説明

スピロ環状シクロヘキサン誘導体

本発明は、スピロ環状シクロヘキサン誘導体, その製造方法, この化合物を含む医薬及びスピロ環状シクロヘキサン誘導体を医薬の製造に使用する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スピロ環状シクロヘキサン誘導体, その製造方法, この化合物を含む医薬及びスピロ環状シクロヘキサン誘導体を医薬の製造に使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
慢性及び非慢性苦痛状態の治療は医療において重要な意味を有する。したがって十分に有効な治療が世界的に要求されている。慢性及び非慢性苦痛状態の患者に合い、かつ目的にかなった治療への切迫した治療行為の要求(但しこの場合これは患者に対して効果があり、そして満足のいく苦痛治療を意味する)は、適用される鎮痛剤の分野で又は侵害受容に関する基礎研究の分野で最近発行されている多数の科学文献中に提示されている。
【0003】
モルフインのような古典的オピオイドは強い苦痛ないし著しく強い苦痛の治療に十分に有効である。しかしμ-オピオイド-レセプターと共に別のオピオイド-レセプター (δ, κ, ORL-1)も影響を及ぼされる場合有利であると考えられる。というのは純粋なμ-オピオイドが所望されない副作用、たとえば便秘及び呼吸抑制も示し、しかしまた依存を生じさせうるからである。またμ-オピオイド-レセプターδ, κ及び ORL-1は苦痛の発現に関与している(非特許文献1)。
【0004】
更にORL1−レセプターは、別の生理学的又は病態生理学的プロセスの調節に関与する。これに特に学習及び記憶形成(非特許文献2)、聴力(非特許文献3)並びに多くのその他の過程が含まれる。Calo 等 (非特許文献4)の抜粋記事に、ORL1−レセプターがその役割を果たすか又は高い確率でその役割を果たすことができる適応症又は生物学的事象に関する概要が記載されている。特に次のものが挙げられる:痛覚麻痺、食物摂取の刺激及び調節、μ−アゴニスト、例えばモルヒネに関する作用、禁断症状の治療、オピオイドの中毒潜在性の軽減、抗不安、運動活性の調節、記憶障害、てんかん;神経伝達物質、特にグルタマート、セロトニン及びドパミンの放出の調節、及びそれに伴う神経変性疾患、心臓血環系の影響、勃起の喚起、利尿、抗ナトリウム排泄増加、電解質−調節、動脈血圧、貯水疾患、腸管運動(下痢)、気道の弛緩作用、利尿反射(尿失禁)。さらに、食欲不振薬、鎮痛薬(オピオイドと共に投与することも)又は向知性薬(Nootropika)としてのアゴニスト及びアンタゴニストの使用が議論されている。
【非特許文献1】Opioids: Introduction, S. 127-150, Further Opioid Receptors, 455-476 in: Analgesics - From Chemistry and Pharmacology to Clinical Application, Wiley VCH 2002
【非特許文献2】Manabe等, Nature, 394, 1997, S. 577-581
【非特許文献3】Nishi等, EMBO J., 16, 1997, S. 1858-1864
【非特許文献4】Br.J. Pharmacol., 129, 2000, 1261 - 1283
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は,オピオイド-レセプター系に作用し、そしてそれ故に特にこの系と従来技術にしたがって関連する、種々の疾患の治療用のための又はそこに挙げられた適応症での使用のための薬剤に適する医薬を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
したがって本発明の対象は、そのラセミ化合物;そのエナンチオマー、そのジアステレオマー, そのエナンチオマー又はそのジアステレオマーの混合物又は個々のエナンチオマー又はジアステレオマーの混合物; その塩基及び(又は)生理学的に許容し得る酸の塩又はカチオンの形にある、一般式I
【0007】
【化1】

I
【0008】
{式中、
R1及びR2は相互に無関係にH; CHO; C1-5-アルキル (それぞれ飽和又は不飽和, 分枝状又は非分枝状, 1回以上置換されているか又は置換されていない); C3-8-シクロアルキル(それぞれ飽和又は不飽和, 1回以上置換されているか又は置換されていない);又はC1-3-アルキルを介して結合するアリール, C3-8-シクロアルキル又はヘテロアリール(それぞれ1回以上置換されているか又は置換されていない)を示すか、又は
基R1及びR2は一緒になってCH2CH2OCH2CH2, CH2CH2NR11CH2CH2又は (CH2)3-6を示し,
この際R11は、H; C1-5-アルキル(それぞれ飽和又は不飽和, 分枝状又は非分枝状, 1回以上置換されているか又は置換されていない); C3-8-シクロアルキル(それぞれ飽和又は不飽和, 1回以上置換されているか又は置換されていない); アリール又はヘテロアリール(それぞれ1回以上置換されているか又は置換されていない); 又は C1-3-アルキルを介して結合するアリール, C3-8-シクロアルキル又はヘテロアリール(それぞれ1回以上置換されているか又は置換されていない)を示し、
R3は、C1-5-アルキル(それぞれ飽和又は不飽和, 分枝状又は非分枝状, 1回以上置換されているか又は置換されていない); C3-8-シクロアルキル(それぞれ飽和又は不飽和, 1回以上置換されているか又は置換されていない); アリール又はヘテロアリール(それぞれ置換されていないか又は1回以上置換されている); C1-3-アルキル-基を介して結合するアリール、ヘテロアリール又はC3-8-シクロアルキル(それぞれ置換されていないか 又は1回以上置換されている)を示し、
WはNR4, O 又は Sを示し、そして
R4 はH; C1-5-アルキル(飽和又は不飽和, 分枝状又は非分枝状, 置換されていないか又は1回以上置換されている); アリール又はヘテロアリール(それぞれ置換されているか又は置換されていない); C1-3-アルキル-基を介して結合するアリール, ヘテロアリール又はシクロアルキル(それぞれ1回以上置換されているか又は置換されていない); COR12; SO2R12 を示し、
この際R12 はH; C1-5-アルキル(それぞれ飽和又は不飽和, 分枝状又は非分枝状, 1回以上置換されているか又は置換されていない); C3-8-シクロアルキル(それぞれ飽和又は不飽和, 1回以上置換されているか又は置換されていない); アリール又はヘテロアリール(それぞれ1回以上置換されているか又は置換されていない); 又は C1-3-アルキルを介して結合するアリール, C3-8-シクロアルキル又はヘテロアリール(それぞれ1回以上置換されているか又は置換されていない); OR13; NR14R15を示し、
R5は =O; H; COOR13, CONR13, OR13; C1-5-アルキル(飽和又は不飽和, 分枝状又は非分枝状, 置換されていないか又は1回以上置換されている); C3-8-シクロアルキル(飽和又は不飽和, 置換されていないか又は1回以上置換されている); アリール又はヘテロアリール(置換されていないか又は1回以上置換されている); 又はC1-3-アルキルを介して結合するアリール, C3-8-シクロアルキル又はヘテロアリール(置換されていないか又は1回以上置換されている)を示し、
R6はH; F, Cl, NO2, CF3, OR13, SR13, SO2R13, SO2OR13, CN, COOR13, NR14R15; C1-5-アルキル(飽和又は不飽和, 分枝状又は非分枝状, 置換されていないか又は1回以上置換されている); C3-8-シクロアルキル(飽和又は不飽和, 置換されていないか又は1回以上置換されている); アリール又はヘテロアリール(置換されていないか又は1回以上置換されている); 又は C1-3-アルキルを介して結合するアリール, C3-8-シクロアルキル又はヘテロアリール(置換されていないか又は1回以上置換されている)を示し、
又は R5及びR6は一緒になって(CH2)n(n = 2, 3, 4, 5 又は 6)を示し, この場合個々の水素原子は F, Cl, Br, I, NO2, CF3, OR13, CN 又は C1-5-アルキル によって置換されていてもよく、
R7, R8, R9及びR10は相互に無関係にH, F, Cl, Br, I, NO2, CF3, OR13, SR13, SO2R13, SO2OR13, CN, COOR13, NR14R15; C1-5-アルキル, C3-8-シクロアルキル(置換されていないか又は1回以上置換されている); アリール又はヘテロアリール(置換されていないか又は1回以上置換されている); 又は C1-3-アルキルを介して結合するアリール, C3-8-シクロアルキル 又はヘテロアリール(置換されていないか又は1回以上置換されている)を示し、
この際R13 はH; C1-5-アルキル (それぞれ飽和又は不飽和, 分枝状又は非分枝状, 置換されていないか又は1回以上置換されている); C3-8-シクロアルキル(それぞれ飽和又は不飽和の, 置換されていないか又は1回以上置換されている); アリール又はヘテロアリール(置換されていないか又は1回以上置換されている); 又は C1-3-アルキルを介して結合するアリール, C3-8-シクロアルキル 又はヘテロアリール(置換されていないか又は1回以上置換されている)を示し、
R14 及び R15 は相互に無関係に H; C1-5-アルキル , (それぞれ飽和又は不飽和, 分枝状又は非分枝状, 置換されていないか又は1回以上置換されている); 又は C3-8-シクロアルキル(それぞれ飽和又は不飽和の, 置換されていないか又は1回以上置換されている); アリール又はヘテロアリール(置換されていないか又は1回以上置換されている); 又は C1-3-アルキルを介して結合するアリール, C3-8-シクロアルキル又はヘテロアリール(置換されていないか又は1回以上置換されている)を示し、
