説明

ストリップ線路

【課題】配線層を形成するストリップ導体上における電気部品の配置位置を容易に再現することができるストリップ線路を提供することを目的とする。
【解決手段】配線層を形成するストリップ導体36における表面上のレジスト層37の一部を予め定めた所定の間隔で剥いで配線層を形成するストリップ導体とすることによって、配線層を形成するストリップ導体36における表面上を斑模様とてストリップ導体36の表面上における位置の判定を容易にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はストリップ線路に関し、さらに詳細には所定間隔でレジスト層を剥離したストリップ線路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のストリップ線路では、部品が実装されるランド部分を除いて配線層を形成するストリップ導体の全てがレジスト層によって覆われていた。例えば図1に示したRF送信回路において破線で示したストリップ線路は図3に示すように、形成されていた。図3において黒塗りの部分はストリップ導体上のレジスト層を示し、白色の部分はランド部分(レジスト層を剥がした部分)を示している。
【0003】
図2および図3はRF送信出力回路およびRF送信出力回路の一部を構成するマッチング回路を示し、ストリップ線路で形成されている。図2および図3において、参照符号1はドライブ増幅器を、参照符号2は終段増幅器を示している。参照符号31、32、33はそれぞれコンデンサを、参照符号34はリアクタを、参照符号35は配線層を形成するストリップ導体を示し、コンデンサ31、32、33リアクタ34およびストリップ導体35でマッチング回路3を形成している。参照符号4はアンテナスイッチを、参照符号5はローパスフィルタを、参照符号6はメインアンテナをそれぞれ示している。
【0004】
一方、従来のプリント配線基板において、測定用配線パターンを用いて、信号線路の正確な特性インピーダンスの測定を行うために、パターニングされた導電層上に絶縁層を介して配線層が形成されたプリント配線基板において、配線層に配線層内の所定の測定用配線パターンを設けると共に、導電層の単位面積当たりの導電材の残率を測定対象線路の形成領域下と測定用配線パターンの形成領域下とでほぼ等しくなるように導電層をパターンニングすることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−217508号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記したストリップ線路を用いたときは、ストリップ導体が形成されたプリント配線基板において、ストリップ導体に電気的に接続されて実装される電気部品の位置が僅かでも移動すると出力に大きな変化が起こってしまう。このために、実装するための電気部品の位置に制約を受けるが、電気部品の実装位置の目安になるような目印的なものはなかった。このために、試作時に存在するランドを有効に活用するか、設計者が自らレジスト層を剥いだりして電気部品の実装をしたり、検討を行わなければならないという問題点があった。
【0006】
さらにまた、検討して定めた電気部品の配置位置を次回試作時に正確に反映させることが難しい他、量産時に問題が発生したときにおいても、設計者が検討した電気部品の実装位置を、量産手直し時に正確に反映させることは難しいという問題点があった。
【0007】
また、上記した特許文献に開示のものは信号線路の正確な測定を行うための構成であり、電気部品の位置決定などに適用することはできなかった。
【0008】
本発明は、配線層を形成するストリップ導体上における電気部品の配置位置を容易に再現することができるストリップ線路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の請求項1にかかるストリップ線路は、配線層を形成するストリップ導体における表面上のレジスト層の一部を予め定めた所定の間隔で剥いで配線層を形成するストリップ導体としたことを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項2にかかるストリップ線路は、請求項1記載のストリップ線路において、配線層を形成するストリップ導体の位置に対向する部分を含む所定範囲にわたって、絶縁層を挟んで配線層に対向するグランド導体表面上のレジスト層を剥いでグランド導体層を形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の請求項1にかかるストリップ線路によれば、配線層を形成するストリップ導体の表面上のレジスト層の一部が予め定めた所定の間隔で剥がされたストリップ導体を、配線層を形成するストリップ導体としたために、配線層を形成するストリップ導体の表面は表面上においてレジスト層の一部が剥がされた部分および剥がされずにレジスト層が残っている部分のまだら模様状となって、電気部品の実装時に位置の目安が設けられた状態となって、一検討段階ではストリップ導体上での電気部品の実装位置が把握しやすくなり、次回試作時への電気部品実装時の位置反映が容易となり、電気部品の位置設定が容易となる。したがって、試作時および再試作時における電気部品の実装調整が容易となり、量産時における電気部品の配置位置変更の場合にも、実装位置の手直し時に正確な手直し位置に電気部品の実装が可能となる。
