説明

ストップレスグレージング用途での使用のための、激しい応力に対して向上した構造一体性を有するガラス積層体

本発明は、大きい正圧荷重および/または負圧荷重を受けるとフレームから引出されることに対する向上した耐性を有するガラス積層体であるグレージング構造を準備するプロセスである。本発明は、ハリケーン、爆発において一般的である極端な条件を受けることがあるか、積層体への繰返される力強い打撃からの応力下に置かれることがある、シリコーン構造グレージング設計を用いる窓を有する建築構造に特に適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層ガラス構造に関する。本発明は、特に、グレージング要素の周縁またはグレージング要素の本体内の局所的な位置で支持されても、激しい衝撃および/または激しい圧力荷重に耐えることができる積層ガラス構造に関する。
【0002】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2003年4月3日に出願された米国仮特許出願第60/460,156号の利益を請求する。
【背景技術】
【0003】
従来のグレージング構造は、フレームなどの支持構造内にまたはそれに装着されたグレージング要素を含む。そのようなグレージング要素は、ガラス/中間層/ガラス積層体窓などの積層体窓を含むことができる。さまざまなグレージング方法が知られており、これらは、商業用および/または住宅用建物のための窓、ドア、または他のグレージング要素を構成するために普通である。そのようなグレージング方法は、たとえば、外部圧力プレートグレージング、フラッシュ(flush)グレージング、マリングレージング、リムーバブルストップグレージング、およびシリコーン構造グレージング(ストップレスグレージングとしても知られている)である。
【0004】
たとえば、米国特許公報(特許文献1)は、穴がグレージング要素およびプレート部材システムを通って作られ、連結が穴を通って形成される、構造的にグレージングされたシステムを記載している。
【0005】
脅威耐性窓およびガラス構造が知られており、従来のグレージング方法を用いて構成することができる。米国特許公報(特許文献2)および米国特許公報(特許文献3)は、各々、激しい力に耐えるように製造された積層体窓を記載している。(特許文献4)において、ガラス積層体が剛性チャネル内に位置決めされ、ガラスに隣接した弾性材料が、弾性材料と剛性チャネルとの間の屈曲移動を可能にする。接着テープ、ガスケット、パテなどの、グレージングパネルを保持する他の手段があり、パネルをフレームに固定するために使用することができる。たとえば、(特許文献5)は、ガラス積層体の周縁でポリマー中間層に積層されて中間層を補強する補強部材の使用を記載しており、中間層は、ガラス/中間層積層体の端縁を越えて延在することができる。別の実施形態において、(特許文献5)は、モノリシックな透明なものの表面の下のチャネル内に挿入され、透明なものから延在する剛性部材の使用を記載している。
【0006】
しかし、ハリケーン力の風および大きい力衝撃に耐えることができる窓およびガラス構造は、問題がないわけではない。従来のグレージング方法は、グレージング要素の挿入または除去を容易にするために、グレージング要素がフレーム内にいくらかの余分な空間を有することを必要とすることがある。付加的な空間は設置を容易にするが、それは、グレージング要素が、フレーム内で、スイング運動、揺動運動、または回転運動で移動することを可能にする。さらに、それは、グレージング要素に対して加えられた力の大きさおよび方向によっては、フレーム内で左右に(すなわち、横方向に)移動することがある。激しい繰返しの衝撃および/または連続圧力もしくは不連続圧力の条件下において、最終的に窓を破砕し、積層体がフレームから引出されることを可能にするように、十分な応力が蓄積することがあるように、ガラス積層体がフレームまたは構造支持体内で移動することがある。たとえば、激しいハリケーン力の風を受けたとき、ガラスが剛性チャネル内で屈曲する(特許文献4)の窓内の屈曲移動は、積層体をチャネルから徐々に引出し、構造の一体性を失うことがある。米国特許公報(特許文献3)において、フレームに対して保持されたガラスは、破壊され粉砕され、窓/フレーム構造の構造一体性を失うことがある。(特許文献5)において、そこに記載されているように堅い異物を中間層に挿入することは、激しい応力を受けたときにポリマーが異物と接触する界面において破損のための構造を生じさせることがある。
【0007】
(特許文献6)は、中間層をグレージング構造の構造要素として使用し、それにより、拘束の間またはガラスの最初の破砕後、より大きい構造一体性をガラス積層体に与えるガラス積層体を記載している。
【0008】
最近の事件は、オフィス用および住宅用建物における爆弾爆破に対するセキュリティの意識を高めている。従来のハリケーン用ガラスは、建物内または外で引起された爆発の力に耐えることができないであろう。前記グレージングを備えた建物または構造のそばまたは近くの爆発の力に対して耐性のあることができるグレージングユニットを所定位置に置くセキュリティ対策が望ましいことがある。さらに、建物の審美を損なうか建物に要塞のような外観を与えることなく、そのようなセキュリティグレージングを実現することが望ましいことがある。
【0009】
【特許文献1】米国特許第4,406,105号明細書
【特許文献2】米国特許第5,960,606号明細書
【特許文献3】米国特許第4,799,376号明細書
【特許文献4】国際公開第98/28515号パンフレット
【特許文献5】国際公開第93/002269号パンフレット
【特許文献6】国際公開第00/64670号パンフレット
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0010】
一態様において、本発明は、支持構造内の透明な積層体を含む、シリコーン構造グレージング(以下、ストップレスグレージング)に有用なグレージング要素であって、積層体が、積層体を支持構造に取付けるための少なくとも1つの取付け手段を含み、(1)積層体が、少なくとも1つのガラス層であって、ガラスの少なくとも1つの表面上で熱可塑性ポリマー中間層に直接結合された少なくとも1つのガラス層を含み、(2)中間層が、積層体の少なくとも1つの端縁を越えて延在し、(3)中間層の延在部分の1つの表面が、取付け手段の少なくとも1つの表面に結合され、(4)中間層の延在部分の別の表面が、ガラスに結合され、(5)取付け手段が、支持構造の維持チャネルの内部で積層体を整列させ保持するのに有用なクリップであり、(6)クリップが、任意に、チャネル内の積層体の回転移動および/または横方向の移動、および/またはチャネルからの積層体の移動を制限するのに有用な少なくとも1つの噛合い延在部を含み、グレージングが、支持構造に装着するための外部圧力プレートを必要としないことを特徴とするグレージング要素である。
【0011】
別の態様において、本発明は、熱可塑性中間層と、積層体の周縁上で1つ以上の点に位置決めされた少なくとも1つの取付け手段とを含むガラス積層体であって、取付け手段が、第2の熱可塑性ポリマーに直接結合された維持アセンブリを含み、第2の熱可塑性ポリマーが、(a)ポリマーおよび中間層が直接接触している界面において中間層に結合され、かつ(b)ガラスおよびポリマーが直接接触している別の界面においてガラスに結合され、第2の熱可塑性ポリマーが、熱可塑性ポリマー中間層と同じ材料であることができるか、熱可塑性ポリマー中間層と異なった材料であることができることを特徴とするガラス積層体である。
【0012】
別の態様において、本発明は、ケーブル、ロープ、フック、または他の機械的手段によって機械的にともに保持された多数のガラス積層体グレージングユニットを含む、ストップレスグレージング構造設計特徴を用いるガラスカーテンウォールであって、積層体の頂点の、頂点を除く、周縁に沿った1つ以上の点において多数の維持アセンブリユニットをさらに含み、積層体が、コーナアセンブリキャップをさらに含み、キャップが、隣接した維持アセンブリのグループをともに噛合せることによって、複数のグレージングユニットをともに連結することを特徴とするガラスカーテンウォールである。
【0013】
