説明

スピーカ

【課題】 電磁式のスピーカは、構造が複雑になりやすい。そのため、電磁式のスピーカは、小型薄型にすることができなかった。また、圧電スピーカは、薄型化が可能であるが、低音域での音圧特性が悪く、Hi−Fi等高音質を求められる電子機器に用いることができなかった。
【解決手段】 圧電体と磁石を対向させて振動板に配置する。そして、この磁石に対向させてコイルを配置する。
【効果】 圧電体と磁石を振動板に対向させて配置し、磁石に対向させてコイルが配置されるので、形状を薄型にできると共に、低音域での音圧特性を改善して高音質を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種の電気機器において発音体として用いられる、振動板を備えたスピーカに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のスピーカに、図16に示す様に、振動板161、振動板161に取り付けられたボビンに巻回されたコイル162及び、コイル162の巻軸内に挿入された磁石163A、磁石163Aに取り付けられた磁石163B、163Cを備え、コイル162を磁石163Aと磁石163B、163Cの間に形成される磁気ギャップ内に位置させ、コイル162に入力された信号によって振動板161を振動させたものがある(例えば、特許文献1を参照。)。
【0003】
また、別の従来のスピーカに、図17に示す様に、中央部に孔が形成された振動板171、この振動板171の一方の面に取り付けられた複数の圧電体174A、振動板171の他方の面に取り付けられた複数の圧電体174B及び、振動板171の孔を覆う様に取り付けられた振動フィルム175を備え、圧電体174A、174Bによって振動板171を振動させる圧電スピーカがある(例えば、特許文献2を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-109010号公報
【特許文献2】特開2001-119793号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、液晶TVは、技術の発展に伴い薄型化が進んでいる。また、電話、ゲーム、ネットブックPC等携帯電子機器の増加に伴い、高音質で、小型薄型のスピーカが望まれている。
しかしながら、図16に示す様な従来のスピーカは、コイルを磁気ギャップ内に位置させる必要があるため、構造が複雑になりやすく、小型薄型にすることができなかった。
一方、図17に示す様な従来のスピーカは、薄型化が可能であるが、低音域での音圧特性が悪く、Hi−Fi等高音質を求められる電子機器に用いることができなかった。
【0006】
本発明は、形状を薄型にできると共に、低音域での音圧特性を改善して高音質を得ることができるスピーカを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のスピーカは、圧電体と磁石を対向させて振動板に配置し、磁石がコイルの巻軸と同軸上に配置される。
また、本発明のスピーカは、振動板の一方の面に圧電体と磁石を積み重ねて配置し、磁石をコイルの巻軸と同軸上に配置し、圧電体と磁石は、コイルに入力された信号によって生じる磁石の振動と、圧電体に入力された信号によって生じる振動が同相になる様に配置される。
さらに、本発明のスピーカは、振動板の表面に圧電体を配置し、振動板の裏面に圧電体と対向させて磁石を配置し、磁石をコイルの巻軸と同軸上に配置し、圧電体と磁石は、コイルに入力された信号によって生じる磁石の振動と、圧電体に入力された信号によって生じる振動が同相になる様に配置される。
またさらに、本発明のスピーカは、圧電体とコイルを対向させて振動板に配置し、コイルの巻軸と同軸上に磁石が配置される。
さらに、本発明のスピーカは、振動板の一方の面に圧電体とコイルを積み重ねて配置し、コイルの巻軸と同軸上に磁石を配置し、圧電体とコイルは、コイルに入力された信号によって生じるコイルの振動と、圧電体に入力された信号によって生じる振動が同相になる様に配置される。
また、本発明のスピーカは、振動板の表面に圧電体を配置し、振動板の裏面に圧電体と対向させてコイルを配置し、コイルの巻軸と同軸上に磁石を配置し、圧電体とコイルは、コイルに入力された信号によって生じるコイルの振動と、圧電体に入力された信号によって生じる振動が同相になる様に配置される。
【発明の効果】
【0008】
本発明のスピーカは、圧電体と磁石を対向させて振動板に配置し、磁石がコイルの巻軸と同軸上に配置されるので、形状を薄型にできると共に、低音域での音圧特性を改善して高音質を得ることができる。
