説明

セラミック成形体のマイクロ波乾燥方法及び装置並びにこの乾燥装置に用いるセラミック成形体乾燥用治具

【課題】内部に多数の貫通孔を有する柱状のセラミック成形体をマイクロ波で加熱して乾燥する際に、セラミック成形体の外側面にしわや、反りが生じるのを防止する。
【解決手段】軸線方向に延びるように設けられて相互間が隔壁により仕切られた多数の貫通孔を内部に有する焼成前の柱状セラミック成形体13をマイクロ波により加熱して乾燥するセラミック成形体のマイクロ波乾燥装置に、マイクロ波を吸収しにくい材料からなっていてセラミック成形体の外側面に当接した状態で該成形体を支える治具14と、治具により支えられたセラミック成形体にマイクロ波を照射するマイクロ波照射装置31と、セラミック成形体13の貫通孔を通してガスを流す通風装置Wとを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焼成前のセラミック成形体をマイクロ波により加熱して乾燥するマイクロ波乾燥方法、及びこの方法を実施するために用いるマイクロ波乾燥装置並びにこの乾燥装置で用いるセラミック成形体乾燥用治具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車の排気ガス浄化用フィルタや、水の浄化用フィルタとして、セラミック成形体が用いられている。この種のセラミック成形体は、円柱状または角柱状に形成され、その内部には、軸線方向に延びていて相互間が隔壁により仕切られた多数の貫通孔が形成されている。
【0003】
この種のセラミック成形体は、炭化珪素(SiC)や窒化珪素(Si3N4)、あるいはコーディエライト(2MgO・2AlZO3)等のセラミック材料を粉末にしたものに、水、メタノール、エタノール等の溶媒類とポリエチレングリコールやフェノール樹脂等のバインダとを加えたものを混練して得た混合物を押出成形機に供給することにより成形加工される。
【0004】
このようにして得られたセラミック成形体は、溶媒類を多量に含んでいるため、そのまま焼成すると、表面にしわや、反りが生じやすい。そのため、この種のセラミック成形体を製造する際には、押出成形されたセラミック成形体に対して、先ず溶媒類を乾燥除去するための乾燥工程を行い、次いで必要に応じて脱脂工程を行った後、焼成工程を行うようにしている。乾燥工程は、セラミック成形体に熱風を吹き付けたり、マイクロ波を照射したりすることにより行う。
【0005】
押出成形された未乾燥のセラミック成形体は軟弱で、変形し易いため、乾燥工程において、各部の乾燥を均一に進行させないと、表面にしわが発生したり、反りが生じたりすることがある。特にマイクロ波の照射によりセラミック成形体を乾燥する場合には、セラミック成形体の外側面側から先に乾燥が進展するため、セラミック成形体の内部よりも外側面側が先に収縮し、各部の収縮率が不均一になって、セラミック成形体の外側面にしわや、反りが生じ易い。そこで、特許文献1ないし3に示されているように、焼成前のセラミック成形体を乾燥する際に、該成形体に変形が生じるのを防ぐための提案がいくつかなされている。
【0006】
特許文献1に示された方法では、セラミック成形体を加熱して乾燥する際に、セラミック成形体を水平方向に向けた状態で、静止した状態と、その軸線を中心として回転する状態とを一定時間毎に交互に行わせるこにとより、セラミック成形体の配置状態を変化させながら該成形体にマイクロ波を照射して乾燥を行うようにしている。
【0007】
また特許文献2に示された方法では、セラミック成形体を押出成形した後、セラミック成形体を高温多湿の雰囲気中に保持する工程を行ってから乾燥工程を行うようにしている。
【0008】
更に特許文献3に示された方法では、セラミック成形体の外側面に硬質の材料からなる治具を当接させて、この治具によりセラミック成形体の外側面を拘束した状態で、セラミック成形体にマイクロ波を照射して乾燥を行うようにしている。
【特許文献1】特開2003−145521号公報
【特許文献2】特開2003−170413号公報
【特許文献3】特開2001−19533号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に示されたように、セラミック成形体の配置状態を変化させながら該成形体にマイクロ波を照射して乾燥を行う場合には、セラミック成形体を軸線回りに回転させる装置を必要とするが、未乾燥の軟弱なセラミック成形体を変形させることなく軸線の回りに回転させことは容易ではなく、その実施には困難を伴う。
【0010】
特許文献2に示された方法によった場合には、セラミック成形体を高温多湿の雰囲気に保持する工程を必要とするため、セラミック成形体の製造工数が多くなり、また乾燥に時間がかかるため、製造能率が低下するのを避けられない。
【0011】
セラミック成形体にマイクロ波を照射して乾燥工程を行った場合に、セラミック成形体の外側面にしわや、反り等が生じる主な原因は、セラミック成形体の外側面側の乾燥が他の部分よりも先に進行してしまうことにある。特許文献3に示されたように、セラミック成形体の外側面に治具を当接させた状態でセラミック成形体にマイクロ波を照射して乾燥を行えば、セラミック成形体の外側面を拘束してその変形を抑制し、かつセラミック成形体の外側面からの乾燥を抑制することができるため、しわや、反りの発生を防ぐことができる。
【0012】
しかしながら、セラミック成形体の外側面を硬質の治具で覆うと、セラミック成形体から蒸発した液分の放散が治具により妨げられる上に、セラミック成形体の内部からの乾燥の進展は緩やかであるため、セラミック成形体を能率よく乾燥することができないという問題が生じる。特に特許文献3に示されているように、ガラス・エポキシ樹脂を主体とした、マイクロ波の損失係数が大きい材料により治具を形成した場合には、治具により多くのマイクロ波エネルギーが吸収されてしまうため、セラミック成形体に効率よくマイクロ波を吸収させることができず、セラミック成形体の乾燥に長い時間がかかってしまう。
【0013】
また特許文献3に示されたセラミック成形体の波乾燥装置においては、図11に示したように、セラミック成形体1の下半分に当接して該成形体を支える下治具2aと、セラミック成形体1の上半分に被さる上治具2bとの2つの部材により治具2を構成しているが、このように2つの部材により治具を構成した場合には、治具を構成する各部材の動きの自由度が低いため、セラミック成形体が収縮したときに治具を十分に追従させることができないおそれがある。セラミック成形体の収縮に治具を追従させることができずに、セラミック成形体と治具との間に隙間が生じると、セラミック成形体の外側面からの乾燥が他の部分よりも先に進行してしまい、セラミック成形体の外側面にしわや、反りが発生するおそれがある。
【0014】
本発明の目的は、内部に多数の貫通孔を有する柱状のセラミック成形体をマイクロ波で加熱して乾燥するセラミック成形体のマイクロ波乾燥方法において、セラミック成形体の外側面にしわや、反りを生じさせることなく、しかも短時間で能率よく乾燥を行うことができるようにすることにある。
【0015】
本発明の他の目的は、上記の方法を実施するために用いるセラミック成形体のマイクロ波乾燥装置を提供することにある。
【0016】
