説明

セラミック材料ならびにその製法及び使用

Al少なくとも35重量パーセント及び3マイクロメートル未満の平均セルサイズを有する複数のセルを含むセラミック材料及び物品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
アルミナと共に他の金属酸化物を含むセラミック材料は、当該技術分野において既知である。これらの材料は一般に、その破壊靱性及び強度特性を認められている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
研磨物品、切削工具及び切削工具インサートのための新規材料を包含する、比較的に高い破壊靱性及び強度特性を有する、新規でより大きな(即ち3ミリメートル以上)セラミック材料、加えてその製法に対する要望は継続して存在している。
【課題を解決するための手段】
【0003】
1つの態様では、本発明は、非晶質材料の全重量に対して少なくとも35重量パーセント(いくつかの実施形態では、少なくとも40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、又はさらに少なくとも90)のAl及びAl以外の金属酸化物(例えばY、REO、ZrO、TiO、CaO、Cr、MgO、NiO、CuO及びこれらの複合金属酸化物)を含む非晶質材料を提供し、非晶質材料は、非晶質材料の全重量に対して、As、B、Bi、GeO、P、SiO、TeO及びV(いくつかの実施形態では、アルカリ及びアルカリ土類金属酸化物も)を10重量パーセント以下(いくつかの実施形態では好ましくは、5、4、3、2、1未満又はさらに0)含有し、非晶質材料は、3マイクロメートル未満(いくつかの実施形態では、2、1、0.75未満、又はさらに0.5マイクロメートル未満)の平均セルサイズを有する複数のセルを有する。
【0004】
いくつかの実施形態では、非晶質材料は、それぞれ相互に垂直なx、y及びz寸法を有し、x及びy寸法はそれぞれ少なくとも5mm(いくつかの実施形態では、少なくとも6、7、8、9、又はさらに少なくとも10mm)である。任意に、いくつかの実施形態でのz寸法は、少なくとも5mm(いくつかの実施形態では、少なくとも6、7、8、9、又はさらに少なくとも10mm)である。
【0005】
材料のx、y及びz寸法は、寸法の規模に応じて、視覚的に、又は顕微鏡検査の使用のいずれかで決定する。報告されるx寸法は、例えば、球体の直径、コーティングの厚さ又はプリズム形状の最も長い長さである。
【0006】
1つの態様では、本発明は、非晶質材料の全重量に対して少なくとも35重量パーセント(いくつかの実施形態では、好ましくは少なくとも40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、又はさらに少なくとも90)のAl及びCaO又はZrOを含む非晶質材料を提供し、非晶質材料は、非晶質材料の全重量に対してAs、B、Bi、GeO、P、SiO、TeO及びVを10重量パーセント以下(いくつかの実施形態では好ましくは、5、4、3、2、1未満、又はさらに0)、非晶質材料が結晶化されると、その少なくとも一部が別個の結晶相を形成するAl、CaO及びZrO以外の金属酸化物を含有する。いくつかの実施形態では、非晶質材料は、それぞれ相互に垂直なx、y及びz寸法を有し、x、y及びz寸法はそれぞれ少なくとも3mm(いくつかの実施形態では、少なくとも6、7、8、9又は10mm)である。任意に、少なくとも一部の非晶質材料がガラスセラミックに変換されるように、非晶質材料を熱処理する。
【0007】
「別個の結晶相」は、他の別個の結晶相との固溶体で存在する相とは対照的に、X線回折により検出可能な結晶相である。例えば、Y又はCeOなどの酸化物は、結晶ZrOとの固溶体である場合があり、相安定剤として役立つことが周知である。このような場合のY又はCeOは、別個の結晶相ではない。
【0008】
いくつかの実施形態では、セラミック材料は、Tを有さない。他の実施形態では、セラミック材料はガラスである。
【0009】
いくつかの実施形態では、非晶質材料は、非晶質材料の全重量に対して、少なくとも10重量パーセント(いくつかの実施形態では、少なくとも15、20、25、30、又は35重量パーセント)のAl以外の金属酸化物(例えばY、REO、ZrO、TiO、CaO、Cr、MgO、NiO、CuO、及びこれらの複合金属酸化物)を含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、非晶質材料は、他の材料中に存在してもよい(例えば、本発明による非晶質材料を含む粒子、本発明による非晶質材料を含むセラミックなど)。任意に、少なくとも一部の非晶質材料がガラスセラミックに変換されるように、非晶質材料(ガラスを包含する)を熱処理する。
【0011】
1つの態様では、本発明は、ガラスの全重量に対して少なくとも35(いくつかの実施形態では、少なくとも40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、又はさらに少なくとも90)重量パーセントのAl及びAl以外の金属酸化物(例えばY、REO、ZrO、TiO、CaO、Cr、MgO、NiO、CuO、及びこれらの複合金属酸化物)を含むガラスを提供し、ガラスは、ガラスの全重量に対して、As、B、Bi、GeO、P、SiO、TeO及びVを10重量パーセント以下(いくつかの実施形態では好ましくは、5、4、3、2、1未満、又はさらに0)含有し、ガラスは、3マイクロメートル未満(いくつかの実施形態では、2、1、0.75未満、又はさらに0.5マイクロメートル未満)の平均セルサイズを有する複数のセルを有する。
【0012】
いくつかの実施形態では、ガラスは、それぞれ相互に垂直なx、y及びz寸法を有し、ここで、x及びy寸法はそれぞれ少なくとも5mm(いくつかの実施形態では、少なくとも6、7、8、9又はさらに少なくとも10mm)である。任意に、いくつかの実施形態でのz寸法は、少なくとも5mm(いくつかの実施形態では、少なくとも6、7、8、9又はさらに少なくとも10mm)である。
【0013】
他の態様では、本発明は、ガラスの全重量に対して少なくとも35重量パーセント(いくつかの実施形態では、少なくとも40、45、50、55、60、65、70、75、80、85又はさらに少なくとも90)のAl及びAl以外の金属酸化物(例えばY、REO、ZrO、TiO、CaO、Cr、MgO、NiO、CuO及びこれらの複合金属酸化物)を含むガラスセラミックを提供し、ここで、ガラスセラミックは、ガラスセラミックの全重量に対してAs、B、Bi、GeO、P、SiO、TeO及びVを合わせて10(いくつかの実施形態では好ましくは、5、4、3、2、1未満又はさらに0)重量パーセント以下含有し、ガラスは、3マイクロメートル未満(いくつかの実施形態では、2、1、0.75又はさらに0.5マイクロメートル)の平均セルサイズを有する複数のセルを有する。
【0014】
いくつかの実施形態では、ガラスセラミックは、それぞれ相互に垂直なx、y及びz寸法を有し、x及びy寸法はそれぞれ少なくとも5mm(いくつかの実施形態では、少なくとも6、7、8、9、又はさらに少なくとも10mm)である。任意に、いくつかの実施形態でのz寸法は、少なくとも5mm(いくつかの実施形態では、少なくとも6、7、8、9、又はさらに少なくとも10mm)である。
【0015】
他の態様では、本発明は、3マイクロメートル未満の平均セルサイズを有する複数のセルを含むガラスセラミックを提供し、ガラスセラミックは少なくとも15GPa(いくつかの実施形態では16、17、18、又はさらに19GPa)の硬度及び少なくとも400MPa(いくつかの実施形態では500又はさらに600MPa)の曲げ強度を有する。
【0016】
他の態様では、本発明は、物品の製法を提供し、この方法は、
3マイクロメートル未満(いくつかの実施形態では、2、1、0.75マイクロメートル未満、又はさらに0.5マイクロメートル未満)の平均粒子サイズを有する複数のガラス体を用意する工程であって、ガラス体は、ガラス体の全重量に対して少なくとも35重量パーセントのAl及びAl以外の金属酸化物を含み、ガラス体は、ガラス体の全重量に対してAs、B、Bi、GeO、P、SiO、TeO及びVを10重量パーセント以下含有し、ガラス体はT及びTを有し、ガラス体のTとTとの差異は少なくとも5Kである工程と、
ガラス体をTより高く加熱し、複数のガラス体の少なくとも一部を融合させて、物品を用意する工程を含む。
【0017】
任意に、物品の少なくとも一部が、ガラスセラミックに変換されるように、物品を熱処理する。いくつかの実施形態では、複数の前駆ガラス体を粉砕してガラス体を形成することにより、ガラス体を3マイクロメートルのサイズに低減する。いくつかの実施形態では、Tgを超えるガラス体の加熱及び複合体の熱処理を1つの工程で達成する。
【0018】
本発明のセラミックは、例えば、コーティング、研磨物品、切削工具及び切削工具インサート並びに他の物品を包含する様々な用途で使用することができる。コーティングは、例えば、摩耗を伴う用途での保護コーティングとして、加えて熱管理のために有用でありうる。本発明による物品の例には、医療用装置(インプラント、歯科用ブラケットなど)、強化用繊維、工具、及び構造部材(例えばバルブ及びベアリング)が包含される。
【0019】
この用途では、
「非晶質材料」は、X線回折により決定されるようないかなる長い範囲の結晶構造をも欠き、及び/又は「示差熱分析」と題された本明細書に記載の試験により決定されるDTA(示差熱分析)により決定される非晶質材料の結晶化に対応する発熱ピークを有する、溶融物及び/又は気相に由来する材料を指している。
【0020】
「セル」は、セラミック材料が結晶化された場合に、少なくとも2個の別個の結晶相を形成するセラミック材料の最小構造単位を指している。非晶質材料では、セルは本質的に、組成において均一であり、ミクロ構造形態(例えば結晶粒界)を本質的に含まない。本発明の内容においては、個々のセルは一般に、個々の体(例えば粒子、ガラス体など)に対応しており、複数の他の体と融合して、より大きな固結セラミック材料を形成する。セルのサイズは、当該技術分野において既知である金属組織学及び顕微鏡法(例えばSEM、TEM)を使用して決定することができる。
【0021】
「セラミック」としては、ガラス、結晶セラミック、ガラスセラミック、及びこれらの組合せが挙げられる。
【0022】
「複合金属酸化物」は、2種以上の異なる金属元素及び酸素を含む金属酸化物(例えばCeAl1118、DyAl12、MgAl、及びYAl12)を指している。
【0023】
「複合Al・金属酸化物」は、理論酸化物ベースで、Al及びAl以外の1つ以上の金属元素を含む複合金属酸化物(例えばCeAl1118、DyAl12、MgAl、及びYAl12)を指している。
【0024】
