説明

スルホ基含有環状高分子化合物、その製造法及びその用途

【課題】有機電界発光素子に好適に使用可能な高分子化合物、該化合物の製造方法、および該化合物を使用した有機電界発光素子を提供すること。
【解決手段】一般式(1)


(式中、Ar、Ar、Ar、Arは各々独立して無置換または置換基を有する炭素数6〜60の芳香族基を表し、Ar1とAr2は同一または異なり、ArとArは同一または異なる。)で表される繰り返し単位を高分子鎖中に少なくとも一つ有する環状高分子化合物に対してスルホ基を導入した構造であることを特徴とするスルホ基含有環状高分子化合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スルホ基を含有する新規な環状高分子化合物、およびそれらの製造方法に関する。さらに本発明は、該化合物を含有する有機電界発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、有機化合物を用いた機能材料の研究開発が盛んに実施されている。最近では、素子の構成材料に有機化合物を用いた有機電界発光素子(有機エレクトロルミネッセンス素子:有機EL素子)の開発が精力的に進められている。
【0003】
有機電界発光素子は蛍光性有機化合物を含む薄膜を、陽極と陰極間に挟持した構造を有し、該薄膜に電子および正孔(ホール)を注入して、再結合させることにより励起子(エキシントン)を生成させ、この励起子が失活する際に放出される光を利用して発光する素子である。有機電界発光素子は、数V〜数十V程度の直流の低電圧で発光が可能であり、また、蛍光性有機化合物の種類を選択することにより、種々の色(例えば、赤色、青色、緑色)の発光が可能である。このような特徴を有する有機電界発光素子は種々の発光素子、表示素子などへの応用が期待されている。
【0004】
最近では、印刷法によるパターニングが可能という特徴から、大画面TVパネルやフレキシブルシートディスプレイに有利な材料として、蛍光性有機化合物として共役系発光高分子を用いた有機電界発光素子(高分子有機電界発光素子:高分子有機EL素子)の開発が精力的に進められている。
【0005】
有機電界発光素子では、電極間に発光層単独、またはそれに積層して正孔輸送層や電子輸送層が用いられているが、素子の特性や寿命の向上のために、陽極に隣接して正孔注入層を用いることが一般的である。高分子有機電界発光素子における正孔注入層の材料(正孔注入材料)としては、導電性高分子であるポリチオフェン誘導体(ポリ(3、4-エチレンジオキシチオフェン):以下PEDOTと記す。)と高分子プロトン酸であるポリ(スチレンスルホン酸)(以下PSSと記す。)とを含む分散液である材料(バイエル社、商品名 BaytronP)などが知られている(特許文献1)や、スルホ基含有トリアリールアミン重合体(特許文献2)などが知られている。しかしながら、これらの化合物は溶解性や耐熱性などの点において、満足のいくものでない。
【特許文献1】特開2000−91081号公報
【特許文献2】中国特許出願公開第1827666号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の導電性高分子材料BaytronPは、有機溶媒に対して溶解性が乏しく、電子工業用途として不適な水を溶媒とする分散液の状態である。特に有機電界発光素子では、水分が素子の短絡などの問題を引き起こすことが知られているが、BaytronPは水を溶媒としているために、素子作成時に取扱いが難しいとの指摘がされている。また、導電性高分子のPEDOTに対し、高分子量のPSSを過剰に使っているため、凝集性があり均質な薄膜を形成することが困難であるという問題点も指摘されている。さらに、PEDOTを使用した正孔注入層を有する有機電界発光素子は、一般に寿命が短く、実用上満足いくものではない。
【0007】
また、上記のスルホ基含有トリアリールアミン重合体は、メタノール、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、水等の極性溶剤の一種または数種の混合によって調製された溶剤への溶解性を備えていることが開示されているが、有機溶媒への溶解度は必ずしも十分とは言えない。
【0008】
本発明の課題は、有機電界発光素子として、有用な化合物の提供であり、且つ、有機溶媒に対して十分な溶解性を有する化合物の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を達成すべく鋭意検討した結果、スルホ基を含有する新規な環状高分子化合物が有機溶媒に可溶で凝集性がなく、均質な薄膜形成を行うことが可能であり、該化合物を使用することにより長寿命の有機電界発光素子が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち本発明は、
[1] 一般式(1)
【化1】

【0011】
(式中、Ar、Ar、Ar、Arは各々独立して無置換または置換基を有する炭素数6〜60の芳香族基を表し、Ar1とAr2は同一または異なり、ArとArは同一または異なる。)
で表される繰り返し単位を高分子鎖中に少なくとも一つ有する環状高分子化合物に対してスルホ基を導入した構造であることを特徴とするスルホ基含有環状高分子化合物。
【0012】
[2] ArとAr、ArとArが同一であり、下記一般式(2)で表わされる繰り返し単位を高分子鎖中に少なくとも一つ有する環状高分子化合物に対してスルホ基を導入した構造であることを特徴とする[1]に記載のスルホ基含有環状高分子化合物。
【0013】
【化2】

【0014】
(式中、Ar、Arは前記と同じ。)
【0015】
[3] ArとArが異なり、下記一般式(3)で表わされる環状高分子化合物に対してスルホ基を導入した構造であることを特徴とする[1]に記載のスルホ基含有環状高分子化合物。
【0016】
【化3】

【0017】
(式中、Ar、Ar、Ar、Arは前記と同じであり、ArとArは同一または異なる。mは3以上の整数を表す。)
【0018】
[4] [2]において、下記一般式(4)で表わされる環状高分子化合物に対してスルホ基を導入した構造であることを特徴とするスルホ基含有環状高分子化合物。
【0019】
【化4】

【0020】
(式中、Ar、Arは前記と同じであり、nは3以上の整数を表す。)
【0021】
[5] 一般式(1)乃至一般式(4)において、Ar及びArが下記一般式(b−1)〜(b−10)のいずれかであることを特徴とする[1]乃至[4]のいずれかの項に記載のスルホ基含有環状高分子化合物。
【0022】
【化5】

【0023】
(式中、Qは単結合またはO、S、CO、SO、SO、SiH、SiMeからなる群から選ばれる基であり、
、R、R2b、R、R3b、Rは各々独立して水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルキルチオ基、アリール基、アリールアミノ基又はヘテロアリール基であり、R、Rは各々、R2b、R3bと結合して環を形成しても良い。aは0〜4の整数であり、e、及びfは1〜4の整数である。Z1〜Z4は置換基を示し、p1、p2は0〜5の整数、p3、p4は0〜4の整数を示す。)
【0024】
[6] 一般式(1)乃至一般式(4)において、Ar及びArが下記一般式(d−1)〜(d−6)のいずれかであることを特徴とする[1]乃至[5]のいずれかの項に記載のスルホ基含有環状高分子化合物。
【0025】
【化6】

【0026】
(式中、R、R、R6bは各々独立して水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルキルチオ基、アリール基、アリールアミノ基又はヘテロアリール基であり、RはR6bと結合して環を形成しても良い。hは0〜5の整数である。)
【0027】
[7]ArとArが同一であることを特徴とする[1]、[3]、[5]、[6]に記載のスルホ基含有環状高分子化合物。
【0028】
[8]一般式(1)で表される繰り返し単位において、Ar、Ar、Ar、及びArの芳香族基の少なくとも一つがスルホ基で置換されていることを特徴とする[1]、[3]、[5]〜[7]のいずれかの項に記載のスルホ基含有環状高分子化合物。
【0029】
[9] 一般式(2)で表される繰り返し単位において、Ar、及びArの芳香族基の少なくとも一つがスルホ基で置換されていることを特徴とする[2]、[4]、[5]〜[7]のいずれかの項に記載のスルホ基含有環状高分子化合物。
【0030】
[10] [1]〜[9]のいずれかに記載のスルホ基含有環状高分子化合物からなる有機電界発光材料。
【0031】
[11] 一対の電極間に、[1]〜[9]のいずれかに記載のスルホ基含有環状高分子化合物を少なくとも一種含有する層を、少なくとも一層挟持してなる有機電界発光素子。
【0032】
[12] [1]〜[9]のいずれかに記載のスルホ基含有環状高分子化合物を含有する層が、電荷注入輸送層である[11]記載の有機電界発光素子。
【0033】
[13] 電荷注入輸送層が正孔注入輸送層である[12]記載の有機電界発光素子。
【0034】
[14] [1]〜[9]のいずれかに記載のスルホ基含有環状高分子化合物を含有する層が、発光層である[11]記載の有機電界発光素子。
【0035】
[15] 一対の電極間に、さらに、発光層を有する[11]〜[14]のいずれかに記載の有機電界発光素子。
【0036】
[16] 一対の電極間に、さらに、電子注入輸送層を有する[11]〜[15]のいずれかに記載の有機電界発光素子。
【0037】
[17] 一般式(1)
【0038】
【化7】

