説明

セロビオヒドロラーゼ活性を有するポリペプチド及びそれをコードするポリヌクレオチド

本発明は、セロビオヒドロラーゼ活性を有する単離されたポリペプチド、及び前記ポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドに関する。本発明はまた、前記ポリヌクレオチドを含んで成る核酸構造体、ベクター及び宿主細胞、及び前記ポリペプチドの生成方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セロビオヒドロラーゼ活性を有する単離されたポリペプチド、及び前記ポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドに関する。本発明はまた、前記ポリヌクレオチドを含んで成る核酸構造体、ベクター及び宿主細胞、及び前記ポリペプチドの生成方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の記載:
セルロースは、β−1,4−結合により共有結合される単純糖グルコースのポリマーである。多くの微生物は、β−結合されたグルカンを加水分解する酵素である。それらの酵素は、エンドグルカナーゼ、セロビオヒドロラーゼ及びβ−グルコシダーゼを包含する。エンドグルカナーゼは、セロビオヒドロラーゼにより攻撃するために、ランダム位置でセルロースポリマーを消化し、それを開環する。セロビオヒドロラーゼは、セルロースポリマーの末端からセロビオースの分子を連続的に開放する。
【0003】
セロビオヒドロラーゼIは、セルロース、セロラトリオース又はいずれかのβ−1,4−結合されたグルコース含有ポリマーにおける1,4−β−D−グルコシド結合の加水分解を触媒し、鎖の還元端からセルビオースを開放する1,4−D−グルカンセルビオヒドロラーゼ(E.C.3.2.1.91)活性である。セロビオヒドロラーゼIIは、セルロース、セロラトリオース又はいずれかのβ−1,4−結合されたグルコース含有ポリマーにおける1,4−β−D−グルコシド結合の加水分解を触媒し、鎖の非還元端からセルビオースを開放する1,4−D−グルカンセルビオヒドロラーゼ(E.C.3.2.1.91)活性である。セロビオースは、グルコースの水溶性β−1,4−結合されたダイマーである。β−グルコシダーゼは、セルビオースをグルコースに加水分解する。
【0004】
エタノールへのセルロース性供給原料の転換は、多量の供給原料の容易な利用性、材料の燃料又は材料の陸上廃棄の回避の所望性、及びエタノール燃料の静浄の利点を有する。木材、農業残留物、草本性収穫物及び局地的な土壌廃棄物が、エタノール生成のための供給原料として考慮されて来た。それらの材料は、主に、セルロース、ヘミセルロース及びリグニンから成る。セルロースがグルコースに転換されると、グルコースは酵母によりエタノールにより容易に発酵される。
【0005】
WO04/56981号は、カエトミウム・サーモフィラム(Chaetomium thermophilum)からのセルビオヒドロラーゼIIを開示する。
セロビオヒドロラーゼ活性を有するポリペプチド及び前記ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを供給することが本発明の目的である。
【発明の開示】
【0006】
発明の要約:
本発明は、
(a)配列番号2の成熟ポリペプチドと、少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含んで成るポリペプチド;
(b)(i)配列番号1の成熟ポリペプチドコード配列、(ii)配列番号1の成熟ポリペプチドコード配列を含んで成るゲノムDNA配列、又は(iii)(i)又は(ii)の相補的鎖に対して、少なくとも中位の高い緊縮条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチド;及び
(c)配列番号2の成熟ポリペプチドの1又は複数のアミノ酸の保存的置換、欠失、及び/又は挿入を含んで成る変異体から成る群から選択された、セロビオヒドロラーゼ活性を有する単離されたポリペプチドに関する。
【0007】
本発明はまた、
(a)配列番号2の成熟ポリペプチドと、少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含んで成るポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(b)配列番号1の成熟ポリペプチドコード配列と少なくとも60%の同一性を有するポリヌクレオチド;及び
(c)(i)配列番号1の成熟ポリペプチドコード配列、(ii)配列番号1の成熟ポリペプチドコード配列を含んで成るゲノムDNA配列、又は(iii)(i)又は(ii)の相補的鎖に対して、少なくとも中位の高い緊縮条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドから成る群から選択された、セロビオヒドロラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドに関する。
【0008】
好ましい観点においては、成熟ポリペプチドコード配列は、配列番号2のアミノ酸18〜481である。もう1つの好ましい観点においては、成熟ポリペプチドコード配列は、配列番号1のヌクレオチド52〜1443である。
本発明はまた、前記ポリヌクレオチドを含んで成る、核酸構造体、組換え発現ベクター、及び組換え宿主細胞にも関する。
【0009】
本発明はまた、セロビオヒドロラーゼ活性を有するそのようなポリペプチドの生成方法に関し、ここで前記方法は、(a)前記ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含んで成る核酸構造体を含んで成る組換え宿主細胞を、前記ポリペプチドの生成の助けと成る条件下で培養し;そして(b)前記ポリペプチドを回収することを含んで成る。
【0010】
本発明はまた、洗剤及びグルコースへのセルロースの転換への、セロビオヒドロラーゼ活性を有するポリペプチドンの使用方法にも関する。
本発明はさらに、配列番号2のアミノ酸1〜17を含んで成るか又はそれらから成るシグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列に操作可能的に結合されるタンパク質をコードする、前記ヌクレオチド配列に対して外来性である遺伝子を含んで成る核酸構造体にも関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
定義:
セロビオヒドロラーゼ活性
用語“セロビオヒドロラーゼ活性”とは、セルロース、セロラトリオース又はいずれかのβ−1,4−結合されたグルコース含有ポリマーにおける1,4−β−D−グルコシド結合の加水分解を触媒し、鎖の還元端からセルビオースを開放する1,4−D−グルカンセルビオヒドロラーゼ(E.C.3.2.1.91)活性として、本明細書において定義される。本発明に関しては、セロビオヒドロラーゼ活性は、Lever など., 1972, Anal. Biochem. 47: 273-279のPHBAH方法により測定される場合、セルロースからの水溶性還元糖の開放により決定される。
【0012】
セロビオヒドロラーゼの攻撃のエキソグルカナーゼモードと、攻撃のエンドグルカナーゼモードとの間の区別は、置換されたセルロース、例えばカルボキシメチルセルロース又はヒドロキシエチルセルロースからの還元糖開放の類似する測定により行われる(Ghose, 1987, Pure & Appl. Chem. 59: 257-268)。真のセロビオヒドロラーゼは、置換されたセルロースに対する置換されていないセルロースに基づいて、非常に高い活性比率を有するであろう(Bailey など., 1993, Biotechnol. Appl. Biochem. 17: 65-76)。
【0013】
本発明のポリペプチドは、配列番号2の成熟ポリペプチドのセロビオヒドロラーゼ活性の少なくとも20%、好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、さらにより好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、及びさらに最も好ましくは少なくとも100%を有する。
【0014】
ファミリー6グリコシドヒドロラーゼ又はファミリーGH6
用語“ファミリー6グルコシドヒドロラーゼ”又は“ファミリーGH6”又は“Cel6”とは、Henrissat B., 1991, A classification of glycosyl hydrolases based on amino-acid sequence similarities, Biochem. J. 280: 309-316, 及びHenrissat and Bairoch, 1996, Updating the sequence-based classification of glycosyl hydrolases, Biochem. J. 316: 695-696によれば、グリコシドヒドロラーゼファミリー6内にあるポリペプチドとして本明細書において定義される。
【0015】
単離されたポリペプチド
用語“単離されたポリペプチド”とは、本明細書において使用される場合、SDS−PAGEにより決定される場合、少なくとも20%の純度、好ましくは40%の純度、より好ましくは少なくとも60%の純度、さらにより好ましくは少なくとも80%の純度、最も好ましくは少なくとも90%の純度、及びさらなる最も好ましくは少なくとも95%の純度であるポリペプチドを言及する。
【0016】
実質的に純粋なポリペプチド
用語“実質的に純粋なポリペプチド”とは、本明細書において、多くとも10%、好ましくは多くとも8%、より好ましくは多くとも6%、より好ましくは多くとも5%、より好ましくは多くとも4%、多くとも3%、さらにより好ましくは多くとも2%、最も好ましくは多くとも1%及びさらに最も好ましくは多くとも0.5%(重量による)の天然において結合される他のポリペプチド材料を含むポリペプチド調製物を示す。従って、好ましくは、実質的に純粋なポリペプチドは、調製物の存在する合計ポリペプチド材料の少なくとも92%の純度、好ましくは少なくとも94%の純度、好ましくは少なくとも95%の純度、好ましくは少なくとも96%の純度、好ましくは少なくとも97%の純度、好ましくは少なくとも98%の純度、さらに好ましくは少なくとも99%の純度、最も好ましくは少なくとも99.5%の純度、及びさらに最も好ましくは少なくとも100%(重量による)の純度である。
【0017】
本発明のポリペプチドは好ましくは、実質的に純粋な形で存在する。特に、好ましくはポリペプチドは、“実質的に純粋な形”で存在し、すなわちポリペプチド調製物は、天然において結合される他のポリペプチド材料を実質的に有さない。これは、例えば、良く知られている組換え方法、又は従来の精製方法によりポリペプチドを調製することにより達成され得る。
本明細書においては、用語“実質的に純粋なポリペプチド”とは、用語“単離されたポリペプチド”及び“単離された形でのポリペプチド”と同じ意味である。
【0018】
成熟ポリペプチド
用語“成熟ポリペプチド”とは、翻訳及びいずれかの後−翻訳修飾、例えばN−末端プロセッシング、C−末端切断、グルコシル化、等に続いて、その最終形で存在する、セロビオヒドロラーゼ活性を有するポリペプチドとして、本明細書において定義される。
【0019】
同一性
2種のアミノ酸配列間の又は2種のヌクレオチド配列間の関連性が、パラメーター“同一性”により記載される。
本発明に関しては、2種のアミノ酸配列間の同一性の程度は、PAM250残基重量表及び次の複数の一列整列パラメーターと共にLASERGENE(TM) MEGALIGN(TM) ソフトウエアー (DNASTAR, Inc., Madison, WI)を用いて、Clustal 方法 (Higgins, 1989, CABIOS 5: 151- 153)により定義される:ギャップペナルティー=10及びギャップ長ペナルティー=10。対様一列整列パラメーターは、Ktuple=1、ギャップペナルティー=3、窓=5及びダイアゴナル=5。
【0020】
本発明に関しては、2種のヌクレオチド配列間の同一性の程度は、同一性表及び次の複数の一列整列パラメーターと共にLASERGENE(TM) MEGALIGN(TM) ソフトウエアー (DNASTAR, Inc., Madison, WI)を用いて、Wilbur-Lipman方法(Wilbur and Lipman, 1983, Proceedings of the National Academy of Science USA 80: 726-730)により定義される:ギャップペナルティー=10及びギャップ長ペナルティー=10。対様一列整列パラメーターは、Ktuple=3、ギャップペナルティー=3、及び窓=20。
【0021】
相同配列
用語“相同配列”とは、本発明のチエラビア・テレストリス(Thielavia terrestris)セロビオヒドロラーゼを用いて、tfasty調査(Pearson, W.R., 1999, in Bioinformatics Methods and Protocols, S. Misener and S. A. Krawetz, ed., pp. 185-219)により0.001以下のE値(又は予測評点)を付与する予測されるタンパク質として本明細書において定義される。
【0022】
ポリペプチドフラグメント
用語“ポリペプチドフラグメント”とは本明細書においては、配列番号2、又はその相同配列の成熟ポリペプチドのアミノ及び/又はカルボキシル末端から欠失された1又は複数のアミノ酸を有するポリペプチドとして定義され、ここで前記フラグメントはセロビオヒドロラーゼ活性を有する。好ましい観点においては、フラグメントは、配列番号2、又はその相同配列の成熟ペプチドの少なくとも390個のアミノ酸残基、より好ましくは少なくとも415個のアミノ酸残基、及び最も好ましくは少なくとも440個のアミノ酸残基を含む。
【0023】
サブ配列
用語“サブ配列”とは本明細書においては、配列番号1、又はその相同配列の成熟ポリペプチドコード配列の5’及び/又は3’末端から欠失される1又は複数のヌクレオチドを有するヌクレオチド配列として定義され、ここで前記サブ配列はセロビオヒドロラーゼ活性を有するポリペプチドフラグメントをコードする。好ましい観点においては、サブ配列は、配列番号1、又はその相同配列の成熟ポリペプチドコード配列の少なくとも1170個のヌクレオチド、より好ましくは少なくとも1245個のヌクレオチド、及び最も好ましくは少なくとも1320個のヌクレオチドを含む。
【0024】
対立遺伝子変異体
本明細書においては、用語“対立遺伝子変異体”とは、同じ染色体遺伝子座を占める遺伝子の複数の他の形のいずれかを示す。対立遺伝子変動は、天然においては、突然変異を通して発生し、そして集団内の多形現象をもたらすことができる。遺伝子突然変異はサイレントであり得るか(コードされるポリペプチドの変化が存在しない)、又は変更されたアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードすることができる。ポリペプチドの対立遺伝子変異体は、遺伝子の対立遺伝子によりコードされるポリペプチドである。
【0025】
単離されたポリヌクレオチド
用語“単離されたポリヌクレオチド”とは、本明細書において使用される場合、アガロース電気泳動により決定される場合、少なくとも20%、好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも60%、さらに好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも90%及びさらに最も好ましくは少なくとも95%の純度であるポリヌクレオチドを言及する。
【0026】
実質的に純粋にポリヌクレオチド
用語“実質的に純粋なポリペプチド”とは、本明細書において使用される場合、他の外来性の又は所望しないヌクレオチドを有さず、そして遺伝子構築されたタンパク質生成システム内での使用のために適切な形で存在するポリヌクレオチド調製物を言及する。従って、実質的に純粋なポリヌクレオチドは、それが天然において結合される他のポリヌクレオチド材料を、多くとも10重量%、好ましくは多くとも8重量%、より好ましくは多くとも6重量%、より好ましくは多くとも5重量%、より好ましくは多くとも4重量%、より好ましくは多くとも3重量%、さらにより好ましくは多くとも2重量%、最も好ましくは多くとも1重量%、及びさらに最も好ましくは多くとも0.5重量%含む。しかしながら、実質的に純粋なポリヌクレオチドは、天然に存在する5’及び3’未翻訳領域、例えばプロモーター及びターミネーターを含むことができる。
【0027】
好ましくは、実質的に純粋なポリヌクレオチドは、少なくとも90%の純度、好ましくは少なくとも92%の純度、より好ましくは少なくとも94%の純度、より好ましくは少なくとも95%の純度、より好ましくは少なくとも96%の純度、より好ましくは少なくとも97%の純度、さらにより好ましくは少なくとも98%の純度、最も好ましくは少なくとも99%の純度、及びさらに最も好ましくは少なくとも99.5%(重量による)の純度が好ましい。本発明のポリヌクレオチドは好ましくは、実質的に純粋な形で存在する。特に、好ましくは、本明細書に開示されるポリヌクレオチドは、“実質的に純粋な形”で存在し、すなわちポリヌクレオチド調製物は、それが天然において結合される他のポリヌクレオチドは、用語“単離されたポリヌクレオチド”及び“単離された形でのポリヌクレオチド”と同じ意味である。ポリヌクレオチドは、ゲノム、cDNA、RNA、半合成、合成起源、又はそれらのいずれかの組合せのものであり得る。
【0028】
成熟ポリペプチドコード配列
用語“成熟ポリペプチドコード配列”とは、セロビオヒドロラーゼ活性を有する成熟ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列として、本明細書において定義される。
【0029】
cDNA
用語“cDNA”とは、本発明において使用される場合、真核細胞に由来する成熟のスプライスされたmRNA分子から逆転写により調製され得るDNA分子を包含する。cDNAは、その対応するゲノムDNAに通常存在するイントロン配列を欠いている。初期一次RNA転写体は、mRNAに対する前駆体であり、そしてそれは、成熟のスプライスされたmRNAとして出現する前、一連のプロセッシング現象を通して進行する。この現象は、スプライシングと呼ばれる工程によるイントロン配列の除去を包含する。従って、cDNAがmRNAに由来する場合、それはイントロン配列を欠いている。
【0030】
核酸構造体
本明細書において使用される場合、用語“核酸構造体”とは、天然に存在する遺伝子から単離され、又は他方では、天然に存在しない態様で核酸のセグメントを含むように修飾されている、一本鎖又は二本鎖核酸分子として定義される。用語“核酸構造体”とは、核酸構造体が本発明のコード配列の発現のために必要とされるすべての制御配列を含む場合、用語“発現カセット”と同じ意味である。
【0031】
制御配列
用語“制御配列”とは、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの発現のために必要であるか、又はそのために好都合であるすべての成分を包含するよう定義される。個々の制御配列は、ポリペプチドをコードする核酸配列に対して生来であっても又は外来性であっても良く、又はお互いに対して生来であっても又は外来性であっても良い。そのような制御配列は、リーダー、ポリアデニル化配列、プロペプチド配列、プロモーター、シグナルペプチド配列、及び転写ターミネーターを包含するが、但しそれらだけには限定されない。最少で、制御配列は、プロモーター、及び転写及び翻訳停止シグナルを包含する。制御配列は、ポリペプチドをコードする核酸配列のコード領域と制御配列との連結を促進する特定の制限部位を導入するためにリンカーを提供され得る。
【0032】
作用可能に連結される
用語“作用可能に連結される”とは、制御配列が、ポリペプチドのコード配列の発現を指図するようポリヌクレオチド配列のコード配列に対する位置で適切に配置されている配置として本明細書において定義される。
【0033】
コード配列
本明細書において使用される場合、用語“コード配列”とは、そのタンパク質生成物のアミノ酸配列を直接的に特定するヌクレオチド配列を包含する。コード配列の境界は一般的に、ATG開始コドン又は他の開始コドン、例えばGTG及びTTGにより通常開始し、そして停止コドン、例えばTAA、TAG及びTGAで終結する読取枠により決定される。コード配列は、DNA、cDNA、又は組換えヌクレオチド配列であり得る。
【0034】
発現
用語“発現”とは、ポリペプチドの生成に包含されるいずれかの段階、例えば転写、後−転写修飾、翻訳、後−翻訳修飾及び分泌(但し、それらだけには制限されない)を包含する。
【0035】
発現ベクター
本明細書においては、用語“発現ベクター”とは、本発明のポリペプチドとコードするポリヌクレオチドを含んで成り、そしてその発現を提供する追加のヌクレオチドに作用可能に連結される線状又は環状DNA分子を包含する。
【0036】
宿主細胞
用語“宿主細胞”とは、本明細書において使用される場合、本発明のポリヌクレオチドを含んで成る核酸構造体による形質転換、トランスフェクション、トランスダクション及び同様のものに対して感受性であるいずれかの細胞型を包含する。
【0037】
修飾
用語“修飾”とは本明細書において、配列番号2又はその相同配列の成熟ポリペプチドから成るポリペプチドのいずれかの化学的修飾、及びそのようなポリペプチドをコードするDNAの遺伝子操作を意味する。前記修飾は、アミノ酸の置換、欠失及び/又は挿入、及びアミノ酸側鎖の置換であり得る。
【0038】
人工変異体
本明細書において使用される場合、用語“人工変異体”とは、配列番号1又はその相同配列の成熟ポリペプチドコード配列の修飾されたヌクレオチド配列を発現する生物により生成されるセロビオヒドロラーゼ活性を有するポリペプチドを意味する。修飾されたヌクレオチド配列は、配列番号1又はその相同配列のヌクレオチド配列の修飾により、ヒト介在を通して得られる。
【0039】
発明の特定の記載
セロビオヒドロラーゼ活性を有するポリペプチド:
第1の観点においては、本発明は、配列番号2の成熟ポリペプチドに対して、少なくとも60%、好ましくは少なくとも65%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、さらにより好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、及びさらに最も好ましくは少なくとも97%、98%又は99%の程度の同一性を有するアミノ酸配列を含んで成る、セロビオヒドロラーゼ活性を有する単離されたポリペプチド(この後、“相同ポリペプチド”)に関する。好ましい観点においては、相同ポリペプチドは、配列番号2の成熟ポリペプチドとは、10個のアミノ酸、好ましくは5個のアミノ酸、より好ましくは4個のアミノ酸、さらにより好ましくは3個のアミノ酸、最も好ましくは2個のアミノ酸、及びさらに最も好ましくは1個のアミノ酸で異なるアミノ酸配列を有する。
【0040】
本発明のポリペプチドは好ましくは、配列番号2のアミノ酸配列又はその対立遺伝子変異体;又はセロビオヒドロラーゼ活性を有するそのフラグメントを含んで成る。好ましい観点においては、ポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸配列を含んで成る。もう1つの好ましい観点においては、ポリペプチドは、配列番号2の成熟ポリペプチドを含んで成る。もう1つの好ましい観点においては、ポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸18〜481、又はその対立遺伝子変異体;又はセロビオヒドロラーゼ活性を有するそのフラグメントを含んで成る。もう1つの好ましい観点においては、ポリペプチドは配列番号2のアミノ酸18〜481を含んで成る。
【0041】
もう1つの好ましい観点においては、ポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸配列又はその対立遺伝子変異体;又はセロビオヒドロラーゼ活性を有するそのフラグメントから成る。もう1つの好ましい観点においては、ポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸配列から成る。もう1つの好ましい観点においては、ポリペプチドは、配列番号2の成熟ポリペプチドから成る。もう1つの好ましい観点においては、ポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸18〜481又はその対立遺伝子変異体;又はセロビオヒドロラーゼ活性を有するそのフラグメントから成る。もう1つの好ましい観点において、ポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸18〜481から成る。
【0042】
第2の観点においては、本発明は、(i)配列番号1の成熟ポリペプチドコード配列、(ii)配列番号1の成熟ポリペプチドコード配列を含んで成るゲノムDNA配列、(iii)(i)及び(ii)のサブ配列、又は(iv)(i), (ii)又は(iii)の相補的鎖と、非常に低い緊縮条件、好ましくは低い緊縮条件、より好ましくは中位の緊縮条件、より好ましくは中くらいの高い緊縮条件、さらにより好ましくは高い緊縮条件、及び最も好ましくは非常に高い緊縮条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによりコードされるセロビオヒドロラーゼ活性を有する単離されたポリペプチドに関する(J. Sambrook, E.F. Fritsch, and T. Maniatus, 1989, Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 2d edition, Cold Spring Harbor, New York)。
【0043】
配列番号1の成熟ポリペプチドコード配列のサブ配列は、少なくとも100個の連続したヌクレオチド、又は好ましくは少なくとも200個の連続したヌクレオチドを含む。さらに、サブ配列は、セロビオヒドロラーゼ活性を有するポリペプチドをコードすることができる。好ましい観点においては、成熟ポリペプチドコード配列は、配列番号1のヌクレオチド52〜1443である。
【0044】
配列番号1又はそのサブ配列、及び配列番号2のアミノ酸配列又はそのフラグメントは、当業界において良く知られている方法に従って、異なった属又は種の株からのセロビオヒドロラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNAを同定し、そしてクローン化するための核酸プローブを企画するために使用され得る。特に、そのようなプローブは、そこにおける対応する遺伝子を同定し、そして単離するために、標準のサザンブロット方法に従って、興味ある属又は種のゲノム又はcDNAとのハイブリダイゼーションのために使用され得る。そのようなプローブは、完全な配列よりも相当に短いが、しかし少なくとも14個、好ましくは少なくとも25個、より好ましくは少なくとも35個、及び最も好ましくは少なくとも70個の長さのヌクレオチドであるべきである。
【0045】
