説明

スリーブ及びスリーブの製造方法並びに管路の補修工法

【課題】管路を補強するのに充分な強度を発揮することができ且つコストの上昇を抑えることができるスリーブを提供する。
【解決手段】スリーブAは、可撓性を有する状態で管路の内部に配置され硬化した状態で該管路の内周面を補修するスリーブであって、外層3と内層1及び外層3と内層1の間に構成された中間層2とからなる複数の層を有し、外層3と内層1はガラス繊維に樹脂を含浸させて構成され、中間層2はガラス繊維以外の繊維からなる含浸基材に樹脂を含浸させて構成される。内層1に含浸させる樹脂が光硬化性樹脂であり、該樹脂が増粘剤を含有する。中間層2を構成するガラス繊維以外の繊維からなる含浸基材が有機系繊維によって形成され、該含浸基材に含浸させる樹脂が光硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂、又は光硬化性樹脂及び熱硬化性樹脂である。外層3に含浸させる樹脂が光硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂、又は光硬化性樹脂及び熱硬化性樹脂である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管路の劣化した内周面を補修するためのスリーブと、このスリーブを製造するための方法と、このスリーブを用いて管路の内周面を補修する工法と、に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、下水道用の管路や工業用水用の管路或いは農業用水用の管路、等多くの管路が敷設されて使用されている。これらの管路は、使用期間の増加に伴って内周面が劣化したり、地盤沈下や地震等の影響を受けて管路を構成する管の継ぎ目にずれが生じたりすることがある。このように、内周面が劣化した管路は強度が低下する虞があり、継ぎ目にずれが生じた管路は漏水の虞があるため、内周面にライニングを施してを補修するのが一般的である。
【0003】
管路の内周面を補修するためのライニング方法として多くの提案がなされているが、その中で、樹脂を含浸させたファイバホースを用いる方法がある(例えば特許文献1参照)。この方法は、光開始剤及び有機過酸化物を含む樹脂を含浸したファイバホースを導管内に入れ、このファイバホースを圧搾空気で膨張させて、導管内壁へ密着させ、UV光をファイバホースへ照射して樹脂を硬化させることによって、導管をライニングするものである。
【0004】
この方法を施工する際に用いるファイバホースは、ガラスファイバ又は合成繊維などの織物形態、ニードル加工不織布、マット、フエルト形態の繊維状補強材に光硬化性樹脂を含浸させて構成され、厚さは10mm以上に設定されている。
【0005】
上記方法では光硬化性樹脂を含浸させたファイバホース(スリーブ)を用いているが、他に繊維基材に熱硬化性樹脂を含浸させたスリーブや、光硬化性樹脂と熱硬化性樹脂を含浸させたスリーブを用いてライニング層を形成することも行われている(例えば特許文献2参照)。この発明は光硬化性樹脂と熱硬化性樹脂の両方を含んだ管路更生用ライニング材に関するものであり、内周面側に光硬化性樹脂層が、外周面側に熱硬化性樹脂層が形成されたものである。
【0006】
特許文献2に記載されたライニング材を用いて管路を更生する場合、未硬化状態のライニング材を管路の内壁面に密着させた後、光源を走行させて光を照射するとこの光に反応して内側の光硬化性樹脂が硬化を開始すると同時に熱を発する。この熱が外側の熱硬化性樹脂に伝えられて該熱硬化性樹脂が硬化することでライニング材の全体が硬化し、管路を更生することができる。
【0007】
特許文献2に記載されたライニング材は、ガラス繊維、ポリエステル繊維等からなるマット状ベース材に樹脂を含浸させて構成されている。特に、特許文献2には、ライニング材を、光硬化性樹脂を含浸させたベース材と、熱硬化性樹脂を含浸させた他のベース材を重ね合わせて2層にしても良いことが記載されている。この場合、ライニング材に光を照射し、光硬化性樹脂が硬化する際に生じる反応熱によって熱硬化性樹脂を硬化させることでライニング材を硬化させることができる。
【0008】
上記特許文献1、2に記載された何れかの方法を実施することで、内周面が劣化して強度が低下した管路の強度を向上させることができ、二つのマンホールの間を連続したライニング層によって補修することで管路を構成する管の継ぎ目にずれが生じている場合でも漏水を防ぐことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003−048248公報
【特許文献2】特開2003−033970公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
各特許文献に記載されているように、管路を補修するライニング材は含浸基材として所定厚さのガラス繊維、或いは合成繊維を用いるが、硬化したライニング層に高い強度を発揮させる場合、ガラス繊維に光硬化性樹脂を含浸させるのが一般的である。しかし、この場合、ガラス繊維基材が高価であり、コストが高くなってしまうという難点がある。
