多環、ポリヘテロアリール、またはアリールと非アリールの混合ポリヘテロ環から選択される)]
の化合物、またはその薬学的に許容される塩であるものである。
【0132】
ヒドロキサメート化合物の他の適当な群は、
が0−3であり、
がH、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、アルキルシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、−(CH)C(O)R、アミノアシルおよび−(CH)から選択され;
'がアリール、アリールアルキル、芳香族性多環、非芳香族性多環、およびアリールと非アリールの混合多環;とりわけアリール、例えばp−フルオロフェニル、p−クロロフェニル、p−O−C−C−アルキルフェニル、例えばp−メトキシフェニル、およびp−C−C−アルキルフェニル;およびアリールアルキル、例えばベンジル、オルト、メタもしくはパラ−フルオロベンジル、オルト、メタもしくはパラ−クロロベンジル、オルト、メタもしくはパラ−モノ、ジまたはトリ−O−C−C−アルキルベンジル、例えばオルト、メタもしくはパラ−メトキシベンジル、m,p−ジエトキシベンジル、o,m,p−トリメトキシベンジル、およびオルト、メタもしくはパラ−モノ、ジまたはトリC−C−アルキルフェニル、例えばp−メチル、m,m−ジエチルフェニルである式(Xa)の化合物、またはその薬学的に許容される塩である。
【0133】
他の興味深い群は、式(Xb):
【化9】


〔式中、
'はH、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、シクロアルキルアルキル(例えば、シクロプロピルメチル)、(CH)2−4OR21(ここで、R21はH、メチル、エチル、プロピル、およびi−プロピルである)から選択され、そして
”は非置換1H−インドール−3−イル、ベンゾフラン−3−イルまたはキノリン−3−イル、または置換1H−インドール−3−イル、例えば5−フルオロ−1H−インドール−3−イルまたは5−メトキシ−1H−インドール−3−イル、ベンゾフラン−3−イルまたはキノリン−3−イルである。〕
の化合物、またはその薬学的に許容される塩である。
【0134】
他の興味深いヒドロキサメート化合物の群は、式(Xc):
【化10】


〔式中、
含有環は芳香族性または非芳香族性であり、この非芳香環は飽和または不飽和であり、
はO、SまたはN−R20であり、
R18はH、ハロ、C−Cアルキル(メチル、エチル、t−ブチル)、C−Cシクロアルキル、アリール、例えば非置換フェニルまたは4−OCHもしくはは4−CFで置換されたフェニル、またはヘテロアリール、例えば2−フラニル、2−チオフェニルまたは2−、3−もしくは4−ピリジルであり;
20はH、C−Cアルキル、C−Cアルキル−C−Cシクロアルキル(例えば、シクロプロピルメチル)、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル(例えば、ベンジル)、ヘテロアリールアルキル(例えば、ピリジルメチル)、アシル(アセチル、プロピオニル、ベンゾイル)またはスルホニル(メタンスルホニル、エタンスルホニル、ベンゼンスルホニル、トルエンスルホニル)であり
は、独立してH、C−Cアルキル、−OR19、ハロ、アルキルアミノ、アミノアルキル、ハロまたはヘテロアリールアルキル(例えば、ピリジルメチル)である、1個、2個または3個の置換基であり、
19はH、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル(例えば、ベンジル)、ヘテロアリールアルキル(例えば、ピリジルメチル)および−(CHCH=CH(CH)(CH))1−3Hから選択され;
はH、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、アルキルシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、−(CH)C(O)R、アミノアシルおよび−(CH)から選択され;
vは0、1または2であり、
pは0−3であり、そして
qは1−5であり、かつrは0であるか、または
qは0であり、かつrは1−5である。〕
の化合物、またはその薬学的に許容される塩である。他の可変置換基は上記で定義の通りである。
【0135】
とりわけ有用な式(Xc)の化合物は、RがHまたは−(CH)CHOH(ここで、pは1−3である)であるもの、とりわけRがHであるもの;例えばRがHであり、そしてXおよびYが各々Hであり、そしてqが1−3であり、かつrが0であるか、またはqが0であり、かつrが1−3であるもの、とりわけZがN−R20であるものである。これらの化合物の中で、Rは好ましくはHまたは−CH−CH−OHであり、qとrの合計は、好ましくは1である。
【0136】
ヒドロキサメート化合物の他の興味深い群は、式(Xd)
【化11】


〔式中、
はO、SまたはN−R20であり、
R18はH、ハロ、C−Cアルキル(メチル、エチル、t−ブチル)、C−Cシクロアルキル、アリール、例えば、非置換フェニルまたは4−OCHもしくは4−CFで置換されているフェニル、またはヘテロアリールであり、
20はH、C−Cアルキル、C−Cアルキル−C−Cシクロアルキル(例えば、シクロプロピルメチル)、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル(例えば、ベンジル)、ヘテロアリールアルキル(例えば、ピリジルメチル)、アシル(アセチル、プロピオニル、ベンゾイル)またはスルホニル(メタンスルホニル、エタンスルホニル、ベンゼンスルホニル、トルエンスルホニル)であり、
は、独立してH、C1−C6アルキル、−OR19またはハロである1個、2個または3個の置換基であり、
19はH、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル(例えば、ベンジル)、およびヘテロアリールアルキル(例えば、ピリジルメチル)から選択され;
pは0−3であり、そして
qは1−5であり、かつrは0であるか、または
qは0であり、かつrは1−5である。〕
の化合物、またはその薬学的に許容される塩である。他の可変置換基は上記で定義の通りである。
【0137】
とりわけ有用な式(Xd)の化合物は、RがHまたは−(CH)CHOH(ここで、pは1−3である)であるもの、とりわけRがHであるもの;例えばRがHであり、そしてXおよびYが各々Hであり、そしてqが1−3であり、かつrが0であるか、またはqが0であり、かつrが1−3であるものである。これらの化合物の中で、Rは好ましくはHまたは−CH−CH−OHであり、qとrの合計は、好ましくは1である。
【0138】
本発明は、さらに、式(Xe)
【化12】


