説明

ソースドライバ回路およびそれを用いた電子機器

【課題】回路面積を抑制しつつ、ブースト可能なソースドライバ回路を提供する。
【解決手段】複数のバッファ回路BUF1〜BUFnは、複数のデータラインDL1〜BLnごとに設けられる。奇数用バイアスラインBL_Oは、奇数番目の各バッファ回路BUF(2i+1)に対して共通のバイアス電圧Vb_Oを供給する。偶数用バイアスラインBL_Eは、偶数番目の各バッファ回路BUF(2i)に対して共通のバイアス電圧Vb_Eを供給する。第1容量Coは、奇数番目の各バッファ回路BUF(2i+1)の出力配線OL(2i+1)と、偶数用バイアスラインBL_Eとの間に設けられる。第2容量Ceは、偶数番目の各バッファ回路BUF(2i)の出力配線OL(2i)と、奇数用バイアスラインBL_Oとの間に設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶パネルを駆動するソースドライバ回路に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、テレビやパーソナルコンピュータの映像出力手段として、アクティブマトリクス型の液晶パネルが広く用いられている。液晶パネルは、マトリクス状に配置された画素を備え、画素ごとに駆動素子としてのTFT(Thin Film Transistor)が設けられており、TFTは、マトリクスの行ごとに設けられた走査線および列ごとに設けられたデータラインに供給される電圧にもとづいて、画素の輝度を制御する。
【0003】
データラインを駆動するためにソースドライバ回路が使用される。ソースドライバ回路は、データラインごとに設けられたバッファ回路を備えるのが一般的であり、データラインを介してTFTに対して駆動電圧を出力する。
【0004】
液晶の応答性を改善して高速応答を実現するために、ブースト回路が利用される(たとえば特許文献1参照)。ブースト回路は、バッファ回路のバイアス電流を瞬時的に増加させるのが一般的である。
【特許文献1】特開平8−82784号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ブースト回路を用いると、回路面積が増大し、また消費電力が増加するという問題がある。
【0006】
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その包括的な目的は、回路面積の増大を抑制しつつ高速応答が得られるソースドライバ回路の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様は、液晶パネルの列ごとに設けられた複数のデータラインを駆動するソースドライバ回路に関する。このソースドライバ回路は、複数のデータラインごとに設けられた複数のバッファ回路と、奇数番目のデータラインを駆動する奇数番目の各バッファ回路に対して共通のバイアス電圧を供給する奇数用バイアスラインと、偶数番目のデータラインを駆動する偶数番目の各バッファ回路に対して共通のバイアス電圧を供給する偶数用バイアスラインと、奇数番目の各バッファ回路の出力配線と偶数用バイアスラインとの間に設けられた第1容量と、偶数番目の各バッファ回路の出力配線と奇数用バイアスラインとの間に設けられた第2容量と、を備える。
【0008】
この態様によると、あるバッファ回路の出力配線の電位、すなわちデータライン上の駆動電圧が変動すると、第1、第2容量を介してバイアスライン上のバイアス電圧に重畳される。その結果、バイアス電圧が一時的に増加または減少した状態となり、バッファ回路がブーストされた状態を実現できる。この態様では、微少な容量を設ければよく、ブースト回路が不要となるため、回路面積の増大を抑制できる。
【0009】
奇数番目の各バッファ回路の出力配線と、偶数用バイアスラインとの間に設けられる第1容量の総和は、1pFから10pFの範囲であり、偶数番目の各バッファ回路の出力配線と、奇数用バイアスラインとの間に設けられる第2容量の総和は、1pFから10pFの範囲であってもよい。
