説明

ストーカ式焼却炉のノズル清掃装置

【課題】 再循環通路に設けられた、再循環ガスを炉本体内に吹き込むノズルに、ノズル内を洗浄する水を供給する清掃装置を設けて、ノズル内に溜まったダストを洗い流すことができるストーカ式焼却炉のノズル清掃装置を提供する。
【解決手段】 被燃焼物が投入されるストーカ上方の燃焼室内の燃焼排ガスの一部をファンにより炉本体内へ再循環ガスとして還流する再循環通路に、再循環ガスに含まれるダストを集塵除去する集塵装置を備えたストーカ式燃焼炉において、前記再循環通路17,18に設けられ、かつ再循環ガスを炉本体内に吹き込むノズル19に、前記集塵装置12で捕捉できずに前記ノズル内19に溜まったダストを洗浄する水を供給する清掃装置93を設けたことにある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ごみ、産業廃棄物等の被燃焼物が投入されるストーカ上方の燃焼室内の燃焼排ガスの一部をファンにより炉本体内へ再循環ガスとして還流する再循環通路に、再循環ガスに含まれるダストを集塵除去する集塵装置を備えたストーカ式燃焼炉に関し、再循環ガスを炉本体内に吹き込むノズル内に溜まった集塵装置から流出したダストを洗浄することにより、ノズル閉塞を防止することが出来るストーカ式焼却炉のノズル清掃装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ストーカ式焼却炉は、固定段と可動段の火格子を交互に配置してなるストーカを備え、油圧装置により可動段を往復移動させることにより、ホッパより投入されたごみ(被燃焼物)の攪拌と前進を行いながら、該ストーカの上流側に配置された乾燥帯でごみの乾燥を行い、次の主燃焼帯で一次空気を投入しながら主燃焼を行い、最下流側のおき燃焼帯で燃え残り分のおき燃焼を行うように構成された焼却炉である。
【0003】
特許文献1にて提供されている技術のストーカ式焼却炉には、ストーカ上方の燃焼室内の燃焼排ガスの一部をファンにより炉本体内へ再循環ガスとして還流する再循環通路が設けられているとともに、この再循環通路のファンの上流部位には、ファン及び配管磨耗、ノズル閉塞を抑えるための集塵装置が設けられている。
このストーカ式焼却炉においては、ストーカの下方より一次空気を導入し、ストーカ上方の燃焼室で一次燃焼を行った後、燃焼室の上方部位で二次燃焼を行うとともに、燃焼室内の燃焼排ガスの一部を炉本体へ再循環ガスとしてファンにより再循環通路を通して再循環せしめ、さらに、再循環通路のファンの上流部位において再循環ガスに空気を供給して混合するとともに、集塵装置によって燃焼排ガス中のダストなどを除去してから、混合ガスを上記燃焼室内に還流するようにしている。これによって、未燃焼ガスや未燃焼物を完全燃焼させるとともにNOxを低減せしめ、ファンの腐食の進行を抑えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−275502号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、従来のストーカ式焼却炉にあっては、集塵装置によって燃焼排ガス中のダストなどを除去してから、混合ガスを上記燃焼室内に還流するようにしているが、集塵装置の容量も限られていることから、完全にダストを除去することは難しかった。このため、次第にノズル内にダストが溜り、混合ガスを十分に燃焼室内に還流することが出来なくなる不具合が生じていた。
【0006】
本発明は、上記課題を解決し、再循環通路に設けられた、再循環ガスを炉本体内に吹き込むノズルに、ノズル内を洗浄する水を供給する清掃装置を設けて、ノズル内に溜まったダストを洗い流すことができるストーカ式焼却炉のノズル清掃装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するため、被燃焼物が投入されるストーカ上方の燃焼室内の燃焼排ガスの一部をファンにより炉本体内へ再循環ガスとして還流する再循環通路に、再循環ガスに含まれるダストを集塵除去する集塵装置を備えたストーカ式燃焼炉において、前記再循環通路に設けられ、かつ再循環ガスを炉本体内に吹き込むノズルに、前記集塵装置で捕捉できずに前記ノズル内に溜まったダストを洗浄する水を供給する清掃装置を設けたことにある。
