説明

スブチリシン変異体を含む組成物及び方法

本発明はバチスル属のスブチリシン変異体を提供する。更に、本発明はこのセリンプロテアーゼ変異体を含む自動食器洗浄器用洗剤組成物も提供する。

選択図なし。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は2008年11月11日に提出されたU.S.Providional Patent Appln.Ser.No.61/113,561に対して優先権を主張する。該文献を参照により本明細書に援用する。
【0002】
本発明はバチルス(Bacillus)属スブチリシン変異体を提供する。更に、本発明はセリンプロテアーゼ変異体を含む食器洗浄器用組成物も提供する。
【背景技術】
【0003】
通常、従来の国内の及び工業的に生産されている食器洗剤用組成物は、食器の洗浄及び消毒のために高いアルカリ性洗剤及び塩素系漂白剤を含む。しかしながら、これらは、家庭、病院、カフェテリア、ケイタリング等における食器にしばしば存在するタンパク質含有汚れを除去することに欠点を有する。更に、非常に高いアルカリ洗剤及び塩素系漂白剤は、消費者又は環境にやさしくないと考えられている。
【0004】
タンパク質精製の汚れを除去することに効果的な洗浄用組成物を提供するために数多くの試みがなされてきた。これらの組成物はアルカリ条件下で(例えば、少なくともpH9.5)で活性を有するプロテアーゼを含む。しかしながら、そのような組成物は、消費者に食器用洗剤として好ましいと従来考えられている液体又はゲル形態に製剤化することが難しい。更に、アルカリ性食器洗剤用組成物は、しばしば、刺激物であると考えられている。
【0005】
低pH(例えば、pH9.5未満のpH)の食器用洗剤を製造するための試みがなされてきた。これらの組成物は、安全で、環境にやさしく、ゲル及び液体に製剤化することが可能であった。しかしながら。近年の低pH食器洗浄用組成物は、該組成物中に高濃度の酵素(例えば、プロテアーゼ)が配合ざれているにも関わらず、汚れを除去するには、あまり効果的ではなかった。
【0006】
従って、食器からタンパク質性の汚れを効果的に除去する食器洗浄用組成物に対する需要が本分野において存在する。更に、環境及び使用者に対してやさしく、使用が容易な形態に製剤化することができ、経済的な食器洗浄組用成物に対する需要も存在する。
【発明の概要】
【0007】
本発明はバチルス(Bacillus)属変異体を提供する。更に、本発明はセリンプロテアーゼ変異体を含む自動食器洗剤組成物を提供する。
【0008】
本発明は配列番号8で定義されるアミノ酸配列を含むスブチリシン変異体も提供する。幾つかの好適な態様において、本発明は配列番号8で定義されるアミノ酸配列を有するスブチリシン変異体を含む自動食器洗浄器用組成物を提供する。幾つかの態様において、この自動食器洗浄器用洗剤組成物は液体であり、他の態様ではこの組成物はゲル、ペレット、粉末、又は顆粒状の洗剤である。幾つかの更なる態様において、この自動食器洗浄器用洗剤組成物はリン酸塩を含まない。幾つかの更なる態様において、この自動食器洗浄器用洗剤組成物は少なくとも1つの漂白剤を含む。更なる態様において、この自動食器洗浄器用組成物は更に少なくとも1つの追加的酵素を含む。幾つかの好適な態様において、この少なくとも1つの追加的な酵素はヘミセルラーゼ、セルラーゼ、ペルオキシダーゼ、メタロプロテアーゼ、キシラナーゼ、リパーゼ、フォスフォリパーゼ、エステラーゼ、ペルヒドロラーゼ、クチナーゼ、ペクチナーゼ、ペクチンリアーゼ、マンナナーゼ、ケラチナーゼ、リダクターゼ、オキシダーゼ、フェノロキシダーゼ、リポオキシゲナーゼ、リグニナーゼ、プルラナーゼ、タンナンーゼ、ペントサナーゼ、マラナーゼ、β−グルカナーゼ、アラビノシダーゼ、ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼ、ラッカーゼ、及びアミラーゼ、又はこれらの混合物から選択される。
【0009】
本発明は食器を洗浄する方法も提供する。該方法は洗浄される食器を提供する工程、配列番号8で定義されるアミノ酸配列を有するスブチリシン変異体を含む組成物を提供する工程、及び前述のアイテムをこの組成物に接触させる工程を含む。幾つかの態様において、この方法は更に、洗浄されるべき食器をすすぐ工程を含む。
【0010】
更なる態様において、本発明はスブチリシン変異体をコードしている単離された核酸を提供する。幾つかの好適な態様において、プロモーターと作動可能に組み合わせられた単離された核酸を含むベクターが提供される。更に、この発現ベクターを含む宿主細胞も提供される。
【発明の詳細な説明】
【0011】
本発明はバチルス(Bacillus)スブチリシン変異体を提供する。更に、本発明はこのセリンプロテアーゼ変異体を含む自動食器洗浄器用洗剤組成物を提供する。
【0012】
特に定義しない限り、本発明の実施は、分子生物学、微生物学、タンパク質精製、タンパク質エンジニアリング、タンパク質及びDNA配列決定、組換えDNA分野、工業的な酵素の使用及び開発の分野において、当業者の知識の範囲内である技術を用いて行う。本明細書に記載されている全ての特許、特許出願、文献、及び刊行物は参照により本明細書に援用される。
【0013】
更に、ここに記載されている標題は本発明を限定するために用いるものではない。本発明は明細書全体を参照することにより理解されなければならない。従って、以下で説明する各種用語の定義は、明細書全体を参照することによりより深く理解される。しかしながら、発明の理解を促進するために以下で多くの用語を説明する。
【0014】
別途定義しない限り、本明細書で用いる化学的及び技術的用語は本発明の属する技術分野における当業者により通常理解されているものと同じ意味を有する。例えば、Singleton and Sainsbury, Dictionary of Microbiology and Molecular Biology, 2d Ed., John Wiley and Sons, NY (1994);及びHale and Markham, THE Harper Collins Dictionary of Biology, Harper Perennial, NY (1991)は本発明で用いる数多くの用語についての辞書であり、当業者はこれを参照することができる。本明細書で定義する方法及び材料と類似の又はこれらに等しいものを本発明の実施にもちいることができるけれども、好適な方法及び材料を本明細書で説明する。従って、以下で定義されている用語は明細書全体を参照することによりより深く理解されるであろう。本明細書において、「a」、「an」、及び「the」の単数について用いる冠詞は、別途定義しない限り、複数も含む。別途定義しない限り、核酸は左から右に向かって、5’末端から3’末端を表し、アミノ酸配列は、左から右に向かって、アミノ末端からカルボキシ末端方向に標記する。当業者が本発明の実施に用いるものにより、本明細書で説明する方法、手順、試薬は変化し得るので、本発明に用いるこれらのものを、開示されている特定のものに限定されることがないことは理解されるであろう。
【0015】
本明細書に記載の全ての数値の上限値は全てのより低い数値の限定を含み、そのような低い数値限定は本明細書に記載されているものとする。本明細書における各最小の数値限定はより高い数値限定を含み、そのようなより高い数値限定は本明細書に記載されているものとする。本明細書に記載の全ての数値範囲はその範囲内のより低い数値範囲を含み、そのようなより狭い数値範囲は本明細書に記載されるものとする。
【0016】
本明細書において、「相性のよい」の語は洗剤組成物が、本明細書で提供されるプロテアーゼ酵素の酵素活性を、通常の使用条件の間に効果的ではなくなるほどに低減させないことを意味する。特定の洗剤組成物を以下で詳述する。
【0017】
本明細書において、「効果的な量の酵素」の語は特定の製品において必要とされる酵素活性を達成するために必要とされる酵素の量を意味する。そのような効果的な量は当業者が容易に決定することができ、用いる特定の酵素変異体、洗浄用製品、洗剤組成物の特定の成分、及び組成物生物が液状か又は乾燥物(例えば、顆粒)が必要であるか否か等の多くの因子に基づいている。
【0018】
本明細書において、「変異プロテアーゼ」についても用いる「改善された性質を有する」の語は、改善された性能及び/又は野生型プロテアーゼの対応してその性能を維持しつつ改善された安定性を有するタンパク質分解酵素を意味する。幾つかの特に好適な態様において、この改善された性質は改善された食器洗浄能力と改善された安定性の組み合わせのほか、改善された食器洗浄能力と改善された安定性からなる群より選択される。
【0019】
本明細書において、「洗剤安定性」の語は洗剤組成物の安定性を意味する、幾つかの態様において、この安定性は洗剤の使用の間に評価される。他の態様において、この語は貯蔵の間の洗剤組成物の安定性を意味する。
【0020】
「改善された安定性」の語は、貯蔵の間及び/又は泡の中における変異プロテアーゼのよりよい安定性を意味する。好適な態様において、この変異体プロテアーゼは、食器用洗剤の貯蔵の間及び/又は泡の中において、改善された食器用洗剤中の安定性を有しており、対応する野生型酵素に対して、酸化安定剤、金属イオン封鎖剤、自己消化、界面活性剤、及び高いアルカリ性に対する安定性を有している。
【0021】
本明細書において、「タンパク質分解に対する安定性」の語は、タンパク質分解に抵抗するタンパク質(例えば、酵素)の能力を意味する。この語をタンパク質安定性を評価する特定のプロテアーゼの使用に限定することを意図するものではない。
【0022】
本明細書において「酸化安定性」の語は酸化条件下で機能のするタンパク質の能力を意味する。特に、この語は、H、過酸、及び他の酸化物の各種濃度の下で機能するタンパク質の能力を意味する。各種酸化条件下での安定性は当業者に既知の方法により、及び/又は本明細書で説明する方法により評価することができる。酸化安定性が大きく変化したということは、酸化化合物が存在しないときの酵素活性と比較してその酵素活性の半減期が少なくとも5%以上増加したか、又は減少したかにより明らかとなる。
【0023】
本明細書において「pH安定性」の語は、特定のpHで機能することができるタンパク質の能力を意味する。通常、大部分の酵素は、それらが機能する明確なpH範囲を有する。中性範囲のpH(即ち、pH7付近)で機能する酵素に加えて、非常に高い又は非常に低いpH条件下で作用することができる酵素もある。各種pH条件下での安定性は当業者に既知の方法及び/又は本明細書で説明する方法で評価することができる。pH安定性が大きく変化したということは、最適pHで酵素活性と比較した場合、酵素活性の半減期が少なくとも5%以上増加又は減少(大部分の態様において、増加することが好ましい)していることにより裏付けられる。しかしながら、本発明を特定のpH安定性レベル又はpH範囲に限定することは意図しない。
【0024】
本明細書において、「熱安定性」の語は特定の温度で機能するタンパク質の能力を意味する。通常、大部分の酵素はそれらが機能する温度の限界配位を有している。中程度の温度(例えば、室温)で機能する酵素のほかに、非常に高い又は低い温度で機能することができる酵素も存在する。熱安定性は当業者に既知の方法及び本明細書で説明する方法で評価することができる。熱安定性が相当変化したということは所与の温度に曝された変異体の酵素活性の半減期が少なくとも5%以上増加又は減少(大部分の態様において、増加することが好ましい)しているこことにより裏付けられる。しかしながら、本発明を特定の熱安定性レベル、又は特定の温度範囲に限定することは意図しない。
【0025】
本明細書において、「化学安定性」の語はタンパク質の活性に有害な化学薬品に対するタンパク質(例えば、酵素)の能力を意味する。幾つかの態様において、そのような化学薬品は過酸化水素、過酸、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、非イオン性界面活性剤、キレート剤等を含むがこれらに限定されない。しかしながら、本発明を特定の化学薬品安定性又は特定の安定性の範囲に限定することは意図しない。
【0026】
本明細書において、「精製された又は単離された」の語はサンプルから不純物を除去することを意味する。例えば、所望の酵素は、他の不純物タンパク質及び溶液又は調製物の中から所望の酵素ではない、他の成分を除去することにより精製される。幾つかの態様において、所望の組換え酵素がバクテリア又は糸状菌宿主細胞内で発現され、これらの所望の組換え酵素は他の宿主細胞の成分を除去して精製される。所望の組換え酵素のパーセンテージはこのサンプル中で増加する。
【0027】
