説明

ストレージ管理装置

【課題】 コスト増加を抑えつつ、記憶装置とコントローラーとの間に追加の部品を設置する必要なく、コントローラーへの記憶装置の誤装着を検出し、コントローラーへ記憶装置が誤装着された場合でも、装着し直すことなく、そのまま正しくストレージアレイを認識することができるようにする。
【解決手段】 スロット変換処理部41aが、コントローラー1を介して、コントローラー1に接続されている複数の記憶装置11〜13,21〜23のそれぞれから識別情報11a〜13a,21a〜23aおよび装着順序データを取得し、取得した装着順序データから、同一の記憶装置の識別情報を有さない複数の装着順序データを抽出し、抽出した複数の装着順序データと取得した識別情報とに基づいて、抽出した複数の装着順序データどおりの接続状態となるように、複数の記憶装置11〜13,21〜23を論理的に組み替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストレージ管理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数のハードディスクドライブ(HDD)等を使用して1つのディスクアレイを構成するストレージシステムにおいて、HDD等を、メンテナンス等でコントローラーチップやコントローラー基板から外した場合、元々装着されていた位置(スロット)に再度装着する。このとき、元々装着されていた位置(スロット)とは異なる位置にHDDが装着されると、コントローラーがディスクアレイの構成を正しく認識できないことがある。
【0003】
そのような問題を解決する技術として、HDDとコントローラーとの間に、RFIDを有する接続基板を設けるとともに、コントローラー側にRFIDリーダーライターを設け、HDDの正しい装着順序を示す装着順序データをそのRFIDに書き込んでおき、その装着順序データをRFIDから読み出して、HDDの誤装着を検出する技術がある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−241847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の技術では、HDDごとに、RFID、RFIDリーダーライターおよび接続基板が必要となり、システムのコストが高くなってしまうとともに、RFID、RFIDリーダーライターおよび接続基板を配置するスペースが必要になってしまう。
【0006】
さらに、上述の技術では、メンテナンス時に接続基板がHDDから外されてしまうと、接続基板とHDDとが誤接続される可能性があり、接続基板とHDDとが誤接続された場合には、依然として、コントローラーへのHDDの誤装着が発生してしまう。
【0007】
特に、複数のコントローラーに接続されていた複数のディスクアレイを、別の1つのコントローラーに接続する場合、そのコントローラーへのHDDの誤装着が発生しやすい。
【0008】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、コスト増加を抑えつつ、記憶装置とコントローラーとの間に追加の部品を設置する必要なく、コントローラーへの記憶装置の誤装着を検出し、コントローラーへ記憶装置が誤装着された場合でも、装着し直すことなく、そのまま正しくストレージアレイを認識することができるストレージ管理装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明では以下のようにした。
【0010】
本発明に係るストレージ管理装置は、複数のストレージアレイを構成する複数の記憶装置を着脱可能なストレージデバイスコントローラーと、ストレージデバイスコントローラーを介して、複数の記憶装置のそれぞれから識別情報を取得するとともに、1つのストレージアレイを構成する記憶装置の識別情報を配列させて記憶装置の装着順序を示す装着順序データを複数の記憶装置のそれぞれにおける所定の管理領域から取得し、取得した装着順序データから、同一の記憶装置の識別情報を有さない複数の装着順序データを抽出し、抽出した複数の装着順序データと取得した識別情報とに基づいて、抽出した複数の装着順序データどおりの接続状態となるように、複数の記憶装置を論理的に組み替える組替処理部とを備える。
【0011】
これにより、コスト増加を抑えつつ、記憶装置とコントローラーとの間に追加の部品を設置する必要なく、コントローラーへの記憶装置の誤装着を検出し、コントローラーへ記憶装置が誤装着された場合でも、装着し直すことなく、そのまま正しくストレージアレイを認識することができる。
【0012】
また、本発明に係るストレージ管理装置は、上記のストレージ管理装置に加え、次のようにしてもよい。この場合、ストレージ管理装置は、さらに、オペレーティングシステム上のデバイス割り当てを、複数の記憶装置の論理的な組み替えに対応して変換するアレイコントローラーを備える。
【0013】
これにより、コントローラーへ記憶装置が誤装着された場合に、オペレーティングシステムにより提供されるファイルシステムにおいても、ユーザーが記憶装置を装着し直したりデバイス割り当てを再設定したりせずに、そのまま正しくストレージアレイを認識することができる。
【0014】
