説明

ズダヤクシュ抽出物またはこれから分離された化合物を含む癌疾患の予防および治療用組成物

本発明は、ズダヤクシュ抽出物、これから分離されたティアレリック酸化合物または薬学的に許容可能なそれらの塩を含むアノイキス誘導剤であって、腫瘍関連抗原L6またはそのホモログを発現する癌細胞特異的であることを特徴とする、剤に関する。本発明のズダヤクシュ抽出物、これから分離されたティアレリック酸化合物または薬学的に許容可能なそれらの塩は、腫瘍関連抗原L6またはそのホモログを発現する癌細胞株において、細胞接着を低下させて癌細胞の増殖を減少させ、また細胞死を誘導する効果を有するので、腫瘍関連抗原Lβまたはそのホモログを発現する癌細胞による癌疾患を予防および治療するために用いられうる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ズダヤクシュ抽出物、これから分離されたティアレリック酸化合物または薬学的に許容可能なそれらの塩を含む、癌細胞特異的アノイキス誘導剤、ならびにこれを含む坑癌組成物または機能健康食品に関する。
【背景技術】
【0002】
インテグリンと細胞外マトリックス(ECM)との相互作用は、細胞接着を仲介し、インテグリンを介した細胞接着は、多様なシグナル分子の活性と局在を制御し、結果的に細胞の機能あるいは動態までも制御する(Thiery,J.P.Epithelial−mesenchymal transitions in tumor progression.Nat Rev Cancer,2,pp.442−54,2002;Brakebusch,C.and Fassler,R.,The integrin−actin connection,an eternal love affair.,EMBO J,22,pp.2324−33,2003)。インテグリンの細胞外部位が接着斑でECMと相互作用することによって、インテグリンサブユニットの細胞内、細胞質側末端に多様な細胞接着分子が集まることになる。これらの中には、パキシリンやp130Casといったアダプター蛋白質や、接着斑キナーゼ(FAK)、c−Srcなどのシグナル分子が存在する(DeMali,K.A.et al.,K.Integrin signaling to the actin cytoskeleton,Curr Opin Cell Biol.,15,pp.572−82,2003;Carragher,N.O.and Frame,M.C.,Focal adhesion and actin dynamics:a place where kinases and proteases meet to promote invasion,Trends Cell Biol,14,pp.241−9,2004)。インテグリンに多様な細胞シグナル分子が集まることによって自身が活性化し、アクチン細胞骨格の再編成をもたらして、結果的に細胞の形態変化を引き起こす(Juliano,R.L.et al.,Integrin regulation of cell signalling and motility,Biochem Soc Trans,32,pp.443−6,2004)。接着斑のインテグリンは(特に細胞質側末端で)タンパク質複合体を介しアクチンフィラメントに連結されているため、接着斑分子が十分に集まることができない場合や、アクチンフィラメントが異常に再編成される場合は、付随して接着斑がなくなって細胞が丸くなり、細胞が基底膜から離脱する(Hirohashi,S.and Kanai,Y.,Cell adhesion system and human cancer morphogenesis,Cancer Sci,94,pp.575−81,2003)。換言すれば、正常の上皮細胞はECMリッチな基底膜に単層を形成し、ECMからの細胞外シグナルを効果的に伝達することで生存することができるが、接着斑を失った細胞はアノイキスが誘導され、基底膜から細胞が剥がれることによって死ぬことになる。
【0003】
多くの遺伝変異や遺伝的不安定さが生じることにより、細胞−ECM相互作用や細胞−細胞間の接触が異常変化することによって、癌細胞は原発巣から転移できるようになる。転移性の癌細胞周囲の微細環境では、癌細胞自体または周囲の繊維芽細胞、白血球細胞、内皮細胞が分泌する成長因子や、サイトカインが細胞間の接触、接着、移動および浸潤などに重要な役割をはたす(Stamenkovic,I.Extracellular matrix remodelling:the role of matrix metalloproteinases,J Pathol,200,pp.448−64,2003)。転移性癌細胞は基底膜と間質領域を横断して循環系に入り(侵入)、その循環系で生き残る。ついで、管外遊出によって循環系から離脱する。この過程で、インテグリンを介した癌細胞とECMとの相互作用が、癌細胞の転移ポテンシャルを決定する重要な要素となりうる(Liotta,L.A.,et al.,Biochemical interactions of tumor cells with the basement membrane,Annu Rev Biochem,55,pp.1037−57,1986)。播種性癌細胞の中で、アノイキスで生き残った細胞のみが血管やリンパ管を介して遠隔部位に移動し、最終的にその部位に定着して転位性腫瘍として増殖することになる(Thiery,J.P.,Epithelial−mesenchymal transitions in tumor progression,Nat Rev Cancer,2,pp.442−54,2002)。
【0004】
したがって抗発癌性または抗転位性の試薬をスクリーニングする場合、正常細胞には影響を与えずに発癌性細胞にアノイキスを引き起こす試薬を見つけることは有用であるだろう。
【0005】
TM4SF5(またはL6H)は腫瘍関連抗原L6のホモログであり、L6、IL−TMPおよびL6Dとともに4回膜貫通型L6スーパーファミリーを形成する(Wright,M.D.et al.,The L6 membrane proteins−a new fourtransmembrane superfamily,Protein Sci,9,pp.1594−600,2000)。TM4SF5は、膵臓癌、胃癌、大腸癌、乳頭癌および軟部肉腫、ならびに非内分泌性肺腫瘍およびACTH(副腎皮質刺激ホルモン)ネガティブな気管支カルチノイド腫瘍において過剰発現する(Pascual−Le Tallec,L.et al.,Identification of genes associated with the corticotroph phenotype in bronchial carcinoid tumors,J Clin Endocrinol Metab,87,pp.5015−22,2002)。最近我々は、TM4SF5が肝臓癌でも過剰発現していること、TM4SF5がアクチンの再配列と上皮間葉移行(EMT)を引き起こし、コンタクト・インヒビションの低下と発癌性増殖を導くことを発見した(Lee S−A et al.,TM4SF5−mediated transmodulation between cytosolic p27Kip1 and Rho GTPases and epithelial−mesenchymal transition cause loss of contact inhibition,Cancer Cell,2007)。