本明細書において、「所望のタンパク質」の語は、解析、同定、及び/又は修飾されるタンパク質(例えば、酵素又は所望の酵素)を意味する。組換え(例えば、変異)タンパク質のほか自然発生タンパク質も本発明に用いることができる。
【0028】
本明細書において、「発現ベクター」の語は好適な宿主細胞において、DNAの発現に影響を与える好適な制御配列に作動可能に結合しているDNA配列を含むDNA構築物を意味する。そのような制御配列は、転写に影響を及ぼすプロモーター、そのような転写を制御する任意のオペレーター配列、転写及び翻訳の停止を制御する好適なmRNAリボゾーム結合部位及び配列をコードする配列を含む。このベクターは、プラスミド、ファージ粒子、又は単に可能性のある遺伝子挿入でもよい。一旦好適な宿主細胞に形質転換されると、ベクターは複製して、独立的に宿主細胞ゲノムの機能を果たす、又は幾つかのケースにおいて、ゲノム自信に取り込まれる。このプラスミドが現在最も一般的なベクターの形態であることから、本明細書において、「プラスミド」、「発現プラスミド」、及び「ベクター」の語は同じ意味に用いる。しかしながら、当業者において、等しい機能を提供する、及び等しい機能である、又は等しい機能となりうる他の発現ベクターの形態も含むことを意図する。
【0029】
幾つかの好適な態様において、プロテアーゼ遺伝子は適切な発現プラスミドに結合される。クローン化されたプロテアーゼ遺伝子を融合し、宿主細胞を形質転換又は形質変換して、プロテアーゼ遺伝子を発現させる。このプラスミドは、プラスミドの複製に必要なよく知られた要素を含でいるか、又はこのプラスミドは宿主染色体に取り込まれるように設計されているので、宿主細胞内で複製することができる。必要なエレメントは効率的な遺伝子発現(例えば、所望の遺伝子に作動可能に結合しているプロモーター)のために提供される。幾つかの態様において、これらの必要なエレメントは、認識されるならば(すなわち、宿主細胞による転写)遺伝子自身の相同プロモーターとして、及び外来性転写ターミネーターとして供給されるか、あるいはプロテアーゼ遺伝子の内因性転写領域により供給される。幾つかの態様において、抗生物質含有培地中での育成によるプラスミド感染宿主細胞の連続的な培養を維持することができる抗生物質耐性遺伝子等の遺伝子選択も含む。
【0030】
幾つかの態様において、他の方法も用いることができるが、以下で説明するカセット変異誘発方法は、本発明のプロテアーゼ変異体を構築するのに用いられる。
【0031】
第一に、タンパク質をコードしている自然発生遺伝子を入手し、全体あるいは一部の配列を決定する。それから、コードされているタンパク質中に1以上のアミノ酸の変異(欠失、挿入または置換)を作成するために適した場所をスキャンする。この場所にフランキングしている配列は、発現したときに各種変異体をコードするオリゴヌクレオチドプールを用いて、遺伝子短断片を置換するための制限部位があるかどうか評価される。そのような制限部位は、好ましくは、遺伝子セグメントの置換を促進するためのタンパク遺伝子内の特徴的な部位である。しかしながら、アミラーゼ遺伝子中にあまり多く存在しない任意の制限部位を用いることもできる。制限消化によって、生成する遺伝子断片は、所望の配列中で再構築することもできる。もし、制限部位が、選択されたポイントから便利な距離(10から15ヌクレオチド)に存在しないときは、最終的な構築物中のリーディングフレームまたはアミノ酸のいずれも変化させずに、遺伝子中の核酸配列のヌクレオチドの置換によって、そのような部位を生成することができる。対象とする配列を確認するために、その配列を変化させるための遺伝子の変異は、既知の方法であるM13プライマーを伸長させることによって行うことができる。適切なフランキング領域の位置決め、及び、2の簡便な制限部位配列で必要な変異を発現させるための評価の作業は、遺伝子コードの余剰量(redundancy)、遺伝子の制限酵素マップ、及び、多くの異なる制限酵素を用いた、ルーチン作業で行うことができる。もし、簡便な制限フランキング部位が使用可能であるならば、上記方法は、サイトを含まないフランキング領域の結合にのみ用いる。
【0032】
一旦自然発生DNA又は、合成DNAがクローン化されると、変異位置に隣接している制限部位が同じ起源の制限酵素を用いて消化され、エンド末端に相補的なオリゴヌクレオチドの複数のカセットが、遺伝子の中に結合される。変異誘発はこの方法によって簡素化される、なぜならば、オリゴヌクレオチドの全ては、同じ制限部位を有するように合成することができ、該制限部位をつくるための合成リンカーが必要ないからである。
【0033】
本明細書で用いている「対応する」とは、タンパク質またはペプチド内に列挙された位置にある各残基、あるいはタンパク質またはペプチド内に列挙された各残基と類似、相同もしくは同等である残基を意味する。
【0034】
本明細書で用いる「対応する領域」の語は、通常、関連タンパク質又は親タンパク質中の類似する位置を言う。
【0035】
「コードしている核酸分子」、「コードしている核酸配列」、「コードしているDNA配列」、及び「コードしているDNA」の語は、デオキシリボ核酸の鎖に沿ったデオキシリボブクレオチドの配置又は配列を意味する。これらのデオキシリボヌクレオチオドの配置はポリペプチド(タンパク質)に沿ったアミノ酸の配列を決定する。従って、DNA配列はアミノ酸配列をコードする。
【0036】
本明細書で用いる「野生型」及び「天然の」タンパク質は、自然界において通常見られるタンパク質である。本明細書にて、互換的に用いる、「野生型配列」及び「野生型遺伝子」の語は、宿主細胞内で、天然に、または、自然発生的に生じる配列を言う。いくつかの態様において、野生型配列は、タンパク質工学的手法により利用されるタンパク質の開始点となる所望の配列を言う。この自然発生(すなわち、前駆体)タンパク質をエンコードしている遺伝子は、当該技術分野の当業者に既知の方法に従って得ることができる。この方法は、通常、所望のタンパク質の領域をエンコードする成熟配列を有するラベルプローブの合成、該タンパク質を発現している有機体の遺伝子ライブラリーの作成、及び、対象とする遺伝子に対するライブラリーのスクリーニングを含む。陽性ハイブリダイズクローンはその後、マッピングされ、配列決定される。
【0037】
本明細書で用いる「組換えDNA分子」の語は、分子生物学的手法によって、互いに結合されたDNAセグメントを含むDNA分子を言う。
【0038】
「組換えオリゴヌクレオチド」の語は、ポリヌクレオチド配列の制限酵素消化により生成された2つ以上のオリゴヌクレオチドのリゲーション、オリゴヌクレオチドの合成(例えば、プライマー又はオリゴヌクレオチドの合成)等を含むがこれらに限定されない分子生物学的手法を用いて生成されたオリゴヌクレオチドを意味する。
【0039】
本明細書で用いる「等しい残基」の語は、特定のアミノ酸残基を共有するタンパク質を言う。例えば、等しい残基は、X線結晶化学によって同定される三次構造を有するあるタンパク質(例えばINF−β)の三次構造のホモロジーレベルを検出することによって同定される。等しい残基は、前駆体タンパク質の特定のアミノ酸残基の2個以上の主鎖原子の原子座標(N対N、CA対CA、C対CおよびO対O)が位置合わせ後に0.13nm、好ましくは0.1nm以内であるものと定義される。位置合わせは、対象とする非水素タンパク質原子の原子座標について最大の重複を生じるように最良のモデルが配向、配置された後に達成される。この最良のモデルは、結晶学及びタンパク質の特徴付け/解析の分野において当業者に知られている方法を用いて検出され、利用できる最高の解像度において回折実験データの最低のRファクターが得られる結晶学的なモデルである。
【0040】
本明細書で用いる「調節エレメント」の語は、核酸配列の発現のいくつかの側面を調節する遺伝的エレメントを言う。例えば、プロモーターは、作動可能に結合しているコード領域の転写の開始を促進する調節エレメントである。更なる調節エレメントは、スプライシングシグナル、ポリアデニレーションシグナル及びターミネーションシグナルを含む。
【0041】
本発明で用いる「宿主細胞」の語は、発現ベクター又は所望の遺伝子を含む原核又は真核宿主細胞である。宿主細胞は組換えDNA技術を用いて構築されたベクターで形質転換、又は、トランスフェクションされる。そのような形質転換された宿主細胞はタンパク質変異体をコードする複製ベクター又は所望のタンパク質を発現する複製ベクターのいずれかである。このような変異タンパク質のプレ−又はプレプロ型をエンコードするベクターの場合、発現したときに宿主細胞培地の中で選択される。
【0042】
目的の核酸配列を細胞内へ挿入するという文脈上用いられる「導入する」の語は、形質転換、形質導入、又は、形質感染の意味を有する。形質転換の意味は、プロトプラスト形質転換、塩化カルシウム沈降法、電気穿孔法、及び本技術分野で既知の方法を含む(Chang and Cohen (1979) Mol.Gen.Genet.168: 111−115;Smith et al., (1986)Appl.and Env.Microbiol.51:634;及びFerrari et al.,による寄稿(1989) Genetics, pages 57−72 in Bacillus ed. C. Harwood, Plenum Publishing Corporation参照のこと)。
【0043】
「プロモーター/エンハンサー」とは、プロモーターとエンハンサーの両方の機能を提供することができる配列を含むDNAセグメントを言う(例えば、レトロウイルスの長い末端反復配列はプロモーターとエンハンサーの機能を含んでいる)。エンハンサー/プロモーターは、「内性」または、「外因性」あるいは、「非相同」である。内性エンハンサー/プロモーターは、染色体内で与えられた遺伝子と自然に結合している。外因性(非相同の)エンハンサー/プロモーターは、遺伝子操作の手段(すなわち、分子生物学的技術)によって、遺伝子に並列配置されたものである。
【0044】
発現ベクター上の「スプライシングシグナル」の存在は、組み替えられた転写の発現のレベルを高める。スプライシングシグナルは、一次RNA転写からイントロンの除去を仲介するものであり、スプライスドナー及びアクセプター部位を含む(Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press,New York [1989], pp.16.7−16.8)。通常用いられるスプライスドナー及びアクセプター部位はSV40の16SRNA由来のスプライスジャンクションである。
【0045】
「安定な形質感染」又は「安定な形質導入」の語は、形質転換させる細胞の遺伝子に、外来DNAを導入し、組み込むことを言う。「安定した形質感染体」の語は、形質転換される細胞の染色体内へ、安定して組み込まれた外来あるいは外因性のDNAを有する細胞を言う。
【0046】
本明細書で用いる「選択マーカー」または、「選択遺伝子プロダクト」の語は、選択マーカーが発現されたところで、細胞の抗生物質または薬物体制を確定する酵素活性をエンコードしている遺伝子の使用を言う。
【0047】
「増幅」はテンプレート特異性に関する核酸複製の特殊なケースである。これは非特異性テンプレート複製(すなわち、テンプレート依存性であるが特定テンプレートに依存しない複製)と対比される。テンプレート特異性は複製の正確さ(すなわち、適正なポリヌクレオチド配列の合成)及びヌクレオチド(リボ−またはデオキシリボ−)特異性とはここでは区別される。テンプレート特異性は「標的」配列に対する特異性に関して説明されることが多い。標的配列は、それらがその他の核酸から選別するために探されるという意味において「標的」である。増幅技術はこの選別を第一に考えて発達してきた。
【0048】
「増幅」はテンプレート特異性に関する核酸複製の特殊なケースである。これは非特異性テンプレート複製(すなわち、テンプレート依存性であるが特定テンプレートに依存しない複製)と対比される。テンプレート特異性は複製の忠実度(すなわち、適正なポリヌクレオチド配列の合成)及びヌクレオチド(リボ−またはデオキシリボ−)特異性とはここでは区別される。テンプレート特異性は「標的「特異性に関して説明されることが多い。標的配列は、それらがその他の核酸から選別するために探されるという意味において「標的」である。増幅技術はこの選別を第一に考えて設計されてきた。
【0049】
本明細書で用いる「増幅可能な核酸」の語は、任意の増幅方法で増幅された核酸を言う。「増幅可能な核酸」は通常「サンプルテンプレート」を含む。
【0050】
本明細書で用いる「サンプルテンプレート」の語は、「標的」(下記に定義)の存在について分析されるサンプルから生じる核酸をいう。一方、「バックグラウンドテンプレート」はサンプルテンプレート以外の核酸に関して用いられ、サンプル内に存在していてもいなくてもよい。バックグラウンドテンプレートはほとんどの場合、不慮もものである。前駆体からの影響を受けているか、または、サンプルから精製すべき核酸汚染物質の存在によるものである。例えば、検出すべき微生物以外の生物由来の核酸は試験サンプル内でバックグラウンドとして存在し得る。