【0008】
この発明では、上記清掃装置は具体的には次のような構成を備えている。
前記清掃装置は、前記ノズル通路の角部にパイプを連結し、該パイプを通して水をノズル壁面に沿って噴射したことにある。
前記ノズル壁面に沿って旋回流を生じるように、前記パイプを前記ノズル壁面に沿って斜めに連結したことにある。
前記炉本体内から炉本体の下流側のいずれかに燃焼ガス成分の計測装置および/または炉本体内に炉内温度計測装置を設け、この計測装置に基づいて水の量を調整する開閉弁を高圧水の供給管に設けることにある。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、前記再循環通路に設けられ、かつ再循環ガスを炉本体内に吹き込むノズルに、前記集塵装置で捕捉できずに前記ノズル内に溜まったダストを洗浄する水を供給する清掃装置を設けたので、ノズル内に溜まったダストを効率良く洗い流すことができることから、ノズル内の詰まりを防ぎ、燃焼排ガスを効率的に再循環させることが出来る。ノズル清掃装置から噴射された水は、還流排ガスとともに、焼却炉内に供給されるため、NOxの低減、過度な炉内温度上昇の抑制が可能となる。
また、本発明によれば、ノズル清掃装置として、ノズル通路にパイプを連結し、このパイプをノズル壁面に沿わせて配設することで、ノズル壁面に沿って旋回流を生じるように水を供給することができることから、ノズル内を効率良く洗い流すことができる。
さらに、本発明によれば、炉本体内から炉本体の下流側のいずれかに燃焼ガス成分の計測装置および/または炉本体内に炉内温度計測装置を設け、この計測装置に基づいて水の量を調整する開閉弁を水の供給管に設けることで、燃焼ガス中のNOx、CO、O濃度、炉内温度に応じて水の量を調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1実施形態に係るストーカ式焼却炉のノズル清掃装置の構成図である。
【図2】本発明の第2実施形態に係るノズル通路に設けられたノズル清掃装置の具体例を拡大して示す概念図である。
【図3】本発明の第3実施形態に係るストーカ式焼却炉のノズル清掃装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1実施形態]
図1は本発明の第1実施形態に係るストーカ式焼却炉のノズル清掃装置の構成図である。
図1において、1はごみや産業廃棄物等の被燃焼物が投入されるごみホッパ、2はストーカ式焼却炉である。このストーカ式焼却炉2は、外殻を画成する炉本体2aを備えており、ごみホッパ1からの投入口の炉内底部に、主として乾燥帯を構成する乾燥帯ストーカ21、主として燃焼帯を構成する主燃焼帯ストーカ22、及び主としておき燃焼帯を構成するおき燃焼帯ストーカ23が並設されている。乾燥帯ストーカ21は最上流側に位置し、主燃焼帯ストーカ22は乾燥帯ストーカ21の下流側に位置し、おき燃焼帯ストーカ23は主燃焼帯ストーカ22の下流で最下流側に位置している。ここで、主燃焼帯とは、ごみ層上で火炎を上げて燃えている領域を指している。
【0012】
前記各ストーカ21,22,23は、固定火格子の間に配設された移動火格子を備え、該移動火格子の往復運動によりごみ(被燃焼物)を投入した後、該ごみをストーカ21で乾燥し、ストーカ22で主燃焼を行い、最後にストーカ23でおき燃焼を行うものである。おき燃焼帯ストーカ23の下方には、灰捕集槽8が設けられている。なお、この実施形態では前記主燃焼帯ストーカ22は3個であるが、1個または複数個設けられていればよい。
【0013】
