説明

スルホネートを含有する潤滑組成物

以下を含有する潤滑組成物:(a)以下を含有する、清浄剤パッケージ:(i)(1)ヒドロカルビル置換フェノール;(2)アルデヒド;および(3)カルボキシル置換フェノールもしくはカルボキシル置換フェニルアミンのオリゴマー反応生成物;および該反応生成物の塩;(ii)スルホネート;および(iii)必要に応じて、フェネート;(b)分散剤;および(c)潤滑粘性のあるオイルであって、ここで、該スルホネート清浄剤は、約12.5:1〜約40:1の金属比で、オーバーベース化されている。この組成物は、清浄化特性、耐摩耗性能および堆積物抑制を向上させるために、内燃機関(特に、船舶ディーゼル用途)に適当である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、清浄剤パッケージ、分散剤および潤滑粘性のあるオイルを含有する潤滑組成物に関する。本発明は、さらに、船舶のディーゼルシリンダー潤滑剤におけるこの潤滑組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
摩耗を減らして清浄度を向上させるために、ディーゼルエンジンまたはガソリンエンジン用の潤滑粘性のあるオイルに種々の添加剤を添加することは、公知である。ディーゼルエンジンにおいて、潤滑粘性のあるオイルは、特に、シリンダーライナーおよびピストンリングの摩耗を減らすために、特に使用される。しばしば、エンジンの操作温度および圧力は、シリンダーの内壁にある潤滑粘性のあるオイルの薄膜を破壊するのに十分である。この結果として、このシリンダーは、堆積物が原因の摩耗の上昇およびエンジン清浄度の低下に遭遇する。ピストンリングの周りで高いレベルの堆積物が形成されると、また、過度の摩耗が生じ得る。
【0003】
特許文献1(Moretonら)は、フェノール単位およびサリチル酸単位またはそれらの誘導体を含む直鎖化合物の金属塩を含有する潤滑組成物を開示している。この潤滑組成物はまた、無灰分散剤およびジチオリン酸亜鉛を含有し得る。
【0004】
特許文献2(Dunn)は、以下を含有する船舶ディーゼルエンジン潤滑剤組成物を開示している:(a)少なくとも300のTBNを有するオーバーベース化金属清浄剤および/または(b)成分(a)以外の金属清浄剤であるが、但し、もし、清浄剤(b)が存在しているなら、この組成物は、少量の極圧添加剤を含有しない;および(c)無灰耐摩耗添加剤;および(d)潤滑粘性のあるオイル。
【0005】
特許文献3(Careyら)は、少なくとも清浄剤、酸化防止剤、耐摩耗剤および分散剤を含有する添加剤パッケージを使用することにより、清浄度および負荷運搬性能を改良したディーゼルシリンダー油を開示している。この清浄剤成分は、オーバーベース化フェネート、フェニレート(phenylate)、サリチラートおよびスルホネートの少なくとも1種を含有する。
【0006】
特許文献4(Katafuchi)は、(a)オーバーベース化スルホネート、オーバーベース化フェネートおよびオーバーベース化サリチラートの少なくとも1種と;(b)ビス型コハク酸イミド化合物とを含有するディーゼルエンジン用潤滑油組成物を開示している。
【0007】
特許文献5(Nagamatsu)は、オーバーベース化スルホン酸アルキル清浄剤およびオーバーベース化硫化アルキルフェネート清浄剤を含有する船舶ディーゼル潤滑油組成物を開示している。このオーバーベース化硫化アルキルフェネートは、110またはそれ以上のTBNを有する。
【0008】
特許文献6は、耐摩耗性を向上させるために、ポリアルキレンスクシンイミド化合物を含有する船舶ディーゼル潤滑油組成物を開示している。この潤滑油組成物は、さらに、6%までの少なくとも1種の高オーバーベース化清浄剤を含有でき、この清浄剤は、アルキルまたはアルケニルフェネート、アルキルまたはアルケニルフェネート−カルボキシレート、芳香族スルホン酸アルキルまたはアルケニル;およびそれらの混合物から選択される。
【0009】
特許文献7は、新規スクシンイミド化合物および少なくとも1種の清浄剤を含有する潤滑油組成物を開示しており、この清浄剤は、アルカリ土類金属のオーバーベース化スルホン酸塩、フェネートおよびサリチル酸塩から選択される。
【特許文献1】国際公開第03/018728号パンフレット
【特許文献2】米国特許第6,277,794号明細書
【特許文献3】米国特許第6,339,051号明細書
【特許文献4】米国特許第6,376,434号明細書
【特許文献5】米国特許第6,551,965号明細書
【特許文献6】英国特許出願公開第2,328,217号明細書
【特許文献7】欧州特許出願公開第1,086,960号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
清浄化特性、耐摩耗性能および堆積物抑制の少なくとも1つを備えた潤滑組成物があれば、有利となる。本発明は、清浄化特性、耐摩耗性能および堆積物抑制の少なくとも1つを備えた潤滑組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(発明の要旨)
本発明は、以下を含有する潤滑組成物を提供する:
(a)以下を含有する、清浄剤パッケージ:
(i)(1)ヒドロカルビル置換フェノール;(2)アルデヒド;および(3)カルボキシル置換フェノールもしくはカルボキシル置換フェニルアミンのオリゴマー反応生成物;または該反応生成物の塩;
(ii)スルホネート;および
(iii)必要に応じて、フェネート;
(b)必要に応じて、分散剤;および
(c)潤滑粘性のあるオイルであって、
ここで、該スルホネート清浄剤は、約12.5:1〜約40:1の金属比で、オーバーベース化されている。
【0012】
本発明は、さらに、潤滑組成物を調製する方法を提供し、該方法は、以下を混合する工程を包含する:
(a)以下を含有する、清浄剤パッケージ:
(i)(1)ヒドロカルビル置換フェノール;(2)アルデヒド;および(3)カルボキシル置換フェノールもしくはカルボキシル置換フェニルアミンのオリゴマー反応生成物;または該反応生成物の塩;
(ii)スルホネート;および
(iii)必要に応じて、フェネート;
(b)必要に応じて、分散剤;および
(c)潤滑粘性のあるオイルであって、
ここで、該スルホネート清浄剤は、約12.5:1〜約40:1の金属比で、オーバーベース化されている。
【0013】
本発明は、さらに、内燃機関を潤滑させる方法を提供し、該方法は、そこに、本明細書中で記述した組成物を含有する潤滑剤を供給する工程を包含する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(発明の詳細な説明)
本発明は、以下を含有する潤滑組成物を提供する:
(a)以下を含有する、清浄剤パッケージ:
(i)(1)ヒドロカルビル置換フェノール;(2)アルデヒド;および(3)カルボキシル置換フェノールもしくはカルボキシル置換フェニルアミンのオリゴマー反応生成物;または該反応生成物の塩;
(ii)スルホネート;および
(iii)必要に応じて、フェネート;
(b)必要に応じて、分散剤;および
(c)潤滑粘性のあるオイルであって、
ここで、該スルホネート清浄剤は、約12.5:1〜約40:1の金属比で、オーバーベース化されている。
【0015】
