ステアリング装置用シャフト及びその製造方法
【課題】ステアリングホイールを固定する側の座屈強度、振動剛性を高め、肉厚管理を不要として安価に製造することができるステアリング装置用シャフトを提供する。
【解決手段】ステアリング装置用シャフト30の一端側30aの空洞部30a1には、金属材料からなる中実の芯材37が埋め込まれている。この芯材37は、一端側30aの軸受保持面34が形成されている位置の空洞部30a1では大きな外径とされ、雄スプライン33が形成されている位置の空洞部30a1まで徐々に縮径されていき、雄ねじ32が形成されている位置の空洞部30a1では最も小さな外径で埋め込まれている。ステアリング装置用シャフトの一端側30aは中実構造とされている。
【解決手段】ステアリング装置用シャフト30の一端側30aの空洞部30a1には、金属材料からなる中実の芯材37が埋め込まれている。この芯材37は、一端側30aの軸受保持面34が形成されている位置の空洞部30a1では大きな外径とされ、雄スプライン33が形成されている位置の空洞部30a1まで徐々に縮径されていき、雄ねじ32が形成されている位置の空洞部30a1では最も小さな外径で埋め込まれている。ステアリング装置用シャフトの一端側30aは中実構造とされている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用ステアリング装置の構成部材であって後端にステアリングホイールを固定するステアリング装置用シャフト及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用ステアリング装置のステアリングシャフトは、車体側部材に支持されたステアリングコラムの内部に配置されて回転自在に支持されている。ステアリングシャフトの車両後端にはステアリングホイールが固定されており、ステアリングホイールを操舵してステアリングシャフトが回転し、この回転力が自在継手、伝達軸を介してステアリングギヤに伝達され、ステアリングギヤが回転運動を車両幅方向の直線運動に変換することで、タイロッドを介して転舵輪が転舵されようになっている。
【0003】
ここで、近年のステアリングシャフトは、車両二次衝突時の運転者を保護するため、衝撃力が作用すると全長が縮まるコラプシブル構造を採用している。すなわち、ステアリングシャフトは、車両後端にステアリングホイールを固定した中空形状の第1シャフトと、この第1シャフトの車両前方側と軸方向の相対移動を可能とし、且つ回転方向の移動を規制するトルク伝達を介して係合している第2シャフトとで構成し、ステアリングホイールに衝撃力が作用すると第1シャフト及び第2シャフトのトルク伝達部が軸方向に相対移動して全長が縮まる。
【0004】
前述した中空形状の第1シャフトの構造として、例えば特許文献1に記載されている中空形状のステアリングシャフトが知られている。このステアリングシャフトは断面が円形の中空管を素材とし、この素材の一端側の縮径加工を行なう、この縮径した一端側に、ステアリングホイールを固定するテーパ部、スプライン部、雄ねじ部などのホイール取付け部を形成している。また、素材の他端側の内外両周面の何れか一方の周面は、前記第2シャフトと軸方向に摺動自在に係合するセレーション加工を施している。
【特許文献1】特開平11−247835号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1のステアリングシャフトのステアリングホイールを固定する一端側は中空形状なので、一端側の縮径加工を行なうときに肉厚管理を行なわないと、薄肉形状となった一端側にテーパ部、スプライン部、雄ねじ部などのホイール取付け部を形成した場合、ステアリングホイールを固定する際に固定部が座屈変形してステアリングシャフトが沈み込むおそれがある。
【0006】
また、このステアリングシャフトの中空形状の一端側は振動に対する剛性も低いので、振動剛性を高める二次加工が必要となる。
そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、ステアリングホイールを固定する側の座屈強度、振動剛性を高め、肉厚管理を不要として安価に製造することができるステアリング装置用シャフト及びその製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、中空管形状の長手方向の一端側に縮径加工を施し、この縮径させた一端側にステアリングホイールを固定するためのホイール取付け部を形成し、長手方向の他端側の内外両周面の何れか一方の周面に、嵌合する他の部材に対して軸方向の相対移動を可能とし、且つ回転方向の移動を規制するトルク伝達部を設けてなるステアリング装置用シャフトにおいて、縮径した前記一端側の空洞部に芯材を埋め込むことで当該一端側を中実構造とした。
【0008】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載のステアリング装置用シャフトにおいて、前記芯材を合成樹脂部材とした。
また、請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載のステアリング装置用シャフトにおいて、前記一端側の内周面に、前記芯材の軸方向の移動を拘束する移動拘束部を設けた。
一方、請求項4の発明は、中空管形状としたシャフト素材の一端側に縮径加工を施し、その縮径させた一端側にステアリングホイールを固定するためのホイール取付け部を形成するとともに、前記シャフト素材の他端側の内外両周面の何れか一方の周面に、嵌合する他の部材に対して軸方向の相対移動を可能とし、且つ回転方向の移動を規制するトルク伝達部を設けてステアリング装置用シャフトを製造する方法において、前記一端側を縮径させる前に、前記一端側の空洞部に芯材を挿入しておき、前記一端側の縮径加工と同時に、前記芯材を塑性変形させて前記一端側を中実構造とすることを特徴とするステアリング装置用シャフトの製造方法である。
【0009】
また、請求項5記載の発明は、請求項4記載のステアリング装置用シャフトの製造方法において、前記シャフト素材の一端側の内周面に、径方向に突出する突起を形成しておき、前記一端側の縮径加工と同時に、前記突起を前記芯材に係合させて当該突起を前記芯材の軸方向の移動を拘束する移動拘束部とした。
さらに、請求項6記載の発明は、中空管形状としたシャフト素材の一端側に縮径加工を施し、その縮径させた一端側にステアリングホイールを固定するためのホイール取付け部を形成するとともに、前記シャフト素材の他端側の内外両周面の何れか一方の周面に、嵌合する他の部材に対して軸方向の相対移動を可能とし、且つ回転方向の移動を規制するトルク伝達部を設けてステアリング装置用シャフトを製造する方法において、前記一端側を縮径させた後、前記他端側の開口部から前記一端側の座屈荷重を高める部位の空洞部に、軸方向の移動を拘束して芯材を埋め込むことを特徴とするステアリング装置用シャフトの製造方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るステアリング装置用シャフト及びその製造方法によると、ステアリングホイールを固定する一端側の空洞部に芯材を埋め込むことで当該一端側を中実構造としたので、一端側の座屈強度、振動剛性を高め、肉厚管理を不要としてステアリング装置用シャフトを安価に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、実施形態という。)を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明に係るステアリング装置を組付けた車両を示す全体構成図であり、図2はステアリング装置の側面図を示す図である。
図1において、ステアリング装置10は、車両の水平方向に対して車両後方上がりに所定角度だけ傾斜して配置されており、ステアリングシャフト11を回動自在に支持するステアリングコラム12を有する。ステアリングシャフト11には、その後端にステアリングホイール13が装着され、ステアリングシャフト11の前端にはユニバーサルジョイント14を介して中間シャフト15が連結されている。中間シャフト15にはその前端にユニバーサルジョイント16を介してラックアンドピニオン機構等からなるステアリングギヤ17が連結されている。このステアリングギヤ17の出力軸がタイロッド18を介して転舵輪19に連結されている。
