説明

ステージカート搬送システム、並びにそれに使用するステージカート、およびその連結具

【課題】ステージカートを、人手に頼ることなく、無人で、適時に所望の場所に搬送できるようにすることにより、省力化を図ったステージカート搬送システム等を提供する。
【解決手段】プログラムに従って、床面上1を定められたルートに沿って自走するようにした無人牽引車2と、下面に、無人牽引車2が進入しうる収容部3を有するとともに、床面1に沿って移動しうるキャスタ4が設けられ、かつ上面に、商品を載置して陳列しうる陳列棚5が着脱自在に設けられたステージカート6、6と、無人牽引車2がステージカート6の収容部3の予め定めた位置に進入した状態で、無人牽引車2とステージカート6との対向部同士を係脱する連係手段とを備えるものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上面に、商品を載置して陳列しうる陳列手段を着脱自在に設けたステージカートを、無人牽引車により、陳列位置から他の位置へ、またはその逆に搬送するようにしたステージカート搬送システム、並びにそれに使用するステージカート、およびその連結具に関する。
【背景技術】
【0002】
スーパーマーケットやホームセンタ等の大型店舗においては、キャスタ付きの平台よりなるステージカート上に陳列棚を装着し、この陳列棚上に商品を載置した状態で、作業者が、ステージカートを、バックヤードから店舗内の陳列位置まで搬送し、また陳列商品が少なくなったときは、ステージカートを、陳列位置からバックヤードまで搬送して、バックヤードで商品の補充作業を行っている。
【0003】
このような用途に用いる従来のステージカートとしては、陳列時に、ハンドルを外して、ステージカート内の収納位置に収納できるようにしたもの(例えば特許文献1参照)や、側枠および棚板を折りたたみ可能としたもの(例えば特許文献2参照)等がある。
【特許文献1】特開平7−222659号公報
【特許文献2】特許第2711800号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1および2に記載されているものは、いずれも、作業者が、ステージカートを、バックヤードから店舗内の陳列位置まで、またはその逆に、搬送しなければならず、搬送に人手を要するとともに、特許文献1に記載されているものは、ステージカートを搬送する都度、ハンドルを着脱しなければならず、その着脱作業が煩雑である等の問題がある。
【0005】
本発明は、従来の技術が有する上記のような問題点に鑑み、ステージカートを、人手に頼ることなく、無人で、適時に所望の場所に搬送できるようにすることにより、省力化を図ったステージカート搬送システム、並びにそれに使用する、簡単な構造のステージカート、およびその連結具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
(1) ステージカート搬送システムにおいて、プログラムに従って、床面上を定められたルートに沿って自走するようにした無人牽引車と、下面に、前記無人牽引車が進入しうる収容部を有するとともに、床面に沿って移動しうるキャスタが設けられ、かつ上面に、商品を載置して陳列しうる陳列手段が着脱自在に設けられたステージカートと、前記無人牽引車がステージカートの収容部の予め定めた位置に進入した状態で、前記無人牽引車とステージカートとの対向部同士を係脱する連係手段とを備えるものとする。
【0007】
(2) 上記(1)項において、複数のステージカートを連結手段により連結し、かついずれかのステージカートを、連係手段により無人牽引車に連係して、複数のステージカートを、1台の無人牽引車により同時に搬送しうるようにする。
【0008】
(3) 上記(2)項において、1対のステージカート上に装着する各陳列手段を、1側面が開口し、かつ他の側面が閉塞された陳列棚とし、両陳列棚の開口部同士を互いに向き合わせて、1対のステージカートを、連結手段により連結することによって、前記両陳列棚の全側面が閉塞されるようにする。
【0009】
(4) 上記(1)〜(3)項のいずれかにおいて、連係手段が、ステージカートの下面に設けた上向きの凹部と、無人牽引車に設けた駆動手段により、無人牽引車の上面より上方に進退させられ、かつ上方に進出させられたとき、前記ステージカートの下面における凹部に嵌合しうるようにした連係ピンとを備えるものとする。
【0010】
(5) ステージカートにおいて、下面に、無人牽引車が進入しうる収容部を設けるとともに、床面に沿って移動しうるキャスタを設け、かつ上面に、商品を載置して陳列しうる陳列手段を着脱自在に設ける。