この潤滑組成物の全塩基価(TBN)は、一実施態様では、30またはそれより高く、別の実施態様では、40またはそれより高く、別の実施態様では、50またはそれより高く、別の実施態様では、60またはそれより高い。この潤滑組成物のTBNの例には、65、70、75または80が挙げられる。
【0016】
(オリゴマー反応生成物)
本発明は、(1)ヒドロカルビル置換フェノール;(2)アルデヒド;および(3)カルボキシル置換フェノールもしくはカルボキシル置換フェニルアミンのオリゴマー反応生成物;または該反応生成物の塩を包含する。このオリゴマー反応生成物は、清浄剤である。一実施態様では、このオリゴマー反応生成物は、金属塩であり、別の実施態様では、このオリゴマー生成物は、金属を含まない。このオリゴマー反応生成物は、The Lubrizol Corporationから市販されている。
【0017】
このヒドロカルビル置換フェノールは、一実施態様では、1個〜60個の炭素原子、別の実施態様では、4個〜50個の炭素原子、別の実施態様では、6個〜40個の炭素原子、別の実施態様では、7個〜30個の炭素原子(例えば、10個、12個、14個または16個)を含有するアルキル基を含む。そのアルキル置換基は、しばしば、ポリオレフィンから誘導され、これは、1種のオレフィンモノマーに由来の単独重合体、あるいは2種またはそれ以上のオレフィンモノマーの混合物に由来の共重合体であり得る。この単独重合体および/または共重合体の分子量Mwは、一実施態様では、250〜5000、別の実施態様では、350〜3000、別の実施態様では、450〜2000、例えば、550、1000または1600である。このオレフィンモノマーは、α−オレフィン、内部オレフィン、またはポリエンであり得、これには、エチレン、プロピレン、ブテン異性体、ペンテン異性体、デセン異性体、およびジエンが挙げられる。有用なポリオレフィンは、ポリプロピレンおよびポリイソブチレンである。フェノールをオレフィンまたはポリオレフィンでアルキル化することによってポリオレフィンおよびアルキルフェノールを調製する方法は、周知である。
【0018】
このアルデヒドは、一実施態様では、1個〜6個の炭素原子、別の実施態様では、1個〜3個の炭素原子を有する。このアルデヒドは、その反応性形状の1つ(例えば、ホルマリンまたはパラホルムアルデヒド)でのホルムアルデヒドであり得る。
【0019】
このオリゴマー反応生成物は、一実施態様では、式(I)または(II)の少なくとも1個の単位を含む実質的に直鎖の化合物で表わされる:
【0020】
【化3】

該化合物の各末端は、式(III)または(IV)の末端基を有する:
【0021】
【化4】

このような基は、二価架橋基により、連結されており、該架橋基は、各連鎖について、同一または異なり得る;ここで、式(I)〜(IV)において、fは、1、2または3、一実施態様では、1または2である;Uは、−OH、−NH−NHR、−N(Rまたはそれらの混合物であり、Rは、1個〜5個の炭素原子を含有するヒドロカルビル基である;Rは、ヒドロキシルまたはヒドロカルビル基であり、そしてjは、0、1または2である;Rは、水素またはヒドロカルビル基である;Rは、ヒドロカルビル基または置換ヒドロカルビル基である;gは、1、2または3であるが、但し、少なくとも1個のR基は、8個またはそれ以上の炭素原子を含有する;そして、ここで、該分子は、平均して、単位(I)または(III)の少なくとも1個および単位(II)または(IV)の少なくとも1個を含有し、そして該組成物内の単位(I)および(III)の全数と単位(II)および(IV)の全数との比は、約0.1:1〜約2:1である。
【0022】
式(i)および(iii)のU基は、−COOR基に対して、オルト、メタまたはパラの1つまたはそれ以上の位置に位置し得る。一実施態様では、U基は、−COOR基に対して、オルトに位置している。U基が−OH基であるとき、式(i)および(iii)は、2−ヒドロキシ安息香酸(これは、しばしば、サリチル酸と呼ばれている)、3−ヒドロキシ安息香酸、4−ヒドロキシ安息香酸またはそれらの混合物から誘導される。Uが−NH基であるとき、式(i)および(iii)は、2−アミノ安息香酸(これは、しばしば、アントラニル酸と呼ばれている)、3−アミノ安息香酸、4−アミノ安息香酸またはそれらの混合物から誘導される。
【0023】
この二価架橋基(これは、各存在において、同一または異なり得る)には、−CH−(メチレン架橋)および−CHOCH−(エーテル架橋)が挙げられ、それらのいずれかは、アルデヒド(例えば、ホルムアルデヒドまたはホルムアルデヒド等価物(例えば、パラホルムアルデヒド、ホルマリン))、エタノールまたはプロパノールから誘導され得る。
【0024】
一実施態様では、このオリゴマー反応生成物は、金属塩であり、その金属は、一価、二価またはそれらの混合物である。一実施態様では、この金属は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属(例えば、マグネシウム、カルシウム、カリウムまたはナトリウム)である。一実施態様では、この金属は、マグネシウムであり、別の実施態様では、カルシウムであり、別の実施態様では、カリウムである。このオリゴマー反応生成物が金属塩であるとき、その生成物は、しばしば、サリキサレートまたは金属サリキサレートと呼ばれる。一実施態様では、このオリゴマー反応生成物は、この生成物を中和するのに十分な量で、金属を含有する。一実施態様では、このオリゴマー反応生成物は、この生成物をオーバーベース化するのに十分な量で存在している金属を含有する。一実施態様では、このオリゴマー反応生成物は、上で定義したような式(I)または(II)で表わされる有機化合物を含有する。
【0025】
オリゴマー反応生成物分子の(中和前)の相当な割合は、平均して、次式により、表わされ得ると考えられる:
【0026】
【化5】

ここで、各Rは、同一または異なり得、そして水素またはアルキル基であるが、但し、少なくとも1個のRは、アルキルである。一実施態様では、Rは、ポリイソブテン基(特に、200〜1,000、または550の分子量)である。式(III)のサリチル酸末端基を含む相当な量の二核または三核種もまた、存在し得る。
【0027】
このオリゴマー反応生成物およびそれらの誘導体は、米国特許第6,200,936号ならびにPCT公報WO 01/56968およびWO 03/18728で、さらに詳細に記載されている。一実施態様では、このオリゴマー反応生成物は、さらに、耐摩耗性能を与える。
【0028】
このオリゴマー反応生成物は、一実施態様では、この潤滑組成物の0.01〜155重量パーセント、別の実施態様では、0.05〜10重量パーセント、別の実施態様では、0.1〜8重量パーセント、別の実施態様では、0.2〜5重量パーセントで、存在している。
【0029】
(オーバーベース化スルホネート清浄剤)
本発明は、さらに、スルホネート清浄剤を含む。この組成物のスルホネート清浄剤は、次式で表わされる化合物を含有する:
(R−A−SOM (VI)