しかしながら、好ましくは、核酸プローブは少なくとも100個の長さのヌクレオチドである。例えば、核酸プローブは、少なくとも200個、好ましくは少なくとも300個、より好ましくは少なくとも400個、又は最も好ましくは少なくとも500個の長さのヌクレオチドであり得る。さらに長いプローブ、例えば少なくとも600個、好ましくは少なくとも700個、より好ましくは少なくとも800個、又は最も好ましくは少なくとも900個の長さのヌクレオチドである核酸プローブが使用され得る。DNA及びRNAの両プローブが使用され得る。プローブは典型的には、対応する遺伝子を検出するためにラベルされる(例えば、32P, 3H, 35S, ビオチン、又はアビジンにより)。そのようなプローブは、本発明により包含される。
【0046】
従って、そのような他の生物から調製されたゲノムDNA又はcDNAライブラリーは、上記に記載されるプローブとハイブリダイズし、そしてセロビオヒドロラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNAについてスクリーンされ得る。そのような生物からのゲノム又は他のDNAは、アガロース又はポリアクリルアミドゲル電気泳動、又は他の分離技法により分離され得る。ライブラリーからのDNA又は分離されたDNAが、ニトロセルロース又は他の適切なキャリヤー材料に移行され、そしてその上に固定され得る。配列番号1と相同であるクローン又はDNA、又はそのサブ配列を同定するためには、キャリヤー材料がサザンブロットに使用される。
【0047】
本発明のためには、ハイブリダイゼーションは、ヌクレオチド配列が、非常に低い〜非常に高い緊縮条件下で、配列番号1の成熟ポリペプチドコード配列、配列番号1の成熟ポリペプチドコード配列を含んで成るゲノムDNA配列;その相補的鎖、又はそのサブ配列に対応するラベルにされた核酸プローブにハイブリダイズすることを示す。核酸プローブがそれらの条件下でハイブリダイズする分子は、X−線フィルムを用いて検出される。
【0048】
好ましい観点においては、核酸プローブは、配列番号1の成熟ポリペプチドコード配列である。もう1つの好ましい観点においては、核酸プローブは、配列番号1のヌクレオチド52〜1443である。もう1つの好ましい観点においては、核酸プローブは、配列番号2のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列、又はそのサブ配列である。もう1つの好ましい観点においては、核酸プローブは、配列番号1である。もう1つの好ましい観点においては、核酸プローブは、E.コリNRRL B-30802に含まれるプラスミドpTter6Aに含まれるポリヌクレオチド配列であり、ここでそのポリペプチド配列はセロビオヒドロラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする。もう1つの好ましい観点においては、核酸プローブは、E. コリNRRL B−30802に含まれるプラスミドpTter6Aに含まれる成熟ポリペプチド領域である。
【0049】
少なくとも100個の長さのヌクレオチドの長さの長いプローブに関して、非常に低い〜非常に高い緊縮条件は、最適には12〜24時間の標準のサザンブロット方法に従っての、5×SSPE、 0.3%SDS、 200μg/ml の剪断され、そして変性されたサケ精子DNA、及び25%ホルムアミド(非常に低い及び低い緊縮に関して)、35%ホルムアミド(中位及び中−高緊縮に関して)、又は50%ホルムアミド(高い及び非常に高い緊縮に関して)における42℃でのプレハイブリダイゼーション及びハイブリダイゼーションとして定義される。
【0050】
少なくとも100個の長さのヌクレオチドの長いプローブに関しては、キャリヤー材料は最終的に、2×SSC、 0.2%SDS溶液を用いて、好ましくは少なくとも45℃(非常に低い緊縮)、より好ましくは少なくとも50℃(低い緊縮)、より好ましくは少なくとも55℃(中位の高い緊縮)、より好ましくは少なくとも60℃(中くらいに高い緊縮)、さらにより好ましくは少なくとも65℃(高い緊縮)及び最も好ましくは少なくとも70℃(非常に高い緊縮)で、それぞれ15分間、3度洗浄される。
【0051】
約15個〜約70個の長さのヌクレオチドである短いプローブに関しては、緊縮条件は、0.9MのNaCl、0.09Mのトリス−HCl, pH7.6、 6mM のEDTA、 0.5%のNP-40, 1×Denhardt’s溶液、1mMのピロリン酸ナトリウム、1mMの一塩基性リン酸ナトリウム、0.1mMのATP及び0.2mgの酵母RNA(ml当たり)における、Bolton and McCarthy(1962、Proceedings of the National Academy of Sciences USA 48: 1390)に従って計算されたTmよりも約5℃〜約10℃低い温度での、最適には12〜24時間の標準のサザンブロット方法に従ってのプレハイブリダイゼーション、ハイブリダイゼーション、及び後−ハイブリダイゼーション洗浄として定義される。
【0052】
約15個〜約70個の長さのヌクレオチドである短いプローブに関しては、キャリヤー材料は、6×SSC及び0.1%SDSにより15分間、1度、及び6×SSCを用いて、計算されたTmよりも約5℃〜約10℃低い温度でそれぞれ15分間、2度、洗浄される。
【0053】
第3の観点においては、本発明は、配列番号2の成熟ポリペプチドの1又は複数のアミノ酸の保存性置換、欠失及び/又は挿入を含んで成る人工変異体;又はその相同配列に関する。好ましくは、アミノ酸変化は、マイナーな性質のもの、すなわち保存性アミノ酸置換又は置換;1〜約30個のアミノ酸の小さな欠失;小さなアミノ−又はカルボキシル−末端、例えばアミノ末端メチオニン残基の延長;約20〜25個までの残基の小さなリンカーペプチド;又は実行電荷又は他の機能、例えばポリ−ヒスチジン路、抗原性エピトープ又は結合ドメインを変えることにより精製を促進する小さな延長のものであり;換言すれば、タンパク質の折りたたみ及び/又は活性に有意に影響を及ぼさない変化である。
【0054】
保存性置換の例は、塩基性アミノ酸(アルギニン、リシン及びヒスチジン)、酸性アミノ酸(グルタミン酸及びアスパラギン酸)、極性アミノ酸(グルタミン及びアスパラギン)、疎水性アミノ酸(ロイシン、イソロイシン及びバリン)、芳香族アミノ酸(フェニルアラニン、トリプトファン及びチロシン)、及び小さなアミノ酸(グリシン、アラニン、セリン、トレオニン及びメチオニン)のグループ内である。一般的に、比活性を変更しないアミノ酸置換は当業界において知られており、そしてたとえば、H. Neurath and R.L. Hill, 1979, The Proteins, Academic Press, New York により記載されている。最も通常生じる交換は次のものである: Ala/Ser, Val/Ile, Asp/Glu, Thr/Ser, Ala/Gly, Ala/Thr, Ser/Asn, Ala/Val, Ser/Gly, Tyr/Phe, Ala/ Pro, Lys/Arg, Asp/Asn, Leu/Ile, Leu/Val, Ala/Glu及びAsp/Gly。
【0055】
20の標準アミノ酸の他に、非標準のアミノ酸(例えば、4−ヒドロキシプロリン、6−N−メチルリシン、2−アミノイソ酪酸、イソバリン及びα−メチルセリン)は、野生型ポリペプチドのアミノ酸残基により置換され得る。限定された数の非保存性アミノ酸、すなわち遺伝子コードによりコードされないアミノ酸、及び不自然なアミノ酸は、アミノ酸残基により置換され得る。不自然なアミノ酸は、化学的に合成され得、そして好ましくは、市販されており、そしてピペコリン酸、チアゾリジンカルボン酸、デヒドロプロリン、3−及び4−メチルプロリン及び3,3−ジメチルプロリンを包含する。
【0056】
他方では、アミノ酸変化は、ポリペプチドの生理化学的性質が変更されるような性質のものである。例えば、アミノ酸変化は、ポリペプチドの熱安定性を改良し、基質変異性を変更し、pH最適性を変え、そして同様のことをする。
【0057】
親ポリペプチドにおける必須アミノ酸は、当業界において知られている方法、例えば特定部位の突然変異誘発、又はアラニン−走査突然変異誘発に従って同定され得る(Cunningham and Wells, Science 244: 1081-1085, 1989)。後者の技法においては、単一のアラニンの突然変異が分子におけるあらゆる残基に導入され、そして得られる変異体分子は、分子の活性に対して決定的であるアミノ酸残基を同定するために、生物学的活性(すなわち、セロビオヒドロラーゼ活性)について試験される。また、Hilton など., J. Biol. Chem. 271: 4699-4708, 1996を参照のこと。
【0058】
酵素又は他の生物学的相互作用の活性部位はまた、推定上の接触部位アミノ酸の突然変異に関して、核磁気共鳴、結晶学、電子回折、又は光親和性ラベリングのような技法により決定されるように、構造の物理的分析によっても決定され得る。例えば、de Vos など., Science 255: 306-312, 1992; Smith など., J. Mol. Biol. 224: 899-904, 1992; Wlodaver など., FEBS Lett. 309: 59-64, 1992を参照のこと。必須アミノ酸の本体はまた、本発明のポリペプチドに関連するポリペプチドとの同一性の分析からも推定され得る。
【0059】
単一又は複数のアミノ酸置換は、突然変異誘発、組換え及び/又はシャフリング、続く適切なスクリーニング方法、例えばReidhaar-Olson and Sauer (Science 241: 53-57, 1988), Bowie and Sauer (Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86: 2152-2156, 1989), WO95/17413号又はWO95/22625号により開示される既知の方法を用いて、生成され、そして試験され得る。使用され得る他の方法は、エラープロンPCR、ファージ表示(例えば、Lowman など., Biochem. 30: 10832-10837, 1991; Ladner など., アメリカ特許第5,223,409号;Huse, WIPO Publication WO92/06204号)及び特定領域の突然変異誘発(Derbyshire など., Gene 46: 145, 1986; Ner など., DNA 7: 127, 1988)を包含する。
【0060】
突然変異誘発/シャフリング方法は、宿主細胞においてクローン化され、突然変異誘発されたポリペプチドの活性を検出するために、高い処理量の自動化されたスクリーニング方法と組み合わされ得る(Ness など., 1999, Nature Biotechnology 17: 893-896)。活性ポリペプチドをコードする突然変異誘発されたDNA分子は、宿主細胞から回収され、そして近代装置を用いて急速に配列決定され得る。それらの方法は、興味あるポリペプチドにおける重要な個々のアミノ酸残基の急速な決定を可能にし、そして未知の構造体のポリペプチドに適用され得る。
【0061】
配列番号2の成熟ポリペプチド、例えば配列番号2のアミノ酸18〜481のアミノ酸置換、欠失及び/又は挿入の合計数は、10、好ましくは9、より好ましくは8、より好ましくは7、より好ましくは多くとも6、より好ましくは5、より好ましくは4、さらにより好ましくは3、最も好ましくは2、及びさらに最も好ましくは1である。
【0062】
セロビオヒドロラーゼ活性を有するポリペプチド源
本発明のポリペプチドは、いずれかの属の微生物から得られる。本発明のためには、用語“〜から得られる”とは、所定の源に関して本明細書において使用される場合、ヌクレオチド配列によりコードされるポリペプチドが前記源により、又はその源からのヌクレオチド配列が挿入されている細胞により生成されることを意味する。好ましい態様においては、所定の源から得られるポリペプチドは細胞外に分泌される。
【0063】
本発明のポリペプチドは、細菌性ポリペプチドであり得る。例えば、ポリペプチドは、グラム陽性細菌ポリペプチド、例えばセロビオヒドロラーゼ活性を有するバチルス(bacillus)ポリペプチド、例えばバチルス・アルカロフィラス(Bacillus alkalophilus)、バチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)、バチルス・ブレビス(Bacillus brevis)、バチルス・サーキュランス(Bacillus circulans)、バチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)、バチルス・ラウタス(Bacillus lautus)、バチルス・レンタス(Bacillus lentus)、バチルス・リケニホルミス(Bacillus licheniformis)、バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)、バチルス・ステアロサーモフィラス(Bacillus stearothermophilus)、バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)又はバチルス・スリンジエンシス(Bacillus thuringiensis)ポリペプチド;又はセロビオヒドロラーゼ活性を有するストレプトミセス(Streptomyces)ポリペプチド、例えばセロビオヒドロラーゼ活性を有するストレプトミセス・リビダンス(Streptomyces lividans)又はストレプトミセス・ムリナス(Streptomyces murinus)ポリペプチド;又はセロビオヒドロラーゼ活性を有するグラム陰性細菌ポリペプチド、例えばセロビオヒドロラーゼ活性を有するE.コリ(E. coli)又はプソイドモナスsp. (Pseudomonas sp.) ポリペプチドであり得る。
【0064】
本発明のポリペプチドは、菌類ポリペプチド、及びより好ましくは、酵母ポリペプチド、例えばセロビオヒドロラーゼ活性を有する、カンジダ(Candida)、クルイベロミセス(Kluyveromyces)、ピチア(Pichia)、サッカロミセス(Saccharomyces)、シゾサッカロミセス(Schizos accharomyces)、又はヤロウイア(Yarrowia)ポリペプチド;又はより好ましくは、セロビオヒドロラーゼ活性を有する、糸状菌ポリペプチド、例えばアクレモニウム(Acremonium)、アスペルギラス(Aspergillus)、アウレオバシジウム(Aureobasidium)、クリプトコーカス(Cryptococcus)、フィリバシジウム(Filibasidium)、フサリウム(Fusarium)、ヒューミコラ(Humicola)、マグナポリス(Magnaporthe)、ムコル(Mucor)、ミセリオプソラ(Myceliophthora)、ネオカノマスチックス(Neocallimastix)、ネウロスポラ(Neurospora)、パエシロミセス(Paecilomyces)、ペニシリウム(Penicillium)、ピロミセス(Piromyces)、シゾフィラム(Schizophyllum)、タラロミセス(Talaromyces)、サーモアスカス(Thermoascus)、チエラビア(Thielavia)、トリポクラジウム(Tolypocladium)又はトリコダーマ(Trichoderma)ポリペプチドであり得る。
【0065】
好ましい観点においては、ポリペプチドは、セロビオヒドロラーゼ活性を有する、サッカロミセス・カルスベルゲンシス(Saccharomyces carlsbergensis)、サッカロミセス・セレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae)、サッカロミセス・ジアスタチカス(Saccharomyces diastaticus)、サッカロミセス・ドウグラシ(Saccharomyces douglasii)、サッカロミセス・クルイベリ(Saccharomyces kluyveri)、サッカロミセス・ノルベンシス(Saccharomyces norbensis)又はサッカロミセス・オビホルミス(Saccharomyces oviformis)ポリペプチドである。
【0066】
もう1つの好ましい観点においては、ポリペプチドは、セロビオヒドロラーゼ活性を有する、アスペルギラス・アキュレアタス(Aspergillus aculeatus)、アスペルギラス・アワモリ(Aspergillus awamori)、アスペルギラス・ホエチダス(Aspergillus foetidus)、アスペルギラス・ジャポニカス(Aspergillus japonicus)、アスペルギラス・ニジュランス(Aspergillus nidulans)、アスペルギラス・ニガー(Aspergillus niger)、アスペルギラス・オリザエ(Aspergillus oryzae)、フサリウム・バクトリジオイデス(Fusarium bactridioides)、フサリウム・セレアリス(Fusarium cerealis)、フサリウム・クロックウェレンズ(Fusarium crookwellense)、フサリウム・クルモラム(Fusarium culmorum)、フサリウム・グラミネアラム(Fusarium graminearium)、フサリウム・グラミナム(Fusarium graminum)、フサリウム・ヘテロスポラム(Fusarium heterosporum)、フサリウム・ネグンジ(Fusarium negundi)、フサリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)、フサリウム・レチキュラタム(Fusarium reticulatum)、フサリウム・ロゼウム(Fusariumu roseum)、フサリウム・サムブシウム(Fusarium sambucinum)、フサリウム・サルコクロウム(Fusarium sarcochroum)、フサリウム・スポロトリキオイデス(Fusarium sporotrichioides)、フサリウム・スルフレウム(Fusarium sulphureum)、フサリウム・トルロサム(Fusarium torulosaum)、フサリウム・トリコセシオイデス(Fusarium trichothecioides)、フサリウム・ベネナタム(Fusarium venenatum)、ヒュミコラ・インソレンス(Humicola insolens)、ヒュミコラ・ラヌギノサ(Humicola lanuginosa)、ムコル・ミエヘイ(Mucor miehei)、ミセリオプラソ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophila)、ネウロスポラ・クラサ(Neurospora crassa)、ペニシリウム・プルプロゲナム(Penicillium purpurogenum)、トリコダーマ・ハルジアナル(Trichoderma harzianum)、トリコダーマ・コニンギ(Trichoderma koningii)、トリコダーマ・ロンジブラキアタム(Trichoderma longibrachiatum)、トリコダーマ・レセイ(Trichoderma reesei)又はトリコダーマ・ビリデ(Trichoderma viride)ポリペプチドである。
【0067】
もう1つの好ましい観点においては、ポリペプチドは、セロビオヒドロラーゼ活性を有する、チエラビア・アクロマチカ(Thielavia achromatica)、チエラビア・アルボミセス(Thielavia albomyces)、チエラビア・アルボピロサ(Thielavia albopilosa)、チエラビア・アウストラレインシス(Thielavia australeinsis)、チエラビア・フィメチ(Thielavia fimeti)、チエラビア・ミクロスポラ(Thielavia microspora)、チエラビア・オビスポラ(Thielavia ovispora)、チエラビア・ペルビアナ(Thielavia peruviana)、チエラビア・スペデドニウム(Thielavia spededonium)、チエラビア・セトサ(Thielavia setosa)、チエラビア・サブサーモフィラ(Thielavia subthermophila)、チエラビア・テレストリス(Thielavia terrestris)、チエラビア・テリコラ(Thielavia terricola)、チエラビア・サーモフィラ(Thielavia thermophila)、チエラビア・バルロスポラ(Thielavia variospora)又はチエラビア・ワレリギ(Thielavia wareingii)ポリペプチドである。
【0068】
より好ましい観点においては、ポリペプチドは、チエラビア・テレストリスポリペプチド、及び最も好ましくは、チエラビア・テレストリスNRRL8126、例えば配列番号2のポリペプチド、又はその成熟ポリペプチドである。
前述の種に関しては、本発明は完全及び不完全状態の両者、及び他の分類学的同等物、例えばアナモルフを、それらが知られている種の名称にかかわらず、包含することが理解されるであろう。当業者は適切な同等物の正体を容易に理解するであろう。
【0069】
それらの種の株は、次の多くの培養物寄託所から容易に入手できる:American Type Culture Collection (ATCC), Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH (DSM), Centraalbureau Voor Schimmelcaltures (CBS), 及びAgricultural Research Service Patent Culture Collection, Northern Regional Research Center (NRRL)。
【0070】
さらに、そのようなポリペプチドは、他の源、例えば天然源(例えば、土壌、培養土、水、等)から単離された微生物から、上記プローブを用いて同定され、そして得られる。天然の生息地から微生物を単離する技法は当業界において良く知られている。次に、ポリヌクレオチドは、そのような微生物のゲノム又はcDNAライブラリーを同様にスクリーニングすることにより得られる。ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列がプローブにより検出されると、ポリヌクレオチドは当業者に知られている技法を用いることによって同定され、又はクローン化され得る(例えば、J. Sambrook,など, 1989,前記を参照のこと)。
【0071】
本発明のポリペプチドはまた、もう1つのポリペプチドがそのポリペプチド又はそのフラグメントのN−末端又はC−末端で融合されている、融合されたポリペプチド又は分解できる融合ポリペプチドを包含する。融合されたポリペプチドは、もう1つのポリペプチドをコードするヌクレオチド配列(又はその一部)を、本発明のヌクレオチド配列(又はその一部)に融合することによって生成される。融合ポリペプチドを生成するための技法は、当業界において知られており、ポリペプチドをコードするコード配列の連結を包含し、その結果、それらは読み取り枠を整合して存在し、そして融合されたポリペプチドの発現は、同じプロモーター及びターミネーターの制御下にある。
【0072】
ポリヌクレオチド
本発明はまた、セロビオヒドロラーゼ活性を有する本発明のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含んで成るか又はそれらから成る単離されたポリヌクレオチドにも関する。
【0073】
好ましい観点においては、ヌクレオチド配列は、配列番号1を含んで成るか又はそれから成る。もう1つのさらに好ましい観点においては、ヌクレオチド配列は、E. コリNRRL B-30802に含まれるプラスミドpTter6Aに含まれる配列を含んで成るか又はそれから成る。もう1つの好ましい観点においては、ヌクレオチド配列は、配列番号1の成熟ポリペプチドコード領域を含んで成るか又はそれから成る。もう1つの好ましい観点においては、ヌクレオチド配列は、配列番号1のヌクレオチド52〜1443を含んで成るか又はそれらから成る。
【0074】
もう1つのより好ましい観点においては、ヌクレオチド配列は、E. コリNRRL B−30802に含まれるプラスミドpTter6Aに含まれる成熟ポリペプチドコード領域を含んで成るか又はそれから成る。本発明はまた、配列番号2のアミノ酸配列を含んで成るか又はそれから成るポリペプチド、又は配列番号1又はその成熟ポリペプチドコード配列とは、遺伝子コードの縮重により異なる、その成熟ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列も包含する。本発明はまた、セロビオヒドロラーゼ活性を有する配列番号2のフラグメントをコードする配列番号1のサブ配列にも関する。
【0075】
本発明はまた、変異体ヌクレオチド配列が配列番号2の成熟ポリペプチドをコードする、配列番号1の成熟ポリペプチドコード配列に少なくとも1つの突然変異を含んで成るか、又はそれから成る変異体ポリヌクレオチドにも関する。好ましい観点においては、成熟ポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸18〜481である。
【0076】
ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを単離し、又はクローン化するために使用される技法は、当業界において知られており、そしてゲノムDNAからの単離、cDNAからの調製、又はそれらの組み合わせを包含する。そのようなゲノムDNAからの本発明のポリヌクレオチドのクローニングは、例えば良く知られているポリメラーゼ鎖反応(PCR)、又は共有する構造特徴を有するクローン化されたDNAフラグメントを検出するために発現ライブラリーの抗体スクリーニングを用いることによってもたらされ得る。例えば、Innisなど., 1990, PCR: A Guide to Methods and Application; Academic Press, New York を参照のこと。他の核酸増幅方法、例えばリガーゼ鎖反応(LCR)、連結された活性化転写(LAT)及び核酸配列に基づく増幅(NASBA)が使用され得る。ポリヌクレオチドは、チエラビア株、又は他の又は関連する生物からクローン化され得、そして従って、ヌクレオチド配列のポリペプチドコード領域の対立遺伝子又は種変異体であり得る。
【0077】
本発明はまた、配列番号1の成熟ポリペプチドコード配列に対して、少なくとも60%、好ましくは少なくとも65%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、さらにより好ましくは95%、及び最も好ましくは少なくとも97%の程度の同一性を有する、活性ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含んで成るか、又はそれから成るポリヌクレオチドにも関する。好ましい観点においては、成熟ポリペプチドコード配列は、配列番号1のヌクレオチド52〜1443である。
【0078】
本発明のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の修飾は、そのポリペプチドに実質的に類似するポリペプチドの合成のために必要である。用語、ポリペプチドに“実質的に類似する”とは、ポリペプチドの天然に存在しない形を意味する。それらのポリペプチドは、その天然源から単離されたポリペプチドとは、いくつかの構築された態様で異なり、例えば非活性、熱安定性、pH最適性又は同様のものにおいて異なる変異体であり得る。
