説明

ステロイドのニトロオキシ誘導体

本発明は、ステロイドの新規なニトロオキシ誘導体、それらの局所用医薬製剤、皮膚または粘膜の病気もしくは障害を治療するためのそれらの使用に関する。これらのステロイドの新規なニトロオキシ誘導体は、改善された薬理活性および高められた局所忍容性を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なステロイドのニトロオキシ誘導体、その局所用医薬製剤、および皮膚または粘膜の疾患もしくは障害を治療するためのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚または粘膜の病気もしくは障害のほとんどは、細菌、真菌、ウイルス、寄生虫、自己免疫、アレルギー性、ホルモン性および/または悪性炎症性物質のような催炎物質により惹き起こされる炎症の結果であるが、これらに限定されるものではない。
【0003】
大部分の一般的な皮膚の病気または障害は、コルチコステロイド応答性皮膚病、アトピー性皮膚炎、炎症、湿疹、紅斑、丘疹形成、スケーリング、びらん、毛細血管出血、クラスティング(crusting)、心因性痒み症、乾癬、表皮のブロサ(bullosa)、紅斑、汗腺膿瘍、いぼ、おむつかぶれ、たむし、紅色の扁平苔癬などを含むが、これらに限定されるものではない。
【0004】
皮膚炎と湿疹は、上部真皮と皮膚の表皮を含む炎症性プロセスの結果として生じる。
湿疹が進行すると、表皮のケラチノサイトはそれぞれ膨張し、液体が海綿状態として知られているプロセスにおいてそれらの間に蓄積される。
【0005】
慢性の湿疹もしくは皮膚炎において、主な変化は表皮の肥厚を伴い、これが皮膚の表面をかゆくしたり、でこぼこにしたり、かさかさにしたりする。肌の水分を失うことは、角質層の炎症を引き起こし、角質層がひび割れて皮膚の痛みの原因となる。
【0006】
皮膚炎は、さらに接触性皮膚炎(アレルギー性もしくは非アレルギー性)、アトピー性皮膚炎、脂漏性皮膚炎に分類される。
非アレルギー性接触性皮膚炎は、例えば酸、アルカリ、油、洗剤、溶剤のような皮膚刺激物に応答して生じる。
【0007】
アレルギー性接触性皮膚炎は、抗原に繰返し接触した感作の結果として生じる。
アレルギー性接触性皮膚炎は、抗原に直接触れた皮膚の範囲に現れれる。
【0008】
主に幼児に影響を及ぼすアトピー性皮膚炎は、一般的に広範な抗原に対する皮膚の感作により特徴づけられる。
【0009】
脂漏性皮膚炎は、頭皮および毛のあるその他の部分、顔、屈曲部分を冒し、炎症を惹き起こす酵母または細菌が原因である。多くの人々は、脂漏性皮膚炎の軽い症状であるふけ症を患う。
乾癬は、優性常染色体遺伝性の炎症性疾患であり、表皮細胞の増大した増殖により特徴づけられる。この表皮細胞の急増は、例えば膝、肘、臀部などにおいて落屑性のプラークの形成を惹き起こし、美的に不快であり、患者に不快な思いをさせる。
【0010】
皮膚の病気や障害は、通常、ステロイド剤および/または殺菌剤および/または抗真菌剤を含むクリーム、ゲルまたは軟膏により治療される。局所用のコルチコステロイドは、皮膚病治療用の強力な手段である。
【0011】
診療において、例えば強力な局所用ステロイドの使用は、たとえば皮膚の萎縮、炎症、かゆみ、刺激、乾燥、毛包炎、多毛症、にきび、色素脱失、口周囲皮膚炎、アレルギー性接触性皮膚炎、皮膚の浸解および二次感染のような副作用を伴うので、その使用は一般に2週間だけに限定されている。
【0012】
コルチコステロイドの局所投与は、全身性投与に比べて副作用を少なくするけれども、活性化合物は全身に作用する循環血液中に吸収される。
【0013】
局所用コルチコステロイドの全身的な吸収は、可逆性の視床下部―脳下垂体‐副腎(HPA)系の抑制、クッシング症候群様症状、高血糖症を惹き起こすことがあり、小児の骨の成長と老人の骨密度、目の合併症(白内障と緑内障)および皮膚の萎縮に影響を与える。
【0014】
さらに、タキフィラキシーが局所用ステロイドの使用により惹き起こされることもある。
【0015】
最近のグルココルチコイドは、初期に導入されたものに比べて極めて安全ではあるが、改善された臨床的効果と、軽減された副作用を有する新規な化合物および製剤を創造するという、研究の目的が残っている。
【0016】
様々なプロトコルは、局所用薬剤の効率および/または効力を増進させようとして発展してきたが、このようなプロトコルが成功した例は限られている。例えば、外皮用剤がデリバリー効率を向上させようとして、クリーム、ローション、ゲルなどのような種々の局所用製剤で供給されてきた。
【0017】
しかしながら、外皮用剤を皮膚表面へ局所的に直接投与することはできるけれども、これらの局所用製剤は、最適の製剤であっても部分的な改善しかもたらさず、完全に解決するところまでは到っておらず、例えばやっかいな皮膚の傷害が残ったり、治療時間が明らかに短縮されたりはしていない。
【0018】
米国特許第4,335,121号は、6α,9α−ジフルオロ−17α−(1−オキソプロポキシ) −11β−ヒドロキシ−16α−メチル−3−オキソ−アンドロスタ−1,4-ジエン−17−0-カルボチオ酸 S-フルオロメチルエステル(一般名:フルチカゾンプロピオネートとして知られている)およびその誘導体を開示している。これらの化合物は、特に局所投与されて良好な抗炎症活性を有している。
【0019】
ヨーロッパ特許第0929565号は、皮膚の障害の治療用途に全身投与されるコルチコステロイドのニトロオキシエステルを開示している。特に、この特許は、ニトロオキシ基がアルキル鎖を介してグルココルチコイド部分に共有結合している、コルチコステロイドのニトロオキシエステルを開示している。この文献は、これらのステロイドのニトロ誘導体が全身的に投与された後、それらの親化合物に比べて、増強された効果、ならびに胃に対するよりよい忍容性、軽減された心臓血管性の副作用のような、よりよい全身的な忍容性を発揮したと報告している。
【0020】
WO 03/064443号は、ニトロオキシ基がリンカーを含む芳香環もしくは芳香複素環を介してグルココルチコイド部分に共有結合している、コルチコステロイドのニトロオキシ誘導体を開示している。この文献は、これらのステロイドのニトロオキシ誘導体が全身的に投与された後、それらの親化合物に比べて、改善された薬理活性およびより低い副作用を示すと報告している。
【0021】
WO 00/61604号は、ニトロオキシ基が抗酸化剤の部分を介してグルココルチコイド部分に共有結合している、コルチコステロイドのニトロオキシ誘導体を開示している。この抗酸化剤の部分は、フリーラジカルの生成を防止できる化合物であり、特許出願に記載された試験に基づいて選択される。この文献は、これらの化合物が対応する親化合物がより低い活性あるいはより高い毒性を示す酸化性ストレス状態を伴った症状の治療に使用できると、報告している。
【0022】
上記の文献は、局所投与された後のコルチコステロイドのニトロオキシ誘導体の作用を開示しておらず、特に、これらの化合物の局所的忍容性に関してはいかなる情報も報告していない。
【0023】
WO 97/34871号は、ニトロセートもしくはニトロシレートされたステロイド、およびそれらの呼吸器障害への治療用途を開示している。特に、アレルギー性の喘息および肺炎の肺に関するモデルにおける、9-フルオロ-11β-ヒドロキシ-16α,17α-[(1-メチルエチリデン)ビス(オキシ)]プレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン-21- (4-ニトロオキシ)-ブタノエートの活性を記載している。この特許出願は、この化合物の皮膚障害の治療用途については記載していない。
【0024】
Hyun E. ら、British Journal of Pharmacology (2004) 143, 618-625は、刺激性の急性皮膚炎のモデルにおける、ヒドロコルチゾン21-[4'-(ニトロオキシメチル) ベンゾエート]の作用の研究に関するものである。この研究において、浮腫の形成と白血球の増加が評価され、その結果は、この化合物が親化合物であるヒドロコルチゾンより高い抗炎症活性を有していることを示している。この文献は、長期にわたる治療の後の皮膚におけるこの化合物の効果に関して、いかなる情報も報告していない。しかも、Hyun E. らにより記載された実験モデルは、他の皮膚障害について予言していない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
この発明は、改善された薬理的プロフィール、よりよい薬物動力学的および薬力学的な特性、ならびにより少ない副作用を有する、新規なコルチコステロイドのニトロオキシ誘導体を提供することにより、上記の問題を解決する。
【0026】
特に、本発明の化合物は、現存する局所用のコルチコステロイドに比べて、皮膚が白くなったり、萎縮したりするのを軽減し、作用開始を速めたり、効力を増強したりするなど、改善された局所忍容性を示す。
【0027】
特に、本発明のコルチコステロイドのニトロオキシ誘導体は、局所的な炎症が介在する血管拡張を低減させ、その結果、浮腫および炎症性メディエイタの浸透を低減させる点で、親化合物より優れた効果を有する。
【課題を解決するための手段】
【0028】
本発明の目的は、一般式(I) の化合物である。
R-Z-X-ONO2 (I)
[式中、Rは、式(II):
【0029】
【化1】

【0030】
(式中、
R1は-OC(O)OmRi(ここで、mは0または1であり、Ri は分枝もしくは直鎖のC1-C10アルキルである)であり、好ましくはRi は分枝もしくは直鎖のC1-C6アルキルであり、好ましいRi はメチル、エチル、n−プロピル、n−ブチルである;
R2 は水素原子または-CH3であるか、あるいは
R1およびR2は一緒になって、式(III):
【0031】
【化2】

【0032】
(式中、 RA1 および RA2は独立して、H、C1-C10の直鎖もしくは分枝アルキル鎖から選択され、好ましくは(C1-C5)アルキルであり、より好ましくはRA1 および RA2は-CH3であり、式(III)の基はイソプロピリデンジオキシであり、
R1 および R2 は、αもしくはβ位でステロイド構造の16および17位の炭素原子に結合することができる、
R3 は水素原子またはフッ素原子である;
好ましくは、式(II)において、R1、R2およびR3 は次の意味を有する。
−ともにα位にあるR1およびR2が一緒になって、式(III)の基(ここで、RA1およびRA2は-CH3であり、R3はフッ素原子である)を形成するか、または、
−R1がα位にある-OC(O)OmRi(ここで、m は1であり、Riは エチルである)であり、R2およびR3は水素原子であるか、または、
−R1がα位にある-OC(O)OmRi(ここで、mは0であり、Riはn-ブチルである)であり、R2がβ位にある-CH3であり、R3がフッ素原子である)
のコルチコイドの残基であり、
【0033】
ZはXに結合し得る基であって、-C(O)-, -C(O)O- または
【化3】

【0034】
(式中、R’および R’’は独立して、Hまたは直鎖もしくは分枝のC1-C4アルキルから選択される)
からなる群から選択され、好ましくは、Zは-C(O)-, -C(O)O-であり;
Xは次の意味を有する2価の基である:
【0035】
a) ハロゲン原子、ヒドロキシ、-ONO2もしくはT(ここで、Tは-OC(O)(C1-C10 アルキル)-ONO2もしくは -O(C1-C10 アルキル)-ONO2である)からなる群から選択される1つ以上の置換基で任意に置換されていてもよい、直鎖もしくは分枝のC1-C20アルキレン、好ましくはC1-C10アルキレンであり;好ましくはXは直鎖のC1-C10アルキレンである;
b)直鎖もしくは分枝のC1-C10アルキル基、好ましくはメチルで任意に置換されていてもよいC5-C7シクロアルキレン基;
【0036】
c)
【化4】

