スチールハウスの耐力壁構造
【課題】 面材を用いた耐力壁に比して重量あたりの耐力性能が高いスチールハウスの耐力壁構造を提供する。
【解決手段】 上下に間隔を隔てて互いに対向した位置に配置された上枠材2および下枠材3と、前記上枠材2および下枠材3の間に立設された少なくとも一対の竪枠材4、4と、前記一対の竪枠材4、4の間に架設された複数のブレース材5、5…と、からスチールハウスの耐力壁1を構築する。その際、前記複数のブレース材5、5…の両端部は、前記一対の竪枠材4、4にピン接合されており、隣り合うブレース材5、5と竪枠材4とで囲まれた構面Pは、すべて三角形となるようにする。
【解決手段】 上下に間隔を隔てて互いに対向した位置に配置された上枠材2および下枠材3と、前記上枠材2および下枠材3の間に立設された少なくとも一対の竪枠材4、4と、前記一対の竪枠材4、4の間に架設された複数のブレース材5、5…と、からスチールハウスの耐力壁1を構築する。その際、前記複数のブレース材5、5…の両端部は、前記一対の竪枠材4、4にピン接合されており、隣り合うブレース材5、5と竪枠材4とで囲まれた構面Pは、すべて三角形となるようにする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スチールハウスの耐力壁の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のスチールハウスの耐力壁100は、図11に示すように、薄板軽量溝形鋼を組み合わせて形成された枠体110に、石膏ボード、木質合板、鋼製面板等の面材120が、特殊なねじによって取り付けられて構成されている(例えば特許文献1参照)。そして、この枠体110と面材120が一体となって外力に抵抗することにより、壁の耐力が保持され、建物の安全が図られている。
【特許文献1】特開平9−287240号公報(段落0010〜0016、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
図12は、スチールハウスの耐力壁100のせん断耐力と変形量との関係を表したグラフである。グラフ中の線Aは、面材120として合板面材(木質合板)を使用した場合を示し、線Bは、面材120として鋼板面材を使用した場合を示している。
【0004】
面材120として合板面材を使用した場合には、鋼板面材を使用した場合に比べて、破断(図中の×印)に至るまでの変形量が大きく、外力に対して粘り強く抵抗するが、小さなせん断力で大きく変形してしまうという問題がある。すなわち、変形量が大きいため、耐力壁100が降伏してから建物が崩壊するまでの時間は長いが、比較的小さなせん断力で建物が変形し、修理が必要となったり、使用できなくなったりしてしまうという問題がある。
【0005】
一方、面材120として鋼板面材を使用した場合には、合板面材を使用した場合に比べて大きなせん断力に抵抗することができる(降伏しない)が、降伏した後の変形量が小さいため、建物の粘り強さに欠けるという問題がある。すなわち、比較的大きなせん断力が建物に加わっても大丈夫であるが、限度を超えるせん断力が加わった場合には、耐力壁100が降伏してから破断するまでの変形量が少なく、短い時間で建物が崩壊してしまうという問題がある。
【0006】
また、面材120の厚さを大きくすることによって、耐力壁100の性能を向上させることができるが、耐力壁100の重量が増加するため、組立て時の作業性が悪化するとともに、材料コストも増加してしまう。
【0007】
本発明は、これらの問題点を解決するためになされたものであり、面材を用いた耐力壁に比して重量あたりの耐力性能が高い、言い換えれば、耐力性能あたりの重量が小さいスチールハウスの耐力壁構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1にかかるスチールハウスの耐力壁構造は、上下に間隔を隔てて互いに対向した位置に配置された上枠材および下枠材と、前記上枠材および下枠材の間に立設された少なくとも一対の竪枠材と、前記一対の竪枠材の間に架設された複数のブレース材と、からなるスチールハウスの耐力壁構造であって、前記複数のブレース材の両端部は、前記一対の竪枠材にピン接合されており、隣り合うブレース材と竪枠材とで囲まれた構面は、すべて三角形となることを特徴とする。
【0009】
かかる構成によれば、前記複数のブレース材の両端部は、前記一対の竪枠材にピン接合されており、隣り合うブレース材と竪枠材とで囲まれた構面は、すべて三角形となることから、一対の竪枠材と複数のブレース材とによってトラス構造が構成される。かかるトラス構造は、面材を用いた場合に比べて壁の幅方向の単位メートルあたりにおける鋼材重量が少なくて済むとともに、せん断変形に対して粘り強く抵抗するため、面材を用いて構成された耐力壁に比べて、重量あたりの耐力性能が高い、言い換えれば、耐力性能あたりの重量が小さいスチールハウスの耐力壁構造となる。なお、本発明者らは、各種耐力壁構造について実験を行うことにより、トラス構造の性能を確認している。
【0010】
ここで、「構面」とは、外力に抵抗できるように構成された一組の平面骨組のことである。また、かかる「構面」は、応力集中が生じないように、すべて同じ大きさに形成されているのが好適である。なお、本願にいう「ピン接合」とは、曲げ変形に対して完全にフリー(曲げ剛性がゼロ)な構造に限られるものではなく、曲げ剛性に対してせん断剛性が卓越している構造も含む。また、竪枠材とブレース材とのピン接合には、タッピンねじを用いるのが好適である。
【0011】
請求項2に係るスチールハウスの耐力壁構造は、請求項1に記載のスチールハウスの耐力壁構造であって、前記上枠材と、前記下枠材と、前記一対の竪枠材と、前記複数のブレース材とから構成される枠組体の少なくとも一方の側面に、さらに、面材を取り付けてなることを特徴とする。
【0012】
かかる構成によれば、前記上枠材と、前記下枠材と、前記一対の竪枠材と、前記複数のブレース材とから構成される枠組体の少なくとも一方の側面に、さらに、面材を取り付けてスチールハウスの耐力壁構造が構築されることから、重量あたりの耐力性能を一層高めることができる。
なお、かかる面材は、構造用合板、鋼製面板または石膏ボードから構成するのが好ましい。
【0013】
また、前記上枠材、下枠材、竪枠材およびブレース材は、薄板軽量形鋼で構成されるのが好適である(請求項4)。かかる構造によれば、木材を使用しないことから、シロアリや火災に強い耐力壁とすることができる。
【0014】
また、前記一対の竪枠材は、前記ブレース材の端部とピン接合される接合部材を備えるのが好適である。かかる構造によれば、ブレース材の端部と竪枠材とを容易にピン接合することができる。とくに、薄板軽量溝形鋼を2つ嵌め合わせて竪枠材を構成した場合には、前記溝形鋼のウェブ外側面に、接合部材を取り付け、かかる接合部材を介して竪枠材とブレース材とをピン接合するのが好ましい。かかる接合部材は、例えば、適当な長さに切断した板材やL型鋼や溝形鋼等を前記溝形鋼のウェブ外側面に溶接することにより形成することができる。ブレース材と接合部材との連結には、六角ボルト−ナットやタッピンねじ等を用いることができる。
【0015】
請求項5に係るスチールハウスの耐力壁構造は、所定間隔を隔てて立設された一対の竪枠材と、前記竪枠材の上端同士を連結する上枠材と、前記竪枠材の下端同士を連結する下枠材と、前記一対の竪枠材の互いに向かいあう側面間に連結された複数のブレース材と、からなるスチールハウスの耐力壁構造であって、前記複数のブレース材の両端部は、前記一対の竪枠材にピン接合されており、隣り合うブレース材と竪枠材とで囲まれた構面は、すべて三角形となることを特徴とする。
