説明

ストローク表示システム及びプログラム

【課題】より多くの手書きストロークの記入を可能にし、そのストロークを表示することが可能なストローク表示システム及びそのプログラムを提供する。
【解決手段】ストローク表示システムは、コンピュータ装置と、電子ペンと、スクリーンと、プロジェクタと、を備える。スクリーンは、コード化パターンが一部又は全面に印刷され、複数のストローク画面と、所定のマークとが投影される。少なくとも一つのストローク画面は、スクリーンの表示面のうちコード化パターンが付されたエリアに投影される。そして、コンピュータ装置は、電子ペンから送信される記入情報がストローク画面への入力を示す場合、当該記入情報に基づいて、手書きストロークをスライド画像に上書きして表示し、記入情報がマークへの入力を示す場合、スライド画像を異なるストローク画面へ移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子ペンで読み取り可能なコード化パターンを利用したシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、記入した情報を電子化する電子ペンが開発されており、その代表的なものとしてスウェーデンのAnoto社が開発した「アノトペン(Anoto pen)」が知られている。アノトペンは、所定のドットパターンが印刷された専用紙とともに使用される。アノトペンは、ペン先部に、文字等を書くための通常のインクカートリッジに加えて、専用紙に印刷されたドットパターンを撮像するための小型カメラと、撮像したドットパターンから専用紙における位置座標を演算するプロセッサと、演算された位置座標等を外部機器へ送信するデータ通信ユニットとを搭載している。ユーザが専用紙上にアノトペンで文字等を書いたり、専用紙上に図案化されている画像にチェックマークを記入したりすると、ペンの移動に伴って小型カメラが専用紙に印刷されたドットパターンを撮像し、プロセッサによって演算された連続する位置座標から、ユーザが書き込んだ文字、画像などの記入情報が認識される。そして、この記入情報が、データ通信ユニットによりアノトペンから近くのパーソナルコンピュータや携帯電話などの端末装置に送信される(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献2には、会議やプレゼンテーション等に利用されるプレゼンテーションシステムにおいて、スクリーンの一部(左下)に記入されたストロークを、記入された部分に表示すると共に、他の部分(右上)に拡大して表示する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2003−511761号公報
【特許文献2】特開2006−012039号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
スクリーンにコード化パターンを印刷し、電子ペンから送信される記入情報に基づきスクリーンに投影した表示を更新するストローク表示システムにおいて、スクリーンが大型の場合にはユーザの手が届かず書き込みができない範囲が存在し、有効にスクリーンの表示面全体を活用できていない場合がある。そこで、本発明は、より多くの手書きストロークの記入を可能にし、そのストロークを表示することが可能なストローク表示システム及びそのプログラムを提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの観点では、コンピュータ装置と、前記コンピュータ装置と通信可能であり、コード化パターンを読取り、手書きストロークに関する記入情報を生成する電子ペンと、少なくとも一部にコード化パターンが印刷された表示面を有するスクリーンと、前記コンピュータ装置から送信された画像信号に基づく前記コンピュータ装置の表示画面を前記表示面に投影するプロジェクタと、を備えるストローク表示システムであって、前記コンピュータ装置は、前記表示画面において、複数のストローク画面の各々に、無地又は所定のデザインを有するスライド画像を表示するとともに、所定のマークを表示する処理手段と、前記電子ペンから前記記入情報を受信する受信手段と、を備え、少なくとも一つの前記ストローク画面は、前記表示面のうち前記コード化パターンが付されたエリアに投影され、前記処理手段は、前記記入情報が前記ストローク画面への入力を示す場合、当該記入情報に基づいて、手書きストロークをスライド画像に上書きして表示し、前記記入情報が前記マークへの入力を示す場合、表示中のストローク画面とは異なるストローク画面へ前記スライド画像を移動させる。
【0007】
本ストローク表示システムは、コンピュータ装置と、電子ペンと、スクリーンと、プロジェクタと、を備える。スクリーンには、コード化パターンが一部又は全面に印刷され、複数のストローク画面と、所定のマークとが投影される。少なくとも一つのストローク画面は、スクリーンの表示面のうちコード化パターンが付されたエリアに投影される。そして、コンピュータ装置は、電子ペンから送信される記入情報がストローク画面への入力を示す場合、当該記入情報に基づいて、手書きストロークをスライド画像に上書きして表示し、記入情報がマークへの入力を示す場合、スライド画像を異なるストローク画面へ移動させる。このように、ストローク表示システムは、スクリーンの表示面に複数のストローク画面を表示させ、マークへの入力に基づきストローク画面に表示されるスライド画像を移動させることで、ユーザが書き込み可能なスペースを実質的に拡大すると共に、新しく書き込みされるスライド画像が表示されるストローク画面とは別のストローク画面に、書き込みがなされたスライド画像を引き続き表示させることができる。
【0008】
本発明の別の観点では、コンピュータ装置と、前記コンピュータ装置と通信可能であり、コード化パターンを読取り、手書きストロークに関する記入情報を生成する電子ペンと、少なくとも一部にコード化パターンが印刷された表示面を有するスクリーンと、コード化パターンと所定のマークとが印刷された指示媒体と、前記コンピュータ装置から送信された画像信号に基づく前記コンピュータ装置の表示画面を前記表示面に投影するプロジェクタとを備えるストローク表示システムであって、前記コンピュータ装置は、前記表示画面において、複数のストローク画面の各々に、無地又は所定のデザインを有するスライド画像を表示する処理手段と、前記電子ペンから前記記入情報を受信する受信手段とを備え、少なくとも一つの前記ストローク画面は、前記表示面のうち前記コード化パターンが付されたエリアに投影され、前記処理手段は、前記記入情報が前記ストローク画面への入力を示す場合、当該記入情報に基づいて、手書きストロークをスライド画像に上書きして表示し、前記記入情報が前記マークへの入力を示す場合、表示中のストローク画面とは異なるストローク画面へ前記スライド画像を移動させる。
【0009】
本ストローク表示システムは、コンピュータ装置と、電子ペンと、スクリーンと、指示媒体と、プロジェクタと、を備える。スクリーンには、コード化パターンが一部又は全面に印刷され、複数のストローク画面が投影され、少なくとも一つのストローク画面は、スクリーンの表示面のうちコード化パターンが付されたエリアに投影される。指示媒体には、コード化パターンと所定のマークとが印刷されている。そして、コンピュータ装置は、電子ペンから送信される記入情報がストローク画面への入力を示す場合、当該記入情報に基づいて、手書きストロークをスライド画像に上書きして表示し、記入情報がマークへの入力を示す場合、スライド画像を異なるストローク画面へ移動させる。このように、ストローク表示システムは、スクリーンの表示面に複数のストローク画面を表示させ、マークへの入力に基づきストローク画面に表示されるスライド画像を移動させることで、ユーザが書き込み可能なスペースを実質的に拡大すると共に、新しく書き込みされるスライド画像が表示されるストローク画面とは別のストローク画面に、書き込みがなされたスライド画像を引き続き表示させることができる。
【0010】
上記のストローク表示システムの一態様では、前記ストローク画面には、通し番号の画面番号が割り当てられ、前記マークは、第1のマークと、第2のマークとに分類され、前記処理手段は、前記入力情報が第1のマークへの入力を示す場合、前記画面番号が大きくなるストローク画面へ前記スライド画像の表示位置をそれぞれスライド移動させ、前記入力情報が第2のマークへの入力を示す場合、前記画面番号が小さくなるストローク画面へ前記スライド画像の表示位置をそれぞれスライド移動させる。この態様では、ストローク表示システムは、第1のマーク及び第2のマークへの電子ペンによる入力に基づき、画面番号が大きくなるストローク画面の方向及び画面番号が小さくなるストローク画面の方向のいずれの方向にもスライド画像の表示位置をスライド移動させることができる。
【0011】
上記のストローク表示システムの他の一態様では、前記処理手段は、前記入力情報が第1のマークへの入力を示す場合であって最も大きい画面番号に対応するストローク画面にスライド画像が既に表示されていた場合、当該スライド画像を、当該ストローク画面にスライドして表示されるスライド画像の背後かつ一部が視認される態様で表示させる。この態様では、ストローク表示システムは、第1のマークが選択されて最も大きい画面番号に対応するストローク画面にスライド画像が複数配置される場合であっても、これらのスライド画像の存在をユーザに視認させることができる。
【0012】
上記のストローク表示システムの他の一態様では、前記入力情報が第2のマークへの入力を示す場合、最も小さい画面番号に対応するストローク画面に既に表示されていたスライド画像を、当該ストローク画面にスライドして表示されるスライド画像の背後かつ一部が視認される態様で表示させる。この態様では、ストローク表示システムは、第2のマークが選択されて最も小さい画面番号に対応するストローク画面にスライド画像が複数配置される場合であっても、これらのスライド画像の存在をユーザに視認させることができる。
【0013】
上記のストローク表示システムの他の一態様では、前記スライド画像は、通し番号であるページ番号が付され、前記処理手段は、全てのスライド画像を、ページ番号が視認される態様で表示させる。これにより、ストローク表示システムは、全スライド画像のページ番号を表示してユーザの操作性を向上させることができる。
【0014】
上記のストローク表示システムの他の一態様では、前記スライド画像は、通し番号であるページ番号が付され、前記処理手段は、前記入力情報が第1のマークへの入力を示す場合であって、かつ、最も小さい画面番号のストローク画面に表示中のスライド画像のページ番号が最も後に付されたページ番号である場合、当該ページ番号の次のページ番号を付したスライド画像を生成して当該ストローク画面に表示させる。これにより、ストローク表示システムは、円滑に新規のスライド画像を生成し、当該スライド画像にページ番号を付すことができる。
【0015】