【0037】
d)
【化5】

【0038】
(式中、
nは0〜20の整数であり、好ましくはnは0〜5の整数であり、より好ましくはn は0または1であり;
n1は1〜20の整数であり、好ましくはn1は1〜5の整数であり、より好ましくはn1は1である)
【0039】
e)
【化6】

【0040】
(式中、
n1a は1〜20の整数であり、好ましくはn1a は1〜10の整数であり
Z1は-C(O)O-もしくは-OC(O)-であり、好ましくはZ1は-C(O)O-であり;
n は上記で定義されたとおりであり;
n1 は上記で定義されたとおりであり;
好ましくは、式(VI)において、n1a は1〜10の整数であり;Z1は-C(O)O-であり、n は0または1であり、n1 は1である)
ただし、X がc)〜e)に記載された2価の基から選択されるとき、式(I)の-ONO2基は-(CH2)n1-基に結合している;
【0041】
f)
【化7】

【0042】
(式中、
Y1 は-CH2-CH2-(CH2)n2a-または -CH=CH-(CH2)n2a-(ここで、n2a は0〜10の整数であり、好ましくはn2a は0または1〜6の整数である)であり、
Z1a は-OC(O)-または-C(O)O-であり、
n2 は0または1であり、好ましくはn2 は1であり;
R2 はHまたはCH3であり、好ましくはR2 はCH3であり;
X1 は-(CH)n1a-(ここで、n1a は上記で定義されたとおりである)または式(V)の2価の基(ここで、nおよびn1 は上記で定義されたとおりである)であり;
好ましくは、式(VII)において、Y1 は-CH=CH-(CH2)n2a-(ここで、n2a は0である)であり、Z1a は-OC(O)-であり、n2 は1であり、R2 はCH3であり、X1 は-(CH)n1a-(ここで、n1a は1〜10の整数である)である)
ただし、式(VII)において、式(I)の-ONO2基はX1基に結合している、
【0043】
g)
【化8】

【0044】
(式中、
Y1は-CH2-CH2-(CH2)n2a-または-CH=CH-(CH2)n2a-(ここで、n2a は0〜10の整数であり、好ましくはn2a は0または1〜6の整数である)であり;
n3aは0または1であり;
Z1は-C(O)O-または-OC(O)-であり;
n2は0または1であり、好ましくはn2は1であり;
R2はHまたはCH3であり、好ましくはR2はCH3であり;
X1は-(CH)n1a-(ここで、n1aは上記で定義されたとおりである)または式(V)の2価の基(ここで、nおよびn1 は上記で定義されたとおりである)であり;
好ましくは、式(VIII)において、n3aは1であり、Y1は-CH=CH-(CH2)n2a-(ここで、n2a は0である)であり、Z1は-C(O)O-であり、n2は1であり、R2はCH3であり、X1は-(CH)n1a-(ここで、n1aは1〜10の整数である)であるか、あるいは式(VIII)において、n3aは0であり、Z1は-OC(O)-または-C(O)O-であり、n2は1であり、R2はCH3であり、X1は-(CH)n1a-(ここで、n1aは1〜10の整数である)である)
ただし、式(VIII)において、式(I)の-ONO2 基はX1基に結合している、
【0045】
h)
【化9】

(式中、
X2は-O-または-S-であり、好ましくはX2は-O-であり;
n3は1〜6、好ましくは1〜4の整数であり、
n3bは1〜10、好ましくは1〜6の整数であり、より好ましくはn3bは1または2であり、
n3cは1〜10、好ましくは1〜6の整数であり、より好ましくはn3cは2である)、
【0046】
i)
【化10】

(式中、
n4は0〜10の整数であり、
n5は1〜10の整数であり、
R4、R5、R6、R7は同一もしくは異なって、Hまたは直鎖もしくは分枝のC1-C4アルキルであり、好ましくはR4、R5、R6、R7はHであり、
【0047】
式(I)の-ONO2基は、
【化11】

(式中、n5 は上記で定義されたとおりである)
に結合しており、
Y2は窒素、酸素、硫黄から選択される1つ以上のヘテロ原子を含む、飽和、不飽和もしくは芳香族の、5員もしくは6員の複素環であり、
【0048】
【化12】

【化13】

から選択される、
【0049】
ただし、式(I)においてZが-C(O)-であり、式(II)においてともにα位にあるR1およびR2が一緒になって式(III)の基(ここで、RA1およびRA2は-CH3である)を形成し、R3がフッ素原子であるとき、Xは
【0050】
a) ハロゲン原子、ヒドロキシ、-ONO2またはT(ここで、Tは-OC(O)(C1-C10 アルキル)-ONO2または-O(C1-C10 アルキル)-ONO2である)からなる群から選択される1つ以上の置換基で任意に置換されていてもよい、直鎖もしくは分枝のC1-C20アルキレン、好ましくは直鎖もしくは分枝のC1-C10アルキレンではない;
好ましくはXは直鎖のC1-C10アルキレンであり;
好ましい2価の基Xは、
a) 直鎖のC1-C10 アルキレン
【0051】
c)
【化14】

(式中、nは0または1であり、n1は 1である);
【0052】
e)
【化15】

【0053】
(式中、n1aは1〜10の整数であり、Z1は-C(O)O-または-OC(O)-であり、nは0 または1であり、n1は 1である、
ただし、Xがc)〜e)に記載された2価の基から選択されるとき、式(I)の-ONO2基は-(CH2)n1-基に結合している)
【0054】
f)
【化16】

【0055】
(式中、
Y1は-CH=CH-(CH2)n2a-(ここで、n2aは 0である)であり、Z1aは-OC(O)-であり、n2は1であり、R2 はCH3であり、X1は-(CH)n1a-(ここで、n1aは1〜10の整数である)である、
ただし、式(VII)において、式(I)の-ONO2基はX1基に結合している)
【0056】
g)
【化17】

【0057】
(式中、
n3aは1であり、Y1は-CH=CH-(CH2)n2a-(ここで、n2aは0である)であり、Z1は-C(O)O-であり、n2は1であり、R2はCH3であり、X1は -(CH)n1a-(ここで、n1a は1〜10の整数である)であるか、あるいは
式(VIII)において、n3aは0であり、Z1は-OC(O)-または-C(O)O-であり、n2は1であり、R2はCH3であり、X1は-(CH)n1a-(ここで、n1a は1〜10の整数である)である、
ただし、式(VIII)において、式(I)の-ONO2基はX1基に結合している)
【0058】
h)
【化18】

【0059】
(式中、
X2は-O-であり、
n3は1〜4の整数であり、
n3bは1または2であり、
n3c は 2である)。
【0060】
本発明の好ましい態様の一つは、式(I)の化合物である。
R-Z-X-ONO2 (I)
【0061】
[式中、
Rは上記の式(II)のコルチコステロイドの残基であり、ここで、
−ともにα位にあるR1およびR2は一緒になって、式(III)の基(ここで、RA1およびRA2は-CH3であり、R3はフッ素原子である)を形成するか、または、
−R1がα位にある-OC(O)OmRi(ここで、m は1であり、Riは エチルである)であり、R2およびR3は水素原子であるか、または、
−R1がα位にある-OC(O)OmRi(ここで、mは0であり、Riはn-ブチルである)であり、R2はβ位にある-CH3であり、R3はフッ素原子であり;
Zは-C(O)-または-C(O)O-であり;
【0062】
Xは次の意味を有する:
a)直鎖のC1-C10アルキレン;
c)
【化19】

(式中、nは0または1であり、n1は1である)、
【0063】
e)
【化20】

(式中、n1a は1〜10の整数であり、Z1は-C(O)O-または-OC(O)-であり、nは0または1であり、n1は1である)
ただし、Xがc)〜e)に記載された2価の基から選択されるとき、式(I)の-ONO2基は-(CH2)n1-基に結合している;
【0064】
f)
【化21】

(式中、Y1 は-CH=CH-(CH2)n2a-(ここで、n2a は0であり、Z1a は-OC(O)-であり、
n2 は1であり、R2 はCH3であり、X1は-(CH)n1a-(ここで、n1a は1〜10の整数である)
ただし、式(VII)において、式(I)の-ONO2基はX1基に結合している、
【0065】
g)
【化22】

(式中、n3aは1であり、Y1は-CH=CH-(CH2)n2a-(ここで、n2a は0である)であり;Z1は-C(O)O-であり、n2は1であり、R2はCH3であり、X1は-(CH)n1a-(ここで、n1aは1〜10の整数である)であるか、あるいは
式(VIII)において、n3aは0であり、Z1は-OC(O)-または-C(O)O-であり、n2は1であり、R2はCH3であり、X1は-(CH)n1a-(ここで、n1aは1〜10の整数である)である)
ただし、式(VIII)において、式(I)の-ONO2 基はX1基に結合している、
【0066】
h)
【化23】

(式中、X2は-O-であり;
n3は1〜6、好ましくは1〜4の整数であり、
n3bは1または2であり、
n3cは2である)、
ただし、式(I)においてZが-C(O)-であり、式(II)においてともにα位にあるR1およびR2が一緒になって式(III)の基(ここで、RA1およびRA2は-CH3である)を形成し、R3がフッ素原子であるとき、Xは直鎖のC1-C10アルキレンではない。
【0067】
本発明の最も好ましい式(I)の化合物は、次のとおりである。
【化24】

【0068】
【化25】

【0069】
【化26】

【0070】
【化27】

【0071】
【化28】

【0072】
【化29】

【0073】
【化30】

【0074】
【化31】

【0075】
【化32】

【0076】
【化33】

【0077】
【化34】

【0078】
【化35】

【0079】
【化36】

【0080】
【化37】

【0081】
【化38】

【0082】
【化39】

【0083】
【化40】

【0084】
【化41】

【0085】
【化42】

【0086】
【化43】

【0087】
【化44】

【0088】
【化45】

【0089】
【化46】

【0090】
本発明のもう一つの態様は、皮膚または粘膜の病気もしくは障害を治療するための、式(I)の化合物の使用である。
R-Z-X-ONO2 (I)
【0091】
[式中、Rは式(II):
【化47】

【0092】
(式中、
R1は-OC(O)OmRi(ここで、mは0または1であり、Ri は分枝もしくは直鎖のC1-C10アルキルであり、好ましくはRi は分枝もしくは直鎖のC1-C6アルキルであり、好ましいRi はメチル、エチル、n−プロピル、n−ブチルである)であり;
R2 は水素原子または-CH3であるか、あるいは
R1およびR2は一緒になって、式(III):
【0093】
【化48】

(式中、 RA1 および RA2は独立して、H、C1-C10の直鎖もしくは分枝アルキル鎖から選択され、好ましくは(C1-C5)アルキルであり、より好ましくはRA1 および RA2は-CH3であり、式(III)の基はイソプロピリデンジオキシであり、
R1 および R2 は、αもしくはβ位でステロイド構造の16および17位の炭素原子に結合することができる、
R3 は水素原子またはフッ素原子である;
【0094】
好ましくは、式(II)において、R1、R2およびR3 は次の意味を有する。
−ともにα位にあるR1およびR2は一緒になって、式(III)の基(ここで、RA1およびRA2は-CH3であり、R3はフッ素原子である)を形成するか、または、
−R1はα位にある-OC(O)OmRi(ここで、mは1であり、Riは エチルである)であり、R2およびR3は水素原子であるか、または、
−R1がα位にある-OC(O)OmRi(ここで、mは0であり、Riはn-ブチルである)であり、R2がβ位にある-CH3であり、R3がフッ素原子である)
のコルチコイドの残基であり、
【0095】
ZはXに結合し得る基であって、-C(O)-、-C(O)O- または
【化49】

