説明

ソイルリリースポリマー含有粒子および粒状洗剤組成物

【課題】洗剤溶液中での安定性に優れるとともに、水への溶解性にも優れたソイルリリースポリマー含有粒子、およびこれを含有する粒状洗剤組成物を提供する。
【解決手段】(A)ソイルリリースポリマー、(B)融点が50℃以下である有機化合物、および(C)吸油性無機粉体を含有するソイルリリースポリマー含有粒子を用いて粒状洗剤組成物を調製する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はソイルリリースポリマー含有粒子、およびこれを含有する粒状洗剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ソイルリリース性(soil−release)を有するソイルリリースポリマーは、繊維表面に、汚れをはじいて衣類の再汚染を防ぐ効果を付与できることが知られており、洗剤への適用が検討されている。
主なソイルリリースポリマーとして、テレフタル酸等のジカルボン酸と、ポリアルキレングリコールおよびモノマーのグリコールをベースとするポリエステルが知られている。
【0003】
下記特許文献1には、ソイルリリース性を有するポリエステルを、非イオン界面活性剤、ポリエチレングリコール(PEG)、脂肪酸、脂肪酸エステル、アニオン界面活性剤、膜形成物質等の保護物質でエンロービング(被覆、包囲)したものを粒状洗剤組成物に配合することが記載されている。
【特許文献1】特開昭63−312号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ソイルリリースポリマーは、アルカリ性の成分と接触すると分解し易いため、洗剤溶液中での安定性が悪く、再汚染防止効果を充分に発揮させるのが難しいという問題がある。
これに対して特許文献1に記載されているようなエンロービングを施すと、アルカリ性成分との接触は抑えられるものの、水への溶解性が低下するために再汚染防止効果が充分に発揮されないという問題がある。
【0005】
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、洗剤溶液中での安定性に優れるとともに、水への溶解性にも優れたソイルリリースポリマー含有粒子、およびこれを含有する粒状洗剤組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明のソイルリリースポリマー含有粒子は(A)ソイルリリースポリマー、(B)融点が50℃以下である有機化合物、および(C)吸油性無機粉体を含有することを特徴とする
また本発明は、本発明のソイルリリースポリマー含有粒子を含有する粒状洗剤組成物を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、洗剤溶液中でのソイルリリースポリマーの安定性に優れるとともに、水への溶解性にも優れたソイルリリースポリマー含有粒子、およびこれを含有する粒状洗剤組成物が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
<(S)ソイルリリースポリマー含有粒子(以下、(S)粒子ということがある。)>
[(A)ソイルリリースポリマー(以下、(A)成分ということがある。)]
本発明で用いられる(A)ソイルリリースポリマーは、ジカルボン酸とポリアルキレングリコールのポリエステル及び/またはその重合体あるいは共重合体である。
ジカルボン酸成分としては、脂肪族、脂環族または芳香族ジカルボン酸、例えば、シュウ酸、マロン酸、アジピン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、フタル酸、テレフタル酸、ジグリコール酸等があげられる。
ポリアルキレングリコールとしては、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールの共重合体等があげられる。
具体的には、テレフタル酸とジエチレングリコールから重合されるポリエステルとテレフタル酸とポリエチレングリコールから重合されるポリオキシエチレンカルボキシレートとを共重合したポリマー、すなわちポリエチレンテレフタレートーポリオキシエチレンテレフタレート(PET−POET)ポリマーなどが挙げられる。(A)成分の好ましい分子量は2000〜50000であり、より好ましい分子量は2000〜20000である。
【0009】
[(B)融点が50℃以下である有機化合物(以下、(B)成分ということがある)]
本発明における(B)成分は、融点が50℃以下である有機化合物であり、洗剤成分として公知の有機化合物であって、融点が50℃以下の化合物が好適に用いられる。
具体的には、下記に例示するようなノニオン界面活性剤のうち融点が50℃以下のものや、融点が50℃以下のポリエチレングリコール(PEG)等が挙げられる。
これらの中でも、後述のAEおよびPEGがより好ましい。
【0010】
ノニオン界面活性剤としては、例えば、以下のものを挙げることができる。
(1)炭素数6〜22、好ましくは8〜18の脂肪族アルコールに炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを平均3〜30モル、好ましくは5〜20モル付加したポリオキシアルキレンアルキル(又はアルケニル)エーテル。
この中でも、ポリオキシエチレンアルキル(又はアルケニル)エーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキル(又はアルケニル)エーテルが好適である。
