説明

スタティックミキサー

【課題】本願発明の目的は、スタティックミキサー及び該スタティックミキサーの製造方法を提供する。
【解決手段】射出成型処理でスタティックミキサーを製造するための方法であって、500バール以下の射出圧力で射出口で通路に発泡剤を含有するポリマーメルトを射出するステップと、該ポリマーメルトで通路を充填するステップと、壁の厚さに対する流路の割合が少なくとも10に達する状態で、通路内に該ポリマーメルトの少なくとも部分的に発泡するステップと、を含む。管状ミキサーハウジング内に設置するための設置体を含んでいるスタティックミキサーは、射出成型工具によって製造される。設置体は、長手方向寸法及び直径を有する。直径に対する長手方向寸法の割合は、1以上であり、設置体は、発泡プラスチックから少なくとも部分的に構成される。設置体は、少なくとも10の該割合が存在する状態で、発泡プラスチックから少なくとも部分的に構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、管状ミキサーハウジング内に設置するための設置体(installation body)を含んでいるプラスチックのスタティックミキサーに関する。この設置体は、長手方向軸を有し、該長手方向軸は、設置体内に流れている流体の方向に位置合わせされ、それによって混合空間は、設置体によってスパンされる。混合空間は、長手方向軸に対して垂直な平面において断面流れ領域を有し、該断面流れ領域は、環状ミキサーハウジングの断面流れ領域にほとんど対応する。設置体は、長手方向軸から逸脱する方向内への流体の流れの分割及び/又は偏向(deflection)のための壁要素を含む。本願発明はまた、そのようなスタティックミキサーの製造のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
そのようなスタティックミキサーは、例えば、特許文献1から周知である。このスタティックミキサーにおいて、2つのコンポーネントは、3つの部分混合処理における同一種類の複数の混合要素によって、互いに混合され、3つの部分混合処理において、素材は、第1に分割され、次いで拡散され、変位される。この混合処理は、コンポーネントの物理的な性質に依存して様々な時間で実行されなければならない。この理由のために、同一の構成の複数の設置体は、スタティックミキサーにおいて、連続的に配置される。それらのスタティックミキサーは、特に、少量のコンポーネント、すなわち、数ミリメータから約1000ミリメータまでの少量のコンポーネントを混合するために使用される。従って、それらのスタティックミキサーは、10mm以下の直径及び50mm以上の長さを有する混合空間を有する。これは、このスタティックミキサーの壁要素における壁の厚さが、1mm以下に達する結果を有し、多くの場合0.5mm以下に達する結果を有する。
【0003】
特許文献1によるプラスチックのスタティックミキサーは、好ましくは、射出成型処理で製造される。射出成型工具の射出口からスタティックミキサーの反対側に配置された端部までの流路が、非常に高い内部工具圧力を必要とするので、射出成型処理を使用して30mmの長さ及び3mm以下の壁の厚さの混合物の製造は、以前は不可能であった。射出口から最も遠くに離隔されるスタティックミキサーの壁要素が、同様にポリマーメルトで完全に充填されることが確実されるために、1000バール以上の内部工具圧力は、提供されなければならない。薄い壁を有するスタティックミキサーが規定された寸法で製造されなければならない場合に、従来の射出成型工具は、以前は、それらの高い内部工具圧力に耐えられなかった。それ故に、射出成型処理において、3mm以下の壁の厚さ及び10以上の壁の厚さに対するスタティックミキサーの長さの割合を有するスタティックミキサーを経済的に製造する、特にプラスチック製のスタティックミキサーを製造することは、今まで可能でなかった。ひけマーク(shrink mark)の形成は、射出成型処理によって、10以上の壁の厚さに対するスタティックミキサーの長さの割合を有する、既に周知であるスタティックミキサーの製造におけるさらなる問題として考慮されなければならない。1000バール以上の内部工具圧力でさえ、特許文献1に記載されるような幾何学形状を有するスタティックミキサーがひけマークを有することは、妨げられることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許第1426099 B1号明細書
【特許文献2】欧州特許第1312409 B1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
明示された方法と同様に、明示されたスタティックミキサーに改良を提供し、それによって、より薄い壁の厚さ及びより長い長さを有するスタティックミキサーは、射出成型処理によって製造されることができることは、本願発明の目的である。
【0006】
本願発明の目的は、射出成型処理によってスタティックミキサーを製造するための方法であって、500バール以下の射出圧力で、射出口において、通路に発泡剤を含有しているポリマーメルトを射出するステップと、壁の厚さに対する流路の割合が少なくとも10に達する状態で、通路内に発泡剤を含有しているポリマーメルトの少なくとも部分的な発泡状態で、発泡剤を含有しているポリマーメルトで通路を充填するステップと、を含んでいる方法によって満たされる。
【0007】
従来の射出成型処理に対して、発泡剤を含有しているポリマーメルトは、射出中に発泡する、又は射出に直接的に続いて発泡するスタティックミキサーを製造するために使用される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明による射出成型方法は、特に、300バール以下の射出圧力で、より好ましくは、200バール以下の射出圧力で、射出成型工具内に、発泡剤を含有しているポリマーメルトを射出するステップを含む。
【0009】
射出成型方法は、引き続いて、スタティックミキサーからの除去までに以下のステップ、すなわち、通路において少なくとも部分的に発泡された、発泡剤を含有しているポリマーメルトを冷却するステップと、スタティックミキサーの形成のためにポリマーメルトを凝固するステップと、通路の断面を拡大するステップと、スタティックミキサーを取り除くステップと、を含む。
【0010】