(式中、R’および R’’は独立して、Hまたは直鎖もしくは分枝のC1-C4アルキルから選択される)
からなる群から選択され、好ましくは、Zは-C(O)-, -C(O)O-であり;
Xは次の意味を有する2価の基である:
【0096】
c) ハロゲン原子、ヒドロキシ、-ONO2またはT(ここで、Tは-OC(O)(C1-C10 アルキル)-ONO2または-O(C1-C10 アルキル)-ONO2である)からなる群から選択される1つ以上の置換基で任意に置換されていてもよい、直鎖もしくは分枝のC1-C20アルキレン、好ましくは直鎖もしくは分枝のC1-C10アルキレンであり;好ましくはXは直鎖のC1-C10アルキレンである;
【0097】
d)直鎖もしくは分枝のC1-C10アルキル基、好ましくはメチルで任意に置換されていてもよいC5-C7シクロアルキレン基;
c)
【化50】

【0098】
d)
【化51】

(式中、
nは0〜20の整数であり、好ましくはnは0〜5の整数であり、より好ましくはn は0または1であり;
n1は1〜20の整数であり、好ましくはn1は1〜5の整数であり、より好ましくはn1は1である)
【0099】
e)
【化52】

(式中、
n1a は1〜20の整数であり、好ましくはn1a は1〜10の整数であり;
Z1は-C(O)O-もしくは-OC(O)-であり、好ましくはZ1は-C(O)O-であり;
n は上記で定義されたとおりであり;
n1 は上記で定義されたとおりであり;
好ましくは、式(VI)において、n1a は1〜10の整数であり、Z1は-C(O)O-であり、n は0または1であり、n1 は1である)
ただし、X がc)〜e)に記載された2価の基から選択されるとき、式(I)の-ONO2基は-(CH2)n1-基に結合している;
【0100】
f)
【化53】

(式中、
Y1 は-CH2-CH2-(CH2)n2a-または -CH=CH-(CH2)n2a-(ここで、n2a は0〜10の整数であり、好ましくはn2a は0または1〜6の整数である)であり、
Z1a は-OC(O)-または-C(O)O-であり、
n2 は0または1であり、好ましくはn2 は1であり;
R2 はHまたはCH3であり、好ましくはR2 はCH3であり;
X1 は-(CH)n1a-(ここで、n1a は上記で定義されたとおりである)または式(V)の2価の基(ここで、nおよびn1 は上記で定義されたとおりである)であり;
好ましくは、式(VII)において、Y1 は-CH=CH-(CH2)n2a-(ここで、n2a は0である)であり、Z1a は-OC(O)-であり、n2 は1であり、R2 はCH3であり、X1 は-(CH)n1a-(ここで、n1a は1〜10の整数である)である)
ただし、式(VII)において、式(I)の-ONO2基はX1基に結合している、
【0101】
g)
【化54】

(式中、
Y1は-CH2-CH2-(CH2)n2a-または-CH=CH-(CH2)n2a-(ここで、n2a は0〜10の整数であり、好ましくはn2a は0または1〜6の整数である)であり;
n3aは0または1であり;
Z1は-C(O)O-または-OC(O)-であり;
n2は0または1であり、好ましくはn2は1であり;
R2はHまたはCH3であり、好ましくはR2はCH3であり;
【0102】
X1は-(CH)n1a-(ここで、n1aは上記で定義されたとおりである)または式(V)の2価の基(ここで、nおよびn1 は上記で定義されたとおりである)であり;
好ましくは、式(VIII)において、n3aは1であり、Y1は-CH=CH-(CH2)n2a-(ここで、n2 は0である)であり、Z1は-C(O)O-であり、n2は1であり、R2はCH3であり、X1は-(CH)n1a-(ここで、n1aは1〜10の整数である)であるか、あるいは式(VIII)において、n3aは0であり、Z1は-OC(O)-または-C(O)O-であり、n2は1であり、R2はCH3であり、X1は-(CH)n1a-(ここで、n1aは1〜10の整数である)である)
ただし、式(VIII)において、式(I)の-ONO2 基はX1基に結合している、
【0103】
h)
【化55】

(式中、
X2は-O-または-S-であり;
n3は1〜6、好ましくは1〜4の整数であり、
n3bは1〜10、好ましくは1〜6の整数であり、より好ましくはn3bは1または2であり、
n3cは1〜10、好ましくは1〜6の整数であり、より好ましくはn3cは2である)、
【0104】
i)
【化56】

(式中、
n4は0〜10の整数であり、
n5は1〜10の整数であり、
R4、R5、R6、R7は同一もしくは異なって、Hまたは直鎖もしくは分枝のC1-C4アルキルであり、好ましくはR4、R5、R6、R7はHであり、
【0105】
式(I)の-ONO2基は、
【化57】

(式中、n5 は上記で定義されたとおりである)
に結合しており、
Y2は窒素、酸素、硫黄から選択される1つ以上のヘテロ原子を含む、飽和、不飽和もしくは芳香族の、5員もしくは6員の複素環であり、
【0106】
【化58】

から選択される]。
【0107】
皮膚または粘膜の病気もしくは障害の治療に使うことができる、上記に報告された式(I)の最も好ましい化合物は、次のとおりである。
【化59】

【0108】
【化60】

【0109】
【化61】

【0110】
【化62】

【0111】
【化63】

【0112】
【化64】

【0113】
【化65】

【0114】
【化66】

【0115】
【化67】

【0116】
【化68】

【0117】
【化69】

【0118】
【化70】

【0119】
【化71】

【0120】
【化72】

【0121】
【化73】

【0122】
【化74】

【0123】
【化75】

【0124】
【化76】

【0125】
【化77】

【0126】
【化78】

【0127】
【化79】

【0128】
【化80】

【0129】
本発明の化合物は、皮膚または粘膜の病気もしくは障害の治療に有用である。
この病気および障害は、コルチコステロイド応答性皮膚病、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、炎症、湿疹、紅斑、丘疹形成、スケーリング、びらん、毛細血管出血、クラスティング(crusting)、心因性痒み、乾癬、表皮のブロサ(bullosa)、紅斑、汗腺膿瘍、いぼ、おむつかぶれ、たむし、紅色の扁平苔癬、頭皮や毛のある他の部分に影響を及ぼす脂漏性皮膚炎が含まれるが、これらに限定されるものではない。。
【0130】
本発明の化合物は、特にコルチコステロイド応答性皮膚病、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、乾癬、脂漏性皮膚炎の治療に有用である。
【0131】
ここで用いられている「C1-C20 アルキレン」という用語は、分枝または直鎖のC1-C20 の炭化水素鎖を指し、好ましくはメチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、n-ブチレン、ペンチレン、n-ヘキシレンなどのように1〜10の炭素原子を有する。
【0132】
ここで用いられている「C1-C10 アルキル」という用語は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、t-ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチルなどを含む、1〜10の炭素原子を含む、分枝または直鎖のアルキル基を指す。
【0133】
ここで用いられている「複素環」という用語は、例えばピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピロリジン、モルホリン、イミダゾールなどのような、窒素、酸素、硫黄から選ばれる1つ以上のヘテロ原子を含む、飽和、不飽和もしくは芳香族の、5員もしくは6員の環を指す。
【0134】
本発明は、式(I)の化合物の薬学的に許容される塩、それらの立体異性体およびエピマーをも含む。
薬学的に許容される塩の例は、例えばナトリウム、カリウム、カルシウム、水酸化アルミニウムのような無機塩基との塩、あるいは例えばリジン、アルギニン、トリエチルアミン、ジベンジルアミン、ピペリジンおよびその他の許容される有機アミンのような有機塩基との塩である。
有機酸の例は、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、コハク酸、クエン酸である。無機酸の例は、硝酸、塩酸、硫酸、リン酸である。硝酸との塩が好ましい。
【0135】
一つ以上の不斉炭素原子を有する本発明の化合物は、光学的に純粋なエナンチオマー、純粋なジアステレオマー、エナンチオマーの混合物、ジアステレオマーの混合物、エナンチオマーのラセミ混合物、ラセミ化合物もしくはラセミ混合物として存在し得る。本発明の範囲には、式(I)の化合物の特定の異性体が豊富な混合物を含んで、すべての可能な異性体、立体異性体およびそれらの混合物も含まれる。
【0136】
皮膚または粘膜の病気もしくは障害は、コルチコステロイド応答性皮膚病、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、炎症、湿疹、紅斑、丘疹形成、スケーリング、びらん、毛細血管出血、クラスティング(crusting)、心因性痒み、表皮性ブロサ(bullosa)、紅斑、汗腺膿瘍、いぼ、おむつかぶれ、たむし、紅色の扁平苔癬を含むが、これらに限定されるものではない。
【0137】
本発明の式(I)の少なくとも1つの化合物を含む局所投与に適した医薬製剤も本発明の範囲に含まれる。
好ましい医薬投与形態は、クリーム、ローションおよび軟膏剤、あるいは局所スプレー用の組成物を含む。これらの医薬投与形態は、当該技術分野で周知の手法に従って製造される。
【0138】
本発明による局所用製剤における式(I)の有効成分の割合は、製造されるべき製剤の個々のタイプにもよるが、一般的には0.001-12重量%の範囲内であり、より好ましくは0.001〜10重量%である。
しかしながら、一般的に多くのタイプの製剤で有利な割合は、0.001〜1重量%、より好ましくは0.01-0.5%の範囲であり、約0.025〜0.1%が特に好ましい。
【0139】
局所用製剤中に種々の任意成分が含まれていてもよい。それらは、エチルアルコール、プロピレングリコール、トリアセチン、ヘキシレングリコール、およびそれらの組合せを含む種々の短鎖アルコールのような、1つ以上の種々の溶媒であるが、これらに限定されるものではない;
【0140】
局所用製剤中に存在し得る適切な吸収(occlusive)剤は、特に限定されないが、ワセリン、微結晶性ワックス、ジメチコン、ミツロウ、鉱物油、スクアラン、流動パラフィン、シアバター、カルナウバロウ、SEPIGEL(登録商標)(イソパラフィン/ポリアクリルアミド/ ラウレス(laureth)-7の混合物)、およびこれらの組合せを含むが、これらに限定されるものではない;
【0141】
界面活性剤は、例えば、CETOMACROGOL(登録商標)1000(Crodor, Inc.)、グリセロールモノステアレート、グリセロールジステアレート、グリセリルステアレート、ポリオキシエチレンステアレート、グリセリルステアレートとPEG-100ステアレートとの混合物(ARLACEL 165のような)、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート80、CETETH-20(登録商標)、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、およびこれらの組合せであるが、これらに限定されるものではない。
【0142】
その他の種々の任意成分が局所用製剤中に含まれていてもよい。それらは、(水または鉱物油のような)担体、(ラノリン、グリセリン、コレステロール、セトステアリルアルコール、ジメチコーンPEG 100、PEG 200、PEG 300、PEG 400またはイソプロピルミリステートのような)スキンコンディショナー、(クエン酸ナトリウム/クエン酸、2塩基性リン酸ナトリウム/クエン酸、または1塩基性リン酸ナトリウム/クエン酸のような)緩衝剤、あるいは(イミドウレア、メチルパラベンまたはプロピルパラベンのような)防腐剤である。
【0143】
実験の部
合成方法
上記の一般式(I)の化合物(ここで、Zは-CO-であり、Xは上記で定義したとおりである)は、次のようにして得ることができる。
【0144】
1a) 式(IIa):
【化81】

