説明

セルロースファイバー断熱材の吹込みノズル装置及び吹込み方法

【目的】 建物の新築及び改修時における壁断熱工事を大幅に効率化・低コスト化させることができると共に作業環境を改善することができるセルロースファイバー断熱材吹込みノズル装置及び吹込み方法を提供する。
【構成】 前記供給装置からのセルロースファイバーが圧送されるホースの端部と接続される基部と、前記基部を介して送られてくるセルロースファイバーを壁空間内に供給するためのノズル部と、前記ノズル部を前記基部に対してその軸方向を中心に回動可能に接続するスイベルジョイント部と、前記ノズル部及びスイベルジョイント部を前記基部に対して回動させるハンドル部と、前記スイベルジョイント部の外周側にベアリングを介して配置された外筒部と、前記外筒部を前記室内側ボード側に固定する固定機構部と、壁空間から取り込まれた空気を粉塵から分離して排出する集塵部と、を備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の新築又は改修工事における外壁内、内装壁内または間仕切り壁内などの壁空間への断熱施工のために使用可能なセルロースファイバー断熱材の吹込みノズル装置及び吹込み方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、新聞古紙などからリサイクル生産されるセルロースファイバー(天然木質繊維)を、断熱材として、建物躯体(外壁)内の空間や間仕切り壁内の空間などの壁空間に充填することが行なわれている(特許文献1参照)。このセルロースファイバー断熱材施工方法は、主として乾式工法と湿式工法に大別できる。海外では多くが湿式工法を採用し、ノズル部の先端で接着系材料とセルロースファイバー材料を混ぜ(ノズルミックス工法)、壁に接着させる方法が大半を占める。これに対して、日本国内ではほとんどが乾式工法を採用している。乾式工法とは、接着剤を使用せずエアーの力でセルロースファイバーを圧送する工法で、例えば、建物の新築工事において、内装側に特別な(専用の)脱気(通気)可能な半透明の内張りシートを真柱間にタッカー等で固定しその内張りシートに数箇所の穴を開けてその穴にホースを挿入し、このホースの先端口から供給装置(ブロアなどにより構成される)から圧送されるセルロースファイバーを吹き込む方法が多く採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3982935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の方法、すなわち、専用の半透明の通気性内張りシートを室内側に貼ってその内張りシートの穴にホースを挿入し、そのホースの先端口から供給装置からのセルロースファイバーを壁内に吹き込む方式では、特に新築ではない改修工事の場合に、いったん室内側のプラスターボードを取り外して前記内張りシートを貼ってその内張りシートに穴を開けてホースを挿入する必要があったので、このような「プラスターボードをいったん取り外して専用の半透明な内張りシートを貼るという特別な工程」の存在が改修時における断熱工事のコスト増の要因の1つとなっていた(なお、改修工事の場合に、前述のような専用の半透明な内張りシートを貼ることなく、既に設置されている室内側のプラスターボードに穴を開けてその穴にホースの先端口を挿入し、そのホース先端口からセルロースファイバーを壁の中に吹出して充填させることも考えられるかもしれないが、もしこのような方法によるときは、作業者には不透明なプラスターボードの穴に挿入したホースの先端口の位置や向きが正確に分からないため、壁内の空間の全てに均一にセルロースファイバーを充填させることが極めて困難となる等の理由から、このような方法は採用されていなかった。なお、内張りシートの穴にホースを挿入するときは、内張りシートは半透明なので作業者はホースの先端口の位置や向きを正確に把握できるので、壁空間内にセルロースファイバーを均一に充填することができた)。
【0005】
また、従来の方法、すなわち、専用の半透明の通気性内張りシートを室内側に貼ってその内張りシートの穴にホースを挿入し、そのホースの先端口からセルロースファイバーを壁空間内に吹き込む方式では、新築工事の場合においても、作業者が供給装置から圧送されたセルロースファイバーを放出するホースの先端口の位置や向きを正確に分かるようにする等の必要から、内装用のプラスターボードを張る前に特別に通気可能な半透明の内張りシートを張る必要があったが、そのような「プラスターボードを張る前にセルロースファイバー吹き込みのために専用の半透明な内張りシートを貼るという特別な工程」を介在させねばならないことが新築時における断熱工事のコスト増の要因の1つとなっていた。
【0006】
さらに、従来の方法によるときは、圧送されたセルロースファイバーの一部が通気性のある専用の半透明な内張りシートを介して作業者側に戻ってくることがあったので、そのような粉塵対策・作業環境の改善も課題とされていた。
【0007】