ここで使用される脂肪族アルコールとしては、第1級アルコール、第2級アルコールが挙げられる。また、そのアルキル基は、分岐鎖を有していてもよい。脂肪族アルコールとしては、第1級アルコールが好ましい。
(2)ポリオキシエチレンアルキル(又はアルケニル)フェニルエーテル。
(3)長鎖脂肪酸アルキルエステルのエステル結合間にアルキレンオキサイドが付加した、例えば下記一般式(1)で表される脂肪酸アルキルエステルアルコキシレート。
1CO(OA)nOR2 ・・・(1)
(式中、R1COは、炭素数6〜22、好ましくは8〜18の脂肪酸残基を示し、OAは、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等の炭素数2〜4、好ましくは2〜3のアルキレンオキサイドの付加単位を示し、nはアルキレンオキサイドの平均付加モル数を示し、一般に3〜30、好ましくは5〜20の数である。R2は炭素数1〜3の置換基を有してもよい低級(炭素数1〜4)アルキル基を示す。)
(4)ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル。
(5)ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル。
(6)ポリオキシエチレン脂肪酸エステル。
(7)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油。
(8)グリセリン脂肪酸エステル。
【0011】
上記のノニオン界面活性剤の中でも、上述した(1)のノニオン界面活性剤が好ましく、特に、炭素数8〜18の脂肪族アルコールに炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを平均5〜20モル付加したポリオキシアルキレンアルキル(又はアルケニル)エーテルが好ましい。HLBが9〜16のポリオキシエチレンアルキル(又はアルケニル)エーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキル(又はアルケニル)エーテル、脂肪酸メチルエステルにエチレンオキサイドが付加した脂肪酸メチルエステルエトキシレート、脂肪酸メチルエステルにエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドが付加した脂肪酸メチルエステルエトキシプロポキシレート等もまた好適に用いられる。
また、これらのノニオン界面活性剤は1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
なお、本明細書におけるノニオン界面活性剤のHLBとは、Griffinの方法により求められる値である(吉田、進藤、大垣、山中共編、「新版界面活性剤ハンドブック」、工業図書株式会社、1991年、第234頁参照)。
また、本明細書における融点とは、JISK0064−1992「化学製品の融点及び溶融範囲測定方法」に記載されている融点測定法によって測定できる値である。
【0012】
[(C)吸油性無機粉体(以下、(C)成分ということがある)]
本発明における(C)吸油性無機粉体の吸油量は特に限定されないが、JIS−K6220試験方法で表される吸油量が80mL/100g以上の吸油性を有する物質が好適に用いられる。前記吸油量は、好ましくは150〜600mL/100gである。
吸油性無機粉体は1種単独で用いてもよく、2種以上の混合物を(C)成分として用いてもよい。
【0013】
また、ソイルリリースポリマーの良好な安定性を得るうえで(C)成分は、pHが8以下であるものが好ましい。該pHの下限値は4以上が好ましい。(C)成分のpHのより好ましい範囲は5〜8である。
なお、本発明における(C)成分のpHの値は、(C)成分を濃度が1質量%となるように水に溶解または分散させたときに得られる水溶液又は分散液のpHの値である。
【0014】
以下に(C)成分の具体例を挙げる。
・非晶質珪酸(吸油量:250mL/100g、嵩密度:0.06g/mL、pH7.5)(トクソー社製「トクシール」、日本アエロジル社製「アエロジル」、日本シリカ社製「ニップシール」)
・非晶質珪酸カルシウム(吸油量:450mL/100g、嵩密度:0.03g/mL)(トクソー社製「フローライト」、コフランケミカル社製「チクソレックス」)
・非晶質アルミノ珪酸塩(吸油量:150mL/100g、嵩密度:0.08g/mL)
・珪酸マグネシウム(吸油量:180mL/100g、嵩密度:0.08g/mL)
・炭酸マグネシウム(吸油量:150mL/100g、嵩密度:0.08g/mL)
・炭酸カルシウム(吸油量:110mL/100g、嵩密度:0.09g/mL)
・スピネル(吸油量:600mL/100g、嵩密度:0.008g/mL)
・コーディエライト(吸油量:600mL/100g、嵩密度:0.008g/mL)
・ムライト(吸油量:560mL/100g、嵩密度:0.009g/mL)
・澱粉分解物(吸油量:200mL/100g、嵩密度:0.06g/mL)(松谷化学社製「パインフロー」)
・ケイソウ土(吸油量:100mL/100g、pH7.0)(中央シリカ社製「シリカ100S」)
・生デンプン(吸油量:40mL/100g、pH5.4)(日本コーンスターチ社製「生タピオカ」)
【0015】
[(D)その他の成分]
(S)ソイルリリースポリマー含有粒子には、上記(A)成分、(B)成分、(C)成分の他に、本発明に効果を損なわない範囲で(D)その他の成分を含有させることができる。(D)その他の成分としては、洗剤組成物の構成成分として公知の成分を用いることができる。例えば、洗剤組成物のビルダーとして知られている成分、増量剤として知られている成分、アニオン界面活性剤およびその酸前駆体等を用いることができる。