また、本発明のスピーカは、圧電体とコイルを対向させて振動板に配置し、コイルの巻軸と同軸上に磁石が配置されるので、形状を薄型にできると共に、低音域での音圧特性を改善して高音質を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明のスピーカの第1の実施例を示す斜視図である。
【図2】本発明のスピーカの第1の実施例の部分断面図である。
【図3】本発明のスピーカの特性図である。
【図4】本発明のスピーカの特性図である。
【図5】本発明のスピーカの第2の実施例を示す斜視図である。
【図6】本発明のスピーカの第2の実施例の部分断面図である。
【図7】本発明のスピーカの第3の実施例を示す斜視図である。
【図8】本発明のスピーカの第4の実施例を示す部分断面図である。
【図9】本発明のスピーカの第5の実施例を示す部分断面図である。
【図10】本発明のスピーカの第6の実施例を示す斜視図である。
【図11】本発明のスピーカの第6の実施例を示す部分断面図である。
【図12】本発明のスピーカの第7の実施例を示す部分断面図である。
【図13】本発明のスピーカの第8の実施例を示す部分断面図である。
【図14】本発明のスピーカの第9の実施例を示す部分断面図である。
【図15】本発明のスピーカの第10の実施例を示す部分断面図である。
【図16】従来のスピーカの部分断面図である。
【図17】従来の別のスピーカの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のスピーカは、振動板の裏面に圧電体が取り付けられ、この圧電体の裏面に磁石が取り付けられることにより、振動板の裏面に圧電体と磁石が積み重ねて配置される。この圧電体に取り付けられた磁石は、コイルの巻軸と同軸上に配置される。
従って、本発明のスピーカは、振動板の裏面において圧電体と磁石が振動板の振動方向に沿って互いに対向して配置されることになり、コイルに入力された信号によって生じる磁石の振動と、圧電体に入力された信号によって生じる振動を効率的に利用して、これらが合成された振動を振動板に伝達することができる。また、本発明のスピーカは、振動板の裏面に圧電体と磁石を積み重ねて配置し、磁石をコイルの巻軸と同軸上に配置してスピーカを形成しているので、構造が複雑になることがない。
また、本発明のスピーカは、振動板の表面に圧電体が配置され、振動板の裏面に圧電体と対向させて磁石が配置される。この振動板の裏面に取り付けられた磁石は、コイルの巻軸と同軸上に配置される。
従って、本発明のスピーカは、振動板の表面の圧電体と振動板の裏面の磁石が振動板の振動方向に沿って互いに対向して配置されることになり、コイルに入力された信号によって生じる磁石の振動と、圧電体に入力された信号によって生じる振動を効率的に利用して、これらが合成された振動を振動板に伝達することができる。また、本発明のスピーカは、振動板の表面に圧電体を配置し、振動板の裏面に圧電体と対向させて磁石を配置し、磁石をコイルの巻軸と同軸上に配置してスピーカを形成しているので、構造が複雑になることがない。
【実施例】
【0011】
以下、本発明のスピーカの実施例を図1乃至図15を参照して説明する。
図1は本発明のスピーカの第1の実施例を示す斜視図、図2は本発明のスピーカの第1の実施例の部分断面図である。
図1、図2において、11A、11Bは振動板、12はコイル、13は磁石である。
振動板は、中央部に孔が形成された振動板11Aと、この振動板11Aに孔を覆う様に取り付けられた振動板11Bによって構成される。振動板11Aと振動板11Bは金属で形成される。また、振動板11Bは角板状に形成される。振動板11Aは箱状に形成された支持体に保持、固定される。
この振動板の表面には、振動板11Bの表面に圧電体14が取り付けられる。圧電体14は、圧電セラミック、圧電樹脂、ポリフッ化ビニリデン、水晶等の圧電材料を用いて円板状に形成されたものが用いられ、振動板の表面の中心に位置する様に振動板11Bの表面の中心に接着される。この時、圧電体14は、圧電体の分極方向におけるマイナス側を上に向けた状態で振動板11Bの表面に配置され、圧電体の分極方向におけるプラス側が振動板11Bと接着される。そして、圧電体14のマイナスがリード線を介して信号源のプラスに接続され、圧電体14のプラスが振動板11Bとリード線を介して信号源のマイナスに接続される。