【0051】
本明細書で用いる、「プライマー」の語は、精製制限消化などにおいて自然に生じるまたは合成的に生成されるオリゴヌクレオチドをいい、核酸鎖に相補的なプライマー伸長生成物の合成が導入される条件下に置かれた場合(すなわち、ヌクレオチド及びDNAポリメラーゼなどの誘発剤の存在下、及び適した温度及びpHで)、合成開始点として作用するものを言う。当該プライマーは好ましくは増幅効率を最大にする1本鎖であるが、2本鎖であってもよい。2本鎖の場合、プライマーは伸長生成物の準備のために用いる前にそのストランドを分離処理する。好ましくは、プライマーはオリゴデオキシリボヌクレオチドである。プライマーは誘発剤の存在下、伸長生成物の合成開始のため十分に長くなければならない。プライマーの正確な長さは、誘発温度、プライマーの供給源及び使用する方法など多くの因子に左右される。
【0052】
本明細書で用いる「プローブ」の語は、精製制限消化などにおいて自然に生じる、または合成、組換えまたはPCR増幅により生成されるオリゴヌクレオチド(すなわちヌクレオチド配列)をいい、別の目的オリゴヌクレオチドにハイブリダイズできるものである。プローブは1本鎖または2本鎖である。プローブは特定遺伝子配列の検出、同定及び単離に有用である。本発明で使用されるいかなるプローブも任意の「リポーター分子」で標識するので、任意の検出システムにおいて検出可能であり、限定されないが、酵素(例えば、ELISA及び酵素ベースの組織化学的分析)、蛍光、放射性及び発光性システムなどがある。本発明はいかなる特定の検出システムまたは標識にも限定されない。
【0053】
本明細書で用いる「標的」の語はポリメラーゼ連鎖反応に関して用いる場合、ポリメラーゼ連鎖反応に用いるプライマーが結合する核酸領域を言う。従って、「標的」は他の核酸配列から選別された所定の核酸を言う。「断片」は標的配列内の核酸領域として定義される。
【0054】
本明細書で用いる「ポリメラーゼ連鎖反応」(「PCR」)の語はここに引用するU.S.Patent Nos.4,683,19、4,683,202、及び4,965,188の方法を言い、クローニングまたは精製することなくゲノムDNAの混合物における標的配列の断片濃度を増加させる方法を含む。標的配列を増幅させるこの方法は当業者によく知られている。
【0055】
本明細書で用いる「制限エンドヌクレアーゼ」及び「制限酵素」の語はそれぞれ特定ヌクレオチド配列で、またはその近くで2本鎖DNAを切断する、細菌性酵素をいう。
【0056】
本明細書において、「自動食器洗浄器用組成物」及び「自動食器洗浄洗剤組成物」の語は、食器、カトラリー等の洗浄のための洗浄媒体中に用いられることを意図した混合物を意味する。本発明を特定の洗浄用製剤又は組成物に限定することは意図しない。即ち、本発明の少なくとも1つのプロテアーゼを含む洗剤に加えて、この語は、界面活性剤、移行剤、加水分解酵素、酸化還元酵素、ビルダー、漂白剤、漂白活性剤、青味剤、及び蛍光染料、ケーキ抑制剤、酵素活性剤、抗酸化剤、可溶化剤を含む洗剤も包含する。この語は、下流及び液体の形態を含むがこれらに限定されない、カトラリーを含む食器を洗浄するための組成物全ての形態を包含する。本発明を特定の洗剤の形態に限定することは意図しない。即ち、本発明は陶器、プラスチック、金属、陶磁器、ガラス、アクリル等を含むがこれらに限定されない任意の物質から製造された食器(例えば、皿、カップ、グラス、ボウル等を含むがこれらに限定されない)及びカトラリー(例えば、スプーン、ナイフ、フォーク、給仕道具等を含むがこれらに限定されない)の洗浄において用いられる。「食器」の語は食器及びカトラリーの両方を含む。
【0057】
「関連する洗浄条件」の語は、実際に食器洗剤の市場区分における家庭用に用いられている、条件、特に洗浄音素、時間、洗浄器、泡濃度、洗剤及び水の硬度のタイプを意味する。
【0058】
「改善された洗浄性能」の語は関連する洗浄条件下で食器から汚れを除去する点においてより好適な結果が得られること、又は対応する野生型プロモーターよりも重量ベースでより少ない変異プロテアーゼが同じ結果をだすために必要になることを意味する。
【0059】
プロテアーゼの洗浄性能は適切な条件下で、特定の代表的な汚れを除去する能力により測定される。これらのシステムにおいて、洗剤組成物、泡抑制剤、水の高度、洗浄器、時間、pH、及び/又は温度等の因子を特定のマーケットセグメントにおける家庭用製品のための条件に限定されるように、制御することができる。本明細書で説明する試験的な製品試験システムはDNA変異誘発を通じて修飾されたタンパク質分解酵素を用いる家庭用製品の代表的例である。従って、本明細書で提供される方法は大量の異なる酵素の試験及び特定の製品に特に好適な酵素の選択を促進する。このような特定の用途のための「テイラーメイド」酵素は用意に選択することができる。
【0060】
「洗浄活性」の語は本発明のタンパク質分解、加水分解、洗浄又は他のプロセスの間に優勢である条件下において、プロテアーゼにより達成される洗浄性能を意味する。幾つかの態様において、洗浄性能は汚れを標準的な洗浄条件下に曝した後に、各種クロマトグラフ、分光光度計、又は他の定量可能な方法により決定された、例えば、ミルク又は卵のタンパク質等の酵素に敏感な汚れに関する各種洗浄評価方法により決定することができる。例示的なアッセイは、実施例に記載のもののほかに、WO99/34011及びU.S. Patent No.6,605,458に記載の方法を含むがこれらに限定されない。これらの文献を参照により本明細書に援用する。
【0061】
プロテアーゼの「洗浄に効果的な量」の語は、特定の洗浄条件において、所望の酵素活性を達成することが出来る前述のプロテアーゼの量を意味する。そのような効果的な量は当業者が容易に決定することができ、用いられるプロテアーゼ、洗浄製品、洗剤組成物、及び液体又は乾燥(例えば、顆粒)組成物のいずれか必要とされるか等の多くの因子に基づいている。
【0062】
本明細書で用いる「洗浄補助物質」の語は、所望の洗浄用組成物及び特定のタイプの形状のために選択された任意の液体、固形、又は気体物質を意味し、組成物中に用いられるプロテアーゼ酵素と相性の良い物質を意味する。幾つかの態様において、顆粒組成物は「コンパクト」タイプであり、液体組成物は「濃縮」形態である。
【0063】
本明細書において、「スブチリシン」の語は、MEROPS−ペプチドデータベース(Rawlings et al.,MEROPS:the Peptidase database、Nucleic Acid Res.,34Database issue, D270−272,2006)に記載のようなS8セリンプロテアーゼファミリーの任意のメンバーを意味する。
【0064】
変異プロテアーゼの生成のために好適な宿主細胞株はプロテアーゼを発現することができる改質転換可能な微生物を含む。特に、実質的に同じ性質を有するプロテアーゼの由来と同じ種又は属の、バチルス株、特にアルカリ性バチルス株、最も好ましくは新規なバチルス株であるPB92又はこれらの変異体である宿主株が好ましい。バチルススブチリス、バチルスリケニフォルミス、及びバチルスアミロリケファシエンス株が好適な株である。他の好適な宿主株は変異遺伝子で形質転換する前に細胞外タンパク質分解酵素の生成を行わない他の株を含む。特に好適なものは、新規なバチルスPB92の不完全誘導体等のバチルス株であると定義されたものである。プロテアーゼの発現は選択された宿主有機体で昨日するシグナルの発現を用いて得ることができる。シグナルの発現はプロテアーゼ遺伝子の転写及び翻訳を調節しているDNAの配列を含む。好適なベクターは染選択された宿主株において有意に高いコピー数を複製し、色体取り込みにより、宿主系統内において、プロテアーゼ遺伝子を維持することができるものである。
【0065】
本発明の変異タンパク質分解酵素は適した発酵条件下における培養、1つ以上の所望の変異タンパク質分解遺伝子、及び生成された酵素の回収により調製することができる。好ましくは、この発現されるプロテアーゼは培地内で、グラム陰性バクテリア宿主株の場合、ペルプラスム種で選択され、それらの回収を促進する。選択のためには、好適なアミノ停止シグナル配列が用いられる。好ましくはこのシグナル配列は、選択された宿主株内で機能するならば、オリジナル遺伝子によりコードされるシグナル配列である。
【0066】
即ち、本発明は自動織機洗浄器組成物及び/又は洗浄工程に用いられる変異セリンプロテアーゼ(例えば、S10M+G118V+S128L+P129Q+S130Aを有するPB92:BPNナンバリングを使用)を提供する。
【0067】
洗剤組成物
別に定義しない限り、本明細書で提供される全ての成分又は組成物のレベルがこの成分又は組成物生物の活性レベルであり、例えば、市販の原料中に存在質得る溶媒の残渣又は副生成物等の不純物を排除する。全てのパーセンテージ及び割合は別途定義しない限り、重量に基づく。全てのパーセンテージ及び割合は別に定義しない限り、組成物に基づいて計算される。例示的な洗剤組成物において、酵素レベルは、組成物の総重量に対する精製酵素の割合で表され、別に定義しない限りこの洗剤の成分は組成打つの重量に対するパーセンテージで示される。
【0068】
本明細書において、幾つかの態様において、本発明の洗剤組成物は更に界面活性剤、ビルダー、漂白剤、漂白活性剤、漂白酵素、他の酵素、酵素安定システム、キレート、白化剤、汚れ放出ポリマー、ダイ、移行剤、泡抑制剤、香料、色素、充填剤、塩、ヒドロトロプス、光学活性剤、蛍光剤、コンディショナー、加水分解界面活性剤、保存料、抗酸化剤、縮み抑制剤、しわ抑制剤、殺菌剤、抗菌剤、カラースペックル、シルバーケア、抗黄ばみ及び/又は抗腐食剤、アルカリソース、可溶化剤、担体、プロセス剤、顔料、及びpH抑制剤を含む。(例えば、U.S.Patent Nos.6,610,642、6,605,458、5,705,464、5,710,115、5,698,504、5,695,679、5,686,014、及び5,646,101参照。これらの文献を参照により本明細書に援用する。)特定の洗剤組成物の例を以下で説明する。洗剤組成物において、洗浄補助剤が本発明の変異プロテアーゼと相性がよくない態様において、2つの成分の組み合わせが好適になるまで、洗浄補助剤と分離されたプロテアーゼ(即ち、他の成分と接触していない)を維持する好適な方法を用いる。そのような分離方法は当業者に知られている任意の方法を含む(例えば、ゲルキャップ、カプセル化、タブレット、物理的分離等)。
【0069】
本発明のセリンプロテアーゼは各種自動織機洗浄キシレン組成物の製剤化に有用である。本発明の酵素は顆粒及び液体組成物に用いることができる。
【0070】
本発明の自動織機洗浄器用組成物は本発明において提供されるようなセリンプロテアーゼ酵素の効果的な量を必要とする。幾つかの態様において、酵素の必要とされる量は、本発明のセリンプロテアーゼの1つ以上の添加により達成される。通常、本発明の洗剤組成物は少なくとも0.0001重量%、約0.0001乃至約10、約0.001乃至約1、又は約0.01乃至約0.1重量%の本発明により提供される少なくとも1つのセリンプロテアーゼを含む。
【0071】
幾つかの好適な態様において、本明細書において提供される食器洗剤組成物は、水性洗浄操作で使用される間に、その洗浄水のpHが約5.0乃至約11.5、あるいは約6.0乃至約10.5になるように製剤化される。幾つかの好適な態様において、液体製剤は約3.0乃至約9.0のpHになるように製剤化される。代替的な態様において、この製剤は約3乃至約5のpHを有する。推奨されるレベルへpHを調整する技術は緩衝液、アルカリ、酸等を含み、当業者に知られている。
【0072】
幾つかの特に好適な態様において、少なくとも1つのセリンプロテアーゼが顆粒組成物又は液体に用いられたときに、このセリンプロテアーゼは貯蔵の間に顆粒組成物の他の成分から酵素を保護するために、カプセル化された粒子の形態になっている。更に、カプセル化は洗浄工程の間のせリンプロテアーゼの利用を制御する手段も提供し、セリンプロテアーゼの性能を向上させる。本発明のカプセル化されたセリンプロテアーゼは各種セッティングに用いることができる。このセリンプロテアーゼは当業者に知られている任意の好適なカプセル化材料及び方法を用いてカプセル化することができる。
【0073】
幾つかの好適な態様において、カプセル化材料は通常セリンプロテアーゼ酵素の少なくとも一部分をカプセル化する。幾つかの態様において、このカプセル化物質は水溶性及び/又は水分散性である。幾つかの追加的な態様において、このカプセル化材料は0℃以上のガラス転移温度を有する。(ガラス転移温度に関しての詳細は例えば、WO97/11151、特に6ページ、25行目、乃至7ページ、2行目参照。)
