説明

スタッドボルト及びスタッドボルトの製造方法

【課題】スタッドボルトが立設された被締結部材と、他の被締結部材とを好適に締結することが可能なスタッドボルト及びスタッドボルトの製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】スタッドボルト1は、被締結部材の一方の面に対向する座面12を含む頭部10と、頭部10と一体をなし、被締結部材を貫通する貫通孔に挿入され、被締結部材の他方の面の側において立設する軸部30とを備える。軸部30は、ボルト部32と、頭部10とボルト部32との間で軸部30の外周に形成された環状鍔部34と、頭部10と環状鍔部34との間で軸部30の外周に形成された第一環状溝36と、環状鍔部34とボルト部32との間で軸部30の外周に形成された第二環状溝38とを含む。第一環状溝36の第一溝底径φ1は、環状鍔部34の外径φ2より小径で、第二環状溝38の第二溝底径φ3は、ボルト部32の外径φ4及び環状鍔部34の外径φ2より小径である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スタッドボルト及びスタッドボルトの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、スタッドボルトが用いられている。スタッドボルトは、一の被締結部材に形成された貫通孔に挿入され、一の被締結部材に立設された状態で、一の被締結部材と他の被締結部材とを締結するために用いられる。そして、従来から、スタッドボルトに関する技術が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。
【0003】
特許文献1には、金属基板に頭部をプレス加工により埋設して取付けられるスタッドボルトにおいて、頭部とねじ部との間の軸部に鍔部を一体に突設するとともにこの鍔部と頭部との間に溝部を形成し、かつこの溝部よりも外側に位置した頭部の内面に凹部を設けてなり、プレス時に金属基板の塑性変形する部分が溝部および凹部に充填されるようにしたものが提案されている。
【0004】
特許文献2には、頭部座面に外周方向に延びる凸部を持つ非円形突起を設け、この非円形突起とねじ山が螺設された軸部との接合部近くに薄板状の被締結物が位置する環状溝を設け、さらにこの環状溝に連接して被締結物の下穴を拡開する案内部を設けたねじにおいて、非円形突起と環状溝との間に非円形突起よりも案内部側にわずかに突出する環状リングを設けて、非円形突起の凸部が被締結物を押圧する時に被締結物の余肉の一部を非円形突起の凹部近くの環状溝内に案内するようしたものが提案されている。
【0005】
特許文献3には、板材の孔の一方側から、フランジ状の頭部が圧入埋設されて、その軸部が板材の他方側に植設されるプレス型のスタッドボルトにおいて、頭部に近接して、軸部の外ネジの山部外径に等しい外径の環状突部が軸部に一体に形成され、その環状突部と頭部との間に環状溝が形成されたものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実公昭49−4522号公報
【特許文献2】特開平10−54414号公報
【特許文献3】特開2006−38026号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、スタッドボルトによって締結(固定)される被締結部材の厚みは、種々のものがある。例えば、厚みの薄い被締結部材を締結しなければならない場合もある。そして、スタッドボルトが、いずれの厚みの被締結部材の締結に用いられる場合であっても、その締結は好適に行われる必要がある。ここで、スタッドボルトによる被締結部材の締結を好適に行うためには、次のような点が重要である。すなわち、スタッドボルトを一の被締結部材に好適に固着し立設させた状態とする必要がある。また、スタッドボルトの頭部の座面と、ナットがスタッドボルトにはめ込まれた状態におけるナットの座面との間の距離を、重ねられた状態における被締結部材全体の厚み以下、より好適にはそれ未満とする必要がある。
【0008】
本発明は、スタッドボルトが立設された被締結部材と、他の被締結部材とを好適に締結することが可能なスタッドボルト及びスタッドボルトの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記従来の課題に鑑みなされた本発明の一側面は、被締結部材の一方の面及び他方の面を貫通する貫通孔に、前記一方の面から前記他方の面の側に向けて挿入され、前記他方の面の側において立設した状態で、前記被締結部材に固着されるスタッドボルトであって、前記一方の面に対向する座面を含む頭部と、前記頭部と一体をなし、前記貫通孔に挿入され、前記他方の面の側において立設する軸部とを備え、前記軸部は、ボルト部と、前記頭部と前記ボルト部との間で前記軸部の外周に形成された環状鍔部と、前記頭部と前記環状鍔部との間で前記軸部の外周に形成された第一環状溝と、前記環状鍔部と前記ボルト部との間で前記軸部の外周に形成された第二環状溝とを含み、前記第一環状溝の第一溝底径は、前記環状鍔部の外径より小径で、前記第二環状溝の第二溝底径は、前記ボルト部の外径及び前記環状鍔部の外径より小径であることを特徴とするスタッドボルトである。