【0039】
(式中、Ar、Ar、Ar、Arは各々独立して無置換または置換基を有する炭素数6〜60の芳香族基を表し、Ar1とAr2は同一または異なり、ArとArは同一または異なる。)
で表される繰り返し単位を高分子鎖中に少なくとも一つ有する環状高分子化合物をスルホン化するスルホ基含有環状高分子化合物の製造方法。
【発明の効果】
【0040】
本発明により、有機溶媒に可溶で凝集性がなく、均質な薄膜形成を行うことが可能であり、有機電界発光素子に適した高分子化合物、および長寿命の有機電界発光素子を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下、本発明に関し詳細に説明する。
本発明のスルホ基含有環状高分子化合物は、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を高分子鎖中に少なくとも一つ有する環状高分子化合物に対してスルホ基を導入した構造である。
【0042】
【化8】

【0043】
(式中、Ar、Ar、Ar、Arは各々独立して無置換または置換基を有する炭素数6〜60の芳香族基を表し、Ar1とAr2は同一または異なり、ArとArは同一または異なる。)
【0044】
一般式(1)において、ArとArが同一の場合、下記一般式(2)で表される繰り返し単位を高分子鎖中に少なくとも一つ有する環状高分子化合物に対して、スルホ基を導入した構造である。
【0045】
【化9】

【0046】
(式中、Ar、Arは前記と同じ。)
【0047】
上記の一般式(1)及び一般式(2)で表される繰り返し単位のみから構成される環状高分子化合物として、下記一般式(3)、及び、一般式(4)で表される環状高分子化合物が挙げられる。本発明は一般式(3)及び一般式(4)で表される環状高分子化合物に対して、スルホ基を導入した化合物を包含する。
【0048】
【化10】

【0049】
【化11】

【0050】
(式中、Ar、Arは前記と同じ。m及びnは3以上の整数を表す。)
【0051】
一般式(1)で表される繰り返し単位を高分子鎖中に少なくとも一つ有する環状高分子化合物において、ArとArは各々独立して無置換または置換基を有し、かつ芳香族基を含む炭素数6〜60の二価の基である。好ましくは無置換または置換基を有し、かつ芳香族基を含む炭素数6〜40の二価の基である。ArとArとして、下記一般式(b−1)〜(b−10)から選ばれるいずれかの基であることが好ましい。
【0052】
【化12】

【0053】
(式中、Qは単結合またはO、S、CO、SO、SO、SiH、SiMeからなる群から選ばれる基であり、
、R、R2b、R、R3b、Rは各々独立して水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルキルチオ基、アリール基、アリールアミノ基又はヘテロアリール基であり、R、Rは各々、R2b、R3bと結合して環を形成しても良い。aは0〜4の整数であり、e、及びfは1〜4の整数である。Z1〜Z4は置換基を示し、p1、p2は0〜5の整数、p3、p4は0〜4の整数を示す。)
【0054】
上記一般式(b−2)において、下記一般式(b−2−1)、(b−2−2)の構造が好ましい。
【0055】
【化13】

【0056】
(式中、iは1〜4の整数である。)
【0057】
上記一般式(b−2)において、置換基Rは各々独立して水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルキルチオ基、アリール基、アリールアミノ基又はヘテロアリール基である。具体的には、水素原子の他、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、アルキル基(メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、2−エチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、シクロヘキシルメチル基、n−オクチル基、tert−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、トリフルオロメチル基等)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、2−エチルブトキシ基、3,3−ジメチルブトキシ基、シクロヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、シクロヘキシルメチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、トリフルオロメトキシ基等)、アルケニル基(エテニル基、2−プロペニル基、1−メチルエテニル基、3−ブテニル基、1−メチル−2−プロペニル基、4−ペンテニル基等)、アルキルチオ基(メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、n−ブチルチオ基、sec−ブチルチオ基、n−ペンチルチオ基、イソペンチルチオ基、ネオペンチルチオ基、シクロペンチルチオ基、n−ヘキシルチオ基、2−エチルブチルチオ基、3,3−ジメチルブチルチオ基、シクロヘキシルチオ基、n−ヘプチルチオ基、シクロヘキシルメチルチオ基、n−オクチルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基、n−ノニルチオ基、n−デシルチオ基、トリフルオロメチルチオ基等)、アリール基(フェニル基、2−メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2−ヒドロキシフェニル基、3−ヒドロキシフェニル基、4−ヒドロキシフェニル基、2−トリフルオロメチルフェニル基、3−トリフルオロメチルフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、3,6−ジメチルフェニル基、2,3−ジメチルフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、3−(トリフルオロメトキシ)フェニル基、4−(トリフルオロメトキシ)フェニル基、3,4−(メチレンジオキシ)フェニル基、2−ビフェニル基、3−ビフェニル基、4−ビフェニル基、4−ターフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、2−メチルナフチル基、4−メチルナフチル基、9−アントラセニル基、9,9二置換−2−フルオレニル基等)、アリールアミノ基(ジフェニルアミノ基、ジ−p−トリルアミノ基、N−フェニル−1−ナフチルアミノ基、N−フェニル−2−ナフチルアミノ基、N−フェニル−N−ビフェニルアミノ基、1−カルバゾール基等)及びヘテロアリール基(2−フリル基、2−チエニル基、2−ピリジル基等)を挙げることができる。より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アリールアミノ基のいずれかである。
【0058】
上記一般式(b−3)、(b−4)において、置換基R、R2b、R、R3bは上記定義に該当すれば特に限定されるものではないが、具体的には置換基Rとして挙げた置換基等をとり得る。また、置換基R、Rは各々、R2b、R3bと結合して環を形成しても良く、具体的には下記一般式(b−3−1)、(b−4−1)で表される構造が挙げられる。
【0059】
【化14】

【0060】
(式中、Xa、Xb、Ya、Ybは各々独立に、CH、O、Sから選ばれる基であり、j及びkは0〜3の整数を表す。)
【0061】
一般式(b−10)において、Z1〜Z4は各々、独立して、置換基を表す。置換基の例として、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルキルチオ基、アリール基、アリールアミノ基又はヘテロアリール基等が挙げられる。具体的には置換基Rとして挙げた置換基等をとり得る。
【0062】
一般式(1)で表される繰り返し単位を高分子鎖中に少なくとも一つ有する環状高分子化合物において、ArとArは各々独立して無置換または置換基を有し、かつ芳香族基を含む炭素数6〜60の一価の基である。好ましくは無置換または置換基を有し、かつ芳香族基を含む炭素数6〜40の一価の基である。ArとArとして、下記一般式(d−1)〜(d−6)から選ばれるいずれかの基であることが好ましい。
【0063】
【化15】

【0064】
(式中、R、R、R6bは各々独立して水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルキルチオ基、アリール基、アリールアミノ基又はヘテロアリール基であり、RはR6bと結合して環を形成しても良い。hは0〜5の整数である。)
【0065】
一般式(d−1)において、置換基Rは上記の定義に該当すれば特に限定されるものではないが、具体的にはRとして挙げた置換基等を挙げることができる。好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アリールアミノ基のいずれかである。
【0066】
一般式(1)で表される繰り返し単位を高分子鎖中に少なくとも一つ有する環状高分子化合物において、ArとArは各々独立して無置換または置換基を有する炭素数6〜60の芳香族基であるが、同一であることが好ましい。
【0067】
本発明化合物は一般式(1)で表される繰り返し単位を高分子鎖中に少なくとも一つ有する環状高分子化合物に対してスルホ基を導入した構造である。Ar、Ar、Ar、Arで表される芳香族基の少なくとも一つがスルホ基で置換された繰り返し単位を高分子鎖中に少なくとも一つ有するスルホ基含有環状高分子化合物が好ましい。
【0068】
また、本発明は一般式(2)で表される繰り返し単位を高分子鎖中に少なくとも一つ有する環状高分子化合物に対して、Ar、Arで表される芳香族基の少なくとも一つがスルホ基で置換された繰り返し単位を高分子鎖中に少なくとも一つ有するスルホ基含有環状高分子化合物が好ましい。
【0069】
次に、本発明化合物の原料である、一般式(1)、及び一般式(2)で表される繰り返し単位を高分子鎖中に少なくとも一つ有する環状高分子化合物の製造に関して説明する。
【0070】
一般式(1)及び一般式(2)で表される繰り返し単位を高分子鎖中に少なくとも一つ有する環状高分子化合物は、例えば、下記反応式で示されるように種々のアリーレンジハライドとアリールアミン又はアリーレンジアミンをトリアルキルホスフィン及び/又はアリールホスフィンとパラジウム化合物からなる触媒並びに塩基の存在下に重合させる事によって合成できる。1種以上のアリーレンジハライドと1種以上のアリーレンジアミンを重合させれば、一般式(1)で表される繰り返し単位を高分子鎖中に少なくとも一つ有する環状高分子化合物が合成できる。一方、1種以上のアリーレンジハライドと1種以上のアリールアミンを重合させれば、一般式(2)で表される繰り返し単位を高分子鎖中に少なくとも一つ有する環状高分子化合物が合成できる。特に、1種のアリーレンジハライドと1種のアリーレンジアミン又は1種のアリールアミンを重合させれば、各々、一般式(3)、一般式(4)で表される環状高分子化合物が合成できる。
【0071】
【化16】