発泡剤を含有しているポリマーメルトの射出は、単一の射出口からの開始で有利に起こる。
【0011】
発泡剤を含有しているポリマーメルトは、射出口から最も離隔する領域で、少なくとも発泡する。発泡プラスチックが複数の気泡を含有するので、製造されたスタティックミキサーに対するポリマーの必要とされる量は、発泡プラスチックによって低減される。それらの気泡は、有利には、100μmにすぎない平均直径、好ましくは50μmにすぎない平均直径、より好ましくは10μmにすぎない平均直径を有する。
【0012】
発泡剤を含有しているポリマーメルトからスタティックミキサーのための設置体を製造するための射出成型工具であって、通路と、前記通路が前記スタティックミキサーのための前記設置体の寸法を有する状態で、前記通路内に発泡剤を含有しているポリマーメルトを導入するための射出開口部と、を含み、前記通路は、少なくなくとも10の、前記設置体の壁の厚さに対する流路の割合を有する。壁の厚さに対する流路の割合は、特に、50以上とされ、より具体的には140以上とされ、より具体的には180以上とされる場合がある。射出開口部の領域における射出圧力は、500バール以下である。射出圧力は、好ましくは300バール以下であり、より好ましくは200バール以下である。
【0013】
射出成型工具の通路は、長手方向軸を有し、該長手方向軸は、コンポーネントの長手方向軸に実質的に対応し、通路は、断面通路領域を有し、該断面通路領域は、断面通路表面が幅寸法及び厚さ寸法を有している状態で、ポリマーメルトの流れの方向に対して略垂直に配置される。厚さ寸法は、スタティックミキサーの壁の厚さに実質的に対応し、通路は、スタティックミキサーの幾何学的形状を有する。
【0014】
壁の厚さ寸法は、わずか2.5mmに達し、好ましくはわずか2.3mmに達し、より好ましくはわずか2mmに達する。
【0015】
通路は、スタティックミキサーの幾何学的形状に依存して、メイン通路及び複数の側部通路を有することができる。
【0016】
第1の側部通路は、プレート要素の形状を有し、該プレート要素は、第1の側部通路の長さによって、幅寸法によって、及び厚さ寸法によって決定される。第1の側部通路のプレート要素の長さは、通路の長手方向軸の方向において実質的に延在する。幅寸法によって、及び厚さ寸法によってスパンされた断面通路領域は、長さに対して略垂直に配置される。
【0017】
第2の側部通路は、プレート要素の形状を有するように設けられることができ、その厚さ寸法が長手方向軸の方向において実質的に延在し、長手方向寸法によって及び幅寸法によってスパンされた平面が、長手方向軸に対して所定の角度で配置されている。該平面は、特に90°の角度で配置される。
【0018】
プレート要素は、湾曲部を含むことができ、すなわち、長手方向の寸法の1つ又は幅寸法の1つが湾曲形状を含むことができる。
【0019】
射出成型工具の好ましい実施形態によれば、混合ノズルは、発泡剤を含有しているポリマーメルトの均質化のために、通路内への入口開口部の上流に配置されることができる。
【0020】
本願発明の目的は、設置体が長手方向及び直径を有している状態で、管状ミキサーハウジング内に設置するための設置体を含むスタティックミキサーによって満たされる。非円形の管状ミキサーハウジングのために、管状ミキサーハウジングの断面領域が方形である場合に、その直径は、縁部長さに対応する。例えば、矩形の断面又は楕円形状の断面などの、管状ミキサーハウジングの他の形状のために、同等の直径Daは、断面領域が円形である仮定の下で、すなわち、公式Da=2*(A/Π)1/2を使用して決定される。次いで、Daは、同等の直径を表し、Aは、実際の断面領域を表す。直径に対する長手方向寸法の割合は、円形の断面の直径又は非円形の断面のための同等の直径が直径として使用されなければならない状態で、少なくとも1である。設置体は、発泡プラスチックから少なくとも部分的に形成される。単一の設置体が設けられる場合に、長手方向の寸法は、設置体の長手方向の側部に対応する。複数の設置体が互いの後ろに配置される場合に、長手方向の寸法が長手方向の側部の合計から生じる。直径に対する長手方向寸法の割合は、特に、3よりも大きく、好ましくは5より大きく、より好ましくは7より大きいとされる場合がある。大きな構造長さのスタティックミキサーは、特に、著しく低い内部工具圧力のために、節約して製造されることができる。低い内部工具圧力は、使用されたプラスチックが、発泡剤を含有しているポリマーとして存在し、発泡プラスチックから少なくとも部分的に形成される射出成型処理の終わり後に、設置体が存在するように、前記ポリマーが射出成型処理の過程で発泡される事実のためである。壁の厚さに対する流路の割合は、スタティックミキサーとして使用されるこの設置体のために、少なくとも10である。壁の厚さに対する流路の割合は、特に50以上とされ、好ましくは140以上とされ、より好ましくは180以上とされる場合がある。
【0021】
ポリマーの粘性が、物理的発泡剤又は化学的発泡剤として存在する場合がある発泡剤によって低減されるので、発泡剤を含有しているポリマーは、発泡剤を有していない比較可能なポリマーより低い粘性を有する。ポリマーメルトは、物理的なガスを含有する、特にCO等の超臨界ガス、又は一相溶液(one-phase solution)として存在する化学的発泡剤を含有して特に使用されることができる。発泡プラスチックは、少なくとも約10cells/cmより大きいセル密度(cell density)が提供されることができる状態で、100μm以下のセルサイズを有しているセルを有する。発泡プラスチックからスタティックミキサーを製造するために、流動可能な材料は、圧力下で、射出成型工具内に導入される。射出成型工具は、スタティックミキサーの形状を有する中空空間の境界を付ける。発泡されたポリマーにおける超臨界流体の溶液を得るために、特定の混合時間は、スタティックミキサーのより小さく、より薄い壁であることを必要とされる。
【0022】