本発明はこのような従来技術の問題点に着目してなされたものであって、建物の新築時及び改修時における壁断熱工事を大幅に効率化・低コスト化させることができると共に、吹込み時の作業環境を改善することができる、セルロースファイバー断熱材の吹込みノズル装置及び吹込み方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述のような課題を解決するための本発明によるセルロースファイバー断熱材吹込みノズル装置は、セルロースファイバーを圧送する供給装置からのセルロースファイバーを建物の壁空間内に圧力を掛けて放出する吹込みノズル装置であって、前記供給装置からのセルロースファイバーが圧送されるホースの端部と接続される略円筒状の基部と、前記基部を介して送られてくるセルロースファイバーを壁空間内に供給するための略円筒状のノズル部であって、(a)内部に前記基部からのセルロースファイバーを流通させるファイバー流路が形成されており、(b)室内側ボードに形成された穴から壁空間内に挿入される先端部の上部と下部の2箇所にそれぞれ前記ファイバー流路からのセルロースファイバーの吹出し口が形成されており、(c)前記先端部の前記吹出し口が形成された部分以外の部分に壁空間内からの空気を取り込むための多数のスリットが形成されており、(d)内部に前記スリットから取り込まれた空気を流通させる空気流路が形成されており、(e)壁空間内に挿入されない部分に前記空気流路からの空気を排出する空気排出穴が形成されている、ノズル部と、前記ノズル部を前記基部に対してその軸方向を中心に回動可能に接続するスイベルジョイント部と、前記ノズル部及びスイベルジョイント部を前記基部に対して回動させるハンドル部と、前記スイベルジョイント部の外周側にベアリングを介して配置されており、自らと前記ノズル部の壁空間内に挿入されない部分の外周面との間に、前記空気流路からの空気が前記空気排出穴を介して流入される略密閉された排気用空間を形成する、外筒部と、前記外筒部の前記ノズル先端部側に設けられ、前記外筒部を前記室内側ボード側に固定する固定機構部と、前記外筒部と接続され、前記排気用空間に流入された空気を流通させる排気管と、前記排気管の端部に備えられ、前記排気管からの排気を受け入れて、その中の空気を粉塵から分離して排出する集塵部と、を備えたことを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明によるセルロースファイバー断熱材吹込みノズル装置においては、前記固定機構部は、前記外筒部の前記ノズル先端部側に固定され、前記室内側ボードの前記穴の近傍部分の室内側表面に対向するように配置される略リング状の対向部と、前記対向部側から壁空間内の方向に突出するように設けられ、前記室内側ボードの穴の内周壁面に当接することにより、前記対向部を前記室内側ボードに対して支持するための支持用突出片と、前記対向部の上部側に備えられ、前記室内側ボードの穴の内周壁面の上方部分と前記ボードの裏側(室内側と反対側)表面との境界部分に略楔状の爪部を下方から押圧することにより、前記対向部を前記室内側ボードに対して固定するためのロック機構部と、を含むものである、ことが望ましい。
【0010】
また、本発明によるセルロースファイバー断熱材吹込みノズル装置においては、弾性部材により形成された略リング状のシール部であって、その外周側端部が前記対向部側に固定され、その内周側端部が前記ノズル部の外周面と摺動自在に当接するように配置され、これにより前記ノズル部の外周面と前記外筒部との間の排気用空間を略気密にするシール部を備える、ことが望ましい。
【0011】
さらに、本発明によるセルロースファイバー断熱材吹込みノズル装置においては、前記集塵部は、集塵袋とこれを覆うように配置されるケースであって周面に複数の穴が形成されているケースとにより構成されており、前記集塵袋とケースは前記排気管に対して着脱自在に構成されている、ことが望ましい。
【0012】
また、本発明によるセルロースファイバー断熱材の吹込み方法は、供給装置から圧送されるセルロースファイバーを建物の壁空間内に圧縮された状態で充填するためのセルロースファイバーの吹込み方法であって、壁空間の室内側に設置された(壁空間の室内側を覆う)室内側ボードの天井に近い上方部分に穴を形成し、前記穴に、供給装置からのセルロースファイバーが圧送されて来るノズル部の先端部であって上部と下部にそれぞれセルロースファイバーの吹出し口が形成されているノズル部の先端部を挿入し、前記ノズル部を前記室内側ボードの穴周辺部分に設置し、前記の上部吹出し口と下部吹出し口とから、それぞれ、壁空間内の上方と下方とに向けて、セルロースファイバー及び空気を圧力が加えられた状態で壁空間内に吹き出し、この上方及び下方に吹出されて壁空間内の下側に下降したセルロースファイバーを、前記下部吹出し口から圧力を加えられた状態で下方に吹出されるセルロースファイバーと空気により下方に押圧することにより、圧縮された状態で積層し、前記の圧縮された状態で積層されたセルロースファイバーが、前記下部吹出し口の位置まで上昇して前記下部吹出し口を塞いだ後は、前記上部吹出し口からセルロースファイバーを上方に吹き出して、これを、前記下部吹出し口の位置まで達した「圧縮された状態で積層されたセルロースファイバー」の上に、さらに積層し、前記上部吹出し口から上方に吹き出されたセルロースファイバーが壁空間の上端部(天井)の位置まで達した後もさらに前記上部吹出し口からセルロースファイバーと空気を圧力を加えた状態で吹き出しを継続し(そして、前記下部吹出し口の位置より上方に積層されたセルロースファイバーを前記上部吹出し口から圧力を加えた状態で吹き出されたセルロースファイバーと空気で押圧し)、これにより前記下部吹出し口の位置より上方に積層されたセルロースファイバーを圧縮された状態で積層し、これにより、壁空間内全体にセルロースファイバーが圧縮された状態で積層・充填されるようにした、ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明においては、前述のように、前記ノズル部の先端部の上部と下部(重力方向の上方と下方の各部分)にそれぞれセルロースファイバーの吹出し口が形成されている。よって、室内側ボードに穴を形成し(室内用ボードの上方部分、例えば天井に近い部分、例えば天井(壁空間の上端部)から約10〜60cm、約15〜50cm、又は約20〜40cmの箇所に穴を形成し)、その穴に前記ノズル先端部を挿入するようにしたとき、前記室内側ボードが不透明であるため壁空間内の状況が作業者から見えなくても、作業者は、前記ハンドルや集塵部などの位置から、前記2つの吹出し口の上下の位置を正確に把握することができるため、極めて容易に、前記ノズル部の上下2つの各吹出し口を壁空間内の上方向と下方向にそれぞれ正確に向けることができる。
【0014】
そして、本発明においては、前記2つの各吹出し口を上下にそれぞれ向けて配置した後、ブロアなどで構成されるセルロースファイバー供給装置を作動させると、セルロースファイバーが、ホースを介して圧送されてきて、前記ノズル部の上下2箇所の各吹出し口から、上方向と下方向との両方向にそれぞれ均一に噴出される。この場合、前記下部吹出し口から圧力を加えられた状態で吹き出されたセルロースファイバーは、壁空間内の下方から順次積層されるが、このとき、前記積層されるセルロースファイバーは、前記下部の吹出し口から圧力を掛けられて吹出されるセルロースファイバー及び空気に上方から押圧されることにより、圧縮された状態で積層されて行く。一方、前記上部吹出し口から状態で吹き出されたセルロースファイバーは、いったん壁空間内の上方に吹出された後、自重により下降して壁空間の下側から順次積層されるが、このときも、この積層されるセルロースファイバーは、前記下部吹出し口から圧力を掛けられて吹き出されるセルロースファイバー及び空気に上方から押圧されることにより、圧縮された状態で積層されて行く。
【0015】
そして、このようにしてセルロースファイバーが壁空間内の下方から順次積層されて行き、その積層された高さが前記ノズル先端部の下部吹出し口の位置まで達すると、前記下部吹出し口が「圧縮された状態で積層されたセルロースファイバー」によりほぼ塞がれるため、その後は主として前記上部吹出し口からセルロースファイバーが上方に吹き出され、この上方に吹き出されたセルロースファイバーは、自重で下降して前記の「圧縮された状態で積層されたセルロースファイバー」(前記下部吹出し口の位置まで上昇し前記下部吹出し口を塞いだセルロースファイバー)の上に、順次積層されて行く。このように積層されるセルロースファイバーが前記上部吹出し口の位置まで上昇した後も、そしてその後に壁空間の上端部まで達した後も、前記セルロースファイバーがまだ圧縮された状態で積層されていない間は、前記上部吹出し口からのセルロースファイバーの吹き出しが継続される。そして、前記下部吹出し口の位置より上方に(壁空間の上端部まで)積層したセルロースファイバーが、前記上部吹出し口から圧力を掛けられた状態で吹き出されたセルロースファイバーと空気により押圧されることにより、圧縮された状態で積層された状態になった後は、その「圧縮された状態で積層されたセルロースファイバー」が前記上部吹出し口を塞ぐことになるので、前記上部吹出し口からの吹き出しも停止する。以上により、前記セルロースファイバーが、壁空間内に、ほぼ均一に、圧縮された状態で積層・充填される(前記セルロースファイバーは、壁空間内において本発明のように圧縮された状態で積層・充填されるようにしておかないと、断熱工事後に、セルロースファイバーが自重により沈降して壁断熱性能の劣化が生じてしまう)。
【0016】
このように、本発明においては、前述のように、室内側ボードの穴にノズル部を挿入、設置してそのノズル先端部の上部と下部とにそれぞれ形成された各吹出し口からそれぞれセルロースファイバーを噴出させるようにしているので、従来のように「セルロースファイバーの吹き込みだけのために(新築の場合は室内側ボードを施工する前に、改修工事の場合は室内側ボードをいったん取り外した上で)専用の半透明な内張りシートを貼るという特別な工程」を介在させなくても、セルロースファイバーを壁空間内に均一に圧縮された状態で積層・充填させることができる。したがって、本発明によれば、従来のような「セルロースファイバー吹き込みだけのために内張りシートを貼るという特別な工程」が不要となるので、壁断熱工事を大幅に効率化・低コスト化できるようになる。