(D)成分にはアルカリ性の成分が含まれないことが好ましい。
(D)成分の具体例としては、芒硝、アクリル酸ポリマー、アクリル酸マレイン酸共重合体、脂肪酸、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩(AES)等が挙げられる。
【0016】
[(S)粒子]
(S)ソイルリリースポリマー含有粒子中に含まれる(A)成分と(B)成分との質量比(A/B)は95/5〜50/50が好ましく、95/5〜60/40がより好ましく、90/10〜60/40がさらに好ましい。(B)成分の割合を上記範囲の下限値以上とすることにより良好な溶解性が得られ、(A)成分の割合を上記範囲の下限値以上とすることにより良好な再汚染防止効果が得られる。
(S)ソイルリリースポリマー含有粒子中における(A)成分と(B)成分の含有量の合計は、10〜95質量%が好ましく、20〜90質量%がより好ましく、30〜90質量%がさらに好ましい。(A)成分と(B)成分の含有量の合計を上記範囲とすることにより、良好な再汚染防止効果が得られる。
(S)ソイルリリースポリマー含有粒子中における(C)成分の含有量は、5〜70質量%が好ましく、10〜60質量%がより好ましく、10〜50質量%がさらに好ましい。(C)成分の含有量を上記範囲の下限値以上とすることにより、洗剤溶液中でのソイルリリースポリマーの良好な安定性が得られ、上記範囲の上限値以下とすることにより、良好な再汚染防止効果が得られる。
【0017】
(S)ソイルリリースポリマー含有粒子の平均粒子径は、好ましくは200〜1500μm、より好ましくは300〜1000μm、さらに好ましくは300〜700μmである。また、嵩密度は好ましくは0.4g/mL以上、より好ましくは0.5〜1.0g/mL、さらに好ましくは0.5〜0.95g/mLである。
(S)粒子の含有量は洗浄性能の点から、粒状洗剤組成物全量に対し、好ましくは0.1〜10質量%であり、より好ましくは0.5〜5質量%である。
【0018】
本発明の(S)ソイルリリースポリマー含有粒子は、押出し造粒法や撹拌造粒法により製造することができる。いずれの方法においても、(A)成分と(B)成分は、予め両者が均一に混合された液体の状態で用いることが好ましい。
押出し造粒法の場合は、概略、以下のようにし(S)粒子を製造することが好ましい。
まず、(A)成分と(B)成分とを均一に混合して混合物を得る。このとき水を添加してもよい。また必要であれば加熱融解する。加熱温度は40〜80℃程度が好ましい。
次いで、得られた混合物と、(C)成分および(D)その他の成分を押出機に混練し、押出し法にてペレット状またはヌードル状の成形物を得る。次いで、得られた成形物を粉砕することにより粒状の(S)粒子が得られる。
【0019】
撹拌造粒法の場合は、概略、以下のようにして(S)粒子を製造することが好ましい。
予め、(A)成分と(B)成分とを均一に混合して混合物を得る。このとき水を添加することが好ましい。必要であれば加熱融解する。
そして、(C)成分および(D)その他の成分を撹拌機に投入し、撹拌を開始した後に、予め調製した前記混合物を添加し、撹拌造粒を行って(S)粒子を得る。
【0020】
本発明の(S)ソイルリリースポリマー含有粒子は、水への溶解性が良好であり、例えば15℃程度の低温の水に対しても良好な溶解性を示す。またアルカリ性成分を含む粒子(洗剤粒子)との混合状態におけるソイルリリースポリマーの安定性にも優れており、洗剤と併用ししても良好な再汚染防止効果が得られる。
【0021】
<粒状洗剤組成物>
本発明の粒状洗剤組成物は、(S)ソイルリリースポリマー含有粒子を含有する。その他に、粒状洗剤組成物の構成粒子として公知の粒子を含有させることができる。
【0022】
粒状洗剤組成物に含まれる、(S)粒子以外の粒子の例を以下に挙げる。いずれも、公知の方法で製造可能、または市販品から入手可能である。
(a)アニオン界面活性剤含有粒子
アニオン界面活性剤含有粒子中におけるアニオン界面活性剤の含有量は10〜50質量%が好ましく、15〜40質量%がより好ましい。
平均粒子径は好ましくは200〜1000μm、より好ましくは300〜700μmである。また、嵩密度は好ましくは0.65g/mL以上、より好ましくは0.7〜1.0g/mLである。
粒状洗剤組成物にアニオン界面活性剤含有粒子が含まれる場合、その含有量は、洗浄力の点から、粒状洗剤組成物全量に対し、好ましくは10〜99質量%、より好ましくは20〜99質量%である。
(a)アニオン界面活性剤含有粒子に含まれるアニオン界面活性剤以外の成分は特に限定されないが、例えば、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、無機化合物、水溶性高分子化合物、無機ビルダー、有機ビルダー、蛍光剤、香料、色素等が挙げられる。
特に、アニオン界面活性剤とノニオン界面活性剤の両方が同じ粒子中に含まれていることが洗浄性能の点からより好ましい。
【0023】
(b)ノニオン界面活性剤含有粒子
ノニオン界面活性剤含有粒子中におけるノニオン界面活性剤の含有量は10〜50質量%程度が好ましく、10〜30質量%程度がより好ましい。
平均粒子径は200〜1000μmが好ましく、300〜700μmがより好ましい。嵩密度は0.65g/mL以上が好ましく、0.7〜1.0g/mLがより好ましい。