スタティックミキサーの製造のために、プラスチックペレットは、第1の処理段階において、エクストルーダ(extruder)で溶解される。次いで、例えば、超臨界ガス、特にCOの超臨界ガスの形態の発泡剤は、加えられる。一方で、発泡剤は、適切な貫流調整バルブの動作によって、可塑化スクリューの選択された位置で加えられることができる。発泡剤の温度及び圧力は、発泡剤がその超臨界状態へ変化するように調整される。発泡剤はまた、より高い温度において急激な圧力増加を避けるために、導入前に、事前加熱されることができる。これに対して代替的には、発泡剤は、特に超臨界流体として、可塑化シリンダの外側に加えられることができる。発泡剤は、可塑化スクリューによって可塑化シリンダにおけるポリマーメルトと引き続いて混合される。この混合処理は、ポリマーにおける発泡剤の飽和まで、ポリマー内への発泡剤をその後の拡散を増加する。2つの材料の接触領域は、混合処理によって拡大され、従って、拡散処理のための必要とされる透過度(penetration depth)は、低減される。発泡剤は、それ故に、可塑化スクリューの可動によってポリマーメルトと混合され、ポリマーにおける発泡剤の溶液を生み出すことに寄与する。可塑化スクリューが回転する限り、それは、混合されるべき発泡剤/ポリマーシステムにおける二次元的せん断場(two-dimensional shear field)を生み出す。この態様において、発泡剤によって発泡している複数の気泡は、せん断方向において伸張される。伸張された気泡は、層流の摂動(perturbation)によって、より小さな気泡に分解される。可塑化スクリューは、有利には、発泡剤/ポリマーの境界面の向きがフローラインの関係で変化するように、不規則に配置された複数のブレードを有し、それによって、層の混合の効率は、増加する。スタティックミキサーが使用されることができる混合処理中に、複数の気泡の拡散はまた、複数の気泡のそれぞれを囲むポリマーメルトで発生する。一相溶液への二相混合の転換は、その後拡散チャンバー内のみで起こる。一相溶液において、発泡剤の濃度は、一相溶液が均質を考慮されることができるように、略均一になる。
【0023】
拡散に続いて、溶液は、第1に加熱され、それによって、核生成は、飽和された溶液内で起こる。核生成は、最大100μmの平均のセルサイズを有する発泡剤の形成のためにベースを表示する核形成として理解される。熱力学的な不安定性は、この高い温度でポリマーにおける発泡剤の低減された溶解度に起因して、加熱によって生み出される。温度が上がるにつれて溶解性がより低減されるほど、核生成の速度が速くなり、有核セル(nucleated cell)の数が多くなる。高い圧力は、それらのセルが可塑化シリンダ内で既に成長しないように、維持される。有核セルを有する溶液は、次いで、射出成型工具の中空成形空間内に導入される。圧力は、例えば、圧縮空気の導入によって、射出成型工具において制御される。射出成型工具における圧力が早く低下する場合に、射出成型工具におけるセルの成長のみは、圧力の不安定性に起因して起こる。発泡剤を含有しているポリマーの使用中の流れ抵抗は、従って低減される。内部工具圧力を低下することは、本願明細書によってのみ可能になり、それによって、射出成型工具の圧力負荷は、射出成型工具の早熟の破損がもはや予測されない許容される範囲で載置する状態になる。しかしながら、様々な理由のために、そのような長く、薄い壁を有するスタティックミキサーの製造のために、発泡剤を含有しているポリマーの使用は、今まで予見される。一方で、複雑な幾何学形状を有するそのような薄い壁を有するスタティックミキサーが、内部工具圧力の低下に起因して生じる射出速度の低下によって生み出されることができることは、期待されていない。射出成型処理からのそのような周知の現象は、専門的な関係者内でフリージングと呼ばれている。この処理において、射出成型工具内へ射出されたポリマーメルトの固体化(solidification)は、壁に近接する射出成型工具の領域で起こる。この固体化は、ポリマーメルトと壁との間の温度傾斜によって引き起こされることができる。しかし、同様に、ポリマーメルトの流速が、中間領域より壁に近接する射出成型工具の領域で遅いので、ポリマーメルトの温度を有する工具内で起こることができる。射出成型工具を通じているポリマーメルトの流れは、閉鎖された通路を通じる流れに対応する。そのような流れの速度の流れプロファイルは、略放射状である。放射状の対称軸は、通路の中央の長手方向軸に実質的に対応する。流速は、射出成型工具の壁で値0を有する。この流れプロファイルに起因して、ポリマーは、射出成型工具によって形成された通路内の異なる停止時間を有する。ポリマーメルトのより長い停止時間は、流速が遅い壁領域で生じ、例えば架橋反応などの反応がまた、冷却することなく、ポリマーメルトの内側で均一に生じることができるとの結果を有する。壁領域におけるポリマーメルトのフリージングは、ここで発生する。これは、ポリマーメルトの貫流のために依然として利用可能な通路断面が低減される結果を有する。フリージングが壁に近接する通路の小さな領域に制限される状態を維持するので、通路断面におけるこの低減は、3mm以上の壁の厚さを有するコンポーネントとともに、ほとんど任意の移入ではなく、それによって、3mm以上の壁の厚さを有するコンポーネントを製造するための障害なしで、ポリマーメルトが実質的に射出成型工具を通じて流れることができる。
【0024】
複数の断面領域のそれぞれは、壁の厚さに対する長手方向の寸法の割合が少なくとも40、好ましくは少なくとも50、より好ましくは75に達する状態で、壁の厚さを有する。断面領域は、複数の壁要素を交差することができ、それによって、壁の厚さは、単独での断面領域の表示によって明白に決定される必要がない。しかしながら、実際の壁の厚さは、射出成型工具の設計のために決定的である。この壁の厚さが薄くなれば薄くなるほど、前述された壁の効果は、射出成型工具内へのポリマーメルトの射出中に、より顕著になる。かなり高い内部工具圧力が小さい壁の厚さのために提供されるべきであることは、これから得られる。スタティックミキサーの壁の厚さは、許容された内部工具圧力が超えることなく、3mm以下、好ましくは2mm以下、より好ましくは1.5mm以下とされることができる。
【0025】
複数の設置体は、特に、長手方向軸に沿って互いの後ろに配置されることができる。それらの設置体は、同一の構造を有することができ、又は異なる構造の複数の設置体は、互いに組み合わされることができ、それによって、スタティックミキサーが特許文献2に示されるように起因する。隣接する複数の設置体は、有利には、互いに接続され、それによって、この複数の設置体から構成されたスタティックミキサーは、一体式部品として形成される。これは、スタティックミキサーが、その全体において単一の射出成型工具で製造されることを意味する。