本発明の他の目的は、上記の乾燥装置に用いるのに好適なセラミック成形体乾燥用治具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、軸線方向に延びるように設けられて相互間が隔壁により仕切られた多数の貫通孔を内部に有する焼成前の柱状セラミック成形体をマイクロ波により加熱して乾燥するセラミック成形体のマイクロ波乾燥方法に適用される。
【0018】
本発明においては、セラミック成形体の外側面にマイクロ波を吸収しにくい材料からなる治具を当接させて該治具によりセラミック成形体の外側面を拘束した状態で、該成形体の内側の貫通孔を通してガスを流しながら該成形体にマイクロ波を照射して乾燥を行う。セラミック成形体の内部の貫通孔を通して流すガスは通常は空気でよいが、必要に応じて窒素ガスなどの他のガスを用いてもよい。
【0019】
通常、セラミック成形体は、マイクロ波の照射により60℃程度まで加熱される。本発明者の実験によると、セラミック成形体の温度と、その内部を通すガスの温度との差が40℃を超えると、セラミック成形体が変形することが明らかになっている。したがって、セラミック成形体の内部を通すガスの温度は、20℃以上、80℃以下の範囲にあることが好ましい。
【0020】
上記の方法を実施するマイクロ波乾燥装置は、マイクロ波を吸収しにくい材料からなっていてセラミック成形体の外側面に当接した状態で該成形体を支える治具と、治具により支えられたセラミック成形体にマイクロ波を照射するマイクロ波照射装置と、セラミック成形体の貫通孔を通してガスを流す通風装置とにより構成することができる。
【0021】
上記のように、セラミック成形体の内側の貫通孔を通してガスを流しながら成形体にマイクロ波を照射して乾燥を行うと、セラミック成形体の内側からも乾燥を進行させて、セラミック成形体の内部と外側面側とでバランスよく乾燥を進展させることができるため、セラミック成形体を乾燥する過程でセラミック成形体の各部の収縮率に大きな差が生じて、その外側面にしわや、反りが生じるのを防ぐことができる。
【0022】
セラミック成形体の内部の貫通孔を通してガスを流した場合、貫通孔内を流れるガス流の上流側と下流側とではガスの温度に差が生じるため、各貫通孔の長手方向の各部での乾燥の進行に差が生じるおそれがある。そこで、本発明の好ましい態様では、マイクロ波乾燥装置が、垂直方向に延びる回転中心軸を中心に回転するターンテーブルと、マイクロ波を吸収しにくい材料からなっていてセラミック成形体の外側面に当接した状態で、かつ成形体の軸線をターンテーブルの径方向に向けた状態で成形体をターンテーブル上に支える治具と、この治具により支えられたセラミック成形体にマイクロ波を照射するマイクロ波照射装置と、セラミック成形体内の貫通孔を通してガスを流すためにターンテーブルの径方向に沿った一方向に流れるガス流を生じさせる通風装置とにより構成される。
【0023】
上記のように構成すると、ターンテーブルを180度ずつ回転させることにより、セラミック成形体の内側の貫通孔を通して流れるガス流の向きを順次切り替えることができるため、セラミック成形体の長手方向の各部での乾燥を均一に行わせることができ、セラミック成形体の表面にしわや、反りが生じるのを更に確実に防ぐことができる。
【0024】
本発明の他の好ましい態様では、上記マイクロ波乾燥装置が、水平方向に移動するコンベアと、マイクロ波を吸収しにくい材料からなっていてセラミック成形体の外側面に当接した状態で、かつセラミック成形体の軸線をコンベアを横切る方向に向けた状態で成形体をコンベア上に支える治具と、治具により支えられてコンベアにより移送させられるセラミック成形体にマイクロ波を照射するマイクロ波照射装置と、セラミック成形体内の貫通孔を通してガスを流すためにコンベアの移動方向に沿って間隔をあけて並設されてコンベアを横切る方向にガス流を生じさせる複数の通風装置とにより構成される。コンベアの移動方向に沿って並設された一連の通風装置は、交互にガス流の方向が異なるように設けられている。
【0025】
上記のように構成した場合も、セラミック成形体がコンベアにより一定距離移動させられる毎に、セラミック成形体の内側の貫通孔を通して流れるガス流の向きが切り替えるられるため、セラミック成形体の長手方向の各部の乾燥を均一に行わせることができ、セラミック成形体の表面にしわや、反りが生じるのを確実に防ぐことができる。
【0026】
本発明の好ましい態様では、上記治具が3個以上の治具構成部材に分割されていて、セラミック成形体の収縮に伴って3個以上の治具構成部材が相対的に変位しつつセラミック成形体に当接した状態を保持するように構成される。
【0027】
上記のように3以上の治具構成部材により治具を構成すると、各治具構成部材の動きの自由度を高めることができるため、治具をセラミック成形体の収縮にスムースに追従させて、治具とセラミック成形体の外側面との間に隙間が生じするのを防ぐことができ、セラミック成形体の外側面側からの乾燥が進展してセラミック成形体の外側面にしわや、反りが生じるのを防ぐことができる。
【0028】
本発明の好ましい態様では、上記治具構成部材が、硬質の材料からなる治具構成部材本体と、液分を吸収する性質を有する材料からなっていて治具構成部材本体とセラミック成形体との間に介在させられるクッション材とにより構成される。
【0029】
上記のように、硬質の材料からなる治具構成部材本体と、該治具構成部材本体とセラミック成形体との間に介在させられるクッション材とにより治具を構成すると、セラミック成形体の外側面から蒸発した液分をクッション材に吸収させることができるため、セラミック成形体の外側面からの乾燥の進行を適度に行わせて、乾燥を効率よく行わせることができる。
【0030】
また上記のように、治具構成部材本体を硬質の材料により構成すると、該治具構成部材本体によりセラミック成形体の外側面を拘束することができるため、セラミック成形体の外側面にしわや、反りが生じるのを効果的に防止することができる。また上記のように、治具構成部材本体とセラミック成形体の外側面との間にクッション材を介在させておくと、該クッション材をセラミック成形体に隙間なく当接させて、セラミック成形体の外側面からの熱放散を適度に行わせることができるため、セラミック成形体と治具との間に熱が滞留してセラミック成形体の外周側と内周側との熱バランスが不均一になるのを防ぐことができる。従って、セラミック成形体の各部の収縮の度合いを均一にして、セラミック成形体の変形を防ぐことができる。
【0031】
また本発明によれば、軸線方向に延びるように設けられて相互間が隔壁により仕切られた多数の貫通孔を内部に有する焼成前の柱状セラミック成形体をマイクロ波により加熱して乾燥する際にセラミック成形体の外側面に当接して該成形体を支持するセラミック成形体乾燥用治具が提供される。
【0032】
本発明に関わる治具は、3個以上の治具構成部材に分割されていて、セラミック成形体の収縮に伴って3個以上の治具構成部材が相対的に変位しつつセラミック成形体に当接した状態を保持するように構成されている。上記治具構成部材は、硬質の材料からなる治具構成部材本体と、液分を吸収する性質を有する材料からなっていて治具構成部材本体とセラミック成形体との間に介在させられるクッション材とにより構成される。
【0033】