【0017】
このようなノズル部の先端部の上部と下部とにそれぞれ吹出し口(計2つの吹出し口)を形成するようにした本発明に対して、その比較対象として、仮にノズル部の先端部に「1つの吹出し口」のみを形成するようにした場合を想定すると、この場合は、前記「1つの吹出し口」を壁空間内の下方に向けるようにしないと、セルロースファイバーを圧縮された状態で積層することができないが、プラスターボードなどの室内側ボードは不透明であるため室内側の作業者は前記「1つの吹出し口」の向きを正確に把握することができず、前記「1つの吹出し口」を正確に下側に向けることができないため、セルロースファイバーを壁空間内に下方から圧縮された状態で積層することが困難となる。また、仮に前記1つの吹出し口を正確に下側に向けることができて、セルロースファイバーを圧縮された状態で壁空間内で下方から積層できたとしても、その積層高さが前記「1つの吹出し口」の高さに達した後は、圧縮された状態で積層されたセルロースファイバーが前記「1つの吹出し口」を塞いでしまうため、その高さより上方にセルロースファイバーを積層することができなくなってしまう。また、仮に、この場合に前記「1つの吹出し口」の向きを(下方向から上方向に)回動・変更することができたとしても、プラスターボードなどの室内側ボードは不透明であるため室内側の作業者は前記回動・変更後の「1つの吹出し口」の向きを正確に把握することができず、前記1つの吹出し口の向きを正確に上方に向けることができないため、前記「1つの吹出し口」より上方向にセルロースファイバーを圧縮された状態で均一に積層することは困難となる。
【0018】
また、本発明においては、前述のように、前記スイベルジョイント部により前記ノズル部を前記基部に対して軸方向(ノズル長手方向)を中心に回動可能に接続するようにしているので、作業者は、前記各吹出し口からセルロースファイバーを吹き出しながら、前記ハンドル部を操作して前記室内側ボードの穴に挿入したノズル部を小刻みに回動・揺動させる(例えば水平方向に対して約20〜160度又は約30〜150度くらいの範囲で回動させる)ことにより、壁空間内の様々な方向にセルロースファイバーを吹き出させるようにして、壁空間内に、隙間無く、セルロースファイバーを充填させることができる。
【0019】
また、本発明において、前記外筒部に固定された対向部に、前記室内側ボードの穴の内周壁面(望ましくは、その複数箇所)に当接して前記対向部及び外筒部を支持する支持用突出片と、前記室内側ボードの穴の内周壁面の上方部分と前記ボードの裏側(壁空間側)表面との境界部分に下方から押圧するように当接して前記対向部の位置を固定する略楔状爪部を含むロック機構部とを備えるようにしたときは、前記室内側ボードの穴に対して前記対向部及び外筒部を支持・固定することができるので、セルロースファイバーの吹込み作業を極めて安定的に行えるようになる。
【0020】
さらに、本発明においては、前述のように、前記ノズル部の先端部の前記吹出し口を除く部分に多数のスリットを形成すると共に、前記スリットから取り込んだ壁空間内の空気を、前記空気流路、前記排気チャンバー(排気用空間)、及び前記排気管を介して前記集塵部に送るようにしたので、壁空間内からの粉塵を含む空気は、最終的に、前記集塵部内の集塵袋内で粉塵と分離されて外部に放出される。よって、本発明によれば、壁空間内の空気を取り込んで粉塵を除いた綺麗な空気にして外部に放出するようにしたので、セルロースファイバー吹込み時の作業環境を大幅に改善することができる(従来は、前記専用の半透明な内張りシートから粉塵が発生してしまうなどの問題があった)。
【0021】
また、特に、本発明において、前記集塵部を構成する前記集塵袋及び前記カバーを、前記排気管に着脱可能に取り付けられるようにしたときは、前記集塵袋が吹き込み作業の邪魔になることを防止でき、また集塵袋の取付け・取り外しが簡単にできるので、セルロースファイバーの吹込み工事の作業性を大幅に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施例1の構成を示す側断面図である。
【図2】本実施例1の外観を示す斜視図である。
【図3】本実施例1に含まれるノズル部の外観を示す斜視図である。
【図4】本実施例1の動作を示す概略図である。
【図5】本実施例1の動作を説明するための図である。
【図6】本実施例1の動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明を実施するための最良の形態は、以下の実施例1について述べるような形態である。
【実施例1】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の実施例1によるセルロースファイバー断熱材吹込みノズル装置を説明する。図1は本実施例1の構成を示す側断面図、図2は本実施例1の外観を示す斜視図、図3は本実施例1に含まれるノズル部の外観を示す斜視図である。なお、図1〜3はいずれも設計段階の図面であるため互いに一致していない部分もある。