【0026】
設置体又は複数の設置体の全体は、5mmと500mmとの間の長手方向寸法、好ましくは5mmと300mmとの間の長手方向寸法、より好ましくは50mmと100mmとの間の長手方向寸法、を有することができる。
【0027】
スタティックミキサーは、有利には、設置体が長手方向軸を有し、該長手方向軸が、設置体内に流れている流体の方向で方向付けられ、それによって、混合空間が管状ミキサーハウジングの断面流れ領域に実質的に対応する長手方向軸に対して垂直な平面で断面流れ領域を有する状態で、混合空間が設置体によってスパンされることができるように、設計される。設置体は、断面領域が平面と壁要素の交差によって生み出されることができる状態で、且つこの断面領域が、混合空間の断面流れ領域の最大値の1/5、好ましくは最大値の1/10、より好ましくは1/20に達する状態で、長手方向軸から逸脱している方向における流体の流れの分割及び/又は偏向のための壁要素を含む。設置体は、発泡プラスチックから少なくとも部分的に形成される。発泡プラスチックの使用中に、同一の流路が実質的に低い内部工具圧力で達成されることができることは、驚いたことに発見された。発泡プラスチックの使用は、大きな長手方向寸法を有するスタティックミキサーが製造されるように、従来技術と比較して、流路を延在することを可能にする。
【0028】
第1の実施形態による壁要素の断面領域は、第1のボード側部を形成し、該第1のボード側部によって、混合空間は2つの部分領域内に分割されることができる。混合製品及び流体マス(fluid mass)の流れは、それ故に、2つの部分流れに分割され、2つの分割流れは、混合空間におけるボード側部の位置に依存して、同一のサイズ又は異なるサイズを有することができる。2つ以上のボード側部はまた、2つ以上の分割流れが対応して生じるように、自然に形成されることができる。発泡剤を含有しているポリマーメルトによって流れるべき射出成型工具の断面の頻繁な変更は、スタティックミキサーの複雑な幾何学的形状に起因して生じる。それらの変更は、壁要素の幾何学的形状及び壁要素の配置によって引き起こされ、該壁要素は、スタティックミキサーの複数の設置体を形成し、そのための対応する中空空間及び通路は、射出成型工具内に設けられなければならない。射出成型工具における圧力の調整は、この特別な場合に起こり、発泡剤を含有しているポリマーメルトが一相溶液として依然として存在する状態で、内部工具圧力が射出処理の開始時に提供され、この圧力は、スタティックミキサーのための射出成型工具の中空成形空間の充填中に、低くなる。圧力の低下は、発泡剤が射出中に形成されるように、特に、100μm以下のセル直径及び/又は少なくとも約10cells/cm以上のセル密度を有する発泡剤が形成されるように、起こる。発泡剤が射出中に既に形成されるから、ポリマーメルトの粘性は、生じるセルが圧縮性ガスを含有する気泡として二相状態とされるので、減少する。従って、この減少された粘性は、実質的に低い内部工具圧力で、発泡していないコンポーネントのために、従来の射出成型処理に対して、射出速度を低減することが可能である。壁における変更は、特に、ポリマーメルトが偏向される領域にもたらし、同様に低い粘性に起因して生じる。
【0029】
射出工具の壁に近接する領域が、略矩形状の断面を有する単純な幾何学形状のために、より少なく、又は全てではなく発泡されることは、周知である。スタティックミキサーが以下により正確に記載されるような幾何学形状の1つによる設置体を構成される場合に、流れの大きな偏向は、壁要素の各縁部で、及び続く壁要素に対する転換で、ポリマーメルトの流路を生じ、それによって、第1の壁要素において射出成型の開口部の辺縁の領域で配置されるポリマーメルトは、次の第2の壁要素においてこの第2の壁領域の中央領域内へ流れ、二相発泡剤の形成が起こる。それ故に、発泡形成は、互いに対して所定の角度で隣接する複数の壁要素の配置に起因して、特に隣接する壁要素の断面方向の配置に起因して、射出圧力が上記のように低い場合に、スタティックミキサーの合計の長手方向寸法に沿って生じる。
【0030】
第2の実施形態による壁要素は、略矩形状を有し、第1のボード側部の反対側に配置され、且つ好ましい実施形態による第1のボード側部に対して所定の角度によって回転される第2のボード側部を有し、それによって、渦巻き構造が形成される。
【0031】
第3の有利な実施形態によれば、壁要素は、第1のボード側部が流れ分割縁部を形成し、且つ第2のボード側部が偏向要素に隣接するバー要素を含み、該偏向要素は、混合空間の第1の部分領域から混合空間の第2の部分領域内への流れの偏向のために役立つ。第1のボード側部及び第2のボード側部によって境界付けられた壁要素の表面は、長手方向軸の方向において実質的に位置合わせされ、偏向要素の表面は、特に、45°から90°までの長手方向軸に対する所定の角度、好ましくは60°から60°までの長手方向軸に対する所定の角度、より好ましくは75°から90°までの長手方向軸に対する所定の角度で、位置合わせされる横断平面内に実質的に配置される。
【0032】
高い混合性能とともに、小さいデッドスペース及び低減された圧力損失を有するミキサーの第4の、特に好ましい実施形態によれば、設置体は、複数の壁要素を含み、複数の壁要素のそれぞれは、略矩形状の断面を有し、該矩形状の断面は、第1のボード側部、第2のボード側部、第1の長手方向側部、及び第2の長手方向側部を含む。
【0033】
壁要素は、設置体内に配置され、それによって、長手方向の側部は、長手方向軸の方向において略延在し、第1のボード側部及び第2のボード側部は、長手方向軸の方向に対して横断方向に延在する。設置体は、第1の壁要素を含み、該第1の壁要素は、混合空間を2つの部分に分割する。第1の壁要素を交差する少なくとも2つの壁要素は、第1の壁要素に隣接する。第1の壁要素は、有利には、少なくとも1つの転換要素を介して第2の壁要素及び第3の壁要素に接続される。
【0034】
混合製品の流れは、転換要素によって偏向され、それによって、ストランドとしてスタティックミキサー内に入るコンポーネントは、低減する幅のストリップ内へのスタティックミキサーを通じるそれらの経路中に、連続的に分割され、それによって、混合することが難しいコンポーネント又は高い粘性を有するコンポーネントはまた、このスタティックミキサーとともに処理されることができる。
