説明

セラミックス部材、プローブホルダ及びセラミックス部材の製造方法

【課題】快削性と共にシリコンに近い熱膨張係数を有し、高い強度を備えたセラミックス部材、このセラミックス部材を用いて形成されるプローブホルダ、及びセラミックス部材の製造方法を提供すること。
【解決手段】少なくともフォルステライト及び窒化ホウ素を主成分として含み、窒化ホウ素が一方向に配向している焼結体であるセラミックス部材、セラミックス部材を用いて形成されるプローブホルダ、及びセラミックス部材の製造方法。セラミックス部材は、配向度が0.07以下であり、配向方向と平行な方向の20〜300℃における熱膨張係数が(3〜5)×10−6/℃であるか、又はJIS R 1601に基づく3点曲げ強度が250MPa以上である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の組成を有する材料を焼結することによって得られるセラミックス部材、このセラミックス部材を用いて形成され、半導体集積回路などの電気特性検査に適用されるプローブを保持するプローブホルダ及びセラミックス部材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体検査や液晶検査に用いられるマイクロコンタクタには、検査対象の回路構造と検査用の信号を送付する回路構造とを電気的に接続するプローブを挿入するため、微細な貫通孔を多数形成した薄板状のプローブホルダが組み込まれている。このプローブホルダは、機械加工が可能な快削性を有するセラミックス部材(マシナブルセラミックス)が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3890915号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、マイクロコンタクタは、例えば、シリコンウエハのバーンイン検査のように、常温〜高温へと変化する温度環境下で使用される。従って、プローブホルダは、前記快削性に加え、シリコンとの熱膨張係数の差による検査の際のプローブの接触不良を回避するため、シリコンに近い熱膨張係数を有することが好ましい。
【0005】
また、近年、マイクロコンタクタは、プローブピッチの狭ピッチ化に伴い、プローブ数の増大が求められている。但し、プローブの数が増えると、マイクロコンタクタは、ばねのトータルの初期荷重が増えるので同じホルダサイズだと反りが増す。このように反りが増すと、マイクロコンタクタは、ウエハの中央や端でプローブのコンタクト状態が不安定となるため、セラミックス部材の更なる高強度化が求められている。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、快削性と共にシリコンに近い熱膨張係数を有し、高い強度を備えたセラミックス部材、このセラミックス部材を用いて形成されるプローブホルダ、及びセラミックス部材の製造方法を提供することを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明のセラミックス部材は、少なくともフォルステライト及び窒化ホウ素を主成分として含み、前記窒化ホウ素が一方向に配向している焼結体であることを特徴とする。
【0008】
また、本発明のセラミックス部材は、上記の発明において、前記窒化ホウ素の配向方向に直交する方向からX線を照射したときの前記窒化ホウ素結晶の(002)面に沿ったX線回折の強度I(002)と(100)面に沿ったX線回折の強度I(100)との比(I(100)/I(002))‖及び前記配向方向からX線を照射したときの(002)面に沿ったX線回折の強度I(002)と(100)面に沿ったX線回折の強度I(100)との比(I(100)/I(002))⊥をもとに(I(100)/I(002))‖/(I(100)/I(002))⊥で与えられる配向度が0.07以下であることを特徴とする。
【0009】
また、本発明のセラミックス部材は、上記の発明において、前記窒化ホウ素が配向している方向と平行な方向の20〜300℃におけるJIS R1618に基づく熱膨張係数が(3〜5)×10−6/℃であることを特徴とする。
【0010】
また、本発明のセラミックス部材は、上記の発明において、JIS R 1601に基づく3点曲げ強度が250MPa以上であることを特徴とする。
【0011】
また、本発明のセラミックス部材は、上記の発明において、前記窒化ホウ素は、結晶構造が六方晶であり、鱗片状粒子であることを特徴とする。
【0012】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明のプローブホルダは、導電性材料から成るプローブを挿通可能な貫通孔を有し、前記プローブを収容するプローブホルダであって、前記セラミックス部材を用いて形成された母材を備え、前記貫通孔は、前記母材において前記窒化ホウ素の配向方向と直交する方向に形成されていることを特徴とする。