またはその薬学的に許容される塩に関する。可変置換基は上記で定義の通りである。
【0139】
とりわけ有用な式(Xe)の化合物は、R18がH、フルオロ、クロロ、ブロモ、C−Cアルキル基、置換C−Cアルキル基、C−Cシクロアルキル基、非置換フェニル、パラ位を置換されているフェニル、またはヘテロアリール(例えば、ピリジル)環であるものである。
【0140】
式(Xe)の化合物の他の群は、RがHまたは−(CH)CHOH(ここで、pは1−3である)であるもの、とりわけRがHであるもの;例えば、RがHであり、そしてXおよびYが各々Hであり、そしてqが1−3であり、かつrが0であるか、またはqが0であり、かつrが1−3であるものである。これらの化合物の中で、Rが好ましくはHまたは−CH−CH−OHであり、qとrの合計は、好ましくは1である。これらの化合物の中で、pが好ましくは1であり、そしてRおよびRが好ましくはHである。
【0141】
有用な式(Ie)の化合物の別の群は、R18がH、メチル、エチル、t−ブチル、トリフルオロメチル、シクロヘキシル、フェニル、4−メトキシフェニル、4−トリフルオロメチルフェニル、2−フラニル、2−チオフェニル、または2−、3−もしくは4−ピリジル(ここで、2−フラニル、2−チオフェニルおよび2−、3−もしくは4−ピリジル置換基は、非置換であるか、またはヘテロアリール環について上記の通り置換されている)であり;RがHまたは−(CH)CHOH(ここで、pは1−3である)であるもの;とりわけRがHであり、そしてXおよびYが各々Hであり、そしてqが1−3であり、かつrが0であるか、またはqが0であり、かつrが1−3であるものである。これらの化合物の中で、Rが好ましくはHまたは−CH−CH−OHであり、qとrの合計は、好ましくは1である。
【0142】
20がHまたはC−Cアルキル、とりわけHである、式(Xe)の化合物が、上記の式(Xe)の化合物の各下位群の重要なメンバーである。
【0143】
N−ヒドロキシ−3−[4−[[(2−ヒドロキシエチル)[2−(1H−インドール−3−イル)エチル]−アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミド,N−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(1H−インドール−3−イル)エチル]−アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミドおよびN−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)−エチル]−アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミドまたはそれらの薬学的に許容される塩が、重要な式(Ie)の化合物である。
【0144】
本発明は、さらに式(Xf):
【化13】