【0010】
これによれば、ボルト部における不完全ねじ部が小さなスタッドボルトとすることができる。すなわち、第二環状溝を、ボルト部を形成するためのねじ切りの際の逃げ部として機能させることができる。そのため、ボルト部の完全ねじ部を頭部の側に近接して配置させることが可能となり、頭部に、より近接した位置までナットをはめ込むことができる。
【0011】
このスタッドボルトは、次のような構成とすることもできる。すなわち、前記頭部は、前記座面から前記軸部の側に突出するように、前記第一環状溝に隣接して前記座面に形成された台座部と、前記台座部の外周から前記頭部の外周側に延在するように、前記座面に形成された凹凸部とを含み、前記台座部の外径は、前記環状鍔部の外径より大径であることを特徴としてもよい。
【0012】
これによれば、スタッドボルトを被締結部材に固着させる際、被締結部材の一方の面に対向する座面から軸部の側に突出し、第一環状溝に隣接した台座部によって、この台座部に対向する被締結部材の部分を、第一環状溝の側に塑性変形させることができる。そして、第一環状溝が塑性変形された被締結部材の部分で充填され、軸部の挿入方向及びこれと反対の方向において、スタッドボルトを好適に被締結部材に固着させることができる。また、スタッドボルトを被締結部材に固着させる際、台座部の外周から頭部の外周側に延在するように、被締結部材の一方の面に対向する座面に形成された凹凸部の凸部を、凹凸部に対向する被締結部材の一方の面にくい込ませ、被締結部材の部分を凹凸部の凹部の側に塑性変形させることができる。そして、凹部が塑性変形された被締結部材の部分で充填され、回転不能な状態でスタッドボルトを好適に被締結部材に固着させることができる。すなわち、このスタッドボルトによれば、被締結部材に固着されたスタッドボルトの抜け落ちに対する耐押出荷重を、台座部による被締結部材の塑性変形によって確保し、同じくスタッドボルトの回転に対する耐トルク負荷を、凹凸部によって確保することができる。
【0013】
また、前記凹凸部を形成する凸部は、前記凸部の突出方向に向けて先すぼまり状に形成されていることを特徴としてもよい。これによれば、凸部を被締結部材の一方の面にくい込ませるための荷重を低減させることができる。そして、凸部を被締結部材の一方の面にくい込ませた状態において、凸部と被締結部材との接触面積を大きくすることができる。
【0014】
また、前記台座部を形成し、前記第一環状溝に隣接する台座面は平面であることを特徴としてもよい。これによれば、台座部と被締結部材の一方の面との接触が面接触となり、台座部に対向する被締結部材の部分を、第一環状溝の側にスムーズに塑性変形させることができる。
【0015】
また、本発明の他の側面は、被締結部材の一方の面に対向する座面を含む頭部と、前記頭部と一体をなし、前記一方の面及び前記被締結部材の他方の面を貫通する貫通孔に挿入され、前記他方の面の側において立設する軸部とを備え、前記軸部が、ボルト部と、前記頭部と前記ボルト部との間で前記軸部の外周に形成された環状鍔部と、前記頭部と前記環状鍔部との間で前記軸部の外周に形成された第一環状溝と、前記環状鍔部と前記ボルト部との間で前記軸部の外周に形成された第二環状溝とを含み、前記第一環状溝の第一溝底径は、前記環状鍔部の外径より小径で、前記第二環状溝の第二溝底径は、前記ボルト部の外径及び前記環状鍔部の外径より小径であるスタッドボルトの製造方法であって、棒状の素材を圧造して前記頭部を形成する頭部圧造工程と、前記素材を圧造して前記軸部を形成する軸部圧造工程とを含み、前記軸部圧造工程では、前記第二環状溝が形成される前記素材の部分を、前記頭部の側に塑性変形させ、前記素材の部分を凹状として前記第二環状溝を形成するとともに、塑性変形された前記素材の部分を、前記素材の外径方向に隆起させて前記環状鍔部を形成し、前記環状鍔部を形成することで前記第一環状溝を形成することを特徴とする製造方法である。
【0016】
これによれば、上述した優れた機能を奏するスタッドボルトを好適に製造することができる。なお、この本発明の他の側面は、本発明の一側面に係るスタッドボルトに構成を追加した上述のスタッドボルトの製造方法として、特定することもできる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、スタッドボルトが立設された被締結部材と、他の被締結部材とを好適に締結することが可能なスタッドボルト及びスタッドボルトの製造方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】スタッドボルトを示す図である。(a)は正面図であり、(b)は底面図であり、(c)は図1(a)に示すA部の拡大図であり、(d)は図1(b)に示すB−B線断面図である。
【図2】(a)〜(c)は、スタッドボルトを被締結部材に固着するための各状態を示す図である。