【0012】
そして、運転者がステアリングホイール13を操舵すると、ステアリングシャフト11、ユニバーサルジョイント14、中間シャフト15、ユニバーサルジョイント16を介してその回転力がステアリングギヤ17に伝達され、ラックアンドピニオン機構で回転運動が車両幅方向の直線運動に変換されてタイロッド18を介して転舵輪19を転舵する。
ステアリングシャフト11は、図2に示すように、ステアリングホイール13(図2では不図示)を固定したアウタシャフト30と、このアウタシャフト30にスプライン結合されてコラム軸P1方向に摺動自在に係合されたインナシャフト31とで構成されている。
【0013】
ステアリングコラム12は、アウタコラム12aと、このアウタコラム12aにコラム軸P1方向に摺動自在に保持されたインナコラム12bとで構成され、インナコラム12bの車両前方側端部の内周面に配設された転がり軸受12c及びアウタコラム12aの車両前方側端部の内周面に配設された転がり軸受12dによってステアリングシャフト11が回転自在に支持されている。
【0014】
そして、インナコラム12bの車両前方側(ユニバーサルジョイント14側)は、コ字形状のコラム側ブラケット20が固定されており、このコラム側ブラケット20に挿通孔21が形成されている。また、車体側部材22に固定した車両前方側車体ブラケット23にも挿通孔(不図示)が形成されており、この挿通孔とコラム側ブラケット20の挿通孔21の軸芯を一致させてチルトピボット軸24を挿通することで、インナコラム12bの車両前方側が車体側部材22にチルト可能に軸支されている。
【0015】
また、アウタコラム12aの車両前方側には、インナコラム12bの外周を包持する車幅方向に離間した一対のクランプ部(図2では一方のクランプ部25aのみ示す)が一体に形成されており、これら一対のクランプ部25aを、車体側部材22に固定した車両後方側車体ブラケット26が車幅方向から挟み込んでいるとともに、車両後方側車体ブラケット26に、一対のクランプ部25aが互いに近接する方向に弾性変形させてコラム軸P1方向に相対移動不能となるようにインナコラム12bをクランプするクランプ装置27が備えられている。
【0016】
車両後方側車体ブラケット26は、フランジ26aと、このフランジ26aから上下方向に延在して車幅方向に離間配置されている一対の側板(不図示)とを備えている。フランジ26aには、車両後方側の端部に離脱用カプセル29が嵌め込まれており、この離脱用カプセル29は固定ボルトを介して車体側部材22に固定されている。
クランプ装置27は、車両後方側車体ブラケット26の車幅方向に離間して配置されている側板(不図示)及び一対のクランプ部25aのテレスコ用長孔25a2に挿通している締付けロッド27aと、締め付けロッド27aのねじ側に外観されている固定カム(不図示)、可動カム(不図示)及び調整ナット(不図示)と、可動カムに固定された操作レバー27eとを備えている。
【0017】
(第1実施形態:アウタシャフトの構造)
図3から図5は、ステアリングシャフト11を構成する第1実施形態のアウタシャフト30の構造を示すものである。図3は、第1実施形態のアウタシャフト30の軸方向に沿った断面であり、図4は、アウタシャフト30の他端側の構造を示す横断面であり、図5は、図4と異なるアウタシャフト30の他端側の構造を示す横断面である。
【0018】
本実施形態のアウタシャフト30は、鉄、或いはアルミニウム合金等からなる金属製の中空管形状の部材であり、一端側30aは端部に向かうにしたがい段階的に縮径された形状とされ、他端側30bは同一寸法の外径で形成されている。
アウタシャフト30の一端側30aは、最も縮径されている端部側の外周に雄ねじ32が形成され、この雄ねじ32に対して他端側30bに隣接して拡径した位置の外周に雄スプライン33が形成され、雄スプライン33に対して他端側30bに寄った位置の外周に、前述した転がり軸受12dの内輪が嵌合する軸受保持面34が形成されている。
【0019】
そして、図示しないが、このアウタシャフト30の一端側30aの雄スプライン33に、ステアリングホイール13の軸穴に形成した雌スプラインを係合し、ステアリングホイール13の軸穴から突出した雄ねじ32にナットを締め付けることで、一端側30aの端部にステアリングホイール13が固定される。
一方、アウタシャフト30の他端側30bの内周面には、図3及び図4に示すように、軸方向に延在するスプライン溝部35a〜35dが周方向に所定間隔をあけて形成されている。これらスプライン溝部35a〜35dは、インナシャフト31の外周に形成したスプライン軸部36a〜36eに係合する。ここで、アウタシャフト30のスプライン溝部35cは、インナシャフト31の2条のスプライン軸部36c,36dが係合する溝幅に設定されており、これによりスプライン溝部35cとスプライン軸部36c,36dとの間には、外気と連通する空気抜き空間Sが画成されている。なお、図5に示すように、アウタシャフト30のスプライン溝部35a〜35eの溝底と、インナシャフト31のスプライン軸部36a〜36eの軸頂部とが離間する構造として、それら溝底及び軸頂部の間に、外気と連通する空気抜き空間Sを画成してもよい。
【0020】
ここで、一端側30aの空洞部30a1には、鉄、或いはアルミニウム合金等の金属材料からなる中実の芯材37が埋め込まれている。この芯材37は、一端側30aの軸受保持面34が形成されている位置の空洞部30a1では大きな外径とされ、雄スプライン33が形成されている位置の空洞部30a1まで徐々に縮径されていき、雄ねじ32が形成されている位置の空洞部30a1では最も小さな外径で埋め込まれている。これにより、アウタシャフト30の一端側30aは中実構造とされている。
【0021】
そして、芯材37の他端側30bに位置する一方の端面には、一端側30aの内周面から径方向内方に突出して形成された環状の抜け止め部38が当接しており、この抜け止め部38が一方の端面に当接している芯材37は、他端側30b(図3の左側)への抜けが防止されている。
次に、本実施形態のアウタシャフト30を使用したステアリング装置10の動作及び作用効果について説明する。
【0022】
ステアリング装置10のテレスコ調整を行なうには、図2に示すように、一対のクランプ部25aが互いに離間する方向にクランプ装置27の操作レバー27eを回動する。これにより、車両後方側車体ブラケット26の一対の側板の締付けが解除され、一対のクランプ部25aによるインナコラム12bのクランプが解除されるので、締付けロッド27aをテレスコ用長孔25a2の長軸方向にスライドさせながら、アウタコラム12aをコラム軸P1方向に移動させていき、ステアリングホイール13を車両前後方向の所定位置まで移動する。
【0023】
そして、一対のクランプ部25aが互いに近接する方向にクランプ装置27の操作レバー27eを回動する。これにより、車両後方側車体ブラケット26の一対の側板が互いに近接する方向に締付けられ、一対のクランプ部25aの内周面で画成される円が縮径し、インナコラム12bの外周面の略全域に当接するので、一対のクランプ部25aがコラム軸P1方向に移動不能とされながらインナコラム12bにクランプし、テレスコ調整が完了する。
【0024】
一方、車両の二次衝突時に、運転者からステアリングホイール13に車両前方を向く衝撃荷重(図2の符号F)が入力すると、ステアリングホイール13からステアリングシャフト11を介してステアリングコラム12に衝撃荷重が加わる。
この際、ステアリングホイール13から衝撃荷重Fが入力したステアリングシャフト11は、スプライン溝部35a〜35dがインナシャフト31のスプライン軸部36a〜36eに摺動しながらアウタシャフト30が車両前方側に移動して全長が縮まることで、運転者を保護する。そして、ステアリングシャフト11の全長が縮まるときには、アウタシャフト30のスプライン溝部35cとインナシャフト31のスプライン軸部36c,36dとの間に画成した空気抜き空間S(図4参照)、或いはアウタシャフト30のスプライン溝部35a〜35eの溝底とインナシャフト31のスプライン軸部36a〜36eの軸頂部との間に画成した空気抜き空間S(図5参照)から、アウタシャフト30及びインナシャフト31の間に溜まっている空気が直ぐに外気に排出されるので、ステアリングシャフト11の縮み動作がスムーズに行なわれる。
【0025】