(式中、R1、R2およびR3は上記で定義されたとおりである)
の化合物、すなわちコルチコステロイドの前駆物質を、式(Ib):
W-C(O)-X-Q (Ib)
【0145】
(式中、
Wは-OH、Clまたは-OC(O)Ra(ここで、Ra は直鎖もしくは分枝のC1-C5アルキルであるか、またはRa はペンタフルオロフェノキシ、4−ニトロフェノキシもしくはスクシミジニルオキシからなる群から選択されるRa1 である)であり、
Qは-ONO2またはZ2(ここで、Z2 は塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、メシル基もしくはトシル基からなる群から選択される)である)
の化合物と、縮合剤の存在下に反応させることにより、そして
【0146】
1b) QがZ2であるとき、工程a)で得られた化合物をニトロ供給源と反応させてニトロ誘導体へ変換することにより得られる。
【0147】
工程1a)において、式(IIa)の化合物と式(Ib)の化合物(ここで、W は-OHである)との反応は、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、N'-(3-ジメチルアミノプロピル)-N-エチルカルボジイミド塩酸塩(EDAC)のような縮合剤、および例えばN,N-ジメチルアミノピリジン(DMAP)またはN,N'-カルボニルジイミダゾール(CDI)のような触媒の存在下で行うことができる。
【0148】
この反応は、N,N'-ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ベンゼン、トルエン、ジオキサン、ポリハロゲン化脂肪族炭化水素のような不活性の乾燥有機溶媒中で、-20℃〜40℃の温度で行われる。この反応は、30分〜36時間の範囲で完結する。
【0149】
工程1a)において、式(IIa)の化合物と式(Ib)(ここで、Wは-OC(O)Ra(ここで、Raは上記で定義されたとおりである)である)の化合物との反応は、N,N-ジメチルアミノピリジン(DMAP)のような触媒の存在下、またはDMAPとSc(OTf) もしくは Bi(OTf)3のようなルイス酸との存在下で行うことができる。
この反応は、N,N'-ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ベンゼン、トルエン、ジオキサン、ポリハロゲン化脂肪族炭化水素のような不活性の有機溶媒中、-20℃〜40℃の温度で行われる。この反応は30分〜36時間で完結する。
【0150】
工程1a)において、式(IIa)の化合物と式(Ib)(ここで、WはClであり、Xは上記で定義されたとおりであり、Qは Z2である)の化合物との反応は、N,N-ジメチルアミノピリジン(DMAP)、トリエチルアミン、ピリジンのような有機塩基の存在下で行うことができる。この反応は、N,N'-ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ベンゼン、トルエン、ジオキサン、ポリハロゲン化脂肪族炭化水素のような不活性の有機溶媒中、-20℃〜40℃の温度で行われる。この反応は30分〜36時間で完結する。
【0151】
工程1b)において、ニトロ供給源は、硝酸銀、硝酸リチウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸マグネシウム、硝酸カルシウム、硝酸鉄、硝酸亜鉛または硝酸テトラアルキルアンモニウム(ここで、アルキルはC1-C10アルキルである)であり得る。
この反応は、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、DMFのような適切な有機溶媒中、暗所で、室温〜溶媒の沸点の温度で行われる。好ましいニトロ供給源は硝酸銀である。
【0152】
式(IIa)の化合物は、市場で入手でき、あるいはThe Merck Index 13版に報告されている参考文献に記載のようにして合成できる。
上記の式(IIa)(ここで、ともにα位にあるR1およびR2は一緒になって、式(III)(ここで、RA1およびRA2は-CH3であり、R3はフッ素原子である)の基を形成する)の化合物は、一般名:トリアムシノロンアセトナイドで知られている。
【0153】
上記の式(IIa)(ここで、R1はα位にある-OC(O)OmRi(ここで、m は1であり、Riはエチルである)であり、R2およびR3は水素原子である)である)の化合物は、一般名:プレドニゾロン-17-エチルカルボネートで知られている。
上記の式(IIa)(ここで、R1はα位にある-OC(O)OmRi(ここで、mは0であり、Riはn-ブチルである)であり、R2はβ位にある-CH3であり、R3はフッ素原子である)である)の化合物は、一般名:ベタメタゾン-17-バレレートで知られている。
【0154】
式(Ib)(ここで、QはOHであり、XおよびZ2 は上記で定義されたとおりである)の化合物は、市場で入手でき、あるい式HO-C(O)-X-OHの対応するヒドロキシル酸から当該技術分野で周知の方法により合成することができる。
式(Ib)(ここで、QはONO2である)の化合物は、対応する化合物(ここで、QはZ2である)から、上記の工程1b)に記載されたニトロ誘導体への変換により製造することができる。
【0155】
式(Ib)(ここで、W = -OC(O)Ra(ここで、Ra、XおよびQは上記で定義されたとおりである))の化合物は、対応する酸(ここで、W = -OH)から、トリエチルアミンのような非求核性塩基の存在下に、N,N'-ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ポリハロゲン化脂肪族炭化水素のような不活性有機溶媒中、-20℃〜40℃の温度で、イソブチルクロロホルメート、エチルクロロホルメートのようなクロロホルメートとの反応により得ることができる。この反応は1〜8時間で完結する。
【0156】
式(Ib)(ここで、W = Cl)の化合物は、対応する酸(ここで、W = -OH)から、トルエン、クロロホルム、DMFのような不活性溶媒中、チオニルもしくはオキサリルクロライド、PIII もしくは PVのハロゲン化物との反応により得ることができる。
【0157】
上記の一般式(I)(ここで、Zは-C(O)O-であり、Xは上記で定義されたとおりである)の化合物は、
2a)上記の式(IIa)の化合物を、式(Ic) :
Rb-C(O)O-X-Q (Ic)
(式中、XおよびQは上記で定義されたとおりであり、RbはCl、BrまたはRa1(ここで、Ra1 は上記で定義されたとおりである)である)
の化合物と反応させることにより合成することができる。
2b) QがZ2であるとき、上記のニトロ供給源との反応により、工程2a)で得られた化合物をニトロ誘導体に変換することにより得ることができる。
【0158】
工程2a)において、反応は一般的に無機もしくは有機塩基の存在下に、DMF、THFもしくはCH2Cl2のような非プロトン性の極性もしくは非極性溶媒中、0℃〜-65℃の温度範囲で行なわれるか、あるいは二相系H2O/Et2Oで、20℃〜40℃の温度範囲で行なわれるか、あるいはDMAPおよびSc(OTf)3もしくは Bi(OTf)3のようなルイス酸の存在下にDMF、CH2Cl2のような溶媒の中で行われる。
【0159】
式(Ic)(ここで、XおよびQは上記で定義されたとおりであり、RbはCl、Brである)の化合物は、式(Id) HO-X-Qの対応するアルコールから、当該技術分野で周知の方法により合成することができる。
式(Ic)(ここで、QはZ2である)の化合物は、市場で入手することができる。
式(Ic)(ここで、QはONO2である)の化合物は、上記のニトロ誘導体への変換により、対応する化合物(ここでQはZ1である)から製造することができる。
【0160】
式(Ic) Rb-C(O)O-Y-Q(ここで、YおよびQは上記で定義されたとおりであり、RbはRa1である)の化合物は、式(Id) HO-X-Qの化合物を式(Ic') Rb-C(O)O-Z2(ここで、Z2は上記で定義されたとおりである)の化合物と反応させることにより得られる。
【0161】
この反応は、一般的に無機もしくは有機塩基の存在下に、DMF、THFもしくはCH2Cl2のような非プロトン性の極性/非極性溶媒中、0℃〜65℃の温度範囲で行われるか、あるいは二相系H2O/Et2Oで、20℃〜40℃の温度範囲で行われるか、あるいはDMAPおよびSc(OTf)3もしくは Bi(OTf)3のようなルイス酸の存在下に、DMF、CH2Cl2のような溶媒中で行われる。
式(Ic')(ここで、RbはRa1であり、Z2は上記で定義されたとおりである)の化合物は、市場で入手することができる。
【0162】
実施例
実施例1
(11β,16α)-9-フルオロ-11-ヒドロキシ-16,17-[1-メチルエチリデンビス(オキシ)]-21-[1-オキソ-[4-(ニトロオキシメチル)ベンズオキシ]]プレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオンの合成
【化82】

【0163】
ジクロロメタン(55 ml)中のトリアムシノロンアセトナイド(2.47 g、5.7 mmol)の溶液に、4-(ニトロオキシメチル) 安息香酸(1.38 g、7.0 mmol)、DMAP (0.07 g, 0.54 mmol)およびEDAC (1.39 g、7.2 mmol)を加えた。反応混合物を室温で24時間攪拌した。この溶液を水で処理し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下に濃縮した。残渣を溶離剤ジクロロメタン/酢酸エチル95/5のフラッシュクロマトグラフィにより精製した。生成物(1.2 g)を白色粉末として得た。
【0164】
1H-NMR (DMSO) (: 8.05 (2H, d); 7.64 (2H, d); 7.29 (1H, d); 6.23 (1H, dd); 6.01 (1H, s); 5.68 (2H, s); 5.52 (1H, d); 5.42 (1H, d); 5.01 (1H, d); 4.86 (1H, d); 4.2 (1H, bs); 2.7-2.25 (4H, m); 2.15-1.72 (4H, m); 1.65-1.45 (5H, m); 1.36 (3H, s); 1.21 (3H, s); 0.87 (3H, s).
【0165】
実施例2
(11β)-17-[(エトキシカルボニル)オキシ]-11-ヒドロキシ-21-[1-オキソ-[4-(ニトロオキシメチル)ベンズオキシ] ]プレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオンの合成
【化83】

【0166】
ジクロロメタン(40 ml)中のプレドニゾロン17-エチルカルボネート(1.77 g、4.1 mmol)の溶液に、4-(ニトロオキシメチル) 安息香酸(1.0 g、5.0 mmol)、DMAP (0.05 g、0.41 mmol)およびEDAC (1.0 g、5.2 mmol)を加えた。反応混合物を室温で24時間攪拌した。この溶液を水で処理し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下に濃縮した。残渣を溶離液n-ヘキサン/酢酸エチル6/4のフラッシュクロマトグラフィにより精製した。n-ヘキサン/酢酸エチルで結晶化して、生成物(0.47 g)を白色粉末として得た。m.p.=113-119℃。
【0167】
1H-NMR (DMSO) (: 8.07 (2H, d) ; 7.66 (2H; d); 7.32 (1H, dd); 6.18 (1H, dd); 5.93 (1H, s); 5.70 (2H, s); 5.15 (2H, m); 4.90 (1H, d); 4.33 (1H, m); 4.12 (2H, m); 2.80-2.76 (1H, m); 2.56-2.50 (1H, m); 2.32-2.28 (1H, m); 2.11-1.99 (1H, m); 1.90-1.78 (4H, m); 1.6-1.36 (5H, m); 1.25-1.15 (4H, m); 1.10-0.9 (5H, m).
【0168】
実施例3
(11β,16β)-9-フルオロ-11-ヒドロキシ-16-メチル-21-[1-オキソ-[4-(ニトロオキシメチル)ベンズオキシ]]-17-(バレリルオキシ) プレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオンの合成
【化84】

【0169】
ジクロロメタン(50 ml)中のベタメタゾン-17-バレレート(2.54 g、5.3 mmol)の溶液に、4-(ニトロオキシメチル) 安息香酸(1.3 g、6.5 mmol)、DMAP (0.065 g、 0.53 mmol)およびEDAC (1.53 g、8.0 mmol)を加えた。反応混合物を室温で4時間攪拌した。この溶液を水で処理し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下に濃縮した。残渣を溶離剤n-ヘキサン/酢酸エチル65/35のフラッシュクロマトグラフィにより精製した。n-ヘキサン/酢酸エチルで結晶化して、生成物(0.72 g)を白色粉末として得た。m.p.=158-160℃。
【0170】
1H-NMR (DMSO) (: 8.03 (2H, d); 7.63 (2H, d); 7.29 (1H, d); 6.24 (1H, dd); 6.02 (1H, s); 5.68 (2H, s); 5.6 (1H, d); 4.97 (1H, d); 4.71 (1H, d); 4.24 (1H, m); 2.7-2.2 (4H, m); 2.15-1.75 (6H, m); 1.58- 1.05 (13H, m); 0.9 (3H, s); 0.85 (3H, t).
【0171】
実施例4
(11β)-17-[(エトキシカルボニル)オキシ]-11-ヒドロキシ-21-[1-オキソ-[3-(ニトロオキシメチル)ベンズオキシ]] プレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオンの合成
【化85】

