説明

スプレー製剤で使用するためのtert−ブチルアクリレートベースのアクリレートポリマー

本発明は、a)モノマーAとして30〜99重量%のtert-ブチルアクリレートおよび/またはtert-ブチルメタクリレートと、b)モノマーBとして1〜70重量%のアクリル酸および/またはメタクリル酸と、c)モノマーCとして0〜12重量%のラジカル共重合性モノマーまたはラジカル共重合性モノマー混合物と、をラジカル重合することにより得られるポリマーに関する。ただし、モノマーCの少なくとも1種は、30℃未満のガラス転移温度を有するホモポリマーを提供・形成し、重量%の合計は、100であることを条件とする。ポリマーのK値は、27〜38であり、ポリマーのK値が35以下である場合、重合は、調節剤の存在下で行われる。本発明はまた、特定的には美容法および口腔衛生に使用される製剤における該ポリマーの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、
a) モノマーとして30〜99重量%のtert-ブチルアクリレートおよび/またはtert-ブチルメタクリレートと、
b) モノマーBとして1〜70重量%のアクリル酸および/またはメタクリル酸と、
c) モノマーCとして0〜12重量%のラジカル共重合性モノマーまたはラジカル共重合性モノマー混合物と
をラジカル重合することにより得られるポリマーであって、
モノマーCの少なくとも1種は、30℃未満のガラス転移温度を有するホモポリマーを生成するものであり、
重量%は、合計すると100になることを条件とし、
ポリマーのK値は、27〜38であり、ポリマーのK値が35以下である場合、重合は、調節剤の存在下で行われることを特徴とするポリマーに関し、さらに、製剤(特定的には、化粧品およびオーラルケアおよびデンタルケア用の製剤)における該ポリマーの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膜形成性を有するポリマーは、化粧製剤、外皮用(dermatological)製剤、衛生(hygiene preparation)製剤、および/または医薬製剤用の化粧品において使用され、毛髪化粧品用および皮膚化粧品用の補助剤としてとくに好適である。
【0003】
EP-A 379 082には、tert-ブチルアクリレートおよび/またはtert-ブチルメタクリレートをベースとし10〜50のK値を有するコポリマーを皮膜形成剤として含むヘアセッティング組成物が記載されている。このコポリマーは、
A) 75〜99重量%のtert-ブチルアクリレートおよび/またはtert-ブチルメタクリレートと、
B) 1〜25重量%のアクリル酸および/またはメタクリル酸と、
C) 0〜10重量%のさらなるラジカル共重合性モノマーCと、
をラジカル重合することにより得られる。ただし、コポリマーのカルボキシル基は、アミンで部分中和または完全中和される。好ましくは、ポリマーは、溶液重合により得られる。
【0004】
EP-A 696916には、tert-ブチルアクリレートまたはtert-ブチルメタクリレートをベースとし10〜50のK値を有するコポリマーを皮膜形成剤として含むヘアセッティング組成物が記載されている。このコポリマーは、
A) モノマーAとして30〜72重量%のtert-ブチルアクリレートもしくはtert-ブチルメタクリレートまたはそれらの混合物と、
B) モノマーBとして10〜28重量%のアクリル酸もしくはメタクリル酸またはそれらの混合物と、
c) モノマーCとして0〜60重量%のラジカル共重合性モノマーまたはラジカル共重合性モノマー混合物とをラジカル重合することにより得られ、ただし、モノマーCの少なくとも1種は、30℃未満のガラス転移温度を有するホモポリマーを生成するものであり、コポリマーのカルボキシル基は、部分中和または完全中和される。
【0005】
WO 02/38638には、
・ モノマーAとして30〜99重量%のtert-ブチルアクリレートおよび/またはtert-ブチルメタクリレートと、
・ モノマーB として1〜28重量%のアクリル酸および/またはメタクリル酸と、
・ モノマーCとして0〜60%のラジカル共重合性モノマーまたはラジカル共重合性モノマー混合物とをラジカル重合することにより得られるポリマーであって、モノマーCの少なくとも1種は、30℃未満のガラス転移温度を有するホモポリマーを生成することを特徴とするポリマーが記載されている。ただし、使用される調節剤は、場合によって、C14〜C22-炭素鎖を有するアルカンチオールであるか、または後続の過酸化水素処理を伴ってC10〜C22-炭素鎖を有するアルカンチオールである。
【0006】
環境規制が厳しくなってきており、しかもエコロジーに対する意識が高まってきているため、ヘアスプレーなどにおいて、揮発性有機成分(VOC)の含有率をさらに減少させるようにとの要求が増大しつつある。ヘアスプレー中のVOC含有率は、本質的には、非水溶媒および噴射剤により与えられる。このため、非水溶媒の代わりに水を溶媒としてますます使用せざるをえなくなってきている。しかしながら、とくにヘアスプレー製剤の分野では、こうした有機溶媒の使用には、いくつかの問題がある。たとえば、対応するVOC規制を満たして先行技術から得られる上述の皮膜形成性ポリマーの製剤は、たとえば、スプレーしえないか、またはさらに希釈した後ではじめてスプレーしうるものであり、したがって、ヘアスプレーにおける使用適性は限られたものにすぎない。この結果、得られる皮膜は、ときどき、必要な機械的品質を有していないことがあるので、毛髪に対して不適切なセッティング作用および不十分な保持性を有することになる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、増大された水分率を有する溶媒または溶媒混合物中で製剤化可能でありかつその製剤がより良好な噴霧性と生成皮膜の良好な機械的性質とを兼ね備えるポリマー、とくに、化粧品製剤ならびにオーラルケア用およびデンタルケア用の製剤に適したポリマーを提供することであった。慣用的化粧成分との良好な相溶性に加えて、ポリマーは、良好なセッティング性および長期保持性を毛髪に付与し、良好な洗浄除去性を有し、かつ光学的に透明なVOC-55エアロゾル(すなわち、多くとも55重量%のVOC含有率を有するエアロゾル)として製剤化可能でなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本目的は、冒頭に記載のポリマーにより達成される。本目的はまた、特定的には、
a) モノマーAとして60〜80重量%のtert-ブチルアクリレートおよび/またはtert-ブチルメタクリレートと、
b) モノマーBとして20〜40重量%のアクリル酸および/またはメタクリル酸と、
c) モノマーCとして0〜12重量%のラジカル共重合性モノマーまたはラジカル共重合性モノマー混合物と、
をラジカル重合することにより得られるポリマーであって、
モノマーCの少なくとも1種は、30℃未満のガラス転移温度を有するホモポリマーを生成するものであり、重量%は、合計すると100になることを条件とし、ポリマーのK値は、27〜38であることを特徴とするポリマーにより達成される。本発明に係るポリマーのK値が35以下である場合、重合は、調節剤の存在下で行われる。本発明に係るポリマーのK値が35〜38の範囲内である場合、手順は、場合によって、調節剤の存在下で実施しうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
モノマーC
(メタ)アクリレートポリマーの性質を改変するために、適切であれば、少なくとも1種のさらなるモノマーCを共重合させることも可能である。このモノマーまたはこれらのモノマーの少なくとも1種は、30℃未満のガラス転移温度を有するホモポリマーを生成するものでなければならない。これらは、好ましくは、C1〜C18-アルキルアクリレート、C1〜C18-アルキルメタクリレート、N-C1〜C18-アルキルアクリルアミド、およびN-C1〜C18-アルキルメタクリルアミドよりなる群から選択されるモノマーである。とくに好ましいのは、N-C1〜C4-アルキルアクリルアミドもしくはN-C1〜C4-アルキルメタクリルアミドまたは2種以上のこれらのモノマーの混合物であり、非分枝状C2〜C4-アルキルアクリレート単独または分枝状N-C3〜C4-アルキルアクリルアミドとの混合物も、とくに好ましい。該(メタ)アクリレートおよび(メタ)アクリルアミドに含まれる好適なC1〜C4-アルキル基は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、またはtert-ブチルである。とくに好ましいモノマーCは、エチルアクリレート、またはエチルアクリレートとN-tert-ブチルアクリルアミドとの混合物である。
【0010】
本発明に係る好ましいポリマーは、それを調製するためのモノマーCの供給量がモノマーの全量の10重量%未満、好ましくは5重量%未満、とくに好ましくは3重量%未満であるポリマーである。成分Cの分率は、とくに好ましくは、0.01〜3重量%の範囲内である。同様にとくに好ましいのは、調製のために成分AおよびBが重合されCが重合されないポリマーである。
【0011】
先行技術のポリマーとくにWO 02/38638に係るポリマーとは対照的に、本発明に係るポリマーは、多くとも55重量%までの有機揮発性成分を含有する製剤が著しく改良された噴霧性と皮膜の良好な機械的性質とを兼ね備えることにより特性付けられる。それと同時に、本発明に係るポリマーは、慣用的化粧成分との良好な相溶性、毛髪などからの良好な洗浄除去性、および透明なVOC-55エアロゾルに製剤化される能力を有する。好ましい実施形態では、モノマーAはtert-ブチルアクリレートであり、モノマーBはメタクリル酸であり、モノマーCはエチルアクリレートである。
【0012】
とくに好ましい実施形態は、75〜80重量%のtert-ブチルアクリレートと20〜25重量%のメタクリル酸と0〜2重量%のエチルアクリレートとをラジカル重合することにより得られるポリマーである。ただし、重量%は、合計すると100になることを条件とし、ポリマーのK値は、30〜34であり、重合は、調節剤の存在下で行われる。
【0013】
ポリマーの調製
アクリレートポリマーは、公知の方法で、モノマーA、B、および適切であればCをラジカル重合することにより調製される。この手順は、慣用的重合技術により、たとえば、懸濁重合法、乳化重合法、または溶液重合法により、行われる。アクリレートポリマーは、好ましくは、モノマーA、B、および適切であればCのラジカル開始水性乳化重合により調製される。
【0014】
乳化重合
ラジカル開始水性乳化重合法については、これまでに何度も報告されており、したがって、当業者であれば熟知している[たとえば、次の文献を参照されたい: Encyclopedia of Polymer Science and Engineering, Vol. 8, pages 659 to 677, John Wiley & Sons, Inc., 1987; D.C. Blackley, Emulsion Polymerization, pages 155 to 465, Applied Science Publishers, Ltd., Essex, 1975; D.C. Blackley, Polymer Latices, 2nd Edition, Vol. 1, pages 33 to 415, Chapman & Hall, 1997; H. Warson, The Applications of Synthetic Resin Emulsions, pages 49 to 244, Ernest Benn, Ltd., London, 1972; D. Diederich, Chemie in unserer Zeit [Chemistry of our Time] 1990, 24, pages 135 to 142, Verlag Chemie, Weinheim; J. Piirma, Emulsion Polymerization, pages 1 to 287, Academic Press, 1982; F. Hoelscher, Dispersionen synthetischer Hochpolymerer [Dispersions of Synthetic High Polymers], pages 1 to 160, Springer-Verlag, Berlin, 1969; およびDE-A 40 03 422]。ラジカル開始水性乳化重合は、水性媒体中で通常は分散剤を併用してモノマーを分散分布させ、少なくとも1種のラジカル重合開始剤を用いて重合することにより、一般に行われる。
【0015】
開始剤
本発明に係るラジカル水性乳化重合に好適なラジカル重合開始剤は、ラジカル水性乳化重合を引き起こしうるすべての開始剤である。これらは、基本的には、ペルオキシドまたはアゾ化合物のいずれかでありうる。当然ながら、レドックス開始剤系もまた好適である。使用しうるペルオキシドは、基本的には、無機ペルオキシド、たとえば、過酸化水素、またはペルオキソ二硫酸塩、たとえば、ペルオキシド二硫酸の一もしくは二アルカリ金属塩またはアンモニウム塩、たとえば、その一および二ナトリウム塩、カリウム塩、またはアンモニウム塩など、あるいは有機ペルオキシド、たとえば、アルキルヒドロペルオキシド、たとえば、tert-ブチルヒドロペルオキシド、p-メンチルヒドロペルオキシド、もしくはクミルヒドロペルオキシド、tert-ブチルペルピバレート、およびジアルキルペルオキシドもしくはジアリールペルオキシド、たとえば、ジ-tert-ブチルペルオキシドもしくはジ-クミルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t)ブチルペルオキシ(ヘキサン)、またはジベンゾイルペルオキシドである。
【0016】
使用されるアゾ化合物は、本質的には、2,2'-アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、および2,2'-アゾビス(アミジノプロピル)二塩酸塩(AIBA、Wako Chemicals製のV-50TMに対応する)、1,1'-アゾビス(1-シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2'-アゾビス(2-アミジノプロパン)塩、4,4'-アゾビス(4-シアノ吉草酸)、または2-(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリルである。
【0017】
レドックス開始剤系に好適な酸化剤は、本質的には、上述のペルオキシドである。使用しうる対応する還元剤は、低酸化状態を有する硫黄化合物、たとえば、アルカリ金属亜硫酸塩、たとえば、亜硫酸カリウムおよび/または亜硫酸ナトリウム、アルカリ金属亜硫酸水素塩、たとえば、亜硫酸水素カリウムおよび/または亜硫酸水素ナトリウム、アルカリ金属メタ重亜硫酸塩、たとえば、メタ重亜硫酸カリウムおよび/またはメタ重亜硫酸ナトリウム、ホルムアルデヒドスルホキシル酸塩、たとえば、ホルムアルデヒドスルホキシル酸カリウムおよび/またはホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム、脂肪族スルフィン酸のアルカリ金属塩、特定的には、カリウム塩および/またはナトリウム塩、ならびにアルカリ金属硫化水素化物、たとえば、硫化水素カリウムおよび/または硫化水素ナトリウムなど、多価金属の塩、たとえば、硫酸鉄(II)、硫酸アンモニウム鉄(II)、リン酸鉄(II)、エンジオール、たとえば、ジヒドロキマレイン酸、ベンゾイン、および/またはアスコルビン酸、ならびに還元性サッカリド、たとえば、ソルボース、グルコース、フルクトース、および/またはジヒドロキシアセトンである。
【0018】
開始剤は、通常、重合されるモノマーを基準にして10重量%まで、好ましくは0.02〜5重量%の量で使用される。
【0019】
調節剤
使用される調節剤は、好ましくは、アルカンチオールである。2種以上の調節剤の混合物を使用することも可能である。
【0020】
使用されるアルカンチオールは、C10〜C22の炭素鎖長を有する直鎖状および分枝状のアルカンチオールである。とくに好ましいのは、直鎖状アルカンチオールであり、さらに好ましいのは、C12〜C22、特定的にはC12〜C18の鎖長を有するアルカンチオールである。好ましいアルカンチオールは、n-デカンチオール、n-ドデカンチオール、tert-ドデカンチオール、n-テトラデカンチオール、n-ペンタデカンチオール、n-ヘキサデカンチオール、n-ヘプタデカンチオール、n-オクタデカンチオール、n-ノナデカンチオール、n-エイコサンチオール、n-ドコサンチオールである。とくに好ましいのは、直鎖状偶数アルカンチオールである。
【0021】
アルカンチオールは、混合物として使用することも可能である。
【0022】
アルカンチオールは、通常、重合されるモノマーを基準にして、0.1〜5重量%、特定的には0.25〜2重量%の量で使用される。アルカンチオールは、通常、モノマーと共に重合系に添加される。
【0023】
過酸化水素処理