また、前記ストーカ21,22,23の上方の炉本体2a内には、一次燃焼室3が設けられ、さらにその上方には二次燃焼室4が設けられている。この二次燃焼室4に臨んで再循環ガス吹出しノズル19a,19bが炉本体2aの側壁にそれぞれ設置されている。この場合、少なくとも再循環ガス吹出しノズル19a,19bを炉本体2aの側壁に一対設置し、好ましくは、別の再循環ガス吹出しノズル19c,19dを炉本体2aの側壁に複数段設置することができる。
そして、再循環ガス吹出しノズル19c,19dは、対応する再循環通路17,18にそれぞれ接続され、再循環ファン13からの一次空気を混合した再循環ガスを再循環ガス吹出しノズル19a,19bから、二次燃焼室4内に噴出させるようにしている。また、再循環ガス吹出しノズル19a,19bとともに、再循環ガス吹出しノズル19c,19dも合わせて二次燃焼室4内に噴出することもできる。さらに、二次燃焼室4の排気ガス出口には、ボイラ81が接続されている。なお、再循環ガス吹出しノズルは、最低一段以上設けられていればよい。
【0014】
乾燥帯ストーカ21、燃焼帯ストーカ22及びおき燃焼帯ストーカ23には、それぞれの下部の風箱に開口する一次空気管51,52(3個),53が配設され、該一次空気管から一次空気が供給されるように構成されている。6は一次空気供給用のファン、5は当該ファン6と一次空気管51,52(3個),53のそれぞれとを接続する一次空気主管であり、ファン6から圧送された一次空気は、一次空気主管5から一次空気管51,52,53に分配されるようになっている。一次空気管51,52,53には、これらをそれぞれ開閉する開閉弁54,55,56が設けられている。また、一次空気主管5には、これを開閉する開閉弁7が設けられている。
【0015】
おき燃焼帯ストーカ23側に位置する炉本体2aの側壁には、一次燃焼室3内(二次燃焼室4内でもよい)の燃焼排ガスの一部を再循環ガスとして再循環ファン13により抜き出す再循環ガス抜出し口40が設けられ、該再循環ガス抜出し口40から抜き出された再循環ガスは、再循環通路16及び集塵装置12を通って再循環ファン13の吸入通路12aに導入されるようになっている。
【0016】
前記集塵装置12は、再循環通路16の再循環ファン13の上流部位に設けられ、集塵装置12の入口通路14が再循環通路16に接続されている。また、集塵装置12の出口と再循環ファン13の入口とは、吸入通路12aを介して互いに接続されている。したがって、再循環ガス抜出し口40と吸入通路12aとは、再循環通路16、入口通路14及び集塵装置12を介して接続されており、吸入通路12aには、再循環ファン13の入口を開閉する開閉弁013が設けられている。
【0017】
また、集塵装置12の入口通路14には、開閉弁7の上流部位で一次空気主管5から分岐された混入空気通路30が接続され、該混入空気通路30には、これを開閉する開閉弁30aが設けられており、当該開閉弁30aを開くと、一次空気主管5からの一次空気が混入空気通路30を通って入口通路14及び集塵装置12に導かれ、吸入通路12aを経て再循環ファン13の入口に投入され、前記再循環ガスに一次空気を混合した混合ガスが再循環ファン13に導入されるようになっている。
なお、開閉弁7、開閉弁013、及び開閉弁30aは、図示しない制御装置によって開閉動作や開度などが制御されるようになっている。これによって、混入空気通路30を流れる一次空気の流量が調整され、あるいは、再循環ファン13に導入される再循環ガスの燃焼排ガスと一次空気との混合割合が調整されるように構成されている。
【0018】
さらに、再循環ファン13によって出口側の再循環通路15に圧送された一次空気混合後の再循環ガスは、下流側の再循環通路17,18を通して再循環ガス吹出しノズル19a〜19dにそれぞれ送り込まれ、再循環ガス吹出しノズル19a〜19dから二次燃焼室4内に噴出せしめられるようになっている。また、再循環通路17内には、これを開閉する開閉弁33が設けられ、再循環通路18内には、これを開閉する開閉弁32が設けられている。
なお、この実施形態では、再循環ファン13の入口の再循環ガスに一次空気を混合して再循環ファン13に導入するように構成したが、当該一次空気に代えて二次燃焼室4内に噴出される二次空気あるいは外部からの空気を再循環ガスに混合して再循環ファン13に導入するように構成してもよい。
