説明

ストレージ装置

【課題】ストレージ装置の効率的な冷却を実現する冷却方法を実現する。
【解決手段】複数の記憶媒体を冷却する第1の外気の筐体内における通り道となり、筐体の上端部で終端する第1の冷却通路と、電源部を冷却する第2の外気の筐体内における通り道となり、筐体の上端部で終端する第2の冷却通路と、第1の冷却通路の終端から直下に位置する記憶媒体を臨むように筐体の上端部に設けられ、第1の冷却通路に第1の外気を引き込み、複数の記憶媒体を冷却した第1の外気を筐体外に排出するファン500と、第1の外気と前記第2の外気が混合しないように、第1の冷却通路と第2の冷却通路とを仕切る仕切体と、を備え、ファンは、第1の冷却通路の直下に位置する記憶媒体の縁辺に対して傾斜するように筐体に支持されてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体内に多数の記憶媒体を収容した、高密度実装型のストレージ装置に係わり、特に、筐体内に於ける冷却性能を向上するための構造を備えたストレージ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子装置において、ハードディスクドライブに供給される電力の一部は、ハードディスクの回転による摩擦熱や電子回路部の抵抗熱に変換される。複数のハードディスクドライブをアレイ状に配置して備えるストレージ装置は、このハードディスクドライブが高密度に搭載されているほど、発熱量が大きくなる。そこで、ストレージ装置を稼動している間は、ストレージ装置内のハードディスクドライブや電子回路部を冷却する必要がある。
【0003】
近年のストレージ装置においては、例えば、RAID(Redundant Array of Independent Disks)方式による大型のストレージ装置に代表されるように、その記憶容量が増大する傾向にある。即ち、ストレージ装置に搭載されるハードディスクドライブの総数が増加、即ち、ハードディスクドライブの実装密度が増加してきている。
【0004】
この高密度実装によって、ストレージ装置の消費電力及び発熱量も増加の一途を辿っている。発熱に対する対策として、ストレージ装置内に外気を導入するためのファンが大型化されてはきているが、ハードディスクドライブの高密度実装により、ストレージ装置内部における外気の循環に対する抵抗が大きく、ストレージ装置内を十分冷却する効果が達成されていない。このため、ファンを更に大型化せざるを得ず、これによりファンから発生する騒音が大きく、かつファンを稼動させるための電力消費が増大化している。
【0005】
従来、この種の冷却システムを備えた磁気ディスク装置として、特開平8−273345号公報に記載のように、情報を磁気的に記憶する複数台の磁気ディスクドライブと、該磁気ディスクドライブを制御する制御回路部が搭載された制御回路基板と、前記磁気ディスクドライブと制御回路基板を空冷で冷却する送風手段とを、一つの装置筐体内に収納して成る磁気ディスク装置において、前記磁気ディスクドライブ、制御回路基板及び送風手段をフレーム内に保持して一つのディスクボックスを構成するとともに、該ディスクボックスを一つの装置筐体内に複数台収納したことを特徴とするものが提案されている。
【0006】
また、特願2006−83445号には、複数の冷却領域と、各冷却領域に外気を誘導し、次いで、外気を筐体の排出領域から当該筐体外部に排出する外気導入・排出装置と、前記各冷却領域を通過した外気を排出領域まで導く外気誘導領域とを備え、一つの冷却領域を通過した前記外気が他の冷却領域を通過した前記外気と混合しないように、前記外気誘導領域を構成したストレージ装置が紹介されている。
【特許文献1】特開平8−273345号公報
【非特許文献1】特願2006−83445号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特開平8−273345号公報においては、ディスクボックス毎に送風手段を設けてディスクユニット毎に冷却を行うことは提案されていても、排気を効率化させることやファンの小型化については配慮がない。
【0008】
また、特願2006−83445号においては、ストレージ装置に複数の冷却領域を設け、一の冷却領域を通過した外気が他の冷却領域を通過した外気と混合しないように外気誘導領域を構成し、ストレージ装置上部に設置され、ストレージ装置を冷却するファンが排気する外気を減らすことにより、かかるファンから発生する騒音や冷却に要する電力消費を抑制することが提案されていた。
【0009】