【0072】
(反応式中、Ar、Ar、Ar、Arは前記と同じである。X及びXはハロゲン原子である。m、及びnは3以上の整数である。)
【0073】
触媒成分として使用するパラジウム化合物としては、例えば、4価のパラジウム化合物類(ヘキサクロロパラジウム(IV)酸ナトリウム四水和物、ヘキサクロロパラジウム(IV)酸カリウム等)、2価パラジウム化合物類(塩化パラジウム(II)、臭化パラジウム(II)、酢酸パラジウム(II)、パラジウムアセチルアセトナート(II)、ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム(II)、ジクロロビス(アセトニトリル)パラジウム(II)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、ジクロロテトラアンミンパラジウム(II)、ジクロロ(シクロオクタ−1,5−ジエン)パラジウム(II)、パラジウムトリフルオロアセテート(II)等)、及び、0価パラジウム化合物類(トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウムクロロホルム錯体(0)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)等)を使用することができる。
【0074】
パラジウム化合物の使用量は、例えば、原料のアリーレンジハライドのハロゲン原子1モルに対し、パラジウム換算で通常0.00001〜20モル%の範囲であり、好ましくは原料のアリーレンジハライドのハロゲン原子1モルに対し、パラジウム換算で0.001〜5モル%の範囲で使用すればよい。
触媒成分として使用するトリアルキルホスフィン類及び/又はアリールホスフィン類としては、例えば、トリエチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、トリイソブチルホスフィン、トリ−sec−ブチルホスフィン、トリ−tert−ブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリ(o−トリル)ホスフィン、トリ(m−トリル)ホスフィン、トリ(p−トリル)ホスフィン、2,2'−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1'−ビナフチル(BINAP)、トリメシチルホスフィン、ジフェニルホスフィノエタン、ジフェニルホスフィノプロパン、ジフェニルホスフィノフェロセン等が使用でき、特に、トリターシャリーブチルホスフィンを使用すればよい。
【0075】
トリアルキルホスフィン及び/又はアリールホスフィンの使用量は、パラジウム化合物に対して通常0.01〜10000倍モルの範囲で使用すればよく、好ましくはパラジウム化合物に対して0.1〜10倍モルの範囲で使用すればよい。
【0076】
触媒の添加方法は、反応系にそれぞれ触媒成分として単独に加えても良いし、予めこれら触媒成分よりなる錯体の形に調製して添加してもよい。
【0077】
塩基としては、例えば、ナトリウム,カリウムの炭酸塩、アルカリ金属アルコキシド等の無機塩基又は3級アミン等の有機塩基が挙げられる。これらのうち、リチウム−tert−ブトキシド、ナトリウム−tert−ブトキシド、カリウム−tert−ブトキシド等の3級アルコキシドを反応系にそのまま加える。
【0078】
塩基の使用量は、反応系に添加するアリーレンジハライドのハロゲン原子に対して1〜5倍モルの範囲で使用すればよい。
【0079】
反応溶媒は重合反応を阻害しなければ特に限定されるものではなく、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素中で重合を行うのがよい。
【0080】
重合反応は、100℃以上、溶媒の沸点温度以下、好ましくは、110℃以上、150℃以下で行えばよい。
【0081】
環状高分子化合物の単離方法は、生成物が反応溶媒から析出した場合は、濾取もしくは遠心分離する方法で単離すればよく、また、反応溶媒に溶解している場合は、減圧下溶媒を溜去する方法や適当な溶媒を加えて析出させ、その後、濾取もしくは遠心分離する方法で単離すればよい。精製を必要とする場合は、再結晶法、再沈殿法、カラムクロマトグラフィー法、溶媒による洗浄(スラッジ)、活性炭処理などで、適宜、精製することができる。
【0082】
アリーレンジハライドとアリールアミン又はアリーレンジアミンをトリアルキルホスフィン及び/又はアリールホスフィンとパラジウム化合物からなる触媒並びに塩基の存在下に重合させて得られた高分子化合物は、ポリスチレン換算で500〜500,000の範囲である環状高分子化合物が得られる。該高分子化合物はMALDI−TOFMSを測定することにより、環状構造を確認できる。
【0083】
本発明化合物は該環状化合物に対して、スルホ基を導入した構造のスルホ基含有環状高分子化合物である。好ましくは、ポリスチレン換算で100,000以下の分子量の範囲である環状高分子化合物に対して、スルホ基を導入した構造のスルホ基含有環状高分子化合物が好ましい。
【0084】
次に、一般式(1)で表される繰り返し単位を高分子鎖中に少なくとも一つ有する環状高分子化合物をスルホン化する工程について説明する。
【0085】
スルホン化に用いるスルホン化剤としては、硫酸、発煙硫酸、三酸化硫黄、三酸化硫黄錯体、クロロ硫酸、フルオロ硫酸、アミド硫酸などが挙げられ、使用するスルホン化剤の量は特に限定されない。
【0086】
三酸化硫黄錯体としては、エーテル類、アミン類、スルフィド類などのルイス酸との錯体で、N,N-ジメチルホルムアミド・三酸化硫黄錯体、ジオキサン・三酸化硫黄錯体、ピリジン・三酸化硫黄錯体、トリエチルアミン・三酸化硫黄錯体、トリメチルアミン・三酸化硫黄錯体などが挙げられる。
反応は、無溶媒または溶媒中で行うことができる。反応に用いる溶媒としては、反応に影響しない溶媒であれば特に限定されるものではないが、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、テトラクロロエタンなどの塩素化有機溶媒;液体二酸化硫黄、二硫化炭素、酢酸、無水酢酸;酢酸エチルなどのエステル類;ジエチルエーテルなどのエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン、ニトロメタン、ニトロベンゼン、n-ブチルアルコール、iso-ブチルアルコール、tert-ブチルアルコール、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、N-メチルピロリドンなどを挙げることができる。
【0087】
反応温度は、-20℃〜150℃の範囲から選択すればよく、反応時間は、数分〜96時間である。また、クロロ硫酸によりスルホニルクロリドを合成し、これを加水分解して得ることもできる。
【0088】
本発明のスルホ基含有環状高分子化合物の単離方法は特に限定されない。生成物が反応溶媒から析出した場合は、濾取もしくは遠心分離することによって単離が可能であり、反応溶媒に溶解している場合は、減圧下、溶媒を溜去する方法や適当な溶媒を加えて析出させ、濾取もしくは遠心分離する方法が採用可能である。
【0089】
反応生成物が硫酸塩を形成している場合には、ろ過後、水洗することで過剰のスルホン化剤を除去し、得られた硫酸塩を塩基で中和処理することにより硫酸を除去することができる。塩基としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属などの水酸化物やイオン交換樹脂などを用いることが可能である。
本発明の高分子化合物について、精製を必要とする場合は、常法としてよく知られている方法が採用可能であり、例えば、再結晶法、再沈殿法、カラムクロマトグラフィー法、溶媒による洗浄(スラッジ)、活性炭などを用いた吸着処理、イオン交換樹脂処理、イオン交換膜、透析膜、逆浸透膜、限外濾過膜などを用いた処理方法などを挙げることができる。
【0090】
本発明化合物は環状高分子化合物に対して、スルホ基を導入した化合物である。本発明化合物は有機溶媒に対して十分な溶解度を有している。
【0091】
次に本発明の有機電界発光材料について説明する。
本発明の有機電界発光材料は、前述したスルホ基含有高分子化合物、例えば一般式(1)、一般式(2)、一般式(3)または一般式(4)のいずれかスルホ基含有高分子化合物からなり、有機電界発光素子に用いられる正孔注入輸送材料、発光材料、電子注入輸送材料である。
【0092】
次に本発明の有機電界発光素子について説明する。
本発明の有機電界発光素子は、一対の電極間に、本発明のスルホ基含有高分子化合物を少なくとも一種含有する層を、少なくとも一層挟持してなるものである。有機電界発光素子は、通常一対の電極間に少なくとも1種の発光成分を含有する発光層を、少なくとも一層挟持してなるものである。発光層に使用する化合物の正孔注入および正孔輸送、電子注入および電子輸送の各機能レベルを考慮し、所望に応じて、正孔注入成分を含有する正孔注入輸送層および/または電子注入成分を含有する電子注入輸送層を設けることもできる。
【0093】
例えば、発光層に使用する化合物の正孔注入機能、正孔輸送機能および/または電子注入機能、電子輸送機能が良好な場合には、発光層が正孔注入輸送層および/または電子注入輸送層を兼ねた型の素子構成として一層型の素子構成とすることができる。また、発光層が正孔注入機能および/または正孔輸送機能に乏しい場合には発光層の陽極側に正孔注入輸送層を設けた二層型の素子構成、発光層が電子注入機能および/または電子輸送機能に乏しい場合には発光層の陰極側に電子注入輸送層を設けた二層型の素子構成とすることができる。さらには、発光層を正孔注入輸送層と電子注入輸送層で挟み込んだ構成の三層型の素子構成とすることも可能である。
【0094】
また、正孔注入輸送層、電子注入輸送層および発光層のそれぞれの層は、一層構造であっても多層構造であってもよく、正孔注入輸送層および電子注入輸送層は、それぞれの層において、注入機能を有する層と輸送機能を有する層を別々に設けて構成することもできる。
【0095】
本発明の有機電界発光素子において、本発明のスルホ基含有高分子化合物は、電荷注入輸送層および/または発光層の構成成分として使用することが好ましく、電荷注入輸送層としては正孔注入輸送層および電子注入輸送層が挙げられるが、特に正孔注入輸送層であることがより好ましい。
【0096】
本発明の有機電界発光素子において、本発明のスルホ基含有高分子化合物は、単独で使用してもよく、また複数併用してもよい。
【0097】