【図3】(a)〜(g)は、スタッドボルトの製造方法の第一工程〜第三工程を説明する図である。(a)は第一工程で形成される構成の正面図であり、(b)は同底面図である。(c)は第二工程で形成される構成の正面図であり、(d)は同底面図である。(e)は第三工程で形成される構成の正面図であり、(f)は同底面図である。(g)は図3(e)に示す構成のうち、台座部及び棒状の素材の小径部を拡大した図である。
【図4】(h)〜(m)は、スタッドボルトの製造方法の第四工程〜第五工程を説明する図である。(h)は第四工程で形成される構成の正面図であり、(i)は同底面図である。(j)は図4(h)に示す構成のうち、台座部、環状鍔部、第一環状溝、第二環状溝及び棒状の素材の小径部を拡大した図である。(k)は第五工程で形成される構成の正面図であり、(l)は同底面図である。(m)は図4(k)に示す構成のうち、台座部、環状鍔部、第一環状溝、第二環状溝及びボルト部を拡大した図である。
【図5】(a)〜(c)は、スタッドボルトの製造方法について比較対象のスタッドボルトの製造方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明を実施するための実施形態について、図面を参照して説明する。本発明は、以下に記載の構成に限定されるものではなく、同一の技術的思想において種々の構成を採用することができる。例えば、以下に示す構成の一部は、省略し又は他の構成等に置換してもよい。また、他の構成を含むようにしてもよい。
【0020】
(スタッドボルト)
スタッドボルト1について、図1(a)〜(d)及び図2(a)〜(c)を参照して説明する。スタッドボルト1は、従来から用いられている公知の各種ボルトと同一の材質で形成される。例えば、クロム・モリブデン鋼等の鋼材等によって形成される。スタッドボルト1は、図1(a),(b)に示すように、頭部10と、軸部30とを備える。軸部30と頭部10とは、一体をなす。軸部30は、図2(a)〜(c)に示すように、被締結部材50の一方の面52及び他方の面54を貫通する貫通孔56に挿入される。すなわち、スタッドボルト1は、被締結部材50の貫通孔56に、一方の面52から他方の面54の側に向けて挿入され、他方の面54の側において立設した状態で、被締結部材50に固着される。
【0021】
頭部10は、座面12を含む。頭部10を形成する座面12は、被締結部材50の一方の面52に対向する。また、頭部10は、台座部14と、凹凸部18とを含む。台座部14は、座面12から軸部30の側に突出するように、後述する軸部30の第一環状溝36に隣接して座面12に形成されている。台座部14は、台座面16を含む。台座部14を形成する台座面16は、第一環状溝36に隣接する平面である。凹凸部18は、台座部14の外周から頭部10の外周側に延在するように、座面12に形成されている。凹凸部18は、複数の凸部20と複数の凹部22とが、等間隔で繰り返して形成されて構成されている。各凸部20は、図1(c)に示すように、凸部20の突出方向に向けて先すぼまり状に形成されている。具体的に、凸部20は、その先端が鋭角な角度θに形成されている。ここで、座面12を基準とした、台座部14及び凸部20の軸心方向の高さに関し、図1(a)に示すように、台座部14の高さH1は、凸部20の高さH2と比較し、高く設定されている。
【0022】
軸部30は、ボルト部32と、環状鍔部34と、第一環状溝36と、第二環状溝38とを含み、これら各部によって形成されている。ボルト部32は、雄ねじを構成する。ボルト部32には、スタッドボルト1が立設される被締結部材50と、他の被締結部材(図2(a)〜(c)において図示を省略)とを締結するために、ナット(図2(a)〜(c)において図示を省略)がはめ込まれる(螺合される)。環状鍔部34は、頭部10とボルト部32との間で軸部30の外周に形成されている。第一環状溝36は、頭部10と環状鍔部34との間で軸部30の外周に形成されている。第二環状溝38は、環状鍔部34とボルト部32との間で軸部30の外周に形成されている。
【0023】
スタッドボルト1において、第一環状溝36の第一溝底径φ1は、図1(d)に示すように、環状鍔部34の外径φ2より小径である。第二環状溝38の第二溝底径φ3は、同じく図1(d)に示すように、ボルト部32の外径φ4及び環状鍔部34の外径φ2より小径である。台座部14の外径φ5は、同じく図1(d)に示すように、環状鍔部34の外径φ2より大径である。なお、第一環状溝36の第一溝底径φ1は、環状鍔部34の外径φ2より小径であるため、台座部14の外径φ5は、第一環状溝36の第一溝底径φ1より大径となる。
【0024】
次に、スタッドボルト1の被締結部材50への固着について、図2(a)〜(c)を参照して説明する。なお、図2(b),(c)では、台座部14と被締結部材50との関係等を明らかにするため、凹凸部18の一部についてその図示を省略している。固着の作用を開始した作業者は、図2(a)に示すように、貫通孔56にスタッドボルト1の軸部30を挿入する。軸部30は、被締結部材50の一方の面52の側から他方の面54の側に向けて挿入される。
【0025】
