説明

スピンドル検査の装置および方法

スピンドルを検査するための装置および方法が提供される。この装置は、回転負荷装置と線形負荷装置とを含む。回転負荷装置は、軸を介してスピンドルに接続され、スピンドルに回転可能に負荷をかけるように構成される。線形負荷装置は、予め定められた線形負荷を軸に与えるように構成されて、線形負荷が少なくとも部分的にスピンドルに伝達されるようにする。スピンドルは、スピンドルの効果を決定するためにさまざまな線形負荷および回転負荷にさらされることができ、スピンドルの性能を測定することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
発明の分野
本発明は回転スピンドルに関し、より特定的にはスピンドルを検査するための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の説明
スピンドルは、回転運動を生成するおよび/または伝達するための機構を与えるための幅広い種類の機械において用いられる。1つの典型的なスピンドルは、軸に結合された電動機を含む。モータおよび軸は、ハウジングに装着され、軸のうちの少なくとも一方の端部は工具に接続するためにハウジングから延在する。軸受、ブッシングおよびスペーサを、ハウジングにおける軸の位置を維持するために用いることができる。モータは、軸、したがって工具を回転させるために用いられる。たとえば、切削ビット等の工具は、軸に接続することができ、スピンドルは、構造材料を機械加工するためにコンピュータ数値制御(CNC)機械装置等の高速機械加工装置において用いることができる。代わりに、スピンドルは、モータ等の外部の回転装置と連動して、およびモータがハウジング内に設けられない状態で、用いることができる。したがって、スピンドルは軸を含むことができ、この軸は、たとえば、軸が自由に回転可能になるように軸を支持するための軸受またはブッシングを有するハウジングにおいて装着される。
【0003】
スピンドルを用いる各々の装置およびプロセスは、スピンドルが、サイズ、強度、最大トルク、疲労抵抗等の特定の特性を有することを必要とする。スピンドルがそれが用いられる装置およびプロセスに適切に適合していない場合、スピンドルは過度に磨耗し、非常に早く故障する恐れがある。たとえば、高速機械加工装置において用いるための上記のスピンドルは、スピンドルモータが過熱し、軸が破損し、軸受またはブッシングが過度に磨耗または加熱されたりする場合に、故障する恐れがある。スピンドルの故障は、装置の動作の費用に加えて、修理または取替えを必要とする可能性がある。さらに、スピンドルが故障すると、装置の動作を中断することにより、生産の遅延、生産性の損失、および無駄な材料等の機械の不稼動時間に関連する費用を負う恐れがある。
【0004】
スピンドルが特定の応用例において用いられる前にスピンドルの効果を評価するための試みが過去に行なわれてきた。たとえば、アルミニウムの部品を機械加工するためのCNC機械装置でスピンドルが用いられる場合、スピンドルを、このような応用例におけるスピンドルの効果を決定するための検査にかけることができる。特に、スピンドルを、それが用いられる機械と同様の検査装置に取付けて、検査装置が動作の間に生じるのと同様の応力をスピンドルに与えることができる。検査装置は、スピンドルが故障するまで連続的に動作することができる。したがって、検査を用いて応用例におけるスピンドルの予期される寿命を決定することができ、スピンドルの温度および振動の特性を検査期間の間に測定することもできる。しかしながら、このような検査では、検査を行なうための時間および人員が必要となる。さらに、検査中に機械加工されるか、さもなければ消費される、アルミニウムまたは他の材料は高価である可能性がある。
【0005】
代わりに、検査装置は、スピンドルに機械的に結合された動力計を含むことができる。動力計は、検査期間中にスピンドルの電力およびトルク出力を決定するために、検査期間にわたってスピンドルに特定の回転抵抗を及ぼすために用いることができる。動力計を用いて検査することによって、消費される無駄な材料の費用を節約することができるが、動
力計は検査装置の費用を増加させる。さらに、動力計は、スピンドルの効果に影響する他の要因を測定または検査しない。たとえば、スピンドルは、典型的な動作の間に、検査中に与えられない側面荷重または軸方向荷重にさらされる恐れがある。このような負荷は、スピンドルの動作寿命および効果を実質的に減じる恐れがある。さらに、典型的な動作において、スピンドルは、たとえば、加工物上の工具の歯または切刃の衝撃に同調した、振動または他の周期的な力にさらされ得る。検査中に動力計によって与えられないか、または測定されないこれらの振動または他の周期的な力は、スピンドルの動作および寿命に実質的に影響を与えることにより、検査の精度が減じられる可能性がある。