【0019】
ストーカ式焼却炉2には、ボイラーブロー水等の処理を行うプラント排水処理設備90が設けられている。このプラント排水処理設備90からは、再循環ガス吹出しノズル(二次空気ノズルとも呼ばれる。)19a〜19dに向けて配管91,92が敷設されている。再循環ガス吹出しノズル19a,19bが一対の場合には、配管91,92の先にパイプ93a,93bを直接連結して、再循環ガス吹出しノズル19a,19bにパイプ93a,93bを連結すればよい。
この実施の形態では、配管91,92の先を二股に分岐して、この分岐通路にそれぞれノズル清掃装置としてパイプ93a,93c,93b,93dが連結されている。
プラント排水処理設備90には、ポンプが備えられ、ボイラーブロー水等の処理水の一部を、前記配管91,92を二股に分岐させて、これら分岐管91a,91b,92a,92bの先に設けられたノズル清掃装置としてのパイプ93a,93c,93b,93dを前記再循環ガス吹出しノズル19a〜19dに連結している。これらパイプ93a,93c,93b,93dを通して水を再循環ガス吹出しノズル19a〜19d内に噴射させるようにしている。分岐管91a,91b,92a,92b先端部のパイプ93a,93c,93b,93dからは、プラント排水処理設備90の処理水がポンプの圧力により水あるいは高圧水(1kg/cm(gauge))として噴射することができる。前記ノズル清掃装置は、具体的には、前記パイプ93a,93c,93b,93dのほか、プラント排水処理設備90に備えられた処理水を貯める水供給槽および処理水を圧送するポンプにより構成されている。
なお、前記再循環ガス吹出しノズル19a、19bが一対の場合には、配管91,92をノズル清掃装置としてのパイプ93a,93bに直接連結させればよいので、分岐管91a,91b,92a,92bを省略することができる。
【0020】
また、プラント排水処理設備90で処理されたボイラーブロー水等の処理水は、残った処理水を排ガス冷却設備94の減温塔等に送られ処理される。
【0021】
次に、上記ストーカ式焼却炉のノズル清掃装置の作用を説明する。
ストーカ式焼却炉2の起動運転時においては、炉本体2aの一次燃焼室3内に燃料および空気を供給し、バーナ等で燃料を燃焼させて炉内温度を予め上昇させる。
そして、定常運転時においては、ホッパ1より被燃焼物のごみを投入し、ファン6から一次空気主管5及び一次空気管51,52,53を通って一次空気を各ストーカ21,22,23に圧送し、各ストーカ21,22,23によりごみを燃焼する。これに伴い、燃焼排ガスが発生し、発生した燃焼排ガスは、ストーカ上方の一次燃焼室3及び二次燃焼室4内に導かれ、一次燃焼及び二次燃焼が行われる。一次燃焼室3内の燃焼排ガスの一部は、再循環ガス抜出し口40より、再循環ガスとして再循環通路16に抜き出される。この再循環ガスは、ファン6から一次空気主管5及び混入空気通路30を通って入口通路14に供給される燃焼用の一次空気と混合され、その後、集塵装置12、再循環ファン13等を介して再循環ガス吹出しノズル19a〜19dにそれぞれ送り込まれ、再循環ガス吹出しノズル19a〜19dから二次燃焼室4内に噴出せしめることにより還流されることになる。
【0022】
上記のように再循環ガスは集塵装置12によりダストを除去された後、再循環ファン13により再循環ガス吹出しノズル19a〜19dから二次燃焼室4内に噴出されるが、集塵装置12によって完全にダストを除去することはできないため、ダストを含んだ状態で再循環ガスが再循環ガス吹出しノズル19a〜19dに供給される。このため、再循環ガス吹出しノズル19a〜19d内に次第にダストが堆積してくる。そこで、ダストがある程度溜まってくると、ノズル清掃装置を作動し、プラント排水処理設備90で処理されたボイラーブロー水等の処理水の一部を、ポンプによってノズル洗浄用の水としてノズル清掃装置に供給する。