【0079】
変異体配列は、配列番号1のポリペプチドコード部分として提供されるヌクレオチド配列、例えばそのサブ配列に基づいて、及び/又はヌクレオチド配列によりコードされるポリペプチドのもう1つのアミノ酸配列を生ぜしめないが、しかし酵素の生成のために意図された宿主生物のコドン使用法に対応するヌクレオチド置換の導入により、又は異なったアミノ酸配列を生ぜしめることができるヌクレオチド置換の導入により構成され得る。ヌクレオチド置換の一般的記載のためには、Fordなど., 1991, Protein Expression and Purification 2:95-107を参照のこと。
【0080】
そのような置換は、分子の機能に対して決定的である領域外で行われ、そしてさらに活性ポリペプチドをもたらすことは、当業者に明らかであろう。本発明の単離されたポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドの活性に必須であり、そして従って、好ましくは置換を受けやすくないアミノ酸残基は、当業界において知られている方法、例えば特定部位の突然変異誘発又はアラニン−走査突然変異誘発に従って同定され得る(例えば、Cunningham and Wells, 1989, 前記を参照のこと)。
【0081】
後者の技法においては、突然変異は分子における正に荷電された残基ごとに導入され、そしてその得られる変異体分子は、分子の活性に対して決定的であるアミノ酸残基を同定するためにセロビオヒドロラーゼ活性について試験される。基質−酵素相互作用の部位はまた、核磁気共鳴分析、クリスタログラフィー又は光親和性ラベリングのような技法により決定されるように、立体構造体の分析により決定され得る(例えば、de Vos など., 1992, 前記; Smith など., 1992,前記; Wlodaver など., 1992, 前記を参照のこと)。
【0082】
本発明はまた、(i)配列番号1の成熟ポリペプチドコード配列、(ii)配列番号1の成熟ポリペプチドコード配列を含んで成るゲノムDNA配列、又は(iii)(i)又は(ii)の相補的鎖;又はその対立遺伝子変異体及びサブ配列に対して、非常に低い緊縮条件、好ましくは低い緊縮条件、より好ましくは中位の緊縮条件、より好ましくは中くらいの高い緊縮条件、さらにより好ましくは高い緊縮条件、及び最も好ましくは非常に高い緊縮条件下でハイブリダイズする(Sambrookなど., 1989、前記)、本発明のポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドにも関する。好ましい観点においては、配列番号1の成熟コード配列は、ヌクレオチド52〜1443である。
【0083】
本発明はまた、(a)(i)配列番号1の成熟ポリペプチドコード配列、(ii)配列番号1の成熟ポリペプチドコード配列を含んで成るゲノムDNA配列、又は(iii)(i)又は(ii)の相補的鎖と、非常に低い、低い、中位、中くらいの高い、高い、又は非常に高い緊縮条件下でDNA集団とをハイブリダイズし;そして(b)セロビオヒドロラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする前記ハイブリダイズするポリヌクレオチドを単離することにより得られる、単離されたポリヌクレオチドにも関する。好ましい観点においては、配列番号1の成熟ポリペプチドコード配列は、ヌクレオチド52〜1443である。
【0084】
核酸構造体
本発明はまた、制御配列と適合できる条件下で、適切な宿主細胞におけるコード配列の発現を指図する1又は複数の制御配列に作用可能に連結される本発明の単離されたポリヌクレオチドを含んで成る核酸構造体にも関する。
【0085】
本発明のポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドは、ポリペプチドの発現を提供するために種々の手段で操作され得る。ベクター中へのその挿入の前、ポリヌクレオチド配列の操作は、発現ベクターに依存して、所望されるか又は必要とされる。組換えDNA方法を用いてポリヌクレオチド配列を修飾するための技法は、当業界において良く知られている。
【0086】
制御配列は、適切なプロモーター配列、すなわち本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの発現のために宿主細胞により認識されるヌクレオチド配列であり得る。プロモーター配列は、ポリペプチドの発現を仲介する転写制御配列を含む。プロモーターは、宿主細胞において転写活性を示すいずれかのヌクレオチド配列、例えば変異体の、切断された、及びハイブリッドのプロモーターであり得、そして宿主細胞に対して相同であるか又は異種である細胞外又は細胞内ポリペプチドをコードする遺伝子から得られる。
【0087】
特に細胞宿主細胞において本発明の核酸構造体の転写を方向づけるための適切なプロモーターの例は、E.コリlacオペロン、ストレプトミセス・コエリカラー(Streptomyces coelicolor)アガラーゼ遺伝子(dagA)、バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)Lバンスクラーゼ遺伝子(sacB)、バチルス・リケニホルミス(Bacillus licheniformis)α−アミラーゼ遺伝子(amyL)、バチルス・ステアロサーモフィラス(Bacillus stearothermophilus)マルトゲン性アミラーゼ遺伝子(amyM)、バチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliguefaciens) α−アミラーゼ遺伝子(amyQ)、バチルス・リケニホルミスペニシリナーゼ遺伝子(penP)、バチルス・サブチリスxylA及びxylB遺伝子及び原生動物のβ−ラクタマーゼ遺伝子から得られるプロモーター(Villa−Kamaroffなど., 1978, Proceedings of the National Academy of Sciences USA 75: 3727-3731)、及びtac プロモーター(De Boer など., 1983, Proceedings of the National Academy of Science USA 80: 21-25)である。さらなるプロモーターは、“Useful proteins from recombinant bacteria” in Scientific American, 1980, 242: 74-94; 及びSambrookなど., 1989, 前記に記載される。
【0088】
糸状菌宿主細胞における本発明の核酸構造体の転写を方向づけるための適切なプロモーターの例は、アスペルギラス・オリザエTAKAアミラーゼ、リゾムコル・ミエヘイ アスパラギン酸プロテイナーゼ、アスペルギラス・ニガー中性α−アミラーゼ、アスペルギラス・ニガー酸安定性α−アミラーゼ、アスペルギラス・ニガー又はアスペルギラス・アワモリグルコアミラーゼ(glaA)、リゾムコル・ミエヘイリパーゼ、アスペルギラス・オリザエ アルカリプロテアーゼ、アスペルギラス・オリザエトリオースリン酸イソメラーゼ、アスペルギラス・ニジュランスアセトアミダーゼ、フサリウム・ベネナタムアミログルコシダーゼ(WO00/56900号)、フサリウム・ベネナタムDaria(WO00/56900号)、フサリウム・ベネナタムQuinn(WO00/56900号)、フサリウム・オキシスポラムトリプシン様プロテアーゼ(WO96/00787号)、トリコダーマ・レセイβ−グルコシダーゼ、トリコダーマ・レセイセロビオヒドロラーゼI、トリコダーマ・レセイセロビオヒドロラーゼII、トリコダーマ・レセイエンドグルカナーゼI、トリコダーマ・レセイエンドグルカナーゼII、トリコダーマ・レセイエンドグルカナーゼIII 、トリコダーマ・レセイエンドグルカナーゼIV、トリコダーマ・レセイエンドグルカナーゼV、トリコダーマ・レセイキシラナーゼI、トリコダーマ・レセイキシラナーゼII、トリコダーマ・レセイβ−キシロシダーゼ、並びにNA2-tpiプロモーター(アスペルギラス・ニガー中性α−アミラーゼ及びアスペルギラス・オリザエトリオースリン酸イソメラーゼをコードする遺伝子からのプロモーターのハイブリッド)、及びそれらの変異体の切断され、及びハイブリッドのプロモーターである。
【0089】
酵母宿主においては、有用なプロモーターは、サッカロミセス・セレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae)エノラーゼ(ENO−1)、サッカロミセス・セレビシアエガラクトキナーゼ(GAL1)、サッカロミセス・セレビシアエアルコールデヒドロゲナーゼ/グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(ADH1、ADH2/GAP)、サッカロミセス・セレビシアエトリオースホスフェートイソメラーゼ(TPI)、サッカロミセス・セレビシアエ金属チオニン(CUP1)及びサッカロミセス・セレビシアエ3−ホスホグリセレートキナーゼから得られる。酵母宿主細胞のための他の有用なプロモーターは、Romanosなど., 1992, Yeast8:423−488により記載される。
【0090】
制御配列はまた、適切な転写ターミネーター配列、すなわち転写を終結するために宿主細胞により認識される配列でもあり得る。ターミネーター配列は、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の3’側末端に作用可能に連結される。選択の宿主細胞において機能的であるいずれかのターミネーターが本発明において使用され得る。
【0091】
糸状菌宿主細胞のための好ましいターミネーターは、アスペルギラス・オリザエTAKAアミラーゼ、アスペルギラス・ニガーグルコアミラーゼ、アスペルギラス・ニジュランスアントラニル酸シンターゼ、アスペルギラス・ニガーα−グルコシダーゼ及びフサリウム・オキシスポラムトリプシン−様プロテアーゼについての遺伝子から得られる。
【0092】
酵母宿主細胞のための好ましいターミネーターは、サッカロミセス・セレビシアエエノラーゼ、サッカロミセス・セレビシアエチトクロムC(CYC1)、及びサッカロミセス・セレビシアエグリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼについての遺伝子から得られる。酵母宿主細胞のための他の有用なターミネーターは、Romanosなど., 1992, 前記により記載される。
【0093】
制御配列はまた、適切なリーダー配列、すなわち宿主細胞による翻訳のために重要であるmRNAの非翻訳領域でもあり得る。リーダー配列は、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の5’末端に作用可能に連結される。選択の宿主細胞において機能的であるいずれかのリーダー配列が、本発明において使用され得る。
糸状菌宿主細胞のための好ましいリーダーは、アスペルギラス・オリザエTAKAアミラーゼ、アスペルギラス・ニジュランストリオースリン酸イソメラーゼについての遺伝子から得られる。
【0094】
酵母宿主細胞のための適切なリーダーは、サッカロミセス・セレビシアエエノラーゼ(ENO−1)、サッカロミセル・セレビシアエ3−ホスホグリセレートキナーゼ、サッカロミセス・セレビシアエα−因子及びサッカロミセス・セレビシアエアルコールデヒドロゲナーゼ/グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(ADH2/GAP)についての遺伝子から得られる。
【0095】
制御配列はまた、ポリアデニル化配列、すなわちヌクレオチド配列の3’末端に操作可能に連結され、そして転写される場合、転写されたmRNAにポリアデノシン残基を付加するためにシグナルとして宿主細胞により認識される配列でもあり得る。選択の宿主細胞において機能的であるいずれかのポリアデニル化配列が,本発明において使用される。
【0096】
糸状菌宿主細胞のための好ましいポリアデニル化配列は、アスペルギラス・オリザエTAKAアミラーゼ、アスペルギラス・ニガーグルコアミラーゼ、アスペルギキラス・ニジュランスアントラニル酸シンターゼ、フサリウム・オキシスポラムトリプシン−様プロテアーゼ及びアスペルギラス・ニガーα−グルコシダーゼについての遺伝子から得られる。
酵母宿主細胞のための有用なポリアデニル化配列は、Guo and Sherman, 1995, Molecular Cellular Biology 15: 5983-5990により記載されている。
【0097】
制御配列はまた、ポリペプチドのアミノ末端に連結されるアミノ酸配列をコードし、そしてそのコードされたポリペプチドを細胞の分泌路中に方向づけるシグナルペプチドコード領域でもあり得る。核酸配列のコード配列の5’側末端は、本来、分泌されたポロペプチドをコードするコード領域のセグメントと翻訳読み取り枠を整合して、天然において連結されるシグナルペプチドコード領域を含むことができる。他方では、コード配列の5’側末端は、そのコード配列に対して外来性であるシグナルペプチドコード領域を含むことができる。そのコード配列が天然において、シグナルペプチドコード領域を含まない外来性シグナルペプチドコード領域が必要とされる。他方では、外来性シグナルペプチドコード領域は、ポリペプチドの増強された分泌を得るために、天然のシグナルペプチドコード領域を単純に置換することができる。しかしながら、分泌路中に発現されたポリペプチドを方向づけるいずれかのシグナルペプチドコード領域が、本発明に使用され得る。
【0098】
細菌宿主細胞のための効果的なシグナルペプチドコード領域は、バチルスNCIB11837マルトゲン性アミラーゼ、バチルス・ステアロサーモフィラスα−アミラーゼ、バチルス・リケニホルミススブチリシン、バチルス・リケニホルミスβ−ラクタマーゼ、バチルス・アステロサーモフィラス中性プロテアーゼ(nprT, nprS, nprM)、及びバチルス・スブチリスprsAについての遺伝子から得られるシグナルペプチド領域である。追加のシグナルペプチドは、Sinomen and Palva, 1993, Microbiological Reviews 57: 109-137 により記載される。
【0099】
糸状菌宿主細胞のための効果的なシグナルペプチドコード領域は、アスペルギラス・オリザエTAKAアミラーゼ、アスペルギラス・ニガー中性アミラーゼ、アスペルギラス・ニガーグルコアミラーゼ、リゾムコル・ミエヘイアスペラギン酸プロテイナーゼ、ヒューミコラ・インソレンスセルラーゼ、ヒューミコラ・インソレンスエンドグカナーゼV及びヒューミコラ・ラヌギノサリパーゼについての遺伝子から得られたシグナルペプチドコート領域である。
【0100】
好ましい観点においては、シグナルペプチドは、配列番号2のアミノ酸1〜17である。もう1つの好ましい観点においては、シグナルペプチドは、配列番号2のアミノ酸1〜17をコードする、配列番号1のヌクレオチド1〜51である。
酵母宿主細胞のための有用なシグナルペプチドは、サッカロミセス・セレビシアエα−因子及びサッカロミセス・セレビシアエインバーターゼについての遺伝子から得られる。他の有用なシグナルペプチドコード領域は、Romanos など., 1992, 前記により記載される。
【0101】
制御配列はまた、ポリペプチドのアミノ末端で位置するアミノ酸配列をコードするプロペプチドコード領域であり得る。得られるポリペプチドは、プロ酵素又はプロポリペプチド(又は多くの場合、チモーゲン)として知られている。プロポリペプチドは一般的に不活性であり、そしてプロポリペプチドからプロペプチドの触媒又は自己触媒分解により成熟した活性ポリペプチドに転換され得る。プロペプチドコード領域は、バチルス・サブチリスアルカリプロテアーゼ(aprE)、バチルス・サブチリス中性プロテアーゼ(nprT)、サッカロミセス・セレビシアエα−因子、リゾムコル・ミエヘイ アスパラギン酸プロテイナーゼ遺伝子、及びミセリオプソラ・サーモフィリア ラッカーゼについての遺伝子から得られる(WO95/33836号)。
【0102】
シグナルペプチド及びプロペプチド領域の両者がポリペプチドのアミノ末端に存在する場合、そのプロペプチド領域は、ポリペプチドのアミノ末端の次に位置し、そしてシグナルペプチド領域は、プロペプチド領域のアミノ末端の次に位置する。
【0103】
宿主細胞の増殖に関して、ポリペプチドの発現の調節を可能にする調節配列を付加することがまた所望される。調節システムの例は、調節化合物の存在を包含する、化学的又は物理的刺激に応答して、遺伝子の発現の開始又は停止を引き起こすそれらのシステムである。原核生物系における調節システムは、lac, tac及びtrpオペレーターシステムを包含する。酵母においては、ADH2システム又はGAL1システムが使用され得る。
【0104】
糸状菌においては、TAKAα−アミラーゼプロモーター、アスペルギラス・ニガーグルコアミラーゼプロモーター及びアスペルギラス・オリザエグルコアミラーゼプロモーターが、調節配列として使用さえ得る。調節配列の他の列は、遺伝子増幅を可能にするそれらの配列である。真核システムにおいては、それらはメトトレキセートの存在下で増幅されるジヒドロ葉酸レダクターゼ遺伝子、及び重金属と共に増幅されるメタロチオネイン遺伝子を包含する。それらの場合、ポリペプチドをコードする核酸配列が、調節配列により作用可能に連結される。
【0105】
発現ベクター
本発明はまた、本発明のポリヌクレオチド、プロモーター、及び転写及び翻訳停止シグナルを含んで成る組換え発現ベクターにも関する。上記の種々の核酸及び制御配列は、1又は複数の便利な制限部位でポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の挿入又は置換を可能にするためにそれらの部位を含むことができる組換え発現ベクターを生成するために一緒に連結され得る。他方では、本発明のヌクレオチド配列は、前記ヌクレオチド配列又は前記配列を含んで成る核酸構造体を、発現のための適切なベクター中に挿入することによって発現され得る。発現ベクターを創造する場合、そのコード配列はベクターに位置し、その結果、コード配列は発現のための適切な制御配列により作用可能に連結される。
【0106】
組換え発現ベクターは、組換えDNA方法に便利にゆだねられ得、そしてヌクレオチド配列の発現をもたらすことができるいずれかのベクター(例えば、プラスミド又はウィルス)であり得る。ベクターの選択は典型的には、ベクターが導入される予定である宿主細胞とベクターとの適合性に依存するであろう。ベクターは、線状又は閉環された環状プラスミドであり得る。
【0107】
ベクターは自律的に複製するベクター、すなわち染色体存在物として存在するベクター(その複製は染色体複製には無関係である)、例えばプラスミド、染色体外要素、ミニクロモソーム又は人工染色体であり得る。ベクターは自己複製を確かめるためのいずれかの手段を含むことができる。他方では、ベクターは、糸状菌細胞中に導入される場合、ゲノム中に組み込まれ、そしてそれが組み込まれている染色体と一緒に複製されるベクターであり得る。さらに、宿主細胞のゲノム中に導入される全DNA又はトランスポゾンを一緒に含む、単一のベクター又はプラスミド、又は複数のベクター又はプラスミドが使用され得る。
【0108】
本発明のベクターは好ましくは、形質転換された、トランスフェクトされた、形質導入された、又は同様の細胞の容易な選択を可能にする1又は複数の選択マーカーを含む。選択マーカーは、1つの遺伝子であり、その生成物は、殺生物剤又はウィルス耐性、重金属に対する耐性、栄養要求性に対する原栄養要求性、及び同様のものを提供する。
【0109】
細菌選択マーカーの例は、バチルス・サブチリス又はバチルス・リケニホルミスからのdal遺伝子、又は抗生物質耐性、例えばアンピシリン、カナマイシン、クロラムフェニコール又はテトラサイクロ(登録商標)ン耐性を付与するマーカーである。酵母宿主細胞のための適切なマーカーは、ADE2、HIS3、LEU2、LYS2、MET3、TRP1及びURA3である。糸状菌宿主細胞に使用するための選択マーカーは、次の群から選択されるが、但しそれらだけには限定されない;amdS (アセトアミダーゼ)、argB (オルニチンカルバモイルトランスフェラーゼ)、bar (ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼ)、hph (ヒグロマイシンホスホトランスフェラーゼ)、niaD (硝酸レダクターゼ)、pyrG (オロチジン−5’−リン酸デカルボキシラーゼ)、sC (硫酸アデニルトランスフェラーゼ) 及びtrpC (アントラニル酸シンターゼ)、並びにそれらの同等物。アスペルギラス・ニジュランス又はアスペルギラス・オリザエのamdS及びpyrG遺伝子及びストレプトミセス・ヒグロスコピカスのbar遺伝子が、アスペルギラス細胞への使用のために好ましい。
【0110】
本発明のベクターは好ましくは、宿主細胞ゲノム中へのベクターの安定した組み込み、又は細胞のゲノムに無関係に細胞におけるベクターの自律的複製を可能にする要素を含む。
【0111】
宿主細胞のゲノム中への組み込みのためには、ベクターは、相同又は非相同組換えによるゲノム中へのベクターの安定した組み込みのためのベクター中のポリペプチド、又はいずれか他の要素をコードするポリヌクレオチド配列に依存する。他方では、ベクターは、染色体における正確な位置で、宿主細胞のゲノム中への相同組換えによる組み込みを方向づけるための追加のヌクレオチド配列を含むことができる。正確な位置での組み込みの可能性を高めるために、組み込み要素は好ましくは、相同組換えの可能性を高めるためにその対応する標的配列と高い程度の同一性を示す十分な数の核酸、例えば100〜10,000個の塩基対、好ましくは400〜10,000個の塩基対、及び最も好ましくは800〜10,000個の塩基対を含むべきである。組み込み要素は、宿主細胞のゲノムにおける標的配合と相同であるいずれかの配列であり得る。さらに、組み込み要素は、非コード又はコードヌクレオチド配列であり得る。他方では、ベクターは非相同組換えにより宿主細胞のゲノム中に組み込まれ得る。
【0112】
自律複製のためには、ベクターはさらに、問題の宿主細胞においてのベクターの自律的な複製を可能にする複製の起点を含んで成る。複製の起点は、細胞において機能する自律複製を仲介するいずれかのプラスミド複製体であり得る。用語“複製の起点”又は“プラスミド複製体”とは、本明細書においては、プラスミド又はベクターのインビボでの複製を可能にするヌクレオチド配列として定義される。
【0113】
複製の細菌起点の例は、E.コリにおける複製を可能にするプラスミドpBR322, pUC19, pACYC177及びpACYC184, 及びバチルスにおける複製を可能にするpUB110, pE194, pTA1060及びpAMβ1の複製の起点である。
酵母宿主細胞への使用のための複製の起点の例は、複製の2ミクロン起点、すなわちARS1, ARS4, ARS1及びCEN3の組み合わせ、及びARS4及びCEN6の組み合わせである。
【0114】
糸状菌細胞において有用な複製の起点の例は、AMA1及びANS1である(Gems など., 1991 , Gene 98:61-67; Cullen et al., 1987, Nucleic Acids Research 15: 9163-9175; WO 00/24883号)。AMA1遺伝子の単離及び前記遺伝子を含んで成るプラスミド又はベクターの構成は、WO00/24883号に開示される方法に従って達成され得る。
【0115】
本発明のポリヌクレオチドの1以上のコピーが、遺伝子生成物の生成を高めるために宿主細胞中に挿入され得る。ポリヌクレオチドのコピー数の上昇は、宿主細胞ゲノム中に配列の少なくとも1つの追加のコピーを組み込むことによって、又はポリヌクレオチドと共に増幅可能な選択マーカー遺伝子を含むことによって得られ、ここで細胞は選択マーカー遺伝子の増幅されたコピーを含み、そしてそれにより、ポリヌクレオチドの追加のコピーが、適切な選択剤の存在下で前記細胞を培養することによって選択され得る。
【0116】
本発明の組換え発現ベクターを構成するために上記要素を連結するために使用される方法は、当業者に良く知られている(例えば、Sambrookなど., 1989, 前記を参照のこと)。
【0117】
宿主細胞
本発明はまた、ポリペプチドの組換え生成において都合良く使用される、本発明のポリヌクレオチドを含んで成る組換え宿主にも関する。本発明のポリヌクレオチドを含んで成るベクターは、そのベクターが染色体組み込み体として、又は前記のような自己複製染色体外ベクターとして維持されるように、宿主細胞中に導入される。用語“宿主細胞”とは、複製の間に生じる突然変異のために、親細胞と同一ではない親細胞のいずれかの子孫を包含する。宿主細胞の選択は、ポリペプチドをコードする遺伝子及びその源に、かなりの程度依存するであろう。
【0118】
宿主細胞は、単細胞微生物、例えば原核生物、又は単細胞微生物、真核生物であり得る。
【0119】
有用な単細胞微生物は、細菌細胞、例えば次のグラム陽性細菌バチルス・アルカロフィラス(Bacillus alkalophilus)、バチルス・アミロリクエファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)、バチルス・ブレビス(Bacillus brevis)、バチルス・サーキュランス(Bacillus circulans)、バチルス・クラウシ(Bacillus clausii)、バチルス・コアギランス(Bacillus coagulans)、バチルス・ラウタス(Bacillus lautus)、バチルス・レンタス(Bacillus lentus)、バチルス・リケニホルミス(Bacillus licheniformis)、バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)、バチルス・ステアロサーモフィラス(Bacillus stearothermophilus)、バチルス・スブチリス(Bacillus subtilis)及びバチルス・スリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)、又はストレプトミセス細胞、例えばストレプトミセス・リビダンス(Streptomyces lividans)又はストレプトミセス・ムリナス(Streptomyces murinus)、又は次のグラム陰性細菌:E.コリ及びプソイドモナスsp.(但し、それらだけには限定されない)である。好ましい態様においては、細菌宿主細胞は、バチルス・レンタス、バチルス・リケニホルミス、バチルス・ステアロサーモフィラス又はバチルス・サブチリス細胞である。もう1つの好ましい態様においては、バチルス細胞は、好アルカリ性バチルスである。
【0120】
細菌宿主細胞中へのベクターの導入は例えば、コンピテント細胞(例えば、Young and Spizizin, 1961, Journal of Bacteriology 81: 823-829, 又はDubnau and Davidoff-Abelson, 1971, Journal of Molecular Biology 56: 209-221 を参照のこと)を用いてプロトプラスト形質転換(例えば、Changand Cohen, 1979, Molecular General Genetics 168: 111-115)、エレクトロポレーション(例えば、Shigekawa and Dower, 1988, Biotechniques 6: 742-751を参照のこと)又は接合(例えば、Koehler and Thorne, 1987, Journal of Bacteriology 169: 5771-5278を参照のこと)によりもたらされ得る。