【0006】
したがって、スピンドルを検査するための向上した装置および方法が必要である。この装置は、各スピンドルを、連続的にまたは予め定められたスケジュールに従って、特定のトルク、軸方向荷重、側面荷重、および周期的な力にさらすことによって、さまざまな種類のスピンドルを検査することができなければならない。この装置はまた、予め定められた条件下で装置の効果を決定するために、監視機器と互換性を有するべきである。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の簡単な概要
本発明は、スピンドルを検査するための、向上した装置および方法を提供する。この装置は回転負荷装置を含み、この回転負荷装置は、軸を介してスピンドルに接続されて、回転負荷装置が、スピンドルを回転させるか、またはスピンドルの回転に抵抗することによって、スピンドルに回転可能に負荷をかけるように構成される。さらに、線形負荷装置は、予め定められた負荷を軸に与えるように構成されて、線形負荷が少なくとも部分的にスピンドルに伝達されるようにする。
【0008】
本発明の一実施例に従うと、線形負荷装置は、回転子と固定子とを含む磁気軸受である。回転子は、スピンドルとともに回転するように構成され、固定子は少なくとも部分的に回転子の周りで円周方向に延在する。回転子および固定子は、それらの間に電磁力を生じるように構成されて、スピンドルは予め定められた方法に促されるようにする。線形負荷は、軸方向に、横方向に、または軸方向と横方向との間のある角度で、与えることができる。さらに、コントローラは、線形負荷の大きさおよび/または方向を選択的に調整するように構成することができる。たとえば、コントローラは、線形負荷をスピンドルに周期的に与えることができる。回転負荷装置は、軸およびスピンドルを回転させるように構成された回転アクチュエータ、または、回転運動を電気エネルギに変換するように構成された発生器とすることができる。回転負荷装置をスピンドルから少なくとも部分的に切り離して、線形負荷が主にスピンドルに伝達されるようにするために切り離し装置を設けることができる。軸は、スピンドルをそこに接続解除可能に接続するように構成された接続解除可能コネクタを含むこともできる。1つ以上の装置は、装置の動作パラメータを検出するために構成することができる。
【0009】
本発明は、工具とともに用いるためのスピンドルを検査する方法をも含む。この方法は、スピンドルを軸を介して回転負荷装置に回転可能に接続するステップと、スピンドルおよび回転負荷装置を回転させるステップとを含む。たとえば、スピンドルは、回転負荷装置がスピンドルに回転抵抗を与えるように軸および回転負荷装置を回転させるように作動することができる。代わりに、回転負荷装置は、軸およびスピンドルを回転させるように作動することができる。磁気軸受等の線形負荷装置は、軸に対して軸方向および/または横方向等の予め定められた方向に予め定められた線形負荷をスピンドルに対して与えるように作動される。コントローラは、線形負荷を、たとえば、スピンドルの典型的なまたは予め定められた回転動作速度で生じる、工具上の1つ以上の機能の回転通過頻度に対応する頻度で周期的に、選択的に調整することができる。この装置の1つ以上の動作パラメー
タを検出することができる。
【0010】
このようにして本発明を一般的な用語で説明してきたが、ここで添付の図面を参照するが、この図面は必ずしも同じ割合で描かれていない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
発明の詳細な説明
ここで本発明は添付の図面を参照して以下でより完全に説明され、本発明のすべてではない、いくつかの実施例が示される。実際に、本発明は、多くの異なる形態で実施されてもよく、本明細書中で述べられる実施例に限定されるものとして解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施例は、この開示が適用可能な法的要件を満たすように提供される。同じ番号は全体を通して同じ要素を示す。
【0012】
ここで図面、特に図1を参照すると、本発明の一実施例に従ったスピンドル20を検査するための装置10が概略的に示されている。示されるように、スピンドル20は、フレームまたはベース12に装着され、軸14を介して回転負荷装置30に接続することができる。軸14は、磁気軸受等の線形負荷装置40を通って延在する。回転負荷装置30は、スピンドル20に回転負荷を与えるように構成され、線形負荷装置40は、スピンドル20に線形負荷を与えるように構成される。制御システム50は、スピンドル20、回転負荷装置30および線形負荷装置40と連絡する。