【0011】
また、ガラス繊維以外の繊維(例えばポリエステル繊維)からなる不織布を含浸基材とした場合、硬化したライニング層は樹脂のみの強度が発揮されるものの、不織布は強度の発現に寄与しない。このため、硬化後の強度は、ガラス繊維によるライニング層の強度と比較すると小さく、更生すべき管路の内径や状態に制限が生じるという問題があるため、不織布の厚さを大きくすることによってライニング層の厚さ(樹脂の厚さ)を確保することで強度を発現し得るようにしている。
【0012】
しかし、光硬化性樹脂の場合、光を透過し得る深さ(厚さ)には限界(一般的には約10mm程度)がある。特に、基材が不織布であるような場合、照射された光が自由に屈折して容易に透過しないという問題も生じており、スリーブの厚さが厚い場合、熱硬化性樹脂との併用が必要となっている。そして、光硬化性樹脂を含浸させたベース材と、熱硬化性樹脂を含浸させたベースとを重ね合わせたライニング材を光によって硬化させる場合、熱硬化性樹脂が硬化するのに充分な発熱量を確保するには光硬化性樹脂の量や、熱硬化開始材の選択等種々の問題が生じている。
【0013】
本発明の目的は、管路を補強するのに充分な強度を発揮することができ且つコストの上昇を抑えることができるスリーブを提供すると共に該スリーブの製造方法と、このスリーブを用いた管路の補修方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本件発明者は、内周面が劣化したり、管の継ぎ目にずれが生じたような管路を樹脂を含浸させたスリーブによって補修するために、管材に対して種々の実験を含む技術開発を行っている。この過程で以下の知見を得た。
【0015】
即ち、図6(a)に示すように、未硬化状態のスリーブを拡径して硬化させた円筒50に直径方向の力Pを付与すると、この力Pは円筒50を扁平に押し潰す力として作用し、該円筒50の頂部と底部は円の径が大きくなる方向に変形し、両側部では円の径が小さくなる方向に変形する。従って、円筒50の頂部と底部では、同図(b)に示すように、円筒50の外周側50aに圧縮方向の力Cが作用し内周側50bに引張方向の力Tが作用することになる。
【0016】
上記の如き力が作用することによって、円筒50の頂部および底部には厚さ方向には同図(c)に示すような応力が生じる。即ち、厚さ方向の略中心を中立軸51として、外周側に圧縮応力が、内周側に引張応力が生じる。そして、円筒50に生じる応力は、外周側51aと内周側51bで大きく、中立軸51の周辺で小さい。
【0017】
同様に円筒50の両側部では、外周側に引張方向の力が作用し、内周側に圧縮方向の力が作用することとなる。即ち、円筒50の両側部の外周部と内周部には、頂部及び底部とは反対方向の力が作用することになり、外周側に引張応力が、内周側に圧縮応力が生じ、この応力は、外周側と内周側で大きく、中立軸の周辺で小さい。
【0018】
上記のことから、円筒50の外周側50aと内周側50bが充分な強度を発揮することが可能であれば、中立軸51の周辺は低い強度でも充分に管路を補修するスリーブとしての機能を発揮することができる、との結論を得るに至った。
【0019】
このため、本発明に係るスリーブは、可撓性を有する状態で管路の内部に配置され硬化した状態で該管路の内周面を補修するスリーブであって、外層と内層及び前記外層と内層の間に構成された中間層とからなる複数の層を有し、前記外層と内層はガラス繊維に樹脂を含浸させて構成され、前記中間層はガラス繊維以外の繊維からなる含浸基材(以下単に「非ガラス含浸基材」という)に樹脂を含浸させて構成されているものである。
【0020】
上記スリーブに於いて、前記内層を構成するガラス繊維に含浸させる樹脂が光硬化性樹脂であることが好ましく、前記内層を構成するガラス繊維に含浸させる樹脂が増粘剤を含有することが更に好ましい。
【0021】
また、上記何れかのスリーブに於いて、前記中間層を構成する非ガラス含浸基材に含浸させる樹脂が光硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂、又は光硬化性樹脂及び熱硬化性樹脂であることが好ましく、前記中間層の含浸基材を構成するガラス繊維以外の繊維が有機系繊維であり、且つ前記有機系繊維からなる含浸基材に含浸させる樹脂が該有機系繊維の光の屈折率と略等しい光の屈折率を有する樹脂であることが更に好ましい。
【0022】
また、上記何れかのスリーブに於いて、前記外層を構成するガラス繊維に含浸させる樹脂が光硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂、又は光硬化性樹脂及び熱硬化性樹脂であることが好ましい。
【0023】
また、上記スリーブに於いて、前記内層を構成する樹脂を含浸したガラス繊維、及び前記中間層を構成する樹脂を含浸した非ガラス含浸基材、及び前記外層を構成する樹脂を含浸したガラス繊維が夫々筒状に形成されて積層されていることが好ましい。