1pF〜10pF程度の容量であれば、典型的なバッファ回路を十分にブーストすることができるとともに、回路面積の増大を抑制できる。
【0010】
第1容量は、奇数番目の各バッファ回路の出力配線と偶数用バイアスラインの間の寄生容量を含んでもよい。第2容量は、偶数番目の各バッファ回路の出力配線と奇数用バイアスラインの間の寄生容量を含んでもよい。
この場合、配線のレイアウトを工夫すればよく、別途キャパシタ素子を形成する必要がないため、回路面積の増大を好適に抑制することができる。
【0011】
奇数番目の各バッファ回路の出力配線の一部は、偶数用バイアスラインと平行に敷設され、偶数番目の各バッファ回路の出力配線の一部は、奇数用バイアスラインと平行に敷設されてもよい。
2つの配線を併走させることにより、配線間隔、併走させる配線の区間長に応じて、寄生容量の値を好適に調節することができ、ブーストの程度を調節できる。
【0012】
奇数番目の各バッファ回路の出力配線と、偶数用バイアスラインは、同一の配線層において隣接して平行に敷設され、偶数番目の各バッファ回路の出力配線と、奇数用バイアスラインは、同一の配線層において隣接して平行に敷設されてもよい。
【0013】
バッファ回路は、互いに異なる第1、第2極性のトランジスタを含んで構成されてもよい。奇数用バイアスラインは、奇数番目の各バッファ回路の第1極性のトランジスタに対する第1バイアスラインと、奇数番目の各バッファ回路の第2極性のトランジスタに対する第2バイアスラインと、を含んでもよい。偶数用バイアスラインは、偶数番目の各バッファ回路の第1極性のトランジスタに対する第3バイアスラインと、偶数番目の各バッファ回路の第2極性のトランジスタに対する第4バイアスラインと、を含んでもよい。第1から第4バイアスラインを、別個に設けてもよい。第1、第2極性とは、たとえば、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)のPチャンネル、Nチャンネルを意味する。
【0014】
第1から第4バイアスラインを平行に敷設してもよい。さらに、バイアスラインの敷設方向を第1の方向とするとき、偶数(2n)番目(nは自然数)のバッファ回路と、それと隣接する奇数(2n+1)番目のバッファ回路を第1の方向と垂直な第2の方向に隣接して配置してもよい。隣接して配置される2n、2n+1番目のバッファ回路を一組として、これを第1の方向に複数、規則的に配置してもよい。この場合、効率的なレイアウトが実現でき、回路面積の増大をさらに抑えることができる。
【0015】
奇数番目の各バッファ回路の出力配線の少なくとも一部を、第3、第4バイアスラインそれぞれとの間に寄生容量が生ずるように、第3、第4バイアスラインに対して平行に敷設し、偶数番目の各バッファ回路の出力配線の少なくとも一部を、第1、第2バイアスラインそれぞれとの間に寄生容量が生ずるように、第1、第2バイアスラインに対して平行に敷設してもよい。
この場合、偶数番目のバッファ回路において、第1、第2バイアスラインの一方に接続されるトランジスタを、奇数番目のバッファ回路からの駆動電圧が上昇するタイミングでブーストし、他方のバイアスラインに接続されるトランジスタを、奇数番目のバッファ回路からの駆動電圧が下降するタイミングでブーストすることができる。同様に、奇数番目のバッファ回路において、第3、第4バイアスラインの一方に接続されるトランジスタを、偶数番目のバッファ回路からの駆動電圧が上昇するタイミングでブーストし、他方のバイアスラインに接続されるトランジスタを、偶数番目のバッファ回路からの駆動電圧が下降するタイミングでブーストすることができる。
【0016】
本発明の別の態様もまた、液晶パネルの列ごとに設けられた複数のデータラインごとに設けられた複数のバッファ回路を含むソースドライバ回路に関する。
奇数番目のデータラインを駆動する奇数番目のバッファ回路に対してバイアス電圧を供給する奇数用バイアスラインと、偶数番目のデータラインを駆動する偶数番目のバッファ回路に対してバイアス電圧を供給する偶数用バイアスラインと、を別個に設ける。奇数番目の各バッファ回路の出力配線を、偶数用バイアスラインと少なくとも一部において隣接して並列に敷設し、偶数番目の各バッファ回路の出力配線を、奇数用バイアスラインと少なくとも一部において隣接して並列に敷設する。