しかしながら、ストレージ装置の高密度実装が進み、ストレージ装置に実装されるハードディスクボックス間に設けられる冷却通路の開口面積が狭くなった結果、ストレージ装置の筐体上部に設置されたファンが冷却通路に面すことができないいわゆるデッドスペースができ、ファンの排気風量のうち一部の風量しか生かすことができないためにファンの冷却効率が低減することについては考慮がなされていなかった。また、ストレージ装置は前後面に装置が実装される高密度実装がなされることから、主にストレージ装置上面に排気が出される。ストレージ装置上面に排気するために設置されたファンは天井との間に障害物がないことからファンから発生する騒音がそのまま天井に反射し反射音が生じるが、排気を妨げずにかかる反射音を抑制することについては考慮がなされていなかった。
【0010】
本発明はかかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、高密度実装されたストレージ装置においてもファンの冷却効率を保ち、かつストレージ装置を冷却する際のファンから発生する騒音のうち特に天井からの反射音を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、前記目的を達成するために、複数の記憶媒体をアレイ状に収納する筐体と、前記記憶媒体の駆動回路に電源を供給する電源部と、を備え、前記筐体の接地面側の内部に前記電源部を収納し、当該電源部上の前記筐体内に前記複数の記憶媒体を収納してなるストレージ装置において、複数の記憶媒体を冷却する第1の外気の前記筐体内における通り道となり、前記筐体の上端部で終端する第1の冷却通路と、前記電源部を冷却する第2の外気の前記筐体内における通り道となり、前記筐体の上端部で終端する第2の冷却通路と、前記第1の冷却通路の終端から直下に位置する前記記憶媒体を臨むように前記筐体の上端部に設けられ、前記第1の冷却通路に前記第1の外気を引き込み、前記複数の記憶媒体を冷却した当該第1の外気を前記筐体外に排出するファンと、前記第1の外気と前記第2の外気が混合しないように、前記第1の冷却通路と前記第2の冷却通路とを仕切る仕切体と、を備え、前記ファンは、前記第1の冷却通路の直下に位置する前記記憶媒体の縁辺に対して傾斜するように前記筐体に支持されてなる、ストレージ装置及び前記筐体の上端部に前記ファンを覆うダクトを設け、このダクトは前記ファンから発生する作動音を緩衝するように構成されてなる請求項1記載のストレージ装置を提供することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、高密度実装されたストレージ装置においてもファンの冷却効率を保ち、かつストレージ装置を冷却する際のファンから発生する騒音のうち特に天井からの反射音を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、各図を参照しながら本発明の実施形態について説明する。図1は、ストレージ装置全体を示す斜視図である。図1に示す通り、ストレージ装置100は、大型の矩形を成す筐体200内に、筐体の接地面側から筐体の頭頂側に向かって、順に、DC電源600、バッテリ800、HDD(ハードディスク)ボックス300が収容されて構成されている。かかるストレージ装置は、図示しないストレージ装置に接続されたディスク制御装置により制御される。
【0014】
図示しない上位装置(例えば、ホスト装置)が、図1のストレージ装置に接続され、上位装置によってアクセスされるデータがHDDボックス300内のハードディスクドライブに保存されている。各HDDボックス300には、複数のハードディスクドライブ300Aがアレイ状に配置されている。
【0015】
図2は、ストレージ装置100の筐体200に、各ユニットが収容される状態及び各ユニットを流れる風の方向を示した図である。まず、各ユニットが収容される状態を説明するが、ストレージ装置100の上段には、既述のHDDボックス300が収容されている。HDDボックス300内のハードディスクドライブ300AはHDDボックス300に対して抜き差し可能に収容されている。符号500は、ストレージ装置100の上端面にある、電動ファン500である。このファン500は外気を筐体外からHDDボックス300を経由させて筐体中心側に導き、この外気をストレージ装置100の上端から排気させる。
【0016】
HDDボックス300には、重力方向に8列、鉛直方向に対して直角方向に16列の合計128個のディスクドライブ310Aがアレイ状に搭載されている。なお、複数のフレームを矩形に組み立てて、筐体200の全体が構成されており、筐体上部にHDDボックス300が支持され、筐体下段には、DC電源600及びバッテリ800、さらにACボックス700が収容されている。
【0017】