繊維芽細胞においてTM4SF5を過剰発現させた場合、アクチン再編成と接着斑のターンオーバーが生じた(Lee,S.Y. et al.,Focal adhesion and actin organization by a cross−talk of TM4SF5 with integrin α2 are regulated by serum treatment,Exp Cell Res,312,pp.2983−99,2006)。TM4SF蛋白質(テトラスパニンまたはテトラスパンとして知られている)は、4つの膜貫通ドメインを有する約25−50kDaの大きさの疎水性タンパク質のグループであり、二つの細胞外ループと二つの短い細胞質側末端を持っている(Stipp,C.S.et al.,Functional domains in tetraspanin proteins,Trends Biochem Sci,28,pp.106−12,2003)。インテグリンのような細胞接着分子と複合体を形成することで、TM4SFはテトラスパニン−ウェブ構造を形成する。この構造は、細胞の接着と運動において協調して役割を果たす(Berditchevski,F,Complexes of tetraspanins with integrins:more than meets the eye,J Cell Sci,114,pp.4143−51,2001)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
発明の開示
技術的課題
本発明の目的は、ズダヤクシュ抽出物、これから分離されたティアレリック酸化合物または薬学的に許容可能なそれらの塩を含むアノイキス誘導剤を提供することである。当該剤は、腫瘍関連抗原L6またはそのホモログを発現する癌細胞に特異的である。
本発明の他の目的は、前記癌細胞特異的なアノイキス誘導剤を含む癌疾患の治療および予防用医薬組成物および癌疾患の予防および改善用機能健康食品を提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、TM4SF5−nullの親SNU449細胞(以下‘P’という)、安定なコントロールのSNU449細胞(以下‘Cp’という)、安定なTM4SF5過剰発現のSNU449Tp細胞(以下‘Tp’という)およびSNU449T16細胞(以下‘T16’という)のTM4SF5発現を示す図である。
【図2】図2は、ティアレリック酸(TA)の処理がP、Cp、TpおよびT16細胞のTM4SF5発現に及ぼす影響を示す図である。
【図3】図3は、ティアレリック酸(TA)の濃度によってSNU449Cp細胞およびSNU449Tp細胞の増殖が変化したことを示す顕微鏡写真である。
【図4】図4は、ティアレリック酸(TA)の濃度依存的および時間依存的SNU449Cp細胞およびSNU449Tp細胞数を示すグラフである。
【図5】図5は、様々な細胞株におけるTM4SF5発現を確認した結果を示す図である。
【図6】図6は、ティアレリック酸(TA)処理後の、TM4SF5を発現するか、または発現しない様々な細胞株の細胞数を示すグラフである。
【図7】図7は、ティアレリック酸(TA)処理後の、TM4SF5−null細胞(SNU638およびSNU668)における接着斑分子の発現および活性化を示す顕微鏡写真である。
【図8】図8は、免疫ブロットアッセイの結果を示す。ここで接着斑分子の発現および活性化は、ティアレリック酸(TA)の濃度を変えて処理した細胞株において試験される。
【図9】図9は、免疫ブロットアッセイの結果を示す。ここで接着斑分子の発現および活性化は、ティアレリック酸(TA)で処理する時間を変えた細胞株において試験される。
【図10】図10は、ティアレリック酸(TA)処理後の、p130Casのリン酸化レベルおよびp130Cas、FAKおよびパキシリン間の物理的結合を示す図である。
【図11】図11は、ティアレリック酸(TA)処理後の、SNU449細胞株における接着斑分子の発現および活性化を示す図である。
【図12】図12は、ティアレリック酸(TA)処理後の、TM4SF5を発現するか、または発現しない様々な細胞株における接着斑分子の発現および活性を示す図である。
【図13】図13は、ティアレリック酸(TA)処理後の、pY397FAK(接着斑キナーゼ)およびpY118パキシリンの免疫染色によって、接着斑の形成を分析した結果である。
【図14】図14は、ティアレリック酸(TA)処理後の、インテグリンα5とpY397FAKと間の解離を示す図である。
【図15】図15は、ティアレリック酸(TA)処理後の、アクチンストレスファイバー形成の消失を示す図である。
【図16】図16は、ティアレリック酸(TA)処理後の、SNU449細胞株における接着の程度を示すグラフである。
【図17】図17は、時間を変えてティアレリック酸(TA)処理した後、浮遊しているSNU449CpおよびSNU449Tp細胞数を示すグラフである。
【図18】図18は、時間を変えてティアレリック酸(TA)処理した後、細胞生存および細胞死関連シグナル分子のウエスタンブロットを行った結果である。
【図19】図19は、ティアレリック酸(TA)処理後の、細胞DNA量の分析結果である。
【図20】図20は、SNU449T16細胞において、野生型FAK、パキシリンまたはp130Casを過剰発現させることによる、TA介在性効果に対する阻害の程度を示す図である。
【図21】図21は、DNA量の分析結果である。接着斑分子の過剰発現により、TA介在性の細胞死が阻害される。
【図22】図22は、ティアレリック酸(TA)処理後の、TM4SF5発現細胞株を注入されたマウスの体重および腫瘍体積の変化を示す図である。
【図23】図23は、ティアレリック酸(TA)処理後の、TM4SF5介在性腫瘍組職における細胞死の誘導を示す図である。
【図24】図24は、ティアレリック酸(TA)処理後の、マウスTM4SF5介在性腫瘍組職におけるカスパーゼ−3の活性化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
ベストモード
一態様において、本発明はズダヤクシュ抽出物、これから分離されたティアレリック酸化合物または薬学的に許容可能なそれらの塩を含む、アノイキス誘導剤に関する。当該剤は、腫瘍関連抗原L6またはそのホモログを発現する癌細胞に特異的である。
【0009】
本明細書中で使用するとき、ズダヤクシュ D.Don(喘息薬種としても知られていう)は、ユキノシタ科の多年生草本のことをいう。これは大韓民国の鬱陵島の山頂のみで棲息する。本発明のズダヤクシュ抽出物は、ズダヤクシュから抽出した粗抽出物または極性溶媒可溶抽出物である。粗抽出物としては精製水を含む水、炭素数1〜4の低級アルコールおよびこれらの混合溶媒よりなる群から選ばれる溶媒、好ましくはメタノールに溶解される抽出物が挙げられる。また、極性溶媒可溶抽出物としては、水、メタノール、エタノール、ブタノールおよびこれらの混合溶媒よりなる群から選ばれる溶媒、好ましくはブタノールに溶解される抽出物が挙げられる。
【0010】
本発明のズダヤクシュ抽出物は当業者によく知られた方法によって製造できる。例えば、ズダヤクシュを丸ごと採集し、陰干しし、次いで粉末化する。そしてズダヤクシュ粉末を2〜20倍体積の極性溶媒、たとえば水、メタノール、エタノールおよびブタノールといったC〜Cの低級アルコールまたはこれらを約1:0.1〜1:10の混合比で混合した混合溶媒といった極性溶媒、好ましくはメタノールと混合し、20〜50℃で約10時間〜48日、好ましくは20時間〜30時間、熱水抽出、冷浸抽出、還流冷却抽出または超音波抽出などの抽出方法で2〜5回、好ましくは2〜3回抽出する。そして結果物を通常の方法によって濾過、濃縮および乾燥して、粗抽出物を得ることができる。また本発明の極性溶媒可溶抽出物は、前記粗抽出物を蒸溜水に懸濁した後、1〜100倍、好ましくは1〜5倍体積の、水、エタノール、メタノールおよびブタノールといった極性溶媒と混合し、1回〜10回、好ましくは1回〜5回抽出、分離して収得することで得る。さらに追加で通常の分画工程を行うこともできる(Harborne J.B.,A guide to modern techniques of plant analysis.3,pp6−7,1998)。