又は R14 及び R15 は一緒になって CH2CH2OCH2CH2, CH2CH2NR16CH2CH2 又は (CH2)3-6を形成し,
この場合 R16 はH; C1-5-アルキル(飽和又は不飽和, 分枝状又は非分枝状, 置換されていないか又は1回以上置換されている)を示し、
XはO, S, SO, SO2又はNR17を示し、
R17はH; C1-5-アルキル(飽和又は不飽和, 分枝状又は非分枝状)、 COR12又はSO2R12を示す。}
で表わされるスピロ環状シクロヘキサン誘導体である。
【0009】
種々の基, たとえばR7, R8, R9及びR10の包括範囲並びにこれらの置換基に対する基、たとえばOR13, SR13, SO2R13 又は COOR13の包括範囲において、置換基, たとえばR13は2種以上の基, たとえばR7, R8, R9及びR10に関して1つの物質内で異なる意味をもつことができる。
【0010】
本発明の化合物は、μ-レセプターに, しかもまた別のオピオイドレセプターセプターへの良好な結合を示す。驚くべきことに、この物質はナトリウムチャネル(BTX-結合)の結合部位2 への親和性も示すことが分かった。
【0011】
それによって一般式Iで表わされる化合物群は局所麻酔薬としても適する。
【0012】
用語"C1-5-アルキル" 及び "C1-3-アルキル" は、本発明の範囲において非環式の飽和及び不飽和の、1, 2, 3, 4 又は 5 個のC-原子又は1, 2 又は 3 個のC-原子を有する炭化水素残基(分枝状又は非分枝状及び置換されていないか又は1回以上置換されていてよい), すなわちC1-5-アルカニル, C2-5-アルケニル 及び C2-5-アルキニル又はC1-3-アルカニル, C2-3-アルケニル及びC2-3-アルキニルを含む。その際、アルケニルは少なくとも1個のC-C-二重結合を、そしてアルキニルは少なくとも1個の C-C-三重結合を有する。アルキルはメチル, エチル, n-プロピル, 2-プロピル, n-ブチル, イソ-ブチル, sec.-ブチル, tert.-ブチル, n-ペンチル, イソ-ペンチル, ネオ-ペンチル, n-ヘキシル, 2-ヘキシル; エチレニル (ビニル), エチニル, プロペニル (-CH2CH=CH2, -CH=CH-CH3, -C(=CH2)-CH3), プロピニル (-CH-C≡CH, -C≡C-CH3), 1,1-ジメチルエチル, 1,1-ジメチルプロピル, ブテニル, ブチニル, ペンテニル及びペンチニルを含む群から選ばれるのが好ましい。
【0013】
用語“シクロアルキル“ 又は "C3-8-シクロアルキル" は、本発明の目的に関して3, 4, 5, 6, 7 又は 8 個の炭素原子を有する環状炭化水素を意味し、この際この炭化水素は飽和又は不飽和 (しかし芳香族でない), 置換されていないか又は 1回以上置換されていてよい。シクロアルキルに関して、この概念は飽和又は不飽和 (しかし芳香族でない) シクロアルキルを含み、この基中で1又は2個の炭素原子がヘテロ原子S, N 又は O によって置換されている。C3-8-シクロアルキルは,シクロプロピル, シクロブチル, シクロペンチル, シクロヘキシル, シクロヘプチル, シクロオクチル, シクロペンテニル, シクロヘキセニル, シクロヘプテニル及び シクロオクテニル, しかもまたテトラヒドロピラニル, ジオキサニル, ジオキソラニル, モルホリニル, ピペリジニル, ピペラジニル, ピラゾリノニル及びピロリジニルを含む群から選ばれるのが好ましい。
【0014】
表現(CH2)3-6は、-CH2-CH2-CH2-, -CH2-CH2-CH2-CH2-, -CH2-CH2-CH2-CH2-CH2- 及び CH2-CH2-CH2-CH2-CH2-CH2- を意味する。
【0015】
用語 "アリール" は、本発明の範囲において、環系のうちの1つにもヘテロ原子のない、少なくとも1種の芳香族環を有する炭素環状環系、特にフェニル類, ナフチル類及びフェナントレニル類, フルオロアンスレニル類, フルオレニル類, ランダニル類及びテトラリニル類を意味する。アリール-基は、その他の飽和, (一部)不飽和又は芳香族環系として縮合することができる。各アリール-基は置換されていないか又は1回以上置換されていてよく、この際アリール-置換基は同一か又は異なって、アリールの各々の任意の及び可能な位置にあることができる。フェニル- 又はナフチル-基が好ましい。
【0016】
用語"ヘテロアリール" は、少なくとも1種, 場合により2, 3, 4 又は 5種のヘテロ原子を含む5-, 6- 又は 7-員の環状芳香族基を意味し、この際ヘテロ原子は同一か又は異なり、そしてヘテロ環は置換されていないか又は1回以上置換されていてよい; ヘテロ環が置換されている場合、置換基は同一か又は異なって、ヘテロアリールの各々の任意の及び可能な位置にあることができる。ヘテロ環は二環状又は多環状系の一部であってもよい。好ましいヘテロ原子は窒素, 酸素及び硫黄である。ピロリル, インドリル, フリル(フラニル), ベンゾフラニル, チエニル(チオフェニル), ベンゾチエニル, ベンゾチアゾジアゾリル, ベンゾチアゾリル, ベンゾトリアゾリル, ベンゾジオキソラニル, ベンゾジオキサニル, フタラジニル, ピラゾリル, イミダゾリル, チアゾリル, オキサゾリル, イソオキサゾリル, ピリジニル, ピリダジニル, ピリミジニル, ピラジニル, ピラニル, インダゾリル, プリニル, インドリジニル, キノリニル, イソキノリニル, キナゾリニル, カルバゾリル, フェナジニル, フェノチアジニル又はオキサジアゾリルを含む群から選ばれるのが好ましい。この際一般構造式Iで表わされる化合物への結合は、ヘテロアリール基の各任意の及び可能な環構成員を介して行うことができる。
【0017】
"アルキル" に関連して、本発明の範囲において“置換された”という用語は、F, Cl, Br, I, -CN, NH2, NH-アルキル, NH-アリール, NH-ヘテロアリール, NH-シクロアルキル, NH-アルキル-アリール, NH-アルキル-ヘテロアリール, NH-アルキル-OH, N(アルキル)2, N(アルキル-アリール)2, N(アルキル-ヘテロアリール)2, N(シクロアルキル)2, N(アルキル-OH)2, NO2, SH, S-アルキル, S-アリール, S-ヘテロアリール, S-アルキル-アリール, S-アルキル-ヘテロアリール, S-シクロアルキル, S-アルキル-OH, S-アルキル-SH, OH, O-アルキル, O-アリール, O-ヘテロアリール, O-アルキル-アリール, O-アルキル-ヘテロアリール, O-シクロアルキル, O-アルキル-OH, CHO, C(=O)C1-6-アルキル, C(=S)C1-6-アルキル, C(=O)アリール, C(=S)アリール, C(=O)C1-6-アルキル-アリール, C(=S)C1-6-アルキル-アリール, C(=O)-ヘテロアリール, C(=S)-ヘテロアリール, C(=O)-シクロアルキル, C(=S)-シクロアルキル, CO2H, CO2-アルキル, CO2-アルキル-アリール, C(=O)NH2, C(=O)NH-アルキル, C(=O)NHアリール, C(=O)NH-シクロアルキル, C(=O)N(アルキル)2, C(=O)N(アルキル-アリール)2, C(=O)N(アルキル-ヘテロアリール)2, C(=O)N(シクロアルキル)2, SO-アルキル, SO2-アルキル, SO2NH2, SO3H, PO(O-C1-6-アルキル)2, Si(C1-6-アルキル)3, Si(C3-8-シクロアルキル)3, Si(CH2-C3-8-シクロアルキル)3, Si(フェニル)3, シクロアルキル, アリール又はヘテロアリールによって1個以上の水素基が置換されることを意味し, この際“多数回置換された”基とは、異なる及び同一の原子に多数回、たとえば2又は3回置換されている基を意味し、たとえば3回、たとえばCF3又は -CH2CF3の場合のように同一のC−原子が置換されている基、あるいは-CH(OH)-CH=CH-CHCl2の場合のように異なる位置で置換されている基を意味する。多数回置換は同一置換基又は異なる置換基によって行うことができる。場合により置換基それ自体が置換されていてもよい;したがって、-Oアルキルは特に-O-CH2-CH2-O-CH2-CH2-OHも含む。
【0018】
"アリール", "ヘテロアリール" 並びに "シクロアルキル" に関して、本発明の範囲において、 "1回以上置換された" なる用語は環系の水素原子1個以上がF, Cl, Br, I, CN, NH2, NH-アルキル, NH-アリール, NH-ヘテロアリール, NH-アルキル-アリール, NH-アルキル-ヘテロアリール, NH-シクロアルキル, NH-アルキル-OH, N(アルキル)2, N(アルキル-アリール)2, N(アルキル-ヘテロアリール)2, N(シクロアルキル)2, N(アルキル-OH)2, NO2, SH, S-アルキル, S-シクロアルキル, S-アリール, S-ヘテロアリール, S-アルキル-アリール, S-アルキル-ヘテロアリール, S-シクロアルキル, S-アルキル-OH, S-アルキル-SH, OH, O-アルキル, O-シクロアルキル, O-アリール, O-ヘテロアリール, O-アルキル-アリール, O-アルキル-ヘテロアリール, O-シクロアルキル, O-アルキル-OH, CHO, C(=O)C1-6-アルキル, C(=S)C1-6-アルキル, C(=O)アリール, C(=S)アリール, C(=O)-C1-6-アルキル-アリール, C(=S)C1-6-アルキル-アリール, C(=O)-ヘテロアリール, C(=S)-ヘテロアリール, C(=O)-シクロアルキル, C(=S)-シクロアルキル, CO2H, CO2-アルキル, CO2-アルキル-アリール, C(=O)NH2, C(=O)NH-アルキル, C(=O)NHアリール, C(=O)NH-シクロアルキル, C(=O)N(アルキル)2, C(=O)N(アルキル-アリール)2, C(=O)N(アルキル-ヘテロアリール)2, C(=O)N(シクロアルキル)2, S(O)-アルキル, S(O)-アリール, SO2-アルキル, SO2-アリール, SO2NH2, SO3H, CF3, =O, =S; アルキル, シクロアルキル, アリール及び(又は)ヘテロアリールによって、1種の原子又は場合により種々の原子(この際置換基は場合によりそれ自体置換されていてもよい)で、1回以上, たとえば 2-, 3- 4- 又は 5回置換されることを意味する; その際多数回置換は同一か又は異なる置換基によって行われる。