重合時、C10〜C13の炭素鎖長を有するアルカンチオールを使用する場合、無臭(neutral odor)のポリマーを得るために、後続の過酸化水素処理が必要である。重合に続くこの過酸化水素処理では、通常、重合されるモノマーを基準にして、0.01〜2.0重量%、特定的には0.02〜1.0重量%、好ましくは0.3〜0.8重量%、さらに好ましくは0.03〜0.15重量%の過酸化水素が使用される。20〜100℃、特定的には30〜80℃の温度で過酸化水素処理を行うのが有利であることが判明した。過酸化水素処理は、通常、30分間〜240分間、特定的には45分間〜90分間かけて行われる。
【0024】
C14〜C22の炭素鎖長を有するアルカンチオールを使用する場合、過酸化水素処理は、省略可能である。しかしながら、本発明のさらなる実施形態では、C14〜C22の鎖長を有するアルカンチオールを使用する場合でさえも、続いて過酸化水素処理を行ってもよい。
【0025】
K値
本発明に係るポリマーは、27〜38のK値を有する。好ましい実施形態では、本発明に係るポリマーのK値は、29〜35の範囲内、とくに好ましくは30〜34の範囲内、なかでもとくに好ましくは30〜32の範囲内である。それぞれの場合に望まれるK値は、重合温度や開始剤濃度などの重合条件を選択することにより、調整可能である。好ましい実施形態では、とくに乳化重合および懸濁重合を用いる場合、K値を調整するために調節剤が使用される。
【0026】
K値は、調節剤のタイプおよび/または量を選択することにより、調整可能である。好ましい実施形態では、モノマーの全量を基準にして比較的大量の調節剤により、より低いK値に設定される。
【0027】
ガラス転移温度
本発明に係るポリマーを調製するために適切であれば使用されるモノマーCは、モノマーCの少なくとも1種が30℃未満のガラス転移温度を有するホモポリマーを生成するように選択される。本発明に係るポリマーは、通常、50〜130℃、特定的には60〜100℃のガラス転移温度Tgを有する。
【0028】
ガラス転移温度Tgは、G.Kanig(Kolloid-Zeitschrift & Zeitschrift fuer Polymere, Vol. 190, page 1, equation 1)に従ってガラス転移温度が分子量の増加に伴って到達するガラス転移温度の限界値である。ガラス転移温度は、DSC法(示差走査熱量測定、20K/分、中点測定、DIN 53 765)によって決定される。
【0029】
上述のモノマーのホモポリマーのTg値は公知であり、たとえば、Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, Verlag Chemie, Weinheim, 1992, 5th edition, Vol. A21, page 169に示されている。ホモポリマーのガラス転移温度の他の情報源は、たとえば、J. Brandrup, E.H. Immergut, Polymer Handbook, 1st Ed., J. Wiley, New York 1966, 2nd Ed. J.Wiley, New York 1975, and 3rd Ed. J. Wiley, New York 1989である。
【0030】
Fox (T.G. Fox, Bull. Am. Phys. Soc. 1956 [Ser. II] 1, page 123)によれば、さらにはUllmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, Vol. 19, page 18, 4th edition, Verlag Chemie, Weinheim, 1980によれば、最大でも弱く架橋されたコポリマーのガラス転移温度の良好な近似値は、次のとおりである:
1/Tg = x1/ Tg 1 + x2/ Tg 2 + .... xn/ Tg n,
ただし、x1、x2、....xnは、モノマー1、2、.... nの質量分率であり、そしてTg 1、Tg 2、....Tg nは、モノマー1、2、.... nの1種のみで構成されたポリマーのガラス転移温度(ケルビン度)である。
【0031】
乳化重合の実施
乳化重合は、通常、酸素を排除して(たとえば、窒素またはアルゴンの雰囲気下で)、20〜200℃の範囲内の温度で、行われる。50〜130℃、特定的には70〜95℃の範囲内の重合温度が有利である。
【0032】
ラジカル開始乳化重合の場合、凝集を回避するため、とくに比較的高い温度では、重合混合物が沸騰しないことが保証されなければならない。これは、重合混合物の蒸気圧よりも高い不活性ガス圧力、たとえば、1.2bar、1.5bar、2bar、3bar、5bar、10bar、さらにはそれ以上の圧力(いずれの場合にも絶対値)で、重合反応を行うことにより、回避しうる。重合は、バッチ方式、半連続方式、または連続方式で行われる。重合ならびにモノマーおよび調節剤の供給は、多くの場合、フィード法により半連続方式で行われる。モノマーおよび分散剤の量は、便宜上、濃度30〜80重量%のコポリマーディスパージョンが構築されるように、選択される。好ましくは、モノマー、開始剤、および適切であれば調節剤のうちの少なくともいくつかは、重合全体を通して反応槽中に均一に計量導入される。しかしながら、反応器内にモノマーおよび開始剤を最初に仕込んで、適切であれば冷却しながら、それらを重合することも可能である。
【0033】
好ましい実施形態によれば、重合は、シードラテックスを用いて行われる。シードラテックスは、便宜上、慣例に従って最初の重合段階で重合されるポリマーから調製される。モノマー混合物の残りの部分は、好ましくはフィード法により、添加される。
【0034】
重合反応は、有利には、モノマーの転化率が>95重量%、好ましくは>98重量%または>99重量%になるまで、行われる。
【0035】
多くの場合、未反応モノマーの量をさらに減少させるために、得られた水性ポリマーディスパージョンを後重合工程に付すことが有用である。この手段は、当業者には公知である(たとえば、EP-B 3957、EP-B 28348、EP-B 563726、EP-A 764699、EP-A 767180、DE-A 3718520、DE-A 3834734、DE-A 4232194、DE-A 19529599、DE-A 19741187、DE-A 19839199、DE-A 19840586、WO 95/33775、またはUS 4529753)。
【0036】
ディスパージョンの処理
本発明に従って得られる水性ポリマーディスパージョンは、再分散性ポリマー粉末が得られるように簡単な方法で乾燥させることが可能である。ポリマーを乳化重合により調製した場合、得られたディスパージョンは、水性、水性アルコール性、またはアルコール性の化粧品製剤(たとえばヘアセッティング製剤)中に直接組み込むことができ、またはポリマーを粉末の形態で使用し、処理できるようにディスパージョンの乾燥(たとえば、噴霧乾燥もしくは凍結乾燥)を行うことができる。
【0037】
もちろん、後重合工程の前または後、得られた水性ポリマーディスパージョンを当業者に公知のように不活性ガスストリッピングおよび/またはスチームストリッピングに付すことも可能である。このストリッピング操作は、好ましくは、後重合工程の後、行われる。EP-A 805169に記載されているように、物理的脱臭の前、5〜7の範囲内のpH、好ましくは5.5〜6.5の範囲内のpHにディスパージョンを部分中和することが有利である。
【0038】
中和
さらに、後処理の前または後、水性ディスパージョン中に存在するポリマーを部分中和または完全中和することが可能である。とくに毛髪化粧品製剤でポリマーを使用する場合、ポリマーディスパージョンを部分中和または完全中和することが有利である。通常、ポリマーは、アルカリ金属水酸化物を用いて、好ましくはアミンを用いて、部分中和または完全中和され、便宜上5〜100%、多くの場合30〜95%中和される。好ましい実施形態では、ポリマーは部分中和され、とくに好ましい実施形態では、完全中和されている。
【0039】
中和は、有利には、
・ アルカノール基中に2〜5個の炭素原子を有するモノ、ジ、もしくはトリアルカノールアミン(適切であれば、エーテル化形態で存在する)、たとえば、モノ、ジ、およびトリエタノールアミン、モノ、ジ、およびトリ-n-プロパノールアミン、モノ、ジ、およびトリイソプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチルプロパノール、ならびにジ(2-メトキシエチル)アミン、
・ 2〜5個の炭素原子を有するアルカンジオールアミン、たとえば、2-アミノ-2-メチルプロパン-1,3-ジオールおよび2-アミノ-2-エチルプロパン-1,3-ジオール、または
・ 合計で5〜10個の炭素原子を有する第一級、第二級、もしくは第三級アルキルアミン、たとえば、N,N-ジエチルプロピルアミンもしくは3-ジエチルアミノ-1-プロピルアミン、
を用いて行われる。
【0040】
良好な中和結果は、多くの場合、2-アミノ-2-メチルプロパノール、トリイソプロパノールアミン、2-アミノ-2-エチルプロパン-1,3-ジオール、または3-ジエチルアミノ-1-プロピルアミンで得られる。
【0041】
中和に好適なアルカリ金属水酸化物は、主に、水酸化ナトリウム、または水酸化カリウムおよび水酸化アンモニウムである。
【0042】
同様に中和に好適なのは、水性緩衝溶液、たとえば、アルカリ金属またはアンモニウムの炭酸塩または重炭酸塩をベースとする緩衝液である。中和剤は、好ましくは、希薄水溶液の形態でポリマーディスパージョンに添加される。
【0043】
pHはまた、適切であれば、緩衝溶液を添加することにより調整することも可能であり、好ましいのは、アルカリ金属またはアンモニウムの炭酸塩または炭酸水素塩をベースとする緩衝液である。
【0044】
粒子サイズの決定
水性ディスパージョン中に存在するポリマー粒子は、一般的には、> 5 nm、> 10 nm、> 20 nm、> 30 nm、> 40 nm、> 50 nm、> 60 nm、> 70 nm、> 80 nm、> 90 nm、または> 100 nmおよびそれらの間のすべての値、かつ< 700 nm、< 500 nm、< 400 nm、< 350 nm、< 300 nm、< 250 nm、< 200 nm、< 150 nm、< 100 nm、< 90 nm、< 80 nm、< 70 nm、< 60 nm、< 50 nm、または< 40 nmおよびそれらの間のすべての値である重量平均粒子直径を有する。重量平均粒子直径の決定は、当業者には公知であり、たとえば、分析用超遠心法を利用して行われる。本明細書中では、重量平均粒子直径は、分析用超遠心法により決定される重量平均Dw50値を意味するものとする(これに関しては、次の文献を参照されたい: S.E. Harding et al., Analytical Ultracentrifugation in Biochemistry and Polymer Science, Royal Society of Chemistry, Cambridge, Great Britain 1992, Chapter 10, Analysis of Polymer Dispersions with an Eight-Cell-AUC Multiplexer: High Resolution Particle Size Distribution and Density Gradient Techniques, W. Maechtle, pages 147 to 175)。
【0045】
本発明に従って利用可能な水性ポリマーディスパージョンのポリマー固形分含有率は、ほとんどの場合5〜70重量%、多くの場合20〜60重量%または30〜60重量%である。
【0046】
ポリマーの使用
本発明に係る(メタ)アクリレートポリマーは、化粧品製剤(cosmetic preparation)、衛生製剤(hygiene preparation)、外皮用製剤(dermatological preparation)、および/または医薬製剤で使用される。これらの製剤は、当業者の熟知する慣例に従って調製される。本発明に係る(メタ)アクリレートポリマーは、好ましくは化粧品製剤、とくに好ましくは毛髪化粧品製剤で使用される。本発明に係る(メタ)アクリレートポリマーはまた、好ましくは、オーラルケア用およびデンタルケア用の製剤で使用される。
【0047】
本発明に係る(メタ)アクリレートポリマーは、優れた皮膜形成性により特性付けられる。したがって、本発明はさらに、皮膜形成剤としての(メタ)アクリレートポリマーの使用を提供する。化粧品製剤で使用する場合、部分中和または完全中和された形態で存在する(メタ)アクリレートポリマーは、とくに好適である。
【0048】
化粧品製剤
本発明に係る(メタ)アクリレートポリマーは、化粧品製剤では、水溶液もしくは水性アルコール性溶液、O/W型およびW/O型エマルジョンの形態で、シャンプー、クリーム、フォーム、スプレー(ポンプスプレーもしくはエアロゾル)、ゲル、ゲルスプレー、ローション、またはムースの形態で存在可能であり、それに応じて慣用的なさらなる助剤と共に製剤化される。本発明に係る(メタ)アクリレートポリマーは、化粧品製剤では、好ましくは、スプレー(ポンプスプレーまたはエアロゾル)として製剤化される。それらは、とくに好ましくは、VOC-55製剤として提供される。
【0049】
添加剤
本発明に係る(メタ)アクリレートポリマーおよび好適な溶媒に加えて、化粧品製剤、外皮用製剤、衛生製剤、および/または医薬製剤は、そのような製剤で慣用される添加剤、たとえば、乳化剤および共乳化剤、界面活性剤、オイルボディー、保存剤、香料油、化粧ケア物質および化粧活性成分(たとえば、AHA酸、フルーツ酸、セラミド、フィタントリオール、コラーゲン、ビタミンおよびプロビタミン、たとえば、ビタミンA、E、およびC、レチノール、ビサボロール、パンテノール)、天然および合成の光防御剤、天然物質、乳白剤、溶解促進剤、忌避剤、漂白剤、着色剤、色味剤、日焼け剤(たとえば、ジヒドロキシアセトン)、マイクロ顔料(たとえば、酸化チタンまたは酸化亜鉛)、過脂肪剤、真珠光沢ワックス、賦形剤(bodying agent)、増粘剤(thickener)、可溶化剤、錯化剤、脂肪、ワックス、シリコーン化合物、ヒドロトロピー剤、染料、安定剤、pH調整剤、反射剤、タンパク質およびタンパク質加水分解物(たとえば、コムギ、アーモンド、またはエンドウマメのタンパク質)、セラミド、タンパク質加水分解物、塩、ゲル形成剤、賦形剤、シリコーン、湿潤剤、再加脂剤(refatting agent)、ならびにさらなる慣用的添加剤をも含みうる。さらに、とくに、それぞれの場合に望まれる性質を設定するために、さらなるポリマーを存在させてもよい。UV線が原因の有害作用から皮膚および毛髪を保護するために、UV光防御剤もまた化粧品製剤に存在させてもよい。助剤は、重合中に存在していてもよいし、かつ/または重合後に添加してもよい。特定のクラスの助剤の例を以下に記載するが、利用可能な助剤は、例示的に特定されたそれらの助剤に限定されるものではない。したがって、本発明はさらに、化粧品製剤および/または医薬製剤における本発明に係るポリマーの使用を提供する。
【0050】
UV光防御
化粧品製剤および医薬製剤で使用される光防御フィルター剤は、ヒト皮膚に及ぼす太陽光の有害作用を防止するかまたは少なくともその影響を低減する役割を有する。しかしながら、それに加えて、これらの光防御フィルター剤はまた、UV線による分解または劣化からさらなる成分を保護するうえでも役立つ。毛髪化粧製剤では、その目的は、UV線が原因のケラチン繊維の損傷を防止することである。
【0051】
地球の表面に達する太陽光は、UV-B放射線部分(280〜320nm)と可視光領域に直接界接するUV-A放射線部分(320〜400nm)とを有する。ヒト皮膚に及ぼす影響は、とくにUV-B放射線の場合、日焼けから明らかである。
【0052】
太陽光の紅斑活性が最大になる部分は、308nm近傍の比較的狭い範囲として与えられる。
【0053】
UV-B放射線から保護するための化合物は、多数知られており、とくに、3-ベンジリデンカンファー誘導体、4-アミノ安息香酸誘導体、ケイ皮酸誘導体、サリチル酸誘導体、ベンゾフェノン誘導体、および2-フェニルベンゾイミダゾール誘導体が挙げられる。
【0054】
また、約320nm〜約400nmの範囲(いわゆるUV-A領域)で利用可能なフィルター物質を有することも重要である。なぜなら、その光線は、光過敏性皮膚の反応を引き起こす可能性があるからである。UV-A放射線は、結合組織の弾性繊維および膠原繊維の損傷を引き起こして皮膚の早期老化を惹起すること、および多数の光毒性反応および光アレルギー反応の原因と見なされるものであることが明らかにされている。UV-B放射線の有害作用もまた、UV-A放射線により増強される可能性がある。
【0055】
使用しうるUV光防御フィルター剤は、油溶性有機UV-Aフィルター剤および/もしくは油溶性有機UV-Bフィルター剤ならびに/または水溶性有機UV-Aフィルター剤および/もしくは水溶性有機UV-Bフィルター剤である。UV光防御フィルター剤の全量は、製剤の全重量を基準にして、一般的には0.1重量%〜30重量%、好ましくは0.5〜15重量%、特定的には1〜10重量%である。
【0056】
UV光防御フィルター剤は、有利には、製剤が全範囲の紫外線から皮膚を保護するように選択される。
【0057】
UV光防御フィルター剤の例は、以下のとおりである:
【表1】