【0074】
幾つか態様において、カプセル化された物質は炭水化物、天然又は合成ゴム、キチン及びキトサン、セルロース及びセルラース誘導体、ケイ酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、パラフィンワックス、及びこれらの組み合わせからなる群より選択される。カプセル化物質は炭水化物である幾つかの態様において、炭水化物はモノサッカライド、オリゴサッカライド、ポリサッカライド、及びこれらの組み合わせからなる群より選択される。幾つかの好適な態様において、カプセル化された物質はデンプンである。(幾つかの例示的なデンプンについて、例えば、EP 0 922 499;及びUS Patent Nos.4,977,252、5,354,559、5,935,826参照)。
【0075】
追加的な態様において、カプセル化された物質はプラスチックである。(熱可塑性プラスチック、アクリルニトリル、メタクリルニトリル、ポリアクリルニトリル、ポリメタクリルニトリル、及びこれらの混合物、EXPANCEL(商標)(Casco Products, Stockholm, Sweden)、PM 6545、PM 6550、PM 7220、PM 7228、EXTENDOSPHERES(商標)、及びQ−CEL(商標) (PQ Corp., Valley Forge, PA)、LUXSIL(商標)及びSPHERICELl(商標)(Potters Industries, Inc., Carlstadt, NJ and Valley Forge,PAを含むがこれらに限定されない市販のミクロスフェアも用いることができる。)
【0076】
従って、幾つかの態様において、本発明は少なくとも1つの洗浄条件のセットにおいて驚くべき洗浄性能を示す変異プロテアーゼを提供する。(例えば、水温度、水高度、及び/又は洗剤濃度)。幾つかの態様において、本発明の変異プロテアーゼは洗浄性能において他のスブチリシンプロテアーゼに匹敵する。幾つかの態様において、本発明の変異プロテアーゼは近年商業的に使用されているスブチリシンプロテアーゼと比較して高い洗浄性能を示す。従って、本発明のいくつかの好適な態様において、この変異プロテアーゼは高められた酸化安定性、高められた熱安定性、及び/又は高められた洗浄安定性を示す。更に、本発明の変異プロテアーゼは界面活性剤を含まない洗剤組成物中に、単独又はビルダー及び安定剤と組み合わせて用いることができる。
【0077】
本発明の幾つかの態様において、洗剤組成物は少なくとも1つの本発明の変異プロテアーゼを組成物の重量に基づいて、約0.00001%乃至約10%のレベルで含み、他に組成物の重量に基づいて、例えば、約99.999%乃至約90.0%の補助物質を含む。本発明の他の側面において、本発明の洗剤組成物は、少なくとも1つの本発明の変異プロテアーゼを組成物の重量に基づいて約0.0001%乃至約10%、約0.001%乃至約5%、約0.001%乃至約2%、約0.005%乃至約0.5%、含み、他は約99.9999%乃至約90.0%、約99.999%乃至約98%、約99.995%乃至約99.5%の洗浄補助物質を含む。
【0078】
本明細書において更に説明するように、幾つかの態様において、好適な洗剤組成物は本発明の変異プロテアーゼに加えて、洗浄性能において利益を提供する1つ以上の追加的な酵素又は酵素誘導体を含む。そのような酵素は他のプロテアーゼ、リパーゼ、クチナーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、ペルオキシダーゼ、(例えば、ラッカーゼ)、及び/又はマンナナーゼを含むがこれらに限定されない。
【0079】
自動食器洗浄器用洗剤組成物の製造及び使用
幾つかの好適な態様において、本発明の自動食器洗浄器用洗剤組成物は任意の好適な形態に製剤化でき、製剤化のために選択された任意の好適な方法で調製することができる。(幾つかの非限定的な例について、US Patent Nos. 5,879,584、5,691,297、5,574,005、5,569,645、5,565,422、5,516,448、5,489,392、及び5,486,303参照。)低pHの自動食器洗浄器用洗剤組成物が好ましい場合、このような組成物のpHはHClのような酸性物質の添加により調整することができる。
【0080】
補助物質
本発明の目的には必須ではないが、幾つかの態様において、本明細書に記載の非限定的に列挙されている補助剤は本発明の自動食器洗浄器用洗剤に用いるのに好適である。即ち、幾つかの態様において、補助剤は本発明の自動食器洗浄器用洗剤に含まれる。幾つかの態様において、補助物質は洗浄性能を補助及び/又は向上させ、洗浄される基質を処理し、及び/又は組成物の審美性を修飾する。(例えば、香料、色素、ダイ等)これらの追加的な化合物の正確な性質及びこれらの含有レベルは組成物の物理的形態及び/又は使用される自動食器洗浄器用洗剤組成物の特定の性質に依存している。好適な補助物質は界面活性剤、ビルダー、キレート剤、ダイ移行抑制剤、付着剤、追加的な酵素、及び/又は酵素安定剤、触媒物質、漂白活性剤、漂白向上剤、過酸化水素、過酸化水素の源、機能性過酸、ポリマー分散剤、クレイ汚れ除去/再付着防止剤、白化剤、泡抑制剤、ダイ、香料、構造柔軟剤、柔軟剤、担体、ヒドロトロプス、プロセス剤及び/又は顔料を含む。本明細書に記載のものに加えて、追加的な例は当業者に知られている(例えば、U.S.Patent Nos. 5,576,282、6,306,812、及び6,326,348)。幾つかの態様において、予め決められた補助成分は本発明の自動食器洗浄器用洗剤組成物の本発明のプロテアーゼ以外の成分を構成している。
【0081】
界面活性剤
幾つかの態様において、本発明の自動食器洗浄器用洗剤は少なくとも1つの界面活性剤又は界面活性剤システムを含む。この界面活性剤は非イオン性界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、準極性非イオン性界面活性剤、及びこれらの混合物から選択される。低pH洗剤組成物の態様において(例えば、組成物のpHが約3乃至約5)、この組成物は通常アルキルエトキシル化硫酸塩を含まない。そのような界面活性剤は酸性物質を含む組成物により加水分解される。幾つかの態様において、界面活性剤は約0.1%乃至約60%の範囲でふくまれ、代替的な態様において、このレベルは約1%乃至約50%、他の更なる態様において、このレベルは約5%乃至約40%である。
【0082】
ビルダー
幾つかの態様において、本発明の自動食器洗浄器用洗剤は1つ以上の洗剤ビルダー又はビルダーシステムを含む。少なくとも1つのビルダーを含む幾つかの態様において、この自動食器洗浄器用洗剤は自動食器洗浄器用洗剤の重量に基づいて、少なくとも約加えて1%、約3%乃至約60%、又は約5%乃至約40%のビルダーを含む。ビルダーはアルカリ金属、リン酸アンモニウム、及びリン酸のアルカノアンモニウム塩、アルカリ金属シリケート、アルカリ土類金属炭素、アルカリ金属炭素、アルミノシリケート、ポリカルボキシレート化合物、エーテルヒドロキシポリカルボキシレート、無水マレイン酸とエチレン又はビニルメチルエーテルとのコポリマー、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン−2,4,6−トリスルホン酸、及びカルボキシメチルオキシスクシニル酸、各種アルカリ金属、エチレンジアミントリ酢酸、及びニトリルトリ酢酸等のポリ酢酸のアンモニウム及び置換されたアンモニウム塩、メリト酸、スクシニル酸、クエン酸、オキシジスクシニル酸、ポリマレイン酸、ベンゼン1,3,5−トリカルボン酸等のポリカルボン酸塩、並びにこれらの可溶化塩を含むがこれらに限定されない。即ち、任意の好適なビルダーを本発明の各種態様に用いることができる。
【0083】
幾つかの態様において、ビルダーはクエン酸塩及びリン酸塩等(例えば、サトリウム三リン酸及びナトリウム三リン酸六水和物、カリウム三リン酸、及び混合されたナトリウム及びカリウム三リン酸等)の水溶性硬イオン複合体(例えば、封鎖ビルダー)を形成する。当業者に知られているものを含む任意の好適なビルダーを本発明に用いることができる(例えば、EP2100949)。
【0084】
キレート剤
幾つかの態様において、本発明の自動食器洗浄洗剤は少なくとも1つのキレート剤を含む。好適なキレート剤は銅、鉄、及び/又はマンガンキレート剤、並びにこれらの混合物を含む。少なくとも1つのキレート剤を用いる態様において、本発明の自動食器洗浄器用洗剤はこの自動食器洗浄器用洗剤の重量に基づいて、約0.1%乃至約15%、更には約3.0%乃至約10%、のキレート剤を含む。
【0085】
再付着防止剤
本明細書において、再付着防止剤が本発明の幾つかの態様に用いられる。幾つかの好適な態様において、非イオン界面活性剤が用いられる。例えば、自動食器洗浄器の態様において、非イオン界面活性剤は目的物の表面を修飾するために用いられ、特に汚れに関して、膜形成及びスポット形成を避け、輝きを増すために用いられる。これらの非イオン界面活性剤は汚れの再付着を防止するためにも用いる。幾つかの好適な態様において、再付着防止剤は当業者に知られている非イオン界面活性剤である。(例えば、EP2100949参照。)
【0086】
分散剤
幾つかの態様において、本発明の自動食器洗浄器用洗剤は少なくとも1つの分散を含む。好適な水溶性有機物質は、ホモ又はコポリマー酸又はそれらの塩を含むがこれらに限定されない。ポリカルボン酸はお互いに離れた少なくとも2つのカルボキシルラジカルを含み、炭素原子は2を超えない。
【0087】
酵素
幾つかの態様において、本発明の自動食器洗浄器用洗剤は少なくとも1つの追加的な酵素を含む。これらの酵素は食器洗浄のための洗浄性能を向上させる。好適な酵素の例はヘミセルラーゼ、セルラーゼ、ペルオキシダーゼ、プロテアーゼ、キシラナーゼ、リパーゼ、フォスフォリパーゼ、エステラーゼ、ペルヒドロラーゼ、クチナーゼ、ペクチナーゼ、ペクチンリアーゼ、マンナナーゼ、ケラチナーゼ、リダクターゼ、フォスフォオキシダーゼ、リポキシダーゼ、リグニナーゼ、プルラナーゼ、タンナーゼ、ペントサナーゼ、マラナーゼ、βグルカナーゼ、アラビノシダーゼ、ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼ、ラッカーゼ、及びアミラーゼ、並びにこれらの混合物を含むがこれらに限定されない。幾つかの態様において、プロテアーゼ、リパーゼ、クチナーゼ、及び/又はセルラーゼ並びにアミラーゼ等の従来用いられている酵素の組み合わせを含む酵素の組み合わせを用いる。
【0088】
他の好適なプロテアーゼも本発明に用いることができる。好適なプロテアーゼは動物、野菜、又は微生物のものを含む。幾つかの特定の好適な態様において、微生物プロテアーゼを用いる。幾つかの態様において、化学的又は遺伝的に修飾された変異体が含まれる。幾つかの態様において、このプロテアーゼはセリンプロテアーゼ、好ましくはアルカリセリンプロテアーゼ又はトリプシン用プロテアーゼである。アルカリプロテアーゼの例としては、スブチリシン、特にバチルス(Bacillus)由来のもの(例えば、スブチリシン、レンタス、アミロリケファシエンス、スブチリシンカールスバッド、スブチリシン309、スブチリシン147、及びスブチリシン168)を含む。追加的な例はU.S. Pat. Nos. RE 34,606、5,955,340、5,700,676、6,312,936、及び6,482,62に記載の変異プロテアーゼを含む。これらの文献を参照により本明細書に援用する。追加的なプロテアーゼの例としては、トリプシン(例えば、トリ又はウシ由来)及びWO89/06270に記載のフサリウムプロテアーゼを含むがこれらに限定されない。好適な市販のプロテアーゼ酵素はMAXATASE(商標), MAXACAL(商標)、MAXAPEM(商標)、OPTICLEAN(商標)、OPTIMASE(商標)、PROPERASE(商標)、PURAFECT(商標)、PURAFECT(商標)OXP、PURAMAX(商標)、EXCELLASE(商標)、及びPURAFAST(商標)(ジェネンコー);ALCALASE(商標)、SAVINASE(商標)、 PRIMASE(商標)、DURAZYM(商標)、POLARZYME(商標)、OVOZYME(商標)、LIQUANASE(商標)、NEUTRASE(商標)、KANNASE(商標)、RELASE(商標)、及びESPERASE(商標)、(Novozymes); 及びBLAP(商標)(Henkel Kommanditgesellschaft auf Aktien, Duesseldorf, Germany)がある。各種プロテアーゼはWO95/23221、WO 92/21760、及びU.S.Pat.Publ.No.2008/0090747、U.S.Pat.Nos.5,801,039、5,340,735、5,500,364、5,855,625、US RE 34,606、5,955,340、5,700,676、6,312,936、及び6,482,628並びに他の特許に記載されている。幾つかの更なる態様において、WO07/044993に記載の天然メタロプロテアーゼを含むがこれらに限定されないメタロプロテアーゼを本発明に用いることができる。