本発明の他の観点では、コンピュータ装置と、前記コンピュータ装置と通信可能であり、コード化パターンを読取り、手書きストロークに関する記入情報を生成する電子ペンと、少なくとも一部にコード化パターンが印刷された表示面を有するスクリーンと、前記コンピュータ装置から送信された画像信号に基づく前記コンピュータ装置の表示画面を前記表示面に投影するプロジェクタと、を備えるストローク表示システムにおける前記コンピュータ装置に搭載され実行されるプログラムであって、前記表示画面において、複数のストローク画面の各々に、無地又は所定のデザインを有するスライド画像を表示するとともに、所定のマークを表示する処理手段、前記電子ペンから前記記入情報を受信する受信手段、として前記コンピュータ装置を機能させ、少なくとも一つの前記ストローク画面は、前記表示面のうち前記コード化パターンが付されたエリアに投影され、前記処理手段は、前記記入情報が前記ストローク画面への入力を示す場合、当該記入情報に基づいて、手書きストロークをスライド画像に上書きして表示し、前記記入情報が前記マークへの入力を示す場合、表示中のストローク画面とは異なるストローク画面へ前記スライド画像を移動させる。
【0016】
本発明の他の観点では、コンピュータ装置と、前記コンピュータ装置と通信可能であり、コード化パターンを読取り、手書きストロークに関する記入情報を生成する電子ペンと、少なくとも一部にコード化パターンが印刷された表示面を有するスクリーンと、コード化パターンと所定のマークとが印刷された指示媒体と、前記コンピュータ装置から送信された画像信号に基づく前記コンピュータ装置の表示画面を前記表示面に投影するプロジェクタと、を備える前記コンピュータ装置に搭載され実行されるプログラムであって、前記表示画面において、複数のストローク画面の各々に、無地又は所定のデザインを有するスライド画像を表示する処理手段、前記電子ペンから前記記入情報を受信する受信手段として前記コンピュータ装置を機能させ、少なくとも一つの前記ストローク画面は、前記表示面のうち前記コード化パターンが付されたエリアに投影され、前記処理手段は、前記記入情報が前記ストローク画面への入力を示す場合、当該記入情報に基づいて、手書きストロークをスライド画像に上書きして表示し、前記記入情報が前記マークへの入力を示す場合、表示中のストローク画面とは異なるストローク画面へ前記スライド画像を移動させる。
【0017】
上記プログラムの一態様では、前記ストローク画面には、通し番号の画面番号が割り当てられ、前記マークは、第1のマークと、第2のマークとに分類され、前記処理手段は、前記入力情報が第1のマークへの入力を示す場合、前記画面番号が大きくなるストローク画面へ前記スライド画像の表示位置をそれぞれスライド移動させ、前記入力情報が第2のマークへの入力を示す場合、前記画面番号が小さくなるストローク画面へ前記スライド画像の表示位置をそれぞれスライド移動させる。
【0018】
上記プログラムの他の一態様では、前記処理手段は、前記入力情報が第1のマークへの入力を示す場合であって最も大きい画面番号に対応するストローク画面にスライド画像が既に表示されていた場合、当該スライド画像を、当該ストローク画面にスライドして表示されるスライド画像の背後かつ一部が視認される態様で表示させる。
【0019】
上記プログラムの他の一態様では、前記処理手段は、前記入力情報が第2のマークへの入力を示す場合、最も小さい画面番号に対応するストローク画面に既に表示されていたスライド画像を、当該ストローク画面にスライドして表示されるスライド画像の背後かつ一部が視認される態様で表示させる。
【0020】
上記プログラムの他の一態様では、前記スライド画像は、通し番号であるページ番号が付され、前記処理手段は、全てのスライド画像を、ページ番号が視認される態様で表示させる。
【0021】
上記プログラムの他の一態様では、前記スライド画像は、通し番号であるページ番号が付され、前記処理 手段は、前記入力情報が第1のマークへの入力を示す場合であって、かつ、最も小さい画面番号のストローク画面に表示中のスライド画像のページ番号が最も後に付されたページ番号である場合、当該ページ番号の次のページ番号を付したスライド画像を生成して当該ストローク画面に表示させる。
【0022】
これらのプログラムをコンピュータ装置にインストールして機能させることで、本発明に係るストローク表示システムを構成させることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、ストローク表示システムは、スクリーンに複数のストローク画面を表示すると共に、ストローク画面へ記入された手書きストロークを当該ストローク画面に表示中のスライド画像に上書きし、マークへの入力があった場合にはストローク画面に表示されるスライド画像を移動させることにより、ユーザが書き込み可能なスペースを実質的に拡大すると共に、書き込みがなされたスライド画像を引き続き表示させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】第1実施形態におけるストローク表示システムのシステム構成図である。
【図2】ドットパターンにおけるドットの配置と変換される値との関係を示す説明図である。
【図3】(a)は、ドットパターンを模式的に示し、(b)は、それに対応する情報の例を示す図である。
【図4】電子ペンの構造を示す概略図である。
【図5】コンピュータ装置の機能ブロック図の一例である。
【図6】座標定義情報のデータ構造を示す概略図である。
【図7】各実施形態に共通した処理フローを示すフローチャートである。
【図8】第1実施形態における表示例である。
【図9】図8に示す状態から画面進むマークがタップされた場合の表示例である。
【図10】図9に示す状態から画面進むマークがタップされた場合の表示例である。
【図11】図10に示す状態から画面戻るマークがタップされた場合の表示例である。
【図12】変形例に係る座標定義情報のデータ構造を示す概略図である。
【図13】変形例に係る座標定義情報のデータ構造を示す概略図である。
【図14】第2実施形態におけるストローク表示システムのシステム構成図である。
【図15】第2実施形態における表示例である。
【図16】図15に示す状態から画面進むマークがタップされた場合の表示例である。
【図17】図16に示す状態から画面進むマークがタップされた場合の表示例である。
【図18】図17に示す状態から画面進むマークがタップされた場合の表示例である。
【図19】図18に示す状態から画面進むマークがタップされた場合の表示例である。
【図20】図19に示す状態から画面進むマークがタップされた場合の表示例である。
【図21】第2実施形態の変形例に係るストローク表示システムのシステム構成図である。
【図22】第2実施形態の変形例に係る座標定義情報のデータ構造を示す概略図である。
【図23】第2実施形態の変形例に係る表示例である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態である第1実施形態及び第2実施形態について順に説明する。
【0026】
<第1実施形態>
まず、本発明に係る第1実施形態について説明する。
【0027】
[ストローク表示システムの構成]
図1は、第1実施形態に係るストローク表示システムの構成を示す。図1に示すように、第1実施形態に係るストローク表示システムは、ユーザが使用する電子ペン1と、電子ペン1から記入情報等を受信して処理するコンピュータ装置2と、ドットパターン(コード化パターン)が印刷された大型スクリーン4と、コンピュータ装置2に接続され、コンピュータ装置2のディスプレイの表示画面と同じ画像を、大型スクリーン4に投影するプロジェクタ3とを備える。以下、主要な各構成要素について説明する。
【0028】
(プロジェクタ)
プロジェクタ3は、コンピュータ装置2に接続され、コンピュータ装置2のディスプレイの表示画面と同じ画像を、大型スクリーン4の投影範囲8に投影する。表示画面が投影された大型スクリーン4上の領域を、以降「投影範囲8」と呼ぶ。本実施形態の場合、投影範囲8には、第1画面91と、第2画面92と、画面進むマーク5と、画面戻るマーク6とが投影される。
【0029】
(大型スクリーン)
大型スクリーン4は、白地の樹脂基板に、電子ペン1により読み取ることができるよう赤外線を吸収するカーボンを含んだインクによりドットパターン(コード化パターン)がドットパターン印刷範囲7内に印刷され、さらにドットパターンが例えば透明なEB硬化樹脂層などで保護された層構成を有している。ドットパターン印刷範囲7は、少なくとも、ユーザの手が全面に届く範囲に設定される。また、ユーザは、ドットパターン印刷範囲7内に、少なくとも第1画面91と、画面進むマーク5と、画面戻るマーク6とが投影されるように、プロジェクタ3の位置や投影角度を調節する。なお、ドットパターン印刷範囲7は、大型スクリーン4の全体に設定されてもよい。
【0030】
(ドットパターン)
続いて、ドットパターン印刷範囲7に印刷されたアノト方式のドットパターン(コード化パターン)について図2及び図3を用いて説明する。図2は、ドットパターンのドットとそのドットが変換される値との関係を説明する図である。図2に示すように、ドットパターンの各ドットは、その位置によって所定の値に対応付けられている。すなわち、ドットの位置を仮想格子の基準位置(縦線及び横線の交差点)から上下左右のどの方向にシフトするかによって、各ドットは、0〜3の値に対応付けられている。また、各ドットの値は、さらに、X座標用の第1ビット値及びY座標用の第2ビット値に変換できる。このようにして対応付けられた情報の組合せにより、大型スクリーン4上の位置座標が決定されるよう構成されている。
【0031】
図3(a)は、あるドットパターンの配列を示している。図3(a)に示すように、縦横約2mmの範囲内に6×6個のドットが、ドットパターン印刷範囲7上のどの部分から6×6ドットを取ってもユニークなパターンとなるように配置されている。これら36個のドットにより形成されるドットパターンは位置座標(例えば、そのドットパターンがドットパターン印刷範囲7上のどの位置にあるのか)を保持している。図3(b)は、図3(a)に示す各ドットを、格子の基準位置からのシフト方向によって、図2に示す規則性に基づいて対応づけられた値に変換したものである。この変換は、ドットパターンの画像を撮影する電子ペン1によって行われる。
【0032】
(電子ペン)
次に、電子ペン1について図4を用いて説明する。図4は、電子ペン1の構造を示す概略図である。図4に示すように、電子ペン1は、その筐体101の内部に、ペン部104、LED105、CMOSカメラ106、圧力センサ107、CPU等により構成されるプロセッサ108、ROMやRAMといったメモリ109、リアルタイムクロック110、アンテナ等により構成される通信ユニット111及びバッテリー112を備える。ペン部104の先端は、ペン先部103となっており、ユーザは、電子ペン1のペン先部103をドットパターン印刷範囲7上に当接させて、ストローク(手書きストローク)を記入する。ここで、電子ペン1のペン先部103が大型スクリーン4に最初に接触することをペンダウンと呼び、接触している(当接している)状態からペン先部103が離れることをペンアップと呼ぶ。電子ペン1のペンダウンからペンアップまでの間に記入される軌跡が1つのストロークとなり、文字や図形等は、1つ又は複数個のストロークからなる。
【0033】