また、ステアリングコラム12に衝撃荷重が加わると、アウタコラム12aを車体側部材22に支持している車両後方側車体ブラケット26に車両前方側への衝撃力が入力する。
このとき、車両後方側車体ブラケット26のフランジ26aの車両後方側は、離脱用カプセル29を介して車体側部材22に固定されており、フランジ26aに車両前方側への衝撃力が入力すると、離脱用カプセル29からフランジ26aが抜け出しながら衝撃力を吸収する。
【0026】
そして、本実施形態のアウタシャフト30一端側30aは、段階的に縮径される際に薄肉の肉厚形状となっても、空洞部30a1に金属材料からなる芯材37が埋め込まれて座屈強度が高い中実構造となっているので、一端側30aの端部にステアリングホイール13を固定する際に雄スプライン33や雄ねじ32が座屈せず、アウタシャフト30が沈み込むおそれがない。
【0027】
また、一端側30aの空洞部30a1に芯材37を埋め込むと振動剛性も高くなるので、エンジンの振動等がステアリングホイール13に伝達しにくくなる。
さらに、芯材37の他端側30bに位置する一方の端面に、一端側30aの内周面から径方向内方に突出した抜け止め部38が当接して芯材37が空洞部30a1から抜けるのを確実に防止しているので、アウタシャフト30の一端側30aの座屈強度及び振動剛性は長期に渡って維持される。
【0028】
したがって、本実施形態のアウタシャフト30は、一端側30aの座屈強度を高めてステアリングホイール13を確実に固定することができるとともに、一端側30aの振動剛性を高めてステアリングホイール13に伝わる振動を抑制し、ステアリングホイール13が振動することによる運転者の違和感を低減することができる。
【0029】
(第2実施形態:アウタシャフトの構造)
次に、図6は、第2実施形態のアウタシャフト30の構造を示すものである。なお、図3で示した構成と同一構成部分には、同一符号を付してその説明を省略する。
本実施形態のアウタシャフト30は、一端側30aの空洞部30a1に、合成樹脂製の中実の芯材39が埋め込まれている。この芯材39は、一端側30aの軸受保持面34が形成されている位置の空洞部30a1では大きな外径とされ、雄スプライン33が形成されている位置の空洞部30a1まで徐々に縮径されていき、雄ねじ32が形成されている位置の空洞部30a1では最も小さな外径で埋め込まれている。これにより、アウタシャフト30の一端側30aは中実構造とされている。
【0030】
そして、芯材37の他端側30bに位置する一方の端面に環状の抜け止め部38が当接し、芯材39の他端側30b(図6の左側)への抜けが防止されている。
本実施形態によると、第1実施形態と同様に、一端側30aの座屈強度を高めてステアリングホイール13を確実に固定することができ、一端側30aの振動剛性を高めてステアリングホイール13に伝わる振動を抑制し、運転者の違和感を低減することができるとともに、合成樹脂製の芯材39を使用することで、アウタシャフト30の軽量化を図ることができる。
【0031】
(第3実施形態のアウタシャフトの構造)
次に、図7及び図8は第3実施形態のアウタシャフト30の一端側30aを示す図である。
図7で示すアウタシャフト30の一端側30aには、鉄、或いはアルミニウム合金等の金属材料からなる中実の芯材37が埋め込まれている。
そして、一端側30aの軸受保持面34を形成している位置の内周面には、径方向内方に突出した環状の抜け止め部40が形成され、この環状の抜け止め部40に密着した状態で、芯材37の大きな外径の部分の一部に環状の凹部37aが形成されている。
【0032】
このように、芯材37の大きな外径の部分の一部に凹部37aが形成されており、この凹部37aに一端側30aの内周面から径方向内方に突出する抜け止め部40が密着しているので、芯材37が空洞部30a1から抜けるのを確実に防止することができ、アウタシャフト30の一端側30aの座屈強度及び振動剛性を長期に渡って維持することができる。
【0033】
また、図8で示すアウタシャフト30の一端側30aにも、鉄、或いはアルミニウム合金等の金属材料からなる中実の芯材37が埋め込まれている。
そして、一端側30aの雄ねじ32を形成している位置の内周面に、径方向外方に凹んだ環状の抜け止め部41が形成され、この抜け止め部41に密着した状態で、芯材37の最も小さな外径の部分の一部に環状の凸部37bが形成されている。
【0034】
このように、芯材37の小さな外径の部分の一部に凸部37bが形成されており、この凸部37bに一端側30aの最も内径の小さい内周面に径方向外方に凹んだ抜け止め部41が密着しているので、芯材37が空洞部30a1から抜けるのを確実に防止することができ、アウタシャフト30の一端側30aの座屈強度及び振動剛性を長期に渡って維持することができる。
【0035】
(第4実施形態:アウタシャフトの構造)
次に、図9は、第4実施形態のアウタシャフト30の構造を示すものである。
本実施形態は、一端側30aの雄スプライン33を形成している位置と軸受保持面34を形成している位置との間の内周面に雌ねじ42が形成されている。
また、一端側30aの空洞部30a1には、他端側30bの開口部から鉄、アルミニウム合金等の金属材料からなる外周に雄ねじを形成したねじ芯材43が挿入されてきて、雌ねじ42にねじ込まれている。
【0036】
これにより、アウタシャフト30の一端側30aの雄スプライン33を形成している位置と軸受保持面34を形成している位置との間の部位が中実構造とされている。
本実施形態によると、アウタシャフト30の一端側30aの端部にステアリングホイール13を固定する際には、一端側30aの雄スプライン33を形成した位置に対して他端側30b側に寄った位置に大きな座屈荷重が加わるが、その大きな座屈荷重が加わる位置にねじ芯材43をねじ込んで座屈強度が高い中実構造としているので、アウタシャフト30の一端側30aの座屈強度が弱い部位を局部的に高くすることができる。
【0037】
また、一端側30aの空洞部30a1の全域に鉄、アルミニウム合金等の金属材料からなる芯材を埋め込む構造と比較して、アウタシャフト30の軽量化を図ることができる。
さらに、一端側30aの内周面に形成した雌ねじ32にねじ芯材43がねじ込まれていることから、ねじ芯材43の抜けを確実に防止することができる。
なお、図示しないが、一端側30aの雄スプライン33を形成している位置と軸受保持面34を形成している位置との間の内周面の部位に、その内周面の部位の直径より大径の筒状部材を圧入して埋め込む構造とすると、上述した第4実施形態と同様に、アウタシャフト30の一端側30aの座屈強度が弱い部位を局部的に高くすることができるとともに、アウタシャフト30の軽量化を図ることができる。
【0038】
また、本実施形態では、鉄、アルミニウム合金等の金属材料からなるねじ芯材43を使用したが、剛性樹脂材からなるねじ芯材を使用すると、さらにアウタシャフト30の軽量化を図ることができる。
【0039】
(第5実施形態:アウタシャフトの製造方法)
次に、図10は、図3で示した第1実施形態のアウタシャフト30の製造方法を示す図である。なお、図3で示した構成と同一構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
本実施形態は、長手方向の外径を同一寸法とした中空円筒管形状の鉄、或いはアルミニウム合金等からなる金属製のシャフト素材45を使用している。なお、このシャフト素材45の長手方向の一方を一端側30aとし、長手方向の他端側30bとする。
先ず、最初の工程は、図10(a)に示すように、シャフト素材45の他端側30bの内径及び外径の丸絞り加工を行なった後、内周面に軸方向に延在するスプライン溝部35aを形成する。また、一端側30aの長手方向の中央に寄った位置の内周面に、抜け止め部38を形成するための環状の突起38aを形成する。
【0040】
次いで、図10(b)に示すように、一端側30aの開口から空洞部30a1に、鉄、或いはアルミニウム合金等からなる金属製の芯材37を挿入し、その端部を突起38aに当接させる。
次の工程では、図10(c)に示すように、一端側30aの外周に対してプレス押し込み加工、或いはロータリースウェージング加工を行なうことで、一端側30aの端部に向かうにしたがい段階的に縮径された外周を形成する。この際、一端側30aの内周に形成された突起38aは径方向内方に膨出していき、空洞部30a1に挿入された芯材37は、一端側30aの端部に向けて段階的に縮径した内周面の形状に沿って塑性変形していく。そして、径方向内方に膨出した突起38aは、芯材37の他端側30bへの抜けを防止する抜け止め部38となる。