【0011】
(6) 上記(5)項において、下面における収容部の両側部に、無人牽引車を収容部に案内する左右1対の案内手段を設ける。
【0012】
(7) 前後左右の4隅に支柱が設けられ、かつ前後の支柱の下端部同士を、前後方向を向く左右1対の連結杆をもって連結してなる前後1対のステージカート同士を連結する連結具において、前方のステージカートの後端と後方のステージカートの前端とを突き合わせたときの前方のステージカートの後部の支柱の外側面と後方のステージカートの前部の支柱の外側面とに当接する前後方向を向く基片と、この基片の前後の端部に連設され、かつ前方のステージカートの後部の支柱の前面および後方のステージカートの前部の支柱の後面に沿って、各ステージカートの内方に向かって突出する内向き折曲片と、各内向き折曲片の内端より垂下し、各ステージカートの連結杆の内側面に当接する垂下片とを備えるものとする。
【0013】
(8) 上記(7)項において、基片の下端に、内向き折曲片より下方に突出し、前方のステージカートの後部の支柱の外側面と後方のステージカートの前部の支柱の外側面とに当接する下向片を連設する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、次のような効果を奏することができる。
請求項1記載の発明によると、ステージカートの下面に設けた収容部内に無人牽引車を進入させ、連係手段により、無人牽引車とステージカートとを連係させて、その後無人牽引車を作動させることにより、ステージカートを、例えば店舗内の陳列位置からバックヤードへ、またはその逆に、無人で搬送することができるとともに、ステージカートを所望の位置まで搬送した後は、連係手段により、無人牽引車をステージカートから切り離し、無人牽引車のみを待機位置まで、復帰させることができる。
したがって、大型店舗等における商品の搬送作業の省力化を図ることができる。
【0015】
請求項2記載の発明によると、複数のステージカートを、連結手段により連結して、1台の無人牽引車により同時に搬送することができるので、作業効率を高めることができるとともに、さらに省力化を図ることができる。
【0016】
請求項3記載の発明によると、1対のステージカートを、その上に装着した各陳列棚の開口部が互いに向き合うようにして連結することができるので、そのようにして連結した状態で搬送することにより、各陳列棚に陳列した商品が、振動等により、外部にこぼれ落ちるのを防止することができる。
【0017】
請求項4記載の発明によると、連係手段を、ステージカートの下面に設けた上向きの凹部と、無人牽引車に設けた駆動手段により、無人牽引車の上面より上方に進退させられ、かつ上方に進出させられたとき、前記ステージカートの下面における凹部に嵌合しうるようにした連係ピンとにより構成してあるので、無人牽引車の制御と合わせて、駆動手段を制御することにより、システム全体を全自動化することができるとともに、連係手段の構成を簡素化することができる。
【0018】
請求項5記載の発明によると、ステージカートの下面に、無人牽引車が進入しうる収容部を設けるとともに、床面に沿って移動しうるキャスタを設け、かつ上面に、商品を載置して陳列しうる陳列手段を着脱自在に設けてあるので、収容部
に無人牽引車を進入させて、無人牽引車により、自由に搬送されるようにした、構造が簡単なステージカートを提供することができる。
【0019】
請求項6記載の発明によると、収容部の両側部に、無人牽引車を収容部に案内する左右1対の案内手段を設けてあるので、無人牽引車は、ステージカートの収容部に、円滑に進行することができる。
【0020】
請求項7記載の発明によると、前後1対のステージカート同士を互いに突き合わせて、連結具における基片が、前方のステージカートの後部の支柱の外側面と後方のステージカートの前部の支柱の外側面とに当接するようにして、連結具の前後の垂下片を、前後のステージカートにおける連結杆の内側面に当接するように係止させることにより、前後のステージカートを、連結具により簡単に連結することができ、また、連結具を上方に持ち上げた後、外側方に外すことにより、前後のステージカートの連結状態を簡単に解除することができる。
【0021】
請求項8記載の発明によると、連結具における垂下片と下向片とにより、前後のステージカートにおける連結杆を、前後から挟むことができるので、連結具が前後のステージカートから脱落しにくく、また前後のステージカート同士を、強固に連結することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態を、図1〜図6を参照して説明する。