筐体200の下段には、上述の通り、バッテリ800、ACボックス700、DC電源600が収容され、これらが一体となってストレージ装置100の電源部410Aを形成する。重量の重い電源部410Aをストレージ装置100の下段に配置することにより、ストレージ装置100を接地する際に、ストレージ装置100を安定させている。電源部410Aの上端面には、外気を筐体200外から筐体内に引き込む電動ファン410が配置されている。この電動ファン410は、外気を、電源部410Aを経由させて筐体内に導き、これを筐体200外に排出する。
【0018】
DC電源600は、交流電力を直流電力に変換し、ディスクドライブ310Aに直流電力を供給する。バッテリ800は停電時やDC電源600の異常時等に、ストレージ装置100の内部の各装置に電力を予備的に供給する予備電源である。ACボックス700は、ストレージ装置100に対する交流電力の取り入れ口であり、ブレーカとして機能する。ACボックス700に取り入れられた交流電力がDC電源600に供給される。電源部410Aで発生する熱量は、電動ファン410によって筐体内に供給された外気によって冷却される。
【0019】
次に図1及び図2を用いて、各ユニットを流れる風の方向について説明する。ストレージ装置100の冷却通路は、大きくは二つに分かれ、すなわち、冷却通路は、HDDボックス300を冷却する通路部分212と、電源部410Aを冷却する通路部分214から成る。電動ファン500は外気216を筐体外からHDDボックス300を経由して筐体内に吸引する。この外気はファン500によって、排気218としてストレージ装置100外に排出される。外気216は筐体200外から筐体200内に流れる過程で、ハードディスクドライブの周りを通過して、ハードディスクドライブを冷却する。
【0020】
図2に示した電動ファン410は、外気220を筐体200外から電源部410Aを経由して筐体200内に吸引し、この外気は、筐体200内を上昇して、HDDボックス300の間に設置される後述する仕切体210側面に設けられた冷却通路210Dを通り、HDDボックスの側面から排気224としてHDDボックス300筐体200外に排出される。外気が吸気216、そして排気218として、筐体200内から筐体200外に排出されるまでの冷却通路と、外気が吸気220、そして排気224として筐体外に排出されるまでの冷却通路とは、それぞれの排出する外気が混合しないように形成されている。即ち、外気220がHDDボックス300冷却用の外気と実質的にならないようにされている。なお、図1及び図2において、外気はストレージ装置100の正面及び背面からストレージ装置100内に吸引される。
【0021】
図3は、この構成を示すための斜視図である。図3には示していないが一対のHDDボックス300がストレージ装置100の正面側と背面側からそれぞれストレージ装置100内に収容される。一対のHDDボックス300の間には、図3の吸気220が筐体内を通過する導入ルートを外気216が筐体内を通過する導入ルートから実質的に区別するための、仕切体210が配置されている。この仕切体210の存在によって、筐体内に於ける外気の導入ルートは図3のようになる。図1及び図2の説明とも一部重複するが、吸気216がHDDボックス300の正面及び背面から、後述する抵抗板330に設けられた開口330Aを通じて仕切体210内部の空間に入り、ストレージ装置100の上部にあるファン500によって、排気218として筐体外に排出される。図3において、筐体200の下段の周囲から吸引された外気220は、仕切体210の仕切体側面に設けられた外気通路210Dを通り、図示しないHDDボックス300の内部に至ることなく、排気224となってストレージ装置100外に排出される。
【0022】
次に、仕切体210の構造の詳細を説明する。仕切体210は、平面及び内部が開放された矩形状に形成されている。仕切体210の底面は、外気220(図1参照)を仕切体210内に進入しないようにするために遮蔽されている。仕切体210の左右の側面には、筐体200の下段の周囲から吸引された外気220を通すために、仕切体210内部からの空気が進入しないように遮断された外気通路210Dが設けられている。
【0023】
図3に示すように、仕切体210は、底面210Aと、左右の側面210C及び左右の側面に設けられた外気通路210Dと、仕切体210の全体矩形形状を形成するフレーム210Bとを備えて構成されている。仕切体210の正面及び背面には、フレーム210Bに抵抗板330が固定される。この抵抗板330は、図示しないHDDボックス300に面するように固定される。抵抗板330には、外気が仕切体210内に進めるようにする、複数の開口330Aが形成されている。この開口の数はいずれの抵抗板330においても等しく、また開口面積も等しく、また開口の位置も同位置になるように設定されている。