また、本発明に係るストレージ管理装置は、上記のストレージ管理装置のいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、組替処理部は、取得した装着順序データから、一部の識別情報が他の装着順序データに含まれる識別情報と同一である装着順序データ以外であって、かつ、装着順序データに含まれる識別番号を有する記憶装置がすべてストレージデバイスコントローラーに接続されている複数の装着順序データを抽出し、抽出した複数の装着順序データと取得した識別情報とに基づいて、抽出した複数の装着順序データどおりの接続状態となるように、複数の記憶装置を論理的に組み替える。
【0015】
また、本発明に係るストレージ管理装置は、上記のストレージ管理装置のいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、ストレージ管理装置は、ストレージデバイスコントローラーに接続されており、かつ複数のストレージアレイのいずれにも属さない追加記憶装置を、ストレージデバイスコントローラーを介して検出し、1つのストレージアレイを構成する複数の記憶装置の装着順序データを編集し、編集後の装着順序データと同一の装着順序データを追加記憶装置の管理領域に書き込んで、そのストレージアレイに追加記憶装置を追加する装着順序データ編集部を備える。
【0016】
これにより、既存の記憶装置および追加記憶装置をストレージデバイスコントローラーに装着し直すことなく、ストレージアレイに記憶装置を追加することができる。
【0017】
また、本発明に係るストレージ管理装置は、上記のストレージ管理装置のいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、装着順序データ編集部は、複数のストレージアレイからユーザー操作によって選択されたストレージアレイに追加記憶装置を追加する。
【0018】
また、本発明に係るストレージ管理装置は、上記のストレージ管理装置のいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、ストレージ管理装置は、ストレージデバイスコントローラーは、複数の記憶装置を接続可能な複数の物理的なスロットを備える。そして、組替処理部は、複数のスロットのそれぞれに対して接続されるべき記憶装置の識別情報を装着順序データから特定し、各スロットについて、特定した識別情報と、現実に接続されている記憶装置の識別情報とを比較して、装着順序データどおりに複数の記憶装置が接続されるか否かを判定し、装着順序データどおりの接続状態となるように、複数の記憶装置を論理的に組み替える。
【0019】
また、本発明に係るストレージ管理装置は、上記のストレージ管理装置のいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、管理領域は、ファイルシステムで認識される領域以外の領域に設けられる。
【0020】
これにより、ストレージアレイの正常動作中に、管理領域内の装着順序データが誤って削除されずに済む。
【0021】
また、本発明に係るストレージ管理装置は、上記のストレージ管理装置のいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、ストレージアレイは、RAIDまたはJBODのアレイである。
【0022】
また、本発明に係るストレージ管理装置は、上記のストレージ管理装置のいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、記憶装置は、ハードディスクドライブ(HDD)またはソリッドステートドライブ(SSD)である。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、コスト増加を抑えつつ、記憶装置とコントローラーとの間に追加の部品を設置する必要なく、コントローラーへの記憶装置の誤装着を検出し、コントローラーへ記憶装置が誤装着された場合でも、装着し直すことなく、そのまま正しくストレージアレイを認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1に係るストレージ管理装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、図1におけるストレージアレイ2の構成と、そのストレージアレイ2についての装着順序データの例を示す図である。
【図3】図3は、図1におけるストレージアレイ3の構成と、そのストレージアレイ3についての装着順序データの例を示す図である。
【図4】図4は、実施の形態1に係るストレージ管理装置の動作について説明するフローチャートである。
【図5】図5は、図1におけるコントローラー1のスロットと、それらのスロットに割り当てられているデバイス割り当てと、それらのスロットのそれぞれに接続されるべき記憶装置のシリアル番号との対応関係を示す図である。
【図6】図6は、ストレージアレイ2,3を構成する記憶装置の誤装着の例を示す図である。
【図7】図7は、図6に示す記憶装置の誤装着時の論理的な組み替えを説明する図である。
【図8】図8は、本発明の実施の形態2に係るストレージ管理装置の構成を示すブロック図である。
【図9】図9は、図8における装着順序データ編集部51によるprintコマンド実行時の画面の一例を示す図である。
【図10】図10は、図8における装着順序データ編集部51によるcreateコマンド実行時の画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0026】
実施の形態1.