【0041】
次の工程では、シャフト素材45の長手方向の寸法が規定の寸法となるように切断加工を行い、端部の面取り加工等を行なう。
次の工程では、図10(d)に示すように、一端側30aの端部に向かうにしたがい段階的に縮径された外周に、雄ねじ32、雄スプライン33を形成する。そして、シャフト素材45全体の洗浄作業を行なうことでアウタシャフト30が製造される。
【0042】
本実施形態のアウタシャフト30の製造方法によると、シャフト素材45の一端側30aの空洞部30a1に芯材37を挿入しておき、一端側30aの縮径加工を行なうことで芯材37を塑性変形させるだけで中実構造の一端側30aが形成され、肉厚管理を行なわずに一端側30aの座屈強度を高くした安定した品質のアウタシャフト30を製造することができるので、アウタシャフト30を安価に製造することができる。
【0043】
また、シャフト素材45の内周面に抜け止め部38用の突起38aを形成しておくことで、一端側30aの縮径加工と同時に、芯材37用の抜け止め部38を簡単に形成することができる。
なお、本実施形態では、鉄、或いはアルミニウム合金等からなる金属製の芯材37を使用したが、図6に示したように剛性樹脂製の芯材39を使用して上記の工程でアウタシャフト30を製造すると、軽量化を図ったアウタシャフト30を製造することができる。
【0044】
また、本実施形態では、芯材37の端面に抜け止め部38が当接する構造としたが、図7及び図8に示す位置で抜け止め部40,41を形成するために、シャフト素材45の内周面に抜け止め部40,41用の突起を形成してもよい。
【0045】
(第6実施形態:アウタシャフトの製造方法)
次に、図11は、図9で示した第4実施形態のアウタシャフト30の製造方法を示す図である。
本実施形態の最初の工程は、図11(a)に示すように、シャフト素材45の他端側30bの内径及び外径の丸絞り加工を行なった後、内周面に軸方向に延在するスプライン溝部35aを形成する。
次の工程では、図11(b)に示すように、一端側30aの外周に対してプレス押し込み加工、或いはロータリースウェージング加工を行なうことで、一端側30aの端部に向かうにしたがい段階的に縮径された外周を形成する。
【0046】
次の工程では、図11(c)に示すように、一端側30aの内周面の長さ方向中央部に雌ねじ42を形成するとともに、他端側30bの開口部から挿入したねじ芯材43を雌ねじ42にねじ込む。
次の工程では、シャフト素材45の長手方向の寸法が規定の寸法となるように切断加工を行い、端部の面取り加工等を行なう。
【0047】
次の工程では、図11(d)に示すように、一端側30aの端部に向かうにしたがい段階的に縮径された外周に、雄ねじ32、雄スプライン33を形成する。そして、シャフト素材45全体の洗浄作業を行なうことでアウタシャフト30が製造される。
本実施形態のアウタシャフト30の製造方法によると、一端側30aの縮径加工を行なった後に、座屈強度を高める部分に雌ねじ42を形成し、この雌ねじ42にねじ芯材43をねじ込むことで、肉厚管理を行なわずに一端側30aの座屈強度を必要とする部分を中実構造とすることができるので、軽量化を図りながら安定した品質のアウタシャフト30を製造することができる。
【0048】
なお、本実施形態では、鉄、アルミニウム合金等の金属材料からなるねじ芯材43を使用したが、剛性樹脂材からなるねじ芯材を使用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明に係るステアリング装置を組付けた車両を示す全体構成図である。
【図2】ステアリング装置の側面図を示す図である。
【図3】本発明に係る第1実施形態のステアリング装置用シャフトの軸方向に沿った断面である。
【図4】本発明に係るステアリング装置用シャフトの他端側の構造を示す横断面である。
【図5】図4と異なる構造のステアリング装置用シャフトの他端側の構造を示す横断面である。
【図6】本発明に係る第2実施形態のステアリング装置用シャフトの軸方向に沿った断面である。
【図7】本発明に係る第3実施形態のステアリング装置用シャフトの軸方向に沿った要部断面である。
【図8】図7と異なる構造のステアリング装置用シャフトの軸方向に沿った要部断面である。
【図9】本発明に係る第4実施形態のステアリング装置用シャフトの軸方向に沿った断面である。
【図10】本発明に係る第5実施形態のステアリング装置用シャフトの製造方法を示す図である。
【図11】本発明に係る第6実施形態のステアリング装置用シャフトの製造方法を示す図である。
【符号の説明】
【0050】
10…ステアリング装置、11…ステアリングシャフト、12…ステアリングコラム、12a…アウタコラム、12b…インナコラム、12c…転がり軸受、12d…転がり軸受、13…ステアリングホイール、14…ユニバーサルジョイント、15…中間シャフト、16…ユニバーサルジョイント、17…ステアリングギヤ、18…タイロッド、19…転舵輪、20…コラム側ブラケット、21…挿通孔、22…車体側部材、23…車両前方側車体ブラケット、24…チルトピボット軸、25a…クランプ部、25a2…テレスコ用長孔、26…車両後方側車体ブラケット、26a…フランジ、27…クランプ装置、27a…ロッド、27e…操作レバー、29…離脱用カプセル、30…アウタシャフト(ステアリング装置用シャフト)、30a…アウタシャフトの一端側、30a1…空洞部、30b…アウタシャフトの他端側、31…インナシャフト(嵌合する他の部材)、33…雄スプライン、34…軸受保持面、35a〜35d…スプライン溝部(トルク伝達部)、36a〜36d…スプライン軸部、37…芯材、37a…凹部、37b…凸部、38…抜け止め部(移動拘束部)、38a…突起、39…芯材、40,41…抜け止め部(移動拘束部)、43…ねじ芯材(芯材)、45…シャフト素材、F…衝撃荷重、P1…コラム軸、S…空気抜き空間
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用ステアリング装置の構成部材であって後端にステアリングホイールを固定するステアリング装置用シャフト及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用ステアリング装置のステアリングシャフトは、車体側部材に支持されたステアリングコラムの内部に配置されて回転自在に支持されている。ステアリングシャフトの車両後端にはステアリングホイールが固定されており、ステアリングホイールを操舵してステアリングシャフトが回転し、この回転力が自在継手、伝達軸を介してステアリングギヤに伝達され、ステアリングギヤが回転運動を車両幅方向の直線運動に変換することで、タイロッドを介して転舵輪が転舵されようになっている。
【0003】
ここで、近年のステアリングシャフトは、車両二次衝突時の運転者を保護するため、衝撃力が作用すると全長が縮まるコラプシブル構造を採用している。すなわち、ステアリングシャフトは、車両後端にステアリングホイールを固定した中空形状の第1シャフトと、この第1シャフトの車両前方側と軸方向の相対移動を可能とし、且つ回転方向の移動を規制するトルク伝達を介して係合している第2シャフトとで構成し、ステアリングホイールに衝撃力が作用すると第1シャフト及び第2シャフトのトルク伝達部が軸方向に相対移動して全長が縮まる。
【0004】
前述した中空形状の第1シャフトの構造として、例えば特許文献1に記載されている中空形状のステアリングシャフトが知られている。このステアリングシャフトは断面が円形の中空管を素材とし、この素材の一端側の縮径加工を行なう、この縮径した一端側に、ステアリングホイールを固定するテーパ部、スプライン部、雄ねじ部などのホイール取付け部を形成している。また、素材の他端側の内外両周面の何れか一方の周面は、前記第2シャフトと軸方向に摺動自在に係合するセレーション加工を施している。
【特許文献1】特開平11−247835号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1のステアリングシャフトのステアリングホイールを固定する一端側は中空形状なので、一端側の縮径加工を行なうときに肉厚管理を行なわないと、薄肉形状となった一端側にテーパ部、スプライン部、雄ねじ部などのホイール取付け部を形成した場合、ステアリングホイールを固定する際に固定部が座屈変形してステアリングシャフトが沈み込むおそれがある。