【0013】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明のセラミックス部材の製造方法は、窒化ホウ素と、窒化珪素と、酸化マグネシウムと、焼結助剤とを混合する混合工程と、前記混合工程で混合した混合物に対して一方向を指向する外力を作用させる外力作用工程と、前記混合物を焼結する焼結工程と、を有することを特徴とする。
【0014】
また、本発明のセラミックス部材の製造方法は、上記の発明において、前記焼結助剤は、酸化イットリウムと酸化アルミニウムを含むことを特徴とする。
【0015】
また、本発明のセラミックス部材の製造方法は、上記の発明において、前記外力作用工程及び前記焼結工程を、ホットプレス焼結法によって一括して行うことを特徴とする。
【0016】
また、本発明のセラミックス部材の製造方法は、上記の発明において、前記焼結工程における焼結温度が1500〜1550℃であることを特徴とする。
【0017】
また、本発明のセラミックス部材の製造方法は、上記の発明において、前記焼結工程は、減圧雰囲気中または不活性雰囲気中で行うことを特徴とする。
【0018】
また、本発明のセラミックス部材の製造方法は、上記の発明において、前記窒化ホウ素は、結晶構造が六方晶であり、鱗片状粒子であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、少なくともフォルステライト及び窒化ホウ素を主成分として含み、窒化ホウ素を一方向に配向させることにより、快削性と共にシリコンに近い熱膨張係数を有し、高い強度を備えたセラミックス部材、このセラミックス部材を用いて形成されるプローブホルダを提供することができる。
【0020】
また、本発明のセラミックス部材の製造方法よれば、窒化ホウ素と、窒化珪素と、酸化マグネシウムと、焼結助剤とを混合する混合工程と、前記混合工程で混合した混合物に対して一方向を指向する外力を作用させる外力作用工程と、前記混合物を焼結する焼結工程と、を有することにより、快削性と共にシリコンに近い熱膨張係数を有し、高い強度を備えたセラミック部材を製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、本発明の一実施の形態に係るセラミックス部材の製造方法の概要を示すフローチャートである。
【図2】図2は、セラミックス部材に含まれる六方晶窒化ホウ素のa軸とc軸を示す図である。
【図3】図3は、本発明の一実施の形態に係るセラミックス部材を用いて形成したプローブホルダの構成を示す図である。
【図4】図4は、図3に示すプローブホルダの微小領域を拡大した部分拡大図である。
【図5】図5は、図4のA−A線断面図である。
【図6】図6は、本発明の一実施の形態に係るプローブホルダを用いて構成されたプローブカードの要部の構成を模式的に示す図である。
【図7】図7は、プローブの詳細な構成とプローブホルダにおけるプローブの保持態様を示す図である。
【図8】図8は、本発明の実施例1で行った熱膨張の測定に用いた試験片を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明のセラミックス部材、プローブホルダ及びセラミックス部材の製造方法に係る実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。図1は、本発明の一実施の形態に係るセラミックス部材の製造方法の概要を示すフローチャートである。まず、窒化ホウ素(BN)と、窒化珪素(Si)と、酸化マグネシウム(MgO)とを主成分とし、焼結助剤として酸化イットリウム(Y)と酸化アルミニウム(Al)を含む原材料を秤量する(ステップS1)。
【0023】
ここで、酸化マグネシウムは、焼成されるセラミックス部材の熱膨張係数を調整するために添加する。また、焼結助剤は、上記の他に従来から使用されているランタノイド金属酸化物やスピネル等の複合酸化物、これらの混合物、更にはこれらの混合物に酸化マグネシムを添加したものを使用することができる。
【0024】
続いて、ステップS1で秤量した物質の混合、分散を行う(ステップS2)。具体的には、ステップS1で秤量した原材料に水またはアルコール等の溶媒を加えたものを湿式ボールミルによって混合、分散する。続いて、ステップS2で得られた混合物をエバポレータに入れて乾燥させ、溶媒を除去する(ステップS3)。これにより、窒化ホウ素、窒化珪素、酸化マグネシム及び焼結助剤の混合物は、フレーク状の集合体となる。この混合物における窒化ホウ素の含有率は45〜65重量%、窒化珪素の含有率は15〜24重量%、酸化マグネシムの含有率は15〜23重量%、残部が焼結助剤である。
【0025】