【0058】

【0059】
組み合わせることのできるさらなる光防御剤は、とくに、以下の化合物である:
【化1】

【0060】

【0061】

【0062】

【0063】
本発明に係るポリマーと組み合わせて使用しうる特定のUV光防御フィルター剤の一覧は、当然ながら、限定することを意図したものではない。
【0064】
抗菌剤
このほか、抗菌剤も使用可能である。これらには、一般に、グラム陽性細菌に対して特異的作用を有するすべての好適な保存剤、たとえば、トリクロサン(2,4,4'-トリクロロ-2'-ヒドロキシジフェニルエーテル)、クロルヘキシジン(1,1'-ヘキサメチレンビス[5-(4-クロロフェニル)ビグアニド)、およびTTC(3,4,4'-トリクロロカルバニリド)が包含される。
【0065】
第四級アンモニウム化合物は、基本的には、同様に好適であるが、好ましくは、殺菌石鹸や洗浄ローションに使用される。
【0066】
多数の芳香剤もまた、抗微生物特性を有する。グラム陽性細菌に対して特有の効力を有する特定の組合せが、いわゆるデオドラント香料を構成するために使用される。
【0067】
同様に、たとえば、チョウジ油(オイゲノール)、ミント油(メントール)、またはタイム油(チモール)のような多数のエッセンシャルオイルまたはそれらの特性成分も、顕著な抗微生物効果を呈する。
【0068】
抗細菌性有効物質は、一般的には、約0.1〜0.3重量%の濃度で使用される。
【0069】
皮膚化粧品製剤
特定されうる化粧品製剤は、たとえば、皮膚化粧品製剤、とくに、皮膚のケア用および/またはクレンジング用の製剤である。これらは、特定的には、W/O型またはO/W型のスキンクリーム、デイクリームおよびナイトクリーム、アイクリーム、フェイスクリーム、アンチリンクルクリーム、ミミッククリーム、モイスチャライジングクリーム、ブリーチングクリーム、ビタミンクリーム、スキンローション、ケアローション、およびモイスチャライジングローションの形態で存在する。それらはまた、フェイストニック、フェイスマスク、デオドラント、および他の化粧ローションのような皮膚化粧品製剤にも好適であり、さらには、美容化粧品において、たとえば、コンシーリングスティック、ステージメーキャップとして使用したり、マスカラおよびアイシャドー、リップスティック、コールペンシル、アイライナー、メーキャップ、ファンデーション、ブラッシャーおよびパウダー、ならびにアイブロウペンシルで使用したりするうえでも、好適である。
【0070】
さらに、本発明に係る(メタ)アクリレートポリマーは、ポアクレンジング用の毛穴パックで使用したり、抗座瘡成分、忌避剤、シェービング組成物、脱毛剤、個人衛生組成物、フットケア組成物で使用したり、ベビーケアで使用したりすることが可能である。
【0071】
このほか、本発明に係るポリマーは、毛髪、皮膚、および爪のような角質含有表面および角質類似表面に対するコーティングとしてまたはそれに組み込んで使用される。
【0072】
たとえば、本発明に係るポリマーはまた、皮膚をクレンジングするための化粧組成物に組み込んで使用される。そのような化粧クレンジング組成物は、たとえば、固形石鹸(たとえば、化粧石鹸、含核石鹸、透明石鹸、高級石鹸、デオドラント石鹸、クリーム石鹸、ベビー石鹸、皮膚保護石鹸、研磨石鹸、および研磨合成洗剤)、液状石鹸(たとえば、ペースト状石鹸、軟石鹸、および洗浄ペースト、ならびに液体洗浄液)、シャワー製剤および入浴製剤(たとえば、洗浄ローション、シャワー入浴剤およびシャワーゲル、フォーム入浴剤、オイル入浴剤、ならびにスクラブ製剤)、ならびにシェービングフォーム、シェービングローション、およびシェービングクリームである。
【0073】
使用分野にもよるが、本発明に係る組成物は、スキンケアに好適な形態で、たとえば、クリーム、フォーム、ゲル、スティック、ムース、乳液、スプレー、またはローションとして、適用しうる。とくに好ましいのは、ゲルの形態での使用、特定的には透明ゲルの形態での使用である。
【0074】
本発明に係るポリマーおよび好適な担体に加えて、皮膚化粧品製剤は、以上に記載したような皮膚化粧品で慣用される活性成分および助剤をも含みうる。これらには、好ましくは、乳化剤、保存剤、香料油、化粧活性成分(たとえば、フィタントリオール、ビタミンA、E、およびC、レチノール、ビサボロール、パンテノール)、天然および合成の光防御剤、漂白剤、着色剤、色味剤、日焼け剤、コラーゲン、タンパク質加水分解物、安定剤、pH調整剤、染料、塩、増粘剤、ゲル化剤、賦形剤、シリコーン、湿潤剤、再加脂剤、およびさらなる慣用的添加剤が包含される。
【0075】
皮膚化粧組成物および外皮用組成物の好ましい油成分および脂肪成分は、上述した鉱油および合成油(たとえば、パラフィン、シリコーン油、8個超の炭素原子を有する脂肪族炭化水素など)、動物油および植物油(たとえば、ヒマワリ油、ココナツ油、アボカド油、オリーブ油など)、ラノリン、またはワックス、脂肪酸、脂肪酸エステル(たとえば、C6〜C30-脂肪酸の6.トリグリセリドなど)、ワックスエステル(たとえば、ホホバ油など)、脂肪アルコール、ワセリン、水素化ラノリンおよびアセチル化ラノリン、ならびにそれらの混合物である。
【0076】
特定の性質を付与しようとする場合、本発明に係るポリマーを従来のポリマーと混合することも可能である。特定の性質を付与するために、たとえば、触感、展延挙動、耐水性、および/または活性成分と顔料のような助剤との結合性を改良するために、皮膚化粧品製剤および外皮用製剤は、シリコーン化合物をベースとするコンディショニング物質をも追加的に含みうる。好適なシリコーン化合物は、たとえば、ポリアルキルシロキサン、ポリアリールシロキサン、ポリアリールアルキルシロキサン、ポリエーテルシロキサン、またはシリコーン樹脂である。
【0077】
化粧品製剤または外皮用製剤は、当業者に公知の慣用的方法により調製される。
【0078】
化粧組成物および外皮用組成物は、好ましくはエマルジョンの形態、特定的には油中水型(W/O型)もしくは水中油型(O/W型)のエマルジョンの形態である。しかしながら、同様に、他の製剤タイプ、たとえば、ヒドロディスパージョン、ゲル、オイル、オレオゲル、マルチプルエマルジョン(たとえば、W/O/W型もしくはO/W/O型のエマルジョンの形態)、無水軟膏、または軟膏基剤などを選択することも可能である。
【0079】
エマルジョンの調製は、公知の方法により行われる。本発明に係るポリマーに加えて、エマルジョンは、一般的には、慣用的成分、たとえば、脂肪アルコール、脂肪酸エステル(特定的には脂肪酸トリグリセリド)、脂肪酸、ラノリンおよびその誘導体、天然もしくは合成の油またはワックス、ならびに乳化剤を水の存在下で含む。エマルジョンのタイプに特異的な添加剤の選択および好適なエマルジョンの製剤については、たとえば、Schrader, Grundlagen und Rezepturen der Kosmetika [Fundamentals and Formulations of Cosmetics], Huethig Buch Verlag, Heidelberg, 2nd edition, 1989, third part(参照により本明細書に明示的に組み入れられるものとする)に記載されている。
【0080】
好適なエマルジョン(たとえば、スキンクリーム用のエマルジョン)は、一般的には、好適な乳化剤系を用いて油相中または脂肪相中に乳化された水相を含む。このタイプのエマルジョン中の乳化剤系の分率は、好ましくは、エマルジョンの全重量を基準にして約4〜35重量%である。脂肪相の割合は、約20〜60重量%である。好ましくは、水相の割合は、いずれの場合にもエマルジョンの全重量を基準にして、約20〜70%である。乳化剤は、このタイプのエマルジョンで慣用されるものである。それらは、たとえば、C12〜C18-ソルビタン脂肪酸エステル、ヒドロキシステアリン酸とC12〜C30-脂肪アルコールとのエステル、C12〜C18-脂肪酸とグリセロールまたはポリグリセロールとのモノおよびジエステル、エチレンオキシドとプロピレングリコールとの縮合物、オキシプロピレン化/オキシエチル化C12〜C18-脂肪アルコール、多環式アルコール(たとえばステロール)、高分子量を有する脂肪族アルコール(たとえばラノリン)、オキシプロピレン化/ポリグリセロール化アルコールとマグネシウムイソステアレートとの混合物;ポリオキシエチレン化またはポリオキシプロピレン化脂肪アルコールのコハク酸エステル、ならびにマグネシウム、カルシウム、リチウム、亜鉛、またはアルミニウムのラノレートと水素化ラノリンまたはラノリンアルコールとの混合物から選択される。
【0081】
エマルジョンの脂肪相中に存在しうる好ましい脂肪成分は、炭化水素油、たとえば、パラフィン油、パーセリン油、ペルヒドロスクアレン、これらの油中にマイクロクリスタリンワックスを含む溶液など;動物油または植物油、たとえば、スイートアーモンド油、アボカド油、カロフィラム油、ラノリンおよびその誘導体、ヒマシ油、ゴマ油、オリーブ油、ホホバ油、カリテ油、ヒウチダイ油など;大気圧下の初留点が約250℃かつ蒸留終点が約410℃である鉱油、たとえば、ワセリン油など、飽和脂肪酸エステルまたは不飽和脂肪酸エステル、たとえば、アルキルミリステート(たとえば、イソプロピルミリステート、ブチルミリステート、またはセチルミリステート)、ヘキサデシルステアレート、エチルパルミテートまたはイソ-プロピルパルミテート、オクタン酸トリグリセリドまたはデカン酸トリグリセリド、セチルリシノレエートなどである。
【0082】
脂肪相はまた、他の油に可溶なシリコーン油(たとえば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、シリコーングリコールコポリマーなど)、脂肪酸、および脂肪アルコールを含みうる。
【0083】
油の保持性を増大させるために、本発明に係るポリマーに加えて、ワックス、たとえば、カルナウバワックス、カンデリラワックス、ビーズワックス、マイクロクリスタリンワックス、オゾケライトワックス、Ca、Mg、およびAlのオレイン酸塩、ミリスチン酸塩、リノール酸塩、およびステアリン酸塩などを使用することも可能である。
【0084】
一般的には、油中水型エマルジョンは、脂肪相および乳化剤を混合容器に添加することにより調製される。後者は、約50〜75℃の温度で加熱され、次に、油溶性活性成分および/または助剤が添加され、そしてほぼ同一の温度にあらかじめ加熱されかつ適切であれば水溶性成分があらかじめ溶解された水が、攪拌しながら添加される。混合物は、所望の微細度のエマルジョンが得られるまで攪拌され、次に、放置され、適切であれば穏やかに攪拌しながら、室温まで冷却される。
【0085】
さらなる好ましい実施形態によれば、本発明に係る組成物は、シャワーゲル、シャンプー製剤、または入浴製剤である。好ましいのは、シャワーゲル、特定的には透明シャワーゲルである。そのような製剤は、少なくとも1種の本発明に係るポリマーと、通常、ベース界面活性剤としてアニオン性界面活性剤と、共界面活性剤として両性界面活性剤および/または非イオン性界面活性剤と、を含む。さらなる好適な活性成分および/または助剤は、慣例に従って、脂質、香料油、染料、有機酸、保存剤、および抗酸化剤、ならびに増粘剤、ゲル形成剤、スキンコンディショニング剤、および湿潤剤から選択される。
【0086】
好ましくは、これらの製剤は、製剤の全重量を基準にして、約2〜50重量%、好ましくは5〜40重量%、とくに好ましくは8〜30重量%の界面活性剤を含む。
【0087】
ボディクレンジング組成物で慣用されるアニオン性、中性、両性、またはカチオン性の界面活性剤はすべて、洗浄製剤、シャワー製剤、および入浴製剤で使用可能である。
【0088】
好適なアニオン性界面活性剤は、たとえば、アルキルスルフェート、アルキルエーテルスルフェート、アルキルスルホネート、アルキルアリールスルホネート、アルキルスクシネート、アルキルスルホスクシネート、N-アルコイルサルコシネート、アシルタウレート、アシルイソチオネート、アルキルホスフェート、アルキルエーテルホスフェート、アルキルエーテルカルボキシレート、アルファ-オレフィンスルホネート、特定的には、アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩、たとえば、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、およびアンモニウム塩、ならびにトリエタノールアミン塩である。
【0089】
アルキルエーテルスルフェート、アルキルエーテルホスフェート、およびアルキルエーテルカルボキシレートは、分子中に1〜10個のエチレンオキシド単位およびプロピレンオキシド単位、好ましくは1〜3個のエチレンオキシド単位を有しうる。
【0090】
これらには、たとえば、ナトリウムラウリルスルフェート、アンモニウムラウリルスルフェート、ナトリウムラウリルエーテルスルフェート、アンモニウムラウリルエーテルスルフェート、ナトリウムラウリルサルコシネート、ナトリウムオレイルスクシネート、アンモニウムラウリルスルホスクシネート、ナトリウムドデシルベンゼンスルホネート、トリエタノールアミンドデシルベンゼンスルホネートが包含される。
【0091】
好適な両性界面活性剤は、たとえば、アルキルベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、アルキルスルホベタイン、アルキルグリシネート、アルキルカルボキシグリシネート、アルキルアンホアセテートまたはプロピオネート、アルキルアンホジアセテートまたはジプロピオネートである。たとえば、ココジメチルスルホプロピルベタイン、ラウリルベタイン、ココアミドプロピルベタイン、またはナトリウムココアンホプロピオネートを使用しうる。
【0092】
好適な非イオン性界面活性剤は、たとえば、アルキル鎖(直鎖状であっても分枝状であってもよい)中に6〜20個の炭素原子を有する脂肪族アルコールまたはアルキルフェノールと、エチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドと、の反応生成物である。アルキレンオキシドの量は、アルコール1モルあたり約6〜60molである。同様に好適なのは、アルキルアミンオキシド、モノもしくはジアルキルアルカノールアミド、ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル、エトキシル化脂肪酸アミド、アルキルポリグリコシド、またはソルビタンエーテルエステルである。
【0093】
このほか、洗浄製剤、シャワー製剤、および入浴製剤は、たとえば、第四級アンモニウム化合物(たとえばセチルトリメチルアンモニウムクロリド)のような慣用的カチオン性界面活性剤を含みうる。
