説明

センサ装置、光ピックアップ

【課題】温度センサを備えるセンサ装置において、熱源である電子部品が、温度センサに与える熱の影響を軽減することを目的とする。
【解決手段】本発明は、基体と、前記基体の一方に設けられる基板と、前記基体に設けられる電子部品と、前記基板に設けられる温度センサと、前記基体の他方に設けられ、前記電子部品の熱を放熱する放熱板と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品と温度センサとを備えるセンサ装置に関する。特に、電子部品の熱が温度センサに対して影響を与えることを軽減できるセンサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の特許文献1には、モータ用ICの放熱効果を向上させる技術が開示されている。
【0003】
特許文献1では、プリント基板にモータ用ICが実装されている。モータ用ICが実装された側と反対側には、放熱板が設けられている。この放熱板は、プリント基板の切り欠いた箇所に折り曲げるようにして配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−259666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、温度センサを備えるセンサ装置では、他の電子部品の熱が温度センサに影響を与える可能性がある。
【0006】
そこで本発明は、温度センサを備えるセンサ装置において、熱源である電子部品が、温度センサに与える熱の影響を軽減できるセンサ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、基体と、前記基体の一方に設けられる基板と、前記基体に設けられる電子部品と、前記基板に設けられる温度センサと、前記基体の他方に設けられ、前記電子部品の熱を放熱する放熱板と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、温度センサを備えるセンサ装置において、熱源である電子部品が、温度センサに与える熱の影響を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施の形態に係る光ピックアップの斜視図
【図2】本実施の形態に係る光ピックアップ(第1のシールドケースなし)の斜視図
【図3】本実施の形態に係る光ピックアップのA−A断面図
【図4】本実施の形態に係るフレキシブルプリント基板(折り曲げあり)の斜視図
【図5】本実施の形態に係るフレキシブルプリント基板(折り曲げなし)の斜視図
【図6】本実施の形態に係るフレキシブルプリント基板のB−B断面図
【図7】本実施の形態に係る光ピックアップの断面の概略図
【図8】本実施の形態に係る光ピックアップの熱の流れを説明するための図
【図9】本実施の形態の課題を説明するための図
【図10】本実施の形態の課題を説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施の形態1)
本実施の形態を、図を参照して説明する。本実施の形態は、光ピックアップ1に適用した例を説明する。
【0011】
<1.定義>
本実施の形態は、光ピックアップ1を例示する。光ピックアップ1において、光ディスクが設置される側を、ディスク側と定義する。また、光ピックアップ1において、光ディスクが設置された側と反対側を、底面側と定義する。
【0012】
本発明では、センサ装置の一方と他方を用いて発明を説明している。つまり、一方の一例が、ディスク側であり、他方の一例が底面側である。
【0013】
<2.光ピックアップ1の構成例(図1、図3)>
以下、光ピックアップ1について、図を適宜使用して説明する。
【0014】
なお、図1は、本実施の形態に係る光ピックアップの斜視図である。図2は、本実施の形態に係る光ピックアップ(第1のシールドケースなし)の斜視図である。図2では、駆動IC5と温度センサ6とフレキシブルプリント基板7の位置関係を説明している。図3は、本実施の形態に係る光ピックアップのA−A断面図である。
【0015】
光ピックアップ1は、BDプレーヤー、DVDレコーダー、パーソナルコンピュータなどの様々な機器に設けられるものである。光ピックアップ1は、光ディスクに付与されたピット情報を電気信号に変換するものである。光ピックアップ1は、変換した電気信号を、光ディスク装置に伝送する。
【0016】
光ピックアップ1は、第1のシールドケース2と、第2のシールドケース3と、基体4と、駆動IC5と、温度センサ6と、フレキシブルプリント基板7と、シリコーン8と、を備える(図1、図3)。なお、本実施の形態では、上記構成を詳細に説明する。しかしながら、光ピックアップ1は、上記構成に限られず、本実施の形態の効果を奏するために必要な構成を含めばよい。以下、個々の構成を詳細に説明する。
【0017】
基体4は、樹脂材料で構成される。基体4は、光ピックアップ1の基礎となる部分である。つまり、基体4は、光ピックアップ1を構成する部品を保持する。光ピックアップ1は、ドライブ装置に接続するためのシャフト係合部を有する。光ピックアップ1は、シャフト係合部によって、ドライブ装置との位置及び傾きの精度が保たれるように構成されている。基体4は、樹脂で構成されるため、放熱部材としての役割を果たし難い。
【0018】
フレキシブルプリント基板7は、ポリイミド等の絶縁性の樹脂と、銅箔等の導電体で構成されている。フレキシブルプリント基板7は、基体4にネジで固定されている。フレキシブルプリント基板7は、基体4のディスク側に設置される。
【0019】