【0019】
“塩”なる用語は、本発明の有効物質のあらゆる形態を意味し、この際これはイオン形をとるか又は荷電され、対向イオン(カチオン又はアニオン)とカップリングするか又は溶解された状態にある。この用語は有効物質と他の分子及びイオンの錯体、特にイオン交換作用を経て錯化された錯体を含むと解される。この用語(及びこれは本発明の好ましい実施態様でもある)は、生理学的に許容し得る塩、特にカチオン又は塩基との生理学的に許容し得る塩及び、アニオン又は酸との生理学的に許容し得る塩あるいは生理学的に許容し得る酸と又は生理学的に許容し得るカチオンと共に形成される塩を意味する。
【0020】
アニオン又は酸との生理学的に許容し得る塩の概念は、本発明の範囲においてカチオンとして少なくとも1種の本発明の化合物−−−ほとんど、たとえば窒素がプロトン化されている−−−−と少なくとも1種のアニオンとの塩を意味し、これは生理学的に−−特にヒト及び(又は)哺乳類に使用した場合−−−許容し得る。これは本発明の範囲において生理学的に許容し得る酸と共に形成される塩、すなわち各々の有効物質と無機酸又は有機酸との塩を意味し、これは生理学的に−−特にヒト及び(又は)哺乳類に使用した場合−−−許容し得る。特定の酸の生理学的に許容し得る塩の例は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、メタンスルホン酸、ギ酸、酢酸、シュウ酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、マンデル酸、フマル酸、乳酸、クエン酸、グルタミン酸、サッカリン酸、モノメチルセバシン酸、5-オキソ-プロリン, ヘキサン-1-スルホン酸, ニコチン酸, 2-, 3- 又は 4-アミノ安息香酸, 2,4,6-トリメチル-安息香酸, α−リポン酸、アセチルグリシン、アセチルサリチル酸、馬尿酸及び(又は)又はアスパラギン酸の塩である。塩酸塩, クエン酸塩 及び半クエン酸塩が特に好ましい。
【0021】
生理学的に許容し得る酸と共に形成される塩なる用語は、本発明の範囲においてアニオンとしてそれぞれの有効物質と無機酸又は有機酸との塩を意味し、これは生理学的に−−特にヒト及び(又は)哺乳類に使用した場合−−−許容し得る。その塩酸塩及びクエン酸塩が特に好ましい。生理学的に許容し得る酸の例は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、メタンスルホン酸、ギ酸、酢酸、シュウ酸、コハク酸、酒石酸、マンデル酸、フマル酸、乳酸、クエン酸、グルタミン酸、サッカリン酸、モノメチルセバシン酸、5-オキソ-プロリン, ヘキサン-1-スルホン酸, ニコチン酸, 2-, 3- 又は 4-アミノ安息香酸, 2,4,6-トリメチル-安息香酸, α−リポン酸、アセチルグリシン、アセチルサリチル酸、馬尿酸及び(又は)又はアスパラギン酸の塩である。
【0022】
カチオン又は塩基との生理学的に許容し得る塩なる用語は、本発明の範囲においてアニオンとして少なくとも1種の本発明の化合物[大抵(脱プロトン化された)酸]と少なくとも1種のカチオン、好ましくは無機のカチオンとの塩を意味し、これは生理学的に−−特にヒト及び(又は)哺乳類に使用した場合−−−許容し得る。アルカリ金属及びアルカリ土類金属の塩、しかもまた(モノ−)又は(ジ−)ナトリウム塩、(モノ−)又は(ジ−)カリウム塩、マグネシウム塩又はカルシウム塩が特に好ましい。
【0023】
生理学的に許容し得るカチオンと共に形成される塩なる用語は、本発明の範囲においてアニオンとしてそれぞれの化合物の少なくとも1種と少なくとも1種の無機のカチオンとの塩を意味し、これは生理学的に−−特にヒト及び(又は)哺乳類に使用した場合−−−許容し得る。アルカリ金属及びアルカリ土類金属の塩、しかもまたアンモニウム塩、特にしかも(モノ−)又は(ジ−)ナトリウム塩、(モノ−)又は(ジ−)カリウム塩、マグネシウム塩又はカルシウム塩が特に好ましい。
【0024】
本発明のスピロ環状シクロヘキサン誘導体の好ましい実施態様に対して、
R1及びR2は相互に無関係にH; C1-8-アルキル(飽和又は不飽和, 分枝状又は非分枝状, 1回以上置換されているか又は置換されていない)を示すか又は
基R1及びR2 は一緒になって環を形成し、そしてCH2CH2OCH2CH2, CH2CH2NR11CH2CH2 又は (CH2)3-6を示し,
この場合 R11はH; C1-8-アルキル(飽和又は不飽和, 分枝状又は非分枝状, 1回以上置換されているか又は置換されていない)を示す。
【0025】
R1及びR2は相互に無関係にCH3又はHを示し, この際R1及びR2 は同時にHを示さない、スピロ環状シクロヘキサン誘導体が特に好ましい。
【0026】
更に、スピロ環状シクロヘキサン誘導体{式中、
R3はシクロペンチル, シクロヘキシル, フェニル, ベンジル, ナフチル, アントラセニル, チオフェニル, ベンゾチオフェニル, フリル, ベンゾフラニル, ベンゾジオキソラニル, インドリル, インダニル, ベンゾジオキサニル, ピロリル, ピリジル, ピリミジル又はピラジニル(それぞれ置換されていないか又は1回以上置換されている); 飽和の非分枝状C1-2-アルキル-基を介して結合するC5-6-シクロアルキル, フェニル , ナフチル, アントラセニル, チオフェニル, ベンゾチオフェニル, ピリジル, フリル, ベンゾフラニル, ベンゾジオキソラニル, インドリル, インダニル, ベンゾジオキサニル, ピロリル, ピリミジル 又は ピラジニル(それぞれ置換されていないか又は1回以上置換されている)を示し、
特に
R3はフェニル , フリル, チオフェニル, ナフチル, ベンジル, ベンゾフラニル, インドリル, インダニル, ベンゾジオキサニル, ベンゾジオキソラニル, ピリジル, ピリミジル, ピラジニル又はベンゾチオフェニル(それぞれ置換されていないか又は1回以上置換されている); 飽和の、非分枝状C1-2-アルキル-基を介して結合するフェニル , フリル 又は チオフェニル(それぞれ置換されていないか又は1回以上置換されている)を示す。}
が好ましい。
【0027】
R3 はフェニル, フェネチル, チオフェニル, ピリジル又はベンジル(それぞれ置換されているか又は置換されていない)を示し、特に好ましくはフェニルを示す、スピロ環状シクロヘキサン誘導体が特に好ましい。
【0028】
同様に、R3 はフェニルを示し、これは置換されていないか又はF, Cl, CN, OCH3, OCH2CH3, CH3, CF3 又は OH によって1回以上置換され, 特に3-フルオロフェニル及び4-フルオロフェニルを示す、スピロ環状シクロヘキサン誘導体が特に好ましい。
【0029】
更に、R5はH, C1-5-アルキル(分枝状又は非分枝状, 置換されていないか又は1回以上置換されている)、又はCOOR13を示し、そしてR6がH又はC1-5-アルキルを示す、スピロ環状シクロヘキサン誘導体が好ましい。
【0030】
更に、R7,R8, R9 及びR10は相互に無関係にH; C1-5-アルキル(分枝状又は非分枝状, 置換されていないか又は1回以上置換されている); F, Cl, Br, I, CF3, OH, OCH3, NH2, COOH, COOCH3, NHCH3 又は N(CH3)2 又は NO2 を示す、スピロ環状シクロヘキサン誘導体が好ましい。
【0031】
基 R5-R10はHを示す、スピロ環状シクロヘキサン誘導体が殊に好ましい。
【0032】
そのラセミ化合物;そのエナンチオマー、そのジアステレオマー, そのエナンチオマー又はそのジアステレオマーの混合物 又は 個々のエナンチオマー又はジアステレオマーの混合物; その塩基及び(又は)生理学的に許容し得る酸又はカチオンの塩の形にある、
N,N-ジメチル-N-{4-フェニル -1’,3’,4’,5’-テトラヒドロ-スピロ[シクロヘキサン-1,1’-ピラノ[4,3-b]インドール]-4-イル}アミン、
N,N-ジメチル-N-{4-フェニル -1’,3’,4’,5’-テトラヒドロ-スピロ[シクロヘキサン-1,1’-ピラノ[4,3-b]インドール]-4-イル}アミン-トリフラート、
N,N-ジメチル-N-{4-フェニル -1’,3’,4’,5’-テトラヒドロ-スピロ[シクロヘキサン-1,1’-ピラノ[4,3-b]インドール]-4-イル}アミン-シトラート、
N,N-ジメチル-N-{4-(4-フルオロフェニル)-1’,3’,4’,5’-テトラヒドロ-スピロ[シクロヘキサン-1,1’-ピラノ[4,3-b]インドール]-4-イル}アンモニウム-トリフラート、
N,N-ジメチル-N-{4-(3-フルオロフェニル)-1’,3’,4’,5’-テトラヒドロ-スピロ[シクロヘキサン-1,1’-ピラノ[4,3-b]インドール]-4-イル}アンモニウム-トリフラート、
N,N-ジメチル-N-{4-フェニル -スピロ[シクロヘキサン-1,4’-1’,4’-ジヒドロ-2’H-3’-オキサ-9’-チアフルオレン]-4-イル}アミン、
N,N-ジメチル-N-{4-フェニル -スピロ[シクロヘキサン-1,4’-1’,4’-ジヒドロ-2’H-3’-オキサ-9’-チアフルオレン]-4-イル}アミン-トリフラート
N,N-ジメチル-N-{4-(4-フルオロフェニル)-スピロ[シクロヘキサン-1,4’-1’,4’-ジヒドロ-2’H-3’-オキサ-9’-チアフルオレン]-4-イル}アンモニウム-トリフラート
N,N-ジメチル-N-{4-(3-フルオロフェニル)-スピロ[シクロヘキサン-1,4’-1’,4’-ジヒドロ-2’H-3’-オキサ-9’-チアフルオレン]-4-イル}アンモニウム-トリフラート
N,N-ジメチル-N-{4-フェニル -1’,4’-ジヒドロスピロ[シクロヘキサン-1,4’-2’H-3’,9’-ジチアフルオレン]-4-イル}アンモニウム-メタンスルホナート