【0121】
宿主細胞は、真核生物、例えば哺乳類、昆虫、植物、又は菌類細胞であり得る。
好ましい態様においては、宿主細胞は菌類細胞である“菌類”とは、本明細書において使用される場合、門アスコミコタ(Ascomycota)、バシジオミコタ(Basidiomycota)、キトリジオミコタ(Chytridiomycota)及びヅイゴミコタ(Zygomycota)(Hawksworth など., Ainsworth and Bisby’s Dictionary of the Fungi, 8th edition, 1995, CAB International, University Press, Cambridge, UKにより定義される)、及びオーミコタ(Oomycota)(Hawksworth など., 1995, 前記、171ページに引用される)、並びに栄養胞子菌(Hawksworh など., 1995, 前記)を包含する。
【0122】
より好ましい態様においては、菌類宿主細胞は酵母細胞である。“酵母”とは、本明細書において使用される場合、子嚢胞子酵母(Endomycetals)、担子胞子酵母、及び不完全菌類(Blastomycetes)に属する酵母を包含する。酵母の分類は未来において変化し得るので、本発明のためには、酵母は、Biology and Activities of Yeast (Skinner, F.A., Passmore, S.M., and Davenport, R.R., eds. Soc. App. Bacteriol. Symposium Series No. 9, 1980) に記載のようにして定義されるであろう。
【0123】
さらにより好ましい態様においては、酵母宿主細胞は、カンジダ(Candida)、ハンセヌラ(Hunsenula)、クレベロミセス(Kluyveromyces)、ピチア(Pichia)、サッカロミセス(Saccharomyces)、シゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)又はヤロウィア(Yarrowia)である。
【0124】
最も好ましい態様においては、酵母宿主細胞は、サッカロミセス・カルスベルゲンシス(Saccharomyces carlsbergensis)、サッカロミセス・セレビシアエ(Saccharomyses cerevisiae)、サッカロミセス・ジアスタチカス(Saccharomyces diastaticus)、サッカロミセス・ドウグラシ(Saccharomyces douglasii)、サッカロミセス・クルイビリ(Saccharomyces kluyveri)、サッカロミセス・ノルベンシス(Saccharomyces norbensisi)、又はサッカロミセス・オビホルミス(Saccharomyces oviformis)細胞である。もう1つの最も好ましい態様においては、酵母宿主細胞は、クルベロミセス・ラクチス(Kluyveromyces lactis)である。もう1つの最も好ましい態様においては、酵母宿主細胞は、ヤロウィア・リポリチカ(Yarrowia lipolytica)細胞である。
【0125】
もう1つのより好ましい態様においては、菌類宿主細胞は糸状菌細胞である。“糸状菌”とは、ユーミコタ(Eumycota)及びオーミコタ(Oomycota)のすべての糸状形を包含する(Hawksworthなど., 1995, 前記により定義されるような)。糸状菌は一般的に、キチン、セルロース、グルカン、キトサン、マンナン及び他の複合多糖類から構成される菌子体壁により特徴づけられる。成長増殖は、菌子拡張によってであり、そして炭素代謝は絶対好気性である。対照的に、酵母、例えばサッカロミセス・セレビシアエによる成長増殖は、単細胞葉状体の発芽によってであり、そして炭素代謝は発酵性である。
【0126】
さらにより好ましい態様においては、糸状菌宿主細胞は、アクレモニウム(Acremonium)、アスペルギラス(Aspergillus)、アウレオバシジュウム(Aureobasidium)、ベルカンデラ(Bjerkandera)、セリポリオプシス(Ceriporiopsis)、コプリナス(Coprinus)、コリオラス(Coriolus)、クリプトコーカス(Cryptococcus)、フィロバシジウム(Filobasidium)、フサリウム(Fusarium)、ヒューミコラ(Humicola)、マグナポルセ(Magnaporthe)、ムコル(Mucor)、ミセリオプソラ(Myceliophthora)、ネオカリマスチックス(Neocallimastix)、ネウロスポラ(Neurospora)、、パエシロミセス(Paecilomyces)、ペニシリウム(Penicilium)、ファネロカエト(Phanerochaete)、フェビア(Phlebia)、ピロミセス(Piromyces)、プレウロタス(Pleurotus)、シゾフィラム(Schizophyllum)、タラロミセス(Talaromyces)、サーモアスカス(Thermoascus)、チエラビア(Thielavia)、トリポクラジウム(Tolypocladium)、トラメテス(Trametes)又はトリコダーマ(Trichoderma)の種の細胞であるが、但しそれらだけには限定されない。
【0127】
最も好ましい態様においては、糸状菌宿主細胞は、アスペルギラス・アワモリ、アスペルギラス・フミガタス、アスペルギラス・ホエチダス、アスペルギラス・ジャポニカ、アスペルギラス・ニジュランス、アスペルギラス・ニガー又はアスペルギラス・オリザエ細胞である。もう1つの最も好ましい態様においては、糸状菌宿主細胞は、フサリウム・バクトリジオイデス、フサリウム・クロックウェレンズ 、フサリウム・セレアリス、フサリウム・クルモラム、フサリウム・グラミネアラム、フサリウム・グラミナム、フサリウム・ヘテロスポラム、フサリウム・ネグンジ、フサリウム・オキシスポラム、フサリウム・レチキュラタム、フサリウム・ロゼウム、フサリウム・サムブシウム、フサリウム・サルコクロウム、フサリウム・ソラニ、フサリウム・スポロトリキオイデス、フサリウム・スルフレウム、フサリウム・トルロサム、フサリウム・トリコセシオイデス又はフサリウム・ベネナタム細胞である。
【0128】
さらに最も好ましい観点においては、糸状菌親宿主細胞は、ベルカンデラ・アダスタ(Bjerkandera adusta)、セリポリオプシス・アネイリナ(Ceriporiopsis aneirina)、セリポリオプシス・カレギエア(Ceriporiopsis caregiea)、セリポリオプシス・ギルベセンス(Ceriporiopsis gilvescens)、セリポリオプシス・パノシンタ(Ceriporiopsis pannocinta)、セリポリオプシス・リブロサ(Ceriporiopsis rivulosa)、セリポリオプシス・スブルファ(Ceriporiopsis subrufa)又はセリポリオプシス・スベルミスポラ(Ceriporiopsis subvermispora)、コプリナス・シネレス(Coprinus cinereus)、コリオラス・ヒルスタス(Coriolus hirsutus)、ヒューミコラ・インソレンス、ヒューミコラ・ラヌギノサ、ムコル・ミエヘイ、ミセリオプソラ・サーモフィリア、ネウロスポラ・クラサ、ペニシリウム・プルプロゲナム、ファネロカエト・キソスポリウム(Phanerochaete chrysosporium)、フェビア・ラジアタ(Phlebia radiata)、プレウロタス・エリンギ(Pleurotus eryngii)、チエラビア・テレストリス、トラメテス・ビロサ(Trametes villosa)、トラメテス・ベルシコロル(Trametes versicolor)、トリコダーマ・ハルジアナム、トリコダーマ・コニンギ、トリコダーマ・ロンジブラキアタム、トリコダーマ・レセイ又はトリコダーマ・ビリデ細胞である。
【0129】
菌類細胞は、プロトプラスト形質転換、プロトプラストの形質転換、及びそれ自体知られている態様での細胞壁の再生を包含する工程により形質転換され得る。アスペルギラス及びトリコダーマ宿主細胞の形質転換のための適切な方法は、ヨーロッパ特許第238023号及びYeltonなど., 1984, Proceedings of the National Academy of Sciences USA 81; 1474-1874に記載される。フラリウム種を形質転換するための適切な方法は、Malardierなど., 1989, Gene78: 147-156, 及びWO96/00787号により記載される。酵母は、Becker and Guarente. In Abelson, J.N. and Simon, M.I., editors, Guide to Yeast Genetics and Molecular Biology, Methods in Enzymology, Volume 194, pp 182-187, Academic Press, Inc., New York; Ito など, 1983, Journal of Bacteriology 153: 163; 及びHinnen など, 1978, Proceedings of the National Academy of Sciences USA 75; 1920により記載される方法を用いて形質転換され得る。
【0130】
生成方法
本発明はまた、(a)その野生型において、前記ポリペプチドの生成の助けと成る条件下でポリペプチドを生成することができる細胞を培養し;そして(b)前記ポリペプチドを回収することを含んで成る、本発明のポリペプチドの生成方法にも関する。好ましい観点においては、細胞は、チエラビア属のものである。より好ましい観点においては、細胞は、チエラビア・テレストリスのものである。
【0131】
本発明はまた、(a)ポリペプチドの生成を助ける条件下で宿主細胞を培養し;そして(b)ポリペプチドを回収することを含んで成る、本発明のポリペプチドを生成するための方法にも関する。
【0132】
本発明はまた、(a)ポリペプチドの生成を助ける条件下で宿主細胞を培養し;そして(b)ポリペプチドを回収することを含んで成る、本発明のポリペプチドを生成するための方法にも関し、ここで前記宿主細胞は配列番号1の成熟ポリペプチドコード領域に少なくとも1つの突然変異を有する変異体ヌクレオチド配列を含んで成り、ここで前記変異体ヌクレオチド配列は配列番号2の成熟ポリペプチドを含んで成るか、又はそれらから成るポリペプチドをコードする。
好ましい観点においては、配列番号2の成熟ポリペプチドはアミノ酸18〜481である。
【0133】
本発明の生成方法においては、細胞は、当業界において知られている方法を用いて、ポリペプチドの生成のために適切な栄養培地において培養される。例えば、細胞は、ポリペプチドの発現及び/又は単離を可能にする、適切な培地において、及び条件下で行われる実験室用又は産業用発酵器において、振盪フラスコ培養、小規模又は大規模発酵(連続、バッチ、供給バッチ、又は団体状態発酵を包含する)により培養され得る。培養は、炭素及び窒素源及び無機塩を含んで成る適切な栄養培地において、当業界において知られている方法を用いて行われる。適切な培地は、市販されているか、又は公開されている組成(例えば、American Type Culture Collection のカタログにおける)に従って調製され得る。ポリペプチドが栄養培地に分泌される場合、ポリペプチドは培地から直接的に回収され得る。ポリペプチドが分泌されない場合、それは細胞溶解物から回収され得る。
【0134】
ポリペプチドは、そのポリペプチドに対して特異的である、当業界において知られている方法を用いて検出され得る。それらの検出方法は、特定の抗体、ポリペプチド生成物の形成、又は酵素基質の消出の使用を包含する。例えば、酵素アッセイは、本明細書に記載されるようなポリペプチドの活性を決定するために使用され得る。
得られるポリペプチドは、当業界において知られている方法により回収され得る。例えば、ポリペプチドは、従来の方法、例えば遠心分離、濾過、抽出、噴霧−乾燥、蒸発又は沈殿(但し、それらだけには限定されない)により、栄養培地から回収され得る。
【0135】
本発明のポリペプチドは、当業界において知られている種々の方法、例えばクロマトグラフィー(例えば、イオン交換、親和性、疎水性、クロマトフォーカシング及びサイズ排除)、電気泳動方法(例えば、分離用等電点電気泳動)、示差溶解性(例えば、硫酸アンモニウム沈殿)、SDS−PAGE又は抽出(但し、それらだけには限定されない)により精製され得る(例えば、Protein Purification, J.C. Janson and Lars Ryden, editors, VCH Publlishers, New York, 1989を参照のこと)。
【0136】
植物
本発明はまた、ポリペプチドを、回収できる量で発現し、そして生成するために、本発明のセロビオヒドロラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列により形質転換されているトランスジェニック植物、その植物部分又は植物細胞にも関する。ポリペプチドは、植物又は植物部分から回収され得る。他方では、組換えポリペプチドを含む植物又は植物部分は、食物又は飼料の品質を改良し、例えば栄養価値、嗜好性及び流動性質を改良するために、又は抗栄養因子を破壊するために使用され得る。
【0137】
トランスジェニック植物は、双子葉植物又は単子葉植物であり得る。単子葉植物の例は、草、例えば湿潤地の草本(ブルーグラス、イチゴツナギ属)、飼草、例えばウシノケグサ、ドクムギ、温帯性草本、例えばヌカボ、及び穀類、例えば小麦、オート麦、ライ麦、イネ、モロコシ、及びトウモロコシ(サトウモロコシ)である。
【0138】
双子葉植物の例は、タバコ、マメ科植物、例えばルピナス、ジャガイモ、砂糖大根、エンドウ、インゲン豆及び大豆、及びアブラナ科植物(ブラシカセアエ科(Brassicaceae))、例えばカリフラワー、ナタネ種子及び密接に関連するモデル生物アラビドプシス・タリアナ(Arabidopsis thaliana)である。
【0139】
植物部分の例は、茎、カルス、葉、根、果物、種子及び塊茎、並びにそれらの部分を含んで成る個々の組織、例えば表皮、葉肉、柔組織、維管束組織、分裂組織である。また特定の植物細胞区画、例えばクロロプラスト、アポプラスト、ミトコンドリア、液胞、ペルオキシゾーム及び細胞質が、植物部分であると思われる。さらに、組織起源が何であろうと、いずれの植物細胞でも、植物部分であると思われる。同様に、植物部分、例えば本発明の利用を促進するために単離された特定の組織及び細胞はまた、植物部分、例えば胚、内生精子、アリューロン及び被膜であると思われる。
【0140】
そのような植物、植物部分及び植物細胞の子孫はまた、本発明の範囲内に包含される。
本発明のポリペプチドを発現するトランスジェニック植物又は植物細胞は、当業界において知られている方法に従って構成され得る。手短には、植物又は植物細胞は、本発明のポリペプチドをコードする、1又は複数の発現構造体を、植物宿主ゲノム又はクロロプラストゲノム中に導入し、そして得られる修飾された植物又は植物細胞をトランスジェニック植物又は植物細胞中に成長せしめることによって構成される。
【0141】
便利には、発現構造体は、選択の植物又は植物におけるヌクレオチド配列の発現のために必要とされる適切な調節配列により作用可能に連結される本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含んで成る核酸構造体である。さらに、発現構造体は、発現構造体が組み込まれている宿主細胞を同定するために有用な選択マーカー、及び問題の植物中への構造体の導入のために必要なDNA配列を含んで成る(後者は、使用されるDBA導入方法に依存する)。
【0142】
調節配列、例えばプロモーター及びターミネーター配列、及び任意には、シグナル又はトランスジット配列の選択は、例えばポリペプチドがいつ、どこで及びいかにして発現されることを所望するかに基づかれる。例えば、本発明のポリペプチドをコードする遺伝子の発現は、構成的又は誘発的であり、又は進行的、段階又は組織特異的であり、そして遺伝子生成物は、特定組織又は植物部分、例えば種子又は葉に標的化され得る。調節配列は、Taqueなど., 1988, Plant Physiology 86: 506により記載される。
【0143】
構成的発現のために、次のプロモーターが使用され得る:35S−CaMVプロモーター(Franck など., 1980, Cell 21: 285-294)、トウモロコシユビキチン1(Christensen AH, Sharrock RA and Quail 1992. Maize polyubiquitin genes: structure, thermal perturbation of expression and transcript splicing, and promoter activity following transfer to protoplasts by electroporation)、又はイネアクチン1プロモーター(Plant Mo. Biol. 18,675-689. ; Zhang W, McElroy D. and Wu R 1991, Analysis of rice Act1 5'region activity in transgenic rice plants. Plant Cell 3,1155-1165)。
【0144】
器官特異的プロモーターは例えば、貯蔵吸込み組織、例えば種子、ジャガイモ塊茎及び果物(Edwards & Coruzzi, 1990, Ann. Rev. Genet. 24: 275-303)、又は代謝吸込み組織、例えば分裂組織(Ito など., 1994, Plant Mol. Biol. 24: 863-878)からのプロモーター、種子特異的プロモーター、例えばイネからのグルテリン、プロラミン、グロブリン又はアルブミンプロモーター(Wu など., 1998, Plant and Cell Physiology 39: 885- 889)、Vicia fabaからのレグニンB4及び未知の種子タンパク質遺伝子からのVicia fabaプロモーター(Conrad など., 1998, Journal of Plant Physiology 152: 708-711)、種子油体タンパク質からのプロモーター(Chen など., 1998, Plant and Cell Physiology 39: 935-941)、ブラシカ・ナパス(Brassica napus)からの貯蔵タンパク質napAプロモーター又は当業界において知られている、例えばWO91/14772号に記載されるようないずれか他の種子特異的プロモーターであり得る。
【0145】
さらに、プロモーターは、葉特異的プロモーター、例えばイネ又はトマトからのrbcsプロモーター(Kyozuka など., 1993, Plant Physiology 102: 991-1000)、クロレラウィルスアデニンメチルトランスフェラーゼ遺伝子プロモーター(Mitra and Higgins, 1994, Plant Molecular Biology 26: 85-93)、又はイネからのaldP遺伝子プロモーター(Kagaya など., 1995, Molecular and General Genetics 248: 668-674)、又は創傷誘発性プロモーター、例えばジャガイモpin2プロモーター(Xu など., 1993, Plant Molecular Biology 22 : 573-588)であり得る。同様に、プロモーターは、非生物学的処理、例えば温度、渇水又は塩分の変更により誘発できるか、又はプロモータを活性化する外部的に適用される物質、例えばエタノール、エストロゲン、植物ホルモン様エチレン、アブシジン酸、ジベレリン酸及び/又は重金属により誘発できる。
【0146】
プロモーターエンハンサー要素がまた、植物におけるポリペプチドのより高い発現を達成するために使用され得る。例えば、プロモーターエンハンサー要素は、プロモーターと、本発明のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列との間に位置するイントロンであり得る。例えば、Xuなど., 1993(前記)は、発現を増強するためへのイネアクチン1遺伝子の最初のイントロンの使用を開示する。
発現構造体の選択マーカー遺伝子及びいずれか他の部分は、当業界において入手できるそれらから選択され得る。
【0147】
核酸構造体は、当業界において知られている従来の技法、例えばアグロバクテリウム介在性形質転換、ウィルス介在性形質転換、マイクロインジェクション、粒子衝撃、バイオリステック形質転換及びエレクトロポレーションに従って、植物ゲノム中に組込まれる(Gasserなど., 1990, Science 244: 1293; Potrykus, 1990, BiolTechnology 8 : 535; Shimamoto など., 1989, Nature 338: 274)。
【0148】
現在、アグロバクテリウム・ツメファシエンス介在性遺伝子トランスファーは、トランスジェニック双子葉類を生成するための選択方法であり(再考のためには、Hooykas and Schilperoort, 1992, Plant Molecular Biology 19: 15-38を参照のこと)、そして、それはまた、単子葉類を形質転換するためにも使用され得るが、しかし他の形質転換方法が一般的にそれらの植物のために好ましい。現在、アグロバクテリウムアプローチを補足する、トランスジェニック単子葉類を生成するための選択方法は、胚細胞又は成長胚の粒子衝撃である(形質転換DNAにより被覆された微小金又はタングステン粒子)(Christou, 1992, Plant Journal 2 : 275-281; Shimamoto, 1994, Current Opinion Biotechnology 5: 158-162; Vasil など., 1992, BiolTechnology 10: 667-674)。単子葉類の形質転換のための他の方法は、Omirullehなど., 1993, Plant Molecular Biology21: 415-428により記載されるようにプロトプラスト形質転換に基づかれる。
【0149】
形質転換に続いて、そこに組込まれた発現構造体を有する形質転換体が選択され、そして当業界において良く知られていた方法に従って、完全な植物に再生される。しばすば、形質転換方法は、2種の別々のT-DNA構造体による同時形質転換を用いることによる、再生の間又は次の生成において、選択遺伝子の選択的排除、又は特異的組換え酵素による選択遺伝子の部位特異的排除のために企画される。
【0150】
本発明はまた、(a)本発明のセロビオヒドロラーゼ活性有するポリペプチドをコードする核酸配列を含んで成るトランスジェニック植物又は植物細胞を、前記ポリペプチドの生成の助けとなる条件下で栽培し、そして(b)前記ポリペプチドを回収することを含んで成る、本発明のポリペプチドを生成するための方法にも関する。
【0151】
セロビオヒドロラーゼ活性の除去又は低減
本発明はまた、同じ条件下で培養される場合、親細胞よりもポリペプチドを低く生成する変異体細胞をもたらす、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列又はその一部を破壊するか又は削除することを含んで成る、親細胞の変異体の生成方法にも関する。
【0152】
変異体細胞は、当業界において良く知られている方法、例えば挿入、破壊、置換又は欠失を用いて、本発明のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の発現を低めるか又は排除することにより構成され得る。好ましい観点においては、ヌクレオチド配列は不活性化される。修飾されるか又は不活性化されるヌクレオチド配列は、例えば活性のために必須であるコード領域又はその一部、又はコード領域の発現のために必要とされる調節要素であり得る。そのような調節又は制御配列の例は、プロモーター配列又はその機能的部分、すなわちヌクレオチド配列の発現に影響を及ぼすのに十分である部分であり得る。可能な修飾のための他の制御配列は、リーダー、ポリアデニル化配列、プロペプチド配列、シグナルペプチド配列、転写ターミネーター、及び転写活性化因子を包含するが、但しそれらだけには限定されない。
【0153】
ヌクレオチド配列の修飾又は不活性化は、親細胞を突然変異誘発にゆだね、そしてヌクレオチド配列の発現が低められているか又は排除されている変異体細胞を選択することにより行われ得る。特異的又はランダムであり得る突然変異誘発は、例えば適切な物理的又は化学的突然変異誘発剤の使用により、適切なオリゴヌクレオチドの使用により、又はDNA配列をPCR生成された突然変異誘発にゆだねることにより行われ得る。さらに、突然変異誘発は、それらの突然変異誘発剤のいずれかの組み合わせの使用により行われ得る。
【0154】
本発明のために適切な物理的又は化学的突然変異誘発剤の例は、紫外線(UV)照射、ヒドロキシルアミン、N−メチル−N’−ニトロ−N−ニトロソグアニジン(MNNG)、O−メチルヒドロキシルアミン、亜硝酸、エチルメタンスルホネート(EMS)、亜硫酸水素ナトリウム、蟻酸及びヌクレオチド類似体を包含する。
【0155】
そのような剤が使用される場合、突然変異誘発は典型的には、選択の突然変異誘発の存在下で突然変異誘発されるベき親細胞をインキュベートし、そして低められた遺伝子の発現を示すか又は発現を示さない変異体細胞をスクリーニングし、そして/又は選択することによって行われる。
【0156】
ヌクレオチド配列の修飾又は不活性化は、その転写又は翻訳のために必要とされる遺伝子又は調節要素における1又は複数のヌクレオチドの導入、置換又は除去により達成され得る。例えば、ヌクレオチドは、停止コドン導入、開始コドンの除去又は読み取り枠の変更をもたらすために、挿入され又は除去され得る。そのような修飾又は不活性化は、当業者において知られている方法に従って、特定部位の突然変異誘発又はPCR生成された突然変異誘発により達成され得る。主に、修飾はインビボで、すなわち修飾されるべきヌクレオチド配列を発現する細胞に対して直接的に行われ得るが、修飾は下記に例示されるようにインビトロで行われ得ることが好ましい。
【0157】
細胞によるヌクレオチド配列の発現を排除するか又は低めるための便利な手段の例は、遺伝子置換、遺伝子削除又は遺伝子破壊の技法に基づかれる。例えば、遺伝子破壊方法においては、内因性ヌクレオチドに対応する核酸配列が、欠失遺伝子を生成するために、親細胞を形質転換する欠失性核酸配列を生成するようインビトロで突然変異誘発される。相同組換えにより、その欠失性核酸配列は、その内因性遺伝子又は遺伝子フラグメントを置換する。その欠失性ヌクレオチド配列はまた、ヌクレオチド配列が修飾されているか又は破壊されている形質転換体の選択のために使用され得るマーカーをコードする。特に好ましい観点においては、ヌクレオチド配列は、選択マーカー、例えば本明細書に記載されるようなそれらにより破壊される。
【0158】