ここで、貫通孔56は、環状鍔部34の外径φ2より僅かに大きく、環状鍔部34と嵌合する直径の貫通孔とされている。したがって、図2(a)の状態から、さらに他方の面54の側に軸部30が挿入されたとき、環状鍔部34は、環状鍔部34と貫通孔56とがすきまばめのような状態で、貫通孔56に挿入される。すなわち、スタッドボルト1は、図2(b)に示すように、貫通孔56に対してセンタリングされた状態で貫通孔56に挿入される。なお、図2(b)に示す一点鎖線は、スタッドボルト1の軸心及び貫通孔56の中心線を示すものであって、両者が一致している状態を概念的に示している(図2(c)についても同じ)。そして、スタッドボルト1は、図2(b)に示すように、台座部14が被締結部材50の一方の面52に接した状態となる。詳細には、台座面16が、一方の面52の側であって貫通孔56の開口縁部に面接触した状態となる。
【0026】
図2(b)の状態において作業者は、プレス機等の所定の装置等を用いて頭部10を他方の面54の側に押圧し、スタッドボルト1をさらに他方の面54の側に挿入する。すなわち、作業者は、頭部10を押圧し、台座部14を被締結部材50の一方の面52にくい込ませる。これによって、台座面16に面接触した一方の面52の開口縁部は、スタッドボルト1の挿入方向に一致する第一環状溝36の側に塑性変形する。すなわち、塑性変形した一方の面52の開口縁部は、図2(c)に示すように、台座部14に隣接する第一環状溝36の側に塑性変形し、第一環状溝36に充填される。
【0027】
ここで、スタッドボルト1では、台座面16と面接触し、スタッドボルト1の挿入によって第一環状溝36に充填される、一方の面52の開口縁部の体積が、第一環状溝36の溝部容積より大きくなるように設定されている。換言すれば、スタッドボルト1では、貫通孔56の直径(環状鍔部34の外径φ2より僅かに大きい略同一径)に対して、台座部14の外径φ5は、塑性変形する開口縁部の体積が第一環状溝36の溝部容積より大きくなるように設定されている。
【0028】
なお、スタッドボルトの被締結部材への固着に際し、第一環状溝36に相当する環状溝に充填される被締結部材の部分の体積、つまり塑性変形する被締結部材の部分の体積が、この環状溝の溝部容積より小さく設定されていると、次のような状態となる。すなわち、このような場合には、この環状溝の全体に被締結部材の部分が充填されない。そして、スタッドボルトが被締結部材に固着された状態で、この環状溝の内部には未充填の空隙が形成される。したがって、被締結部材に固着されたスタッドボルトの抜け落ちに対する耐押出荷重が低下する。そのため、別途対策が必要となる場合もある。
【0029】
また、頭部10が図2(b)に示す状態から押圧され、台座部14の高さH1と凸部20の高さH2(高さH1,H2について図1(a),(c)及び図3(g)参照)との差分ΔHだけ、台座部14が被締結部材50の一方の面52にくい込んだとき、突出方向に向けて先すぼまり状に形成されている凸部20の先端が一方の面52に接する。そして、さらに押圧されると、凸部20は、図2(c)に示すように、一方の面52にくい込む。これによって、凸部20に接した一方の面52の部分は、凹部22の側に塑性変形し、凹部22に充填される。
【0030】
このように、スタッドボルト1は、図2(c)に示すように、貫通孔56に対してセンタリングされて被締結部材50に固着される。なお、スタッドボルト1が被締結部材50に固着された後、被締結部材50の他方の面54の側に立設しているスタッドボルト1は、被締結部材50に締結される他の被締結部材に形成された貫通孔に通される。そして、被締結部材50と他の被締結部材とが重ねられた状態で、ボルト部32にナットがはめ込まれる。これによって、被締結部材50と他の被締結部材とは、スタッドボルト1とナットとによって締結される。
【0031】
スタッドボルト1によれば、台座面16が、一方の面52の開口縁部に面接触した状態で、開口縁部を第一環状溝36の側に塑性変形させることができる。そのため、開口縁部に対して好適に力を作用させることが可能で、開口縁部を第一環状溝36の側にスムーズに塑性変形させることができる。また、塑性変形する開口縁部の体積と、第一環状溝36の溝部容積とが上述した通りに設定されているため、塑性変形した開口縁部によって、第一環状溝36を全体的に充填することができる。
【0032】
また、スタッドボルト1では、被締結部材50の一方の面52にくい込まれる凸部20の形状が、突出方向に向けて先すぼまり状に形成されている。そのため、このような形状ではない場合と比較し、くい込みのための押圧に関する荷重を低減することが可能である。そして、凸部20を一方の面52にくい込ませた状態において被締結部材50との接触面積を増加させることができる。さらに、スタッドボルト1では、凹凸部18を、台座部14の外周から頭部10の外周側に延在するように形成されている。そのため、スタッドボルト1が被締結部材50に固着された状態において、スタッドボルト1の回転に要するトルクが増加し、スタッドボルト1を回転し難くすることができる。
【0033】