【0024】
また、本発明に係るスリーブの製造方法は、上記何れかのスリーブを製造する製造方法であって、外層を構成するガラス繊維を外側に、中間層を構成する非ガラス含浸基材を内側に配置して一体化させることで外側筒体を形成すると共に該外側筒体に光硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂、又は光硬化性樹脂及び熱硬化性樹脂を含浸させておき、内層を構成するガラス繊維によって内側筒体を形成すると共に該内側筒体に光硬化性樹脂を含浸させておき、前記外側筒体の内部に内側筒体を反転させつつ挿入して該内側筒体を外側筒体の内側に配置すると共に一体化させることを特徴とするものである。
【0025】
また、本発明に係る管路の補修工法は、上記何れかのスリーブを用いて管路の内周面を補修する補修工法であって、補修すべき管路の内部に上記何れかのスリーブを配置して該スリーブを膨張させて外層を構成するガラス繊維を管路の内周面に近接させ、その後、膨張したスリーブの内部に光照射装置を挿入して該光照射装置からスリーブに光を照射しつつ補修すべき管路に沿って移動させることで光硬化性樹脂を硬化させ、又は光硬化性樹脂を硬化させると共に熱硬化性樹脂を硬化させてスリーブを硬化させて補修すべき管路の内周面を補修することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0026】
本発明のスリーブでは、ガラス繊維に樹脂を含浸させた外層及び内層と、これらの外層、内層の間に構成され非ガラス含浸基材に樹脂を含浸させた中間層とからなる複数の層を有しているので、管路の内周面に沿って硬化したとき、外層と内層は高い曲げ強度を発揮することができる。即ち、硬化したライニング層に直径方向の力が作用したとき、外層及び内層がこの力に対抗し、中間層に高い応力が生じることがない。
【0027】
このため、中間層を比較的強度の低いガラス繊維以外の繊維からなる不織布によって構成することが可能となり、外層と内層を強度の高いガラス繊維によって構成することで、充分な強度を発揮することができる。従って、高価なガラス繊維層の厚さを小さくし、全体の厚さを比較的安価なガラス繊維以外の繊維によって確保することで、スリーブのコストを低減することが可能となり、或いは同じ量のガラス繊維を用いたスリーブの強度をより高めることができる。
【0028】
また、内層を構成するガラス繊維に光硬化性樹脂を含浸させることによって、管路を補修する際には、スリーブの内部に光照射装置を配置して光を照射することで、該スリーブを硬化させることが可能であり、保管時や運搬時の取り扱いが容易となり、且つ施工が容易となる。
【0029】
特に、内層を構成するガラス繊維に含浸させる樹脂が増粘剤を含有することで、硬化させたスリーブに発生する気泡を軽減させることができる。例えば、スリーブを扁平な状態に折り畳んで保管し或いは運搬する際に、扁平に折り畳まれた隅部分では厚さが不均一となり、他の部分と比較して薄い部分が生じる。そして、この状態でスリーブを膨張させると、特に薄い部分の内周側の圧が低くなる。このとき、内層が含浸する樹脂が高い粘性を有していない場合、この部分に空気が吸引されて気泡が生じやすくなる。しかし、内層のガラス繊維に含浸される樹脂が増粘剤を含有することで高い粘性を発揮し、空気の吸引を防いで気泡の発生を防止することができる。
【0030】
また、中間層を構成する非ガラス含浸基材に含浸させる樹脂を光硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂、又は光硬化性樹脂及び熱硬化性樹脂とすることによって、内層を透過した光によって光硬化性樹脂が硬化し、又は内層及び中間層に含浸された光硬化性樹脂が硬化する際に発生する熱によって熱硬化性樹脂が硬化し、これによりスリーブが硬化することができる。
【0031】
特に、非ガラス含浸基材を構成する繊維が有機系繊維であり、該非ガラス含浸基材に含浸させる樹脂が有機系繊維の光の屈折率と略等しい光の屈折率を有する樹脂である場合、内層に照射された光が該内層を透過して中間層にも照射される。このとき照射された光は、中間層を構成する有機系繊維と含浸された樹脂の光屈折率が略等しいことから、該中間層を透過することが可能となり、この非ガラス含浸基材及び外層に光硬化性樹脂を含浸させても充分に硬化させることができる。
【0032】
また、外層を構成するガラス繊維に光硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂、又は光硬化性樹脂及び熱硬化性樹脂を含浸させることで、内層に照射した光によって光硬化性樹脂が硬化し、又は光硬化性樹脂が硬化する際に発生する熱によって熱硬化性樹脂が硬化し、これによりスリーブが硬化することができる。
【0033】