バッテリー112は、電子ペン1内の各部品に電力を供給するためのものであり、例えば電子ペン1のキャップ(図示せず)の脱着により電子ペン1自体の電源のオン/オフを行うよう構成させてもよい。リアルタイムクロック110は、現在時刻(タイムスタンプ)を示す時刻情報を発信し、プロセッサ108に供給する。圧力センサ107は、ユーザが電子ペン1によりドットパターン印刷範囲7に文字やマークを書いたりタップしたりする際にペン先部103からペン部104を通じて与えられる圧力、即ち筆圧を検出し、その値をプロセッサ108へ伝送する。
【0034】
プロセッサ108は、圧力センサ107から与えられる筆圧データに基づいて、LED105及びCMOSカメラ106のスイッチのオン/オフを切替える。即ち、ユーザが電子ペン1でドットパターン印刷範囲7に文字などを書くと、ペン先部103に筆圧がかかり、圧力センサ107によって所定値以上の筆圧が検出されたときに、プロセッサ108は、ユーザが記入を開始したと判定して、LED105及びCMOSカメラ106を作動させる。そして、通信ユニット111が、圧力センサ107により検出されたペンダウン情報と、後述する電子ペン1の識別情報(以後、「ペンID」と呼ぶ。)とを関連付けて、記入情報としてコンピュータ装置2へ送信する。また、ユーザが1つのストロークを記入し終えて電子ペン1を大型スクリーン4から離すと、圧力センサ107は、所定値以上の筆圧が検出されなくなることでペンアップを検出する。すると、通信ユニット111が、圧力センサ107により検出されたペンアップ情報とペンIDとを関連付けて、記入情報としてコンピュータ装置2へ送信する。
【0035】
LED105とCMOSカメラ106は、電子ペン1のペン先部103付近に取り付けられており、筐体101におけるLED105及びCMOSカメラ106と対向する部分には、開口部102が形成されている。LED105は、大型スクリーン4上のペン先部103近傍に向けて赤外線を照明する。その領域は、ペン先部103が大型スクリーン4に接触する位置とはわずかにずれている。CMOSカメラ106には、赤外線を透過し赤外線以外を遮断する赤外線フィルタが設けられており、CMOSカメラ106は、LED105によって照明された領域内におけるドットパターンを撮影し、そのドットパターンの画像データをプロセッサ108に供給する。ここで、カーボンは赤外線を吸収するため、LED105によって照射された赤外線は、ドットに含まれるカーボンによって吸収される。そのため、ドットの部分は、赤外線の反射量が少なく、ドット以外の部分は赤外線の反射量が多い。CMOSカメラ106の撮影により、赤外線の反射量の違いから閾値を設けることによって、カーボンを含むドットの領域とそれ以外の領域を区別することができる。なお、CMOSカメラ106による撮影領域は、図3(a)に示すような約2mm×約2mmの大きさを含む範囲であり、CMOSカメラ106の撮影は毎秒50〜100回程度の定間隔で行われる。
【0036】
プロセッサ108は、ユーザの記入が行われる間、CMOSカメラ106によって供給される画像データのドットパターンから、ユーザが記入するストローク(筆跡)のドットパターン印刷範囲7におけるX、Y座標(以後、単に「座標データ」または「座標情報」とも呼ぶ。)を連続的に演算していく。すなわち、プロセッサ108は、CMOSカメラ106によって供給される、図3(a)に示されるようなドットパターンの画像データを図3(b)に示すデータ配列に変換し、さらに、X座標ビット値・Y座標ビット値に変換して、そのデータ配列から所定の演算方法によりX、Y座標データを演算する。そして、プロセッサ108は、リアルタイムクロック110から発信される現在時刻(タイムスタンプ:記入された時刻情報)、筆圧データ及びX、Y座標データを関連付ける。以後、これらの関連付けたデータを、まとめて「座標属性情報」と呼ぶ。なお、ドットパターン印刷範囲7における6×6のドットパターンは、ドットパターン印刷範囲7内で重複することはないため、ユーザが電子ペン1で文字等を記入すると、記入された位置がドットパターン印刷範囲7のどの位置に当たるかを、プロセッサ108による座標演算により特定することができる。
【0037】
メモリ109には、電子ペン1を識別するための「pen01」といったペンID、ペン製造者番号、ペンソフトウェアのバージョン等のプロパティ情報が記憶されている。そして、通信ユニット111は、ペンIDと、時刻情報(タイムスタンプ)と、筆圧データと、X、Y座標データとを関連付けて、記入情報としてコンピュータ装置2へ送信する。通信ユニット111によるコンピュータ装置2への送信は、Bluetooth(登録商標)などの無線送信によって、即時的かつ逐次的に行われる。ここで、電子ペン1のペンダウンからペンアップまでの間に生成されてコンピュータ装置2に送信された1個又は複数個の座標属性情報は、コンピュータ装置2によりストローク情報として記憶される。換言すると、1つのストロークは、1個又は複数個のX、Y座標(座標点)からなり、コンピュータ装置2は、ペンダウン情報及びペンアップ情報によって、1つのストロークを構成する1個又は複数個の座標属性情報を認識する。このように、ユーザの一つのストロークの記入により、電子ペン1によって生成される座標属性情報の集合を「ストローク情報」と呼ぶ。また、ペン先部103は、インクを有さず、筆圧をペン部104を介して圧力センサ107に伝達する。
【0038】
(コンピュータ装置)
次に、コンピュータ装置2について説明する。コンピュータ装置2は、ハードウェアとして、電子ペン1とのデータ通信が可能なアンテナ装置、CPU等のプロセッサ、ROMやRAMといったメモリ、ディスプレイ、マウスやキーボード等で構成されるパーソナルコンピュータ等で構成される。図5は、コンピュータ装置2の機能ブロック図である。コンピュータ装置2は、機能的には、マウスやキーボードといった入力手段21、受信手段22、処理手段24、記憶手段25、表示手段26、及び送信手段27を備える。そして、コンピュータ装置2は、電子ペン1から受信した記入情報に基づいて所定の処理を行うものである。例えば、コンピュータ装置2は、大型スクリーン4のドットパターンにかかる座標系をディスプレイ(表示手段26)にかかる座標系に変換するための座標変換関数を求めるキャリブレーション処理機能と、そのキャリブレーション処理により求められた座標変換関数を用いて、大型スクリーン4のドットパターンにかかる座標系のデータを受信したときに、ディスプレイ(表示手段26)にかかる座標系のデータに変換し、ストロークを描画したり、所定の処理を行ったりする機能を有している。
【0039】
受信手段22は、アンテナ受信回路等により構成され、電子ペン1から記入情報を受信し、処理手段24に伝送する。表示手段26は、ディスプレイ等によって構成され、処理手段24によって指示された内容を表示する。送信手段27は、処理手段24の処理命令に基づき、表示手段26に画像を表示するための画像信号をプロジェクタ3に送信し、表示手段26の画像と同じ画像を同期して大型スクリーン4へ投影させる。
【0040】
処理手段24は、CPU等のプロセッサによって構成され、コンピュータ装置2の全体の制御を行う。具体的には、処理手段24は、キャリブレーション用マークを少なくとも2以上、表示手段26に表示させることにより、プロジェクタ3に対し、大型スクリーン4にもキャリブレーション用マークを投影させ、キャリブレーション用マークが投影された位置のドットパターンを電子ペン1に読み取らせて記入情報を受信することで、大型スクリーン4のドットパターンにかかる座標系を表示手段26のディスプレイにかかる座標系(「ディスプレイ座標系」とも呼ぶ。)に変換するための座標変換関数を求めて記憶手段25に記憶する(キャリブレーション処理機能)。
【0041】
また、処理手段24は、第1画面91、第2画面92、画面進むマーク5及び画面戻るマーク6を含む表示画面を描画して、表示手段26に表示させる。なお、第1画面91、画面進むマーク5及び画面戻るマーク6が、大型スクリーン4上のドットパターン印刷範囲8内に投影されるように、プロジェクタ3が調節される。第1画面91、画面進むマーク5及び画面戻るマーク6が投影されたドットパターン印刷範囲8のそれぞれの領域(エリア)を、以降、「入力エリア」、「画面進むエリア」及び「画面戻るエリア」と呼ぶ。また、処理手段24は、デザインテンプレートに基づいてスライド画像を生成して、生成したスライド画像を第1画面91に表示させる。このとき、処理手段24は、生成順に通し番号であるページ番号(スライド番号)をスライド画像に付す。ページ番号は「P−N」(Nは自然数)で表わされ、処理手段24は、新たなスライド画像を生成するごとに、N(初期値は1)の値を1ずつ増加させる。そして、処理手段24は、記憶手段25に記憶させた最新ページ番号を更新する。処理手段24は、初期状態では、第1画面91に、ページ番号「P−1」を付したスライド画像を表示させる。
【0042】
第1画面91は、画面移動に伴って生成された新たなスライド画像が表示される画面領域であって、画面番号が「1」の画面である。第1画面91は、大型スクリーン4のユーザの手が届く範囲に投影されて、電子ペン1を用いてコンピュータ装置2に情報を入力するための画面である。また、第2画面92は、画面進むマーク5が投影された画面進むエリアへの電子ペン1による記入により画面移動が指示された場合に、第1画面91に表示中のスライド画像が移動されて表示される画面領域であって、画面番号が「2」の画面である。換言すると、第2画面92は、第1画面91に表示されるスライド画像のページ番号「P−N」の1つ前のページ番号「P−(N−1)」のスライド画像が表示される画面である。第2画面92は、第1画面91の上段に隣接して設定される。画面進むマーク5は、画面移動(進む)の処理に関連付けられており、ユーザが画面移動を指示する際に電子ペン1により、画面進むマーク5の大型スクリーン4上の投影領域である画面進むエリアがタップされる。処理手段24は、電子ペン1から受信した記入情報から、画面進むエリアへの記入であることを判定すると、第1画面91に表示中のスライド画像を第2画面92に移動して表示させると共に、そのスライド画像の次のページ番号を有するスライド画像を第1画面91に表示させる。画面戻るマーク6は、画面移動(戻る)の処理に関連付けられており、ユーザが画面移動を指示する際に電子ペン1により、画面戻るマーク6の大型スクリーン4上の投影領域である画面戻るエリアがタップされる。処理手段24は、電子ペン1から受信した記入情報から、画面戻るエリアへの記入であることを判定すると、第2画面92に表示中のスライド画像を第1画面91にスライドして表示させると共にそのスライド画像の1つ前のページ番号のスライド画像を第2画面92に表示させる。画面進むマーク5は、本発明における「第1のマーク」、画面戻るマーク6は、本発明における「第2のマーク」の一例である。
【0043】
以後では、画面進むマーク5及び画面戻るマーク6を総称して、「画面移動マーク」とも呼ぶ。また、「画面進むエリア」及び「画面戻るエリア」を総称して、「画面移動エリア」とも呼ぶ。さらに、第1画面91及び第2画面92を総称して、「ストローク画面」とも呼ぶ。また、画面番号が最も大きい画面(第1実施形態では、第2画面92)を、「最終画面」とも呼ぶ。さらに、第1画面91及び第2画面92が投影された大型スクリーン4上の領域(エリア)を「画面エリア」とも呼ぶ。
【0044】