次に、ステップS3によって得られた混合物の集合体を粉砕する(ステップS4)。ステップS4では、粉砕後に達成すべき粒度分布に応じて乳鉢及び/又は乾式ボールミルを用いる。この後、メッシュパスを用いて混合物を分級し(ステップS5)、その集合体の平均粒径を小さくし、粒度を均一化する。
【0026】
その後、平均粒径が小さくなり、粒度が均一化された混合物に対して、所定の一方向に外力を作用させ(ステップS6)、焼結する(ステップS7)。本実施の形態においては、混合物を焼結する方法としてホットプレス焼結法を適用することができる。ホットプレス焼結法は、混合物をホットプレス装置内のカーボン製の型枠に入れて所定の一方向へプレス加圧しながら焼結する方法である。従って、ホットプレス焼結法を用いて混合物を焼結する場合には、ステップS6の外力作用工程及びステップS7の焼結工程が一括して行われる(図1の破線領域で示すステップHP)。なお、ステップHPにおけるホットプレス焼結温度は、1500〜1550℃である。
【0027】
本発明で使用する窒化ホウ素は、結晶構造が六方晶であり、鱗片状粒子のため、一方向を指向する外力を作用させることによって鱗片状の表面が外力作用方向と略直交する方向に揃っていく。その結果、混合物は、外力作用方向と直交する方向に配向することとなる。
【0028】
以上説明したステップS1〜ステップS7により、本実施の形態に係るセラミックス部材が完成する。このようにして製造されたセラミックス部材は、少なくともフォルステライト及び窒化ホウ素を主成分として含み、電気絶縁性に優れると共に、鱗片状をなす窒化ホウ素粒子の面方向が略揃うことによって一方向に配向する。
【0029】
このとき、製造されたセラミックス部材は、理論計算値に基づくと、フォルステライトの含有率が26.7〜33.8重量%となり、前記窒化ホウ素の含有率が54.8〜65.1重量%となる。ここで、理論計算値は、原料に用いた酸化マグネシウムが全てフォルステライトの生成に用いられたという前提に基づいて算出した。
【0030】
そして、焼結によって得られた焼結体は、配向度(I.O.P.:The Index of Orientation Preference)が0.07以下となる。ここで、配向度とは、加圧焼結時の加圧方向と平行な方向から試料にX線を照射したときの窒化ホウ素結晶の(002)面に沿ったX線回折の強度I(002)と(100)面に沿ったX線回折の強度I(100)との比(I(100)/I(002))‖及び加圧方向と垂直な方向からX線を照射したときの(002)面に沿ったX線回折の強度I(002)と(100)面に沿ったX線回折の強度I(100)との比(I(100)/I(002))⊥をもとに次式で与えられる値をいう。
I.O.P.=(I(100)/I(002))‖/(I(100)/I(002))⊥
【0031】
なお、配向度は、I.O.P.<1の場合には(002)面に対応する窒化ホウ素結晶のc軸が試料中で加圧方向と平行に配向し、鱗片状の窒化ホウ素結晶の表面が加圧方向と略直交する方向に揃っていることを示し、I.O.P.>1の場合には(100)面に対応する窒化ホウ素結晶のa軸が試料中で加圧方向と平行に配向し、鱗片状の窒化ホウ素粒子の表面が加圧方向と平行する方向に揃っていることを示している。そして、I.O.P.=1の場合には窒化ホウ素粒子の向きが試料中でランダムであることを示している。ここで、図2に、鱗片状の窒化ホウ素粒子のa軸とc軸を示す。また、配向度については、Milan Hubacek, et al. J. Am. Ceram. Coc. 82 [1] 156-160(1999)「Effect of the Orientation of Boron Bitride Grains on the Physical Properties of Hot-Pressed Ceramics.」に詳しく説明されている。
【0032】
また、焼結体は、JIS R1618(ファインセラミックスの熱機械分析による熱膨張の測定方法)に基づく熱膨張係数が、外力作用方向では(5.9〜7.5)×10-6/℃の範囲となるのに対して、配向方向では(3〜5)×10-6/℃の範囲となる。従って、セラミックス部材の窒化ホウ素粒子の配向方向の熱膨張係数は、シリコンの熱膨張係数3.4×10-6/℃に近い値となる。
【0033】
更に、製造されたセラミックス部材は、薄板状ではあるが、強度にも優れており、JIS R 1601に基づく3点曲げ強度が250MPa以上である。
【0034】
本実施の形態に係るセラミックス部材は、検査対象であるシリコンウエハ等の回路基板と検査用の信号を送信する配線基板とを電気的に接続するため、導電性材料によって形成されるプローブを保持するプローブホルダの絶縁母材として適用することができる。図3は、本実施の形態に係るプローブホルダの構成を示す図である。また、図4は、図3に示すプローブホルダ1の微小領域Sを拡大した部分拡大図であり、図5は、図4のA−A線断面図である。なお、図面は模式的なものであって、各部分の厚みと幅との関係、それぞれの部分の厚みの比率などは現実のものとは異なる場合もあることに留意すべきであり、図面の相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれる場合があることは勿論である。