【0013】
本発明に従って、さまざまな異なるスピンドル20を検査することができる。たとえば、図3に示されるように、スピンドル20は、少なくとも部分的にハウジング24を通して軸方向に延在する軸22を含むことができる。軸22は、複数の軸受26によって支持され、ハウジング24内に装着されたアクチュエータ28は、一方向または双方向に軸22を回転させるように構成される。軸の一方の端部はハウジング24から延在し、動作中に、駆動軸、機械工具、または他の回転装置(図示せず)に接続するように構成された接続部21を規定する。スピンドル20は、アクチュエータ28を作動させるために電源に接続することができ、回転工具は、他の装置に穴をあける、それを切断する、制御するために用いることができるか、または他の回転機能のために用いることができる。スピンドル20は、軸22を拡張、収縮、往復運動させるか、さもなければ軸22を動かすように構成することもできる。代わりに、他の実施例においては、スピンドルは、軸を支持するが、軸を回転させるための回転アクチュエータは含まない回転伝達装置である。すなわち、スピンドルは、アクチュエータおよび工具等の構成要素間で回転運動を伝達するように構成される。
【0014】
検査中に、スピンドル20は、図2に示されるような、負荷装置30,40を有するベース12上に装着されるが、支持するための他の構成を同様に設けることもできる。ベース12は、装置10からの振動の伝達を最小にするために減衰材料から形成される。たとえば、ベース12は、ポリマーコンクリート18によって充填されるか、または囲まれる鋼構造16から形成されることが可能である。スピンドル20および負荷装置30,40は、ベース12にボルト留めされるか、さもなければ接続され、スピンドル20はベース12に取外し可能に接続することができ、スピンドル20を接続、検査し、さらに取外して、後に続く検査のために別のスピンドルと取替えることができる。スピンドル20および負荷装置30,40は、たとえば、異なるサイズおよび形状のスピンドル20を収容し、かつ各スピンドル20上の負荷条件を調整するために、軸14の軸方向に平行なおよび/または垂直な方向に調整できるように装着することもできる。
【0015】
スピンドル20の接続部21は、軸14に取外し可能に接続され、これがスピンドル20を回転負荷装置30に接続する。軸14は、スピンドル20と回転負荷装置30との間
に延在する単一の構造とすることができ、または軸14は、一般に同軸である多数の接続された部分から形成することもできる。たとえば、図2に示されるように、第1の軸部材14aは、スピンドル20と線形負荷装置40との間に延在し、第2の軸部材14bは、線形負荷装置40と回転負荷装置30との間に延在する。軸部材14a,14bの間、第2の軸部材14bと回転負荷装置30との間、および第1の軸部材14aとスピンドル20との間の接続は、キー接続、スレッド接続、圧入接続、ボルト結合等とすることができる。たとえば、スピンドル20の典型的な接続部21を受けるための接続解除可能コネクタ15を軸部材14a上に設けることができる。コネクタ15は、異なるサイズのスピンドル20を収容するために調整可能とすることもできる。
【0016】
さらに、軸14は、撓み継手32によって回転負荷装置30から部分的に切り離すことができる。撓み継手32は、当該技術で公知のような柔軟な金属ダイヤフラムを含むことができ、この金属ダイヤフラムは、たとえば、約0.080インチの軸方向の運動をもたらすことができるため、回転負荷装置30は、これにより線形負荷装置40から部分的に軸方向に切り離される。撓み継手32は、回転負荷装置30を横運動および/または振動、さもなければ軸14の周期運動から部分的に切り離すこともできる。このような切り離しは、回転負荷装置30を、線形負荷装置40によって与えられる軸方向荷重および横負荷から分離して、これらの負荷が代わりにスピンドル20に伝達されるようにする。
【0017】