【0089】
更に、任意の好適なリパーゼを本発明に用いることができる。好適なリパーゼはバクテリア又は糸状菌由来のものを含むがこれらに限定されない。化学的又は遺伝的に修飾された変異体が本発明に包含される。有用なリパーゼの例としては、ウミコーララングイノーサ(Humicola lanuginosa)リパーゼ(例えば、EP 258 068, EP 305 216,及びU.S. Pat. No. 6,939,702参照)、リゾムコールミエヘイ(Rhizomucor miehei)リパーゼ(例えば、EP 238 023参照)、カンジダアンタルクチア(C.antarctica)リパーゼ(例えば、カンジダアンタルクチア(C.antarctica)リパーゼA又はB;例えば、 EP 214 761参照)等のカンジダ(Candida)リパーゼ、シュードモナスアルカリゲネス(P.alcaligenes)及びシュードモナスプレウドアルカリゲネス(P.pseudoalcaligenes)リパーゼ(例えば、EP 218 272参照)、シュードモナスセパチア(P.cepacia)リパーゼ(例えば、EP 331 376参照)、シュードモナススツゼリ(P.stutzeri)リパーゼ(例えば、 GB 1,372,034参照)、シュードモナスフルオレセンス(P.fluorescens)リパーゼ等のシュードモナス(Pseudomonas)リパーゼ、バチルス(Bacillus)リパーゼ(例えば、バチルススブチリス(B.subtilis)リパーゼ[Dartois et al., Biochem. Biophys. Acta 1131:253−260[1993]];バチルスステアロセレモフィリス(B.stearothermophilus)リパーゼ[例えば、JP 64/744992参照]; 及び バチルスプミルス(B.pumilus)リパーゼ[例えば、WO91/16422参照])を含むがこれらに限定されない。
【0090】
更に、ペニシリウムカメンバーチ(Penicillium camembertii)リパーゼ(Yamaguchi et al., Gene 103:61−67[1991]参照)、ゲオトリカムカンジダ(Geotricum candidum)リパーゼ(Schimada et al., J. Biochem., 106:383−388[1989]参照)、及びリゾプスデルマー(R.delemar)リパーゼ(Hass et al., Gene 109:117−113[1991]参照)、リゾプスニベウス(R. niveus)リパーゼ(Kugimiya et al., Biosci. Biotech. Biochem. 56:716−719 [1992])、及びリゾプスオリザエ(R.oryzae)リパーゼ等の各種リゾプス(Rhizopus)リパーゼを含むがこれらに限定されない多くのクローン化されたリパーゼを本発明に用いることができる。
【0091】
シュードモナスメンドシア(Pseudomonas mendocina)(WO 88/09367参照)由来クチナーゼ、及びフサリウムソラニピシ(Fusarium solanipisi)(WO 90/09446参照)由来クチナーゼを含むがこれらに限定されないクチナーゼ等の他のタイプの脂肪分解酵素も本発明の幾つかの態様に用いることができる。
【0092】
追加的な好適なリパーゼはM1 LIPASE(商標)、LUMA FAST(商標)、及びLIPOMAX(商標)(ジェネンコー);LIPOLASE(商標)及びLIPOLASE(商標)ULTRA(Novozymes);及びLIPASE P(商標)「アマノ」(Amano Pharmaceutical Co. Ltd., Japan)として販売されているものを含む。
【0093】
本発明の幾つかの態様において、本発明の自動食器洗浄器用洗剤は、組成物の重量に基づいて、約0.00001%乃至約10%、のレベルで追加的なリパーゼを含み、他に洗浄補助物質を含む。本発明の他の側面において、本発明の自動食器洗浄器用洗剤は組成物の重量に基づいて約0.0001%乃至約10%、約0.001%乃至約5%、約0.001%乃至約2%、約0.005%乃至約0.5%のレベルでリパーゼを含む。
【0094】
アルカリ溶液に用いるのに好適な任意のアミラーゼも本発明の幾つかの態様に用いることができる。好適なアミラーゼはバクテリア又は糸状菌由来のものを含むがこれらに限定されない。化学的又は遺伝的に修飾された変異体も幾つかの態様に含まれる。本発明に用いることができるアミラーゼはバチルスリケニフォルミス(B.licheniformis)(例えば、GB 1,296,839参照)由来α−アミラーゼを含むがこれらに限定されない。本発明に用いることができる商業的に利用されているアミラーゼはDURAMYL(商標)、TERMAMYL(商標)、FUNGAMYL(商標)、STAINZYME(商標)、STAINZYME PLUS(商標)、STAINZYME ULTRA(商標)、NATALASE(商標)、及びBAN(商標)(Novozymes)、並びにPOWERASE(商標)、RAPIDASE(商標)、及びMAXAMYL(商標)P(Genencor)を含むがこれらに限定されない。
【0095】
本発明の幾つかの態様において、本発明の自動食器洗浄器用洗剤は更に組成物の重量に基づいて約0.00001%乃至約10%のレベルでアミラーゼを含み、他は組成物の重量に基づいて洗浄補助剤を含む。本発明の他の態様において、本発明の自動食器洗浄器用洗剤は組成物の重量に基づいて、約0.0001%乃至約10%、約0.001%乃至約5%、約0.001%乃至約2%、約0.005%乃至約0.5%のレベルでアミラーゼを含む。
【0096】
幾つかの更なる態様において、任意の好適なセルラーゼが本発明の自動食器洗浄器用洗剤に用いることができる。化学的又は遺伝的に修飾された変異体は幾つかの態様に含まれる。好適なセルラーゼはフミコーラインシソレンス(Humicola insolens)セルラーゼ(例えば、U.S.Pat.No.4,435,307参照)を含む。特に、好適なセルラーゼは色の処理に有用なものである(例えば、EP0465257参照)。本発明に用いることができる商業的に利用されているセルラーゼはCELLUZYME(商標)(Novozymes)、及びKAC−500(B)(商標)(花王コーポレーション)を含むがこれらに限定されない。幾つかの態様において、セルラーゼは成熟野生型セルラーゼ又は変異セルラーゼの一部分又はフラグメントとして取り込まれる。ここにおいてN末端の部分は欠失されている(例えば、U.S.Pat.No.5,874,276参照)。幾つかの態様において、本発明の自動食器洗浄器用洗剤は組成物の重量に基づいて約0.00001%乃至約10%のレベルで追加的なセルラーゼを含み、他に洗浄補助物質を含む。本発明の他の側面において、本発明の自動食器洗浄器用洗剤は組成物の重量に基づいて、約0.0001%乃至約10%、約0.001%乃至約5%、約0.001%乃至約2%、約0.005%乃至約5%のレベルでセルラーゼを含む。
【0097】
任意の好適なマンナナーゼを本発明の洗剤組成物に用いることができる。好適なマンナナーゼはバクテリア又は糸状菌由来のものを含むがこれらに限定されない。化学的又は遺伝的に修飾された変異体も幾つかの態様に含まれる。各種マンナナーゼが当業者に知られており、本発明に用いることができる。(例えば、U.S.Pat.No.6,566,114、U.S.Pat.No.6,602,842、及びU.S.Patent No.6,440,991参照。これらの文献を参照により本発明明細書に援用する。)幾つかの態様において、本発明の自動食器洗浄器用洗剤は組成物の重量に基づいて約0.00001%乃至約10%のレベルで追加的なマンナナーゼを含み、他に洗浄補助物質を含む。本発明の他の態様において、本発明の自動食器洗浄器用洗剤は組成物の重量にもとづいて、約0.0001%乃至約10%、約0.001%乃至約5%、約0.001%乃至約2%、約0.005%乃至約0.5%のレベルでマンナナーゼを含む。
【0098】
幾つかの態様において、ペルオキダーゼが過酸化水素マンナナーゼそれらのソースと一緒に(例えば、ペルカルボネート、ペルボレート、又はペルスフホネート)と組み合わせて本発明の組成物に用いることができる。幾つかの代替的な態様において、オキシダーゼは酸素と一緒に用いられる。好適なペルオキシダーゼ/オキシダーゼの例としては、植物、バクテリア、又は糸状菌由来のものを含むがこれらに限定されない。幾つかの態様において、本発明の自動食器洗浄器用洗剤は組成物の重量に基づいて、約0.00001%乃至約10%の追加的なペルオキシダーゼ及び/又はオキシダーゼを含み、他に洗浄補助物質を含む。本発明の他の態様において、本発明の自動食器洗浄器洗剤は組成物の重量に基づいて約0.001%乃至約10%、約0.001%乃至約5%、約0.001乃至約2%、約0.005%乃至約0.5%のペルオキシダーゼ及び/又はオキシダーゼを含む。
【0099】
幾つかの態様において、ペルヒドロラーゼを含むがこれらに限定されない追加的な酵素を用いることができる。(例えば、WO05/056782参照。)更に、幾つかの特定の好適な態様において、前述の酵素の混合物が本発明に含まれ、特に1つ以上の追加的なプロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、マンナナーゼ、及び/又は少なとも1つのセルラーゼが含まれる。即ち、各種プロテアーゼ及び1つ以上の追加的な酵素を各種レベルで約10%までそれぞれ用いることができ、他に洗浄補助剤を含むことができる。洗浄補助剤の特定の選択は、洗浄するアイテム及び食器洗浄器を使用する間の洗浄条件に好適な洗剤組成物の形態を考慮して、当業者が決定することができる。
【0100】
酵素安定剤
本発明の幾つかの態様において、本発明の洗剤組成物に用いる酵素を安定化させる。幾つかの態様において、この酵素安定剤はオリゴサッカライド、ポリサッカライド、及びカルシウム塩等のアルカリ土類金属を含む無機二価金属塩を含む。酵素を安定化するための各種技術を本発明に用いることができる。例えば、幾つかの態様において、本明細書で用いる酵素は組成物中に亜鉛(II)、カルシウム(II)、及び/又はマグネシウム(II)イオン、並びに他の金属イオン(例えば、バナジウム(II)、スカンジウム(II)、鉄(II)、マンガン(II)、アルミニウム(II)、スズ(II)、コバルト(II)、銅(II)、ニッケル(II)及びアキソバナジウム(II))の水溶性ソースを存在させることにより安定化される。それらはイオンを酵素に提供する。塩化物及び硫酸塩も本発明の幾つかの態様に用いることができる。好適なオリゴサッカライソ及びポリサッカライド(例えば、デキストリン)の例は当業者に知られている(例えば、WO07/145964参照)。幾つかの態様において、可逆性プロテアーゼインヒビターも用いることができ、そのようなものとしてホウ酸含有化合物がある(例えば、ホウ酸塩、4−ホルミルフェニルボロン酸)。必要に応じてトリペプチドアルデヒドも更に安定化させるために用いることができる。
【0101】
漂白剤、漂白活性剤、及び漂白触媒
幾つかの態様において、漂白活性剤及び/又は漂白触媒も本発明の組成物中に存在する。幾つかの態様において、本発明の自動食器洗浄器用組成物は無機及び/又は有機漂白化合物の含む。無機漂白剤は過水和物塩(例えば、過ホウ酸塩、過カルボン酸塩、過リン酸塩、過硫酸塩、及び過ケイ酸塩)を含むがこれらに限定されない。幾つかの態様において、無機過水和物塩は追加的な保護物無しで結晶性固形物として含まれる。幾つかの他の態様において、塩がコートされる。当業者に知られている任意の好適な塩を本発明に用いることができる(例えば、EP2100949参照)。
【0102】
幾つかの態様において、漂白活性剤が本発明の発明の組成物中に用いられる。漂白活性剤は通常60℃以下の温度での洗浄中、漂白作用を高めることができる有機過酸前駆体である。本発明に用いるのに好適な漂白活性剤はペルヒドロ化条件下で、好ましくは1乃至約10の炭素数、特に約2乃至約4の炭素数の脂肪族ペルオキシカルボン酸及び/又は任意で置換された過安息香酸を提供する化合物を含む。追加的な漂白活性剤は当業者に知られており、本発明に用いることができる。(例えば、EP2100949参照。)