また、内層を構成する樹脂を含浸したガラス繊維、及び前記中間層を構成する非ガラス含浸基材、及び外層を構成する樹脂を含浸したガラス繊維が夫々筒状に形成されて積層されていることで、合理的なスリーブを構成することができる。
【0034】
また、本発明に係るスリーブの製造方法では、外層を構成するガラス繊維を外側に、中間層を構成する非ガラス含浸基材を内側に配置して縫合等の手段で一体化させることで外側筒体を形成することができる。この外側筒体には、光硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂、又は光硬化性樹脂及び熱硬化性樹脂を含浸させておく。また、内層を構成するガラス繊維によって内側筒体を形成すると共に該内側筒体に光硬化性樹脂を含浸させておく。そして、外側筒体の内部に内側筒体を反転させつつ挿入して該内側筒体を外側筒体の内側に配置すると共に一体化させることで、スリーブを製造することができる。
【0035】
また、本発明に係る管路の補修工法では、補修すべき管路の内部に何れかのスリーブを配置して膨張させ、外層を構成するガラス繊維を管路の内周面に近接させ、その後、膨張したスリーブの内部に光照射装置を挿入して該光照射装置からスリーブに光を照射しつつ補修すべき管路に沿って移動させることで光硬化性樹脂を硬化させ、又は光硬化性樹脂を硬化させると共に熱硬化性樹脂を硬化させてスリーブを硬化させて補修すべき管路の内周面を補修することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本実施例に係るスリーブの構成を説明する図である。
【図2】本実施例に係るスリーブを折り畳んだ状態を説明する図である。
【図3】本実施例に係るスリーブの製造方法を説明する図である。
【図4】本実施例に係るスリーブの製造方法を説明する図である。
【図5】本実施例に係る管路の補修工法を説明する図である。
【図6】本発明の原理を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明に係るスリーブの好ましい実施の形態について説明する。本発明のスリーブは、例えば下水道用の管路に代表される管路であって長期間の使用により内周面が劣化した管路、或いは地盤沈下や地震等の影響を受けて管路を構成する管どうしの継ぎ目にずれが生じたような管路を補修する際に使用して有利なように構成されている。特に、高い強度を発揮するものの価格の高い材料の使用量を減らすことで、コストの低減をはかり、或いは価格の高い材料の使用量を減らすことなく、より強度の向上をはかることを実現したものである。
【0038】
管路を補修するためのスリーブは、外径が補修すべき管路の内径と略等しい寸法を有しており、且つ長尺状に構成されている。スリーブの長さは限定するものではなく、補修すべき管路に設けた二つのマンホール間に敷設し得る長さを有するものであれば良い。そして、このスリーブは、樹脂が未硬化の状態、即ち、可撓性を有する状態で折り畳んで保管されると共に施工現場に搬送されて用いられる。
【0039】
本発明のスリーブは、円筒状に硬化した状態でこの円筒を押し潰すような力が付与されたときの該円筒に生じる応力分布に着目し、この応力に対し合理的に対抗し得るように構成されたものである。このため、スリーブの外層及び内層を高い強度を発揮し得る層とし、これらの層の間に構成される中間層は外層及び内層よりも比較的低い強度の層として構成されている。
【0040】
即ち、本発明に係るスリーブは、ガラス繊維に樹脂を含浸させた外層と、ガラス繊維に樹脂を含浸させた内層と、外層と内層の間に配置され非ガラス含浸基材に樹脂を含浸させた中間層と、を有し、これらの複数の層を積層して構成されている。
【0041】
本発明に係るスリーブに於いて、内層、中間層、外層を積層したときの厚さは限定するものではなく、補修すべき管路の径や想定される荷重等の条件を考慮して設定される。そして、スリーブの厚さが設定されたとき、このスリーブに生じる応力分布に対応させて、内層、中間層、外層の厚さを夫々設定している。
【0042】
前述したように、硬化したスリーブに直径方向の力が付与されたとき、この力が付与された部位及び対向する部位では、内層に引張応力が、外層に圧縮応力が生じ、また力が付与された方向と直交する方向である側部では、内層に圧縮応力が、外層に引張応力が生じる。このため、内層と外層は同じ強度を発揮し得るものであることが必要である。
【0043】
また、本発明に係るスリーブに於いて、応力分布のみに着目したとき、スリーブの厚さ方向に於ける内層と中間層と外層との寸法比率は、1対4対1程度であることが好ましいことが実験から確認されている。しかし、前記比率を限定するものではなく、強度以外の条件、例えば含浸すべき樹脂の量を確保するための条件や、採用する素材、例えば不織布を構成する繊維や密度等の条件を考慮して適宜設定することが好ましい。
【0044】
内層及び外層を構成するガラス繊維は厚さを限定するものではなく、長繊維を織った織布(ロービングクロス)であって良い。本件発明者の実験では、ロービングクロス単体の場合、厚さが約1mm程度あれば充分な強度を発揮することが確認されている。