【0006】
また、このステアリングシャフトの中空形状の一端側は振動に対する剛性も低いので、振動剛性を高める二次加工が必要となる。
そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、ステアリングホイールを固定する側の座屈強度、振動剛性を高め、肉厚管理を不要として安価に製造することができるステアリング装置用シャフト及びその製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、中空管形状の長手方向の一端側に縮径加工を施し、この縮径させた一端側にステアリングホイールを固定するためのホイール取付け部を形成し、長手方向の他端側の内外両周面の何れか一方の周面に、嵌合する他の部材に対して軸方向の相対移動を可能とし、且つ回転方向の移動を規制するトルク伝達部を設けてなるステアリング装置用シャフトにおいて、縮径した前記一端側の空洞部に芯材を埋め込むことで当該一端側を中実構造とした。
【0008】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載のステアリング装置用シャフトにおいて、前記芯材を合成樹脂部材とした。
また、請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載のステアリング装置用シャフトにおいて、前記一端側の内周面に、前記芯材の軸方向の移動を拘束する移動拘束部を設けた。
一方、請求項4の発明は、中空管形状としたシャフト素材の一端側に縮径加工を施し、その縮径させた一端側にステアリングホイールを固定するためのホイール取付け部を形成するとともに、前記シャフト素材の他端側の内外両周面の何れか一方の周面に、嵌合する他の部材に対して軸方向の相対移動を可能とし、且つ回転方向の移動を規制するトルク伝達部を設けてステアリング装置用シャフトを製造する方法において、前記一端側を縮径させる前に、前記一端側の空洞部に芯材を挿入しておき、前記一端側の縮径加工と同時に、前記芯材を塑性変形させて前記一端側を中実構造とすることを特徴とするステアリング装置用シャフトの製造方法である。
【0009】
また、請求項5記載の発明は、請求項4記載のステアリング装置用シャフトの製造方法において、前記シャフト素材の一端側の内周面に、径方向に突出する突起を形成しておき、前記一端側の縮径加工と同時に、前記突起を前記芯材に係合させて当該突起を前記芯材の軸方向の移動を拘束する移動拘束部とした。
さらに、請求項6記載の発明は、中空管形状としたシャフト素材の一端側に縮径加工を施し、その縮径させた一端側にステアリングホイールを固定するためのホイール取付け部を形成するとともに、前記シャフト素材の他端側の内外両周面の何れか一方の周面に、嵌合する他の部材に対して軸方向の相対移動を可能とし、且つ回転方向の移動を規制するトルク伝達部を設けてステアリング装置用シャフトを製造する方法において、前記一端側を縮径させた後、前記他端側の開口部から前記一端側の座屈荷重を高める部位の空洞部に、軸方向の移動を拘束して芯材を埋め込むことを特徴とするステアリング装置用シャフトの製造方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るステアリング装置用シャフト及びその製造方法によると、ステアリングホイールを固定する一端側の空洞部に芯材を埋め込むことで当該一端側を中実構造としたので、一端側の座屈強度、振動剛性を高め、肉厚管理を不要としてステアリング装置用シャフトを安価に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、実施形態という。)を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明に係るステアリング装置を組付けた車両を示す全体構成図であり、図2はステアリング装置の側面図を示す図である。
図1において、ステアリング装置10は、車両の水平方向に対して車両後方上がりに所定角度だけ傾斜して配置されており、ステアリングシャフト11を回動自在に支持するステアリングコラム12を有する。ステアリングシャフト11には、その後端にステアリングホイール13が装着され、ステアリングシャフト11の前端にはユニバーサルジョイント14を介して中間シャフト15が連結されている。中間シャフト15にはその前端にユニバーサルジョイント16を介してラックアンドピニオン機構等からなるステアリングギヤ17が連結されている。このステアリングギヤ17の出力軸がタイロッド18を介して転舵輪19に連結されている。
【0012】
そして、運転者がステアリングホイール13を操舵すると、ステアリングシャフト11、ユニバーサルジョイント14、中間シャフト15、ユニバーサルジョイント16を介してその回転力がステアリングギヤ17に伝達され、ラックアンドピニオン機構で回転運動が車両幅方向の直線運動に変換されてタイロッド18を介して転舵輪19を転舵する。
ステアリングシャフト11は、図2に示すように、ステアリングホイール13(図2では不図示)を固定したアウタシャフト30と、このアウタシャフト30にスプライン結合されてコラム軸P1方向に摺動自在に係合されたインナシャフト31とで構成されている。
【0013】
ステアリングコラム12は、アウタコラム12aと、このアウタコラム12aにコラム軸P1方向に摺動自在に保持されたインナコラム12bとで構成され、インナコラム12bの車両前方側端部の内周面に配設された転がり軸受12c及びアウタコラム12aの車両前方側端部の内周面に配設された転がり軸受12dによってステアリングシャフト11が回転自在に支持されている。
【0014】
そして、インナコラム12bの車両前方側(ユニバーサルジョイント14側)は、コ字形状のコラム側ブラケット20が固定されており、このコラム側ブラケット20に挿通孔21が形成されている。また、車体側部材22に固定した車両前方側車体ブラケット23にも挿通孔(不図示)が形成されており、この挿通孔とコラム側ブラケット20の挿通孔21の軸芯を一致させてチルトピボット軸24を挿通することで、インナコラム12bの車両前方側が車体側部材22にチルト可能に軸支されている。
【0015】
また、アウタコラム12aの車両前方側には、インナコラム12bの外周を包持する車幅方向に離間した一対のクランプ部(図2では一方のクランプ部25aのみ示す)が一体に形成されており、これら一対のクランプ部25aを、車体側部材22に固定した車両後方側車体ブラケット26が車幅方向から挟み込んでいるとともに、車両後方側車体ブラケット26に、一対のクランプ部25aが互いに近接する方向に弾性変形させてコラム軸P1方向に相対移動不能となるようにインナコラム12bをクランプするクランプ装置27が備えられている。
【0016】
車両後方側車体ブラケット26は、フランジ26aと、このフランジ26aから上下方向に延在して車幅方向に離間配置されている一対の側板(不図示)とを備えている。フランジ26aには、車両後方側の端部に離脱用カプセル29が嵌め込まれており、この離脱用カプセル29は固定ボルトを介して車体側部材22に固定されている。
クランプ装置27は、車両後方側車体ブラケット26の車幅方向に離間して配置されている側板(不図示)及び一対のクランプ部25aのテレスコ用長孔25a2に挿通している締付けロッド27aと、締め付けロッド27aのねじ側に外観されている固定カム(不図示)、可動カム(不図示)及び調整ナット(不図示)と、可動カムに固定された操作レバー27eとを備えている。
【0017】
(第1実施形態:アウタシャフトの構造)
図3から図5は、ステアリングシャフト11を構成する第1実施形態のアウタシャフト30の構造を示すものである。図3は、第1実施形態のアウタシャフト30の軸方向に沿った断面であり、図4は、アウタシャフト30の他端側の構造を示す横断面であり、図5は、図4と異なるアウタシャフト30の他端側の構造を示す横断面である。
【0018】
本実施形態のアウタシャフト30は、鉄、或いはアルミニウム合金等からなる金属製の中空管形状の部材であり、一端側30aは端部に向かうにしたがい段階的に縮径された形状とされ、他端側30bは同一寸法の外径で形成されている。