図1〜図3に示すように、このステージカート搬送システムは、プログラムに従って、床面(1)上を、予め定められたルートに沿って自走するようにした無人牽引車(2)と、下面中央に、無人牽引車(2)が進入しうる収容部(3)が設けられるとともに、下面のほぼ四隅に、床面(1)に沿って移動しうるキャスタ(4)が設けられ、かつ上面に、商品を載置して陳列しうる陳列手段として、陳列棚(5)が着脱自在に設けられた平台状のステージカート(6)と、無人牽引車(2)がステージカート(6)の収容部(3)の予め定めた位置に進入した状態で、無人牽引車(2)とステージカート(6)との対向部同士を連係したり、その連係を解除したりする連係手段(7)とを備えている。
【0023】
無人牽引車(2)の走行機構と制御装置は、例えば特開平9−272430号公報に記載されている公知の低床式の無人搬送ロボット(パンタグラフ式のリフターの部分は除く)と同様のものとすることができる。ここでは、無人牽引車(2)は、図6に略示するように、四隅に設けた車輪(8)と、床面(1)に敷設した磁気テープや光学テープからなる誘導テープ(9)を検出するように下面に設けたセンサ(10)と、誘導テープ(9)が常にセンサ(10)の中央に位置するように、車輪(8)を駆動制御する制御装置(11)とを備えるものとしてある。
【0024】
制御装置(11)は、無線、電波、または赤外線等の伝達手段により、パソコンや、作業者が携帯するようにしたリモートコントローラ等からなる外部制御装置(図示略)と接続され、それらからの指令に基づいて、走行開始、走行停止、走行速度の変更等が制御されるようになっている。
【0025】
図1、図2、図4、および図6は、それぞれが図3に示すような構造とした2個の同一のステージカート(6)(6)を、前後に突き合わせて、左右1対の連結具(連結手段)(12)(12)をもって、互いに連結した状態を示してある。
【0026】
図3に示すように、各ステージカート(6)は、角管よりなる4本の支柱(13)の上端より若干下位の部分同士を、左右方向を向く前枠杆(14)および後枠杆(15)と、前後方向を向く左右1対の側枠杆(16)(16)とにより、平面視方形枠状に連結するとともに、前後の支柱(13)(13)の下端部同士を、前後方向を向く左右1対の連結杆(17)(17)をもって連結することにより形成したフレーム(18)を備えている。
【0027】
フレーム(18)における前枠杆(14)、後枠杆(15)、および左右の側枠杆(16)(16)上には、天板(19)が、その四隅の角部に設けた角形の切欠き(20)を、各支柱(13)の内側面に係合させることにより、各支柱(13)の上端が上方に開口するようにして、着脱自在に載置され、かつ必要に応じて止着されている。
【0028】
フレーム(18)における左右の連結杆(17)(17)の前後の端部よりやや内方寄りの部分の下面には、キャスタ(4)がそれぞれ設けられ、ステージカート(6)は、床面(1)上をいずれの方向にも自由に移動できるようになっている。
【0029】
フレーム(18)における前枠杆(14)および後枠杆(15)と、左右の支柱(13)(13)と、その下端の連結杆(17)(17)とによって、無人牽引車(2)が進入しうる収容部(3)が形成されている。
また、フレーム(18)における前枠杆(14)および後枠杆(15)の下面には、図6に示すように、前後の端部が左右方向に拡開し、収容部(3)に進入してくる無人牽引車(2)を案内する左右1対のガイド板(案内手段)(21)(21)の上端部が取り付けられている。
【0030】
フレーム(18)における前枠杆(14)と後枠杆(15)との中央部間には、上向きコ字状とした前後方向を向く補強杆(22)が架設されており、この補強杆(22)の中央部下面には、円形の係合孔(凹部)(23)が設けられている。
【0031】
図3に示すように、各ステージカート(6)の上面には、4本の追加支柱(24)が、その下端部をステージカート(6)における各支柱(13)の上端より差し込むようにして立設されており、各追加支柱(24)の上端同士は、左右方向を向く後部連結杆(25)と、前後方向を向く左右1対の側部連結杆(26)(26)とにより、前面が開口する平面視コ字状に連結されている。
【0032】
後部連結杆(25)と天板(19)の後縁と後部の左右1対の追加支柱(24)(24)とにより囲まれた方形の空間と、側部連結杆(26)と天板(19)の側縁と前後1対の追加支柱(24)(24)とにより囲まれた左右の方形の空間とには、複数の線材を格子状に組んで、適宜の交差部を溶接して形成したネット部材(27)(28)(28)が嵌合され、かつ止着されている。