N,N-ジメチル-N-{4-フェニル-1’,4’-ジヒドロスピロ[シクロヘキサン-1,4’-2’H-9’-オキサ-3’-チアフルオレン]-4-イル}アンモニウム-メタンスルホナート
N,N-ジメチル-N-{4-ピリジン-1’,3’,4’,5’-テトラヒドロ-スピロ[シクロヘキサン-1,1’-ピラノ[4,3-b]インドール]-4-イル}アミン
N,N-ジメチル-N-{4-ピリジン-1’,3’,4’,5’-テトラヒドロ-スピロ[シクロヘキサン-1,1’-ピラノ[4,3-b]インドール]-4-イル}アミン-シトラート
N,N-ジメチル-N-{4-フェニル -1’,4’-ジヒドロスピロ[シクロヘキサン-1,4’-2’H-3’,9’-ジオキサフルオレン]-4-イル}アンモニウム-メタンスルホナート
より成る群からなる、スピロ環状シクロヘキサン誘導体が特に好ましい。
【0033】
本発明の物質は、たとえば様々な疾患に関連して問題となるμ-オピオイド-レセプターに作用し, それゆえこれは医薬中の医薬有効物質として適する。したがって、本発明の別の対象は、少なくとも1種の本発明のスピロ環状シクロヘキサン誘導体, 並びに場合により適当な添加物及び(又は) 助剤及び(又は)場合によりその他の有効物質を含む医薬である。
【0034】
本発明の医薬は、少なくとも1種の本発明のスピロ環状シクロヘキサン誘導体と共に、場合により適当な添加剤及び(又は) 助剤、たとえばまた担体材料, 増量剤、溶剤、希釈剤、着色料及び(又は)結合剤を含み、そして液状医薬として注射用溶液、滴剤、又は液剤の形で、半固形医薬として顆粒、錠剤、ペレット、パッチ、カプセル、硬膏剤又はエアゾールの形で投与することができる。助剤の選択及びその使用される量は、その医薬が経口、皮下、腸管外、静脈内、腹腔内、経皮、筋肉内、鼻腔内、バッカル、直腸又は局所に、たとえば皮膚の、粘膜の及び眼の感染媒体に投与されねばならないかどうかに依存する。経口投与に、たとえば錠剤、糖衣錠、カプセル、顆粒、ペレット、滴剤、液剤及びシロップの形の製剤、非経口、外用及び吸入投与に、溶液、懸濁液、容易に再構成可能な乾燥調製物並びにスプレーの形の製剤が最適である。場合により皮膚浸透を促進する剤の添加下に溶解された形でデポ剤としての又は硬膏剤としての本発明のスピロ環状シクロヘキサン誘導体は、適当な経皮適用調合物である。経口又は経皮投与可能な調合物形態は、本発明のスピロ環状シクロヘキサン誘導体を遅延された状態で遊離することができる。本発明のスピロ環状シクロヘキサン誘導体を非経口長期デポ形態、たとえばインプラント又は埋め込まれたポンプの形でも使用することができる。原則的に本発明の医薬に、当業者に周知のその他の有効物質を更に添加することができる。
【0035】
患者に投与すべき有効物質の量は、患者の体重、投与の種類、症状及び病気の重さに依存して変化する。少なくとも1種の本発明のスピロ環状シクロヘキサン誘導体を、通常 0,00005〜50 mg/kg, 好ましくは0,001 〜0,5 mg/kg投与することができる。
【0036】
本発明の医薬の前記形態のすべてに対して、この医薬が少なくとも1種のスピロ環状シクロヘキサン誘導体が更に別の有効物質, 特にオピオイド, 好ましくは強いオピオイド, 特にモルヒネ, 又は麻酔薬、好ましくはヘキソバルビタール又はハロタンを含む場合、特に好ましい。
【0037】
医薬の好ましい形態で含まれる本発明のスピロ環状シクロヘキサン誘導体は純粋なジアステレオマー及び(又は)エナンチオマーとして, ラセミ化合物として又は ジアステレオマー及び(又は) エナンチオマーの非-等モル又は等モル混合物として存在する。
【0038】
従来技術の冒頭で推察されるように、μ-オピオイド-レセプターは特に苦痛事象で識別された。したがって本発明のスピロ環状シクロヘキサン誘導体を苦痛, 特に急性、神経障害性又は慢性苦痛の治療用医薬の製造に使用することができる。
【0039】
したがって本発明の別の対象は、スピロ環状シクロヘキサン誘導体を苦痛, 特に急性、内臓性、神経障害性又は慢性苦痛の治療用医薬の製造に使用する方法である。
【0040】
本発明の別の対象は、本発明のスピロ環状シクロヘキサン誘導体を、不安状態、ストレス及びストレスと関連する症候群、うつ病、癲癇、アルツハイマー病、老人性痴呆症、一般的な認知機能障害、学習及び記憶障害(向知性薬として)、禁断症状、アルコールー及び(又は)麻薬−及び(又は)薬物−中毒及び(又は)依存症、性的機能障害、心臓血環疾患、低血圧症、高血圧症、耳鳴り、掻痒症、偏頭痛、聴力障害、腸運動障害、摂食障害、食欲不振、脂肪過多症、運動障害、下痢、悪液質、尿失禁を治療するための医薬の製造に、又は筋弛緩剤、抗痙攣剤又は麻酔剤としての医薬の製造に、又はオピオイド鎮痛剤又は麻酔剤を用いる治療での併用投与用医薬の製造に、又は利尿薬又は抗ナトリウム排泄増加薬又は抗不安薬の製造に、運動活性モジュレーション用医薬の製造に、神経伝達物質の分布のモジュレーション及びこれに付随する神経変性疾患の治療用医薬の製造、オピオイドの禁断症状の治療及び(又は)潜在的嗜癖の軽減用医薬の製造に使用する方法である。
【0041】
その際、使用される本発明のスピロ環状シクロヘキサン誘導体が純粋なジアステレオマー及び(又は)エナンチオマーとして, ラセミ化合物として又は ジアステレオマー及び(又は) エナンチオマーの非-等モル又は等モル混合物として存在する場合、前記使用方法のうちの1つにおいて好ましいといえる。
【0042】
本発明の別の対象は、本発明のスピロ環状シクロヘキサン誘導体又は本発明の医薬の治療上有効な薬用量の投与によって苦痛、特に慢性苦痛の治療を必要とする、ヒトでない哺乳類又はヒトを、特に上記適応症の1つで、治療する方法にある。
【0043】
本発明の別の対象は、次の記載及び実施例に記載されている様に本発明のスピロ環状シクロヘキサン誘導体を製造する方法である。その際、特に次の主たる方法で挙げられる、次の工程を有する本発明のスピロ環状シクロヘキサン誘導体の製造方法が適当である。
この際 X, W, R1, R2, R3, R5, R6, R7, R8, R9 及び R10 は、式Iで表わされる本発明の化合物に対して記載した意味を有し,
及び
R01 及び R02は、式Iで表わされる本発明の化合物のR1 及び R2に対して記載した意味を有し、そして付加的に相互に無関係に保護基を示すことができる:
【0044】
【化2】

【0045】
一般式Ia で表わされる化合物を製造するために、一般式 Aで表わされるケトン類と一般式Bで表わされるヘテロ芳香族化合物を、酸又はそのトリメチルシリルエステル, たとえばトリフルオロメタンスルホン酸-トリメチルシリルエステル, 酢酸, リン酸, メタンスルホン酸 又は トリフルオロ酢酸の添加下に、適当な溶剤, たとえばジクロロエタン, ジクロロメタン, クロロホルム, アセトニトリル, ジエチルエーテル又はニトロメタン中で反応させる。
【0046】
あるいは下記反応式にしたがって製造することもできる。この場合X, W, R3, R5, R6, R7, R8, R9及びR10は式Iで表わされる本発明の化合物に対して記載した意味を有し,そして
R01及びR02は、式Iで表わされる本発明の化合物のR1及びR2に対して記載した意味を有し、そして付加的に相互に無関係に保護基を示すことができる。
【0047】
【化3】

【0048】
一般式Iで表わされるスピロ環状シクロヘキサン誘導体(式中、X はNR17及び R17 COR12 又は SO2R12を示す。)は、一般式Iで表わされるスピロ環状シクロヘキサン誘導体(式中、 Xは NHを示す。)と無水物又は酸クロライドを塩基, たとえばトリエチルアミンの添加下に反応させることによって得ることができる。この反応をマイクロ波照射下に実施するのが好ましい。
【0049】
一般式Iで表わされるスピロ環状シクロヘキサン誘導体(式中、XはSO 又は SO2 を示す。)は, 一般式Iで表わされるスピロ環状シクロヘキサン誘導体(式中、 X はSを示す。)と酸化剤, たとえばH2O2, の反応によって得ることができる。
【実施例】
【0050】
次の実施例は本発明をさらに詳細に説明するために用いるが、一般的な発明思想を制限するものではない。
【0051】
製造された化合物の収率は最適化されていない。
【0052】
全ての温度は未修正である。
【0053】
「エーテル」の記載はジエチルエーテルを意味し、「EE」は酢酸エチルを意味し、「DCM」はジクロロメタンを意味する。「当量」の記載は質量当量を意味し、「rac.」はラセミ性を意味し、「Vol.%」は容量%を意味し、「m%」は質量%を意味し、「M」はモル/lで表わされる濃度を示す。
【0054】
カラムクロマトグラフィーの固定相として、シリカゲル(シリカゲル 60)(0.040〜0.063mm)(E.メルク社、ダルムシュタット)を使用した。
【0055】
薄層クロマトグラフィー試験は、HPTLC−既製プレート(HPTLC−既成プレート,シリカゲル 60 F 254,E.メルク社,ダルムシュタット)を用いて実施した。
【0056】
クロマトグラフィー試験のための溶離剤の混合比は常に容量/容量で表示した。
【0057】
以下に使用される化合物は、市場で入手することできるか又はその製造は従来技術から公知であるか又は当業者に周知の方法で従来技術に由来する。
【0058】
例1:
N,N-ジメチル-N-{4-フェニル -1’,3’,4’,5’-テトラヒドロ-スピロ[シクロヘキサン-1,1’-ピラノ[4,3-b]インドール]-4-イル}アミン
例2:
N,N-ジメチル-N-{4-フェニル -1’,3’,4’,5’-テトラヒドロ-スピロ[シクロヘキサン-1,1’-ピラノ[4,3-b]インドール]-4-イル}アミン-トリフラート
例 3
N,N-ジメチル-N-{4-フェニル -1’,3’,4’,5’-テトラヒドロ-スピロ[シクロヘキサン-1,1’-ピラノ[4,3-b]インドール]-4-イル}アミン-シトラート
方法A
アルゴン下で、4-ジメチルアミノ-4-フェニル-シクロヘキサノン(217 mg, 1 mmol) 及び 2-(1H-インドール-2-イル)エタノール(161 mg, 1 mmol)を氷酢酸(4 ml)及び濃リン酸 (1ml)に溶解させる。混合物を20時間室温で攪拌する。後処理のために沈殿した固体を吸引濾取し, 1N NaOH (30 ml)に懸濁させ、ついで1時間室温で攪拌する。ついでスピロエーテル(例1)を収率61 % (200 mg)で融点311-314℃のベージュ色固体として吸引濾取する。