【0025】
図1,2において、1はブロアなどで構成される供給装置からのセルロースファイバーを圧送するホース(図示せず)が接続される略円筒状の基部、2は前記基部1の図示左側端部とベアリング2aを介して接続され前記基部1に対して軸方向(基部1の長手方向)を中心に回動自在に接続されたスイベルジョイント部、3は前記スイベルジョイント部2の図示左側端部にネジで固定されたノズル部、4は前記スイベルジョイント部2の上端部に固定されたハンドル部、5は前記スイベルジョイント部2の図示左側端部とベアリング2bを介して接続され前記スイベルジョイント部2に対して軸方向(外筒部の長手方向)を中心に回動自在に接続された外筒部、6は前記外筒部5の図示左側端部に固定され、壁の室内側に設置されたプラスターボードAに対向するように配置される略リング状の対向部(排気側フランジ)、である。
【0026】
また、図1,2において、7は前記対向部6の前記プラスターボードA側(図示左側)に配置されその外周側端部が前記対向部6に固定されその内周側端部が前記ノズル部3の外周面に摺動可能に当接するゴム製の略リング状シール部(このシール部7により、前記ノズル部3の外周面と前記外筒部5の内周壁面とで囲まれて形成される排気チャンバー(排気用空間)12が、略気密にシールされる)、8は前記対向部6に前記シール部7を介して固定されているスチール製の略リング状フランジ、9は前記フランジ8の前記プラスターボードA側に固定されているスポンジ製の略リング状パッキン、10は前記フランジ8側に固定され前記プラスターボードAの穴Bの内周壁面に当接するように壁空間C方向に突出するように配置された突出片(この突出片10は前記の略リング状フランジ8の数箇所、例えば3箇所に固定されている)、11は前記の略リング状フランジ8の図示上端部に形成された空洞8a内に収容されているロック機構部であってその上端部11aを作業者が押し上げることによりその図示下端の略楔状爪部11bが前記プラスターボードAの壁空間側表面と前記穴Bの内周壁面との境界部分Baを押圧した状態で固定されるロック機構部(前記対向部6を前記プラスターボードAの穴Bの周辺部に固定するためのロック機構部)、である。
【0027】
図1に示すように、前記ノズル部3には、前記基部1を介して圧送されてくるセルロースファイバーが流れるファイバー流路3aと、このファイバー流路3aからのセルロースファイバーを壁空間C内の上方向及び下方向にそれぞれ吹き出す吹出し口3b,3cが形成されている。前記ファイバー流路3aは前記ノズル部3の内部を仕切る内壁3dにより他の部分(後述の空気流路3f)と仕切られている。前記各吹出し口3b,3cは前記ノズル部3の図示左端の先端部(壁空間C内に挿入される部分)の下部と上部にそれぞれ形成されている。
【0028】
また、前記ノズル部3の先端部には、前記各吹出し口3b,3cを除く部分に、多数のスリット3eが形成されている。このスリット3eは壁空間C内の空気(粉塵を含む空気)を取り込むためのものである(空気を取り込むための穴を細長いスリット状に形成したのは、壁空間内のセルロースファイバーを空気と一緒に取り込まないようにするためである)。前記ノズル部3の内部には、前記スリット3eから取り込まれた空気が流通する空気流路3fが形成されている。この空気流路3fは、前記ノズル部3内を前記ファイバー流路3aとの間で仕切る前記内壁3dと前記ノズル部3の内周壁面とにより形成される空間である。
【0029】
また、前記ノズル部3の壁空間Cに挿入されない部分には複数の長穴3gが形成されている(図3参照)。この複数の長穴3gは、前記空気流路3fからの空気を、前記ノズル部3の外周壁面と前記外筒部の内周壁面5とにより形成される略密閉された空間を有する排気チャンバー内(排気用空間)12に送出するためのものである。
【0030】
また、前記排気チャンバー12は、前記外筒部5の下端部に形成された丸穴5aを介して排気管13と接続されている。この排気管13の下端部には、図2に示すように、通気性素材から成る集塵袋(集塵フィルター。図2では図示せず)を内蔵した集塵パイプ14が着脱自在に取り付けられている。この集塵パイプ14には複数の長穴14aが形成されており、この長穴14aから前記集塵袋内の粉塵を除く綺麗な空気が外部に放出され、前記集塵袋内には粉塵が残される。
【0031】
次に、図4は本実施例1の動作を説明するための図で、本実施例1を使用して建物の外壁の内側の壁空間内にセルロースファイバーを充填した状態を示す概略図である。なお、図4において、20は図示しない供給装置からセルロースファイバーを送出するホースで、前記基部1に取り付けられている。
【0032】