粒状洗剤組成物にノニオン界面活性剤含有粒子が含まれる場合、その含有量は、洗浄力の点から、粒状洗剤組成物全量に対し、好ましくは5〜95質量%、より好ましくは10〜50質量%である。
(b)ノニオン界面活性剤含有粒子に含まれるノニオン界面活性剤以外の成分は特に限定されないが、例えば、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、無機化合物、水溶性高分子化合物、無機ビルダー、有機ビルダー、蛍光剤、香料、色素等が挙げられる。
【0024】
(c)アルカリビルダー含有粒子
アルカリビルダー含有粒子におけるアルカリビルダーの含有量は50〜95質量%程度が好ましく、70〜90質量%程度がより好ましい。
アルカリビルダー含有粒子は、低水温の水での溶解性のために、表面処理を施すことが好ましい。表面処理剤としては、例えば水溶性ポリマー、高級脂肪酸等が用いられる。
被覆されたアルカリビルダー含有粒子の平均粒子径は200〜700μmが好ましく、300〜500μmがより好ましい。嵩密度は0.6〜1.4g/mLが好ましく、0.7〜1.3g/mLがより好ましい。
粒状洗剤組成物にアルカリビルダー含有粒子が含まれる場合、その含有量は、洗浄性能の点から、粒状洗剤組成物全量に対し、好ましくは5〜50質量%、より好ましくは10〜30質量%である。
アルカリビルダー含有粒子としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の炭酸塩類、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム等の重炭酸塩類、セスキ炭酸ナトリウム等のセスキ炭酸塩類、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム等の亜硫酸塩類、層状珪酸塩等の珪酸塩類等を主成分とする粒子に被覆(表面処理)を施した被覆無機粒子が好ましく用いられる。
【0025】
(d)漂白剤成分(無機過酸化物)含有粒子
漂白剤成分含有粒子中における漂白剤成分の含有量は、有効酸素量として8〜15%質量%程度が好ましく、10〜13%程度がより好ましい。
漂白剤成分含有粒子の表面に水分や他の洗剤成分等が接触すると、無機過酸化物の分解が生じる場合があるため、これを防止するために被覆等の処理を施すことが好ましい。被覆が施された形態の漂白剤成分含有粒子としては、既に提案されている酸素系漂白剤粒子を用いることができる。例えば特許第2918991号公報に記載の漂白剤粒子を挙げることができる。該漂白剤粒子は、流動状態を保った過炭酸ナトリウム粒子にホウ酸水溶液とケイ酸アルカリ金属塩水溶液とを別々に噴霧して乾燥してなる造粒物である。上記の他に、従来知られているキレート剤等の安定化剤を被覆剤と併用してもよい。
【0026】
被覆された漂白剤成分含有粒子(好ましくは過炭酸ナトリウム粒子)の平均粒子径は、漂白剤成分含有粒子の安定性及び溶解性の点から、100〜2,000μmが好ましく、より好ましくは200〜1,000μm、さらに好ましくは300〜800μmである。例えばこのような過炭酸ナトリウム粒子として三菱瓦斯化学(株)製のSPC−Dが挙げられる。漂白剤成分含有粒子の嵩密度は0.5〜1.0g/mLが好ましく、0.7〜0.9g/mLがより好ましい。
粒状洗剤組成物に漂白剤成分含有粒子が含まれる場合、その含有量は、漂白性能と効率の点から、粒状洗剤組成物全量に対し、好ましくは0.5〜30質量%、より好ましくは1〜20質量%である。
【0027】
(e)漂白活性化剤含有粒子
漂白活性化剤としては、公知の化合物を用いることができるが、好ましくは有機過酸前駆体である。
漂白活性化剤含有粒子中の漂白活性化剤の含有量は、好ましくは30〜95質量%、より好ましくは50〜90質量%である。配合量がこの範囲外では造粒した効果が充分に得られ難くなる場合がある。漂白活性化剤含有粒子は、PEG等のバインダー物質及び界面活性剤とともに造粒するのが望ましく、バインダー物質の配合量は、造粒物中に0.5〜30質量%、好ましくは1〜20質量%、より好ましくは5〜20質量%であり、界面活性剤粉末の配合量は、造粒物中に好ましくは0〜50質量%、より好ましくは3〜40質量%、特に好ましくは5〜30質量%である。
漂白活性化剤含有粒子の平均粒子径は、溶解性及び保存安定性の点から、200〜1,500μmが好ましく、より好ましくは300〜1,000μmである。嵩密度は0.4〜1.0g/mLが好ましく、0.5〜0.8g/mLがより好ましい。
粒状洗剤組成物に漂白活性化剤含有粒子が含まれる場合、その含有量は、粒状洗剤組成物全量に対し0.1〜15質量%が好ましく、0.3〜10質量%が特に好ましい。
【0028】
(f)酵素粒子
市販の酵素粒子を適宜用いることができる。酵素粒子の平均粒子径は、溶解性及び保存安定性の点から、200〜1,000μmが好ましく、より好ましくは300〜700μmである。
粒状洗剤組成物に酵素粒子が含まれる場合、その含有量は、粒状洗剤組成物全量に対し0.1〜5質量%が好ましく、0.5〜4質量%が特に好ましい。
【0029】
粒状洗剤組成物は、(S)粒子、(X)アルカリ成分を含有する粒子、および必要に応じた他の粒子をそれぞれ造粒しておき、これらを適宜の混合方法で混合して製造することができる。
混合方法としては、例えば乾式混合が好適に用いられる。使用する混合機は、各種粒子同士が充分に混合できる限りいかなる混合機を用いてもよい。混合機としては、水平円筒型、二重円錐型、V型、自転・公転型等の混合機が好適に利用できる。また、撹拌造粒機、転動造粒機を用いてもよい。
【0030】
本発明の粒状洗剤組成物は、(S)粒子と、(X)アルカリ成分を含有する粒子が別体になっているので、水に溶解させる前の状態における(S)粒子中のソイルリリースポリマーの安定性が良好である。また粒状洗剤組成物の水への溶解性が良好であり、例えば15℃程度の低温の水に対しても良好な溶解性を示す。粒状洗剤組成物を水に溶解させたときの(S)粒子の分散性も良好である。さらにアルカリ成分が溶解した洗剤溶液にあっても(S)粒子中のソイルリリースポリマーの安定性が優れており、良好な再汚染防止効果が得られる。
【実施例】
【0031】
以下に、実施例及び比較例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。なお、下記の例において特に明記のない場合の組成は、「%」は質量%、比率は質量比を示す。
【0032】
<(i)平均粒子径の測定>
以下の実施例および比較例において、各造粒物の平均粒子径は以下の方法で測定した。
粒状洗浄剤組成物について、目開き1,680μm、1,410μm、1,190μm、1,000μm、710μm、500μm、350μm、250μm、149μm、の9段の篩と受け皿を用いて分級操作を行った。分級操作は、受け皿に目開きの小さな篩から目開きの大きな篩の順に積み重ね、最上部の1,680μmの篩の上から100g/回のベースサンプルを入れ、蓋をしてロータップ型篩い振盪機((株)飯田製作所製、タッピング:156回/分、ローリング:290回/分)に取り付け、10分間振動させた後、それぞれの篩及び受け皿上に残留したサンプルを篩目ごとに回収して、サンプルの質量を測定した。受け皿と各篩との質量頻度を積算していくと、積算の質量頻度が、50%以上となる最初の篩の目開きをaμmとし、aμmよりも一段大きい篩の目開きをbμmとし、受け皿からaμmの篩までの質量頻度の積算をc%、またaμmの篩上の質量頻度をd%として、次式により平均粒子径(質量50%)を求めた。
【0033】
【数1】

【0034】
<(ii)嵩密度の測定>
以下の実施例および比較例において、嵩密度はJIS K3362−1998に準じて測定した。
【0035】
<材料>
実施例および比較例で用いた原料を下記に示す。
・ソイルリリースポリマー:SRN−300(クラリアント社製)
・AE:下記ノニオン界面活性剤Aと同じ。
・PEG200:PEG#200(ライオン社製、融点−50℃)
・ホワイトカーボン:トクシールN((株)トクヤマ製、pH7.5、吸油量約280mL/100g)
・シリカ100S:ケイソウ土(中央シリカ社製、pH7.0、吸油量 約100mL/100g)
・生デンプン:生タピオカ(日本コーンスターチ社製、pH5.4、吸油量 約40mL/100g)
・芒硝:中性無水芒硝(四国化成工業社製)
・セルロース:J.RETTENMIER&SOEHNE社製、ARBOCEL FD−600/30、平均繊維長:45μm、平均繊維厚(直径):25μm
【0036】
・α−SF−Na:炭素数14:炭素数16=18:82のα−スルホ脂肪酸メチルエステルのナトリウム塩(ライオン(株)製、AI=70%、残部は未反応脂肪酸メチルエステル、硫酸ナトリウム、メチルサルフェート、過酸化水素、水等)
・LAS−Na:直鎖アルキル(炭素数10〜14)ベンゼンスルホン酸(ライオン(株)製ライポンLH−200(LAS−H純分96%)を界面活性剤組成物調製時に48%水酸化ナトリウム水溶液で中和する)。表5中の配合量は、LAS−Naとしての質量%を示す。
・LAS−K:直鎖アルキル(炭素数10〜14)ベンゼンスルホン酸(ライポンLH−200(ライオン(株)製)LAS−H純分96%)を界面活性剤組成物調製時に48%水酸化カリウム水溶液で中和する)。表5中の配合量は、LAS−Kとしての質量%を示す。
・石鹸:炭素数12〜18の脂肪酸ナトリウム(ライオン(株)製、純分:67%、タイター:40〜45℃、脂肪酸組成:C12:11.7%、C14:0.4%、C16:29.2%、C18F0(ステアリン酸):0.7%、C18F1(オレイン酸):56.8%、C18F2(リノール酸):1.2%、分子量:289)
・ノニオン界面活性剤A:ECOROL26(ECOGREEN社製炭素数12〜16のアルキル基をもつアルコール)の酸化エチレン平均15モル付加体(純分90%)
・ノニオン界面活性剤B:パステルM−181(ライオンオレオケミカル(株)社製)の酸化エチレン平均15モル付加体
【0037】
・A型ゼオライト:シルトンB(水澤化学(株)製、純分80%)
・P型ゼオライト:DOUCIL A24(イネオスシリカ社製)
・MA1:アクリル酸/マレイン酸コポリマーNa塩、アクアリックTL−400(日本触媒(株)製)(純分40%水溶液)
・MA2:アクリル酸/マレイン酸コポリマーNa塩:Sokalan CP45(BASF社製)を純分40%となるように水で希釈したもの
・亜硫酸ナトリウム:無水亜硫酸曹達(神州化学(株)製)
・炭酸カリウム:炭酸カリウム(粉末)(旭硝子(株)製、平均粒子径490μm、嵩密度1.30g/cm
・炭酸ナトリウム:粒灰(旭硝子(株)製、平均粒子径320μm、嵩密度1.07g/cm
・硫酸ナトリウム:中性無水芒硝(日本化学工業(株)製)
【0038】
・蛍光剤:チノパールCBS−X(チバスペシャルティケミカルズ)/チノパールAMS−GX(チバスペシャルティケミカルズ)=3/1(質量比)の混合物
・香料A:特開2002−146399号公報[表11]〜[表18]に示す香料組成物A
・香料B:特開2002−146399号公報[表11]〜[表18]に示す香料組成物B
・香料C:特開2002−146399号公報[表11]〜[表18]に示す香料組成物C