【0024】
電源部410Aから排出される外気がHDDボックス300内部を通過する外気と混合しないようにする構造となっているため、HDDボックス300内部を通過する空気は、電源部410Aから排出される外気の影響を受けることがない。開口330Aを通過する風の風速Qは風量と開口面積との積により求められるから、HDDボックス300に面する抵抗板330に設けられた開口330Aの面積を全て等しくすれば、風量は一定であるので、風速Qはいずれの開口においても等しくなる。開口面積を等しくするのは、HDDボックス300部上部に実装されたファン500からの距離に関係なく、どの開口330Aにおいても風量及び風速を一定にするためである。このようにすることで、HDDボックス300内を一定の風速の外気が常に通過することにより、HDDボックス300内の温度が均一化され、温度上昇の低減を効率的に図ることができる。
【0025】
図3に示す外気216は開口330Aを介して一定の風速を保ちつつ仕切体210内に導かれ、外気220は、仕切体210内部ではなく、仕切体210の左右の側面に設けられた外気通路210Dを通って筐体内を上昇する。したがって、仕切体210によって、吸気216が誘導される領域と、吸気220が誘導される領域とが分離される。ファン500は吸気216を吸引・排気するのに足りる容量ですみ、図3には図示しないファン410は吸気220を吸引・排気するのに足りる容量ですむ。
【0026】
すなわち、本仕切体210は上部が開いた箱型に形成され、仕切体210の上部にファン500を設けるとともに、仕切体210底部の下方向にもファン410を設けて外気を分離する構造を有する。したがって、ファンが稼動する際の騒音が減り、かつ効率的な外気の排気を可能にする。なお、従来は仕切体210が無く、吸気220は吸気216と筐体内部で一緒になり、一緒になった外気をファン500が纏めて排気していたため、ファン500が大型化していた。この結果、ファン500の消費電力及び騒音も大きくなっていた。また、ファンの羽を回転させる軸部分が大きくなると風路を遮るが、ファン500を小型化することで、流路の面積に応じてファンを設置することができ、またファン500が風を切るときに生じる風切り音も低減させることができる。
【0027】
図3に示すように、仕切体210の底面210Aは、底面の正面側端部211Aと背面側端部211Bとから、仕切体210の中心に向かった傾斜面213Aと図示されない213Bが左右の側面のそれぞれに形成されている。さらに、底面210Aの中心215Aから前記傾斜面213Aと213Bとの図示しない交点213Cとを結ぶよう稜線213Dが形成されている。傾斜面213A、213Bと稜線213Dによって、半三角錐状の凹部217が仕切体210の中心から左右それぞれの側面に向けて一対形成されている。外気220は図3には図示されない、電源部410A上端に設けられたファン410によって仕切体210側に圧送されたのち、仕切体210の底面210Aにぶつかり、凹部217に沿って仕切体210の左右の側面側に誘導される。当該凹部の幅は、凹部が三角錐の形状をしているために、凹部の幅が仕切体210の中心から左右の側面に向けて徐々に大きくなる結果、外気220は、仕切体210の中心から左右の側面側に円滑に誘導される。すなわち、外気220は、仕切体210の中心から左右それぞれの側面に向けて一対形成された凹部217により、仕切体210の中心から、左右の側面側に円滑に誘導される。すなわち、仕切体210は、HDDボックス300が設置されていない方向、つまり側面の方向に電源部410Aからの排気が流れるように凹部を設けた構造を有する。また、傾斜面213A、213Bによって、外気が仕切体の正面側・背面側から中心側に誘導されるようになっている。さらに、かかる外気は、仕切体210の側面に設けられた外気通路210Dを通じて、HDDボックス300側面より排出される。この外気の流れは、図3に示されている。
【0028】
なお、仕切体210の側面に設けて外気を通す外気通路210Dは、図4に示すように、筒状その他の形状の通路を用いてもよい。また、図4に示すように、仕切体210は、仕切体210の底面に凹部を設けた構造をとらず、電源部410A上部に設置された図示されないファン410を用いて仕切体210側面に設けた外気通路210Dに外気を導入する構造を用いてもよい。
【0029】