アウタシャフト30の一端側30aは、最も縮径されている端部側の外周に雄ねじ32が形成され、この雄ねじ32に対して他端側30bに隣接して拡径した位置の外周に雄スプライン33が形成され、雄スプライン33に対して他端側30bに寄った位置の外周に、前述した転がり軸受12dの内輪が嵌合する軸受保持面34が形成されている。
【0019】
そして、図示しないが、このアウタシャフト30の一端側30aの雄スプライン33に、ステアリングホイール13の軸穴に形成した雌スプラインを係合し、ステアリングホイール13の軸穴から突出した雄ねじ32にナットを締め付けることで、一端側30aの端部にステアリングホイール13が固定される。
一方、アウタシャフト30の他端側30bの内周面には、図3及び図4に示すように、軸方向に延在するスプライン溝部35a〜35dが周方向に所定間隔をあけて形成されている。これらスプライン溝部35a〜35dは、インナシャフト31の外周に形成したスプライン軸部36a〜36eに係合する。ここで、アウタシャフト30のスプライン溝部35cは、インナシャフト31の2条のスプライン軸部36c,36dが係合する溝幅に設定されており、これによりスプライン溝部35cとスプライン軸部36c,36dとの間には、外気と連通する空気抜き空間Sが画成されている。なお、図5に示すように、アウタシャフト30のスプライン溝部35a〜35eの溝底と、インナシャフト31のスプライン軸部36a〜36eの軸頂部とが離間する構造として、それら溝底及び軸頂部の間に、外気と連通する空気抜き空間Sを画成してもよい。
【0020】
ここで、一端側30aの空洞部30a1には、鉄、或いはアルミニウム合金等の金属材料からなる中実の芯材37が埋め込まれている。この芯材37は、一端側30aの軸受保持面34が形成されている位置の空洞部30a1では大きな外径とされ、雄スプライン33が形成されている位置の空洞部30a1まで徐々に縮径されていき、雄ねじ32が形成されている位置の空洞部30a1では最も小さな外径で埋め込まれている。これにより、アウタシャフト30の一端側30aは中実構造とされている。
【0021】
そして、芯材37の他端側30bに位置する一方の端面には、一端側30aの内周面から径方向内方に突出して形成された環状の抜け止め部38が当接しており、この抜け止め部38が一方の端面に当接している芯材37は、他端側30b(図3の左側)への抜けが防止されている。
次に、本実施形態のアウタシャフト30を使用したステアリング装置10の動作及び作用効果について説明する。
【0022】
ステアリング装置10のテレスコ調整を行なうには、図2に示すように、一対のクランプ部25aが互いに離間する方向にクランプ装置27の操作レバー27eを回動する。これにより、車両後方側車体ブラケット26の一対の側板の締付けが解除され、一対のクランプ部25aによるインナコラム12bのクランプが解除されるので、締付けロッド27aをテレスコ用長孔25a2の長軸方向にスライドさせながら、アウタコラム12aをコラム軸P1方向に移動させていき、ステアリングホイール13を車両前後方向の所定位置まで移動する。
【0023】
そして、一対のクランプ部25aが互いに近接する方向にクランプ装置27の操作レバー27eを回動する。これにより、車両後方側車体ブラケット26の一対の側板が互いに近接する方向に締付けられ、一対のクランプ部25aの内周面で画成される円が縮径し、インナコラム12bの外周面の略全域に当接するので、一対のクランプ部25aがコラム軸P1方向に移動不能とされながらインナコラム12bにクランプし、テレスコ調整が完了する。
【0024】
一方、車両の二次衝突時に、運転者からステアリングホイール13に車両前方を向く衝撃荷重(図2の符号F)が入力すると、ステアリングホイール13からステアリングシャフト11を介してステアリングコラム12に衝撃荷重が加わる。
この際、ステアリングホイール13から衝撃荷重Fが入力したステアリングシャフト11は、スプライン溝部35a〜35dがインナシャフト31のスプライン軸部36a〜36eに摺動しながらアウタシャフト30が車両前方側に移動して全長が縮まることで、運転者を保護する。そして、ステアリングシャフト11の全長が縮まるときには、アウタシャフト30のスプライン溝部35cとインナシャフト31のスプライン軸部36c,36dとの間に画成した空気抜き空間S(図4参照)、或いはアウタシャフト30のスプライン溝部35a〜35eの溝底とインナシャフト31のスプライン軸部36a〜36eの軸頂部との間に画成した空気抜き空間S(図5参照)から、アウタシャフト30及びインナシャフト31の間に溜まっている空気が直ぐに外気に排出されるので、ステアリングシャフト11の縮み動作がスムーズに行なわれる。
【0025】
また、ステアリングコラム12に衝撃荷重が加わると、アウタコラム12aを車体側部材22に支持している車両後方側車体ブラケット26に車両前方側への衝撃力が入力する。
このとき、車両後方側車体ブラケット26のフランジ26aの車両後方側は、離脱用カプセル29を介して車体側部材22に固定されており、フランジ26aに車両前方側への衝撃力が入力すると、離脱用カプセル29からフランジ26aが抜け出しながら衝撃力を吸収する。
【0026】
そして、本実施形態のアウタシャフト30一端側30aは、段階的に縮径される際に薄肉の肉厚形状となっても、空洞部30a1に金属材料からなる芯材37が埋め込まれて座屈強度が高い中実構造となっているので、一端側30aの端部にステアリングホイール13を固定する際に雄スプライン33や雄ねじ32が座屈せず、アウタシャフト30が沈み込むおそれがない。
【0027】
また、一端側30aの空洞部30a1に芯材37を埋め込むと振動剛性も高くなるので、エンジンの振動等がステアリングホイール13に伝達しにくくなる。
さらに、芯材37の他端側30bに位置する一方の端面に、一端側30aの内周面から径方向内方に突出した抜け止め部38が当接して芯材37が空洞部30a1から抜けるのを確実に防止しているので、アウタシャフト30の一端側30aの座屈強度及び振動剛性は長期に渡って維持される。
【0028】
したがって、本実施形態のアウタシャフト30は、一端側30aの座屈強度を高めてステアリングホイール13を確実に固定することができるとともに、一端側30aの振動剛性を高めてステアリングホイール13に伝わる振動を抑制し、ステアリングホイール13が振動することによる運転者の違和感を低減することができる。
【0029】
(第2実施形態:アウタシャフトの構造)
次に、図6は、第2実施形態のアウタシャフト30の構造を示すものである。なお、図3で示した構成と同一構成部分には、同一符号を付してその説明を省略する。
本実施形態のアウタシャフト30は、一端側30aの空洞部30a1に、合成樹脂製の中実の芯材39が埋め込まれている。この芯材39は、一端側30aの軸受保持面34が形成されている位置の空洞部30a1では大きな外径とされ、雄スプライン33が形成されている位置の空洞部30a1まで徐々に縮径されていき、雄ねじ32が形成されている位置の空洞部30a1では最も小さな外径で埋め込まれている。これにより、アウタシャフト30の一端側30aは中実構造とされている。
【0030】
そして、芯材37の他端側30bに位置する一方の端面に環状の抜け止め部38が当接し、芯材39の他端側30b(図6の左側)への抜けが防止されている。
本実施形態によると、第1実施形態と同様に、一端側30aの座屈強度を高めてステアリングホイール13を確実に固定することができ、一端側30aの振動剛性を高めてステアリングホイール13に伝わる振動を抑制し、運転者の違和感を低減することができるとともに、合成樹脂製の芯材39を使用することで、アウタシャフト30の軽量化を図ることができる。
【0031】
(第3実施形態のアウタシャフトの構造)
次に、図7及び図8は第3実施形態のアウタシャフト30の一端側30aを示す図である。
図7で示すアウタシャフト30の一端側30aには、鉄、或いはアルミニウム合金等の金属材料からなる中実の芯材37が埋め込まれている。
そして、一端側30aの軸受保持面34を形成している位置の内周面には、径方向内方に突出した環状の抜け止め部40が形成され、この環状の抜け止め部40に密着した状態で、芯材37の大きな外径の部分の一部に環状の凹部37aが形成されている。
【0032】