【0045】
しかし、内層を構成するガラス繊維に光硬化性樹脂を含浸する場合、該光硬化性樹脂の含浸量を確保するために、該ガラス繊維としてロービングクロスにチョップドストランドガラスを積層して厚さが約3mm〜約5mm程度にしたものを用いることが好ましい。このように、内層を構成するガラス繊維をロービングクロスにチョップドストランドガラスを積層して適度な厚さとすることによって、含浸する光硬化性樹脂の量を確保することが可能となり、この光硬化性樹脂が硬化する際の発熱量を確保することが可能となる。
【0046】
光硬化性樹脂としては特に限定するものではなく、管路の補修或いは更生用に一般的に用いられるスリーブに含浸する光硬化性樹脂と同じ樹脂、例えば不飽和ポリエステル樹脂に光開始材を含有させたものであってよい。
【0047】
内層を構成するガラス繊維に含浸させる光硬化性樹脂には増粘剤を含有させることが好ましい。増粘剤を含有した光硬化性樹脂は経時的に粘度が増加し、スリーブに対する空気の巻き込みを防いで気泡の発生を防止することが可能となる。特に、本発明に係るスリーブは、未硬化の状態で扁平に折り畳んで、この状態で或いはボビンに巻き付けた状態で保管及び搬送される。このため、折り畳まれた隅部に於ける厚さが他の部分の厚さよりも薄くなり、施工の際にスリーブを膨張させたとき、折り畳まれた部分が元の厚さに復帰しようとして周囲の空気を巻き込んで気泡が生じるという問題があったが、この問題を防ぐことが可能となる。
【0048】
中間層を構成する非ガラス含浸基材は、ガラス繊維以外の繊維によって構成された樹脂を含浸することが可能な基材であれば良い。このような非ガラス含浸基材の形態としては、比較的安価なマット、フエルト等の不織布であることが好ましい。また、非ガラス含浸基材を構成する繊維としてはポリエステル繊維やビニロン等の有機系繊維があり、これらの有機系繊維を選択的に用いることが可能である。
【0049】
また、中間層を構成する非ガラス含浸基材の厚さは限定するものではなく、補修すべき目的の管路の径との関係で設定されるスリーブの径に応じた厚さと、内層及び外層の厚さとの関係で適宜設定される。中間層の厚さは約5mm〜約10mm程度で充分であるが、管路の径が1500mm程度である場合、スリーブは厚さが約20mm〜約30mmのものが用いられる。この場合、中間層の厚さは約20mm程度に設定される。
【0050】
中間層を構成する非ガラス含浸基材には、光硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂、或いはその両方が含浸される。非ガラス含浸基材に含浸させる光硬化性樹脂の材質は限定するものではなく、内層を構成するガラス繊維に含浸させた樹脂と同じ材質の樹脂を用いることが可能である。同様に、非ガラス含浸基材に含浸させる熱硬化性樹脂の材質も特に限定するものではなく、開始材となる過酸化物も、従来より用いられているものを、季節や搬送距離等の条件を考慮して適宜設定することが好ましい。
【0051】
中間層を構成する非ガラス含浸基材に含浸する樹脂は、該非ガラス含浸基材を構成する有機系繊維の光屈折率と略等しい光屈折率を有することが好ましい。例えば、非ガラス含浸基材を構成する繊維がポリエステル繊維である場合、含浸する樹脂は不飽和ポリエステル樹脂であることが好ましい。このように、有機系繊維と含浸する樹脂の光屈折率が略等しいことで、内層に向けて照射された光が該内層を透過して中間層に至ったとき、この光が中間層を透過することが可能となり、該中間層に含浸された光硬化性樹脂を硬化させることが可能となる。
【0052】
特に、光硬化性樹脂及び熱硬化性樹脂を、同じ材質の樹脂(例えば不飽和ポリエステル樹脂)に光開始剤、又は熱開始剤としての過酸化物を含有させて構成することが好ましい。このように光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂を同じ樹脂を用いて構成することによって、内層と中間層及び外層を積層したとき、互いの層が混然となって一体化し、照射された光の透過性を阻害することがない。また各層の間にこれらの層を分離する境界面が形成されることがなく強度上も好ましい。
【0053】
外層を構成するガラス繊維は、厚さが約1mmのロービングクロスで充分な強度を発揮することが可能である。特に、外層に含浸する樹脂を中間層に含浸する樹脂と同じ樹脂とすると、外層を樹脂を含浸することを目的として厚さを確保する必要がないため、前記厚さで充分である。しかし、外層に含浸する樹脂を中間層に含浸する樹脂とは異なる樹脂とする場合、内層と同様に充分の量の樹脂を確保するために、厚さを1mm以上に設定することが好ましい場合がある。
【0054】