の化合物、またはその薬学的に許容される塩に関する。可変置換基は上記で定義の通りである。
【0145】
有用な式(If)の化合物は、RがHまたは−(CH)CHOH(こで、pは1−3である)であるもの、とりわけRがHであるもの;例えば、RがHであり、そしてXおよびYが各々Hであり、そしてqが1−3であり、かつrが0であるか、またはqが0であり、かつrが1−3であるものである。これらの化合物の中で、Rが好ましくはHまたは−CH−CH−OHであり、qとrの合計は、好ましくは1である。
【0146】
N−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(ベンゾフル−3−イル)−エチル]−アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミドまたはその薬学的に許容される塩が、重要な式(Xf)の化合物である。
【0147】
本発明のヒストンデアセチラーゼ阻害剤合成は、すなわち上記であり、かつ上記のFLT−3キナーゼ阻害剤と組み合わせて使用すべきHDAI化合物は、EP1318980およびWO02/22577(それらの全内容を引用により本明細書に包含する)に一般的にかつ具体的に記載のように製造できる。
【0148】
本発明の組み合わせで使用するHDAI化合物は、WO02/22577の実施例B2に記載のヒストンデアセチラーゼ阻害アッセイにおいて、典型的に2μM未満、とりわけ500nM未満、および最も好ましくは100nM未満のIC50を有するものである。
【0149】
本発明は、特に、処置を必要とする哺乳動物に、治療的有効量のFLT−3キナーゼ阻害剤とヒストンデアセチラーゼ阻害剤(HDAI)(各々遊離形または薬学的に許容されるその塩もしくはプロドラッグの形である)の組み合わせを投与することを含む、骨髄異形成症候群、リンパ腫および白血病、特に急性骨髄性白血病(AML)、およびまた例えば結腸直腸癌(CRC)および非小細胞性肺癌(NSCLC)のような固形腫瘍を処置する方法を提供する。
【0150】
好ましくは、本発明は、処置を必要とする哺乳動物に、治療的有効量の式(VII)のN−[(9S,10R,11R,13R)−2,3,10,11,12,13−ヘキサヒドロ−10−メトキシ−9−メチル−1−オキソ−9,13−エポキシ−1H,9H−ジインドロ[1,2,3−gh:3',2',1'−Im]ピロロ[3,4−j][1,7]ベンゾジアゾゾニン−11−イル]−N−メチルベンズアミドまたはその薬学的に許容される塩と、N−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)−エチル]−アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミドまたはその薬学的に許容される塩またはプロドラッグまたはN−ヒドロキシ−3−[4−[[(2−ヒドロキシエチル)[2−(1H−インドール−3−イル)エチル]−アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミドまたはその薬学的に許容される塩またはプロドラッグの組み合わせを投与することを含む、骨髄異形成症候群、リンパ腫および白血病、特に急性骨髄性白血病(AML)、およびまた例えば結腸直腸癌(CRC)および非小細胞性肺癌(NSCLC)のような固形腫瘍を有する哺乳動物、とりわけヒトを処置する方法を提供する。
【0151】
他の態様において、本発明は、FLT−3キナーゼ阻害剤およびヒストンデアセチラーゼ阻害剤(HDAI)(各々、遊離形または薬学的に許容される塩もしくははプロドラッグ形である)の組み合わせの、骨髄異形成症候群、リンパ腫および白血病、特に急性骨髄性白血病(AML)、およびまた例えば結腸直腸癌(CRC)および非小細胞性肺癌(NSCLC)のような固形腫瘍の処置における使用に関する。
【0152】
さらなる態様において、本発明は、FLT−3キナーゼ阻害剤およびヒストンデアセチラーゼ阻害剤(HDAI)(各々、遊離形または薬学的に許容される塩もしくははプロドラッグ形である)の組み合わせの、骨髄異形成症候群、リンパ腫および白血病、特に急性骨髄性白血病(AML)、およびまた例えば結腸直腸癌(CRC)および非小細胞性肺癌(NSCLC)のような固形腫瘍の処置用医薬組成物の製造における使用に関する。
【0153】
本発明によって、式(VII)のN−[(9S,10R,11R,13R)−2,3,10,11,12,13−ヘキサヒドロ−10−メトキシ−9−メチル−1−オキソ−9,13−エポキシ−1H,9H−ジインドロ[1,2,3−gh:3',2',1'−Im]ピロロ[3,4−j][1,7]ベンゾジアゾリン−11−イル]−N−メチルベンズアミドまたはその薬学的に許容される塩と、N−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)−エチル]−アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミドまたはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグまたはN−ヒドロキシ−3−[4−[[(2−ヒドロキシエチル)[2−(1H−インドール−3−イル)エチル]−アミノ]メチル)フェニル]−2E−2−プロペンアミドまたはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグのいずれかの組み合わせが、FLT−3キナーゼ阻害剤とヒストンデアセチラーゼ阻害剤(HDAI)の好ましい組み合わせである。
【0154】
骨髄異形成症候群、リンパ腫および白血病、特に急性骨髄性白血病(AML)、およびまた例えば結腸直腸癌(CRC)および非小細胞性肺癌(NSCLC)のような固形腫瘍の処置のための、FLT−3キナーゼ阻害剤およびヒストンデアセチラーゼ阻害剤(HDAI)(各々、遊離形または薬学的に許容される塩もしくははプロドラッグ形である)の組み合わせは、組み合わせパートナーの自由なまたは固定された組み合わせであり得る。
【0155】
一つの局面において、本発明はまた同時の、併用した、別々のまたは連続した使用のための、(a)FLT−3阻害剤、とりわけ本明細書で具体的に記載したFLT−3阻害剤、特に好ましいとして記載したもの、および(b)HDAI、とりわけ本明細書で具体的に記載したHDAI、特に好ましいとして記載したものを含む組み合わせ、例えば組み合わせ製剤または医薬組成物にも関する(ここで、活性成分(a)および(b)は、いずれも遊離形でまたは薬学的に許容される塩の形で存在する)。
【0156】
“組み合わせ製剤”は、上記で定義の組み合わせパートナー(a)および(b)が、独立して、または、組み合わせパートナー(a)および(b)の区別できる量の異なる固定された組み合わせの使用により、すなわち、同時に、併用して、別々にまたは連続して投与できる点で、とりわけ“複数部分のキット”である。複数部分のキットのパーツは、例えば、同時にまたは時間的にずらして、すなわち、複数部分のキットの任意のパートについて等しいまたは異なる時間間隔で、異なる自伝て投与できる。組み合わせ製剤において投与すべき組み合わせパートナー(a)の組み合わせパートナー(b)に対する総量の比率は、例えば、処置すべき患者の下位集団の必要性に合うように、または、患者の特定の疾患、疾患の重症度、年齢、性別、体重などのために異なる必要性が発生し得る、単独の患者の必要性に合うように変化できる。
【0157】
上記のように、前記の疾患および状態を処置するための用いるべきFLT−3阻害剤およびHDAIの厳密な用量は、宿主、処置している疾患の性質および重症度、投与の形態を含む、数種の因子に依存する。しかしながら、一般に、FLT−3阻害剤を、0.1から10mg/体重kg、好ましくは1から5mg/体重kgの1日量で、非経腸で、例えば、腹腔内、静脈内、筋肉内、皮下、腫瘍内に、または直腸内に、または経腸的に、例えば、経口で、好ましくは静脈内または、好ましくは経口、静脈内投与したとき、充分な結果が達成できる。ヒト臨床試験において、225mg/日の合計量が、最も最大耐量(MTD)でありそうであった。好ましい静脈内1日量は、0.1から10mg/体重kgであるか、または、ほとんどの大型霊長類に関して、200−300mgである。典型的な静脈内投与量は、1週間3回から5回、3から5mg/kgである。
【0158】
もっとも好ましくは、FLT−3阻害剤、とりわけミドスタウリンを、経口で、マイクロエマルジョン、軟ゲルまたは固体分散の投与形で、約250mg/日までの、特に225mg/日の用量で、1日1回、2回または3回投与する。
【0159】
通常、低用量を最初に投与し、処置したの宿主について最適用量が決定されるまで、投与量を徐々に増加する。投与量の上限は、副作用により強いられるものであり、処置している宿主の試験により決定できる。
【0160】
FLT−3阻害剤およびHDAI化合物は、1個またはそれ以上の薬学的に許容される担体および、所望により、1個またはそれ以上の他の慣用の医薬的アジュバントと組み合わせてよく、そして経腸的に、例えば経口で、錠剤、カプセル、カプレットなどの形で、または非経腸的に、例えば、腹腔内または静脈内に注射用溶液もしくは懸濁液の形で投与する。経腸および非経腸組成物は、慣用の手段で製造できる。
【0161】
本発明の輸液は、好ましくは滅菌である。これは、例えば、滅菌濾過膜を通した濾過により、容易に達成できる。液体形のすべての組成物の無菌形、バイアルへの無菌充填および/または本発明の医薬組成物と適当な希釈剤の滅菌条件下での混合は、当業者に既知である。
【0162】
FLT−3阻害剤およびHDAI化合物は、上記の疾患および状態の処置に有効な量の活性物質を含む、経腸および非経腸医薬組成物に、このような単位用量形のこのような組成物および薬学的に許容される担体を含むこのような組成物に製剤できる。
【0163】
FLT−3阻害剤の有用な組成物の例は、欧州特許0296110、0657164、0296110、0733372、0711556、0711557に記載されている。
【0164】
好ましいFLT−3阻害剤の組成物は、1995年6月14日公開の欧州特許0657164に記載されている。記載の医薬組成物は、飽和ポリアルキレングリコールグリセリド中の式(I)の化合物、例えばミドスタウリンの溶液または分散を含み、ここで、グリコールグリセリドは、1個またはそれ以上のC−C18飽和脂肪酸のグリセリルおよびポリエチレングリコールエステルの混合物である。
【0165】
FLT−3阻害剤のこのような組成物の2種の製造法を以下に記載する。
【0166】
組成物A:Gelucire 44/14(82部)を60℃への加熱により融解する。粉末のミドスタウリン(18部)を、融解物質に添加する。得られた混合物を均質化し、得られた分散を、一方が25mg用量の、他方が75mg用量のミドスタウリンを含むように、異なるサイズの硬ゼラチンカプセルに充填する。得られたカプセルは、経口投与に適する。
【0167】
組成物B:Gelucire 44/14(86部)を60℃への加熱により融解する。粉末のミドスタウリン(14部)を、融解物質に添加する。得られた混合物を均質化し、得られた分散を、一方が25mg用量の、他方が75mg用量のミドスタウリンを含むように、異なるサイズの硬ゼラチンカプセルに充填する。得られたカプセルは、経口投与に適する。
【0168】
Gelucire 44/14は、Gattefosseから市販されている;約1500の分子量を有するC−C18飽和脂肪酸とグリセロールおよびポリエチレングリコールのエステルの混合物であり、脂肪酸成分の組成の明細は、4−10%カプリル酸、3−9%カプリン酸、40−50%ラウリン酸、14−24%ミリスチン酸、4−14%パルミチン酸および5−15%ステアリン酸である。
【0169】
Gelucire製剤の好ましい例は:
Gelucire (44/14):47g
ミドスタウリン:3.0g、60mL ネジ切りフラスコに充填
から成る
【0170】
軟ゲルの好ましい例は、下記マイクロエマルジョンを含む:
【表1】