【0016】
また、請求項6に係るスチールハウスの耐力壁構造は、請求項5に記載のスチールハウスの耐力壁構造であって、前記竪枠材は、少なくとも2本のC形鋼または溝形鋼のウェブ背面同士を接合してなり、前記C形鋼または溝形鋼は、その溝の開口部を耐力壁の面外方向に向けて立設されていることを特徴とする。
【0017】
かかる構成によれば、C形鋼または溝形鋼の開口部は、耐力壁の面外方向に向いているため、組立作業時にブレース材が邪魔になることがない。また、作業者は、体の正面で工具を取り扱うことができるため、組立作業が容易になる。そのため、ボルト、ナット及びホールダウン金物などを用いて竪枠材を下枠材または境界梁などに固定する際に、ボルトやナットをホールダウン金物または境界梁に溶接等により予め固定しておかなくても、竪枠材を容易に固定することができる。特に、スパナ等の工具の取り回し幅が大きくなり、作業が容易になる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、面材を用いた耐力壁に比して重量あたりの耐力性能が高い、言い換えれば、耐力性能あたりの重量が小さいスチールハウスの耐力壁構造を提供することができる。これにより、住宅の安全性、施工コスト、耐震性能等を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して詳細に説明する。参照する図面において、同一の要素には同一の番号を付し、重複する説明は省略する。
【0020】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態にかかる耐力壁の構造を示す正面図である。
耐力壁1は、図1に示すように、上枠材2と、下枠材3と、一対の竪枠材4、4と、ブレース材5とから構成されている。ここで、説明の便宜上、各ブレース材5に対して、図1の上から順にブレース材5A、5B、5C、5D、5E、5F、5Gと符号を付す。これらの各部材は、肉厚1.0mm〜1.6mmの薄板軽量溝形鋼(以下、「溝形鋼」と適宜略称する。)からなる。耐力壁1は、建物の基礎の上に設置されたH形鋼からなる第1境界梁LKと、一階と二階の境界に設置されたH形鋼からなる第2境界梁HKとの間に構築される。
【0021】
このように形成された耐力壁1は、図示は省略するが、屋外側の面に断熱材および外装パネルを取り付けられ、また、屋内側の面に内装パネルを取り付けられることにより、建物の壁となる。
【0022】
上枠材2は、第2境界梁HKの下側フランジの下面に、ドリリングタッピンねじによって、溝を下に向けて取り付けられている。また、下枠材3は、上枠材2と同じサイズの溝形鋼からなり、第1境界梁LKの上側フランジの上面であって上枠材2と対向する位置に、ドリリングタッピンねじによって、溝を上に向けて取り付けられている(図2参照)。すなわち、上枠材2と下枠材3とは、互いに対向する位置に建物の1階の高さ分の間隔を隔てて設置されている。
【0023】
一対の竪枠材4、4は、それぞれ4本の溝形鋼が組み合わされて構成されており、前記上枠材2と下枠材3との間に、水平方向に所定間隔を隔てて垂直に立設されている。竪枠材4の水平方向の間隔は、例えば406.4mm〜1000mmの間で適宜設定される。竪枠材4の上下の端部は、上枠材2および下枠材3の溝にそれぞれ嵌め込まれている。一対の竪枠材4、4の互いに向かい合う面には、ブレース材5を取り付けるための接合部材7が固定されている。竪枠材4については、図2を用いて後に詳しく説明する。
【0024】
なお、図1においては、竪枠材4は、2本しか図示されていないが、竪枠材4は、建物の壁の全長にわたって、上枠材2と下枠材3との間に所定の間隔で複数本立設されるものである。耐力壁1は、これらの竪枠材4のうち、構造上必要な箇所に、後記するブレース材5をトラス構造となるように設置することにより構築される。
【0025】
ブレース材5(5A、5B・・・)は、一対の竪枠材4、4のウェブ外側面に設けられた接合部材7を介して、当該一対の竪枠材4、4に、その両端を、タッピンねじSによって接合されている。なお、最上段のブレース材5Aの上端、および、最下段のブレース材5Gの下端については、竪枠材4、4に設けられた接合部材7ではなく、上枠材2および下枠材3を介して、竪枠材4、4に接続されている。
【0026】
第1実施形態では、図1に示すように、上下に隣り合うブレース材5(例えばブレース材5Aとブレース材5B)の下端と上端は、1つの接合部材7によって、竪枠材4の同じ位置に接合されている。これにより、上下に隣り合うブレース材5、5と竪枠材4の一部とによって三角形状の構面P(P1、P2・・・)が形成される。また、かかる三角形状の構面P1、P2・・・の頂点は、すべてピン構造となっている。さらに、第1実施形態にかかる耐力壁1は、各構面P1、P2・・・がそれぞれ同一の三角形となるように構成されている。そのため、それぞれの構面P1、P2・・・の剛性が等しくなり、外力を均等に分散させることができる。
【0027】
次に、図2を参照して、竪枠材4の構造、および、竪枠材4と下枠材3との接合構造について説明する。図2は、図1のA部を拡大して示した分解斜視図である。
第1実施形態では、竪枠材4は、図2に示すように、4本の溝形鋼4a、4b、4c、4dが組み合わされて構成されている。このうち、溝形鋼4a、4bは、互いのウェブ面同士を背中合わせにして当接され、タッピンねじSによって接合されている。溝形鋼4a、4bの外幅は、下枠材3(上枠材2)の溝の内幅と略等しい幅となっており、下枠材3(上枠材2)の溝に嵌め込むことができるようになっている。
【0028】
溝形鋼4a、4bの下端部は、ホールダウン金物6、6によって、第1境界梁LKに固定されている。
ホールダウン金物6は、竪枠材4を梁に接合可能なものであればどのようなものでもよいが、第1実施形態においては、図2に示すように、短尺に形成された側面視台形状の溝形部材6aと、この溝形部材6aの溝を仕切るように溶接された板材6bと、この板材6bに溶接された2つのナット6c、6cとから構成されている。板材6bには、ナット6cのボルト孔と連通する位置に貫通孔(図示せず)が形成されている。
【0029】
ホールダウン金物6、6は、溝形部材6aの当接面6a1と溝形鋼4a、4bのウェブ内側面とを当接させた状態で、溝形鋼4a、4bの下端部の溝内に設置されている。そして、溝形部材6aの当接面6a1と溝形鋼4a、4bのウェブ内側面に形成されたボルト孔に六角ボルトを挿通させ、ナットで締め付けることによって、ホールダウン金物6、6と溝形鋼4a、4bとが強固に接合されている。
また、下枠材3および第1境界梁LKには、ホールダウン金物6に溶接されたナット6c、6cに対応する位置に、下枠材3のウェブ面と第1境界梁LKの上側フランジを貫通する貫通孔Tが形成されている。溝形鋼4a、4bは、かかる貫通孔Tからナット6c、6cまで挿通されるボルトBTによって、第1境界梁LKに固定されている。
【0030】
溝形鋼4c、4dは、図2に示すように、背中合わせに貼り合わされた溝形鋼4a、4bの溝を覆うように、その両側から嵌め合わされる部材である。溝形鋼4c、4dの溝の内幅は、溝形鋼4a、4bの外幅と略等しい幅となっている。また、溝形鋼4c、4dの長さは、上枠材2のフランジの下端と下枠材3のフランジの上端の間隔L1(図1参照)に等しく形成されている。溝形鋼4c、4dは、溝形鋼4a、4bに嵌め合わされた状態で、互いのフランジをタッピンねじSで止めつけることにより固定されている。