【0172】
A) (11β)-17-[(エトキシカルボニル)オキシ]-11-ヒドロキシ-21-[1-オキソ-[3-(クロロメチル)ベンズオキシ]]プレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン
ジクロロメタン(40 ml)中のプレドニゾロン17-エチルカルボネート(1.5 g、 3.5 mmol)の溶液に、3-(クロロメチル) 安息香酸(0.73 g、4.2 mmol)、DMAP (0.043 g、0.35 mmol)およびEDAC (0.89 g、4.45 mmol)を加えた。反応混合物を室温で24時間攪拌した。この溶液を炭酸水素ナトリウム飽和溶液、水で処理し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下に濃縮した。残渣を溶離剤n-ヘキサン/酢酸エチル、1/1のフラッシュクロマトグラフィにより精製した。生成物(1.32 g)を白色粉末として得た。
【0173】
B) (11β)-17-[(エトキシカルボニル)オキシ]-11-ヒドロキシ-21-[1-オキソ-[3-(ニトロオキシメチル)ベンズオキシ]]プレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン
アセトニトリル(20ml)中の工程A)で得られた化合物(1.3 g、2.22 mmol)および硝酸銀(0.75 g、4.44 mmol) の溶液を、60℃、暗所で10時間攪拌した。沈殿物(銀塩)を濾去し、溶媒を真空下に留去した。残渣を溶離剤n-ヘキサン/酢酸エチル6/4のフラッシュクロマトグラフィにより精製した。生成物(1 g)を白色粉末として得た。
【0174】
1H-NMR (DMSO) (: 8.11 (1H, m); 8.04 (1H, m); 7.80 (1H, m); 7.62 (1H, m); 7.30 (1H, m); 6.15 (1H, m); 5.91 (1H, s); 5.67 (2H, s); 5.11 (2H, m); 4.88 (1H, bd); 4.31 (1H, bs); 4.11 (2H, m); 2.81-2.71 (1H, m); 2.6-2.49 (1H, m); 2.22-2.32 (1H, m); 2.15-1.95 (2H, m); 1.9-1.7 (4H, m); 1.6-1.3(4H, m); 1.18 (3H, t); 1.1-0.9 (4H, m).
【0175】
実施例5
(11β, 16β)-9-フルオロ-11-ヒドロキシ-16-メチル-21-[1-オキソ-[3-(ニトロオキシメチル)ベンズオキシ]]-17-(バレリルオキシ) プレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオンの合成
【化86】

【0176】
C)(11β,16β)-9-フルオロ-11-ヒドロキシ-16-メチル-21-[1-オキソ-[3-(クロロメチル)ベンズオキシ]]-17-(バレリルオキシ) プレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン
ジクロロメタン(35 ml)中のベタメタゾン17-バレレート(1.5 g、3.1 mmol)の溶液に、3-(クロロメチル)安息香酸(0.76 g、4.5 mmol)、DMAP (0.038 g、0.31 mmol)およびEDAC (0.77 g、4.0 mmol)を加えた。反応混合物を室温で24時間攪拌した。この溶液を炭酸水素ナトリウム飽和溶液、水で処理し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下に濃縮した。残渣を溶離剤n-ヘキサン/酢酸エチル8/2のフラッシュクロマトグラフィにより精製した。生成物(1.6 g)を白色粉末として得た。
【0177】
D) (11β,16β)-9-フルオロ-11-ヒドロキシ-16-メチル-21-[1-オキソ-[3-(ニトロオキシメチル) ベンズオキシ]]-17-(バレリルオキシ) プレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン
アセトニトリル(25 ml)およびテトラヒドロフラン(2 ml)中の化合物C (1.68 g、2.67 mmol)および硝酸銀(1.8 g、11.2 mmol)の溶液を60℃、暗所で、12時間攪拌した。沈殿物(銀塩)を濾去し、溶媒を真空下に留去した。残渣を溶離剤n-ヘキサン/酢酸エチル6/4のフラッシュクロマトグラフィにより精製した。生成物(1.1 g)を白色粉末として得た。
【0178】
1H-NMR (DMSO) (: 8.11 (1H, s); 8.03 (1H, d); 7.80 (1H, d); 7.62 (1H, t); 7.30 (1H, dd); 6.24 (1H, dd); 6.02 (1H, s); 5.67 (1H, s); 5.58 (1H, d); 4.99 (1H, d); 4.73 (1H, d); 4.29-4.20 (1H, m); 2.59-2.25 (8H, m); 2.19-2.01 (1H, m);1.89-1.78 (4H, m); 1.56-1.07 (11H, m); 1.0-0.61 (6H, m).
【0179】
実施例6
(11β,16α)-9-フルオロ-11-ヒドロキシ-16,17-[1-メチルエチリデンビス (オキシ)]-21-[1-オキソ-[3-(ニトロオキシメチル) ベンズオキシ]] プレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオンの合成
【化87】

【0180】
E) (11β,16α)-9-フルオロ-11-ヒドロキシ-16,17-[1-メチルエチリデンビス (オキシ)]-21-[1-オキソ-[3-(クロロメチル) ベンズオキシ]] プレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン
ジクロロメタン(35 ml)中のトリアムシノロンアセトナイド(1.5 g、3.4 mmol)の溶液に、3-(クロロメチル) 安息香酸(0.83 g、4.9 mmol)、DMAP (0.042 g、0.34 mmol)およびEDAC (0.84 g、4.4 mmol)を加えた。反応混合物を室温で24時間攪拌した。この溶液を炭酸水素ナトリウム飽和溶液、水で処理し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下に濃縮した。生成物(1.86 g)を白色粉末として得た。
【0181】
F) (11β,16α)-9-フルオロ-11-ヒドロキシ-16,17-[1-メチルエチリデンビス (オキシ)]-21-[1-オキソ-[3-(ニトロオキシメチル) ベンズオキシ]] プレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン
アセトニトリル(25 ml)およびテトラヒドロフラン(10 ml)中の化合物E (1.8 g、3.07 mmol)および硝酸銀(1.1 g、 6.5 mol)の溶液を、60℃、暗所で、18時間攪拌した。沈殿物(銀塩)を濾去し、溶媒を真空下に留去した。残渣を溶離剤n-ヘキサン/酢酸エチル65/35のフラッシュクロマトグラフィにより精製した。生成物(1.3 g)を白色粉末として得た。
【0182】
1H-NMR (DMSO) (: 8.12 (1H, s); 8.03 (1H, d); 7.80 (1H, d); 7.63 (1H, t); 7.30 (1H, d); 6.23 (1H, dd); 6.01 (1H, s); 5.66 (2H, s); 5.46 (1H, bd); 5.45-5.37 (1H, m); 5.05-4.98 (1H, m); 4.86 (1H, bd); 4.22 (1H, bs); 2.72-2.29 (3H, m); 2.13-1.71 (4H, m); 1.62-1.49 (5H, m); 1.42-1.29 (4H, m); 1.2 (3H, s); 0.9 (3H, s).
【0183】
実施例7
(11β,16α)-9-フルオロ-11,21-ジヒドロキシ-16,17-[1-メチルエチリデンビス (オキシ)] プレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン-21-[3-カルボキシ-1-オキソプロポキシ)-3-(ニトロオキシメチル)ベンゼン]の合成
【化88】

【0184】
G) (11β,16α)-9-フルオロ-11,21-ジヒドロキシ-16,17-[1-メチルエチリデンビス (オキシ)] プレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン-21-ヘミスクシネート
Tert-ブタノール(20 ml)中のトリアムシノロンアセトナイド(1.0 g、2.3 mmol)の溶液に、無水コハク酸(0.72 g、7.0 mmol)およびトリエチルアミン(0.98 ml、7.0 mmol)を加えた。反応混合物を室温で3時間攪拌した。この溶液を2.5%リン酸溶液およびジクロロメタンで処理し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下に濃縮した。生成物(1.33 g)を白色粉末として得た。
【0185】
H) (11β,16α)-9-フルオロ-11,21-ジヒドロキシ-16,17-[1-メチルエチリデンビス (オキシ)] プレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン-21-[3-カルボキシ-1-オキソプロポキシ)-3-(ニトロオキシメチル)ベンゼン]
ジクロロメタン(50 ml)中の工程Gで得られた化合物(1.23 g、2.3 mmol)の溶液に、3-(ニトロオキシメチル)フェノール(0.43 g、2.53 mmol)、 DMAP (0.028 g、 0.23 mmol)およびEDAC (0.56 g、2.9 mmol)を加えた。反応混合物を室温で2時間攪拌した。この溶液を水で処理し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下に濃縮した。残渣を溶離剤n-ヘキサン/アセトン7/3のフラッシュクロマトグラフィにより精製した。生成物(1.13 g)を白色粉末として得た。
【0186】
1H-NMR (DMSO) (: 7.5-7.41 (1H, m); 7.40-7.31 (1H, m); 7.30 (2H, m); 7.19-7.12 (1H, dd); 6.25-6.18 (1H, dd); 6.01 (1H, s); 5.54 (2H, s); 5.43 (1H, dd); 5.22-5.12 (1H, d); 4.85 (1H, d); 4.83-4.73 (1H, m); 4.20 (1H, bs); 2.92-2.79 (4H, m); 2.72-2.24 (4H, m); 2.15-1.72 (4H, m); 1.65-1.45 (5H, m); 1.36 (3H, s); 1.21 (3H, s); 0.87 (3H, s).
【0187】
実施例8
(11β)-17-[(エトキシカルボニル)オキシ]-11,21-ジヒドロキシプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン-21-[3-カルボキシ-1-オキソプロポキシ)-3-(ニトロオキシメチル)ベンゼン]の合成
【化89】