別の態様において、本発明は、ケーブル、ロープ、フック、または他の機械的手段によって機械的にともに保持された多数のガラス積層体グレージングユニットを含む、ストップレスグレージング建築設計を用いて製造されたガラスカーテンウォールであって、積層体の頂点の1つ以上において多数の維持アセンブリユニットをさらに含み、壁が、アセンブリキャップをさらに含み、キャップが、隣接した維持アセンブリのグループをともに噛合せることによって、複数のグレージングユニットをともに連結し、(1)積層体が、少なくとも1つのガラス層であって、ガラスの少なくとも1つの表面上で、中間層としてのエチレン酸コポリマーまたはそのイオノマーに直接結合された少なくとも1つのガラス層を含み、(2)中間層が、積層体の少なくとも1つの端縁を越えて延在し、(3)中間層の延在部分の1つの表面が、取付け手段の少なくとも1つの表面に結合され、(4)中間層の延在部分の別の表面が、ガラスに結合され、(5)取付け手段が、積層体の頂点の1つ以上に位置決めされた少なくとも1つの維持アセンブリであり、少なくとも1つの維持アセンブリが、第2の熱可塑性ポリマーに直接結合され、第2の熱可塑性ポリマーが、1つの界面において積層体の熱可塑性ポリマー中間層に結合され、かつ別の界面においてガラスに結合され、第2の熱可塑性ポリマーが、酸コポリマーまたはそのイオノマーであることを特徴とするガラスカーテンウォールである。
【0014】
別の態様において、本発明は、透明な積層体と、積層体を積層体のための支持構造に取付けるための少なくとも1つの取付け手段とを含む、ストップレスグレージング建築設計での使用に適したガラス積層体であって、(1)積層体が、少なくとも1つのガラス層であって、ガラスの少なくとも1つの表面上で熱可塑性ポリマー中間層に直接結合された少なくとも1つのガラス層を含み、(2)中間層が、積層体の少なくとも1つの端縁を越えて延在し、(3)中間層の延在部分の1つの表面が、取付け手段の少なくとも1つの表面に結合され、(4)中間層の延在部分の別の表面が、ガラスに結合され、(5)(a)取付け手段が、支持構造の維持チャネル内で積層体を整列させ保持するのに有用なクリップであり、(b)クリップが、維持チャネル内の積層体の回転移動および/または横方向の移動、および/またはチャネルからの積層体の移動を制限するのに有用な少なくとも1つの噛合い延在部をさらに含むことを特徴とするガラス積層体である。
【0015】
別の態様において、本発明は、積層後、ガラス積層体の中間層を取付け手段に取付けるための方法であって、積層体の端縁を、中間層を取付け手段に結合するための適切な結合材料と接触させる工程と、中間層が取付け手段と間接的に接触しているように、取付け手段を結合材料の別の表面に接触させ、予め結合された維持アセンブリを形成する工程と、結合材料および中間層がともに流れることを引起すのに十分な熱またはエネルギーを、予め結合されたアセンブリに加える工程と、熱を加えることをやめ、中間層および結合材料が各々それらの軟化点未満に冷却するまで、アセンブリを圧力でともに保持する工程とを含むことを特徴とする方法である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1は、ガラス(1)と、熱可塑性中間層(2)と、ガラス(3)とを含む従来の積層体を示し、ガラスは、典型的には、ガスケット、パテ、シーラントテープ、またはシリコーンシーラントである中間の接着剤層(5)によってフレーム(4)に取付けられる。
【0017】
本発明は、シリコーン構造グレージング用途のために構成されたグレージング要素に関する。従来のシリコーン構造グレージング(ストップレスグレージング)用途において、支持構造は、フレームが外部から窓を見る人に容易に見えないように、審美的理由で、フレームによるグレージングの端縁捕捉をなくすか最小にするように設計される。1つの結果は、グレージングユニットを支持構造内に保持するために、グレージングユニットを捕捉し、かつグレージングユニットに可変圧力を加えるようにグレージング技術において使用される外部圧力プレートが、望ましくないことがあることであり得る。多くのストップレスグレージング用途において、外部圧力プレートをなくすことが望ましいことがある。
【0018】
本発明は、ストップレスグレージング建築用途において、引用によりここに援用される(特許文献6)に記載されているように、積層体を支持構造に取付ける目的で中間層を使用するガラス積層体システムである。グレージングの構造要素として中間層を組入れる建築用途のためのグレージングユニットを製造するためのプロセスにおいて、ガラス積層体の中間層を積層体用支持構造に取付けることが、激しい脅威に対して向上した強度および構造一体性を有するストップレスグレージングユニットを提供することができることが、現在わかっている。
【0019】
一実施形態において、本発明のグレージング要素は、少なくとも1つのガラス層と、任意にガラスの少なくとも1つの表面に直接自己接着された少なくとも1つの熱可塑性ポリマー中間層とを有する積層体を含むストップレスグレージング設計構造の使用を可能にする取付け手段を含む。自己接着されたとは、安全ガラスとしての使用に適した結合を得るために、中間層/ガラス界面が、いかなる介在する接着剤層および/またはガラス表面前処理を必要とせず、したがって、おそらくは、それらを含まなくてもよいことを意味する。いくつかの用途において、介在するフィルムまたは接着剤層がないことが好ましい。
【0020】
本発明の実施に有用な熱可塑性ポリマーは、中間層が、光に対する透明性、ガラスへの接着、ならびに中間層材料の他の既知の特性および望ましい特性などの従来の利点をグレージングに与えることを可能にする特性を有さなければならない。この点に関して、従来の中間層材料は、ここでの使用に適していることができる。従来の中間層材料としては、熱可塑性ポリマーが挙げられる。適切なポリマーとしては、たとえば、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリウレタン(PUR)、ポリ酢酸ビニル、エチレン酸コポリマーおよびそれらのイオノマー、ポリエステル、コポリエステル、ポリアセタール、ならびにガラス積層体を製造する技術において知られている他のものが挙げられる。これらの材料の、任意の適合性のある組合せを使用するブレンド材料も、適していることができる。さらに、本発明の実施での使用のための適切な中間層材料は、極端な応力下で支持構造から引裂かれることに抵抗することができなければならない。本発明の実施での使用のための適切なポリマーのシートは、高モジュラス、優れた引裂強度、および優れた、ガラスへの直接接着を有する。したがって、適切な中間層材料または材料ブレンドは、約40℃までの温度において少なくとも50MPaの貯蔵ヤング率(Storage Young’s Modulus)を有さなければならない。たとえば、引裂強度を向上させるために、中間層の厚さを変えることが有用であることができる。多くの従来の熱可塑性ポリマーが本発明の実施での使用に適していることができるが、好ましくは、ポリマーはエチレン酸コポリマーである。より好ましくは、熱可塑性ポリマーは、エチレンとα,β−不飽和カルボン酸またはその誘導体との共重合によって得られるエチレン酸コポリマーである。本発明の実施に有用な適切な酸の誘導体は、当業者に知られており、エステル、塩、無水物、アミド、ニトリルなどが挙げられる。酸コポリマーは、塩(または部分塩)に完全にまたは部分的に中和することができる。完全にまたは部分的に中和された酸コポリマーは、イオノマーとして従来知られている。適切なコポリマーは、エチレン不飽和カルボン酸のエステルであることができる任意の第3のモノマー成分を含むことができる。本発明の実施に有用な適切な酸コポリマーは、たとえば、本願特許出願人から、たとえばサーリン(Surlyn)(登録商標)およびニュクレル(Nucrel)(登録商標)の商品名で、商業的に購入することができる。
【0021】