【0035】
図3〜図5に示すプローブホルダ1は、薄い円盤状をなし、シリコンウエハのフルウエハレベルテストやウエハレベルバーンインテスト等に適用されるマイクロコンタクタであるプローブカードの一部をなす(プローブカードの構成については後述する)。プローブホルダ1は、上述のようにして焼成したセラミックス部材に、検査対象であるシリコンウエハの配列に応じて配置されるプローブを収容する貫通孔11が、板厚方向(図5の上下方向)に数千〜数万本形成されている。貫通孔11は、検査用の信号を送信する配線側と対向する表面1Aから板厚方向に穿設された直径Dの大径部11aと、この大径部11aと同じ中心軸を有し、大径部11aよりも径が小さく、検査時に検査対象のシリコンウエハと対向する表面1Bから板厚方向に穿設された直径d(<D)の小径部11bとを有する。
【0036】
プローブホルダ1は、窒化ホウ素粒子の配向方向が、プローブホルダ1の板厚方向すなわち貫通孔11の貫通方向と直交しているため、図5の水平方向の熱膨張係数がシリコンウエハの(水平方向の)熱膨張係数と温度によらずに同程度となる。その結果、プローブホルダ1は、温度によらずにプローブをシリコンウエハに対して正確にコンタクトさせることができる。なお、プローブホルダ1における窒化ホウ素粒子の配向方向は、貫通孔11の貫通方向と交差していればよいが、上記の如く直交していればより好ましい。
【0037】
プローブホルダ1に貫通孔11を形成する際には、平面研削盤を用いてセラミックス部材の平面度、平行度を高めた後、表面1Bから所定の深さHbまで小径部11bを形成した後、表面1Aから所定の深さHaまでドリル加工を行うことによって大径部11aを形成する(H=Ha+Hb)。なお、大径部11a及び小径部11bを形成する際には、各々の径に適合する超鋼ドリルを用いたドリル加工を行うが、レーザ、エッチング、打抜成形、電子ビーム、イオンビーム、ワイヤ放電等の加工技術を適用してもよい。本実施の形態に係るセラミックス部材では、貫通孔11のアスペクト比(例えば、小径部11bでは、径dに対する孔深さHbの比Hb/d)を15以上とするような加工を実現することができる。
【0038】
図6は、プローブホルダ1を用いて構成されたプローブカードの要部の構成を模式的に示す図である。同図に示すプローブカード2は、上述したプローブホルダ1と、プローブホルダ1の貫通孔11に収容保持されるプローブ3と、プローブホルダ1における微細な配線wの間隔を変換するスペーストランスフォーマ4と、スペーストランスフォーマ4から出た配線wを中継するインターポーザ5と、インターポーザ5によって中継された配線wを検査装置へ接続する配線基板6と、配線基板6に設けられて検査装置側に設けられるメスコネクタと接続されるオスコネクタ7と、配線基板6を補強する補強部材8と、を備える。
【0039】
図7は、プローブ3の詳細な構成とプローブホルダ1におけるプローブ3の保持態様を示す図である。プローブ3は、先端がスペーストランスフォーマ4に設けられた電極パッド41と接触する針状部材31と、この針状部材31と相反する向きに表面1Bから突出し、シリコンウエハ9の電極パッド91に接触する針状部材32と、針状部材31と針状部材32との間に設けられて二つの針状部材31,32を伸縮自在に連結するばね部材33とが同軸的に連結されている。針状部材32の基端部付近にはフランジが形成されており、貫通孔11の小径部11bと大径部11aとの境界をなす段部によって抜け止めされている。プローブ3のプローブホルダ1における具体的な配列パターンは、検査対象であるシリコンウエハ9上の電極パッド91の配置パターンに応じて定められる。
【0040】
プローブホルダ1は、さまざまな温度条件下での電気特性検査に適用することができる。例えば、プローブホルダ1は、検査対象の温度とプローブホルダ1の母材をなすセラミックス部材の温度とが等しい条件下での電気特性検査のみならず、検査対象の温度が当該セラミックス部材の温度よりも高い条件下での電気特性検査にも適用することができる。
【0041】
以上説明した本発明の一実施の形態に係るセラミックス部材の製造方法によれば、快削性と共にシリコンに近い熱膨張係数を有し、高い強度を備えたセラミックス部材、このセラミック部材を用いて形成されたプローブホルダを提供することができる。
【0042】