【0011】
本発明のズダヤクシュ抽出物から分離したティアレリック酸化合物[3,23−ジヒドロキシ−20(29)−ルペン−27−オイック アシッド]は下記化学式(I)
【0012】
【化1】

【0013】
で表される。
【0014】
ティアレリック酸化合物は、当業者によく知られた方法によってズダヤクシュ抽出物から分離されうる。例えば本発明のズダヤクシュ抽出物を蒸溜水に懸濁し、次いでヘキサンで抽出してヘキサン可溶成分を分画する。ヘキサン可溶性画分をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、ヘキサン−クロロホルム−メタノール混合溶媒で溶出して画分を得る。ティアレリック酸を含む画分を、繰返しカラムクロマトグラフィーに付す。ティアレリック酸を高純度で含む画分を溶媒再結晶に付して、本発明の純粋なティアレリック酸が得られる。
【0015】
本明細書中で使用するとき、用語「薬学的に許容可能な塩」とは、薬学的または生理学的に許容される、無機酸および有機酸、ならびに塩基から誘導される塩を意味する。適切な酸の例としては、塩酸、臭素酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、フマル酸、マレイン酸、リン酸、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、コハク酸、トルエン−p−硫酸、酒石酸、酢酸、クエン酸、メタンスルホン酸、ギ酸、安息香酸、マロン酸、ナフタレン−2−スルホン酸およびベンゼンスルホン酸などが挙げられる。適切な塩基から誘導された塩としては、ナトリウムなどのアルカリ金属、マグネシウムなどのアルカリ土類金属、ならびにアンモニウムなどが挙げられる。
【0016】
本発明のズダヤクシュ抽出物、これから分離されたティアレリック酸化合物または薬学的に許容可能なそれらの塩は、腫瘍関連抗原L6またはそのホモログを発現している癌細胞に特異的に作用して、癌細胞のアノイキスを誘導する。
【0017】
本明細書中で使用するとき、用語「腫瘍関連抗原L6またはそのホモログ」とは、膜貫通型L6スーパーファミリーを形成して非制御性の細胞増殖を誘導する蛋白質のことをいい、これは様々な腫瘍細胞で発現する。腫瘍関連抗原L6またはそのホモログとしては、L6、TM4SF5(またはL6H;4回膜貫通型L6ファミリーメンバー5)、IL−TMPおよびL6Dが挙げられ、好ましくはTM4SF5である。
【0018】
本明細書中で使用するとき、用語「アノイキス」とは、細胞外マトリックスへの細胞接着の失敗、または細胞外マトリックスへの不適切な細胞接着によって発生する、特殊なタイプのアポトーシスのことをいう。本発明では便宜上、細胞死またはアポトーシスをアノイキスということとする。
【0019】
本発明の具体的な態様において、腫瘍関連抗原L6のホモログであるTM4SF5による細胞増殖を抑制する化合物を捜す過程で、本発明者らは、ティアレリック酸(3,23−ジヒドロキシ−20(29)−ルペン−27−オイック アシッド)が、TM4SF5が発現する細胞株においてアノイキスを誘導することを発見した。TM4SF5発現細胞株をティアレリック酸(TA)で処理したとき、接着斑分子のリン酸化が阻害され、細胞接着が失われた。そして細胞増殖が阻害され、アノイキスが引き起こされた。またヌードマウスにおいて、TAの投与はTM4SF5介在性の腫瘍発生を抑制した。これらの観察結果から、ティアレリック酸(TA)がTM4SF5ポジティブな腫瘍発生に対する推定治療剤として開発されうることが示唆される。
【0020】
前記腫瘍関連抗原L6またはそのホモログを発現する癌細胞は、肝臓癌、胃癌、結腸癌、乳房癌、肺癌、非小細胞肺癌、骨癌、膵臓癌、皮膚癌、頭部または頸部癌、皮膚または眼黒色腫、子宮癌、卵巣癌、大腸癌、小腸癌、直腸癌、肛門癌、卵管癌、子宮内膜癌、子宮頸癌、膣癌、外陰癌、ホジキン病、食道癌、小腸癌、悪性リンパ腫、膀胱癌、胆嚢癌、内分泌腺癌、甲状腺癌、副甲状線癌、副腎癌、軟部肉腫、尿道癌、陰茎癌、前立腺癌、慢性または急性白血病、リンパ球リンパ腫、膀胱癌、腎臓または尿管癌、腎細胞癌腫、腎臓骨盤癌、中枢神経系腫瘍、中枢神経系原発リンパ腫、脊髄腫瘍、脳幹グリオーマまたは下垂体腺腫を引き起こすことが知られており、好ましくは肝臓癌、膵臓癌、胃癌、大腸癌、乳頭癌、軟部肉腫、非内分泌性肺腫瘍、ACTHネガティブな気管支カルチノイド腫瘍を引き起こす癌細胞である。
【0021】
他の見地では、本発明は、ズダヤクシュ抽出物、これから分離されたティアレリック酸化合物または薬学的に許容可能なそれらの塩を含むアノイキス誘導剤であって、腫瘍関連抗原L6またはそのホモログを発現する癌細胞特異的なアノイキス誘導剤を有効成分として含む、癌疾患の予防および治療用医薬組成物を提供する。
【0022】
本発明の癌疾患の予防および治療用組成物は、組成物の総重量に対して、ズダヤクシュ抽出物、これから分離されたティアレリック酸化合物または薬学的に許容可能なそれらの塩を含む癌細胞特異的アノイキス誘導剤を0.1〜50%重量含む。
【0023】
本発明の医薬組成物は、医薬組成物の製造に一般的に使用される適切な担体、賦形剤および希釈剤をさらに含んでいてもよい。
【0024】
従来の方法によれば、本発明の医薬組成物は、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、懸濁液、乳剤、シロップ、エアロゾールといった経口剤、外用剤、坐剤または滅菌注射液の形態に剤形化されうる。組成物に含まれる担体、賦形剤および希釈剤としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリトリトール、マルチトール、澱粉、アカシアゴム、アルギン酸塩、ゼラチン、リン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、セルロース、メチルセルロース、微結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、水、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、タルク、ステアリン酸マグネシウムおよび鉱物油が例示されうる。製剤化する場合には、通常使用される充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、界面活性剤などの希釈剤または賦形剤を使用して調製されうる。経口投与のための固形製剤の例としては、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤およびカプセル剤などが挙げられ、このような固形製剤は前記化合物と少なくとも1種以上の賦形剤、例えば澱粉、炭酸カルシウム、スクロース、ラクトースおよびゼラチンを混合して調製される。また賦形剤の他に、ステアリン酸マグネシウムおよびタルクといった滑剤も使用されうる。経口投与のための液状製剤の例としては、懸濁剤、内用液剤、乳剤およびシロップ剤が挙げられ、水や液体パラフィンといった一般的な希釈剤に加えて様々な賦形剤、例えば湿潤剤、甘味剤、芳香剤および保存剤が含まれていてもよい。非経口投与のための製剤の例としては、滅菌水溶液、非水性溶剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥製剤および坐剤が挙げられる。非水性溶剤、懸濁剤としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブオイルのような植物性油、オレイン酸エチルのような注射可能なエステルなどが使用されうる。坐剤の基剤としては、ウィテプソール、マクロゴール、ツイーン61、カカオバター、ラウリンバター、グリセロゼラチンなどが使用できる。