本発明の実施において、中間層の端縁を、支持構造に直接、または取付け手段によって支持構造に間接的に、取付けることができる。本発明の実施において企図されるように、支持構造は、グレージング要素を建物上の所定位置に保持するか、グレージング要素の重量を支持する、任意の構造要素、または構造要素の任意の組合せであることができる。支持構造は、フレーム、ボルト、ねじ、ワイヤ、ケーブル、釘、ステープル、および/または、グレージング要素を保持もしくは支持するための任意の従来の手段、またはそれらの任意の組合せを含むことができる。本発明において、「支持構造」は、完全なもしくは全体的な支持構造を意味することができるか、または、それは、完全な支持構造の特定の構造構成要素または構造要素を指すことができる。グレージング製造の当業者は、どの特定の意味をあてはめるべきか文脈からわかるであろう。ここで企図されるような、中間層の直接取付けとは、積層体の、支持構造またはその任意の要素への直接取付けを意味し、中間層は支持構造と直接かつ一定して接触している。中間層の、支持体への直接取付けは、頂面、側面、底面から、または中間層材料によってであることができる。間接的取付けとは、中間層が、支持構造との直接接触を有さないが、グレージング要素の少なくとも1つの介在する構造構成要素によって支持構造との接触を有する、いかなる取付けモードも意味する。取付け手段による、中間層の、支持構造への間接的取付けが、本発明の実施において最も好ましい。取付け手段は、ガラス積層体をフレームまたは他の支持構造内に保持または拘束するための任意の手段であることができる。
【0022】
好ましい実施形態において、取付け手段は、結合プロセスによって中間層の延在部分に結合することができる取付けクリップである。本発明の実施において、クリップと積層体のガラス層のどの部分との間にも意図された直接接触がなく、いかなるそのような接触も偶発的である。いずれにせよ、応力下で、または支持構造内の積層体の移動の間、ガラス破砕を低減するために、クリップとガラスとの間の接触を最小にすることが好ましいことがある。そのために、積層体の端縁から延在する中間層の部分は、好ましくは、クリップがガラスと接触しないように、クリップとガラス層との間の介在層を形成する。中間層と接触するクリップの表面は、滑らかであることができるが、好ましくは、クリップの表面は、少なくとも1つの突出部および/または1つの窪んだ領域、より好ましくはいくつかの突出部および/または窪んだ領域を有し、これらは、結合のための付加的な表面領域、および中間層との機械的噛合い機構を提供して、クリップと中間層との間の接着結合の効果を向上させることができ、それにより、より大きい構造一体性を有する積層体/クリップアセンブリを提供することができる。
【0023】
別の実施形態において、従来のガラス積層体ユニットを使用して、本発明の積層体グレージングユニットを作ることができる。他の実施形態と同じまたは同様の効果を達成するために、実際に中間層を積層体の端縁を越えて延在させる必要なく、中間層材料を熱可塑性材料に結合することができる。この実施形態において、熱可塑性中間層に結合するのに適した熱可塑性ポリマー材料のストリップを、積層体の周縁に位置決めし、加熱して、積層体の周縁上の中間層および熱可塑性ポリマーの溶融または流れを促進することができ、2つの材料が直接接触しブレンドされるようになることができる。ポリマーの融点未満に冷却すると、2つの材料は、互いに結合され、したがって、ガラスと取付け手段との間の結合機能を行うために利用可能であることができる。中間層を取付け手段に結合するための他のプロセスを企図することができ、そのプロセスによって中間層が積層体の端縁の外側に効果的に延在された場合、本発明の範囲内であることができる。熱可塑性ポリマーは、中間層のために使用されるのと同じポリマーであることができるか、または、それは、用いられるプロセス条件下で中間層材料との十分に強い結合を形成する異なった材料であることができる。好ましい実施形態において、熱可塑性ストリップを、積層体のガラスおよび取付け手段に結合することを同時に行うことができる。
【0024】
本発明の実施での使用に適した結合プロセスは、中間層を取付け手段に結合することができるもののいずれかである。本発明において、「結合」とは、中間層および取付け手段が、取付け手段と中間層との間の接着をもたらす物理的、化学的、および/または機械的結合を形成することを意味する。結合は、物理的手段もしくは化学的手段によって、または両方の組合せによって達成することができる。本発明の目的のための物理的結合は、中間層と取付け手段との相互作用から生じる接着であり、中間層および/または取付け手段の化学的性質は、接着が存在する表面において変わらない。たとえば、共有化学結合が作られず破壊されない、分子間力から生じる接着が、物理的結合の例である。本発明による化学結合は、接着を生じさせるために、中間層と取付け手段との間の界面において、共有化学結合を形成し、および/または破壊することを必要とする。
【0025】
本発明の結合プロセスは、好ましくは、クリップが中間層と直接接触している間、熱をクリップに加える、すなわち、ポリマー中間層およびクリップが、クリップおよび中間層が接触している界面において結合されるように、エネルギーをクリップ/中間層アセンブリに加える工程を含む。理論に縛られることなく、これは、化学結合ではなく物理的結合をもたらすと考えられる。結合プロセスにおいて熱を加えることは、加熱された工具、マイクロ波エネルギー、または超音波を用いて、中間層および/または取付けクリップを加熱し、結合を促進することを含む、さまざまな方法によって達成することができる。好ましくは、クリップ/中間層アセンブリは、約175℃未満の温度、より好ましくは約165℃未満の温度で結合することができる。最も好ましくは、クリップ/中間層アセンブリは、約125℃から約150℃の温度で結合することができる。いったん結合されると、クリップ/中間層/積層体は、フレームまたは他の支持構造に装着するか他の態様で取付けることができる積層体/クリップアセンブリを形成する。
【0026】
本発明の実施での使用に適しているクリップは、支持構造と噛合せることによって、フレームのチャネル内で、または任意の他の剛性支持構造部材に対して、積層体に利用可能な運動を低減することができる機械的噛合い延在部を任意に有することができる。クリップの延在部材は、それにより、積層体に対する剛性支持構造の力を低減し、また、積層体を支持構造内にまたは支持構造に保持するのを助けることができる。延在部材は、その機能を達成するためにさまざまな形態および/または形状を有することができる。たとえば、延在部材は、ボールおよびソケットの一部を形成することができるか、それを支持構造内に保持するために、「C」、「L」、もしくは「T」形状を形成することができるか、または、たとえばフックもしくはクランプなどの、いかなる種類の延在アームであることもできる。積層体が支持構造によって保持されるのを容易にする機能を達成する、延在部材のいかなる設計も、本発明の範囲内として企図される。
【0027】
本発明の目的のため、本発明の積層体/クリップアセンブリは、アセンブリが、釘付けにされるか、ねじで留められるか、ボルトで締められるか、接着されるか、スロットを付けられるか、縛られるか、構造から分離されるようになるのを他の態様で抑制された場合に、支持構造に取付けられる。好ましくは、本発明の積層体/クリップアセンブリは、フレーミング構造の要素によって形成されたチャネル内に幾何学的におよび/または物理的に拘束される。本発明の実施において、従来のフレーミング構造は、グレージング要素をたとえば建物に取付け保持するように機能するマリオンを含む。
【0028】
本発明の実施に有用なフレーミング構造は、グレージング要素をマリオンに対して所定位置に保持するように機能する維持アセンブリを含む。外部圧力プレートは、フレームチャネル内のすべりまたは移動を防止するために、ガラス積層体の端縁をチャネル内に捕捉し維持し、かつ可変圧力がガラス端縁に加えられることを可能にする、構造支持体の機械的構造要素である。ストップレスグレージング用途において、審美的理由で視線から外部圧力プレートを最小にするかなくすことが好ましい。本発明の維持アセンブリは、本発明の積層体を積層体の取付け手段によって維持するように設計される。本発明の維持アセンブリは、マリオンの内部またはマリオンの外部にあることができる。本発明の維持アセンブリは、グレージング要素が完全に組立てられたときに維持アセンブリが見る人に容易に見えないという条件で、本発明のグレージング要素をフレーミング構造内に維持する方法を提供する、クランプアセンブリ、キャップアセンブリ、または他のタイプのアセンブリであることができる。維持アセンブリは、維持アセンブリをマリオンに保持するように機能するファスナをさらに含むことができる。
【0029】