【0031】
次に、図3を参照して、竪枠材4とブレース材5の接合構造について説明する。図3は、図1のB部を拡大して示した分解斜視図である。
接合部材7は、短尺の軽量溝形鋼からなる部材であり、竪枠材4とブレース材5の間に介在して竪枠材4とブレース材5とを連結するものである。接合部材7は、その溝をブレース材5側に向けて配置されるとともに、そのウェブ7aを竪枠材4(4c)のウェブ外側面に当接させた状態でタッピンねじSによって固定されている。
ブレース材5(5D、5E)は、軽量溝形鋼からなり、ブレース材5のウェブの外幅は、接合部材7の溝の内幅と略等しくなっている。ブレース材5の一方の端部は、接合部材7の溝にはめ込まれており、ブレース材5のフランジ5aと接合部材7のフランジ7bとがタッピンねじSによって接合されるようになっている。
このような接合構造によれば、曲げ剛性に比べてせん断剛性が卓越した構造となるので、ブレース材5と竪枠材4との接合構造をピン構造(ピン接合)とすることが可能となる。
【0032】
ここで、図1〜図5を参照して、耐力壁1の構築方法について説明する。なお、図4、図5は、竪枠材4の組立て順序を説明するための分解斜視図である。
【0033】
はじめに、第2境界梁HKの下側フランジおよび第1境界梁LKの上側フランジに、上枠材2および下枠材3を、ドリリングタッピンねじやタッピンねじ等により取り付ける(図示省略)。
【0034】
次に、図4(a)に示すように、溝形鋼4a、4bのウェブ面同士を当接させてタッピンねじS(図示省略)によって接合する。そして、この溝形鋼4a、4bの上下端部の溝内にホールダウン金物6、6をボルトBTとナットNによって固定する。
【0035】
そして、図4(b)に示すように、組み合わせた溝形鋼4a、4bの上下端部を、上枠材2および下枠材3の溝に嵌め込んで、所定の位置に垂直に立設させる。溝形鋼4a、4bを立設させる位置には、あらかじめ貫通孔Tを形成しておく。そして、この貫通孔TからボルトBTを挿通し、ホールダウン金物6に溶接されたナット6c、6cに係合させる。これにより、溝形鋼4a、4bを、第1境界梁LKおよび第2境界梁HK(図1参照)に固定する。
【0036】
次に、図5(a)に示すように、上枠材2と下枠材3との間に立設された溝形鋼4a、4bに溝形鋼4c、4dを両側から嵌め合わせ、互いのフランジをタッピンねじSで接合する。さらに、下枠材3(および上枠材2)のフランジと溝形鋼4a、4bのフランジとをタッピンねじSで接合する。これにより、竪枠材4は、図5(b)に示すように、上枠材2と下枠材3との間に垂直に立設される。
【0037】
そして、図3に示すように、竪枠材4(4c、4d)のウェブ面に、所定の間隔で接合部材7、7・・・を、タッピンねじSを用いて固定する。
【0038】
次に、ブレース材5A、5B・・・と接合部材7、7・・・とをタッピンねじSにより接合する。これにより、図1に示すように、耐力壁1が完成する。
【0039】
図6は、従来の耐力壁構造と第1実施形態に係る耐力壁構造(トラス構造)についてのせん断耐力と変形量の関係を示したグラフである。
図6に示すグラフから、本発明に係る耐力壁構造は、面材として合板を使用した従来の耐力壁構造に比べて約5倍のせん断耐力を発揮しながら、略同等の変形性能を示していることがわかる。
【0040】
<第2実施形態>
図7は、第2実施形態に係るスチールハウスの耐力壁の構造を示した斜視図である。
第2実施形態に係るスチールハウスの耐力壁1’は、スチールハウスの耐力壁1(図1参照)の側面に、さらに、面材9が取り付けられている点が、前記した実施形態と異なっている。第2実施形態においては、面材9は、木質合板で構成されている。
かかる構成によれば、面材9によって、スチールハウスの耐力壁1’の耐力性能を一層向上させることができる。
【0041】
<第3実施形態>
図8は、第3実施形態に係るスチールハウスの耐力壁の構造を示した斜視図である。
第3実施形態に係るスチールハウスの耐力壁1”は、第1実施形態に係るスチールハウスの耐力壁1(図1参照)と比較して、上枠材2および下枠材3に対して竪枠材4が90度回転している点が異なっている。
すなわち、第3実施形態に係るスチールハウスの耐力壁1”の竪枠材4は、当該竪枠材4を構成する溝形鋼4a、4b、4c、4d(図2参照)の溝の開口部Jが耐力壁1”の面外方向に向けられた状態で組み合わされて構成されている。
【0042】
図9は、図8のC部付近を拡大して示した斜視図である。なお、図9は、溝形鋼4c、4d及びタッピンねじS等を省略して表示している。
竪枠材4を構成する溝形鋼4a、4bは、図9に示すように、そのウェブ同士を当接させた状態で、コ字型の溝の開口部Jを面外方向に向けて下枠材3の溝の中にはめ込まれて立設されている。また、溝形鋼4a、4bの下端の溝内には、ホールダウン金物6’がはめ込まれて固定されている。下枠材3と第2境界梁LKには、ホールダウン金物6’の貫通孔に対応する位置に、同じく貫通孔が形成されており、ボルトBTを挿通できるようになっている。そして、溝形鋼4a、4b(竪枠材4)は、ホールダウン金物6’とボルトBTとナットNによって下枠材3および第2境界梁LKに固定されている。
【0043】
第1実施形態に係る耐力壁1では、組立作業時に溝内に工具を挿入して作業をする場合に、ブレース材5が邪魔になることがあるが、第3実施形態においては、図9に示すように、溝形鋼4a、4bの開口部Jは、耐力壁1”の面外方向に向いているため、ブレース材5が邪魔になることがない。また、作業者は、組立作業時に体の正面で工具を取り扱うことができるため、作業が容易になる。そのため、ナットNをホールダウン金物6’に溶接等により予め固定しておかなくても、竪枠材4を下枠材3及び第2境界梁LKに容易に固定することができる。特に、スパナSPの取り回し幅(図9の矢印参照)が大きくなり、作業が容易になる。
また、逆にいえば、例えば頭部をカットしたボルトBTを溶接等により第2境界梁LKに予め固定しておき、その位置に溝形鋼4a、4bを立設し、当該溝内においてナットNをスパナSPやラチェット(図示省略)等で締め付けて固定する工法(手順)を採用することが可能となる。すなわち、工法選択の幅が広がるため、状況に合わせて好適な工法を選択して組立作業の容易化、作業時間の短縮等を図ることができる。
【0044】
<第4実施形態>
つづいて図10を参照して本発明の第4実施形態について説明する。説明において、同一の要素には同一の番号を付し、重複する説明は省略する。図10は、第4実施形態に係るスチールハウスの耐力壁を一部切り欠いて示した斜視図である。なお、スチールハウスの耐力壁10(以下、単に「耐力壁10」という。)は、上下に対称な構造を呈しているため、図10では、下端付近のみを拡大して示している。
【0045】
第4実施形態に係る耐力壁10は、第1実施形態に係るスチールハウスの耐力壁1と比較して、耐力壁10を構成する各部材の部材厚が大きい点、及び、竪枠材14が2つのC形鋼14a、14bからなる点、が主に異なっている。
【0046】
(耐力壁10)
耐力壁10は、主に、第1境界梁LKと第2境界梁HKとの間に所定間隔を隔てて立設された一対の竪枠材14、14と、当該竪枠材14、14の上端同士および下端同士を連結する上枠材12および下枠材13と、一対の竪枠材14の互いに向かいあう面を斜めに接続する複数のブレース材15と、から構成されている。