また、この振動板の裏面には、振動板11Bの裏面に磁石13が取り付けられる。磁石13は、振動板の裏面の中心に位置する様に振動板11Bの裏面の中心に接着される。この時、磁石13は、N極を下に向けた状態で振動板11Bの裏面に配置され、S極が振動板11Bと接着される。これにより、磁石13と圧電体14は、振動板11Bを挟んで互いに対向して取り付けられる。この磁石13のN極側にはコイル12が配置される。コイル12は、振動板を保持、固定している支持体の内底面に、その巻軸が振動板の裏面の中心と一致する様に取り付けられ、巻軸と同軸上に配置された磁石13のN極が巻軸内に挿入される。これにより、コイル12に入力された信号によって生じる磁束と磁石13の磁束が一致し、コイル12に入力された信号によって磁石13がコイル12の巻軸に沿って上下動する。コイル12の両端は、コイル12に入力された信号によって生じる磁界が磁石のN極からS極の方向に流れる様に、圧電体14が接続された信号源と同じ信号源に接続される。
【0012】
この様に形成された本発明のスピーカは、共通の信号源から圧電体14とコイル12に信号が入力され、コイルに入力された信号によって生じる磁石の振動と、圧電体に入力された信号によって生じる振動が同相になり、コイルに入力された信号によって生じる磁石の振動と、圧電体に入力された信号によって生じる振動が合成され、強められて振動板11Bに伝達される。これにより、振動板が圧電体14、磁石13、コイル12の配列方向に沿って上下に振動し、この振動板の振動によって音が発生する。
この様な本発明のスピーカは、図3に31で示す様に音圧が、700Hz未満で図17に示す様な従来のスピーカのもの33より大きくなり、140Hz以下で図16に示す様な従来のスピーカのもの32より大きくなり、低音領域における音圧特性を従来のものよりも改善することができた。この時、振動板の大きさを調節して共振点をずらすことにより、低音領域部31Aの周波数を調整して、低音領域における音圧特性を調整することができた。
また、本発明のスピーカにおいて、圧電体14と磁石13を振動板の振動方向に沿って互いに対向する様に振動板に取り付けた場合と、圧電体14と磁石13を振動板の振動方向と垂直な方向に離して振動板に取り付けた場合を比較したところ、図4(B)に示す様に、圧電体14と磁石13を振動板の振動方向と垂直な方向に離して振動板に取り付けた場合の出力波形に歪みが発生して歪み率が悪化したのに対し、図4(A)に示す様に、圧電体14と磁石13を振動板の振動方向に沿って互いに対向する様に振動板に取り付けた場合の出力波形には歪みが発生せず歪み率が改善した。これにより、本発明のスピーカは、圧電体14と磁石13を振動板の振動方向に沿って互いに対向する様に振動板に取り付けることにより、歪みの少ないクリアな音質を得ることができる。
さらに、本発明のスピーカは、図16に示す様な従来のスピーカよりも形状を薄型にすることができた。
また、本実施例のスピーカの様に、圧電体14と磁石13を振動板の中心に取り付けることにより、振動板の周縁のいずれの点からも圧電体14と磁石13の取り付け位置までの距離を等しくできるので、圧電体14と磁石13の振動の影響を振動板全体に及ぼすことができる。
【0013】
図5は本発明のスピーカの第2の実施例を示す斜視図、図6は本発明のスピーカの第2の実施例の部分断面図である。
中央部に孔が形成された振動板51Aと、この振動板51Aに孔を覆う様に取り付けられた振動板51Bによって構成された振動板は箱状に形成された支持体に保持、固定される。
この振動板の表面には、振動板の表面の中心(すなわち、振動板51Bの表面の中心)に圧電体54が接着される。圧電体54は、圧電セラミック、圧電樹脂、ポリフッ化ビニリデン、水晶等の圧電材料を用いて円板状に形成されたものが用いられる。この圧電体54は、圧電体の分極方向におけるマイナス側を上に向けた状態で振動板51Bの表面に配置され、圧電体の分極方向におけるプラス側が振動板51Bと接着される。また、この圧電体54は、マイナスがリード線を介して信号源のプラスに、プラスが振動板51Bとリード線を介して信号源のマイナスに接続される。さらに、この圧電体54の振動板51Bが接着された面と反対側の面の中心には、ホーン55が取り付けられる。ホーン55は、金属や樹脂によって円錐状に形成され、頂点側が圧電体54に取り付けられる。
また、この振動板の裏面には、振動板の裏面の中心(すなわち、振動板51Bの裏面の中心)に磁石53が取り付けられる。磁石53は、N極を下に向けた状態で振動板51Bの裏面に配置され、S極が振動板51Bと接着される。この磁石53のN極側にはコイル52が配置される。コイル52は、振動板を保持、固定している支持体の内底面に、その巻軸が振動板の裏面の中心と一致する様に取り付けられ、巻軸と同軸上に配置された磁石53のN極が巻軸内に挿入される。コイル52の両端は、コイル52に入力された信号によって生じる磁界が磁石のN極からS極の方向に流れる様に、圧電体54が接続された信号源と同じ信号源に接続される。