コンピュータ装置2が電子ペン1から記入情報を受信すると、処理手段24は、大型スクリーン4にかかる座標系のデータである、当該記入情報に含まれる座標データを、キャリブレーション処理により求められた座標変換関数を用いて、ディスプレイ座標系のデータに変換する。そして、処理手段24は、変換後の座標データに基づいて、電子ペン1によって記入された位置が、大型スクリーン4上のドットパターン印刷範囲7(以降、「記入エリア」と呼ぶ。)であることを認識する。そして、処理手段24は、認識した位置が、電子ペンでストロークを入力するための入力エリアである第1画面91内であると認識した場合には、変換後の座標データを記憶手段25に記憶するとともに、当該変換後の座標データ等に基づくストロークをスライド画像上に描画する。そして、処理手段24は、描画後のスライド画像を例えば同一ページ番号の描画前のスライド画像のデータに上書き保存するなどにより記憶手段25に記憶させる。この上書き保存は、画面移動する際や入力手段21の操作による記憶指示を検知した際などの所定のタイミングで行うようにしてもよい。また、処理手段24は、認識した位置が、記入エリア内の画面移動エリアである場合には、第1画面91及び第2画面92にそれぞれ表示中のスライド画像を移動させる。このとき、処理手段24は、画面進むマーク5がタップされた場合には、第1画面91に表示されていたスライド画像を、第2画面92に表示するように移動させ、第1画面91に表示されていたスライド画像の次のページ番号のスライド画像が生成されている場合には、当該次ページ番号のスライド画像を、第1画面91に表示するようにする。その一方、第1画面91に現在表示されていたスライド画像のページ番号が、生成されたスライド画像のページ番号の中で最も大きい場合には、即ち、最新ページ番号と一致する場合には、当該ページ番号よりも1だけ大きいページ番号を付与してスライド画像を新たに生成して第1画面91に表示する。また、処理手段24は、画面戻るマーク6がタップされた場合、第1画面91に表示されていたスライド画像を背面にして、第2画面92に表示されていたスライド画像を第1画面91に表示し、第2画面92に表示されていたスライド画像よりも前のページ番号のスライド画像が生成されている場合には、当該前ページ番号のスライド画像を、第2画面92に表示されるようにする。しかし、第1画面91に現在表示中のスライド画像のページ番号が「P−1」である場合には、第1画面91に移動して表示されるスライド画像が存在しないため、画面移動を実行しない。なお、処理手段24は、直接的には、表示手段26の表示画面における移動処理等の表示処理を行うことによって、表示手段26の表示画面と同じ画像がプロジェクター3によってスクリーン4に投影されることとなる。これらの具体的な説明については、[処理フロー]のセクションで詳しく説明する。また、処理手段24は、入力手段21の操作により、記憶指示を検知すると、生成されたスライド画像及びその位置情報等を所定のファイル形式でファイルとして保存する。
【0045】
なお、処理手段24は、電子ペン1から受信した記入情報の中にペンダウン情報が含まれることを識別すると、最新のストローク情報を記憶するための記憶領域を記憶手段25に設定させる。そして、処理手段24は、受信した記入情報の中にペンアップ情報が含まれることを検出するまで、或いは、受信した記入情報の中に次のペンダウン情報が含まれることを検出するまで、受信した記入情報の中に含まれる座標属性情報を最新のストローク情報の一部として記憶手段25に記憶させる。そして、電子ペン1による同一の画面移動エリアへの1回の記入、即ち1つのストロークに関して複数の記入情報を受信した場合には、処理手段24は、画面移動処理を1回のみ実行するようにする。
【0046】
記憶手段25は、ROMやRAMといったメモリによって構成される。記憶手段25は、プロジェクタ3によって大型スクリーン4に投影させる表示画面を生成するアプリケーションのプログラムを記憶する。また、記憶手段25は、処理手段24の処理命令により、電子ペン1から受信した記入情報をペンID毎に記憶したり、プログラムの実行により生成される所定のデータを記憶したりする。
【0047】
記憶手段25は、予め、スライド画像の雛型となるデザインテンプレートに関する情報や、大型スクリーン4のドットパターン印刷範囲7に印刷されたドットパターンに関する情報や、ディスプレイ座標系の座標領域(「ディスプレイ領域」とも呼ぶ。)における、キャリブレーション用マーク、第1画面91、第2画面92及び画面移動マークの表示位置等に関する情報を記憶する。これによって、処理手段24は、電子ペン1から受信した記入情報に含まれる大型スクリーン4上の座標データを、座標変換関数によりディスプレイ座標系の座標データに変換したときに、変換後の座標データが、第1画面91、画面進むマーク5、画面戻るマーク6のどの表示範囲に含まれるかを認識することができる。換言すると、処理手段24は、変換後の座標データから、大型スクリーン4上の、第1画面91が投影される領域である記入エリア、画面進むマーク5が投影される領域である画面進むエリア、または、画面戻るマーク6が投影される領域である画面戻るエリアのどのエリアに、電子ペン1により記入されたかを認識することができる。図6は、記憶手段25に記憶される、第1画面91及び画面移動マークといったディスプレイに表示されるオブジェクトと、そのディスプレイ領域と、大型スクリーン4上の投影領域である各エリアのエリア種別との関連付け情報(「座標定義情報」とも呼ぶ。)を示すデータ構造である。図6に示す、入力エリア、画面進むマーク、画面戻るマークの各ディスプレイ領域と、電子ペン1により生成された大型スクリーン4上の座標が座標変換関数により変換されたディスプレイ上の座標データとを比較することにより、いずれのエリア、マークへの記入がなされたかを特定することができる。各座標範囲は、矩形の角の位置座標(Xn,Yn)、高さ(H)、幅(W)で規定される。
【0048】
なお、座標定義情報は、アプリケーション自体の指示により処理手段24が生成してもよいし、アプリケーションの機能を拡張するために付加されたプラグインのプログラムの指示によって、処理手段24が生成するようにしてもよい。
【0049】
[処理フロー]
次に、第1実施形態のストローク表示システムによる処理フローについて説明する。図7に示す処理フローは、電子ペン1により記入情報が生成されるごとに繰り返し実行される。
【0050】
ユーザが、入力エリアに対し電子ペン1で文字等の記入又はタップをすると、電子ペン1は、ペンダウン時には、ペンダウン情報及びペンIDが関連付けられた記入情報をコンピュータ装置2へ送信する。また、電子ペン1は、ストロークの記入中では、ストロークに沿ってドットパターンが撮像されて演算された座標情報を含む座標属性情報とペンIDとが関連付けられた記入情報をコンピュータ装置2へ送信する。そして、電子ペン1は、ペンアップ時には、ペンアップ情報及びペンIDが関連付けられた記入情報をコンピュータ装置2へ送信する(ステップS101)。
【0051】
コンピュータ装置2では、受信手段22が、電子ペン1から送信された記入情報を受信すると、処理手段24は、記憶手段25に、その記入情報をペンID毎に記憶させる(ステップS201)。次に、処理手段24は、その記入情報に含まれる座標情報を、キャリブレーション処理により求められた座標変換関数を用いて、ディスプレイ座標系の座標情報に変換する(ステップS202)。そして、処理手段24は、変換後の座標情報に基づいて、電子ペン1により大型スクリーン4上の記入エリアに記入されたことを認識する(ステップS203)。
【0052】
次に、処理手段24は、図6に示す座標定義情報を参照し、変換後の座標データが、画面進むエリア内の座標であるか否か、判定する(ステップS204)。そして、画面進むエリアへの記入であると判定した場合(ステップS204;Yes)、処理手段24は、第1画面91に最新ページ番号のスライド画像を表示しているか否か判定する(ステップS205)。具体的には、処理手段24は、記憶手段25に記憶した最新ページ番号と、第1画面91に表示中のスライド画像に付されたページ番号とを照合して、一致するか否か判定する。そして、当該ページ番号が最新ページ番号と一致して、第1画面91に最新ページ番号のスライド画像を表示していると判定した場合(ステップS205;Yes)、即ち、当該ページ番号の次のページ番号に対応するスライド画像であって、第1画面91に移動するスライド画像が存在しない場合、処理手段24は、新規のスライド画像を生成し、第1画面91に表示する(ステップS206)。具体的には、処理手段24は、記憶手段25に記憶されたデザインテンプレートを雛型にして最新ページ番号より1だけ大きいページ番号を付したスライド画像を新たに生成し、新規のスライド画像および更新した最新ページ番号を記憶手段25に記憶させ、第1画面91に表示させる。
【0053】
そして、処理手段24は、スライド画像を、画面番号が大きくなる方向へ移動させて、画面移動後の画面を表示手段26に表示させる(ステップS207)。具体的には、処理手段24は、第1画面91に表示中であったスライド画像を、第2画面92に移動して表示させる。さらに、処理手段24は、第2画面92(最終画面)に既にスライド画像を表示していた場合、当該画像を、第2画面92(最終画面)の背後に移動させる。このとき、処理手段24は、背後に移動させたスライド画像を、第2画面92に表示されるスライド画像に対して、第2画面92外で、縦方向及び横方向にそれぞれ所定幅だけずらして、ページ番号が視認される態様で表示させる。この具体的な表示例については、後述する[表示例]で詳しく説明する。一方、ステップS205において、第1画面91に表示しているスライド画像が最新ページ番号のスライド画像でないと判定した場合(ステップS205;No)、即ち、第1画面91に移動するスライド画像が存在する場合、処理手段24は、ステップS207の処理に移行して、スライド画像の表示を画面番号が大きくなるストローク画面の方向へ移動して表示させる。このとき、第1画面91に表示していたスライド画像の次のページ番号に対応するスライド画像を、第1画面91に表示させる。
【0054】
一方、ステップS204において、画面進むエリアへの記入でないと判定した場合(ステップS204;No)、処理手段24は、図6に示す座標定義情報を参照し、変換後の座標データが、画面戻るエリア内の座標であるか否か判定する(ステップS208)。この判定により、画面戻るエリアへの記入であると判定した場合(ステップS208;Yes)、処理手段24は、第1画面91にページ番号「P−1」のスライド画像を表示しているか否か判定する(ステップS209)。そして、第1画面91にページ番号「P−1」のスライド画像を表示していないと判定した場合(ステップS209;No)、即ち、第1画面91に表示中であるスライド画像に付されたページ番号の1つ前のページ番号に対応するスライド画像が存在して、第2画面92に表示中である場合、処理手段24は、画面番号が小さくなるストローク画面の方向へスライド画像の表示を移動させる(ステップS210)。具体的には、処理手段24は、第2画面92に表示中のスライド画像を第1画面91に移動して表示させる。また、処理手段24は、第1画面91に表示中のスライド画像を、第1画面91の背後にページ番号が視認される態様で表示させる。また、処理手段24は、第2画面92に表示中のスライド画像の1つ前のページ番号に対応するスライド画像が存在する場合、当該スライド画像を第2画面92に移動して表示させる。一方、第1画面91にページ番号「P−1」のスライド画像を表示していると判定した場合(ステップS209;Yes)、即ち、第2画面92にはスライド画像が表示されておらず第1画面91に移動するスライド画像が存在しない場合、処理手段24は、フローチャートの処理を終了する。この場合、処理手段24は、ページ番号「P−1」のスライド画像を第1画面91に引き続き表示させる。