しかしながら、これは、説明の目的のためのみであることを明白に理解すべきである。
【0171】
下記の試験法により、FLT−3阻害剤およびHDAI化合物の組み合わせが、いずれかの薬剤単独での処置よりも有効であることが示され得る。これらの試験において、FLT−3チロシンキナーゼの構造的に活性な変異体または野生型のいずれかを発現する、ヒトAML細胞に対する、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、好ましくはシンナミルヒドロキサメート、およびFLT−3キナーゼ阻害剤、好ましくは4−ベンジルスタウロスポリンにより誘導される細胞サイクル効果およびアポトーシスを測定する。
【0172】
抗−FLT−3またはホスホ(p)−FLT−3抗体を使用する、新規に開発されたフローサイトメトリー(FCM)アッセイを使用して、MV4−11(MV)細胞がFLT−3およびpFLT−3の両方を発現するが、RS4−11(RS)がFLT−3しかそれらの細胞表面に発現しないことを証明する。20から200nMの好ましいFLT−3阻害剤への暴露は、細胞サイクルのG1相蓄積を誘発し、用量依存的に、MV細胞の方が、RS細胞よりも明白によりアポトーシスを誘発する。これは、ウェスタン分析により測定して、p−FLT−3、p−AKTおよびp−ERK1/2の著しい減弱と関連するが、FLT−3、AKTまたはERK1/2レベルとは関係しない。好ましいFLT−3阻害剤はまたMV細胞上へのp−FLT−3の表面発現を阻害するが、FLT−3はしない(FCMで測定できる)。好ましいFLT−3阻害剤と対照的に、好ましいHDAI化合物れの処置は、ウェスタンおよびFCM分析の両方で測定できるように、MVおよびRS細胞の両方で、用量依存的にFLT−3およびp−FLT−3レベルを減弱させる。好ましいHDAI化合物(20から100nM)への暴露はまたp−FLT−3、p−AKTおよびp−ERK1/2のレベルを下方制御する。意味深いことに、好ましいFLT−3阻害剤と好ましいHDAI化合物での併用処置は、MVおよびRS細胞のアポトーシスを驚くべきことに誘発する。これは、MV細胞におけるp−FLT−3、p−AKTおよびp−ERK1/2のより大きな減弱と関連する。
【0173】
好ましくは、少なくとも1個の優れた効果、例えば、第一および第二活性成分の効果の相互の増強、特に相乗作用、例えば相加効果以上、さらなる有利な効果、少ない副作用、、第一および第二活性成分の一方または両方の組み合わせなければ非有効量である投与量での組み合わせ治療効果、および特に活性成分の強い相乗効果がある。
【0174】
組み合わせにおけるFLT−3阻害剤/HDAI化合物のモル比は、一般に1/10から10/1、好ましくは1/5から5/1、例えば1/2、1/1、2/1または3/1である。
【0175】
再発したAMLの患者由来の高p−FLT−3発現する初代白血病芽球の3個のサンプルにおいて、好ましいFLT−3阻害剤と好ましいHDAI化合物の化合物はまた、より相乗的な、好ましくは付加的な方法で、よりアポトーシスを誘発し、p−FLT−3を減弱する。結論として、これは、初めて、a)好ましいFLT−3阻害剤と好ましいHDAI化合物の組み合わせが、構造的に活性なFLT−3チロシンキナーゼを伴うヒトAML細胞のp−FLT−3、p−AKTおよびp−ERK1/2の減弱におよびアポトーシスの誘発に非常に有効であり、そしてb)FCM−ベースのアッセイは、AMLをp−FLT−3およびFLT−3の構造的に高い細胞表面発現を有するものと区別するのに、ならびにAML細胞におけるp−FLT−3キナーゼの阻害剤に対する応答の評価に有用であり得ることを、明らかに証明する。
【0176】
フローサイトメトリーアッセイを使用した、表面FLT−3キナーゼとホスホ(P Y591)FLT−3キナーゼの急性白血病細胞の同時の測定は、下記の通り行うことができる:
白血病細胞を4℃で、1000rpmで5分スピニングすることにより回収する。細胞を、2回冷リン酸緩衝食塩水(PBS)(1×)で洗浄する。同数の細胞をFLT−3およびp−FLT−3分析に使用する。
【0177】
表面FLT−3発現に関して、細胞を、氷上で30分、3%ウシ胎児血清(FBS)含有PBS(1×)(遮断緩衝液)中でインキュベートする。続いて細胞を2回冷PBS(1×)で洗浄する。次いで、細胞を遮断緩衝液で希釈した、0.2μgの抗−FLT−3抗体(sc-19635, Santa Cruz Biotechnology, CA)または濃度を合わせたアイソタイプ、コントロール抗体(IgG1, Caltag, Burlingame, CA)のいずれかとインキュベートし、氷上に1時間置く。次いで、細胞を2回PBS(1×)で洗浄し、FITC−結合二次抗体(Molecular Probes, Eugene, OR)と、さらに30分、氷上でインキュベートする。次いで、細胞を2回PBS(1×)で濯ぎ、400μL PBS(1×)に再懸濁する。蛍光をFACScan Cytometer(San Jose, CA)で測定する。
【0178】
p−FLT−3発現を測定するために、白血病細胞を固定し、透過性にする。細胞を1%ホルムアルデヒドに、37度で10分固定し、続いて、氷上で10分インキュベートする。次いで、細胞を沈降させ、それらを氷冷90%メタノール中に30分再懸濁することにより透過性化する。この後、細胞を遮断緩衝液(0.5%BSA含有PBS(1×))で2回洗浄し、次いで、遮断緩衝液中で、さらに10分、室温(RT)でインキュベートする。次に、この細胞に0.4μgのp−FLT−3に対するモノクローナル抗体(Cell Signaling, Beverley, MA)またはアイソタイプコントロール抗体(IgG2b, Caltag, Burlingame, CA)のいずれかを添加し、次いで、細胞を室温で30分インキュベートする。次いで、細胞を2回遮断緩衝液で濯ぎ、その後FITC−結合二次抗体(Molecular Probes, Eugene, OR)とインキュベーションする。30分のインキュベーション後、細胞をPBS(1×)で2回洗浄し、400μlのPBS(1×)に再懸濁し、FACScanで分析する。
【0179】
実施例1
試験設計:試薬:LAQ824およびPKC412は、Novartis Pharmaceutical Inc. (East Hanover, NJ)から提供された。免疫ブロット分析のための抗体は下記の通り購入した:FLT−3、STAT5およびc−MycはSanta Cruz Biotechnology Inc. (Santa Cruz, CA)から;p−FLT−3およびp−ERK1/2はCell Signaling Technology(Beverly, MA)から;p−STAT5はUpstate Biotechnology, Inc. (Lake Placid, NY)からおよびオンコスタチンMはR & D Systems Inc. (Minneapolis, MN)から。これらの試験で使用した抗体の他の供給源は、前記でしている。
【0180】
細胞:急性白血病MV4−11(FLT−3のエキソン14に30塩基対長ITDを含む)およびRS4−11(野生型FLT−3を含む)細胞を、American Tissue Culture Collection(Manassas, VA)から得て、前記の通り培養して維持した。再発したAMLの4名の患者由来の初代白血病芽球を前記のように、回収し、精製し、その地域の施設内倫理委員会(IRB)により認可されたプロトコールで試験した。
【0181】
細胞サイクル状態のおよびアポトーシス評価のためのフローサイトメトリー:細胞サイクル状態および細胞のG1下アポトーシス集団のフローサイトメトリー評価を行った。
【0182】
生存不可能およびアポトーシス細胞の%の評価:初代AML細胞をトリパンブルー(Sigma, St. Louis, MO)で染色した。生存不可能細胞の数を、血球計でのトリパンブルー取り込みを示す細胞の計数により決定し、非処置コントロール細胞の%として報告した。アポトーシス細胞の%をフローサイトメトリーにより測定した。
【0183】
ウェスタンブロット分析:非処置および薬剤処置細胞由来のタンパク質のウェスタン分析を行った。
【0184】
FLT−3の自己リン酸化:抗−FLT−3抗体とのインキュベーションに続き、プロテインGアガロースビーズを洗浄し、前記の通りの非処置または薬剤処置細胞の細胞融解物とインキュベートした。免疫沈降物を洗浄し、タンパク質をSDSサンプルローディングバッファーと共に溶出し、続いて抗ホスホチロシン抗体(PharMingen, San Diego, CA)とSDS−PAGE免疫ブロットした。
【0185】
FLT−3 mRNAレベルについてのRT−PCRアッセイ:RT−PCR分析を、先に記載のように行った。FLT−3ITDの検出のためのプライマー配列は下記の通りであった:前向きプライマー:5'-TGT CGA GCA GTA CTC TAA ACA-3'、後向きプライマー:5'-ATC CTA GTA CCT TCC CAA ACT C-3'。β−アクチンについて、プライマー配列は下記の通りであった:前向きプライマー:5'-CTACAA TGA GCT GCG TGT GG-3'および後向きプライマー:5'-AAG GAA GGC TGG AAG AGT GC-3'。増殖産物のサイズは、各々FLT−3にいては395塩基対、およびβ−アクチン産物については527塩基対であった。
【0186】
STAT5aの塩基泳動移動度シフトアッセイ(EMSA):非処置またはLAQ824および/またはPKC412処置細胞を融解し、核抽出物を得て、STAT5aのDNA結合活性についてEMSAを行った。
【0187】
結論および考察:10.0から50nM LAQ824への48時間の暴露は、RS4−11細胞よりもMV4−11においてアポトーシスを用量依存的に、カスパーゼ−3のPARP開裂活性のより大きな誘発と共に誘導した。LAQ824処置は、細胞サイクルのG1相にあるMV4−11(RS4−11細胞より多く)の割合を増加させ、これは細胞のサブディプロイド(sub-diploid)アポトーシス集団の増加と附随した(p<0.01)(データは示していない)。LAQ824処置はp21を誘発したが、MV4−11においてp−FLT−3およびFLT−3発現を減弱させ、およびRS4−11細胞においてFLT−3レベルを減弱させ、p−FLT−3レベルのLAQ824介在減少は、表1に示すように、最もその自己リン酸化の阻害によるものでありそうである。
【0188】
【表2】