別の実施形態において、本発明は、本発明のグレージング要素からガラスカーテンウォール(以下、「カーテンウォール」)を組立てるためのプロセスである。従来のガラス積層体から組立てられたカーテンウォールを造るためのプロセスは、知られている。しかし、中間層が、積層体を支持構造に取付ける際に使用するために積層体の端縁の外側に延在される、ここで説明されるような積層体を使用するカーテンウォールは、従来のものではない。カーテンウォール構成は、ここで説明されるようなストップレスグレージングの使用を必要とすることがある。従来のフレームの視覚的邪魔物を低減するかなくしながら、積層体を支持構造に取付けることは、本発明の実施において問題を提示することがある。本発明のグレージングを維持するのに必要なフレームの量を最小にすることは、中間層を特定の位置で支持構造に固着するか取付けるプロセスを必要とすることがある。特に好ましい実施形態において、本発明は、積層体の頂点に配置された取付け手段によって中間層を支持構造に取付ける工程を含むプロセスである。積層体が頂点を有さない場合、積層体の形状を多角形の内側に内接させ、中間層を延在させ、取付け手段を想像多角形の選択された頂点に位置決めすることによって、取付け手段のための位置を選択することができる。
【0030】
さまざまなタイプの維持装置を、露出した中間層を捕捉し、かつ中間層を支持構造に取付けるように設計することができる。たとえば、露出した中間層によって積層体の前および後ろを捕捉し、かつ、他のグレージングユニットおよび/または支持構造への連結を考慮する構造要素を含む維持アセンブリを構成することができる。
【0031】
あるいは、別の実施形態において、維持装置は、グレージングの前のみが維持アセンブリによって捕捉され、それにより、ハリケーン力の風、または爆発からの爆風などからの極端な応力に応答して、より多くの運動の自由を支持構造内の積層体に与えるように設計することができる。そのような増加した運動の自由は、また、積層体によって経験される温度変動から生じることがある剥離を低減するのを助けることができる。
【0032】
図2に示された、本発明の好ましい実施形態の1つにおいて、グレージング要素が、ガラス(6)/中間層(7)/ガラス(8)積層体と、取付けクリップ(9)とを含む。取付けクリップは、中間層(7)を結合するのに適し、かつ中間層(7)と結合されたポリマー材料(11)に結合された噛合い延在部(10)を含む。グレージング要素は、角度をつけられたフレーム構造要素(13)と、角度をつけられた内部維持クランプアセンブリ(14)とを含む角度をつけられたフレーム構造(12)によって維持かつ支持され、角度をつけられた内部維持クランプアセンブリ(14)は、非対称的な2片クランプ(15)と、ファスナ(16)とを含む。取付けクリップは、任意に、フレームに対して取付けクリップ(9)を緩衝するガスケット(17)を含む。シーラント(18)を使用して、グレージング要素によって形成されたチャネルをコーキングすることができる。
【0033】
図3に示された別の実施形態において、グレージング要素が、ガラス(19)/中間層(20)/ガラス(21)積層体と、取付けクリップ(22)とを含む。取付けクリップは、中間層(20)を結合するのに適し、かつ中間層(20)と結合されたポリマー材料(24)に結合された噛合い延在部(23)を含む。グレージング要素は、フレーム構造要素(26)と、内部維持キャップアセンブリ(27)とを含む角度をつけられたフレーム構造(25)によって維持かつ支持され、内部維持キャップアセンブリ(27)は、キャップ(28)と、ファスナ(29)とを含む。取付けクリップは、任意に、フレームに対して取付けクリップ(22)を緩衝するガスケット(30)を含む。シーラント(31)を使用して、グレージング要素によって形成されたチャネルをコーキングすることができる。
【0034】
図4に示された、好ましい実施形態の別のものにおいて、本発明のグレージング要素が、角度をつけられたマリオン(34)の外面に固定された外部維持アセンブリ(33)によって、支持構造(32)に保持される。維持アセンブリは、グレージング要素を装着し保持することができる開いたチャネル(35)を有する。
【0035】
さらに別の実施形態において、本発明は、図5に示されているようなコーナ維持アセンブリ(36)を含むことができる。コーナアセンブリは、図6に示されているように、任意であり、存在する場合は、積層体の少なくとも1つのコーナで積層体の後ろに位置決めされる少なくとも1つの後片(37)と、積層体のコーナの1つ以上で積層体の前に位置決めされるが、少なくとも各コーナで後片として位置決めされる少なくとも1つの前片(38)とを含む。ポリマー材料ストリップ(39、40)が、後片とガラス後面との間、および前片とガラス前面との間に位置決めされる。好ましい実施形態において、ポリマー材料は、中間層材料に使用されるのと同じ材料である。後片および前片は、積層体を捕捉し、かつ積層体を熱可塑性中間層によって結合するようにともに機能する。後片および前片は、片をともに連結する任意の手段を使用して、ともに嵌合するように設計される。
【0036】
特に好ましい実施形態において、積層体のコーナは、図6に示されているように、コーナアセンブリ片が取付けられるべきところで平坦な表面を有するように鈍い。第3のポリマー材料ストリップ(41)が、積層体の端縁とコーナアセンブリとの間の介在層として使用される。第3のポリマー材料ストリップは、好ましくは、他のポリマーストリップと同じである。ポリマーストリップおよびコーナアセンブリは、上で説明されたように、ともにおよび積層体に結合される。アセンブリの片のいずれにおいても、ポリマーと接触する表面は、任意に、凸凹、および/または溝、および/または突出部、および/または凹部、および/またはアセンブリとポリマーとの間の向上したレベルの接着をもたらすために増加した表面領域および/またはポリマーとの機械的噛合いをもたらすことができる任意のそのような表面向上を有することができる。
【0037】
任意の数の積層体を、積層体の壁を形成するように構成することができる。本発明のさらに別の実施形態において、図7に示されているように、4の別個の積層体ユニットの4のコーナをキャップするために、コーナアセンブリキャップ(42)を設けることができる。コーナアセンブリキャップは、コーナキャップ(43)と、ファスナ(44)とを含む。コーナアセンブリキャップは、ガラス積層体から構成された壁の別個の積層体ユニットに安定性を与えるのを助けることができる。
【0038】
図8は、図7に示された4片積層体ユニットの分解図を示す。
【0039】
図9は、中間層材料としても使用される熱可塑性ポリマー材料を使用してガラス積層体に結合されたコーナアセンブリ(36)の図を示す。
【0040】
本発明の積層体は、優れた耐久性、耐衝撃性、靭性、およびいったんガラスが粉砕されるとガラスによって与えられるカットに対する中間層による耐性を有する。本発明の積層体は、ハリケーンおよび暴風に曝される建物における建築用途、あるいはたとえば爆発によって生じる高圧衝撃波の力をまともに受けないように防護するのが望ましい構造に特に有用である。中間層によってフレーム内に取付けられるか装着された本発明の積層体は、そのような応力または攻撃の後、フレームからより引裂かれにくい。本発明の積層体は、また、低ヘイズおよび優れた透明性を有する。これらの特性は、本発明のグレージング要素を、たとえば、太陽光線の低減、音制御、安全性、およびセキュリティのために有用な構成要素を含みうる、建築用ガラスとして有用にする。
【0041】
好ましい実施形態において、中間層は、中間層を周囲支持構造に取付けることができるように露出されるように、ガラスプレート間に位置決めされる。中間層は、積層体の周囲に沿って連続的に支持構造に取付けることができる。あるいは、中間層は、積層体の周囲のさまざまな箇所で、不連続に構造支持体に取付けることができる。中間層によって積層体をフレームに取付けるいかなる態様も、本発明の範囲内であると考えられる。たとえば、積層体を囲むフレームは、積層体およびまたフレームと結合することができる中間層材料を収容することができ、積層体は、たとえば、ねじ、フック、釘、またはクランプで、フレームに機械的に固着することができる。機械的取付けは、中間層を構造支持体内の所定位置に保持するために、支持体にスロットを付けるか、支持体を装着するか、支持体を成形することによる、積層体のいかなる物理的拘束も含む。
【0042】
熱および圧力を構造に加えることを含む従来の手段によって、中間層をガラスプレートに結合または接着することができる。好ましい実施形態において、増加した圧力を構造に加えることなく、中間層を結合することができる。
【0043】