【0055】
一方、ステップS208において、画面戻るエリアへの記入でないと判定した場合(ステップS208;No)、処理手段24は、図6に示す座標定義情報を参照し、変換後(S202参照)の座標データが入力エリア内の座標であるか否か判定する(ステップS211)。この判定において、入力エリアへの記入であると判定した場合(ステップS211;Yes)、処理手段24は、ストローク描画処理を行う(ステップS212)。具体的には、処理手段24は、変換後の座標情報に基づいて、第1画面91に表示中であって電子ペン1による記入対象となるスライド画像に、記入されたストロークを重畳して描画し、表示手段26による表示を更新させると共に、描画後のスライド画像を記憶手段25に更新して記憶させる。一方、入力エリアへの記入でないと判定した場合(ステップS211;No)、即ち、画面移動エリアへの記入でもなく入力エリアへの記入でもない場合、処理手段24は、フローチャートの処理を終了する。
【0056】
[表示例]
次に、第1実施形態において、ディスプレイ(表示手段26)に表示されて大型スクリーン4に投影される画面の具体的な表示例について、図7のフローチャート及び図8〜図11を参照して説明する。
【0057】
図8は、第1画面91にページ番号「P−1」の未記入状態のスライド画像が表示された後、ページ番号「P−1」のスライド画像が投影されている大型スクリーン4上の入力エリアに電子ペン1により任意の書き込みがなされた場合の大型スクリーン4の表示例を示す。ここで、初期状態から図8に示す状態に遷移するまでの過程について簡単に説明する。まず、処理手段24は、電子ペン1より受信した記入情報に含まれる座標情報を、予めキャリブレーション処理により求めて記憶手段25に記憶した座標変換関数を用いて、ディスプレイ座標系の座標情報に変換する(ステップS202参照)。次に、処理手段24は、記憶手段25に記憶された座標定義情報(図6参照)を参照し、記入されたエリアが入力エリアであることを特定する。そして、処理手段24は、ストローク描画処理によって、電子ペン1による記入対象である第1画面91に表示中のページ番号「P−1」のスライド画像に、記入されたストロークを重畳して描画し、表示を更新する(ステップS212参照)。なお、第1画面91にページ番号「P−1」のスライド画像が表示されている場合、ページ番号「P−1」の1つ前のページ番号は存在しないため、第2画面92には、スライド画像は表示されない。
【0058】
図9は、図8に示す状態から画面進むエリア(画面進むマーク5の投影領域)が電子ペン1によりタップされた後、入力エリアに書き込みがなされた場合の大型スクリーン4の表示例を示す。図8に示す状態で、電子ペン1により画面進むエリアがタップされた場合、処理手段24は、認識した記入されたエリアが画面進むエリアであり(ステップS204;Yes参照)、第1画面91に表示中のスライド画像のページ番号が最新ページ番号「P−1」と一致することから(ステップS205;Yes参照)、ページ番号「P−2」の未記入状態のスライド画像を新規に生成して、記憶手段25に新規スライド画像を記憶させると共に最新ページ番号を「P−2」と更新記憶させる(ステップS206参照)。そして、処理手段24は、図9に示すように、画面番号が大きくなるストローク画面の方向に、即ち、第1画面91に表示中のページ番号「P−1」のスライド画像は、第1画面91から第2画面92へ、表示する位置を移動させ、第1画面91にはページ番号「P−2」を付した新規に生成したスライド画像を配置させて、画面移動後の画像を表示手段26に表示させる(ステップS207参照)。その後、処理手段24は、ページ番号「P−2」のスライド画像が投影されている入力エリアへの電子ペン1による書き込みに対し、ストローク描画処理によって、電子ペン1による記入対象であるページ番号「P−2」のスライド画像に、記入されたストロークを重畳して描画し、表示を更新する(ステップS212参照)。
【0059】
図10は、図9に示す状態からさらに画面進むエリアが電子ペン1によりタップされた後、入力エリアに書き込みがなされた場合の大型スクリーン4の表示例を示す。図9に示す状態から、電子ペン1により画面進むエリアがタップされた場合、処理手段24は、認識した記入されたエリアが画面進むエリアであり(ステップS204;Yes参照)、第1画面91に表示中のスライド画像のページ番号が最新ページ番号「P−2」と一致することから(ステップS205;Yes参照)、ページ番号「P−3」の未記入状態のスライド画像を新規に生成して、記憶手段25に新規スライド画像を記憶させると共に最新ページ番号を更新記憶させる(ステップS206参照)。そして、処理手段24は、図10に示すように、画面番号が大きくなるストローク画面の方向へ、表示中のスライド画像を移動させる(ステップS207参照)。即ち、処理手段24は、第1画面91に表示中のページ番号「P−2」のスライド画像を第1画面91から第2画面92へ移動させ、また、最終画面(第2画面92)に表示中のページ番号「P−1」のスライド画像を、最終画面の背後に移動させ、第1画面91にはページ番号「P−3」を付した新規のスライド画像を配置させて、画面移動後の画像を表示手段26に表示させる。このとき、処理手段24は、背後に移動させるページ番号「P−1」のスライド画像を、その存在がユーザに視覚されるように、最終画面に表示されるページ番号「P−2」のスライド画像とずらして配置する。ここでは、ページ番号「P−1」のスライド画像は、ページ番号を視認できる状態で表示される。その後、処理手段24は、ページ番号「P−3」のスライド画像が投影されている入力エリアへの電子ペン1による書き込みに対し、ストローク描画処理によって、電子ペン1による記入対象であるページ番号「P−3」のスライド画像に、記入されたストロークを重畳して描画し、表示を更新する(ステップS212参照)。
【0060】
なお、図10に示す状態からさらに画面進むエリアが電子ペン1によりタップされた場合には、処理手段24は、ページ番号「P−3」のスライド画像を第1画面91から最終画面(第2画面92)へ移動させると共に、ページ番号「P−2」のスライド画像をその背後に移動させる。この場合、ページ番号が小さいほど後方に表示されるように各スライド画像が配置される。具体的には、ページ番号「P−2」のスライド画像の背後にページ番号「P−1」のスライド画像が配置される。そして、重ねられたスライド画像は、それぞれその存在がユーザに視認されるように、所定間隔ごとにずらして表示される。なお、ページ番号を視認できる状態で背後に配置するスライド画像の数を、例えば3ページまでと制限するようにしてもよく、さらに、その存在を視認できる状態で配置するスライド画像の数を例えば5ページまでと制限するようにしてもよい。
【0061】
図11は、図10に示す状態から画面戻るエリア(画面戻るマーク6の投影領域)が電子ペン1によりタップされた後の大型スクリーン4の表示例を示す。図10に示す状態から、電子ペン1により画面戻るエリアに入力がなされた場合、処理手段24は、認識した記入されたエリアが画面戻るエリアであり(ステップS208;Yes参照)、第1画面91にページ番号「P−1」のスライド画像を表示していないことから(ステップS209;No参照)、図11に示すように、画面番号が小さくなるストローク画面の方向へ、表示中のスライド画像を移動させる(ステップS210参照)。即ち、処理手段24は、第2画面92に表示中のページ番号「P−2」のスライド画像を第2画面92から第1画面91へ移動させ、また、最終画面(第2画面92)の背後に表示されているページ番号「P−1」のスライド画像を第2画面92へ移動させ、また、第1画面91に表示中のページ番号「P−3」のスライド画像を第1画面91の背後に移動させて、画面移動後の画像を表示手段26に表示させる。このとき、処理手段24は、背後に移動させるページ番号「P−3」のスライド画像を、その存在がユーザに視認されるように、第1画面91に表示されるページ番号「P−2」のスライド画像とずらして配置する。ここでは、ページ番号「P−3」のスライド画像は、ページ番号を視認できる状態で第1画面91の背後に表示される。
【0062】
なお、図11に示す状態からさらに画面戻るエリアが電子ペン1によりタップされた場合には、処理手段24は、ページ番号「P−1」のスライド画像を第1画面91に移動させると共に、ページ番号「P−2」のスライド画像をその背後に移動させる。この場合、ページ番号が大きいほど後方に表示されるように各スライド画像が配置される。具体的には、ページ番号「P−2」のスライド画像の背後にページ番号「P−3」のスライド画像が配置される。そして、重ねられたスライド画像は、それぞれその存在がユーザに視認されるように、所定間隔ごとにずらして表示される。なお、ページ番号を視認できる状態で第1画面91の背後に配置するスライド画像の数を、例えば3ページまでと制限するようにしてもよく、さらに、その存在を視認できる状態で配置するスライド画像の数を例えば5ページまでと制限するようにしてもよい。また、それらの表示ページ数は、最終画面の背後の場合と第1画面91の背後の場合とで異ならせてもよい。
【0063】
[第1実施形態のストローク表示システムによる作用効果]
第1実施形態のストローク表示システムによれば、コンピュータ装置2は、大型スクリーン4上のユーザの手が届く範囲に投影される第1画面91と、その上に隣接して配置される第2画面92との2つのストローク画面を表示すると共に、電子ペン1により大型スクリーン4の入力エリアに記入されるストロークを第1画面91の該当する位置にリアルタイムで描画して表示する。また、コンピュータ装置2は、大型スクリーン4上の画面移動エリアへのタップに基づき、第1画面91及び第2画面92に表示するスライド画像を移動させる。従って、例えば、ユーザは、第1画面91上で表示中のスライド画像にストロークを記入するスペースがなくなった場合に、第1画面91上には新規のスライド画像を表示させて、大型スクリーン4上のユーザの手が届く範囲で新しい書き込みをできるようにすると共に、記入済みのスライド画像を、ユーザの手は届かないが遠くから視覚されやすい第2画面92に引き続き表示させることができる。このように、第1実施形態のストローク表示システムは、大型スクリーン4の全面を有効活用することができる。よって、ストローク表示システムは、例えば大教室や会議室に好適に適用される。
【0064】