・香料D:特開2002−146399号公報[表11]〜[表18]に示す香料組成物D
・色素A:群青(大日精化工業(株)製、Ultramarine Blue)
・色素B:Pigment Green 7(大日精化工業(株)製)
【0039】
・ラウリン酸:日本油脂(株)製、NAA−122、融点43℃
・過炭酸ナトリウム:三菱瓦斯化学(株)製、SPC−D、有効酸素量13.2%、平均粒子径760μm
・酵素粒子A:サビナーゼ12T(ノボザイムズ製)/LIPEX100T(ノボザイムズ製)/ターマミル60T(ノボザイムズ製)/セルザイム0.7T(ノボザイムズ製)=5/2/1/2(質量比)の混合物、平均粒子径700μm、嵩密度0.85g/mL
・酵素粒子B:サビナーゼ12TW(ノボザイムズ製)/LIPEX100T(ノボザイムズ製)/ステインザイム12T(ノボザイムズ製)=4/5/1(質量比)の混合物、平均粒子径700μm、嵩密度0.85g/mL
・漂白活性化剤造粒物:下記の方法で製造した有機過酸前駆体粒子
【0040】
[有機過酸前駆体粒子の調製方法]
有機過酸前駆体として4−デカノイルオキシ安息香酸(三井化学(株)製)70質量部、PEG〔ポリエチレングリコール#6000M(ライオン(株)製)〕20質量部、炭素数14のα−オレフィンスルホン酸ナトリウム粉末品(リポランPJ−400(ライオン(株)製))5質量部の割合で合計5000gになるようにホソカワミクロン社製エクストルード・オーミックスEM−6型に投入し、混練押し出しすることにより、径が0.8mmφのヌードル状の押し出し品を得た。この押し出し品(60℃)を、ホソカワミクロン社製フィッツミルDKA−3型に導入し、また助剤としてA型ゼオライト粉末5質量部を同様に供給し、粉砕して平均粒径約900μm、嵩密度0.5g/mLの有機過酸前駆体粒子(造粒物)を得た。
【0041】
(実施例1〜5、比較例1)
<(S)粒子の製造方法1>
表1に記載した実施例のうち、実施例1および3においては、以下の方法で(S)粒子を製造した。
下記表1に示す組成に従って、(A)ソイルリリースポリマーおよびPEG#200を60℃に加温融解し均一に混合し、該混合物とホワイトカーボン及びセルロースをホソカワミクロン(株)製エクストルード・オーミックスEM−6型に供給し、混練押し出し(混練温度60℃)し、径が0.8mmφのヌードル状の押し出し品を得た。この押し出し品(冷風により20℃に冷却)を、ホソカワミクロン(株)製フィッツミルDKA−3型に導入し、また助剤としてホワイトカーボン0.1質量%を同様に供給し、粉砕して表1に示す平均粒子径の(S)粒子S1、S3を得た。
【0042】
<(S)粒子の製造方法2>
表1に記載した実施例のうち、実施例2、4、5および比較例1においては、以下の方法で(S)粒子を製造した。
下記表1に示す組成成分のうち、(A)成分及び(B)成分を除く全ての成分(温度25℃)を、鋤刃状ショベルを具備し、ショベル−壁面間クリアランスが5mmのレーディゲミキサー((株)マツボー製、M20型)に投入(充填率50容積%)し、主軸200rpm、チョッパー6000rpmの条件で撹拌を開始した。撹拌開始後30秒後に(A)及び(B)成分及び水を予め60℃に加温融解し均一に混合した混合物を2分で添加して、ジャケット温度30℃の条件で撹拌造粒し、表1に示す平均粒子径になるまで撹拌造粒を継続して(S)粒子S2、S4、S5、S6を得た。
【0043】
上記で得られた(S)粒子について、下記の方法で溶解性試験(低温溶解性試験)およびソイルリリースポリマー安定性試験を行った。その結果を表1に合わせて示す。
【0044】
<低温溶解性試験>
15℃、30Lの水をはった二槽式洗濯機(三菱電機(株)製CW−C30A1−H)に実施例1〜5、および比較例1でそれぞれ得られた(S)粒子0.5gと、洗剤(トップ、ライオン社製)20gを投入後、1分間弱水流で攪拌し、再汚染評価布(ポリエステルジャージ、5×5cm、3枚)、および汚垢油(トリオレイン/オレイン酸/カーボン=100/100/1 の混合物)3mLを投入後、10分間弱水流で攪拌し、すすぎ(水道水30L,弱水流で攪拌)1分、脱水1分を行う。
この後、反射率計を用いて再汚染評価布の反射率(Z値)を測定し、実験前後の反射率の差(ΔZ)を再汚染性とする。
(検量線として、水に洗剤(トップ、ライオン社製)20gと、評価対象の(S)粒子からソイルリリースポリマーを除いた残りの成分と、評価対象の(S)粒子中のソイルリリースポリマー含有量に対して所定の割合(0,25,50,75,100%)に相当する量のソイルリリースポリマーとを添加して、同様の洗濯実験を行った時の再汚染性△Zを求め、検量線を作成する。なおソイルリリースポリマーは1質量%の水分散液として添加する。)
そして、実験で得られた再汚染性(△Z)の値が、評価対象の(S)粒子中のソイルリリースポリマー含有量の何%に相当するのかを算出し、低温溶解性の指標とする。表1では、50%未満を×、50%以上70%未満を○、70%以上100%以下を◎として示す。
【0045】
<ソイルリリースポリマー安定性試験>
測定対象の(S)粒子としては、洗剤組成物(ライオン社製、トップ)中に、ソイルリリースポリマーの含有率が1%となるように(S)粒子を添加し、均一に粉体混合(S)粒子含有洗剤組成物を、45℃、16時間、続いて25℃、8時間を繰り返すサイクル条件で1ヶ月間保存した(S)粒子含有洗剤組成物(以下、サンプルAという)を用いる。
【0046】