ここで、各Rは、一実施態様では、6個〜40個、別の実施態様では、8個〜25個、別の実施態様では、9個〜20個の炭素原子を含有するヒドロカルビル基である;Aは、別個に、環式または非環式炭化水素基であり得る;Mは、水素、金属イオンの原子価、アンモニウムイオンまたはそれらの混合物である;そしてkは、0〜5の整数、例えば、0、1、2、3、4、5である。一実施態様では、kは、1、2または3、別の実施態様では、1または2、別の実施態様では、1である。このスルホネート清浄剤の非オーバーベース化前駆体では、Mは、水素であり得、例えば、利用可能なM要素の30%未満、別の実施態様では、20%未満、別の実施態様では、10%未満、さらに別の実施態様では、5%未満で、存在している。このスルホネート清浄剤がオーバーベース化されているとき、これらのM要素の殆どまたは実質的に全部は、金属イオンを表わす。
【0030】
一実施態様では、kは、1であり、そしてRは、6個〜40個の炭素原子を有する分枝アルキルである。一実施態様では、kは、1であり、そしてRは、6個〜40個の炭素原子を有する直鎖アルキル基である。
【0031】
オーバーベース化スルホネート清浄剤を形成できる適当なスルホン酸の例には、ポリプロペンベンゼンスルホン酸、ウンデシルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、トリデシルベンゼンスルホン酸、テトラデシルベンゼンスルホン酸、ペンタデシルベンゼンスルホン酸、ヘキサデシルベンゼンスルホン酸およびそれらの混合物が挙げられる。一実施態様では、このスルホン酸には、ウンデシルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、トリデシルベンゼンスルホン酸、テトラデシルベンゼンスルホン酸、オクタデシルベンゼンスルホン酸、テトラエイコキシルベンゼンスルホン酸またはそれらの混合物が挙げられる。本発明の一実施態様では、このスルホン酸は、ポリプロペンベンゼンスルホン酸であり、ここで、このポリプロペンは、しばしば、18個〜30個の炭素原子を含有する。
【0032】
本発明の一実施態様では、このスルホネート成分は、カルシウムポリプロペンベンゼンスルホネートおよびカルシウムモノアルキルおよびジアルキルベンゼンスルホネートであり、ここで、これらのアルキル基は、少なくとも10個の炭素、例えば、11個、12個、13個、14個または15個の炭素原子を含有する。
【0033】
Mが金属イオンの原子価であるとき、この金属は、一価、二価、三価またはこのような金属の混合物であり得る。一価であるとき、金属Mは、アルカリ金属(例えば、リチウム、ナトリウムまたはカリウム)を含み、二価であるとき、金属Mは、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウム、カルシウムまたはバリウム)を含む。一実施態様では、この金属は、アルカリ土類金属である。三価であるとき、金属Mは、アルミニウムであり得る。一実施態様では、この金属は、カルシウムである。
【0034】
Aが環式炭化水素基であるとき、適当な基には、フェニレンまたは縮合二環式基(例えば、ナフタレン、インデニル、インダニル、ビシクロペンタジエニルまたはそれらの混合物)が挙げられる。一実施態様では、Aは、ベンゼン環である。
【0035】
Aが非環式二価炭化水素基であるとき、その炭素鎖は、直鎖または分枝であり得る。一実施態様では、Aは、非環式直鎖炭化水素基である。適当な基には、7個〜30個の炭素原子、別の実施態様では、7個〜20個の炭素原子、別の実施態様では、8個〜20個の炭素原子、別の実施態様では、8個〜15個の炭素原子を含有するカルボン酸の誘導体が挙げられる。さらに、この鎖は、飽和または不飽和であり得る。
【0036】
このオーバーベース化スルホネート清浄剤は、一実施態様では、少なくとも350、別の実施態様では、少なくとも400、別の実施態様では、少なくとも425、別の実施態様では、少なくとも450、別の実施態様では、少なくとも475のTBN(全塩基価)を有する。一実施態様では、このオーバーベース化スルホネート清浄剤は、400または500のTBNを有する。
【0037】
このスルホネート清浄剤は、一実施態様では、この潤滑組成物の0.1〜35重量パーセント、別の実施態様では、2〜30重量パーセント、別の実施態様では、5〜25重量パーセント、別の実施態様では、10〜25重量パーセントで存在している。
【0038】
(スルホネート清浄剤のオーバーベース化)
一実施態様では、(i)または(ii)あるいはそれらの両方の清浄剤は、オーバーベースされる。オーバーベース化物質は、別に、オーバーベース化塩またはスーパーベース化塩と呼ばれるが、一般に、単一相の均一なニュートン系であり、これは、その金属および金属と反応される特定の酸性有機化合物の化学量論に従って中和するために必要な金属含量よりも過剰の金属含量により、特徴付けられる。これらのオーバーベース化物質は、酸性物質(典型的には、無機酸または低級カルボン酸、しばしば、二酸化炭素)と、以下を含有する混合物とを反応させることにより、調製される:酸性有機化合物、少なくとも1種の有機溶媒を含む反応媒体、および促進剤(例えば、フェノールまたはアルコール混合物)。アルコールの混合物は、典型的には、メタノールと、2個〜7個の炭素原子を有する少なくとも1種のアルコールとを含有し、そして50〜60モルパーセントのメタノールを含有し得る。この酸性物質は、通常、オイルにて一定程度の溶解度を与えるのに十分な数の炭素原子を有する。過剰な金属量は、通常、基質:金属比で表わされる。「基質:金属比」との用語は、この基質の当量に対する金属の全当量の比である。オーバーベース化スルホネート清浄剤は、典型的には、12.5:1〜40:1、一実施態様では、13.5:1〜40:1、別の実施態様では、14.5:1〜40:1、別の実施態様では、15:1〜40:1;別の実施態様では、15.5:1〜40:1、別の実施態様では、16.5:1〜40:1の金属比を有する。さらに、このオーバーベース化スルホネート清浄剤は、しばしば、低い製造過程粘度および低い最終粘度を有する。
【0039】
500TBNを有するスルホネート清浄剤およびその調製は、米国特許第5,792,732で開示されている。その実施例2では、500TBN全直鎖アルキルベンゼンスルホネートは、n−ヘプタンおよびメタノール中にて、Witco Corp.(現在では、Cromptonとして、知られている)製のアルキルベンゼンスルホネートとCa(OH)およびCaOとを反応させることにより、そしてCOを泡立たせることにより、調製される。前述の特許(5欄)において、非常に分枝したアルキルベンゼンスルホネートを含有する500TBNオーバーベース化スルホネートは、Petronate(登録商標)C−500として、Witco Corp.(現在では、Cromptonとして、知られている)から入手できる。高い金属比のオーバーベース化スルホネート清浄剤を調製する他の方法は、米国特許第6,444,625号(例えば、3欄、下部を参照)で開示されている。後者の方法は、スルホン酸を反応器に供給する工程、中和およびオーバーベース化用の石灰反応物を加える工程、低脂肪族C〜Cアルコールおよび炭化水素溶媒を加える工程、およびプロセス混合物を二酸化炭素で炭酸化する工程を包含し、その過程では、この反応の発熱は、27℃と57℃の間で維持される。あるいは、高い金属比の清浄剤は、炭化水素溶媒と共にまたはそれなしで、短鎖アルコールを使用することにより、石灰反応物および二酸化炭素の添加を複数回反復して行うことにより調製され得、もし望ましいなら、石灰および二酸化炭素を加える工程および揮発性物質を除去する工程は、繰り返すことができる。本発明のオーバーベース化スルホネート清浄剤は、単独で、または他のオーバーベース化スルホネートと併用して、使用され得る。一実施態様では、このスルホネート清浄剤は、他のスルホネート清浄剤との混合物中にある。あるいは、500 TBN スルホネート清浄剤は、調製実施例S−1で示された方法により、調製され得る。