本発明の1つの好ましい積層体は、2つのガラス層と、ガラス表面の少なくとも1つに自己接着された中間の熱可塑性ポリマー中間層とを含む透明な積層体である。中間層は、好ましくは、ASTM D 5026−95aに従って定められるように、0.3Hzおよび25℃において、50〜1,000MPa(メガパスカル)、好ましくは約100から約500MPaの貯蔵ヤング率を有する。中間層は、40℃までの温度において、その貯蔵ヤング率の50〜1,000MPaの範囲内のままでなければならない。
【0044】
積層体は、当該技術において知られている従来のプロセスに従って準備することができる。たとえば、典型的なプロセスにおいて、洗浄され脱塩水中ですすがれた、寸法12インチ×12インチ(305mm×305mm)および公称厚さ2.5mmの、2つのアニールフロートガラス片の間に、中間層を配置する。次に、ガラス/中間層/ガラスアセンブリを、90〜100℃に設定されたオーブン内で30分間加熱する。その後、それを1組のニップロールを通過させ(ロールプレス)、それにより、ガラスと中間層との間の空隙空間内の空気の大部分を絞り出してもよく、アセンブリの端縁をシールする。この段階におけるアセンブリはプリプレス(pre−press)と呼ばれる。次に、プリプレスを、空気オートクレーブ内に配置し、温度を135℃に上昇させ、圧力を200psig(14.3バー)に上昇させる。これらの条件を20分間維持し、その後、空気を冷却し、それ以上の空気をオートクレーブに加えない。20分の冷却後、オートクレーブ内の空気温度が50℃未満であるとき、過剰の空気圧力を抜く。このプロセスの自明の変形は、ガラス積層の当業者に知られるであろう。これらの自明の変形は、本発明の実施での使用に適していると考えられる。
【0045】
好ましくは、積層体の中間層は、イオノマー樹脂のシートであり、イオノマー樹脂は、酸約14〜24重量%とエチレン約76〜86重量%とを含有する、エチレンとメタクリル酸またはアクリル酸とのポリマーの水不溶性塩である。イオノマーは、酸の約10〜80%を、金属イオン、好ましくはナトリウムイオンで中和させることによって、さらに特徴づけられ、イオノマーのメルトインデックスは、約0.5〜50である。メルトインデックスは、ASTM D−1238に従って190℃で定められる。イオノマー樹脂の調製は、米国特許公報(特許文献7)に開示されている。既知の方法を用いて、適切な光学特性を有するイオノマー樹脂を得ることができる。しかし、現在の市販の酸コポリマーは、約20%を超える酸含有量を有さない。現在入手可能な酸コポリマーおよびイオノマー樹脂の挙動が、より高い酸含有量を有する樹脂の挙動を予測することができる場合、高酸樹脂が、ここでの使用に適しているはずである。
【0046】
本発明の積層体のヘイズおよび透明性は、ヘイズガード(Hazeguard)XL211ヘイズメータまたはヘイズガード・プラス・ヘイズメータ(Hazeguard Plus Hazemeter)(BYKガードナー(BYK Gardner)−USA)を使用して、ASTM D1003−61に従って測定される。パーセントヘイズは、全光透過のパーセントとしての拡散光透過である。建築用途および輸送用途に適していると考えられるために、積層体の中間層は、一般に、少なくとも90%の透明性および5%未満のヘイズを有することが必要である。
【0047】
本発明の実施において、プライマーまたは接着剤層の使用は任意であることができる。プライマーの使用をなくすことは、プロセス工程を除去し、プロセスのコストを低減することができ、これは、好ましいことがある。
【0048】
標準技術を用いて、樹脂中間層シートを形成することができる。たとえば、圧縮成形、射出成形、押出、および/またはカレンダ加工(calendaring)を用いることができる。好ましくは、従来の押出技術が用いられる。典型的なプロセスにおいて、本発明での使用に適したイオノマー樹脂は、リサイクルされたイオノマー樹脂および未使用の(使用したことがない)イオノマー樹脂を含むことができる。着色剤、酸化防止剤、およびUV安定剤などの添加剤を、従来の押出機内に投入し、溶融ブレンドし、汚染除去のためにカートリッジタイプメルトフィルタを通過させることができる。溶融物を、ダイを通して押出し、カレンダ(calendar)ロールを通して引いて、厚さ約0.38〜4.6mmのシートを形成することができる。イオノマー樹脂シートに使用することができる典型的な着色剤、たとえば、黄色化を低減するための青色化剤、または白色化剤、または着色剤を加えて、ガラスを着色するか太陽光を制御することができる。
【0049】
押出後のポリマーシートは、滑らかな表面を有することができるが、好ましくは、空気の大部分が、積層プロセスの間、積層体内の表面の間から除去されることを効果的に可能にするために、粗い表面を有する。これは、たとえば、押出後、シートを機械的にエンボス加工することによって、または、シートなどの押出の間の溶融破砕によって達成することができる。プリラミネート構造のニップロールプレス、真空バギング、またはオートクレーブ処理などの、任意の従来の方法によって、空気を積層体の層の間から除去することができる。
【0050】
図は、本発明の範囲内であると考えられる変更をすべて表さない。グレージング製造の当業者は、ここで説明される本発明の範囲から逸脱することなく、どのように本発明の教示を従来の技術に組入れるかわかるであろう。フレームを、直接、または、たとえば接着剤層などの中間の層によって間接的に、中間層に取付けることができるガラス/中間層/ガラス積層体アセンブリのいかなる変更も、本発明の範囲内であると考えられる。
【0051】
建築用途の場合、積層体は、2つのガラス層と、熱可塑性ポリマーの中間層とを有することができる。多層中間層が、通常であり、ここで説明されるように、層の少なくとも1つを支持構造に取付けることができるのであれば、ここでの使用に適していることができる。本発明の積層体の全厚さは、約3〜30mmであることができる。中間層の厚さは、約0.38〜4.6mmであることができ、各ガラス層の厚さは、少なくとも1mmであることができる。好ましい実施形態において、中間層はガラスに直接自己接着され、すなわち、ガラスと中間層との間の中間接着剤層またはコーティングが使用されない。たとえば、多数のガラス層および熱可塑性中間層、または、耐久性のある透明なプラスチックフィルムの層が接着された熱可塑性ポリマー中間層を備えた1つのガラス層などの、他の積層体構成を使用することができる。上記積層体のいずれも、当該技術において知られている従来の耐摩耗性コーティングでコーティングすることができる。
【0052】
フレームおよび/または取付け手段は、たとえば、木材、アルミニウムまたは鋼などの金属;ならびに、ポリ塩化ビニルおよびナイロンを含むさまざまな強いプラスチック材料などの、さまざまな材料から製造することができる。使用される材料および設置のタイプによっては、フレームと積層体中間層との間のかなり堅い接着結合を得るために、フレームは、積層体を覆う(overlay)ことを必要としても必要としなくてもよい。
【0053】
構造支持体は、ストップレスグレージングシステムに有用なグレージング技術における利用可能な設計から選択することができる。積層体は、接着剤材料を使用してまたは使用せずに、フレームに取付けるか固定することができる。イオノマー樹脂から製造された中間層が、木材、鋼、アルミニウム、およびプラスチックなどの、ほとんどのフレーム材料にしっかりと自己接着することがわかっている。いくつかの用途において、フレームの端縁に沿って、ねじ、ボルト、およびクランプなどの付加的なファスナを使用することが望ましいであろう。取付け手段をフレームに固着するいかなる手段も、本発明での使用に適している。
【0054】
本発明のグレージング要素を準備する際に、オートクレーブ処理が任意であることができる。ロールプレス、真空リングもしくはバッグプリプレス、または真空リングもしくはバギングなどの、当該技術において周知の工程を用いて、本発明の積層体を準備することができる。いずれにせよ、構成要素層を、密接に接触させ、処理して最終積層体にし、これは、気泡がなく、かつ良好な光学特性、および用途の耐用年数にわたって積層体性能を確実にするための適切な特性を有する。これらのプロセスにおいて、目的は、ガラスとプラスチック層との間から空気の大部分を絞り出すか押出すことである。一実施形態において、フレームは、真空リングとして役立つことができる。空気を追出すことに加えて、外部圧力を加えることは、ガラスおよびプラスチック層を直接接触させ、接着が生じる。
【0055】