【0103】
更に、幾つかの態様及び更なる説明において、本発明の自動食器洗剤組成物は少なくとも1つの漂白触媒を含む。幾つかの態様において、コバルト、銅、マンガン、及び鉄錯体のほかに、マンガントリアザシクロノナエート及び関連する化合物が本発明を本発明に用いることができる。(例えば、U.S. Patent Nos.4,246,612、5,227,084、4,810410、WO 99/06521、及びEP 2 100 949参照。)
【0104】
触媒金属錯体
幾つかの態様において、本発明の自動食器洗浄器用洗剤は1つ以上の触媒金属錯体を含む。幾つかの態様において、金属含有漂白触媒を用いる。幾つかの好適な態様において、金属漂白触媒は定義された歯用は組み合わせ触媒活性の遷移金属カチオン(例えば、銅、鉄、ルテニウム、タングステン、モリブデン、又はマンガンカチオン)、僅かな又は漂白活性を有しない補助的な金属カチオン(例えば、亜鉛又はアルミニウムカチオン)、及び触媒及び補助的な金属カチオン、特にエチレンジアミン三酢酸、エチレンジアミン三(メチレンリン酸)に対して決まった安定度定数を有する抑制剤を含み、これらの水溶性塩も用いることができる。(例えば、U.S.Patent No.4,430,243参照。)幾つかの態様において、本発明の自動食器洗浄用洗剤はマンガン化合物により洗浄効果が促進される。そのような化合物及びその含有量は当業者に知られている。(例えば、U.S.Patent No.5,576,282参照。)追加的な態様において、コバルト漂白触媒が本発明の自動食器洗浄器用洗剤に用いることができる。各種コバルト漂白触媒が当業者に知られており(例えば、U.S.Patent Nos.5,597,936及び5,595,967参照)、既知の方法で調整することができる。
【0105】
追加的な態様において、本発明の自動食器洗浄器用洗剤はポリ大環状剛性リガンド(MRL)の遷移金属錯体を含む。実施するにあたり、方法を限定するわけではないが、幾つかの態様において、本発明の組成物及び洗浄方法は水溶性洗浄媒体の中に活性MRL種は少なくとも百万の1部のオーダーになるように調整される。幾つかの好適な態様において、洗浄溶液中MRLは約0.005ppm乃至約25ppm、より好ましくは約組み合わせ0.05ppm乃至約10ppm、及び最も好ましくは約組み合わせ0.1ppm乃至約5ppmに調整される。
【0106】
本発明に用いる遷移金属漂白活性剤に好適な遷移金属は、マンガン、鉄、及びクロムを含むがこれらに限定されない。好適なMRLは架橋された超剛性リガンドを含むがこれらに限定されない。(例えば、5,12−インデニル−1,5,8,12−テトラアザビシクロ[6.6.2]ヘキサデカン)好適な遷移金属MRLは当業者により調整される。(例えば、 WO 2000/32601、及びU.S.Patent No.6,225,464参照。)
【0107】
金属処理剤
幾つかの態様において、本発明の自動食器洗浄器用洗剤は金属処理剤含む。金属処理剤はアルミニウム、ステンレス、及び非鉄金属(例えば、銀及び銅)を含む金属の変色、腐食、及び/又は酸化を避ける及び/又は減らすために用いる。公的な金属処理剤はEP 2 100 949、WO94/26860、及びWO94/26859に記載のものを含む。幾つかの態様において、金属処理剤は亜鉛塩である。幾つかの更なる態様において、本発明の自動食器洗浄器用洗剤は重量により約0.1%乃至約0.5%の1つ以上の金属処理剤を含む。
【0108】
自動食器洗浄器用洗剤の製造方法及び使用
本発明の自動食器洗浄器用洗剤は任意の好適な形態に製剤化することができ、製造者により選択された任意の好適な方法で調整することができる。(例えば、U.S.Patent No.5,879,584、5,691,297、5,574,005、5,569,645、5,565,422、5,516,448、5,489,392、5,486,303、4,515,705、4,537,706、4,515,707、4,550,862、4,561,998、4,597,898、4,968,451、5,565,145、5,929,022、6,294,514、及び6,376,445参照。)
【0109】
幾つかの態様において、本発明の自動食器洗浄器用洗剤は、タブレット、カプセル、小袋、及び複数に区分された小袋を含む単回投与形態で提供される。幾つかの態様において、この単回投与形態は複数に区分された小袋(又はたの単回投与形態)内で成分の放出を制御できるように設計されている。好適な投与単位及成分の放出を制御する製剤は当業者に知られている。(例えば、EP 2 100 949、WO02/102955、U.S.Patent Nos.4,765,916、及び4,972,017、並びにWO04/111178参照。)
【実施例】
【0110】
以下の実施例は、特定の好適な態様及び本発明の特定の態様を示し、更に説明するために提供される。本発明はこれらの特定の態様に限定することは意図しない。
【0111】
以下の実施例において、以下の略語を用いる。
ppm(100万分の1);M(モルの);mM(ミリモルの);μM(マイクロモルの);nM(ナノモルの);mol(モル);mmol(ミリモル);μmol(マクロモル);nmol(ナノモル);gm(グラム);mg(ミリグラム);μg(マイクログラム);pg(ピコグラム);L(リットル);ml及びmL(ミリリットル);μl及びμL(マイクロリットル);cm(センチメートル);mm(ミリメートル);μm(マイクロメートル);nm(ナノメートル);U(単位);V(ボルト);MW(分子量);sec (秒);min(s)(分);h(s)及びhr(s)(時間);℃(摂氏);QS(十分量);ND(実施していない);NA(適用せず);rpm(1分間当たりの回転数);w/v(容量対重量);v/v(容量対容量);g(比重);OD(光学密度);aa(アミノ酸);bp(ベースペア);kb(キロベースペア);kD(キロダルトン);suc−AAPF−pNA(スクシニル−L−アラニル−L−アラニル−L−プロイルL−フェニル−アラニル−パラニトロアニリド);DMSO(ジメチルスルホキシド);cDNA(コピー又は相補的DNA);DNA(デオキシリボ核酸);ssDNA(1本鎖DNA);dsDNA(2本鎖 DNA);dNTP(デオキシリボヌクレオチド三リン酸);DTT(1,4−ジチオ−DL−スレイトール);HO(水);dHO(脱イオン水);HCl(塩化水素);MgCl(塩化マグネシウム);MOPS(3−[N−モルフォリノ]プロパンスルホン酸);NaCl(塩化ナトリウム);PAGE(ポリアクリルアミドゲル電気泳動);PB92(バチルスクラウジ(Bacillus clausii)スブチリシン);PBS(リン酸緩衝生理食塩水[150 mM NaCl,10 mM リン酸緩衝液,pH 7.2]);PEG(ポリエチレングリコール);PCR(ポリメーラゼ連鎖反応);PMSF(フェニルメチルスルホニルフルオリド);RNA(リボ核酸);SDS(ドデシル硫酸ナトリウム);Tris(トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン);SOC(2% バクト−トリプトン,0.5% バクト酵母抽出液,10mM NaCl,2.5 mM KCl);テリフィックブロス(Terrific Broth)(TB;12 g/l バクトトリプトン,24 g/l グリセロール,2.31g/lKHPO,及び12.54g/lKHPO); OD280 (280nmにおける光学密度);OD600(600nmにおける光学密度);A405(405 nmにおける吸光度);Vmax(酵素触媒反応の初期最大速度);HEPES(N−[2−ヒドロキシエチル]ピペラジン−N−[2−エタンスルホン酸]);Tris−HCl (トリス[ヒドロキシメチル]アミノエタン−ヒドロクロリド);TCA(トリクロロ酢酸);HPLC(高圧液体クロマトグラフィー);RP−HPLC(逆相高圧液体クロマトグラフィー);TLC(薄層クロマトグラフィー);EDTA(エチレンジアミン三酢酸);EtOH(エタノール);SDS(ドデシル硫酸ナトリウム);トリス(トリス(ヒドロキシメチル)アミノエタン);TAED(N,N,N’N’−テトラアセチルエチレンジアミン);PI(性能インデックス);SR(汚れ除去);MS(マススオエクトロコピー);AATCC(米国繊維化学者・色彩技術者協会);Arzberg(Arzberg−Porzellan GmbH, Schirnding, Germany);BASF(BASF Corp., Florham Park, NJ);BioRad(BioRad, Richmond, CA);Cognis(Cognis Corp, USA, Cincinnati, OH);Finnzymes(Finnzymes Oy, Espoo, Finland);Genencor(Danisco US, Inc., Genencor Division, Palo Alto, CA);Henkel(Henkel, GmbH, Dusseldorf, Germany);IKW(Industrieverband Kβrperflege und Waschmittel,=The German Cosmetic, Toiletry, Perfumery and Detergent Association, Frankfurt,Germany);Invitrogen(Invitrogen Corp., Carlsbad, CA);Kontron(Kontron Instruments, Zurich, Switzerland);Macherey−Nagel (Macherey−Nagel, Easton, PA) Miele(Miele, Princeton, NJ)Merieux(Instirut Merieux, Codex, FR);Qiagen(Qiagen, Inc., Valencia, CA);(Reckitt Benckiser, Berks, United Kingdom);Sigma(Sigma Chemical Co., St. Louis, MO);Sorvall(Sorvall Instruments, a subsidiary of DuPont Co., Biotechnology Systems, Wilmington, DE);and wfk Testmaterials(Testgewebe GmbH, Bruggen−Bracht, Germany)
【0112】
実施例1
スブチリシン変異体の構築
スブチリシン変異体は既知の融合PCRにより調製した。(例えば、US Publn. No.2006/0252155参照。該文献を参照により本明細書に援用する。)表1−1は融合PCRで用いたプライマーの配列を提供する。
【表1】

【0113】
バチルスクラウジ(B.clausii)PB9変異体(G118V+S128L+P129Q+S130Aの置換を含む、番号はBPN番号付けを用いた、以下「GCI−P040」と呼ぶ)のDNAテンプレートを用いて、S101M置換を含むPB92プロテアーゼ変異体を生成した。(以下ER11とする。)ER11に等しいアミノ酸配列を有する変異体をバチルスレンタス(B.lentus)GG36変異体(S87N+G118V+S128L+P129Q+S130の置換を含む;BPN番号付けを参照)のDNAテンプレートから生成することもできる。
【0114】
GG36プロテアーゼ前駆体をコードしている合成遺伝子は合成オリゴヌクレオチド及びPCR生成物から構築された。フラグメントをBsmBI及びHindIII制限部位を用いてプラスミド骨格pHPLT(U.S.Patent No.5,024,943)でクローン化した。pHPLTバチルススブチリス(B.subtilis)はバチルスリケニフォルミス(B.licheniformis)LAT(Plat)並びに複製遺伝子(reppUB)、ネオマイシン/カナマイシン耐性遺伝子(neo)、及びブレオマイシン体制遺伝子(bleo)を含むpUB110(McKenzie et al., Plasmid, 15: 93−103, 1986)由来の追加的エレメントを含む。GG36プロテアーゼ遺伝子のDNA配列を以下に示すSacI及びHindIIIクローニング部位を下線で示す。
【化1】

【0115】