「複合Al・Y」は、理論酸化物ベースで、Al及びYを含む複合金属酸化物(例えばYAl12)を指している。
【0025】
「複合Al・REO」は、理論酸化物ベースで、Al及び希土類酸化物を含む複合金属酸化物(例えばCeAl1118及びDyAl12)を指している。
「ガラス」は、ガラス転位温度を示す非晶質材料を指している。
【0026】
「ガラスセラミック」は、ガラスを熱処理することにより形成される結晶を含むセラミックを指している。
【0027】
「T」は、「示差熱分析」と題された本明細書に記載の試験により決定されるガラス転位温度を指している。
【0028】
「T」は、「示差熱分析」と題された本明細書に記載の試験により決定される結晶化温度を指している。
【0029】
「希土類酸化物」は、酸化セリウム(例えばCeO)、酸化ジスプロシウム(例えばDy)、酸化エルビウム(例えばEr)、酸化ユーロピウム(例えばEu)、酸化ガドリニウム(例えばGd)、酸化ホルミウム(例えばHo)、酸化ランタン(例えばLa)、酸化ルテチウム(例えばLu)、酸化ネオジム(例えばNd)、酸化プラセオジム(例えばPr11)、酸化サマリウム(例えばSm)、酸化テルビウム(例えばTb)、酸化トリウム(例えばTh)、酸化ツリウム(例えばTm)、及び酸化イッテルビウム(例えばYb)、並びにこれらの組合せを指している。
【0030】
「REO」は、希土類酸化物を指している。
【0031】
さらに、例えばガラスセラミックにおいて金属酸化物(例えばAl、複合Al・金属酸化物など)が結晶であることが述べられていない限り、これは、ガラス、結晶、又は一部ガラス及び一部結晶であってもよいことが本明細書において理解される。例えば、ガラスセラミックが、Al及びZrOを含む場合、Al及びZrOはそれぞれ、ガラス状態、結晶状態、又は一部はガラス状態及び一部は結晶状態であってもよく、或いはさらに、他の金属酸化物との反応生成物としてであってもよい(例えばAlが結晶Al又はAlの特殊な結晶相(例えばアルファAl)として存在していることが述べられていない限り、これは、結晶Al及び/又は1つ以上の結晶複合体Al・金属酸化物として存在してもよい)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
本発明は、例えば、研磨物品(例えばホイール及びホーニングスティック)及び切削工具を包含する様々な用途で使用するためのセラミック材料及びセラミックスの製法に関する。セラミック材料は、必要な原材料及び加工技術を選択することにより調製することができる。
【0033】
金属酸化物の商業的供給源を包含する供給源には、酸化物自体、金属粉末、複合酸化物、鉱石、炭酸塩、酢酸塩、硝酸塩、塩化物、水酸化物などが包含される。
【0034】
例えば、(理論的酸化物ベースで)Alの商業的供給源を包含する供給源としては、ボーキサイト(天然に生じるボーキサイト及び合成製造されたボーキサイトの両方を包含する)、か焼ボーキサイト、水和アルミナ(例えばベーマイト、及びギブサイト)、アルミニウム、バイヤー法アルミナ、アルミニウム鉱石、ガンマアルミナ、アルファアルミナ、アルミニウム塩、硝酸アルミニウム、及びこれらの組合せなどが挙げられる。Al供給源は、Alを含有するか、それのみを提供すればよい。Al供給源は、Al、並びに1つ以上のAl以外の金属酸化物を含有、又は提供すればよい(複合Al・金属酸化物(例えばDyAl12、YAl12、CeAl1118など)であるか、それを含有する材料を包含する)。
【0035】
希土類酸化物の商業的供給源を包含する供給源としては、希土類酸化物粉末、希土類金属、希土類含有鉱石(例えばバストネサイト及びモナザイト)、希土類塩、希土類硝酸塩、及び希土類炭酸塩などが挙げられる。希土類酸化物供給源は希土類酸化物を含有するか、それのみを提供すればよい。希土類酸化物供給源は、希土類酸化物、並びに1つ以上の希土類酸化物以外の金属酸化物を含有、又は提供すればよい(複合希土類酸化物・他の金属酸化物(例えばDyAl12、CeAl1118など)であるか、それを含有する材料を包含する)。
【0036】
(理論的酸化物ベースで)Yの商業的供給源を包含する供給源としては、酸化イットリウム粉末、イットリウム、イットリウム含有鉱石、及びイットリウム塩(例えば炭酸イットリウム、硝酸イットリウム、塩化イットリウム、水酸化イットリウム、及びこれらの組合せ)などが挙げられる。Y供給源は、Yを含有するか、それのみを提供すればよい。Y供給源は、Y、並びに1つ以上のY以外の金属酸化物を含有又は提供すればよい(複合Y・金属酸化物(例えばYAl12)であるか、それを含有する材料を包含する)。
【0037】
ZrO及びHfOを含む実施形態では、ZrO:HfOの重量比は、1:0(即ち全てZrO、HfOなし)〜0:1の範囲であってよく、さらに、例えば、ZrO少なくとも約99、98、97、96、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、及び5重量部、及び対応する量のHfO(例えばZrO少なくとも約99重量部、及びHfO約1部以下)並びにHfO少なくとも約99、98、97、96、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、及び5部、並びに対応する量のZrOであってよい。
【0038】
(理論的酸化物ベースで)ZrOの商業的供給源を包含する供給源としては、酸化ジルコニウム粉末、ジルコン砂、ジルコニウム、ジルコニウム含有鉱石、及びジルコニウム塩(例えば炭酸ジルコニウム、酢酸ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、塩化ジルコニウム、水酸化ジルコニウム、及びこれらの組合せ)などが挙げられる。加えて、或いは、ZrO供給源は、ZrO、並びにハフニアなどの他の金属酸化物を含有又は提供してもよい。(理論的酸化物ベースで)HfOの商業的供給源を包含する供給源としては、酸化ハフニウム粉末、ハフニウム、ハフニウム含有鉱石、及びハフニウム塩などが挙げられる。加えて、或いは、HfO供給源は、HfO、並びにZrOなどの他の金属酸化物を含有又は提供してもよい。
【0039】
いくつかの実施形態では、少なくとも一部の金属酸化物供給源(いくつかの実施形態では、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、又はさらに100重量パーセント)を、酸化物形成のマイナスエンタルピーを有する少なくとも1つの金属(例えばAl、Ca、Cu、Cr、Fe、Li、Mg、Ni、Ag、Ti、Zr、及びこれらの組合せ)を含む粒子、金属材料M又はそれらの合金を溶融物に加えるか、さもなければ、これらを他の原材料と混合することにより得ることが有利であり得る。理論に束縛されることは望まないが、金属の酸化に随伴する発熱反応から生じる熱は、均一な溶融物及び生じるガラスの形成に有用であると考えられる。例えば、原材料内での酸化反応により生成されたさらなる熱は、不十分な熱伝達を排除、最小化、又は少なくとも減少させて、溶融物の形成及び均一性を促すと考えられる。さらなる熱の利用可能性は、様々な化学反応及び物理的処理(例えば、緻密化及び球状化)を完了するまで推し進めるのを促進するとも考えられる。さらに、いくつかの実施形態では、酸化反応により生成されたさらなる熱の存在によって、そうでなければ材料の高い融点のために困難又は実施できない溶融物の形成を実際に可能にすると考えられる。さらに、酸化反応により生成されたさらなる熱の存在によって、そうでなければ製造できないか、又は所望のサイズ範囲で製造できないであろうガラスの形成を実際に可能にする。本発明の他の利点には、ガラスの形成では、溶融、緻密化及び球状化のような多くの化学及び物理処理を短時間で達成することができるので、非常に高い急冷速度が達成され得ることが包含される。さらなる詳細については、2003年6月16日公開の米国特許出願公開第2003−0110709A1号を参照。
【0040】
いくつかの実施形態では、例えば、原材料を独立して供給して、溶融混合物を形成する。いくつかの実施形態では、例えば、ある種の原材料を一緒に混合し、他の原材料は独立して溶融混合物に添加する。いくつかの実施形態では、例えば、原材料を、溶融前に組み合わせ、又は混合する。原材料を、例えば、実質的に均一な混合物を形成するために、いずれかの好適及び公知の方法で組み合わせてもよい。これらの組み合わせ技術としては、ボール粉砕、混合、タンブリングなどが挙げられる。ボールミルにおける粉砕媒体は、金属ボール、セラミックボールなどであってよい。セラミック粉砕媒体は、例えば、アルミナ、ジルコニア、シリカ、マグネシアなどであってよい。ボール粉砕は、乾式、水性環境、又は溶媒ベース(例えば、イソプロピルアルコール)の環境で起こってよい。原材料バッチが金属粉末を含有する場合には、粉砕の間に溶媒を用いることが一般に望ましい。この溶媒は、適当な引火点及び原材料を分散できる能力を備えたいずれかの好適な材料であってよい。粉砕時間は、数分から数日、一般に数時間から24時間であってよい。湿式又は溶媒ベースの粉砕系では、液体媒体を、典型的には乾燥により除去するので、得られる混合物は、典型的には均一で、実質的に水及び/又は溶媒を持たない。溶媒ベースの粉砕系を用いる場合には、乾燥の間に、溶媒回収システムを用いて溶媒を再利用することがある。乾燥の後、生じた混合物は「乾燥ケーク(dried cake)」の形態であってもよい。次いで、このケーク状混合物を、溶融前に所望の粒子サイズまで壊すか砕いてよい。或いは、例えば、スプレー乾燥技術を用いてもよい。後者は、典型的には、所望の混合物の球状微粒子をもたらす。前駆体材料を、沈殿及びゾル−ゲルを包含する湿式化学方法により調製してもよい。このような方法は、特に高レベルの均一性が望まれる場合に有用である。
【0041】
微粒子原材料は、典型的に、均一な溶融物の形成を迅速に達成することができるような粒子サイズを有するように選択される。典型的に、比較的小さな平均粒子サイズ及び狭い分布を有する原材料をこのために用いる。いくつかの方法(例えば、火炎形成及びプラズマスプレー)では、特に望ましい微粒子原材料は、約5nm〜約50マイクロメートル(いくつかの実施形態では、約10nm〜約20マイクロメートル、さらに約15nm〜約1マイクロメートル)の平均粒子サイズを有するものであるが、このサイズ及び範囲外のサイズも有用であることがある。サイズが約5nm未満の微粒子は、取扱いが難しい傾向がある(例えば、供給粒子が乏しいフロー特性を有する傾向があるため、供給粒子のフロー特性は、望ましくない傾向がある)。典型的な火炎形成又はプラズマスプレープロセスにおいて約50マイクロメートルより大きな微粒子を用いると、均一な溶融物と、ガラス及び/又は所望の組成物を得ることがさらに難しくなる傾向がある。
【0042】
さらに、場合によっては、例えば、溶融物を形成するために、微粒子材料を火炎又は熱又はプラズマスプレー装置に供給する場合に、微粒子原材料を、凝集形態を包含する粒子サイズの範囲で提供することが望ましいことがある。