フレキシブルプリント基板7は、折り曲げ可能に構成される。フレキシブルプリント基板7の表面には、電気部品(駆動IC5や温度センサ6等)、受光素子、及び、発光素子などが実装されている。そして、フレキシブルプリント基板7の表面は、電気部品、受光素子、及び発光素子を結ぶ電気回路パターンが構成されている。なお、フレキシブルプリント基板7は、コネクタ部品が実装される。フレキシブルプリント基板7は、このコネクタ部品を介して、ドライブ装置に電気信号を送信可能に構成されている。
【0020】
フレキシブルプリント基板7は、折り曲げられた状態で、基体4に設置される(図4)。フレキシブルプリント基板7は、基体4に設置された状態で、駆動IC5と温度センサ6の天面がディスク側を向くようにして配置される(図3)。このように構成される理由は、温度の感度を高めるためである。後述するが、温度センサ6は、外気の温度を測るためのものである。そのため、温度センサ6は、製品において、より外側に位置するのが好ましい。
【0021】
駆動IC5は、半導体を用いた集積回路である。駆動IC5は、フレキシブルプリント基板7に実装される。駆動IC5は、発光素子(レーザー)を制御するための集積回路である。本実施の形態において、駆動IC5は、フレキシブルプリント基板7上で、最も大きな熱を発生する集積回路である。
【0022】
温度センサ6は、センサである。温度センサ6は、温度によって接点が動作する、又は、抵抗値が変化するものである。温度センサ6は、例えば、バイメタル金属を利用したもの、又は、半導体素子で実現可能である。したがって、光ピックアップ1では、温度センサ6によって検出された温度(電気信号)に応じて、発光素子(レーザー)の発光パワーを制御する、又は、光学部品の収差の補正を行うことが可能になる。つまり、光ピックアップ1では、温度センサ6で周囲の温度(外気の温度)がより正確に検出される必要がある。
【0023】
温度センサ6は、フレキシブルプリント基板7に実装される。温度センサ6は、駆動IC5が実装された面と同じ面に実装される(図5、6)。フレキシブルプリント基板7の片面に、駆動IC5と温度センサ6を実装した理由は、両面実装をすると、コストアップに繋がり、かつ、製品の大型化に繋がるためである。
【0024】
第1のシールドケース2は、金属で構成される。第1のシールドケース2は、基体4及びフレキシブルプリント基板7に対してディスク側に設けられる。第1のシールドケース2は、係合とネジによって固定される。要するに、第1のシールドケース2は、基体4に係合された後、ネジで固定される。
【0025】
ここで第1のシールドケース2は、基体4やフレキシブルプリント基板7を覆うようにして設けられる。これによって第1のシールドケース2は、発光素子、受光素子等に対して、塵及び汚れの付着を軽減する。また、第1のシールドケース2は、駆動IC5の熱を放熱する役割を果たす。
【0026】
ここで第1のシールドケース2は、温度センサ6を覆うようにして構成される。このため、温度センサ6の温度が高くなると、温度センサ6の熱が、第1のシールドケース2に影響を与える。
【0027】
第2のシールドケース3は、金属で構成される。第1のシールドケース2は、基体4に対して底面側に設けられる。第1のシールドケース2は、係合とネジによって固定される。要するに、第1のシールドケース2は、基体4に係合された後、ネジで固定される。
【0028】
第2のシールドケース3は、基体4を覆うようにして設けられる。これによって第2のシールドケース3は、発光素子、受光素子等に対して、塵及び汚れの付着を軽減する。また、第2のシールドケース3は、駆動IC5の熱を放熱する役割を果たす。
【0029】
上記で説明した通り、第2のシールドケース3は、基体4の底面側に設けられる。したがって、第2のシールドケース3は、駆動IC5から熱を放熱するための構成として、腕3aが底面側から延設されている。このようにして腕3aは、駆動IC5の熱を効率的に逃がすことができるようにしている。
【0030】
シリコーン8は、熱伝導率が高く、駆動IC5の熱を他の部材に逃がす役割を果たす。シリコーン8aは、第1のシールドケース2と駆動IC5の間に設けられる。また、シリコーン8bは、第2のシールドケース3と駆動IC5(フレキシブルプリント基板7を介して)の間に設けられる。これによって、本実施の形態においてシリコーン8は、第1のシールドケース2と駆動IC5の伝熱性、及び、第2のシールドケース3と駆動IC5の伝熱性の向上に寄与している。
【0031】
<3.熱の伝達経路>
次に、本実施の形態における熱の伝達経路を、図8及び図9を用いて説明する。なお、本実施の形態の理解を容易にするために、課題が発生する構成との比較で説明する。
【0032】
<3.1 課題が発生する構成での例>
光ピックアップは、図9に示すように、基体のディスク側にフレキシブルプリント基板を備えている。そして、フレキシブルプリント基板は、ディスク側に駆動ICと温度センサが実装されている。光ピックアップでは、この駆動ICの熱を逃がすために、シールドケースと駆動ICがシリコーンで接続されている。
【0033】
このように構成した場合の熱の流れを説明する(図10)。図10では、駆動ICで発生した熱が、シリコーンを介して、ディスク側のシールドケースに伝達する。そして、シールドケースで熱を拡散して、放熱を実現する。
【0034】
この際、シールドケースの温度が上がる。そのため、温度センサは、シールドケースの熱の影響で、より正しい外気の温度を測れなくなる。
【0035】
<3.2 本実施の形態の構成での例>
光ピックアップ1は、図7に示すように、基体のディスク側にフレキシブルプリント基板7を備えている。フレキシブルプリント基板7は、ディスク側に駆動IC5及び温度センサ6が実装されている。光ピックアップ1では、駆動IC5の熱を逃がすために、第2のシールドケース3と駆動IC5(フレキシブルプリント基板7を介した)がシリコーン8bで接続されている。