線形負荷装置40は、第1の軸部材14aを介して予め定められた方向においてスピンドル20に線形負荷を与えるための電磁力を生じるように構成される。たとえば、図3に示されるように、線形負荷装置30は、当該技術で公知のように磁気軸受とすることができる。磁気軸受は、第1の軸部材14aに接続され、かつそれとともに回転するように構成された回転子42と、円周方向に回転子42の周りに延在し、かつ軸14が回転すると静止したままになるように構成された固定子44とを含む。固定子44上の導電コイルまたは巻線46は、回転子42を引き付けるかまたは弾く電磁界を生じるように作動される。したがって、線形負荷は、回転子42と固定子44との間の機械的接触がない状態で、軸14、したがって、スピンドル20に与えることができる。線形負荷は、軸方向に与えられ、スピンドル20に向かってまたはスピンドル20から離れて、向けることができる。代わりに、線形負荷は、横方向に、すなわち軸14の軸方向に垂直の半径方向において与えることができる。さらに、線形負荷装置30は、軸14の軸方向に対して傾斜した方向に線形負荷を与えるように構成することができ、すなわち、軸方向荷重および横負荷の双方がスピンドル20に与えられるようにする。たとえば、回転子42および固定子44は、対向する円錐台状(frustoconical)表面48a,48bを規定することができ、その間で回転子42が軸方向および横方向の双方に促されるように電磁力が与えられる。フラストコニカル表面48a,48bの角度は、線形負荷の特定の方向を達成するように、たとえば、特定の動作においてスピンドルが典型的に遭遇する負荷の方向に対応するように構成することができる。装置40によって与えられる線形負荷は、巻線46を通って流れる電流を測定することによって、または、たとえば、2つの電子位置センサ(図示せず)を用いて、軸14の固定子44の中心からのずれを測定することによって決定することができる。
【0018】
回転負荷装置30は、スピンドル20に回転可能に負荷をかけるように、すなわち軸14、したがってスピンドル20に回転負荷またはトルクを与えるように構成される。「回転負荷」という用語は、回転負荷装置30がスピンドル20を回転させる傾向がある正のトルクを与えることができること、および/または、回転負荷装置30がスピンドル20の回転運動に抵抗する傾向がある抵抗トルクを与えることができることを意味する。したがって、スピンドル20または回転負荷装置30のうちの1つが軸14を回転させることができる一方で、他の装置20,30は回転に抵抗する。回転負荷装置30は、軸14およびスピンドル20を回転させる電気モータ、油圧モータ、または空気圧モータ等の回転
アクチュエータとすることができる。回転可能に作動される負荷装置30は、たとえば、回転アクチュエータを含まないスピンドルを回転させるために、用いることができる。代わりに、回転負荷装置30は、機械摩擦抵抗装置または油圧もしくは空気圧の抵抗装置とすることができる。このような抵抗回転負荷装置30は、典型的な動作の間に、スピンドル20に与えられる抵抗負荷、たとえば、機械加工作業の間に工具およびスピンドル20に与えられる回転可能抵抗負荷を刺激するために用いることができる。図2に示される回転負荷装置30は、回転運動を電気エネルギに変換するように構成された発電機として機能する電気動力計である。これによって生成された電気エネルギを用いて、スピンドル20または装置10の他の構成要素に電源を入れることができ、これにより装置10の動作に必要とされる正味の電力を減じ、装置10の全体的な効率性を増加させる。さらに、動力計または他の回転負荷装置30は、負荷装置30の速度、トルク、振動および他の条件に関するデータを生成することもできる。
【0019】
図1に示された制御システム50は、スピンドル20、線形負荷装置40、および回転負荷装置30を制御するように構成される。制御システム50は、1つ以上の論理プロセッサおよび記憶装置を含むことができ、制御システム50は、装置10の構成要素のすべてを制御する単一の装置とすることができ、または多数の独立したコントローラを用いることができる。1つ以上の電源52が制御システムのために設けられ、電源52は上述のような回転負荷装置30からエネルギを引出すことができる。図1に示されるように、制御システム50は、回転負荷装置コントローラ56、スピンドルコントローラ58、および線形負荷装置コントローラ60を制御するプロセスコントローラ54を含み、これらの各々は、それぞれの装置30,20,40を駆動する。たとえば、プロセスコントローラ54は、検査パラメータを受け、このパラメータは、装置10によって自動的に測定されるか、または入力インターフェイスを用いてオペレータによって入力され、検査されるスピンドル20の種類を説明する情報、スピンドル20および/または回転負荷装置30の速度またはトルク等の検査条件、線形負荷装置40によって与えられる線形負荷の方向、作用点および大きさ、検査の持続時間等を含む。コントローラ54,56,58,60の各々は、1つ以上の装置20,30,40、および、装置の1つ以上の動作パラメータを示す他の制御装置54,56,58,60からの信号を受信することもできる。