この様に形成された本発明のスピーカは、共通の信号源から圧電体54とコイル52に信号が入力され、コイルに入力された信号によって生じる磁石の振動と、圧電体に入力された信号によって生じる振動が同相になり、コイルに入力された信号によって生じる磁石の振動と、圧電体に入力された信号によって生じる振動が合成され、強められて振動板に伝達される。これにより、振動板が圧電体54、磁石53、コイル52の配列方向に沿って上下に振動し、この振動板の振動によって音が発生する。また、この様に形成された本発明のスピーカは、圧電体54に取り付けられたホーンにより、音を発生する方向に指向性を持たせることができる。
【0014】
図7は本発明のスピーカの第3の実施例を示す斜視図である。
振動板は、中央部に孔が形成された振動板71Aと、この振動板71Aに孔を覆う様に取り付けられた振動板71Bによって構成され、箱状に形成された支持体に保持、固定される。振動板71Bは円板状に形成される。
この振動板の表面には、振動板71Bの表面の中心に圧電体74が接着される。圧電体74は、圧電セラミック、圧電樹脂、ポリフッ化ビニリデン、水晶等の圧電材料を用いて円板状に形成されたものが用いられる。この圧電体74は、圧電体の分極方向におけるマイナス側を上に向けた状態で振動板71Bの表面に配置され、圧電体の分極方向におけるプラス側が振動板71Bと接着される。また、この圧電体74は、マイナスがリード線を介して信号源のプラスに、プラスが振動板71Bとリード線を介して信号源のマイナスに接続される。さらに、この圧電体74の振動板71Bが接着された面と反対側の面の中心には円錐状に形成されたホーン75が取り付けられる。
また、この振動板の裏面には、振動板71Bの裏面の中心に磁石が取り付けられる。磁石は、N極を下に向けた状態で振動板71Bの裏面に配置され、S極が振動板71Bと接着される。この磁石のN極側にはコイルが配置される。コイルは、振動板を支持、固定している支持体の内底面に、その巻軸が振動板の裏面の中心と一致する様に取り付けられ、巻軸と同軸上に配置された磁石のN極が巻軸内に挿入される。コイルの両端は、コイルに入力された信号によって生じる磁界が磁石のN極からS極の方向に流れる様に、圧電体74が接続された信号源と同じ信号源に接続される。
この様に形成された本発明のスピーカは、共通の信号源から圧電体74とコイルに信号が入力され、コイルに入力された信号によって生じる磁石の振動と、圧電体に入力された信号によって生じる振動が同相になり、コイルに入力された信号によって生じる磁石の振動と、圧電体に入力された信号によって生じる振動が合成され、強められて振動板に伝達される。これにより、振動板が圧電体、磁石、コイルの配列方向に沿って上下に振動し、この振動板の振動によって音が発生する。
【0015】
図8は本発明のスピーカの第4の実施例を示す部分断面図である。
振動板は、中央部に孔が形成された振動板81Aと、この振動板81Aに孔を覆う様に取り付けられた振動板81Bによって構成され、箱状に形成された支持体に保持、固定される。
この振動板の裏面には、振動板81Bの裏面の中心に圧電体84が接着される。この圧電体84は、圧電体の分極方向におけるマイナス側を下に向けた状態で振動板81Bの裏面に配置され、圧電体の分極方向におけるプラス側が振動板81Bと接着される。また、この圧電体84は、マイナスがリード線を介して信号源のマイナスに、プラスが振動板81Bとリード線を介して信号源のプラスに接続される。
この圧電体84の振動板が取り付けられた面と反対側の面の中心には、磁石83が取り付けられる。磁石83は、N極を下に向けた状態で圧電体84に配置され、S極が圧電体84と接着される。これにより、磁石83と圧電体84は、振動板81Bの裏面において、振動板の振動方向に沿って互いに対向して取り付けられる。この磁石83のN極側にはコイル82が配置される。コイル82は、支持体の内底面に、その巻軸が振動板の裏面の中心と一致する様に取り付けられ、巻軸と同軸に配置された磁石83のN極が巻軸内に挿入される。これにより、コイル82に入力された信号によって生じる磁束と磁石83の磁束が一致し、コイル82に入力された信号によって磁石83がコイル82の巻軸に沿って上下動する。コイル82の両端は、コイル82に入力された信号によって生じる磁界が磁石のN極からS極の方向に流れる様に、圧電体84が接続された信号源と同じ信号源に接続される。
この様に形成されたスピーカは、共通の信号源から圧電体84とコイル82に信号が入力され、コイルに入力された信号によって生じる磁石の振動と、圧電体に入力された信号によって生じる振動が同相になり、コイルに入力された信号によって生じる磁石の振動と、圧電体に入力された信号によって生じる振動が圧電体で合成され、強められた振動が圧電体から振動板81Bに伝達される。これにより、振動板が圧電体84、磁石83、コイル82の配列方向に沿って上下に振動し、この振動板の振動によって音が発生する。また、この様に形成された本発明のスピーカは、振動板の一方の面に圧電体と磁石を積み重ねているので、コイルに入力された信号によって生じる磁石の振動と、圧電体に入力された信号によって生じる振動が合成された振動がより効率よく振動板に伝達することができる。