【0027】
図1は、本発明の実施の形態1に係るストレージ管理装置の構成を示すブロック図である。
【0028】
図1に示すストレージ管理装置は、コントローラー1、ストレージアレイ2,3、およびプロセッサー4を有する。
【0029】
コントローラー1は、複数のストレージアレイ2,3を構成する複数の記憶装置11〜13,21〜23を着脱可能なストレージデバイスコントローラーである。コントローラー1は、コントローラーチップであってもよいし、コントローラー基板であってもよい。なお、図1では、ストレージアレイの数が2、記憶装置の数が3個ずつで合計6であるが、必要に応じて他の数としてもよい。
【0030】
この実施の形態では、ストレージアレイ2,3は、それぞれ、RAID(Redundant Arrays of Inexpensive Disks)またはJBOD(Just a Bunch Of Disks)のアレイである。RAIDには、RAID0、RAID1、RAID0+1、RAID1+0、RAID2、RAID3、RAID4、RAID5、RAID6、RAIDZなどがある。
【0031】
コントローラー1は、複数の物理的なスロット1a〜1fを有し、それらのスロット1a〜1fに記憶装置11〜13,21〜23を接続される。コントローラー1は、接続された記憶装置11〜13,21〜23に対してデータの読み書きを行う。スロット1a〜1fと記憶装置11〜13,21〜23とは電気的に直接接続されたり、ケーブルを介して接続されたりする。
【0032】
また、記憶装置11〜13,21〜23は、ハードディスクドライブ(HDD)またはソリッドステートドライブ(SSD)である。アレイを構成する複数の記憶装置11〜13,21〜23には、必要に応じて同一種類(つまり、同一型番)の装置が使用されるが、構成されるアレイの種別において異なる種類の装置を使用してもよい場合には、異なる種類の装置を使用してもよい。
【0033】
記憶装置11〜13,21〜23は、それぞれに固有な識別情報(ここではシリアル番号)11a〜13a,21a〜23aを、装置内のROM(Read Only Memory)などに有する。また、記憶装置11〜13,21〜23には、装置内の書き換え可能な記憶領域において所定のアドレスに管理領域11b〜13b,21b〜23bがそれぞれ設けられている。管理領域11b〜13b,21b〜23bは、ファイルシステム43でアクセス可能な領域以外の記憶領域に設けられている。管理領域11b〜13b,21b〜23bには、装着順序データが記憶される。
【0034】
ストレージアレイ2,3は、それぞれ、互いに独立したストレージアレイであって、それぞれ単独で1つのストレージとして運用可能なものである。図2は、図1におけるストレージアレイ2の構成と、そのストレージアレイ2についての装着順序データの例を示す図である。図3は、図1におけるストレージアレイ3の構成と、そのストレージアレイ3についての装着順序データの例を示す図である。
【0035】
このため、図2(A)および図3(A)に示すように、ストレージアレイ2,3は、それぞれ、単独で、コントローラー101,102に接続して使用可能である。
【0036】
装着順序データは、ストレージアレイを構成する記憶装置の識別情報を配列させて記憶装置の装着順序を示すデータである。したがって、図2(B)に示すようにストレージアレイ2を構成する記憶装置11〜13に記憶されている装着順序データは同一であり、図3(B)に示すようにストレージアレイ3を構成する記憶装置21〜23に記憶されている装着順序データは同一であるが、ストレージアレイ2を構成する記憶装置11〜13に記憶されている装着順序データ51と、ストレージアレイ3を構成する記憶装置21〜23に記憶されている装着順序データ52とは異なる。
【0037】
図2(B)に示す装着順序データ51では、単独で使用される際のコントローラー101のスロット101a、スロット101b、スロット101cの順序で、それらのスロット101a〜101cに接続される記憶装置11〜13のシリアル番号が配列されている。
【0038】
図3(B)に示す装着順序データ52では、単独で使用される際のコントローラー102のスロット102a、スロット102b、スロット102cの順序で、それらのスロット102a〜102cに接続される記憶装置21〜23のシリアル番号が配列されている。
【0039】