さらに、図5及び図6を用いて仕切体210上部に設置されたファン500の構造について説明する。仕切体210の上部に設置された丸型の複数のファン500は、HDDボックス300の間に設置される仕切体210の上部に、仕切体210内部の空間である冷却通路に面するように並べて設置される。その際、図6に示すように、ファン500は、HDDボックス300を通過する冷却通路の終端の直下に位置するHDDボックス300の縁辺に対して傾斜するように筐体200に支持されるように構成される。
【0030】
このようにファン500がストレージ装置内にて傾斜するように設置することができるのは、筐体上部に設けられたファン500とストレージ装置上端の天井板との間に、筐体を支えるための1インチ角の角パイプ301が設置されていることから、角パイプ301の厚み分の空間が、ファン500と筐体の天井板303部分との間に存在するため、この空間を利用することができるからである。図7に示す通り、かかる角パイプ301の厚みを考慮すると、HDDボックス300上端面とファン500の設置面との最大の傾斜角度は、6度となる。
【0031】
従来は、ファン500は、図5に示すように、仕切体210の上部に水平に並べて設置されていたが、図5に示すようにファンを設置すると、ファン500のうち冷却通路に面しない、いわゆるデッドスペースとなる面が生じ、冷却通路に面しないデッドスペース部分を活用することができなかった。図6に示すように、記憶媒体収容部上端面に対し、ファン500を傾斜して設置することにより、ファン500の下に空間を確保することができ、ファン500の全ての面が冷却通路に面することとなるので、ファン500の面を全て活用して排気を行うことが可能となり、冷却効率が向上する。さらに風の抵抗も減少するため、ファン500が風を切るときに生じる風切音が減少し、騒音が低減される。さらに、このようにファン500が傾斜して設置されても、前述したとおり、角パイプ301により確保されているファン500と天井板との間の空間内に、ファン500が収容されるため、ストレージ装置100の外形寸法の変更は不要である。
【0032】
続いて、図8、図9を用いて、ストレージ装置100上端に設置されるダクト900について説明する。ダクト900は、緩衝材を付した部材901を複数組み合わせてなり、筐体の上端部に、ファン500を覆うように設置される。すなわち、緩衝材を付した部材901にストレージ装置100の上端に設置されたファン500から出される排気を当て、かかる排気を反射させて排気の向きを変更し、天井以外の方向へ排出するように構成される。具体的には、例えば図8又は図9に示すように、緩衝材を付した部材901をストレージ装置100上端の正面、背面及び側面の4辺を囲むようにストレージ装置100の上端に設置する。さらに、ファン500からの排気が当たるように、かかる緩衝材を付した部材901に、さらに緩衝材を付した第1の部材901を設置する。こうして緩衝材を付した部材901に当てた排気がストレージ装置100外に排出されるように、さらに緩衝材を付した第2の部材901を設置し、排気をかかる緩衝材を付した第2の部材901にあてて、ストレージ装置100の外に排出する。排気を反射して排出する方向は、一つの方向だけでなく複数の方向でもよい。
【0033】
ダクト900の内面の全ては緩衝材を付した部材901で構成される。筐体200の上端に設置されたファン500からの排気は、かかる緩衝材を付した第1及び第2の部材901に当てて反射させ、騒音を低減させながらストレージ装置100外部へ排出する。その際、ファン500からの排気が、ダクト900内に取り付けた緩衝材を付した第1の部材及び第2の部材901に少なくとも一度以上当たるように構成して、騒音を低減させる構造とする。
【0034】
例えば、騒音低減のために緩衝材としてウレタンフォームを付けた部材を用いた場合、1000ヘルツから2000ヘルツの高周波数の音源を吸収できるため、ファンの風切音のような高周波の音を吸収する吸音効果を得ることができる。さらに緩衝材の代わりに緩衝材より高価な吸音材を使用することもでき、かかる吸音材を使用する場合、ファン音源の周波数である800から900ヘルツの低周波も吸収することができる。あるいは吸音面積を広げ、吸音効率を上げる凹凸構造の緩衝材を取り付けてもより幅の広い周波数の音源を吸収することもできる。
【0035】
ダクト900を筐体200の上端に設置することで、天井への反射音が低減されるため、全体としてストレージ装置から発せられる騒音が低減される。また、本構造によるダクト900は、排気の方向や排気が反射される方向を自在に変更することができるため、顧客のニーズにあわせて騒音を低減したい方向又は場所の騒音を効果的に低減することができる。また、ダクト900は着脱自在にストレージ装置100の筐体上部に設置することができるため、顧客のニーズが変更された場合には、自在に取り外したり、または設置したりすることができる。