【0012】
本発明の請求項2にかかるストリップ線路によれば、配線層を形成するストリップ導体の位置に対向する部分を含む所定範囲にわたって、絶縁層を挟んで配線層に対向するグランド導体表面上のレジスト層を剥いでグランド導体層を形成したため、グランド層に半田される実装電気部品の電極位置の自由度が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明にかかるストリップ線路を実施の形態によって説明する。
【0014】
図1は本発明の実施の形態にかかるストリップ線路の構成を示すブロック図であり、図2に示した送信出力回路の一部における図3に示したマッチング回路の場合を例示しており、図3に示したマッチング回路と同一構成要素には同一の符号を付して示してある。
【0015】
本発明の実施の形態にかかるストリップ線路は、図1に示すように、配線層を形成するストリップ導体36はストリップ導体35に代わるストリップ導体であって、予め定めた所定の間隔でストリップ導体36の表面上のレジスト層の一部を剥がしてある。図1において黒塗り部分37はレジスト層で覆われたストリップ導体36の導体部分を示し、白塗り部分38はレジスト層が剥がされたストリップ導体36の導体部分である。
【0016】
図1はストリップ線路で構成したマッチング回路を示し、図1において、31、32、32はコンデンサを。34はリアクタを示している。
【0017】
上記のように構成したストリップ導体36の表面は、白黒が交互に現れる斑模様に形成されている。したがって配線層を形成するストリップ導体36の表面上における位置の把握が容易となって、検討段階における実装電気部品の配置位置を容易に確認することができて、次回の試作時に対する実装電気部品の配置位置の反映が容易になる。また量産時には、不具合が生じた場合に、電気部品の位置が容易に判るため、位置変更などの場合に対策が容易にとれることになる。
【0018】
また、配線層を形成するストリップ導体36において、その表面上にレジスト層37が予め定めた所定間隔で残されているため、レジスト層37の数を数えることによって目的位置までのストリップ導体36の長さを調べることができて、ストリップ導体のインピーダンスの計算や、ストリップ導体36のインダクタンス成分の計算が可能となる。
【0019】
また、絶縁層を挟んで配線層に対向するグランド導体表面においてストリップ導体36の位置に対向する部分を含む所定範囲にわたってグランド導体表面のレジスト層を剥ぐことによってグランド導体層を形成し、グランド導体表面のレジスト層が剥がされた範囲内において実装電気部品の電極の半田可能位置が拡大されて、半田位置の自由度が向上する。この結果、レジスト層が剥がされたストリップ導体36上のどこでも電気部品の配置ができるようになるため、配線層を形成するストリップ導体36のインピーダンスの微妙なずれや、プリント配線基板の持つ静電容量に変化があっても、マッチングの調整がしやすくなる。
【0020】
また、RFストリップ導体に限らず、プリント配線基板上のストリップ導体に適用することができる。
【0021】
以上説明したように本発明のストリップ線路によれば、ストリップ導体上の位置が容易に判ることになり、電気部品の実装などに好都合である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態にかかるストリップ導体の表面を示す模式図である。
【図2】ストリップ導体が使用される一例としての送信出力回路の一部を示す配線図である。
【図3】従来のストリップ導体の表面を示す模式図である。
【符号の説明】
【0023】
36 ストリップ導体
37 レジスト層で覆われたストリップ導体の導体部分
38 レジスト層が剥がされたストリップ導体の導体部




【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線層を形成するストリップ導体における表面上のレジスト層の一部を予め定めた所定の間隔で剥いで配線層を形成するストリップ導体としたことを特徴とするストリップ線路。
【請求項2】
請求項1記載のストリップ線路において、配線層を形成するストリップ導体の位置に対向する部分を含む所定範囲にわたって、絶縁層を挟んで配線層に対向するグランド導体表面上のレジスト層を剥いでグランド導体層を形成したことを特徴とするストリップ線路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−319143(P2006−319143A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−140456(P2005−140456)
【出願日】平成17年5月13日(2005.5.13)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】