【0036】
なお、光ピックアップ1では、駆動IC5の熱を第1のシールドケース2に逃がすように、第1のシールドケース2と駆動IC5がシリコーン8aで接続されている。
【0037】
このように構成した場合の熱の流れを説明する(図8)。図8では、駆動IC5で発生した熱が、フレキシブルプリント基板7及びシリコーン8bを介して、第2のシールドケース3に伝達する。そして、第2のシールドケース3で熱を拡散して放熱を実現する。
なお、本実施の形態では、第1のシールドケース2にも熱が伝達する。しかしながら、上記の課題が発生する構成よりは、駆動IC5から第1のシールドケース2に流れる熱の量が減る。
【0038】
これによって、光ピックアップ1では、第1のシールドケース2が温度センサ6に与える熱の影響を軽減することができるようになる。
(他の実施の形態)
本発明の実施の形態として、実施の形態1を例示した。しかし、本発明はこれには限らない。そこで、本発明の他の実施の形態を以下まとめて説明する。なお、本発明は、これらには限定されず、適宜修正された実施の形態に対しても適用可能である。
【0039】
実施の形態1では、駆動IC5は、フレキシブルプリント基板7上で、最も大きな熱を発生する集積回路を例示した。しかし、これに限られず、熱源である集積回路(電子部品の一例)は、熱源であれば良い。
つまり、熱源である集積回路が、フレキシブルプリント基板上で、最も大きな熱を発生する必要はない。
【0040】
実施の形態1では、基体4を樹脂材料で構成するようにした。しかし、これに限られず、基体4は、金属材料で構成してもよい。なお、基体4を樹脂材料で構成した場合、以下のメリットがある。1つ目は、光ピックアップ1のコストが安くなる。また、2つ目は、光ピックアップ1が軽くなる。
【0041】
実施の形態1では、第2のシールドケース3を金属で構成するようにした。しかし、これに限られず、第2のシールドケース3は、グラファイトシート、又は、高熱伝導性樹脂で構成してもよい。第2のシールドケース3をグラファイトシートで実現した場合、光ピックアップ1が軽くなる。
【0042】
実施の形態1では、シリコーン8aを、第1のシールドケース2と駆動IC5の間に設けるようにした。また、シリコーン8bを、第2のシールドケース3と駆動IC5の間に設けるようにした。しかし、これに限られず、シリコーン8はなくても良い。また、シリコーン8に替えて、グラファイトシートを設けるようにしてもよい。つまり、シリコーン8は、高熱伝導性を持つ材料で構成された部材であれば、どのようなものであってもよい。
【0043】
実施の形態1では、フレキシブルプリント基板7を、折り曲げ可能な基板で構成した。しかし、これに限られない。
【0044】
実施の形態1では、第1のシールドケース2にも駆動IC5の熱を逃がすようにした。しかし、これに限られず、駆動IC5の熱を第1のシールドケース2に逃がさないようにしてもよい。このようにすれば、温度センサでより正確な温度を検出できるようになる。
【0045】
実施の形態1では、センサ装置の一例として、光ピックアップの構成を説明した。しかし、これに限られず、センサ装置は、温度センサを備える装置であれば、どのような装置であってもよい。
【0046】
すなわち、本実施の形態は、上記実施の形態に限定されず、種々の形態で実現可能である。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、温度センサを備える機器(装置)に適用可能である。つまり、本発明は、例えば、光ピックアップ、エアコン、調理器などの機器に用いることができる。
【符号の説明】
【0048】
1 光ピックアップ
2 第1のシールドケース
3 第2のシールドケース
4 基体(光学ベース)
5 駆動IC
6 温度センサ
7 フレキシブルプリント基板
8 シリコーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体と、
前記基体の一方に設けられる基板と、
前記基体に設けられる電子部品と、
前記基板に設けられる温度センサと、
前記基体の他方に設けられ、前記電子部品の熱を放熱する放熱板と、
を備えるセンサ装置。
【請求項2】
前記温度センサは、前記電子部品が設けられた基板の面に設けられ、
前記温度センサと前記電子部品は、前記基板に対して、前記基体が設けられる側とは反対側に設けられる、
請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項3】
前記放熱板は、前記基体の他方の側から腕が延設するように構成される、
請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項4】
光を照射する光源をさらに備え、
前記電子部品は、前記光源を制御するための部品である、
請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項5】
前記基体の一方に設けられるシールドケースをさらに備え、
前記シールドケースは、前記温度センサを覆うようにして構成される、
請求項1に記載のセンサ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−124305(P2011−124305A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−279156(P2009−279156)
【出願日】平成21年12月9日(2009.12.9)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】