また、第1画面91外や最終画面(第2画面92)外に1つ又は複数のスライド画像が配置される場合に、各スライド画像は、その前面に表示されているスライド画像に対して、縦方向及び横方向にそれぞれ所定幅だけずれて、ページ番号を視認できる態様で配置されて表示される。このようにすることで、ユーザは、ストローク画面に表示しきれない各スライド画像の存在を認識することができ、不要な画面移動指示をしないように留意して操作性を向上させることができる。
【0065】
[第1実施形態の変形例]
次に、第1実施形態の変形例について説明する。以下の変形例は、任意に組み合わせて上述の第1実施形態に適用してもよい。
【0066】
(変形例1)
第1実施形態では、画面移動マークは、第1画面91、第2画面92と同様、プロジェクタ3によって大型スクリーン4に投影されていた。しかし、本発明が適用可能な方法は、これに限定されない。
【0067】
これに代えて、画面移動マークは、所定の用紙にドットパターンと重畳して印刷されてもよい。この場合、画面移動マークとドットパターンを印刷した用紙(「指示用紙」(指示媒体)と呼ぶ。)は、大型スクリーン4に貼り付けられてもよく、ユーザに把持された状態で使用されてもよい。図12は、変形例1で、記憶手段25に記憶される座標定義情報を示すデータ構造である。図12(a)は、第1画面91及び第1画面91に対応する入力エリアのディスプレイ座標系における座標定義情報を示し、図12(b)、(c)は、大型スクリーン4のドットパターン印刷範囲7(「大型スクリーン用エリア」と呼ぶ。)及び入力エリア、並びに、指示用紙の画面移動マークが印刷された領域に対応する画面移動エリア(画面進むエリア及び画面戻るエリア)、のドットパターンに関する座標定義情報(「ドットパターン座標定義情報)と呼ぶ。)を示す。また、図12(b)はキャリブレーション前のドットパターン座標定義情報を示し、図12(c)はキャリブレーションによって入力エリアの座標領域が特定された後のドットパターン座標定義情報を示す。図12(b)、(c)に示すように、各エリアのドットパターンの座標領域、ドットパターンアドレス及びエリアの種別が対応付けられて記憶手段25に記憶される。画面進むエリア及び画面戻るエリアに関連付けられるドットパターンの座標領域は、角の位置座標(Xn、Yn)、高さ(Y方向)、幅(X方向)で規定される。
【0068】
変形例1のキャリブレーション処理では、処理手段24は、キャリブレーション処理によって求めた座標変換関数を用いて、図12(a)に示すディスプレイ座標系の入力エリアの座標情報を逆変換して、大型スクリーン4上のドットパターンにかかる入力エリアの座標領域を求め、ドットパターン座標定義情報を図12(b)に示す内容から図12(c)に示す内容に更新して記憶手段25に記憶する。また、変形例1の処理フローと、第1実施形態の処理フローとは、座標変換のタイミングが相違する。第1実施形態では、処理手段24は、ドットパターンにかかる座標情報をディスプレイ座標系の座標情報に変換してから記入されたエリアを認識したが、変形例1では、ドットパターンにかかる座標情報から記入されたエリアを認識し、入力エリアへの記入である場合に座標変換を行う。変形例1の処理フローでは、処理手段24は、電子ペン1から受信した記入情報を記憶手段25に記憶させると(図7ステップS201参照)、その記入情報に含まれる座標情報に基づいて、図12(c)に示すドットパターン座標定義情報を参照し、電子ペン1により記入されたエリアを認識する(図7ステップS203参照)。続いて、処理手段24は、記入されたエリアが画面進むエリア又は画面戻るエリアであるか否かの判定とそれに伴う処理を、第1実施形態と同様に実行する(図7ステップS204〜S210参照)。そして、画面戻るエリアでないと判定した場合(図7ステップS208;No参照)、処理手段24は、入力エリアであるか否か判定する。入力エリアであると判定した場合(図7ステップS211;Yes参照)、処理手段24は、当該座標情報をドットパターンにかかる座標系から、座標変換関数を用いて、ディスプレイ座標系の座標情報に変換する。続いて、処理手段24は、変換後の座標情報に基づいて、ストローク描画処理を実行する(ステップS212参照)。一方、入力エリアでないと判定した場合、処理手段24は、そのまま処理を終了する。
【0069】
(変形例2)
第1実施形態では、処理手段24は、キャリブレーション処理により求められた座標変換関数を用いて、電子ペン1から受信した全ての座標情報の座標系を変換した。しかし、本発明が適用可能な構成は、これに限定されない。これに代えて、処理手段24は、電子ペン1から入力エリアに係る座標情報を受信したときのみ当該座標情報の座標系をディスプレイ座標系に変換するようにしてもよい。変形例2は、スクリーンの投影範囲8、大型スクリーン4の位置、プロジェクター3の位置や向きが固定され、ストローク画面及び画面移動マークが常に大型スクリーン4上の所定位置に投影される場合にも適用できる。
【0070】
変形例2に係る処理手段24は、キャリブレーション処理において、変形例1と同様にして、入力エリア、画面進むエリア及び画面戻るエリアの大型スクリーン4上のドットパターンにかかる座標情報を、逆変換によって求める。図13は、変形例2で上述の逆変換を行う場合に、記憶手段25に記憶される座標定義情報を示すデータ構造である。図13(a)は、ディスプレイ座標系における座標定義情報を示し、図13(b)は、キャリブレーション処理前のドットパターンに係る座標定義情報を示し、図13(c)は、キャリブレーション処理後に更新して記憶されるドットパターンに係る座標定義情報を示す。そして、この場合、処理手段24は、変形例1の処理フローと同様に、電子ペン1から受信した記入情報に含まれる座標情報に基づいて、図13(c)に示すドットパターン座標定義情報を参照し、記入されたエリアを認識する。また、処理手段24は、記入されたエリアが入力エリアであると判定した場合、ドットパターンに係る座標情報をディスプレイ座標系の座標情報に変換して、変換後の座標情報に基づいてストローク描画処理を実行する。
【0071】
(変形例3)
表示例の説明では、図10、図11に示すように、複数のスライド画像が第1画面91又は第2画面92に配置される場合には、処理手段24は、ページ番号に基づきこれらのスライド画像を重ねて所定の間隔ごとにずらして表示していた。これに代えて、処理手段24は、第1画面91、第2画面92にそれぞれ配置されるスライド画像以外のスライド画像は表示させないようにしてもよい。
【0072】
(変形例4)
図7に示すフローチャートのステップS209で、第1画面91がページ番号「P−1」のスライド画像を表示していると判定した場合、処理手段24は、当該スライド画像を第1画面91から移動させず第1画面91に引き続き表示した。これに代えて、処理手段24は、当該スライド画像を移動させて第1画面91外にページ番号が視認できる態様で表示させると共に、表示するスライド画像がない旨のメッセージ画像を第1画面91に表示させてもよい。他の例では、処理手段24は、当該スライド画像を第1画面91から移動させずに、当該スライド画像の上に、表示するスライド画像がない旨のメッセージ画像を所定時間のみ(例えば、5秒間)表示させてもよい。
【0073】
(変形例5)
上記第1実施形態において、アノト方式のコード化パターン(ドットパターン)を用いたが、位置座標を示すコード化パターンであればよく、アノト方式に限られない。
【0074】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。図14は、第2実施形態におけるストローク表示システムのシステム構成図を示す。第2実施形態では、4つのストローク画面(第1画面91、第2画面92、第3画面93、第4画面94)が表示される点で、2つのストローク画面(第1画面91、第2画面92)が表示される第1実施形態と異なる。第2実施形態のその他の点は第1実施形態と同様であるので、適宜その説明を省略する。
【0075】
第2実施形態では、大型スクリーン4のドットパターン印刷範囲7は、第1実施形態と同様、少なくとも、ユーザの手が全面に手が届く範囲の第1画面91及び画面移動マークの投影される領域を含む範囲に設定される。なお、ドットパターン印刷範囲7は、大型スクリーン4の全体又は画面エリア全体を含むように設定されてもよい。4つのストローク画面は、第1画面91の上段に隣接して第2画面92が配置され、第2画面92の向かって右側に隣接して第3画面93が配置され、第3画面93の下段に隣接して第4画面94が配置される。第4画面94が最終画面となる。
【0076】
処理手段24は、第1画面91、第2画面92、第3画面93、第4画面94、画面進むマーク5及び画面戻るマーク6を含む表示画面を描画して、表示手段26に表示させる。なお、第1画面91、画面進むマーク5及び画面戻るマーク6が、大型スクリーン4上のドットパターン印刷範囲8内に投影されるように、プロジェクタ3が調節される。また、処理手段24は、生成順に通し番号であるページ番号を付与してスライド画像を生成して、生成したスライド画像を第1画面91に表示させる。そして、処理手段24は、記憶手段25に記憶させた最新ページ番号を更新する。
【0077】
また、処理手段24は、画面進むエリアがタップされた場合、各画面に表示中のスライド画像を、画面番号が大きくなるストローク画面の方向に、右回りに移動して表示する。即ち、処理手段24は、画面進むエリアへの記入を認識すると、第1画面91に表示中のスライド画像を第2画面92に表示させ、第2画面92に表示中のスライド画像を第3画面93に表示させ、第3画面93に表示中のスライド画像を第4画面94(最終画面)に表示させ、最終画面に表示中のスライド画像を最終画面の背後に表示させる。このとき、第1画面91に表示中のスライド画像のページ番号が、最新ページ番号の場合、処理手段24は、第1画面91に表示中のスライド画像のページ番号より1だけ大きいページ番号を付与して新規のスライド画像を生成し、第1画面91に表示させる。一方、第1画面91に表示中のスライド画像のページ番号が、最新ページ番号でない場合、処理手段24は、第1画面91に表示中のスライド画像の次のページ番号を有するスライド画像を、第1画面91に表示させる。
【0078】
また、処理手段24は、画面戻るエリアがタップされた場合、各ストローク画面に表示中のスライド画像を、画面番号が小さくなるストローク画面の方向に、左回りに移動して表示する。即ち、処理手段24は、画面戻るエリアへの記入を認識すると、最終画面(第4画面94)に表示中のスライド画像の1つ前のページ番号を有するスライド画像を最終画面に表示させ、第4画面94に表示中のスライド画像を第3画面93に表示させ、第3画面93に表示中のスライド画像を第2画面92に表示させ、第2画面92に表示中のスライド画像を第1画面91に表示させ、第1画面91に表示中のスライド画像を第1画面91の背後に表示させる。一方、第1画面91に表示中のスライド画像のページ番号が「P−1」である場合には、処理手段24は、画面移動を実行しない。具体的な処理手順については、第1実施形態で説明した図7のフローチャートと同様であるため、その説明を省略する。
【0079】
[表示例]
次に、第2実施形態において、表示手段26により表示されて大型スクリーン4に投影される画面の具体例について、図7のフローチャート及び図15〜図20を参照して説明する。
【0080】