コントローラー101は、記憶装置11〜13のそれぞれから識別情報11a〜13aを取得するとともに、装着順序データ51を管理領域11b〜13bから取得し、取得した識別情報11a〜13aと装着順序データ51とに基づいて装着順序データ51どおりに記憶装置11〜13が接続されるか否かを判定する。このとき、コントローラー101は、スロット101a〜101cのそれぞれに対して接続されるべき記憶装置11〜13のシリアル番号を装着順序データ51から特定し、各スロット101a〜101cについて、特定したシリアル番号と、現実に接続されている記憶装置11〜13の識別情報11a〜13aとを比較して、装着順序データ51どおりに記憶装置11〜13が接続されるか否かを判定する。そして、コントローラー101は、装着順序データ51どおりに記憶装置11〜13が接続されていない場合には、装着順序データ51どおりの接続状態となるように、記憶装置11〜13を論理的に組み替える。
【0040】
コントローラー102は、コントローラー101と同様に、記憶装置21〜23のそれぞれから識別情報21a〜23aを取得するとともに、装着順序データ52を管理領域21b〜23bから取得し、取得した識別情報21a〜23aと装着順序データ52とに基づいて装着順序データ52どおりに記憶装置21〜23が接続されるか否かを判定する。そして、コントローラー102は、装着順序データ52どおりに記憶装置21〜23が接続されていない場合には、装着順序データ52どおりの接続状態となるように、記憶装置21〜23を論理的に組み替える。
【0041】
例えばソフトウェアRAIDのようにストレージアレイ2,3がソフトウェアでそれぞれ1つのストレージとして認識される場合には、コントローラー101,102に接続されるCPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)などのプロセッサーにおいて、ストレージアレイを構成する複数の記憶装置11〜13,21〜23がそれぞれプロセッサーにより認識され、ソフトウェアで、それらの記憶装置11〜13と記憶装置21〜23とをそれぞれ1つのストレージとして取り扱うための処理が行われる。一方、例えばハードウェアRAIDのようにストレージアレイ2,3がハードウェアでそれぞれ1つのストレージとして認識される場合には、コントローラー101,102において、複数の記憶装置11〜13と複数の記憶装置21〜23をそれぞれ1つのストレージとして取り扱うための処理が行われる。このため、コントローラー101,102に接続されるCPU、DSPなどのプロセッサーからは、ストレージアレイ2,3がそれぞれ1つのストレージとして認識される。
【0042】
なお、識別情報11a〜13a,21a〜23aは、装着順序データ51,52とともに管理領域11b〜13b,21b〜23bに記憶されるようにしてもよい。
【0043】
このように、各ストレージアレイ2,3は、単独で使用可能であり、それらのストレージアレイ2,3が、ハードウェアの変更などの理由で、図1に示すように、コントローラ1に接続される。
【0044】
図1に戻り、プロセッサー4は、図示せぬROMや記憶装置から図示せぬRAM(Random Access Memory)へプログラムをロードして実行するCPUなどであり、これにより、オペレーティングシステムなどの各種処理部を実現する。プロセッサー4では、デバイスドライバー41、アレイコントローラー42、およびファイルシステム43が実現される。
【0045】
デバイスドライバー41は、コントローラー1へ各種コマンドを送信してスロット1a〜1fに接続されている記憶装置11〜13,21〜23に対するデータの読み書きを実行する。デバイスドライバー41は、スロット変換処理部41aを有する。スロット変換処理部41aは、コントローラー1を介して、コントローラー1に接続されている複数の記憶装置11〜13,21〜23のそれぞれから識別情報11a〜13a,21a〜23aおよび装着順序データ51,52を取得し、取得した装着順序データ51,52から、同一の記憶装置の識別情報を有さない複数の装着順序データを抽出し、抽出した複数の装着順序データと取得した識別情報とに基づいて、抽出した複数の装着順序データどおりの接続状態となるように、複数の記憶装置11〜13,21〜23を論理的に組み替える。
【0046】