この態様によると、あるバッファ回路の出力電圧の変動が、配線間の寄生容量によって隣接するバッファ回路のバイアスラインに重畳される。その結果、隣接するバッファ回路をブーストすることができる。
【0017】
上述のいずれかのバッファ回路は、ひとつの半導体基板上に一体集積化されてもよい。「一体集積化」とは、回路の構成要素のすべてが半導体基板上に形成される場合や、回路の主要構成要素が一体集積化される場合が含まれ、回路定数の調節用に一部の抵抗やキャパシタなどが半導体基板の外部に設けられていてもよい。
【0018】
本発明のさらに別の態様は、電子機器である。この電子機器は、液晶パネルと、液晶パネルを駆動する上述のいずれかの態様のソースドライバ回路と、を備える。
【0019】
なお、以上の構成要素の任意の組合せや本発明の構成要素や表現を、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、回路面積の増大を抑制しつつ、ソースドライバ回路を好適にブーストすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0022】
また、本明細書において、「部材Aと部材Bが接続」された状態とは、部材Aと部材Bが物理的に直接的に接続される場合や、部材Aと部材Bが、電気的な接続状態に影響を及ぼさない他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
同様に、「部材Aと部材Bの間に部材Cが設けられた状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cが直接的に接続される場合のほか、電気的な接続状態に影響を及ぼさない他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0023】
図1は、実施の形態に係るソースドライバ回路の構成を示すブロック図である。電子機器200は、液晶パネル110、ソースドライバ回路100、図示しないゲートドライバ回路ならびにその他の制御回路を備える。たとえば、電子機器200は、携帯電話端末、ゲーム機器、PDA(Personal Digital Assitant)などの液晶パネルを備えた機器である。
【0024】
液晶パネル110は、m行n列(m、nは整数)のマトリクス状に配置された画素を備える。画素ごとに駆動素子としてのTFT(Thin Film Transistor)が設けられている。マトリクスの行ごとにm本の走査線が、列ごとにn本のデータラインDL1〜DLnが設けられる。図示しないゲートドライバは輝度を制御すべき画素に接続される走査線を選択する。ソースドライバ回路100は、複数のデータラインDL1〜DLnを駆動する。具体的には、輝度を制御すべき画素に接続されるデータラインDLに対して、輝度に応じた駆動電圧を供給する。
【0025】
ソースドライバ回路100は、複数のデータラインDL1〜DLnごとに設けられた複数のバッファ回路BUF1〜BUFn、バイアス回路20、奇数用バイアスラインBL_O、偶数用バイアスラインBL_Eを含み、ひとつの半導体基板上に集積化される。
バッファ回路BUF1〜BUFnの前段には、輝度に応じた駆動電圧を生成し、画素を駆動するタイミングを制御するための回路が設けられる。本実施の形態では、バッファ回路に特徴を有するため、その他の回路ブロックは省略されている。
【0026】
バッファ回路BUF1〜BUFnは、データラインを駆動するための駆動能力を提供する。バッファ回路は、たとえば演算増幅器を利用したボルテージフォロア回路で構成される。すなわち、演算増幅器の出力端子と反転入力端子が接続され、非反転入力端子に、データラインに供給すべき駆動電圧Vdが印加される。
【0027】