したがって、スタッドボルト1によれば、被締結部材50に固着されたスタッドボルト1の抜け落ちに対する耐押出荷重を、台座部14による被締結部材50の塑性変形によって確保し、同じくスタッドボルト1の回転に対する耐トルク負荷を、凹凸部18によって確保することができる。そして、スタッドボルト1を被締結部材50に好適に固着することができる。
【0034】
なお、スタッドボルト1の被締結部材50への固着は、図2(c)とは異なり、頭部10の全体が、被締結部材50にくい込まれた状態としてもよい。この場合、スタッドボルト1の回転防止のための耐トルク負荷をさらに向上させるため、頭部10の外周面に、例えばローレットなどの構成を形成してもよい。
【0035】
(スタッドボルトの製造方法)
スタッドボルト1は、第一工程〜第五工程を含む製造方法によって製造される。第一工程では、例えば、所定の長さを有し、断面形状が円形の棒材を、所定の寸法に切断等して、図3(a),(b)に示すような棒状の素材60が形成される。棒状の素材60は、図3(b)に示すように、断面形状が円形を有する。
【0036】
第二工程では、図3(c),(d)に示すように、第二工程用金型を用いて棒状の素材60の一端側を軸心方向に圧造し、第一工程で形成された棒状の素材60の一端側に大径部62を形成する。なお、大径部62は、頭部10となる。また、大径部62を除く棒状の素材60の部分、つまり大径部62に対して小径の小径部64は、軸部30となる。
【0037】
第三工程では、座面12と台座部14と凹凸部18とを含む頭部10の形状に対応した第三工程用金型を用いて、第二工程で形成された大径部62をさらに軸心方向に圧造する。すなわち、第三工程では、大径部62が軸心方向に圧造され、図3(e),(f)に示すように、座面12を含み、台座部14及び凹凸部18が形成された頭部10が形成される。台座部14は、図3(a)に示すように、座面12を基準として、軸心方向の高さがH1となるように形成されている。なお、図3(e)では、凹凸部18の図示を省略している(後述する図4(j),(m)についても同じ)。
【0038】
第四工程では、突出部と逃げ部とを有する、一対の第四工程用金型、具体的には固定ダイス及び移動ダイスが用いられる。突出部は、第二環状溝38に対応した形状を有する。逃げ部は、小径部64の外径方向(棒状の素材60の外径方向と同じ)に形成された空間によって形成される。突出部と逃げ部とは、隣接した状態で連続して形成されている。第四工程では、第四工程用金型の突出部によって、第二環状溝38が形成される小径部64の部分64a(図3(e),(g)参照)を、軸心方向において環状鍔部34が形成される方向、つまり頭部10の側に塑性変形させる。そして、図4(h),(i)、より詳細には図4(j)に示すように、小径部64の部分64aを凹状として第二環状溝38を形成する。
【0039】
具体的に、固定ダイスの突出部及び逃げ部と、移動ダイスの突出部及び逃げ部とが対向するように、一対の第四工程用金型を配置し、対向する突出部及び逃げ部の間に小径部64の部分64aを挟み込む。そして、挟み込まれた状態において、小径部64の軸心方向(棒状の素材60の軸心方向と同じ)に直交する方向(例えば図4(i)で「移動方向」と記載の矢印の方向参照)に、一組の第四工程用金型を相対的に移動させる。詳細には、移動ダイスを、この移動方向に移動させる。これによって、小径部64(棒状の素材60)が、一組の第四工程用金型の移動方向に対応した方向(例えば図4(i)で「回転方向」と記載の矢印の方向参照)に回転する。そして、小径部64の部分64aに、深さを漸次増加させながら、凹状の溝部が形成され、所定の深さの第二環状溝38が形成される。
【0040】
第二環状溝38の形成に際し、第四工程用金型の突出部によって塑性変形された小径部64の部分64aは、頭部10の側に塑性変形する。具体的に、第四工程用金型の突出部によって塑性変形された小径部64の部分64aは、突出部に隣接した状態で連続する逃げ部の側に塑性変形する。逃げ部の側(頭部10の側)に塑性変形した小径部64の部分64aは、逃げ部を形成する空間において、小径部64(棒状の素材60)の外径方向に隆起し、環状鍔部34が形成される。また、小径部64の部分64aの隆起によって環状鍔部34が形成されることで、環状鍔部34と台座部14との間、詳細には、環状鍔部34と台座面16との間であって、台座面16に隣接して第一環状溝36が形成される。なお、第四工程用金型は、小径部64の部分64aが塑性変形する際、塑性変形している小径部64の部分64aを、頭部10の側から拘束しない構造を有する。すなわち、小径部64の部分64aは、突出部から受ける力にのみしたがって、逃げ部を形成する空間内を塑性変形する。
【0041】
第五工程では、ボルト部32の雄ねじを形成する山部及び谷部の形状に対応する形状の成形面を有する、ねじ切り用の一対の第五工程用金型、具体的には固定ダイス及び移動ダイスが用いられる。第五工程では、スタッドボルト1においてボルト部32が形成される小径部64の部分64b(図4(h)参照)に、一対の第五工程用金型が押圧される。そして、図4(k),(l)、より詳細には図4(m)に示すように、ボルト部32を形成する。