セラミック成形体が四角柱状を呈している場合、上記セラミック成形体乾燥用治具は、以下に示す第1ないし第3の治具構成部材により構成することができる。
【0034】
第1の治具構成部材は、90度の角度をなす2つの当接面を有する第1の治具構成部材本体と、第1の治具構成部材本体の2つの当接面に貼り付けられた第1のクッション材とを有して、該2つの当接面に第1のクッション材を介してセラミック成形体の隣り合う2つの外側面をそれぞれ当接させた状態でセラミック成形体を下方から支えるように構成される。
【0035】
第2の治具構成部材は、板状の第2の治具構成部材本体と、第2の治具構成部材本体の一面に貼り付けられた第2のクッション材とを有して、第2の治具構成部材本体の一面が第2のクッション材を介してセラミック成形体の他の2つの外側面のうちの一方に当接させられるとともに第2の治具構成部材本体の幅方向の一端が第1の治具構成部材本体の2つの当接面のうちの一方にスライド自在に当接させられた状態で配置される。
【0036】
また第3の治具構成部材は、板状の第3の治具構成部材本体と、第3の治具構成部材本体の一面に貼り付けられた第3のクッション材とを有して、第3の治具構成部材本体の一面が第3のクッション材を介してセラミック成形体の他の2つの外側面のうちの他方に当接させられるとともに第3の治具構成部材本体の幅方向の一端が第1の治具構成部材本体の2つの当接面のうちの他方にスライド自在に当接させられた状態で配置され、第2の治具構成部材本体の幅方向の他端及び第3の治具構成部材の幅方向の他端が、溝部とほぞ(突部)とを緩く嵌合させた組み接ぎ構造で、相互間に相対的な変位が許容された状態で緩く結合される。
【0037】
この場合も、各治具構成部材本体は硬質の材料からなり、各クッション部材は液分を吸収する性質を有する材料により形成される。
【0038】
セラミック成形体が円柱状を呈する場合、上記セラミック成形体乾燥用治具は、硬質な材料によりセラミック成形体の外周面に沿う円弧状の横断面形状を有するように形成されて、セラミック成形体を取り囲むように該セラミック成形体の周方向に間隔を開けて平行に並べて配置される3以上の短冊状の治具構成部材本体と、柔軟性を有する材料からなっていて3以上の治具構成部材本体相互間の隙間を塞ぐように設けられたシートと、液分を吸収する性質を有する材料からなっていて各治具構成部材本体とセラミック成形体の外周面との間に介在するように設けられたクッション材と、セラミック成形体を取り囲むように配置された3以上の治具構成部材本体を外側から取り囲む状態で各治具構成部材本体に当接するように設けられて、3以上の治具構成部材本体のそれぞれをセラミック成形体の径方向の内側に付勢した状態で保持するループ状の弾性部材と、治具構成部材が外周に保持されたセラミック成形体を下方から支える支持台とにより構成することができる。
【0039】
上記治具構成部材本体は、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリテトラフルオロエチレン、ガラスクロスからなる基材にシリコン樹脂を含浸させたシリコン樹脂積層板、ガラスクロスからなる基材に無機系バインダーを含浸させた無機系バインダー積層板、フッ素ゴム及びシリコンゴムからなる材料群から選択された1または2以上の材料からなっていることが好ましい。
【0040】
上記の材料群に含まれる材料のマイクロ波損失係数(εγ・tanδ)は、特許文献3に示された治具を構成していたガラス・エポキシ樹脂の損失係数(0.0678〜0.208)よりも小さいため、上記の材料群に含まれる材料により治具構成部材本体を構成すると、治具により多量のマイクロ波エネルギが吸収されるのを防いで、セラミック成形体にマイクロ波エネルギを効率よく吸収させることができ、セラミック成形体の乾燥を効率よく行わせることができる。
【0041】
上記クッション材は、柔軟性を有し、かつマイクロ波の損失係数が小さい材料である、ポリエステル、フェルト、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)及びポリテトラフルオロエチレン(PTFE)からなる物質群から選択された材料からなっていることが好ましい。
【0042】
本発明においては、治具構成部材本体を硬質の材料により構成するが、ここで「硬質」とは、セラミック成形体の外側面に当接した際に該成形体の外側面の反り等の変形を効果的に抑えることができる程度に硬いことを意味する。またクッション材の柔軟性は、治具構成部材本体に比べて柔らかいこと、好ましくは、治具構成部材本体とセラミック成形体との間に介在させられたときに、セラミック成形体の外側面にほぼ隙間なく接触した状態を保持し得る程度に柔らかいことを意味する。
【発明の効果】
【0043】
以上のように、本発明によれば、セラミック成形体の内側の貫通孔を通してガスを流しながら成形体にマイクロ波を照射して乾燥を行うので、セラミック成形体の内側からも乾燥を進行させて、セラミック成形体の各部をバランスよく乾燥させることができる。従って、セラミック成形体の外側面側で乾燥が早く進展して、セラミック成形体の外側面にしわが生じたり、反りが生じたりするのを防いで、高品質のセラミック成形体を得ることができる。
【0044】
本発明において、垂直方向に延びる回転中心軸を中心に回転するターンテーブルを設けて、このターンテーブル上に治具を介してセラミック成形体を支持するとともに、セラミック成形体内の貫通孔を通してガスを流すためにターンテーブルの径方向に沿った一方向に流れるガス流を生じさせる通風装置を設けた場合には、ターンテーブルを180度ずつ回転させることにより、セラミック成形体の内側の貫通孔を通して流れるガス流の向きを順次切り替えることができるため、セラミック成形体の長手方向の各部の乾燥を均一に行わせて、セラミック成形体の表面にしわや、反りが生じるのを更に確実に防ぐことができる。
【0045】
本発明において、水平方向に移動するコンベアを設けて、このコンベア上に治具を介してセラミック成形体を支持するようにするとともに、セラミック成形体内の貫通孔を通してガスを流すために、交互に通風方向を異ならせた複数の通風装置をコンベアの移動方向に沿って間隔をあけて設けた場合には、セラミック成形体がコンベアにより一定距離移動させられる毎に、セラミック成形体の内側の貫通孔を通して流れるガス流の向きを切り替えることができるため、セラミック成形体の長手方向の各部の乾燥を均一に行わせて、セラミック成形体の表面にしわや、反りが生じるのを確実に防ぐことができる。
【0046】
更に、本発明において、セラミック成形体の外側面に当接させる治具を3個以上の治具構成部材に分割して、セラミック成形体の収縮に伴って3個以上の治具構成部材を相対的に変位させつつセラミック成形体に当接させた状態に保持するように構成した場合には、各治具構成部材の動きの自由度を高めることができるため、治具をセラミック成形体の収縮にスムースに追従させることができる。従って、セラミック成形体を乾燥する過程で治具とセラミック成形体の外側面との間に隙間が生じするのを防いで、セラミック成形体の外側面側の乾燥が、内部の乾燥よりも先に進展してセラミック成形体の外側面にしわや、反りが生じるのを防ぐことができる。
【0047】