サンプルAの濃度が667ppmとなるように25℃の水道水900mLに溶解または分散させた水溶液または分散液を、Terg−O−Tometer(米国Testing社製)に投入して汚垢油(トリステアリン/オレイン酸/カーボン=100/100/1の混合物)0.3mLを添加後、120rpmで1分攪拌後、攪拌を止めて、再汚染評価布を投入する。10分攪拌後、再汚染布を取り出し、反射率計を用いて再汚染評価布の反射率(Z値)を測定し、実験前後の反射率の差(ΔZ)を再汚染性とする。
低温溶解性試験と同様に検量線を作成し、評価サンプルの反射率がSR剤添加量の何%に相当するのかを算出し、SR剤安定性の指標とする。
(検量線として、評価対象のサンプルAからソイルリリースポリマーだけを除いた組成の洗剤組成物と、評価対象のサンプルA中のソイルリリースポリマー含有量に対する所定の割合(0,25,50,75,100%)に相当する量のソイルリリースポリマーとを、サンプルAの代わりに用いて、同様の洗濯実験を行った時の再汚染性△Zを求め、検量線を作成する。なおソイルリリースポリマーは1質量%の水分散液として添加する。)そして、実験で得られた再汚染性(△Z)の値が、評価対象のサンプルA中のソイルリリースポリマー含有量の何%に相当するのかを算出し、低温溶解性の指標とする。表1では、50%未満を×、50%以上を○として示す。
【0047】
【表1】

【0048】
表1の結果より、実施例1〜5で得られた(S)粒子は低温溶解性に優れ、ソイルリリースポリマーの安定性も良好であった。これに対して(B)成分を含まない比較例1は、低温溶解性が劣っていた。
【0049】
粒状洗剤組成物の調製に先立ち、(a)アニオン界面活性剤含有粒子、(b)ノニオン界面活性剤含有粒子、(c)アルカリビルダー含有粒子としての被覆無機粒子を以下の方法でそれぞれ製造した。
<(a)アニオン界面活性剤含有粒子の調製方法1>
下記表2に示す組成に従って、以下の手順でアニオン界面活性剤含有粒子a1を調製した。
まず、撹拌装置を具備したジャケット付き混合槽に水を入れ、温度を60℃に調整した。これにα−SF−Naとノニオン界面活性剤を除く界面活性剤を添加し、10分間撹拌した。続いてMA1(アクリル酸/マレイン酸コポリマーナトリウム塩)と蛍光剤とを添加した。さらに10分間撹拌した後、粉末A型ゼオライトの一部(2.0%相当量(対各粒子、以下同じ)の捏和時添加用、3.2%相当量の粉砕助剤用、1.5%相当量の表面被覆用の各A型ゼオライトを除く)、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム及び亜硫酸ナトリウムを添加した。さらに20分間撹拌して水分38%の噴霧乾燥用スラリーを調製した後、向流式噴霧乾燥塔を用いて熱風温度280℃の条件で噴霧乾燥し、平均粒子径320μm、嵩密度0.30g/cm、水分5%の噴霧乾燥粒子を得た。
一方、原料の脂肪酸エステルをスルホン化し、中和して得られたα−SF−Naの水性スラリー(水分濃度25%)に、ノニオン界面活性剤の一部(α−SF−Naに対して25%)を添加し、水分を11%になるまで薄膜式乾燥機で減圧濃縮して、α−SF−Naとノニオン界面活性剤の混合濃縮物を得た。
【0050】
上述の噴霧乾燥粒子、この混合濃縮物、2.0%相当量のA型ゼオライト、0.5%相当量の噴霧添加用を除く残りのノニオン界面活性剤及び水を連続ニーダー((株)栗本鐵工所製、KRC−S4型)に投入し、捏和能力120kg/hr、温度60℃の条件で捏和し、界面活性剤含有混練物を得た。この界面活性剤含有混練物を穴径10mmのダイスを具備したペレッターダブル(不二パウダル(株)製、EXDFJS−100型)を用いて押し出しつつ、カッターで切断し(カッター周速は5m/s)長さ5〜30mm程度のペレット状界面活性剤含有成型物を得た。
次いで、得られたペレット状界面活性剤含有成型物に粉砕助剤としての粒子状A型ゼオライト(平均粒子径180μm)を3.2%相当量添加し、冷風(10℃、15m/s)共存下で直列3段に配置したフィッツミル(ホソカワミクロン(株)製、DKA−3)を用いて粉砕した(スクリーン穴径:1段目/2段目/3段目=12mm/6mm/3mm、回転数:1段目/2段目/3段目いずれも4700rpm)。最後に水平円筒型転動混合機(円筒直径585mm、円筒長さ490mm、容器131.7Lのドラム内部壁面に内部壁面とのクリアランス20mm、高さ45mmの邪魔板を2枚有するもの)で、充填率30容積%、回転数22rpm、25℃の条件で1.5%相当量の微粉A型ゼオライトを加え、0.5%相当量のノニオン界面活性剤と香料を噴霧しつつ、1分間転動し表面改質して粒子を得た。
得られた粒子の一部を着色するために、界面活性剤含有粒子をベルトコンベアで0.5m/sの速度で移送しつつ(ベルトコンベア上の界面活性剤含有粒子層の高30mm、層幅300mm)その表面に色素の20%水分散液を噴霧し、界面活性剤含有粒子a1(平均粒子径500μmを得た。
【0051】
界面活性剤含有粒子a1の調製方法と同様にして、界面活性剤含有粒子a3(平均粒子径、嵩密度は表2に記載)を得た。
【0052】
<(a)アニオン界面活性剤含有粒子の調製方法2>
下記表2に示す組成に従って、以下の手順で界面活性剤含有粒子a2を調製した。まず、撹拌装置を具備したジャケット付き混合槽に水を入れ、温度を50℃に調整した。これに亜硫酸ナトリウム及び蛍光剤を添加し、10分間撹拌した。続いて、炭酸ナトリウムを添加した後に、MA2(ポリアクリル酸ナトリウム塩)を添加し、さらに10分間撹拌した後、粉末A型ゼオライトの一部を添加した。さらに、30分間撹拌して噴霧乾燥用スラリーを調製した。