【0042】
具体的に、固定ダイスの成形面と、移動ダイスの成形面とが対向するように、一対の第五工程用金型を配置し、対向する成形面の間に小径部64の部分64bを挟み込む。そして、挟み込まれた状態において、小径部64(棒状の素材60)の軸心方向に直交する方向(図4(l)で「移動方向」と記載の矢印の方向参照)に、一組の第五工程用金型を相対的に移動させる。詳細には、移動ダイスを、この移動方向に移動させる。これによって、小径部64(棒状の素材60)が、一組の第五工程用金型の移動方向に対応した方向(例えば図4(l)で「回転方向」と記載の矢印の方向参照)に回転する。そして、小径部64の部分64bに、山部の高さ及び谷部の深さを漸次増加させながら、所定の高さの山部と所定の深さの谷部とが形成され、ボルト部32が形成される。
【0043】
なお、上述したスタッドボルト1の製造方法において、第二工程及び第三工程は、頭部10を形成するための頭部圧造工程として特定することができる。また、第四工程及び第五工程は、軸部30を形成するための軸部圧造工程として特定することができる。ここで、第二工程及び第三工程は、同一の工程としてもよい。すなわち、大径部62を形成することなく、第一工程で形成された棒状の素材60から、直接、頭部10を形成するようにしてもよい。これとは異なり、第二工程及び第三工程は、さらに細分化した工程としてもよい。すなわち、三工程以上の複数の工程で、棒状の素材60の一端側を軸心方向に圧造し、頭部10を形成するようにしてもよい。また、第四工程及び第五工程は、同一の工程としてもよい。この場合、第四工程用金型及び第五工程用金型を複合した形態の金型が用いられる。
【0044】
上述した第一工程〜第五工程を含む製造方法(以下、「本実施形態の製造方法」ともいう。)によって製造されたスタッドボルト1によって得られる有利な効果について説明する。以下では、本実施形態の製造方法とは異なる方法(以下、「比較方法」ともいう。)を比較対象とし、比較方法の各工程において形成される構成の一部を図示した、図5(a)〜(c)を参照して説明する。なお、図5(a)は、図3(g)に対応する図である。図5(b)は、図4(j)に対応する図である。図5(c)は、図4(m)に対応する図である。図5(a)〜(c)に基づく比較方法の説明では、上述のスタッドボルト1と同一又は同様の構成に対し、スタッドボルト1に付した符号と同一の符号を用いる。
【0045】
まず、比較方法について説明する。比較方法では、本実施形態の製造方法の第一工程と同じ工程が行われ、これによって形成された棒状の素材60(図3(a),(b)参照)を対象として、本実施形態の製造方法の第二工程と同じ工程が行われる。そして、第二工程によって形成された図3(c),(d)に示す構成を対象として、図5(a)に示すように、小径部64に中間部66が形成される。
【0046】
次に、図5(b)に示すように、環状鍔部34と第一環状溝36とが、中間部66に形成される。比較方法では、第一環状溝36に対応した形状の突出部と、逃げ部とを有する一対の比較方法用金型、具体に的には固定ダイス及び移動ダイスが用いられる。逃げ部は、中間部66の外径方向(棒状の素材60の外径方向と同じ)に形成された空間によって形成される。突出部及び逃げ部は、隣接した状態で連続して形成されている。
【0047】
比較方法では、固定ダイスの突出部及び逃げ部と、移動ダイスの突出部及び逃げ部とが対向するように、一対の比較方法用金型を配置し、対向する突出部及び逃げ部の間に中間部66の部分66aを挟み込む。そして、本実施形態の製造方法の第四工程の場合と同じく、挟み込まれた状態において、中間部66の軸心方向(棒状の素材60の軸心方向と同じ)に直交する方向(図4(i)に示す「移動方向」参照)に、一組の比較用金型を相対的に移動させる。これによって、中間部66(棒状の素材60)が、一組の比較方法用金型の移動方向に対応した方向に回転する。そして、中間部66の部分66aに、深さを漸次増加させながら、凹状の溝部が形成され、所定の深さの第一環状溝36が形成される。
【0048】
第一環状溝36の形成に際し、比較方法用金型の突出部によって塑性変形された中間部66の部分66aは、突出部に隣接した状態で連続する逃げ部の側に塑性変形する。逃げ部の側に塑性変形した中間部66の部分66aは、逃げ部を形成する空間において、中間部66(棒状の素材60)の外径方向に隆起し、環状鍔部34が形成される。比較方法では、スタッドボルト1の第二環状溝38に相当する環状溝は形成されない。その後、比較方法では、図5(c)に示すように、中間部66と小径部64との境界を限度として、小径部64に、本実施形態の製造方法の第五工程と同じ方法によって、ボルト部32が形成される。
【0049】
本実施形態の製造方法と比較方法とを対比すると、本実施形態の製造方法では、第二環状溝38を形成することで、小径部64の部分64aを頭部10の側に塑性変形させる。この際、第四工程用金型を用いた小径部64の部分64aの塑性変形は、頭部10の側から拘束されない。そのため、環状鍔部34を頭部10の側に近接した状態で形成したスタッドボルト1とすることができる。すなわち、本実施形態の製造方法によれば、第四工程用金型の突出部による小径部64の部分64aの塑性変形量を制御することで、第一環状溝36の軸心方向の寸法を変化させることができる。