GCI−P040のDNAを初めに以下のようにpHPLT発現ベクターへサブクローンした。簡単に説明すると、2μlの10mM SacI−Fw及びHindIII−Rv プライマー、1μlの10mM dNTPs、10μlの5XHF融合緩衝液、1.5μlのDMSO、1単位Pのhusion(商標)ポリメラーゼ(Finnzymes)、及び1μlのPB92V変異体049テンプレートDNAを添加して最終容量を50μLとした。以下のプログラムを用いた:95℃で3分の変性工程、65℃で1分のアニーリング工程、及び72℃で30秒の延伸工程を30サイクル行い、次いで72℃を7分行った。完了後、反応生成物を室温で貯蔵した。増幅された直鎖859bpのフラグメントをQIAQUICK(商標)PCR精製キット(QIAGEN(商標)カタログNo.28106)で精製し、SacI及びHindIII制限酵素で消化して、フラグメントの両端に結合性のある末端を生成した。
【0116】
約50ngのプラスミドpHPLT−GG36をSacI及びHindIII制限酵素で消化した。3.9kbのベクター骨格フラグメントを単離し、T4DNAリガーゼ (Invitrogen)を用いて結合性末端のクローニングについての仕様書に従って、約50ngGCI−P040スブチリシンをコードしている消化された859bpフラグメントに結合した。リゲーション混合物を用いてバチルススブチリス(B.subtilis)細胞(表現型:ΔaprE、ΔnprE、oppA、ΔspoIIE、degUHy32、ΔamyE::[xylR,pxylA−comK])を形質転換した。キシロース誘発プロモーターの下でcomK遺伝子を発現させてこのバクテリアをコンピテントにした。(例えば、Hahn et al., Mol Microbiol,21:763−775,1996参照。)
【0117】
GCI−P040スブチリシン(配列番号8)をコードしている発現ベクターをPhusion(商標)PCR技術を用いて、S101位置(BPN番号付け)に変異を生成するためのテンプレートとして引き続き用いた。BglII−Fwを第一反応においてS101X−Rvプライマーと結合せて、第一フラグメントを生成した。第二フラグメントは第二反応においてBglII−Rv プライマー及びS101X−Fwプライマーを組み合わせて生成した。延伸時間を1分15秒に増やした以外は、PCR条件は前述のものと同様であった。
【0118】
2つのPCR反応からの予測されたサイズのDNAフラグメントをPCR精製カラム(Macherey−Nagel)を用いてアガロースゲルから精製した。この2つの所望のフラグメントをBglII前方向及び後方向プライマー並びにPHUSION(商標)ポリメラーゼを用いて、PCR増幅により融合させた。以下のプログラムを用いた。95℃で3分間の変性、65℃で1分間のアニーリング、及び72℃で2分間の延伸、これらを25サイクル行い、72℃で7分。完了後、反応生成物を室温で貯蔵する。
【0119】
融合PCR反応からのDNAフラグメントをBglII制限酵素で消化して生成し、アガロースゲルで精製した。このDNAフラグメントを最終容量40μl中に1μlT4 DNAリガーゼ及び8μlの5XT4リゲーション緩衝液を含む溶液中で14℃一晩放置して、BglII消化したpHPLT プラスミド骨格に結合した。
【0120】
コンピテントバチルススブチリス(B.subtilis)細胞(phenotype: ΔaprE、ΔnprE、oppA、ΔspoIIE、degUHy32、ΔamyE::[xylR,pxylA−comK])を10μlのリゲーション生成物を用いて形質転換して、当業者に知られているようなプロテアーゼ陽性変異体を生成した。(例えば、WO02/14490参照。)キシロース誘発プロモーターの下でcomK遺伝子を発現させてこのバクテリアをコンピテントにした。(例えば、Hahn et al.,Mol Microbiol,21:763−775,1996参照。)
【0121】
プロテアーゼ陽性クローンをスキムミルク/アガロースプレート上で選択して、単離して、配列決定した。タンパク質は振とうフラスコ内で酵素の相当量を生成して、特徴付けのための試験に用いた。
【0122】
実施例2
Bacillus subtilisにおけるスブチリシン変異体の生成
バチルススブチリス(B.subtilis)形質転換体を10mlのTSB(トリプトン及びダイズブロス)培地中で37℃一晩育成してスブチリシン変異体を生成した。一晩培養物の250μLのアリコートを100ml振とうフラスコ中にある25mlのMOPSベース既成培地に移し、37℃で68時間育成した。この既成培地は、NHCl、FeSO、及びCaClが取り除かれ、3mMKHPOを用いている以外は当業者に知られているものである(例えば、Neidhardt et al., J Bacteriol,119:736−747,1974参照。)この培地は、60mM尿素、75g/Lグルコース、及び 1%ソイトンを補っている。微量元素は100倍ストックとして調製した。該ストックは1リットル当たり400mgのFeSO.7HO、100mgのMnSO.HO、100mgのZnSO.7HO、50mgのCuCl.2HO、100mgのCOCl.6HO、100mgのNaMoO.2HO、100mg のNa.10HO、10mlの1MCaCl、及び10mlの0.5Mクエン酸ナトリウムを含む。所望のプロテアーゼは培養培地から単離された。
【0123】
実施例3
スブチリシンサンプルの精製度を決定するための解析方法
この実施例において、バチルススブチリス(B.subtilis)培養物から得られた組換えスブチリシンの精製度を決定するために用いる方法を説明する。ゲル電気泳動及び高圧液体クロマトグラフ(HPLC)において、それぞれ単一のバンド及びピークが検出されたときにプロテアーゼは精製されたと考えられる。
【0124】
ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)の存在下でのポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)を当業者に既知の手順で行った。(Laemmli, Nature, 227:680−685,1970)しかしながら、自動分解を防ぐために、タンパク質サンプルの変性(例えば、100℃のSDS含有サンプル緩衝液中で10分)前に、プロテアーゼ活性を失活させる必要がある。プロテアーゼの失活は1mMPMSFでプロテアーゼサンプルを30分インキュベートするか、30分間氷上で8%トリクロロ酢酸(TCA)でタンパク質を沈殿させることで達成することができる。タンパク質サンプルはpH7.45で行われる通常のPAGEにかけられた。ゲル緩衝液は20mMヒスチジン及び50mMの3−[N−モルフォリノ]プロパンスルホン酸(MOPS)からなり、ポリアクリルアミドゲルは、20:1のアクリルアミド:ビスアクリルアミド比を有する。タンパク質サンプルをスラブゲルのトップに置いて、陰極に向かって電気泳動させた。サンプルヒスチジン/MOPS緩衝液はpH6.3に調整して電気泳動(タンク)緩衝液として用いた。電気泳動に続いて(〜1乃至2時間、350V)、このゲルを8%酢酸溶液中に浸してタンパク質を固定した。ついでクマシーブルーR250でゲルを脱色して、既知の方法で脱色を行いタンパク質のバンドを確認した。
【0125】
タンパク質サンプル精製度は、MonoSカチオン交換カラム、次いでTSK2000ゲルろ過カラムを用いたHPLC解析により確認することもできる。前者は10mMリン酸ナトリウム緩衝液pH5.5で行い、結合タンパク質の溶出は10乃至300mMリン酸ナトリウムpH5.5の勾配を用いて行う。ゲルろ過カラムは0.25M酢酸ナトリウムpH5.5で行う。タンパク質溶出プロファイルは280nmでモニターして、所望のタンパク質の位置及びサンプルの精製度をモニターした。
【0126】
実施例4
スブチリシン濃度の決定
この実施例において、スブチリシン濃度の決定に用いる方法を説明する。幾つかの実験において、計算された消滅係数(ε[イプシロン])を用いて280nmで消滅測定を行った。活性部位の力価は以下で説明するように、精製されたプロテアーゼ溶液におけるタンパク質濃度を決定するために用いた。
【0127】
280nmでの消滅係数は酵素1分子当たりのトリプトファン(Trp、ε=5,600M−1.cm−1)及びチロシン(Tyr,ε=1,330M−1.cm−1)の数から計算される。PB92プロテアーゼでは、分子消滅係数は26,100 M−1.cm−1(3Trp+7Tyr残基)であり、280nm=9.7(M=26,729Da)で測定されるε 1%に等しい。変更された数のトリプトファン及び/又はチロシン残基の数を有する変異体の場合、補正がなされる。
【0128】
活性酵素分子の評価は活性部位滴定により得られる。広く用いられているN−トランスシナモイルイミダゾール(transcinnamoylimidazole)によるアクリル化方法(Bender et al., J Am Chem Soc, 88:5890−5931, 1966)はPB92プロテアーゼには不適であるため、不可逆性インヒビターPMSFを変りに用いた。この方法において(280nmでの吸光度から)酵素濃度が分かっているプロテアーゼ溶液を0.25、0.50、0.75、1.00、及び1.25のPMSF当量になるように調製し、室温、pH6.5の10mMリン酸ナトリウム緩衝液中で1時間反応させた。残余プロテアーゼ活性をスクシニル−L−アラニル−L−アラニル−L−プロリル−L−フェニル−アラニル−パラ−ニトロアニライド (suc−AAPF−pNA)を基質として分光光度計で測定した。これらの実験において、PMSFの精製度(及び濃度)はNMRスペクトロコピーで測定して、PMSFのストック溶液はイソプロパノールで調製した。活性部位滴定の結果はHPLC法を用いて調べたタンパク質濃度の結果と一致していた。
【0129】
実施例5
洗浄性能試験
この実施例において、スブチリシン変異体ER11及び商業的に利用されている食器用洗剤に用いられているGCI−P038対照スブチリシンの洗浄性能を評価するのに好適な方法を説明する。
【0130】
本明細書においてER11と呼ばれるS101M+G118V+S128L+P129Q+S130A(BPN番号付け)の置換を含む成熟PB92プロテアーゼ変異体のアミノ酸配列を以下に示す。
【化2】

【0131】
成熟GCI−P037(PB92)対照スブチリシンのアミノ酸配列を以下に示す。
【化3】

【0132】
成熟GCI−P038対照スブチリシンのアミノ酸配列を以下に示す。
【化4】

【0133】
食器洗浄性能
この実施例において、スブチリシン変異体ER11及び商業的に利用されている食器用洗剤に用いられているGCI−P038対照スブチリシンの洗浄性能を評価する方法を説明する。
【0134】
各種自動食器洗浄器条件下において各種プロテアーゼの性能を試験した。食器用洗剤の組成は表5−1及び5−2に示す。これらの洗剤はwfk Testmaterialsから入手可能であり、wfk Testmaterialsにより設定されている。これらの洗剤を酵素を含まない形態で入手し、プロテアーゼ変異体の解析を行った。
【表2】

【0135】
各種タイプの汚れ(黄身、ひき肉及び卵、及び卵及びミルク)を調製するための方法を以下に提供する。個々の汚れを試験する食器に適用する前に、この食器を十分に洗浄する。特定の汚れが食器上にこびりついていると試験の妨げになるので、このことは特に重要である。新しい食器も最初に試験に供する前に3回十分に洗浄する。
【0136】
ステンレススチール上の黄身の汚れ
試験に用いたステンレススチールシート(10×15cm;片面がつや消しされている)を市販の高アルカリ洗剤(ECOLBA(商標)洗剤;Henkel)を用いて実験室用の食器洗浄器中、95℃で徹底的に洗浄し、きれいで油が残っていないスチールを用意した。これらのスチールを使用する前に、デバリングした。このシートを黄身の汚れをつける前に加熱キャビネット中で80℃で30分間乾かした。つや消しされた表面を汚れをつける前に触れないようにした。水のシミもほこりも表面上にあってはならない。冷却したシートを汚れを付着させる前に重さを量った。
【0137】
10乃至11のタマゴ(200gのタマゴの黄身)の黄身を分離して汚れを付着させるための黄身を調製した。この黄身をガラスビーカーの中でフォークを用いて攪拌して黄身の懸濁液を調製した。この黄身をその後、洗い粒子及び殻の破片を取り除くために(約0.5mmメッシュ)で裏ごしした。
【0138】
平らな刷毛(2.5”)を用いて、約1.0±0.1gの黄身を出来るだけ均一に140cm2のつや消しされた表面に塗り、(必要に応じて粘着テープを用いて)約1cmの汚れを塗布しない縁を作った。汚れが付着したシートを(シートの縁に液滴が形成しないように)室温で4時間(最大24時間)平らに置いて乾燥させた。
【0139】