【0025】
本発明において、医薬組成物の効果的な投与量は、患者の健康状態および体重、疾病の程度、薬物形態、投与経路および投与時間によって決定されうるが、当業者であれば適切に選択することができる。しかしながら、所望の効果を得るために、本発明の組成物は、1日あたり0.0001〜100mg/kg、好ましくは0.001〜10mg/kgで投与されうる。投与は、一日に一回投与することもでき、数回に分けて投与することもできる。前記投与量は本発明の範囲を限定しようとするものではない。
【0026】
本発明の医薬組成物は、ラット、マウス、家畜、ヒトといった哺乳動物に多様な経路を通じて投与されうる。投与のすべての方式は予め定められており、例えば経口、直腸または静脈内、筋肉内、皮下、子宮内硬膜または脳室内注射によって投与されうる。
【0027】
さらに他の見地では、本発明は、腫瘍関連抗原L6またはそのホモログを発現する癌細胞特異的に生じる癌疾患を治療および予防する方法であって、ズダヤクシュ抽出物、これから分離されたティアレリック酸化合物または薬学的に許容可能なそれらの塩を含むアノイキス誘導剤、あるいは当該剤を含む癌疾患の治療および予防用医薬組成物を、癌を持つ対象に投与する工程を含む、方法に関する。
【0028】
本発明の癌細胞特異的なアノイキス誘導剤または医薬組成物にしたがって、その効能、投与方法および投与量などに関する内容は前記したものと同じである。本発明の方法において、用語「対象」は、ヒト、サル、マウス、ブタ、ウシおよびウサギといった哺乳動物を包含するが、これらに限定されない。
【0029】
さらに他の見地において、本発明は、ズダヤクシュ抽出物、これから分離されたティアレリック酸化合物または薬学的に許容可能なそれらの塩を含むアノイキス誘導剤であって、当該剤が腫瘍関連抗原L6またはそのホモログを発現する癌細胞特異的であるアノイキス誘導剤を有効成分として含む、機能健康食品を提供する。癌細胞特異的なアノイキス誘導剤を有効成分として含む食品としては各種の食品類、飲料、ガム、お茶、ビタミン複合剤、健康改善食品類などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0030】
ズダヤクシュ抽出物、これから分離されたティアレリック酸化合物または薬学的に許容可能なそれらの塩を含む、癌細胞特異的なアノイキス誘導剤は、総食品重量あたり0.01〜15重量%含んでいてもよく、健康飲料組成物の100mlあたり0.02〜5g、好ましくは0.3〜1gを加えてもよい。
【0031】
本発明の機能健康食品は、錠剤、カプセル剤、丸剤、液状製剤などの形態でありうる。
【0032】
本発明の健康飲料組成物は、所定の割合で必須成分として前記化合物を含む液体である限りにおいて、他の成分には特に制限がなく、普通の飲料と同様にさまざまな香味剤または天然の炭水化物などを追加成分として含んでいてもよい。前述した天然炭水化物の例としては、葡萄糖、果糖といった単糖類;マルトース、スクロースといった二糖類;およびデキストリン、シクロデキストリンといった多糖類、およびキシリトール、ソルビトール、エリトリトールといった糖アルコールが挙げられる。前述した以外の香味剤としては、天然香味剤(タウマチン、ステビア抽出物(例えばレバウジオシドA)、グリシルリジン)および合成香味剤(サッカリン、アスパルテーム)を有利に使用することができる。天然の炭水化物の割合は、本発明の組成物100ml当たり、通常約1〜20g、好ましくは約5〜12gである。
【0033】
前記の外に、本発明の機能健康食品はさまざまな営養剤、ビタミン、鉱物(電解質)、合成風味剤および天然風味剤などの風味剤、着色剤および増進剤(チーズ、チョコレートなど)、ペクチン酸およびその塩、アルギン酸およびその塩、有機酸、保護性コロイド増粘剤、pH調節剤、安定化剤、防腐剤、グリセリン、アルコール、炭酸飲料に使用される炭酸化剤などを含むことができる。その他に、本発明の機能健康食品は、天然果物ジュースおよび果物ジュース飲料および野菜飲料の製造のための果肉を含むことができる。このような成分は独立してまたは組み合わせて使用することができる。このような添加剤の割合はあまり重要ではないが、本発明の化合物100重量部当たり0〜約20重量部の範囲で選択することが一般的である。
【0034】
以下、本発明を下記の実施例および実験例に基づいて詳細に説明する。ただし、下記の実施例および実験例は本発明を例示するものであるだけであり、本発明の内容が下記の実施例および実験例に限定されるものではない。
【実施例】
【0035】
発明の実施形態
実施例1.ズダヤクシュの粗抽出物の製造
大韓民国の鬱陵島で採取したズダヤクシュの全草1.1kgを乾燥、粉砕し、メタノール5Lを混合した。混合物を常温で24時間撹拌し、真空濾過して上澄液を回収した。この工程を2回繰り返して上澄液を集めた。次いで上澄液を減圧濃縮して、ズダヤクシュのメタノール粗抽出物100.5gを得た。
【0036】
実施例2.ズダヤクシュ極性溶媒可溶抽出物の製造
実施例1で得たズダヤクシュ粗抽出物を蒸溜水1Lに懸濁した。ここに1Lのブタノールを加えて混合し、ブタノール可溶画分と水可溶性画分とに分離し、続けて濾過、減圧濃縮し、溶媒を除去した。最後にズダヤクシュのブタノール可溶抽出物80.0gを得た。これは以下の実験例の試料として使用する。
【0037】
実施例3.ズダヤクシュ抽出物からのティアレリック酸の分離
ズダヤクシュ32.9kgを64Lのメタノールで7日間かけて室温で抽出し、次いで減圧下で濃縮して3.52kgのメタノール抽出物を得た。メタノール抽出物3.52kgを水10Lに懸濁した後、ヘキサン30Lで3回繰り返し抽出して、ヘキサン可溶画分651gを得た。濾液を酢酸エチル30Lで3回繰り返し抽出して、酢酸エチル可溶抽出物を510g得た。さらに酢酸エチルで抽出した後に残った懸濁液40LをDiaion HP−20に入れ、水80Lで溶出した。水溶性画分を凍結乾燥して1.4kgを得、次いで50%メタノール80Lで溶出した。50%メタノール可溶画分を凍結乾燥して792gを得た。最後にメタノールでDiaion HP−20カラムを溶出して、メタノール可溶画分158gを得た。ズダヤクシュ抽出物のそれぞれの画分を薄層クロマトグラフィーに付した。その結果、ヘキサン可溶画分にティアレリック酸が多量含有されていることが確認された。ヘキサン画分の半分量である330gをシリカゲル4kgに加え、次いでヘキサン−酢酸エチル(10:1,13.2L;5:1,16.8L;2:1,24L)、クロロホルム−メタノール(9:1,36L)、クロロホルムメタノール−水(7:3:0.1,20L)およびメタノール12Lで続けて溶出して九つの画分を得た。薄層クロマトグラフィーによって6および7番目の画分でティアレリック酸を確認した。ティアレリック酸を含む2つの画分を合わせ、これをシリカゲル2kgに加えた後、クロロホルム−メタノール(20:1,18.9L;7:1,9L;3:1,4L)およびメタノール9Lで溶出して11の画分を得た。この中で、4、5および6番目の画分にティアレリック酸が含有されていることを確認した。これらの画分をシリカゲルカラムにアプライし、溶媒再結晶に付してティアレリック酸2gを得た。加えて残りのヘキサン可溶画分330gを前記のような方法で分画してティアレリック酸2gを得た。下記の物性値を持つ全量4gのティアレリック酸(以下、TAという)を分離精製した。