各バッファ回路BUFは、バイアス回路20によって生成されたバイアス電圧Vbの供給を受けて動作する。本実施の形態において、奇数用バイアスラインBL_Oは、奇数番目のデータラインDL(2i+1)を駆動する奇数番目の各バッファ回路BUF(2i+1)に対して共通のバイアス電圧Vb_Oを供給する。また偶数用バイアスラインBL_Eは、偶数番目のデータラインDL(2i)を駆動する偶数番目の各バッファ回路BUF(2i)に対して共通のバイアス電圧Vb_Eを供給する。一般的なソースドライバ回路100では、偶数番目と奇数番目のバッファ回路に対して、共通のバイアスラインが使用されるのに対して、本実施の形態に係るソースドライバ回路100は特徴的である。
【0028】
バッファ回路BUF1〜BUFnは、出力ピンP1〜Pnを介してデータラインDL1〜DLnと接続される。バッファ回路BUF1〜BUFnの出力端子から、出力ピンP1〜Pnに至る経路を形成する配線を、出力配線OL1〜OLnと呼ぶ。
【0029】
本実施の形態において、奇数番目の各バッファ回路BUF(2i+1)の出力配線OL(2i+1)と、偶数用バイアスラインBL_Eとの間には、それぞれ第1容量Co(2i+1)が設けられる。また、偶数番目の各バッファ回路BUF(2i)の出力配線OL(2i)と、奇数用バイアスラインBL_Oとの間には、それぞれ第2容量Ce(2i)が設けられる。
【0030】
第1容量Co(2i+1)の総和は、1〜10pF程度に設計するのが好ましい。同様に、第2容量Ce(2i)の総和も、1〜10pF程度に設計する。データラインの本数が数百本、たとえば、n=500程度の場合、単位キャパシタの容量値は、2〜20fF程度となる。
なお、1〜10pFは有意な容量成分を意図したものである。有意な容量成分とは、ある場合において、データライン上の駆動電圧の変動が、バッファ回路に十分な駆動力を具備せしめる程度に、バイアス電圧を変化させる容量である。また、ある場合において、配線を意図的にレイアウトすることにより生ずる寄生容量を意味する。
【0031】
第1容量Co、第2容量Ceは、キャパシタ素子として形成してもよいが、回路面積の観点からは、配線容量(寄生容量)を利用して形成するのが、好ましい。数fFの容量であれば、配線間容量を利用するのに好適である。
【0032】
図2は、図1のソースドライバ回路100の動作を示すタイムチャートである。図2は、上から順に、奇数番目の駆動電圧Vd(2i+1)および偶数番目の駆動電圧Vd(2i)、奇数番目のバッファ回路BUF(2i+1)に供給されるバイアス電圧Vb_O、偶数番目のバッファ回路BUF(2i)に供給されるバイアス電圧Vb_Eを示す。
奇数番目の駆動電圧Vd(2i+1)が遷移すると、第1容量Co(2i+1)を介して、電圧の変動が、偶数用バイアスラインBL_Eへと伝播する。その結果、偶数番目のバッファ回路BUF(2i)に供給されるバイアス電圧Vb_Eは、バイアス回路20により生成される直流レベルを中心として、上下に変動する。バイアス電圧Vb_Eの変動によって、バッファ回路BUF(2i)がブーストされ、液晶の応答速度を速めることができる。
同様に偶数番目のバッファ回路BUF(2i)からの駆動電圧Vd(2i)の遷移によって、奇数用バイアスラインBL_O上のバイアス電圧Vb_Oが変動し、奇数番目のバッファ回路BUF(2i+1)をブーストすることができる。
【0033】
このように、本実施の形態に係るソースドライバ回路100によれば、第1容量Co、第2容量Ceを設けることにより、別途ブースト回路を設けなくても、バッファ回路BUFをブーストすることができる。
なお、本実施の形態に係る容量を利用したブーストを、従来のブースト回路と組み合わせて利用してもよく、かかる態様も本発明の範囲に含まれる。
【0034】
以下、第1容量Co、第2容量Ceを寄生容量を利用して形成する場合の、具体的なレイアウトについて説明する。以下の説明では、バッファ回路BUFは、レイル−レイルの差動増幅器を利用して構成されるものとする。図3は、バッファ回路に利用される差動増幅器の構成例を示す回路図である。もっとも、本発明のバッファ回路の構成は、これに限定されるものではないため、簡単に説明する。
【0035】
図3の差動増幅器10は、トランジスタM1〜M14、第1テール電流源11、第2テール電流源12を含む。差動増幅器10は、第1極性(Pチャンネル)と第2極性(Nチャンネル)のトランジスタを含んで構成される。