【0050】
これに対して比較方法では、比較用金型において第一環状溝36を形成するための突出部の厚み(軸心方向の厚み)を変化させることで、第一環状溝36の軸心方向の寸法を変化させることができる。しかし、環状鍔部34を頭部10の側に近接した状態とするために、突出部の厚み(軸心方向の厚み)を薄くした場合、中間部66の部分66aからの反力によって、突出部が破損してしまう。すなわち、比較方法では、第一環状溝36の軸心方向の寸法の設定には限界があり、本実施形態の製造方法のように、これを好適に制御することができない。
【0051】
また、スタッドボルト1には第二環状溝38が形成されている。そのため、第五工程におけるボルト部32の形成において、第二環状溝38が、ねじ切りの際の逃げ部として機能する。すなわち、本実施形態の製造方法によれば、ボルト部32を、小径部64の部分64bの全体に好適に形成することができる。そのため、ボルト部32における不完全ねじ部を小さくすることが可能となり、ボルト部32における完全ねじ部が頭部10の側に近接して配置された構造のスタッドボルト1とすることができる。これに対して比較方法では、第二環状溝38が形成されていないため、軸部30に形成される不完全ねじ部が大きくなってしまう。
【0052】
ところで、スタッドボルトを一の被締結部材に立設し、一の被締結部材と他の被締結部材とを締結する場合において、頭部の座面と、ボルト部にはめ込まれたナットの座面との間の距離が、重ねられた状態における被締結部材全体の厚みより大きくなると、好適な締結を行うことができない。スタッドボルトによって締結される被締結部材の中には、厚みの薄いもの(薄板)もある。厚みの薄い被締結部材をスタッドボルトを用いて締結する場合についても、頭部の座面とナットの座面との間の距離は、重ねられた状態における被締結部材全体の厚みに応じた距離となる必要がある。
【0053】
本実施形態の製造方法で製造されたスタッドボルト1では、第一環状溝36の軸心方向の寸法を小さくし、環状鍔部34を頭部10に近接させた状態とすることが可能で、また、ボルト部32の不完全ねじ部の寸法を小さくし、完全ねじ部を頭部10に近接して配置することができる。これに対して比較方法で製造されたスタッドボルトでは、第一環状溝36の軸心方向の寸法を、所定の一定値より小さくすることができない。また、不完全ねじ部の寸法が大きくなる。
【0054】
したがって、スタッドボルト1では、頭部10の座面12と、ボルト部32にはめ込まれたナットの座面との距離を、比較方法によるスタッドボルトの場合より小さくすることができる。すなわち、スタッドボルト1は、より厚みの薄い被締結部材の締結に対応することが可能であり、被締結部材の厚みに関し、適用範囲を広くすることができる。
【0055】
(変形例)
本実施形態の構成は、次のように特定することもできる。すなわち、被締結部材の一方の面及び他方の面を貫通する貫通孔に、前記一方の面から前記他方の面の側に向けて挿入され、前記他方の面の側において立設した状態で、前記被締結部材に固着されるスタッドボルトであって、前記一方の面に対向する座面を含む頭部と、前記頭部と一体をなし、前記貫通孔に挿入され、前記他方の面の側において立設する軸部とを備え、前記頭部は、前記座面から前記軸部の側に突出するように、前記座面に形成された台座部と、前記台座部の外周から前記頭部の外周側に延在するように、前記座面に形成された凹凸部とを含み、前記軸部は、ボルト部と、前記頭部と前記ボルト部との間で前記軸部の外周に形成された環状鍔部と、前記頭部と前記環状鍔部との間で前記台座部に隣接して前記軸部の外周に形成された第一環状溝とを含み、前記台座部の外径は、前記第一環状溝の第一溝底径及び前記環状鍔部の外径より大径であることを特徴とするスタッドボルトとして特定することもできる。
【0056】
これによれば、台座部に対向する被締結部材の部分を、第一環状溝の側に塑性変形させることができる。そして、台座部に隣接する第一環状溝が塑性変形された被締結部材の部分で充填され、軸部の挿入方向及びこれと反対の方向において、スタッドボルトを好適に被締結部材に固着させることができる。また、スタッドボルトを被締結部材に固着させる際、台座部の外周から頭部の外周側に延在するように、被締結部材の一方の面に対向する座面に形成された凹凸部の凸部を、凹凸部に対向する被締結部材の一方の面にくい込ませ、被締結部材の部分を凹凸部の凹部の側に塑性変形させることができる。そして、凹部が塑性変形された被締結部材の部分で充填され、回転不能な状態でスタッドボルトを好適に被締結部材に固着させることができる。すなわち、このスタッドボルトによれば、被締結部材に固着されたスタッドボルトの抜け落ちに対する耐押出荷重を、台座部による被締結部材の塑性変形によって確保し、同じくスタッドボルトの回転に対する耐トルク負荷を、凹凸部によって確保することができる。
【0057】