本発明の有機電界発光素子の構成としては、特に限定されるものではないが、例えば、(EL-1)陽極2/正孔注入輸送層3/発光層4/電子注入輸送層5/陰極6型素子(図1)、(EL-2)陽極2/正孔注入輸送層3/発光層4/陰極6型素子(図2)、(EL-3)陽極2/発光層4/電子注入輸送層5/陰極6型素子(図3)、(EL-4)陽極2/発光層4/陰極6型素子(図4)、などを挙げることができる。さらには、発光層を電子注入輸送層で挟み込んだ形の(EL-5)陽極2/正孔注入輸送層3/電子注入輸送層5"/発光層4/電子注入輸送層5/陰極6型素子(図5)とすることもできる。また、(EL-4)の型の素子構成としては、発光層として発光成分を一層形態で一対の電極間に挟持させた型の素子、(EL-6)発光層4として正孔注入輸送成分3a、発光成分4aおよび電子注入成分5aを混合させた一層形態で一対の電極間に挟持させた型の素子(図6)、(EL-7)発光層4として正孔注入輸送成分3aおよび発光成分4aを混合させた一層形態で一対の電極間に挟持させた型の素子(図7)、(EL-8)発光層4として発光成分4aおよび電子注入成分5aを混合させた一層形態で一対の電極間に挟持させた型の素子(図8)のいずれであってもよい。
【0098】
本発明の有機電界発光素子は、これらの素子構成に限定されるものではなく、それぞれの型の素子において、正孔注入輸送層、発光層、電子注入輸送層を複数設けることも可能である。また、それぞれの型の素子において、正孔注入輸送層を発光層との間に、正孔注入輸送成分と発光成分の混合層および/または発光層と電子注入輸送層との間に、発光成分と電子注入輸送成分の混合層を設けることもできる。
【0099】
好ましい有機電界発光素子の構成は、(EL-1)型素子、(EL-2)型素子、(EL-5)型素子、(EL-6)型素子または(EL-7)型素子であり、より好ましくは、(EL-1)型素子、(EL-2)型素子または(EL-7)型素子である。
【0100】
以下、本発明の有機電界発光素子の構成要素に関し、詳細に説明する。なお、例として図1に示す(EL-1)陽極/正孔注入輸送層/発光層/電子注入輸送層/陰極型素子を取り上げて説明する。
【0101】
図1において、1は基板、2は陽極、3は正孔注入輸送層、4は発光層、5は電子注入輸送層、6は陰極、7は電源を示す。
【0102】
本発明の有機電界発光素子は基板1に支持されていることが好ましく、基板としては、特に限定されるものではないが、透明ないし半透明である基板が好ましく、材質としては、ソーダライムガラス、ボロシリケートガラスなどのガラスおよびポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリプロピレン、ポリエチレンなどの透明性高分子が挙げられる。また、半透明プラスチックシート、石英、透明セラミックスあるいはこれらを組み合わせた複合シートからなる基板を使用することもできる。さらに、基板に、例えば、カラーフィルター膜、色変換膜、誘電体反射膜を組み合わせて、発光色をコントロールすることもできる。
【0103】
陽極2としては、仕事関数の比較的大きい金属、合金または導電性化合物を電極材料として使用することが好ましい。陽極に使用する電極材料としては、例えば、金、白金、銀、銅、コバルト、ニッケル、パラジウム、バナジウム、タングステン、酸化インジウム(In23)、酸化錫(SnO2)、酸化亜鉛、ITO(インジウム・チン・オキサイド:Indium Tin Oxide)、ポリチオフェン、ポリピロールなどを挙げることができる。これらの電極材料は単独で使用してもよく、あるいは複数併用してもよい。陽極は、これらの電極材料を、例えば、蒸着法、スパッタリング法などの方法により、基板の上に形成することができる。また、陽極は一層構造であってもよく、あるいは多層構造であってもよい。陽極のシート電気抵抗は、好ましくは、数百Ω以下、より好ましくは、5〜50Ω程度に設定する。陽極の厚みは使用する電極材料の材質にもよるが、一般に、5〜1000nm程度、より好ましくは、10〜500nm程度に設定する。
【0104】
正孔注入輸送層3は、陽極からの正孔(ホール)の注入を容易にする機能、および注入された正孔を輸送する機能を有する化合物を含有する層である。
本発明の電界発光素子の正孔注入輸送層は、本発明のスルホ基含有高分子化合物および/または他の正孔注入輸送機能を有する化合物(例えば、フタロシアニン誘導体、トリアリールアミン誘導体、トリアリールメタン誘導体、オキサゾール誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、ピラゾリン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリフェニレンビニレンおよびその誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体、ポリ-N-ビニルカルバゾールなど)を少なくとも1種使用して形成することができる。正孔注入輸送機能を有する化合物は、単独で使用してもよく、または複数併用してもよい。
【0105】
本発明の有機電界発光素子は、好ましくは、正孔注入輸送層に本発明のスルホ基含有高分子化合物を含有する。本発明の有機電界発光素子において、使用することができる他の正孔注入輸送機能を有する化合物としては、トリアリールアミン誘導体(例えば、4,4'-ビス〔N-フェニル-N-(4"-メチルフェニル)アミノ〕-1,1'-ビフェニル、4,4'-ビス〔N-フェニル-N-(3"-メチルフェニル)アミノ〕-1,1'-ビフェニル、4,4'-ビス〔N-フェニル-N-(3"-メトキシフェニル)アミノ〕-1,1'-ビフェニル、4,4'-ビス〔N-フェニル-N-(1"-ナフチル)アミノ〕-1,1'-ビフェニル、3,3'-ジメチル-4,4'-ビス〔N-フェニル-N-(3"-メチルフェニル)アミノ〕-1,1'-ビフェニル、1,1-ビス〔4'-[N,N-ジ(4"-メチルフェニル)アミノ]フェニル〕シクロヘキサン、9,10-ビス〔N-(4'-メチルフェニル)-N-(4"-n-ブチルフェニル)アミノ〕フェナントレン、3,8-ビス(N,N-ジフェニルアミノ)-6-フェニルフェナントリジン、4-メチル-N,N-ビス〔4",4"'-ビス[N',N'-ジ(4-メチルフェニル)アミノ]ビフェニル-4-イル〕アニリン、N,N'-ビス〔4-(ジフェニルアミノ)フェニル〕-N,N'-ジフェニル-1,3-ジアミノベンゼン、N,N'-ビス〔4-(ジフェニルアミノ)フェニル〕-N,N'-ジフェニル-1,4-ジアミノベンゼン、5,5"-ビス〔4-(ビス[4-メチルフェニル]アミノ〕フェニル-2,2':5',2"-ターチオフェン、1,3,5-トリス(ジフェニルアミノ)ベンゼン、4,4',4"-トリス(N-カルバゾリイル)トリフェニルアミン、4,4',4"-トリス〔N,N-ビス(4"'-tert-ブチルビフェニル-4""-イル)アミノ〕トリフェニルアミン、1,3,5-トリス〔N-(4'-ジフェニルアミノ〕ベンゼンなど)、ポリチオフェンおよびその誘導体、ポリ-N-ビニルカルバゾールおよびその誘導体がより好ましい。
【0106】
本発明のスルホ基含有高分子化合物と他の正孔注入輸送機能を有する化合物を併用する場合、正孔注入輸送層中に占める本発明のスルホ基含有高分子化合物の含有量は、好ましくは、0.1質量%以上、より好ましくは、0.5〜99.9質量%、さらに好ましくは3〜97質量%である。
【0107】
また、本発明のスルホ基含有高分子化合物と他の正孔注入輸送機能を有する化合物を併用する場合、本発明のスルホ基含有高分子化合物からなる層と他の正孔注入輸送機能を有する化合物からなる層を積層しても良い。積層する場合は、本発明のスルホ基含有高分子化合物からなる層の上に他の正孔注入輸送機能を有する化合物からなる層を積層することが好ましい。
また、正孔注入輸送層において、正孔注入輸送機能を有する化合物と電子受容性化合物を併用しても良い。電子受容性化合物としては、特開平11−283750号公報に記載のTBPAH(トリス(4-ブロモフェニル)アルミニウムヘキサクロロアンチモネート)のほか、FeCl、特開2003−31365号公報に記載のトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランなどのホウ素化合物類、などのルイス酸が挙げられる。電子受容性化合物を併用する場合、電子受容性化合物の含有量は、正孔注入輸送層に対して、0.1〜50質量%の範囲であることが好ましい。
【0108】
発光層4は、正孔および電子の注入機能、それらの輸送機能、正孔と電子の再結合により励起子を生成させる機能を有する化合物を含有する層である。
発光層は、本発明のスルホ基含有高分子化合物および/または他の発光機能を有する化合物を少なくとも一種用いて形成することができる。
他の発光機能を有する化合物としては、例えば、アクリドン誘導体、キナクリドン誘導体、ジケトピロロピロール誘導体、多環芳香族化合物〔例えば、ルブレン、アントラセン、テトラセン、ピレン、ペリレン、クリセン、デカサイクレン、コロネン、テトラフェニルシクロペンタジエン、ペンタフェニルシクロペンタジエン、9,10-ジフェニルアントラセン、9,10-ビス(フェニルエチニル)アントラセン、1,4-ビス(9'-エチニルアントセニル)ベンゼン、4,4'-ビス(9"-エチニルアントラセニル)ビフェニル、ジベンゾ[f,f]ジインデノ[1,2,3-cd:1',2',3'-lm]ペリレン誘導体〕、トリアリールアミン誘導体(例えば、正孔注入輸送機能を有する化合物として前述した化合物を挙げることができる)、有機金属錯体〔例えば、トリス(8-キノリノラート)アルミニウム、ビス(10-ベンゾ[h]キノリノラート)ベリリウム、2-(2'-ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾールの亜鉛塩、4-ヒドロキシアクリジンの亜鉛塩、3-ヒドロキシフラボンの亜鉛塩、5-ヒドロキシフラボンのベリリウム塩、5-ヒドロキシフラボンのアルミニウム塩〕、スチルベン誘導体〔例えば、1,1,4,4-テトラフェニル-1,3-ブタジエン、4,4'-ビス(2,2-ジフェニルビニル)ビフェニル、4,4'-ビス[(1,1,2-トリフェニル)エテニル]ビフェニル〕、クマリン誘導体(例えば、クマリン1、クマリン6、クマリン7、クマリン30、クマリン106、クマリン138、クマリン151、クマリン152、クマリン153、クマリン307、クマリン311、クマリン314、クマリン334、クマリン338、クマリン343、クマリン500)、ピラン誘導体(例えば、DCM1、DCM2)、オキサゾン誘導体(例えば、ナイルレッド)、ベンゾチアゾール誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、ピラジン誘導体、ケイ皮酸エステル誘導体、ポリ-N-ビニルカルバゾールおよびその誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体、ポリフェニレンおよびその誘導体、ポリフルオレンおよびその誘導体、ポリフェニレンビニレンおよびその誘導体、ポリビフェニレンビニレンおよびその誘導体、ポリターフェニレンビニレンおよびその誘導体、ポリナフチレンビニレンおよびその誘導体、ポリチエニレンビニレンおよびその誘導体などを挙げることができる。特に、アクリドン誘導体、キナクリドン誘導体、多環芳香族化合物、トリアリールアミン誘導体、有機金属錯体およびスチルベン誘導体が好ましく、多環芳香族化合物、有機金属錯体がより好ましい。
【0109】
本発明の有機電界発光素子は、発光層に本発明のスルホ基含有高分子化合物を含有していることが好ましい。