【0043】
ガラスを包含する非晶質材料は、例えば、適当な金属酸化物供給源を加熱(火炎又はプラズマに包含)して、溶融物、望ましくは均一な溶融物を形成し、次いで、溶融物を迅速に冷却して非晶質材料を提供することにより製造することができる。非晶質材料のいくつかの実施形態は、例えば、いずれかの好適な炉(例えば、誘導若しくは抵抗加熱炉、ガス燃焼炉、又は電気アーク炉)において金属酸化物供給源を溶融することにより製造することができる。
【0044】
非晶質材料は、典型的に、溶融材料(即ち、溶融物)を比較的迅速に冷却することにより得られる。非晶質材料を得るための急冷速度(即ち、冷却時間)は、溶融物の化学組成、構成成分の非晶質材料形成能力、溶融物及び得られる非晶質材料の熱特性、加工技術、得られる非晶質材料の寸法及び質量、並びに冷却技術を包含する多くの因子に左右される。広くは、As、Bi、B、GeO、P、SiO、TeO、V、アルカリ酸化物及びアルカリ土類酸化物などの公知のガラス形成剤の不在下に、大量のAlを含む非晶質材料を形成するためには、比較的早い急冷速度が必要とされる。同様に、より大きな寸法の非晶質材料へと溶融物を冷却することはより難しく、これは熱を十分に早く除去することがより難しいからである。
【0045】
本発明のいくつかの実施形態では、原材料を特定の形態の溶融状態へと加熱した後、ガラス粒子へと冷却する。典型的には、粒子は、25マイクロメートルを超える粒子サイズを有する(いくつかの実施形態では、50、100、150、又はさらに200マイクロメートルを超える)。
【0046】
本発明の方法による非晶質材料の製造において達成される急冷速度は、10、10、10、10又はさらに10℃/秒を超えると考えられる(即ち、溶融状態から1000℃の温度降下がそれぞれ、10秒未満、1秒未満、10分の1秒未満、100分の1秒未満又はさらに1000分の1秒未満)。溶融物を冷却する技術は、溶融物を冷却媒体を(例えば、高速エアジェット、液体(例えば冷水)、金属板(冷却金属板を包含)、金属ロール(冷却金属ロールを包含)、金属ボール(冷却金属ボールを包含)など)へ放出することを包含する。当該技術分野において既知である他の冷却技術としては、ロール冷却が挙げられる。ロール冷却は、例えば、融点より典型的には20℃〜200℃高い温度で金属酸化物供給源を溶融し、高圧下で(例えば空気、アルゴン、窒素などのガスを用いて)高速回転ロールにスプレーすることにより溶融物を冷却/急冷することにより実施することができる。典型的には、ロールは金属製であり、水冷される。溶融物を冷却/急冷するために、金属ブック金型も有用であってもよい。
【0047】
冷却速度は、急冷非晶質材料の特性に影響を及ぼすと考えられる。例えば、ガラスのガラス転移温度、密度及びその他の特性が、典型的に冷却速度によって変化する。
【0048】
冷却の間に所望の酸化状態を維持し、及び/又はそれに影響を与える還元、中和又は酸化環境のような制御された雰囲気下で、また、迅速な冷却を実施することがあってもよい。雰囲気は、また、過冷却液体からの結晶化動態に影響することにより、ガラス形成に影響を及ぼすこともできる。例えば、空気中においてと比較して、アルゴン雰囲気中では、結晶化のないAl溶融物のより多大な過冷却が報告されている。
【0049】
1つの方法では、非晶質材料を、例えば、米国特許第6254981号(キャッスル(Castle))に報告されている炎融を利用して製造することができる。この方法では、金属酸化物供給源を(例えば、時に「供給粒子(feed particles)」とも称される粒子の形態で)バーナー(例えば、メタン・エアバーナー、アセチレン・酸素バーナー、水素・酸素バーナーなど)に直接供給し、次いで、例えば、水、冷却油、空気などで急冷する。供給粒子は、例えば、金属酸化物供給源を研削、凝集(例えば、噴霧乾燥)、溶融又は焼結することにより形成することができる。火炎に供給される供給粒子のサイズが、一般に、得られる非晶質粒子のサイズを決定する。
【0050】
ガラスのいくつかの実施形態は、自由落下冷却によるレーザースピニング溶融、テイラーワイヤ(Taylor wire)技術、プラズマトロン技術、金づち及び金床技術、遠心急冷、エアガンスプラット(air gun splat)冷却、シングルローラ及びツインローラ急冷、ローラプレート(roller-plate)急冷及びペンダントドロップ溶融抽出(例えば、セラミックの急速な固体化(Rapid Solidification of Ceramics)、ブロックウエイ(Brockway)ら、金属及びセラミック情報センター(Metals And Ceramics Information Center)、国防総省情報解析センター(A Department of Defense Information Analysis Center)、オハイオ州コロンブス(Columbus,OH)、1984年1月参照)などのその他の技術によって得ることもできる。ガラスのいくつかの実施形態は、好適な前駆体の熱(火炎又はレーザー又はプラズマ補助(plasma-assisted)を包含する)分解、金属前駆体の物理蒸気合成(PVS)及び機械化学加工など他の技術により得ることもできる。溶融物を形成、冷却/急冷、及び/又はその他のガラスを形成する他の技術としては、溶融抽出及びガス又は遠心噴霧化が挙げられる。
【0051】
ガス噴霧化は、供給粒子を加熱して、それらを溶融物に変換することを必要とする。このような溶融物の薄いストリームを、破裂エアジェットと接触させて噴霧化する(即ち、ストリームを微細な液滴に分割する)。次いで、得られる実質的に不連続で、一般に楕円形のガラス粒子(例えば、ビーズ)を回収する。ビーズサイズの例には、約5マイクロメートルから約3mmの範囲の直径を有するものが包含される。溶融抽出は、例えば、米国特許第5605870号(ストームオルセン(Strom-Olsen)ら)に報告されているように実施することができる。例えば、米国特許番号第6482758号(ウエーバー(Weber))に報告されているように、レーザービーム加熱を利用する容器を使わないガラス形成技術も、本発明で有用なガラスを製造する際に有用であることがある。
【0052】
代表的な粉末フィーダ装置を図1〜図6に示す。粉末フィーダアセンブリ1000は、粉末1110を保持し、火炎溶融装置1500に輸送する。火炎溶融装置1500は、粉末1110を溶融し、本明細書に開示されているような他の材料へと変形するために受容する粉末受容セクション1510を包含する。粉末1110は、粉末フィーダアセンブリ1000の放出開口部1130を介して粉末受容セクション1510へ輸送される。接続管1900を、放出開口部1130と粉末受容セクション1510との間に配置する。また、漏斗1300を粉末1100が放出開口部1130を離れた後の流れを受容し、方向付けるため、放出開口部1130に近接して配置する。
【0053】
粉末フィーダアセンブリ1000は、粉末1110を保持するホッパー1100を包含する。典型的に、ホッパー1100は、円筒壁により画定される本体1120を含むが、他のボディ形状も可能である。また、ホッパー1100は、単体ピース又は多数ピースから作製することができる。例示的実施形態におけるホッパー1100はまた、カバーセクション1200も包含する。カバーセクション1200は、粉末1110をホッパー1100に供給する開口部1710を含む。スクリューフィーダ、振動フィーダ、又はブラシフィーダのようなあらゆる市販の輸送手段を、ホッパー1100に粉末1110を充填するために用いることができる。カバーセクション1200はまた、シャフト受容開口部1422を有するセクションを包含ことができる(図6に例示する通り)。
【0054】
ブラシアセンブリ1400を、ホッパー1100本体1120内に配置する。ブラシアセンブリ1400は、モータ1800のようなブラシアセンブリ1400を回転する手段に接続されている。モータ1800はまた、モータ速度コントローラ1850のような、モータ1800の速度を調節する手段に接続することもできる。ブラシアセンブリは、ナイロンストリップブラシ(例えば、マックマスターカー(McMaster-Carr)、シカゴ、イリノイ州(Chicago,IL)から入手可能な、全体の高さ2.5cm(1インチ)、剛毛の長さ0.8cm(5/16インチ)及び直径5ミリメートル(0.02インチ)、部品番号74715T61)を使用できる。ブラシアセンブリをシャフトに結合し、そしてDCギアメーター(130ボルト、比率60:1、トルク2.5N.m(22lb.in.)(例えば、ボディーン電気会社(Bodine Electric Company)、シカゴ、イリノイ州(Chicago,IL))より入手可能)に結合し、これにより駆動する。調節可能なモーターコントロール(例えば、これもボディーン(Bodine)から入手可能なType−FPMスピード調整PMモーターコントロール(a Type-FPM Adjustable Speed PM Motor Control)、モデル番号818)を使用して、モータの速度を制御することができる。
【0055】
ブラシアセンブリ1400は、遠端1411と近接端1412とを有する剛毛要素1410を包含する。粉末1110を、火炎溶融装置1500に輸送するためにホッパー1100に配置し、ブラシアセンブリ1400をホッパー1100内で回転させる。ブラシアセンブリ1400を回転させると、剛毛要素1410が、ホッパー1100内の粉末1110のスクリーニング部材1600への通過を促す。ブラシアセンブリ1400の回転速度を調節することにより、スクリーニング部材1600を通る粉末1100の供給速度を制御することができる。
【0056】
ブラシアセンブリ1400は、スクリーニング部材1600と協働して、放出開口部1130から火炎溶融装置1500の粉末受容セクション1510へと、所望の特性を有する粉末1110を輸送する。剛毛1410の遠端1411は、スクリーニング部材1600にごく近接して配置される。剛毛1410の遠端1411とスクリーニング部材1600との間の小さな間隙を用いることができ、粉末の粒子サイズと同じ規模に間隙を保持するのが典型的であるが、当業者であれば、扱う粉末の特定の特性に応じて間隙をこれより大きくすることができることが分かるであろう。剛毛1410の遠端1411をまた、スクリーニング部材1600と同一平面に配置したり、スクリーニング部材1600のメッシュ開口部1610へ突出させ、メッシュ開口部1610を通して延在するように配置することもできる。開口部1610を通って突出する剛毛1410については、剛毛1410の少なくとも一部がメッシュサイズより小さな直径を有する必要がある。剛毛要素1410は、異なる直径及び長さの剛毛の組み合わせを包含することができ、いずれの組み合わせも、所望の操作条件に左右される。
【0057】