【0059】
方法B
アルゴン下で、4-ジメチルアミノ-4-フェニル-シクロヘキサノン(217mg, 1mmol)を2-(1H-インドール-2-イル)-エタノール(161mg, 1mmol)と共に無水ジクロロメタン (10 ml)中に予め入れる。ついでトリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリルエステル(0,2 ml, 1,03mmol)を添加する。混合物を19時間室温で攪拌する。後処理のために、沈殿したトリフラートを吸引濾取して、ジクロロメタン(2×10 ml)で洗浄する。例2の化合物が収率99 % (504 mg)で無色固体(融点 249-253℃)として得られる。
【0060】
方法C
方法 Aにしたがって得られるスピロエーテル(例1)(220 mg,0,61mmol)をメタノール (100 ml)に懸濁させ、ついでトリフルオロメタンスルホン酸 (0,11 ml, 1,2 mmol)を添加する。反応混合物を15分還流加熱し, この際澄明な溶液が生じる。反応容量を10mlに減少させる。冷却後、トリフラート (例2)を収率70 % (217 mg)で吸引濾取する。
【0061】
シトラートの製造
トリフラート(例2)を1N苛性ソーダ溶液(15ml)に懸濁させ、15分攪拌する。その際得られた固体を吸引濾取し、水(2×10 ml)で洗浄し、乾燥させる。その際遊離塩基(例1)が収率66 %(239 mg)でベージュ色固体が得られる。シトラートの製造のために、塩基(229 mg, 0,63 mmol)をメタノール (90 ml)に50℃で懸させ、暖かいメタノール (10 ml)に溶解させたクエン酸(122mg,0,63mmol)を添加する。反応混合物を2時間室温で攪拌し、沈殿した固体を吸引濾取する。その際、シトラート(例3)が収率62 % (216 mg)で白色固体(融点 249-243℃)として得られる。
【0062】
例4:
N,N-ジメチル-N-{4-(4-フルオロフェニル)-1’,3’,4’,5’-テトラヒドロ-スピロ[シクロヘキサン-1,1’-ピラノ[4,3-b]インドール]-4-イル}アンモニウム-トリフラート
アルゴン下で、4-ジメチルアミノ-4-(4-フルオロフェニル)-シクロヘキサノン (235 mg, 1 mmol) を2-(1H-インドール-2-イル)-エタノール(161 mg,1 mmol)と共に無水ジクロロメタン(10 ml)中に予め入れる。ついでトリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリルエステル (0,2 ml, 1,03 mmol)の添加を行う。混合物を20時間室温で攪拌する。後処理のために、沈殿したトリフラートを吸引濾取して、ジクロロメタン (2 × 10 ml)で洗浄する。トリフラート(例4)が収率94 % (495 mg)でふじ色固体(融点232-233℃)で得られる。
【0063】
例5:
N,N-ジメチル-N-{4-(3-フルオロフェニル)-1’,3’,4’,5’-テトラヒドロ-スピロ[シクロヘキサン-1,1’-ピラノ[4,3-b]インドール]-4-イル}アンモニウム-トリフラート
アルゴン下で、4-ジメチルアミノ-4-(3-フルオロフェニル)-シクロヘキサノン(235mg, 1mmol)を2-(1H-インドール-2-イル)-エタノール(161mg,1mmol)と共に無水ジクロロメタン(10ml)中に予め入れる。ついでトリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリルエステル (0,2ml, 1,03mmol)の添加を行う。混合物を20時間室温で攪拌する。後処理のために、沈殿したトリフラートを吸引濾取して、ジクロロメタン(2×10ml)で洗浄する。トリフラート(例5)が収率98%(518mg)でふじ色固体(融点174-189℃)として得られる。
【0064】
例6:
N,N-ジメチル-N-{4-フェニル -スピロ[シクロヘキサン-1,4’-1’,4’-ジヒドロ-2’H-3’-オキサ-9’-チアフルオレン]-4-イル}アミン
例7:
N,N-ジメチル-N-{4-フェニル -スピロ[シクロヘキサン-1,4’-1’,4’-ジヒドロ-2’H-3’-オキサ-9’-チアフルオレン]-4-イル}アミン-トリフラート
方法A
アルゴン下で、4-ジメチルアミノ-4-フェニル-シクロヘキサノン(217mg, 1mmol)及び2-ベンゾ[b]チオフェン-2-イルエタノール(178 mg, 1 mmol)を氷酢酸(4 ml)及び濃リン酸(1 ml)に溶解させる。混合物を3時間室温で攪拌する。後処理のために、反応混合物に氷(30 g)を添加して、NaHCO3 (9 g,0,107mol)で中和する。ジエチルエーテル(70 ml)の添加後、30分攪拌する。有機相を分離し、ついで残存する水性相をジエチルエーテル(2×50 ml)で抽出する。一緒にされた有機抽出物をNa2SO4 を介して乾燥させ、ついで蒸発させる。残留物(386 mg)をシリカゲル (35 g)上で酢酸エチル/メタノール (4 : 1)を用いてクロマトグラフィー分離し、その際スピロエーテル(例6)を収率14 % (53 mg)で無色固体(融点262-263℃)として単離する。
【0065】
方法 B
アルゴン下で、4-ジメチルアミノ-4-フェニル -シクロヘキサノン (217 mg, 1 mmol)を2-ベンゾ[b]チオフェン-2-イルエタノール (178 mg, 1 mmol)と共に無水ジクロロメタン(10 ml)中に予め入れる。ついでトリフルオロ酢酸 (3 ml)の添加を行う。混合物を24時間室温で攪拌する。後処理のために、反応混合物に氷(30g)を添加して、NaHCO3 (3,4 g, 0,04 mol)で中和する。その後5N NaOH (0,5 ml)を添加する。水性相を分離して、ジクロロメタン(2×30ml)で抽出する。一緒にされた有機抽出物をNa2SO4 を介して乾燥させ、ついで蒸発させる。残留物(400mg)をシリカゲル(40 g)上で酢酸エチル/メタノール (4 : 1)及びメタノールを用いてクロマトグラフィー分離し、スピロエーテル(例6)を収率76 % (286 mg)で無色固体として単離する。
【0066】
方法 C
アルゴン下で、4-ジメチルアミノ-4-フェニル -シクロヘキサノン(217 mg, 1mmol)を2-ベンゾ[b]チオフェン-2-イルエタノール (178 mg, 1 mmol)と共に無水ジクロロメタン(5 ml)に溶解させる。ついでメタンスルホン酸(3 ml)の添加を行う。混合物を24時間室温で攪拌する。後処理のために、反応混合物に氷(30 g)を添加する。その際無色固体が沈殿し, 1N苛性ソーダ溶液(10 ml)及びトリクロロメタン(30ml)に懸濁させ、ついで30分攪拌する。有機相を分離し、ついで水性相をトリクロロメタン(30 ml) で抽出する。有機抽出物を乾燥後に蒸発させ、ついで残留物(295 mg)をシリカゲル(40 g)上で酢酸エチル/メタノール(4 : 1) を用いてクロマトグラフィー分離する。その際、スピロエーテル(例6)を収率35 % (102 mg)で無色固体として単離する。
【0067】
方法 D
アルゴン下で、4-ジメチルアミノ-4-フェニル -シクロヘキサノン(217 mg, 1 mmol) を2-ベンゾ[b]チオフェン-2-イルエタノール(178 mg, 1 mmol)と共に無水ジクロロメタン(10 ml)中に予め入れる。ついでトリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリルエステル(0,2 ml, 1,03 mmol)の添加を行う。混合物を20時間室温で攪拌する。後処理のために、沈殿したトリフラートを吸引濾取し、ついでジクロロメタン (2 × 10 ml) で洗浄する。トリフラート (例 7)が収率99 % (523 mg)で無色固体(融点 209-211℃)として得られる。
【0068】
例 8:
N,N-ジメチル-N-{4-(4-フルオロフェニル)-スピロ[シクロヘキサン-1,4’-1’,4’-ジヒドロ-2’H-3’-オキサ-9’-チアフルオレン]-4-イル}アンモニウム-トリフラート
アルゴン下で、4-ジメチルアミノ-4-(4-フルオロフェニル)-シクロヘキサノン (235 mg, 1 mmol)を2-ベンゾ[b]チオフェン-2-イルエタノール(178 mg, 1 mmol)と共に無水ジクロロメタン(10 ml)中に予め入れる。ついでトリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリルエステル(0,2 ml, 1,03 mmol)の添加を行う。混合物を3時間室温で攪拌する。後処理のために、沈殿したトリフラートを吸引濾取し、ジクロロメタン(2×10ml)で洗浄する。スピロエーテル(例8)が、収率97 %(527mg)で無色固体(融点218-221℃)として得られる。
【0069】
例 9:
N,N-ジメチル-N-{4-(3-フルオロフェニル)-スピロ[シクロヘキサン-1,4’-1’,4’-ジヒドロ-2’H-3’-オキサ-9’-チアフルオレン]-4-イル}アンモニウム-トリフラート
アルゴン下で、4-ジメチルアミノ-4-(3-フルオロフェニル)-シクロヘキサノン(235mg, 1mmol)を2-ベンゾ[b]チオフェン-2-イルエタノール(178 mg, 1mmol)と共に無水ジクロロメタン(10 ml)中に予め入れる。ついでトリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリルエステル(0,2 ml, 1,03mmol)の添加を行う。混合物を21時間室温で攪拌する。後処理のために、沈殿したトリフラートを吸引濾取し、ジクロロメタン(2 × 10 ml)で洗浄する。トリフラート(例9)が収率90% (492mg)で無色固体(融点227-231℃)として得られる。
【0070】
例10:
N,N-ジメチル-N-{4-フェニル -1’,4’-ジヒドロスピロ[シクロヘキサン-1,4’-2’H-3’,9’-ジチアフルオレン]-4-イル}アンモニウム-メタンスルホナート
2-(2-ブロモメチル)-ベンゾ[b]チオフェン(5,4g, 21mmol)に、ナトリウムチオスルフェート(6,64g,42mmol), エタノール(70ml)及び水(40ml)からなる混合物を添加し、3,5時間還流煮沸する。その際澄明な溶液が生じる。反応溶液を蒸発させ、ついで対応するBunte-塩を含む残留物(無色固体)を生じる。Bunte-塩の粗生成物(理論上21 mmol)を50%リン酸(130 ml)及びジクロロメタン (80 ml)中に取り、80時間室温で、ついで8時間40℃で攪拌する。反応混合物を水(170 ml)及びジクロロメタン (60 ml)で希釈使用し、相を分離する。水性相をジクロロメタン(1×50ml)で抽出し、ついで有機相を一緒にする。有機相を水(1×50 ml)で洗浄した後、これを乾燥させ、ついで蒸発させる。その際、2-ベンゾ[b]チオフェン-2-イル-エタンチオールが無色油状物(2,91 g)として収率73 %で得られる。
【0071】
アルゴン下で、4-ジメチルアミノ-4-フェニル -シクロヘキサノン (217 mg, 1 mmol)を2-(ベンゾ[b]チオフェン-2-イル)エタンチオール (194 mg, 1 mmol)と共に無水ジエチルエーテル (8 ml)中に予め入れる。ついでメタンスルホン酸(2,8 ml)の添加を行う。直ちに反応生成物が沈殿を開始する。混合物を4,5時間室温で攪拌する。後処理のために、沈殿した無色固体を吸引濾取し、ジエチルエーテル(2 × 10 ml)で洗浄する。その際、メタンスルホナート(例10)が収率99 %(484 mg)及び融点178-182℃で得られる。
【0072】
例 11
N,N-ジメチル-N-{4-フェニル -1’,4’-ジヒドロスピロ[シクロヘキサン-1,4’-2’H-9’-オキサ-3’-チアフルオレン]-4-イル}アンモニウム-メタンスルホナート
乾燥アセトニトリル(20ml)中にトリフェニルホスフィンジブロマイド(7,5 g,17,9 mmol)を有する懸濁液に、アルゴン及び水冷却下で無水アセトニトリル(30ml)中にベンゾ[b]フラン-2-イルエタノール(2,9g,17,9 mmol)からなる溶液を10分以内に滴下する。添加の終わり頃、澄明な溶液が生じる。これを24時間室温で攪拌し, この際徐々に固体 (Ph3PO)が沈殿する。これを吸引濾取して、アセトンで洗浄する。濾液を回転蒸発器で蒸発させる。部分的に固形の残留物にもう一度アセトンを添加する。新たにPh3POを吸引濾取し、濾液を再度蒸発させる。油状残留物をシリカゲルG(80g;シクロヘキサン)上でクロマトグラフィーによって精製する。2-(2-ブロモメチル)-ベンゾフランを収率81% (3,25 g)で得ることができる。
【0073】
2-(2-ブロモメチル)-ベンゾフラン(3,22g, 14,3mmol)及びエタノール(50ml)の混合物に、ナトリウムチオスルフェート (4,5g, 28,6mmol)及び水(50 ml)からなる溶液を添加する。混濁溶液が生じ, これは熱時澄明になる。4時間還流加熱し、ついで18時間室温で攪拌する。澄明な溶液を蒸発させる。不純物を除去するために, 固形残留物にジクロロメタンを添加して、10分激しく攪拌する。ついで吸引濾取して、ジクロロメタン(2×20 ml)で洗浄する。得られた固体に500ml-一頸フラスコ中で攪拌下に50-%リン酸(85 ml)を、ついでエーテル(50 ml)を添加する。室温で24時間の攪拌後、三相系が生じ, これにエーテル(100 ml)を添加する。混合物を攪拌下に6時間還流加熱し, この際二相系が生じる。相を分離する。水性相をジエチルエーテル(2×50 ml)で抽出する。一緒にされた有機抽出物を水(2 × 50 ml)で洗浄し, Na2SO4を介して乾燥させて、乾燥後蒸発させる。残留物は固形の成分を有する黄色油状物である。固体を吸引濾取し、エーテルで洗浄する(158 mg, 周知でない構造を有する)。濾液を蒸発させる。2-ベンゾフラン-2-イル-エタンチオールが淡い褐色油状物として収率83 % (2,13 g) で得られる。
【0074】
4-ジメチルアミノ-4-フェニル -シクロヘキサノン (217,3mg,1mmol)及び2-ベンゾフラン-2-イル-エタンチオール(178,2mg,1mmol)をアルゴン下で、エーテル(8 ml)に溶解させる。澄明な淡褐色溶液に、メタンスルホン酸(2,8 ml)を添加する。18時間室温で攪拌し、ついで澄明な反応混合物にエーテル(40 ml)を、混濁が生じるまで添加する。1時間後、メタンスルホナート(例11)を 白色固体(融点118-142℃)として収率93 % (442 mg)で吸引濾取することができる。
【0075】
例 12
N,N-ジメチル-N-{4-ピリジン-1’,3’,4’,5’-テトラヒドロ-スピロ[シクロヘキサン-1,1’-ピラノ[4,3-b]インドール]-4-イル}アミン
例 13
N,N-ジメチル-N-{4-ピリジン-1’,3’,4’,5’-テトラヒドロ-スピロ[シクロヘキサン-1,1’-ピラノ[4,3-b]インドール]-4-イル}アミン-シトラート
アルゴン下で、4-ジメチルアミノ-4-ピリジン-2-イル-シクロヘキサノン (218 mg, 1mmol)を2-ベンゾ[b]チオフェン-2-イルエタノール(178 mg, 1mmol)と共に無水ジクロロメタン(5 ml)中に溶解させる。ついでメタンスルホン酸(3 ml)の添加を行う。混合物を3時間室温で攪拌する。後処理のために、反応混合物に氷(5g)及び水(30ml)を添加する。NaHCO3(4,4g,52mmol)で中和及び5N NaOH(1ml)の添加後、ジクロロメタン(10 ml)を添加する。有機相を分離し、ついで水性相をジクロロメタン(2×30ml)で抽出する。有機抽出物を乾燥後蒸発させ、残留物(375 mg)をシリカゲル (45 g)上で酢酸エチル/メタノール(10:1),(4:1)及びメタノールを用いてクロマトグラフィー分離する。その際スピロエーテル(例 12)を収率37 % (143 mg)で無色固体(融点155-168℃)として単離する。
【0076】
シトラート(例 13)の製造に、塩基(例12) (143 mg, 0,377 mmol)をエタノール (10 ml) に50℃で溶解させ、暖かいエタノール(3 ml)に溶解されたクエン酸(72 mg, 0,377 mmol)を添加する。反応混合物を2時間室温で攪拌して、5 mlに蒸発させる。このその際に沈殿する固体を吸引濾取して、エタノール (2 × 1 ml)で洗浄する。シトラートを収率83 % (179 mg)で無色固体(融点 189-19℃)として得られる。
【0077】
例 14
N,N-ジメチル-N-{4-フェニル -1’,4’-ジヒドロスピロ[シクロヘキサン-1,4’-2’H-3’,9’-ジオキサフルオレン]-4-イル}アンモニウム-メタンスルホナート
アルゴン下で、 4-ジメチルアミノ-4-フェニル -シクロヘキサノン (217 mg, 1 mmol) を2-ベンゾフラン-2-イルエタノール (162,2 mg, 1 mmol)と共に無水ジクロロメタン(10 ml)中に置く。ついでメタンスルホン酸トリメチルシリルエステル(841,5 mg, 5 mmol)の添加を行う。 混合物を24時間室温で攪拌し、新たにメタンスルホン酸トリメチルシリルエステル (336,6 mg, 2 mmol) を添加して、もう6時間攪拌する。後処理のために、澄明な褐色溶液に氷(5 g)を添加する。短時間後に固体が沈殿し、これを吸引濾取して、水(2×10 ml)で洗浄する。メタンスルホナート (例 14)が、収率67 % (308 mg)で無色固体(融点249-253℃)として得られる。
【0078】
本発明の化合物の有効性試験
ORL1-結合の測定
一般式Iで表わされるシクロヘキサン誘導体を組み換えCHO-ORL1-細胞の膜を用いた3H-ノシセプチン/オルファニンFQとのレセプター結合アッセイで試験する。このテストシステムはArdati等 (Mol. Pharmacol., 51, 1997, S. 816-824)によって提案された方法したがって実施する。3H-ノシセプチン/オルファニンFQの濃度はこの試験の場合に0.5 nMである。この結合アッセイを、50 mM Hepes, pH 7,4, 10 mM MgCl2及び 1 mM EDTA中でそれぞれ200μlの仕込み物あたり膜タンパク質それぞれ20 μgを用いて実施する。ORL1-レセプターへの結合は、それぞれ1 mg のWGA-SPA Beads (Amersham-Pharmacia, フライブルグ)の使用下に室温でこの仕込み物を1時間インキュベートし、ついでシンチレーションカウンターのTrilux (Wallac, フィンランド)中で測定することによって決定される。この親和性を、表1中にc=1 μMでナノモル Ki-値としてか又は%阻害率として記載する。
【0079】
典型的には、例13に関して49% 阻害の値が試験濃度1μMで測定される。
【0080】
μ-結合の測定
ヒト μ-オピアートレセプターに対するレセプター親和性を、マイクロタイタープレート中の均質な混合物の形で測定する。このためにCHO-K1-細胞-------- これはヒトμ-オピエートレセプター を発現する(RB-HOM-receptor membran-Praparation、NEN社, Zaventem, ベルギー)-------- のレセプター膜調製物 (250 μlの インキュベーション混合物あたり15-40 μg の蛋白質)を用いて希釈された供試化合物の系統的希釈物を、1 nmol/l の 放射性リガンド [3H]-ナロキソン (NET719, NEN社, Zaventem, ベルギー) 並びに1 mgのWGA-SPA-Beads (Wheat germ agglutinin SPA Beads、Amersham/Pharmacia社, フライブルグ, ドイツ)の存在下に全容量 250 μlで 90 分間室温でインキュベートする。インキュベーション緩衝液として、0,05 重量%ナトリウムアジド及び 0,06 重量% ウシ血青アルブミンが補充された50 mmol/l のトリス-HClを使用する。非特異性結合の測定のために、更に25 μmol/l のナロキソンを添加する。90分のインキュベート時間の終了後、マイクロタイタープレートを20 分間1000 gで遠心分離し、放射能をβ-カウンター (Microbeta-Trilux, PerkinElmer Wallac社, フライブルグ, ドイツ) で測定する。放射性リガンドの置換率(die prozentuale Verdraengung)をヒトμ-オピアートレセプターへのその結合から1 μmol/l の供試化合物濃度で測定し、特異結合の阻害率 (%阻害) を示す。一部づつ、百分率変位から出発して一般式Iで表わされる供試化合物の種々の濃度によって、放射性リガンドの50-%置換を生じさせる IC50 阻害濃度を計算する。Cheng-Prusoff-式を用いて換算することによって供試化合物に対するKi-値を得る。