【0110】
本発明のスルホ基含有高分子化合物と他の発光機能を有する化合物を併用する場合、発光層中に占める本発明のスルホ基含有高分子化合物の割合は、好ましくは、0.001〜99.999質量%に調節する。
【0111】
また、発光層は、J.Appl.Phys.,65、3610(1989)、特開平5-214332号公報に記載のように、ホスト化合物とゲスト化合物(ドーパント)から形成することも可能である。
【0112】
本発明のスルホ基含有高分子化合物は、発光層のホスト化合物として使用することもでき、またゲスト化合物として使用することも可能である。本発明のスルホ基含有高分子化合物をホスト化合物として発光層を形成する場合、ゲスト化合物としては、例えば、前記の他の発光機能を有する化合物を挙げることができ、中でも多環芳香族化合物は好ましい。
【0113】
本発明のスルホ基含有高分子化合物をホスト化合物として発光層を形成する場合、ホスト化合物に対して、ゲスト化合物は、好ましくは、0.001〜40質量%、より好ましくは、0.01〜30質量%、さらに好ましくは0.1〜20質量%使用する。発光層は、本発明のスルホ基含有高分子化合物をホスト材料として、他の発光機能を有する化合物を少なくとも1種ゲスト材料として使用して形成することができる。
【0114】
本発明の有機電界発光素子は、好ましくは、発光層に本発明のスルホ基含有高分子化合物をホスト材料として含有する。
【0115】
本発明のスルホ基含有高分子化合物をホスト材料として、他の発光機能を有する化合物と併用する場合、発光層中に占める本発明のスルホ基含有高分子化合物は、好ましくは、40.0〜99.9質量%であり、より好ましくは、60.0〜99.9質量%である。
【0116】
ゲスト材料の使用量は、本発明のスルホ基含有高分子化合物に対して0.001〜40質量%、好ましくは、0.05〜30質量%、より好ましくは、0.1〜20質量%である。また、ゲスト材料は、単独で使用してもよく、複数併用してもよい。
【0117】
本発明のスルホ基含有高分子化合物を、ゲスト材料として用いて発光層を形成する場合、ホスト材料としては、多環芳香族化合物、トリアリールアミン誘導体、有機金属錯体およびスチルベン誘導体が好ましく、多環芳香族化合物、有機金属錯体がより好ましい。
【0118】
本発明のスルホ基含有高分子化合物をゲスト材料として使用する場合、該化合物を、好ましくは、0.001〜40質量%、より好ましくは、0.01〜30質量%、さらに好ましくは、0.1〜20質量%使用する。
【0119】
電子注入輸送層5は、陰極からの電子の注入を容易にする機能および/または注入された電子を輸送する機能を有する化合物を含有する層である。
【0120】
電子注入輸送層に使用される電子注入機能を有する化合物としては、例えば、有機金属錯体、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、トリアジン誘導体、ペリレン誘導体、キノリン誘導体、キノキサリン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、ニトロ置換フルオレノン誘導体、チオピランジオキサイド誘導体などを挙げることができる。また、有機金属錯体としては、例えば、トリス(8-キノリノラート)アルミニウムなどの有機アルミニウム錯体、ビス(10-ベンゾ[h]キノリノラート)ベリリウムなどの有機ベリリウム錯体、5-ヒドロキシフラボンのベリリウム塩、5-ヒドロキシフラボンのアルミニウム塩などを挙げることができる。好ましくは、有機アルミニウム錯体であり、より好ましくは、無置換または置換された8-キノリノラート配位子を有する有機アルミニウム錯体である。無置換または置換された8-キノリノラート配位子を有する有機アルミニウム錯体としては、例えば、一般式(a)〜一般式(c)で表される化合物を挙げることができる。
【0121】
(E)-Al (a)
(式中、Eは無置換または置換された8-キノリノラート配位子を表す。)
【0122】
(E)-Al-O-M (b)
(式中、Eは前記の通り、O-Mはフェノラート配位子を表し、Mはフェニル基を有する炭素数6〜24の炭化水素基を表す。)
【0123】
(E)-Al-O-Al-(E) (c)
(式中、Eは前記の通り。)
【0124】
無置換または置換された8-キノリノラート配位子を有する有機アルミニウム錯体の具体例としては、例えば、トリス(8-キノリノラート)アルミニウム、トリス(4-メチル-8-キノリノラート)アルミニウム、トリス(5-メチル-8-キノリノラート)アルミニウム、トリス(3,4-ジメチル-8-キノリノラート)アルミニウム、トリス(4,5-ジメチル-8-キノリノラート)アルミニウム、トリス(4,6-ジメチル-8-キノリノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(フェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(2-メチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(3-メチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(4-メチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(2-フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(3-フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(4-フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(2,3-ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(2,6-ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(3,4-ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(3,5-ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(3,5-ジ-tert-ブチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(2,6-ジフェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(2,4,6-トリフェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(2,4,6-トリメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(2,4,5,6-テトラメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(1-ナフトラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(2-ナフトラート)アルミニウム、ビス(2,4-ジメチル-8-キノリノラート)(2-フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2,4-ジメチル-8-キノリノラート)(3-フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2,4-ジメチル-8-キノリノラート)(4-フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2,4-ジメチル-8-キノリノラート)(3,5-ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2,4-ジメチル-8-キノリノラート)(3,5-ジ-tert-ブチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)アルミニウム-μ-オキソ-ビス(2-メチル-8-キノリノラート)アルミニウム、ビス(2,4-ジメチル-8-キノリノラート)アルミニウム-μ-オキソ-ビス(2,4-ジメチル-8-キノリノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-4-エチル-8-キノリノラート)アルミニウム-μ-オキソ-ビス(2-メチル-4-エチル-8-キノリノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-4-メトキシ-8-キノリノラート)アルミニウム-μ-オキソ-ビス(2-メチル-4-メトキシ-8-キノリノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-5-シアノ-8-キノリノラート)アルミニウム-μ-オキソ-ビス(2-メチル-5-シアノ-8-キノリノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-5-トリフルオロメチル-8-キノリノラート)アルミニウム-μ-オキソ-ビス(2-メチル-5-トリフルオロメチル-8-キノリノラート)アルミニウムを挙げることができる。
【0125】
電子注入機能を有する化合物は単独で使用してもよく、また複数併用してもよい。
【0126】
陰極6としては、比較的仕事関数の小さい金属、合金または導電性化合物を電極材料として使用することが好ましい。陰極に使用する電極材料としては、例えば、リチウム、リチウム-インジウム合金、ナトリウム、ナトリウム-カリウム合金、カルシウム、マグネシウム、マグネシウム-銀合金、マグネシム-インジウム合金、インジウム、ルテニウム、チタニウム、マンガン、イットリウム、アルミニウム、アルミニウム-リチウム合金、アルミニウム-カルシウム合金、アルミニウム-マグネシウム合金、リチウムフルオライド、グラファイト箔を挙げることができる。これらの電極材料は単独で使用してもよく、また複数併用してもよい。
【0127】
陰極はこれらの電極材料を、例えば、蒸着法、スパッタリング法、イオン蒸着法、イオンプレーティング法、クラスターイオンビーム法により電子注入輸送層の上に形成することができる。
【0128】
また、陰極は一層構造であってもよく、多層構造であってもよい。陰極のシート電気抵抗は数百Ω以下とするのが好ましい。陰極の厚みは、使用する電極材料にもよるが、通常5〜1000nm、好ましくは、10〜500nmとする。本発明の有機電界発光素子の発光を効率よく取り出すために、陽極または陰極の少なくとも一方の電極は、透明ないし半透明であることが好ましく、一般に、発光光の透過率が70%以上となるように陽極または陰極の材料、厚みを設定することが好ましい。
【0129】
また、本発明の有機電界発光素子は、正孔注入輸送層、発光層および電子注入輸送層の少なくとも一層中に、一重項酸素クエンチャーを含有していてもよい。一重項酸素クエンチャーとしては、特に限定されるものではないが、例えば、ルブレン、ニッケル錯体、ジフェニルイソベンゾフランが挙げられ、好ましくは、ルブレンである。