【0189】
最近FLT−3、およびとりわけp−FLT−3が、クライアントタンパク質として、hsp90とシャペロン結合を有し、hsp90の阻害剤がこの結合を破壊し、FLT−3のポリユビキチン化およびプロテオソーム的(proteosomal)分解を指示することが示されている。さらに、我々の最近の発見は、LAQ824での処置が、ヒストンH3およびH4のアセチル化をもたらすことに加えて、hsp90のアセチル化をもたらし、これが、とりわけ、それらが異性体配置、例えばBcr−Ablを有するとき、そのシャペロン機能を阻害し、そのクライアントタンパク質のプロテオソーム的分解を促進することを証明している。これらの報告と一致して、プロテアソーム阻害剤PS−341での併用処置は、MV4−11細胞におけるp−FLT−3およびFLT−3のLAQ824介在減弱を再蓄積した。さらに、50nMまでのLAQ824での阻害は、MV4−11細胞におけるFLT−3のmRNA転写レベルの阻害をせず、転写下方制御が、MV4−11細胞におけるFLT−3のLAQ824介在抑制に著しく関与している機構であるとの可能性を除外する。パン−カスパーゼ阻害剤であるzVAD−fmkが、LAQ824処置により減少したFLT−3のレベルを再蓄積せず、この減少がLAQ824での処置により誘発されたカスパーゼによるFLT−3プロセッシングによるものではなさそうであることは注目に値する。
【0190】
最近の試験は、FLT−3活性が、STAT−5リン酸化、ならび、増殖性および/または延命効果を付与する数個の遺伝子、特にc−Myc、オンコスタチンMおよびPim−2のトランス活性化を誘発することを示している。この機能は、また、下流リン酸化ならびにERK1/2およびAKTの活性により強められ得る。これと一致して、FLT−3のLAQ824介在下方制御は、MV4−11およびRS4−11細胞中のp−STAT5およびpAKTの減弱に関与するが、一方、pERK1/2レベルは、MV4−11細胞においてのみ阻害された。p−STAT5のLAQ824による阻害は、そのDNA結合活性の減弱と附随した。これは、MV4−11およびRS4−11細胞におけるc−MycおよびオンコスタチンMレベルの下方制御と関連した。我々は、次に、LAQ824との併用処置が、MV4−11細胞をPKC412により誘発されるアポトーシスに感受性にするか否かを測定した。10または20nM LAQ824との併用処置は、20または100nMのPKC412により誘発されるアポトーシスを増強することが示された。いずれかの薬剤単独と比較して、LAQ824(10nM)およびPKC412(100nM)は、p−FLT−3、FLT−3、p−STAT5、p−AKT、pERK1/2およびc−Mycの発現の著しい減少、ならびにPARPの増加したプロセッシングと関連した。加えて、LAQ824とPKC412の組み合わせ処置は、また、いずれかの薬剤単独よりもDNA結合活性を阻害し、結果は、組み合わせによるp−FLT−3レベルの大きな減少と一致した。
【0191】
我々は、次に、LAQ824とPKC412の組み合わせが、再発したAMLの4名の患者の末梢血または骨髄サンプルから単離された初代AML細胞に対する優れた活性を有するかを決定した。示していないが、サンプル#1細胞は塩基対1837から1887の51塩基対のデュプリケーションを含み、サンプル#2細胞は、FLT−3のD835Yに点突然変異を含んだ。サンプル#3および#4は、野生型FLT−3を含んだ。表は、サンプル#1および#2において、LAQ824とPKC412の併用処置が、いずれかの薬剤単独での処置よりも高い生存不可能細胞%をもたらすことを示す。対照的に、これはサンプル#3および#4には当てはまらない。LAQ824への暴露は、生存不可能細胞の%を用量依存的方法で上昇させるが、これはサンプル#1および#2よりも明らかに少なかった。PKC412処置はまたサンプル#1および#2における生存不可能細胞の%を用量依存的方法で上昇させるが、サンプル#3および#4においては全く増加しないか最小の増加しかしなかった。
【0192】
LAQ824とPKC412の併用処置に続いて、サンプル#1の総細胞融解物のウェスタンブロット分析は、いずれかの薬剤単独での処置よりも、p−FLT−3およびFLT−3レベルの大きな低下を示した。これらのデータは、LAQ824およびPKC412の組み合わせは、いずれかの薬剤単独と比較して、変異FLT−3−含有初代AML細胞に対して、野生型よりも高い細胞毒性を発揮することを強く示す。異なる変異はFLT−3キナーゼ阻害剤に対する異なる感受性を有し得るが、これらの発見は、また、変異FLT−3のレベルを減少させる、FLT−3キナーゼ阻害剤だけでなく、LAQ824を含む組み合わせの、AMLにおける臨床効果を調べるための理論的根拠となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳動物における骨髄異形成症候群、リンパ腫および白血病、ならびに固形腫瘍を処置する方法であり、処置を必要とする哺乳動物を、薬学的に有効な量の(a)FLT−3阻害剤またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグ、および(b)ヒストンデアセチラーゼ阻害剤またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグで同時に、併用して、別々にまたは連続して処置することを含む、方法。
【請求項2】
急性骨髄性白血病(AML)を処置するための、請求項1記載の方法。
【請求項3】
FLT−3阻害剤がスタウロスポリン誘導体である、請求項1記載の方法。
【請求項4】
スタウロスポリン誘導体が、式
【化1】