【0040】
(調製実施例S−1)
フランジおよびクリップ、オーバーヘッド攪拌機(パドル付き)およびポリテトラフルオロエチレン(PTFE)攪拌機グランド、ディーン・スタークトラップおよび二重表面冷却器、マントル/熱電対温度制御システムを付けたフランジ容器を使用して、500TBNスルホネートの試料を調製するが、この装置は、マントルのすぐ上から、冷却器のすぐ下まで、ガラスウールで覆われている。この容器に、C16〜C24アルキルベンゼンスルホン酸35.1重量部および鉱油(SN 150)31.8重量部を充填し、そして30℃まで加熱する。この反応器に、ポートを通って、アルコール(これは、11.6重量部で存在しているメタノールおよびイソブタノール/アミルアルコール混合物を含有する)を充填する。メタノールとイソブタノール/アミルアルコール混合物との重量比は、1.31である。この反応器に、水酸化カルシウム14.9重量部を充填し、その混合物を54℃まで加熱し、ここで、二酸化炭素を加えて、炭酸化生成物を形成する。この炭酸化生成物を、さらに、水酸化カルシウムおよび二酸化炭素の類似(すなわち、等しい)部分で、もう3回処理する。ストリッピングにより水を除去した後、アルコール、水酸化カルシウムおよび二酸化炭素の添加を2回繰り返す。その生成物をストリッピングし、そして濾過する。
【0041】
(フェネート清浄剤)
必要に応じて、この清浄剤パッケージは、さらに、フェネートを含有する。このフェネート清浄剤は、公知であり、イオウ含有フェネート、非硫化フェネートまたはそれらの混合物の中性またはオーバーベース化金属塩が挙げられる。適当な金属塩は、スルホネート清浄剤について記述したものと同じである。
【0042】
このフェネート清浄剤は、一実施態様では、30〜290、別の実施態様では、40〜265、別の実施態様では、50〜190、別の実施態様では、70〜175のTBNを有する。一実施態様では、このイオウ含有フェネート清浄剤は、150のTBN、別の実施態様では、225のTBNを有する。
【0043】
このイオウ含有フェネート清浄剤は、一実施態様では、4以下、別の実施態様では、3以下、別の実施態様では、2.7以下、別の実施態様では、2.5以下、別の実施態様では、2.3以下、別の実施態様では、2.1以下の金属比を有する。
【0044】
このフェネート清浄剤は、一実施態様では、この潤滑組成物の0〜15重量パーセント、別の実施態様では、0〜10重量パーセント、別の実施態様では、0〜5重量パーセント、別の実施態様では、0.5〜3重量パーセントで、存在している。
【0045】
(分散剤)
本発明は、必要に応じて、分散剤を含む。この分散剤は、公知であり、灰分含有分散剤または無灰型分散剤が挙げらる。この分散剤は、単独で、または他の分散剤と併用して、使用され得る。一実施態様では、この無灰分散剤は、灰分を形成する金属を含有しない。無灰型分散剤は、比較的に高分子量の炭化水素鎖に結合された極性基により、特徴付けられる。典型的な無灰分散剤には、N−置換長鎖アルケニルスクシンイミドが挙げられる。N−置換長鎖アルケニルスクシンイミドの例は、一実施態様では、350〜5000の範囲、別の実施態様では、500〜3000の範囲のポリイソブテニル置換基の数平均分子量を有するポリイソブチレンスクシンイミドが挙げられる。スクシンイミド分散剤およびそれらの調製は、例えば、米国特許第4,234,435号で開示されている。スクシンイミド分散剤は、典型的には、ポリアミン(典型的には、ポリ(エチレンアミン))から形成されたイミドである。
【0046】
一実施態様では、本発明は、分散剤を含有する。一実施態様では、この分散剤は、亜鉛とのポリイソブチレンスクシンイミド錯体を形成するために、ポリイソブチレン、アミンおよび酸化亜鉛から誘導される。
【0047】
他の種類の無灰分散剤には、マンニッヒ塩基がある。マンニッヒ分散剤は、アルキルフェノールとアルデヒド(特に、ホルムアルデヒド)およびアミン(特に、ポリアルキレンポリアミン)との反応生成物である。そのアルキル基は、少なくとも30個の炭素原子を含有する。
【0048】
この分散剤はまた、種々の任意の試薬との反応による通常方法により、後処理され得る。これらには、尿素、チオ尿素、ジメルカプトチアジアゾール、二硫化炭素、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、炭化水素置換無水コハク酸、無水マレイン酸、ニトリル、エポキシド、ホウ素化合物およびリン化合物がある。
【0049】
本発明の一実施態様では、この分散剤は、種々の形状のホウ酸(メタホウ酸(HBO)、オルトホウ酸(HBO)およびテトラホウ酸(H)を含めて)、酸化ホウ素、三酸化ホウ素、およびホウ酸アルキルからなる群から選択される試薬を使用して、ホウ酸塩化される。
【0050】
このホウ酸塩化分散剤は、ホウ素化合物とN−置換長鎖アルケニルスクシンイミドとをブレンドすることにより、そしてそれらを、所望の反応が起こるまで、適当な温度(一実施態様では、80℃〜250℃、別の実施態様では、90℃〜230℃、別の実施態様では、100℃〜210℃)で加熱することにより、調製され得る。これらのホウ素化合物とN−置換長鎖アルケニルスクシンイミドとのモル比は、典型的には、10:1〜1:4、別の実施態様では、4:1〜1:3、別の実施態様では、1:2である。この反応を実行する際には、不活性液体が使用され得る。この液体には、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジメチルホルムアミドおよびそれらの混合物が挙げられ得る。
【0051】
この分散剤は、一実施態様では、この潤滑組成物の0重量%〜10重量%または0.01〜10重量%、別の実施態様では、0.05重量%〜7重量%、別の実施態様では、0.1重量%〜5重量%、別の実施態様では、0.2重量%〜3重量%で、存在している。
【0052】
(潤滑粘性のあるオイル)
本発明は、さらに、潤滑粘性のあるオイルを含有する。このようなオイルには、天然油および合成油、水素化分解、水素化、ハイドロフィニッシングから誘導されたオイル、未精製油、精製油および再精製油、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0053】
未精製油とは、天然原料または合成原料から、さらに精製処理することなく(または殆ど精製処理せずに)、直接得られるオイルである。
【0054】
精製油は、1種またはそれ以上の特性を改良するべく、1段またはそれ以上の精製段階でさらに処理されたこと以外は、未精製油と類似している。精製技術は、当該技術分野で公知であり、溶媒抽出、二次蒸留、酸または塩基抽出、濾過、浸透などが挙げられる。
【0055】
再精製油はまた、再生された油または再生加工された油として公知であり、そして消費された添加剤および油の分解生成物を除去するべく指示された方法により、しばしばさらに処理される。