アレイコントローラー42は、ソフトウェアでRAIDなどのストレージアレイを構築する。ファイルシステム43は、LINUX(登録商標)などのオペレーティングシステムの一部である。このファイルシステム43では、ハードウェアデバイスとして、コントローラー1のスロット1a〜1fのそれぞれに接続される記憶装置に対してデバイス割り当てが設定される。例えば、この実施の形態1では、スロット1a〜1fに接続される記憶装置に、ファイルシステム43上の論理デバイス識別子hda〜hdfがそれぞれ割り当てられる。したがって、アレイコントローラー42は、この論理デバイス識別子hda〜hdfで、スロット1a〜1fに接続されている記憶装置を識別し、ストレージアレイを構築する。
【0047】
なお、ストレージアレイ2が単独で使用されている場合、記憶装置11,12,13には論理デバイス識別hda,hdb,hdcが割り当てられ、ストレージアレイ3が単独で使用されている場合、記憶装置21,22,23には論理デバイス識別hda,hdb,hdcが割り当てられる。このため、ストレージアレイ2の記憶装置11〜13とストレージアレイ3の記憶装置21〜23がコントローラー1に接続されると、論理デバイス識別hda,hdb,hdcが競合するため、上述のように、スロット1a〜1fに接続される記憶装置にファイルシステム43上の論理デバイス識別子hda〜hdfがそれぞれ割り当て直される。そして、アレイコントローラー42は、コントローラー1に接続された記憶装置11〜13,21〜23から装着順序データを取得して、記憶装置11〜13,21〜23で形成可能なストレージアレイの数、および各ストレージアレイ内の記憶装置の数を特定し、ストレージアレイを形成する。この実施の形態1では、記憶装置11〜13の装着順序データと記憶装置21〜23の装着順序データとから、形成可能なストレージアレイの数は2であり、それぞれのストレージアレイ内の記憶装置の数は3であると特定されるため、このとき割り当てられた論理デバイス識別子hda〜hdcで1つのストレージアレイ(ストレージアレイ2)が形成され、このとき割り当てられた論理デバイス識別子hdd〜hdfで1つのストレージアレイ(ストレージアレイ3)が形成される。なお、記憶装置11〜13,21〜23が誤装着されている場合には、後述のようにして、正常なデバイス割当て状態になるように論理デバイス識別子hdd〜hdfは、論理的に組み替えられる。
【0048】
次に、上記ストレージ管理装置の動作について説明する。
【0049】
図4は、実施の形態1に係るストレージ管理装置の動作について説明するフローチャートである。
【0050】
図1に示すシステムが起動すると、デバイスドライバー41のスロット変換処理部41aは、コントローラー1を介して、コントローラー1に接続されている複数の記憶装置11〜13,21〜23のそれぞれから、識別情報(シリアル番号)11a〜13a,21a〜23aおよび装着順序データ51,52を取得する(ステップS1)。
【0051】
次に、スロット変換処理部41aは、取得した装着順序データ51,52のうち、有効ではない装着順序データを破棄する(ステップS2)。
【0052】
このとき、スロット変換処理部41aは、取得した装着順序データ51,52から、同一の記憶装置の識別情報を有さない複数の装着順序データを抽出する。特に、スロット変換処理部41aは、取得した装着順序データから、一部の識別情報が他の装着順序データに含まれる識別情報と同一である装着順序データ以外であって、かつ、装着順序データに含まれる識別番号を有する記憶装置がすべてストレージデバイスコントローラーに接続されている複数の装着順序データを抽出する。
【0053】
図1に示す状態では、装着順序データ51の有する識別情報は「aaa」、「bbb」および「ccc」であり、装着順序データ52の有する識別情報は「ddd」、「eee」および「fff」であるので、これらの装着順序データ51,52は、同一の識別情報を有していない。また、装着順序データ51の有する識別情報のいずれも、装着順序データ51の有する識別情報には含まれておらず、装着順序データ51,52の有する識別情報の記憶装置は、すべてコントローラー1に接続されているので、取得された装着順序データ51,52から、装着順序データ51,52が抽出される。
【0054】
そして、スロット変換処理部41aは、抽出した複数の装着順序データ51,52から、スロット変換データを生成する(ステップS3)。
【0055】