【0047】
(竪枠材14)
竪枠材14は、耐力壁10に作用する鉛直方向の荷重を支える部材であり、例えば「C−100×50×20×2.3」や「C−100×50×20×3.2」等の部材厚の大きい2本のC形鋼14a、14bを、互いのウェブ背面を合わせた状態で固定して構成されている。かかるC形鋼14a、14bは、第1〜第3実施形態で用いた薄板軽量形鋼(部材厚1.6mm)に比して、部材厚がそれぞれ2.3mm、3.2mmと大きいため、2本で所望の耐力を発揮することができる。C形鋼14aとC形鋼14bは、その部材厚が大きいことから、溶接によって互いに接合するのが好ましい。
C形鋼14a、14bの端部の溝内には貫通孔を備えるプレート16が溶接されて固定されており、このプレート16とボルトBT及びナットNとによって、竪枠材14は第1境界梁LKと第2境界梁HKに固定されている。プレート16は、C形鋼14a、14bの端部から若干隙間を空けて取り付けられており、ボルトBTとナットNとによってプレート16を(ひいては竪枠材14を)第1境界梁LKに引き付けることができるようになっている。
また、一対の竪枠材14の対向する側面には、短尺の溝形鋼からなる接合部材17が千鳥に取り付けられており(図1の接合部材7参照)、ブレース材15を連結可能になっている。
【0048】
(上枠材12および下枠材13)
上枠材12および下枠材13は、一対の竪枠材14、14の上端部同士および下端部同士を連結する部材であり、例えば「[−65×75×2.3」や「[−67×75×3.2」等の寸法の溝形鋼で構成されている。かかる上枠材12および下枠材13と、一対の竪枠材14とによって、耐力壁10の枠組みが構成されている。
上枠材12および下枠材13は、第1境界梁LKおよび第2境界梁HKとの間に若干隙間が空くように取り付けられている。また、当該隙間にはスペーサ18が介在されている。
【0049】
(ブレース材15)
ブレース材15は、耐力壁10の面内方向のせん断変形を拘束する部材であり、例えば「[−60×35×2.3」の寸法の溝形鋼で構成されている。ブレース材15は、一対の竪枠材14の対向する側面に接合部材17を介してピン接合されている。また、上下に隣り合う2本のブレース材15、15の端部は、1つの(同じ)接合部材に連結されており、2本のブレース材15と竪枠材14とによって、三角形の構面が形成される。すなわち、一対の竪枠材14、14と、上枠材12および下枠材13と、複数のブレース材15とによってトラス構造が形成されている。これにより、枠組みを面材で拘束する場合に比して、壁の幅方向における単位メートルあたりの耐力性能が高い、逆に言えば、同じ耐力性能を実現するために必要な壁の幅方向における単位メートルあたりの鋼材重量が小さいトラス構造の耐力壁10とすることができる。
【0050】
なお、竪枠材14は、該竪枠材14を構成するC形鋼14a、14bの溝の開口部Jが耐力壁10の面外方向に向いた状態で、第1境界梁LKおよび第2境界梁HKに連結されるのが好適である。かかる構成によれば、例えば当該開口部Jから溝内にスパナSPなどの工具を挿入して作業をする場合に、ブレース材15が邪魔になることがなく、組立作業が容易である。
【0051】
以上、本発明を実施するための最良の形態および実施例について詳細に説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更が可能である。
【0052】
例えば、第1〜第4実施形態では、ブレース材を、いわゆるワーレントラスのような形状に構成したが、これに限られるものではなく、ハウトラスやプラットトラスのような形状に構成してもよい。
【0053】
また、第1〜第3実施形態では、各部材をボルトBTやタッピンねじSで接合したが、ブレース材5と竪枠材4とがピン接合される限り、どのような接合方法で接合してもよい。
【0054】
また、第1〜第3実施形態では、各部材を薄板軽量溝形鋼で構成したが、溝形鋼に限られるものではなく、薄板軽量のC形鋼等を用いてもよい。具体的には、竪枠材のうち、内側の鋼材(溝形構4a、4bに相当)としては、例えば「C−100×50×20×1.6」等を用いることができ、外側の鋼材(溝形構4c、4d)としては、例えば「[−102×50×1.0」等を用いることができる。ブレース材5については、C形鋼(C−100×50×20×1.6)やL形鋼などを用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】第1実施形態にかかる耐力壁の構造を示す正面図である。
【図2】図1のA部を拡大して示した分解斜視図である。
【図3】図1のB部を拡大して示した分解斜視図である。
【図4】竪枠材の組立て順序を説明するための分解斜視図である。
【図5】竪枠材の組立て順序を説明するための分解斜視図である。
【図6】従来の耐力壁構造と第1実施形態に係る耐力壁構造(トラス構造)についてのせん断耐力と変形量の関係を示したグラフである。
【図7】第2実施形態に係るスチールハウスの耐力壁の構造を示した斜視図である。
【図8】第3実施形態に係るスチールハウスの耐力壁の構造を示した斜視図である。
【図9】図8のC部付近を拡大して示した斜視図である。
【図10】第4実施形態に係るスチールハウスの耐力壁を一部切り欠いて示した斜視図である。
【図11】従来のスチールハウスの耐力壁を示す分解斜視図である。
【図12】従来のスチールハウスの耐力壁のせん断耐力と変形量の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0056】
1 耐力壁
2 上枠材
3 下枠材
4 竪枠材
5 ブレース材
6 ホールダウン金物
7 接合部材
P 構面
【技術分野】
【0001】
本発明は、スチールハウスの耐力壁の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のスチールハウスの耐力壁100は、図11に示すように、薄板軽量溝形鋼を組み合わせて形成された枠体110に、石膏ボード、木質合板、鋼製面板等の面材120が、特殊なねじによって取り付けられて構成されている(例えば特許文献1参照)。そして、この枠体110と面材120が一体となって外力に抵抗することにより、壁の耐力が保持され、建物の安全が図られている。
【特許文献1】特開平9−287240号公報(段落0010〜0016、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
図12は、スチールハウスの耐力壁100のせん断耐力と変形量との関係を表したグラフである。グラフ中の線Aは、面材120として合板面材(木質合板)を使用した場合を示し、線Bは、面材120として鋼板面材を使用した場合を示している。
【0004】
面材120として合板面材を使用した場合には、鋼板面材を使用した場合に比べて、破断(図中の×印)に至るまでの変形量が大きく、外力に対して粘り強く抵抗するが、小さなせん断力で大きく変形してしまうという問題がある。すなわち、変形量が大きいため、耐力壁100が降伏してから建物が崩壊するまでの時間は長いが、比較的小さなせん断力で建物が変形し、修理が必要となったり、使用できなくなったりしてしまうという問題がある。
【0005】