さらに、本実施の形態に係るプローブホルダは、プローブの挿通方向が窒化ホウ素粒子の配向方向と直交しているため、プローブがコンタクトする位置の熱膨張による変化がシリコンウエハの熱膨張による変化に追従して起こる。このため、本実施の形態のプローブホルダは、異なる温度環境下で複数の検査を行うような場合であっても、温度によらずにプローブをシリコンウエハの電極パッドに正確にコンタクトさせることが可能となる。従って、本実施の形態のプローブホルダを使用したプローブカードは、温度帯域に応じてプローブホルダを交換したりする必要がなくなるため、検査時間を短縮し、検査に要するコストを低減することができる。
【0043】
加えて、本実施の形態では、外力作用工程と焼結工程とをホットプレス焼結法によって一括して行うことにより、セラミックス部材を容易に製造することができる。特に、本実施の形態においては、焼結温度が1500〜1550℃の高温であるため、生成されたセラミックス部材はグレー系の色合いをなす。従って、本実施の形態に係るセラミックス部材を用いて形成されたプローブホルダは、実際の検査においてプローブの位置を検出するために画像処理を行う場合に白色系のセラミックス部材に比べてホルダ表面で発生するハレーションが低減される。従って、本発明のプローブホルダを使用したプローブカードは、プローブの位置の検出精度や検出速度を向上させることが可能となる。
【0044】
なお、本実施の形態に係るセラミックス部材の製造方法における外力作用工程及び焼結工程は、ホットプレス焼結法に限定されるわけではない。例えば、外力作用工程として、スリップキャスト法を適用してもよい。スリップキャスト法を適用した場合、外力としての重力によって窒化ホウ素粒子が型内で沈降し堆積する。これにより、窒化ホウ素粒子が配向することとなる。このようにして配向した窒化ホウ素粒子を含む集合体を焼結する際には、減圧焼結法や不活性雰囲気焼結法などの従来から知られている焼結法を適用すればよい。また、スリップキャスト法を適用した後、ホットプレス焼結法を用いて焼結してもよい。ホットプレス焼結法を用いる場合には、スリップキャスト法によって生じた窒化ホウ素粒子の配向方向とホットプレス焼結法における加圧方向とが直交するようにすればよい。
【0045】
ところで、本実施の形態に係るセラミックス部材によって製造可能なプローブホルダは、シリコンウエハ上の電極パッドにプローブを一括してコンタクトさせるフルウェハタイプに限定されるわけではなく、ソケット型のプローブホルダ等として適用することも可能である。また、本実施の形態では、バネ部材によってピンが連結されたピン型プローブを収容するプローブホルダを用いる場合を説明したが、他のタイプのプローブ(ワイヤ型、ブレード型等)を収容するプローブホルダとして上述したセラミックス部材を適用することも可能である。
【実施例1】
【0046】
次に、本発明の実施例を説明する。実施例1では、上記実施の形態で説明したセラミックス部材の製造方法を用いることによって、縦×横×厚さが90mm×90mm×5mmの焼結体を焼成した。焼成に当たっては、外力作用工程及び焼結工程をホットプレス焼結法によって一括して行った。ホットプレス焼結を行う際には、600mmHgの窒素雰囲気中で、面圧25MPaの焼結圧力にて一方向へプレス加圧し、焼結温度1500℃で2時間焼結した。焼成後、焼成されたセラミックス部材に含まれる各構成相成分の存在をX線回折によって分析した。
【0047】
図8は、本実施例1で測定に使用した試験片を模式的に示す図であり、具体的には、焼結体101(破線で表示)からの試験片の切り出し方を模式的に示している。同図に示す2つの試験片102,103のうち、試験片102は配向方向の熱膨張測定用として作製したものであり、試験片103が加圧方向の熱膨張測定用として作製したものである。このように切り出した試験片102を用い、JIS R 1618に準拠した熱膨張係数(×10−6/℃)と、JIS R 1601に基づく3点曲げ強度を測定した。その結果を、実施例1で使用した原材料の主成分と焼結助剤の各割合(Wt%)、焼結温度(℃)、焼結圧力(MPa)及び焼成されたセラミックス部材に含まれる各構成相成分の存在と共に表1に示す。
【0048】
【表1】

【0049】
表1に示すように、実施例1のセラミックス部材は、窒化ホウ素及びフォルステライトを主成分として含み、配向方向と平行な方向の300℃における熱膨張係数が4.5×10−6/℃であり、3点曲げ強度が299MPaであった。
【0050】
また、実施例1のセラミックス部材から切り出した2種類の試験片102,103に対し前記加圧方向の熱膨張およびこの加圧方向と垂直な方向の熱膨張を常温(20℃)〜300℃の間の所定の温度帯域で測定した。表2は、この測定結果を温度帯域ごとに示す図である。なお、表2の温度帯域の下限は常温(20℃程度)である。
【0051】
【表2】

【0052】