【0038】
Needles(MeOH);
mp 254−256℃;
[a]23D +94(ピリジン,c 0.14);
IR(KBr,cm−1):3491(OH),1689(CO),1645(C=C),1450,1388,1262,1222,1044;HRMS m/z 472.3552(M+,Calcd for C30H48O4:472.3553);
EIMS(rel.int.)m/z:472[M]+(61),454[M−H2O]+(34),436[M−2H2O]+(62),424(42),396(26),205(75),187(71),175(87),173(100);
13C−NMR(150MHz,ピリジン−d5):13.0(C−24),17.4(C−25),17.5(C−26),18.7(C−6),18.8(C−28),19.4(C−30),21.3(C−11),25.8(C−15),26.7(C−12),27.9(C−2),30.1(C−21),37.7(C−10),38.2(C−7),38.3(C−16),39.2(C−1),39.6(C−13),40.4(C−22),40.8(C−8),42.9(C−4),43.0(C−17),48.1(C−19),49.2(C−5),51.4(C−18),51.6(C−9),60.4(C−14),68.2(C−23),73.6(C−3),110.2(C−29),150.9(C−20),178.3(C−27);
1H−NMR(600MHz,ピリジン−d5):1.05,1.71(2H,m,each,H−1),1.82,1.91(2H,m,each,H−2),4.02(1H,dd,J=4.7,11.6Hz,H−3),1.51(1H,dd,J=1.5,12.0Hz,H−5),1.48,1.65(2H,m,each,H−6),1.87,2.06(2H,m,each,H−7),2.02(1H,dd,J=1.7,12.7Hz,H−9),1.32,1.64(2H,m,each,H−11),1.87,2.60(2H,m,each,H−12),1.88(1H,m,H−13),1.67,2.28(2H,m,each,H−15),1.70,1.78(2H,m,each,H−16),1.81(1H,m,H−18),2.60(1H,m,H−19),1.36,1.97(2H,m,each,H−21),1.16,1.40(2H,m,each,H−22),3.57,4.07(2H,d,J=10.4,each,H−23),1.04(3H,s,H−24),1.01(3H,s,H−25),1.21(3H,s,H−26),0.90(1H,s,H−28).4.76,4.96(2H,s,each,H−29),1.86(3H,d,J=6.4Hz,H−30).
【0039】
参考例1.細胞培養
ウイルス感染の後、空のpLNCXまたはTM4SF5を挿入したpLNCXのレトロウイルスを、SNU449肝臓癌細胞株(大韓民国細胞銀行(KoreanCellBank)、ソウル、大韓民国)に感染させることによって、プールした安定クローン(コントロールのSNU449CpおよびTM4SF発現SNU449Cp細胞クローン)と単一細胞由来の細胞(TM4SF5発現SNU449T16)とを製造した。親細胞およびコントロール細胞(Cp)は、それぞれ200μg/ml G418(A.G.Scientific Inc.,San Diego,CA)無しまたはありの条件下、RPMI−1640/10%FBS/0.25μg/mlゲンタマイシン中、37℃、5%COで培養した。内在性TM4SF5を発現する細胞または内在性TM4SF5を全く発現しない細胞(大韓民国細胞銀行)は、10%FBS(JBI Inc.,大邱、大韓民国)入りのDMEM−HあるいはRPMI−1640培養液中でそれぞれ培養した。
【0040】
参考例2.細胞溶解物の製造およびウエスタンブロット
全細胞溶解物は文献(Lee,S.Y.et al.,Focal adhesion and actin organization by a cross−talk of TM4SF5 with integrin α2 are regulated by serum treatment,Exp Cell Res,312,pp.2983−99,2006)記載のとおり、様々な実験条件で得た。例えば、コントロールGFP、野生型接着斑キナーゼ(FAK)、パキシリン、p130Cas cDNAと共の電気穿孔法(950μF、250V)を細胞に実施した。電気穿孔の1日後、細胞をティアレリック酸(20μM)で所定の間処理した。通常の条件で培養した細胞、あるいは異なる濃度で所定の間TA処理した細胞を、RIPA緩衝液を用いて回収した。ヌードマウスから得たコントロールまたは腫瘍組職は、手術後直ちに液体窒素を用いて氷らせた。すり鉢とすりこぎを用いて液体窒素中の組織をホモジナイズし、0.1%SDS含有RIPA緩衝液を用いて抽出した。溶解物の標準的ウエスタンブロットは、リン酸化Y397、Y407、Y577、Y861、Y925FAK(BioSource International,Inc.,Camarillo,CA)、リン酸化Y416Src、c−Src、p15INK4B、p16INK4A(Santa Cruz Biotech.,Santa Cruz,CA)、FAK、p130Cas、パキシリン、pY118パキシリン、活性カスパーゼ−3(BD Transduct.Lab.,San Jose,CA)、α−チューブリン(Sigma,St Louis,MO)、リン酸化−S473またはT308Akt、Akt、リン酸化−Erk1/2、Erk1/2(Cell Signaling Tech.,Danvers,MA)およびTM4SF5(自作)に対する抗体を用いて行った。
【0041】
参考例3.免疫蛍光顕微鏡
細胞をDMSOまたは20μMのTAで24時間処理した。次いで10μg/mlでフィブロネクチンをコートしたカバースリップ上に細胞を播種し、DMSOまたは20μMのTA存在下で2時間インキュベートした。続けてpY397FAK、pY118パキシリンおよびアクチンに対し、文献(Lee,S.Y.et al.,Focal adhesion and actin organization by a cross−talk of TM4SF5 with integrin α2 are regulated by serum treatment,Exp Cell Res,312,pp.2983−99,2006)記載のように免疫蛍光染色を実施した。マウントしたサンプルは、蛍光顕微鏡(BX51,オリンパス,日本)で視覚化した。
【0042】
参考例4.実験動物の準備
4〜5週齢の雌性ヌードマウス(BALB/cAnNCrjBgi−nu)をOrient.Co.Ltd.(Seongnam,大韓民国)から購入した。マウスは制御された温度と湿度において、特別な無菌室に収容された。すべての動物への処置は、ソウル大学校実験動物管理マニュアルと臨床倫理委員会協定に従って実施された。5〜6週齢のマウス皮下に5×10個のSNU449Cp生細胞またはSNU449T16生細胞を注射した。腫瘍の体積をキャリパーで測定し、下記の数式1で計算した。体積が200mmに達したときから、3mg/kgあるいは30mg/kg(体重)のティアレリック酸(TA)を1日おきに30日間、腹腔内注射した。