他方では、ヌクレオチド配列の修飾又は不活性化は、ヌクレオチド配列に対して相補的な配列を用いて、確立されたアンチセンス又はRNAi技法により行われ得る。より特定には、細胞によるヌクレオチド配列の発現は、細胞において転写され得、そして細胞において生成されるポリペプチドmRNAに対してハイブリダイズすることができる遺伝子のヌクレオチド配列に相補的な配列を導入することによって低められるか又は排除され得る。相補的アンチセンスヌクレオチド配列のポリペプチドmRNAへのハイブリダイズを可能にする条件下で、翻訳されるタンパク質の量が低められ又は排除される。
【0159】
本発明はさらに、親細胞に比較して、ポリペプチドを少なく生成するか又はポリペプチドを生成しない変異体細胞をもたらす、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列又はその制御配列の破壊又は欠失を含んで成る親細胞の変異体細胞に関する。
【0160】
そのようにして創造されたポリペプチド欠失変異体細胞は、相同及び/又は異種ポリペプチドの発現のための宿主として特に有用である。従って、本発明はさらに、(a)ポリペプチドの生成のために適切な条件下で変異体細胞を培養し;そして(b)ポリペプチドを回収することを含んで成る、相同体又は異種ポリペプチドの生成方法に関する。用語“異種ポリペプチド”とは、宿主細胞に対して生来ではないポリペプチド、生来の配列を変更するために修飾が行われている生来のタンパク質、又はその発現が組換えDNA技法による宿主細胞の操作の結果として定量的に変更されている生来のタンパク質として本明細書において定義される。
【0161】
さらなる観点においては、本発明は、本発明のポリペプチド及び興味あるタンパク質生成物の両者を生成する細胞の発酵によりセロビオヒドロラーゼ活性を実質的に有さないタンパク質生成物の生成方法に関し、ここで前記方法は、発酵が完結される前、その間、又は完結された後、セロビオヒドロラーゼ活性を阻害することができる、有効量の剤を、発酵ブイヨンに添加し、その発酵ブイヨンから興味ある生成物を回収し、そして任意には、回収された生成物を、さらなる精製にゆだねることを含んで成る。
【0162】
さらなる観点においては、本発明はセロビオヒドロラーゼ活性を実質的に有さないタンパク質生成物の生成方法に関し、ここで前記方法は、細胞を、生成物の発現を可能にする条件下で培養し、セロビオヒドロラーゼ活性を実質的に低めるために、前記得られる培養物ブイヨンを、組み合わされたpH及び温度処理にゆだね、そして培養物ブイヨンから生成物を回収することを含んで成る。他方では、前記組み合わされたpH及び温度処理は、培養物ブイヨンから回収された酵素調製物に対して行なわれ得る。前記組み合わされたpH及び温度処理は任意には、セロビオヒドロラーゼンヒビターによる処理と組合して使用され得る。
【0163】
本発明のこの観点によれば、セロビオヒドロラーゼ活性の少なくとも60%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも85%、さらにより好ましくは少なくとも95%、及び最も好ましくは少なくとも99%を除去することが可能である。セロビオヒドロラーゼ活性の完全な除去は、この方法の使用により得られる。
【0164】
前記組み合わされたpH及び温度処理は好ましくは、所望する効果を達成するための十分な時間、典型的には30〜60分間、2〜4又は9〜11の範囲のpH及び少なくとも70〜80℃の範囲の温度で行われる。
興味ある生成物の培養及び精製のために使用される方法は、当業界において知られている方法により行われ得る。
【0165】
セロビオヒドロラーゼを実質的に有さない生成物を生成するための本発明の方法は、真核生物ポリペプチド、特に菌類タンパク質、例えば酵素の生成において特に興味あるものである。前記酵素は、例えば澱粉分解酵素、脂肪分解酵素、タンパク質分解酵素、細胞分解酵素、オキシドレダクターゼ又は植物細胞壁分解酵素から選択され得る。
【0166】
そのような酵素の例は、アミノペプチダーゼ、アミラーゼ、アミログルコシダーゼ、カルボヒドラーゼ、カルボキシペプチダーゼ、カタラーゼ、セルラーゼ、キチナーゼ、クチナーゼ、シクロデキストリン、グルコシルトランスフェラーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ、エステラーゼ、ガラクトシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、グルコースオキシダーゼ、グルコシダーゼ、ハロペルオキシダーゼ、ヘミセルラーゼ、インバーターゼ、イソメラーゼ、ラッカーゼ、リガーゼ、リパーゼ、リアーゼ、マンノシダーゼ、オキシダーゼ、ペクチン分解酵素、ペルオキシダーゼ、フィターゼ、フェノールオキシダーゼ、ポリフェノールオキシダーゼ、タンパク質分解酵素、リボヌクレアーゼ、トランスフェラーゼ、トランスグルタミナーゼ又はキシラナーゼを包含する。セロビオヒドロラーゼ欠失細胞はまた、医薬的に興味あるもの、例えばホルモン、成長因子、受容体及び同様のものの異種タンパク質を発現するために使用され得る。
【0167】
用語“真核生物ポリペプチド”とは、生来のポリペプチドのみだけではなく、またアミノ酸置換、欠失又は付加、又は活性、熱安定性、pH耐性及び同様のものを増強するための他のそのような修飾により修飾されているそれらのポリペプチド、例えば酵素を包含する。
もう1つの観点においては、本発明は、本発明の方法により生成される、セロビオヒドロラーゼ活性を実質的に有さないタンパク質生成物に関する。
【0168】
組成物
本発明はまた、本発明のポリペプチドを含んで成る組成物にも関する。好ましくは、組成物はそのようなポリペプチドにおいて富化される。用語“富化される”とは、組成物中のセロビオヒドロラーゼ活性が、少なくとも1.1の富化因子、高められていることを示す。
【0169】
組成物は、主要酵素成分、例えば単一成分組成として本発明のポリペプチドを含んで成る。他方では、組成物は、複数の酵素活性、例えばアミノペプチダーゼ、アミラーゼ、カルボヒドラーゼ、カルボキシペプチダーゼ、カタラーゼ、セルラーゼ、キチナーゼ、クチナーゼ、シクロデキストリングリコシルトランスフェラーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ、エステラーゼ、α−ガラクトシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、α−グルコシダーゼ、β−グルコシダーゼ、ハロペルオキシダーゼ、インバーターゼ、ラッカーゼ、リパーゼ、マンノシダーゼ、オキシダーゼ、ペクチン分解酵素、ペプチドグルタミナーゼ、ペルオキシダーゼ、フィターゼ、ポリフェノールオキシダーゼ、タンパク質分解酵素、リボヌクレアーゼ、トランスグルタミナーゼ又はキシラナーゼを含んで成る。
【0170】
追加の酵素は、例えばアスペルギラス属、好ましくはアスペルギラス・アキュレアタス(Aspergillus aculeatus)、アスペルギラス・アワモリ(Aspergillus awamori)、アスペルギラス・ホエチダス(Aspergillus foetidus)、アスペルギラス・ジャポニカス(Aspergillus japonicus)、アスペルギラス・ニジュランス(Aspergillus nidulans)、アスペルギラス・ニガー(Aspergillus niger)、又はアスペルギラス・オリザエ(Aspergillus oryzae)、フサリウム属、例えばフサリウム・バクトリジオイデス(Fusarium bactridioides)、フサリウム・セレアリス(Fusarium cerealis)、フサリウム・クロックウェレンズ(Fusarium crookwellense)、フサリウム・クルモラム(Fusarium culmorum)、フサリウム・グラミネアラム(Fusarium graminearium)、フサリウム・グラミナム(Fusarium graminum)、フサリウム・ヘテロスポラム(Fusarium heterosporum)、フサリウム・ネグンジ(Fusarium negundi)、フサリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)、フサリウム・レチキュラタム(Fusarium reticulatum)、フサリウム・ロゼウム(Fusariumu roseum)、フサリウム・サムブシウム(Fusarium sambucinum)、フサリウム・サルコクロウム(Fusarium sarcochroum)、フサリウム・スポロトリキオイデス(Fusarium sporotrichioides)、フサリウム・スルフレウム(Fusarium sulphureum)、フサリウム・トルロサム(Fusarium torulosaum)、フサリウム・トリコセシオイデス(Fusarium trichothecioides)、又はフサリウム・ベネナタム(Fusarium venenatum)、ヒュミコラ属、好ましくはヒュミコラ・インソレンス(Humicola insolens)、又はヒュミコラ・ラヌギノサ(Humicola lanuginosa)、トリコダーマ属、好ましくはトリコダーマ・ハルジアナル(Trichoderma harzianum)、トリコダーマ・コニンギ(Trichoderma koningii)、トリコダーマ・ロンジブラキアタム(Trichoderma longibrachiatum)、トリコダーマ・レセイ(Trichoderma reesei)又はトリコダーマ・ビリデ(Trichoderma viride)に属する微生物により生成され得る。
【0171】
ポリペプチド組成物は、当業界において知られている方法に従って調製され得、そして液体又は乾燥組成物の形で存在することができる。例えば、ポリペプチド組成物は、顆粒又は微粒子の形で存在することができる。組成物に包含されるべきポリペプチドは、当業界において知られている方法に従って安定化され得る。
本発明のポリペプチド組成物の好ましい使用の例は下記に与えられる。本発明のポリペプチド組成物の用量、及び組成物が使用される他の条件は、当業界において知られている方法に基づいて決定され得る。
【0172】
使用
本発明はまた、セロビオヒドロラーゼ活性を有するポリペプチド、又はその組成物の次の使用方法にも向けられる。
バイオマスの単糖類、二糖類及び多糖類への分解
セロビオヒドロラーゼ活性を有するポリペプチド、及び本発明の宿主細胞は、エタノール、プラスチック、又は他の生成物又は中間体の製造のためのバイオマスからの化学的又は発酵供給原料として単糖類、二糖類及び多糖類の生成に使用され得る。セロビオヒドロラーゼ活性を有するポリペプチドは、除去される細胞を伴って又はそれを伴わないでの粗発酵ブイヨンの形で、又は半精製された又は精製された酵素調製物の形で存在することができる。他方では、本発明の宿主細胞は、バイオマスによる発酵工程においてポリペプチドの源として使用され得る。
【0173】
バイオマスは、木材資源、局地土壌廃棄物、古紙及び穀物残留物を包含するが、但しそれらだけには限定されない(例えば、Wiselogelなど,, 1995, in Handbook on Bioethanol (Charles E. Wyman, editor), pp.105- 118, Taylor & Francis, Washington D.C.; Wyman, 1994, Bioresource Technology 50: 3-16; Lynd, 1990, Applied Biochemistry and Biotechnology '24/25: 695-719; Mosier など., 1999, Recent Progress in Bioconversion of [upsilon]gnocellulosics, in Advances in Biochemical Engineering/Biotechnology, T. Scheper, managing editor, Volume 65, pp.23-40, Springer-Verlag, New Yorkを参照のこと)。
【0174】
バイオマスの一次細胞壁における有力な多糖はセルロースであり、第2の最も富んでいるものはヘミセルロースであり、そして第3のものはペクチンである。細胞が成長を停止した後に生成される二次細胞壁はまた、多糖類を含み、そしてヘミセルロースに共有結合されるポリマーリグニンを通して強化される。セルロースは無水セロビアーゼのホモポリマー及び従って、線状β−(1−4)−D−グルカンであり、そしてヘミセルロースは広範囲の置換基を有する複雑な枝分かれ鎖の構造体に、種々の化合物、例えばキシラン、キシログルカン、アラビノキシラン及びマンナンを含む。一般的に多形性であるが、セルロースは同様のグルカン鎖の不溶性結晶性マトリックスとして主に植物組織に見出される。ヘミセルロースは通常、セルロースに、及び、細胞壁マトリックスの安定化を助ける他のヘミセルロースに水素結合する。
【0175】
次の3種の主要種類のグリコヒドロラーゼがセルロース性バイオマスを分解するために使用される:
(1)ランダムに、可溶性及び不溶性1,4−β−グルカン基質に対して作用する、“エンド−1,4−β−グルカナーゼ”又は1,4−β−D−グルカン−4−グルカノヒドロラーゼ(EC3.2.1.4);
【0176】
(2)1,4−β−D−グルカンからD−グルコースを生成し、そしてD−セロビオースをゆっくりと加水分解する1,4−β−D−グルカングルコヒドロラーゼ(EC3.2.1.74)、及び1,4−β−グルカンからD−セロビオースを生成するセロビオヒドロラーゼ(1,4−β−D−グルカンセロビオヒドロラーゼ、EC3,2,1,91)の両者を包含する“エキソ−1,4−β−D−グルカナーゼ”;
(3)セロビオース及び可溶性セロデキストリン、並びに一連のグルコシドからD−グルコース単位を開放するよう作用する“β−D−グルコシダーゼ”又はβ−D−グルコヒドロラーゼ(EC3.2.1.21)。
【0177】
それらの3種の種類の酵素は、一緒に相乗的に作用し、還元糖を生成するために、バイオマスから天然のセルロースの効果的脱結晶化及び加水分解をもたらす。
本発明のセロビオヒドロラーゼ活性を有するポリペプチドは、バイオマス基質のセルロース成分をさらに分解するために、上記酵素と共に使用され得る(例えば、Brigham など, 1995, in Handbook on Bioethanol (Charles E. Wyman, editor), pp.119-141, Taylor & Francis,Washington D.C.; Lee, 1997, Journal of Biotechnology 56: 1-24を参照のこと)。
【0178】
エタノールは、バイオマスの酵素分解及び放出された多糖類のエタノールへの転換により生成され得る。この種類のエタノールはしばしば、バイオエタノール又はバイオ燃料として言及される。それは、1%未満〜100%までのブレンドにおける燃料添加剤又は増量剤として使用され得る(燃料置換体)。
【0179】
洗剤組成物
本発明のセロビオヒドロラーゼ活性を有するポリペプチドは、洗剤組成物に添加され得、そして従って、洗剤組成物の成分に成ることができる。
本発明の洗剤組成物は、手動又は機械洗濯用洗剤組成物、例えば染色された布の前処理のために適切な洗濯用添加剤組成物及びすすぎ用布ソフトナー組成物として配合され得、又は一般的な家庭用硬質表面洗浄操作における使用のための洗剤組成物として配合され得、又は手動又は機械皿洗い操作のために配合され得る。
【0180】
特定の観点においては、本発明は、本発明の酵素を含んで成る洗剤添加剤を提供する。前記洗剤添加剤及び洗剤組成物は、1又は複数の他の酵素、例えばプロテアーゼ、リパーゼ、クチナーゼ、アミラーゼ、カーボヒドラーゼ、セルラーゼ、ペクチナーゼ、マンナナーゼ、アラビナーゼ、ガラクタナーゼ、キシラナーゼ、オキシダーゼ、例えばラッカーゼ及び/又はポロキシダーゼを含んで成ることができる。
一般的に、選択された酵素の性質は、選択された洗剤と適合できるべきであり(すなわち、他の酵素及び非酵素の成分、等とのpH−最適適合性)、そして酵素は効果的な量で存在すべきである。
【0181】
プロテアーゼ:適切なプロテアーゼは、動物、植物又は微生物起源のものを包含する。微生物起源が好ましい。化学的に修飾された、又はタンパク質構築された変異体が含まれる。プロテアーゼは、セリンプロテアーゼ又は金属プロテアーゼ、好ましくはアルカリ微生物プロテアーゼ又はトリプシン−様プロテアーゼであり得る。アルカリプロテアーゼの例は、スブチリシン、特にバチルスに由来するそれらのもの、例えばスブチリシンNovo、スブチリシンCarlsberg、スブチリシン309、スブチリシン147及びスブチリシン168(WO89/06279号に記載される)である。トリプシン−様プロテアーゼの例は、トリプシン(例えば、ブタ又はウシ起源のもの)、及びWO89/06270号及びWO94/25583号に記載されるフサリウムプロテアーゼである。
【0182】
有用なプロテアーゼの例は、WO92/19729号、WO98/20115号、WO98/20116号及びWO98/34946号に記載される変異体、特に1又は複数の次の位置での置換を有する変異体である:27, 36, 57, 76, 87, 97, 101, 104, 120, 123, 167, 170, 194, 206, 218, 222, 224, 235及び274。
好ましい市販のプロテアーゼ酵素は、AlcalaseTM, SavinaseTM, PrimaseTM, DuralaseTM, EsperaseTM及びKannaseTM (Novozymes A/S), MaxataseTM, MaxacalTM, MaxapemTM, ProperaseTM, PurafectTM, Purafect OxPTM, FN2TM及びFN3TM (Genencor International Inc.) を包含する。
【0183】
リパーゼ:適切なリパーゼは、細菌又は菌類起源のそれらのものを包含する。化学的に修飾された又はタンパク質構築された変異体が包含される。有用なリパーゼの例は、ヒューミコラ(別名、サーモミセス)、例えばヨーロッパ特許第258068号及び第305216号に記載のようなヒューミコラ・ラウギノサ(T.ラウギノサ)、又はWO96/13580号に記載のようなヒューミコラ・インソレンス、P.アルカリゲネス又はP.プソイドアルカリゲネス(ヨーロッパ特許第218272号)、P.セパシア(ヨーロッパ特許第331376号)、P.スツゼリ(P.stutzeri)(イギリス特許第1,372,034号)、P.フルオレセンス、プソイドモナスsp. SD705株(WO75/06720号及びWO96/27002号)、P.ウイスコンシネンシス(WO96/12012号)からのリパーゼ、バチルスリーパーゼ、例えばB.スブチリス(Dartoisなど. (1993), Biochemica et Biophysica Acta, 1131, 253-360)、B. ステアロサーモフィラス(日本特許64/744992)又はB.プミラス(WO91/16422号)からのリパーゼを包含する。
【0184】
他の例は、リパーゼ変異体、例えばWO92/05249号、WO94/01541号、ヨーロッパ特許第407225号、ヨーロッパ特許第206105号、WO95/35381号、WO96/00292号、WO95/30744号、WO94/25576号、WO95/14783号、WO95/22615号、WO97/04079号及びWO97/0720号に記載されるものを包含する。
好ましい市販のリパーゼ酵素は、LipolaseTM 及びLipolase UltraTM (Novozymes A/S) を包含する。
【0185】
アミラーゼ:適切なアミラーゼ(α−及び/又はβ)は、細菌又は菌類起源のそれらのものを包含する。化学的に修飾された又はタンパク質構築された変異体が包含される。アミラーゼは、バチルス、例えばイギリス特許第1,296,839号により詳細に記載される、B.リケニルホルミスの特許株から得られるα−アミラーゼを包含する。
有用なアミラーゼの例は、WO94/02597号、WO94/18314号、WO96/23873号及びWO/43424号に記載される変異体、特に1又は複数の次の位置での置換を有する変異体である:15, 23, 105, 106, 124, 128, 133, 154, 156, 181, 188, 190, 197, 202, 208, 209, 243, 264, 304, 305, 391, 408及び444。
市販のアミラーゼは、DuramylTM, TermamaylTM, FungamylTM 及びBAMTM (Novozymes A/S), RapidaseTM 及びPurastarTM (Genencor International Inc.)である。
【0186】
セルラーゼ:適切なセルラーゼは、細菌又は菌類起源のそれらのものを包含する。化学的に修飾された又はタンパク質構築された変異体が包含される。適切なセルラーゼは、バチルス、ヒューミコラ、フサリウム、チエラビア、アクレモニウム属からのセルラーゼ、例えばアメリカ特許第4,435,307号、アメリカ特許第5,648,263号、アメリカ特許第5,691,178号、アメリカ特許第5,776,757号及びWO89/09259号に開示されるヒューミコラ・インソレンス、マイセリオプソラ・サーモフィラ/オキシスポラムから生成される菌類セルラーゼを包含する。
【0187】
特に適切なセルラーゼは、色彩保護有益性を有するアルカリ又は中性セルラーゼである。そのようなセルラーゼの例は、ヨーロッパ特許第0495257号、ヨーロッパ特許第0531372号、WO96/11262号、WO96/29397号、WO98/08940号に記載されるセルラーゼである。例の例は、WO94/07998号、ヨーロッパ特許第0531315号、アメリカ特許第5,457,046号、アメリカ特許第5,685,593号、アメリカ特許第5,763,254号、WO95/24471号、WO98/12307号及びPCT/DK98/0299号に記載されるそれらのものである。
市販のセルラーゼは、CelluzymeTM 及びCarezymeTM (Novozymes A/S), ClazinaseTM 及びPuradex HATM (Genencor International Inc.) 及びKAC−500 (B)TM (Kao Corporation) を包含する。
【0188】
ペルオキシダーゼ/オキシダーゼ:適切なペルオキシダーゼ/オキシダーゼは、植物、細菌又は菌類起源のそれらのものを包含する。化学的に修飾された又はタンパク質構築された変異体が包含される。有用なペルオキシダーゼの例は、コプリナス、例えばコプリナス・シネレウス、及びWO93/24618 号、WO95/10602号及びWO98/15257号に記載されるそれらのようなそれらの変異体からのペルオキシダーゼを包含する。
【0189】
市販のペルオキシダーゼは、GuardzymeTM (Novozymes A/S) を包含する。
洗剤酵素は、1又は複数の酵素を含む別々の添加剤を添加することにより、又はそれらの酵素のすべてを含んで成る組合された添加剤を添加することにより洗剤組成物に包含され得る。本発明の洗剤添加剤、すなわち別々の添加剤又は組合された添加剤が、例えば粒質物、液体、スラリー、等として配合され得る。好ましくは洗剤添加剤配合物は、粒質物、特に非−ダスチング粒質物、液体、特に安定された液体又はスラリーである。
【0190】
非−ダスチング粒質物は、アメリカ特許第4,106,991号及び第4,661,452号に開示のようにして生成され得、そして任意には、当業界において知られている方法により被覆され得る。蝋被覆材料の例は、1000〜20,000の平均モル重量を有するポリ(酸化エチレン)生成物(ポリエチレングリコール、PEG);16〜50の酸化エチレン単位を有する、エトキシル化されたノニルフェノール;12〜20個の炭素原子を有するアルコールを有し、そして15〜80の酸化エチレン単位を有する、エトキシ化された脂肪アルコール;脂肪アルコール、脂肪酸;及び脂肪酸のモノ−、ジ−及びトリグリセリドである。流動層技法による適用のために適切なフィルム形成被覆材料の例は、イギリス特許第1483591号に与えられている。例えば、液体酵素調製物は、確立された方法に従って、ポリオール、例えばプロピレングリコール、糖又は糖アルコール、硫酸又は硼酸を添加することによって、安定化される。保護された酵素は、ヨーロッパ特許第238,216号に開示される方法に従って調製され得る。
【0191】
本発明の洗剤組成物は、いずれかの便利な形、例えば棒状、錠剤、粉末、顆粒、ペースト又は液体の形で存在することができる。液体洗剤は、水性であり、典型的には、70%までの水及び0〜30%の有機溶媒を含み、又は非水性であり得る。
洗剤組成物は、非イオン性、例えば半−極性及び/又はアニオン性及び/又はカチオン性及び/又は両性イオンであり得る1又は複数の界面活性剤を含んで成る。界面活性剤は典型的には、0.1〜60重量%のレベルで存在する。
【0192】
そこに含まれる場合、洗剤は通常、約1%〜約40%のアニオン性界面活性剤、例えば線状アルキルベンゼンスルホネート、α−オレフィンスルホネート、アルキルスルフェート(脂肪酸スルフェート)、アルコールエトキシスルフェート、第二アルカンスルホネート、α−スルホ脂肪酸メチルエステル、アルキル−又はアルケニル琥珀酸又は石鹸を含むであろう。
【0193】
そこに含まれる場合、界面活性剤は通常、約0.2%〜約40%の非イオン性界面活性剤、例えばアルコールエトキシレート、ノニルフェノールエトキシレート、アルキルポリグリコシド、アルキルジメチルアミンオキシド、エトキシル化された脂肪酸モノエタノールアミド、脂肪酸モノエタノールアミド、ポリヒドロキシアルキル脂肪酸アミド、又はグルコサミンのN−アシルN−アルキル誘導体(“グルコサミド”)を含むであろう。
【0194】
洗剤は、0〜65%の洗剤ビルダー又は錯生成剤、例えばゼオライト、ジホスフェート、三リン酸、ホスホネート、カーボネート、シトレート、ニトリロ三酢酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン六酢酸、アルキル−又はアルキニル琥珀酸、可溶性シリケート又は層化されたシリケート(例えばHoechstからのSKS−6)を含むことができる。
【0195】
洗剤は、1又は複数のポリマーを含んで成る。例としては、カルボキシメチルセルロース、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルピリジン−N−オキシド)、ポリ(ビニルイミダゾール)、ポリカルボキシレート(例えばポリアクリレート、マレイン酸/アクリル酸コポリマー及びラウリルメタクリレート/アクリル酸コポリマーを含んで成る。
【0196】
洗剤は、H2O2源を含んで成る漂白システム、例えば過酸形成漂白活性化剤、例えばテトラアセチルエチレンジアミン又はノナノイルオキシベンゼンスルホネートと共に組合され得る過硼酸塩又は過炭酸塩を含むことができる。他方では、漂白システムは、例えばアミド、イミド又はスルホン型のペルオキシ酸を含むことができる。
【0197】
本発明の洗剤組成物の酵素は、従来の安定剤、例えばポリオール、例えばプロピレングリコール又はグリセロール、糖又は糖アルコール、乳酸、硼酸又は硼酸誘導体、例えば芳香族硼酸エステル又はフェニル硼素酸誘導体、例えば4−ホルミルフェニル硼素酸を用いて安定化され得、そして前記組成物は、例えばWO92/19709号及びWO92/19708号に記載のようにして配合され得る。
【0198】
洗剤はまた、他の従来の洗剤組成物、例えば布コンディショナー、例えばクレー、泡増強剤、石鹸泡抑制剤、抗腐蝕剤、土壌懸濁剤、抗−土壌再沈着剤、染料、殺菌剤、蛍光増白剤、ヒドロトロープ、曇りインヒビター、又は香料を含むことができる。