沿岸地域における建築用途の場合、ガラス/中間層/ガラスの積層体は、砕片衝撃および風圧サイクリングに対する積層体の耐性を測定するシミュレートされたハリケーン衝撃およびサイクリングテストに合格しなければならない。現在受入れられるテストが、サウスフロリダ建築基準(South Florida Building Code)第23章、第2315項 風で運ばれる砕片の衝撃テストに従って行われる。疲労荷重テストが、1994年付けの第2314.5項の表23−Fに従って定められる。このテストは、たとえばハリケーンなどの激しい天候の間風および空気で運ばれる砕片衝撃の力をシミュレートする。積層体の35インチ×50インチ(88.9×127cm)サンプルをテストする。テストは、積層体に対する2つの衝撃からなる(積層体サンプルの中心におけるもの、その後の積層体のコーナにおける第2の衝撃)。衝撃は、空気圧砲から、50フィート/秒(15.2メートル/秒)で、公称2インチ(5cm)×4インチ(10cm)および長さ8フィート(2.43メートル)の、9ポンド(4.1キログラム)のボードを発進させることによって行われる。積層体が上記衝撃シーケンスに耐えた場合、それは、空気圧力サイクリングテストにかけられる。このテストにおいて、積層体をチャンバにしっかりと固定する。正圧テストにおいて、衝撃側が外方の積層体をチャンバに固定し、真空をチャンバに与え、次に、表1に記載されたサイクリングシーケンスと対応するように変える。表1に示された圧力サイクリングスケジュールは、最大圧力(P)の分数として特定される。このテストにおいて、Pは、70PSF(ポンド毎平方フィート)、または3360パスカルに等しい。最初の3500サイクルおよびその後のサイクルの各サイクルを約1〜3秒で完了する。正圧テストシーケンスが完了すると、積層体を、テストの負圧部分のために、衝撃側が内方にチャンバに面するように逆にし、真空を与え、次のサイクリングシーケンスに対応する。値は負の値(−)として表わされる。
【0056】
【表1】

【0057】
長さが5インチ(12.7cm)を超え、幅が1/16インチ(0.16cm)以下の引裂または開口部がない場合、積層体が衝撃およびサイクリングテストに合格する。
【0058】
他の用途が、グレージングがその特定の用途に適しているかを定めるために付加的なテストを必要としてもよい。グレージング膜および対応する支持構造は、3つの破損モードのうちの1つによって不合格になることがある。
1.グレージング膜は、力がグレージングまたは周囲の構造に加えられた結果として、破れる(breaches)(引裂または穴が生じる)。
2.グレージング膜は、離れるか支持構造から引出され、機械的一体性を失い、グレージング膜は、もはや、意図された機能、一般にバリヤを提供しない。
3.支持構造は、その構成内の一体性を失うこと、または支持構造と周囲の構造との間の一体性を失うことによって不合格になる。
【0059】
上で定義された破損モード1および/または2のみが、本発明の対象である。
【0060】
最も最適化されたシステムは、最大予期「脅威」がグレージングシステムに与えられた場合に、グレージングシステムのどの構成要素/サブコンポーネントにも破損が発生しないものとここで定義する。あるしきい値を超えると、理想的な破損モードは、上記破損モード1および2の間でバランスが達成されるものである。グレージング膜自体が実質的により大きい加えられた力またはエネルギーに耐えることができる場合、支持構造は、グレージングを維持する能力を有し、グレージング「充填材」が過剰設計されるか、またはグレージング支持構造が不十分に設計される。逆もあてはまる。
【実施例】
【0061】
実施例は、例示のためにすぎず、本発明の範囲を限定することは意図されない。
【0062】
(実施例1から3および比較例C1からC3)
従来のガラス積層体を次の方法によって準備した。寸法が300mm×300mm(12インチ平方)の、2つのアニールガラスシートを、脱イオン水で洗浄し、乾燥させた。81%のエチレン、19%のメタクリル酸から構成され、酸の37%が中和され、対イオンとしてナトリウムイオンを有し、メルトインデックスが2のイオノマー樹脂のシート(厚さ2.3mm)を、2つのガラス片の間に配置した。ナイロン真空バッグをプリラミネートアセンブリの周りに配置して、内部からの空気の実質的な除去を可能にした(バッグ内の空気圧力を100ミリバール絶対未満に低減した)。バギングされたプリラミネートを対流空気オーブン内で120℃に加熱し、30分間保持した。冷却ファンを使用して、積層体を周囲温度に冷却して、積層体を真空源から切り離し、バッグを除去し、ガラスと中間層との完全に結合された積層体をもたらした。
【0063】
本発明の積層体を、次を除いて、上記と同じように準備した。実施例のいくつかにおいて、壁厚さが0.2mm、寸法が50mm×50mm×71mm(内部開口部10mm)の、本出願の図6および図9に示されているような三角形「コーナボックス」維持アセンブリを、イオノマーシート(2.3mmの厚さ)片をボックスの内部内に装着し、それにより内部を「ライニング」した後、積層体の各コーナ上に配置した。アセンブリを真空バッグ内に配置し、上記プロセスを行って、取付け部を中間層に直接「結合」した。積層体が、混入気泡である空隙領域、イオノマーとガラス表面との間の非接触の領域がなく、かつ良好な流れおよび接触がイオノマーと「コーナボックス」の内部との間で行われることをよりよく確実にするために、次に、積層体をすべて、さらなる処理のために空気オートクレーブ内に配置した。オートクレーブの内部の圧力および温度を、15分の期間で周囲から135℃および200psiに増加させた。この温度および圧力を30分間保持し、次に、温度を20分の期間以内に40℃に減少させ、圧力を周囲常圧に低下させ、ユニットを取外した。
【0064】
SAE推奨実施(SAE Recommended Practice)J−2568(付録(Appendix)として付けられた)に記載されたものと同様のテスト装置を組立てて、膜一体性の程度を測定した。装置は、液圧シリンダからなり、一体的ロードセルが半球形金属ラム(200mmの直径)を各グレージングサンプルの中心に垂直に駆動し、力/撓み特徴を測定した。ストリングポテンショメータをラムに取付けて、撓みを測定した。グレージングサンプルを、サンプルを周縁でコーナのみで捕捉する金属フレーム、または性能情報が望ましい任意の構成によって支持した。データ獲得を、適切な校正ファクタで、コンピュータシステムへのインタフェースを介して行った。次に、ニュートン(N)単位の最大の加えられる力(Maximum Applied Force)(Fmax)、および撓みを計算するために、データのさらなる処理が可能であった。データの集積は、グレージング条件または支持条件の破損点に達する際に費やされた総エネルギーの導出を可能にした。中間層取付けシステムの荷重に耐える能力をより正確に測定するために、積層体を破砕した後、積層体のテストを行った。
【0065】
実施例C1は、破砕するまで応力を加えられたアニールガラスプレート(10mm)であった。テストグレージングは、4つの側がすべて、典型的な量の端縁捕捉(すなわち、フレームおよびガラスの重なり)を用いて、フレームによって捕捉された標準設置を有し、エラストマーガスケットと一列に並んだ。
【0066】
実施例C2は、予め破砕された90ミルのポリビニルブチラール(PVB)積層体であった。積層体構成は、典型的なパッチプレート設計であった。
【0067】
実施例C3は、予め破砕され、典型的なパッチプレート設計で構成された90ミルのセントリグラス(SentryGlas)(登録商標)プラス(Plus)(SGP)積層体であった。
【0068】
実施例1は、予め破砕され、全周取付け設計(すなわち、中間層が積層体の全周でフレームに取付けられた)で構成された90ミルのセントリグラス(登録商標)プラス(SGP)中間層を使用する、本発明の積層体であった。
【0069】
実施例2は、それがコーナ取付け設計で構成された以外は、実施例1と同じであった。
【0070】
実施例3は、使用された180ミルのセントリグラス(登録商標)プラス積層体以外は、実施例2と同じであった。
【0071】