【0016】
図9は本発明のスピーカの第5の実施例を示す部分断面図である。
振動板91は、金属で形成され、角板状に形成される。この振動板91は、箱状に形成された支持体に保持、固定される。
振動板91の表面には、圧電体94が接着される。圧電体94は、圧電セラミック、圧電樹脂、ポリフッ化ビニリデン、水晶等の圧電材料を用いて円板状に形成されたものが用いられる。この圧電体94は、圧電体の分極方向におけるマイナス側を上に向けた状態で振動板91の表面の中心に配置され、圧電体の分極方向におけるプラス側が振動板91と接着される。また、この圧電体94は、マイナスがリード線を介して信号源のプラスに、プラスが振動板91とリード線を介して信号源のマイナスに接続される。
振動板91の裏面には、磁石93が取り付けられる。磁石93は、N極を下に向けた状態で振動板91の裏面の中心に配置され、S極が振動板91と接着される。この磁石93のN極側にはコイル92が配置される。コイル92は、支持体の内底面に、その巻軸が振動板の裏面の中心と一致する様に取り付けられ、巻軸内に磁石93のN極が挿入される。コイル92の両端は、コイル92に入力された信号によって生じる磁界が磁石のN極からS極の方向に流れる様に、圧電体94が接続された信号源と同じ信号源に接続される。
この様に形成されたスピーカは、共通の信号源から圧電体94とコイル92に信号が入力され、コイルに入力された信号によって生じる磁石の振動と、圧電体に入力された信号によって生じる振動が同相になり、コイルに入力された信号によって生じる磁石の振動と、圧電体に入力された信号によって生じる振動が合成され、強められて振動板91Bに伝達される。これにより、振動板が圧電体94、磁石93、コイル92の配列方向に沿って上下に振動し、この振動板の振動によって音が発生する。また、この様に形成された本発明のスピーカは、振動板が1枚の振動板によって構成されているので、コイルに入力された信号によって生じる磁石の振動と、圧電体に入力された信号によって生じる振動が振動板全体に均等に伝達される。
【0017】
図10は本発明のスピーカの第6の実施例を示す斜視図、図11は本発明のスピーカの第6の実施例の部分断面図である。
中央部に孔が形成された振動板101Aと、この振動板101Aに孔を覆う様に取り付けられた振動板101Bによって構成された振動板の表面には、図10(A)に示す様に、振動板101Bの表面の中心に圧電体104が接着される。圧電体104は、圧電体の分極方向におけるマイナス側を上に向けた状態で振動板101Bの表面に配置され、圧電体の分極方向におけるプラス側が振動板101Bと接着される。そして、圧電体104のマイナスがリード線を介して信号源のプラスに接続され、圧電体104のプラスが振動板101Bとリード線を介して信号源のマイナスに接続される。
また、この振動板の裏面には、図10(B)に示す様に、振動板101Bの裏面の中心に磁石103が取り付けられる。磁石103は、N極を下に向けた状態で振動板101Bの裏面に配置され、S極が振動板101Bと接着される。この磁石103のN極側にはコイル102が配置される。コイル102は、図11に示す様に、振動板101Bに磁石103とコイル102を覆う様に取り付けられた覆いBの内底面に、その巻軸が振動板の裏面の中心と一致する様に取り付けられ、巻軸内に磁石103のN極が挿入される。コイル102の両端は、コイル102に入力された信号によって生じる磁界が磁石のN極からS極の方向に流れる様に、圧電体104が接続された信号源と同じ信号源に接続される。
この様に形成されたスピーカは、共通の信号源から圧電体104とコイル102に信号が入力され、コイルに入力された信号によって生じる磁石の振動と、圧電体に入力された信号によって生じる振動が同相になり、コイルに入力された信号によって生じる磁石の振動と、圧電体に入力された信号によって生じる振動が合成され、強められて振動板101Bに伝達される。これにより、振動板が圧電体104、磁石103、コイル102の配列方向に沿って上下に振動し、この振動板の振動によって音が発生する。
【0018】
図12は本発明のスピーカの第7の実施例を示す部分断面図である。
振動板121は、金属で形成され、角板状に形成される。振動板121は箱状に形成された支持体に保持、固定される。