【0094】
このほか、さらなる慣用的カチオン性ポリマーを使用することも可能もある。したがって、たとえば、アクリルアミドとジメチルジアリルアンモニウムクロリドとのコポリマー(ポリクアテルニウム-7)、カチオン性セルロース誘導体(ポリクアテルニウム-4、ポリクアテルニウム-10)、グアーヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(INCI:ヒドロキシプロピルグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド)、N-ビニルピロリドンと四級化N-ビニルイミダゾールとのコポリマー(ポリクアテルニウム-16、-44、-46)、N-ビニルピロリドン/ジエチルスルフェートで四級化されたジメチルアミノエチルメタクリレートのコポリマー(ポリクアテルニウム-11)などが使用可能である。
【0095】
シャワーゲル製剤/シャンプー製剤はまた、たとえば、塩化ナトリウム、PEG-55、プロピレングリコールオレエート、PEG-120メチルグルコースジオレエートなどのような増粘剤、さらには保存剤、さらなる活性成分および助剤、ならびに水をも含みうる。
【0096】
毛髪化粧品製剤
とくに好ましいのは、毛髪化粧品製剤における(メタ)アクリレートポリマーの使用である。毛髪化粧品製剤として挙げられうるのは、ヘアトリートメント、ヘアローション、ヘアリンス、ヘアエマルジョン、エンドフルイド、パーマネントウェーブ用ニュートラライジング剤、ホットオイルトリートメント製剤、コンディショナー、カールリラクサー、スタイリングラップローション、セッティングローション、シャンプー、ヘアワックス、ポマード、ヘアムース、ヘアカラー、またはヘアスプレーである。とくに好ましいのは、スプレー製剤および/またはヘアムースの形態であるヘアスタイルセッティング組成物における(メタ)アクリレートポリマーの使用である。
【0097】
本発明に係る(メタ)アクリレートポリマーは、毛髪化粧品製剤において、スプレー製剤中の非極性噴射剤(特定的には炭化水素、たとえば、n-プロパン、イソプロパン、n-ブタン、イソブタン、n-ペンタン、およびそれらの混合物)との良好な相溶性により、およびとくにポンプスプレーまたはエアロゾルとして優れた噴霧性により、特性付けられる。
【0098】
それらはまた、毛髪化粧品で慣用される他の添加剤と非常に容易に相溶可能であり、良好なヘアセッティング作用を有し、非常に良好な機械的性質を有する皮膜を形成し、しかも実質的に毛髪の粘着一体化を引き起こさないことにより特性付けられる。
【0099】
臭気がないことに加えて、(メタ)アクリレートポリマーは、毛髪化粧品製剤では適用特性に関して優れた結果を示す。それらは、エタノールやイソプロパノールのようなアルコールおよびこれらのアルコールと水との混合物に溶解して、透明溶液を生成する。溶液の透明性はまた、溶液をジメチルエーテルのような噴射剤と共に標準的スプレー製剤で使用した場合にも得られる。とくに、それらは、多くとも55重量%の揮発性有機物成分(VOC-55)を有する水性低VOC製剤として製剤化されて透明な混合物を与えることが可能である。本発明に係るヘアセッティング組成物は、問題なく毛髪から洗浄除去可能である。それを用いて処理された毛髪は、増大された柔軟性および心地よい自然な触感を有する。また、セッティング作用も良好であるので、基本的には、ヘアスプレー製剤において皮膜形成剤の必要量を削減することが可能である。(メタ)アクリレートポリマーが無臭であるという事実に基づいて、所要により、消臭香料油の添加を行わずにすますことが可能である。記載の理由により、(メタ)アクリレートポリマーは、毛髪化粧品製剤中の皮膜形成剤としてとくに好適である。
【0100】
(メタ)アクリレートポリマーは、化粧品製剤を基準にして、通常は0.1〜20重量%、好ましくは0.5〜10重量%、特定的には2〜10重量%の部分中和または完全中和(メタ)アクリレートポリマーとして使用される。
【0101】
ヘアスプレー製剤
好ましいのは、以下の成分を含む化粧品製剤(特定的にはヘアスプレー製剤)における(メタ)アクリレートポリマーの使用である:
・ 0.1〜20重量%、好ましくは0.5〜15重量%、特定的には1〜10重量%の部分中和または完全中和された(メタ)アクリレートポリマー、
・ 0〜99.9重量%、好ましくは1〜50重量%、特定的には10〜20重量%の水、
・ 0〜95重量%、好ましくは20〜60重量%、特定的には25〜50重量%の慣用的有機溶媒、たとえば、とくに、エタノール、イソプロパノール、およびジメトキシメタン、さらには、アセトン、n-プロパノール、n-ブタノール、2-メトキシプロパン-1-オール、n-ペンタン、n-ヘキサン、シクロヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタン、もしくはジクロロメタン、またはそれらの混合物、
・ 0〜90重量%、好ましくは30〜80重量%、特定的には45〜60重量%の慣用的噴射剤、たとえば、n-プロパン、イソプロパン、n-ブタン、イソブタン、2,2-ジメチルブタン、n-ペンタン、イソペンタン、ジメチルエーテル、ジフルオロエタン、フルオロトリクロロメタン、ジクロロジフルオロメタンもしくはジクロロテトラフルオロエタン、HFC 152 A、またはそれらの混合物。
【0102】
アルカノールアミンは、種々のタイプの酸を中和して化粧品のpHを設定するために使用される。例(INCI)としては、アミノメチルプロパノール、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エタノールアミン、メチルエタノールアミン、N-ラウリルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミンなどが挙げられる。アルカリ金属水酸化物(たとえば、NaOH、KOH)および他の塩基(たとえば、ヒスチジン、アルギニン、リシン、またはエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、メラミン、ベンゾグアナミン)を中和に使用することも可能である。記載の塩基はすべて、酸含有化粧品を中和するために、単独でまたは他の塩基と混合して使用可能である。
【0103】
噴射剤(噴射剤ガス)
上記の化合物のうち、主に使用される噴射剤(噴射剤ガス)は、炭化水素、特定的には、プロパン、n-ブタン、n-ペンタン、およびそれらの混合物、さらにはジメチルエーテルおよびジフルオロエタンである。適切であれば、1種以上の上記の塩素化炭化水素が、噴射剤混合物で共使用されるが、ただし、ごく少量で、たとえば、噴射剤混合物を基準にして20重量%までの量で、使用される。
【0104】
本発明に係る毛髪化粧品製剤はまた、噴射剤を添加しないポンプスプレー製剤に、またはそのほかに噴射剤として窒素、圧縮空気、もしくは二酸化炭素のような慣用的圧縮ガスを有するエアロゾルスプレーに、とくに好適である。
【0105】
標準的含水スプレー製剤は、たとえば、以下の組成を有する:
・ 2-アミノ-2-メチルプロパノールで100%まで中和された2〜10重量%の(メタ)アクリレートポリマー、
・ 10〜76重量%のエタノール、
・ 2〜20重量%の水、
・ 10〜60重量%のジメチルエーテルおよび/またはプロパン/n-ブタンおよび/またはプロパン/イソブタン。
【0106】
さらなるポリマー
化粧品製剤(特定的には、スキンケア製剤およびヘアケア製剤)の特定の性質を設定するために、本発明に係る(メタ)アクリレートポリマーをさらなるポリマーとの混合物の形態で使用することが有利なこともある。この目的に好適な従来のポリマーは、たとえば、アニオン性、カチオン性、両性、および中性のポリマーである。
【0107】
そのようなさらなるポリマーの好ましい例は、以下のとおりである:
・ エチルアクリレートとメタクリル酸とのコポリマー
・ N-tert-ブチルアクリルアミドとエチルアクリレートとアクリル酸とのコポリマー
・ ポリビニルピロリドン
・ ポリビニルカプロラクタム
・ ポリウレタン
・ アクリル酸とメチルメタクリレートとオクチルアクリルアミドとブチルアミノエチルメチルアクリレートとヒドロキシプロピルメタクリレートとのコポリマー、
・ ビニルアセテートとクロトン酸および/または(ビニル)ネオデカノエートとのコポリマー、
・ ビニルアセテートおよび/またはビニルプロピオネートとN-ビニルピロリドンとのコポリマー、
・ ビニルピロリドンとt-ブチルアクリレートとメタクリル酸とのカルボキシ官能性コポリマー、
・ tert-ブチルアクリレートとメタクリル酸とジメチコンコポリオールとのコポリマー。
【0108】
驚くべきことに、ポリマーをこれらのさらなるポリマーと組み合わせて含む製剤は、予想外の性質を有することが判明した。本発明に係る製剤は、とくにスキンケア性およびヘアケア性に関して、先行技術の製剤よりも優れている。このほか、それらは、非常に良好な皮膜形成性およびセッティング性を有する。
【0109】
エチルアクリレートとメタクリル酸とのコポリマー(INCI名:アクリレートコポリマー)は、たとえば、市販品LuviflexTM Soft (BASF)として入手可能である。
【0110】
N-tert-ブチルアクリルアミドとエチルアクリレートとアクリル酸とのコポリマー(INCI名:アクリレート/アクリルアミドコポリマー)は、たとえば、市販品Ultrahold StrongTM、Ultrahold 8TM (BASF)として入手可能である。
【0111】
ポリビニルピロリドン(INCI名:PVP)は、たとえば、Luviskol KTM、Luviskol K 30TM (BASF)、および PVP K (ISP)という商品名で入手可能である。
【0112】
ポリビニルカプロラクタム(INCI:ポリビニルカプロラクタム)は、たとえば、Luviskol PlusTM (BASF)という商品名で入手可能である。
【0113】
ポリウレタン(INCI:ポリウレタン-1)は、たとえば、LuvisetTM PURという商品名で入手可能である。
【0114】
アクリル酸とメチルメタクリレートとオクチルアクリルアミドとブチルアミノエチルメチルアクリレートとヒドロキシプロピルメタクリレートとのコポリマー(INCI:オクチルアクリルアミド/アクリレート/ブチルアミノエチルメタクリレートコポリマー)は、たとえば、AmphomerTM 28-4910およびAmphomerTM LV-71 (National Starch)という商品名で知られている。
【0115】
ビニルアセテートとクロトン酸とのコポリマー(INCI:VA/クロトネート/コポリマー)は、たとえば、Luviset CA 66TM (BASF)、ResynTM 28 1310 (National Starch)、およびAristoflexTM A (Celanese)という商品名で入手可能である。
【0116】
ビニルアセテートとクロトン酸と(ビニル)ネオデカノエートとのコポリマー(INCI:VA/クロトネート/ネオデカノエートコポリマー)は、たとえば、ResynTM 28-2930 (National Starch)およびLuvisetTM CAN (BASF)という商品名で入手可能である。
【0117】
ビニルアセテートとN-ビニルピロリドンとのコポリマー(INCI:PVP/VA)は、たとえば、Luviskol VATM (BASF)およびPVP/VA (ISP)という商品名で入手可能である。
【0118】
ビニルピロリドンとt-ブチルアクリレートとメタクリル酸とのカルボキシ官能性コポリマーは、たとえば、LuviskolTM VBM (BASF)という商品名で入手可能である。
【0119】
tert-ブチルアクリレートとメタクリル酸とジメチコンコポリオールとのコポリマーは、たとえば、Luviflex Silk (BASF)という商品名で入手可能である。
【0120】
好適なさらなるポリマーは、たとえば、アニオン性ポリマーである。そのようなアニオン性ポリマーは、アクリル酸およびメタクリル酸のホモポリマーおよびコポリマーまたはそれらの塩(本発明に係る(メタ)アクリレートポリマーとは異なる)、アクリル酸とアクリルアミドとのコポリマーおよびその塩、ポリヒドロキシカルボン酸のナトリウム塩、アクリル酸およびメタクリル酸とたとえば疎水性モノマー(たとえば、(メタ)アクリル酸のC4〜C30-アルキルエステル、C4〜C30-アルキルビニルエステル、C4〜C30-アルキルビニルエーテル)とのコポリマー、およびヒアルロン酸、さらには、Amerhold DR-25、UltraholdTM、LuvisetTM P.U.R.、AcronalTM、AcudyneTM、LovocrylTM、VersatylTM、AmphomerTM (28-4910、LV-71)、PlaciseTM L53、GantrezTM ES 425、Advantage PlusTM、OmnirezTM 2000、ResynTM 28-1310、ResynTM 28-2930、BalanceTM (0/55)、AcudyneTM 255、AristoflexTMA、またはEastman AQTMという商品名で知られる他のポリマーである。
【0121】
水溶性もしくは水分散性のポリエステル、ポリウレア、コポリウレタンウレア、場合によりアルコールと反応させた無水マレイン酸コポリマー、またはアニオン性ポリシロキサンもまた、追加のポリマーとして好適でありうる。
【0122】
さらなる好適な追加のポリマーはまた、たとえば、INCI名ポリクアテルニウムを有する以下のようなカチオン性ポリマーである:
・ N-ビニルピロリドン/N-ビニルイミダゾリウム塩のコポリマー(たとえば、LuviquatTM FC、LuviquatTM HM, LuviquatTM MS、LuviquatTM Care (BASF)という商品名で取得可能)
・ N-ビニルカプロラクタム/N-ビニルピロリドン/N-ビニルイミダゾリウム塩のコポリマー(たとえば、Luviquat HoldTMという商品名で入手可能)、
・ ジエチルスルフェートで四級化されたN-ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレートのコポリマー(たとえば、LuviquatTM PQ11という商品名で入手可能)、
・ カチオン性セルロース誘導体(ポリクアテルニウム-4および10)、
・ アクリルアミドコポリマー(ポリクアテルニウム-7)、
・ StyleezeTM CC-10、AquaflexTM SF-40、
・ グアーヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(INCI:ヒドロキシプロピルグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド)、
・ ポリエチレンイミンおよびその塩、
・ ポリビニルアミンおよびその塩。
【0123】
好適なさらなる毛髪化粧ポリマーはまた、中性ポリマーであり、たとえば、ポリビニルピロリドン、N-ビニルピロリドンとビニルアセテートおよび/またはビニルプロピオネートとのコポリマー、ポリシロキサン、ポリビニルカプロラクタムおよびN-ビニルピロリドンとのコポリマー、セルロース誘導体、ポリアスパラギン酸の塩および誘導体が挙げられる。これらには、LuviskolTM (K, VA, Plus)、PVP K、PVP/VA、AdvantageTMHC、およびH2OLD EP-1という商品名で知られるものが包含される。
【0124】
さらに、バイオポリマー(すなわち、天然で再生可能な原材料から得られるポリマー)は、同様に好適であり、天然のモノマービルディングブロックから構築される(たとえば、セルロース誘導体、キチン、キトサン、DNA、ヒアルロン酸、およびRNA誘導体)。
【0125】
さらなる好適なポリマーはまた、Yukaformer (R205, SM)やDiaformerのようなベタイン性ポリマーである。
【0126】
界面活性剤
好適なアニオン性界面活性剤は、たとえば、アルキルスルフェート、アルキルエーテルスルフェート、アルキルスルホネート、アルキルアリールスルホネート、アルキルスクシネート、アルキルスルホスクシネート、N-アルコイルサルコシネート、アシルタウレート、アシルイソチオネート、アルキルホスフェート、アルキルエーテルホスフェート、アルキルエーテルカルボキシレート、アルファ-オレフィンスルホネート、特定的には、アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩、たとえば、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、およびアンモニウム塩、ならびにトリエタノールアミン塩である。アルキルエーテルスルフェート、アルキルエーテルホスフェート、アルキルグリコールアルコキシレートおよびジグリコールアルコキシレート、ならびにアルキルエーテルカルボキシレートは、分子中に1〜10個のエチレンオキシド単位またはプロピレンオキシド単位、好ましくは1〜3個のエチレンオキシド単位を有しうる。
【0127】
たとえば、ナトリウムラウリルスルフェート、アンモニウムラウリルスルフェート、ナトリウムラウリルエーテルスルフェート、アンモニウムラウリルエーテルスルフェート、ナトリウムラウリルサルコシネート、ナトリウムオレイルスクシネート、アンモニウムラウリルスルホスクシネート、ナトリウムドデシルベンゼンスルホネート、トリエタノールアミンドデシルベンゼンスルホネートが好適である。
【0128】
好適な両性界面活性剤は、たとえば、アルキルベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、アルキルスルホベタイン、アルキルグリシネート、アルキルカルボキシグリシネート、アルキルアンホアセテートまたはアンホプロピオネート、アルキルアンホジアセテートまたはジプロピオネートである。
【0129】
たとえば、ココジメチルスルホプロピルベタイン、ラウリルベタイン、ココアミドプロピルベタイン、またはナトリウムココアンホプロピオネートを使用しうる。
【0130】
好適な非イオン性界面活性剤は、たとえば、アルキル鎖(直鎖状であっても分枝状であってもよい)中に6〜20個の炭素原子を有する脂肪族アルコールまたはアルキルフェノールと、エチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドと、の反応生成物である。アルキレンオキシドの量は、アルコール1モルあたり約6〜60molである。同様に好適なのは、アルキルアミンオキシド、モノもしくはジアルキルアルカノールアミド、ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル、エトキシル化脂肪酸アミド、アルキルポリグリコシド、アルキルグリコールアルコキシレートおよびジグリコールアルコキシレート、ならびにソルビタンエーテルエステルである。
【0131】
さらに、組成物は、第四級アンモニウム化合物(たとえばセチルトリメチルアンモニウムクロリド)のような慣用的カチオン性界面活性剤を含みうる。
【0132】
本発明に係る(メタ)アクリレートポリマーをシャンプー製剤で使用する場合、これらは、通常、ベース界面活性剤としてアニオン性界面活性剤と、共界面活性剤として両性界面活性剤および非イオン性界面活性剤と、を含む。物質の構造および調製に関しては、たとえば、J. Falbe (ed.), "Surfactants in Consumer Products", Springer Verlag, Berlin, 1987, pp. 54-124 or J. Falbe (ed.), "Katalysatoren, Tenside und Mineraloeladditive" [Catalysts, Surfactants and Mineral oil additives], Thieme Verlag, Stuttgart, 1978, pp. 123-217のような関連する概説的著作物を参照しうる。
【0133】
化粧品製剤は、通常は2〜50重量%、好ましくは5〜40重量%、とくに好ましくは8〜30重量%の界面活性剤を含む。
【0134】
オイルボディー
好適なオイルボディーは、たとえば、6〜18個、好ましくは8〜10個の炭素原子を有する脂肪アルコールをベースとするゲルベアルコール、直鎖状C6〜C22-脂肪酸と直鎖状C6〜C22-脂肪アルコールとのエステル、分枝状C6〜C13-カルボン酸と直鎖状C6〜C22-脂肪アルコールとのエステル、直鎖状C6〜C22-脂肪酸と分枝状アルコール(特定的には2-エチルヘキサノール)とのエステル、ヒドロキシカルボン酸と直鎖状もしくは分枝状のC6〜C22-脂肪アルコールとのエステル(特定的にはジオクチル2-ヒドロキシスクシネート)、直鎖状および/もしくは分枝状の脂肪酸と多価アルコール(たとえば、プロピレングリコール、ダイマージオール、もしくはトリマートリオールなど)および/またはゲルベアルコールとのエステル、C6〜C10-脂肪酸をベースとするトリグリセリド、C6〜C18-脂肪酸をベースとする液状モノ/ジ/トリグリセリド混合物、C6〜C22-脂肪アルコールおよび/もしくはゲルベアルコールと芳香族カルボン酸(特定的には安息香酸)とのエステル、植物油、分枝状第一級アルコール、置換シクロヘキサン、直鎖状および分枝状のC6〜C22-脂肪アルコールカーボネート、ゲルベカーボネート、安息香酸と直鎖状および/もしくは分枝状のC6〜C22-アルコールとのエステル(たとえば、Finsolva TN)、アルキル基1個あたり6〜22個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝状、対称もしくは非対称のジアルキルエーテル、エポキシ化脂肪酸エステルとポリオールとの開環生成物、シリコーン油、ならびに/あるいは脂肪族もしくはナフテン系の炭化水素である。
【0135】
乳化剤
好適な乳化剤は、たとえば、以下の群の少なくとも1つから選ばれるノニオノゲン性(nonionogenic)界面活性剤である:
(1) 8〜22個の炭素原子を有する直鎖状脂肪アルコールへの、12〜22個の炭素原子を有する脂肪酸への、およびアルキル基中に8〜15個の炭素原子を有するアルキルフェノールへの、2〜30molのエチレンオキシドおよび/または0〜5molのプロピレンオキシドの付加生成物;
(2) グリセロールへの1〜30molのエチレンオキシドの付加生成物のC12/18-脂肪酸モノエステルおよびジエステル;
(3) 6〜22個の炭素原子を有する飽和および不飽和の脂肪酸のグリセロールモノエステルおよびジエステルならびにソルビタンモノエステルおよびジエステルさらにはそれらのエチレンオキシド付加生成物;
(4) アルキル基中に8〜22個の炭素原子を有するアルキルモノグリコシドおよびオリゴグリコシドならびにそれらのエトキシル化類似体;
(5) ヒマシ油および/または水素化ヒマシ油への15〜60molのエチレンオキシドの付加生成物;
(6) ポリオール(特定的にはポリグリセロール)エステル、たとえば、ポリグリセロールポリリシノレエート、ポリグリセロールポリ-12-ヒドロキシステアレート、またはポリグリセロールジメレートなど。これらの物質クラスの2つ以上から選ばれる化合物の混合物も、同様に好適である。
【0136】
(7) ヒマシ油および/または水素化ヒマシ油への2〜15molのエチレンオキシドの付加生成物;
(8) 直鎖状、分枝状、不飽和、もしくは飽和のC6/22-脂肪酸、リシノール酸、および12-ヒドロキシステアリン酸と、グリセロール、ポリグリセロール、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトール、糖アルコール(たとえば、ソルビトール)、アルキルグルコシド(たとえば、メチルグルコシド、ブチルグルコシド、ラウリルグルコシド)、およびポリグルコシド(たとえば、セルロース)と、をベースとする部分エステル;
(9) モノ、ジ、およびトリアルキルホスフェート、ならびにモノ、ジ、および/またはトリ-PEGアルキルホスフェート、さらにはそれらの塩;
(10) 羊毛脂アルコール;
(11) ポリシロキサン-ポリアルキル-ポリエーテルコポリマーおよび対応する誘導体;
(12) 独国特許第1165574号に記載のペンタエリトリトールと脂肪酸とクエン酸と脂肪アルコールとの混合エステルならびに/または6〜22個の炭素原子を有する脂肪酸とメチルグリコースとポリオール(好ましくは、グリセロールまたはポリグリセロール)との混合エステル;ならびに
(13) ポリアルキレングリコール。
【0137】
脂肪アルコール、脂肪酸、アルキルフェノール、グリセロールモノエステルおよびジエステル、ならびに脂肪酸のソルビタンモノエステルおよびジエステルへの、またはヒマシ油への、エチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドの付加生成物は、公知の市販品である。これらは、同族体混合物であり、その平均アルコキシル化度は、エチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドと、付加反応が行われる基質と、の定量比に対応する。グリセロールへのエチレンオキシドの付加生成物のC12〜C18-脂肪酸モノエステルおよびジエステルは、独国特許第2024051号から化粧品製剤用の再加脂剤として公知である。C8〜C18-アルキルモノおよびオリゴグリコシド、それらの調製およびそれらの使用については、先行技術から公知である。それらは、特定的には、グルコースまたはオリゴサッカリドを、8〜18個の炭素原子を有する第一級アルコールと、反応させることにより、調製される。グリコシドエステルに関して、環状糖質基が脂肪アルコールにグリコシド結合されたモノグリコシドが好適であり、さらには、好ましくは約8までのオリゴマー化度を有するオリゴマーグリコシドが好適である。この場合、オリゴマー化度は、そのような工業等級生成物に対して慣用される同族体分布に基づく統計的平均値である。
【0138】
また、使用される乳化剤を双イオン性界面活性剤にすることも可能である。双イオン性界面活性剤は、分子中に少なくとも1個の第四級アンモニウム基と少なくとも1個のカルボキシレート基および/またはスルホネート基とを有する界面活性化合物を示すべく使用される用語である。とくに好適な双イオン性界面活性剤は、いわゆるベタインであり、たとえば、N-アルキル-N,N-ジメチルアンモニウムグリシネート(たとえば、ココアルキルジメチルアンモニウムグリシネート)、N-アシルアミノプロピル-N,N-ジメチルアンモニウムグリシネート(たとえば、ココアシルアミノプロピルジメチルアンモニウムグリシネート)、および2-アルキル-3-カルボキシルメチル-3-ヒドロキシエチルイミダゾリン(いずれの場合にも、アルキル基中またはアシル基中に8〜18個の炭素原子を有する)、ならびにココアシルアミノエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルグリシネートが挙げられる。
【0139】
とくに好ましいのは、ココアミドプロピルベタインというCTFA名で知られる脂肪酸アミド誘導体である。同様に好適な乳化剤は、両性界面活性剤である。両性界面活性剤は、分子中にC8〜C18-アルキルまたはC8〜C18-アシル基のほかに少なくとも1個の遊離アミノ基と少なくとも1個の-COOH基および/またはSO3H基とを含有しかつ分子内塩を形成しうる界面活性化合物を意味するものと解釈される。好適な両性界面活性剤の例は、N-アルキルグリシン、N-アルキルプロピオン酸、N-アルキルアミノ酪酸、N-アルキルイミノジプロピオン酸、N-ヒドロキシエチル-N-アルキルアミドプロピルグリシン、N-アルキルタウリン、N-アルキルサルコシン、2-アルキルアミノプロピオン酸、およびアルキルアミノ酢酸であり、いずれの場合にも、アルキル基中に約8〜18個の炭素原子を有する。とくに好ましい両性界面活性剤は、N-ココアルキルアミノプロピオネート、ココアシルアミノエチルアミノプロピオネート、およびC12〜C18-アシルサルコシンである。
【0140】
両性乳化剤のほかに、第四級乳化剤もまた好適であり、とくに好ましいのは、エステルクアットタイプのものであり、好ましくは、メチル四級化ジ脂肪酸トリエタノールアミンエステル塩である。
【0141】
過脂肪剤
使用しうる過脂肪剤は、たとえば、ラノリンやレシチンのような物質であり、さらには、ポリエトキシル化またはアシル化されたラノリン誘導体およびレシチン誘導体、ポリオール脂肪酸エステル、モノグリセリド、ならびに脂肪酸アルカノールアミドであり、後者はまた、泡安定剤としても役立つ。
【0142】
真珠光沢ワックス
好適な真珠光沢ワックスの例は、次のとおりである:アルキレングリコールエステル、特定的にエチレングリコールジステアレート;脂肪酸アルカノールアミド、特定的にココナツ脂肪酸ジエタノールアミド、部分グリセリド、特定的にステアリン酸モノグリセリド;多塩基性(場合によりヒドロキシル置換)カルボン酸と6〜22個の炭素原子を有する脂肪アルコールとのエステル、特定的には、酒石酸の長鎖エステル;脂肪性物質、たとえば、脂肪アルコール、脂肪ケトン、脂肪アルデヒド、脂肪エーテル、および脂肪カーボネート(合計で少なくとも24個の炭素原子を有する)、特定的には、ラウロンおよびジステアリルエーテル;脂肪酸、たとえば、ステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、またはベヘン酸、12〜22個の炭素原子を有するオレフィンエポキシドと12〜22個の炭素原子を有する脂肪アルコールならびに/または2〜15個の炭素原子および2〜10個のヒドロキシル基を有するポリオールとの開環生成物、さらにはそれらの混合物。