【0130】
一重項酸素クエンチャーが含有されている層としては、特に限定されるものではないが、好ましくは、発光層または正孔注入輸送層であり、より好ましくは、正孔注入輸送層である。尚、正孔注入輸送層に一重項酸素クエンチャーを含有させる場合、正孔注入輸送層中に均一に含有させてもよく、正孔注入輸送層と隣接する層(例えば、発光層、発光機能を有する電子注入輸送層)の近傍に含有させてもよい。一重項酸素クエンチャーの含有量としては、含有される層(例えば、正孔注入輸送層)を構成する全体量の0.01〜50質量%、好ましくは、0.05〜30質量%、より好ましくは、0.1〜20質量%である。
【0131】
正孔注入輸送層、発光層、電子注入輸送層の形成方法に関しては、特に限定されるものではなく、例えば、真空蒸着法、イオン化蒸着法、溶液塗布法(例えば、スピンコート法、キャスト法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ワイアーバーコート法、デイップコート法、ロールコート法、スプレーコート法、ラングミュア・ブロジェット法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法)を使用することができる。真空蒸着法により正孔注入輸送層、発光層、電子注入輸送層などの各層を形成する場合、真空蒸着の条件は、特に限定されるものではないが、通常、10-3Pa程度以下の真空下で、50〜500℃程度のボート温度(蒸着源温度)、-50〜300℃程度の基板温度で、0.005〜50nm/sec程度の蒸着速度で実施することが好ましい。この場合、正孔注入輸送層、発光層、電子注入輸送層などの各層は、真空下で、連続して形成することが好ましい。連続で形成することにより諸特性に優れた有機電界発光素子を製造することが可能となる。真空蒸着法により、正孔注入輸送層、発光層、電子注入輸送層などの各層を、複数の化合物を使用して形成する場合、化合物を入れた各ボートを個別に温度制御して、共蒸着することが好ましい。
【0132】
溶液塗布法により各層を形成する場合、各層を形成する成分あるいはその成分とバインダー樹脂などとを、溶媒に溶解または分散させて塗布液とする。溶媒としては、例えば、有機溶媒(ヘキサン、オクタン、デカン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、1-メチルナフタレンなどの炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロトルエンなどのハロゲン化炭化水素系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、乳酸エチルなどのエステル系溶媒、メタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチレングリコール、含フッ素アルコールなどのアルコール系溶媒、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、アニソールなどのエーテル系溶媒、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、1-メチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、ジメチルスルホキシドなどの極性溶媒)、水を挙げることができる。溶媒は単独で使用してもよく、また複数併用してもよい。正孔注入輸送層、発光層、電子注入輸送層の各層の成分を溶媒に分散させる場合には、分散方法として、例えば、ボールミル、サンドミル、ペイントシェーカー、アトライター、ホモジナイザーなどを使用して微粒子状に分散する方法を使用することができる。
【0133】
本発明のスルホ基含有高分子化合物が、トルエンなどの炭化水素系溶媒に不溶である場合には、上層を炭化水素系溶媒を用いて塗布することにより積層可能である。特に、該高分子化合物を正孔注入輸送層として使用する場合には、発光層を塗布により積層することが可能になり、前記の有機電界発光素子構成(EL-2)において有利である。
【0134】
また、正孔注入輸送層、発光層、電子注入輸送層などの各層に使用しうるバインダー樹脂としては、ポリ-N-ビニルカルバゾール、ポリアリーレート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリシロキサン、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリパラキシレン、ポリエチレン、ポリフェニレンオキサイド、ポリエーテルスルホン、ポリアニリンおよびその誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体、ポリフェニレンビニレンおよびその誘導体、ポリフルオレンおよびその誘導体、ポリチエニレンビニレンおよびその誘導体などの高分子化合物を挙げることができる。バインダー樹脂は単独で使用してもよく、また、複数併用してもよい。塗布液の濃度は、特に限定されるものではないが、実施する塗布法により所望の厚みを作製するに適した濃度範囲に設定することができ、通常、0.1〜50質量%、好ましくは、0.5〜30質量%に設定する。バインダー樹脂を使用する場合、その使用量は特に限定されるものではないが、通常、正孔注入輸送層、発光層、電子注入輸送層などの各層を形成する成分とバインダー樹脂の総量に対してバインダー樹脂の含有率が(一層型の素子を形成する場合には各成分の総量に対して)、5〜99.9質量%、好ましくは、10〜99質量%となるように使用する。
【0135】
正孔注入輸送層、発光層、電子注入輸送層などの各層の膜厚は、特に限定されるものではないが、通常、5nm〜5μmとする。
また、上記の条件で作製した本発明の有機電界発光素子は、酸素や水分などとの接触を防止する目的で、保護層(封止層)を設けたり、また、素子を不活性物質中(例えば、パラフィン、流動パラフィン、シリコンオイル、フルオロカーボン油、ゼオライト含有フルオロカーボン油)に封入して保護することができる。保護層に使用する材料としては、例えば、有機高分子材料(例えば、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、エポキシシリコーン樹脂、ポリスチレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリパラキシレン、ポリエチレン、ポリフェニレンオキサイド)、無機材料(例えば、ダイアモンド薄膜、アモルファスシリカ、電気絶縁性ガラス、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属硫化物)、さらには、光硬化性樹脂を挙げることができる。保護層に使用する材料は単独で使用してもよく、また複数併用してもよい。保護層は一層構造であってもよく、また多層構造であってもよい。
【0136】
また、本発明の有機電界発光素子は、電極に保護膜として金属酸化物膜(例えば、酸化アルミニウム膜)、金属フッ化膜を設けることもできる。
本発明の有機電界発光素子は、陽極の表面に界面層(中間層)を設けることもできる。界面層の材質としては、有機リン化合物、ポリシラン、芳香族アミン誘導体、フタロシアニン誘導体などを挙げることができる。
【0137】
さらに、電極、例えば、陽極はその表面を、酸、アンモニア/過酸化水素、あるいはプラズマで処理して使用することもできる。
【0138】
本発明の有機電界発光素子は、通常、直流駆動型の素子として使用することができるが、交流駆動型の素子としても使用することができる。また、本発明の有機電界発光素子は、セグメント型、単純マトリックス駆動型などのパッシブ駆動型であってもよく、TFT(薄膜トランジスタ)型、MIM(メタル-インスレーター-メタル)型などのアクティブ駆動型であってもよい。駆動電圧は通常、2〜30Vである。本発明の有機電界発光素子は、パネル型光源(例えば、時計、液晶パネルなどのバックライト)、各種の発光素子(例えば、LEDなどの発光素子の代替)、各種の表示素子〔例えば、情報表示素子(パソコンモニター、携帯電話・携帯端末用表示素子)〕、各種の標識、各種のセンサーなどに使用することができる。
【0139】
また、本発明のスルホ基含有高分子化合物は、従来の導電性高分子材料(PEDOT/PSS)が用いられている有機半導体、有機薄膜トランジスタ(TFT)、電解コンデンサ、光電変換素子、エレクトロクロミック素子(ECD)、帯電防止剤などの用途にも使用可能である。
【実施例】
【0140】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0141】
なお、各実施例中の分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)によりポリスチレン換算の数平均分子量を測定した。
スルホ基数は、元素分析により決定した。
【0142】
(GPC分析条件)
装置:ゲル浸透クロマトグラフGPC 101(Shodex社製)
検出器:示差屈折率計
カラム:GPC K-806LX3(8.0mmI.D.×30cm、Shodex社製)
カラム温度:40℃
溶媒:クロロホルム
注入量:100μl
流速 :1ml/min
標準物質:単分散ポリスチレン(Shodex社製)
【0143】
(MALDI−TOFMS分析条件)
試料をクロロホルムに溶解し、Dithranolをマトリックスとして、Positive Reflector modeにてMALDI−TOFMSを測定した。結果を質量電荷比(m/z)で表した。
【0144】
(赤外吸収スペクトラム(IR))
試料をKBrと共に粉砕して、錠剤化して測定した。
【0145】
(参考例1) N,N'−ジフェニル−1,4−フェニレンジアミンと1,4−ジブロモナフタレンの重合反応による環状高分子化合物(化合物番号1A)の合成
【0146】
N,N'−ジフェニル−1,4−フェニレンジアミン0.87g、1,4−ジブロモナフタレン0.95g、ナトリウムtert-ブトキシド0.85gおよびo−キシレン50mLの混合物に、窒素気流下、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム15mgとトリtert−ブチルホスフィン27mgのo−キシレン(1mL)溶液を添加した。窒素雰囲気下、130℃で2時間加熱攪拌後、熱時濾過により不溶物を濾去した。濾液を濃縮後、アセトン60mLに排出し、析出物を濾取した。得られた固体を、アセトン、水にて洗浄し、トルエンに溶解した。この溶液をアセトンに排出し、析出物を濾取、減圧乾燥して、環状化合物0.51gを黄色固体として得た。
【0147】
数平均分子量:1300
m/z(MALDI−TOFMS):1152、1537、1921、2305、2689、3073、3457、3842
この結果、同じ繰り返し単位の環状構造であった。
【0148】
(参考例2)
参考例1と同様にして環状高分子化合物2A〜24Aを得た。結果を表1に示した。
【0149】
【表1−1】