【0081】
典型的に次の結合データを測定した:
【0082】
【表1】

【0083】
結合部位2(BTX−結合):
ナトリウムチャネルの結合部位2はいわゆるバトラコトキシン(BTX)結合部位である。リガンドとして[3H]−バトラコトキシンA20α−安息香酸塩(混合物中に10nM)を使用する。このイオンチャネル−粒子(シナプトゾーム)をラット大脳皮質からGray 及び Whittaker (E.G. Gray und V.P. Whittaker (1962) J. Anat. 76, 79-88)にしたがって富化する。ベラトリジン(混合物中に0,3 mM)の存在下に測定された放射活性を非特異結合として定義する。25℃で120分間インキュベートする。アッセイ条件をPauwels, Leysen 及びLaduronの文献(P.J. Pauwels, J.E. Leysen und P.M. Laduron (1986) Eur. J. Pharmacol. 124, 291-298)にしたがって実施する。
【0084】
【表2】

【0085】
本発明のスピロ環状シクロヘキン誘導体の非経口溶液
38 gの本発明のスピロ環状シクロヘキサン誘導体(この場合例3による)を注射用水1リットルに室温で溶解させ、ついで注射用無水グルコースの添加によって等張条件に調整する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
そのラセミ化合物;そのエナンチオマー、そのジアステレオマー, そのエナンチオマー又はそのジアステレオマーの混合物又は個々のエナンチオマー又はジアステレオマーの混合物; その塩基及び(又は)生理学的に許容し得る酸又はカチオンの塩の形にある、一般式I
【化1】

I
{式中、
R1及びR2は相互に無関係にH; CHO; C1-5-アルキル (それぞれ飽和又は不飽和, 分枝状又は非分枝状, 1回以上置換されているか又は置換されていない); C3-8-シクロアルキル(それぞれ飽和又は不飽和, 1回以上置換されているか又は置換されていない);又はC1-3-アルキルを介して結合するアリール, C3-8-シクロアルキル又はヘテロアリール(それぞれ1回以上置換されているか又は置換されていない)を示すか、又は
基R1及びR2は一緒になってCH2CH2OCH2CH2, CH2CH2NR11CH2CH2又は (CH2)3-6 を示し,
この際R11は、H; C1-5-アルキル(それぞれ飽和又は不飽和, 分枝状又は非分枝状, 1回以上置換されているか又は置換されていない); C3-8-シクロアルキル(それぞれ飽和又は不飽和, 1回以上置換されているか又は置換されていない); アリール又はヘテロアリール(それぞれ1回以上置換されているか又は置換されていない); 又は C1-3-アルキルを介して結合するアリール, C3-8-シクロアルキル又はヘテロアリール(それぞれ1回以上置換されているか又は置換されていない)を示し、
R3は、C1-5-アルキル(それぞれ飽和又は不飽和, 分枝状又は非分枝状, 1回以上置換されているか又は置換されていない); C3-8-シクロアルキル(それぞれ飽和又は不飽和, 1回以上置換されているか又は置換されていない); アリール又はヘテロアリール(それぞれ置換されていないか又は1回以上置換されている); C1-3-アルキル-基を介して結合するアリール、ヘテロアリール又はC3-8-シクロアルキル(それぞれ置換されていないか 又は1回以上置換されている)を示し、
WはNR4, O 又は Sを示し、そして
R4はH; C1-5-アルキル(飽和又は不飽和, 分枝状又は非分枝状, 置換されていないか又は1回以上置換されている); アリール又はヘテロアリール(それぞれ置換されているか又は置換されていない); C1-3-アルキル-基を介して結合するアリール, ヘテロアリール又はシクロアルキル(それぞれ1回以上置換されているか又は置換されていない); COR12 ; SO2R12を示し、
この際R12はH; C1-5-アルキル(それぞれ飽和又は不飽和, 分枝状又は非分枝状, 1回以上置換されているか又は置換されていない); C3-8-シクロアルキル(それぞれ飽和又は不飽和, 1回以上置換されているか又は置換されていない); アリール又はヘテロアリール(それぞれ1回以上置換されているか又は置換されていない); 又は C1-3-アルキルを介して結合するアリール, C3-8-シクロアルキル又はヘテロアリール(それぞれ1回以上置換されているか又は置換されていない); OR13; NR14R15 を示し、
R5は =O; H; COOR13, CONR13, OR13; C1-5-アルキル(飽和又は不飽和, 分枝状又は非分枝状, 置換されていないか又は1回以上置換されている); C3-8-シクロアルキル(飽和又は不飽和, 置換されていないか又は1回以上置換されている); アリール又はヘテロアリール(置換されていないか又は1回以上置換されている); 又はC1-3-アルキルを介して結合するアリール, C3-8-シクロアルキル又はヘテロアリール(置換されていないか又は1回以上置換されている)を示し、
R6はH; F, Cl, NO2, CF3, OR13, SR13, SO2R13, SO2OR13, CN, COOR13, NR14R15; C1-5-アルキル(飽和又は不飽和, 分枝状又は非分枝状, 置換されていないか又は1回以上置換されている); C3-8-シクロアルキル(飽和又は不飽和, 置換されていないか又は1回以上置換されている); アリール又はヘテロアリール(置換されていないか又は1回以上置換されている); 又は C1-3-アルキルを介して結合するアリール, C3-8-シクロアルキル又はヘテロアリール(置換されていないか又は1回以上置換されている)を示し、
又は R5及び R6 は一緒になって(CH2)n(n = 2, 3, 4, 5 又は 6)を示し, この場合個々の水素原子は F, Cl, Br, I, NO2, CF3, OR13, CN 又は C1-5-アルキル によって置換されていてもよく、
R7, R8, R9及びR10は相互に無関係にH, F, Cl, Br, I, NO2, CF3, OR13, SR13, SO2R13, SO2OR13, CN, COOR13, NR14R15; C1-5-アルキル, C3-8-シクロアルキル(置換されていないか又は1回以上置換されている); アリール又はヘテロアリール(置換されていないか又は1回以上置換されている); 又は C1-3-アルキルを介して結合するアリール, C3-8-シクロアルキル 又はヘテロアリール(置換されていないか又は1回以上置換されている)を示し、
この際R13はH; C1-5-アルキル (それぞれ飽和又は不飽和, 分枝状又は非分枝状, 置換されていないか又は1回以上置換されている); C3-8-シクロアルキル(それぞれ飽和又は不飽和の, 置換されていないか又は1回以上置換されている); アリール又はヘテロアリール(置換されていないか又は1回以上置換されている); 又は C1-3-アルキルを介して結合するアリール, C3-8-シクロアルキル 又はヘテロアリール(置換されていないか又は1回以上置換されている)を示し、
R14及び R15 は相互に無関係に H; C1-5-アルキル, (それぞれ飽和又は不飽和, 分枝状又は非分枝状, 置換されていないか又は1回以上置換されている); 又は C3-8-シクロアルキル(それぞれ飽和又は不飽和の, 置換されていないか又は1回以上置換されている); アリール又はヘテロアリール(置換されていないか又は1回以上置換されている); 又は C1-3-アルキルを介して結合するアリール, C3-8-シクロアルキル又はヘテロアリール(置換されていないか又は1回以上置換されている)を示し、
又は R14 及び R15 は一緒になって CH2CH2OCH2CH2, CH2CH2NR16CH2CH2 又は (CH2)3-6を形成し,
この場合 R16はH; C1-5-アルキル(飽和又は不飽和, 分枝状又は非分枝状, 置換されていないか又は1回以上置換されている)を示し、
XはO, S, SO, SO2又はNR17を示し、
R17はH; C1-5-アルキル(飽和又は不飽和, 分枝状又は非分枝状)、 COR12又はSO2R12を示す。}
で表わされるスピロ環状シクロヘキサン誘導体。
【請求項2】
R1及びR2が相互に無関係にH; C1-8-アルキル(飽和又は不飽和, 分枝状又は非分枝状, 1回以上置換されているか又は置換されていない)を示し、
又は基R1及びR2が一緒になって環を形成して、CH2CH2OCH2CH2, CH2CH2NR11CH2CH2又は(CH2)3-6を示し,
この際R11がH; C1-8-アルキル(飽和又は不飽和, 分枝状又は非分枝状, 1回以上置換されているか又は置換されていない)を示す、請求項1記載のスピロ環状シクロヘキサン誘導体。
【請求項3】
R1及びR2が相互に無関係にCH3又はHを示し, この際R1及びR2 が同時にHを示さない、請求項1記載のスピロ環状シクロヘキサン誘導体。
【請求項4】