また本発明において、治具構成部材を、硬質の材料からなる治具構成部材本体と、液分を吸収する性質を有する材料からなるクッション材とにより構成して、治具構成部材本体をクッション材を介してセラミック成形体の外側面に当接させるようにした場合には、セラミック成形体の外側面から蒸発した液分をクッション材に吸収させることができるため、セラミック成形体の外側面からの乾燥の進行を適度に行わせて、乾燥を効率よく行わせることができる。
【0048】
また本発明において、治具構成部材を、硬質の材料からなる治具構成部材本体と、液分を吸収する性質を有する材料からなるクッション材とにより構成して、治具構成部材本体をクッション材を介してセラミック成形体の外側面に当接させるようにした場合には、硬質の治具構成部材本体によりセラミック成形体の外側面を拘束することができるため、セラミック成形体の外側面にしわや、反りが生じるのを効果的に防止することができる。またクッション材をセラミック成形体に隙間なく当接させて、セラミック成形体の外側面からの熱放散を適度に行わせることができるため、セラミック成形体と治具との間に熱が滞留してセラミック成形体の外側面側と内側との熱バランスが不均一になるのを防ぐことができ、セラミック成形体の各部の熱膨張収縮の度合いをほぼ均一にして、セラミック成形体の変形を防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0049】
以下図面を参照して本発明の好ましい実施形成を詳細に説明する。
図1ないし図5は本発明をバッチ式の乾燥装置に適用した第1の実施形態を示したもので、図1は、その全体的な構成を概略的に示した構成図、図2は図1に示した乾燥装置の要部の上面図、図3は図1のIII−III線断面図、図4は本実施形態で用いる治具の要部の斜視図である。図1において10は箱形に構成された乾燥装置のチャンバで、チャンバ10内には、垂直方向に延びる回転中心軸O1−O1を中心に回転するターンテーブル11(図2参照)が設けられている。ターンテーブル11は、チャンバ10の底部に固定されたフレーム12に回転自在に支持されていて、図示しないモータにより回転駆動される。ターンテーブル10は、一方向に180度ずつ回転させられ、180度回転する毎に一定時間停止させられる。
【0050】
ターンテーブル11の上には、セラミック成形体13を支持する治具14が配置されている。本実施形態で乾燥するセラミック成形体13は、正四角柱状に形成されていて、図3に示したように、その内部には、軸線方向に延びていて、相互間が隔壁により仕切られた多数の貫通孔hが形成されている。
【0051】
治具14は、マイクロ波を吸収しにくい材料により構成された第1ないし第3の治具構成部材15ないし17からなっていて、セラミック成形体13の外側面に当接した状態で、かつ成形体13の中心軸線をターンテーブル11の径方向に向けた状態で、成形体13をターンテーブル11上に支持する。
【0052】
図3に示したように、第1の治具構成部材15は、マイクロ波を吸収しにくい性質を有する硬質の材料からなる第1の治具構成部材本体21と、マイクロ波を吸収しにくい性質と液分を吸収する性質とを有する材料からなっていて、第1の治具構成部材本体21とセラミック成形体13との間に介在させられる第1のクッション材22a,22bとからなっている。
【0053】
本実施形態で用いる第1の治具構成部材本体21は、ターンテーブル11の径方向に長手方向を向けた状態で配置されて、相互間に90度の角度を持たせて接合された2枚の帯状の板21a,21bと、これらの板21a,21bの板面を垂直方向に対して45度傾斜した方向に向けた状態で、両板をターンテーブル11上に固定する支持台21cとからなっていて、2枚の板21a,21bのそれぞれの斜め上方に向いた2つの面が、セラミック成形体13の下側の隣り合う2つの外側面13a,13bにクッション材を介して当接させられる当接面21a1,21b1となっている。
【0054】
第1のクッション材22a,22bは、セラミック成形体の長手方向に延びる帯板状の形状に形成されていて、これらのクッション材はそれぞれ第1の治具構成部材本体21の2つの当接面21a1,21b1に貼り付けられている。クッション材22a,22bのそれぞれの斜め上方に向いた面が、セラミック成形体の隣り合う2つの側面13a,13bに当接する当接面22a1,22b1となっており、これらの当接面22a1,22b1の幅寸法は、セラミック成形体の外側面13a,13bの乾燥終了時の幅寸法よりも僅かに小さく設定されている。
【0055】
第2の治具構成部材16は、長手方向をセラミック成形体13の長手方向に向けた帯板状の第2の治具構成部材本体25と、この第2の治具構成部材本体25の一面25aに貼り付けられた第2のクッション材26とからなっていて、第2の治具構成部材本体25の一面25aが第2のクッション材26を介してセラミック成形体の他の2つの外側面のうちの一方13cに当接させられるとともに、第2の治具構成部材本体25の幅方向の一端25bが第1の治具構成部材本体21の2つの当接面21a1,21b1のうちの一方21a1にスライド自在に当接させられている。
【0056】
第3の治具構成部材17は、長手方向をセラミック成形体13の長手方向に向けた帯板状の第3の治具構成部材本体27と、第3の治具構成部材本体の一面に貼り付けられた第3のクッション材28とからなっていて、第3の治具構成部材本体27の一面27aが第3のクッション材28を介してセラミック成形体13の他の2つの外側面のうちの他方13dに当接させられるとともに、第3の治具構成部材本体27の幅方向の一端27bが第1の治具構成部材本体21の2つの当接面21a1,21b1のうちの他方21b1にスライド自在に当接させられた状態で配置されている。
【0057】
第2の治具構成部材本体25の幅方向の他端25c及び第3の治具構成部材本体27の幅方向の他端27cは、図4に示したように、溝部gとほぞpとが緩く嵌合し合った組み接ぎ構造の結合部30によって、相互間に相対的な変位が許容された状態で緩く結合されている。
【0058】
本実施形態で用いる治具14においては、セラミック成形体13が乾燥により収縮していくときに、該成形体の収縮に追従して、第2の治具構成部材本体26及び第3の治具構成部材本体27がそれぞれ第1の治具構成部材本体21の当接面21a1及び21b1に沿ってスライドして、第1の治具構成部材15ないし第3の治具構成部材17のクッション材がセラミック成形体13と当接した状態を保持する。セラミック成形体の収縮に伴う治具構成部材26及び27の変位を妨げないように、クッション材26及び28の寸法及び取付位置と、第2の治具構成部材本体25と第3の治具構成部材本体27の組み接ぎ構造の結合部を構成する溝部gの深さ及びほぞpの長さとが設定されている。第2の治具構成部材16及び第3の治具構成部材17の移動を容易にするため、第2の治具構成部材本体25及び第3の治具構成部材本体27にそれぞれ錘29a,29bを取り付けておくのが好ましい。セラミック成形体13が想定される極限状態まで収縮した状態を図5に示した。
【0059】