【0043】
【数1】

【0044】
横長:短辺の長さ(mm)
縦長:長辺の長さ(mm)
【0045】
実験例1.TM4SF5発現細胞の増殖抑制効果
実施例3で得たティアレリック酸(TA)の、TM4SF5発現細胞への増殖抑制効果を測定するために、文献(Lee,S.Y.et al.,Focal adhesion and actin organization by a cross−talk of TM4SF5 with integrin α2 are regulated by serum treatment,Exp Cell Res,312,pp.2983−99,2006)に記載されているように、以下の実験を実施した。
【0046】
参考例1の方法で培養した、TM4SF5−nullの親SNU449(以下‘P’という)、安定なコントロールSNU449(以下‘Cp’という)、TM4SF5過剰発現SNU449Tp(以下、‘Tp’という)およびSNU449T16(以下、‘T16’という)を、濃度別(0、0.1、5、20μM)のティアレリック酸(TA)で処理し、細胞増殖抑制効果を測定した。その結果を図1〜4にそれぞれ示す。
【0047】
図1および図2に示すように、ティアレリック酸(TA)は、TM4SF5の発現量には影響を与えないが、TM4SF5発現細胞の増殖抑制効果を示すことが分かった。
【0048】
また図3および図4に示すように、TM4SF5−nullのSNU449Cp細胞をティアレリック酸(TA)20μMで3日間処理した場合、阻害効果は観察されなかった。一方、TM4SF5発現SNU449Tp細胞をティアレリック酸(TA)で3日間処理したとき、5μMの低濃度でも増殖抑制効果が観察され、20μMの濃度では、細胞密度の低下や、丸い形の細胞が観察された(図3参照)。図4に示すように、TAで処理するとTM4SF5発現細胞数が減少するが、このことから、阻害効果がアポトーシスによるものであることが示唆された(図4参照)。
【0049】
次に、ティアレリック酸(TA)がTM4SF5特異的であることを確認するために、内在性TM4SF5を発現する細胞を用いてティアレリック酸(TA)の細胞毒性を試験した。94℃で30秒、55℃で30秒、72℃で30秒を30サイクルする条件下、下記表1記載のプライマーセットを用いてRT−PCRを実施した(図5参照)。様々な細胞株を、5または20μMの濃度のティアレリック酸(TA)で処理した。
【0050】
【表1】

【0051】
その結果、繊維芽細胞であるHek293、COS7、肝臓細胞であるMDA−MB−453、胃細胞であるSNU638、SNU668、肝臓上皮細胞であるSNU398細胞株といったTM4SF5−null細胞は、時間が経つにつれて増殖した。このように、これらの細胞はティアレリック酸(TA)による影響を受けなかったことを確認することができた。しかしながら、内在性TM4SF5発現細胞は、TA処理後の増殖抑制を示し、結果的に細胞数は減少した(図6および図7参照)。
結果として、上記結果はTM4SF5を異所的に過剰発現するSNU449Tpの結果と関連することが分かった。
【0052】
実験例2.接着斑分子活性のティアレリック酸(TA)介在性阻害
シグナル伝達分子がティアレリック酸(TA)の影響を受けるかを調べるために、文献(Lee,S.Y.et al.,Focal adhesion and actin organization by a cross−talk of TM4SF5 with integrin α2 are regulated by serum treatment,Exp Cell Res,312,pp.2983−99,2006)に記載されているように、以下の実験を実施した。
【0053】
用量(0、1、5、20μM)および時間(0、8、16、24、36時間)依存的に、ティアレリック酸(TA)でSNU449細胞株を処理した。
SNU449CpおよびSNU449T16細胞株を、種々の濃度(0、1、5、20μM)で24時間、ティアレリック酸(TA)処理し、免疫ブロットアッセイを実施した。
【0054】
図8に示すように、TM4SF5を発現しないSNU449Cp細胞は影響がなかったが、20μM TAで処理したTM4SF5発現SNU449T16細胞では、接着斑キナーゼ(FAK)とパキシリンのリン酸化程度が減少し、そしてp130Casのタンパク質レベルの減少が観察された(図8参照)。また20μM TAでSNU449T16細胞を処理した際には、時間依存的にFAKとパキシリンのリン酸化やp130Casのタンパク質レベルが著しく減少した(図9参照)。さらにティアレリック酸(TA)の処理により、p130Casのリン酸化が減少し、また接着斑キナーゼ(FAK)、p130Casおよびパキシリン間の物理的な結合が弱められていることが分かった(図10参照)。さらにTM4SF5依存的なティアレリック酸(TA)の阻害効果がTM4SF5発現SNU449Tp細胞株でも確認された(図11参照)。これらの観察結果は、ティアレリック酸(TA)処理がTM4SF5細胞特異的に接着斑分子のリン酸化および複合体形成に影響することを示している。さらに、接着斑分子活性におけるティアレリック酸(TA)の効果を、内在性TM4SF5を発現する細胞株と発現しない細胞株で試験した。興味深いことに、内在性TM4SF5を発現する細胞株は、そうではない細胞株に比べ、ティアレリック酸(TA)処理による接着斑分子の活性の抑制効果を確認した(図12参照)。しかしながら、前記結果で示されるように(図11参照)、ティアレリック酸(TA)で処理することによってSNU449Cp、SNU449TpのいずれにおいてもpErk1/2を少しずつ増加させることが分かった。
【0055】
ティアレリック酸(TA)が接着斑分子の活性と複合体形成を阻害することから、TA処理によって接着斑形成が影響を受けることが予想される。従って本発明者らは、TA処理および無処理の細胞において、Tyr397がリン酸化したFAK(pY397FAK)とTyr118がリン酸化したパキシリン(pY118パキシリン)を免疫染色して接着斑の形成を分析した。TM4SF5を発現しない細胞では、TA処理によっても接着斑形成が影響を受けないが、TM4SF5発現細胞ではTA処理の後接着斑形成が失われていた。pY397FAKまたはpY118パキシリンの染色結果から、TM4SF5発現細胞における接着斑分子が解離していることを確認した(図13参照)。インテグリンが、pY397FAKのような接着斑分子の動員を仲介していること(Lee,S.Y.et al.,Focal adhesion and actin organization by a cross−talk of TM4SF5 with integrin α2 are regulated by serum treatment,Exp Cell Res,312,pp.2983−99,2006)に合致するように、TAによる接着斑の消失は、TM4SF5発現細胞におけるインテグリンα5とpY397FAKとの間の解離に関与するだろう(図14参照)。さらに接着斑はストレスファイバーを介し互いに連結されている(Kaverina,I.et al.,Regulation of substrate adhesion dynamics during cell motility,Int J Biochem Cell Biol,34,pp.746−61,2002)ので、本発明者らはTA処理細胞および無処理細胞においてアクチンを染色した。図15に示すように、TM4SF5を発現する細胞では、TA処理の後、わずかなストレスファイバーしか認められない異常なアクチン構築を認めたが、一方でTM4SF5を発現しない細胞ではそうではないことを確認した(図15参照)。TA処理したTM4SF5発現細胞において、接着斑の減少とアクチンストレスファイバー形成の減少は、TA処理後の丸い形態の細胞数が増加したことと連関しうる。