図1に示す状態では、例えば、抽出された装着順序データ51,52が一定の順序で配列され、装着順序データ51の「aaa」、「bbb」および「ccc」が、スロット1a〜1cに対応付けられ、装着順序データ52の「ddd」、「eee」および「fff」が、スロット1d〜1fに対応付けられ、これらの対応関係を記述したスロット変換データが生成される。
【0056】
図5は、図1におけるコントローラー1のスロットと、それらのスロットに割り当てられているデバイス割り当てと、それらのスロットのそれぞれに接続されるべき記憶装置のシリアル番号との対応関係を示す図である。
【0057】
したがって、図5に示すように、記憶装置11〜13,21〜23と、スロット1a〜1fおよびデバイスhda〜hdfが、正常状態(誤装着のない状態)として関連付けられる。
【0058】
このスロット変換データは、図示せぬRAMに保持され、図1に示すシステムの再起動するたびに、新たに生成される。
【0059】
一方、アレイコントローラー42は、このスロット変換データを参照して、正常状態(誤装着のない状態)での論理デバイス識別子hda〜hdfと記憶装置11〜13,21〜23との対応関係と同一になるように、スロット1a〜1fのデバイス割り当てを論理的に組み替える(ステップS4)。
【0060】
そして、アレイコントローラー42は、論理的に組み替えた後の論理デバイス識別子hda〜hdfを使用して、ソフトウェアRAIDなどのアレイを形成し、マウントする(ステップS5)。
【0061】
なお、記憶装置11〜13に1つずつパーティションがある場合には図5に示すような対応関係となるが、記憶装置11〜13に複数のパーティションがある場合、各パーティションに論理デバイス識別子が割り当てられるため、複数の論理デバイス識別子が1つの記憶装置に対応付けられる。
【0062】
このように、システム起動時にスロット変換データが生成され、そのスロット変換データに従って、スロット変換処理部41aによりスロット1a〜1fの論理的な組み替えが、アレイコントローラー42により論理デバイス識別子hda〜hdfの論理的な組み替えが実行される。
【0063】
ここで、コントローラー1への記憶装置11〜13,21〜23の誤装着が発生した場合の処理の一例について説明する。図6は、ストレージアレイ2,3を構成する記憶装置の誤装着の例を示す図である。図7は、図6に示す記憶装置の誤装着時の論理的な組み替えを説明する図である。
【0064】
図6に示す場合、記憶装置12,13,21〜23が誤装着されている。
【0065】
この場合、図7に示すように、スロット変換処理部41aは、スロット1bをスロット1cへ、スロット1cをスロット1fへ、スロット1dをスロット1bへ、スロット1eをスロット1dへ、スロット1fをスロット1eへ、スロット変換データに従って変換する。
【0066】
また、図7に示すように、アレイコントローラー42は、論理デバイス識別子hdbを論理デバイス識別子hdcへ、論理デバイス識別子hdcを論理デバイス識別子hdfへ、論理デバイス識別子hddを論理デバイス識別子hdbへ、論理デバイス識別子hdeを論理デバイス識別子hddへ、論理デバイス識別子hdfを論理デバイス識別子hdeへ、スロット変換データに従って変換する。
【0067】
以上のように、上記実施の形態1によれば、スロット変換処理部41aが、コントローラー1を介して、コントローラー1に接続されている複数の記憶装置11〜13,21〜23のそれぞれから識別情報11a〜13a,21a〜23aおよび装着順序データ51,52を取得し、取得した装着順序データ51,52から、同一の記憶装置の識別情報を有さない複数の装着順序データを抽出し、抽出した複数の装着順序データと取得した識別情報とに基づいて、抽出した複数の装着順序データどおりの接続状態となるように、複数の記憶装置11〜13,21〜23を論理的に組み替える。また、アレイコントローラー42が、この組み替えに合わせて、デバイス割り当てを論理的に組み替える。
【0068】
これにより、コスト増加を抑えつつ、記憶装置11〜13,21〜23とコントローラー1との間に追加の部品を設置する必要なく、コントローラー1への記憶装置11〜13,21〜23の誤装着を検出し、コントローラー1へ記憶装置11〜13,21〜23が誤装着された場合でも、装着し直すことなく、そのまま正しくストレージアレイ2,3を認識することができる。
【0069】
実施の形態2.