一方、面材120として鋼板面材を使用した場合には、合板面材を使用した場合に比べて大きなせん断力に抵抗することができる(降伏しない)が、降伏した後の変形量が小さいため、建物の粘り強さに欠けるという問題がある。すなわち、比較的大きなせん断力が建物に加わっても大丈夫であるが、限度を超えるせん断力が加わった場合には、耐力壁100が降伏してから破断するまでの変形量が少なく、短い時間で建物が崩壊してしまうという問題がある。
【0006】
また、面材120の厚さを大きくすることによって、耐力壁100の性能を向上させることができるが、耐力壁100の重量が増加するため、組立て時の作業性が悪化するとともに、材料コストも増加してしまう。
【0007】
本発明は、これらの問題点を解決するためになされたものであり、面材を用いた耐力壁に比して重量あたりの耐力性能が高い、言い換えれば、耐力性能あたりの重量が小さいスチールハウスの耐力壁構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1にかかるスチールハウスの耐力壁構造は、上下に間隔を隔てて互いに対向した位置に配置された上枠材および下枠材と、前記上枠材および下枠材の間に立設された少なくとも一対の竪枠材と、前記一対の竪枠材の間に架設された複数のブレース材と、からなるスチールハウスの耐力壁構造であって、前記複数のブレース材の両端部は、前記一対の竪枠材にピン接合されており、隣り合うブレース材と竪枠材とで囲まれた構面は、すべて三角形となることを特徴とする。
【0009】
かかる構成によれば、前記複数のブレース材の両端部は、前記一対の竪枠材にピン接合されており、隣り合うブレース材と竪枠材とで囲まれた構面は、すべて三角形となることから、一対の竪枠材と複数のブレース材とによってトラス構造が構成される。かかるトラス構造は、面材を用いた場合に比べて壁の幅方向の単位メートルあたりにおける鋼材重量が少なくて済むとともに、せん断変形に対して粘り強く抵抗するため、面材を用いて構成された耐力壁に比べて、重量あたりの耐力性能が高い、言い換えれば、耐力性能あたりの重量が小さいスチールハウスの耐力壁構造となる。なお、本発明者らは、各種耐力壁構造について実験を行うことにより、トラス構造の性能を確認している。
【0010】
ここで、「構面」とは、外力に抵抗できるように構成された一組の平面骨組のことである。また、かかる「構面」は、応力集中が生じないように、すべて同じ大きさに形成されているのが好適である。なお、本願にいう「ピン接合」とは、曲げ変形に対して完全にフリー(曲げ剛性がゼロ)な構造に限られるものではなく、曲げ剛性に対してせん断剛性が卓越している構造も含む。また、竪枠材とブレース材とのピン接合には、タッピンねじを用いるのが好適である。
【0011】
請求項2に係るスチールハウスの耐力壁構造は、請求項1に記載のスチールハウスの耐力壁構造であって、前記上枠材と、前記下枠材と、前記一対の竪枠材と、前記複数のブレース材とから構成される枠組体の少なくとも一方の側面に、さらに、面材を取り付けてなることを特徴とする。
【0012】
かかる構成によれば、前記上枠材と、前記下枠材と、前記一対の竪枠材と、前記複数のブレース材とから構成される枠組体の少なくとも一方の側面に、さらに、面材を取り付けてスチールハウスの耐力壁構造が構築されることから、重量あたりの耐力性能を一層高めることができる。
なお、かかる面材は、構造用合板、鋼製面板または石膏ボードから構成するのが好ましい。
【0013】
また、前記上枠材、下枠材、竪枠材およびブレース材は、薄板軽量形鋼で構成されるのが好適である(請求項4)。かかる構造によれば、木材を使用しないことから、シロアリや火災に強い耐力壁とすることができる。
【0014】
また、前記一対の竪枠材は、前記ブレース材の端部とピン接合される接合部材を備えるのが好適である。かかる構造によれば、ブレース材の端部と竪枠材とを容易にピン接合することができる。とくに、薄板軽量溝形鋼を2つ嵌め合わせて竪枠材を構成した場合には、前記溝形鋼のウェブ外側面に、接合部材を取り付け、かかる接合部材を介して竪枠材とブレース材とをピン接合するのが好ましい。かかる接合部材は、例えば、適当な長さに切断した板材やL型鋼や溝形鋼等を前記溝形鋼のウェブ外側面に溶接することにより形成することができる。ブレース材と接合部材との連結には、六角ボルト−ナットやタッピンねじ等を用いることができる。
【0015】
請求項5に係るスチールハウスの耐力壁構造は、所定間隔を隔てて立設された一対の竪枠材と、前記竪枠材の上端同士を連結する上枠材と、前記竪枠材の下端同士を連結する下枠材と、前記一対の竪枠材の互いに向かいあう側面間に連結された複数のブレース材と、からなるスチールハウスの耐力壁構造であって、前記複数のブレース材の両端部は、前記一対の竪枠材にピン接合されており、隣り合うブレース材と竪枠材とで囲まれた構面は、すべて三角形となることを特徴とする。
【0016】
また、請求項6に係るスチールハウスの耐力壁構造は、請求項5に記載のスチールハウスの耐力壁構造であって、前記竪枠材は、少なくとも2本のC形鋼または溝形鋼のウェブ背面同士を接合してなり、前記C形鋼または溝形鋼は、その溝の開口部を耐力壁の面外方向に向けて立設されていることを特徴とする。
【0017】
かかる構成によれば、C形鋼または溝形鋼の開口部は、耐力壁の面外方向に向いているため、組立作業時にブレース材が邪魔になることがない。また、作業者は、体の正面で工具を取り扱うことができるため、組立作業が容易になる。そのため、ボルト、ナット及びホールダウン金物などを用いて竪枠材を下枠材または境界梁などに固定する際に、ボルトやナットをホールダウン金物または境界梁に溶接等により予め固定しておかなくても、竪枠材を容易に固定することができる。特に、スパナ等の工具の取り回し幅が大きくなり、作業が容易になる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、面材を用いた耐力壁に比して重量あたりの耐力性能が高い、言い換えれば、耐力性能あたりの重量が小さいスチールハウスの耐力壁構造を提供することができる。これにより、住宅の安全性、施工コスト、耐震性能等を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して詳細に説明する。参照する図面において、同一の要素には同一の番号を付し、重複する説明は省略する。
【0020】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態にかかる耐力壁の構造を示す正面図である。
耐力壁1は、図1に示すように、上枠材2と、下枠材3と、一対の竪枠材4、4と、ブレース材5とから構成されている。ここで、説明の便宜上、各ブレース材5に対して、図1の上から順にブレース材5A、5B、5C、5D、5E、5F、5Gと符号を付す。これらの各部材は、肉厚1.0mm〜1.6mmの薄板軽量溝形鋼(以下、「溝形鋼」と適宜略称する。)からなる。耐力壁1は、建物の基礎の上に設置されたH形鋼からなる第1境界梁LKと、一階と二階の境界に設置されたH形鋼からなる第2境界梁HKとの間に構築される。
【0021】
このように形成された耐力壁1は、図示は省略するが、屋外側の面に断熱材および外装パネルを取り付けられ、また、屋内側の面に内装パネルを取り付けられることにより、建物の壁となる。
【0022】
上枠材2は、第2境界梁HKの下側フランジの下面に、ドリリングタッピンねじによって、溝を下に向けて取り付けられている。また、下枠材3は、上枠材2と同じサイズの溝形鋼からなり、第1境界梁LKの上側フランジの上面であって上枠材2と対向する位置に、ドリリングタッピンねじによって、溝を上に向けて取り付けられている(図2参照)。すなわち、上枠材2と下枠材3とは、互いに対向する位置に建物の1階の高さ分の間隔を隔てて設置されている。