振動板121の表面の中心には圧電体124が接着される。圧電体124は、圧電セラミック、圧電樹脂、ポリフッ化ビニリデン、水晶等の圧電材料を用いて円板状に形成されたものが用いられる。この圧電体124は、圧電体の分極方向におけるマイナス側を上に向けた状態で振動板121の表面に配置され、圧電体の分極方向におけるプラス側が振動板121と接着される。また、この圧電体124は、マイナスがリード線を介して信号源のプラスに、プラスが振動板121とリード線を介して信号源のマイナスに接続される。
振動板121の裏面の中心には磁石123が取り付けられる。磁石123は、N極を下に向けた状態で振動板121の裏面に配置され、S極が振動板121と接着される。この磁石123のN極側にはコイル122が配置される。コイル122は、振動板121に磁石123とコイル122を覆う様に取り付けられた覆いBの内底面に、その巻軸が振動板の裏面の中心と一致する様に取り付けられ、巻軸内に磁石123のN極が挿入される。コイル122の両端は、圧電体124の振動と磁石123の振動が同相になる様に、圧電体124が接続された信号源と同じ信号源に接続される。
また、振動板121を保持、固定している支持体と覆いBとの間にはダンパー126が配置される。ダンパー126は弾性を有する材質を用いて形成される。
この様に形成されたスピーカは、共通の信号源から圧電体124とコイル122に信号が入力され、コイルに入力された信号によって生じる磁石の振動と、圧電体に入力された信号によって生じる振動が同相になり、コイルに入力された信号によって生じる磁石の振動と、圧電体に入力された信号によって生じる振動が合成され、強められて振動板121に伝達される。これにより、振動板が圧電体124、磁石123、コイル122の配列方向に沿って上下に振動し、この振動板の振動によって音が発生する。また、この様に形成された本発明のスピーカは、覆いBと支持体の間にダンパー126を備えるので、覆いBを下から支えることができると共に、覆いBの振動を抑制することができる。
【0019】
図13は本発明のスピーカの第8の実施例を示す部分断面図である。
振動板131は、金属で形成され、角板状に形成される。振動板131は箱状に形成された支持体に保持、固定される。
振動板131の表面には、圧電体134が接着される。圧電体134は、圧電セラミック、圧電樹脂、ポリフッ化ビニリデン、水晶等の圧電材料を用いて円板状に形成されたものが用いられる。この圧電体134は、圧電体の分極方向におけるマイナス側を上に向けた状態で振動板131の表面の中心に配置され、圧電体の分極方向におけるプラス側が振動板131と接着される。また、この圧電体134は、マイナスがリード線を介して信号源のプラスに、プラスが振動板131とリード線を介して信号源のマイナスに接続される。
振動板131の裏面には、磁石133が取り付けられる。磁石133は、N極を下に向けた状態で振動板131の裏面の中心に配置され、S極が振動板131と接着される。この磁石133のN極側にはコイル132が配置される。コイル132は、振動板131を保持、固定している支持体の内底面に、その巻軸が振動板の裏面の中心と一致する様に取り付けられる。また、コイル132は、巻軸内に磁石132Aが設けられる。この磁石132Aは、N極を上に向けた状態で支持体の内底面に配置され、S極が支持体に接着される。これにより、コイル132の巻軸内に設けられた磁石132Aと振動板の裏面に取り付けられた磁石133がコイル132の巻軸と同軸上に配置され、磁石133の磁束と磁石132Aの磁束が一致し、コイル132に入力された信号によって磁石132Aの極性が変移し、この磁石132Aの極性の変移に伴って磁石133がコイル132の巻軸に沿って上下動する。この時、コイル132の両端は、圧電体134の振動と磁石133の振動が同相になる様に、圧電体134が接続された信号源と同じ信号源に接続される。
この様に形成されたスピーカは、共通の信号源から圧電体134とコイル132に信号が入力され、コイルに入力された信号によって生じる磁石の振動と、圧電体に入力された信号によって生じる振動が同相になり、コイルに入力された信号によって生じる磁石の振動と、圧電体に入力された信号によって生じる振動が合成され、強められて振動板131に伝達される。これにより、振動板が圧電体134、磁石133、132A、コイル132の配列方向に沿って上下に振動し、この振動板の振動によって音が発生する。また、この様に形成された本発明のスピーカは、コイルの巻軸と同軸上に配置された2つの磁石で構成されているので、2つの磁石によって振動板の裏面側の振動力を強めることができる。
【0020】
図14は本発明のスピーカの第9の実施例を示す部分断面図である。