【0033】
ネット部材(27)(28)(28)により囲まれた空間内には、1枚または複数枚の棚板(29)が、その両側部を係止金具(図示略)を介して左右の追加支柱(24)(24)に係止することにより、多段状(1枚の場合を除く)に、架設されている。
この追加支柱(24)、後部連結杆(25)、側部連結杆(26)(26)、ネット部材(27)(28)(28)、棚板(29)等により、陳列手段である陳列棚(5)が形成されている。
【0034】
図2に示すように、前後1対のステージカート(6)(6)は、その前方のものを前後反転させて、両ステージカート(6)(6)上に装着された陳列棚(5)(5)の開口部が互いに向き合うようにして、前後に突き合わされた状態で、左右1対の連結具(12)(12)をもって、互いに連結されている。
【0035】
各連結具(12)は、図1に示すように、前方のステージカート(6)の後端と後方のステージカート(6)の前端とを突き合わせたときの前方のステージカート(6)の後部の支柱(13)の外側面と後方のステージカート(6)の前部の支柱(13)の外側面とに当接する前後方向を向く基片(30)と、この基片(30)の前後の端部に連設され、かつ前方のステージカート(6)の後部の支柱(13)の前面および後方のステージカート(6)の前部の支柱(13)の後面に沿って、各ステージカート(6)の内方に向かって突出する内向き折曲片(31)(31)と、各内向き折曲片(31)の内端より垂下し、各ステージカート(6)の連結杆(17)の内側面に当接する垂下片(32)(32)と、内向き折曲片(31)(31)より下方に突出するように、基片(30)の下端より垂下し、かつ前方のステージカート(6)の後部の支柱(13)の外側面と後方のステージカート(6)の前部の支柱(13)の外側面とに当接する下向片(33)とを備えている。
【0036】
各連結具(12)は、前後1対のステージカート(6)(6)同士を互いに前後から突き合わせた状態で、基片が、前方のステージカート(6)の後部の支柱(13)の外側面と後方のステージカート(6)の前部の支柱(13)の外側面とに当接するようにして、前後の垂下片(32)(32)を、前後のステージカート(6)(6)における連結杆(17)(17)の内側面に当接するように係止させるだけで、前後のステージカート(6)(6)同士を簡単に連結することができ、また、連結具(12)を上方に持ち上げた後、外側方に外すだけで、前後のステージカート(6)(6)より簡単に離脱することができ、前後のステージカート(6)(6)の連結状態を簡単に解除することができる。
【0037】
また、各連結具(12)に、下向片(33)を設けたことにより、垂下片(32)と下向片(33)とにより、前後のステージカート(6)(6)における連結杆(17)を、前後から挟むことができるので、連結具(12)が前後のステージカート(6)(6)から脱落しにくく、また前後のステージカート(6)(6)同士を、強固に連結することができる。
【0038】
図4〜図6に示すように、無人牽引車(2)がステージカート(6)における収容部(3)内の予め定めた位置に位置しているとき、ステージカート(6)の下面における係合孔(23)に対向する無人牽引車(2)の上面には、上下方向を向く連係ピン(34)が、上方に進退自在に設けられている。
【0039】
連係ピン(34)の下端部は、無人牽引車(2)の内部に設けられた駆動手段である減速機構内蔵のモータ(35)の回転軸(35a)に連結したクランク(36)のクランク軸部(36a)に、連接棒(37)を介して連結されており、モータ(35)の作動により、図5に実線で示すように、無人牽引車(2)の上面より上方に突出し、上端部がステージカート(6)の下面の係合孔(23)に嵌合しうる突出位置と、同じく想像線で示すように、上端が係合孔(23)より下方に位置する退避位置とに移動させられるようになっている。
【0040】
この連係ピン(34)と、それを上下動させる駆動手段であるモータ(35)、クランク(36)、連接棒(37)等と、ステージカート(6)の下面における係合孔(23)とにより、上記連係手段(7)が形成されている。
【0041】
次に、このステージカート搬送システムの作用について説明する。
誘導テープ(9)は、ループ状、または単線状をなして、店舗内の陳列位置とバックヤードとを結ぶように、床面(1)に敷設されており、無人牽引車(2)は、この誘導テープ(9)に沿って、店舗内の陳列位置とバックヤードとの間を走行することができる。
【0042】