本発明に於いて、スリーブは、内層を構成する光硬化性樹脂を含浸したガラス繊維、中間層を構成する光硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂或いは両方の樹脂を含浸した非ガラス含浸基材、外層を構成する光硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂或いは両方を含浸したガラス繊維、が夫々筒状に形成されて積層されている。
【0055】
夫々の層を如何にして筒状に形成するかは限定するものではなく、帯状のガラス繊維や帯状の非ガラス含浸基材によってループを形成して端部を重ね合わせ、この重ね合わせ部分を縫合することで筒状に形成することが可能である。そして、筒状に形成したガラス繊維、非ガラス含浸基材に対応する樹脂を含浸させて順に積層することで、スリーブを形成することが可能である。
【実施例1】
【0056】
次にスリーブの実施例について図を用いて説明する。図に示すスリーブAは、内層1と、中間層2と、外層3と、を順に積層して長尺状に構成されている。スリーブAの長さは限定するものではなく、補修すべき管路を構成する二つのマンホール間の距離を満足し得る長さを有している。また、スリーブAの外径は補修すべき管路の内周面の径と略等しい寸法を有している。
【0057】
スリーブAを構成する内層1は、光硬化性樹脂を含浸したガラス繊維によって構成されている。このガラス繊維はロービングクロスにチョップドストランドガラスを積層して構成されており、厚さが約3mm〜5mmの範囲に設定されている。内層1に含浸された光硬化性樹脂には酸化マグネシウム(MgO)からなる増粘剤が含有されており、経時的に粘度が増加し得るように構成されている。
【0058】
内層1の内側には保護フィルム5が貼着されている。この保護フィルム5は、内層1に含浸された光硬化性樹脂を反応させる波長の光を内層1に透過させる機能と、内層1に含浸された樹脂が浸み出すことを防ぐ機能を有する。このような保護フィルム5としては、光硬化性樹脂を含浸した管路補修用のスリーブの内側面に対し一般的に用いられているフィルムをそのまま採用することが可能である。
【0059】
中間層2を構成する非ガラス含浸基材として、ポリエステル繊維からなるフエルト(不織布)を用いている。また、中間層2の厚さは約5mm〜10mmの範囲内に設定されている。この中間層2には光硬化性樹脂と熱硬化性樹脂が含浸されており、例えば5mm厚さの内層1を透過した光が中間層2に照射されたとき、この光に反応して光硬化性樹脂が硬化し、内層1と中間層2の光硬化性樹脂が硬化する際の発熱によって熱硬化性樹脂が硬化し得るように構成されている。
【0060】
外層3は光硬化性樹脂と熱硬化性樹脂を含浸したガラス繊維によって構成されている。このガラス繊維は、ロービングクロスの単体によって構成されており、厚さは約1mmに設定されている。外層3の外側には、該外層3に含浸された光硬化性樹脂を反応させる波長の光が透過することを防ぐ機能と、外層3に含浸された樹脂が浸み出すことを防ぐ機能を有する保護フィルム6が貼着されている。このような保護フィルム6としては、光硬化性樹脂を含浸した管路補修用のスリーブの外側面に対し一般的に用いられているフィルムをそのまま採用することが可能である。
【0061】
上記の如く構成されたスリーブAは、図2に示すように、未硬化の状態で扁平に折り畳まれて保管され、或いは施工現場に搬送される。このため、内層1の内側に貼着された保護フィルム5は、折り畳まれたときに対向する内層1同士が互いに接着してしまうことを防ぐ機能をも有している。また外層3の外側に貼着された保護フィルム6は、スリーブAと管路の内周面との摩擦を小さくすることが可能であり、施工の際の取り扱いを容易とする機能をも有している。
【実施例2】
【0062】
次にスリーブAを製造する方法について説明する。先ず、図3(a)に示すように、外層3を構成するガラス繊維を外側に、中間層2を構成する非ガラス含浸基材を内側に配置して、同図(b)に示すように重ね合わせこの状態で要所を縫合して一体化させた帯状のシート10を形成する。次に、同図(c)に示すように、シート10の幅方向の端部10aを重ね合わせてループ状に形成し、この端部10aをからげるように縫合して筒体11を形成する。前記筒体11では、端部10aの縫合部分は、同図(d)に示すように、シート10の端部10aどうしが突き合わせられた形状となり、接合部位を含む周方向の厚さが均一となる。
【0063】
上記の如くして形成した筒体11の外側に保護フィルム6を貼着した後、該筒体11の内部に含浸すべき樹脂、即ち、光硬化性樹脂と熱硬化性樹脂とを混合させた樹脂を充填して含浸させる。この方法は、筒体11の一方側の端部を閉塞して他方側の端部から光硬化性樹脂と熱硬化性樹脂とを混合させた樹脂を充填し、その後、他方側の端部を閉塞して一対のローラーの間を通過させ、この過程で充填した樹脂を筒体11に含浸させるという、従来から行われている含浸方法をそのまま適用することが可能であり、本実施例でも、従来の方法を採用している。
【0064】