また、上記では、台座部14の高さH1が凸部20の高さH2と比較して高く設定されたスタッドボルト1を例に説明した。このような構成の他、台座部14の高さH1と凸部20の高さH2とを同一としたスタッドボルトとしてもよい。また、台座部14の高さH1を凸部20の高さH2と比較して低く設定したスタッドボルトとしてもよい。
【0058】
さらに、上記では、貫通孔56の直径が、環状鍔部34の外径φ2より僅かに大きい略同一径である場合を例とし、環状鍔部34と貫通孔56とがすきまばめのような状態で、環状鍔部34が貫通孔56に挿入される構成を例に説明した。このような構成の他、貫通孔56の直径と、環状鍔部34の外径φ2とを同一径とし、環状鍔部34と貫通孔56とが中間ばめのような状態で、環状鍔部34が貫通孔56に挿入される構成としてもよい。また、貫通孔56の直径が、環状鍔部34の外径φ2より僅かに小さい略同一径とし、環状鍔部34と貫通孔56とがしまりばめのような状態で、環状鍔部34が貫通孔56に挿入される構成としてもよい。中間ばめ又はしまりばめのような状態であれば、上述したすきまばめのような場合と同じく、スタッドボルト1を、図2(b)に示すように、貫通孔56に対してセンタリングされた状態で貫通孔56に挿入させ、貫通孔56に対してセンタリングされた状態で被締結部材50に固着することができる。
【符号の説明】
【0059】
1 スタッドボルト
10 頭部
12 座面
30 軸部
32 ボルト部
34 環状鍔部
36 第一環状溝
38 第二環状溝
50 被締結部材
52 一方の面
54 他方の面
56 貫通孔
φ1 第一環状溝の第一溝底径
φ2 環状鍔部の外径
φ3 第二環状溝の第二溝底径
φ4 ボルト部の外径

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被締結部材の一方の面及び他方の面を貫通する貫通孔に、前記一方の面から前記他方の面の側に向けて挿入され、前記他方の面の側において立設した状態で、前記被締結部材に固着されるスタッドボルトであって、
前記一方の面に対向する座面を含む頭部と、
前記頭部と一体をなし、前記貫通孔に挿入され、前記他方の面の側において立設する軸部とを備え、
前記軸部は、
ボルト部と、
前記頭部と前記ボルト部との間で前記軸部の外周に形成された環状鍔部と、
前記頭部と前記環状鍔部との間で前記軸部の外周に形成された第一環状溝と、
前記環状鍔部と前記ボルト部との間で前記軸部の外周に形成された第二環状溝とを含み、
前記第一環状溝の第一溝底径は、前記環状鍔部の外径より小径で、
前記第二環状溝の第二溝底径は、前記ボルト部の外径及び前記環状鍔部の外径より小径であることを特徴とするスタッドボルト。
【請求項2】
前記頭部は、
前記座面から前記軸部の側に突出するように、前記第一環状溝に隣接して前記座面に形成された台座部と、
前記台座部の外周から前記頭部の外周側に延在するように、前記座面に形成された凹凸部とを含み、
前記台座部の外径は、前記環状鍔部の外径より大径であることを特徴とする請求項1に記載のスタッドボルト。
【請求項3】
前記凹凸部を形成する凸部は、前記凸部の突出方向に向けて先すぼまり状に形成されていることを特徴とする請求項2に記載のスタッドボルト。
【請求項4】
前記台座部を形成し、前記第一環状溝に隣接する台座面は平面であることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のスタッドボルト。
【請求項5】
被締結部材の一方の面に対向する座面を含む頭部と、前記頭部と一体をなし、前記一方の面及び前記被締結部材の他方の面を貫通する貫通孔に挿入され、前記他方の面の側において立設する軸部とを備え、前記軸部が、ボルト部と、前記頭部と前記ボルト部との間で前記軸部の外周に形成された環状鍔部と、前記頭部と前記環状鍔部との間で前記軸部の外周に形成された第一環状溝と、前記環状鍔部と前記ボルト部との間で前記軸部の外周に形成された第二環状溝とを含み、前記第一環状溝の第一溝底径は、前記環状鍔部の外径より小径で、前記第二環状溝の第二溝底径は、前記ボルト部の外径及び前記環状鍔部の外径より小径であるスタッドボルトの製造方法であって、
棒状の素材を圧造して前記頭部を形成する頭部圧造工程と、
前記素材を圧造して前記軸部を形成する軸部圧造工程とを含み、
前記軸部圧造工程では、前記第二環状溝が形成される前記素材の部分を、前記頭部の側に塑性変形させ、前記素材の部分を凹状として前記第二環状溝を形成するとともに、塑性変形された前記素材の部分を、前記素材の外径方向に隆起させて前記環状鍔部を形成し、前記環状鍔部を形成することで前記第一環状溝を形成することを特徴とする製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−241905(P2011−241905A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−114791(P2010−114791)
【出願日】平成22年5月18日(2010.5.18)
【出願人】(390011198)福井鋲螺株式会社 (41)
【Fターム(参考)】