【0188】
I) (11β)-17-[(エトキシカルボニル) オキシ]-11,21-ジヒドロキシプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン21-ヘミスクシネート
Tert-ブタノール(22 ml)中のプレドニゾロン17-エチルカルボネート(1.1 g、 2.54 mmol)の溶液に、無水コハク酸(0.77 g、7.7 mmol)およびトリエチルアミン(1.1 ml、7.75 mmol)を加えた。反応混合物を室温で3時間攪拌した。この溶液を2.5%リン酸溶液およびジクロロメタンで処理し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下に濃縮した。生成物(1.5 g)を得た。
【0189】
L) (11β)-17-[(エトキシカルボニル) オキシ]-11,21-ジヒドロキシプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン 21-[3-カルボキシ-1-オキソプロポキシ)-3-(ニトロオキシメチル) ベンゼン]
ジクロロメタン(50ml)中の工程Iで得られた化合物(1.35 g、2.5 mmol)の溶液に、3-(ニトロオキシメチル) フェノール(0.473 g、2.79 mmol)、DMAP (0.031 g、 0.25 mmol)およびEDAC (0.62 g、3.2 mmol)を加えた。反応混合物を室温で4時間攪拌した。この溶液を水で処理し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下に濃縮した。残渣を溶離剤n-ヘキサン/アセトン7/3のフラッシュクロマトグラフィにより精製した。生成物(0.7 g)を白色粉末として得た。
【0190】
1H-NMR (DMSO) (: 7.47 (1H, t); 7.36 (1H, d); 3.29 (1H, d); 7.24 (1H, m); 7.16 (1H, m); 6.15 (1H, dd); 5.91 (1H, s); 5.57 (2H, s); 4.84 (2H, m); 4.81 (1H, d); 4.29 (1H, bs); 4.10 (2H, m); 2.86 (2H, m); 2.82 (2H, m); 2.74 (1H, m); 2.6-2.49 (1H, m); 2.28 (1H, m); 2.15-1.92 (2H, m); 1.90-1.61 (4H, m); 1.47 (1H, m); 1.35 (3H, s); 1.15 (3H, t); 1.1-0.9 (1H, m); 0.91 (3H, s).
【0191】
薬理学的試験例
実施例9
試験化合物の局所投与後のTPA誘発性耳浮腫抑制のin vivo測定
試験化合物は次のとおりである。
− 実施例1に記載のようにして製造された、(11β,16α)-9-フルオロ-11-ヒドロキシ-16,17-[1-メチルエチリデンビス (オキシ)]-21-[1-オキソ-[4-(ニトロオキシメチル) ベンズオキシ]] プレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン、
− 実施例1の化合物の対照化合物であるトリアムシノロンアセトナイド、
− 実施例2に記載のようにして製造された、(11β)-17-[(エトキシカルボニル)オキシ]-11-ヒドロキシ-21-[1-オキソ-[4-(ニトロオキシメチル)ベンズオキシ] ]プレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン、
− 実施例2の化合物の対照化合物であるプレドニカルベート
この試験は、Carlsonら、 Agents Actions 17:197-204, 1985およびLucasら、J Pharmacol Exp Ther 304:1172-1180, 2003に記載された方法により行われた。
【0192】
1群5〜9匹の27±5gの雄のスイスマウスが使われた。皮膚炎は無水エタノールで溶解したTPA(テトラデカノイル ホルボール アセテート)2 (g/耳を、両方の耳のどちらか一方の背側部の表面に塗布(20 (L/耳)することにより惹き起こされた。
TPAの塗布15分前に、マウスの左の耳の皮膚上の直接塗布される場所に、20 (Lの試験化合物(エタノール中0.39 nM)の溶液を局所的に投与し、右の耳に媒体(エタノール100%)を投与した。媒体―媒体処置されたマウスをネガティブ対照群として含めた。等モルの投与量で化合物を試験した。
【0193】
TPA投与後3時間または5時間で動物を殺した。直後に両方の耳の等しい部分に孔を開け、秤量した。各動物について、右耳の重さに対する左耳の重さの変化のパーセンテージを計算し、非処置動物(ネガティブ対照)の重さの変化に対する、処置動物の重さの変化の抑制のパーセンテージを測定した。この試験の結果を表1に示す。
【0194】
【表1】

【0195】
実施例10
マウスの耳における、12-O-テトラデカノイルホルボールアセテート(TPA)誘発性炎症マーカー(PGE2およびTNF-α)の増加に対する試験化合物の効果
試験化合物は次のとおりである。
− 実施例1に記載のようにして製造された、(11β,16α)-9-フルオロ-11-ヒドロキシ-16,17-[1-メチル エチリデンビス(オキシ)]-21-[1-オキソ-[4-(ニトロオキシメチル)ベンズオキシ]]プレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン
− 実施例1の化合物の対照化合物であるトリアムシノロンアセトナイド
【0196】
処置群として10匹の雄のマウスが使われた。20μlの無水エタノールに溶解した12-O-テトラデカノイルホルボールアセテート(2.0μg、TPA)を、マウスの右耳の内外両表面に10 μl量ずつ塗布した。マウスの右耳の耳断片を500μlの食塩水中でホモゲナイズし、15分間、4oC、1200gで遠心分離した後、ラジオイムノアッセイ(Houltら、Methods Enzymol 1994)により、または時間−区分(time-resolved)フルオロイムノアッセイ(Pennanenら、Int J Immunopharmacol. 1995)により、PGE2およびTNF-αレベルをそれぞれ測定した。
TPA投与15分前に、媒体に溶解した試験化合物を局所的に投与した。結果を表2に報告する。
【0197】
【表2】

【0198】
結果は、従来の化合物の高い投与量より、本発明の実施例1の化合物が低い投与量でPGE2 レベルの低下を示すことを実証した。この結果は、本発明の化合物が、対応する親化合物に比べ、炎症の低減においてより効果的であることを示す。
驚いたことに、この結果は、本発明の実施例1の化合物が、表2に示したように、従来の化合物より高度にTNF-αの放出を抑制することを示し、したがって炎症レベルの低減により効果的である。
【0199】
実施例11
マウスのベンザルコニウム誘発性接触皮膚炎のモデルにおける抗炎症性
試験化合物は次のとおりである。
− 実施例1に記載のようにして製造された、(11β,16α)-9-フルオロ-11-ヒドロキシ-16,17-[1-メチルエチリデンビス(オキシ)]-21-[1-オキソ-[4-(ニトロオキシメチル)ベンズオキシ]]プレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン
− 実施例1の化合物の対照化合物であるトリアムシノロンアセトナイド(対照化合物)
− 実施例2に記載のようにして製造された、(11β)-17-[(エトキシカルボニル)オキシ]-11-ヒドロキシ-21-[1-オキソ-[4-(ニトロオキシメチル)ベンズオキシ] ]プレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン
【0200】
二つの耳の背面に5%塩化ベンザルコニウム(部分当たり100 (l、オリーブオイル:アセトン、1:5 v/vに溶解)を塗布することにより、刺激性の接触皮膚炎を誘発した。浮腫形成のパラメーターとして、塩化ベンザルコニウムの塗布前と、塗布後6時間の間、一時間ごとに、電子カリパスを使って耳の直径を測定した。最後の測定は皮膚炎を誘発してから8時間後に行われた。
試験化合物をエタノール:滅菌水(1:1)に溶解して局所的に塗布し、刺激性接触皮膚炎が誘発される5分後に最終的な量100 (lで投与された。
塩化ベンザルコニウム刺激の後、1〜4時間の耳の浮腫(左耳)の値を表3に表す。
本発明の化合物(実施例1の化合物)は、主に初期の時間において、トリアムシノロンアセトナイドに比べて、より優れたプロフィールで、耳の浮腫抑制において、投与量に依存する効果を示した。
【0201】
【表3】

【0202】
実施例12
マウスの生体内顕微鏡検査のモデルにおける4-抗炎症性特性
試験化合物は次のとおりである。
− 実施例1に記載のようにして製造された、(11β,16α)-9-フルオロ-11-ヒドロキシ-16,17-[1-メチルエチリデンビス(オキシ)]-21-[1-オキソ-[4-(ニトロオキシメチル)ベンズオキシ]]プレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン
− 実施例1の化合物の対照化合物であるトリアムシノロンアセトナイド
− 実施例2に記載のようにして製造された、(11β)-17-[(エトキシカルボニル)オキシ]-11-ヒドロキシ-21-[1-オキソ-[4-(ニトロオキシメチル)ベンズオキシ]]プレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン
− 実施例2の化合物の対照化合物であるプレドニカルベート
【0203】
10 mg/kgのキシラジン(MTC Pharmaceuticals、ケンブリッジ、オンタリオ、カナダ)および200 mg/kgの塩酸ケタミン(Rogar/STB、 ロンドン、オンタリオ、カナダ)の混合物を腹腔内注射して、雄のC57Bl6マウスを麻酔した。生体内顕微鏡検査を皮膚弁において行う。その厚さは単に透視しただけでは白血球/内皮細胞の相互作用を視認することはできない。したがって、麻酔後、蛍光性色素ローダミン6G(Sigma、St. Louis、MO、USA、0.3 mg/kg)をマウスに静脈注射した。
【0204】
この投与量で、ローダミン6Gは白血球および血小板をラベルし、白血球の運動性に影響しないことが示された。その後、骨盤の部位に及ぶ横隔膜から正中線腹部切開をした。下部組織から皮膚を慎重に切り離したが、接合した側面を残しているので、血液は無傷で残った皮膚弁に供給される。皮膚の微小血管系を露出させる観察台の上で皮膚弁を広げ、4.0縫合糸を使って縁に沿って固定した。組織の脱水を避けるために、露出した皮膚の組織に重炭酸緩衝食塩水pH 7.4を注いだ。
【0205】
×20の対物レンズを取り付けた倒立顕微鏡(Nikon)を用いて微小循環を観察し、590-nm放射フィルターを用い、510-560 nmの外部照明により、回転(rolling)・付着性の白血球の数をローダミン6Gにより、可視化でき、数量化することができる。この研究において、一つの枝分かれしていない細静脈(直径20-40(m)が選ばれる。15分の平衡期間の後に、選ばれた細静脈の映像を5分間記録し、この5分間のインターバルの終わりを時間0とした。100 (mの長さの血管において、ビデオを再生して、白血球の付着を測定する(表4)。30秒以上動かずに留まっていれば、白血球は内皮に付着していると考えられる。
【0206】
白血球の流速は、細静脈内の基準点を通る赤血球より遅い速度で動く一分間当たりの白血球の数として定義される。各インターバルにおける回転白血球の数と、基礎的な回転白血球の数との間の差として、回転白血球の流速の変化を評価した(表5)。
【0207】
エタノール:滅菌水(1:1)に溶解した試験化合物を局所的に適用し、最終的に100 (lの量を適用し、5分後に刺激性の接触皮膚炎が誘発された。
結果は、本発明の化合物が血管の直径において統計的に顕著な変化を示すこと (表4)、さらに試験化合物がともに、従来の化合物より高い度合いで、回転白血球(表5)、基本的な炎症の終点を統計的に減少させることを実証した。
【0208】
【表4】

【0209】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の一般式(I):
R-Z-X-ONO2 (I)
を有する化合物。
[式中、Rは式(II):
【化1】

(式中、
R1は-OC(O)OmRi(ここで、mは0または1であり、Ri は分枝もしくは直鎖のC1-C10アルキルである)であり、
R2 は水素原子または-CH3であるか、
あるいはR1とR2が一緒になって、式(III):
【化2】

(式中、 RA1 および RA2は独立して、H、C1-C10の直鎖もしくは分枝アルキル鎖から選択される)
の基であり、
R1 および R2 は、αもしくはβ位でステロイド構造の16および17位の炭素原子に結合することができる、
R3 は水素原子またはフッ素原子である)
のコルチコステロイドの残基であり、
ZはXに結合し得る基であって、-C(O)-、-C(O)O- または
【化3】

(式中、R’および R’’は独立して、Hまたは直鎖もしくは分枝のC1-C4アルキルから選択される)
からなる群から選択され、
Xは次の意味を有する2価の基である:
a) ハロゲン原子、ヒドロキシ、-ONO2もしくはT(ここで、Tは-OC(O)(C1-C10 アルキル)-ONO2もしくは -O(C1-C10 アルキル)-ONO2である)からなる群から選択される1つ以上の置換基で任意に置換されていてもよい、直鎖もしくは分枝のC1-C20アルキレン基;
b)直鎖もしくは分枝C1-C10アルキル基で任意に置換されていてもよいC5-C7シクロアルキレン基;
c)
【化4】

d)
【化5】

(式中、
n は0〜20の整数であり、
n1は1〜20の整数である);
e)
【化6】

(式中、
n1a は1〜20の整数であり、
Z1 は-C(O)O- もしくは -OC(O)-であり、
n は上記で定義されたとおりであり、
n1 は上記で定義されたとおりである、
ただし、X がc)〜e)に記載された2価の基から選択されるとき、式(I)の-ONO2基は-(CH2)n1-基に結合している;
f)
【化7】