【0056】
本発明の潤滑剤を製造する際に有用な天然油には、動物油および植物油(例えば、ヒマシ油、ラード油)、鉱物性の潤滑油(例えば、液状の石油オイル、およびパラフィンタイプ、ナフテンタイプまたは混合したパラフィン−ナフテンタイプであって、かつ溶媒処理された鉱物性潤滑油または酸処理された鉱物性潤滑油、石炭またはけつ岩から誘導されるオイルまたはそれらの混合物)が挙げられる。
【0057】
合成の潤滑油は、有用であり、これには、炭化水素油、例えば、重合されたオレフィンおよびインターポリマー化されたオレフィン(例えば、ポリブチレン、ポリプロピレン、プロピレン−イソブチレン共重合体);ポリ(1−ヘキセン)、ポリ(1−オクテン)、ポリ(1−デセン)およびそれらの混合物;アルキルベンゼン(例えば、ドデシルベンゼン、テトラデシルベンゼン、ジノニルベンゼン、ジ−(2−エチルヘキシル)−ベンゼンなど);ポリフェニル(例えば、ビフェニル、テルフェニル、アルキル化されたポリフェニル);アルキル化されたジフェニルエーテルおよびアルキル化されたジフェニルスルフィド、およびそれらの誘導体、類似物および同族体、またはそれらの混合物が挙げられる。
【0058】
他の合成潤滑油には、リン含有酸の液状エステル(例えば、リン酸トリクレシル、リン酸トリオクチルおよびデカンホスホン酸のジエチルエステル)、重合したテトラヒドロフランなどが挙げられるが、これらに限定されない。合成油は、フィッシャー−トロプシュ反応により生成され得、典型的には、水素異性化されたフィッシャー−トロプシュ炭化水素またはワックスであり得る。
【0059】
潤滑粘性のあるオイルはまた、American Petroleum Institute(API)Base Oil Interchangeability Guidelinesで指定されたように、定義され得る。5つの基油群は、以下のとおりである:第I族(イオウ含量>0.03重量%、および/または<90重量%の飽和物、粘度指数80〜120);第II族(イオウ含量≦0.03重量%、および≧90重量%の飽和物、粘度指数80〜120);第III族(イオウ含量≦0.03重量%、および≧90重量%の飽和物、粘度指数 ≧120);第IV族(全てのポリアルファオレフィン(PAOs));および第V族(第I族、第II族、第III族または第IV族に含まれない他の全て)。この潤滑粘性のあるオイルは、API 第I族、第II族、第III族、第IV族、第V族オイルおよびそれらの混合物を含む。一実施態様では、この潤滑粘性のあるオイルは、単一等級であり、しばしば、SAE−50または上記等級を有する。
【0060】
この潤滑粘性のあるオイルは、一実施態様では、この潤滑組成物の10重量%〜99.8重量%、別の実施態様では、30重量%〜97.9重量%、別の実施態様では、46重量%〜94.8重量%、別の実施態様では、57重量%〜89重量%で、存在している。
【0061】
(性能添加剤)
必要に応じて、この潤滑組成物は、成分(a)〜(c)以外の少なくとも1種の性能添加剤を含有し得、これらは、金属不活性化剤、分散剤、酸化防止剤、耐摩耗剤、腐食防止剤、耐スカッフィング剤、極圧剤、発泡防止剤、解乳化剤、摩擦調整剤、粘度調整剤、流動点降下剤およびそれらの混合物からなる群から選択される。典型的には、十分に調合した潤滑油は、1種またはそれ以上のこれらの性能添加剤を含有する。
【0062】
存在している他の性能添加剤を合わせた全量は、一実施態様では、この潤滑組成物の0重量%〜15重量%、別の実施態様では、0重量%〜13重量%、別の実施態様では、0.01重量%〜11重量%、別の実施態様では、0.05重量%〜7重量%である。
【0063】
(耐摩耗剤)
本発明の一実施態様では、この組成物は、さらに、耐摩耗剤(例えば、ヒドロカルビルジチオリン酸金属)を含有する。ヒドロカルビルジチオリン酸金属の例には、ジヒドロカルビルジチオリン酸金属(これは、しばしば、ZDDP、ZDPまたはZDTPと呼ばれる)が挙げられる。一実施態様では、この潤滑組成物は、ヒドロカルビルジチオリン酸金属を含まない。
【0064】
代替実施態様では、この耐摩耗剤は、無灰であり、すなわち、この耐摩耗剤は、金属を含まない。一実施態様では、金属を含まない耐摩耗剤は、アミン塩である。この無灰耐摩耗剤は、しばしば、イオウ、リン、ホウ素またはそれらの混合物を含めた原子を含有する。一実施態様では、この潤滑組成物は、無灰耐摩耗剤を含まない。
【0065】
このアミンは、しばしば、第一級アミン、第二級アミン、第三級アミンまたはそれらの混合物である。しばしば、第一級アミンおよび/または第二級アミンは、少なくとも1個のヒドロカルビル基を含有し、存在している炭素原子の数は、一実施態様では、2個〜30個、別の実施態様では、8個〜26個、別の実施態様では、10個〜20個、別の実施態様では、11個〜18個(例えば、11個〜14個)である。
【0066】
本発明で有用な第一級アミンの例には、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、オクチルアミンおよびドデシルアミンが挙げられる。また、適当な第一級脂肪アミンには、n−オクチルアミン、n−デシルアミン、n−ドデシルアミン、n−テトラデシルアミン、n−ヘキサデシルアミン、n−オクタデシルアミンおよびオレイルアミンが挙げられる。他の有用な脂肪アミンには、市販の脂肪アミン、例えば、「Armeen(登録商標)」アミン(Akzo Chemicals,Chicago,Illinoisから入手できる生成物)(例えば、Armeen C、Armeen O、Armeen OL、Armeen T、Armeen HT、Armeen S、およびArmeen SD)が挙げられ、ここで、アルファベットの名称は、脂肪基(例えば、ココア基、オレイル基、タロ基またはステアリル基)に関する。
【0067】
適当な第二級アミンの例には、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ジアミルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、メチルエチルアミン、エチルブチルアミンおよびエチルアミルアミンが挙げられる。これらの第二級アミンは、環状アミン(例えば、ピペリジン、ピペラジンおよびモルホリン)であり得る。
【0068】
このアミンはまた、第三級脂肪族第一級アミンであり得る。しばしば、この脂肪族基は、一実施態様では、2個〜30個、別の実施態様では、6個〜26個、別の実施態様では、8個〜24個の数の炭素原子を含有するアルキル基である。しばしば、この第三級脂肪族第一級アミンモノアミン(例えば、第三級ブチルアミン、第三級ヘキシルアミン、1−メチル−1−アミノシクロヘキサン、第三級オクチルアミン、第三級デシルアミン、第三級ドデシルアミン、第三級テトラデシルアミン、第三級ヘキサデシルアミン、第三級オクタデシルアミン、第三級テトラコサニルアミン、および第三級オクタコサニルアミンにより)である。
【0069】
第三級脂肪族アミンの混合物もまた、本発明で使用され得る。特に有用なアミン混合物は、「Primene 81R」および「Primene JMT」である。Primene 81RおよびPrimene JMT(両方共に、Rohm and Haas Companyから製造され、そして販売されている)は、それぞれ、C11〜C14の第三級アルキル第一級アミンの混合物およびC18〜C22の第三級アルキル第一級アミンの混合物である。
