説明

セフジニルの新規な結晶形

【課題】公知の結晶形のセフジニルより高い安定性および低い溶解度を有する、新規な結
晶形のセフジニルを提供する。
【解決手段】セフジニルの水溶液に、少なくとも1種の有機溶媒を10%までの体積/体
積百分率で加え、溶液を0℃〜+6℃の間の温度に冷却し、pHを1.5〜3の間に下げ
て、結晶を析出させ、公知の技術によって単離することにより、特定のX線回析スペクト
ルを有する、新規セフジニルの結晶形を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セフジニルの新規な結晶形に関する。
【背景技術】
【0002】
セフジニルは、高い抗菌活性を有するセファロスポリンであり、米国特許第4,559,334号および第4,585,860号に記載されている。
【0003】
米国特許第4,935,507号は、前述の2つの特許の教示に従って調製したセフジニル溶液から、pHの範囲が1〜4で、周囲温度でまたは40℃に加熱して結晶化させることによって得られる、セフジニルの結晶形Aを特許請求している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第4,559,334号
【特許文献2】米国特許第4,585,860号
【特許文献3】米国特許第4,935,507号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、セフジニルの公知の結晶形より溶解度が低い、セフジニルの新規な結晶形を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、セフジニルの希薄水溶液から、百分率の合計(水溶液中の体積/体積)が10%を超えない少なくとも1種の有機溶媒の存在下で、0℃〜+6℃の間の温度で、1.5〜3の間のpHで得ることが可能なセフジニルの新規な結晶形に関する。
【0007】
この方法で得た生成物は、高い安定性および結晶Aより低い溶解度を有するが、最終的に溶解したセフジニル量を結晶Aで可能なよりも高くすることができる。このような特徴は、長時間にわたって高濃度で得ることを可能にすることにより、臨床診療において非常に好都合になり得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】このスペクトルを、添付の図に示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の理解を明確にするために、非限定的な実施例によって、以下に一態様を記載する。
【実施例】
【0010】
実施例1
水3000ml中に湿性セフジニル(米国特許第4,559,334号に従って得たsyn体の異性体)108.6gを含むpH5.5の水溶液を、カーボン(10g)と30分間攪拌することによって脱色する。これを濾過し、水200mlで洗浄し、酢酸エチル(300ml)で希釈する。この溶液を0℃/+2℃に冷却し、6NのHClを加えることによって速やかにpH2に補正する。0℃/+2℃で2時間、攪拌下で維持し、濾過し、脱イオン水で洗浄する。生成物は真空下、25℃で乾燥させる。
【0011】
収量:黄色結晶質粉末96μg
K.F.:6.0%
力価:無水塩基基準で949ig/mg
総不純物:0.10%
【0012】
同一の結晶化方法で処理するが、酢酸エチルの代わりにテトラヒドロフラン(250ml)を使用し、+5℃の温度で処理すると、前記の結果と重ね合わせることのできる結果が得られた。有機溶媒は、有機溶媒の混合物から形成することができ、溶液のpHは1.5〜3の間にすることができ、温度は0℃〜+6℃の間にすることができる。
【0013】
前記の詳述した実施例に従って得た新規な結晶質生成物のX線回析スペクトルは以下のとおりである。
【0014】
【表1】

【0015】
新規な結晶形のセフジニルを、米国特許第4,935,507号で特許請求された結晶Aと比較した加速安定度試験に付した。この試験から、この新規な結晶の安定度は少なくとも対照である結晶Aの安定度に等しいことが明らかになった。0.07NのHCl中での溶解度試験も実施し、それから新規な結晶の溶解度は結晶Aの溶解度より低いことが明らかになった。しかし、溶解処理の所要時間を長くすると、新規な結晶形のセフジニルは、最初の1時間の後、結晶Aより溶けやすかったという意味で状態が変化した。
【0016】
結晶化の際にセフジニルの水溶液に加える有機溶媒は、酢酸エチルおよびテトラヒドロフランからなる群から選択することが好ましい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の特徴をもつX線回析スペクトルを有するセフジニルの結晶形。
【表1】

【請求項2】
セフジニルの水溶液に、少なくとも1種の有機溶媒を10%までの体積/体積百分率で加え、溶液を0℃〜+6℃の間の温度に冷却し、pHを1.5〜3の間に下げて、新規なセフジニルの結晶を析出させ、公知の技術によって単離することを特徴とする、請求項1に記載の結晶形のセフジニルを得る方法。
【請求項3】
前記有機溶媒が、個別にまたは一緒に混合して使用される酢酸エチルおよびテトラヒドロフランからなる群から選択される、請求項2に記載の方法。

【図1】
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【公開番号】特開2010−184925(P2010−184925A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−93100(P2010−93100)
【出願日】平成22年4月14日(2010.4.14)
【分割の表示】特願2003−101096(P2003−101096)の分割
【原出願日】平成15年4月4日(2003.4.4)
【出願人】(594135140)
【Fターム(参考)】