【0036】
第1〜第4トランジスタM1〜M4、第1テール電流源11は、第1の差動入力段を形成する。同様に、第5〜第8トランジスタM5〜M8、第2テール電流源12は、第2の差動入力段を形成する。第2トランジスタM2、第5トランジスタM5のゲートは共通に接続されて非反転入力端子(+)となり、第1トランジスタM1、第6トランジスタM6のゲートは共通に接続されて反転入力端子(−)となる。
【0037】
第9〜第12トランジスタM9〜M12は、バイアス回路を構成し、第13、第14トランジスタM13、M14は、出力段を構成する。バイアス回路を構成する第9トランジスタM9は第1極性(Pチャンネル)であり、そのゲートには、バイアスラインBL1を介してバイアス電圧Vb1が供給される。また、第11トランジスタM11は第2極性(Nチャンネル)であり、そのゲートには、バイアスラインBL2を介してバイアス電圧Vb2が供給される。
【0038】
つまり、差動増幅器10は、バイアスラインBL1、BL2を介して、異なる電位のバイアス電圧Vb1、Vb2を受ける。さらに、本実施の形態では、奇数番目と偶数番目のバッファ回路に対して、別個のバイアスラインが設けられる。したがって、図3の差動増幅器10を利用する場合、バイアスラインは合計で4本敷設される。
以下、奇数番目のバッファ回路BUF(2i+1)に対して、バイアス電圧Vb1を供給するバイアスラインを第1バイアスラインBL1_Oといい、バイアス電圧Vb2を供給するバイアスラインを第2バイアスラインBL2_Oという。また、偶数番目のバッファ回路BUF(2i)に対して、バイアス電圧Vb1を供給するバイアスラインを第3バイアスラインBL1_Eといい、バイアス電圧Vb2を供給するバイアスラインを第4バイアスラインBL2_Eという。
【0039】
図4(a)、(b)は、本実施の形態に係るソースドライバ回路100のレイアウトを示す図である。図4(a)は、配線のレイアウトを示しており、図4(b)はソースドライバ回路100全体の配置を示している。図4(b)に示すように、4本のバイアスラインBL1_E、BL2_E、BL1_O、BL2_Oは、半導体基板上の第1の方向(x方向)に平行に形成される。
【0040】
バッファ回路BUF1〜BUFnは、隣接する2つのバッファ回路を一つ単位として形成される。以下、この単位をバッファユニットBUと呼ぶ。つまり、i番目のバッファユニットBUiは、2つのバッファ回路BUF(2i−1)、BUF(2i)を含んで構成される。バッファ回路BUF(2i−1)、BUF(2i)は、第1の方向と垂直な第2の方向(Y方向)に隣接して配置される。また、複数のバッファユニットBUiは、第1の方向に隣接して配置される。
【0041】
図4(a)に示すように、奇数番目のバッファ回路BUF(2i−1)の出力配線OL(2i−1)の一部は、2本の偶数用バイアスラインBL1_E、BL2_Eと隣接して平行に敷設される。また、偶数番目のバッファ回路BUF(2i)の出力配線OL(2i)の一部は、2本の奇数用バイアスラインBL1_O、BL2_Oと隣接して平行に敷設される。
各配線は同一の配線層に形成してもよいし、異なる配線層に形成してもよい。なお、同一の配線層の場合、少なくとも配線が交差する場所において、他の配線層が利用される。
【0042】
ソースドライバ回路100を、図4(a)、(b)のレイアウトにしたがって構成した場合、以下の効果を得ることができる。
図2のタイムチャートを再度参照する。奇数番目の駆動電圧Vd(2i−1)が上昇すると、偶数用バイアスラインBL1_E、BL2_Eの電位が上昇する。バイアスラインBL2_Eの電位が上昇すると、これによりバイアス電圧を受けるトランジスタM11のオンの程度が強くなるため、トランジスタM14のオンの程度が強くなり、差動増幅器10の電流の吸い込み能力(シンク能力)が増大する。偶数番目のデータラインBL(2i)の電位を急速に低下させることができる。
【0043】