【0023】
一対の竪枠材4、4は、それぞれ4本の溝形鋼が組み合わされて構成されており、前記上枠材2と下枠材3との間に、水平方向に所定間隔を隔てて垂直に立設されている。竪枠材4の水平方向の間隔は、例えば406.4mm〜1000mmの間で適宜設定される。竪枠材4の上下の端部は、上枠材2および下枠材3の溝にそれぞれ嵌め込まれている。一対の竪枠材4、4の互いに向かい合う面には、ブレース材5を取り付けるための接合部材7が固定されている。竪枠材4については、図2を用いて後に詳しく説明する。
【0024】
なお、図1においては、竪枠材4は、2本しか図示されていないが、竪枠材4は、建物の壁の全長にわたって、上枠材2と下枠材3との間に所定の間隔で複数本立設されるものである。耐力壁1は、これらの竪枠材4のうち、構造上必要な箇所に、後記するブレース材5をトラス構造となるように設置することにより構築される。
【0025】
ブレース材5(5A、5B・・・)は、一対の竪枠材4、4のウェブ外側面に設けられた接合部材7を介して、当該一対の竪枠材4、4に、その両端を、タッピンねじSによって接合されている。なお、最上段のブレース材5Aの上端、および、最下段のブレース材5Gの下端については、竪枠材4、4に設けられた接合部材7ではなく、上枠材2および下枠材3を介して、竪枠材4、4に接続されている。
【0026】
第1実施形態では、図1に示すように、上下に隣り合うブレース材5(例えばブレース材5Aとブレース材5B)の下端と上端は、1つの接合部材7によって、竪枠材4の同じ位置に接合されている。これにより、上下に隣り合うブレース材5、5と竪枠材4の一部とによって三角形状の構面P(P1、P2・・・)が形成される。また、かかる三角形状の構面P1、P2・・・の頂点は、すべてピン構造となっている。さらに、第1実施形態にかかる耐力壁1は、各構面P1、P2・・・がそれぞれ同一の三角形となるように構成されている。そのため、それぞれの構面P1、P2・・・の剛性が等しくなり、外力を均等に分散させることができる。
【0027】
次に、図2を参照して、竪枠材4の構造、および、竪枠材4と下枠材3との接合構造について説明する。図2は、図1のA部を拡大して示した分解斜視図である。
第1実施形態では、竪枠材4は、図2に示すように、4本の溝形鋼4a、4b、4c、4dが組み合わされて構成されている。このうち、溝形鋼4a、4bは、互いのウェブ面同士を背中合わせにして当接され、タッピンねじSによって接合されている。溝形鋼4a、4bの外幅は、下枠材3(上枠材2)の溝の内幅と略等しい幅となっており、下枠材3(上枠材2)の溝に嵌め込むことができるようになっている。
【0028】
溝形鋼4a、4bの下端部は、ホールダウン金物6、6によって、第1境界梁LKに固定されている。
ホールダウン金物6は、竪枠材4を梁に接合可能なものであればどのようなものでもよいが、第1実施形態においては、図2に示すように、短尺に形成された側面視台形状の溝形部材6aと、この溝形部材6aの溝を仕切るように溶接された板材6bと、この板材6bに溶接された2つのナット6c、6cとから構成されている。板材6bには、ナット6cのボルト孔と連通する位置に貫通孔(図示せず)が形成されている。
【0029】
ホールダウン金物6、6は、溝形部材6aの当接面6a1と溝形鋼4a、4bのウェブ内側面とを当接させた状態で、溝形鋼4a、4bの下端部の溝内に設置されている。そして、溝形部材6aの当接面6a1と溝形鋼4a、4bのウェブ内側面に形成されたボルト孔に六角ボルトを挿通させ、ナットで締め付けることによって、ホールダウン金物6、6と溝形鋼4a、4bとが強固に接合されている。
また、下枠材3および第1境界梁LKには、ホールダウン金物6に溶接されたナット6c、6cに対応する位置に、下枠材3のウェブ面と第1境界梁LKの上側フランジを貫通する貫通孔Tが形成されている。溝形鋼4a、4bは、かかる貫通孔Tからナット6c、6cまで挿通されるボルトBTによって、第1境界梁LKに固定されている。
【0030】
溝形鋼4c、4dは、図2に示すように、背中合わせに貼り合わされた溝形鋼4a、4bの溝を覆うように、その両側から嵌め合わされる部材である。溝形鋼4c、4dの溝の内幅は、溝形鋼4a、4bの外幅と略等しい幅となっている。また、溝形鋼4c、4dの長さは、上枠材2のフランジの下端と下枠材3のフランジの上端の間隔L1(図1参照)に等しく形成されている。溝形鋼4c、4dは、溝形鋼4a、4bに嵌め合わされた状態で、互いのフランジをタッピンねじSで止めつけることにより固定されている。
【0031】
次に、図3を参照して、竪枠材4とブレース材5の接合構造について説明する。図3は、図1のB部を拡大して示した分解斜視図である。
接合部材7は、短尺の軽量溝形鋼からなる部材であり、竪枠材4とブレース材5の間に介在して竪枠材4とブレース材5とを連結するものである。接合部材7は、その溝をブレース材5側に向けて配置されるとともに、そのウェブ7aを竪枠材4(4c)のウェブ外側面に当接させた状態でタッピンねじSによって固定されている。
ブレース材5(5D、5E)は、軽量溝形鋼からなり、ブレース材5のウェブの外幅は、接合部材7の溝の内幅と略等しくなっている。ブレース材5の一方の端部は、接合部材7の溝にはめ込まれており、ブレース材5のフランジ5aと接合部材7のフランジ7bとがタッピンねじSによって接合されるようになっている。
このような接合構造によれば、曲げ剛性に比べてせん断剛性が卓越した構造となるので、ブレース材5と竪枠材4との接合構造をピン構造(ピン接合)とすることが可能となる。
【0032】
ここで、図1〜図5を参照して、耐力壁1の構築方法について説明する。なお、図4、図5は、竪枠材4の組立て順序を説明するための分解斜視図である。
【0033】
はじめに、第2境界梁HKの下側フランジおよび第1境界梁LKの上側フランジに、上枠材2および下枠材3を、ドリリングタッピンねじやタッピンねじ等により取り付ける(図示省略)。
【0034】
次に、図4(a)に示すように、溝形鋼4a、4bのウェブ面同士を当接させてタッピンねじS(図示省略)によって接合する。そして、この溝形鋼4a、4bの上下端部の溝内にホールダウン金物6、6をボルトBTとナットNによって固定する。
【0035】
そして、図4(b)に示すように、組み合わせた溝形鋼4a、4bの上下端部を、上枠材2および下枠材3の溝に嵌め込んで、所定の位置に垂直に立設させる。溝形鋼4a、4bを立設させる位置には、あらかじめ貫通孔Tを形成しておく。そして、この貫通孔TからボルトBTを挿通し、ホールダウン金物6に溶接されたナット6c、6cに係合させる。これにより、溝形鋼4a、4bを、第1境界梁LKおよび第2境界梁HK(図1参照)に固定する。
【0036】
次に、図5(a)に示すように、上枠材2と下枠材3との間に立設された溝形鋼4a、4bに溝形鋼4c、4dを両側から嵌め合わせ、互いのフランジをタッピンねじSで接合する。さらに、下枠材3(および上枠材2)のフランジと溝形鋼4a、4bのフランジとをタッピンねじSで接合する。これにより、竪枠材4は、図5(b)に示すように、上枠材2と下枠材3との間に垂直に立設される。
【0037】
そして、図3に示すように、竪枠材4(4c、4d)のウェブ面に、所定の間隔で接合部材7、7・・・を、タッピンねじSを用いて固定する。
【0038】