ポンプによって圧送された水は、配管91,92から分岐管91a,91b,92a,92bを通ってノズル清掃装置としてのパイプ93a,93c,93b,93dから再循環ガス吹出しノズル19a〜19d内に噴射される。こうして、水によって再循環ガス吹出しノズル19a〜19d内のダストが洗い流され、再循環ガス吹出しノズル19a〜19dの詰まりが防止される。再循環ガスとともに二次燃焼室4内に噴出された水は、NOx排出量低減、過度な炉内温度上昇の抑制が可能となり、耐火材、ボイラチューブ等炉の損傷を防止することができる。プラント排水処理設備90から生じる処理水を利用することができるので、プラント排水量を少なくすることが出来る。
【0023】
[第2実施形態]
図2は、ノズル清掃装置の具体例を示したもので、この場合、還流ガスの再循環通路17(18)に3本の再循環ガス吹出しノズル19が設けられている。
これら再循環ガス吹出しノズル19は、再循環通路17(18)から分岐された3本の枝管17a,17b,17c(18a,18b,18c)部分に直角に折り曲げられた曲がり管17x(18x)が設けられており、この曲がり管17x(18x)の角部17y(18y)に清掃装置のパイプ93が連結されている。
【0024】
このパイプ93は、枝管17a,17b,17c(18a,18b,18c)の屈曲された角部17y(18y)にノズル19側の壁面に沿うように連結されており、ノズル19内の壁面に付着したダストを洗い流すように設置されている。これによって、ノズル19から噴射される水は、内壁面に沿って効率良くダストを洗い流すことができる。この場合、パイプ93の角度をノズル19側の壁面に沿って斜めに設置してノズル壁面に沿って旋回流を生じるように水をノズル壁面に沿って供給するように前記パイプを連結した、ノズル19の内壁面に沿って斜めに水を噴射し、旋回流を生じるようにして供給することもできる。これにより、より効率良くダストを洗い流すことができる。
【0025】
[第3実施形態]
図3は本発明の第3実施形態に係るストーカ式焼却炉のノズル清掃装置の構成図である。図1と同一部分には同符号を付して同一部分の説明は省略して説明する。
この実施形態では、ストーカ式焼却炉2のバグフィルタ出口等にNO計測装置、O計測装置、CO計測装置を設置し、これらの燃焼ガス成分の計測装置95の計測結果、および/または炉本体内に設置された炉内温度の計測装置の計測結果に基づいて清掃装置のパイプ93に水を供給する水供給弁96を水の供給管に設置している。水供給弁96は再循環ガス吹出しノズル19a〜19dに連通され、水の供給管となる枝管91a,91b,92a,92bにそれぞれ設けられている。水供給弁96の開閉は、燃焼ガス成分の計測装置95の計測結果が入力される制御装置97により制御するもので、制御装置97の指令信号に基づいて水供給弁96を開閉作動し、ポンプにより圧送する水の水量を制御するものである。なお、燃焼ガス成分を計測するNO計測装置、O計測装置、CO計測装置は、ストーカ式焼却炉2のバグフィルタ出口等に限らず、炉本体2a内から下流側の排気ガス出口となる煙突出口の間など、燃焼ガスの経路に設けることもできる。
【0026】
この場合、計測装置95の計測結果および/または炉内温度の計測装置の計測結果に基づいて制御装置97の作動指令により水供給弁96を開閉作動し、所定量の水を再循環ガス吹出しノズル19a〜19dに供給し、再循環ガス吹出しノズル19a〜19d内に溜まったダストを洗い流すことが出来る。
【0027】
上記の各実施の形態によれば、ボイラーブロー水等の処理を行うプラント排水処理設備90の処理水を利用して再循環ガス吹出しノズル19a〜19dに溜まったダストを洗い流すことができるので、再循環ガス吹出しノズル19a〜19dの詰まりを防ぎ、再循環ガスを効率良く循環させることが出来る。再循環ガスとともに二次燃焼室4内に噴出された水は、NOx排出量低減、過度な炉内温度上昇の抑制が可能となり、耐火材、ボイラチューブ等炉の損傷を防止することができる。計測装置95の計測結果および/または炉内温度の計測装置の計測結果に基づいて、清掃装置を作動してパイプ93に水を供給することができるので、清掃装置の停止時に、一定量のダストが溜まった場合に、清掃装置の作動によってダストを洗い流すことができる。制御装置97によって、水供給弁96の開閉を制御することが出来るので、最小限の処理水でダストを効率良く洗い流すことが出来る。再循環ガス吹出しノズル19が設けられた枝管17a,17b,17c(18a,18b,18c)の屈曲された角部17y(18y)に清掃装置のパイプ93を連結したので、効率良くダストを洗い流すことが出来る。