【0070】
本発明の実施の形態2では、記憶装置をストレージアレイに追加することができる。
【0071】
図8は、本発明の実施の形態2に係るストレージ管理装置の構成を示すブロック図である。
【0072】
実施の形態2では、図8に示すように、コントローラー1は、スロット1a〜1hを有する。また、実施の形態2では、プロセッサー4により、装着順序データ編集部61が実現される。装着順序データ編集部61は、コントローラー1に接続されており、かつ複数のストレージアレイ2,3のいずれにも属さない追加記憶装置71,72を、コントローラー1を介して検出し、追加先の1つのストレージアレイ2,3を構成する複数の記憶装置の装着順序データ51,52を編集し、編集後の装着順序データと同一の装着順序データを追加記憶装置71,72の管理領域71b,72bに書き込んで、そのストレージアレイ2,3に追加記憶装置71,72を追加する。
【0073】
追加記憶装置71は、識別情報「ggg」71aを有し、初期状態ではストレージアレイに参加していないので、装着順序データを有さない。同様に、追加記憶装置72は、識別情報「hhh」72aを有し、初期状態ではストレージアレイに参加していないので、装着順序データを有さない。
【0074】
なお、装着順序データ編集部61は、複数のストレージアレイ2,3からユーザー操作によって選択されたストレージアレイに1または複数の追加記憶装置71,72を追加する。
【0075】
ここで、一例として、ストレージアレイ2に追加記憶装置71を追加する場合について説明する。
【0076】
装着順序データ編集部61は、図示せぬ表示装置に、コマンド入力プロンプトを表示させ、図示せぬ入力装置に対するユーザー操作により入力されたコマンドに従って各種処理を実行する。コマンドとしては、printコマンド、createコマンドなどがある。printコマンドは、ストレージアレイのリストおよび各ストレージアレイ内の記憶装置の識別情報のリストを表示させるコマンドであり、createコマンドは、ストレージアレイ内の記憶装置の識別情報のリストを編集して、ストレージアレイをマージしたり、ストレージアレイに記憶装置を追加させたりするためのコマンドである。
【0077】
図9は、図8における装着順序データ編集部51によるprintコマンド実行時の画面の一例を示す図である。
【0078】
図8に示す状態で、printコマンドが実行されると、図9に示すような画面が表示される。図9に示すように、ストレージアレイ2が「DiskArray1」として表示され、ストレージアレイ3が「DiskArray2」として表示され、各追加記憶装置71,72が、「DiskArray3」,「DiskArray4」としてそれぞれ表示される。
【0079】
図10は、図8における装着順序データ編集部51によるcreateコマンド実行時の画面の一例を示す図である。
【0080】
そして、図10に示すように、図8に示す状態で、creatコマンドが実行され、マージ対象となるディスクアレイの番号「1−3」が入力されると、「DiskArray1」へ「DiskArray3」がマージされ、マージ後の「DiskArray1」内の記憶装置の識別情報のリストが表示される。creatコマンドを終了させる場合には、図10に示すように「exit」コマンドを入力する。
【0081】
このとき、装着順序データ編集部61は、記憶装置11〜13の装着順序データ51を編集する。具体的には、装着順序データ編集部61は、装着順序データ51の最後に、追加記憶装置71の識別情報71bである「ggg」を追加する。また、装着順序データ編集部61は、編集後の装着順序データ51と同一の装着順序データを、追加記憶装置71の所定の管理領域71bに書き込む。これにより、追加記憶装置71がストレージアレイ2に追加された状態となる。
【0082】
その後、システムを再起動すれば、上述のスロット変換データも、追加記憶装置71を反映したものに更新される。
【0083】
以上のように、上記実施の形態2によれば、既存の記憶装置および追加記憶装置をストレージデバイスコントローラーに装着し直すことなく、ストレージアレイに記憶装置を追加することができる。
【0084】
なお、上述の各実施の形態は、本発明の好適な例であるが、本発明は、これらに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変形、変更が可能である。
【0085】
例えば、上記各実施の形態において、装着順序データどおりに記憶装置が接続されていない場合に、コントローラー1は、警告(警告音、警告メッセージなど)を発するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明は、例えば、コンピュータシステムや電子機器などのストレージシステムに適用可能である。