図15は、第1画面91にページ番号「P−1」の未記入状態のスライド画像が表示された後、ページ番号「P−1」のスライド画像が投影されている大型スクリーン4上の入力エリアに電子ペン1により任意の書き込みがなされた場合の大型スクリーン4の表示例を示す。ここで、初期状態から図15に示す状態に遷移するまでの過程について説明する。まず、処理手段24は、受信した記入情報に含まれる座標情報を、記憶手段25に記憶された座標変換関数を用いて、ディスプレイ座標系の座標情報に変換する(ステップS202参照)。次に、処理手段24は、記憶手段25に記憶された座標定義情報(図6参照)を参照し、記入されたエリアが入力エリアであることを特定する。そして、処理手段24は、ストローク描画処理によって、電子ペン1による記入対象である第1画面91に表示中のページ番号「P−1」のスライド画像に、記入されたストロークを重畳して描画し、表示を更新する(ステップS212参照)。なお、第1画面91にページ番号「P−1」のスライド画像が表示されている場合、ページ番号「P−1」より前のページ番号は存在しないため、第2画面92〜第4画面94には、この時点ではスライド画像は表示されない。
【0081】
図16は、図15に示す状態から画面進むエリアが電子ペン1によりタップされた後、入力エリアに書き込みがなされた場合の表示例を示す。図15に示す状態で、電子ペン1により画面進むエリアがタップされた場合、処理手段24は、記入されたエリアが画面進むエリアであり(ステップS204;Yes参照)、第1画面91に表示中のスライド画像のページ番号が最新ページ番号「P−1」と一致することから(ステップS205;Yes参照)、ページ番号「P−2」の未記入状態のスライド画像を新規に生成して、記憶手段25に新規スライド画像を記憶させると共に最新ページ番号を「P−2」と更新記憶させる(ステップS206参照)。そして、図16に示すように、画面番号が大きくなる方向に、即ち、第1画面91に表示中のページ番号「P−1」のスライド画像は、第1画面91から第2画面92へ、表示する位置を移動させ、第1画面91にはページ番号「P−2」の未記入状態のスライド画像を配置させて、画面移動後の画像を表示手段26に表示させる(ステップS207参照)。その後、処理手段24は、ページ番号「P−2」のスライド画像が投影されている入力エリアへの電子ペン1による書き込みに対し、ストローク描画処理によって、電子ペン1による記入対象であるページ番号「P−2」のスライド画像に、記入されたストロークを重畳して描画し、表示を更新する(ステップS212参照)。
【0082】
図17は、図16に示す状態から画面進むエリアが電子ペン1によりタップされた後、入力エリアに書き込みがなされた場合の表示例を示す。図16に示す状態で、電子ペン1により画面進むエリアにタップがなされた場合、図15から図16への遷移と同様に、処理手段24は、ページ番号「P−3」の新規のスライド画像を生成してから(ステップS206参照)、画面番号が大きくなるストローク画面の方向に、即ち右回りに、表示中のスライド画像をスライド移動させる(ステップS207参照)。即ち、処理手段24は、第1画面91に表示中のページ番号「P−2」のスライド画像を、第1画面91から第2画面92へ移動させ、第2画面92に表示中のページ番号「P−1」のスライド画像を、第2画面92から第3画面93へ移動させ、第1画面91にはページ番号「P−3」の未記入状態のスライド画像を配置させて、これらの画面移動後の画像を表示手段26に表示させる。このときの最新ページ番号は「P−3」となる。その後、処理手段24は、ページ番号「P−3」のスライド画像が投影されている入力エリアへの電子ペン1による書き込みに対し、ストローク描画処理によって、電子ペン1による記入対象であるページ番号「P−3」のスライド画像に、記入されたストロークを重畳して描画し、表示を更新する(ステップS212参照)。
【0083】
図18は、図17に示す状態から画面進むエリアが電子ペン1によりタップされた後、入力エリアに書き込みがなされた場合の表示例を示す。図17に示す状態で、電子ペン1により画面進むエリアにタップがなされた場合、上述の2回の画面遷移と同様に、処理手段24は、ページ番号「P−4」の新規のスライド画像を生成してから(ステップS206参照)、画面番号が大きくなるストローク画面の方向に、即ち右回りに、表示中のスライド画像をスライド移動させる(ステップS207参照)。即ち、処理手段24は、第1画面91に表示中のページ番号「P−3」のスライド画像を第2画面92へ移動させ、第2画面92に表示中のページ番号「P−2」のスライド画像を第3画面93へ移動させ、第3画面93に表示中のページ番号「P−1」のスライド画像を第4画面94へ移動させ、第1画面91にはページ番号「P−4」のスライド画像を配置させて、これらの画面移動後の画像を表示手段26に表示させる。このとき、最新ページ番号は「P−4」となる。その後、処理手段24は、ページ番号「P−4」のスライド画像が投影されている入力エリアへの電子ペン1による書き込みに対し、ストローク描画処理によって、電子ペン1による記入対象であるページ番号「P−4」のスライド画像に、記入されたストロークを重畳して描画し、表示を更新する(ステップS212参照)。
【0084】
図19は、図18に示す状態からさらに画面進むエリアが電子ペン1によりタップされた後、入力エリアに書き込みがなされた場合の表示例を示す。図18に示す状態から、電子ペン1により画面進むエリアにタップがなされた場合、上述の3回の画面遷移と同様に、処理手段24は、ページ番号「P−5」の新規のスライド画像を生成して(ステップS206参照)、画面番号が大きくなるストローク画像の方向に、表示中のスライド画像を右回りにスライド移動させる(ステップS207参照)。即ち、処理手段24は、第1画面91に表示中のページ番号「P−4」のスライド画像を第2画面92へ移動させ、第2画面92に表示中のページ番号「P−3」のスライド画像を第3画面93へ移動させ、第3画面93に表示中のページ番号「P−2」のスライド画像を第4画面94へ移動させ、最終画面(第4画面94)に表示中のページ番号「P−1」のスライド画像を最終画面の背後に移動させ、第1画面91にはページ番号「P−5」の新規スライド画像を配置させて、これらの画面移動後の画像を表示手段26に表示させる。このとき、処理手段24は、背後に移動させるページ番号「P−1」のスライド画像を、最終画面に表示されるページ番号「P−2」のスライド画像とずらして配置する。ここでは、ページ番号「P−1」のスライド画像は、ページ番号が表示された状態で背後に配置されている。その後、処理手段24は、ページ番号「P−5」のスライド画像が投影されている入力エリアへの電子ペン1による書き込みに対し、ストローク描画処理によって、電子ペン1による記入対象であるページ番号「P−5」のスライド画像に、記入されたストロークを重畳して描画し、表示を更新する(ステップS212参照)。
【0085】
図20は、図19に示す状態から画面戻るエリアが電子ペン1によりタップされた後、入力エリアに書き込みがなされた場合のコンピュータ装置2の表示例を示す。図19に示す状態から、電子ペン1により画面戻るエリアにタップがなされた場合、処理手段24は、記入されたエリアが画面戻るエリアであり(ステップS208;Yes参照)、第1画面91にページ番号「P−1」のスライド画像を表示していないことから(ステップS209;No参照)、図20に示すように、画面番号が小さくなるストローク画面の方向に、即ち左回りに、表示中のスライド画像をスライド移動させる(ステップS210参照)。即ち、処理手段24は、第4画面94に表示中のページ番号「P−2」のスライド画像を第3画面93へ移動させ、また、第3画面93に表示中のページ番号「P−3」のスライド画像を第2画面92へ移動させ、また、第2画面92に表示中のページ番号「P−4」のスライド画像を第1画面91へ移動させ、また、第1画面91に表示中のページ番号「P−5」のスライド画像を、第1画面91の背後に移動させ、また、最終画面(第4画面94)の背後に表示されているページ番号「P−1」のスライド画像を第4画面94へ移動させ、これらの画面移動後の画像を表示手段26に表示させる。ここでは、ページ番号「P−5」のスライド画像は、ページ番号が表示された状態で第1画面91の背後に配置されている。
【0086】
[第2実施形態のストローク表示システムによる作用効果]
第2実施形態のストローク表示システムによれば、コンピュータ装置2は、画面エリアの左下から右回りに画面番号が大きくなるように、4つのストローク画面を大型スクリーン4に表示すると共に、電子ペン1により大型スクリーン4の入力エリアに記入されるストロークを第1画面91の該当する位置にリアルタイムに表示する。また、コンピュータ装置2は、大型スクリーン4上の画面移動エリアへのタップに基づき、各ストローク画面に表示させるスライド画像を移動させる。従って、コンピュータ装置2は、例えば第1画面91に現在記入中のスライド画像を表示すると共に、残りの第2画面92〜第4画面94に前3ページ分の記入済みのスライド画像を表示することができる。このように、第2実施形態のストローク表示システムは、第1実施形態のストローク表示システムよりも多くのスライド画像を1度に表示させることができる。また、大型スクリーン4上の投影範囲8が同じ面積の場合、第2実施形態のストローク表示システムの方がドットパターン印刷範囲7が小さくても実施できる。
【0087】
また、第2実施形態では、第1実施形態と同様、第1画面91の上段に隣接して第2画面92が設定される。このようにすることで、ストローク表示システムは、第1画面91全体へのユーザの書き込みを容易にすると共に、直近に記入したスライド画像が表示される第2画面92をユーザが見やすい位置に配置することができる。
【0088】
[第2実施形態の変形例]
次に、第2実施形態の変形例について説明する。第2実施形態では、第1実施形態の変形例及び以下に述べる変形例を任意に組み合わせて適用可能である。
【0089】
(変形例)
第2実施形態の表示例では、第1画面91〜第4画面94は、画面番号順に、画面エリアの左下から右回りに配置されていた。これに代えて、第1画面91〜第4画面94は、画面番号順に左回りに配置されてもよい。図21は、第2実施形態の変形例に係るストローク表示システムのシステム構成図を示す。本変形例の場合、画面エリアの左下に配置された第1画面91から左回りに、即ち、第1画面91の右側に隣接して第2画面92が配置され、第2画面92の上段に隣接して第3画面93が配置され、第3画面93の左側に隣接して第4画面94(最終画面)が配置される。また、ドットパターン印刷範囲7は、少なくとも、ユーザの手が全面に手が届く範囲の第1画面91及び第2画面92及び画面移動マークの投影される領域を含む範囲に設定される。このとき、上下に表示させていた画面進むマーク5及び画面戻るマーク6を、左右に表示させるようにしてもよい。図22は、本変形例に係る記憶手段25に記憶される、ディスプレイ座標系における座標定義情報を示すデータ構造である。図22に示すように、本変形例におけるディスプレイ座標系の座標定義情報には、第1画面91に加えて、第2画面92に関する、ディスプレイ領域及びエリア種別「入力エリア」との関連付け情報が含まれる。
【0090】