【0150】
【表1−2】

【0151】
【表1−3】

【0152】
【表1−4】

【0153】
【表1−5】

【0154】
表1から、得られた生成物は同じ繰り返し単位の環状構造であった。
【0155】
(実施例1)
環状高分子化合物(化合物番号1A)(0.5g)を窒素気流下、98%硫酸42gに装入し、室温で48時間攪拌した。反応液を水75mlに排出し、析出物を濾取した。得られた個体を濾液のpHが5になるまで水で洗浄し、70℃で8時間減圧乾燥して粗生成物を0.41g得た。粗生成物0.41gを50%メタノール水20mlに溶解し、予め1mol/L水酸化ナトリウム水で処理した陰イオン交換樹脂(Dowex 1×8)10mlに通液した。留出液を濃縮乾固後、70℃で8時間減圧乾燥し、目的化合物0.32gを褐色固体として得た。該化合物はメタノールに溶解し、トルエンには不溶であった。また、該化合物は溶液状態での凝集性は観察されなかった。(スルホ基含有環状高分子化合物番号、1B)
【0156】
赤外吸収スペクトル(IR)の測定結果:ν(S=O),1169、1124cm−1
硫黄元素分析値 1.9%
繰り返し単位あたりの平均スルホ基数:0.24
【0157】
なお、繰り返し単位あたりの平均スルホ基数は下記計算式から算出した。
平均スルホ基数 ={繰り返し単位分子量X硫黄元素分析値(%)−繰り返し単位中の硫黄数X硫黄原子量X100}÷{硫黄原子量X100−硫黄元素分析値(%)X(スルホ基分子量―水素原子量)}
【0158】
(実施例2)
実施例1と同様にして、環状高分子化合物(化合物番号2A〜24A)をスルホン化して、それぞれ、スルホ基含有環状高分子化合物(化合物番号2B〜24B)を得た。結果を表2に示した。
【0159】
【表2】

【0160】
表2から、得られたスルホ基含有環状高分子化合物はメタノールに溶解し、トルエンには不溶であった。また、該化合物の溶液状態での凝集性は観察されなかった。
【0161】
(実施例3)
実施例2で得たスルホ基含有環状高分子化合物(化合物番号2B、3B)及び下記に示した比較化合物40Qを、電気炉内で窒素気流中230℃で100時間加熱した。加熱後のポリマーの概観は比較化合物40Qの変色が最も大きかった。これを0.1%溶液として色差計によりAPHAを加熱前と加熱後で比較した。結果を表3に示した。
【表3】