バックヤードにおいて、2台のステージカート(6)(6)のそれぞれの陳列棚(5)に商品を満載した後、両陳列棚(5)(5)の開口部同士が互いに向き合うようにして、2台のステージカート(6)(6)を互いに突き合わせ、その突き合わせ部部の両側部に、連結具(12)(12)を、上述のようにして係止することにより、2台のステージカート(6)(6)を互いに連結し、その連結したものを、予め定めたホームステーションまで移動して停止しておく。
【0043】
次に、外部操作手段のスタートスイッチ(図示略)を押すと、待機位置に停止していた無人牽引車(2)が、走行を開始して、ホームステーションまで移動し、ホームステーションに停止している2台のステージカート(6)(6)の収容部(3)(3)内に進入し、先方のステージカート(6)の係合孔(23)と連結ピン(34)とが対向する位置で、無人牽引車(2)は停止する。
このときの停止制御は、各ステージカート(6)の下面に貼設した磁気カードまたはバーコード等に記録された各ステージカート(6)を特定する個別情報や停止位置情報を、無人牽引車(2)に設けた読取り装置(図示略)により読み取ることによって、自動的に行われる。
【0044】
無人牽引車(2)の停止後、モータ(35)が作動させられ、クランク(36)が半回転させられて、それまで退避位置に位置していた連結ピン(34)が、突出位置まで上昇させられて、先方のステージカート(6)の下面における係合孔(23)に嵌合させられる。
【0045】
連結ピン(34)が突出位置に達したことをリミットスイッチ等(図示略)により確認した後、モータ(35)の作動が停止されるとともに、無人牽引車(2)が走行させられ、ステージカート(6)(6)は、互いに連結された状態で、店舗内の陳列位置まで搬送させられる。
【0046】
無人牽引車(2)が、ステージカート(6)(6)を牽引して、店舗内の陳列位置に達すると、無人牽引車(2)の走行が停止させられた後、連結ピン(34)が突出位置から退避位置まで下降させられ、先方のステージカート(6)の下面における係合孔(23)から離脱させられる。
このときの停止制御は、陳列位置の床面に、予め誘導テープ(9)と一体または別体として、停止位置を示すテープ、マーク、または磁気シート等を敷設しておき、それを無人牽引車(2)に設けた読取り装置が読み取ることにより、無人牽引車(2)の走行を停止させるようにするのが望ましい。
また、無人牽引車(2)が待機位置およびホームステーションに到達したときも、同様にして停止させられるようにしてもよい。
【0047】
無人牽引車(2)が陳列位置に停止した後の連結ピン(34)の突出位置から退避位置への移動は、上記停止制御の後の予め定めた遅延時間後に、モータ(35)が作動させられて、クランク(36)が半回転させられることにより行われる。
【0048】
連結ピン(34)が退避位置へ移動させられ、先方のステージカート(6)の係合孔(23)から離脱させられた後、無人牽引車(2)は、自動的に、または外部操作手段からの司令を待って、待機まで搬送させられる。
【0049】
陳列位置においては、作業者が、互いに連結されたステージカート(6)(6)の両側部の連結具(12)(12)を外した後、各ステージカート(6)を、他の陳列棚等の横に並べる。
【0050】
ステージカート(6)上の陳列棚(5)の在庫商品が少なくなったときは、単独で、または在庫商品が少なくなった2台のステージカート(6)(6)を、上記と同様に互いに向かい合わせとして連結し、上記陳列位置まで移動して停止させておく。次いで、外部操作手段を操作して、引き取り作業を開始させる。
【0051】
引き取り作業は、上記のバックヤードのホームステーションから店舗内の陳列位置までのステージカート(6)(6)の搬送作業と同様の態様で、自動的に行われる。
2台のステージカート(6)(6)がホームステーションまで搬送された後、作業者が、上記と同様の要領で、2台のステージカート(6)(6)を切り離し、各ステージカート(6)を任意の補充作業位置まで移動し、そこで商品の補充作業を行ない、以下、上記と同様にして、店舗内の陳列位置まで搬送させる。
【0052】
以上から明らかなように、この実施形態においては、ステージカート(6)の下面に設けた収容部(3)内に無人牽引車(2)を進入させ、連係手段(7)により、無人牽引車(2)とステージカート(6)とを連係させて、その後無人牽引車(2)を作動させることにより、ステージカート(6)を、例えば店舗内の陳列位置からバックヤードへ、またはその逆に、無人で搬送することができるとともに、ステージカート(6)を所望の位置まで搬送した後は、連係手段(7)により、無人牽引車(2)をステージカート(6)から切り離し、無人牽引車(2)のみを待機位置まで、復帰させることができる。