【0199】
洗剤組成物においては、いずれかの酵素、特に本発明の酵素は、洗浄液体1L当たり0.01−100mgの酵素タンパク質、好ましくは洗浄液体1L当たり0.05−5mgの酵素タンパク質、特に洗浄液体1L当たり0.1−1mgの酵素タンパク質に対応する量で添加され得ることが、現在企画される。
本発明の酵素はさらに、WO97/07202号(引例として本明細書に組み込まれる)に開示される洗剤配合物に導入され得る。
【0200】
他の使用
本発明のセロビオヒドロラーゼ活性を有するポリペプチドはまた、バイオポリッシュ剤として布の処理において、及び毛羽、ピリング、きめの変性及びストーンウォッシングを低めるために、本明細書に記載されるように、他のグリコヒドロラーゼ及び関連する酵素と組合しても使用され得る(N. K. Lange, in P. Suominen, T. Reinikainen (Eds.), Trichoderma reesei Cellulases and Other Hydrolases, Foundation for Biotechnical and Industrial Fermentation Research, Helsinki, 1993, pp. 263-272)。
【0201】
さらに、記載されるポリペプチドはまた、バイオパルビング又は木材の皮を剥ぐための木材加工、繊維変性、漂白及び精錬エネルギー費用の低減のために紙製造、白水処理、廃水リサイクル、リグノセルロース繊維リサイクル、例えばインキ抜き及び二次繊維加工、及び木材残留物利用において、本明細書に記載されるように、他のグリコヒドロラーゼ及び関連する酵素と組合して使用され得る(S.D, Mansfield and A.R. Esteghlalian in S.D, Mansfield and J.N. Saddler (Eds.), Applications of Enzymes to Lignocellulosics, ACS Symposium Series 855, Washington, D.C., 2003, pp. 2-29)。
【0202】
シグナルペプチド
本発明はまた、配列番号2のアミノ酸1〜17を含んで成るか又はそれらから成るシグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列に操作可能的に結合されるタンパク質をコードする。好ましい観点においては、ヌクレオチド配列は、配列番号1のヌクレオチド1〜51から成る。
【0203】
本発明はまた、組換え発現ベクター、及びそのような核酸構造体を含んで成る組換え宿主細胞にも関する。
本発明はまた、(a)そのような組換え宿主細胞を、タンパク質の生成のために適切な条件で培養し;そして(b)タンパク質を回収することを含んで成るタンパク質の生成方法にも関する。
【0204】
前記タンパク質は、宿主細胞に対して生来性でも又は異種性でもあり得る。用語“タンパク質”とは、コードされた生成物の特定の長さを言及することを本明細書においては意味せず、そして従って、ペプチド、オリゴペプチド及びタンパク質を包含する。用語“タンパク質”とはまた、コードされた生成物を形成するために組み合わされ得る核酸のポリペプチドを包含する。タンパク質はまた、少なくとも2種の異なったタンパク質(ここで、1又は複数のタンパク質は宿主細胞に対して生来のものであるか又は異種のものであり得る)から得られた部分又は完全なポリペプチド配列の組み合わせを含んで成るハイブリッドポリペプチドを包含する。タンパク質はさらに、上記タンパク質及びハイブリッドタンパク質の天然に存在する対立遺伝子及び構築された変動性を包含する。
【0205】
好ましくは、タンパク質は、ホルモン又はその変異体、ポリペプチド、受容体又はその一部、抗体又はその一部、又はレポーターである。より好ましい態様においては、タンパク質はオキシドレダクターゼ、トランスフェラーゼ、ヒドロラーゼ、リアーゼ、イソメラーゼ又はリガーゼである。さらにより好ましい態様においては、タンパク質は、アミノペプチダーゼ、アミラーゼ、カルボヒドラーゼ、カルボキシペプチダーゼ、カタラーゼ、セルラーゼ、キチナーゼ、クチナーゼ、シクロデキストリングリコシルトランスフェラーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ、エステラーゼ、α−ガラクトシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、α−グルコシダーゼ、β−グルコシダーゼ、インバーターゼ、ラッカーゼ、リパーゼ、マンノシダーゼ、ムタナーゼ、オキシダーゼ、ペクチン分解ポリペプチド、ペルオキシダーゼ、フィターゼ、ポリフェノールオキシダーゼ、タンパク質分解ポリペプチド、リボヌクレアーゼ、トランスグルタミナーゼ又はキシラナーゼである。
前記遺伝子は、いずれかの原核、真核生物又は他の源から得られる。
本発明は次の例により、さらに記載されるが、それらは本発明の範囲を制限するものではない。
【実施例】
【0206】
材料:
緩衝液及び基質として使用される化学物質は、少なくとも試薬品種の市販の製品であった。
SDS−PAGEゲル、充填緩衝液及び走行緩衝液は、Invitrogen/Novex(Carlsbad, CA)からであった。配列決定品種の修飾されたトリプシンは、Princeton Separations (Aldelphia, NJ)からであった。BioSafe Commassie Blue G250タンパク質は、BioRad Laboratories (Hercules, CA)からであった。
【0207】
菌株:
アスペルギラス・オリザエJal250株(WO99/61651号)が、セロビオヒドロラーゼ活性を有するチエラビア・テレストリスポリペプチドの発現のために使用された。チエラビア・テレストリスNRRL株8126を、ファミリー6Aタンパク質のための遺伝子源として使用した。
【0208】
培地:
PDAプレートは、1L当たり、39gのジャガイモデキストロース寒天から構成された。
NNCYP培地は、1L当たり、5.0gのNH4NO3、0.5gのMgSO4・7H2O、0.3gのCaCl2、2.5gのクエン酸、1.0gのBacto Peptone, 5.0gの酵母抽出物、1mlのCOVE微量金属溶液、及び約5.4の最終pHを達成するのに十分なK2HPO4から構成された。
【0209】
NNCYPmod培地は、1L当たり、1.0gのNaCl、5.0gのNH4NO3、0.2gのMgSO4・7H2O、0.2gのCaCl2、2.0gのクエン酸、1.0gのBacto Peptone, 5.0gの酵母抽出物、1mlのCOVE微量金属溶液、及び約5.4の最終pHを達成するのに十分なK2HPO4から構成された。
COVE微量金属溶液は、1L当たり、0.04gのNa2B4O7・10H2O, 0.4gのCuSO4・5H2O, 1.2gのFeSO4・7H2O, 0.7gのMnSO4・H2O,0.8gのNa2MoO2・2H2O及び10gのZnSO4・7H2Oから構成された。
【0210】
LBプレートは、1L当たり、10gのトリプトン、5gの酵母抽出物、5gの塩化ナトリウム及び15gのBacto寒天から構成された。
MDU2BP培地は、1L当たり、45gのマルトース、1gのMgSO4・7H2O、1gのNaCl、2gのK2HSO4、12gのKH2PO4、2gのウレア、及び500μlのAMG微量金属から構成され;pHは5.0に調節され、そして次に、0.22μmの濾過ユニットによりフィルター殺菌された。
【0211】
AMG微量金属は、1L当たり、14.3gのZnSO4・7H2O、2.5gのCuSO4・5H2O、0.5gのNiCl2・6H2O、13.8gのFeSO4・7H2O、8.5gのMnSO4・7H2O及び3gのクエン酸から構成された。
SOC培地は、1L当たり、2%トリプトン、0.5%酵母抽出物、10mMのNaCl、2.5mMのKCl、10mMのMgCl2、及び10mMのMgSO4から構成され;オートクレーブにより殺菌され、そして次に、フィルター殺菌されたグルコースが添加され、20mMにされた。
【0212】
凍結培地は、60%SOC及び40%グリセロールから構成された。
2X YT培地プレートは、1L当たり、16gのトリプトン、10gの酵母抽出物、5gのNaCl,及び15gのBacto寒天から構成され、オートクレーブにより殺菌された。
YP培地は、IL当たり、10gの酵母抽出物及び20gのバクトペプトン(Difco)から構成された。
【0213】
セルラーゼ誘発培地(CIM)は、1L当たり、20gのセルロース、10gのコーンスチープ固形物、1.45gの(NH4)2SO4、2.08gのKH2PO4、0.28gのCaCl2、0.42gのMgSO4・7H2O及び0.42mlの微量金属溶液から構成された。
微量金属溶液は、1L当たり、216gのFeCl3・6H2O、58gのZnSO4・7H2O、27gのMnSO4・H2O、10gのCuSO4・5H2O、2.4gのH3BO3及び336gのクエン酸から構成された。
【0214】
例1チエラビア・テレストリスNRRL8126からのファミリー6セロビオヒドロラーゼをコードするポリペプチドのタンデム質量分光法によるペプチド配列決定
PDA上で増殖されたチエラビア・テレストリスNRRL8126の新鮮なプレートからの3種のアガロースプラグを、1.5%グルコースにより補充されたNNCYP培地100ml中に接種し、そして軌道シェーカー上で42℃及び200rpmで25時間インキュベートした。この培養物50mlを用いて、1L当たり0.4%グルコース及び52gの粉末セルロースにより補充されたNNCYP培地1.8Lを接種し、そして42℃でインキュベートした。pHを、必要により、15%水酸化アンモニウム又は5Nのリン酸により5.0に調節した。
【0215】
発酵を、1.0VVMの空気流及び1100rpmの撹拌下で、25%での最少溶解酸素により42℃で行った。供給培地を、6.0〜8.0g/時の供給速度で、0時点で2Lの発酵容器中に120時間、供給した。プールされた培養物を、3000×gで10分間、遠心分離し、そして上清液を、ガラス繊維プレフィルター(Nalgene, Rochester NY)を備えた使い捨て濾過ユニットを通して濾過した。濾液を貯蔵のために4℃に冷却した。
【0216】
0.3mlアリコートの濾液を、氷上で20分間、10%トリクロロ酢酸(TCA)−80%アセトンにより沈殿した。その懸濁液を、13.000×gで10分間、遠心分離した。上清液を除去し、そして残存するタンパク質ペレットを、冷アセトンによりすすいだ。タンパク質ペレットを、50mlのジチオトレイトール(DTT)を含む1×ドデシル硫酸リチウム(LDS)SDS−PAGE充填緩衝液30μlに溶解し、そして80℃で10分間、加熱した。15μlのサンプルを、7cmの4〜12%NuPAGE Bis-Tris SDS-PAGEグラジエントゲル及び2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)走行緩衝液を用いて、SDS−PAGEにより分離した。
【0217】
SDS-PAGEを、製造業者の推薦されるプロトコール(Invitrogen, Carlsbad, CA)に従って、還元条件下で実施した。ゲルをカセットから除去し、そして脱イオン水により少なくともそれぞれ5分間、3度すすぎ、そしてBio-Safeクーマシー染料(BioRad Laboratories, Hercules, CA)により1時間、染色し、続いて二重蒸留された水により30分以上の間、汚れを除去した。約66kDa及び73kDaで観察されるタンパク質バンドを切除し、そして100mMの炭酸水素アンモニウム中、10mMのDTT 50μlにより30分間、還元に続いて、ゲル断片を、100mMの炭酸水素アンモニウム中、55mMのヨードアセトアミド50μlにより20分間アルキル化した。
【0218】
乾燥されたゲル断片を、トリプシン消化溶液(50mMの炭酸水素アンモニウム中、6ng/μlの配列決定品種トリプシン)において室温で30分間、再水和化し、続いて40℃で8時間、消化した。記載される反応段階の個々は、所望する溶液による多くの洗浄及び再洗浄を従えた。50μlのアセトニトリルを用いて、反応間のゲル断片を再水和化し、そしてそれらを、段階間で空気乾燥した。ペプチドを、HPLC品種の水中、1%蟻酸/2%アセトニトリルにより30分間、2度抽出した。ペプチド抽出溶液を、10〜15℃に冷却された96ウェルPCRタイプのマイクロタイタープレートに移した。回収されたペプチド溶液を含むマイクロタイタープレートを密封し、蒸発を妨げ、そして質量分光分析が行われるまで、4℃で貯蔵した。
【0219】
タンデム質量分光法による新たなペプチド配列決定に関しては、Q−Taf microTM、すなわちハイブリッド直交四極子質量分光計(Waters Micromass(商標)MS Technologies, Milford, MA)を、LC/MS/MS分析のために使用した。Q−Tof microTMを、サンプルの濃縮及び脱塩のために、FAMOSマイクロオートサンプラー及びSwitchos IIカラムスイッチ装置(LCPackings, San Francisco)により結合された、UltimateTM細管及び超微流HPLCシステムにより固定した。サンプルを、注入ループに固定されたガードカラム(300μm ID×5cm、C18 pepmap)上に充填し、そしてSwitchos IIポンプを用いて2分間、40μl/分で0.1%蟻酸により洗浄した。
【0220】
ペプチドを、75μmのID×15cm、C18, 3μm、100Å PepMapTM (LC Packings, San Francisco)超微流融合細管カラム上で、NAN−75検量器(Dionex, Sunnyvale, CA)を用いて、175μl/分のスプリット流から175nl/分の流速で分離した。0.1%蟻酸中、5%〜80%のアセト二トリルの段階的溶離グラジエントを45分間隔で適用した。カラム溶離剤を、215nmでモニターし、そして超微噴霧界面により固定された電子噴霧イオン源を通してQ−Tof MicroTM中に導入した。Q-Tof microTMは、MasslynxTMソフトウェアーバージョン3.5(Waters Micromass(商標)MS Technologies, Milford, MA)を用いて十分に制御されたマイクロプロセッサーである。
【0221】
データは、調査走査モードで、及びm/z400〜1990の質量範囲で、1秒当たり10.0以上の計数のイオン強度及び+2、+3及び+4の電荷状態を包含するよう、MS〜MS/MSについてのスイッチ基準を伴って得られた。1.9秒の走査時間及び0.1秒の走査間時間を伴って、4種までの同時溶出する種の分析スペクトルを得ることができた。65ボルトのコーン電圧が典型的には使用され、そして衝突エネルギーが、溶出ペプチドの質量及び電荷状態に従って及び10〜60ボルトの範囲で変化するようプログラムされた。
【0222】
得られたスペクトルが、自動化された態様で、組合され、補整され、そしてセンターリングされ、そしてピークの列挙が生成される。このピーク列挙を、Protein LynxTM Global Server 1.1 ソフトウエア (Waters Micromass(商標)MS Technologies, Milford, MA)を用いて、選択された公的及び私的データベースに対して調査した。ProteinLynyTM調査からの結果を評価し、そして正体不明なタンパク質をさらに、興味ある個々のイオンのMS/MSスペクトルを評価することにより分析し、そして新規配列を、y及びbイオンシリーズを同定し、そして適切なアミノ酸と質量差異とを比較することにより決定した。
【0223】
質量分光測定により新規配列決定から得られたペプチド配列を、約73kDaのポリペプチドゲルバンドについていくつかの多重荷電されたイオンから得た。574.24m/z配列の二重荷電されたトリプシン性ペプチドイオンが、Val-Pro-Ser-[Phe 又は酸化された Met]-Gln-Trp-[Ile 又はLeu]-Asp-Arg(配列番号2のアミノ酸163〜171)であることが決定された。982.42の第2の二重荷電されたトリプシン性ペプチドイオンが、Gly-Ala-Asn-Pro-Pro-Tyr-Ala-Gly-[Ile 又は Leu]-[Phe 又は酸化された Met]-Val-Val-Tyr-Asp-[Leu 又は Ile]-Pro-Asp-Arg(配列番号2のアミノ酸193〜210)であることが決定された。
【0224】
60KDaのタンパク質バンドをまた、トリプシンによりゲル内消化し、そして得られるペプチドを回収した。1159.02の二重荷電されたペプチドイオンを新たに配列決定し、[Ile 又は Leu]-[Ile 又は Leu]-[Phe又は酸化されたMet]-Val-[Ile 又は Leu]-Glu-Pro-Asp-Ser-[Leu 又は Ile]-Ala-Asn-Met-Val-Thr-Asn-[Leu 又は Ile]-Asn-Val‐Ala-Lys(配列番号2のアミノ酸250〜270)であることが決定された。
【0225】
例2発現された配列標識(EST)cDNAライブラリー構成
チエラビア・テレストリスNRRL8126の24時間の液体培養物(250mlのフラスコ中、50mlのNNCYPmod+1%グルコース、45℃、200rpm)からの2mlアリコートを用いて、2%Sigmacell-20により補充されたNNCYPmod培地100mlを含む500mlのフラスコに播種した。この培養物を45℃、200rpmで3日間インキュベートした。ガラス繊維プレフィルター(Nalgene, Rochester NY)を備えたブフナー漏斗を通しての濾過により収穫し、10mMのトリス−HCl−1mMのEDTA, pH8(TE)により2度、洗浄し、そして液体窒素によりすばやく凍結した。
【0226】
全RNAを次の方法を用いて単離した。チエラビア・テレストリスNRRL8126の凍結された菌糸体を、電気コーヒー粉砕機により粉砕した。粉砕された材料を、50mlのFalcon管において、20mlのFenazol (Ambion, Inc., Amstin, TX)と共に、1:1(v/v)で混合した。菌糸体を懸濁し、その後すぐに、それらをクロロホルムにより、及びフェノール−クロロホルム−イソアミルアルコール(25:24:1, v/v/v)の混合物により3度、抽出した。得られた水性相から、RNAを、1/10体積の3M酢酸ナトリウム(pH5.2)及び1.25体積のイソプロパノールの添加により沈殿した。沈殿されたRNAを、12,000×gで4℃で30分間の遠心分離により回収した。最終ペレットを、70%エタノールにより洗浄し、空気乾燥し、そして500mlのジエチルピロカーボネート処理された水(DEPC-水)に再懸濁した。
【0227】
精製されたRNAの品質及び量を、Agilent Bioanalyzer 2100 (Agilent Technologies, Inc., Palo Alto, CA)により評価した。ポリアデニル化されたmRNAを、360μgの全RNAから、Poly(A) Purist Magnetic Kit (Ambion, Inc., Austin, TX)の助けにより、その製造業者の説明書に従って単離した。
cDNAライブラリーを創造するために、CloneMinerTM Kit (Invitrogen, Carlsbad, CA)を用いて、制限酵素クローニングの使用を必要とせず、それによりキメラ性クローン及びサイズ偏向の数を低める指向的ライブラリーを創造した。
【0228】
cDNAの好都合な合成を確証するために、2種の反応を、2種の異なった濃度のmRNA(2.2及び4.4μgのポリ(A)+ mRNA)を用いて同時に行った。mRNAサンプルを、Biotin-attB2-Oligo(dt) プライマー (CloneMinerTMKit, Invitrogen, Carlsbad, CA)、1×第1鎖緩衝液(Invitrogen, Carlsbad, CA)、2μlの0.1Mジチオトレイトール(DTT)、dATP, dTTP, dGTP, 及び dCTPの10mMのブレンド、及びそれぞれ18及び16μlの最終体積にするための水と共に混合した。
【0229】
反応混合物を注意して混合し、そして次に、2及び4μlのSuper ScriptTM 逆転写酵素を添加し、そして45℃で60分間インキュベートし、第1相補的鎖を合成した。第2鎖の合成のために、個々の第1鎖反応に、30μlの5×第2鎖緩衝液(Invitrogen, Carlsbad, CA)、dATP, dTTP, dGTP及びdCTPの10mMブレンド3μl、10単位のE. コリDNAリガーゼ、40単位のE. コリDNAポリメラーゼI、及び2単位のE. コリRNase Hを添加し、合計体積を150μlにした。次に、その混合物を16℃で2時間インキュベートした。2時間のインキュベーションの後、2μlのT4−DNAポリメラーゼを個々の反応に添加し、そして16℃で5分間インキュベートし、ブラント−末端化されたcDNAを創造した。
【0230】
cDNA反応を、フェノール−クロロホルム−イソアミルアルコール(25:24:1, v/v/v)の混合物により抽出し、そして20μgのグリコーゲン、120μlの5Mの酢酸アンモニウム及び660μlのエタノールの存在下で沈殿した。12,000×g、4℃での30分間の遠心分離の後、cDNAペレットを、冷70%エタノールにより洗浄し、真空下で2〜3分間、乾燥し、そして18μlのDEPC−水に再懸濁した。個々の再懸濁されたcDNAサンプルに、10μlの5×適合された緩衝液、10μgのattB1アダプター(キットにより供給される;下記に示される二本鎖配列)、7μlの0.1MのDTT及び5単位のT4 DNAリガーゼを添加した:
5 ' -TCGTCGGGGACAACTTTGTACAAAAAAGTTGG-3 '(配列番号3)
3 ' - CCCCTGTTGAAACATGTTTTTTCAACCp- 5 '(配列番号4)。
【0231】
連結反応物を16℃で一晩インキュベートした。過剰のアダプターを、1mlのSphacrylTMS-500 HR 樹脂 (Amersham Biosciences, Piscataway, NJ)におけるサイズ排除クロマトグラフィーにより除去した。カラム画分を、前記キットの説明書に従って集め、そして画分3〜14を、Agilent Bioanalizerによって分析し、attB1アダプターが溶出を開始する画分を決定した。この分析は、アダプターがほぼ画分10又は11で溶出を開始したことを示した。第1ライブラリーのために、画分6〜11をプールし、そして第2ライブラリーのために、画分4〜11をプールした。
【0232】
cDNAのクローニングを、組換え酵素としてBP ClonaseTM (Invitrogen, Carlsbad, CA)を用いて、Gateway System プロトコール (Invitrogen, Carlsbad, CA)に従って相同DNA組換えにより行った。個々のBP ClonaseTM組換え反応は、約70ngのattBを端に有するcDNA、 250ngのpDONRTM 222、 2μlの5× BP ClonaseTM緩衝液、2μlのTE、及び3μlのBP ClonaseTMを含んだ。組換え反応物を、25℃で一晩インキュベートした。
【0233】
次に、熱−不活性化されたBP組換え反応を、6のアリコートに分け、そして次のパラメーターを用いて、BioRad Gene Pulser II (BioRad, Hercules, CA)上でElectroMaxTM DHlOB エレクトロコンピテント細胞 (Invitrogen, Carlsbad, CA)中にエレクトロポレートした:電圧:2.0kV、抵抗:200Ω、容量:25μF。エレクトロポレートされた細胞を、1mlのSOC培地に再懸濁し、そして一定の振盪(200rpm)下で、37℃で60分間インキュベートした。インキュベーション期間の後、形質転換された細胞をプールし、そして凍結培地と共に1:1の比で混合した。200μlのアリコートをライブラリー滴定のために除去し、そして次に、残りの個々のライブラリーを、1.8mlの低温バイアル(Wheaton Science Products, Millville, NJ)中にアリコートし、そして−80℃で凍結貯蔵した。
【0234】
個々のライブラリーの4種の連続的希釈溶液を調製した:1/100, 1/1000, 1/104, 1/105。 個々の溶液から、100μlを、1ml当たり50μgのカナマイシンにより補充された、150mmのLBプレート上にプレートし、そして37℃で一晩インキュベートした。個々の希釈プレート上のコロニーの数を計数し、そしてそれを用いて、個々のライブラリーにおける形質転換体の合計数を計算した。
第1ライブラリーは、5.4×106個の独立したクローンを有することが示され、そして第2ライブラリーは、9×106個の独立したクローンを有することが示された。
【0235】
例3cDNAクローンの鋳型調製及びヌクレオチド配列決定
両ライブラリーからのアリコートを混合し、そして1ml当たり50μgのカナマイシンにより補充された25×25cmのLBプレート上にプレートした。個々のコロニーを、Genetix QPix Robot (Genetix Inc., Boston, MA)の助けを伴って、1ml当たり50μgのカナマイシンにより補充されたLB100μlを含む96ウェルプレート上に整列した。45個の96ウェルプレートを、合計4320の個々のクリーンのために得た。プレートを、200rpmで振盪しながら、37℃で一晩インキュベートした。インキュベーションの後、100μlの無菌50%グリセロールを個々のウェルに添加した。
【0236】
形質転換体を、96−ピン用具(Boekel, Feasterville, PA)の助けにより、個々のウェルにおいて、1ml当たり50μgのカナマイシンにより補充された、1mlのMagnificent BrothTM(MacConnell Research, San Diego, CA)を含む二次の深皿96ウェルマイクロ培養プレート(Advanced Genetic Technologies Corporation, Gaithersburg, MD)中に複製した。一次マイクロタイタープレートを、−80℃で凍結貯蔵した。二次の深皿プレートを、回転シェーカー上での激しい撹拌(300rpm)下で37℃で一晩インキュベートした。こぼれ、及び汚染を妨げるために、及び十分な通気を可能にするために、二次培養プレートを、ポリプロピレンパッド(Advanced Genetic Technologies Corporation, Gaithersburg, MD)及びプラスチックマイクロタイター皿カバーにより被覆した。プラスミドDNAを、MWG Robot-Smart 384 (MWG Biotech Inc., High Point, NC)及び Montage Plasmid Miniprep Kits (Millipore, Billerica, MA)により調製した。
【0237】
配列決定反応を、Big-DyeTM(Applied Biosystems, Inc., Foster City, CA) ターミネーター化学(Giesecke など., 1992, Journal of Virology Methods38: 47-60)及び次のM13前方向(約20)配列決定プライマーを用いて行った:
5'-GTAAAACGACGGCCAG-3'(配列番号5)。
【0238】