振動板141は、金属で形成され、角板状に形成される。振動板141は箱状に形成された支持体に保持、固定される。
振動板141の表面には、圧電体144が接着される。圧電体144は、圧電セラミック、圧電樹脂、ポリフッ化ビニリデン、水晶等の圧電材料を用いて円板状に形成されたものが用いられる。この圧電体144は、圧電体の分極方向におけるマイナス側を上に向けた状態で振動板141の表面に配置され、圧電体の分極方向におけるプラス側が振動板141と接着される。また、この圧電体144は、マイナスがリード線を介して信号源のプラスに、プラスが振動板141とリード線を介して信号源のマイナスに接続される。
振動板141の裏面には、磁石143A、磁石143B、磁石143Cが取り付けられる。磁石143Aは、N極を下に向けた状態で振動板141の裏面の圧電体144と対向する位置に配置され、S極が振動板141と接着される。磁石143Bと磁石143Cは、それぞれN極を下に向けた状態で、振動板141の裏面の磁石143Aを原点とした点対称な位置に配置され、それぞれS極が振動板141と接着される。これらの磁石143A、143B、143CのN極側には、それぞれコイル142A、コイル142B、コイル142Cが配置される。コイル142Aは、振動板141を保持、固定している支持体の内底面に、磁石143Aが巻軸と同軸上に配置される様に取り付けられる。コイル142Bは、振動板141を保持、固定している支持体の内底面に、磁石143Bが巻軸と同軸上に配置される様に取り付けられる。コイル142Cは、振動板141を保持、固定している支持体の内底面に、磁石143Cが巻軸と同軸上に配置される様に取り付けられる。これにより、コイル142Aに入力された信号によって生じる磁束と磁石143Aの磁束が、コイル142Bに入力された信号によって生じる磁束と磁石143Bの磁束が、コイル142Cに入力された信号によって生じる磁束と磁石143Cの磁束がそれぞれ一致し、それぞれの磁石143A、143B、143Cがそれぞれのコイル142A、142B、142Cの巻軸に沿って上下動する。この時、コイル142A、142B、142Cの両端は、圧電体144の振動と磁石143A、143B、143Cの振動が同相になる様に、圧電体144が接続された信号源と同じ信号源に接続される。
この様に形成されたスピーカは、共通の信号源から圧電体144とコイル142A、142B、142Cに信号が入力され、コイルに入力された信号によって生じる磁石の振動と、圧電体に入力された信号によって生じる振動が同相になり、コイルに入力された信号によって生じる磁石の振動と、圧電体に入力された信号によって生じる振動が合成され、強められて振動板141に伝達される。これにより、振動板が圧電体144、磁石143A、コイル142Aの配列方向に沿って上下に振動し、この振動板の振動によって音が発生する。また、この様に形成された本発明のスピーカは、複数のコイルと複数の磁石で構成されているので、複数のコイルと複数の磁石によって振動板の裏面側の振動力を強めることができる。
【0021】
図15は本発明のスピーカの第10の実施例を示す部分断面図である。
振動板151は、金属で形成され、角板状に形成される。振動板151は箱状に形成された支持体に保持、固定される。
振動板151の表面には、圧電体154が接着される。圧電体154は、圧電体の分極方向におけるマイナス側を上に向けた状態で振動板151の表面の中心に配置され、圧電体の分極方向におけるプラス側が振動板151と接着される。また、この圧電体154は、マイナスがリード線を介して信号源のプラスに、プラスが振動板151とリード線を介して信号源のマイナスに接続される。
振動板151の裏面には、コイル152が取り付けられる。コイル152は、巻軸が振動板151の裏面の中心と一致する様に取り付けられる。このコイル152の振動板と反対側には磁石153が配置される。磁石153は、振動板154を保持、固定している支持体の内底面に、コイル152の巻軸と同軸上に位置する様に、S極を上にした状態で取り付けられる。これにより、コイル152に入力された信号によって生じる磁束と磁石153の磁束が一致し、磁石153がコイル152の巻軸に沿って上下動する。この時、コイル152の両端は、圧電体154の振動と磁石153の振動が同相になる様に、圧電体154が接続された信号源と同じ信号源に接続される。
この様に形成されたスピーカは、共通の信号源から圧電体154とコイル152に信号が入力され、コイルに入力された信号によって生じる磁石の振動と、圧電体に入力された信号によって生じる振動が同相になり、コイルに入力された信号によって生じる磁石の振動と、圧電体に入力された信号によって生じる振動が合成され、強められて振動板151に伝達される。これにより、振動板が圧電体154、コイル152、磁石153の配列方向に沿って上下に振動し、この振動板の振動によって音が発生する。また、この様に形成された本発明のスピーカは、振動板にコイルが取り付けられているので、振動板に付加される重さを軽減することができ、その分特性を向上させることができる。