剛毛1400端部1411の開口部1610への、及び開口部1610を通る延在は、剛毛1410が、開口部1610を横切るブリッジを形成するいかなる粒子も分解することを可能にする。剛毛1410はまた、粉末供給に典型的に生じ得る他の種類のかたまりを分解する傾向がある。剛毛要素1410は、単体ピースであったり、複数の剛毛セグメントから形成することもできる。また、剛毛要素がメッシュ開口部へ、及び/又はメッシュ開口部を通して延在するのが望ましい場合には、選択される剛毛1410サイズは、最小のメッシュ開口部1610より小さい必要がある。
【0058】
例示した代表的な実施形態において、図3を参照すると、ホッパー1100は円筒本体1120を画定する壁を包含することができる。この形状は、放出開口部1130からの粉末のより制御されたフロー速度を可能にする対称性を都合よく提供する。また、円筒形は、回転ブラシアセンブリ1400に用いるのによく適しており、剛毛要素1410は壁に延在でき、粉末を堆積できる領域をスクリーニング部材にほとんど、又は全く残さないためである。しかしながら、使用指示の特定の条件であるとして、他の幾何形状も可能である。
【0059】
ホッパー1100はまた、カバーセクション1200を包含する。カバーセクション1200は、粉末1110をホッパーフィーダアセンブリ1700から受容する開口部1710を有する。カバーセクション1200は、本体1120と協働して、粉末チャンバ1160を形成する。カバー1200の開口部1710はまた、省略することも又は密閉可能であることもでき、雰囲気を中和し、或いは粉末又は粒子を火炎溶融装置に輸送するのを補助するために、窒素、アルゴン、又はヘリウムなどのガスをホッパー1100のガス入力ライン1150へ入れることができる。また、システム内に粉末又は粒子を囲む雰囲気を制御するためにガスを用いることができる。また、ガス入力ライン1910は、例えば、接続管1900上の放出開口部1130の後に配置することができる。
【0060】
粉末の移動をさらに補助するために、全体の粉末フィーダアセンブリ1000を振動させることができる。粉末フィーダアセンブリ1000を通る粉末の移動を補助するために、任意に、スクリーニング部材を振動させることができる。当業者であれば、他の可能な振動手段を用いることができ、特定の使用条件に応じて利用可能である豊富な市販の振動システム及び装置があることが分かるであろう。
【0061】
図1〜6を参照すると、ホッパー1100がカバー1200及び本体1120を包含するときは、取り外し可能なカバー1200が、スクリーニング部材1600をクリーニング又は交換するのに粉末チャンバ1160に容易にアクセスすることを可能にする。また、ブラシアセンブリ1400を、剛毛要素1410とスクリーニング部材1600との間の所望の係合を形成するために配置することができる。ブラシアセンブリ1400を回転シャフト1420に取り付けると、シャフト1420が、例えば、モータ1800により駆動されるカバー1200の開口部1422の外側に突出できる。ブラシアセンブリ1400の速度は、速度コントローラ1850などの手段により制御することができる。この代表的な粉末供給装置に関する更なる詳細は、2005年6月23日公開の米国特許出願公開第2005−0133974A1号に見ることができる。
【0062】
ある種の金属酸化物を加えると追加が、本発明で利用されるセラミックの特性及び/又は結晶構造或いは微細構造、並びにセラミックを製造する際の原材料及び中間体の加工を変化させることがある。例えば、MgO、CaO、LiO及びNaOなどの酸化物添加で、ガラスのT及びT(Tは結晶化温度である)の両方が変化することが観察されている。理論に結びつけられることは望まないが、このような添加はガラス形成に影響すると考えられる。さらに例えば、このような酸化物添加は、系全体の融点を低下し(即ち、系を低融点共晶へと促し)、ガラスの形成を容易にすることがある。多成分系(四元など)での錯体共晶に基づく組成物は、より良好なガラス形成能力を有することがある。その動作範囲での液体溶融物の粘度及びガラスの粘度も、特別に必要とされる酸化物以外の金属酸化物の添加に影響され得る。
【0063】
ガラス及びガラスセラミックを形成するためのガラスを含むセラミックの結晶化も、材料の添加に影響され得る。例えば、ある種の金属、金属酸化物(例えば、チタン酸塩及びジルコン酸塩)及びフッ化物は、核形成剤として作用し得て、結晶の有益な不均一核形成をもたらす。また、ある種の酸化物を添加が、準安定相の性質を変化させ再加熱の際にガラスから失透させる可能性がある。他の態様では、結晶ZrOを含む本発明によるセラミックに関して、ZrOの正方晶/立方体を安定化させることが知られている金属酸化物(例えば、Y、TiO、CeO、CaO、及びMgO)を添加するのが望ましいことがある。
【0064】
本発明で利用されるセラミックを製造するための金属酸化物供給源及び他の添加剤の特定の選択は、典型的には、例えば、所望の組成、微細構造、結晶度、物理的特性(例えば、硬さ又は靭性)、望ましくない不純物の存在、外観(例えば、着色)及びセラミックを調製するために使用される特定のプロセスの所望又は必要な特徴(装置並びに溶融及び/又は固化前及び/又はそれらの間の原材料のあらゆる精製を包含する)を考慮する。
【0065】
場合によっては、B、Bi、NaO、P、SiO、TeO、V、アルカリ金属酸化物及びアルカリ土類酸化物並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される限られた量の金属酸化物を導入することが好ましいことがある。商業的供給源を包含する供給源としては、酸化物自体、錯体酸化物、元素(例えば、Si)粉末、鉱石、炭酸塩、酢酸塩、硝酸塩、塩化物、水酸化物などが挙げられる。例えば、生じるガラスセラミックの物理特性を変更し、及び/又は加工を改善するために、これらの金属酸化物を添加してもよい。これらの金属酸化物は、使用する場合には典型的に、例えば所望の特性に応じて、合わせてガラスセラミックの0重量%超〜10重量%(いくつかの実施形態では、合わせて0重量%超〜5重量%、さらに合わせて0重量%超〜2重量%)で添加される。
【0066】
有用な処方としては、共晶組成物(例えば、三元共晶組成物)、又はそれに近いものが挙げられる。本明細書に開示された組成物に加えて、四元及び他の高次共晶組成物を包含する他のこのような組成物は、本開示を見れば当業者には明白であろう。
【0067】
材料の微細構造又は相組成(ガラス状/結晶質)は、光学顕微鏡、電子顕微鏡、示差熱分析(DTA)、及びX線回折(XRD)を包含する数多くの方法で決定することができる。
光学顕微鏡を使用すると、非晶質材料は典型的には、結晶境界などの光散乱中心を欠くので、大部分が透明である一方で、結晶材料は結晶構造を示し、光散乱効果により不透明である。
【0068】
パーセント非晶質(又はガラス)の収率は、粒子(例えば、ビーズ)などについて、−100+120メッシュサイズフラクション(即ち、150マイクロメートル開口部サイズと125マイクロメートル開口部サイズスクリーンの間で集められたフラクション)を用いて計算することができる。測定は次の方法で行う。粒子、ビーズなどの単層をガラススライド上に広げる。粒子、ビーズなどを、光学顕微鏡を用いて観察する。光学顕微鏡の接眼レンズの十字をガイドとして用いて、直線に沿って並んだ粒子、ビーズなどをその光学透明性(透明である場合は非晶質)に応じて非晶質か結晶かで数える。典型的には合計で500個の粒子、ビーズなどを数えるが、これより少ない粒子、ビーズなどを使用してもよく、数えられた粒子、ビーズなどの合計により除算した非晶質粒子、ビーズなどの量により、パーセント非晶質収率を決定する。非晶質(又はガラス)を製造するための方法実施形態は、少なくとも50、60、70、75、80、85、90、95、又はさらに100パーセントの収率を有しうる。
【0069】
全ての粒子が非晶質(又はガラス)であることが望ましく、得られた収率が100%未満である場合には、非晶質(又はガラス)粒子を非晶質でない(又は非ガラス)粒子から分離することがある。このような分離は、例えば、密度及び光学透明性に基づく分離を包含するあらゆる従来の技術により行うことができ得る。
【0070】
DTAを使用して、材料の対応するDTAトレースが発熱結晶イベント(T)を含む場合には、材料を非晶質として分類する。Tより低い温度で、同じトレースが吸熱イベント(T)も含有する場合には、ガラス相からなると考える。材料のDTAトレースがこのようなイベントを含有していない場合には、結晶相を含有すると考える。
【0071】
示差熱分析(DTA)は、以下の方法を使用して行うことができる。DTAランは、−140+170メッシュサイズフラクション(即ち、105マイクロメートル開口部サイズ及び90マイクロメートル開口部サイズスクリーン間で集められたフラクション)を使用して行うことができる(ネッチ機器(Netzsch Instruments)、ドイツ、セルブ(Selb,Germany)から「NETZSCH・STA・409・DTA/TGA」の商品名で得られる計器などの計器を使用して)。スクリーニングされる各試料の量(典型的には、約400ミリグラム(mg))を100マイクロリットルのAl試料ホルダに入れる。各試料を静止空気中、10℃/分の速度で室温(約25℃)から1100℃まで加熱する。
【0072】
粉末X線回折XRDを使用して(フィリップス(Phillips)、モーウォー、ニュージャージー州(Mahwah,NJ)から「PHILLIPS・XRG3100」の商品名で得られるようなX線回折装置を用いて、1.54050オングストロームの銅Kα1放射線で)、結晶化材料のXRDトレースに存在するピークを、回折データ国際センター(International Center for Diffraction Data)が公表しているJCPDS(Joint Committee on Powder Diffraction Standards)データベース提供されている結晶相のXRDパターンと比べることにより、材料に存在する相を決定することができる。さらに、XRDを定性的に使用して、相の種類を決定することができる。広い拡散強度ピークの存在は、材料の非晶質性の表示と見なされる。広いピークと明確なピークの両方の存在は、ガラスマトリックス内に結晶物質が存在することの表示と見なされる。
【0073】
いくつかの実施形態では、非晶質粒子サイズは、後続の加工(例えば融合)に関して選択される。融合が起こるいくつかの実施形態では、3マイクロメートル未満(いくつかの実施形態では2、1、0.75未満、又はさらに0.5マイクロメートル未満)の平均セルサイズを有するバルク非晶質材料を製造するために、非晶質材料は、3マイクロメートル未満(いくつかの実施形態では2、1、0.75未満、又はさらに0.5マイクロメートル未満)の平均粒子サイズを有する。理論に束縛されることは望まないが、セルサイズが小さいほど、固結セラミックに関して改善された機械的特性(例えば高い強度及び高い硬度)がもたらされると考えられる。