(式中、
Y1 は-CH2-CH2-(CH2)n2a-または -CH=CH-(CH2)n2a-(ここで、n2a は0〜10の整数である)であり、
Z1a は-OC(O)-または-C(O)O-であり、
n2 は0または1であり、
R2 はHまたはCH3であり、
X1 は-(CH)n1a-(ここで、n1a は上記で定義されたとおりである)または式(V)の2価の基(ここで、nおよびn1 は上記で定義されたとおりである)である、
ただし、式(VII)において、式(I)の-ONO2基はX1基に結合している、
g)
【化8】

(式中、
Y1は-CH2-CH2-(CH2)n2a-または-CH=CH-(CH2)n2a-(ここで、n2a は0〜10の整数である)であり、
n3aは0または1であり、
Z1は-C(O)O-または-OC(O)-であり、
n2は0または1であり、
R2はHまたはCH3であり、
X1は-(CH)n1a-(ここで、n1aは上記で定義されたとおりである)または式(V)の2価の基(ここで、nおよびn1 は上記で定義されたとおりである)である、
ただし、式(VIII)において、式(I)の-ONO2 基はX1基に結合している、
h)
【化9】

(式中、
X2は-O-または-S-であり、
n3は1〜6の整数であり、
n3bは1〜10の整数であり、
n3cは1〜10の整数である)、
i)
【化10】

(式中、
n4は0〜10の整数であり、
n5は1〜10の整数であり、
R4、R5、R6、R7は同一もしくは異なって、Hまたは直鎖もしくは分枝のC1-C4アルキルであり、
式(I)の-ONO2基は、
【化11】

(式中、n5 は上記で定義されたとおりである)
に結合しており、
Y2は窒素、酸素、硫黄から選択される1つ以上のヘテロ原子を含む、飽和、不飽和もしくは芳香族の、5員もしくは6員の複素環であり、
【化12】

【化13】

から選択される、
ただし、式(I)においてZが-C(O)-であり、式(II)においてともにα位にあるR1およびR2が一緒になって式(III)の基(ここで、RA1およびRA2は-CH3である)を形成し、R3がフッ素原子であるとき、Xは
a) ハロゲン原子、ヒドロキシ、-ONO2またはT(ここで、Tは-OC(O)(C1-C10 アルキル)-ONO2または-O(C1-C10 アルキル)-ONO2である)からなる群から選択される1つ以上の置換基で任意に置換されていてもよい直鎖もしくは分枝のC1-C20アルキレン基ではない]。
【請求項2】
式(II)の基Rにおいて、基R1、R2およびR3が次の意味:
−ともにα位にあるR1およびR2が一緒になって、式(III)の基(ここで、RA1およびRA2は-CH3であり、R3はフッ素原子である)を形成するか、または、
−R1がα位にある-OC(O)OmRi(ここで、m は1であり、Riは エチルである)であり、R2およびR3は水素原子であるか、または、
−R1がα位にある-OC(O)OmRi(ここで、mは0であり、Riはn-ブチルである)であり、R2がβ位にある-CH3であり、R3がフッ素原子である、
を有する、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項3】
Zが-C(O)-または、-C(O)O-であり、
Xが次の意味:
a) ハロゲン原子、ヒドロキシ、-ONO2もしくはT(ここで、Tは-OC(O)(C1-C10 アルキル)-ONO2もしくは-O(C1-C10アルキル)-ONO2である)からなる群から選択される1つ以上の置換基で任意に置換されていてもよい、直鎖もしくは分枝のC1-C10アルキレン、
c)
【化14】

d)
【化15】

(式中、nは0〜5の整数であり、n1は1〜5の整数である)
e)
【化16】

(式中、
n1aは1〜10の整数であり、
Z1は-C(O)O-または-OC(O)-であり、
nは上記で定義されたとおりであり、
n1は上記で定義されたとおりである、
ただし、X がc)〜e)に記載された2価の基から選択されるとき、式(I)の-ONO2基は-(CH2)n1-基に結合している、
f)
【化17】

(式中、
Y1は-CH2-CH2-(CH2)n2a-または-CH=CH-(CH2)n2a-(ここで、n2aは0または1〜6の整数である)であり、
Z1aは-OC(O)-または-C(O)O-であり、
n2は0または1であり、
R2 はHまたはCH3であり、
X1は-(CH)n1a-(ここで、n1a は上記で定義されたとおりである)または式(V)の2価の基(ここで、nおよびn1 は上記で定義されたとおりである)である、
ただし、式(VII)において、式(I)の-ONO2基はX1基に結合している)、
g)
【化18】

(式中、
Y1は-CH2-CH2-(CH2)n2a-または-CH=CH-(CH2)n2a-(ここで、n2aは0または1〜6の整数である)であり、
n3aは0または1であり、
Z1は-C(O)O-または-OC(O)-であり、
n2は0または1であり、
R2はHまたはCH3であり、
X1は-(CH)n1a-(ここで、n1aは上記で定義されたとおりである)または式(V)の2価の基(ここで、nおよびn1 は上記で定義されたとおりである)である、
ただし、式(VIII)において、式(I)の-ONO2基はX1基に結合している)、
h)
【化19】

(式中、
X2は-O-または-S-であり、
n3は1〜6の整数であり、
n3bは1〜6の整数であり、
n3cは1〜6の整数である)、
i)
【化20】

(式中、
n4は0〜10の整数であり、
n5は1〜10の整数であり、
R4、R5、R6、R7はHであり、
式(I)の-ONO2基は、
【化21】

(式中、n5 は上記で定義されたとおりである)
に結合しており、
Y2は窒素、酸素、硫黄から選択される1つ以上のヘテロ原子を含む、飽和、不飽和もしくは芳香族の、5員もしくは6員の複素環であり、
【化22】

【化23】

から選択される、
ただし、式(I)においてZが-C(O)-であり、式(II)においてともにαにあるR1およびR2が一緒になって式(III)の基(ここで、RA1およびRA2は-CH3である)を形成し、R3がフッ素原子であるとき、Xは、
a) ハロゲン原子、ヒドロキシ、-ONO2もしくはT(ここで、Tは-OC(O)(C1-C10 アルキル)-ONO2または-O(C1-C10アルキル)-ONO2である)からなる群から選択される1つ以上の置換基で任意に置換されていてもよい、直鎖もしくは分枝のC1-C10アルキレンではない、
を有する、好ましくはXが直鎖のC1-C10アルキレンである、請求項2に記載の式(I)の化合物。
【請求項4】
Xが次の意味:
a)直鎖のC1-C10アルキレン、
c)
【化24】

(式中、nは0または1であり、n1は1である)
e)
【化25】

(式中、n1aは1〜10の整数であり、Z1は-C(O)O-または-OC(O)-であり、nは0または1であり、n1は1である、
ただし、X がc)〜e)に記載された2価の基から選択されるとき、式(I)の-ONO2基は-(CH2)n1-基に結合している)、
f)
【化26】

(式中、Y1は-CH=CH-(CH2)n2a-(ここで、n2aは0である)であり、Z1aは -OC(O)-であり、n2は1であり、R2はCH3であり、X1は-(CH)n1a-(ここで、n1a は1〜10の整数である)である)、
ただし、式(VII)において、式(I)の-ONO2基はX1基に結合している、
g)
【化27】

(式中、n3aは1であり、Y1は-CH=CH-(CH2)n2a-(ここで、n2aは0である)であり、Z1は-C(O)O-であり、n2は1であり、R2は CH3であり、X1は-(CH)n1a-(ここで、n1aは1〜10の整数である)である)、
ただし、式(VIII)において、式(I)の-ONO2基はX1基に結合している;
h)
【化28】

(式中、X2は-O-であり、n3は1〜4の整数であり、n3bは 1であり、n3cは2である、
ただし、式(I)において、Zが-C(O)-であり、式(II)においてともにα位にあるR1およびR2が一緒になって式(III)の基(ここで、RA1およびRA2は-CH3である)を形成し、R3がフッ素原子であるとき、Xは直鎖のC1-C10アルキレンではない)
を有する、請求項3に記載の式(I)の化合物。
【請求項5】
次の群:
【化29】

【化30】

【化31】

【化32】

【化33】

【化34】

【化35】

【化36】

【化37】

【化38】

【化39】

から選択される、請求項1〜4のいずれかに記載の式(I)の化合物。
【請求項6】
(11β,16α)-9-フルオロ-11-ヒドロキシ-16,17-[1-メチルエチリデンビス (オキシ)]-21-[1-オキソ-[4-(ニトロオキシメチル)ベンズオキシ]] プレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオンである、請求項2または3に記載の式(I)の化合物。
【請求項7】
医薬として使用するための、請求項1〜6のいずれかに記載の化合物。
【請求項8】
コルチコステロイド応答性皮膚病、アトピー性皮膚炎、接触皮膚炎、乾癬、脂漏性皮膚炎の治療用医薬を製造するための、式(I):
R-Z-X-ONO2 (I)
[式中、Rは式(II):
【化40】

(式中、
R1は-OC(O)OmRi(ここで、mは0または1であり、Riは分枝もしくは直鎖のC1-C10 アルキルであり、好ましくはRiは分枝もしくは直鎖のC1-C6アルキルであり、好ましくはRi基はメチル、エチル、n-プロピル、n-ブチルであり、
R2は水素原子または-CH3であるか、あるいは
R1およびR2は一緒になって、式(III):
【化41】

(式中、RA1およびRA2は独立して、H、C1-C10 の直鎖もしくは分枝のアルキル鎖好ましくは(C1-C5) のアルキルから選択され、より好ましくはRA1およびRA2 は -CH3であり、式(III)の基はイソプロピリデンジオキシであり、
R1およびR2はαもしくはβ位でステロイド構造の16および17位の炭素原子に結合することができ、
R3は水素原子またはフッ素原子であり、
好ましくは、式(II)において、R1、R2およびR3は次の意味:
−ともにα位にあるR1およびR2が一緒になって、式(III)の基(ここで、RA1およびRA2は-CH3であり、R3はフッ素原子である)を形成するか、または、
−R1がα位にある-OC(O)OmRi(ここで、m は1であり、Riは エチルである)であり、R2およびR3は水素原子であるか、または、
−R1がα位にある-OC(O)OmRi(ここで、mは0であり、Riはn-ブチルである)であり、R2がβ位にある-CH3であり、R3がフッ素原子である、
を有する)
のコルチコステロイドの残基であり、
ZはXに結合することができ、-C(O)-、-C(O)O-または
【化42】

(式中、R'およびR''は独立して、Hまたは直鎖もしくは分枝のC1-C4アルキルである) からなる群から選択され、好ましくはZは-C(O)- または-C(O)O-であり、
Xは次の意味を有する2価の基:
e) ハロゲン原子、ヒドロキシ、-ONO2もしくはT(ここで、Tは-OC(O)(C1-C10 アルキル)-ONO2もしくは-O(C1-C10アルキル)-ONO2である)からなる群から選択される1つ以上の置換基で任意に置換されていてもよい、直鎖もしくは分枝のC1-C20 アルキレン、好ましくは直鎖もしくは分枝のC1-C10アルキレンであり、好ましくはXは直鎖のC1-C10アルキレンである、
f) 直鎖もしくは分枝のC1-C10アルキル基、好ましくはCH3で任意に置換されていてもよいC5-C7シクロアルキレン基、
c)
【化43】

d)
【化44】

(式中、nは0〜20の整数、好ましくはnは0〜5の整数、より好ましくはnは0または1であり、
n1 は1〜20の整数であり、好ましくはn1 は1〜5の整数であり、より好ましくはn1 は1である)、
e)
【化45】