加えられた力/エネルギーに対するグレージング膜キャパシティの相対性能、およびグレージング支持構造(または手段)がグレージングを維持する能力を測定するために、次のテストを行った。積層体との係合から積層体破損の点までラムによって移動された距離と定義される変位(D)を測定した。一体性に対する膜強度(S/R)比を測定した。S/R比は、C1を破壊するのに必要な加えられるエネルギーに対する、所与の積層体の破損を引起すのに必要な加えられるエネルギーの比と定義する。従来のパッチプレート設計に対する性能利点(B)を、積層体の破損に必要な加えられるエネルギーを、C3の破損に必要な加えられるエネルギーで割ることによって計算した。結果として生じるデータは、表2に提供されている。
【0072】
【表2】

【0073】
(実施例4から10および比較例C4)
本願特許出願人から入手可能な厚さ0.090インチのセントリグラス(登録商標)プラスと、1/4インチの熱強化ガラスとを組入れる厚さ9/16インチの積層ガラスを使用して、積層体を準備した。1つを除くすべての点において、これは、大ミサイル衝撃耐性のための商業的グレージング用途に使用される通常のグレージング代替である。既存の工業規格に対する改良は、使用される取付け手段、すなわち、接触加熱デバイスでのアルミニウムプロファイルの積層ガラス中間層端縁への結合である。アルミニウムプロファイルは、「u」チャネル形状であり、脚が、カスタム押出し圧力プレートの噛合いプロファイル設計と係合する「u」のベースから延在した。長さ12インチのアルミニウムプロファイルをガラス端縁の周りに戦略的位置に位置決めして、グレージングシステム内の荷重伝達のための最も最適な位置を定めた。設計確認のために用いられる取付け手段ジオメトリは、それが設置されるフレーミングシステムに最小に衝撃を与えるように意図的に設計した。このため、内方に作用する空気圧力サイクル荷重に対する構造性能が、外方に作用する空気圧力荷重と、システム内で異なって働いた。これは、本発明の取付け手段の設計が実際に従来のドライグレージングシステムに対して実質的な改良をもたらすという確認を考慮した。
【0074】
8の異なった個別のテスト標本を大ミサイル衝撃耐性に必要なテスト手順にかけ、本発明の取付け手段の位置を各テスト標本で変えた。実施例C4を、本発明のいかなる取付け部も使用せずにテストして、1/2インチのガラスつかみのドライグレージング用途のベースライン性能標準を定義した。各テスト標本は、幅63インチ×高さ120インチであり、鋼テストフレームに装着して、建物の開けられた開口部設置をシミュレートした。
【0075】
テストされた標本はすべて、2インチ×4インチの木製ミサイルが、重さが9#であり、50フィート/秒で移動する、必要な耐衝撃性に合格した。さまざまなテスト標本のサイクリングテストの結果は、表3に示されている。圧力サイクリングを、表1に示された圧力スケジュールに従って行った。本発明の積層体は、積層体が正荷重方向に4500サイクルで支持構造内で耐える場合、(+)荷重の合格マークを与えられ、負荷重方向に4500サイクルで、(−)荷重方向の合格マークを与えられる。テスト積層体(比較例を除く)は、本発明の取付け手段が(+)荷重方向にのみ係合されるように設計し、負荷重下での維持は、従来の積層体とほぼ同一であろう。
【0076】
負荷重方向に不合格になったユニットは、どのくらいの改良を取付け手段が設置にもたらしたかを精密に実証した。取付け手段がないとすると、このタイプのフレーミング、ドライグレージング、1/2インチのガラスつかみ、の制限は、約50PSFの設計圧力差である。テストによって、100PSFへの、有効設計圧力差の倍増が少なくとも実証された。内部押出しアルミニウムプロファイルが取付けクリップも受入れるように設計された場合、より高い圧力の荷重を得られたであろうと考えられる。
【0077】
【表3】

【0078】
(実施例11)
カーテンウォールフレーミング設計は、断面を見たとき深さ約6インチおよび幅2〜1/2インチの管状押出しアルミニウムプロファイル主部材から構成することができる。プロファイルの壁厚さは、厚さ約0.100インチであることができる。プロファイル形状は、ガラスがシステムの外部の方に所定位置に保持されることを考慮するように設計されるものとし、かつ、外部圧力プレート、すなわち、中実押出しアルミニウムプロファイルが、形状の長さに沿って9インチごとに隔置されたセルフドリリングファスナによって主部材に機械的に固定されることを考慮するために押出し要素を有することができる。この特定のシステムは、通常、線ストック長さで販売され、それらは、次に、仕事場でサイズに合せて切断され製造される。システムが建物上に設置されるとき、製造されたフレーミング部材は、ガラスのフラットパネルが設置される矩形開口部を設けるように位置決めされる。いったんガラスがフレーミング内に位置決めされると、外部圧力プレートが設置され、グレージング開口部の周囲で連続的に約1/2インチガラス端縁を捕捉する。ガラスパネルとアルミニウムフレーミングシステムとの間に、ガラスとフレーミングとの間の空気および水シールをもたらし、かつ、設置の寿命の間構造荷重を受けたときにガラスへの損傷を防止するために緩衝をもたらすエラストマープロファイルがある。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】フレーム内の従来のガラス積層体である。
【図2】熱可塑性中間層を含むガラス/プラスチック/ガラス積層体を含む本発明のグレージング要素であり、積層体は、角度をつけられたマリオンと、維持アセンブリとを含むフレーミング構造によって維持され、維持アセンブリは、ファスナと、角度をつけられた2片非対称維持クランプとを含み、積層体は、フレーミング構造によって維持された取付けクリップをさらに含む。
【図3】熱可塑性中間層を含むガラス/プラスチック/ガラス積層体を含む本発明のグレージング要素を示し、積層体は、ファスナと、維持キャップとを含む内部維持アセンブリを含むフレーミング構造によって維持され、積層体は、フレーミング構造によって維持された取付けクリップを含む。
【図4】ガラス/プラスチック/ガラス積層体を含む本発明のグレージング要素を、取付けクリップ、および積層体を取付けクリップによって保持するための外部維持アセンブリを含む角度をつけられたマリオンとともに示す。
【図5】4のコーナ取付け手段を有するガラス/プラスチック/ガラス積層体を示し、コーナ取付け手段は、積層体のプラスチック中間層に結合される。
【図6】図5の積層体および取付け手段の分解図を示す。
【図7】本発明の積層体のいくつかのユニット、および維持アセンブリキャップの図である。
【図8】図7の分解図である。
【図9】コーナユニットアセンブリのデジタル写真を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持構造内の透明な積層体を含む、シリコーン構造グレージング(以下、ストップレスグレージング)に有用なグレージング要素であって、前記積層体が、前記積層体を前記支持構造に取付けるための少なくとも1つの取付け手段を含み、(1)前記積層体が、少なくとも1つのガラス層であって、前記ガラスの少なくとも1つの表面上で熱可塑性ポリマー中間層に直接結合された少なくとも1つのガラス層を含み、(2)前記中間層が、前記積層体の少なくとも1つの端縁を越えて延在し、(3)前記中間層の延在部分の1つの表面が、前記取付け手段の少なくとも1つの表面に結合され、(4)前記中間層の延在部分の別の表面が、前記ガラスに結合され、(5)前記取付け手段が、前記支持構造の維持チャネルの内部で前記積層体を整列させ保持するのに有用なクリップであり、(6)前記クリップが、任意に、前記チャネル内の前記積層体の回転移動および/または横方向の移動、および/または前記チャネルからの前記積層体の移動を制限するのに有用な少なくとも1つの噛合い延在部を含み、前記グレージングが、前記支持構造に装着するための外部圧力プレートを必要としないことを特徴とするグレージング要素。
【請求項2】
前記クリップが少なくとも1つの延在部を含むことを特徴とする請求項1に記載のグレージング要素。
【請求項3】
前記クリップが少なくとも2つの延在部を含むことを特徴とする請求項2に記載のグレージング要素。
【請求項4】
前記支持構造が、ケーブル、ロープ、鎖、フック、またはこれらのいずれかの組合せを含むことを特徴とする請求項3に記載のグレージング要素。
【請求項5】
前記熱可塑性ポリマーが、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリウレタン(PUR)、ポリ酢酸ビニル、エチレン酸コポリマーおよびそれらの誘導体、ポリエステル、コポリエステル、ポリアセタール、ならびにそれらのブレンドからなる群のポリマーから選択されることを特徴とする請求項1に記載のグレージング要素。