次に、図4(a)に示すように、内層1を構成するガラス繊維を幅方向の端部を重ね合わせてループを形成し、この重ね合わせた部分を縫合して筒体12を形成する。その後、この筒体12の外側に保護フィルム5を貼着して光硬化性樹脂と増粘剤の混合物を含浸させる。即ち、筒体12の外側に保護フィルムを貼着した後、筒体11に対する樹脂の含浸と同様の方法で、内部に充填した光硬化性樹脂と増粘剤との混合物を含浸させる。この方法も従来から行われている含浸方法をそのまま適用することが可能である。
【0065】
次に、同図(b)に示すように、気密性を持った箱体15の内部に樹脂を含浸した筒体12を折り畳んだ状態で収容し、一方の端部を一対のローラー17を経て円筒状突起15aから露出させると共に筒状に広げて反転させた状態で該円筒状突起15aに取り付ける。このとき、筒体12の長さが充分に大きく箱体15に収容しきれない場合、他方側の端部を箱体15の開口15bから引き出すと共に該開口15bを気密的に閉鎖する。
【0066】
また、筒体11は折り畳むことなく伸ばしておき、一方の端部を筒状に広げ、既に筒体12の端部が取り付けられている箱体15の円筒状突起15aに重ねて取り付ける。その後、円筒状突起15aに取り付けた筒体12、11をバンド16によって固定する。
【0067】
上記の如くして箱体15の円筒状突起15aに筒体12、11を固定した後、箱体15にバルブ15cから圧縮空気を導入する。圧縮空気の導入に伴って筒体12の円筒状突起15aに固定した端部側に力が作用し、該筒体12は反転しつつ筒体11の内部に進入してゆく。このとき、ローラー17を矢印方向に駆動して筒体12を略一定の速度で繰り出すことが好ましい。このようにして、筒体12の外側にある保護フィルム5が反転して内側に位置し、筒体12の内側にある内層1が反転して筒体11の内表面と接触して接着し一体化する。
【0068】
上記作業を進めることで、内側に保護フィルム5が、外側に保護フィルム6が配置された長尺状のスリーブAを製造することが可能である。尚、筒体12が箱体15の開口15bから引き出されているような場合、箱体15に収容されている筒体12の繰り出しが終了した後、バルブ15cを閉止すると共に箱体15内の圧力を放出し、該箱体15を開放して引き出されている筒体12を内部に折り畳んだ状態で収容した後、再度、前述の作業を繰り返すことで、スリーブAを製造することが可能である。
【0069】
本実施例では、外層3と中間層2を一体化させる方法として縫合を採用したが、前述したように、縫合にのみ限定するものではなく、接着や溶着等の方法を選択的に採用することが可能であることは当然である。
【実施例3】
【0070】
次に上記の如きスリーブAを用いて管路を補修する工法について説明する。先ず、図5(a)に示すように、補修すべき管路Bに設けられた二つのマンホールCの間に、未硬化状態で可撓性を持ったスリーブAを敷設する。即ち、一方側のマンホールから他方のマンホールにワイヤ20を通し、このワイヤ20の先端に端部を結束して閉塞したスリーブAを連結すると共に、該ワイヤ20を巻き上げることで、一方側のマンホールから他方側のマンホールにスリーブAを敷設する。
【0071】
二つのマンホールCの間にスリーブAを敷設した後、同図(b)に示すように、スリーブAの内部に、一方側(図の左側)から光照射装置21を挿入すると共に、他方側(図の右側)からコンプレッサー22に接続されたホース22aを挿入する。そして、コンプレッサー22から所定の圧力(約0.05MPa)に設定された圧縮空気を供給してスリーブAを膨張させる。これにより、可撓性を有するスリーブAは、外層3が管路Bの内周面に近接する。このとき、スリーブAの外層3が管路Bの内周面に密着することが好ましいが、必ずしも密着する必要はなく、多少の隙間が形成されていても問題はない。
【0072】
スリーブAが充分に膨張した後、光照射装置21を点灯し、スリーブAに光を照射しつつ、矢印方向に移動させる。光照射装置21から照射された光に反応して、内層1及び中間層2に含浸された光硬化性樹脂が硬化を開始し、この反応に伴って発熱し、このときの熱に反応して中間層2、外層3に含浸されている熱硬化性樹脂が硬化を開始する。このように、スリーブAを構成する内層1、中間層2、外層3が硬化する。
【0073】
光照射装置21が点灯された状態でスリーブAの内部を移動している間、スリーブAにはコンプレッサー22からの圧縮空気の供給が継続しており、この圧縮空気はスリーブAの内部を通過して光照射装置21の移動方向上流側から排出される。この圧縮空気の通過によって、光硬化性樹脂の硬化に伴って生じる熱がスリーブAの外部に排出され、スリーブAの内部温度の上昇を防ぐことが可能である。従って、スリーブAに含浸された樹脂が温度の上昇によって劣化することがなく、安定した性能を発揮することが可能である。
【0074】
同図(c)に示すように、管路Bに設けた二つのマンホールCの間に敷設されたスリーブAが硬化した後、夫々のマンホールCに突出しているスリーブAの端部を切断し、該マンホールCに露出した管路Bの内周面と硬化したスリーブAの外側面との接触部位にコーキングして止水することで、管路Bの内周面を補修することが可能である。