【0035】
隣接する複数の設置体は、有利には、少なくとも1つの接続要素を介して互いに接続される。スタティックミキサーの構造は、この接続要素に起因して、より硬くなり、それによって、その長手方向軸に対してスタティックミキサーの湾曲部が容易になりにくく、スタティックミキサーが混合空間の周りのパイプ内に適合されることができる。
【0036】
前述した実施形態による設置体は、所望されるように、互いとともに含有される場合がある。
【0037】
上述されたスタティックミキサーは、対応する射出成型工具が製造されるとすぐに、それらの製造コスト及び材料コストが低くなるので、変位可能なミキサーとして適切である。さらに、スタティックミキサーは、計量ユニット及び/又は混合ユニットで使用される。特に、多成分カートリッジは、排出装置、及び前記排出装置に結合され、且つ前述の実施形態の1つによるスタティックミキサーを含有するパイプを含む例示として明示されることができる。
【0038】
スタティックミキサーは、排出ユニットに取り付けられることができ、又は排出カートリッジに取りけられることができ、特に多成分カートリッジに取り付けられることができる。スタティックミキサーは、流動可能なコンポーネントの硬化混合製品の混合のために使用されることができる。スタティックミキサーのさらなる可能な使用は、歯科用分野における成型配合物の混合、又は多成分接着剤の混合である。
【0039】
本願発明は、図面を参照して以下に説明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本願発明に従ってミキサーの第1の実施形態を示す図である。
【図2】本願発明に従ってミキサーの第2の実施形態を示す図である。
【図3】本願発明に従ってミキサーの第3の実施形態を示す図である。
【図4】本願発明に従ってミキサーの第4の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本願発明によるスタティックミキサーの第1の実施形態は、図1に示される。スタティックミキサーは、示されていないが、管状ハウジング内に設置される設置体1(installation body)を含む。管状ハウジングは、混合空間の境界として役立ち、該混合空間は、管状ハウジングの内部に配置される。混合されるべき流体は、一般に少なくとも2つの異なるコンポーネントで構成されており、混合空間20を通じて流れる。ほとんどのケースにおいて、コンポーネントは、流体状態で、又は粘性マス(viscous mass)として存在する。これは、例えば、ペースト、接着剤だけではなく、食料と同様に、化粧品用途のための医薬品の薬剤又は流体を含有する医療部門で使用される流体も含む。そのようなスタティックミキサーは、特に、複数のコンポーネントの接着剤の混合物などの、流動可能なコンポーネントの硬化混合製品の混同のための使い捨てミキサーとしても使用される。他の好ましい使用は、歯科用技術分野におけるキャスティング合成物の混合である。
【0042】
設置体1自体は、混合処理が流れている流体自体を通じて起こるように、可動部分を有していない。設置体の可動部分の欠如は、スタティックミキサーとしてのそのようなミキサーの設計のために、主な理由として理解されるべきである。設置体1は、長手方向軸10を有し、該長手方向軸10は、同時に管状ハウジングの長手方向軸である。長手方向軸10は、主な流れの方向に配置され、すなわち、任意の設置又はマニフォールドなしで、管状ハウジング内に存在する流れの方向に配置される。さらに、設置体は、直径36を有する。平面21、121が所望される点で、この長手方向軸に対して垂直な混合空間20、121を通じて作用される場合に、断面流れ領域22、122は、設置なしで、管状ミキサーハウジングの断面流れ領域に実質的に対応することを結果として生じる。この点において、この設置体1が平面21、121によって交差され、それによって断面領域23、123が生じることは、留意されなければならない。
【0043】
それ故に、断面流れ領域22、122のための値は、壁要素の領域において、管状ミキサーハウジングの断面流れ領域のための値より小さい。断面領域は、断面流れ領域22、122の最大値の1/5に達する。設置体の製造のためのポリマー材料の必要量が可能な限り低減するように、壁が可能な限り薄くなる状態で、設置体を設計することは、壁要素の設計において、努力される。断面流れ領域の1/5の断面領域の割合は、粘性流体又はペーストなどの、高圧でミキサーを通じて供給されなければならない流体のために必要である。この場合において、スタティックミキサーの一定の機械的安定性は、必要とされる。低粘性の流体又は短いミキサーのために、その割合は、1/10以下に、又は1/20以下に低減されることができる。
【0044】
混合空間を2つの部分に分割する対称の少なくとも1つの平面を有する設置体1のために、長手方向軸は、対称の少なくとも1つの平面内に配置される。設置体1は、少なくとも1つの壁要素2、3、4、8、9を含み、該少なくとも1つの壁要素2、3、4、8、9は、長手方向軸から逸脱している方向への流体の流れの分割及び/又は偏向のために役立つ。一般に、流体は、壁要素の両側に流れる。
【0045】
壁要素2は、第1のボード側部5を有し、該第1のボード側部5は、混合空間の幅に亘って、又は直径に亘って、実質的に延在する。壁要素2は、第2のボード側部6を有し、該第2のボード側部6は、第1のボード側部5の下流に配置される。図1によると、第2の壁要素8は、第2のボード側部6を隣接し、続いて第3の壁要素3がある。第4の壁要素9は、第3の壁要素3で下流に配置され、順に第5の壁要素4によって隣接される。壁要素2は、長手方向軸10に対する傾斜角度を有し、それによって、第1のボード側部5によって形成された2つの部分の流れの偏向は、起こる。
【0046】
図面に示されていない簡易な変形実施形態によると、隣接する設置体101の壁要素102は、第1の壁要素2に隣接することができる。隣接する設置体1及び設置体101は、好ましくは、互いに対して回転されて配置され、特に互いに対して90°回転されて配置される。図1によると、設置体1及び設置体101は、それ故に、壁要素2、3、4、102、103、104の順序を含み、該壁要素2、3、4、102、103、104は、長手方向軸に対して平行に位置合わせされる介在部分8、9、108、109と同様に、長方向軸10に対して所定の角度で交互に配置される。設置体101は、設置体1に対して180°回転される。