セラミック成形体13は、図3に示したように、その横断面の輪郭形状の対角線を垂直方向に向けた状態で、下側の2つの外側面13a,13bをそれぞれ第1の治具構成部材15のクッション材22a,22bに当接させた状態で、第1の治具構成部材15上に配置される。また第1の治具構成部材15上のセラミック成形体13の上側の2つの外側面13c及び13dにそれぞれ第2の治具構成部材16及び第3の治具構成部材17のクッション材26及び28が当接させられる。
【0060】
チャンバ10の天井部10aには、セラミック成形体13にマイクロ波を照射するマイクロ波照射装置31が取り付けられている。チャンバ10の天井部10aの4隅の内側には、モータ32により回転駆動されるスターラ(攪拌羽根)33が配置されている。
【0061】
また、本発明においては、ターンテーブル11上に治具14を介して支持されたセラミック成形体13内の貫通孔hを通してガス(通常は空気)を流すため、ターンテーブル11の径方向に沿った一方向に流れるガス流Gを生じさせる通風装置Wが設けられる。図示の通風装置Wは、軸線をターンテーブルの径方向に向けた状態で、チャンバ10の相対する側壁10b,10cの一方10bを貫通して該チャンバ内に挿入された送風管35と、送風管35に配管36を通して接続された図示しない送風ポンプと、送風管35と中心軸線を共有させた状態でチャンバの他の側壁10cを貫通してチャンバ内に挿入された排気管37と、排気管37に配管38を通して接続された図示しない排気ポンプとからなっている。本実施形態では、ターンテーブル11上のセラミック成形体13の軸線がチャンバ10の相対する側壁10b,10cの対向方向に向いた状態になる位置がセラミック成形体の通風位置となっていて、セラミック成形体13が該通風位置にあるときに、図2に示したように、送風管35及び排気管37のそれぞれの中心軸線が、セラミック成形体13の中心軸線に一致するように、送風管35及び排気管37が設けられている。図示してないが、ターンテーブルを180°回転させた後一定時間停止させる動作を、セラミック成形体13の乾燥に要する時間の間繰り返し行なわせるようにターンテーブル11を駆動するモータを制御するモータ制御装置が設けられている。治具14は、ターンテーブルが停止しているときに、セラミック成形体13を通風位置に位置させて、その中心軸線を送風管35及び排気管37のそれぞれの中心軸線に一致させるように位置決めされている。
【0062】
セラミック成形体は、マイクロ波の照射により60℃程度まで加熱される。本発明者の実験の結果によると、セラミック成形体13の温度と、その内部を通すガスの温度との差が40℃を超えると、セラミック成形体が変形することが明らかになった。したがって、セラミック成形体の内部を通すガスの温度は、20℃以上、80℃以下の範囲にあることが望ましい。
【0063】
上記のマイクロ波乾燥装置によりセラミック成形体13を乾燥する際には、ターンテーブル11上に治具14を介してセラミック成形体13を支持した後、ターンテーブル11を回転させて、セラミック成形体13を通風位置に位置させる。この状態で通風装置を動作させて、セラミック成形体13内の貫通孔を通してガスを流しながら、マイクロ波照射装置31からセラミック成形体13にマイクロ波を照射させる。セラミック成形体13内を通して一定時間通風を行わせた後、ターンテーブルを180度回転させて通風装置に対するセラミック成形体13の向きを反転させ、セラミック成形体内を通して流れるガス流の方向を反転させる。このようにして、一定時間毎にセラミック成形体13内の貫通孔を通して流れるガス流の方向を切り替えながら、セラミック成形体をマイクロ波により加熱して乾燥を行う。
【0064】
上記のように、セラミック成形体13の内側の貫通孔を通してガスを流しながら、セラミック成形体にマイクロ波を照射して乾燥を行うと、セラミック成形体の内側からも乾燥を進行させて、セラミック成形体の内部と外側面側とでバランスよく乾燥を進展させることができるため、セラミック成形体13を乾燥する過程でセラミック成形体の各部の収縮率に大きな差が生じて、その外側面にしわや、反りが生じるのを防ぐことができる。
【0065】
セラミック成形体13の内部の貫通孔を通してガスを流した場合、貫通孔内を流れるガス流の上流側と下流側とではガスの温度に差が生じる。そのため、常に一定の方向にガスを流した場合には、各貫通孔の長手方向の各部での乾燥の進行に差が生じるおそれがあるが、上記の実施形態のように、ターンテーブル11を設けて、一定時間毎にセラミック成形体内を流れるガス流の方向を切り替えるようにすると、セラミック成形体内の各貫通孔の長手方向の温度分布をほぼ均一にすることができるため、温度差によりセラミック成形体の収縮率に差が生じてセラミック成形体が変形するのを防ぐことができる。
【0066】
上記各治具構成部材本体は、セラミック成形体の外側面の反り等の変形を抑えることができる程度の硬さを持たせることができ、マイクロ波を吸収しにくい性質を有し、かつ互いに接触したときの摩擦係数が比較的小さい材料により構成することが好ましい。このような性質を有する材料としては、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ガラスクロスからなる基材にシリコン樹脂を含浸させたシリコン樹脂積層板、ガラスクロスからなる基材に無機系バインダーを含浸させた無機系バインダー積層板、フッ素ゴム及びシリコンゴムがある。
【0067】
即ち、各治具構成部材本体は、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ガラスクロスからなる基材にシリコン樹脂を含浸させたシリコン樹脂積層板、ガラスクロスからなる基材に無機系バインダーを含浸させた無機系バインダー積層板、フッ素ゴム及びシリコンゴムからなる材料群から選択された1種類の材料により製作するか、またはこれらの材料群の中から選択した2以上の材料を組み合わせる(例えば2種類の材料からなる板を貼り合わせる)ことにより製作するのが好ましい。
【0068】
上記無機系バインダー積層板としては、例えば、株式会社日光化成が販売しているロスナボード、ベスサーモ及びベスサーモF(いずれも商品名)のいずれかを用いることができる。
【0069】
上記の材料群に含まれる材料のマイクロ波損失係数は、従来の治具を構成するために用いられていたガラス・エポキシ樹脂の損失係数(0.0678〜0.208)よりも小さいため、上記のような材料により治具を構成すると、治具により多量のマイクロ波エネルギが吸収されるのを防いで、セラミック成形体にマイクロ波エネルギを効率よく吸収させることができ、セラミック成形体の乾燥を効率よく行わせることができる。因みに、ポリプロピレンのマイクロ波損失係数(εγ・tanδ)は0.0005であり、ポリエチレンのマイクロ波損失係数は0.0008である。またポリテトラフルオロエチレンのマイクロ波損失係数は0.0004であり,ロスナボード及びベスサーモのマイクロ波損失係数はそれぞれ0.017及び0.024である。
【0070】
上記各クッション材は、マイクロ波損失係数が小さい材料である、ポリエステル、フェルト(ウール+レーヨン)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)及びポリテトラフルオロエチレン(PTFE)からなる物質群から選択された材料により形成することが好ましい。この場合、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニリデンフルオライド及びポリテトラフルオロエチレンは、柔軟性と、液分を吸収する性質とを有する状態(例えば発泡体の状態)にして用いる。