【0075】
特に、硬化したスリーブAは高い強度を発揮するため、管路Bの強度が低下しているような場合、この管路Bを補強することが可能であり、管路Bを構成する管の継ぎ目にずれが生じているような場合、このずれた部分を跨いで補修することで漏水を防ぐことが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明に係るスリーブAは、下水道用の管路に代表される管路であって、長期間の使用により内周面が劣化したり、強度が低下した管路の補修に利用して有利である。
【符号の説明】
【0077】
A スリーブ
B 管路
C マンホール
1 内層
2 中間層
3 外層
5 保護フィルム
6 保護フィルム
10 帯状のシート
10a 端部
11 筒体
12 筒体
15 箱体
15a 円筒状突起
15b 開口
15c バルブ
16 バンド
17 ローラー
20 ワイヤ
21 光照射装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有する状態で管路の内部に配置され硬化した状態で該管路の内周面を補修するスリーブであって、
外層と内層及び前記外層と内層の間に構成された中間層とからなる複数の層を有し、
前記外層と内層はガラス繊維に樹脂を含浸させて構成され、
前記中間層はガラス繊維以外の繊維からなる含浸基材に樹脂を含浸させて構成されている
ことを特徴とするスリーブ。
【請求項2】
前記内層を構成するガラス繊維に含浸させる樹脂が光硬化性樹脂であることを特徴とする請求項1に記載したスリーブ。
【請求項3】
前記内層を構成するガラス繊維に含浸させる樹脂が増粘剤を含有することを特徴とする請求項2に記載したスリーブ。
【請求項4】
前記中間層を構成するガラス繊維以外の繊維からなる含浸基材に含浸させる樹脂が光硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂、又は光硬化性樹脂及び熱硬化性樹脂であることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載したスリーブ。
【請求項5】
前記中間層の含浸基材を構成するガラス繊維以外の繊維が有機系繊維であり、且つ前記有機系繊維からなる含浸基材に含浸させる樹脂が該有機系繊維の光の屈折率と略等しい光の屈折率を有する樹脂であることを特徴とする請求項4に記載したスリーブ。
【請求項6】
前記外層を構成するガラス繊維に含浸させる樹脂が光硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂、又は光硬化性樹脂及び熱硬化性樹脂であることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載したスリーブ。
【請求項7】
前記内層を構成する樹脂を含浸したガラス繊維、及び前記中間層を構成する樹脂を含浸したガラス繊維以外の繊維からなる含浸基材、及び前記外層を構成する樹脂を含浸したガラス繊維が夫々筒状に形成されて積層されていることを特徴とする請求項1に記載したスリーブ。
【請求項8】
請求項1乃至6の何れかに記載したスリーブを製造する製造方法であって、
外層を構成するガラス繊維を外側に、中間層を構成するガラス繊維以外の繊維からなる含浸基材を内側に配置して一体化させることで外側筒体を形成すると共に該外側筒体に光硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂、又は光硬化性樹脂及び熱硬化性樹脂を含浸させておき、
内層を構成するガラス繊維によって内側筒体を形成すると共に該内側筒体に光硬化性樹脂を含浸させておき、
前記外側筒体の内部に内側筒体を反転させつつ挿入して該内側筒体を外側筒体の内側に配置すると共に一体化させる
ことを特徴とするスリーブの製造方法。
【請求項9】
請求項1乃至6の何れかに記載したスリーブを用いて管路の内周面を補修する補修工法であって、
補修すべき管路の内部に請求項1乃至6の何れかに記載したスリーブを配置して該スリーブを膨張させて外層を構成するガラス繊維を管路の内周面に近接させ、
その後、膨張したスリーブの内部に光照射装置を挿入して該光照射装置からスリーブに光を照射しつつ補修すべき管路に沿って移動させることで光硬化性樹脂を硬化させ、又は光硬化性樹脂を硬化させると共に熱硬化性樹脂を硬化させてスリーブを硬化させて補修すべき管路の内周面を補修することを特徴とする管路の補修工法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−37198(P2011−37198A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−188390(P2009−188390)
【出願日】平成21年8月17日(2009.8.17)
【出願人】(000219358)東亜グラウト工業株式会社 (47)
【Fターム(参考)】