〔式中、
およびRは、互いに独立して、非置換もしくは置換アルキル、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、エーテル化もしくはエステル化ヒドロキシ、アミノ、モノ−もしくはジ置換アミノ、シアノ、ニトロ、メルカプト、置換メルカプト、カルボキシ、エステル化カルボキシ、カルバモイル、N−モノ−もしくはN,N−ジ−置換カルバモイル、スルホ、置換スルホニル、アミノスルホニルまたはN−モノ−もしくはN,N−ジ−置換アミノスルホニルであり;
nおよびmは、互いに独立して、0(0を含む)から4まで(4を含む)の数字であり;
n'およびm'は、互いに独立して、1(1を含む)から4まで(4を含む)の数字であり;
、R、RおよびR10は、互いに独立して、水素、いずれの場合も29個までの炭素原子を有する脂肪族、炭素環式もしくは炭素環式−脂肪族ラジカル、いずれの場合も20個までの炭素原子を有し、かついずれの場合も9個までのヘテロ原子を有するヘテロ環式もしくはヘテロ環式−脂肪族ラジカル、30個までの炭素原子を有するアシルであり、ここで、Rはまた存在していなくてよい;
またはRは30個までの炭素原子を有するアシルであり、Rはアシルではなく;
pは、Rが存在しないとき0であり、またはRおよびRの両方が存在し、いずれも上記のラジカルの1個であるとき1であり;
は水素、いずれの場合も29個までの炭素原子を有する脂肪族、炭素環式もしくは炭素環式−脂肪族ラジカルであるか、またはいずれの場合も20個までの炭素原子を有し、かついずれの場合も9個までのヘテロ原子を有するヘテロ環式もしくはヘテロ環式−脂肪族ラジカル、または30個までの炭素原子を有するアシルであり;
、RおよびRはアシルまたは−(低級アルキル)−アシル、非置換もしくは置換アルキル、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、エーテル化もしくはエステル化ヒドロキシ、アミノ、モノ−もしくはジ置換アミノ、シアノ、ニトロ、メルカプト、置換メルカプト、カルボキシ、カルボニル、カルボニルジオキシ、エステル化カルボキシ、カルバモイル、N−モノ−もしくはN,N−ジ−置換カルバモイル、スルホ、置換スルホニル、アミノスルホニルまたはN−モノ−もしくはN,N−ジ−置換アミノスルホニルであり;
Xは2個の水素原子;1個の水素原子とヒドロキシ;O;または水素と低級アルコキシを意味し;
Zは水素または低級アルキルを意味し;
そして波線により特徴付けられる2個の結合のいずれも環Aで存在せず、4個の水素原子で置換されており、そして環Bの波線は、それぞれ各々の平行している結合と共に、二重結合を意味するか;
または波線により特徴付けられる2個の結合は環Bで存在せず、合計4個の水素原子で置換されており、そして環Aの波線は、それぞれ各々の平行している結合と共に、二重結合を意味するか;
または環Aおよび環Bの両方の4個の波線が存在せず、合計8個の水素原子で置換されている。〕
からなる群から選択される化合物、または、塩形成基が存在するとき、その塩である、請求項3記載の方法。
【請求項5】
スタウロスポリン誘導体が、式(I)
【化2】