したがって、大型店舗等における商品の搬送作業の省力化を図ることができる。
【0053】
また、次のような効果を奏することができる。
(a) 複数のステージカート(6)(6)を、連結手段(12)により連結して、1台の無人牽引車(2)により同時に搬送することができるので、作業効率を高めることができるとともに、さらに省力化を図ることができる。
【0054】
(b) 1対のステージカート(6)(6)を、その上に装着した各陳列棚(5)(5)の開口部が互いに向き合うようにして連結することができるので、そのようにして連結した状態で搬送することにより、各陳列棚(5)(5)に陳列した商品が、振動等により、外部にこぼれ落ちるのを防止することができる。
【0055】
(c) 連係手段(7)を、ステージカート(6)の下面に設けた係合孔(23)と、無人牽引車(2)に設けたモータ(35)により、無人牽引車(2)の上面より上方に進退させられ、かつ上方に進出させられたとき、ステージカート(6)の下面における係合孔(23)に嵌合しうるようにした連係ピン(34)とにより構成してあるので、無人牽引車(2)の制御と合わせて、モータ(35)を制御することにより、システム全体を全自動化することができるとともに、連係手段(7)の構成を簡素化することができる。
【0056】
(d) ステージカート(6)の下面に、無人牽引車(2)が進入しうる収容部(3)を設けるとともに、床面(1)に沿って移動しうるキャスタ(4)を設け、かつ上面に、商品を載置して陳列しうる陳列棚(5)を着脱自在に設けてあるので、収容部(3)に無人牽引車(2)を進入させて、無人牽引車(2)により、自由に搬送されるようにした、構造が簡単なステージカート(6)を提供することができる。
【0057】
(e) 収容部(3)の両側部に、無人牽引車(2)を収容部(3)に案内する左右1対のガイド板(21)を設けてあるので、無人牽引車(2)は、ステージカート(6)の収容部(3)に、円滑に進行することができる。
【0058】
(f) 前後1対のステージカート(6)(6)同士を互いに突き合わせて、連結具(12)における基片(30)が、前方のステージカート(6)の後部の支柱(13)の外側面と後方のステージカート(6)の前部の支柱(13)の外側面とに当接するようにして、連結具(12)の前後の垂下片(32)を、前後のステージカート(6)(6)における連結杆(17)(17)の内側面に当接するように係止させることにより、前後のステージカート(6)(6)を、連結具(12)により簡単に連結することができ、また、連結具(12)を上方に持ち上げた後、外側方に外すことにより、前後のステージカート(6)(6)の連結状態を簡単に解除することができる。
【0059】
(g) 連結具(12)における垂下片(32)と下向片(33)とにより、前後のステージカート(6)(6)における連結杆(17)(17)を、前後から挟むことができるので、連結具(12)が前後のステージカート(6)(6)から脱落しにくく、また前後のステージカート(6)(6)同士を、強固に連結することができる。
【0060】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、特許請求の範囲を逸脱しない範囲内で、次のような変形した態様で、実施することもできる。
(イ) 無人牽引車(2)は、プログラムに従って、床面上を定められたルートに沿って自走するようにしたものであればどのような形式のものでもよい。
(ロ) ステージカート(6)上に着脱自在に装着する陳列手段は、上記のような陳列棚だけでなく、例えば、支柱やパネルに、適宜の吊支具を介して、商品を吊支するものとしてもよい。
(ハ) 連係手段は、例えば、連結ピン(34)を、電磁ソレノイドにより、上方に進退させるようにしたもの、または上向き回動しうるようにしたフックにより、ステージカート(6)を係止して牽引するようにしたもの等とすることができる。
(ニ) 単一のステージカート(6)だけを無人牽引車(2)により牽引したり、3個以上のステージカート(6)を、上記のような連結具(12)、またはその他の連結手段により連結して、搬送するようにする。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明のステージカート搬送システムに用いる2台のステージカートを示す斜視図である。
【図2】同じく、陳列棚を装着した2台のステージカートと、無人牽引車とを示す斜視図である。
【図3】同じく、陳列棚を装着した1台のステージカートの斜視図である。