【0047】
第2の実施形態のスタティックミキサーのための設置体1は、図2に示される。設置体は、管状ハウジング内に設置するのに役立ち、この場合、該管状ハウジングは、矩形状又はダイヤモンド形状の断面流れ領域又は同様に、円状又は楕円状の断面流れ領域に選択的に形成されることができる。この設置体1は、単一の壁要素2からなり、該単一の壁要素2は、壁の厚さ7に対応する矩形状の表面及び断面領域23とともに、プレート状要素として形成される。断面領域23は、主な流れ方向において、プレート状の要素の対称軸に対応する長手方向軸10に対して垂直に延在する平面21とともに、プレート状要素の断面領域として生じる。
【0048】
設置体などの流れ偏向設備なしで、混合空間を通じる流体の流れは、順に主な流れ方向として画定されるべきである。プレート状要素は、第2のボード側部6と同様に、第1のボード側部5を有し、同様に、2つの長手方向側部25、35は、2つのボード側部に接続される。第1のボード側部及び第2のボード側部は、壁要素2によって繋がれた混合空間20を2つの部分に、図2の場合において2つの半体に分割する。壁領域2に沿う流体の流れが偏向されることができるように、第1のボード側部5は、長手方向軸10の周りで第2のボード側部6に対して捩れ、それによって、2つの長手方向側部25、35は、螺旋ライン、又は渦巻き構造の表面をそれぞれ形成する。図2に示された壁要素において、第1のボード側部5は、第2のボード側部6に対して180°回転される。長手方向側部25、35は、好ましくは、長手方向側部を囲んでいる管状ハウジングと接触し、又は、管状空間からの高々小さな空間で配置され、それによって、流体の部分流れは、管状ハウジングの内壁に沿って妨げられないように流れ、混合処理から締め出される状態を維持する。
【0049】
少なくとも1つのさらなる設置体101は、設置体1を順に隣接することができる。このさらなる設置体101の断面領域123のみが示される。断面領域123の第1のボード側部105は、設置体1の第2のボード側部に対して所定の角度で配置される。図2の表示において、所定の角度は、断面流れ領域122で測定された90°に達する。
【0050】
図3は、管状ハウジング内に設置するための複数の設置体1、101、201、301、401、501を含んでいるスタティックミキサーのさらなる実施形態を示す。第1の設置体1は、第1のボード側部5、第2のボード側部6、第1の長手方向側部25及び第2の長手方向側部35を含む矩形状の断面とともに、プレート状の壁要素2から形成される。第1のボード側部5は、平面21内に配置され、該平面21は、図1に関連して画定されるように、主な流れの方向に対して垂直に配置される断面流れ領域22を示す。2つの長手方向側部25、35はまた、この場合において、図示されていないが、管状ハウジングと接触する、又は管状ハウジングから高々小さな空間を有する。
【0051】
壁要素2は、バー要素26の機能を有し、該バー要素26は、第1のボード側部5の縁部で、偏向の除外した状態で、偏向が無視できる2つの部分に流れを分割する。この理由のために、偏向要素27は、その下流にバー要素26を隣接する。偏向要素27は、好ましくは、平面21に対して平行に位置合わせされる平面内に配置される、又は、傾斜角度が60°に達する状態、好ましくは、45°に達する状態、特に好ましくは30°に達する状態で、平面に対する傾斜角度で配置される。偏向要素27の表面と平面21との間で傾斜角度が小さくなればなるほど、要求される構成長さが小さくなるが、圧力損失が大きく増加する。また、言い換えれば、偏向要素の表面は、横断方向の平面内に実質的に配置され、この横断方向の平面は、長手方向軸に対して、45°から90°までの角度、好ましくは、60°から90°までの角度、より好ましくは75°から90°までの角度で位置合わせされる。偏向要素27はまた、壁要素3のような図1と一致して理解されることができるが、図1の壁要素と対比して、混合空間20は4つの部分空間に分割される。通じて流れた断面は、偏向要素によって4つの部分空間の2つに局所的に低減される。図3によると、断面流れ領域が円形である場合に、それらの部分空間のそれぞれは、90°の開口角度を有する扇形である。これに対して代替的には、それらの部分空間のそれぞれは、偏向要素が、同様に方形の断面を有するミキサーハウジングのために設計される場合に、方形の断面を有することができる。この場合において、示された偏向要素の湾曲部の代わりに、従って、四角形の偏向要素には、図示されないが、管状ハウジング内壁に隣接する縁部が設けられなければならない。
【0052】
スタティックミキサーのさらなる実施形態は、図4に示され、2つの部分流れ以上の部分流れへの分割された区域(section-wise)となることができる。図4によるプラスチックのスタティクミキサーは、管状ミキサーハウジング内への設置のための設置体1を含み、該設置体1、101は、長手方向軸10を有し、該長手方向軸10は、設置体1、101への流れている流体の方向と位置合わせされ、それによって、混合空間20、120が設置体1、101によってスパンされることができ、前記混合空間20、120は、長手方向軸10に対して垂直な平面21、121において、断面流れ領域22、122を有し、該断面流れ領域22、122は、管状ミキサーハウジングの断面流れ領域に実質的に対応し、設置体1、101は、長手方向軸10から逸脱する方向における流体の流れの分割及び/又は偏向のために、壁要素2、3、4、102、103、104を含む。断面領域23、123は、平面21、121とともに壁要素2、3、4、102、103、104の交差部によって形成され、この断面領域23、123は、混合空間20、120の断面流れ領域22、122の最大値の1/5、好ましくは最大値の1/10、より好ましくは最大値1/20に達する。設置体1は、複数の壁要素2、3、4を含み、この複数の壁要素2、3、4は、第1の長手方向側部25及び第2の長手方向側部35と同様に、第1のボード側部5及び第2のボード側部6を含んでいる略矩形状の断面を有する。壁要素2、3、4のそれぞれは、設置体1内に配置され、それによって、第1の長手方向側部25及び第2の長手方向側部35は、長手方向軸10の方向で実質的に延在し、第1のボード側部5及び第2のボード側部6は、長手方向軸に対して横断方向に延在する。設置体1は、第1の壁要素2を含み、該第1の壁要素2は、混合空間を2つの部分に分割する。第1の壁要素2を交差する少なくとも2つの壁要素3、4は、第1の壁要素2に隣接する。交差部の角度は、図4による実施形態において90°に達するが、本願明細書の異なる値を採用することができる。図4によれば、第1の壁要素2は、少なくとも1つの転換要素11、12、13、111、112、113を介して第2の壁要素3及び第3の壁要素4に接続される。既に図3に示されるように、転移要素は、断面流れ領域の一の部分領域から他の部分領域へ流体の流れを偏向させるように、偏向要素のように設計されることができる。