【0056】
実験例3.TM4SF5発現細胞におけるティアレリック酸(TA)介在性アノイキス誘導
TA処理により、接着斑分子の不活性化および解離が引き起こされ、これが細胞の丸い形態の原因となっている。このことから、TA処理によってTM4SF5発現細胞のアノイキスが誘導されると考えられる。TA処理が細胞接着に影響を与えるか否かを調べるため、TA介在性の細胞死を分析する前に、文献(Yang,X.et al.,Palmitoylation supports assembly and function of integrin−tetraspanin complexes,J Cell Biol,167,pp.1231−40,2004)に記載されているように、以下の実験を実施した。
細胞を20μM TAで24時間処理し、次いで浮揚した細胞を回収し、フィブロネクチンでコートされたディッシュに1時間再播種して接着の程度を決定した。
【0057】
図16に示すように、TM4SF5を発現しない細胞(SNU449P、SNU449Cp)はTA処理に影響されなかったが、一方、TAで前処理したTM4SF5を発現する細胞(SNU449Tp、SNU449T16)では、著しい接着の低下が認められた(図16参照)。次に、TAまたはDMSO処理の後に浮遊細胞数を分析し、TM4SF5発現細胞のSNU449Tpでは浮遊細胞数が増加することが認められたが、TA処理はTM4SF5を発現しないSNU449Cp細胞に影響を与えないことを確認した(図17参照)。この結果にしたがい、TM4SF5発現SNU449T16細胞をTA処理することによってもまた、Akt不活性化およびカスパーゼ−3の活性化がもたらされた(図18参照)。加えて、20μM TAで24時間処理した後の細胞内DNA量を分析した結果、TM4SF5発現SNU449TpおよびSNU449T16では、多くのsub−G1細胞が存在したが、TM4SF5を発現しないSNU449Tp(図19参照)。したがってこれらの観察結果は、TM4SF5発現細胞のみでTAはアノイキスを発生させることを示唆している。
【0058】
実験例4.接着斑分子の過剰発現におけるティアレリック酸(TA)を介した影響
接着斑キナーゼ(FAK)、パキシリン、p130Casといった接着斑分子の過剰発現が、TA処理による効果をブロックするか否かを評価するために、文献(Lee,S.Y.et al.,Focal adhesion and actin organization by a cross−talk of TM4SF5 with integrin α2 are regulated by serum treatment,Exp Cell Res,312,pp.2983−99,2006)に記載されているように以下の実験を実施した。
【0059】
このために、それぞれのcDNAをSNU449T16細胞に電気穿孔法によって導入した。1日後、20μM TAで細胞を24時間処理してライセートを得た。コントロールプラスミド(GFP)を導入したSNU449T16細胞をTA処理すると、時間依存的な接着斑分子の不活性化およびカスパーゼ−3の活性化が認められた。このことはTA介在性のアポトーシスが起きることを支持している。しかしながら、野生型接着斑キナーゼ、パキシリンまたはp130Casを導入したSNU449T16細胞は、TA介在性の効果をある程度防ぐ結果となった(図20参照)。さらに接着斑分子を過剰発現させても、TA介在性のsub−G1細胞数の増加を防止した(図21参照)。したがってTM4SF5細胞におけるTA介在性の効果は、接着斑分子の過剰発現によってある程度解消しうる。一方、Erk1/2活性は、いずれの実験条件でも変化がないことから、この実験系におけるシグナル伝達へのTA介在性の効果を理解することができる。
【0060】
実験例5.ヌードマウスにおけるTM4SF5介在性腫瘍へのティアレリック酸(TA)の効果
ティアレリック酸(TA)の投与がヌードマウスにおけるTM4SF5介在性の腫瘍形成に干渉しうるかを評価するために、文献(Lee S−A et al.,TM4SF5−mediated transmodulation between cytosolic p27Kip1 and Rho GTPases and epithelial−mesenchymal transition cause loss of contact inhibition,Cancer Cell,2007)に記載されているように、以下の実験を実施した。
【0061】
先に報告したように、TM4SF5発現SNU449T16細胞を注射したヌードマウスでは大きな腫瘍が形成されたが、TM4SF5を発現しないSNU449Cp細胞を注射したヌードマウスでは腫瘍は形成されなかった。腫瘍(計算上の腫瘍体積が〜200mmである)を持つマウスに、1日おきに30日間ティアレリック酸(TA)を腹腔投与した場合、TM4SF5介在性の腫瘍形成が抑制された。図22に示すように、ティアレリック酸(TA)を3または30mg/kg体重で投与した場合、腫瘍体積は、それぞれ約46.0%または22.1%にまで抑制された。SNU449Cp細胞を注射した部位周囲のコントロール組職とSNU449Tp注射したマウスの腫瘍組職とを用いたウエスタンブロット分析により、TM4SF5介在性の腫瘍組織ではAktが活性化し、カスパーゼ−3が不活性化することが明らかとなった。このことは、腫瘍形成にはシグナル活性が必要であることを示している。しかしながらTAを注入することによって、Akt活性が減少し、p15INK4Bまたはp16INK4A CKI(サイクリン依存的キナーゼインヒビター)レベルが増加し、カスパーゼ−3活性は増強する。このことは、TM4SF5介在性の腫瘍において、TAがその成長を阻害するとともにアポトーシスの原因となることを示している(図23参照)。TA処理したマウスから得られるTM4SF5介在性腫瘍における、カスパーゼ−3の免疫組職化学染色は、ポジティブであった(図24参照)。したがってTAは、ヌードマウスにおけるTM4SF5介在性の腫瘍形成特異的に干渉するが、これはアポトーシスを促進するためであると推定される。これらの結果は、TM4SF5ポジティブな腫瘍に対する有望な治療剤としてティアレリック酸(TA)がさらに開発に資することを示唆している。
【0062】
本発明の抽出物または化合物を含む医薬組成物の例を説明する。しかしながらこれらの例は、例示のみを目的とするものであり、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0063】
製剤例1.散剤の製造
ズダヤクシュ粗抽出物 300mg
乳糖 100mg
タルク 10mg
前記の成分を混合して気密性のある嚢に充填して散剤を製造した。
【0064】
製剤例2.錠剤の製造
ティアレリック酸 50mg
トウモロコシ澱粉 100mg
乳糖 100mg
ステアリン酸マグネシウム 2mg
前記成分の混合物を用い、通常の錠剤の製造方法によって錠剤を製造した。
【0065】
製剤例3.カプセル剤の製造
ズダヤクシュ粗抽出物 50mg