このように、芯材37の大きな外径の部分の一部に凹部37aが形成されており、この凹部37aに一端側30aの内周面から径方向内方に突出する抜け止め部40が密着しているので、芯材37が空洞部30a1から抜けるのを確実に防止することができ、アウタシャフト30の一端側30aの座屈強度及び振動剛性を長期に渡って維持することができる。
【0033】
また、図8で示すアウタシャフト30の一端側30aにも、鉄、或いはアルミニウム合金等の金属材料からなる中実の芯材37が埋め込まれている。
そして、一端側30aの雄ねじ32を形成している位置の内周面に、径方向外方に凹んだ環状の抜け止め部41が形成され、この抜け止め部41に密着した状態で、芯材37の最も小さな外径の部分の一部に環状の凸部37bが形成されている。
【0034】
このように、芯材37の小さな外径の部分の一部に凸部37bが形成されており、この凸部37bに一端側30aの最も内径の小さい内周面に径方向外方に凹んだ抜け止め部41が密着しているので、芯材37が空洞部30a1から抜けるのを確実に防止することができ、アウタシャフト30の一端側30aの座屈強度及び振動剛性を長期に渡って維持することができる。
【0035】
(第4実施形態:アウタシャフトの構造)
次に、図9は、第4実施形態のアウタシャフト30の構造を示すものである。
本実施形態は、一端側30aの雄スプライン33を形成している位置と軸受保持面34を形成している位置との間の内周面に雌ねじ42が形成されている。
また、一端側30aの空洞部30a1には、他端側30bの開口部から鉄、アルミニウム合金等の金属材料からなる外周に雄ねじを形成したねじ芯材43が挿入されてきて、雌ねじ42にねじ込まれている。
【0036】
これにより、アウタシャフト30の一端側30aの雄スプライン33を形成している位置と軸受保持面34を形成している位置との間の部位が中実構造とされている。
本実施形態によると、アウタシャフト30の一端側30aの端部にステアリングホイール13を固定する際には、一端側30aの雄スプライン33を形成した位置に対して他端側30b側に寄った位置に大きな座屈荷重が加わるが、その大きな座屈荷重が加わる位置にねじ芯材43をねじ込んで座屈強度が高い中実構造としているので、アウタシャフト30の一端側30aの座屈強度が弱い部位を局部的に高くすることができる。
【0037】
また、一端側30aの空洞部30a1の全域に鉄、アルミニウム合金等の金属材料からなる芯材を埋め込む構造と比較して、アウタシャフト30の軽量化を図ることができる。
さらに、一端側30aの内周面に形成した雌ねじ32にねじ芯材43がねじ込まれていることから、ねじ芯材43の抜けを確実に防止することができる。
なお、図示しないが、一端側30aの雄スプライン33を形成している位置と軸受保持面34を形成している位置との間の内周面の部位に、その内周面の部位の直径より大径の筒状部材を圧入して埋め込む構造とすると、上述した第4実施形態と同様に、アウタシャフト30の一端側30aの座屈強度が弱い部位を局部的に高くすることができるとともに、アウタシャフト30の軽量化を図ることができる。
【0038】
また、本実施形態では、鉄、アルミニウム合金等の金属材料からなるねじ芯材43を使用したが、剛性樹脂材からなるねじ芯材を使用すると、さらにアウタシャフト30の軽量化を図ることができる。
【0039】
(第5実施形態:アウタシャフトの製造方法)
次に、図10は、図3で示した第1実施形態のアウタシャフト30の製造方法を示す図である。なお、図3で示した構成と同一構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
本実施形態は、長手方向の外径を同一寸法とした中空円筒管形状の鉄、或いはアルミニウム合金等からなる金属製のシャフト素材45を使用している。なお、このシャフト素材45の長手方向の一方を一端側30aとし、長手方向の他端側30bとする。
先ず、最初の工程は、図10(a)に示すように、シャフト素材45の他端側30bの内径及び外径の丸絞り加工を行なった後、内周面に軸方向に延在するスプライン溝部35aを形成する。また、一端側30aの長手方向の中央に寄った位置の内周面に、抜け止め部38を形成するための環状の突起38aを形成する。
【0040】
次いで、図10(b)に示すように、一端側30aの開口から空洞部30a1に、鉄、或いはアルミニウム合金等からなる金属製の芯材37を挿入し、その端部を突起38aに当接させる。
次の工程では、図10(c)に示すように、一端側30aの外周に対してプレス押し込み加工、或いはロータリースウェージング加工を行なうことで、一端側30aの端部に向かうにしたがい段階的に縮径された外周を形成する。この際、一端側30aの内周に形成された突起38aは径方向内方に膨出していき、空洞部30a1に挿入された芯材37は、一端側30aの端部に向けて段階的に縮径した内周面の形状に沿って塑性変形していく。そして、径方向内方に膨出した突起38aは、芯材37の他端側30bへの抜けを防止する抜け止め部38となる。
【0041】
次の工程では、シャフト素材45の長手方向の寸法が規定の寸法となるように切断加工を行い、端部の面取り加工等を行なう。
次の工程では、図10(d)に示すように、一端側30aの端部に向かうにしたがい段階的に縮径された外周に、雄ねじ32、雄スプライン33を形成する。そして、シャフト素材45全体の洗浄作業を行なうことでアウタシャフト30が製造される。
【0042】
本実施形態のアウタシャフト30の製造方法によると、シャフト素材45の一端側30aの空洞部30a1に芯材37を挿入しておき、一端側30aの縮径加工を行なうことで芯材37を塑性変形させるだけで中実構造の一端側30aが形成され、肉厚管理を行なわずに一端側30aの座屈強度を高くした安定した品質のアウタシャフト30を製造することができるので、アウタシャフト30を安価に製造することができる。
【0043】
また、シャフト素材45の内周面に抜け止め部38用の突起38aを形成しておくことで、一端側30aの縮径加工と同時に、芯材37用の抜け止め部38を簡単に形成することができる。
なお、本実施形態では、鉄、或いはアルミニウム合金等からなる金属製の芯材37を使用したが、図6に示したように剛性樹脂製の芯材39を使用して上記の工程でアウタシャフト30を製造すると、軽量化を図ったアウタシャフト30を製造することができる。
【0044】
また、本実施形態では、芯材37の端面に抜け止め部38が当接する構造としたが、図7及び図8に示す位置で抜け止め部40,41を形成するために、シャフト素材45の内周面に抜け止め部40,41用の突起を形成してもよい。
【0045】
(第6実施形態:アウタシャフトの製造方法)
次に、図11は、図9で示した第4実施形態のアウタシャフト30の製造方法を示す図である。
本実施形態の最初の工程は、図11(a)に示すように、シャフト素材45の他端側30bの内径及び外径の丸絞り加工を行なった後、内周面に軸方向に延在するスプライン溝部35aを形成する。
次の工程では、図11(b)に示すように、一端側30aの外周に対してプレス押し込み加工、或いはロータリースウェージング加工を行なうことで、一端側30aの端部に向かうにしたがい段階的に縮径された外周を形成する。
【0046】
次の工程では、図11(c)に示すように、一端側30aの内周面の長さ方向中央部に雌ねじ42を形成するとともに、他端側30bの開口部から挿入したねじ芯材43を雌ねじ42にねじ込む。
次の工程では、シャフト素材45の長手方向の寸法が規定の寸法となるように切断加工を行い、端部の面取り加工等を行なう。
【0047】
次の工程では、図11(d)に示すように、一端側30aの端部に向かうにしたがい段階的に縮径された外周に、雄ねじ32、雄スプライン33を形成する。そして、シャフト素材45全体の洗浄作業を行なうことでアウタシャフト30が製造される。
本実施形態のアウタシャフト30の製造方法によると、一端側30aの縮径加工を行なった後に、座屈強度を高める部分に雌ねじ42を形成し、この雌ねじ42にねじ芯材43をねじ込むことで、肉厚管理を行なわずに一端側30aの座屈強度を必要とする部分を中実構造とすることができるので、軽量化を図りながら安定した品質のアウタシャフト30を製造することができる。
【0048】