表2から、セラミックス部材の配向方向の熱膨張係数は全ての温度帯域で(3.7〜4.5)×10-6/℃程度であり、シリコンの熱膨張係数(3.4×10-6/℃)に近い値を達成していることがわかる。他方、加圧方向と平行な方向の熱膨張係数は、(6.6〜7.5)×10-6/℃程度であった。この結果、本実施例1に係るセラミックス部材には、熱膨張係数に関する異方性が発現していることが明らかとなった。
【0053】
上述した窒化ホウ素粒子の配向を更に明確に確認するため、焼成した実施例1のセラミックス部材を用いて窒化ホウ素の配向度を求めた。その結果を表3に示す。
【0054】
【表3】

【0055】
表3に示すように、焼成されたセラミックス部材は、X線を加圧方向と平行に照射した場合の強度比(I(100)/I(002))‖が加圧方向と垂直に照射した場合の、強度比(I(100)/I(002))⊥に比べて格段に小さい。このため、焼成されたセラミックス部材は、X線を加圧方向と平行に照射した場合には、窒化ホウ素結晶の(002)面、即ち、鱗片状の表面に垂直なc軸方向のX線回折の強度が、(100)面、即ち、鱗片状の表面に沿ったa軸方向のX線回折の強度に比べて相対的に大きいことが分かる。また、焼成されたセラミックス部材は、X線を加圧方向と垂直に照射した場合の強度比(I(100)/I(002))⊥が大きいことから、X線を加圧方向と垂直に照射した場合には、窒化ホウ素結晶の(100)面、即ち、鱗片状の表面に沿ったa軸方向のX線回折の強度が、(002)面、即ち、鱗片状の表面に垂直なc軸方向のX線回折の強度に比べて相対的に大きいことが分かる。
【0056】
一方、焼結前と比較するため、窒化ホウ素(BN)、窒化珪素(Si)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化イットリウム(Y)及び酸化アルミニウム(Al)を含む実施例4のセラミックス部材の原材料を使用し、粒度を均一化した混合粉の3つのロットについて窒化ホウ素結晶の(002)面のX線回折強度(I(002))と(100)面のX線回折強度(I(100))とを測定し、各混合粉について強度比(I(100)/I(002))を求めた。その結果を表4に示す。
【0057】
【表4】

【0058】
上述のようにX線を加圧方向と平行に照射した場合の強度比(I(100)/I(002))‖と、加圧方向と垂直に照射した場合の強度比(I(100)/I(002))⊥とが異なることから窒化ホウ素結晶が配向していることが分かり、このことの証左として配向度も1に比べて小さな値となっている。このことは、窒化ホウ素結晶の配向が弱いと思われる表4に示す原材料の混合粉に関する強度比(I(100)/I(002))の0.13〜0.16の値と比較すれば、配向していることをより一層理解することができる。
【0059】
一方、セラミックス部材の加工性を確認するため、実施例1の焼結体から板厚が2.70mmのセラミックス部材を形成し、このセラミックス部材に対し、超鋼ドリルを用いたドリル加工により、500個の貫通孔をマトリックス状に形成した。ここでは、貫通孔の径を160μm(アスペクト比は2.70/0.160=16.9)、孔ピッチp(図5参照)を200μmとすることができた。その結果、ピッチ精度として±5μmを達成することができた。この意味で、実施例1で製造したセラミックス部材は良好な加工性を有していることが確かめられた。
【実施例2】
【0060】
実施例2では、上記実施の形態で説明したセラミックス部材の製造方法を用い、実施例1で使用した原材料の主成分の各割合(Wt%)と焼結助剤の各割合(Wt%)を変えて実施例1と同じ方法によって同一サイズの焼結体を焼成した。焼成後、焼成されたセラミックス部材に含まれる各構成相成分の存在を実施例1と同様にしてX線回折によって分析した。その結果を、実施例1で使用した原材料の主成分と焼結助剤の各割合(Wt%)、焼結温度(℃)、焼結圧力(MPa)及び実施例1と同じ熱膨張係数及び曲げ強度と共に表1に示す。
【0061】
表1に示すように、実施例2のセラミックス部材は、窒化ホウ素及びフォルステライトを主成分として含み、配向方向と平行な方向の熱膨張係数が3.8×10−6/℃であり、3点曲げ強度が265MPaであった。
【0062】
また、焼結によって得られた焼結体に対しても、上記と同様の試験片102,103を用いて実施例1と同様にして熱膨張係数を異なる温度帯域でそれぞれ測定した。測定結果を表5に示す。
【0063】
【表5】

【0064】
表5から、セラミックス部材の配向方向の熱膨張係数は全ての温度帯域で(3.1〜3.8)×10-6/℃程度であり、シリコンの熱膨張係数(3.4×10-6/℃)に近い値を達成していることがわかる。他方、加圧方向と平行な方向の熱膨張係数は、(5.9〜7.2)×10-6/℃程度であった。この結果、本実施例2に係るセラミックス部材には、熱膨張係数に関する異方性が発現していることが明らかとなった。
【0065】