【0143】
賦形剤
好適な賦形剤は、主に、12〜22個、好ましくは16〜18個の炭素原子を有する脂肪アルコールまたはヒドロキシ脂肪アルコール、さらには部分グリセリド、脂肪酸、またはヒドロキシ脂肪酸である。好ましいのは、これらの物質と、アルキルオリゴグルコシドおよび/または同一鎖長の脂肪酸N-メチルグルカミドおよび/またはポリグリセロールポリ-12-ヒドロキシステアレートと、の組合せである。好適な増粘剤は、たとえば、ポリサッカリド、特定的には、キサンタンガム、グアーガム(guar-guar)、寒天、アルギネート、およびチローゼ(tylose) (カルボキシメチルセルロースおよびヒドロキシエチルセルロース)、さらには脂肪酸の比較的高分子量のポリエチレングリコールモノエステルおよびジエステル、ポリアクリレート(たとえば、Goodrich製のCarbopolTMまたはSigma製のSynthalenTM)、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、およびポリビニルピロリドン、界面活性剤、たとえば、エトキシル化脂肪酸グリセリド、脂肪酸とポリオール(たとえば、ペンタエリトリトールまたはトリメチロールプロパン)とのエステル、狭い同族体分布を有する脂肪アルコールエトキシレート、またはアルキルオリゴグルコシドなど、ならびに電解質、たとえば、塩化ナトリウムおよび塩化アンモニウムである。
【0144】
脂肪
脂肪の典型的な例は、グリセリドであり、好適なワックスは、とくに、ビーズワックス、カルナウバワックス、カンデリラワックス、モンタンワックス、パラフィンワックス、またはマイクロクリスタリンワックスであり、適切であれば、親水性ワックス、たとえば、セチルステアリルアルコールまたは部分グリセリドと組み合わされる。使用しうる安定剤は、脂肪酸の金属塩、たとえば、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、および/または亜鉛のステアリン酸塩またはリシノール酸塩などである。好適なシリコーン化合物は、たとえば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、環状シリコーン、ならびにアミノ、脂肪酸、アルコール、ポリエーテル、エポキシ、フッ素、グリコシド、および/またはアルキルで変性されたシリコーン化合物であり、それらは、室温で、液体または樹脂の形態でありうる。
【0145】
ヒドロトロピー剤
流動挙動を改良するために、たとえば、エタノール、イソプロピルアルコール、またはポリオールのようなヒドロトロピー剤を使用することも可能である。この場合に好適なポリオールは、好ましくは2〜15個の炭素原子および少なくとも2個のヒドロキシル基を有する。
【0146】
典型的な例は、以下のとおりである:
・ グリセロール;
・ アルキレングリコール、たとえば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、100〜1000ダルトンの平均分子量を有するポリエチレングリコールなど;1.5〜10の自己縮合度を有する工業等級オリゴグリセロール混合物、たとえば、40〜50重量%のジグリセロール含有率を有する工業等級ジグリセロール混合物など;
・ メチロール化合物、特定的には、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトールなど;
・ 低級アルキルグルコシド、特定的には、アルキル基中に1〜8個の炭素原子を有するもの、たとえば、メチルグルコシド、ブチルグルコシドなど;
・ 5〜12個の炭素原子を有する糖質アルコール、たとえば、ソルビトールまたはマンニトールなど;
・ 5〜12個の炭素原子を有する糖質、たとえば、グルコースまたはスクロースなど;
・ アミノ糖質、たとえば、グルカミンなど。
【0147】
保存剤
好適な保存剤の例は、フェノキシエタノール、ホルムアルデヒド溶液、パラベン、ペンタンジオール、またはソルビン酸、さらには化粧品指令(Cosmetics Directive)、補遺6、第A部および第B部に列挙されている他のクラスの物質である。
【0148】
香料油
ポリマーの臭気を消すための香料油の添加は必要でない。
【0149】
それにもかかわらず、適切であれば、化粧品製剤は、香料油を含みうる。香料油として挙げられうるのは、たとえば、天然および合成の芳香剤の混合物である。天然芳香剤は、花(ユリ、ラベンダー、バラ、ジャスミン、ネロリ、イランイラン)、茎および葉(ゼラニウム、パチョリ、プチグレン)、果実(アニシード、コリアンダー、クメン、ジュニパー)、果皮(ベルガモット、レモン、オレンジ)、根(メース、アンゲリカ、セロリ、カルダモン、コスツス、アイリス、ショウブ)、木材(マツ材、ビャクダン材、グアヤク材、シーダー材、シタン材)、ハーブおよびイネ科草本(タラゴン、レモングラス、セージ、タイム)、針葉および枝(トウヒ、モミ、マツ、コマツ)、樹脂およびバルサム(ガルバヌム、エレミ、ベンゾイン、ミルラ、オリバナム、オポポナックス)からの抽出物である。シベットやカストリウムなどのような動物性原材料もまた、好適である。典型的な合成芳香剤化合物は、エステル型、エーテル型、アルデヒド型、ケトン型、アルコール型、および炭化水素型の生成物である。エステル型の芳香剤化合物は、たとえば、ベンジルアセテート、フェノキシエチルイソブチレート、4-tert-ブチルシクロヘキシルアセテート、リナリルアセテート、ジメチルベンジルカルビニルアセテート、フェニルエチルアセテート、リナリルベンゾエート、ベンジルホルメート、エチルメチルフェニルグリシネート、アリルシクロヘキシルプロピオネート、スチラリルプロピオネート、およびベンジルサリチレートである。エーテルは、たとえば、ベンジルエチルエーテルを包含し、アルデヒドは、たとえば、8〜18個の炭素原子を有する直鎖状アルカナール、シトラール、シトロネラール、シトロネリルオキシアセトアルデヒド、シクラメンアルデヒド、ヒドロキシシトロネラール、リリアール、およびブルゲオナールを包含し、ケトンは、たとえば、イオノン、cc-イソメチルイオノン(cc-isomethylionene)、およびメチルセドリルケトンを包含し、アルコールは、アネトール、シトロネロール、オイゲノール、イソオイゲノール、ゲラニオール、リナロオール、フェニルエチルアルコール、およびテルピネオールを包含し、炭化水素は、主にテルペンおよびバルサムを包含する。しかしながら、心地よい香り感を同時に生成するさまざまな芳香剤の混合物を使用することが好ましい。主に香り成分として使用されるより低い揮発性のエッセンシャルオイル、たとえば、セージ油、カモミール油、チョウジ油、バルサム油、ミント油、桂皮油、ライムブロッサム油、ジュニパーベリー油、ベチバー油、オリバナム油、ガルバヌム油、ラブダナム油(labolanum oil)、およびラバンジン油もまた、香料油として好適である。好ましくは、ベルガモット油、ジヒドロミルセノール、リリアール、リラール、シトロネロール、フェニルエチルアルコール、α-ヘキシルシンナムアルデヒド、ゲラニオール、ベンジルアセトン、シクラメンアルデヒド、リナロオール、ボイサンブレンホルテ、アンブロキサン、インドール、ヘジオン、サンデリス、レモン油、マンダリン油、オレンジ油、アリルアミルグリコレート、シクロベルタール、ラバンジン油、クラリーセージ油、β-ダマスコン、ゼラニウム油バーボン、シクロヘキシルサリチレート、ベルトフィックスクール、イソ-E-スーパー、フィキソリドNP、エベルニル、イラルデインガンマ、フェニル酢酸、ゲラニルアセテート、ベンジルアセテート、ローズオキシド、ロミラート、イロチル、およびフロラマートを単独でまたは混合して使用することが好ましい。
【0150】
染料
使用しうる染料は、たとえば、出版物"Kosmetische Faerbemittel" [Cosmetic Colorants] from the Farbstoffkommission der Deutschen Forschungsgemeinschaft [Dyes Commission of the German Research Council], Verlag Chemie, Weinheim, 1984, pp. 81-106に列挙されているように、化粧目的として承認され、それに適した物質である。これらの染料は、通常、全混合物を基準にして0.001〜0.1重量%の濃度で使用される。
【0151】
助剤および添加剤の全量は、組成物を基準にして、1〜50重量%、好ましくは5〜40重量%でありうる。
【0152】
オーラルケアおよびデンタルケア
本発明に係るポリマーは、増大された水分率を有する溶媒および溶媒混合物に容易に溶解しうる。本発明に係るポリマーは、良好な機械的性質を有する皮膜を形成する能力を備えているので、デンタルケア用の製剤で使用可能である。可能な供給形態は、たとえば、デンタルクリーム、デンタルクリーニングゼリー、チューインガム、またはマウスリンスである。
【0153】
本発明に係るポリマーは、中和されていない形態、部分中和された形態、または完全中和された形態で、好ましくは中和されていない形態または部分中和された形態で、オーラルケア用およびデンタルケア用として提供される。したがって、本発明に係るポリマーおよびこれらのポリマーから得られる皮膜は、好ましくはアニオン荷電状態である。
【0154】
本発明に係るポリマーのほかに、オーラルケア用およびデンタルケア用の組成物は、慣用的成分、たとえば、研磨材および艶出し剤(たとえばチョーク)、湿潤剤(たとえば、ソルビトール、グリセロール、ポリエチレングリコール)、界面活性剤(たとえば、ラウリルスルフェート、ベタイン、アルキルポリグルコシド)、芳香成分、稠度調整剤、脱臭活性成分、膨潤性物質、結合剤(たとえば、カルボキシメチルセルロース、キサンタンガム)、口腔障害または歯科障害に対処する活性成分、水溶性フッ素化合物(たとえばフッ化ナトリウム)を含む。アニオン性界面活性剤の典型的な例は、石鹸、アルキルベンゼンスルホネート、アルカンスルホネート、アルキルエーテルスルホネート、グリセロールエーテルスルホネート、α-メチルエステルスルホネート、スルホ脂肪酸、グリセロールエーテルスルフェート、ヒドロキシ混合エーテルスルフェート、脂肪酸アミド(エーテル)スルフェート、モノおよびジアルキルスルホスクシナメート、スルホトリグリセリド、アミド石鹸、エーテルカルボン酸およびその塩、脂肪酸イセチオネート、脂肪酸サルコシネート、脂肪酸タウリド、N-アシルアミノ酸、たとえば、アシルラクチレートなど、アシルタルトレート、アシルグルタメート、およびアシルアスパルテート、アルキルオリゴグルコシドスルフェート、タンパク質脂肪酸縮合物(特定的には、コムギに基づく植物生産物)およびアルキル(エーテル)ホスフェートである。アニオン性界面活性剤がポリグリコールエーテル鎖を含有する場合、これらは、従来の同族体分布を有しうるが、好ましくは、狭い同族体分布を有する。非イオン性界面活性剤の典型的な例は、脂肪アルコールポリグリコールエーテル、アルキルフェノールポリグリコールエーテル、脂肪酸ポリグリコールエステル、脂肪酸アミドポリグリコールエーテル、脂肪アミンポリグリコールエーテル、アルコキシル化トリグリセリド、混合エーテルまたは、混合ホルマール、グルクロン酸誘導体、脂肪酸N-アルキルグルカミド、タンパク質加水分解物(特定的にはコムギに基づく植物生産物)、ポリオール脂肪酸エステル、糖質エステル、ソルビタンエステル、ポリソルベート、およびアミンオキシドである。非イオン性界面活性剤がポリグリコールエーテル鎖を含有する場合、これらは、従来の同族体分布を有しうるが、好ましくは、狭い同族体分布を有する。両性界面活性剤または両性イオン性界面活性剤の典型的な例は、アミノプロピオネート、アミノグリシネートである。オレフィンスルホネート、ベタイン、モノグリセリド(エーテル)スルフェート、ならびにアルキルおよび/またはアルケニルオリゴグリコシドのほかに、モノおよびジアルキルスルホスクシネートならびに/またはタウレートが、さらなる界面活性剤としてのアルコキシル化カルボン酸エステルに添加される。該界面活性剤は、例外なく既知の化合物である。これらの物質の構造および調製に関しては、関連する概説的著作物、たとえば、J. Falbe (ed.), "Surfactants in Consumer Products", Springer Verlag, Berlin, 1987, pp. 54-124 or J. Falbe (ed.), "Katalysatoren, Tenside und Mineraloeladditive" [Catalysts, Surfactants and Mineral oil additives], Thieme Verlag, Stuttgart, 1978, pp. 123-217)を参照しうる。
【0155】
助剤および添加剤の割合は、本質的に重要であるわけではなく、最終的に製剤化される組成物のタイプに依存する。通常、含有率は、完成製剤を基準にして、5〜98重量%、好ましくは80〜90重量%である。
【0156】
測定法
K値の決定
K値は、水性/エタノール性溶液中またはエタノール性溶液中、25℃で、Fikentscher, Cellulosechemie [Cellulose Chemistry], Vol. 13, pp. 58 to 64 (1932)に従って測定され、モル重量の尺度となる。ポリマーの水性/エタノール性溶液またはエタノール性溶液は、100mlの溶液中に1gのポリマーを含む。ポリマーが水性ディスパージョンの形態をとる場合、100mlの溶液中に1gのポリマーが存在する濃度になるように、ディスパージョンのポリマー含有率に応じて、対応する量のディスパージョンにエタノールを補充して100mlとする。
【0157】
K値は、Schott製のmicro-Ubbelohde capillary type M Icを用いて測定される。
【0158】
エタノール中の水に対する混合補正を行うK値の計算
混合補正に対する式中の下記に列挙された因子は、25℃の測定温度におけるこのタイプのキャピラリーだけに限定して適用される。
【0159】
K値の計算:
K値:
【数1】