【0070】
この無灰耐摩耗剤には、また、リン酸エステルまたはそれらの塩;ジアルキルジチオリン酸エステルまたはそれらの塩;ホスファイト;およびリン含有カルボン酸エステル、エーテルおよびアミドまたはそれらの混合物が挙げられ得る。
【0071】
他の無灰耐摩耗剤化合物には、イオウ含有無灰耐摩耗添加剤、例えば、チオカーバメート含有化合物(例えば、チオカーバメートエステル、チオカーバメートアミド、チオカルバミン酸エーテル、アルキレンカップリングしたチオカーバメートおよびビス(S−アルキルジチオカルバミル)ジスルフィド)が挙げられる。一実施態様では、この潤滑組成物は、チオカーバメート含有化合物を含まない。
【0072】
これらのジチオカーバメート含有化合物は、ジチオカルバミン酸または塩と不飽和化合物とを反応させることにより、調製され得る。これらのジチオカーバメート含有化合物はまた、アミン、二硫化炭素および不飽和化合物を同時に反応させることにより、調製され得る。一般に、この反応は、25℃〜125℃の温度で、起こる。米国特許第4,758,362号および第4,997,969号は、ジチオカーバメート化合物およびそれらを製造する方法を記載している。
【0073】
有用な脂肪アミンには、市販の脂肪アミン、例えば、「Armeen」(登録商標)アミン(Akzo Chemicals,Chicago,Illinoisから入手できる生成物)(例えば、Armeen(登録商標)C、Armeen(登録商標)O、Armeen(登録商標)OL、Armeen(登録商標)T、Armeen(登録商標)HT、Armeen(登録商標)S、およびArmeen(登録商標)SD)が挙げられ、ここで、アルファベットの名称は、脂肪基(例えば、ココア基、オレイル基、タロ基またはステアリル基)に関する。
【0074】
本発明の代替実施態様では、この無灰耐摩耗剤は、ポリオールと脂肪族カルボン酸(しばしば、12個〜24個の炭素原子を含有する酸)とのモノエステルであり得る。しばしば、ポリオールと脂肪族カルボン酸とのモノエステルは、ひまわり油との混合物の形態であり、このひまわり油は、この摩擦調整剤混合物中にて、一実施態様では、該混合物の5〜95重量パーセント、別の実施態様では、10〜90重量パーセント、別の実施態様では、20〜85重量パーセント、別の実施態様では、20〜80重量パーセントで存在し得る。これらのエステルを形成する脂肪族カルボン酸(特に、モノカルボン酸)は、一実施態様では、12個〜24個の炭素原子、別の実施態様では、14個〜20個の炭素原子を含有するものである。一実施態様では、この組成物は、ポリオールおよび脂肪族カルボン酸のモノエステルを含まない。
【0075】
ポリオールには、ジオール、トリオール、およびそれより多い数のアルコール性OH基を有するアルコールが挙げられる。多価アルコールには、エチレングリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコールおよびテトラエチレングリコールを含めて);プロピレングリコール(ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコールおよびテトラプロピレングリコールを含めて);グリセロール;ブタンジオール;ヘキサンジオール;ソルビトール;アラビトール;マンニトール;スクロース;フルクトース;グルコース;シクロヘキサンジオール;エリスリトール;およびペンタエリスリトール(ジペンタエリスリトールおよびトリペンタエリスリトールを含めて)が挙げられる。しばしば、このポリオールは、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセロール、ソルビトール、ペンタエリスリトールまたはジペンタエリスリトールである。
【0076】
カルボン酸の例には、ドデカン酸、ステアリン酸、ラウリン酸、ベヘン酸およびオレイン酸が挙げられる。「グリセロールモノオレエート」として知られている市販のモノエステルは、35±5重量パーセントのグリセロールジオレオエート、および5重量パーセント未満のトリオレエートおよびオレイン酸と共に、60±5重量パーセントのグリセロールモノオレエート化学種を含むと考えられている。上記モノエステルの量は、任意のこのような混合物中に存在しているポリオールモノエステルの実際の補正された量に基づいて、計算される。
【0077】
本発明の一実施態様では、この耐摩耗剤は、ホウ酸エステルである。このホウ酸エステルは、ホウ素化合物と、以下から選択される少なくとも1種の化合物とを反応させることにより、調製される:エポキシ化合物、ハロヒドリン化合物、エピハロヒドリン化合物、アルコール、およびそれらの混合物。典型的には、これらのアルコールには、一価アルコール、二価アルコール、三価アルコールまたはそれより高級なアルコールが挙げられる。
【0078】
このホウ酸エステルを調製するのに適当なホウ素化合物には、ホウ酸(メタホウ酸HBO、オルトホウ酸HBOおよびテトラホウ酸Hを含めて)、酸化ホウ素、三酸化ホウ素およびホウ酸アルキルが挙げられる。このホウ酸エステルはまた、ハロゲン化ホウ素から調製され得る。このホウ酸エステルは、さらに、約8個〜約30個の炭素原子を含有する少なくとも1種のヒドロカルビル基を含有する。一実施態様では、この潤滑組成物は、ホウ酸エステルを含まない。
【0079】
この耐摩耗剤は、一実施態様では、この潤滑組成物の0重量%〜8重量%、別の実施態様では、0重量%〜6重量%、別の実施態様では、0.01重量%〜4重量%、別の実施態様では、0.01重量%〜2重量%で、存在している。この耐摩耗剤は、単独で、または他の耐摩耗剤と併用して、使用され得る。一実施態様では、この潤滑組成物は、耐摩耗剤を含まない。
【0080】
他の性能添加剤、例えば、酸化防止剤(ジフェニルアミン、ヒンダードフェノール、ジチオカルバミン酸モリブデン、硫化オレフィンおよびそれらの混合物)(一実施態様では、この潤滑組成物は、酸化防止剤を含まない);腐食防止剤(これには、オクタン酸オクチルアミン、ドデセニルコハク酸または無水物および脂肪酸(例えば、オレイン酸)とポリアミンの縮合生成物が挙げられる);金属不活性化剤(これには、ベンゾトリアゾール、1,2,4−トリアゾール、ベンゾイミダゾール、2−アルキルジチオベンゾイミダゾールまたは2−アルキルジチオベンゾチアゾールが挙げられる);発泡防止剤(これらは、アクリル酸エチルと、アクリル酸2−エチルヘキシルと、必要に応じて、酢酸ビニルとの共重合体が挙げられる);解乳化剤(これには、リン酸トリアルキル、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドおよび(エチレンオキシド−プロピレンオキシド)重合体が挙げられる);流動点降下剤(これには、無水マレイン酸−スチレンのエステル、ポリメタクリレート、ポリアクリレートまたはポリアクリルアミドが挙げられる);粘度調整剤(これには、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレン共重合体、水素化スチレン−イソプレン重合体、水素化ラジカルイソプレン重合体、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリアルキルスチレン、ポリオレフィン、メタクリル酸ポリアルキルおよび無水マレイン酸−スチレン共重合体のエステルが挙げられる);摩擦調整剤(これには、脂肪酸誘導体(例えば、アミン、エステル、エポキシド、脂肪イミダゾリン、カルボン酸とポリアルキレン−ポリアミンとの縮合生成物、およびアルキルリン酸のアミン塩が挙げられる)もまた、本発明の組成物において、使用され得る。