〔式中、
mおよびnは各々0であり;
およびRは、互いに独立して水素、非置換であるか、または互いに独立してカルボキシ;低級アルコキシカルボニル;およびシアノから選択されるラジカルでモノ−もしくはジ置換、とりわけモノ置換されている低級アルキルであるか;または
は水素または−CHであり、そして
は、部分式R−CO{式中、Rは低級アルキル;アミノ−低級アルキルであり、該アミノ基は保護されていない形か、または低級アルコキシカルボニルで保護されている;テトラヒドロピラニルオキシ−低級アルキル;フェニル;イミダゾリル−低級アルコキシフェニル;カルボキシフェニル;低級アルコキシカルボニルフェニル;ハロゲン−低級アルキルフェニル;イミダゾール−1−イルフェニル;ピロリジノ−低級アルキルフェニル;ピペラジノ−低級アルキルフェニル;(4−低級アルキルピペラジノメチル)フェニル;モルホリノ−低級アルキルフェニル;ピペラジノカルボニルフェニル;または(4−低級アルキルピペラジノ)フェニルである}を有するアシルであるか、
または部分式R−O−CO−{式中、Rは低級アルキルである}を有するアシルであるか;
または部分式RHN−C(=W)−{式中、Wは酸素であり、そしてRは下記の意味を有する:モルホリノ−低級アルキル、フェニル、低級アルコキシフェニル、カルボキシフェニル、または低級アルコキシカルボニルフェニル}を有するアシルであるか;
またはRは低級アルキルフェニルスルホニル、典型的に4−トルエンスルホニルであり;
は水素または低級アルキルであり、
Xは2個の水素原子またはOを意味し;
Zはメチルまたは水素である。〕
のスタウロスポリン誘導体、または、少なくとも1個の塩形成基が存在するとき、その塩である、請求項3記載の方法。
【請求項6】
スタウロスポリン誘導体が、式(VII):
【化3】

のN−[(9S,10R,11R,13R)−2,3,10,11,12,13−ヘキサヒドロ−10−メトキシ−9−メチル−1−オキソ−9,13−エポキシ−1H,9H−ジインドロ[1,2,3−gh:3',2',1'−Im]ピロロ[3,4−j][1,7]ベンゾジアゾリン−11−イル]−Nメチルベンズアミドまたはその塩である、請求項3記載の方法。
【請求項7】
HDAI化合物が、式(X)
【化4】

〔式中、
はH、ハロまたは直鎖C−Cアルキルであり;
はH、C−C10アルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキルアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、−(CH)C(O)R、−(CH)OC(O)R、アミノアシル、HON−C(O)−CH=C(R)−アリール−アルキル−および−(CH)から選択され;
およびRは、同一または異なり、かつ独立してH、C−Cアルキル、アシルまたはアシルアミノであるか、またはRおよびRは、それらが結合している炭素と一体となって、C=O、C=SまたはC=NRを示すか、またはRは、それが結合している窒素と一体となり、かつRは、それが結合している炭素と一体となってC−Cヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、ポリヘテロアリール、非芳香族性ポリヘテロ環またはアリールと非アリールの混合ポリヘテロ環を形成でき;
はH、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、アシル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、芳香族性多環、非芳香族性多環、アリールと非アリールの混合多環、ポリヘテロアリール、非芳香族性ポリヘテロ環、およびアリールと非アリールの混合ポリヘテロ環から選択され;
n、n、nおよびnは、同一または異なり、かつ独立して0−6から選択され、nが1−6であるとき、各炭素原子は、所望によりかつ独立してRおよび/またはRで置換されていてよく;
XおよびYは、同一または異なり、かつ独立してH、ハロ、C−Cアルキル、NO、C(O)R、OR、SR、CNおよびNR1011から選択され;
はH、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、OR12およびNR1314から選択され;
はOR15、SR15、S(O)R16、SO17、NR1314およびNR12SOから選択され;
はH、OR15、NR1314、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキルおよびヘテロアリールアルキルから選択され;
はC−CアルキルおよびC(O)−アルキルから選択され;
10およびR11は、同一または異なり、かつ独立してH、C−Cアルキルおよび−C(O)−アルキルから選択され;
12はH、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキルアルキル、アリール、アリールと非アリールの混合多環、ヘテロアリール、アリールアルキルおよびヘテロアリールアルキルから選択され;
13およびR14は、同一または異なり、かつ独立してH、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、アミノアシルから選択されるか、またはR13およびR14は、それらが結合している窒素と一体となって、C−Cヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、ポリヘテロアリール、非芳香族性ポリヘテロ環またはアリールと非アリールの混合ポリヘテロ環であり;
15はH、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキルおよび(CH)ZR12から選択され;
16はC−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ポリヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキルおよび(CH)ZR12から選択され;
17はC−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、アリール、芳香族性多環、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ポリヘテロアリールおよびNR1314から選択され;
mは、0〜6から選択される整数であり;そして
ZはO、NR13、SおよびS(O)から選択される。〕
のヒストンデアセチラーゼ阻害剤、またはその薬学的に許容される塩である、請求項1記載の方法。
【請求項8】
、X、Y、RおよびRの各々がHである、請求項7記載の方法。
【請求項9】
およびnの一方が0であり、他方が1である、請求項8記載の方法。
【請求項10】
およびnの一方が0であり、他方が1である、請求項9記載の方法。
【請求項11】
ヒストンデアセチラーゼ阻害剤が、式(Xa)
【化5】