【0071】
上記のように、セラミック成形体13の外側面に当接させる治具を、3個以上の治具構成部材15ないし17に分割して、セラミック成形体の収縮に伴って3個以上の治具構成部材を相対的に変位させつつセラミック成形体に当接させた状態に保持するように構成すると、各治具構成部材の動きの自由度を高めることができるため、治具をセラミック成形体の収縮にスムースに追従させることができる。従って、セラミック成形体を乾燥する過程で治具とセラミック成形体の外側面との間に隙間が生じするのを防ぐことができ、セラミック成形体13の外側面側の乾燥が、内部の乾燥よりも先に進展してセラミック成形体の外側面にしわや、反りが生じるのを防ぐことができる。
【0072】
また上記のように、各治具構成部材を、硬質の材料からなる治具構成部材本体と、柔軟性と液分を吸収する性質とを有する材料からなるクッション材とにより構成して、治具構成部材本体をクッション材を介してセラミック成形体13の外側面に当接させるようにすると、セラミック成形体の外側面から蒸発した液分をクッション材に吸収させることができるため、セラミック成形体の外側面からの乾燥の進行を適度に行わせて、乾燥を効率よく行わせることができる。
【0073】
また上記のように、各治具構成部材を、硬質の材料からなる治具構成部材本体と、液分を吸収する性質を有する材料からなるクッション材とにより構成して、治具構成部材本体をクッション材を介してセラミック成形体13の外側面に当接させるようにすると、硬質の治具構成部材本体によりセラミック成形体13の外側面を拘束することができるため、セラミック成形体の外側面にしわや、反りが生じるのを効果的に防止することができる。また柔軟性を有するクッション材をセラミック成形体に隙間なく当接させて、セラミック成形体13からクッション材を通してセ熱放散を良好に行わせることができるため、セラミック成形体と治具との間に熱が滞留してセラミック成形体の外側面側と内側との熱バランスが不均一になるのを防ぐことができ、セラミック成形体の各部の熱膨張収縮の度合いをほぼ均一にして、セラミック成形体の変形を防ぐことができる。
【0074】
図6は、セラミック成形体の押出成形に続いて乾燥工程を行わせる連続式の乾燥装置に本発明を適用した本発明の第2の実施形態の構成を示した上面図である。この実施形態においては、一端及び他端にそれぞれセラミック成形体の搬入口10A′及び搬出口10B′を有するチャンバ10′が設けられていて、このチャンバ内に、搬入口から搬出口に向けて被乾燥物(セラミック成形体)を水平方向に移送するコンベア40が設けられている。
【0075】
コンベア40は、マイクロ波を吸収しにくい材料(例えばポリテトラフルオロエチレンをガラス繊維で強化した複合材料)からなるエンドレスベルト41と、このベルトを駆動する駆動機構(図示せず。)とからなっている。コンベア40により移送されるセラミック成形体内の貫通孔を通してガスを流すために、コンベア40の移動方向Aに沿って、所定の間隔をあけて複数の通風ステージS1〜S3が設けられ、これらの通風ステージにそれぞれコンベアの移動方向を横切る方向にガス流を生じさせる通風装置W1ないしW3が設置されている。
【0076】
各通風装置は、チャンバ10′の側壁を貫通して該チャンバ内に挿入されて、コンベア40の移動方向を横切る方向に相対する送風管35と排気管37とを備えていて、送風管35及び排気管37がそれぞれ図示しない配管を通して送風ポンプ及び排気ポンプに接続されている。
【0077】
ベルトコンベア40の移動方向に沿って間隔をあけて並設された一連の通風装置W1ないしW3は、交互に異なる方向にガス流G1〜G3を生じさせるように、送風管と排気管の位置を入れ替えた状態で設けられている。
【0078】
また、ベルトコンベア40には、セラミック成形体を支持する治具14を位置決めする位置決め手段43が、通風ステージ相互間の間隔に等しい間隔で多数設けられていて、セラミック成形体を支持してベルトコンベア40上に搬入された治具14が、各位置決め手段43により、支持しているセラミック成形体の軸線がコンベア40の移動方向を横切る方向に向いた状態になるように位置決めされる。
【0079】
そして、各治具14を通風ステージS1ないしS3で停止させたときに、各治具により支持されたセラミック成形体の軸線が各通風装置W1ないしW3の送風管及び排気管の軸線にほぼ一致した状態になるように、各部の位置関係が設定されている。
【0080】
チャンバ10′の天井部には、各通風ステージで停止している治具14にマイクロ波を照射するマイクロ波照射装置と、スターラとが適宜の個数取り付けられている。
【0081】
本実施形態で用いる治具14は、図1ないし図5に示した実施形態で用いたものと同様のものでよい。
【0082】
図6に示した実施形態においては、一定の時間毎にベルトコンベア40が駆動されて、該コンベア上に治具14を介して支持された一連のセラミック成形体が通風ステージS1ないしS3で停止させられ、各通風ステージで停止したセラミック成形体の内部の貫通孔を通してガス流が生じさせられる。
【0083】
この実施形態においても、セラミック成形体の内部の貫通孔を通して流すガス流の方向を一定の時間間隔で切り替えながら乾燥工程を行うことができるため、図1に示した実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0084】
上記の各実施形態では、セラミック成形体が四角柱状に形成されていたが、本発明で乾燥の対象とする柱状セラミック成形体の横断面形状は任意であり、例えば、円柱状に形成されたセラミック成形体を乾燥する場合にも本発明を適用することができる。図9は、円柱状のセラミック成形体13′を治具14′により支持した状態を示したもので、図示の治具14′は、マイクロ波を吸収しにくい性質を有する硬質な材料によりセラミック成形体の外周面に沿う円弧状の横断面形状を有するように形成されて、セラミック成形体13′を取り囲むように該セラミック成形体の周方向に間隔を開けて平行に並べて配置された3以上の短冊状の治具構成部材本体50と、マイクロ波を吸収しにくい性質と柔軟性とを有する材料からなっていて治具構成部材本体50,50,…相互間の隙間を塞ぐように設けられたシート51と、液分を吸収する性質とマイクロ波を吸収しにくい性質とを有する材料からなっていて各治具構成部材本体とセラミック成形体の外周面との間に介在するように設けられたクッション材52と、セラミック成形体13′を取り囲むように配置された治具構成部材本体50,50,…を外側から取り囲む状態で各治具構成部材本体に当接するように設けられて、治具構成部材本体50,50,…のそれぞれをセラミック成形体13′の径方向の内側に付勢するループ状の弾性部材53と、横断面が半円形を呈する溝54aを有して、治具構成部材本体50,50,…が外周に保持されたセラミック成形体13′の下半部を溝54aに嵌合させて、該成形体を下方から支える支持台54とからなっている。支持台54も、ポリテトラフルオロエチレン等の、マイクロ波を吸収しにくい材料により形成されている。
【0085】