【0022】
以上、本発明のスピーカの実施例を述べたが、本発明はこの実施例に限られるものではない。例えば、実施例において、コイルと圧電体を別の信号源に接続してもよい。この場合、2種類の信号を同時に発生させることができる。また、圧電体を200Hz以下で振動させてバイブレータとして利用してもよい。さらに、コイルに入力された信号によって生じる磁石の振動のうちの200Hz以下の振動をバイブレータとして利用してもよい。またさらに、圧電体と磁石は振動板の中心以外で対向させても良い。さらに、圧電体は様々な形状にすることができる。また、振動板は紙やフィルムで形成されてもよい。またさらに、第8の実施例において、コイルの巻軸内に設けられた磁石の代わりに鉄心を設けてもよい。さらに、第8の実施例以外の実施例において、コイルの巻軸に磁石又は鉄心を設けてもよい。また、第9の実施例において、振動板の表面に磁石143Bと磁石143Cと対向して圧電セラミック体を設けても良い。またさらに、第10の実施例において、圧電セラミック体とコイルは振動板の中心以外で対向させても良い。
【符号の説明】
【0023】
11A、11B 振動板
12 コイル
13 磁石

【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動板を具えたスピーカにおいて、
圧電体と磁石を対向させて該振動板に配置し、該磁石をコイルの巻軸と同軸上に配置したことを特徴とするスピーカ。
【請求項2】
振動板を具えたスピーカにおいて、
該振動板の一方の面に圧電体と磁石を積み重ねて配置し、該磁石をコイルの巻軸と同軸上に配置し、該圧電体と該磁石は、該コイルに入力された信号によって生じる該磁石の振動と、該圧電体に入力された信号によって生じる振動が同相になる様に配置されたことを特徴とするスピーカ。
【請求項3】
振動板を具えたスピーカにおいて、
該振動板の表面に圧電体を配置し、該振動板の裏面に該圧電体と対向させて磁石を配置し、該磁石をコイルの巻軸と同軸上に配置し、該圧電体と該磁石は、該コイルに入力された信号によって生じる該磁石の振動と、該圧電体に入力された信号によって生じる振動が同相になる様に配置されたことを特徴とするスピーカ。
【請求項4】
前記圧電体と前記磁石が前記振動板の中央部に配置された請求項1、2、3のいずれかに記載のスピーカ。
【請求項5】
振動板を具えたスピーカにおいて、
圧電体とコイルを対向させて該振動板に配置し、該コイルの巻軸と同軸上に磁石を配置したことを特徴とするスピーカ。
【請求項6】
振動板を具えたスピーカにおいて、
該振動板の一方の面に圧電体とコイルを積み重ねて配置し、該コイルの巻軸と同軸上に磁石を配置し、該圧電体と該コイルは、該コイルに入力された信号によって生じるコイルの振動と、該圧電体に入力された信号によって生じる振動が同相になる様に配置されたことを特徴とするスピーカ。
【請求項7】
振動板を具えたスピーカにおいて、
該振動板の表面に圧電体を配置し、該振動板の裏面に該圧電体と対向させてコイルを配置し、該コイルの巻軸と同軸上に磁石を配置し、該圧電体と該コイルは、該コイルに入力された信号によって生じるコイルの振動と、該圧電体に入力された信号によって生じる振動が同相になる様に配置されたことを特徴とするスピーカ。
【請求項8】
前記圧電体と前記コイルが前記振動板の中央部に配置された請求項5、6、7のいずれかに記載のスピーカ。
【請求項9】
前記圧電体にホーンが取り付けられた請求項3又は請求項7に記載のスピーカ。
【請求項10】
前記コイルと前記磁石が複数設けられた請求項1乃至請求項9のいずれかに記載のスピーカ。
【請求項11】
前記コイルは巻軸にコアを備えた請求項1乃至請求項10のいずれかに記載のスピーカ。
【請求項12】
前記圧電体が200Hz以下で駆動される請求項1乃至請求項11のいずれかに記載のスピーカ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−166565(P2011−166565A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−28581(P2010−28581)
【出願日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【出願人】(000003089)東光株式会社 (243)
【Fターム(参考)】