配列決定反応を、Robot- Smart 384 (MWG Biotech Inc., High Point, NC)及びMillipore Multiscreen Seq384 Sequencing Clean-up Kits (Millipore, Billerica, MA)によるターミネーター除去を用いて、384−ウェル型において実施した。反応は、6μlのプラスミドDNA、及び1μlの5×配列決定緩衝液(Millipore, Billerica, MA)、1μlのByg-DyeTM ターミネーター (Applied Biosystems, Inc., Foster City, CA)、1.6pモルのM13前方向プライマー及び1μlの水を含む配列決定マスター混合物4μlを含んだ。単一経過DNA配列決定を、ABI PRISM Automated DNA Sequencer Model 3700 (Applied Biosystems, Foster City, CA)により行った。
【0239】
例4cDNAクローンのDNA配列データの分析
塩基命名、品質値割り当て、及びベクタートリミングを、PHRED/PHRAP ソフトウェアー(University of Washington, Seattle, WA)の助けを伴って実施した。ESTのクラスター分析を、Parcel Transcript Assembler v. 2.6.2. (Paracel, Inc., Pasadena, CA)により行った。ESTクラスターの分析は、395個の独立したクラスターの存在を示した。
【0240】
アセンブリーされたEST配列のPIR及びERDBPデータベースに対する配列相同性分析を、BLOSUM 62マトリックス (Henikoff, 1992, Proc. Natl. Acad. ScL USA 89: 10915-10919)を用いて、32−ノードLinux(登録商標)クラスター(Paracel, Inc. Pasadena, CA)上でBlastxプログラム(Altschul など., 1990, J. MoI. Biol. 215:403-410)により行った。それらから、246が、公的又は私的タンパク質データベースにおいて既知遺伝子であるヒットを有し、そして149がそれらのデータベースに対して有意なヒットを有さなかった。それらの246の遺伝子の中で、13は、グリコシルヒドロラーゼ遺伝子の十分に特徴づけられた相同体に対してヒットを有した。
【0241】
例5ファミリー6セロビオヒドロラーゼ(Cel6A)をコードするcDNAクローンの同定
ファミリー6セロビオヒドロラーゼ(Cel6A)をコードするcDNAクローンをまず、ヒューミコラ・インソレンスからのファミリー6Aタンパク質(NR 34811679)に対するその相同性により同定した。その分析は、2つのタンパク質が、120個のアミノ酸(360個の塩基対)範囲に対して、タンパク質レベルで50%同一であったことを示した。この初期同定の後、クローンTter11C9を元の凍結されたストックプレートから再生し、そして1ml当たり50μgのカナマイシンにより補充されたLBプレート上に画線培養した。
【0242】
そのプレートを37℃で一晩インキュベートし、そして次の日、プレートからの単一のコロニーを用いて、1ml当たり150μgのカナマイシンにより補充されたLB3mlを接種した。液体溶媒物を37℃で一晩インキュベートし、そしてプラスミドDNAを、Qiagen BioRobot 9600 (QIAGEN, Inc., Valencia, CA)により調製した。クローンTter11C9プラスミドDNAを、クローンの3’末端を配列決定するために、M13前方向プライマー、及び下記に示されるPoly-Tプライマーを用いて、上記のようにBig-DyeTMターミネーター化学により再び配列決定した:
5'- TTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTVN-3'(配列番号6)、ここでV=G, A, C及びN=G, A, C, T。
【0243】
新規配列情報のBlastx相同性分析は、3’プライム端タラロミセス・エメルソニファミリー6タンパク質に対して非常に高い同一性を有したことを示した。それらのタンパク質は、39個のアミノ配列範囲に対して97%同一であった。また、Interproscan プログラム(Zdobnov and Apweiler, 2001, Bioinformatics 17: 847-8.)によるクローンTter11Cの5’プライム端の分析は、クローンTter 11C9によりコードされた遺伝子がグリコシルヒドロキシラーゼファミリー6タンパク質の配列特徴を含んだことを示した。PrositeパターンPS00655(Sigrist など., 2002, Brief Bioinform. 3: 265-274)として知られているこの配列特徴が、開始アミノ酸メチオニンから202個のアミノ酸で見出され、これは、クローンTter11C9がチエラビア・テレストリスグリコシルヒドロラーゼファミリー6をコードすることを確認した。
【0244】
cDNA配列(配列番号1)及び推定されるアミノ酸配列(配列番号2)が、図1A及び1Bに示されている。cDNAクローンは、481個のアミノ酸のポリペプチドをコードする。前記遺伝子のcDNAクローンの%G+C含有率は66.9%であり、そして成熟タンパク質コード領域(配列番号1のヌクレオチド52〜1443)のその含有率は66.7%である。SignalPソフトウェアプログラム(Nielsen など., 1997, Protein Engineering 10: 1-6)を用いて、17個の残基のシグナルペプチドが予測された。その予測される成熟タンパク質は、464個のアミノ酸を含み、そして49.3kDaの分子質量を有する。
【0245】
グリコシルヒドロラーゼファミリー6配列の比較一列整列を、PAM250残基重量表及び次の複数の一列整列パラメーター(10のギャップペナルティー及び10のギャップ長ペナルティー)と共に、LASERGENE(TM) MEGALIGN(TM) ソフトウエア(DNASTAR, Inc., Madison, WI)を用いて、Clustal W method (Higgins, 1989,前記)により決定した。対様一列整列パラメーターは、次の通りであった:Ktuple=1、ギャップペナルティー=3、窓=5及びダイアゴナル=5。その一列整列は、チエラビア・テレストリスCel6Aセロビオヒドロラーゼ遺伝子の推定されるアミノ酸配列が、カエトミウム・サーモフィラムセロビオヒドロラーゼ遺伝子(Geneseqp ADP84824)の推定されるアミノ酸と74%の同一性を共有することを示した。
【0246】
pTter11C9を含むクローンTter11C9の正体が確認されるとすぐに、pTter6Aと再命名されたこのクローンからのプラスミドDNAの0.5μlアリコートを、E. コリTOP10細胞(Invitrogen, Carlsbad, CA)のバイアル中に移し、軽く混合し、そして氷上で10分間インキュベートした。次に、細胞を、42℃で30秒間、熱ショックし、そして氷上で2分間、再びインキュベートした。細胞を250μlのSOC培地に再懸濁し、そして37℃で60分間、一定の振盪(200rpm)下でインキュベートした。
【0247】
インキュベーション期間の後、2つの30μlアリコートを、1ml当たり50μgのカナマイシンにより補充されたLBプレート上にプレートし、そして37℃で一晩インキュベートした。次の日、単一のコロニーを採取し、そして1ml当たり50μgのカナマイシンにより補充された約1.5mlのLBアガロースを含む1.8mlの3本の低温バイアル上に画線培養した。バイアルを、PetriSealTM (Diversified Biotech, Boston MA)により密封し、そしてAgricultural Research Service Patent Culture Collection, Northern Regional Research Center, 1815 University Street, Peoria, Illinois, 61604に、2004年12月17日に寄託した。
【0248】
例6pAILo2発現ベクターの構成
発現ベクターpAILo1を、アスペルギラス・ニガー中性α−アミラーゼ及びアスペルギラス・オリザエトリオースリン酸イソメラーゼ(NAZ−tplプロモーター)、アスペルギラス・ニガーアミログルコシダーゼターミネーター配列(AMGターミネーター)、及びアスペルギラス・ニジュランスアセトアミダーゼ遺伝子(andS)のための遺伝子からのプロモーターのハイブリッドを含んで成る、pBANe6(アメリカ特許第6,461,837号)を修飾することにより構成した。すべての突然へに誘発段階は、記載のようにしてBlg−DyeTMターミネーター化学を用いて、配列決定により確かめられた。pBANe6の修飾を、まずandS選択マーカーから位置2051, 2722及び3397bpでの3個のNcoI制限部位を、特定部位の突然変異誘発により削除することにより行った。
【0249】
すべての変化は、amdS遺伝子生成物の実際のタンパク質配列を未変化のままにする“サイレント”であるよう企画された。それらの3個の部位の除去を、次のプライマー(下線のヌクレオチドは変更された塩基を示す)を用いて、GeneEditorTM in vitro Site-Directed Mutagenesis Kit (Promega, Madison, WI)により、その製造業者の説明書に従って、同時に行った:
AMDS3NcoMut (2050):
5'-GTGCCCCATGATACGCCTCCGG-3' (配列番号7);
AMDS2NcoMut (2721):
5'-GAGTCGTATTTCCAAGGCTCCTGACC-3' (配列番号8)
AMDS1NcoMut (3396):
5'-GGAGGCCATGAAGTGGACCAACGG-3' (配列番号9)
【0250】
次に、すべての3種の予測される配列変化を含んで成るプラスミドを、QuickChangeTM Site-Directed Mutagenesis Kit(Stratagene, La JoIIa, CA)を用いて、特定部位の突然変異誘発にゆだね、位置1643でAMGターミネーターの末端でのNcoI制限部位を排除した。次のプライマー(下線のヌクレオチドは変更された塩基を表す)を、突然変異誘発のために使用した:
AMGターミネーター配列を突然変異誘発するための上方プライマー:
5'-CACCGTGAAAGCCATGCTCTTTCCTTCGTGTAGAAGACCAGACAG-3'(配列番号10);
AMGターミネーター配列を突然変異誘発するための下方プライマー:
5'-CTGGTCTTCTACACGAAGGAAAGAGCATGGCTTTCACGGTGTCTG-3'(配列番号11)。
【0251】
pBANe6の修飾における最後の段階は、pAlLo1(図2)を生成するために、QuickChangeTM Site-Directed Mutagenesis Kit及び次のプライマー(下線のヌクレオチドは変更された塩基を表す)を用いて、ポリリンカーの開始での新規NcoI制限部位の付加であった:
NA2−tpiプロモーターを突然変異誘発するための上方プライマー:
5'-CTATATACACAACTGGATTTACCATGGGCCCGCGGCCGCAGATC-3'(配列番号12):
NA2−tpiプロモーターを突然変異誘発するための下方プライマー:
5'-GATCTGCGGCCGCGGGCCCATGGTAAATCCAGTTGTGTATATAG-3'(配列番号13)。
【0252】
pALo1のandS遺伝子を、アスペルギラス・ニジュランスpyrG遺伝子により交換した。プラスミドpBANe10(図3)を、選択マーカーとしてのpyrG遺伝子のための源として使用した。pBANe10の配列の分析は、pyrGマーカーがNsiI制限フラグメント内に含まれ、そしてNcoI又はPacI制限部位のいずれを含まないことを示した。andSはまた、NsiI制限部位を端に有するので、選択マーカーを交換するための方法は、NsiI制限フラグメントの単純な交換であった。pAlLo1及びpBANe10からのプラスミドDNAを、制限酵素NsiIにより消化し、そして生成物をアガロースゲル電気泳動により精製した。pyrG遺伝子を含むpBANe10からのNsiIフラグメントを、pAlLo1の主鎖に連結し、andS遺伝子を含む元のNsiI DNAフラグメントを置換した。組換えクローンを制限消化により分析し、それらが正しい挿入体及びまた、その配向を有することを決定した。時計とは逆方向に転写されたpyrG遺伝子を有するクローンを選択した。新規プラスミドは、pAlLo2(図4)と命名された。
【0253】
例7アスペルギラス・オリザエ発現ベクター中へのファミリーGH6Aセロビオヒドロラーゼ遺伝子のクローニング
下記に示される2種の合成オリゴヌクレオチドプライマーを、ファミリーGH6Aセロビオヒドロラーゼをコードするチエラビア・テレストリスEST Tter11C9からの十分な長さの読み取り枠をPCR増幅するよう企画した。In-Fusion Cloning Kit (BD Biosciences, Palo Alto, CA)を用いて、前記フラグメントをpAILo2中にクローン化した:
In−Fusion前方向プライマー:
5'- ACTGGATTACCATGGCTCAGAAGCTCCTTCT-3'(配列番号14);
In−Fusion逆方向プライマー:
5'-TCACCTCTAGTTAATTAAAAGGGCGGGTTGGCGT-3'(配列番号15)。
下線部分はコード配列を表す。残る配列は、pAILo2の挿入部位に比較して、配列本体を含む。
【0254】
50pモルの上記個々のプライマーを、50ngのpTter11C9 DNA, 1× Pfx増幅緩衝液(Invitrogen, Carlsbad, CA)、dATP, dTTP, dGTP及びdCTPの10mMブレンド6μl、2.5単位のPlatinum Pfx DNA Polymerase (Invitrogen, Carlsbad, CA)、1μlの50mMのMgSO4及び5μlの1OX pCRx Enhancer溶液 (Invitrogen, Carlsbad, CA)(50μlの最終体積)を含むPCR反応に使用した。次のようにプログラムされた、Eppendorf Mastercycler 5333 (Eppendorf Scientific, Inc., Westbury, NY)を用いて、フラグメントを増幅した:98℃で2分間、1サイクル;及び94℃で30秒間、65℃で30秒間及び68℃で1.5分間、35サイクル。35サイクルの後、反応を68℃で10分間インキュベートし、そして次に、さらなる処理まで、10℃で冷却した。
【0255】
1.5kbのPCR反応生成物を、40mMのトリス塩基−20mMの酢酸ナトリウム−1mMの二ナトリウムEDTA(TAE)緩衝液及び1ml当たり0.1μgの臭化エチジウムを用いて、0.8%GTG−アガロース−ゲル(Cambrex Bioproducts One Meadowlands Plaza East Rutherford, New Jersey 07073)上で単離した。DNAバンドを、UV−誘発の突然変異を回避するために、Dark ReaderTM (Clare Chemical Research, Dolores, CO)の助けにより可視化した。1.5kbのDNAバンドを、使い捨てレーザー羽により切断し、そしてltrafree-DA 回転カップ (Millipore, Billerica, MA)により、その製造業者の説明書に従って精製した。
【0256】
ベクターpAILo2を、NcoI及びPacIによる消化により線状化した(製造業者により特定される条件を用いる)。フラグメントを、上記のようにして、ゲル電気泳動及び限外濾過により精製した。精製されたPCRフラグメントの線状化され、そして精製されたpAILo2へのクローニングを、In-Fusion Cloning Kit (BD Biosciences, Palo Alto, CA)により行った。反応(20μl)は、1×In−Fusion緩衝液(BD Biosciences, Palo Alto, CA)、IX BSA (BD Biosciences, Palo Alto, CA)、1μlのIn−Fusion酵素(1:10に希釈された)(BD Biosciences, Palo Alto, CA)、NcoI及びPacIにより消化された100ngのpAILo2、及び50ngのチエラビア・テレストリスGH6A精製されたPCR生成物を含んだ。反応を、室温で30分間インキュベートした。反応のサンプル2μlを用いて、E. コリXLlO SoloPac(商標)Gold cells (Stratagene, La JoIIa, CA)を、その製造業者の説明書に従って形質転換した。
【0257】
回収期間の後、その形質転換反応からの2つの100μlアリコートを、1ml当たり100μgのアンピシリンにより補充された150mmの2× YT培地プレート上にプレートした。プレートを、37℃で一晩インキュベートした。2組の8種の推定上の組換えクローンを、選択プレートからランダムに選択し、そしてプラスミドのDNAを、BioRobot 9600 (QIAGEN, Inc., Valencia, CA)を用いて、個々のプラスミドから調製した。クローンを、NcoI制限消化により分析した。次に、予測される制限消化物パターンを有した4個のクローンを配列決定し、クローン化された挿入体に突然変異が存在しなかったことを確かめた。第2組からのクローン#13を選択し、そしてpAILo21(図5)と命名した。
【0258】
例8アスペルギラス・オリザエJAL250におけるチエラビア・テレストリスファミリーGH6Aセロビオヒドロラーゼの発現
アスペルギラス・オリザエJal250(WO99/61651号)プロトプラストを、Christensen など., 1988, Bio/Technology 6: 1419-1422の方法に従って調製した。5μgのpAILo21を用いて、アスペルギラス・オリザエJAl250プロトプラストを形質転換した。pAILo2をベクター対照として用いた。
【0259】
pAILo21によるアスペルギラス・オリザエJal250の形質転換は、約50の形質転換体を生成し、8個の形質転換を個々のPDAプレートに単離し、そして34℃で5日間インキュベートした。
【0260】
集密性胞子プレートを、5mlの0.01%Tween80により洗浄し、そしてその胞子懸濁液を用いて、125mlのガラス製振盪フラスコにおける25mlのMDU2BP培地を接種した。形質転換体培養物を、200rpmでの一定の振盪下で、34℃でインキュベートした。5日間の後−接種で、培養物を6000×gで遠心分離し、そしてそれらの上清液を集めた。5μlの個々の上清液を、等体積の2×充填緩衝液(10%β−メルカプトエタノール)と共に混合し、そして1.5mmの8%〜16%のトリス−グリシンSDS−PAGEゲル上に負荷し、そしてSimply Blue SafeStain(Invitrogen,Carlsbad, CA)により染色した。培養物ブイヨンのSDS−PAGEプロフィールは、1つの形質転換体(形質転換体2と命名した)が、約60kDaのタンパク質バンドを有したことを示した。
【0261】
アスペルギラス・オリザエにおいて発現されたチエラビア・テレストリスCel6Aセロビオヒドロラーゼの生化学的活性を、過剰のβ−グルコシダーゼの存在下でのリン酸−膨潤されたセルロース(PASC)のグルコースへの加水分解により決定した。
【0262】
PASCを、Avicel(Fluka, Sigma-AIdrich, St. Louis, MOから得られた)から調製した。氷冷却されたオルト−リン酸85%(VWR International, Pittsburgh, PA)を、Avicelに、1gのAvicelに対して30mlの酸の割合で添加し、そして氷浴において1時間、撹拌した。冷アセトン(VWR International, Pittsburgh, PA)を、1gのAvicel当たり100mlを用いて、撹拌下で添加した。そのスラリーを、ガラスフィルター漏斗に移し、そして1gのAvicel当たり20mlのアセトンの3回の洗浄を用いて、冷アセトンにより洗浄した。最終的に、セルロースを、1gアセトン当たり100mlの水により、2度洗浄した。PASCを水に再懸濁し、1%PASCの濃度にし、そして4℃で貯蔵した。
【0263】
チエラビア・テレストリスCel6Aセロビオヒドロラーゼの活性を、15.9μgの個々のCel6酵素及び0.8μgのβ−グルコシダーゼを用いて、ヒューミコラ・インソレンスCel6Aセロビオヒドロラーゼに比較した。酵素を、プレートシーラー(ALPS-300, Abgene, Epsom, UK)により密封された深い96ウェルプレート(Axygen Scientific, Union City, CA)中、50mMの酢酸ナトリウム、pH5.0、0.001%アジ化ナトリウム及び1.59mgのPASCの溶液1.182mlにおいて45℃でインキュベートした。種々の時間のインキュベーションの後、反応混合物を遠心分離し、そして上清液のグルコース濃度を、グルコース分析機(YSI, Inc., Yellow Springs, OH)により決定した。図6に示されるように、チエラビア・テレストリスからのCel6Aの加水分解時間−経過及び活性は、ヒューミコラ・インソレンスからのCel6Aセロビオヒドロラーゼのそれとほとんど同一であった。
【0264】
例9タンパク質確証のためのフライト質量分光測定のマトリックス助力レーザー脱着イオン化時間(MALDI−TOF MS)ペプチド質量フィンガーフリーティング(PMF)分析
60kDaのタンパク質バンド(例8)を、例1に記載のようにして、トリプシンによりゲル内消化した。回収されたペプチドを、タンパク質確証のためにペプチド質量フィンガープリンティング分析により分析した。フライト質量分光計のMaldiTM−LR時間(Waters Micromass(商標)MS Technologies, Milford, MA)を使用した。再結晶化されたα−シアノ−4−ヒドロキシ桂皮酸を、mg量のα−シアノ−4−ヒドロキシ桂皮酸(Sigma Chemical Co., St. Louis, MO)を、100%アセト二トリル(E.M. Science, Gibbstown, NJ)により洗浄することにより調製し、そして十分に混合し、そして遠心分離し、マトリックスペレットを形成した。
【0265】
アセトニトリル溶液を除去し、そして廃棄した。HPLC品種の水(Fisher Chemicals, Fairlawn, NJ)を添加し、続いてほとんどすべてのペレットが溶解されるほど、28〜30%の水酸化ナトリウム(J.T. Baker, Phillipsburg, NJ)をゆっくり添加した。末溶解のペレットを廃棄した。濃縮されたHCl水(Fisher Chemicals, Fairlawn, NJ)を、多量のマトリックスが再結晶化されるまで、マトリックス溶液にゆっくり添加した。結晶化されたマトリックスを濾過により除去し、そして0.1MのHClにより数度、洗浄し、そして完全に乾燥した。最終マトリックス溶液は、50%アセトニトリル/50%水性0.1%TFA中、再結晶化されたα−シアノ−4−ヒドロキシ桂皮酸の10mg/ml溶液から成った。タンパク質ゲル内消化から得られたペプチド抽出溶液1μlを、1μlの再結晶化されたマトリックス溶液と共に混合し、とにステンレス鋼MALDI−TOF標的プレート上でスポット乾燥した。
【0266】
質量分光計を、+15kVの加速電圧、2535Vのパルス電圧及び2000Vのレフレクトロン電圧を用いて、レフレクトロン及び陽性イオン態様で操作した。データ獲得質量範囲は、640〜3000m/zで設定された。1μl〜200fモル/μlのACTH(Sigma Chemical Co, St. Louis, MO)及び1μlの再結晶化されたマトリックス溶液から成るロック質量検量標準を、内部標準のために使用し、そしてロック質量標的物を十分に調節するために配置した。データ獲得を、Masslynx 4.0質量分光測定ソフトウェア(Waters Micromass(商標)MS Technologies, Milford, MA)を用いて、Windows(登録商標) NT制御されたマイクロプロセッサーワークステーションにより実施した。得られるスペクトルを組合し、補整し、そして中心を取り、そしてペプチドイオン質量を生成した。このピーク列挙を、ProteinLynxTM Global Server 2.05 software (Waters Micromass(商標)MS Technologies, Milford, MA)を用いて、データベースを調べた。
【0267】
ペプチド質量フィンガープリンティング分析からの結果は、約60kDのタンパク質スポットが、チエラビア・テレストリスCel6Aセロビオヒドロラーゼへの次のペプチド質量適合に基づいて、チエラビア・テレストリスCel6Aタンパク質であることを示した。
【0268】
【表1】

【0269】
例10トリコダーマ・レセイによるチエラビア・テレストリスCel6Aセロビオヒドロラーゼの発現
発現プラスミドpSMai155(WO05/074647号)におけるトリコダーマ・レセイセロビオヒドロラーゼI遺伝子(CBHI)プロモーターを、トリコダーマ・レセイCBHIIプロモーターにより置換し、プラスミドpCW076をもたらした。トリコダーマ・レセイセロビオヒドロラーゼII遺伝子(CBHII)プロモーターを、SalI及びNcoIによる消化により、プラスミドpEJG114(WO05/074647号)から単離した。pSMai155からのCBHIプロモーターの除去を、SalI及びNcoIによる消化により、プラスミドpEJG114(WO05/074607号)から単離した。pSMai155からのCBHIプロモーターの除去を、SalI及びNcoIによる消化により達成した。CBHII DNAフラグメント及び線状化されたpSMai155プラスミド(CBHIプロモーターを有さない)の両者を、Dark ReaderTM (Clare Chemical Research, Dolores, CO)の助けによる可視化した。
【0270】
両フラグメントを、使い捨てレーザー羽により切除し、そしてQIAquick Gel Extraction Kit (QIAGEN Inc., Valencia, CA)により、その製造業者の説明書に従って精製した。次に、CBHIIプロモーターを、Rapid DNA Ligation Kit (Roche, Indianapolis, IN)を用いて、その製造業者の説明書に従って、CBHIプロモーターの除去に基づいて、SalI及びNcoI部位を用いて、線状化されたpSMai155中に連結した。E.コリ XLl-Blue Subcloning- Grade Competent Cells (Stratagene, La JoIIa, CA)を、連結生成物により形質転換した。構造体の本体を、形質転換されたE. コリから精製されたプラスミドからのCBHIIプロモーター配列のDNA配列決定いより確かめた。組換えプラスミドを含む1つのクローンを、pCW076(図7)と命名した。
【0271】
下記に示される2種の合成オリゴヌクレオチドプライマーを、プラスミドpAILo21(例7)からのチエラビア・テレストリスCel6Aセロビオヒドロラーゼ遺伝子をPCR増幅するよう企画した。前方向プライマーは、ブラント5’末端をもたらし、そして逆方向プライマーは、3’末端でPacI部位を組み込む。Cel6Aフラグメントを、5’末端でのフラグメント化されたNcoI部位及び3’末端でPacI部位を用いて、pCW076中に直接的にクローン化した。