本実施形態では、図7に示したように、シート51が、乾燥により収縮した状態にあるセラミック成形体13′の外周の円周長よりも僅かに短い長さを有する帯状の形状に形成され、このシート51に治具構成部材50,50,…が所定の間隔をあけた状態で貼り付けられている。シート51としては、薄く、柔軟性を有するガラス繊維の織布または不織布などからなるものを用いる。
【0086】
またクッション材52は、図8に示すように、乾燥により収縮した状態にあるセラミック成形体13′の外周の円周長よりも僅かに短い長さを有する帯状の形状に形成されている。
【0087】
そして、図9に示したように、クッション材52をセラミック成形体13′の外周に巻き付け、更にその上に治具構成部材本体50,50,…が貼り付けられたシート51を巻き付けた後、ループ状の弾性部材53を一連の治具構成部材本体50,50,…を囲むように取り付けて、治具構成部材本体50,50,…をセラミック成形体13′の外周に固定する。
【0088】
弾性部材53は弾力性を有する材料からなるリング状の部材(輪ゴムと同様のもの)で、セラミック成形体13′の長手方向に沿って複数個設けられる。
【0089】
図7ないし図9に示した治具14′においては、セラミック成形体13′の外径が収縮して行くにつれてシート51にしわを寄せながら、治具構成部材本体50,50,…が相互間の間隔を狭めていく。治具構成部材50,50,…は、弾性部材53の付勢力により、常時セラミック成形体13′の径方向の内側に付勢されて、クッション材52を介してセラミック成形体の外周面に当接した状態に保持される。図10は、円柱状のセラミック成形体13′が乾燥して収縮した状態での治具14′の状態を示している。
【0090】
図7ないし図9に示した治具の治具構成部材本体50,50,…を構成する材料、及びクッション材52を構成する材料は、図1に示した実施形態で用いた治具構成部材本体及びクッション材をそれぞれ構成する材料と同様である。
【実施例1】
【0091】
図1に示したバッチ式の乾燥装置を用い、2450MHz±30MHzのマイクロ波をセラミック成形体に照射して、加熱時間を20分とし、ガス流の向きを30秒に1回切り替えて乾燥工程を行ったところ、外側面にしわや反り等の変形が生じない状態でセラミック成形体を乾燥することができ、それを焼成することにより、高品質のセラミック成形体を得ることができた。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明に係わるマイクロ波乾燥装置の第1の実施形態の全体的な構成を概略的に示した構成図である。
【図2】図1に示した乾燥装置の要部の上面図である。
【図3】図1のIII−III線断面図である。
【図4】本実施形態で用いる治具の要部の斜視図である。
【図5】セラミック成形体が乾燥して収縮した状態での治具の状態を示した図3と同様の断面図である。
【図6】本発明に係わるマイクロ波乾燥装置の第2の実施形態の全体的な構成を概略的に示した構成図である。
【図7】本発明に係わる乾燥装置においてセラミック成形体が円柱状を呈する場合に用いる治具を構成するシートと治具構成部材本体とを示した断面図である。
【図8】図7に示したシート及び治具構成部材本体とともに治具を構成するクッション部材の断面図である。
【図9】同治具により支持された円柱状のセラミック成形体を示した断面図である。
【図10】円柱状セラミックが乾燥して収縮した状態での図9に示した治具の状態を示した断面図である。
【図11】従来の治具により角柱状のセラミック成形体を支持した状態を示した断面図である。
【符号の説明】
【0093】
10,10′チャンバ
11 ターンテーブル
13 セラミック成形体
14 治具
15 第1の治具構成部材
16 第2の治具構成部材
17 第3の治具構成部材
21 第1の治具構成部材本体
22a,22b 第1のクッション部材
25 第2の治具構成部材本体
26 第2のクッション部材
27 第3の治具構成部材本体
28 第3のクッション部材
30 組み接ぎ構造の結合部
31 マイクロ波照射装置
33 スターラ
35 送風管
37 排気管
41 ベルトコンベア
43 治具位置決め部
W,W1ないしW3 通風装置
S1ないしS3 通風ステーション

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線方向に延びるように設けられて相互間が隔壁により仕切られた多数の貫通孔を内部に有する焼成前の柱状セラミック成形体をマイクロ波により加熱して乾燥するセラミック成形体のマイクロ波乾燥方法において、
前記セラミック成形体の外側面にマイクロ波を吸収しにくい材料からなる治具を当接させて該治具によりセラミック成形体の外側面を拘束した状態で、該成形体の内側の貫通孔を通してガスを流しながら該成形体にマイクロ波を照射して乾燥を行うことを特徴とするセラミック成形体のマイクロ波乾燥方法。
【請求項2】
前記ガスの温度は20℃ないし80℃の範囲に設定される請求項1に記載のセラミック成形体のマイクロ波乾燥方法。
【請求項3】
軸線方向に延びるように設けられて相互間が隔壁により仕切られた多数の貫通孔を内部に有する焼成前の柱状セラミック成形体をマイクロ波により加熱して乾燥するセラミック成形体のマイクロ波乾燥装置において、
マイクロ波を吸収しにくい材料からなっていて前記セラミック成形体の外側面に当接した状態で該成形体を支える治具と、
前記治具により支えられたセラミック成形体にマイクロ波を照射するマイクロ波照射装置と、
前記セラミック成形体の貫通孔を通してガスを流す通風装置と、
を具備してなるセラミック成形体のマイクロ波乾燥装置。
【請求項4】
軸線方向に延びるように設けられて相互間が隔壁により仕切られた多数の貫通孔を内部に有する焼成前の柱状セラミック成形体をマイクロ波により加熱して乾燥するセラミック成形体のマイクロ波乾燥装置において、
垂直方向に延びる回転中心軸を中心に回転するターンテーブルと、
マイクロ波を吸収しにくい材料からなっていて前記セラミック成形体の外側面に当接した状態で、かつ前記成形体の軸線を前記ターンテーブルの径方向に向けた状態で前記成形体を前記ターンテーブル上に支える治具と、
前記治具により支えられたセラミック成形体にマイクロ波を照射するマイクロ波照射装置と、
前記セラミック成形体内の貫通孔を通してガスを流すために前記ターンテーブルの径方向に沿った一方向に流れるガス流を生じさせる通風装置と、
を具備してなるセラミック成形体のマイクロ波乾燥装置。
【請求項5】
軸線方向に延びるように設けられて相互間が隔壁により仕切られた多数の貫通孔を内部に有する焼成前の柱状セラミック成形体をマイクロ波により加熱して乾燥するセラミック成形体のマイクロ波乾燥装置において、
水平方向に移動するコンベアと、
マイクロ波を吸収しにくい材料からなっていて前記セラミック成形体の外側面に当接した状態で、かつ前記成形体の軸線を前記コンベアを横切る方向に向けた状態で前記成形体を前記コンベア上に支える治具と、
前記治具により支えられて前記コンベアにより移送させられるセラミック成形体にマイクロ波を照射するマイクロ波照射装置と、
前記セラミック成形体内の貫通孔を通してガスを流すために前記コンベアの移動方向に沿って間隔をあけて並設されて前記コンベアを横切る方向にガス流を生じさせる複数の通風装置と、