本実施例2でも、セラミックス部材の加工性を確認するため、実施例1と同様に貫通孔を形成した。その結果、本実施例2で製造したセラミックス部材も、実施例1で製造したセラミックス部材と同等の加工性を有することが確かめられた。
【実施例3】
【0066】
焼成されたセラミックス部材に含まれる各構成相成分の存在を実施例1と同様にして分析し、実施例1と同様にして表1に示す。
【0067】
表1に示すように、実施例3のセラミックス部材は、窒化ホウ素及びフォルステライトを主成分として含み、配向方向と平行な方向の熱膨張係数が3.8×10−6/℃であり、3点曲げ強度が256MPaであった。
【0068】
本実施例3でも、セラミックス部材の加工性を確認するため、実施例1と同様に貫通孔を形成した。その結果、本実施例3で製造したセラミックス部材も、実施例1で製造したセラミックス部材と同等の加工性を有することが確かめられた。
【実施例4】
【0069】
焼成されたセラミックス部材に含まれる各構成相成分の存在を実施例1と同様にして分析し、実施例1と同様にして表1に示す。
【0070】
表1に示すように、実施例4のセラミックス部材は、窒化ホウ素及びフォルステライトを主成分として含み、配向方向と平行な方向の熱膨張係数が4.5×10−6/℃であり、3点曲げ強度が273MPaであった。
【0071】
本実施例4でも、セラミックス部材の加工性を確認するため、実施例1と同様に貫通孔を形成した。その結果、本実施例4で製造したセラミックス部材も、実施例1で製造したセラミックス部材と同等の加工性を有することが確かめられた。
【実施例5】
【0072】
焼成されたセラミックス部材に含まれる各構成相成分の存在を実施例1と同様にして分析し、実施例1と同様にして表1に示す。
【0073】
表1に示すように、実施例5のセラミックス部材は、窒化ホウ素、フォルステライト及び酸化マグネシウムを主成分として含み、配向方向と平行な方向の熱膨張係数が4.5×10−6/℃であり、3点曲げ強度が300MPaであった。
【0074】
本実施例5でも、セラミックス部材の加工性を確認するため、実施例1と同様に貫通孔を形成した。その結果、本実施例5で製造したセラミックス部材も、実施例1で製造したセラミックス部材と同等の加工性を有することが確かめられた。
【実施例6】
【0075】
焼成されたセラミックス部材に含まれる各構成相成分の存在を実施例1と同様にして分析し、実施例1と同様にして表1に示す。
【0076】
表1に示すように、実施例6のセラミックス部材は、窒化ホウ素、フォルステライト及び酸化マグネシウムを主成分として含み、配向方向と平行な方向の熱膨張係数が4.4×10−6/℃であり、3点曲げ強度が315MPaであった。
【0077】
本実施例6でも、セラミックス部材の加工性を確認するため、実施例1と同様に貫通孔を形成した。その結果、本実施例6で製造したセラミックス部材も、実施例1で製造したセラミックス部材と同等の加工性を有することが確かめられた。
【実施例7】
【0078】
焼成されたセラミックス部材に含まれる各構成相成分の存在を実施例1と同様にして分析し、実施例1と同様にして表1に示す。
【0079】
表1に示すように、実施例7のセラミックス部材は、窒化ホウ素、フォルステライト及び酸化マグネシウムを主成分として含み、配向方向と平行な方向の熱膨張係数が4.7×10−6/℃であり、3点曲げ強度が302MPaであった。
【0080】
本実施例7でも、セラミックス部材の加工性を確認するため、実施例1と同様に貫通孔を形成した。その結果、本実施例7で製造したセラミックス部材も、実施例1で製造したセラミックス部材と同等の加工性を有することが確かめられた。
【実施例8】
【0081】
焼成されたセラミックス部材に含まれる各構成相成分の存在を実施例1と同様にして分析し、実施例1と同様にして表1に示す。
【0082】
表1に示すように、実施例8のセラミックス部材は、窒化ホウ素及びフォルステライトを主成分として含み、配向方向と平行な方向の熱膨張係数が3.1×10−6/℃であり、3点曲げ強度が262MPaであった。
【0083】
本実施例8でも、セラミックス部材の加工性を確認するため、実施例1と同様に貫通孔を形成した。その結果、本実施例8で製造したセラミックス部材も、実施例1で製造したセラミックス部材と同等の加工性を有することが確かめられた。
【0084】
[比較例1〜10]
次に、比較のため、原材料や焼結助剤の各割合(Wt%)、焼結温度(℃)及び焼結圧力(MPa)を種々変化させることにより比較例1〜10のセラミックス部材を焼成し、焼成したセラミックス部材に含まれる各構成相成分の存在、熱膨張係数(×10−6/℃)及び3点曲げ強度を実施例1〜8と同様にして測定した。比較例1〜10で使用した原材料の主成分と焼結助剤の各割合(Wt%)、焼結温度(℃)、焼結圧力(MPa)、焼成されたセラミックス部材に含まれる各構成相成分の存在、熱膨張係数(×10−6/℃)及び3点曲げ強度を表1に併せて示す。