(式中、
n1aは1〜20の整数であり、好ましくはn1aは1〜10の整数であり、
Z1は-C(O)O-または-OC(O)-であり、好ましくはZ1は-C(O)O-であり、
n上記で定義されたとおりであり、
n1は上記で定義されたとおりであり、
好ましくは式(VI)において、n1aは1〜10の整数であり、Z1は-C(O)O-であり、nは0または1であり、n1は1である)、
ただし、Xがc)〜e)に記載された2価の基から選択されるとき、式(I)の-ONO2基は-(CH2)n1-基に結合している、
f)
【化46】

(式中、
Y1は-CH2-CH2-(CH2)n2a-または-CH=CH-(CH2)n2a-(ここで、n2aは0〜10の整数であり、好ましくはn2a は0または1〜6の整数である)であり、
Z1aは-OC(O)- または-C(O)Oであり、
n2は0または1であり、好ましくはn2は1であり、
R2はHまたはCH3であり、好ましくはR2はCH3であり、
X1は-(CH)n1a-(ここで、n1a は上記で定義されたとおりである)であるか、または式(V)の2価の基(ここで、nおよびn1は上記で定義されたとおりである)であり、、
好ましくは、式(VII)において、Y1は-CH=CH-(CH2)n2a-(ここでn2aは0である)であり、Z1aは-OC(O)-であり、n2は1であり、R2はCH3であり、X1は-(CH)n1a-(ここで、n1aは1〜10の整数である)である、
ただし、式(VII)において、式(I)の-ONO2基はX1基に結合している、
g)
【化47】

(式中、
Y1は-CH2-CH2-(CH2)n2a-または-CH=CH-(CH2)n2a-(ここで、n2aは0〜10の整数であり、好ましくはn2aは0または1〜6の整数である)であり、
n3aは0または1であり、
Z1は-C(O)O-または-OC(O)-であり、
n2は0または1であり、好ましくはn2は1であり、
R2はHまたはCH3であり、好ましくはR2はCH3であり、
X1は-(CH)n1a-(ここで、n1a は上記で定義されたとおりである)または式(V)の2価の基(ここで、nおよびn1は上記で定義されたとおりである)であり、
好ましくは、式(VIII)において、n3aは1であり、Y1は-CH=CH-(CH2)n2a-(ここで、n2は0である)であり、Z1は-C(O)O-であり、n2は1であり、R2はCH3であり、X1は-(CH)n1a-(ここで、n1aは1〜10の整数である)であるか、あるいは
式(VIII)において、n3aは0であり、Z1は-OC(O)- または-C(O)O-であり、n2は1であり、R2はCH3であり、X1は-(CH)n1a-(ここで、n1a は1〜10の整数である)である)、
ただし、式(VIII)において、式(I)の-ONO2基はX1 基に結合している、
h)
【化48】

(式中、
X2は-O-または-S-であり、
n3は1〜6、好ましくは1〜4の整数であり、
n3bは1〜10、好ましくは1〜6の整数であり、より好ましくはn3bは1または2であり、
n3cは1〜10、好ましくは1〜6の整数であり、より好ましくはn3cは2である)、
i)
【化49】

(式中、
n4は0〜10の整数であり、
n5は1〜10の整数であり、
R4、R5、R6、R7は同一または異なって、Hまたは直鎖もしくは分枝のC1-C4アルキルであり、好ましくはR4、R5、R6、R7はHであり、
式(I)の-ONO2基は、
【化50】

(式中、n5は上記で定義されたとおりである)に結合しており、
Y2は窒素、酸素、硫黄から選択される1つ以上のヘテロ原子を含む、飽和、不飽和もしくは芳香族の、5員もしくは6員の複素環であり、
【化51】

から選択される]
の化合物の使用。
【請求項9】
湿疹、紅斑、丘疹形成、スケーリング、びらん、毛細血管出血、クラスティング(crusting)、心因性痒み、炎症、表皮のブロサ(bullosa)、紅斑、いぼ、おむつかぶれ、たむし、紅色扁平苔癬を含む皮膚または粘膜の病気もしくは障害の治療用医薬を製造するための、請求項8に記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項10】
コルチコステロイド反応性皮膚病、炎症、湿疹、紅斑、丘疹形成、スケーリング、びらん、毛細血管出血、クラスティング(crusting)、心因性痒み、表皮のブロサ(bullosa)、紅斑、いぼ、おむつかぶれ、たむし、紅色の扁平苔癬、脂漏性皮膚炎の治療用医薬を製造するための、請求項6の式(I)の化合物の使用。
【請求項11】
アトピー性皮膚炎の治療用医薬を製造するための、請求項6の式(I)の化合物の使用。
【請求項12】
接触性皮膚炎の治療用医薬を製造するための、請求項6の式(I)の化合物の使用。
【請求項13】
乾癬の治療用医薬を製造するための、請求項6の式(I)の化合物の使用。
【請求項14】
請求項1〜5および8のいずれかに記載の、少なくとも1つの式(I)の化合物、および薬学上許容される添加剤を含む、局所用医薬製剤。
【請求項15】
クリーム、ローション、軟膏製剤、または局所スプレー用組成物を含む群から選択される、請求項14に記載の局所用医薬製剤。
【請求項16】
請求項6の式(I)の化合物および薬学上許容される添加剤を含む局所用医薬製剤。
【請求項17】
クリーム、ローション、軟膏製剤または局所スプレー用組成物を含む群から選択される、請求項16に記載の局所用医薬製剤。
【請求項18】
1a) 式(IIa):
【化52】

(式中、
R1は-OC(O)OmRi(ここで、mは0または1であり、Riは分枝もしくは直鎖のC1-C10アルキルである)であり、
R2は水素原子または-CH3であるか、あるいは
R1およびR2は一緒になって式(III):
【化53】

(式中、RA1およびRA2は独立して、H、C1-C10の直鎖もしくは分枝のアルキル鎖である)
の基であり、
R1およびR2はαもしくはβ位でステロイド構造の16および17における炭素原子に結合することができ、
R3は水素原子またはフッ素原子である)、
の化合物を、式(Ib):
W-C(O)-X-Q (Ib)
(式中、
Wは-OH、Clまたは-OC(O)Ra(ここで、Raは直鎖もしくは分枝のC1-C5アルキルであるか、またはRaはペンタフルオロフェノキシ、4−ニトロフェノキシもしくはスクシミジニルオキシからなる群から選択されるRa1であり、
Xは請求項1に記載のとおりであり、
Qは-ONO2またはZ2(ここで、Z2は塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、メシル基またはトシル基からなる群から選択される)である)
の化合物と、縮合剤の存在下に反応させ、
1b) QがZ2であるとき、工程a)で得られた化合物をニトロ供給源との反応によりニトロ誘導体に変換すること
を含む、Zが-CO-である請求項1の式(I)の化合物の製造方法。
【請求項19】
工程1a)において、Wが-OHであるとき、縮合剤がジシクロヘキシルカルボジイミド、N'-(3-ジメチルアミノプロピル)-N-エチルカルボジイミド塩酸塩と触媒、N,N-ジメチルアミノピリジンまたはN,N'-カルボニルジイミダゾールを含む群から選択される、請求項18に記載の製造方法。
【請求項20】
工程1a)において、Wが-OC(O)Raであるとき、縮合剤がN,N-ジメチルアミノピリジン、またはN,N-ジメチルアミノピリジンとSc(OTf)3もしくは Bi(OTf)3から選択されるルイス酸を含む群から選択される触媒である、請求項18に記載の製造方法。
【請求項21】
工程1a)において、WがClであり、QがZ2であるとき、縮合剤がN,N-ジメチルアミノピリジン、トリエチルアミンまたはピリジンを含む群から選択される有機塩基である、請求項18に記載の製造方法。
【請求項22】
工程1a)が、N,N'-ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ベンゼン、トルエン、ジオキサンまたはポリハロゲン化脂肪族炭化水素から選択される適切な有機溶媒中、-20℃〜40℃の温度で行われる、請求項18〜21のいずれかに記載の製造方法。
【請求項23】
工程1b)において、ニトロ供給源が硝酸銀、硝酸リチウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸マグネシウム、硝酸カルシウム、硝酸鉄、硝酸亜鉛または硝酸テトラアルキルアンモニウムを含む群から選択される、請求項18に記載の製造方法。
【請求項24】
工程1b)が、暗所で、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、酢酸エチルまたはN,N'-ジメチルホルムアミドを含む群から選択される溶媒中、室温〜溶媒の沸点の温度で行われる、請求項18または23に記載の製造方法。
【請求項25】
2a) 式(IIa):
【化54】

(式中、
R1は-OC(O)OmRi(ここで、mは0または1であり、Riは分枝もしくは直鎖のC1-C10アルキルである)であり、
R2は水素原子または-CH3であるか、あるいは
R1およびR2は一緒になって、式(III):
【化55】

(式中、RA1およびRA2は独立して、H、C1-C10 の直鎖もしくは分枝のアルキル鎖から選択され、
R1およびR2は、αもしくはβ位でステロイド構造の16および17における炭素原子に結合することができ、
R3は水素原子またはフッ素原子である)
の化合物を、式(Ic):
Rb-C(O)O-X-Q (Ic)
(式中、Qは-ONO2またはZ2(ここで、Z2は塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、メシル基またはトシル基を含む群から選択される)であり、
RbはCl、BrまたはRa1(ここで、Ra1 はペンタフルオロフェノキシ、4―ニトロフェノキシまたはスクシミジニルオキシからなる群から選択される)である)の化合物と反応させ、
2b) QがZ2であるとき、工程2a)で得られた化合物をニトロ供給源との反応によりニトロ誘導体に変換することを含む、Zが-C(O)O-である請求項1の式(I)の化合物の製造方法。
【請求項26】
工程2a) が、無機もしくは有機塩基の存在下に、N,N'-ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフランもしくはポリハロゲン化脂肪族炭化水素を含む群から選択される非プロトン性の極性/無極性溶媒中、0℃〜65℃の範囲の温度で行われる、請求項25に記載の製造方法。
【請求項27】
工程2a)が、無機もしくは有機塩基の存在下に、H2O/Et2Oの2相系で20℃〜40℃の範囲の温度で行われる、請求項25に記載の製造方法。
【請求項28】
工程2a)が、N,N-ジメチルアミノピリジンとSc(OTf)3もしくは Bi(OTf)3から選択されるルイス酸の存在下に、N,N'-ジメチルホルムアミドもしくはポリハロゲン化脂肪族炭化水素から選択される溶媒中で行われる、請求項25に記載の製造方法。
【請求項29】
工程2b)において、ニトロ供給源が硝酸銀、硝酸リチウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸マグネシウム、硝酸カルシウム、硝酸鉄、硝酸亜鉛もしくは硝酸テトラアルキルアンモニウムを含む群から選択される、請求項25に記載の製造方法。
【請求項30】
工程2b)が、暗所で、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、酢酸エチルまたはN,N'-ジメチルホルムアミドを含む群から選択される溶媒中、室温〜溶媒の沸点の範囲の温度で行われる、請求項25または29に記載の製造方法。

【公表番号】特表2009−506994(P2009−506994A)
【公表日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−528372(P2008−528372)
【出願日】平成18年8月4日(2006.8.4)
【国際出願番号】PCT/EP2006/007746
【国際公開番号】WO2007/025632
【国際公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【出願人】(398034032)ニコックス エス エイ (36)
【住所又は居所原語表記】Taissounieres HB4,1681 route des Dolines−BP313,06560 Sophia Antipolis−Valbonne,France
【出願人】(508064779)フェラー インターナショナル エス.エイ. (1)
【氏名又は名称原語表記】FERRER INTERNACIONAL S.A.
【住所又は居所原語表記】Gran Via Carlos III,94,E−08028 Barcelona,SPAIN
【Fターム(参考)】