変形例におけるストローク表示システムのその他の点は、第2実施形態と同様である。即ち、画面番号が大きくなる方向及び小さくなる方向が、第2実施形態と左右逆周りとなるが、ストローク表示システムの処理フローは変わらず、画面進むエリアが電子ペン1によってタップされた場合には、スライド画像はストローク画面の画面番号が大きくなる方向に移動され、画面戻るエリアが電子ペン1によってタップされた場合には、スライド画像はストローク画面の画面番号が小さくなる方向に移動される。図23に、図19に示す表示例に相当する本変形例に係る大型スクリーン4の表示例を示す。図23では、画面エリアの左上に配置された最終画面(第4画面94)の背後に所定幅だけずれて、ページ番号「P−1」のスライド画像が表示されている。
【0091】
本変形例により、ユーザは、第1画面91に表示中のスライド画像のみならず第2画面92に表示中のスライド画像に対しても書き込みを行うことができる。従って、例えば、ユーザは、第1画面91に表示中のスライド画像に対して書き込みが終わり、当該スライド画像を第2画面92へ移動させた場合であって、その後に書き忘れ等に起因して当該スライド画像に再び書き込みを行いたい場合に、スライド画像を移動させることなくそのまま第2画面92が投影された入力エリア上で、当該スライド画像に再び書き込むことができる。同様に、ユーザは、第3画面93や第4画面94へスライド画像を移動させた場合であっても、スライド画像を第1画面91まで移動させることなく、第2画面92に移動させれば、所望するスライド画像に再び書き込むことができる。
【符号の説明】
【0092】
1…電子ペン
2…コンピュータ装置
3…プロジェクタ
4…大型スクリーン
5…画面進むマーク
6…画面戻るマーク
7…ドットパターン印刷範囲
8…投影範囲
91…第1画面
92…第2画面
93…第3画面
94…第4画面
21…入力手段
22…受信手段
24…処理手段
25…記憶手段
26…表示手段
27…送信手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータ装置と、
前記コンピュータ装置と通信可能であり、コード化パターンを読取り、手書きストロークに関する記入情報を生成する電子ペンと、
少なくとも一部にコード化パターンが印刷された表示面を有するスクリーンと、
前記コンピュータ装置から送信された画像信号に基づく前記コンピュータ装置の表示画面を前記表示面に投影するプロジェクタと、
を備えるストローク表示システムであって、
前記コンピュータ装置は、
前記表示画面において、複数のストローク画面の各々に、無地又は所定のデザインを有するスライド画像を表示するとともに、所定のマークを表示する処理手段と、
前記電子ペンから前記記入情報を受信する受信手段とを備え、
少なくとも一つの前記ストローク画面は、前記表示面のうち前記コード化パターンが付されたエリアに投影され、
前記処理手段は、前記記入情報が前記ストローク画面への入力を示す場合、当該記入情報に基づいて、手書きストロークをスライド画像に上書きして表示し、
前記記入情報が前記マークへの入力を示す場合、表示中のストローク画面とは異なるストローク画面へ前記スライド画像を移動させることを特徴とするストローク表示システム。
【請求項2】
コンピュータ装置と、
前記コンピュータ装置と通信可能であり、コード化パターンを読取り、手書きストロークに関する記入情報を生成する電子ペンと、
少なくとも一部にコード化パターンが印刷された表示面を有するスクリーンと、
コード化パターンと所定のマークとが印刷された指示媒体と、
前記コンピュータ装置から送信された画像信号に基づく前記コンピュータ装置の表示画面を前記表示面に投影するプロジェクタと、
を備えるストローク表示システムであって、
前記コンピュータ装置は、
前記表示画面において、複数のストローク画面の各々に、無地又は所定のデザインを有するスライド画像を表示する処理手段と、
前記電子ペンから前記記入情報を受信する受信手段とを備え、
少なくとも一つの前記ストローク画面は、前記表示面のうち前記コード化パターンが付されたエリアに投影され、
前記処理手段は、前記記入情報が前記ストローク画面への入力を示す場合、当該記入情報に基づいて、手書きストロークをスライド画像に上書きして表示し、
前記記入情報が前記マークへの入力を示す場合、表示中のストローク画面とは異なるストローク画面へ前記スライド画像を移動させることを特徴とするストローク表示システム。
【請求項3】
前記ストローク画面には、通し番号の画面番号が割り当てられ、
前記マークは、第1のマークと、第2のマークとに分類され、
前記処理手段は、前記入力情報が第1のマークへの入力を示す場合、前記画面番号が大きくなるストローク画面へ前記スライド画像の表示位置をそれぞれスライド移動させ、前記入力情報が第2のマークへの入力を示す場合、前記画面番号が小さくなるストローク画面へ前記スライド画像の表示位置をそれぞれスライド移動させることを特徴とする請求項1又は2に記載のストローク表示システム。
【請求項4】
前記処理手段は、前記入力情報が第1のマークへの入力を示す場合であって最も大きい画面番号に対応するストローク画面にスライド画像が既に表示されていた場合、当該スライド画像を、当該ストローク画面にスライドして表示されるスライド画像の背後かつ一部が視認される態様で表示させることを特徴とする請求項3に記載のストローク表示システム。
【請求項5】
前記処理手段は、前記入力情報が第2のマークへの入力を示す場合、最も小さい画面番号に対応するストローク画面に既に表示されていたスライド画像を、当該ストローク画面にスライドして表示されるスライド画像の背後かつ一部が視認される態様で表示させることを特徴とする請求項3または4に記載のストローク表示システム。
【請求項6】
前記スライド画像は、通し番号であるページ番号が付され、
前記処理手段は、全てのスライド画像を、ページ番号が視認される態様で表示させることを特徴とする請求項1乃至5のうちいずれか一項に記載のストローク表示システム。
【請求項7】
前記スライド画像は、通し番号であるページ番号が付され、
前記処理手段は、前記入力情報が第1のマークへの入力を示す場合であって、かつ、最も小さい画面番号のストローク画面に表示中のスライド画像のページ番号が最も後に付されたページ番号である場合、当該ページ番号の次のページ番号を付したスライド画像を生成して当該ストローク画面に表示させることを特徴とする請求項3乃至6のうちいずれか一項に記載のストローク表示システム。
【請求項8】
コンピュータ装置と、前記コンピュータ装置と通信可能であり、コード化パターンを読取り、手書きストロークに関する記入情報を生成する電子ペンと、少なくとも一部にコード化パターンが印刷された表示面を有するスクリーンと、前記コンピュータ装置から送信された画像信号に基づく前記コンピュータ装置の表示画面を前記表示面に投影するプロジェクタと、を備えるストローク表示システムにおける前記コンピュータ装置に搭載され実行されるプログラムであって、
前記表示画面において、複数のストローク画面の各々に、無地又は所定のデザインを有するスライド画像を表示するとともに、所定のマークを表示する処理手段、
前記電子ペンから前記記入情報を受信する受信手段として前記コンピュータ装置を機能させ、
少なくとも一つの前記ストローク画面は、前記表示面のうち前記コード化パターンが付されたエリアに投影され、
前記処理手段は、前記記入情報が前記ストローク画面への入力を示す場合、当該記入情報に基づいて、手書きストロークをスライド画像に上書きして表示し、
前記記入情報が前記マークへの入力を示す場合、表示中のストローク画面とは異なるストローク画面へ前記スライド画像を移動させることを特徴とするプログラム。
【請求項9】
コンピュータ装置と、前記コンピュータ装置と通信可能であり、コード化パターンを読取り、手書きストロークに関する記入情報を生成する電子ペンと、少なくとも一部にコード化パターンが印刷された表示面を有するスクリーンと、コード化パターンと所定のマークとが印刷された指示媒体と、前記コンピュータ装置から送信された画像信号に基づく前記コンピュータ装置の表示画面を前記表示面に投影するプロジェクタと、を備える前記コンピュータ装置に搭載され実行されるプログラムであって、
前記表示画面において、複数のストローク画面の各々に、無地又は所定のデザインを有するスライド画像を表示する処理手段、
前記電子ペンから前記記入情報を受信する受信手段として前記コンピュータ装置を機能させ、
少なくとも一つの前記ストローク画面は、前記表示面のうち前記コード化パターンが付されたエリアに投影され、
前記処理手段は、前記記入情報が前記ストローク画面への入力を示す場合、当該記入情報に基づいて、手書きストロークをスライド画像に上書きして表示し、
前記記入情報が前記マークへの入力を示す場合、表示中のストローク画面とは異なるストローク画面へ前記スライド画像を移動させることを特徴とするプログラム。
【請求項10】
前記ストローク画面には、通し番号の画面番号が割り当てられ、
前記マークは、第1のマークと、第2のマークとに分類され、
前記処理手段は、前記入力情報が第1のマークへの入力を示す場合、前記画面番号が大きくなるストローク画面へ前記スライド画像の表示位置をそれぞれスライド移動させ、前記入力情報が第2のマークへの入力を示す場合、前記画面番号が小さくなるストローク画面へ前記スライド画像の表示位置をそれぞれスライド移動させることを特徴とする請求項8又は9に記載のプログラム。
【請求項11】
前記処理手段は、前記入力情報が第1のマークへの入力を示す場合であって最も大きい画面番号に対応するストローク画面にスライド画像が既に表示されていた場合、当該スライド画像を、当該ストローク画面にスライドして表示されるスライド画像の背後かつ一部が視認される態様で表示させることを特徴とする請求項10に記載のプログラム。
【請求項12】
前記処理手段は、前記入力情報が第2のマークへの入力を示す場合、最も小さい画面番号に対応するストローク画面に既に表示されていたスライド画像を、当該ストローク画面にスライドして表示されるスライド画像の背後かつ一部が視認される態様で表示させることを特徴とする請求項10または11に記載のプログラム。
【請求項13】
前記スライド画像は、通し番号であるページ番号が付され、
前記処理手段は、全てのスライド画像を、ページ番号が視認される態様で表示させることを特徴とする請求項8乃至12のうちいずれか一項に記載のプログラム。
【請求項14】
前記スライド画像は、通し番号であるページ番号が付され、
前記処理手段は、前記入力情報が第1のマークへの入力を示す場合であって、かつ、最も小さい画面番号のストローク画面に表示中のスライド画像のページ番号が最も後に付されたページ番号である場合、当該ページ番号の次のページ番号を付したスライド画像を生成して当該ストローク画面に表示させることを特徴とする請求項10乃至13のいずれか一項に記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2012−63974(P2012−63974A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−207586(P2010−207586)
【出願日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】