【0085】
表1に示すように、比較例1〜10のセラミックス部材は、フォルステライトを含んでいないか、熱膨張係数が(3〜5)×10−6/℃の範囲を外れるか、熱膨張係数が(3〜5)×10−6/℃の範囲内であっても、3点曲げ強度が250MPa未満であった。
【産業上の利用可能性】
【0086】
以上のように、本発明のセラミックス部材は、半導体検査や液晶検査に用いられるマイクロコンタクタにおいて、検査対象の回路構造と検査用の信号を送出する回路構造とを電気的に接続するプローブを挿入するプローブホルダの材料として好適であり、本発明の製造方法は、プローブホルダ用のセラミックス部材を製造するのに好適である。
【符号の説明】
【0087】
1 プローブホルダ
1A、1B 表面
2 プローブカード
3 プローブ
4 スペーストランスフォーマ
5 インターポーザ
6 配線基板
7 オスコネクタ
8 補強部材
9 シリコンウェハ
11 貫通孔
11a 大径部
11b 小径部
31、32 針状部材
33 ばね部材
41、91 電極パッド
101 焼結体
102、103 試験片
S 微小領域
w 配線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともフォルステライト及び窒化ホウ素を主成分として含み、前記窒化ホウ素が一方向に配向している焼結体であることを特徴とするセラミックス部材。
【請求項2】
前記窒化ホウ素の配向方向と直交する方向からX線を照射したときの前記窒化ホウ素結晶の(002)面に沿ったX線回折の強度I(002)と(100)面に沿ったX線回折の強度I(100)との比(I(100)/I(002))‖及び前記配向方向からX線を照射したときの(002)面に沿ったX線回折の強度I(002)と(100)面に沿ったX線回折の強度I(100)との比(I(100)/I(002))⊥をもとに(I(100)/I(002))‖/(I(100)/I(002))⊥で与えられる配向度が0.07以下であることを特徴とする請求項1に記載のセラミックス部材。
【請求項3】
前記窒化ホウ素が配向している方向と平行な方向の20〜300℃におけるJIS R1618に基づく熱膨張係数が(3〜5)×10−6/℃であることを特徴とする請求項1又は2に記載のセラミックス部材。
【請求項4】
JIS R 1601に基づく3点曲げ強度が250MPa以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のセラミックス部材。
【請求項5】
前記窒化ホウ素は、結晶構造が六方晶であり、鱗片状粒子であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のセラミックス部材。
【請求項6】
導電性材料から成るプローブを挿通可能な貫通孔を有し、前記プローブを収容するプローブホルダであって、
請求項1〜5のいずれか一項に記載のセラミックス部材を用いて形成された母材を備え、
前記貫通孔は、前記母材において前記窒化ホウ素の配向方向と直交する方向に形成されていることを特徴とするプローブホルダ。
【請求項7】
窒化ホウ素と、窒化珪素と、酸化マグネシウムと、焼結助剤とを混合する混合工程と、
前記混合工程で混合した混合物に対して一方向を指向する外力を作用させる外力作用工程と、
前記混合物を焼結する焼結工程と、
を有することを特徴とするセラミックス部材の製造方法。
【請求項8】
前記焼結助剤は、酸化イットリウムと酸化アルミニウムを含むことを特徴とする請求項7に記載のセラミックス部材の製造方法。
【請求項9】
前記外力作用工程及び前記焼結工程を、ホットプレス焼結法によって一括して行うことを特徴とする請求項7又は8に記載のセラミックス部材の製造方法。
【請求項10】
前記焼結工程における焼結温度が1500〜1550℃であることを特徴とする請求項7〜9のいずれか一項に記載のセラミックス部材の製造方法。
【請求項11】
前記焼結工程は、減圧雰囲気中または不活性雰囲気中で行うことを特徴とする請求項7〜10のいずれか一項に記載のセラミックス部材の製造方法。
【請求項12】
前記窒化ホウ素は、結晶構造が六方晶であり、鱗片状粒子であることを特徴とする請求項7〜11のいずれか一項に記載のセラミックス部材の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−275149(P2010−275149A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−129438(P2009−129438)
【出願日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(000004640)日本発條株式会社 (1,048)
【Fターム(参考)】