【0036】
以上本実施の形態について説明したが、上記実施例は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】ストレージ装置全体を示す斜視図である。
【図2】ストレージ装置100の筐体200に、各ユニットが収容される状態及び各ユニットを流れる風の方向を示した図である。
【図3】ストレージ装置の構造を示した図である。
【図4】仕切体のバリエーションを示した図である。
【図5】ファンの構造を示した図である。
【図6】ファンの構造を示した図である。
【図7】傾斜して設置したファンの構造を示す図である。
【図8】ストレージ装置上部に設置するダクトの構造を示す図である。
【図9】ストレージ装置上部に設置するダクトの構造を示す図である。
【符号の説明】
【0038】
100 ストレージ装置
200 筐体
210 仕切体
212、214 冷却領域
216、220 吸気
218、224 排気
300 HDDボックス
310 ディスクドライブ
330 抵抗板
410 電動ファン
500 電動ファン
600 DC電源
700 ACボックス
800 バッテリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の記憶媒体をアレイ状に収納する筐体と、前記記憶媒体の駆動回路に電源を供給する電源部と、を備え、前記筐体の接地面側の内部に前記電源部を収納し、当該電源部上の前記筐体内に前記複数の記憶媒体を収納してなるストレージ装置において、
複数の記憶媒体を冷却する第1の外気の前記筐体内における通り道となり、前記筐体の上端部で終端する第1の冷却通路と、
前記電源部を冷却する第2の外気の前記筐体内における通り道となり、前記筐体の上端部で終端する第2の冷却通路と、
前記第1の冷却通路の終端から直下に位置する前記記憶媒体を臨むように前記筐体の上端部に設けられ、前記第1の冷却通路に前記第1の外気を引き込み、前記複数の記憶媒体を冷却した当該第1の外気を前記筐体外に排出するファンと、
前記第1の外気と前記第2の外気が混合しないように、前記第1の冷却通路と前記第2の冷却通路とを仕切る仕切体と、
を備え、
前記ファンは、前記第1の冷却通路の直下に位置する前記記憶媒体の縁辺に対して傾斜するように前記筐体に支持されてなる、ストレージ装置。
【請求項2】
前記筐体の上端部に前記ファンを覆うダクトを設け、このダクトは前記ファンから発生する作動音を緩衝するように構成されてなる請求項1記載のストレージ装置。
【請求項3】
前記ダクトが、前記筐体に着脱自在に取り付け可能に構成される請求項2記載のストレージ装置。
【請求項4】
前記ダクトは前記ファンを通過した外気を前記筐体外に排出するための排気通路を備え、当該排気通路に前記作動音に対する緩衝材が敷設されている、請求項2記載のストレージ装置。
【請求項5】
前記ダクトは前記ファンを通過した外気を、前記排気通路を介して前記筐体外に排出させる過程で、前記外気を前記緩衝材からなる複数の緩衝面間で反射させる、請求項4記載のストレージ装置。
【請求項6】
前記ファンは前記電源部を冷却した第2の外気を前記筐体外に排出する、請求項1記載のストレージ装置。
【請求項7】
前記第2の外気を前記第2の冷却通路に引き込む、他のファンが設けられてなる、請求項1記載のストレージ装置。
【請求項8】
前記仕切体の正面及び背面に複数の開口が設けられている、請求項1記載のストレージ装置。
【請求項9】
前記仕切体が前記筐体の上端部まで前記第1の冷却通路と前記第2の冷却通路とを仕切り、前記ファンが当該第2の冷却通路の端部に臨み、前記第2の外気を前記筐体外に排出するよう構成されている請求項1記載のストレージ装置。
【請求項10】
前記複数の記憶媒体は前記仕切体の正面及び背面側にそれぞれ位置し、前記第1の外気は前記正面及び背面の開口を介して、当該正面と背面との間の前記第1の冷却通路に導入される請求項8記載のストレージ装置。
【請求項11】
前記ファンの前記第1の冷却通路の中心側が前記第1の冷却通路の側面側よりも前記第1の外気の排出方向になるように前記筐体に支持されてなる、請求項1記載のストレージ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−47249(P2008−47249A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−223505(P2006−223505)
【出願日】平成18年8月18日(2006.8.18)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】