【0053】
隣接する設置体1、101は、少なくとも1つの接続要素14、15、114、115を介して互いに接続されることができる。そのような接続要素は、スタティックミキサーの曲げ剛性を増加する。さらに、ポリマーメルトが第1の設置体1から第1の設置体101(及び下流に配置された任意の他のさらなる設置体)へ流れることができることは、接続要素を介して確実にされる。接続要素が存在しない場合に、壁要素3又は壁要素4から下流に配置された壁要素102への転換は、すなわち、共通の交差面のみで形成され、この場合に、該共通の交差面は、壁の厚さ7に対応する側部長さを有する2つの方形から形成される。下流に設置された設置体1のための全てのポリマーメルトは、それらの抑制点を通過し、それらの抑制点は、工具における局所的な圧力ピークを生じる。さらに、ポリマーメルトの長い一時停止時間は、壁要素の領域を生じ、この壁要素の領域は、結果として、使用中に管状ハウジングに近接して載置するようになり、ポリマーメルトにおける変化を生じ、一定の状況下で、物理的な性質の悪化、及び不均一を生じる。特に、発泡剤を含有する溶融物が発泡された構造を発生するために使用される場合に、そのようなデッドスペースは、射出成型処理のための不利点になるであろう。
【0054】
図4に示された方法に類似の、接続要素にはまたは、図1又は図2による実施形態が設けられることができるが、図1及び図2における表示を単純化するために除外される。図3の転換要素27は、同様に、接続要素の機能を満足させる。
【0055】
隣接する設置体1、101は、図4によれば、長手方向軸10の周りで180°の角度で回転される。前述の実施形態のうちの任意の一の実施形態によれば、設置体は、所望されるように、互いに組み合わされることができる。特に、追加の接続要素はまた、混合効果を改善するためにハイブリット構造を形成するように、互いに異なる実施形態の設置体を組合せるように提供されることができる。
【0056】
前述の実施形態のいずれかによるスタティックミキサーは、均一な比較的複雑な幾何学形状が射出成型処理において実現されることができる手段によって、プラスチックから製造される。設置体(1、101、201、301など)の全体は、長手方向の寸法24を有し、断面領域23、123のそれぞれは、特に、複数の設置体を含んでいるスタティックミキサーのために、壁の厚さ7を有する。壁の厚さ7に対する長手方向の寸法24の割合は、少なくとも40、好ましくは少なくとも50、より好ましくは少なくとも75に達する。小量の流体のためのスタティックミキサーの好ましい使用のために、壁の厚さ7は、3mm以下、好ましくは2mm以下、より好ましくは1.5mm以下である。設置体1、101の全体は、5mmと500mmとの間の、好ましくは5mmと300mmとの間の、より好ましくは、50mmと100mmとの間の長手方向寸法24を有する。
【0057】
例示的に、第4の実施形態によるスタティックミキサーは、発泡された構成における60mmの長手方向の寸法及び0.42mmの平均の壁の厚さで製造されることができた。従って、壁の厚さに対する流路の割合は、143:1に達する。そのようなミキサーは、12個の設置体から形成される。
【0058】
さらに、第3の実施形態によるスタティックミキサーは、発泡された構成における100mmの長手方向の寸法及び0.42mmの平均の壁の厚さで製造されることができた。従って、壁の厚さに対する流路の割合は、238:1に達する。このスタティックミキサーは、24個の設置体から形成される。
【符号の説明】
【0059】
1 設置体
3 壁要素
4 壁要素
5 第1のボード側部
6 第2のボード側部
7 壁の厚さ
8 介在部分
9 介在部分
10 長手方向軸
11 転換要素
12 転換要素
13 転換要素
14 接続要素
15 接続要素
20 混合空間
21 平面
22 断面流れ領域
23 断面領域
24 長手方向の寸法
25 第1の長手方向側部
27 転換要素
35 第2の長手方向側部
101 設置体
102 壁要素
108 介在部分
109 介在部分
111 転換要素
112 転換要素
113 転換要素
114 接続要素
115 接続要素
120 混合空間
121 平面
122 断面流れ領域
123 断面領域
201 設置体
301 設置体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
射出成型処理でスタティックミキサーのための設置体の製造方法であって、
500バール以下の射出圧力で、射出口において、通路に発泡剤を含有しているポリマーメルトを射出するステップと、
壁の厚さに対する流路の割合が少なくとも10に達する状態で、通路内に発泡剤を含有している前記ポリマーメルトの少なくとも部分的な発泡している、発泡剤を含有しているポリマーメルトで前記通路を充填するステップと、を含み、
前記通路において少なくとも部分的に発泡された、前記発泡剤を含有している前記ポリマーメルトを冷却するステップと、
前記スタティックミキサーの形成のために、前記ポリマーメルトを凝固するステップと、
前記通路の断面を拡大するステップと、
前記スタティックミキサーを取り除くステップと、
を備えることを特徴とする製造方法。
【請求項2】
発泡剤を含有しているポリマーメルトからスタティックミキサーのための設置体を製造するための射出成型工具であって、
通路と、
前記通路が前記スタティックミキサーのための前記設置体の寸法を有する状態で、前記通路内に発泡剤を含有しているポリマーメルトを導入するための射出開口部と、
を含み、
前記通路は、少なくなくとも10の、前記設置体の壁の厚さに対する流路の割合を有し、