【0074】
初めに形成されるセラミック体(結晶化前のガラスを包含する)は、所望のものよりサイズが大きくてもよい。例えば、ガラスを含むセラミック粒子がより小さいサイズの粒子であることが望ましいことがある。ガラスが所望の幾何形状及び/又はサイズである場合には、サイズ縮小は典型的には必要ない。ロールクラッシュ、ジョークラッシュ、ハンマーミル、ボールミル、ジェットミル、インパクトクラッシュなどを包含する当該技術分野において既知である破砕及び/又は微粉砕技術を用いて、ガラス又はセラミックをより小さな片へと変換することができる。いくつかの実施形態では、所望のサイズ特性を有する材料のフラクションのみをさらなる加工のために選択するような当業者に知られている方法を使用して、ガラス又はセラミックを分類することができる。
【0075】
いくつかの実施形態では、初めに形成されるセラミック(結晶化前のガラスを包含する)が、所望の平均粒子サイズ(例えば3マイクロメートル未満)で形成されてもよい。より小さい粒子サイズを形成するために、スプレー熱分解、プラズマ処理及び蒸気からの凝縮を使用することができる。
【0076】
本発明では、初めに形成されるセラミック粒子を固結させることにより、より大きな寸法(例えば、1mmを超える)を有する非晶質体を調製することができる。いくつかの実施形態では、例えば、ガラス転位温度を上回る温度でガラスを固結(即ち融合)させることを介して、物品を製造することができる。この融合工程は、基本的に、2つ以上の小さな粒子からより大きなサイズの体を形成する。例えば、発熱(T)より低い温度での吸熱(T)の存在により明らかなように、ガラスは、著しい結晶化が生じる(T)前にガラス転移(T)する。融合のために使用される温度及び圧力は、例えば、ガラスの組成及び得られる材料の所望の密度に左右され得る。温度は、ガラス転移温度より高くなければならない。ある実施形態では、加熱を、約800℃〜約1200℃の範囲(いくつかの実施形態では800℃〜1000℃、850℃から1100℃、又はさらに900℃〜1000℃)の少なくとも1つの温度で行う。
【0077】
典型的に、融合の間、ガラス体は圧力(例えば、0GPa超〜1GPa以上)を受ける。典型的には、圧力は100MPa(15,000psi)未満である。1つの実施形態では、粒子などの充填を、金型に入れて、ガラスの粘性流れが比較的大きな部分への融合を導くガラス転移を超える温度で熱圧を行う。典型的な融合技術の例としては、熱圧、熱間静水圧プレス、熱間押出し、熱間鍛造など(例えば、焼結、プラズマ補助焼結)挙げられる。例えば、ガラスを含む粒子(例えば、破砕により得られる)(ビーズ及び微小球を包含する)、ファイバーなどをより大きな粒子サイズへ形成させることがある。また、融合により、所望の形態(即ち幾何形状)へ成形された体がもたらされ得る。また、ガラスの融合を、無圧又は加圧焼結、鍛造、熱間押出しなどを包含する様々な方法により達成することもでき得る。
【0078】
いくつかの実施形態では、後の加熱の間の圧力が1.0atmの圧力での雰囲気中で行われる以外は、同じ方法で加熱された同じガラスに比べて、ガラスの緻密化の速度を高めるのに十分な1.1atmを超える圧力(いくつかの実施形態では、1.25atm、1.5atm、2atm、5atm、又はさらに10atmを超える圧力)で、気体雰囲気(例えば、窒素)下に、融合を行うことができ、1.1atmを超える圧力(いくつかの実施形態では、1.25atm、1.5atm、2atm、5atm、又はさらに10atmを超える圧力)での気体雰囲気は、固結される少なくとも一部のガラスの少なくとも一部の外側表面と直接接触する(例えば、2004年7月29日出願の米国特許出願第10/901638号参照)。
【0079】
いくつかの実施形態では、融合物品を熱処理して、少なくとも部分的に結晶質の物品を形成することができる。広くは、熱処理は、ガラスを熱処理してガラスセラミックをもたらすために当該技術分野において既知である方法を包含する様々な方法のいずれかで実施することができる。例えば、熱処理は、例えば抵抗、誘導又はガス加熱炉を使用して、バッチで行うことができる。或いは、例えば、粒子の熱処理(又はその一部)は、回転炉、流動床炉又はペンジュラム炉を用いて連続的に行うことができる。回転炉又はペンジュラム炉の場合、材料を典型的には、高温で操作される炉に直接供給する。流動床炉の場合には、熱処理するガラスを、典型的には、ガス(例えば、空気、不活性又は還元ガス)中に懸濁させる。いくつかの実施形態では、Tgを超えるガラス体の加熱及び複合体の熱処理を一つの工程で達成する。
【0080】
高温の時間は、数秒(いくつかの実施形態では、5秒未満)から数分、数時間にわたることがある。温度は、典型的には、ガラスのT〜1600℃、より典型的には900℃〜1600℃、いくつかの実施形態では、1200℃〜1500℃である。複数の工程でいくつかの熱処理(例えば、1つは核形成、他は結晶成長、緻密化も典型的に結晶成長工程の間に生じる)を実施することも本発明の範囲に含まれる。複数の工程の熱処理を実施する場合には、典型的に、核形成及び結晶成長速度のいずれか、又は両方を制御することが望ましい。広くは、たいていのセラミック処理操作の間に、著しい結晶成長なしに、最大の緻密化を得るのが望ましい。理論に束縛されることは望まないが、広くは、セラミック分野においては、結晶サイズが大きいほど、機械的特性の低下をもたらし、平均結晶サイズが微細なほど、機械的特性の改善(例えば、より高い強度及び硬さ)をもたらすと考えられている。特に、理論密度の少なくとも90、95、97、98、99、又はさらに少なくとも100パーセントの密度を有するセラミックスを形成するのが極めて望ましく、平均結晶サイズは0.15マイクロメートル未満、又はさらに0.1マイクロメートル未満である。
【0081】
本発明のいくつかの実施形態では、ガラス又はガラスを含むセラミックスを、熱処理の前にアニーリングしてもよい。このような場合、アニーリングは、典型的に、ガラスのTより低い温度で数秒から数時間又はさらに数日にわたって行う。典型的に、アニーリングは3時間未満、又はさらに1時間未満の期間で行う。任意に、アニーリングを空気以外の雰囲気下に実施してもよい。さらに、熱処理の異なる段階(即ち、核形成工程及び結晶成長工程)を異なる雰囲気下に実施してもよい。本発明によるガラスのT及びT、並びにT−Tは、熱処理の間に使用される雰囲気に応じてシフトし得ると考えられる。
【0082】
当業者であれば、当該技術分野において既知である技術を使用して、ガラスの時間−温度−変形(TTT)研究から適切な条件を決定することができる。本発明の開示を読めば、当業者であれば、本発明で利用されるガラスセラミックを製造するために使用されるガラスにTTT曲線を与え、本発明で利用されるガラスセラミックスをもたらすために適切な核形成及び/又は結晶成長条件を決定することができなければならない。
【0083】
熱処理は、例えば、材料を高温の炉に直接供給することにより行うこともある。或いは、例えば、材料を、かなり低温(例えば、室温)の炉に供給し、次いで、予め決定された加熱速度で所望の温度に加熱することもある。空気以外の雰囲気下に熱処理を行うことも、本発明の範囲である。場合によっては、還元雰囲気下に熱処理することがさらに望ましいこともある。また例えば、例えば熱間静水圧プレス又はガス圧力炉におけるように、ガス圧力下で熱処理することが望ましいこともある。理論に束縛されることは望まないが、雰囲気はガラス及びガラスセラミックスのいくつかの構成成分の酸化状態に影響し得ると考えられる。酸化状態のこのような変化は、ガラス及びガラスセラミックスの色の変化をもたらすことができる。加えて、核形成及び結晶化工程は、雰囲気に影響されうる(例えば、雰囲気はガラスのいくつかの種の原子移動度に影響しうる)。
【0084】
材料の所望の特性をさらに改善するために追加的な熱処理を実施することも本発明の範囲内である。例えば、熱間水圧プレスを行って(例えば、約900℃から約1400℃の温度で)、残留空隙率を除去し、材料の密度を高めてもよい。
【0085】
典型的には、ガラスセラミックスは、それらを形成するガラスより強い。したがって、材料の強度を、例えば、ガラスが結晶質セラミック相に変換される程度によって調節してもよい。或いは、又はこれに加えて、材料の強度は、例えば、作製される核形成部位の数に影響され、このことを用いて、結晶相の結晶の数及びサイズに影響を及ぼすことがあってもよい。ガラスセラミックスの形成に関するさらなる詳細については、例えば、『ガラス−セラミックス』P.W.マクシミリアン、アカデミック出版会社(Glass-Celamics,P.W.McMillan,Academic Press,Inc.)、第2版、1979年を参照。
【0086】
多くの他タイプのセラミック処理(例えば、か焼材料から緻密な焼結セラミック材料への焼結)に比べると、ガラスセラミックを形成するためにガラスを結晶化している間の収縮は比較的少ない(典型的には30体積パーセント未満、いくつかの実施形態では20体積パーセント未満、10体積パーセント未満、5体積パーセント未満又はさらに3体積パーセント未満)。収縮の実際の量は例えば、ガラスの組成、熱処理時間、熱処理温度、熱処理圧力、結晶化するガラスの密度、形成される結晶相の相対量、及び結晶度に左右される。収縮の量は、膨張計、アルキメデス法又は熱処理前後の材料の寸法測定を包含する当該技術分野において既知である従来の技術により測定することができる。場合によっては、熱処理の間に揮発性種が多少発生することがある。
【0087】
いくつかの実施形態では、比較的低い収縮特徴が特に有利であることがある。例えば、物品を、ガラス相で所望の形状及び寸法(即ち、ニアネットシェイプ(near-net-shape))に形成し、続いて、熱処理して、ガラスを少なくとも部分的に結晶化することがある。結果として、結晶化材料の製造及び機械加工に随伴する大幅なコスト削減を実現することができる可能性がある。
【0088】
他の態様では例えば、本発明で利用されるガラスセラミックスを作製するためのいくつかの代表的なガラスを熱処理している間に、LaZr及び/又は立方/正方晶ZrO、場合によっては、単斜晶ZrOなどの相の形成が約900℃を超える温度で生じることがある。理論に束縛されることは望まないが、ジルコニア関連相が、ガラスから核形成するための第1の相であると考えられる。Al、ReAlO(式中、Reは少なくとも1つの希土類カチオンである)、ReAl1118、ReAl12、YAl12などの相の形成は、約925℃を超える温度で一般に生じると考えられる。典型的に、この核形成工程の間の結晶子サイズはおよそ数ナノメートルである。例えば、10〜15ナノメートルの小さい結晶が観察されている。少なくともいくつかの実施形態では、約1300℃で約1時間の熱処理は、完全な結晶化をもたらす。広くは、核形成及び結晶成長工程のそれぞれの熱処理時間は、数秒(いくつかの実施形態では5秒未満でも)から数分、1時間以上に及ぶ。