【0272】
前方向プライマー:5'-ATGGCTCAGAAGCTCCTTCTCGCCG-3'(配列番号16);
逆方向プライマー:5'-CAGTCACCTCTAGTTAATTAATTAGAAGGGCGGG-3'(配列番号17)。
50pモルの上記個々のプライマーを、50ngのpAILo21, dATP, dTTP, dGTP及びdCTPの10mMのブレンド1μl、5μlの1OX AmpliTaq(R) DNA Polymerase Buffer I (Perkin-Elmer/Applied Biosystems, Inc., Foster City, CA)、及び5単位のAmpliTaq(商標)DNA Polymerase (Perkin-Elmer/Applied Biosystems, Inc., Foster City, CA)(50μlの最終体積)から成るPCR反応に使用した。次のようにプログラムされたEppendorf Mastercycler 5333 (Eppendorf Scientific, Inc., Westbury, NY)を用いて、DNAフラグメントを増幅した:95℃で3分間、1サイクル;及び95℃で45秒、55℃で60秒及び72℃で1分30秒、30サイクル。
【0273】
30サイクルの後、反応を、72℃での10分間インキュベートし、そして次に、さらなる処理まで、4℃で冷却した。Cel6A PCRフラグメントの3’末端を、PacIを用いて消化した。消化生成物を、MinEluteTM Reaction Cleanup Kit (QIAGEN, Valencia, CA)を用いて、その製造業者の説明書に従って精製した。プラスミドpCW076を、NcoI及びPacI位より消化した。NcoI部位を、5’休止NcoI部位をフィルインするために、クレノウ酵素を用いてブラント化した。クレノウ反応は、20μlのpCW076消化反応混合物+1mMのdNTP、及び1μlのクレノウ酵素(Roche, Indianapolis, IN)(室温で短時間インキュベートされた)から成った。
【0274】
線状化されたpCW076を、MinEluteTM Reaction Cleanup Kit (QIAGEN, Valencia, CA)を用いて、その製造業者の説明書に従って精製した。それらの反応は、生成されるCel6Aフラグメントに対して適合できる、5’ブラント末端及び3’PacI部位の創造をもたらした。Cel6Aフラグメントを、Rapid DNA Ligation Kit (Roche, Indianapolis, IN)を用いて、その製造業者の説明書に従って、pCW076中にクローン化した。E. コリ XLl-Blue Subcloning-Grade Competent Cells (Stratagene, La JoIIa, CA)を、連結生成物により形質転換した。その構造体の本体を、形質転換されたE. コリから精製されたプラスミドからのCel6Aコード配列のDNA配列決定により確かめた。組換えプラスミド含む1つのクローンを、pCW085(図8)と命名した。
【0275】
25mlのYP培地、2%グルコース及び10mMのウリジンを含む振盪フラスコを、トリコダーマ・レセイ株SaMe−FX16の5×107個の胞子により接種した。インキュベーションを、90rpmでの振盪下で、27℃で17時間、実施した。次に、菌糸体を、500mlの"Vacuum Driven Disposable Filtration System" (Millipore)を用いて、約100mlの脱イオン水により2度、洗浄した。次に、菌糸体を、1.2Mのソルビトールにより2度、洗浄し、そしてプロトプラストを、1.2Mのソルビトール20ml中、1ml当たり5mgのGlucanexTM (Novozymes A/S, Bagsvasrd, DK)及び1ml当たり1mgのキチナーゼ(Sigma Chemical Co., St. Louis, MO)の無菌濾過された溶液に、前記菌糸体を懸濁することにより生成した。
【0276】
消化物を、34℃でインキュベートし、そして90rpmで約20分間、又はプロトプラストが形成されるまで、軽く振盪した。プロトプラストが生成されるとすぐに、その混合物を氷上でインキュベートし、消化を遅めた。次に、消化物を、50mlのFalcon管に移し、そして氷冷却された1.2Mのソルビトール30mlを、前記消化物に添加した。次に、プロトプラストを、200rpmで7分間、遠心分離した。遠心分離に続いて、上清液を捨て、そしてプロトプラストを、氷冷却されたソルビトール50mlにより洗浄した。この段階を2度、反復し、そして第2洗浄の後、プロトプラストを計数し、そして1×108個のプロトプラスト/mlの濃度でSTC(1Mのソルビトール、10mMのCaCl2, 10mMのトリス−HCl、pH7.5)に再懸濁した。プロトプラストを、使用まで−80℃で貯蔵した。
【0277】
PmeIにより線状化されたpCW085(2〜5μg)、100μlの1×108個のトリコダーマ・レセイ株SaMe−FX16プロトプラスト及び250μlのPEG緩衝液(50%PEG4000、10mMのCaCl2、10mMのトリス−HCl、pH7.5)を、12mlのFalcon管2059において一緒に軽く混合し、そして室温で30分間インキュベートした。インキュベーションに続いて、3mlのSTC(1Mのソルビトール、10mMのCaCl2、10mMのトリス−HCl、pH7.5)を、反応混合物に添加した。その形質転換反応を軽く混合し、そして次に、その全量を、1ml当たり100ngのヒグロマイシンB(Sigma Chemical Co., St. Loius, MO)を含むPDAプレート上に注ぎ、そして28℃で5〜7日間インキュベートした。
【0278】
21個の形質転換体を採取し、そして25mlのCIMを含む250mlの振盪フラスコを接種した。振盪フラスコを、200rpmで振盪しながら、28℃で5日間、増殖した。トリコダーマ・レセイSaMe-D8として命名された1つの形質転換体を、次の方法に従って、2Lの発酵において培養した。
【0279】
PDAプレート上で増殖されたトリコダーマ・レセイSaMe-D8の新鮮なプレートからの2種のアガロースプラグを、1L当たり20gのグルコース、10gのコーンスチープ固形物、1.45gの(NH4)2SO4, 2.08gのKH2PO4, 0.36gのCaCl2・2H2O, 0.42gのMgSO4・7H2O及び0.2mlの微量金属溶液から構成される培地100mlの含む振盪フラスコを接種した。微量金属溶液は、1L当たり、216gのFeCl3・6H2O、58gのZnSO4・7H2O、27gのMnSO4・H2O、10gのCuSO4・5H2O、2.4gのH3BO3及び336gのクエン酸から構成された。振盪フラスコを、軌道シェーカー上で28℃及び200rpmで2日間インキュベートした。この培養物50mlを用いて、1L当たり30gのセルロース、10gのコーンスチープ固形物、4gのグルコース、2.64gのCaCl2・2H2O、3.8gの(NH4)2SO4, 2.8gのKH2PO4, 1.63gのMgSO4・7H2O,0.75mlの微量金属溶液(上記と同じ)、及び3mlのプルロン酸から構成される培地1.8Lを接種した。温度を28℃で設定し、そしてpHを4.75で調節した。
【0280】
発酵を、1.0のVVM空気流及び1100rpmの撹拌下で、25%での最少溶解された酸素を伴って行った。供給培地を、必要な場合、6.0〜8.0g/時の供給速度で7〜8日間、2Lの発酵容器中に供給した。供給培地は、1kg当たり、600gのグルコース、35.5gのH3PO4、20gのセルロース、及び5gのプルロン酸から構成された。
【0281】
全発酵ブイヨンを、3000×gで10分間、遠心分離し、そして上清液を、ガラス繊維プレフィルター(Nalgene, Rochester NY)を備えた使い捨て濾過ユニットを通して濾過した。濾液を、貯蔵のために4℃に冷却した。
次に、濾液を、二次元ポリアクリルアミドゲル電気泳動にゆだね、チエラビア・テレストリスCel6Aセロビオヒドロラーゼの発現を確かめた(例11を参照のこと)。
【0282】
例11トリコダーマ・レセイSaMe-D8におけるチエラビア・テレストリスCel6Aの発現の確証
二次元ポリアクリルアミドゲル電気泳動。例10に記載されるトリコダーマ・レセイSaMe-D8の2L発酵からの濾液1mlを、4℃で飽和トリクロロ酢酸(TCA)100μlを添加し、そして氷上で10分間インキュベートし、続いて9mlの氷冷却されたアセトンを添加し、そしてさらに、氷上で20分間インキュベートすることにより沈殿した。沈殿された溶液を、10,000×gで4℃で10分間、遠心分離し、上清液を捨て、そしてペレットを、氷冷却されたアセトンにより2度すすぎ、そして空気乾燥した。乾燥されたペレットを、0.2mlの等電点電気泳動(IEF)サンプル緩衝液(9.0Mのウレア、3.1%(wt/v)の3−[(3−コラシドプロピル)ジメチル−アンモニウム]−1−プロパンスルホネート(CHAPS, Pierce Chemical Co. Rockford, IL)、1%(v/v)両性電解質、pH4〜7、50mMのジチオトレイトール(DTT)及び蒸留水中、0.005%ブロモフェノールブルー)に溶解した。
【0283】
ウレア原液を、AG 501-X8(D), 20-5-メッシュ、すなわちBioRad Laboratories (Hercules, CA)からの混合された層樹脂を用いて脱イオン化した。脱イオン化された溶液を−20℃で貯蔵した。得られる混合物を、LabQuake(TM) Shaker (Lab Industries, Berkeley, CA)上で、軽く混合しながら、数時間、安定化した。200μlの個々のIEFサンプル緩衝液−タンパク質混合物を、IPG再水和化トレー(Amersham Biosciences, Piscataway, NJ)における11cmのIPGストリップ(BioRad Laboratories, Hercules, CA)に適用した。750μlのアリコートの乾燥−ストリップ被覆流体(Amersham Biosciences, Piscataway, NJ)を、IPGストリップ上に積層し、蒸発を妨げ、そして20℃でIPGPhor Isoelectric Focusing Unit (Amersham Biosciences, Piscataway, NJ)を用いて、30Vを適用しながら、12時間、再水和化した。
【0284】
IPGPhorユニットは、一定の電圧であるが、しかしストリップ当たり50μAの最大電流でのプログラムされた。12時間の再水和物の後、等電点電気泳動条件は次の通りであった:200Vで1時間、500Vで1時間、及び1000Vで1時間。次に、1000V〜8000Vで30分間のグラジエントを適用し、そして等電点電気泳動を、8000Vで作動するようプログラムし、そして30,000V以上である場合、完結した。IPGゲルストリップを還元し、そしてアルキル化し、その後、10mlのSDS−平衡化緩衝液(50mMのトリス−HCl、pH8.8、6.0Mのウレア、2%(w/v)のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、30%グリセロール及び0.002%(w/v)のブロモフェノールブルー)当たり100mgのジチオトレイトール中、15分間の第1の還元、続いて、暗室においける10mlの平衡化緩衝液当たり250mgのヨードアセトアミドにおける15分間アルキル化による二次元分析を伴った。
【0285】
IPGストリップを、SDS−PAGE作業緩衝液(Invitrogen/Novex, Carlsbad, CA)により、すばやくすすぎ、そして11cmの1ウェル8〜16%トリス−グリシンSDS−PAGEゲル(BioRad Laboratories, Hercules, CA)上に配置し、そしてCriterion電気泳動ユニット(BioRad Laboratories, Hercules, CA)を用いて、50Vで、サンプルがゲル中に入り、そして次に電圧が200Vまで高められるまで、電気泳動され、そしてブロモフェノールブルー色素がゲルの底部に達するまで、実施した。
【0286】
ポリペプチド検出。二次元ゲルを、カセットから除き、そしてそれぞれ少なくとも5分間、水により3度すすぎ、そしてBio-SafeTM クーマシーG250 染色(BioRad Laboratories, Hercules, CA)により1時間、染色し、続いて、30分以上の間、二重蒸留された水により脱色した。観察されるタンパク質ゲルスポットを、2mmのAcu-Punch Biopsy Punch (Acuderm Inc., Ft. Lauderdale, FL)用いて切除し、そして60%アセト二トリル中、0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)により予備洗浄し、続いてHPLC品種の水により2度さらに洗浄された96ウェルプレートに貯蔵した。染色された二次元ゲルスポットを、消化されるまで、−20℃で、予備洗浄されたプレートにおいて、25〜50μlで貯蔵した。予測されるMW及びチエラビア・テレストリスCel6Aポリペプチドの理論等電点(pI)に対応するタンパク質スポットを、例9に記載のようにして、MALDI−TOF MSペプチド質量フィンガープリント分析により分析した。
【0287】
ペプチド質量フィンガープリンティング分析からの結果は、約60kDのタンパク質スポットが、チエラビア・テレストリスCel6Aセロビオヒドロラーゼへの次のペプチド質量適合に基づいて、チエラビア・テレストリスCel6Aタンパク質であることを示した。
【0288】
【表2】

【0289】
生物学的材料の寄託
次の生物学的材料を、Agriculture Research Service Patent Culture Collection, Northern Regional Research Center (NRRL),1815 University Street, Peoria, Illinois に、ブタペスト条件に基づいて寄託し、そして次の受託番号を付与された:
寄託物:E.coll pTter6A
受託番号:NRRL B-30802
寄託日:2004年12月17日
【0290】
前記株は、培養物への接近が、37 C.F.R.§1.14.及び35 U.S.C.§122下で特許及び商標局長により決定される本特許出願の係属の間、利用できることを保証する条件下で寄託された。寄託物は、寄託された株の実質的に純粋な培養物を示す。寄託物は、本出願の対応物又はその子孫が出願される国々における外国特許法により要求される場合、利用できる。しかしながら、寄託物の入手可能性は、政府の指令により許される特許権の低下において本発明を実施する許可を構成しないことが理解されるべきである。
【0291】
本明細書に記載される発明は、本明細書に開示される特許の態様により範囲を限定されるものではない。何故ならば、それらの態様は本発明のいくつかの観点を例示するものである。いずれかの同等の態様が本発明の範囲内で意図される。実際、本明細書に示され、そして記載されるそれらの修飾の他に、本発明の種々の修飾は、前述の記載から当業者に明らかになるであろう。そのような修飾はまた本発明の範囲内にある。
種々の文献が本明細書に引用されており、それらの開示は引用により本明細書に組み込まれている。
【図面の簡単な説明】
【0292】
【図1】図1及び1Bは、チエラビア・テレストリスNRRL8126セロビオヒドロラーゼ(Cel6A)のcDNA配列及び推定されるアミノ酸配列(それぞれ、配列番号1及び2)を示す。
【図2】図2は、pAILolの制限地図を示す。
【図3】図3は、pBANelOの制限地図を示す。
【図4】図4は、pAILo2の制限地図を示す。
【図5】図5は、pAILo21の制限地図を示す。
【図6】図6は、チエラビア・テレストリス又はヒューミコラ・インソレンスからのCel6AセロビオヒドロラーゼによるPASCのグルコースへの加水分解を示す。アスペルギラス・オリザエからのβ−グルコシダーゼが、セロビオースをグルコースに転換するためにアッセイに包含された。
【図7】図7は、pCW076の制限地図を示す。
【図8】図8は、pCW085の制限地図を示す。
【図1A】

【図1B】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)配列番号2の成熟ポリペプチドと、少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含んで成るポリペプチド;
(b)(i)配列番号1の成熟ポリペプチドコード配列、(ii)配列番号1の成熟ポリペプチドコード配列を含んで成るゲノムDNA配列、又は(iii)(i)又は(ii)の相補的鎖に対して、少なくとも中位の高い緊縮条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチド;及び
(c)配列番号2の成熟ポリペプチドの1又は複数のアミノ酸の保存的置換、欠失、及び/又は挿入を含んで成る変異体から成る群から選択された、セロビオヒドロラーゼ活性を有する単離されたポリペプチド。
【請求項2】
配列番号2の成熟ポリペプチドと、少なくとも80%の同一性を有するアミノ配列を含んで成る請求項1記載のポリペプチド。
【請求項3】
配列番号2の成熟ポリペプチドと、少なくとも85%の同一性を有するアミノ配列を含んで成る請求項2記載のポリペプチド。
【請求項4】
配列番号2の成熟ポリペプチドと、少なくとも90%の同一性を有するアミノ配列を含んで成る請求項3記載のポリペプチド。
【請求項5】
配列番号2の成熟ポリペプチドと、少なくとも95%の同一性を有するアミノ配列を含んで成る請求項4記載のポリペプチド。
【請求項6】
配列番号2の成熟ポリペプチドと、少なくとも97%の同一性を有するアミノ配列を含んで成る請求項5記載のポリペプチド。
【請求項7】
配列番号2のアミノ酸配列;又はセロビオヒドロラーゼ活性を有するそのフラグメントを含んで成る請求項1〜6のいずれか1項記載のポリペプチド。
【請求項8】
配列番号2のアミノ酸配列を含んで成る請求項7記載のポリペプチド。
【請求項9】
配列番号2の成熟ポリペプチドを含んで成る請求項8記載のポリペプチド。
【請求項10】
配列番号2;又はセロビオヒドロラーゼ活性を有するそのフラグメントから成る請求項1〜6のいずれか1項記載のポリペプチド。
【請求項11】
配列番号2から成る請求項10記載のポリペプチド。
【請求項12】
配列番号2の成熟ポリペプチドから成る請求項11記載のポリペプチド。
【請求項13】
(i)配列番号1の成熟ポリペプチドコード配列、(ii)配列番号1の成熟ポリペプチドコード配列を含んで成るゲノムDNA配列、又は(iii)(i)又は(ii)の相補的鎖に対して、少なくとも中位の高い緊縮条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによりコードされる請求項1記載のポリペプチド。
【請求項14】
(i)配列番号1の成熟ポリペプチドコード配列、(ii)配列番号1の成熟ポリペプチドコード配列を含んで成るゲノムDNA配列、又は(iii)(i)又は(ii)の相補的鎖に対して、少なくとも高い緊縮条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによりコードされる請求項13記載のポリペプチド。
【請求項15】
前記ポリペプチドが、配列番号2のアミノ酸18〜481の1又は複数のアミノ酸の保存的置換、欠失、及び/又は挿入を含んで成る変異体である請求項1記載のポリペプチド。
【請求項16】
E. コリNRRL B−30802に含まれるプラスミドpTter6Aに含まれるポリヌクレオチドによりコードされる請求項1記載のポリペプチド。
【請求項17】
前記成熟ポリペプチドが、配列番号2のアミノ酸18〜481である請求項1記載のポリペプチド。
【請求項18】
前記成熟ポリペプチドコード配列が、配列番号1のヌクレオチド52〜1443である請求項1記載のポリペプチド。
【請求項19】
請求項1〜18のいずれか1項記載のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含んで成る単離されたポリヌクレオチド。
【請求項20】
配列番号1の成熟ポリペプチドコード配列に少なくとも1つの変異を含んで成り、ここで前記変異ヌクレオチド配列が配列番号2の成熟ポリペプチドをコードする請求項19記載の単離されたポリヌクレオチド。
【請求項21】
発現宿主におけるポリペプチドの生成を指図する1又は複数の制御配列に操作可能的に結合される請求項19記載のポリヌクレオチドを含んで成る核酸構造体。
【請求項22】
請求項21記載の核酸構造体を含んで成る組換え発現ベクター。
【請求項23】
請求項21記載の核酸構造体を含んで成る組換え宿主細胞。
【請求項24】
請求項1〜18のいずれか1項記載のポリペプチドの生成方法であって、(a)その野生型において、前記ポリペプチドの生成の助けになる条件下で、前記ポリペプチドを生成できる細胞を培養し;そして(b)前記ポリペプチドを回収することを含んで成る方法。
【請求項25】
請求項1〜18のいずれか1項記載のポリペプチドの生成方法であって、(a)前記ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含んで成る核酸構造体を含んで成る宿主細胞を、前記ポリペプチドの生成の助けに成る条件下で培養し;そして(b)前記ポリペプチドを回収することを含んで成る方法。
【請求項26】
親細胞の変異体の生成方法であって、親細胞よりもポリペプチドを少なく生成する変異体をもたらす、請求項1〜18のいずれか1項記載のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を破壊するか又は削除することを含んで成る方法。
【請求項27】
請求項26記載の方法により生成される変異体細胞。
【請求項28】
生来の又は異種タンパク質をコードする遺伝子を、さらに含んで成る請求項27記載の変異体細胞。
【請求項29】
(a)請求項28記載の変異体細胞を、タンパク質の生成の助けとなる条件下で培養し;そして(b)前記タンパク質を回収することを含んで成る、タンパク質の生成方法。
【請求項30】
(a)(i)配列番号1の成熟ポリペプチドコード配列、(ii)配列番号1の成熟ポリペプチドコード配列を含んで成るゲノムDNA配列、又は(iii)(i)又は(ii)の相補的鎖と、中位の高い緊縮条件下でDNA集団とをハイブリダイズし;そして(b)セロビオヒドロラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする前記ハイブリダイズするポリヌクレオチドを単離することにより得られる、単離されたポリヌクレオチド。
【請求項31】
(a)(i)配列番号1の成熟ポリペプチドコード配列、(ii)配列番号1の成熟ポリペプチドコード配列を含んで成るゲノムDNA配列、又は(iii)(i)又は(ii)の相補的鎖と、中位の高い緊縮条件下でDNA集団とをハイブリダイズし;そして(b)セロビオヒドロラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする前記ハイブリダイズするポリヌクレオチドを単離することにより得られる請求項30記載の単離されたポリヌクレオチド。
【請求項32】
前記成熟ポリペプチドコード配列が、配列番号1のヌクレオチド52〜1443である請求項30記載の単離されたポリヌクレオチド。
【請求項33】
変異体ヌクレオチド配列を含んで成るポリヌクレオチドの生成方法であって、(a)配列番号1の成熟ポリペプチドコード配列中に少なくとも1つの突然変異を導入し、ここで前記変異体ヌクレオチド配列が配列番号2の成熟ポリペプチドから成るポリペプチドをコードし;そして(b)前記変異体ヌクレオチド配列を含んで成るポリヌクレオチドを回収することを含んで成る方法。
【請求項34】
請求項33記載の方法により生成される変異体ポリヌクレオチド。
【請求項35】
ポリペプチドの生成方法であって、(a)前記ポリペプチドをコードする請求項34記載の変異体ポリヌクレオチドを含んで成る細胞を、前記ポリペプチドの生成の助けと成る条件下で培養し;そして(b)前記ポリペプチドを回収することを含んで成る方法。
【請求項36】
配列番号2のアミノ酸1〜17を含んで成るか又はそれらから成るシグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列に操作可能的に結合されるタンパク質をコードする、前記ヌクレオチド配列に対して外来性である遺伝子を含んで成る核酸構造体。
【請求項37】
請求項36記載の核酸構造体を含んで成る組換え発現ベクター。
【請求項38】
請求項36記載の核酸構造体を含んで成る組換え宿主細胞。
【請求項39】
(a)請求項38記載の組換え宿主細胞を、タンパク質の生成の助けとなる条件下で培養し;そして(b)前記タンパク質を回収することを含んで成る、タンパク質の生成方法。
【請求項40】
(a)セロビオヒドロラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含んで成るトランスジェニック植物又は植物細胞を、前記ポリペプチドの生成の助けと成る条件下で培養し;そして(b)前記ポリペプチドを回収することを含んで成る、請求項1〜18のいずれか1項記載のポリペプチドの生成方法。
【請求項41】
請求項1〜18のいずれか1項記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドにより形質転換されている、トランスジェニック植物、植物の一部又は植物細胞。
【請求項42】
請求項1〜18のいずれか1項記載のセロビオヒドロラーゼ活性を有するポリペプチド、及び界面活性剤を含んで成る洗剤組成物。
【請求項43】
セルロース−及びヘミセルロース−含有バイオマスの分解又は転換方法であって、有効量の請求項1〜18のいずれか1項記載のセロビオヒドロラーゼ活性を有するポリペプチドにより、前記バイオマスを処理し、そして分解されたバイオマスを回収することを含んで成る方法。
【請求項44】
有効量のエンド−1,4−β−グルカナーゼ及びβ−D−グルコシダーゼによりバイオマスを処理することをさらに含んで成る請求項43記載の方法。
【請求項45】
セルロース−及びヘミセルロース−含有バイオマスの分解又は転換方法であって、請求項23記載の宿主細胞によりバイオマスを処理し、そして分解されたバイオマスを回収することを含んで成る方法。
【請求項46】
有効量のエンド−1,4−β−グルカナーゼ及びβ−D−グルコシダーゼによりバイオマスを処理することをさらに含んで成る請求項45記載の方法。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2008−526236(P2008−526236A)
【公表日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−550536(P2007−550536)
【出願日】平成18年1月6日(2006.1.6)
【国際出願番号】PCT/US2006/000659
【国際公開番号】WO2006/074435
【国際公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【出願人】(500175602)ノボザイムス,インコーポレイティド (26)
【Fターム(参考)】