R3がシクロペンチル, シクロヘキシル, フェニル, ベンジル, ナフチル, アントラセニル, チオフェニル, ベンゾチオフェニル, フリル, ベンゾフラニル, ベンゾジオキソラニル, インドリル, インダニル, ベンゾジオキサニル, ピロリル, ピリジル, ピリミジル又はピラジニル(それぞれ置換されていないか又は1回以上置換されている); 飽和の非分枝状C1-2-アルキル-基を介して結合するC5-6-シクロアルキル, フェニル , ナフチル, アントラセニル, チオフェニル, ベンゾチオフェニル, ピリジル, フリル, ベンゾフラニル, ベンゾジオキソラニル, インドリル, インダニル, ベンゾジオキサニル, ピロリル, ピリミジル 又は ピラジニル(それぞれ置換されていないか又は1回以上置換されている)を示し、
特に
R3がフェニル , フリル, チオフェニル, ナフチル, ベンジル, ベンゾフラニル, インドリル, インダニル, ベンゾジオキサニル, ベンゾジオキソラニル, ピリジル, ピリミジル, ピラジニル又はベンゾチオフェニル(それぞれ置換されていないか又は1回以上置換されている); 飽和の、非分枝状C1-2-アルキル-基を介して結合するフェニル, フリル又はチオフェニル(それぞれ置換されていないか又は1回以上置換されている)を示す、
請求項1〜3のいずれか1つに記載のスピロ環状シクロヘキサン誘導体。
【請求項5】
R3 がフェニル, フェネチル, チオフェニル, ピリジル又はベンジル(それぞれ置換されているか又は置換されていない)を示し、特に好ましくはフェニルを示す、請求項1〜3のいずれか1つに記載のスピロ環状シクロヘキサン誘導体。
【請求項6】
R3 がフェニルを示し、これは置換されていないか又はF, Cl, CN, OCH3, OCH2CH3, CH3, CF3 又は OH によって1回以上置換され, 特に3-フルオロフェニル及び4-フルオロフェニルを示す、請求項1〜3のいずれか1つに記載のスピロ環状シクロヘキサン誘導体。
【請求項7】
R5がH, C1-5-アルキル(分枝状又は非分枝状, 置換されていないか又は1回以上置換されている)、又は COOR13 を示し、そしてR6 がH 又は C1-5-アルキルを示す、請求項1〜6のいずれか1つに記載のスピロ環状シクロヘキサン誘導体。
【請求項8】
R7,R8, R9 及びR10 が相互に無関係にH; C1-5-アルキル(分枝状又は非分枝状, 置換されていないか又は1回以上置換されている); F, Cl, Br, I, CF3, OH, OCH3, NH2, COOH, COOCH3, NHCH3 又は N(CH3)2又は NO2 を示す、請求項1〜7のいずれか1つに記載のスピロ環状シクロヘキサン誘導体。
【請求項9】
基 R5-R10 がHを示す、請求項1〜6のいずれか1つに記載のスピロ環状シクロヘキサン誘導体。
【請求項10】
そのラセミ化合物;そのエナンチオマー、そのジアステレオマー, そのエナンチオマー又はそのジアステレオマーの混合物 又は 個々のエナンチオマー又はジアステレオマーの混合物; その塩基及び(又は)生理学的に許容し得る酸又はカチオンの塩の形にある、
N,N-ジメチル-N-{4-フェニル-1’,3’,4’,5’-テトラヒドロ-スピロ[シクロヘキサン-1,1’-ピラノ[4,3-b]インドール]-4-イル}アミン、
N,N-ジメチル-N-{4-フェニル -1’,3’,4’,5’-テトラヒドロ-スピロ[シクロヘキサン-1,1’-ピラノ[4,3-b]インドール]-4-イル}アミン-トリフラート、
N,N-ジメチル-N-{4-フェニル -1’,3’,4’,5’-テトラヒドロ-スピロ[シクロヘキサン-1,1’-ピラノ[4,3-b]インドール]-4-イル}アミン-シトラート、
N,N-ジメチル-N-{4-(4-フルオロフェニル)-1’,3’,4’,5’-テトラヒドロ-スピロ[シクロヘキサン-1,1’-ピラノ[4,3-b]インドール]-4-イル}アンモニウム-トリフラート、
N,N-ジメチル-N-{4-(3-フルオロフェニル)-1’,3’,4’,5’-テトラヒドロ-スピロ[シクロヘキサン-1,1’-ピラノ[4,3-b]インドール]-4-イル}アンモニウム-トリフラート、
N,N-ジメチル-N-{4-フェニル -スピロ[シクロヘキサン-1,4’-1’,4’-ジヒドロ-2’H-3’-オキサ-9’-チアフルオレン]-4-イル}アミン、
N,N-ジメチル-N-{4-フェニル -スピロ[シクロヘキサン-1,4’-1’,4’-ジヒドロ-2’H-3’-オキサ-9’-チアフルオレン]-4-イル}アミン-トリフラート、
N,N-ジメチル-N-{4-(4-フルオロフェニル)-スピロ[シクロヘキサン-1,4’-1’,4’-ジヒドロ-2’H-3’-オキサ-9’-チアフルオレン]-4-イル}アンモニウム-トリフラート、
N,N-ジメチル-N-{4-(3-フルオロフェニル)-スピロ[シクロヘキサン-1,4’-1’,4’-ジヒドロ-2’H-3’-オキサ-9’-チアフルオレン]-4-イル}アンモニウム-トリフラート、
N,N-ジメチル-N-{4-フェニル -1’,4’-ジヒドロスピロ[シクロヘキサン-1,4’-2’H-3’,9’-ジチアフルオレン]-4-イル}アンモニウム-メタンスルホナート、
N,N-ジメチル-N-{4-フェニル -1’,4’-ジヒドロスピロ[シクロヘキサン-1,4’-2’H-9’-オキサ-3’-チアフルオレン]-4-イル}アンモニウム-メタンスルホナート、
N,N-ジメチル-N-{4-ピリジン-1’,3’,4’,5’-テトラヒドロ-スピロ[シクロヘキサン-1,1’-ピラノ[4,3-b]インドール]-4-イル}アミン、
N,N-ジメチル-N-{4-ピリジン-1’,3’,4’,5’-テトラヒドロ-スピロ[シクロヘキサン-1,1’-ピラノ[4,3-b]インドール]-4-イル}アミン-シトラート及び
N,N-ジメチル-N-{4-フェニル -1’,4’-ジヒドロスピロ[シクロヘキサン-1,4’-2’H-3’,9’-ジオキサフルオレン]-4-イル}アンモニウム-メタンスルホナート、
より成る群からなる、請求項1-9のいずれか1つに記載のスピロ環状シクロヘキサン誘導体。
【請求項11】
一般式A
【化2】

(式中、 基 R01 及び R02 はR2 に記載した意味を有し、そして付加的に保護基を示すことができる。)
で表わされる出発化合物を, 酸又はそのトリメチルシリルエステル, たとえばトリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリルエステル, トリフルオロメタンスルホン酸, 酢酸, リン酸, メタンスルホン酸又はトリフルオロ-酢酸の添加下に, 適当な溶剤, たとえばジクロロエタン, ジクロロメタン, クロロホルム, アセトニトリル, ジエチルエーテル又はニトロメタン中で, 一般式B
【化3】

(式中、基R1-R10 は請求項1 に定義された通りである。)
で表わされる出発化合物と反応させることを特徴とする、請求項1-10のいずれか1つに記載のスピロ環状シクロヘキサン誘導体の製造方法。
【請求項12】
スピロ環状シクロヘキサン誘導体(式中、XはNHを示す。)を塩基, たとえばトリエチルアミンの添加下に, 無水物又は酸クロライドと好ましくマイクロ波照射下に反応させる、請求項1記載のスピロ環状シクロヘキサン誘導体(式中、XはNR17を示し、そして R17 はCOR12 又は SO2R12 を示す。)の製造方法。
【請求項13】
スピロ環状シクロヘキサン誘導体(式中、Xは Sを示す。)を酸化剤, たとえばH2O2を用いて酸化させる、請求項1記載のスピロ環状シクロヘキサン誘導体(式中、XはSO 又は SO2 を示す。)の製造方法。
【請求項14】
場合により、そのラセミ化合物、任意の混合比でのその純粋な立体異性体、特にエナンチオマー又はジアステレオマーの形にある、その酸又はその塩基の形にある、又はその塩の形にある、特に生理学的に許容し得る塩又は生理学的に許容し得る酸又はカチオンの塩の形にある、又はその溶媒和物、特に水和物の形にある、請求項1〜10のいずれか1つに記載のスピロ環状シクロヘキサン誘導体少なくとも1種を含み、並びに場合により適当な添加剤及び(又は)助剤及び(又は)場合によりその他の有効物質を含む医薬。
【請求項15】
場合により、そのラセミ化合物、任意の混合比でのその純粋な立体異性体、特にエナンチオマー及びジアステレオマーの形にある、その酸又はその塩基の形にある、又はその塩の形にある、特に生理学的に許容し得る塩又は生理学的に許容し得る酸又はカチオンの塩の形にある、又はその溶媒和物、特に水和物の形にある、請求項 1〜10のいずれか1つに記載のスピロ環状シクロヘキサン誘導体を苦痛、特に急性神経障害のあるいは慢性苦痛の治療用医薬の製造に使用する方法。
【請求項16】
請求項 1〜10のいずれか1つに記載のスピロ環状シクロヘキサン誘導体を、不安状態、ストレス及びストレスと関連する症候群、うつ病、癲癇、アルツハイマー病、老人性痴呆症、一般的な認知機能障害、学習及び記憶障害(向知性薬として)、禁断症状、アルコールー及び(又は)麻薬−及び(又は)薬物−中毒及び(又は)依存症、性的機能障害、心臓血環疾患、低血圧症、高血圧症、耳鳴り、掻痒症、偏頭痛、聴力障害、腸運動障害、摂食障害、食欲不振、脂肪過多症、運動障害、下痢、悪液質、尿失禁を治療するための医薬の製造に、又は筋弛緩剤、抗痙攣剤又は麻酔剤としての医薬の製造に、又はオピオイド鎮痛剤又は麻酔剤を用いる治療での併用投与用医薬の製造に、又は利尿薬又は抗ナトリウム排泄増加薬又は抗不安薬の製造に、運動活性モジュレーション用医薬の製造に、神経伝達物質の分布のモジュレーション及びこれに付随する神経変性疾患の治療用医薬の製造、オピオイドの禁断症状の治療及び(又は)潜在的嗜癖の軽減用医薬の製造に使用する方法。

【公表番号】特表2007−515447(P2007−515447A)
【公表日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−546041(P2006−546041)
【出願日】平成16年12月21日(2004.12.21)
【国際出願番号】PCT/EP2004/014540
【国際公開番号】WO2005/063769
【国際公開日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【出願人】(390035404)グリュネンタール・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (127)
【Fターム(参考)】