前記射出開口部の領域における射出圧力は、500バール以下であることを特徴とする射出成型工具。
【請求項3】
前記通路は、長手方向軸を有し、
前記長手方向軸は、前記スタティックミキサーのための前記設置体の長手方向軸に対応し、
前記通路は、断面通路領域を有し、
前記断面通路領域は、ポリマーメルトの流れの方向に対して略垂直に配置され、
前記断面通路領域は、幅寸法及び厚さ寸法を有し、
前記幅寸法は、前記スタティックミキサーのための前記設置体の平均の壁の厚さに対応し、前記通路は、前記スタティックミキサーのための前記設置体の幾何学的な形状を有することを特徴とする請求項2に記載の射出成型工具。
【請求項4】
前記厚さ寸法は、わずか2.5mmに達することを特徴とする請求項3に記載の射出成型工具。
【請求項5】
前記通路は、メイン通路及び複数の側部通路を有することを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載の射出成型工具。
【請求項6】
第1の側部通路は、プレート要素の形状を有し、
前記プレート要素は、前記第1の側部通路の前記長さによって、幅寸法によって、及び厚さ寸法によって決定され、
前記第1の側部通路の前記プレート要素の前記長さは、前記第1の側部通路の前記長手方向軸の方向で延在し、
前記幅寸法によって、及び前記厚さ寸法によってスパンされた前記断面通路領域は、前記長さに対して実質的に垂直に配置されることを特徴とする請求項5に記載の射出成型工具。
【請求項7】
第2の側部通路は、プレート要素の形状を有するように設けられ、
その厚さ寸法が前記長手方向軸の方向に延在し、前記長手方向寸法によって及び前記幅寸法によってスパンされた前記平面が、前記長手方向軸に対して所定の角度で配置されることを特徴とする請求項5又は6に記載の射出成型工具。
【請求項8】
管状ミキサーハウジング内に設置するためのスタティックミキサーの設置体(1,101)であって、
前記設置体(1,101)は、長手方向の寸法(24)、直径(36)、及び壁の厚さ(7)を有し、前記直径に対する前記長手方向の寸法の割合が少なくとも1に達し、
前記壁の厚さ(7)に対する長手方向の寸法(24)の割合は、少なくとも10に達し、
前記設置体(1,101)が少なくとも部分的に発泡プラスチックから製造され、
少なくとも10の前記設置体(1,101)の前記壁の厚さに対する流路の割合は、存在することを特徴とする設置体。
【請求項9】
複数の設置体(1,101)は、前記長手方向軸に沿って互いの後ろに配置されることを特徴とする請求項9に記載の設置体。
【請求項10】
前記設置体(1,101)は、長手方向軸(10)を有し、前記長手方向軸(10)は、前記設置体(1,101)内に流体の流れの方向で位置合わせされ、それによって、混合空間(20,120)は、前記設置体(1,101)によってスパンされることができ、
前記混合空間(20,120)は、前記長手方向軸(10)に対して垂直な平面(21,121)において、断面流れ領域(22,122)を有し、前記断面流れ領域は、前記管状ミキサーハウジングの断面流れ領域に実質的に対応し、
前記設置体(1,10)は、前記長手方向から逸脱する方向に前記流体の流れの分割及び/又は偏向のために、壁要素(2,3,4,8,9,102,103,104,108,109)を含み、
断面領域(23,123)は、前記平面(21,121)とともに、前記壁要素(2,3,4,8,9,102,103,104,108,109)の交差によって形成されることができ、この断面領域(23,123)は、前記混合空間(20,120)の前記断面流れ領域(22,122)の最大値の1/5に達することを特徴とする請求項8又は9に記載の設置体。
【請求項11】
前記壁要素(2,3,4,8,9,102,103,104,108,109)の前記断面領域(23,123)は、第1のボード側部(5)を形成し、前記第1のボード側部(5)によって、前記混合空間が2つの部分領域に分割されることができることを特徴とする請求項10に記載の設置体。
【請求項12】
前記壁要素(1)は、略矩形形状を有し、前記第1のボード側部(5)の反対側に配置された第2のボード側部(6)は、前記第1のボード側部(5)に対して所定の角度で回転され、それによって渦巻き構造が形成されることを特徴とする請求項10又は11に記載の設置体。
【請求項13】
前記壁要素(2)は、第1のボード側部(5)が流れ分割縁部を形成するバー要素(26)を含み、
前記バー要素は、第2のボード側部(6)を含み、前記第2のボード側部(6)は、偏向要素(27)に隣接し、
前記偏向要素(27)は、前記混合空間(20)の第1の部分領域から前記混合空間(20)の第2の部分領域内への流れの偏向のために役立つことを特徴とする請求項12に記載の設置体。
【請求項14】
前記壁要素の表面は、前記第1のボード側部(5)及び前記第2のボード側部(6)によって接着され、長手方向の側部(25,35)は、前記長手方向軸の方向において略位置合わせされることを特徴とする請求項13に記載の設置体。
【請求項15】
前記偏向要素の表面は、45°から90°までの長手方向軸に対する角度で位置合わせされる横断方向の平面において配置されることを特徴とする請求項14に記載の設置体。
【請求項16】
前記偏向要素の表面は、60°から90°までの長手方向軸に対する角度で位置合わせされる横断方向の平面において配置されることを特徴とする請求項14に記載の設置体。
【請求項17】
前記偏向要素の表面は、75°から90°までの長手方向軸に対する角度で位置合わせされる横断方向の平面において配置されることを特徴とする請求項14に記載の設置体。
【請求項18】
複数の設置体(1,101)は、長手方向軸に沿って連続的な配置で配置されることを特徴とする請求項8〜17のいずれか一項に記載されたスタティックミキサー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−94999(P2010−94999A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−239538(P2009−239538)
【出願日】平成21年10月16日(2009.10.16)
【出願人】(509287946)ズルツァー ミックスパック アーゲー (14)
【Fターム(参考)】