トウモロコシ澱粉 100mg
乳糖 100mg
ステアリン酸マグネシウム 2mg
通常のカプセル剤の製造方法にしたがい、前記成分の混合物をゼラチンカプセルに充電して、カプセル剤を製造した。
【0066】
製剤例4.注射剤の製造
ティアレリック酸 50mg
注射用滅菌蒸溜水 適量
pH調節剤 適量
通常の注射剤の製造方法にしたがい、上記成分を含む注射剤を(2ml)アンプルで製造した。
【0067】
製剤例5.液剤の製造
ズダヤクシュ粗抽出物 100mg
異性化糖 10g
マンニトール 5g
精製水 適量
通常の液剤の製造方法にしたがい、各成分を精製水に溶解させる。レモン香を適量加え、混合した。次いで精製水を加えて全体100mlに調節した後、茶色瓶に充填して液剤を製造した。
【0068】
製剤例6.健康食品の製造
ティアレリック酸 1000mg
ビタミン混合物 適量
ビタミンAアセテート 70μg
ビタミンE 1.0mg
ビタミン 0.13mg
ビタミンB2 0.15mg
ビタミンB6 0.5mg
ビタミンB12 0.2μg
ビタミンC 10mg
ビオチン 10μg
ニコチン酸アミド 1.7mg
葉酸 50μg
パントテン酸カルシウム 0.5mg
ミネラル混合物 適量
硫酸第1鉄 1.75mg
酸化亜鉛 0.82mg
炭酸マグネシウム 25.3mg
リン酸二水素カリウム 15mg
リン酸一水素カリウム 55mg
クエン酸カリウム 90mg
炭酸カルシウム 100mg
塩化マグネシウム 24.8mg
前記ビタミンおよびミネラル混合物の組成は、それぞれの適切な成分の好ましい組合せに従うが、改変してもよい。上記成分は通常の健康食品の製造方法にしたがって混合され、健康食品組成物としてさらに用いるための顆粒剤となった。
【0069】
製剤例7.健康飲料の製造
ズダヤクシュ粗抽出物 1000mg
クエン酸 1000mg
オリゴ糖 100g
梅濃縮液 2g
タウリン 1g
精製水 900ml
通常の健康飲料の製造方法にしたがって上記成分を混合し、混合物を85℃で1時間撹拌しながら加熱した。溶液を濾過し、シールした滅菌済み2L容器に入れて滅菌した。冷蔵保管した後、本発明の健康飲料組成物の製造に使用した。
【0070】
飲料の粗製は各成分の好ましい組合せに従うものであるが、それらに限定されるものではなく、また需要者層、国、使用目的、地域的、民族的な趣向を考慮して改変してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明のズダヤクシュ抽出物、これから分離されたティアレリック酸化合物または薬学的に許容可能なそれらの塩は、癌細胞の増殖を減少させ、細胞死を誘導する効果を有するので、癌疾患の予防および治療用医薬組成物および機能健康食品として使用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ズダヤクシュ抽出物、これから分離されたティアレリック酸化合物または薬学的に許容可能なそれらの塩を含むアノイキス誘導剤であって、腫瘍関連抗原L6またはそのホモログを発現する癌細胞特異的であることを特徴とする、剤。
【請求項2】
抽出物が、粗抽出物または極性溶媒可溶抽出物である、請求項1に記載の剤。
【請求項3】
粗抽出物が、精製水を含む水、炭素数1〜4の低級アルコールまたはこれらの混合溶媒に溶解される抽出物である、請求項2に記載の剤。
【請求項4】
極性溶媒可溶抽出物が、水、メタノール、エタノール、ブタノールおよびこれらの混合溶媒から選択される溶媒に溶解される抽出物である、請求項2に記載の剤。
【請求項5】
腫瘍関連抗原L6またはそのホモログが、L6、TM4SF5、IL−TMPまたはL6Dである、請求項1に記載の剤。
【請求項6】
癌細胞が、肝臓癌、胃癌、結腸癌、乳房癌、肺癌、非小細胞肺癌、骨癌、膵臓癌、皮膚癌、頭部または頸部癌、皮膚または眼黒色腫、子宮癌、卵巣癌、大腸癌、小腸癌、直腸癌、肛門癌、卵管癌、子宮内膜癌、子宮頸癌、膣癌、外陰癌、ホジキン病、食道癌、小腸癌、悪性リンパ腫、膀胱癌、胆嚢癌、内分泌腺癌、甲状腺癌、副甲状線癌、副腎癌、軟部肉腫、尿道癌、陰茎癌、前立腺癌、慢性または急性白血病、リンパ球リンパ腫、膀胱癌、腎臓または尿管癌、腎細胞癌腫、腎臓骨盤癌腫、中枢神経系腫瘍、中枢神経系原発リンパ腫、脊髄腫瘍、脳幹グリオーマおよび脳下垂体腺腫よりなる群から選ばれるいずれか一の癌細胞である、請求項1に記載の剤。
【請求項7】
請求項1の癌細胞特異的なアノイキス誘導剤を含む、癌疾患の治療および予防用医薬組成物。
【請求項8】
癌細胞特異的なアノイキス誘導剤が、組成物の総重量に対して0.1〜50重量%で含まれる、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
請求項1の癌細胞特異的なアノイキス誘導剤を有効成分として含む、癌疾患の予防および改善用機能健康食品。
【請求項10】
機能健康食品が、錠剤、カプセル剤、丸剤または液剤である、請求項9に記載の機能健康食品。
【請求項11】
請求項1の癌細胞特異的なアノイキス誘導剤を癌の哺乳動物に投与することを特徴とする、癌疾患を治療する方法。
【請求項12】
癌疾患を治療するための医薬の製造における、請求項1の癌細胞特異的なアノイキス誘導剤の使用。
【請求項13】
癌疾患の治療における、請求項1の癌細胞特異的なアノイキス誘導剤の使用。

【図4】
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【図6】
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【図16】
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【図17】
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【図19】
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【図21】
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【図22】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図18】
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【図20】
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【図23】
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【図24】
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【公表番号】特表2010−528106(P2010−528106A)
【公表日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−510189(P2010−510189)
【出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【国際出願番号】PCT/KR2007/006169
【国際公開番号】WO2008/147005
【国際公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【出願人】(501245997)コリア リサーチ インスティテュート オブ バイオサイエンス アンド バイオテクノロジー (15)
【Fターム(参考)】