【0160】
相対粘度:
ηrel = (tsln - HCsln) / (tsol - Hsol)
混合補正の計算:
エタノール中に水を含む混合物は、水の含有率に比例しない溶媒混合物の粘度変化を呈する。
【0161】
サンプル(ポリマーの水性ディスパージョン)の性質に基づいて、初期重量のサンプルを介してエタノール性サンプル溶液中に水が導入される。この水量は、混合補正により溶媒の流下時間(run time)に組み込まれ、その結果、相対粘度は、水の添加に応じて補正されることになる。
【0162】
溶媒混合物の流下時間:
tsol = to + tM
流下時間補正:
【数2】

【0163】
溶媒中の水含有率:
cW = c / SC / 100 * ( 1 - SC / 100 )
c 測定溶液の濃度[g/100ml]
cW 測定溶液中の水の濃度[g/100ml]
SC サンプル中の固形分含有率 [g/100g]
HCsol 溶媒のHagenbach補正[-s]
HCsln 測定溶液のHagenbach補正[-s]
Tsol 溶媒の流下時間、混合補正[s]
Tsln 測定溶液の流下時間、測定[s]
t0 溶媒の流下時間、測定[s]
tM 溶媒混合物に対して流下時間補正、計算[s]
Z Fikentscher式(K値計算)中のηrel
エアロゾルとしての透明性の決定
エアロゾルスプレー製剤の透明性は、視覚的手段により耐圧性厚肉ガラスエアロゾル容器中で決定される。「透明」とは、混濁やストリーキングやフロキュレーション(沈殿)をまったく生じない製剤に対して用いられる用語である。
【0164】
曲げ剛性の決定
主観的評価以外に、ポリマー溶液で処理され再び乾燥された細い毛髪束(thin tresses of hair)の曲げ剛性として、高分子皮膜形成剤の強度も物理的に測定する。この際、屈曲に必要な力を力変換器により決定する。ただし、相対大気湿度65%の標準化条件下にある空調制御室内で全測定を行う。
【0165】
曲げ剛性を測定するために、本発明に係るポリマーの濃度3.0重量%の溶液を調製した。20℃かつ相対湿度65%で5〜10個の毛髪束(それぞれ約3gおよび長さ24cm)を用いて曲げ剛性の測定を行った。秤量済み乾燥毛髪束を濃度3.0重量%のポリマー溶液中に浸漬し、均一に分布するように浸漬および取出しを3回行った。次に、親指と人差し指の間に挟んで過剰の皮膜形成剤溶液を除去し、その後、濾紙間に挟んで毛髪束を注意深く押圧した。次に、断面が丸くなるように、束を手で造形した。
【0166】
20℃かつ相対湿度65%の空調制御室内で一晩かけて乾燥を行った。
【0167】
20℃かつ相対湿度65%の空調制御室内で引張り/圧力試験機を用いて、試験を行った。毛髪束をサンプルホルダーの2本の円筒ロール上に対称に配置した。次に、40mmの丸形パンチを用いて、中央部で上方から正確に束を屈曲させた(ポリマーフィルムの破壊)。ロードセル(50N)を用いて、これに必要な力を測定し、ニュートン単位で与えた。
【0168】
液滴サイズ分布の決定
市販のMalvernTM Master Sizer X (Malvern Instruments Inc., Southborough MA, USA)を用いて、散乱光分析法により、液体エアロゾルの粒子サイズを決定した。
【0169】
測定原理:
測定システムは、粒子におけるレーザー光回折に基づく。スプレー分析(エアロゾル、ポンプスプレー)に好適である以外に、この方法はまた、0.1μm〜2000μmのサイズ範囲で、固体、サスペンジョン、およびエマルジョンのサイズを決定するうえでも好適である。
【0170】
レーザーで粒子集団(=液滴)に照射を行う。各液滴で、入射レーザー光の一部が散乱される。この光を多素子検出器に取り込み、関連する光エネルギー分布を決定する。評価ソフトウェアを用いて、このデータから関連する粒子分布を計算する。
【0171】
手順:
レーザービームに対して29.5cmの距離を隔ててエアロゾルをスプレーした。スプレーコーンは、レーザービームに直角であった。
【0172】
試験されるすべてのエアロゾルが正確に同一の距離で測定されるように、各測定前にエアロゾル缶を固設された保持装置に固定した。
【0173】
実際の粒子測定を行う前に、バックグラウンドの測定を行った。これにより、原理的には、測定時における測定領域内の塵埃および他の混入物の影響を排除することが可能である。
【0174】
次に、エアロゾルを試験領域中にスプレーした。全粒子体積を2秒間の試験時間にわたり確定し評価した。
【0175】
評価:
評価は、0.5μmから2000μmまで32階級幅を用いた表形式表示、さらには粒子サイズ分布のグラフ形式表示を含む。スプレー実験では分布が一様であるので、平均直径D(v,0.5)を与えた。
【0176】
化粧品分野で容易にスプレー可能なエアロゾル系の場合、この値は、ポリマー含有率、バルブ、スプレーヘッド形状、溶媒比、および噴射剤ガスの量に依存して、120μm未満、好ましくは100μm未満、とくに好ましくは30μm〜70μmの範囲内である。
【0177】
以下のものを使用した:
バルブAとして: Seaquist Perfect;コーン0.32mm, 0.50 VPH 0.40mm (239436)
スプレーヘッドとして: SK1(イエロー);DU381
【実施例】
【0178】
本発明に係るポリマーの調製例
実施例S1
tert-ブチルアクリレート/エチルアクリレート/メタクリル酸 69/10/21 w/w/w
最初に、20〜25℃の温度で、攪拌機ならびに加熱装置および冷却装置を備えた2L重合容器中に、
【表2】