〔式中、
は0−3であり、
はH、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、アルキルシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、−(CH)C(O)R、アミノアシルおよび−(CH)から選択され;
'がヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、芳香族性多環、非芳香族性多環、アリールと非アリールの混合多環、ポリヘテロアリール、またはアリールと非アリールの混合ポリヘテロ環である。〕
の化合物、またはその薬学的に許容される塩である、請求項1記載の方法。
【請求項12】
ヒストンデアセチラーゼ阻害剤が、式(Xb):
【化6】

〔式中、
'はH、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、アルキルシクロアルキル、および(CH)2−4OR21(ここで、R21はH、メチル、エチル、プロピルまたはイソプロピルである)から選択され、そして
”は非置換もしくは置換1H−インドール−3−イル、ベンゾフラン−3−イルまたはキノリン−3−イルである。〕
の化合物、またはその薬学的に許容される塩である、請求項1記載の方法。
【請求項13】
ヒストンデアセチラーゼ阻害剤が、式(Xe)
【化7】

またはその薬学的に許容される塩である、請求項1記載の化合物。
【請求項14】
ヒストンデアセチラーゼ阻害剤が、N−ヒドロキシ−3−[4−[[(2−ヒドロキシエチル)[2−(1H−インドール−3−イル)エチル]−アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミド、N−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(1H−インドール−3−イル)エチル]−アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミドおよびN−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)−エチル]−アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミド、もしくは、いずれの場合も、その薬学的に許容される塩から成る群から選択される、請求項1から6のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
骨髄異形成症候群、リンパ腫および白血病ならびに固形腫瘍の処置のための、(a)FLT−3阻害剤および(b)ヒストンデアセチラーゼ阻害剤(HDAI)の組み合わせの使用。
【請求項16】
急性骨髄性白血病(AML)、結腸直腸癌(CRC)または非小細胞性肺癌(NSCLC)の処置のための、請求項15記載の使用。
【請求項17】
FLT−3阻害剤が式(VII):
【化8】

の−[(9S,10R,11R,13R)−2,3,10,11,12,13−ヘキサヒドロ−10−メトキシ−9−メチル−1−オキソ−9,13−エポキシ−1H,9H−ジインドロ[1,2,3gh:3',2',1'−Im]ピロロ[3,4−j][1,7]ベンゾジアゾリン−11−イル]−N−メチルベンズアミドまたはその塩であり、かつHDAIがN−ヒドロキシ−3−[4−[[(2−ヒドロキシエチル)[2−(1H−インドール−3−イル)エチル]−アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミド、N−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(1H−インドール−3−イル)エチル]−アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミドおよびN−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)−エチル]−アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミド、または、いずれの場合も、その薬学的に許容される塩から成る群から選択される、請求項15記載の使用。
【請求項18】
(a)FLT−3阻害剤および(b)ヒストンデアセチラーゼ阻害剤(HDAI)の、骨髄異形成症候群、リンパ腫および白血病ならびに固形腫瘍の処置用薬剤の製造のための、使用。
【請求項19】
急性骨髄性白血病(AML)、結腸直腸癌(CRC)または非小細胞性肺癌(NSCLC)を処置するための、請求項18記載の使用。
【請求項20】
FLT−3阻害剤が、式(VII):
【化9】

の−[(9S,10R,11R,13R)−2,3,10,11,12,13−ヘキサヒドロ−10−メトキシ−9−メチル−1−オキソ−9,13−エポキシ−1H,9H−ジインドロ[1,2,3gh:3',2',1'−Im]ピロロ[3,4−j][1,7]ベンゾジアゾゾニン−11−イル]−N−メチルベンズアミドまたはその塩であり、かつHDAIがN−ヒドロキシ−3−[4−[[(2−ヒドロキシエチル)[2−(1H−インドール−3−イル)エチル]−アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミド、N−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(1H−インドール−3−イル)エチル]−アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミドおよびN−ヒドロキシ−3−[4−[([2−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)−エチル]−アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミド、または、いずれの場合も、その薬学的に許容される塩から成る群から選択される、請求項18記載の使用。
【請求項21】
骨髄異形成症候群、リンパ腫および白血病ならびに固形腫瘍の処置のための、(a)FLT−3阻害剤および(b)ヒストンデアセチラーゼ阻害剤を含む、医薬組成物。
【請求項22】
急性骨髄性白血病(AML)、結腸直腸癌(CRC)または非小細胞性肺癌(NSCLC)を処置するための、請求項21記載の医薬組成物。
【請求項23】
FLT−3阻害剤が、式(VII):
【化10】

の−[(9S,10R,11R,13R)−2,3,10,11,12,13−ヘキサヒドロ−10−メトキシ−9−メチル−1−オキソ−9,13−エポキシ−1H,9H−ジインドロ[1,2,3−gh:3',2',1'−Im]ピロロ[3,4−j][1,7]ベンゾジアゾリン−11−イル]−N−メチルベンズアミドまたはその塩であり、かつHDAIがN−ヒドロキシ−3−[4−[[(2−ヒドロキシエチル)[2−(1H−インドール−3−イル)エチル]−アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミド、N−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(1H−インドール−3−イル)エチル]−アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミドおよびN−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)−エチル]−アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミド、または、いずれの場合も、その薬学的に許容される塩から成る群から選択される、請求項21記載の医薬組成物。


【公表番号】特表2007−501774(P2007−501774A)
【公表日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−522329(P2006−522329)
【出願日】平成16年8月6日(2004.8.6)
【国際出願番号】PCT/EP2004/008848
【国際公開番号】WO2005/014004
【国際公開日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【出願人】(597011463)ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト (942)
【Fターム(参考)】