なお、本実施形態では、鉄、アルミニウム合金等の金属材料からなるねじ芯材43を使用したが、剛性樹脂材からなるねじ芯材を使用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明に係るステアリング装置を組付けた車両を示す全体構成図である。
【図2】ステアリング装置の側面図を示す図である。
【図3】本発明に係る第1実施形態のステアリング装置用シャフトの軸方向に沿った断面である。
【図4】本発明に係るステアリング装置用シャフトの他端側の構造を示す横断面である。
【図5】図4と異なる構造のステアリング装置用シャフトの他端側の構造を示す横断面である。
【図6】本発明に係る第2実施形態のステアリング装置用シャフトの軸方向に沿った断面である。
【図7】本発明に係る第3実施形態のステアリング装置用シャフトの軸方向に沿った要部断面である。
【図8】図7と異なる構造のステアリング装置用シャフトの軸方向に沿った要部断面である。
【図9】本発明に係る第4実施形態のステアリング装置用シャフトの軸方向に沿った断面である。
【図10】本発明に係る第5実施形態のステアリング装置用シャフトの製造方法を示す図である。
【図11】本発明に係る第6実施形態のステアリング装置用シャフトの製造方法を示す図である。
【符号の説明】
【0050】
10…ステアリング装置、11…ステアリングシャフト、12…ステアリングコラム、12a…アウタコラム、12b…インナコラム、12c…転がり軸受、12d…転がり軸受、13…ステアリングホイール、14…ユニバーサルジョイント、15…中間シャフト、16…ユニバーサルジョイント、17…ステアリングギヤ、18…タイロッド、19…転舵輪、20…コラム側ブラケット、21…挿通孔、22…車体側部材、23…車両前方側車体ブラケット、24…チルトピボット軸、25a…クランプ部、25a2…テレスコ用長孔、26…車両後方側車体ブラケット、26a…フランジ、27…クランプ装置、27a…ロッド、27e…操作レバー、29…離脱用カプセル、30…アウタシャフト(ステアリング装置用シャフト)、30a…アウタシャフトの一端側、30a1…空洞部、30b…アウタシャフトの他端側、31…インナシャフト(嵌合する他の部材)、33…雄スプライン、34…軸受保持面、35a〜35d…スプライン溝部(トルク伝達部)、36a〜36d…スプライン軸部、37…芯材、37a…凹部、37b…凸部、38…抜け止め部(移動拘束部)、38a…突起、39…芯材、40,41…抜け止め部(移動拘束部)、43…ねじ芯材(芯材)、45…シャフト素材、F…衝撃荷重、P1…コラム軸、S…空気抜き空間
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空管形状の長手方向の一端側に縮径加工を施し、この縮径させた一端側にステアリングホイールを固定するためのホイール取付け部を形成し、長手方向の他端側の内外両周面の何れか一方の周面に、嵌合する他の部材に対して軸方向の相対移動を可能とし、且つ回転方向の移動を規制するトルク伝達部を設けてなるステアリング装置用シャフトにおいて、
縮径した前記一端側の空洞部に芯材を埋め込むことで当該一端側を中実構造としたことを特徴とするステアリング装置用シャフト。
【請求項2】
前記芯材を、合成樹脂部材としたことを特徴とする請求項1記載のステアリング装置用シャフト。
【請求項3】
前記一端側の内周面に、前記芯材の軸方向の移動を拘束する移動拘束部を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載のステアリング装置用シャフト。
【請求項4】
中空管形状としたシャフト素材の一端側に縮径加工を施し、その縮径させた一端側にステアリングホイールを固定するためのホイール取付け部を形成するとともに、前記シャフト素材の他端側の内外両周面の何れか一方の周面に、嵌合する他の部材に対して軸方向の相対移動を可能とし、且つ回転方向の移動を規制するトルク伝達部を設けてステアリング装置用シャフトを製造する方法において、
前記一端側を縮径させる前に、前記一端側の空洞部に芯材を挿入しておき、前記一端側の縮径加工と同時に、前記芯材を塑性変形させて前記一端側を中実構造とすることを特徴とするステアリング装置用シャフトの製造方法。
【請求項5】
前記シャフト素材の一端側の内周面に、径方向に突出する突起を形成しておき、前記一端側の縮径加工と同時に、前記突起を前記芯材に係合させて当該突起を前記芯材の軸方向の移動を拘束する移動拘束部とすることを特徴とする請求項4記載のステアリング装置用シャフトの製造方法。
【請求項6】
中空管形状としたシャフト素材の一端側に縮径加工を施し、その縮径させた一端側にステアリングホイールを固定するためのホイール取付け部を形成するとともに、前記シャフト素材の他端側の内外両周面の何れか一方の周面に、嵌合する他の部材に対して軸方向の相対移動を可能とし、且つ回転方向の移動を規制するトルク伝達部を設けてステアリング装置用シャフトを製造する方法において、
前記一端側を縮径させた後、前記他端側の開口部から前記一端側の座屈荷重を高める部位の空洞部に、軸方向の移動を拘束して芯材を埋め込むことを特徴とするステアリング装置用シャフトの製造方法。
【請求項1】
中空管形状の長手方向の一端側に縮径加工を施し、この縮径させた一端側にステアリングホイールを固定するためのホイール取付け部を形成し、長手方向の他端側の内外両周面の何れか一方の周面に、嵌合する他の部材に対して軸方向の相対移動を可能とし、且つ回転方向の移動を規制するトルク伝達部を設けてなるステアリング装置用シャフトにおいて、
縮径した前記一端側の空洞部に芯材を埋め込むことで当該一端側を中実構造としたことを特徴とするステアリング装置用シャフト。
【請求項2】
前記芯材を、合成樹脂部材としたことを特徴とする請求項1記載のステアリング装置用シャフト。
【請求項3】
前記一端側の内周面に、前記芯材の軸方向の移動を拘束する移動拘束部を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載のステアリング装置用シャフト。
【請求項4】
中空管形状としたシャフト素材の一端側に縮径加工を施し、その縮径させた一端側にステアリングホイールを固定するためのホイール取付け部を形成するとともに、前記シャフト素材の他端側の内外両周面の何れか一方の周面に、嵌合する他の部材に対して軸方向の相対移動を可能とし、且つ回転方向の移動を規制するトルク伝達部を設けてステアリング装置用シャフトを製造する方法において、
前記一端側を縮径させる前に、前記一端側の空洞部に芯材を挿入しておき、前記一端側の縮径加工と同時に、前記芯材を塑性変形させて前記一端側を中実構造とすることを特徴とするステアリング装置用シャフトの製造方法。
【請求項5】
前記シャフト素材の一端側の内周面に、径方向に突出する突起を形成しておき、前記一端側の縮径加工と同時に、前記突起を前記芯材に係合させて当該突起を前記芯材の軸方向の移動を拘束する移動拘束部とすることを特徴とする請求項4記載のステアリング装置用シャフトの製造方法。
【請求項6】
中空管形状としたシャフト素材の一端側に縮径加工を施し、その縮径させた一端側にステアリングホイールを固定するためのホイール取付け部を形成するとともに、前記シャフト素材の他端側の内外両周面の何れか一方の周面に、嵌合する他の部材に対して軸方向の相対移動を可能とし、且つ回転方向の移動を規制するトルク伝達部を設けてステアリング装置用シャフトを製造する方法において、
前記一端側を縮径させた後、前記他端側の開口部から前記一端側の座屈荷重を高める部位の空洞部に、軸方向の移動を拘束して芯材を埋め込むことを特徴とするステアリング装置用シャフトの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−189223(P2008−189223A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−27679(P2007−27679)
【出願日】平成19年2月7日(2007.2.7)
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年2月7日(2007.2.7)
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)
【Fターム(参考)】
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