次に本実施例1の動作を図1、図5、及び図6を参照しながら各工程順に説明する。まず、第1工程で、本実施例1のノズル装置をセットするため、プラスターボードAへの穴あけ作業を行う。このプラスターボードAの穴Bは、プラスターボードAの上方の位置、例えばプラスターボードAの上端部から数十cm(例えば約10〜50cm又は約10〜20cm)の位置に形成することが望ましい。次に、第2工程で、ノズル部3の先端部を前記穴Bから壁空間C内に挿入する。その際、前記複数(例えば3個)の突出片10を前記穴Bの内周壁面に当接させることにより、前記ノズル部3を支持する(図1参照)。また、この状態で、前記対向部6の上端部に固定されたロック機構部11を図1の図示上方に移動させて略楔状の爪部11bを前記穴Bの内周壁面と前記プラスターボードAの裏側表面との境界部分Baに当接・押圧させることにより(図1、図5参照)、前記ノズル部3を前記プラスターボードAの前記穴Bの周辺部分に固定させる。次に、第3工程で、前記ノズル部3の先端部の上下の各吹出し口3c,3bが正確に上下に配置されていることを確認する(前記ハンドル部4の位置などから容易に確認できる)。
【0033】
次に、第4工程で、セルロースファイバーの吹込み作業を開始する(図5参照)。この吹込み作業においては、作業者は、前記ハンドル部4の操作で前記ノズル部3を軸方向(ノズルの長手方向)を中心に所定範囲内(例えば水平方向に対して約20〜160度、約30〜150度、又は40〜140度の角度の範囲内)で回動させる(図5の矢印α参照)ことにより、セルロースファイバーの吹出し方向を広げて、壁空間C内の隅々にまでセルロースファイバーが吹き付けられるようにする。このとき、ほぼ密閉された躯体内(壁空間C内)はセルロースファイバーの吹き付けで高圧となるため、躯体内(壁空間C内)の空気は、前記ノズル部3の先端部に形成された多数のスリット(微小穴)から前記ノズル部3の空気流路3f内に流入する。この空気流路3f内に流入した空気は、前記ノズル部3の壁空間C内に挿入されない部分(先端部以外の部分)に形成された長穴3gを介して排気チャンバー12内に流出し、さらに前記外筒部5の下端部の丸穴5a及び前記排気管13を介して前記集塵パイプ14内へ導かれる。前記集塵パイプ14内に導かれた空気は、内部の集塵フィルターにより粉塵を除去された後、前記集塵パイプ14の複数の長穴14a(図2参照)から、綺麗な空気として近辺へ排気される。
【0034】
この第4工程では、前記ノズル部3の上下の各吹出し口3b,3cからそれぞれ吹出されるセルロースファイバーは、壁空間C内の下側から積層されていくが、その際、いずれも、前記下部側の吹出し口3bから圧力を加えられた状態で噴出するセルロースファイバーと空気により、圧縮された状態で積層されていく。すなわち、前記の上下の各吹出し口3b,3cからそれぞれ吹出されるセルロースファイバーの中、前記上部側の吹出し口3cから噴出するセルロースファイバーも、いったん上方に吹出された後、自重により下降して壁空間C内の下側から積層されるが、この上部側の吹出し口3cから吹出されたセルロースファイバーも、壁空間C内の下方に積層される際、前記下部側の吹出し口3bから圧力を加えられた状態で噴出するセルロースファイバーと空気により上方から押圧されて、圧縮された状態で積層されて行く(図6(a)の状態)。
【0035】
このようにして、前記ノズル部3の上下の各吹出し口3b,3cからそれぞれ吹出されるセルロースファイバーが壁空間C内の下側から圧縮された状態で積層されて行き、その圧縮された状態で積層されたセルロースファイバーの高さが前記ノズル部3の下部側の吹出し口3bに達した後は、前記下部側の吹出し口3bが前記の「圧縮された状態で積層されたセルロースファイバー」により塞がれるため、前記ノズル部3からのセルロースファイバーの吹き出しは、主として前記上部側の吹出し口3cのみからとなる(図6(b)の状態)。
【0036】
そして、その後も、前記上部側の吹出し口3cからのセルロースファイバーの吹出しが続けられる(この場合も、前述のようにノズル部3を回動してセルロースファイバーの吹出し方向の範囲を広げることが望ましい)が、図6(c)に示すように、セルロースファイバーの高さが前記上部側の吹出し口3cより上方となっても、そして、その後セルロースファイバーの高さが壁空間C内の上端に達しても、まだこれらの段階では、「前記下部側の吹出し口3bの位置より上方のセルロースファイバー」はまだ圧縮された状態で積層されてはいないので、前記上部側の吹出し口3cからの吹き出しが継続する。そして、「前記下部側の吹出し口3bの位置より上方に積層されたセルロースファイバー」が、壁空間内の上端に達した後に、さらに前記上部側の吹出し口3cからの圧力を掛けられた状態でのセルロースファイバーと空気の噴出により、圧縮された状態で積層されるに至った後は、前記上部側の吹出し口3cも前記の「圧縮された状態で積層されたセルロースファイバー」により塞がれることになるので、前記上部側の吹出し口3cからの吹出しは終了する(図6(d)の状態)。この場合、作業者は、次の第5工程で、前記ノズル部3を前記プラスターボードAの穴Bから取り外して、前記穴Bを所定のシートなどで塞いで壁断熱工事を終了する。
【0037】