を具備し、
前記コンベアの移動方向に沿って並設された一連の通風装置は、交互にガス流の方向が異なるように設けられているセラミック成形体のマイクロ波乾燥装置。
【請求項6】
前記治具は3個以上の治具構成部材に分割されていて、前記セラミック成形体の収縮に伴って前記3個以上の治具構成部材が相対的に変位しつつ前記セラミック成形体に当接した状態を保持するように構成されている請求項3,4または5に記載のセラミック成形体のマイクロ波乾燥装置。
【請求項7】
前記治具構成部材は、硬質の材料からなる治具構成部材本体と、液分を吸収する性質を有する材料からなっていて前記治具構成部材本体と前記セラミック成形体との間に介在させられたクッション材とからなっている請求項6に記載のセラミック成形体のマイクロ波乾燥装置。
【請求項8】
前記治具構成部材本体は、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリテトラフルオロエチレン、ガラスクロスからなる基材にシリコン樹脂を含浸させたシリコン樹脂積層板、ガラスクロスからなる基材に無機系バインダーを含浸させた無機系バインダー積層板、フッ素ゴム及びシリコンゴムからなる材料群から選択された1または2以上の材料からなっている請求項7に記載のセラミック成形体のマイクロ波乾燥装置。
【請求項9】
前記クッション材は、フェルト、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニリデンフルオライド及びポリテトラフルオロエチレンからなる材料群から選択された材料からなっている請求項7または8に記載のセラミック成形体のマイクロ波乾燥装置。
【請求項10】
軸線方向に延びるように設けられて相互間が隔壁により仕切られた多数の貫通孔を内部に有する焼成前の柱状セラミック成形体をマイクロ波により加熱して乾燥する際に前記セラミック成形体の外側面に当接して該成形体を支持するセラミック成形体乾燥用治具において、
3個以上の治具構成部材に分割されていて、前記セラミック成形体の収縮に伴って前記3個以上の治具構成部材が相対的に変位しつつ前記セラミック成形体に当接した状態を保持するように構成され、
前記治具構成部材は、硬質の材料からなる治具構成部材本体と、液分を吸収する性質を有する材料からなっていて前記治具構成部材本体と前記セラミック成形体との間に介在させられるクッション材とからなっていること、
を特徴とするセラミック成形体乾燥用治具。
【請求項11】
軸線方向に延びるように設けられて相互間が隔壁により仕切られた多数の貫通孔を内部に有する焼成前の四角柱状のセラミック成形体をマイクロ波により加熱して乾燥する際に前記セラミック成形体の外側面に当接して該成形体を支持するセラミック成形体乾燥用治具において、
第1ないし第3の治具構成部材からなり、
前記第1の治具構成部材は、90度の角度をなす2つの当接面を有する第1の治具構成部材本体と、前記第1の治具構成部材本体の2つの当接面に貼り付けられた第1のクッション材とを有して、該2つの当接面に第1のクッション材を介して前記セラミック成形体の隣り合う2つの外側面をそれぞれ当接させた状態で前記セラミック成形体を下方から支えるように構成され、
前記第2の治具構成部材は、板状の第2の治具構成部材本体と、前記第2の治具構成部材本体の一面に貼り付けられた第2のクッション材とを有して、前記第2の治具構成部材本体の一面が前記第2のクッション材を介して前記セラミック成形体の他の2つの外側面のうちの一方に当接させられるとともに前記第2の治具構成部材本体の幅方向の一端が前記第1の治具構成部材本体の2つの当接面のうちの一方にスライド自在に当接させられた状態で配置され、
前記第3の治具構成部材は、板状の第3の治具構成部材本体と、前記第3の治具構成部材本体の一面に貼り付けられた第3のクッション材とを有して、前記第3の治具構成部材本体の一面が前記第3のクッション材を介して前記セラミック成形体の他の2つの外側面のうちの他方に当接させられるとともに前記第3の治具構成部材本体の幅方向の一端が前記第1の治具構成部材本体の2つの当接面のうちの他方にスライド自在に当接させられた状態で配置され、
前記第2の治具構成部材本体の幅方向の他端及び第3の治具構成部材の幅方向の他端は、溝部とほぞとが緩く嵌合し合った組み接ぎ構造で、相互間に相対的な変位が許容された状態で緩く結合され、
前記各治具構成部材本体は硬質の材料からなり、
前記各クッション部材は液分を吸収する性質を有する材料からなっていること、
を特徴とするセラミック成形体乾燥用治具。
【請求項12】
軸線方向に延びるように設けられて相互間が隔壁により仕切られた多数の貫通孔を内部に有する焼成前の円柱状のセラミック成形体をマイクロ波により加熱して乾燥する際に前記セラミック成形体の外周面に当接して該成形体を支持するセラミック成形体乾燥用治具において、
硬質な材料により前記セラミック成形体の外周面に沿う円弧状の横断面形状を有するように形成されて、前記セラミック成形体を取り囲むように該セラミック成形体の周方向に間隔を開けて平行に並べて配置される3以上の短冊状の治具構成部材本体と、
柔軟性を有する材料からなっていて前記3以上の治具構成部材本体相互間の隙間を塞ぐように設けられたシートと、
液分を吸収する性質を有する材料からなっていて各治具構成部材本体とセラミック成形体の外周面との間に介在するように設けられたクッション材と、
前記セラミック成形体を取り囲むように配置された3以上の治具構成部材本体を外側から取り囲む状態で各治具構成部材本体に当接するように設けられて、前記3以上の治具構成部材本体のそれぞれを前記セラミック成形体の径方向の内側に付勢した状態で保持するループ状の弾性部材と、
前記治具構成部材本体がクッション材とともに外周に保持されたセラミック成形体を下方から支える支持台と、
を備えていること特徴とするセラミック成形体乾燥用治具。
【請求項13】
前記治具構成部材本体は、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリテトラフルオロエチレン、ガラスクロスからなる基材にシリコン樹脂を含浸させたシリコン樹脂積層板、ガラスクロスからなる基材に無機系バインダーを含浸させた無機系バインダー積層板、フッ素ゴム及びシリコンゴムからなる材料群から選択された1または2以上の材料からなっている請求項11または12に記載のセラミック成形体乾燥用治具。
【請求項14】
前記クッション材を構成する材料は、ポリエステル、フェルト、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニリデンフルオライド及びポリテトラフルオロエチレンからなる材料群から選択されている請求項11,12または13に記載のセラミック成形体乾燥用治具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−15142(P2007−15142A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−196576(P2005−196576)
【出願日】平成17年7月5日(2005.7.5)
【出願人】(000219004)島田理化工業株式会社 (205)
【Fターム(参考)】