【0081】
(方法)
本発明はまた、以下を混合する工程を包含する潤滑組成物を調製する方法を含む:
(a)以下を含有する、清浄剤パッケージ:
(i)(1)ヒドロカルビル置換フェノール;(2)アルデヒド;および(3)カルボキシル置換フェノールもしくはカルボキシル置換フェニルアミンのオリゴマー反応生成物;または該反応生成物の塩;
(ii)スルホネート;および
(iii)必要に応じて、フェネート;
(b)必要に応じて、分散剤;および
(c)潤滑粘性のあるオイルであって、
ここで、該スルホネート清浄剤は、約12.5:1〜約40:1の金属比で、オーバーベース化されている。
【0082】
その混合条件は、一実施態様では、15℃〜130℃、別の実施態様では、20℃〜120℃、別の実施態様では、25℃〜110℃の温度;そして一実施態様では、30秒間〜48時間、別の実施態様では、2分間〜24時間、別の実施態様では、5分間〜16時間または20分間〜4時間の時間;そして一実施態様では、86.4kPa〜266kPa(650mmHg〜2000mmHg)、別の実施態様では、91.8kPa〜200kPa(690mmHg〜1500mmHg)、別の実施態様では、95.1kPa〜133kPa(715mmHg〜1000mmHg)の圧力を含む。
【0083】
この方法は、必要に応じて、上記他の性能添加剤を混合する工程を包含する。これらの任意の性能添加剤は、連続して、別々に、または濃縮物として、加えられ得る。
【0084】
もし、本発明が濃縮物(これは、追加オイルと混合でき、全体で、または部分的に、最終潤滑剤を形成する)の形態であるなら、前記分散剤および/または清浄剤だけでなく他の成分の各々と希釈油との比は、重量基準で、典型的には、80:20〜10:90である。
【0085】
(工業用途)
本発明の潤滑組成物は、内燃機関(例えば、ディーゼル燃料機関、ガソリン燃料機関、天然ガス燃料機関または混合ガソリン/アルコール燃料機関)に有用である。一実施態様では、この内燃機関は、4−ストロークであり、別の実施態様では、2−ストロークエンジンである。一実施態様では、このディーゼル燃料機関は、船舶ディーゼル機関である。
【0086】
一実施態様では、本発明は、内燃機関を潤滑させる方法を提供し、この方法は、そこに、本明細書中で記述した組成物を含有する潤滑剤を供給する工程を包含する。この組成物を使用すると、清浄化特性、耐摩耗性能および堆積物の抑制の1つまたはそれ以上がなされ得る。
【0087】
以下の実施例は、本発明を例示する。これらの実施例は、全てを網羅するものではなく、本発明の範囲を限定するとは解釈されない。
【実施例】
【0088】
(実施例1〜10および参考例1)
表1で規定した添加剤を混合することにより、潤滑組成物を調製する;そして全ての添加剤は、通常の量の希釈剤を含有する。調製された組成物は、以下である:
【0089】
【化6】

表1の脚注:
(a)は、400TBNスルホネート清浄剤である;
(b)は、500 TBNスルホネートである;
(c)は、金属サリキサレート清浄剤である;
(d)は、(1)550の分子量のヒドロカルビル置換フェノール;(2)アルデヒド;および(3)カルボキシル置換フェノールの無金属オリゴマー反応生成物である;
(e)は、成分(d*)のドデシル置換フェノール等価物である;
(f)は、分散剤である;そして
(g)は、潤滑粘性のあるオイルである。
【0090】
(試験1:パネルコーカー(Panel Coker))
およそ233gの試料を250mL Panel Coker装置に入れ、そして325℃まで加熱する。この試料を、15秒間にわたって、金属板に跳ねかけ、次いで、45秒間焼き付ける。この跳ねかけおよび焼き付けのサイクルを、およそ3時間継続する。この試料を室温まで冷却しそして金属プレート上に残っている堆積物の量を測定する。指定した実施例の潤滑剤を試験することにより得られた結果は、以下で示すとおりである:
【0091】
【化7】

このデータを分析すると、本発明の潤滑組成物は、参考例と比較して、堆積物の形成が少ないことが明らかとなる。結果的に、本発明は、潤滑組成物に、清浄化特性、耐摩耗性能および堆積物抑制の1つまたはそれ以上の特性を与える。
【0092】
(実施例11〜16および参考例2)
表1で規定した添加剤を混合することにより、潤滑組成物を調製する;そして全ての添加剤は、通常の量の希釈剤を含有する。調製された組成物は、以下である:
【0093】
【化8】

表1の脚注:
(a)〜(e)は、上で定義したとおりである;
(e)は、分散剤である;
(f)は、ホウ酸塩分散剤である;
(g)は、ジアルキルジチオリン酸亜鉛である;
(h)は、硫化オレフィンである;
(i)は、潤滑粘性のあるオイルである。
【0094】
(試験1:Cameron Plint摩耗試験)
Cameron Plint TE−77(商標)は、往復摩耗試験機である。この試験では、鋼球上部試験片を、鋼鉄製フラット下部試験片に接して、往復させる。次いで、このCameron Plintに、試料10mlを充填し、50℃まで加熱し、そして20分間保持する。次いで、これらの試料(実施例12〜16)を、2分間にわたって、150Nの負荷にかけると同時に、15mmのストローク長にわたって、10Hzで、往復を開始する。試料(実施例11および参考例1)は、240Nの負荷にかける。次いで、この試料を、1分間あたり2℃で、350℃まで加熱し、次いで、その温度で、3時間保持する。この試験の最後に、薄膜破壊の開始を測定する。薄膜破壊の開始は、接触薄膜で測定される油膜が最初にその初期値の80%まで低下する温度により、決定される。指定した実施例の潤滑剤を試験することにより得られた結果は、以下で示すとおりである:
【0095】
【化9】

このデータを分析すると、本発明の潤滑組成物は、薄膜破壊の開始温度が高いことが明らかとなる。
【0096】
要約すると、本発明の潤滑組成物は、清浄化特性、耐摩耗性能および堆積物抑制の1つまたはそれ以上の特性を有する。
【0097】
上で引用した各文献の内容は、本明細書中で参考として援用されている。実施例を除いて、他に明らかに指示がなければ、物質の量を特定している本記述の全ての数値量、反応条件、分子量、炭素原子数などは、「約」という用語により修飾されることが分かる。他に指示がなければ、本明細書中で言及した各化学物質または組成物は、その異性体、副生成物、誘導体、および市販等級の物質中に存在すると通常考えられているような他のこのような物質を含有し得る、市販等級の物質であると解釈されるべきである。しかしながら、各化学成分の量は、他に指示がなければ、市販等級の物質に通例存在し得る溶媒または希釈油を除いて、提示されている。同様に、本発明の各要素の範囲および量は、他の要素のいずれかの範囲または量と併用され得る。本明細書中で示した上限および下限の量、範囲および比は、別個に組み合わされ得ることが分かる。本明細書中で使用する「本質的になる」との表現には、問題の組成物の基本的で新規な特性に著しく影響を与えない物質が含まれていてもよい。種々の物質は、少なくとも最初は、灰分形成金属を含有しないので、本明細書中では、「無灰」と呼ばれている。このような物質は、潤滑剤で調合したとき、灰分形成金属と会合し得ることが認められている;それにもかかわらず、それらは、依然として、「無灰」と見なされる。