変性剤について、(必要に応じて、固定装置を用いて)これらのシートを30秒間沸騰している脱イオン水中に置いた。その後、このシートを80℃で30分間乾燥させた。乾燥及び/又は冷却の後、シートの重さを量った。重量測定の後、試験に用いる前に、シートを少なくとも24時間放置した(20℃、40乃至60%の相対湿度)。試験の必要に応じて、(変性後の黄身が)500±100mg/140cm2のシートのスチール板のみを試験に用いた。洗浄試験の後、洗浄試験を行った後、このシートを加熱キャビネット内で80℃で30分乾燥させ、重量を量り、再度冷却した。洗浄性能のパーセンテージは洗浄により放出された黄身のmg×100をスチールに適用して変性された黄身のmgで割って計算した。
【0140】
磁器プレート上のひき肉
これらの実験について、欧州規格(EN)50242、フォーム1495、No.0219、直径19cmデザートプレート(Arzberg, white, glazed porcelain)を用いた。トータル225gの赤みのブタ及びビーフ(当量の混合物)を目視可能な脂肪を取り除き、細かく刻み、冷却した。この混合物を2回、ひき肉器にかけた。35℃以上の温度を避けた。その後、この225gのひき肉を75gのタマゴと混ぜた(黄身と白身の混合物)。調製後、用いる前に3ヶ月間―18℃で保存した。これらは互換的に使用可能であるので、ブタ肉が使用できない場合、牛肉を用いた。
【0141】
ひき肉とタマゴの混合物(300g)を室温に戻して、80mlの合成水と混合した。この混合物を家庭用のブレンダーを用いて2分間ホモジナイズした。その後、フォークを用いて、このひき肉/タマゴ/水の混合物の3gを各白い磁器プレートに、塗り、約2cmの塗布していない幅広い縁を残しておいた。適用された量は11.8±0.5mg/cm2であった。このプレートを120℃で2時間、予備加熱しておいた加熱チャンバー内に置いた。プレートを冷却するとすぐに試験に用いる準備をした。各プレートの間にペーパータオルを挟み、プレートを積み上げた。
【0142】
洗浄試験の後、このプレートにニンヒドリン溶液(1%エタノール)を吹きつけ、ひき肉の残りがよくわかるようにした。呈色反応を促進するために、このプレートを加熱チャンバー内で10分間80℃で加熱した。洗浄性能の評価はIKWフォトグラフカタログ(IKW)を参照して、ひき肉の呈色反応を目視により評価した。
【0143】
ステンレススチール上のタマゴ/ミルクの汚れ
これらの試験に用いたステンレススチール(10×15cm;片面がつや消しされている)を市販の高アルカリ洗剤を用いて実験室用の食器洗浄器で95℃で洗浄した。このシートをセルロースクロスで磨いた。磨いた面を汚れをつけるまで、触らないでいた。水のシミもホコリもこの面には付着していなかった。汚れをつける前、これらのシートを80℃の加熱キャビネットで30分間加熱した。冷却したシートを汚れをつける前に重さを量った。
【0144】
黄身と白身(3−4個のタマゴ、160g/タマゴ)をボウルの中に置き、泡だて器でかきまぜた。その後、50mlのセミスキムUHT(1.5%の脂肪、高温ホモジナイズ)ミルクをこの混合物に加えた。このミルクとタマゴを泡をたてないようにかき混ぜた。平らな刷毛で、ステンレススチールの磨かれた面に、分散を均一にするように、1.0±0.1gのタマゴ/ミルク混合物を均一に分散させた。最大値が約1.0cmになるように、シートの短い方に余白を残しておいた。この固形シートを(シートの端に液滴が形成しないように)室温で、4時間(最大約24時間)平らにおいて乾燥させた。
【0145】
このシートをその後、(必要に応じて、固定装置を用いて)沸騰している脱イオン水に30秒浸した。その後、このシートを再度、80℃で30分間乾燥させた。乾燥及び冷却の後、このシートの重量を測定した。重量を測定した後、洗浄試験に用いる前にこのシートを少なくとも24時間放置した(20℃、40−60%相対湿度)。試験の必要に応じて、190±10mgの黄身を含むシートのみを試験に用いた。
【0146】
洗浄試験を行った後、これらのシートを加熱チャンバー内で80℃で30分間乾燥させ、冷却の後、重量を測定した。洗浄性能のパーゼンテージは洗浄により放出されたタマゴ/ミルクのmg×100を適用したタマゴ/ミルクのmgで割って計算した。
【0147】
洗浄装置及び条件
洗浄試験は、上で説明した汚れを付着させた面及びステンレススチールを入れた食器洗浄器(Miele:G690SC)で行った。決められた量の洗剤を用いて、以下の表の結果を得た。試験に用いた温度は、45℃、55℃、及び65℃であった。水の高度は9o又は12oHG(German Hardness)(374ppm Ca)であった。
【0148】
上で説明したように、洗浄後、ひき肉の汚れを付着させたプレートを0−10にランクわけされた見本を用いて、目視により評価した。0は完全に汚れた皿を意味し、10はきれいな皿を意味する。これらの値は酵素含有洗浄のシミ又は汚れ除去(SR)能力に対応する。
【0149】
黄身及び黄身/ミルクで汚され、洗浄されたステンレルスチールプレートを重量法で解析して洗浄後に残った残渣の量を決定した。スブチリシン変異体ER11及びGCI−P038対照スブチリシンは、1洗浄当たり0及び30mg/活性タンパク質のレベルを試験に用いた。各種食器洗浄試験の結果を以下の表5−3乃至5−6に示す。これらの試験のそれぞれにおいて、1洗浄当たり異なる濃度の活性プロテアーゼを用いた。GCI−P038対照スブチリシンの洗浄性能を「100」とした。変異体の洗浄性能をこの値と比較する。例えば、もしGCI−P038対照スブチリシンが45%の汚れ除去の結果を示し、変異体の結果が52%だとすると、変異体の性能指数は52/45x100=116になる。従って、両方の洗剤試験において、食器洗浄製品において汚れを除去する性能はスブチリシン変異体ER11の方がGCI−P038対照スブチリシンよりも効果的である。
【表3】

【0150】
スブチリシン変異体の汚れ除去性能を市販の洗剤においてマイクロタイタープレート(MTP)スケールで決定した。対照スブチリシンとスブチリシン変異体とサンプルをMTPプレートで。3日間、37℃/300rpm、90%湿度で培養した培養ブロスをろ過して得た。用いた装置は、Biomek FX Robot(Beckman Coulter)、SpectraMAX MTPリーダー(type 340; Molecular Devices)、iEMSインキュベーター/シェーカー(Thermo/Labsystems);インキュベーションの後の反応プレートに読みのためにF−bottom MTPs(Costar type 9017)及び希釈前上清のためにV−bottom MTPs(Greiner 651101)である。をCFT Vlaardingenから入手のCS−38マクロスウォッチ(顔料を含む黄身、熱老化させたもの)基質として用いた。1ウェル当たり2つの汚れ見本を用いた。CALGONIT(商標)5inl由来のADWテーブルを洗剤溶液の調製に用いた。タブレット中に存在するプロテアーゼ活性を失活させるために、21gのタブレットをミリQ水に溶解し、60℃の水浴中で加熱した。この溶液を室温に冷却して、最終濃度を3g/lにした。1.46mlのCa/Mg混合物(Ca/Mg 混合物[(3:1),1.92MCaCl=282.3g/LCaCl.2H0;0.64M MgCl=130.1g/L MgCl.6HO],15000gpg))を添加して水の硬度を21oGHに調整した。酵素サンプルを10mM NaCl,0.1mM CaCl, 0.005%TWEEN(商標)−80溶液で予備希釈して、好適な条件で試験を行った。
【0151】
インキュベーターを50℃の所望の温度に設定し、72μlの希釈緩衝液をからのV底プレート(希釈プレート)に添加して、ついで8μlの上清を添加した。この後、この希釈プレートから9μlを採取して171μlの洗浄溶液中でインキュベートされた汚れ見本を含むプレートに添加した。この汚れ見本プレート(洗剤及び酵素を含む)をテープで多い、400rpmのインキュベーター/シェーカー中に30分間置いた。インキュベーションの後、反応混合物の75μlをからのF底プレートに移し、ヘアドライアーで脱気した後にMTPリーダーで405nmの吸光度を測定した。1又は2つの汚れ見本と洗剤を含み対照スブチリシンを含まないブランク対照もこの試験においてインキュベーションした。
【0152】
汚れ除去活性の計算
得られた吸光度の値をブランク値(酵素なしの基質)で補正して、加水分解活性の測定値を提供する。各サンプル(変異体)のために、性能インデックス(PI)を計算した。性能インデックスは変異体の性能(実際の値)及び対照酵素の性能(理論値)を同じタンパク質濃度で比較する。更に、標準酵素のラングミュア方程式のパラメーターを用いて理論値を計算する。1よりおおきい性能インデックス(PI>1)は標準(例えば、野性型)と比較して、好ましい変異体であることを示し、1のPI(PI=1)は標準と同じ性能の変異体であることを示し、1より小さいPI(PI<1)は標準よりも悪い変異体を示す。したがって、PIで特定の環境に用いるのに、好ましいもの、好ましくないものを同定することができる。
【0153】
明細書に記載された全ての特許と刊行物は、発明の属する技術分野の技術者の水準を示す。全ての特許と刊行物は、各個の刊行物が、特定されかつ個別に引用により組み込まれる場合と同程度に引用により本明細書に組み入れられる。本願発明の好ましい実施態様を述べたので、本願発明の技術分野の通常の技術者には、開示された実施例に種々の変更が行われることができることが明らかであろう。そしてそのような変更は本願発明の範囲内にあることを意図している。
【0154】
本明細書に説明のため述べられた発明は、本明細書に特定して開示されていないいずれの発明特定事項、限定もない条件で実施できる。使用された用語及び表現は記述のための用語として使用されており、限定のためではなく、かつそのような用語と表現の使用は、明らかにされかつ述べられた特徴と等価なものまたはその一部と等価なものを排除する意図はなく、むしろ、特許を請求する発明の範囲内で種々の変更が可能であることが認識される。従って、本願発明は好ましい実施態様と任意の特徴により具体的に開示されているが、本明細書に開示された概念の修飾、変更は本願発明の技術分野の技術者に委ねられ、且つそのような
【0155】
本発明は本明細書に広く、属に関して述べられてきた。属の開示の範囲内にあるより狭い範囲の種及び属より下位の分類のそれぞれもまた本発明の一部を形成する。これには、除外されるものが本明細書で特定して記載されていたか否かに拘らず、当該属からいずれかのものを除外する条件または否定的限定(negative limitation)を付した発明についての属に関する記述が含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号8で定義されるアミノ酸配列を含むスブチリシン変異体。
【請求項2】
請求項1に記載のスブチリシン変異体を含む自動食器洗浄器用洗剤組成物。
【請求項3】
前記組成物が液体である、請求項2の自動食器洗浄器用洗剤組成物。
【請求項4】
前記組成物が粉末、タブレット、ゲル、又は顆粒洗剤である、請求項2の自動食器洗浄器用洗剤組成物。
【請求項5】
前記組成物が、リン酸塩を含まない、請求項2の自動食器洗浄器用洗剤組成物。
【請求項6】
少なくとも1つの漂白剤を含む、請求項2の自動食器洗浄器用洗剤組成物。
【請求項7】
少なくとも1つの追加的な酵素を含む、請求項2の自動食器洗浄器用洗剤組成物。
【請求項8】
前記少なくとも1つの追加的な酵素が、ヘミセルラーゼ、セルラーゼ、ペルオキシダーゼ、プロテアーゼ、メタロプロテアーゼ、キシラナーゼ、リパーゼ、フォスフォリパーゼ、エステラーゼ、ペルヒドロラーゼ、クチナーゼ、ペクチナーゼ、ペクチン酸リアーゼ、マンナナーゼ、ケラチナーゼ、リダクターゼ、オキシダーゼ、フェンロキシダーゼ、リポキシゲナーゼ、リグニナーゼ、プルラナーゼ、タンナーゼ、ペントサナーゼ、マラナーゼ、βグルカナーゼ、アラビノシダーゼ、ヒアルノニダーゼ、コンドロイチナーゼ、ラッカーゼ、及びアミラーゼ、並びにこれらの混合物から選択される、請求項7の自動食器洗浄器用洗剤組成物。
【請求項9】
洗浄する食器及び配列番号8で定義されるアミノ酸配列を有するスブチリシン変異体を含む組成物を提供する工程並びに前記食器又はその表面と前記組成物とを接触させる工程を含む、洗浄方法。
【請求項10】
更に洗浄する食器をすすぐ工程を更に含む、請求項9の方法。

【公表番号】特表2012−508029(P2012−508029A)
【公表日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−536408(P2011−536408)
【出願日】平成21年11月10日(2009.11.10)
【国際出願番号】PCT/US2009/063799
【国際公開番号】WO2010/056635
【国際公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(509240479)ダニスコ・ユーエス・インク (81)
【Fターム(参考)】