【0020】
制御システム50は、構成要素から検査データを受信しかつ他の構成要素を制御するために、装置10の他の構成要素と連絡することもできる。たとえば、図1に示されるように、冷却系70は、冷却流体を回転負荷装置30、線形負荷装置40、およびスピンドル20に送出してこれらの装置の温度を制御するように構成することができる。同様に、潤滑システム72およびブロワシステム74は、装置20,30,40に潤滑油または空気を与えて、装置におけるおよび装置の周りの、磨耗、加熱、および破片の蓄積を制御することができる。さらに、スピンドル20をベース12に接続解除可能に接続するためのクランピングシステム76を設けることができる。クランピングシステム76は、たとえば、油圧クランピング機構または機械的クランピング機構を含むことができる。システム70,72,74,76は、電源52に電気的に接続され、これらは制御システム50のために設けられる電源52と同じであるかまたはそれとは異なる可能性がある。加熱センサ、速度センサおよび振動センサ(図示せず)は、スピンドル20、線形負荷装置40、および/または回転負荷装置30の温度、速度および振動を監視するように構成することができる。加熱センサ、速度センサおよび振動センサは、制御システム50と連絡することができる。
【0021】
検査中に、回転負荷および線形負荷は、典型的な動作の間に、すなわちスピンドル20が機械加工等の特定の応用例のために用いられるときに、スピンドル20に与えられる力を刺激するために用いることができる。このような力は、理論的に、またはスピンドル20の動作の間に取られた測定から得られた経験データに基づいて、決定することができる
。たとえば、回転負荷装置30および線形負荷装置40は、典型的な機械加工、切断、穴あけ、または他の動作の間に、スピンドル20に与えられる負荷の大きさの特性である回転負荷および線形負荷を与えるように構成することができる。さらに、軸14上の線形負荷の方向および作用点は、スピンドル20の寸法およびスピンドル20とともに用いられる機器に従って決定することができる。たとえば、材料を切断するための切断ホイールを回転させるためにスピンドル20が用いられる場合、線形負荷は、切断ホイールの装着位置と一致する点で横方向に与えることができる。代わりに、穴を形成するために材料へと軸方向に促される穴あけ工具を回転させるためにスピンドル20が用いられる場合、線形負荷はこのようなプランジ動作の間に、穴あけ工具を通して伝達される力を刺激するために軸方向に与えることができる。同様に、軸方向および横方向の双方の線形負荷を与えて、スピンドル20に傾斜した負荷をもたらすことができる。
【0022】
回転負荷および線形負荷は、検査サイクルの間に変更することもでき、すなわち、回転負荷および線形負荷の方向および/または大きさは、スピンドル20がさらされる、起こり得る動作条件をシミュレートするように調整することができる。歯等の1つ以上の機能を用いて工具を駆動するために用いられるスピンドル20の場合、スピンドルは、このような工具の使用に関連した回転力および線形力をシミュレートする周期的な回転および/または線形の負荷にさらされることができる。たとえば、多数の歯で、切削または機械加工の工具を回転させるためにスピンドル20が用いられる場合、回転負荷および/または線形負荷は、歯の通過頻度、すなわち、工具の円周における歯の数に工具の回転速度を掛けたものに等しい頻度で繰返すことができる。したがって、検査は、工具上の個々の歯または他の機能の影響のために、スピンドル20の周期的な負荷をシミュレートすることができる。
【0023】
制御システム50によって収集されるデータは、装置10の制御のためのフィードバックとして用いることができ、データは、検査の結果を記載する報告において記録および編集することもできる。たとえば、プロセスコントローラ54は、回転負荷装置30および線形負荷装置40、スピンドル20、冷却系70、潤滑システム72、ブロワシステム74、クランピングシステム76、加熱センサ、速度センサおよび振動センサからのデータを受信するように構成される。プロセスコントローラ54は、ユーザインターフェイスを介してデータを出力することができ、情報は、スピンドル20および装置10の性能を評価するために用いることができる。プロセスコントローラ54は、装置10を連続的に監視し、或る条件が満たされる場合、たとえば、スピンドル20または別の構成要素が破損、過熱、さもなければ故障する場合に、検査を停止してオペレータに知らせることができる。
【0024】