【0089】
平均結晶サイズは、ASTM規格E112−96「平均粒径測定のための標準テスト方法(Standard Test Methods for Determining Average Grain Size)」によるラインインターセプト法により求めることができる。試料を、典型的には直径約2.5cm、高さ約1.9cmの樹脂製シリンダの取付樹脂(ブエフラー(Buehler)、レークブラフ、イリノイ州(Lake Bluff,IL))から「TRANSOPTIC・POWDER」の商品名で入手されるようなもの)に取付ける。ポリッシャ(ブエフラー(Buehler)、レークブラフ、イリノイ州(Lake Bluff,IL)より「EPOMET3」の商品名で入手されるようなもの)を用いる従来の研磨技術を用いて取付断片を調製する。試料を約3分間ダイヤモンドホイールで磨き、続いて、それぞれ45、30、15、9、3及び1マイクロメートルのスラリーで5分間磨く。取付けられ、研磨された試料を、金−パラジウムの薄層でスパッタリングし、走査電子顕微鏡(JEOL、ピーボディー、マサチューセッツ(Peabody,MA)からのModel・JSM840Aなど)を用いて検査する。試料にある微細構造の典型的な背面散乱電子(BSE)顕微鏡写真を使用して、次のように平均結晶サイズを決定する。顕微鏡写真に引かれた無作為な直線の単位長さ(N)当たりの交差する結晶子の数を数える。平均結晶子サイズをこの数から、次の等式を使用して決定する。
【0090】
平均結晶サイズ=1.5/N
式中、Nは、単位長さ当たりの交差する結晶子の数であり、Mは顕微鏡写真の倍率である。
【0091】
他の態様では、本発明で利用されるガラスセラミックスは、少なくとも1、2、3、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、97、98、99、又は100体積パーセントの結晶子を含んでよい。本発明で利用されるガラスセラミック中に存在する結晶子は、1マイクロメートル未満、0.5マイクロメートル未満、0.3マイクロメートル未満、0.2マイクロメートル未満、又は0.15マイクロメートル未満の平均サイズを有してもよい。複数の結晶子、典型的には少なくとも2相の結晶子が、ガラスセラミックのセルを構成している。
【0092】
本発明によるセラミック中に存在し得る結晶相の例としては、アルミナ(例えば、アルファ及び遷移アルミナ)、REO、Y、HfO、ZrO(例えば、立方ZrO及び正方晶ZrO)、BaO、CaO、Cr、CoO、CuO、Fe、GeO、LiO、MgO、MnO、NiO、NaO、P、Sc、SiO、Bi、SrO、TeO、TiO、V、ZnOなどの1つ以上の他の金属酸化物、並びに「複合金属酸化物」(複合Al・金属酸化物(例えば、複合Al・REO(例えば、ReAlO(例えば、GdAlO、LaAlO)、ReAl1118(例えば、LaAl1118)及びReAl12(例えば、DyAl12))、錯体Al・Y(例えば、YAl12)及び複合ZrO・REO(例えば、LaZr)を包含)及びこれらの組み合わせが挙げられる。典型的に、本発明によるセラミックスは、共晶微細構造特徴を含まない。
【0093】
いくつかの実施形態では、本発明によるセラミックスは、セラミックの全重量に対して、ZrO及び/又はHfO30重量パーセントまで(いくつかの実施形態では、ZrO及び/又はHfO15重量パーセント〜30重量パーセントをさらに含む。
【0094】
複合Al・金属酸化物(例えば、複合Al・REO及び/又は複合Al・Y(例えば、ガーネット結晶構造を示すアルミン酸イットリウム))中のアルミニウムカチオンの一部を置換することも本発明の範囲内である。例えば、複合Al・YのAlカチオンの一部を、Cr、Ti、Sc、Fe、Mg、Ca、Si、Co、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される元素の少なくとも1つのカチオンと置換することがあり得る。例えば、複合Al・YのYカチオンの一部を、Ce、Dy、Er、Eu、Gd、Ho、La、Lu、Nd、Pr、Sm、Th、Tm、Yb、Fe、Ti、Mn、V、Cr、Co、Ni、Cu、Mg、Ca、Sr、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される元素の少なくとも1つのカチオンと置換することがあり得る。さらに、例えば、錯体Al・REO中の希土類カチオンの一部を、Y、Fe、Ti、Mn、V、Cr、Co、Ni、Cu、Mg、Ca、Sr、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される元素の少なくとも1つのカチオンと置換することもあり得る。前記のカチオンの置換は、セラミックの特性(例えば、硬さ、靭性、強度、熱伝導率など)に影響することがある。
【0095】
本発明で利用されるガラスセラミックの実施形態を提供するためにガラスを熱処理することにより形成された結晶は、例えば、針状等軸、円柱、又は平坦な平板状特徴であってよい。
【0096】
本発明で利用されるガラス及びガラスセラミックスのいくつかの実施形態及びこのようなガラスセラミックを製造するために使用されるいくつかのガラスは、それぞれガラス又はガラスセラミックの全重量に対して、少なくとも75重量パーセント(いくつかの実施形態では、少なくとも80、85、又はさらに少なくとも90重量パーセント、いくつかの実施形態では75重量パーセント〜90重量パーセントの範囲)のAl、少なくとも0.1重量パーセント(いくつかの実施形態では、少なくとも1、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、又は23.9重量パーセント、いくつかの実施形態では、10〜23.9、又は15〜23.9重量パーセント)のLa、少なくとも1重量パーセント(いくつかの実施形態では、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、又はさらに24.8重量パーセント、いくつかの実施形態では10〜24.8、15〜24.8重量パーセント)のY及び少なくとも0.1重量パーセント(いくつかの実施形態では、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、又はさらに8重量パーセント、いくつかの実施形態では、0.1〜8又は0.1〜5、又は0.1〜2重量パーセント)のMgOを含む。
【0097】
本発明で利用されるガラス及びガラスセラミックスのいくつかの実施形態、及びこのようなガラスセラミックスを製造するために使用されるいくつかのガラスは、それぞれガラス又はガラスセラミックの全重量に対して、少なくとも75重量パーセント(いくつかの実施形態では、少なくとも80、85、又はさらに少なくとも90重量パーセント、いくつかの実施形態では75〜90重量パーセントの範囲)のAl、及び少なくとも1重量パーセント(いくつかの実施形態では、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、又はさらに25重量パーセント、いくつかの実施形態では10〜25、15〜25重量パーセント)のYを含む。
【0098】
本発明で利用されるガラス及びガラスセラミックスのいくつかの実施形態、及びこのようなガラスセラミックスを製造するために使用されるいくつかのガラスは、それぞれガラスセラミック又はガラスの全重量に対して、少なくとも75重量パーセント(いくつかの実施形態では、少なくとも80、85、又はさらに少なくとも90重量パーセント)のAl、及び少なくとも10重量パーセント(いくつかの実施形態では、少なくとも15、20、又はさらに少なくとも25重量パーセント)のYを含む。
【0099】
ZrO及び/又はHfOを含む本発明で利用されるガラス及びガラスセラミックスのいくつかの実施形態、及びこのようなガラスセラミックを製造するために使用されるいくつかのガラスでは、存在するZrO及び/又はHfOの量は、それぞれガラスセラミック又はガラスの全重量に対して、少なくとも5、10、15、又はさらに少なくとも20重量パーセントであってよい。
【0100】
本発明によるある種のガラスは例えば、約750℃〜約950℃の範囲のTを有してよい。
【0101】
本発明で利用されるセラミックスの平均硬度は次のように決定することができる。材料の断片を、典型的には直径約2.5cm、高さ約1.9cmの樹脂製シリンダの取付け樹脂(レークブラフ、イリノイ州(Lake Bluff,IL))から「TRANSOPTIC・POWDER」の商品名で入手される)に取付ける。ポリッシャ(レークブラフ、イリノイ州(Lake Bluff,IL)より「EPOMET3」の商品名で入手されるようなもの)を用いる従来の研磨技術を用いて取付け断片を調製する。試料を約3分間125マイクロメートルのダイヤモンドを含有するダイヤモンドホイールで磨き、続いて、それぞれ45、30、15、9、3及び1マイクロメートルのスラリーで5分間磨く。100グラムのインデント荷重を用いるヴィッカース圧子を備えた従来の微小硬度テスター(ミツトヨ社(日本、東京)から「MITUTOYO・MVK−VL」の商品名で入手されるようなもの)を使用して、微小硬度測定を行う。微小硬度測定は、『材料の微小硬度のためのE384のASTMテストメソッドテストメソッド(ASTM Test Method E384 Test Methods for Microhardness of Materials)』(1991年)に述べられている指針に従って行う。平均硬度は、10回の測定の平均である。
【0102】
本発明で利用されるある種のガラスは、例えば少なくとも5GPa(いくつかの実施形態では、少なくとも6GPa、7GPa、8GPa、又は9GPa、典型的には約5GPa〜約10GPaの範囲)の平均硬度を有し、ガラス及び結晶質セラミックを含む本発明によるガラスセラミックス又は本発明で利用されるセラミックスは、少なくとも5GPa(いくつかの実施形態では、少なくとも6GPa、7GPa、8GPa、9GPa、10GPa、11GPa、12GPa、13GPa、14GPa、15GPa、16GPa、17GPa、又は18GPa(又はそれ以上)、典型的には約5GPa〜18GPaの範囲)を有してもよい。
【0103】
本発明で利用されるある種のガラスは例えば、少なくとも25℃〜約900℃の温度範囲にわたって、約5×10−6/K〜約11×10−6/Kの範囲の熱膨張係数を有してもよい。
【0104】