以上のように、本実施例1においては、前記ノズル部3の上下の2箇所にそれぞれ吹出し口3b,3cを設けたことで、当初は、前記ノズル部3の上部及び下部の各吹出し口3b,3cからのセルロースファイバーで壁空間C内の下部への積層を行ない、前記ノズル部3の下部吹出し口3bまでセルロースファイバーの充填(圧縮された状態での積層)が完了した後は、主として前記上部吹出し口3cのみからのセルロースファイバーによりその上方への積層・充填を行なうようにしている。したがって、本実施例1によれば、作業者は、壁空間C内にノズル部3を挿入して上下2箇所の各吹出し口3b,3cからそれぞれセルロースファイバーを吹き出すだけで、壁空間内全体へのセルロースファイバーの圧縮状態での積層・充填を最後まで行なうことができる(なお、前記セルロースファイバーは、壁空間内において本発明のように圧縮された状態で積層・充填されるようにしておかないと、断熱工事後に、セルロースファイバーが自重により沈下して壁断熱性能の劣化が生じてしまう)。これに対して、もし、ノズル部に1つだけの吹出し口を設けるように場合を想定すると、そこの場合、作業者は、プラスターボードAが不透明であるため、前記1つだけの吹出し口を正確に下方に向けることが困難であり、また、仮に正確に下方に向けてセルロースファイバー吹出すようにしても、セルロースファイバーが前記1つだけの吹出し口の位置まで充填されたときは前記1つだけの吹出し口が塞がれてしまうため前記1つだけの吹出し口を上方に向き変える必要があるが、作業者にとっては、これも、プラスターボードAが不透明であるため、困難であり、そのため、この場合も、従来のセルロースファイバーを吹き出すためにホースを使用する場合と同様に、「専用の半透明な内張りシートを貼るという特別な工程」を採用する必要がある。
【0038】
また、本実施例1では、前記スイベルジョイント部2により前記ノズル部3の吹出し口3b,3cからのセルロースファイバーの吹出し方向を変動可能としたので、前記ハンドル部4の操作により、吹込み作業中にセルロースファイバーの吹出し方向を小刻みに変えることが可能となり、これにより、壁空間内に、隙間無く均一に、セルロースファイバーを充填させることができる。
【0039】
また、本実施例1では、前記対向部6に、前記プラスターボードAの穴Bの内周壁面(望ましくは、その複数箇所)に当接して前記対向部6を支持する突出片10と、前記プラスターボードAの穴Bの内周壁面の上方部分と前記ボードAの裏側(室内側と反対側)表面との境界部分Baに下方から押圧するように当接して前記対向部6の位置を固定する略楔状爪部11bを含むロック機構部11とを備えるようにしたので、前記プラスターボードAの穴Bに対して前記対向部6の位置を安定的に支持・固定させて、セルロースファイバーの吹込み作業を安定的に行えるようになる。
【0040】
さらに、本実施例1では、前記ノズル部3のスリット3eから取り込んだ壁空間C内の空気を、前記空気流路3f、前記排気チャンバー12、及び前記排気管13を介して前記集塵パイプ14内に送るようにし、前記壁空間C内からの粉塵を含む空気を、最終的に、前記集塵パイプ14内の集塵袋内で粉塵と分離されて綺麗な状態にして外部に放出するようにしたので、セルロースファイバー吹込み時の作業環境を大幅に改善することができる。また、特に、本実施例1においては、前記集塵袋を含む集塵パイプ14を前記排気管13に着脱可能に取り付けられるようにしたので、吹込み作業時の作業性を大幅に向上させることができる。
【符号の説明】
【0041】
1 基部
2 スイベルジョイント部
2a,2b ベアリング
3 ノズル部
3a ファイバー流路
3a,3b 吹出し口
3d 内壁
3e スリット
3f 空気流路
3g 長穴
4 ハンドル部
5 外筒部
5a 丸穴
6 対向部
7 シール部
8 フランジ
8a 空洞
9 パッキン
10 突出片
11 ロック機構部
11a 上側端部
11b 略楔状爪部
12 排気チャンバー
13 排気管
14 集塵パイプ
14a 長穴
A プラスターボード
B 穴
Ba 境界部分
C 壁空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルロースファイバーを圧送する供給装置からのセルロースファイバーを建物の壁空間内に圧力を掛けて放出する吹込みノズル装置であって、
前記供給装置からのセルロースファイバーが圧送されるホースの端部と接続される略円筒状の基部と、
前記基部を介して送られてくるセルロースファイバーを壁空間内に供給するための略円筒状のノズル部であって、(a)内部に前記基部からのセルロースファイバーを流通させるファイバー流路が形成されており、(b)室内側ボードに形成された穴から壁空間内に挿入される先端部の上部と下部の2箇所にそれぞれ前記ファイバー流路からのセルロースファイバーの吹出し口が形成されており、(c)前記先端部の前記吹出し口が形成された部分以外の部分に壁空間内からの空気を取り込むための多数のスリットが形成されており、(d)内部に前記スリットから取り込まれた空気を流通させる空気流路が形成されており、(e)壁空間内に挿入されない部分に前記空気流路からの空気を排出する空気排出穴が形成されているノズル部と、