本明細書で述べられた本発明の多くの変形および他の実施例が、先述の説明および関連の図面で提示された教示の利益を有する本発明が属する当業者には思い浮かぶであろう。したがって、本発明は開示された特定の実施例に限定されず、変形および他の実施例は別掲の特許請求の範囲内に含まれることが意図されることを理解すべきである。特定の用語が本明細書で用いられるが、これらは一般的および説明的な意味で用いられるに過ぎず、限定するために用いられるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施例に従ってスピンドルを検査するための装置を示す概略図である。
【図2】図1の装置を示す立面図である。
【図3】図1の装置の線形負荷装置およびスピンドルの部分断面立面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スピンドルを検査するための装置であって、
回転負荷装置と、
回転負荷装置がスピンドルに回転可能に負荷をかけるために構成されるように、軸方向に延在し、かつ回転負荷装置およびスピンドルを回転可能に接続する軸と、
予め定められた線形負荷を予め定められた方向で軸に与えることにより、スピンドルに線形に負荷をかけるために構成された線形負荷装置とを含む、装置。
【請求項2】
線形負荷装置は、回転子と固定子とを有する磁気軸受であり、回転子はスピンドルとともに回転するように構成され、固定子は少なくとも部分的に回転子の周りで円周方向に延在し、回転子および固定子は、その間でスピンドルを予め定められた方向に促す電磁力を生じるように構成された、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
線形負荷装置は、線形負荷を軸の軸方向に垂直な横方向に与えるように構成された、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
線形負荷装置は、線形負荷を軸の軸方向に対して傾斜した方向に与えるように構成されることにより、スピンドルを少なくとも部分的に軸方向に促す、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
線形負荷の大きさおよび線形負荷の方向のうちの少なくとも1つを選択的に調整するように構成されたコントローラをさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
コントローラは、回転負荷および線形負荷のうちの少なくとも1つを周期的に調整するように構成された、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
装置の少なくとも1つの動作パラメータを検出するように構成された装置をさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
軸は、回転負荷装置をスピンドルから少なくとも部分的に切り離して、線形負荷が主にスピンドルに対して伝達されるようにする切り離し装置を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
回転負荷装置は、軸およびスピンドルを回転させるように構成された回転アクチュエータである、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
回転負荷装置は、回転運動を電気エネルギに変換するように構成された、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
スピンドルを軸に接続解除可能に接続するように構成された接続解除可能コネクタをさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
スピンドルを検査するための装置であって、
軸方向に延在する回転可能なスピンドルと、
スピンドルを支持するように構成されたフレームと、
フレームに接続された回転負荷装置と、
回転負荷装置がスピンドルに回転可能に負荷をかけるために構成されるように、回転抵抗装置およびスピンドルと回転可能に連絡する軸と、
予め定められた線形負荷を予め定められた方向でスピンドルに与えるように構成された磁気軸受とを含む、装置。
【請求項13】
スピンドルは、ハウジング、ハウジングに少なくとも部分的に回転可能に装着されたスピンドル軸、および、スピンドル軸を回転させるように構成された回転アクチュエータを含む、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
線形負荷装置は、回転子と固定子とを有する磁気軸受であり、回転子はスピンドルとともに回転するように構成され、固定子は少なくとも部分的に回転子の周りで円周方向に延在し、回転子および固定子は、その間でスピンドルを予め定められた方向に促す電磁力を生じるように構成された、請求項12に記載の装置。