いくつかの実施形態では、本発明のセラミックを使用して、例えば研磨粒子及び/又は結合研磨剤用の連続結合相(即ち、マトリックス)を包含する研磨物品並びに切削工具及び切削工具インサートを形成ことができる。いくつかの実施形態では、本発明のセラミックは、例えば炭化物、窒化物、ホウ化物、ダイヤモンド、及びこれらの組合せ(即ち、これらの混合物及び固溶体)などの分散相をさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、セラミックは、50体積パーセント(いくつかの実施形態では、45、40、35、30、25、20、15体積パーセントまで、又はさらに10体積パーセントまで)までの分散相を含む。
【0105】
研磨粒子を、研磨物品に導入するか、遊離(loose)の形態で使用することができる。本発明による研磨物品は、結合剤及び複数の研磨粒子を含み、少なくとも一部の研磨粒子が、本発明による研磨粒子であるか、結合剤(即ち、マトリックス)が、本発明によるセラミックである。代表的な研磨製品としては、コーティングされた研磨物品、結合研磨物品(例えばホイール)、不織研磨物品、及び研磨ブラシが挙げられる。コーティングされた研磨物品は典型的には、第1と第2の対向主要面を有する支持体を含み、結合剤及び複数の研磨粒子は、第1主要面の少なくとも一部に、研磨層を形成する。
【0106】
いくつかの実施形態では好ましくは、研磨物品中の研磨粒子の全重量に対して、研磨物品中の研磨粒子の少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、又はさらに100重量パーセントが、本発明による研磨粒子である。
【0107】
研磨用粒子を通常、使用前に所定の粒子サイズ分布に等級分けする。このような分布は典型的には、粗い粒子から細かい粒子まで、ある範囲の粒子サイズを有する。研磨分野では、この範囲は「粗大」「コントロール」及び「微細」時にフラクションと呼ばれる。工業的に認められた等級分け規格に従って等級分けされた研磨粒子は、数値限界内の各公称グレードについての粒子サイズ分布を規定する。このような工業的に認められた等級分け規格(即ち、規定の公称グレード)としては、アメリカ規格協会(ANSI)規格、研磨製品の欧州生産者連盟(FEPA)規格及び日本工業規格(JIS)規格として知られているものが挙げられる。1つの態様では、本発明は、規定の公称等級を有する複数の研磨粒子を提供し、複数の研磨粒子のうちの少なくとも一部は、本発明による研磨粒子である。いくつかの実施形態では好ましくは、複数の研磨粒子の全重量に対して、複数の研磨粒子のうちの少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、又はさらに100重量%は、本発明による研磨粒子である。
【0108】
いくつかの実施形態では、研磨物品、切削工具又は切削工具インサートは、理論密度の少なくとも40%(いくつかの実施形態では、少なくとも45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、95%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、又はさらに100%)の、時に比重と呼ばれる(真の)密度を有する。切削工具及び切削工具インサートでは、(真の)密度は典型的には、理論密度の少なくとも90%(いくつかの実施形態では、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、又はさらに100%)である。典型的には、ガラスセラミック研磨粒子の(真の)密度は典型的には、理論密度の少なくとも85%(いくつかの実施形態では、少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、又はさらに100%)である。
【0109】
本発明による研磨物品のいくつかの実施形態は、25〜75体積パーセントの範囲(いくつかの実施形態では、35〜65又はさらに45〜55体積パーセントの範囲)の多孔率を有する。多孔率は典型的には、連続細孔として存在する。アルミナ又はガラス気泡などの多孔性物質、及び/又は有機材料などの一過性材料の添加の使用を包含する当該技術分野において既知である技術により、細孔を誘発してもよい。本発明による切削工具及び切削工具インサートの実施形態は、0〜10体積パーセントの範囲(いくつかの実施形態では、0〜5、0〜3、又はさらに0〜2体積パーセントの範囲)の多孔率を有する。
【0110】
いくつかの実施形態では、本発明の物品(例えば研磨粒子、切削工具、切削工具インサートなど)は少なくとも300MPa(いくつかの実施形態では少なくとも400、500又はさらに600MPa)の曲げ強度を有する。
【0111】
代表的な研磨ホイールを図7に示す。研磨ホイール70は、ガラスセラミック研磨粒子72及びマトリックス74に分布している空孔73を有する。
【0112】
代表的なホーニングスティックを図8に示す。ホーニングスティック80は、マトリックス84に分布しているガラスセラミック研磨粒子82を有する。
【0113】
代表的な切削工具を図9に示す。切削工具90は、マトリックスに分布しているガラスセラミック研磨粒子92を有する切削工具インサート91を含む。
【0114】
本発明の利点及び実施形態を次の非限定的実施例によりさらに説明するが、これらの実施例に挙げられている特定の材料及びその量、並びに他の条件及び詳細を、本発明を不当に制限するものと解釈すべきではない。他に記載のない限り、部及びパーセンテージは全て、重量による。他に述べられていない限り、実施例は全て、著しい量のAs、Bi、B、GeO、P、SiO、TeO、V、アルカリ酸化物及びアルカリ土類酸化物を含有しない。
【0115】
(実施例1)
50000ml磁器ジャーに、様々な粉末の混合物(下記表1に示すとおり、原料供給源は表3に列挙されている)及び水24000グラム及びアルミナボール(直径15mm)40000gを装入した。ジャーの内容物を1分当たり60回転(rpm)で16時間混合した。混合の後に、スラリーを噴霧乾燥させて、60〜90ミクロンの凝集物サイズを有する凝集前駆体粉末を製造した。
【0116】
凝集粉末を1250℃でか焼した後に、粉末をプロパン/酸素トーチ火炎に徐々に(0.2グラム/秒)供給して、粒子を溶融させた。粒子を溶融して、溶融液滴を生じさせるために使用されるトーチは、コウシンリカガク(Koshin-Rikagaku)社(日本、東京)から得られるコウシンリカガクバーナーKA−40(Koshin Rikagaku burner KA-40)であった。トーチでのプロパン及び酸素流量は、次のとおりである。中心火炎(予混合燃焼)では、プロパン流量は、5標準リットル/分(SLPM)であり、酸素流量は6SLPMであった。外側フレームでは、プロパン流量は15SLPMであり、酸素流量は80SLPMであった。か焼及びサイジングされた粒子を、粒子を溶融させるトーチ火炎に徐々に(0.2グラム/秒)に供給し、これらを、急冷するための空気に直接運び、ステンレス鋼製パン容器に集めた。粒子はその形状においては球状であり(後記では「ビーズ」と称する)、数マイクロメートルから150マイクロメートルまでのサイズで変化し、透明(即ち非晶質)及び/又は不透明(即ち結晶)であり、ビーズによって変化する。
【0117】
特に、大部分の90ミクロン〜32ミクロンのサイズのビーズは、透明であった。より大きいビーズ及びより小さいビーズは、不透明ビーズを包含する傾向があった。
【0118】
示差熱分析(DTA)では、材料をスクリーニングして、90〜125マイクロメートルサイズ範囲にあるビーズ(微小球)を残した。DTAランを実行した(ネッチ機器(Netzsch Instruments(ドイツ、セルブ(Selb,Germany))から「NETZSCH・STA409DTA/TGA」の商品名で得られる計器を使用して)。100マイクロリットルAl試料ホルダに装入されるスクリーニングされたそれぞれの試料の量は、400ミリグラムであった。材料のガラス転位(T)及び結晶化(T)を、静止空気中、10℃/分の速度で、室温(約25℃)から1300℃までビーズを加熱することにより決定した。他の実施例でのこれらのT及びT値を、下記の表1及び2に報告する。
【0119】

【0120】
ガラスビーズ3800gを、脱イオン水4200g及びポリアクリル酸のアンモニウム塩(Darvan 821 A)5gと混合した。混合物を2段階粉砕手順に掛けた。第1工程では、高強度ビーズ粉砕を、研磨媒体として1.75mmイットリア安定化ジルコニア(YSZ)を使用するドライスミル(Drais mill)(PML−H/V・PUタイプ)を用いて行った。第2工程では、より微細なYSZ媒体(0.3mm〜0.4mm)を用いるドライスアドバンティスV15−PUミル(Drais, Advantis V15-PU mill)で粉砕を行った。得られたガラス粒子は、ホリバ910計器(Horiba 910 instrument)を用いるレーザー散乱法を使用して決定すると0.38ミクロンの平均粒子サイズを有した。
【0121】
粉砕されたガラス粒子約50グラムを、グラファイト金型に入れ、一軸プレス装置(「HP−50」の商品名(サーマル・テクノロジー社(Thermal Technology Inc.)、ブレア、カリフォルニア州(Brea,CA))で得られる)を使用して熱圧した。熱圧は、1300℃、窒素雰囲気下及び4ksi(27.6MPa)圧力で実施した。得られたディスクは、直径約48mm、及び厚さ約5mmであった。追加の熱圧運転を行って、追加のディスクを製造した。熱圧された材料の密度を、アルキメデス法を使用して測定すると、理論密度の99%である約5.5g/cmと判明した。
【0122】
比較実施例A
実施例1に記載されているように調製された前駆体ガラスビーズ(即ち2段階粉砕手順前のガラスビーズ)約50グラムを、グラファイト金型に入れ、一軸プレス装置(「HP−50」の商品名サーマル・テクノロジー社(Thermal Technology Inc.)、ブレア、カリフォルニア州(Brea,CA))で得られる)を使用して、実施例1で使用されたのと同じスケジュールに従い熱圧した。
【0123】
図10は、比較実施例A材料の研磨断片の走査型電子顕微鏡(SEM)顕微鏡写真であり、代表的なセル101を示している。図11は、実施例1の研磨断面のSEM顕微鏡写真である。従来の取付け及び研磨技術を使用して、研磨断面を調製した。ポリッシャ(ブエフラー(Buehler)、レークブラフ、イリノイ州(Lake Bluff,IL)から「ECOMET・3TYPE・POLISHERGRINDER」の商品名で得られる)を使用して、研磨を行った。試料を約3分間ダイヤモンドホイールで研磨し、続いて、それぞれ45、30、15、9、及び3マイクロメートルのダイヤモンドスラリーで3分間研磨した。研磨された試料を、金−パラジウムの薄層でコーティングし、JEOL・SEM(モデルJSM840A)を用いて検査した。実施例1の材料は、比較実施例Aのサイズよりも著しく小さい3ミクロン未満のサイズのセルから構成されていることが明白である。