【0162】
比較化合物40Q
【0163】
【化17】

【0164】
(中国特許出願公開第1827666号明細書実施例7に記載の化合物)
【0165】
(実施例4)
(有機電界発光素子の作製)
厚さ200nmのITO透明電極(陽極)を有するガラス基板を、中性洗剤、セミコクリーン(フルウチ化学製)、超純水、アセトン、エタノールを用いて超音波洗浄した。この基板を窒素ガスにて乾燥し、さらにUV/オゾン洗浄した。先ずITO透明電極上に、正孔注入材料として実施例1で得たスルホ基含有環状高分子化合物(化合物番号1B)のメタノール溶液(高分子化合物20mgをメタノール4mLに溶解させた溶液)を用いて、スピンコート法により、20nmの厚みで成膜し、ホットプレート上で減圧乾燥(100℃、30分)して層を形成した。次に、このガラス基板を蒸着装置の基板ホルダーに固定し、蒸着槽を3×10-4Paに減圧した。N,N'-ジ(1-ナフチル)-N,N'-ジフェニルベンジジンを蒸着速度0.2nm/secで40nmの厚さに蒸着し、次にトリス(8-キノリノラート)アルミニウムを蒸着速度0.2nm/secで50nmの厚さに蒸着した。さらにフッ化リチウムを0.2nm/secで0.5nmの厚さに蒸着した。その上にアルミニウムを蒸着して陰極とし、有機電界発光素子を作製した(有機EL素子-1P)。
【0166】
尚、蒸着は、蒸着槽の減圧状態を保ったまま実施した。作製した有機電界発光素子に直流電圧を印加し、50℃、乾燥雰囲気下、10mA/cmの定電流密度で連続駆動させた。初期には、4.03V、輝度285cd/mの緑色の発光が確認された。該素子を100℃で1時間放置し、発光特性に大きな変化が無いことを確認した。
発光輝度が初期輝度に対して20%および50%減衰するまでの時間を測定した。
【0167】
(実施例5)
実施例4と同様にして、実施例2で得られたスルホ基含有環状高分子化合物(化合物番号2B〜24B)から、それぞれ対応する有機電界発光素子(有機EL素子−2P〜24P)を作製し、発光輝度が初期輝度に対して20%および50%減衰するまでの時間を測定した。
結果を表4に示した。
【0168】
(参考例3)成膜性評価
ガラス基板に、実施例1で得たスルホ基含有環状高分子化合物(化合物番号1B)のメタノール溶液(高分子化合物20mgをメタノール4mLに溶解させた溶液)を用いて、スピンコート法により50nmの厚みで成膜した。ホットプレート上で減圧乾燥(100℃、30分)して得た膜を観察したところ、均一な膜が形成されていた。
【0169】
(参考例4)成膜性評価
参考例3と同様に、スルホ基含有環状高分子化合物(化合物番号2B〜24B)を使って得られた成膜を観察したところ、全ての成膜において、均一な膜が形成されていた。
【0170】
(比較例1)成膜性評価
実施例1、2で得たスルホ基含有環状高分子化合物の代わりに、PEDOT/PSS(バイエル社、商品名 BaytronP)を用いて参考例3と同様の方法で成膜し観察したところ、実施例1、2で得たスルホ基含有環状高分子化合物を用いて成膜したものに比べて膜厚にバラツキが認められた。
【0171】
【化18】

【0172】
(比較例2)有機電界発光素子の寿命評価
実施例4において、正孔注入材料として実施例1、2で得たスルホ基含有環状高分子化合物を前記PEDOT/PSSに替えた以外は実施例4と同様にして有機電界発光素子を作成(有機EL素子-50Q)し、素子の発光寿命を比較した。
発光輝度が初期輝度に対して20%および50%減衰するまでの時間を、有機EL素子―50Qを1とした場合の相対値として表4に示した。
【0173】
【表4】

【0174】
表4から明らかなように、本発明のスルホ基含有環状高分子化合物を正孔注入材料に用いた有機電界発光素子は比較例の素子に比べて長い発光寿命を示した。
【図面の簡単な説明】
【0175】
【図1】実施の形態に係る有機電極発光素子を模式的に示した断面図である。
【図2】実施の形態に係る有機電極発光素子を模式的に示した断面図である。
【図3】実施の形態に係る有機電極発光素子を模式的に示した断面図である。
【図4】実施の形態に係る有機電極発光素子を模式的に示した断面図である。
【図5】実施の形態に係る有機電極発光素子を模式的に示した断面図である。
【図6】実施の形態に係る有機電極発光素子を模式的に示した断面図である。
【図7】実施の形態に係る有機電極発光素子を模式的に示した断面図である。
【図8】実施の形態に係る有機電極発光素子を模式的に示した断面図である。
【符号の説明】
【0176】
1 基板
2 陽極
3 正孔注入輸送層
4 発光層
5,5" 電子注入輸送層
6 陰極
7 電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)
【化1】

(式中、Ar、Ar、Ar、Arは各々独立して無置換または置換基を有する炭素数6〜60の芳香族基を表し、Ar1とAr2は同一または異なり、ArとArは同一または異なる。)
で表される繰り返し単位を高分子鎖中に少なくとも一つ有する環状高分子化合物に対してスルホ基を導入した構造であることを特徴とするスルホ基含有環状高分子化合物。
【請求項2】
ArとAr、ArとArが同一であり、下記一般式(2)で表わされる繰り返し単位を高分子鎖中に少なくとも一つ有する環状高分子化合物に対してスルホ基を導入した構造であることを特徴とする請求項1に記載のスルホ基含有環状高分子化合物。
【化2】

(式中、Ar、Arは前記と同じ。)
【請求項3】
ArとArが異なり、下記一般式(3)で表わされる環状高分子化合物に対してスルホ基を導入した構造であることを特徴とする請求項1に記載のスルホ基含有環状高分子化合物。
【化3】

(式中、Ar、Ar、Ar、Arは前記と同じであり、ArとArは同一または異なる。mは3以上の整数を表す。)
【請求項4】
下記一般式(4)で表わされる環状高分子化合物に対してスルホ基を導入した構造であることを特徴とする請求項2に記載のスルホ基含有環状高分子化合物。
【化4】

(式中、Ar、Arは前記と同じであり、nは3以上の整数を表す。)
【請求項5】
一般式(1)乃至一般式(4)において、Ar及びArが下記一般式(b−1)〜(b−10)のいずれかであることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかの請求項に記載のスルホ基含有環状高分子化合物。
【化5】

(式中、Qは、単結合またはO、S、CO、SO、SO、SiH、SiMeからなる群から選ばれる基であり、
、R、R2b、R、R3b、Rは各々独立して水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルキルチオ基、アリール基、アリールアミノ基又はヘテロアリール基であり、RおよびR2b、RおよびR3bは各々結合して環を形成しても良い。aは0〜4の整数であり、e、及びfは1〜4の整数である。Z1〜Z4は置換基を示し、p1、p2は0〜5の整数、p3、p4は0〜4の整数を示す。)
【請求項6】
一般式(1)乃至一般式(4)において、Ar及びArが下記一般式(d−1)〜(d−6)のいずれかであることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかの請求項に記載のスルホ基含有環状高分子化合物。
【化6】

(式中、R、R、R6bは各々独立して水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルキルチオ基、アリール基、アリールアミノ基又はヘテロアリール基であり、RはR6bと結合して環を形成しても良い。hは0〜5の整数である。)
【請求項7】
ArとArが同一であることを特徴とする請求項1、3、5,6のいずれかに記載のスルホ基含有環状高分子化合物。
【請求項8】
一般式(1)で表される繰り返し単位において、Ar、Ar、Ar、及びArの芳香族基の少なくとも一つがスルホ基で置換されていることを特徴とする請求項1、3、5〜7のいずれかの請求項に記載のスルホ基含有環状高分子化合物。
【請求項9】
一般式(2)で表される繰り返し単位において、Ar、及びArの芳香族基の少なくとも一つがスルホ基で置換されていることを特徴とする請求項2、4、5〜7のいずれかの請求項に記載のスルホ基含有環状高分子化合物。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載のスルホ基含有環状高分子化合物からなる有機電界発光材料。
【請求項11】
一対の電極間に、請求項1〜9のいずれかに記載のスルホ基含有環状高分子化合物を少なくとも一種含有する層を、少なくとも一層挟持してなる有機電界発光素子。
【請求項12】
請求項1〜9のいずれかに記載のスルホ基含有環状高分子化合物を含有する層が、電荷注入輸送層である請求項11記載の有機電界発光素子。
【請求項13】
電荷注入輸送層が正孔注入輸送層である請求項12記載の有機電界発光素子。
【請求項14】
請求項1〜9のいずれかに記載のスルホ基含有環状高分子化合物を含有する層が、発光層である請求項11記載の有機電界発光素子。
【請求項15】
一対の電極間に、さらに、発光層を有する請求項11〜14のいずれかに記載の有機電界発光素子。
【請求項16】
一対の電極間に、さらに、電子注入輸送層を有する請求項11〜15のいずれかに記載の有機電界発光素子。
【請求項17】
一般式(1)
【化7】

(式中、Ar、Ar、Ar、Arは各々独立して無置換または置換基を有する炭素数6〜60の芳香族基を表し、Ar1とAr2は同一または異なり、ArとArは同一または異なる。)
で表される繰り返し単位を高分子鎖中に少なくとも一つ有する環状高分子化合物をスルホン化するスルホ基含有環状高分子化合物の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−266425(P2008−266425A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−109801(P2007−109801)
【出願日】平成19年4月18日(2007.4.18)
【出願人】(000005887)三井化学株式会社 (2,318)
【Fターム(参考)】