【請求項15】
線形負荷装置は、線形負荷を軸の軸方向に垂直な横方向に与えるように構成された、請求項12に記載の装置。
【請求項16】
線形負荷装置は、線形負荷を軸の軸方向に対して傾斜した方向に与えるように構成されることにより、スピンドルを少なくとも部分的に軸方向に促す、請求項12に記載の装置。
【請求項17】
線形負荷の大きさおよび線形負荷の方向のうちの少なくとも1つを選択的に調整するように構成されたコントローラをさらに含む、請求項12に記載の装置。
【請求項18】
コントローラは、回転負荷および線形負荷のうちの少なくとも1つを周期的に調整するように構成された、請求項12に記載の装置。
【請求項19】
装置の少なくとも1つの動作パラメータを検出するように構成された装置をさらに含む、請求項12に記載の装置。
【請求項20】
軸は、回転負荷装置をスピンドルから少なくとも部分的に切り離して、線形負荷が主にスピンドルに対して伝達されるようにする切り離し装置を含む、請求項12に記載の装置。
【請求項21】
回転負荷装置は、軸およびスピンドルを回転させるように構成された回転アクチュエータである、請求項12に記載の装置。
【請求項22】
回転負荷装置は、回転運動を電気エネルギに変換するように構成された、請求項12に記載の装置。
【請求項23】
スピンドルを軸に接続解除可能に接続するように構成された接続解除可能コネクタをさらに含む、請求項12に記載の装置。
【請求項24】
工具とともに使用するためのスピンドルを検査する方法であって、
スピンドルを軸を介して回転負荷装置に回転可能に接続するステップと、
スピンドルおよび回転負荷装置を回転させるステップと、
予め定められた線形負荷を予め定められた方向でスピンドルに与えるために線形負荷装置を作動させるステップとを含む、方法。
【請求項25】
作動させるステップは、線形負荷をスピンドルの軸方向に対して横方向にスピンドルに与えるための電磁力を生じるステップを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
作動させるステップは、
スピンドルの半径方向に対して傾斜した方向に電磁力を生じることにより、スピンドルを少なくとも部分的にスピンドルの軸方向に促す、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
作動させるステップは、線形負荷を選択可能に調整するためにコントローラを作動させるステップを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
作動させるステップは、回転負荷および線形負荷のうちの少なくとも1つを周期的にスピンドルに与えるステップを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項29】
作動させるステップは、スピンドルの予め定められた回転動作速度で生じる、工具上の1つ以上の機能の回転頻度にほぼ対応する頻度で、回転負荷および線形負荷のうちの少なくとも1つを与えるステップを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項30】
装置の少なくとも1つの動作パラメータを監視するステップをさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項31】
前記回転させるステップは、スピンドルを作動させることにより、軸および回転負荷装置を回転させるステップを含み、回転負荷装置は回転する抵抗負荷を与える、請求項24に記載の方法。
【請求項32】
前記回転させるステップは、回転負荷装置を作動させることにより、軸およびスピンドルを回転させるステップを含む、請求項24に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−524820(P2007−524820A)
【公表日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−517454(P2006−517454)
【出願日】平成16年6月16日(2004.6.16)
【国際出願番号】PCT/US2004/019667
【国際公開番号】WO2004/113864
【国際公開日】平成16年12月29日(2004.12.29)
【出願人】(500520743)ザ・ボーイング・カンパニー (773)
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
【Fターム(参考)】