【請求項6】
前記熱可塑性ポリマーが、エチレン酸コポリマー、またはその完全にもしくは部分的に中和された塩(イオノマー)であることを特徴とする請求項5に記載のグレージング要素。
【請求項7】
前記熱可塑性ポリマーがイオノマーであることを特徴とする請求項6に記載のグレージング要素。
【請求項8】
ストップレスグレージング用途での使用に適したガラス積層体であって、少なくとも2つのガラス層であって、前記ガラス層の間に位置決めされた少なくとも1つの熱可塑性ポリマー中間層を有する少なくとも2つのガラス層と、前記積層体の周縁上で1つ以上の点に位置決めされた少なくとも1つの取付け手段とを含み、前記取付け手段が、第2の熱可塑性ポリマーに直接結合された維持アセンブリを含み、前記第2の熱可塑性ポリマーが、(a)前記ポリマーおよび前記中間層が直接接触している界面において前記中間層に結合され、かつ(b)前記ガラスおよび前記ポリマーが直接接触している別の界面において前記ガラスに結合され、前記第2の熱可塑性ポリマーが、前記熱可塑性ポリマー中間層と同じ材料であることができるか、前記熱可塑性ポリマー中間層と異なった材料であることができることを特徴とするガラス積層体。
【請求項9】
前記維持アセンブリが、前記積層体にその頂点の少なくとも1つの上で結合されたコーナアセンブリであることを特徴とする請求項8に記載の積層体。
【請求項10】
前記中間層が、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリウレタン(PUR)、ポリ酢酸ビニル、エチレン酸コポリマーおよびそれらの誘導体、ポリエステル、コポリエステル、ポリアセタール、ならびにそれらのブレンドからなる群のポリマーから選択されることを特徴とする請求項9に記載の積層体。
【請求項11】
前記中間層が、エチレン酸コポリマーまたはそのイオノマーであることを特徴とする請求項10に記載の積層体。
【請求項12】
前記第2のポリマーが、PVB、PVC、PUR、ポリ酢酸ビニル、エチレン酸コポリマーおよびそれらの誘導体、ポリエステル、コポリエステル、ポリアセタール、ならびにそれらのブレンドからなる群から選択されるポリマーであることを特徴とする請求項8に記載の積層体。
【請求項13】
前記第2のポリマーが、エチレン酸コポリマーまたはそのイオノマーであることを特徴とする請求項12に記載の積層体。
【請求項14】
透明な積層体と、前記積層体を支持構造に取付けるための少なくとも1つの取付け手段とを含むガラス積層体であって、(1)前記積層体が、少なくとも1つのガラス層であって、前記ガラスの少なくとも1つの表面上で熱可塑性ポリマー中間層に直接結合された少なくとも1つのガラス層を含み、(2)前記中間層が、前記積層体の少なくとも1つの端縁を越えて延在し、(3)前記中間層の延在部分の1つの表面が、前記取付け手段の少なくとも1つの表面に結合され、(4)前記中間層の延在部分の別の表面が、前記ガラスに結合され、(5)前記取付け手段が、前記積層体の頂点の1つ以上に位置決めされた少なくとも1つの維持アセンブリであり、前記少なくとも1つの維持アセンブリが、第2の熱可塑性ポリマーに直接結合され、前記第2の熱可塑性ポリマーが、1つの界面において前記積層体の熱可塑性ポリマー中間層に結合され、かつ別の界面において前記ガラスに結合され、前記第2の熱可塑性ポリマーが、前記熱可塑性ポリマー中間層と同じ材料であることができるか、前記第1の熱可塑性ポリマー中間層と異なった材料であることができることを特徴とするガラス積層体。
【請求項15】
前記維持アセンブリが、後部と、前部とを含むことを特徴とする請求項14に記載の積層体。
【請求項16】
前記積層体が、その頂点で少なくとも2つの維持アセンブリを含むことを特徴とする請求項15に記載の積層体。
【請求項17】
前記熱可塑性ポリマーが、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリウレタン(PUR)、ポリ酢酸ビニル、エチレン酸コポリマーおよびそれらの誘導体、ポリエステル、コポリエステル、ポリアセタール、ならびにそれらのブレンドからなる群のポリマーから選択されることを特徴とする請求項16に記載の積層体。
【請求項18】
前記熱可塑性ポリマーが、エチレン酸コポリマー、またはその完全にもしくは部分的に中和された塩(イオノマー)であることを特徴とする請求項17に記載の積層体。
【請求項19】
前記熱可塑性ポリマーがイオノマーであることを特徴とする請求項18に記載の積層体。
【請求項20】
前記第2のポリマーが、PVB、PVC、PUR、ポリ酢酸ビニル、エチレン酸コポリマーおよびそれらの誘導体、ポリエステル、コポリエステル、ポリアセタール、ならびにそれらのブレンドからなる群から選択されるポリマーであることを特徴とする請求項14に記載の積層体。
【請求項21】
前記第2のポリマーが、エチレン酸コポリマーまたはそのイオノマーであることを特徴とする請求項20に記載の積層体。
【請求項22】
前記中間層および前記第2のポリマーが同じポリマー材料であることを特徴とする請求項14に記載の積層体。
【請求項23】
前記維持アセンブリが後部を含まないことを特徴とする請求項14に記載の積層体。
【請求項24】
透明な積層体と、前記積層体を前記積層体のための支持構造に取付けるための少なくとも1つの取付け手段とを含む、ストップレスグレージング建築設計での使用に適したガラス積層体であって、(1)前記積層体が、少なくとも1つのガラス層であって、前記ガラスの少なくとも1つの表面上で熱可塑性ポリマー中間層に直接結合された少なくとも1つのガラス層を含み、(2)前記中間層が、前記積層体の少なくとも1つの端縁を越えて延在し、(3)前記中間層の延在部分の1つの表面が、前記取付け手段の少なくとも1つの表面に結合され、(4)前記中間層の延在部分の別の表面が、前記ガラスに結合され、(5)(a)前記取付け手段が、前記支持構造の維持チャネル内で前記積層体を整列させ保持するのに有用なクリップであり、(b)前記クリップが、前記維持チャネル内の前記積層体の回転移動および/または横方向の移動、および/または前記チャネルからの前記積層体の移動を制限するのに有用な少なくとも1つの噛合い延在部をさらに含むことを特徴とするガラス積層体。
【請求項25】
前記熱可塑性ポリマーが、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリウレタン(PUR)、ポリ酢酸ビニル、エチレン酸コポリマーおよびそれらの誘導体、ポリエステル、コポリエステル、ポリアセタール、ならびにそれらのブレンドからなる群のポリマーから選択されることを特徴とする請求項24に記載の積層体。
【請求項26】
前記熱可塑性ポリマーが、エチレン酸コポリマー、またはその完全にもしくは部分的に中和された塩(イオノマー)であることを特徴とする請求項25に記載の積層体。
【請求項27】
前記熱可塑性ポリマーがイオノマーであることを特徴とする請求項26に記載の積層体。
【請求項28】
少なくとも1つの、請求項24に記載の積層体を含むことを特徴とするカーテンウォール。
【請求項29】
積層後、ガラス積層体の中間層を取付け手段に取付けるための方法であって、前記積層体の端縁を、前記中間層を前記取付け手段に結合するための適切な結合材料と接触させる工程と、前記中間層が前記取付け手段と間接的に接触しているように、前記取付け手段を前記結合材料の別の表面に接触させ、予め結合された維持アセンブリを形成する工程と、前記結合材料および前記中間層がともに流れることを引起すのに十分な熱またはエネルギーを、前記予め結合されたアセンブリに加える工程と、熱を加えることをやめ、前記中間層および結合材料が各々それらの軟化点未満に冷却するまで、前記アセンブリを圧力でともに保持する工程とを含むことを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2006−524761(P2006−524761A)
【公表日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−509696(P2006−509696)
【出願日】平成16年4月5日(2004.4.5)
【国際出願番号】PCT/US2004/010411
【国際公開番号】WO2004/089617
【国際公開日】平成16年10月21日(2004.10.21)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】