【符号の説明】
【0087】
1 コントローラー(ストレージデバイスコントローラーの一例)
1a〜1h スロット
2,3 ストレージアレイ
11〜13,21〜23 記憶装置
41a スロット変換処理部(組替処理部の一例)
42 アレイコントローラー
51,52 装着順序データ
61 装着順序データ編集部
71 追加記憶装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のストレージアレイを構成する複数の記憶装置を着脱可能なストレージデバイスコントローラーと、
前記ストレージデバイスコントローラーを介して、前記複数の記憶装置のそれぞれから識別情報を取得するとともに、1つのストレージアレイを構成する記憶装置の識別情報を配列させて記憶装置の装着順序を示す装着順序データを前記複数の記憶装置のそれぞれにおける所定の管理領域から取得し、取得した前記装着順序データから、同一の記憶装置の識別情報を有さない複数の装着順序データを抽出し、抽出した前記複数の装着順序データと取得した前記識別情報とに基づいて、抽出した前記複数の装着順序データどおりの接続状態となるように、前記複数の記憶装置を論理的に組み替える組替処理部と、
を備えることを特徴とするストレージ管理装置。
【請求項2】
オペレーティングシステム上のデバイス割り当てを、前記複数の記憶装置の論理的な組み替えに対応して変換するアレイコントローラーを備えることを特徴とする請求項1記載のストレージ管理装置。
【請求項3】
前記組替処理部は、取得した前記装着順序データから、一部の前記識別情報が他の装着順序データに含まれる前記識別情報と同一である装着順序データ以外であって、かつ、前記装着順序データに含まれる前記識別番号を有する前記記憶装置がすべて前記ストレージデバイスコントローラーに接続されている複数の装着順序データを抽出し、抽出した前記複数の装着順序データと取得した前記識別情報とに基づいて、抽出した前記複数の装着順序データどおりの接続状態となるように、前記複数の記憶装置を論理的に組み替えることを特徴とする請求項1記載のストレージ管理装置。
【請求項4】
前記ストレージデバイスコントローラーに接続されており、かつ前記複数のストレージアレイのいずれにも属さない追加記憶装置を、前記ストレージデバイスコントローラーを介して検出し、1つのストレージアレイを構成する複数の記憶装置の前記装着順序データを編集し、編集後の前記装着順序データと同一の装着順序データを前記追加記憶装置の管理領域に書き込んで、そのストレージアレイに前記追加記憶装置を追加する装着順序データ編集部を備えることを特徴とする請求項1記載のストレージ管理装置。
【請求項5】
前記装着順序データ編集部は、前記複数のストレージアレイからユーザー操作によって選択されたストレージアレイに前記追加記憶装置を追加することを特徴とする請求項4記載のストレージ管理装置。
【請求項6】
前記ストレージデバイスコントローラーは、前記複数の記憶装置を接続可能な複数の物理的なスロットを備え、
前記組替処理部は、前記複数のスロットのそれぞれに対して接続されるべき記憶装置の識別情報を前記装着順序データから特定し、各スロットについて、特定した識別情報と、現実に接続されている記憶装置の識別情報とを比較して、前記装着順序データどおりに前記複数の記憶装置が接続されるか否かを判定し、前記装着順序データどおりの接続状態となるように、前記複数の記憶装置を論理的に組み替えること、
を特徴とする請求項1記載のストレージ管理装置。
【請求項7】
前記管理領域は、ファイルシステムで認識される領域以外の領域に設けられることを特徴とする請求項1記載のストレージ管理装置。
【請求項8】
前記ストレージアレイは、RAIDまたはJBODのアレイであることを特徴とする請求項1から請求項7のうちのいずれか1項記載のストレージ管理装置。
【請求項9】
前記記憶装置は、ハードディスクドライブまたはソリッドステートドライブであることを特徴とする請求項1から請求項8のうちのいずれか1項記載のストレージデバイスコントローラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−18548(P2012−18548A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−155328(P2010−155328)
【出願日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】