【0124】
ASTM・C1161による3点曲げ特性を、構成A手順を使用して測定した。試料を1.5mmの公称厚さ、幅2.0mm及び長さ30mmに機械加工した。クロスヘッド速度を0.2mm/分に設定した。3点曲げ試験では、スパンを20mmに設定した。Alliance・MTS100・Testframeを、試験及びデータ収集のためのTestworksIVソフトウェアと共に使用した。
【0125】
実施例1材料の平均曲げ強度は、563MPaであり、比較実施例A材料では、169MPaであった。
【0126】
(実施例2)
実施例1の粉砕されたビーズ約18gを、7257kg(16000lb)でステンレス鋼金型のキャビティ内で冷圧して、直径10×16mmの円柱部材にした。続いて、空気中での無圧焼結を、次の通りに炉(電熱炉キースファーネス(Keith Furnaces)(ピコリベラ、カリフォルニア州(Pico Rivera,CA))から「モデルKKSK−666−3100」の商品名で得られる))内で行った。材料を室温(約25℃)から約1375℃へと、約10℃/分の速度で加熱し、次いで、1375℃に約2時間保持した。追加の運転を、同じ熱処理スケジュールで行って、追加の焼結部材を製造した。得られた焼結材料の密度を、アルキメデス法を使用して測定すると、理論密度の約97%である5.4g/cmであることが判明した。
【0127】
比較実施例B
比較実施例Aのビーズ約18gを、実施例2に記載されているように冷圧し焼結した。部分的な焼結のみが観察され、これにより、正確な密度決定が妨げられた。
【0128】
(実施例3)
実施例3前駆体ビーズを、実施例1での記載と同様に調製したが、ただし、使用された原料、原料の量は、下記の表2に列挙されている。使用された原料の供給源を、下記の表3に列挙する。
【0129】

【0130】
ガラスビーズ粉砕を、実施例1での記載と同様に行ったが、ただし、ビーズ3100g及びDI水4900を使用した。実施例1での記載と同様に決定された粉砕後の平均粒子サイズは、0.28ミクロンであった。
【0131】
粉砕されたガラス体約50gをグラファイト金型に入れ、一軸プレス装置(「HP−50」の商品名、(サーマル・テクノロジー社(Thermal Technology Inc.)、ブレア、カリフォルニア州(Brea,CA)で得られる)を使用して熱圧した。熱圧は、1400℃、窒素雰囲気下及び4ksi(27.6MPa)圧力で実施した。得られたディスクは、直径約48mm及び厚さ約6.2mmであった。追加の熱圧運転を行って、追加のディスクを製造した。熱圧された材料の密度を、アルキメデス法を使用して測定すると、理論密度の99%である約4.2g/cmと判明した。
【0132】

【0133】
比較実施例C
実施例3での記載と同様に調製された前駆体ガラスビーズ約50グラムをグラファイト金型に入れ、実施例3で使用されたのと同じスケジュールに従い、一軸プレス装置(「HP−50」の商品名、サーマル・テクノロジー社(Thermal Technology Inc.)、ブレア、カリフォルニア州(Brea, CA)で得られる)を使用して熱圧した。
【0134】
実施例3及び比較実施例Cの材料の曲げ強度を実施例1に記載されているように測定すると、それぞれ579及び123であることが判明した。
【0135】
本発明の範囲及び意図から逸脱することなく、本発明の様々な変更及び変化が当業者には明らかであろうし、本明細書に記載の説明的実施例に本発明が不当に制限されないことは理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0136】
【図1】火炎溶融装置のための粉末フィーダアセンブリを包含する装置の代表的な実施形態の側面図。
【図2】図1の装置の断面図。
【図3】図1の装置の分解断面図。
【図4】図1の粉末フィーダアセンブリの一部の側面図。
【図5】図1の粉末フィーダアセンブリの一部の透視図。
【図6】図1の粉末フィーダアセンブリの一部の横断面図。
【図7】代表的な研磨ホイールの透視図。
【図8】代表的なホーニングスティックの透視図。
【図9】代表的な切削工具の透視図。
【図10】比較実施例CのSEM顕微鏡写真。
【図11】実施例3のSEM顕微鏡写真。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非晶質材料の全重量に対して少なくとも35重量パーセントのAl、及びAl以外の金属酸化物を含む非晶質材料であって、前記非晶質材料が、前記非晶質材料の全重量に対してAs、B、Bi、GeO、P、SiO、TeO及びVを合わせて10重量パーセント以下含有し、前記非晶質材料が、3マイクロメートル未満の平均セルサイズを有する複数のセルを含む、非晶質材料。
【請求項2】
前記非晶質材料が、それぞれ相互に垂直なx、y及びz寸法を有し、x及びy寸法がそれぞれ少なくとも5mmである、請求項1に記載の非晶質材料。
【請求項3】
前記非晶質材料がTgを有さない、請求項1に記載の非晶質材料。
【請求項4】
前記非晶質材料がガラスである、請求項1に記載の非晶質材料。
【請求項5】
CaO又はZrOならびにAl、CaO及びZrO以外の第3の金属酸化物をさらに含み、前記非晶質材料が結晶化されると、前記第3の金属酸化物の少なくとも一部が別個の結晶相を形成する、請求項1に記載の非晶質材料。
【請求項6】
Al以外の前記金属酸化物がYである、請求項1に記載の非晶質材料。
【請求項7】
Al以外の前記金属酸化物がZrOである、請求項1に記載の非晶質材料。
【請求項8】
Al以外の前記金属酸化物がREOである、請求項1に記載の非晶質材料。
【請求項9】
請求項1に記載の非晶質材料を含む物品。
【請求項10】
前記複数のセルが、2マイクロメートル未満の平均セルサイズを有する、請求項1に記載の非晶質材料。
【請求項11】
前記複数のセルが、1マイクロメートル未満の平均セルサイズを有する、請求項1に記載の非晶質材料。
【請求項12】
ガラスセラミックの全重量に対して少なくとも35重量パーセントのAl、及びAl以外の金属酸化物を含むガラスセラミックであって、前記ガラスセラミックが、前記ガラスセラミックの全重量に対してAs、B、Bi、GeO、P、SiO、TeO及びVを合わせて10重量パーセント以下含有し、前記ガラスセラミックが、3マイクロメートル未満の平均セルサイズを有する複数のセルを含む、ガラスセラミック。
【請求項13】
前記ガラスセラミックが、それぞれ相互に垂直なx、y及びz寸法を有し、x及びy寸法がそれぞれ少なくとも5mmである、請求項12に記載のガラスセラミック。
【請求項14】
Al以外の前記金属酸化物がYである、請求項12に記載のガラスセラミック。
【請求項15】
Al以外の前記金属酸化物がZrOである、請求項12に記載のガラスセラミック。
【請求項16】
Al以外の前記金属酸化物がREOである、請求項12に記載のガラスセラミック。
【請求項17】
前記ガラスセラミックが少なくとも300MPaの曲げ強さを有する、請求項12に記載のガラスセラミック。
【請求項18】
炭化物、ホウ化物、窒化物、ダイヤモンド及びこれらの組合せからなる群から選択される分散相をさらに含む、請求項12に記載のガラスセラミック。
【請求項19】
請求項12に記載のガラスセラミックを含む研磨用物品。
【請求項20】
前記ガラスセラミックが研磨粒子である、請求項19に記載の研磨用物品。
【請求項21】
請求項12に記載のガラスセラミックを含む切削工具。
【請求項22】
請求項12に記載のガラスセラミックを含む切削工具インサート。
【請求項23】
前記複数のセルが2マイクロメートル未満の平均セルサイズを有する、請求項12に記載のガラスセラミック。
【請求項24】
前記複数のセルが1マイクロメートル未満の平均セルサイズを有する、請求項12に記載のガラスセラミック。
【請求項25】
物品を製造する方法であって、
3マイクロメートル未満の平均粒子サイズを有する複数のガラス体を用意する工程であって、前記ガラス体は、前記ガラス体の全重量に対して少なくとも35重量パーセントのAl、及びAl以外の金属酸化物を含み、前記ガラス体は、前記ガラス体の全重量に対してAs、B、Bi、GeO、P、SiO、TeO及びVを合わせて10重量パーセント以下含有し、前記ガラス体はTg及びTxを有し、前記ガラス体の前記Tgと前記Txとの差異は少なくとも5Kである工程と、
前記ガラス体をTgより高く加熱し、前記複数のガラス体の少なくとも一部を融合させて、前記物品を用意する工程と、を含む方法。
【請求項26】
前記ガラス体が2マイクロメートル未満の平均粒子サイズを有する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記ガラス体が1マイクロメートル未満の平均粒子サイズを有する、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記ガラス体が0.5マイクロメートル未満の平均粒子サイズを有する、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
複数の前駆ガラス体を粉砕して、前記複数のガラス体を形成する工程をさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項30】
前記物品を熱処理して、ガラスセラミックを用意する工程をさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項31】
前記ガラス体がAl、REO又はZrOのうちの少なくとも1つを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項32】
前記ガラス体をTgより高く加熱し、前記複数のガラス体の少なくとも一部を融合させる工程が、100MPaを超えない圧力で起こる、請求項25に記載の方法。
【請求項33】
請求項25に記載の方法に従い製造された物品。
【請求項34】
3マイクロメートル未満の平均セルサイズを有する複数のセルを含むガラスセラミックであって、ガラスセラミックが、少なくとも15GPaの硬度及び少なくとも400MPaの曲げ強さを有するガラスセラミック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2009−522195(P2009−522195A)
【公表日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−548591(P2008−548591)
【出願日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際出願番号】PCT/US2006/048115
【国際公開番号】WO2007/078898
【国際公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】