【図4】同じく、陳列棚を装着した2台のステージカートと、無人牽引車との側面図である。
【図5】同じく、図4のV−V線縦断正面図である。
【図6】同じく、図4のVI−VI線横断平面図である。
【符号の説明】
【0062】
(1)床面
(2)無人牽引車
(3)収容部
(4)キャスタ
(5)陳列棚(陳列手段)
(6)ステージカート
(7)連係手段
(8)車輪
(9)誘導テープ
(10)センサ
(11)制御装置
(12)連結具(連結手段)
(13)支柱
(14)前枠杆
(15)後枠杆
(16)側枠杆
(17)連結杆
(18)フレーム
(19)天板
(20)切欠き
(21)ガイド板(案内手段)
(22)補強杆
(23)係合孔(凹部)
(24)追加支柱
(25)後部連結杆
(26)側部連結杆
(27)(28)ネット部材
(29)棚板
(30)基片
(31)内向き折曲片
(32)垂下片
(33)下向片
(34)連結ピン
(35)モータ(駆動手段)
(35a)回転軸
(36)クランク
(36a)クランク軸
(37)連接棒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プログラムに従って、床面上を定められたルートに沿って自走するようにした無人牽引車と、
下面に、前記無人牽引車が進入しうる収容部を有するとともに、床面に沿って移動しうるキャスタが設けられ、かつ上面に、商品を載置して陳列しうる陳列手段が着脱自在に設けられたステージカートと、
前記無人牽引車がステージカートの収容部の予め定めた位置に進入した状態で、前記無人牽引車とステージカートとの対向部同士を係脱する連係手段
とを備えることを特徴とするステージカート搬送システム。
【請求項2】
複数のステージカートを連結手段により連結し、かついずれかのステージカートを、連係手段により無人牽引車に連係して、複数のステージカートを、1台の無人牽引車により同時に搬送しうるようにした請求項1記載のステージカート搬送システム。
【請求項3】
1対のステージカート上に装着する各陳列手段を、1側面が開口し、かつ他の側面が閉塞された陳列棚とし、両陳列棚の開口部同士を互いに向き合わせて、1対のステージカートを、連結手段により連結することによって、前記両陳列棚の全側面が閉塞されるようにした請求項2記載のステージカート搬送システム。
【請求項4】
連係手段が、ステージカートの下面に設けた上向きの凹部と、無人牽引車に設けた駆動手段により、無人牽引車の上面より上方に進退させられ、かつ上方に進出させられたとき、前記ステージカートの下面における凹部に嵌合しうるようにした連係ピンとを備えている請求項1〜3のいずれかに記載のステージカート搬送システム。
【請求項5】
下面に、無人牽引車が進入しうる収容部を設けるとともに、床面に沿って移動しうるキャスタを設け、かつ上面に、商品を載置して陳列しうる陳列手段を着脱自在に設けたことを特徴とするステージカート。
【請求項6】
下面における収容部の両側部に、無人牽引車を収容部に案内する左右1対の案内手段を設けた請求項5記載のステージカート。
【請求項7】
前後左右の4隅に支柱が設けられ、かつ前後の支柱の下端部同士を、前後方向を向く左右1対の連結杆をもって連結してなる前後1対のステージカート同士を連結する連結具であって、
前方のステージカートの後端と後方のステージカートの前端とを突き合わせたときの前方のステージカートの後部の支柱の外側面と後方のステージカートの前部の支柱の外側面とに当接する前後方向を向く基片と、この基片の前後の端部に連設され、かつ前方のステージカートの後部の支柱の前面および後方のステージカートの前部の支柱の後面に沿って、各ステージカートの内方に向かって突出する内向き折曲片と、各内向き折曲片の内端より垂下し、各ステージカートの連結杆の内側面に当接する垂下片とを備えることを特徴とするステージカート同士の連結具。
【請求項8】
基片の下端に、内向き折曲片より下方に突出し、前方のステージカートの後部の支柱の外側面と後方のステージカートの前部の支柱の外側面とに当接する下向片を連設した請求項7記載のステージカート同士の連結具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−209544(P2007−209544A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−32822(P2006−32822)
【出願日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(000000561)株式会社岡村製作所 (1,415)
【Fターム(参考)】