得られた噴霧乾燥用スラリーの温度は50℃であった。このスラリーを、圧力噴霧ノズルを具備した向流式噴霧乾燥装置で噴霧乾燥を行い、水分3%、嵩密度が0.50g/cm、平均粒子径が250μmの噴霧乾燥粒子を得た。
これとは別に、ノニオン界面活性剤、およびアニオン界面活性剤を80℃の温度条件で混合して、含水量10%の界面活性剤組成物を調製した。LAS−Naは水酸化ナトリウム水溶液で中和した溶液状で使用した。
【0053】
そして、得られた噴霧乾燥粒子を、鋤刃状ショベルを具備し、ショベル−壁面間クリアランスが5mmのレーディゲミキサー((株)マツボー製、M20型)に投入(充填率50容積%)し、ジャケットには80℃の温水を10L/分の流量で流しながら、主軸(150rpm)とチョッパー(4000rpm)の撹拌を開始した。そこに上記で調製した界面活性剤組成物を2分間かけて投入し、その後に5分間撹拌した後、層状珪酸塩(SKS−6、平均粒子径5μm)及び粉末A型ゼオライトの一部(10%相当量)を投入して2分間撹拌することによって粒子を得た。
得られた粒子と、粉末A型ゼオライトの一部(2%相当量)をVブレンダーで混合し、香料を噴霧した後、界面活性剤含有粒子の一部を着色するために、アニオン界面活性剤含有粒子の調製方法1と同様の方法で色素の20%水分散液を噴霧し、界面活性剤含有粒子a2(平均粒子径300μm、嵩密度0.78g/cm)を得た。
【0054】
【表2】

【0055】
<(b)ノニオン界面活性剤含有粒子の調製方法>
下記表3に示す組成に従って、以下の手順でノニオン界面活性剤含有粒子b1を調製した。
下記表3に示す組成成分のうち、界面活性剤を除くすべての成分(温度25℃)を、鋤刃状ショベルを具備し、ショベル−壁面間クリアランスが5mmのレーディゲミキサー((株)マツボー製、M20型)に投入(充填率50容積%)し、主軸 200rpm、チョッパー 6000rpmの条件で攪拌を開始した。撹拌開始後30秒後に界面活性剤(ノニオン界面活性剤は予め60℃に加熱して均一混合したものを使用する)及び水(温度60℃)を2分で添加して、ジャケット温度30℃の条件で撹拌造粒を平均粒子径1000μmになるまで継続して粒子を得た。
ノニオン界面活性剤含有粒子b1の調製方法と同様にして、ノニオン界面活性剤含有粒子b2、b3、b4(平均粒子径および嵩密度は表3に記載)を得た。
【0056】
【表3】

【0057】
<(c)被覆無機粒子の調製方法>
下記製造方法により、被覆無機粒子を得た。
表4に示す組成のうち、炭酸ナトリウムを、鋤刃状ショベルを装備し、ショベル−壁面間クリアランスが5mmのレーディゲミキサー((株)マツボー製、M20型)に投入し(充填率30容積%)、主軸200rpmの撹拌を開始した(チョッパーは停止)。撹拌開始後10秒後に水溶性高分子化合物水溶液(MA1)を30秒で添加し、造粒・被覆操作を行った。
引き続きレ−ディゲミキサーの撹拌を継続しつつ、表3に示した水難溶性化合物(ラウリン酸)を30秒で添加し被覆した。
【0058】
【表4】

【0059】
(実施例6〜16、比較例2)
実施例1〜5および比較例1で製造した(S)粒子、上記の方法で製造した(a)アニオン界面活性剤含有粒子、(b)ノニオン界面活性剤含有粒子、(c)被覆無機粒子、および下記表5に記載の他の粒子を用いて粒状洗剤組成物を調製した。
【0060】
<粒状洗剤組成物の調製方法>
表5の配合に従って、水平円筒型転動混合機(円筒直径585mm、円筒長さ490mm、容器131.7Lのドラム内部壁面に内部壁面とのクリアランス20mm、高さ45mmの邪魔板を2枚有するもの)を用い、充填率30容積%、回転数22rpm、25℃の条件で、各粒子を5分間混合し粒状洗剤組成物を得た。得られた粒状洗剤組成物の平均粒子径及び嵩密度を表5に記載する。
【0061】
得られた粒状洗剤組成物について、前記(S)粒子についての溶解性試験(低温溶解性試験)における「(S)粒子0.5gと、洗剤(トップ、ライオン社製)20g」を、「評価対象の粒状洗剤組成物20g」に変更した試験方法により低温溶解性を評価した。また前記(S)粒子についてのソイルリリースポリマー安定性試験における「サンプルA」を「評価対象の粒状洗剤組成物」に変更した試験方法により、得られた粒状洗剤組成物におけるソイルリリースポリマー安定性を評価した。その結果を表5に合わせて示す。
【0062】
【表5】

【0063】
表5の結果より、実施例6〜16で得られた得られた粒状洗剤組成物は低温溶解性に優れ、ソイルリリースポリマー安定性も良好であった。これに対して比較例1の(S)粒子を用いた比較例2は、低温溶解性が劣っていた。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ソイルリリースポリマー、(B)融点が50℃以下である有機化合物、および(C)吸油性無機粉体を含有することを特徴とするソイルリリースポリマー含有粒子。
【請求項2】
前記(A)成分と前記(B)成分との質量比A/Bが、95/5〜50/50であり、前記(C)成分が、1質量%水溶液又は分散液としたときのpHが8以下である請求項1記載のソイルリリースポリマー含有粒子。
【請求項3】
請求項1または2に記載のソイルリリースポリマー含有粒子を含有することを特徴とする粒状洗剤組成物。


【公開番号】特開2006−182893(P2006−182893A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−377132(P2004−377132)
【出願日】平成16年12月27日(2004.12.27)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】