前記ノズル部を前記基部に対してその軸方向を中心に回動可能に接続するスイベルジョイント部と、
前記ノズル部及びスイベルジョイント部を前記基部に対して回動させるハンドル部と、
前記スイベルジョイント部の外周側にベアリングを介して配置されており、自らと前記ノズル部の壁空間内に挿入されない部分の外周面との間に、前記空気流路からの空気が前記空気排出穴を介して流入される略密閉された排気用空間を形成する外筒部と、
前記外筒部の前記ノズル先端部側に設けられ、前記外筒部を前記室内側ボード側に固定する固定機構部と、
前記外筒部と接続され、前記排気用空間に流入された空気を流通させる排気管と、
前記排気管の端部に備えられ、前記排気管からの空気を受け入れて、その空気を粉塵から分離して排出する集塵部と、
を備えたことを特徴とする、セルロースファイバー断熱材吹込みノズル装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記固定機構部は、
前記外筒部の前記ノズル先端部側に固定され、前記室内側ボードの前記穴の近傍部分の室内側表面に対向するように配置される略リング状の対向部と、
前記対向部側から壁空間内の方向に突出するように設けられ、前記室内側ボードの穴の内周壁面に当接することにより、前記対向部を前記室内側ボードに対して支持するための支持用突出片と、
前記対向部の上部側に備えられ、前記室内側ボードの穴の内周壁面の上方部分と前記ボードの裏側(室内側と反対側)表面との境界部分に略楔状の爪部を下方から押圧することにより、前記対向部を前記室内側ボードに対して固定するためのロック機構部と、を含むものである、ことを特徴とする、セルロースファイバー断熱材吹込みノズル装置。
【請求項3】
請求項2において、さらに、
弾性部材により形成された略リング状のシール部であって、その外周側端部が前記対向部側に固定され、その内周側端部が前記ノズル部の外周面と摺動自在に当接するように配置され、これにより前記ノズル部の外周面と前記外筒部との間の排気用空間を略気密にするシール部を備えた、ことを特徴とする、セルロースファイバー断熱材吹込みノズル装置。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれかにおいて、
前記集塵部は、集塵袋とこれを覆うように配置されるケースであって周面に複数の穴が形成されているケースとにより構成されており、前記集塵袋とケースは、前記排気管に対して着脱自在に構成されている、ことを特徴とする、セルロースファイバー断熱材吹込みノズル装置。
【請求項5】
供給装置から圧送されるセルロースファイバーを建物の壁空間内に圧縮された状態で充填するためのセルロースファイバー断熱材の吹込み方法であって、
壁空間の室内側に設けられている室内側ボードの天井に近い上方部分に穴を形成し、
前記穴に、供給装置からのセルロースファイバーが圧送されて来るノズル部の先端部であって上部と下部にそれぞれセルロースファイバーの吹出し口が形成されているノズル部の先端部を挿入し、
前記ノズル部を前記室内側ボードの穴周辺部分に設置し、
前記の上部吹出し口と下部吹出し口とから、それぞれ、壁空間内の上方と下方とに向けて、セルロースファイバー及び空気を圧力が加えられた状態で壁空間内に吹き出し、この上方及び下方に吹き出された後に壁空間内の下側に下降したセルロースファイバーを、前記下部吹出し口から圧力を加えられた状態で下方に吹き出されたセルロースファイバーと空気により下方に押圧することにより、圧縮された状態で積層し、
前記の「圧縮された状態で積層されたセルロースファイバー」が、前記下部吹出し口の位置まで上昇して前記下部吹出し口を塞いだ後は、前記上部吹出し口からセルロースファイバーを上方に吹き出して、これを、前記下部吹出し口の位置まで達した「圧縮された状態で積層されたセルロースファイバー」の上に、さらに積層し、
前記上部吹出し口から上方に吹き出されたセルロースファイバーが壁空間内の上端部の位置まで達した後も、さらに継続して前記上部吹出し口からセルロースファイバーと空気を圧力を加えた状態で吹き出し、これにより、前記下部吹出し口の位置より上方に積層されたセルロースファイバーを前記上部吹出し口から圧力を加えた状態で吹き出されたセルロースファイバーと空気で押圧して、前記下部吹出し口の位置より上方に積層されたセルロースファイバーを圧縮された状態で積層し、
これにより、壁空間内全体にセルロースファイバーが圧縮された状態で積層・充填されるようにした、ことを特徴とするセルロースファイバー断熱材の吹込み方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−102537(P2012−102537A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−251875(P2010−251875)
【出願日】平成22年11月10日(2010.11.10)
【出願人】(399005873)株式会社デコス (2)
【Fターム(参考)】