【0179】
を導入し、攪拌しながら窒素雰囲気下で45℃に加熱した。この温度に到達した後、供給原料Iを5分間かけて添加した。次に、混合物を80℃に加熱し、そして攪拌しながらかつ反応温度を保持しながら、供給原料IIを一定の供給原料ストリームとして3時間かけて計量導入した。
【0180】
供給が終了した時、反応混合物を80℃でさらに1時間攪拌し、その後、60℃に冷却した。
【0181】
60℃の温度を保持しながら、供給原料IIIを添加した。次に、混合物を35℃に冷却し、反応温度を保持しながら供給原料IVを添加した。
【0182】
供給原料I:
脱イオン水中の過硫酸ナトリウムの濃度7重量%の水溶液6g
供給原料IIは、以下物質から調製された水性モノマーエマルジョンである:
【表3】

【0183】
供給原料IIの調製
ナトリウムラウリルスルフェートの濃度15重量%の水溶液全量を攪拌しながら脱イオン水の初期仕込み物に添加した。記載順に、対応する量の
1) t-ブチルアクリレート、
2) 非イオン性乳化剤のエチルアクリレート溶液、
3) メタクリル酸、および
4) n-ドデシルメルカプタン、
を均一溶液に添加し、さらに攪拌した。
【0184】
供給原料III:
【表4】

【0185】
供給原料IV:
【表5】

【0186】
本発明に係る実施例3〜7のポリマーを実施例2と同じようにして合成した。ただし、各実施例に対する以下の記載に従って供給原料IIを選択した。
【表6】

【表7】

【表8】

【表9】

【表10】

【表11】

【0187】
製剤例(FE)
実施例FE1: VOC55製剤としてのヘアスプレー
重量% INCI
――――――――――――――――――――――――――
5.00 本発明に係るコポリマーS3
0.5-3.0 アミノメチルプロパノール(DN*に依存する)
適量 芳香剤
15.00 アルコール
100になるまで(ad 100) 水
40.00 ジメチルエーテル
コポリマーS1、S2、S4、S5、S6、S7を用いて実施例FE1を反復した。
【0188】
* DNは「中和度」を意味する。
【0189】
実施例FE2: VOC55製剤としてのいくつかの添加剤を有するヘアスプレー
重量% INCI
――――――――――――――――――――――――――
5.00 本発明に係るコポリマーS3
0.5-3.0 アミノメチルプロパノール(DNに依存する)
0.10 ジメチコンコポリオール
0.03 PPG-3メチルエーテル
0.10 パンテノール
0.10 ベンゾフェノン-3
0.10 ナイアシンアミド
適量 芳香剤
15.00 アルコール
100になるまで 水
40.00 ジメチルエーテル
コポリマーS1、S2、S4、S5、S6、S7を用いて実施例FE2を反復した。
【0190】
実施例FE3: VOC55製剤としてのHF152Aを有するヘアスプレー
重量% INCI
――――――――――――――――――――――――――
4.00 本発明に係るコポリマーS3
0.5-1.3 アミノメチルプロパノール(DNに依存する)
55.00 アルコール
適量 芳香剤
100になるまで 水
40.00 ヒドロフルオロカーボン152a
コポリマーS1、S2、S4、S5、S6、S7を用いて実施例FE3を反復した。
【0191】
実施例FE4: VOC55製剤としてのHF152AおよびDMEを有するヘアスプレー
重量% INCI
――――――――――――――――――――――――――
3.00 本発明に係るコポリマーS3
0.4-1.0 アミノメチルプロパノール(DNに依存する)
35.00 アルコール
適量 芳香剤
100になるまで 水
20.00 ジメチルエーテル
20.00 ヒドロフルオロカーボン152a
コポリマーS1、S2、S4、S5、S6、S7を用いて実施例FE4を反復した。
【0192】
実施例FE5: VOC55製剤としてのアクリレートコポリマーを有するヘアスプレー
重量% INCI
――――――――――――――――――――――――――
3.00 本発明に係るコポリマーS3
5.00 アクリレートコポリマー
0.95 アミノメチルプロパノール
適量 芳香剤
15.00 アルコール
100になるまで 水
40.00 ジメチルエーテル
コポリマーS1、S2、S4、S5、S6、S7を用いて実施例FE5を反復した。
【0193】
実施例FE6: VOC55製剤としてのオクチルアクリルアミド/アクリレート/ブチルアミノエチルメタクリレートコポリマーを有するヘアスプレー
重量% INCI
――――――――――――――――――――――――――
2.50 オクチルアクリルアミド/アクリレート/ブチルアミノエチルメタクリレートコポリマー
2.50 本発明に係るコポリマーS3
0.80 アミノメチルプロパノール
0.03 PPG-3メチルエーテル
0.10 パンテノール
0.20 フェニルトリメチコン
0.10 ベンゾフェノン-3
0.10 ナイアシンアミド
適量 芳香剤
15.00 アルコール
100になるまで 水
40.00 ジメチルエーテル
コポリマーS1、S2、S4、S5、S6、S7を用いて実施例FE6を反復した。
【0194】
実施例FE7: VOC55製剤としてのアクリレート/オクチルアクリルアミドコポリマーを有するヘアスプレー
重量% INCI
――――――――――――――――――――――――――
3.00 本発明に係るコポリマーS3
1.50 アクリレート/オクチルアクリルアミドコポリマー
0.52 アミノメチルプロパノール
0.30 フェニルトリメチコン
適量 芳香剤
15.00 アルコール
100になるまで 水
40.00 ジメチルエーテル
コポリマーS1、S2、S4、S5、S6、S7を用いて実施例FE7を反復した。
【0195】
実施例FE8: VOC55製剤としてのVA/クロトネート/ビニルネオデカノエートを有するヘアスプレー
重量% INCI
――――――――――――――――――――――――――
3.40 本発明に係るコポリマーS3
1.60 VA/クロトネート/ビニルネオデカノエートコポリマー
0.2-1.0 アミノメチルプロパノール(DNに依存する)
0.10 水酸化カリウム
適量 芳香剤
15.00 アルコール
100になるまで 水
40.00 ジメチルエーテル
コポリマーS1、S2、S4、S5、S6、S7を用いて実施例FE8を反復した。
【0196】
実施例FE9: VOC80製剤としてのエアロゾルヘアスプレー
重量% INCI
――――――――――――――――――――――――――
5.00 本発明に係るコポリマーS3
0.9-1.5 アミノメチルプロパノール(DNに依存する)
0.50 パンテノール
0.10 フィタントリオール
100になるまで 水
55.00 アルコール
適量 芳香剤
10.00 ブタン
15.00 ジメチルエーテル
コポリマーS1、S2、S4、S5、S6、S7を用いて実施例FE9を反復した。
【0197】
実施例FE10: VOC80製剤としてのポリウレタン-1を有するエアロゾルヘアスプレー
重量% INCI
――――――――――――――――――――――――――
3.00 本発明に係るコポリマーS3
5.00 ポリウレタン-1
0.1-0.4 アミノメチルプロパノール(DNに依存する)
100になるまで 水
35.50 アルコール
40.00 ジメチルエーテル
コポリマーS1、S2、S4、S5、S6、S7を用いて実施例FE10を反復した。
【0198】
実施例FE11: VOC80製剤としてのPEG/PPG-25/25ジメチコン/アクリレートコポリマーを有するエアロゾルヘアスプレー
重量% INCI
――――――――――――――――――――――――――
3.00 本発明に係るコポリマーS3
3.00 PEG/PPG-25/25ジメチコン/アクリレートコポリマー
0.1-0.5 アミノメチルプロパノール(DNに依存する)
100になるまで 水
35.50 アルコール
40.00 ジメチルエーテル
コポリマーS1、S2、S4、S5、S6、S7を用いて実施例FE11を反復した。
【0199】
実施例FE12: VOC95製剤としてのエアロゾルヘアスプレー
重量% INCI
――――――――――――――――――――――――――
5.00 本発明に係るコポリマーS3
0.7-1.2 アミノメチルプロパノール(DNに依存する)
0.10 ジメチコンコポリオール
0.10 セテアリルオクタノエート
0.10 パンテノール
適量 芳香剤
100になるまで アルコール
40.00 プロパン/ブタン
コポリマーS1、S2、S4、S5、S6、S7を用いて実施例FE12を反復した。
【0200】
実施例FE13: ポンプヘアスプレー
重量% INCI
――――――――――――――――――――――――――
5.00 本発明に係るコポリマーS3
0.5-1.0 アミノメチルプロパノール(DNに依存する)
適量 芳香剤
55.00 アルコール
100になるまで 水
コポリマーS1、S2、S4、S5、S6、S7を用いて実施例FE13を反復した。
【0201】
実施例FE14: VP/メタクリルアミド/ビニルイミダゾールコポリマーを有するポンプヘアスプレー
重量% INCI
――――――――――――――――――――――――――
3.00 本発明に係るコポリマーS3
2.00 VP/メタクリルアミド/ビニルイミダゾールコポリマー
0.5-1.0 アミノメチルプロパノール(DNに依存する)
適量 芳香剤
55.00 アルコール
100になるまで 水
コポリマーS1、S2、S4、S5、S6、S7を用いて実施例FE14を反復した。
【0202】
本発明に係るポリマーを含むエアロゾル製剤の適用試験の結果
【表12】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
a) モノマーAとして30〜99重量%のtert-ブチルアクリレートおよび/またはtert-ブチルメタクリレートと、
b) モノマーBとして1〜70重量%のアクリル酸および/またはメタクリル酸と、
c) モノマーCとして0〜12重量%のラジカル共重合性モノマーまたはラジカル共重合性モノマー混合物と
をラジカル重合することにより得られるポリマーであって、
モノマーCの少なくとも1種は、30℃未満のガラス転移温度を有するホモポリマーを生成するものであり、
重量%は、合計すると100になることを条件とし、
該ポリマーのK値は、27〜38であり、該ポリマーのK値が35以下である場合、該重合は、調節剤の存在下で行われることを条件とする、前記ポリマー。
【請求項2】
a) 60〜80重量%のモノマーAと、
b) 20〜40重量%のモノマーBと、
c) 0〜12重量%のモノマーまたはモノマー混合物Cと、
をラジカル重合することにより得られる、請求項1に記載のポリマー。
【請求項3】
前記モノマーCの量が10重量%未満である、請求項1および2のいずれかに記載のポリマー。
【請求項4】
前記モノマーCの量が3重量%未満である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項5】
前記K値が29〜35の範囲内である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項6】
前記K値が30〜34の範囲内である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項7】
前記カルボキシレート基が部分中和または完全中和されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項8】
モノマーAがtert-ブチルアクリレートであり、
モノマーBがメタクリル酸であり、かつ
モノマーCがエチルアクリレートである、
請求項1〜7のいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載のポリマーの調製方法であって、モノマーAと、モノマーBと、モノマーまたはモノマー混合物Cとをラジカル重合することを含み、ポリマーのK値が27〜38であり、ポリマーのK値が35以下である場合、重合が調節剤の存在下で行われることを特徴とする、前記方法。
【請求項10】
皮膜形成剤としての、請求項1〜8のいずれか1項に記載のポリマーの使用。
【請求項11】
化粧品製剤における、特に毛髪化粧品製剤における、請求項1〜8のいずれか1項に記載のポリマーの使用。
【請求項12】
オーラルケア用およびデンタルケア用の製剤における、請求項1〜8のいずれか1項に記載のポリマーの使用。
【請求項13】
請求項1〜8のいずれか1項に記載のポリマーのうちの少なくとも1種を含む皮膜形成剤。
【請求項14】
請求項1〜8のいずれか1項に記載のポリマーのうちの少なくとも1種を含む化粧品製剤。
【請求項15】
請求項1〜8のいずれか1項に記載のポリマーのうちの少なくとも1種を含む、オーラルケア用およびデンタルケア用の製剤。

【公表番号】特表2007−517950(P2007−517950A)
【公表日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−548260(P2006−548260)
【出願日】平成17年1月13日(2005.1.13)
【国際出願番号】PCT/EP2005/000258
【国際公開番号】WO2005/068520
【国際公開日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願人】(595123069)ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト (847)
【氏名又は名称原語表記】BASF Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】