【0098】
本明細書中で使用する「ヒドロカルビル置換基」または「ヒドロカルビル基」との用語は、通常の意味で使用され、これは、当業者に周知である。具体的には、それは、分子の残部に直接結合した炭素原子を有しそして炭化水素的性質または主として炭化水素的な性質を有する基を意味する。ヒドロカルビル基の例には、以下が挙げられる:
炭化水素置換基、すなわち、脂肪族置換基(例えば、アルキルまたはアルケニル)、脂環族置換基(例えば、シクロアルキル、シクロアルケニル)、および芳香族置換された芳香族置換基、脂肪族置換された芳香族置換基および脂環族置換された芳香族置換基などだけでなく、環状置換基。ここで、この環は、分子の他の部分により、完成されている(例えば、2個の置換基は、一緒になって、環を形成する);
置換された炭化水素置換基、すなわち、非炭化水素基を含有する置換基。この非炭化水素基は、本発明の文脈では、置換基の主な炭化水素的性質を変化させない(例えば、ハロ(特に、クロロおよびフルオロ)、ヒドロキシ、アルコキシ、メルカプト、アルキルメルカプト、ニトロ、ニトロソ、およびスルホキシ);
ヘテロ置換基、すなわち、本発明の文脈内では、主として炭化水素的性質を有しながら、環または鎖の中に存在する炭素以外の原子を有するが、その他は炭素原子で構成されている基。ヘテロ原子には、イオウ、酸素、窒素が挙げられ、ピリジル、フリル、チエニルおよびイミダゾリルのような置換基を包含する。一般に、このヒドロカルビル基では、各10個の炭素原子に対し、2個以下の非炭化水素置換基、一実施態様では、1個以下の非炭化水素置換基が存在する。典型的には、このヒドロカルビル基には、このような非炭化水素置換基は存在しない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下:
(a)以下を含有する、清浄剤パッケージ:
(i)(1)ヒドロカルビル置換フェノール;(2)アルデヒド;および(3)カルボキシル置換フェノールもしくはカルボキシル置換フェニルアミンのオリゴマー反応生成物;または該反応生成物の塩;
(ii)スルホネート;および
(iii)必要に応じて、フェネート;
(b)必要に応じて、分散剤;ならびに
(c)潤滑粘性のあるオイル
を含有する潤滑組成物であって、
ここで、該スルホネート清浄剤は、約12.5:1〜約40:1の金属比で、オーバーベース化されている、組成物。
【請求項2】
前記潤滑組成物が、30またはそれより高い全塩基価を有する、請求項1に記載の潤滑組成物。
【請求項3】
前記潤滑組成物が、50またはそれより高い全塩基価を有する、請求項1に記載の潤滑組成物。
【請求項4】
前記スルホネート清浄剤の金属比が、15:1〜40:1である、請求項1に記載の潤滑組成物。
【請求項5】
前記スルホネート清浄剤が、少なくとも350の全塩基価を有する、請求項1に記載の潤滑組成物。
【請求項6】
前記オリゴマー反応生成物が、式(I)または(II):
【化1】

の少なくとも1個の単位を含む実質的に直鎖の化合物である請求項1に記載の潤滑組成物であって、
該化合物の各末端は、式(III)または(IV):
【化2】

の末端基を有し、
このような基は、二価架橋基により連結されており、該架橋基は、各連鎖について、同一または異なり得る;ここで、式(I)〜(IV)において、fは、1、2または3である;Uは、−OH、−NH−NHR、−N(Rまたはそれらの混合物であり、Rは、1個〜5個の炭素原子を含有するヒドロカルビル基である;Rは、ヒドロキシルまたはヒドロカルビル基であり、そしてjは、0、1または2である;Rは、水素またはヒドロカルビル基である;Rは、ヒドロカルビル基または置換ヒドロカルビル基である;gは、1、2または3であるが、但し、少なくとも1個のR基は、8個またはそれ以上の炭素原子を含有する;そして、ここで、該分子は、平均して、単位(I)または(III)の少なくとも1個、および単位(II)または(IV)の少なくとも1個を含有し、そして該組成物内の単位(I)および(III)の全数と単位(II)および(IV)の全数との比は、約0.1:1〜約2:1である、組成物。
【請求項7】
前記オリゴマー反応生成物が、金属塩である、請求項6に記載の潤滑組成物。
【請求項8】
以下:
(a)以下を含有する、清浄剤パッケージ:
(i)0.1〜8重量パーセントの(1)ヒドロカルビル置換フェノール;(2)アルデヒド;および(3)カルボキシル置換フェノールもしくはカルボキシル置換フェニルアミンのオリゴマー反応生成物;および該反応生成物の塩;
(ii)5〜25重量パーセントのスルホネート;および
(iii)0〜10重量パーセントのフェネート;
(b)0.1〜5重量パーセントの分散剤;および
(c)46〜94.8重量パーセントの潤滑粘性のあるオイル
を含有する潤滑組成物であって、
ここで、該スルホネート清浄剤は、約12.5:1〜約40:1のの金属比で、オーバーベース化されている、組成物。
【請求項9】
以下:
(a)以下を含有する、清浄剤パッケージ:
(i)(1)ヒドロカルビル置換フェノール;(2)アルデヒド;および(3)カルボキシル置換フェノールもしくはカルボキシル置換フェニルアミンのオリゴマー反応生成物;および該反応生成物の塩;
(ii)スルホネート;および
(iii)必要に応じて、フェネート;
(b)分散剤;ならびに
(c)潤滑粘性のあるオイル
を混合する工程を包含する、潤滑組成物を調製するための方法であって、
ここで、該スルホネート清浄剤は、約12.5:1〜約40:1の金属比で、オーバーベース化されている、方法。
【請求項10】
内燃機関を潤滑させるための方法であって、請求項1に記載の潤滑組成物を含有する潤滑剤を該内燃機関に供給する工程を包含する、方法。
【請求項11】
前記内燃機関が、船舶ディーゼルエンジンである、請求項10に記載の内燃機関を潤滑させる方法。

【公表番号】特表2008−516049(P2008−516049A)
【公表日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−535744(P2007−535744)
【出願日】平成17年10月3日(2005.10.3)
【国際出願番号】PCT/US2005/035600
【国際公開番号】WO2006/041810
【国際公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【出願人】(591131338)ザ ルブリゾル コーポレイション (203)
【氏名又は名称原語表記】THE LUBRIZOL CORPORATION
【住所又は居所原語表記】29400 Lakeland Boulevard, Wickliffe, Ohio 44092, United States of America
【Fターム(参考)】