次に、ブレース材5A、5B・・・と接合部材7、7・・・とをタッピンねじSにより接合する。これにより、図1に示すように、耐力壁1が完成する。
【0039】
図6は、従来の耐力壁構造と第1実施形態に係る耐力壁構造(トラス構造)についてのせん断耐力と変形量の関係を示したグラフである。
図6に示すグラフから、本発明に係る耐力壁構造は、面材として合板を使用した従来の耐力壁構造に比べて約5倍のせん断耐力を発揮しながら、略同等の変形性能を示していることがわかる。
【0040】
<第2実施形態>
図7は、第2実施形態に係るスチールハウスの耐力壁の構造を示した斜視図である。
第2実施形態に係るスチールハウスの耐力壁1’は、スチールハウスの耐力壁1(図1参照)の側面に、さらに、面材9が取り付けられている点が、前記した実施形態と異なっている。第2実施形態においては、面材9は、木質合板で構成されている。
かかる構成によれば、面材9によって、スチールハウスの耐力壁1’の耐力性能を一層向上させることができる。
【0041】
<第3実施形態>
図8は、第3実施形態に係るスチールハウスの耐力壁の構造を示した斜視図である。
第3実施形態に係るスチールハウスの耐力壁1”は、第1実施形態に係るスチールハウスの耐力壁1(図1参照)と比較して、上枠材2および下枠材3に対して竪枠材4が90度回転している点が異なっている。
すなわち、第3実施形態に係るスチールハウスの耐力壁1”の竪枠材4は、当該竪枠材4を構成する溝形鋼4a、4b、4c、4d(図2参照)の溝の開口部Jが耐力壁1”の面外方向に向けられた状態で組み合わされて構成されている。
【0042】
図9は、図8のC部付近を拡大して示した斜視図である。なお、図9は、溝形鋼4c、4d及びタッピンねじS等を省略して表示している。
竪枠材4を構成する溝形鋼4a、4bは、図9に示すように、そのウェブ同士を当接させた状態で、コ字型の溝の開口部Jを面外方向に向けて下枠材3の溝の中にはめ込まれて立設されている。また、溝形鋼4a、4bの下端の溝内には、ホールダウン金物6’がはめ込まれて固定されている。下枠材3と第2境界梁LKには、ホールダウン金物6’の貫通孔に対応する位置に、同じく貫通孔が形成されており、ボルトBTを挿通できるようになっている。そして、溝形鋼4a、4b(竪枠材4)は、ホールダウン金物6’とボルトBTとナットNによって下枠材3および第2境界梁LKに固定されている。
【0043】
第1実施形態に係る耐力壁1では、組立作業時に溝内に工具を挿入して作業をする場合に、ブレース材5が邪魔になることがあるが、第3実施形態においては、図9に示すように、溝形鋼4a、4bの開口部Jは、耐力壁1”の面外方向に向いているため、ブレース材5が邪魔になることがない。また、作業者は、組立作業時に体の正面で工具を取り扱うことができるため、作業が容易になる。そのため、ナットNをホールダウン金物6’に溶接等により予め固定しておかなくても、竪枠材4を下枠材3及び第2境界梁LKに容易に固定することができる。特に、スパナSPの取り回し幅(図9の矢印参照)が大きくなり、作業が容易になる。
また、逆にいえば、例えば頭部をカットしたボルトBTを溶接等により第2境界梁LKに予め固定しておき、その位置に溝形鋼4a、4bを立設し、当該溝内においてナットNをスパナSPやラチェット(図示省略)等で締め付けて固定する工法(手順)を採用することが可能となる。すなわち、工法選択の幅が広がるため、状況に合わせて好適な工法を選択して組立作業の容易化、作業時間の短縮等を図ることができる。
【0044】
<第4実施形態>
つづいて図10を参照して本発明の第4実施形態について説明する。説明において、同一の要素には同一の番号を付し、重複する説明は省略する。図10は、第4実施形態に係るスチールハウスの耐力壁を一部切り欠いて示した斜視図である。なお、スチールハウスの耐力壁10(以下、単に「耐力壁10」という。)は、上下に対称な構造を呈しているため、図10では、下端付近のみを拡大して示している。
【0045】
第4実施形態に係る耐力壁10は、第1実施形態に係るスチールハウスの耐力壁1と比較して、耐力壁10を構成する各部材の部材厚が大きい点、及び、竪枠材14が2つのC形鋼14a、14bからなる点、が主に異なっている。
【0046】
(耐力壁10)
耐力壁10は、主に、第1境界梁LKと第2境界梁HKとの間に所定間隔を隔てて立設された一対の竪枠材14、14と、当該竪枠材14、14の上端同士および下端同士を連結する上枠材12および下枠材13と、一対の竪枠材14の互いに向かいあう面を斜めに接続する複数のブレース材15と、から構成されている。
【0047】
(竪枠材14)
竪枠材14は、耐力壁10に作用する鉛直方向の荷重を支える部材であり、例えば「C−100×50×20×2.3」や「C−100×50×20×3.2」等の部材厚の大きい2本のC形鋼14a、14bを、互いのウェブ背面を合わせた状態で固定して構成されている。かかるC形鋼14a、14bは、第1〜第3実施形態で用いた薄板軽量形鋼(部材厚1.6mm)に比して、部材厚がそれぞれ2.3mm、3.2mmと大きいため、2本で所望の耐力を発揮することができる。C形鋼14aとC形鋼14bは、その部材厚が大きいことから、溶接によって互いに接合するのが好ましい。
C形鋼14a、14bの端部の溝内には貫通孔を備えるプレート16が溶接されて固定されており、このプレート16とボルトBT及びナットNとによって、竪枠材14は第1境界梁LKと第2境界梁HKに固定されている。プレート16は、C形鋼14a、14bの端部から若干隙間を空けて取り付けられており、ボルトBTとナットNとによってプレート16を(ひいては竪枠材14を)第1境界梁LKに引き付けることができるようになっている。
また、一対の竪枠材14の対向する側面には、短尺の溝形鋼からなる接合部材17が千鳥に取り付けられており(図1の接合部材7参照)、ブレース材15を連結可能になっている。
【0048】
(上枠材12および下枠材13)
上枠材12および下枠材13は、一対の竪枠材14、14の上端部同士および下端部同士を連結する部材であり、例えば「[−65×75×2.3」や「[−67×75×3.2」等の寸法の溝形鋼で構成されている。かかる上枠材12および下枠材13と、一対の竪枠材14とによって、耐力壁10の枠組みが構成されている。
上枠材12および下枠材13は、第1境界梁LKおよび第2境界梁HKとの間に若干隙間が空くように取り付けられている。また、当該隙間にはスペーサ18が介在されている。
【0049】
(ブレース材15)
ブレース材15は、耐力壁10の面内方向のせん断変形を拘束する部材であり、例えば「[−60×35×2.3」の寸法の溝形鋼で構成されている。ブレース材15は、一対の竪枠材14の対向する側面に接合部材17を介してピン接合されている。また、上下に隣り合う2本のブレース材15、15の端部は、1つの(同じ)接合部材に連結されており、2本のブレース材15と竪枠材14とによって、三角形の構面が形成される。すなわち、一対の竪枠材14、14と、上枠材12および下枠材13と、複数のブレース材15とによってトラス構造が形成されている。これにより、枠組みを面材で拘束する場合に比して、壁の幅方向における単位メートルあたりの耐力性能が高い、逆に言えば、同じ耐力性能を実現するために必要な壁の幅方向における単位メートルあたりの鋼材重量が小さいトラス構造の耐力壁10とすることができる。
【0050】