【0028】
なお、本発明は、上記実施の形態のみに限定されるものではなく、例えば、プラント排水処理設備90の処理水を利用して再循環ガス吹出しノズル19a〜19dに溜まったダストを洗い流すことに利用したが、他の利用可能な水があれば、特にプラント排水処理設備90の処理水でなくても良い。また、再循環ガス吹出しノズルは、一対の再循環ガス吹出しノズル19a,19bを用いる場合、あるいは上記実施の形態で説明したように2段の再循環ガス吹出しノズル19a〜19dを用いる場合、それ以上の数の再循環ガス吹出しノズルを用いる場合にも適用することができる。この場合、再循環ガスの配管を共通にしても良く、あるいは個別の配管で供給することもできる。など、その他、本発明の要旨を変更しない範囲内で適宜、変形、変更して実施し得ることができることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0029】
1 ごみホッパ
2 ストーカ式焼却炉
3 一次燃焼室
4 二次燃焼室
5 一次空気主管
12 集塵装置
12a 吸入通路
13 再循環ファン
14 入口通路
15,16,17,18 再循環通路
17a,17b,17c(18a,18b,18c) 枝管
17y(18y) 角部
19,19a〜19d 再循環ガス吹出しノズル
21 乾燥帯ストーカ
22 主燃焼帯ストーカ
23 おき燃焼帯ストーカ
30 混入空気通路
40 再循環ガス抜出し口
90 プラント排水処理設備
91,92 配管
91a,91b,92a,92b 分岐管
93,93a,93c,93b,93d パイプ(ノズル清掃装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被燃焼物が投入されるストーカ上方の燃焼室内の燃焼排ガスの一部をファンにより炉本体内へ再循環ガスとして還流する再循環通路に、再循環ガスに含まれるダストを集塵除去する集塵装置を備えたストーカ式燃焼炉において、前記再循環通路に設けられ、かつ再循環ガスを炉本体内に吹き込むノズルに、前記集塵装置で捕捉できずに前記ノズル内に溜まったダストを洗浄する水を供給する清掃装置を設けたことを特徴とするストーカ式燃焼炉の清掃装置。
【請求項2】
前記清掃装置は、前記ノズル通路の角部にパイプを連結し、該パイプを通して水をノズル壁面に沿って噴射したことを特徴とする請求項1に記載のストーカ式燃焼炉の清掃装置。
【請求項3】
前記ノズル壁面に沿って旋回流を生じるように、前記パイプを前記ノズル壁面に沿って斜めに連結したことを特徴とする請求項1または2に記載のストーカ式燃焼炉の清掃装置。
【請求項4】
前記炉本体内から炉本体の下流側のいずれかに燃焼ガス成分の計測装置および/または炉本体内に炉内温度計測装置を設け、この計測装置に基づいて水の量を調整する開閉弁を水の供給管に設けたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のストーカ式燃焼炉の清掃装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−223473(P2010−223473A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−69970(P2009−69970)
【出願日】平成21年3月23日(2009.3.23)
【出願人】(501370370)三菱重工環境・化学エンジニアリング株式会社 (175)
【Fターム(参考)】