なお、竪枠材14は、該竪枠材14を構成するC形鋼14a、14bの溝の開口部Jが耐力壁10の面外方向に向いた状態で、第1境界梁LKおよび第2境界梁HKに連結されるのが好適である。かかる構成によれば、例えば当該開口部Jから溝内にスパナSPなどの工具を挿入して作業をする場合に、ブレース材15が邪魔になることがなく、組立作業が容易である。
【0051】
以上、本発明を実施するための最良の形態および実施例について詳細に説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更が可能である。
【0052】
例えば、第1〜第4実施形態では、ブレース材を、いわゆるワーレントラスのような形状に構成したが、これに限られるものではなく、ハウトラスやプラットトラスのような形状に構成してもよい。
【0053】
また、第1〜第3実施形態では、各部材をボルトBTやタッピンねじSで接合したが、ブレース材5と竪枠材4とがピン接合される限り、どのような接合方法で接合してもよい。
【0054】
また、第1〜第3実施形態では、各部材を薄板軽量溝形鋼で構成したが、溝形鋼に限られるものではなく、薄板軽量のC形鋼等を用いてもよい。具体的には、竪枠材のうち、内側の鋼材(溝形構4a、4bに相当)としては、例えば「C−100×50×20×1.6」等を用いることができ、外側の鋼材(溝形構4c、4d)としては、例えば「[−102×50×1.0」等を用いることができる。ブレース材5については、C形鋼(C−100×50×20×1.6)やL形鋼などを用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】第1実施形態にかかる耐力壁の構造を示す正面図である。
【図2】図1のA部を拡大して示した分解斜視図である。
【図3】図1のB部を拡大して示した分解斜視図である。
【図4】竪枠材の組立て順序を説明するための分解斜視図である。
【図5】竪枠材の組立て順序を説明するための分解斜視図である。
【図6】従来の耐力壁構造と第1実施形態に係る耐力壁構造(トラス構造)についてのせん断耐力と変形量の関係を示したグラフである。
【図7】第2実施形態に係るスチールハウスの耐力壁の構造を示した斜視図である。
【図8】第3実施形態に係るスチールハウスの耐力壁の構造を示した斜視図である。
【図9】図8のC部付近を拡大して示した斜視図である。
【図10】第4実施形態に係るスチールハウスの耐力壁を一部切り欠いて示した斜視図である。
【図11】従来のスチールハウスの耐力壁を示す分解斜視図である。
【図12】従来のスチールハウスの耐力壁のせん断耐力と変形量の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0056】
1 耐力壁
2 上枠材
3 下枠材
4 竪枠材
5 ブレース材
6 ホールダウン金物
7 接合部材
P 構面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下に間隔を隔てて互いに対向した位置に配置された上枠材および下枠材と、
前記上枠材および下枠材の間に立設された少なくとも一対の竪枠材と、
前記一対の竪枠材の間に架設された複数のブレース材と、からなるスチールハウスの耐力壁構造であって、
前記複数のブレース材の両端部は、前記一対の竪枠材にピン接合されており、
隣り合うブレース材と竪枠材とで囲まれた構面は、すべて三角形となることを特徴とするスチールハウスの耐力壁構造。
【請求項2】
前記上枠材と、前記下枠材と、前記一対の竪枠材と、前記複数のブレース材とから構成される枠組体の少なくとも一方の側面に、さらに、面材を取り付けてなることを特徴とする請求項1に記載のスチールハウスの耐力壁構造。
【請求項3】
前記面材は、構造用合板、鋼製面板または石膏ボードからなることを特徴とする請求項2に記載のスチールハウスの耐力壁構造。
【請求項4】
前記上枠材、下枠材、竪枠材およびブレース材は、薄板軽量形鋼からなることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のスチールハウスの耐力壁構造。
【請求項5】
所定間隔を隔てて立設された一対の竪枠材と、
前記竪枠材の上端同士を連結する上枠材と、
前記竪枠材の下端同士を連結する下枠材と、
前記一対の竪枠材の互いに向かいあう側面間に連結された複数のブレース材と、からなるスチールハウスの耐力壁構造であって、
前記複数のブレース材の両端部は、前記一対の竪枠材にピン接合されており、
隣り合うブレース材と竪枠材とで囲まれた構面は、すべて三角形となることを特徴とするスチールハウスの耐力壁構造。
【請求項6】
前記竪枠材は、少なくとも2本のC形鋼または溝形鋼のウェブ背面同士を接合してなり、
前記C形鋼または溝形鋼は、その溝の開口部を耐力壁の面外方向に向けて立設されていることを特徴とする請求項5に記載のスチールハウスの耐力壁構造。
【請求項1】
上下に間隔を隔てて互いに対向した位置に配置された上枠材および下枠材と、
前記上枠材および下枠材の間に立設された少なくとも一対の竪枠材と、
前記一対の竪枠材の間に架設された複数のブレース材と、からなるスチールハウスの耐力壁構造であって、
前記複数のブレース材の両端部は、前記一対の竪枠材にピン接合されており、
隣り合うブレース材と竪枠材とで囲まれた構面は、すべて三角形となることを特徴とするスチールハウスの耐力壁構造。
【請求項2】
前記上枠材と、前記下枠材と、前記一対の竪枠材と、前記複数のブレース材とから構成される枠組体の少なくとも一方の側面に、さらに、面材を取り付けてなることを特徴とする請求項1に記載のスチールハウスの耐力壁構造。
【請求項3】
前記面材は、構造用合板、鋼製面板または石膏ボードからなることを特徴とする請求項2に記載のスチールハウスの耐力壁構造。
【請求項4】
前記上枠材、下枠材、竪枠材およびブレース材は、薄板軽量形鋼からなることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のスチールハウスの耐力壁構造。
【請求項5】
所定間隔を隔てて立設された一対の竪枠材と、
前記竪枠材の上端同士を連結する上枠材と、
前記竪枠材の下端同士を連結する下枠材と、
前記一対の竪枠材の互いに向かいあう側面間に連結された複数のブレース材と、からなるスチールハウスの耐力壁構造であって、
前記複数のブレース材の両端部は、前記一対の竪枠材にピン接合されており、
隣り合うブレース材と竪枠材とで囲まれた構面は、すべて三角形となることを特徴とするスチールハウスの耐力壁構造。
【請求項6】
前記竪枠材は、少なくとも2本のC形鋼または溝形鋼のウェブ背面同士を接合してなり、
前記C形鋼または溝形鋼は、その溝の開口部を耐力壁の面外方向に向けて立設されていることを特徴とする請求項5に記載のスチールハウスの耐力壁構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−37704(P2006−37704A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−379392(P2004−379392)
【出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【出願人】(502210529)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【出願人】(502210529)
【Fターム(参考)】
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