逆に奇数番目の駆動電圧Vd(2i−1)が低下すると、偶数用バイアスラインBL1_E、BL2_Eの電位も低下する。バイアスラインBL2_Eの電位が低下すると、これによりバイアス電圧を受けるトランジスタM9のオンの程度が強くなるため、トランジスタM13のオンの程度が強くなり、差動増幅器10の電流の吐き出し能力(ソース能力)が増大する。その結果、偶数番目のデータラインBL(2i)の電位を急速に上昇させることができる。
【0044】
実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0045】
実施の形態では、配線間に容量を発生させるために、配線同士を隣接させる場合について説明したが、異なる配線層に、オーバーラップするように配置してもよい。
【0046】
図3、図4では、バッファ回路BUFとしてレイル−レイルの差動増幅器を用いる場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、その他の差動増幅器を用いてもよい。
【0047】
図4(b)のレイアウトでは、あるバッファ回路の出力配線を、隣接するバッファ回路に対する2本のバイアスラインと隣接するように形成したが、いずれか一方のみと隣接するように形成してもよい。この場合でも、ソース能力、もしくはシンク能力のいずれかをブーストすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】実施の形態に係るソースドライバ回路の構成を示すブロック図である。
【図2】図1のソースドライバ回路の動作を示すタイムチャートである。
【図3】バッファ回路に利用される差動増幅器の構成例を示す回路図である。
【図4】図4(a)、(b)は、実施の形態に係るソースドライバ回路のレイアウトを示す図である。
【符号の説明】
【0049】
100 ソースドライバ回路、 110 液晶パネル、 DL データライン、 BUF バッファ回路、 OL 出力配線、 BU バッファユニット、 BL_E 偶数用バイアスライン、 BL_O 奇数用バイアスライン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶パネルの列ごとに設けられた複数のデータラインを駆動するソースドライバ回路であって、
前記複数のデータラインごとに設けられた複数のバッファ回路と、
奇数番目のデータラインを駆動する奇数番目の各バッファ回路に対して共通のバイアス電圧を供給する奇数用バイアスラインと、
偶数番目のデータラインを駆動する偶数番目の各バッファ回路に対して共通のバイアス電圧を供給する偶数用バイアスラインと、
奇数番目の各バッファ回路の出力配線と、前記偶数用バイアスラインとの間に設けられた第1容量と、
偶数番目の各バッファ回路の出力配線と、前記奇数用バイアスラインとの間に設けられた第2容量と、
を備えることを特徴とするソースドライバ回路。
【請求項2】
奇数番目の各バッファ回路の出力配線と、前記偶数用バイアスラインとの間に設けられる前記第1容量の総和は、1pFから10pFの範囲であり、
偶数番目の各バッファ回路の出力配線と、前記奇数用バイアスラインとの間に設けられる前記第2容量の総和は、1pFから10pFの範囲であることを特徴とする請求項1に記載のソースドライバ回路。
【請求項3】
前記第1容量は、奇数番目の各バッファ回路の前記出力配線と前記偶数用バイアスラインの間の寄生容量を含み、
前記第2容量は、偶数番目の各バッファ回路の前記出力配線と前記奇数用バイアスラインの間の寄生容量を含むことを特徴とする請求項1に記載のソースドライバ回路。
【請求項4】
前記奇数番目の各バッファ回路の出力配線の一部は、前記偶数用バイアスラインと平行に敷設され、
前記偶数番目の各バッファ回路の出力配線の一部は、前記奇数用バイアスラインと平行に敷設されることを特徴とする請求項3に記載のソースドライバ回路。
【請求項5】
前記奇数番目の各バッファ回路の出力配線と、前記偶数用バイアスラインは、同一の配線層において隣接して平行に敷設され、
前記偶数番目の各バッファ回路の出力配線と、前記奇数用バイアスラインは、同一の配線層において隣接して平行に敷設されることを特徴とする請求項4に記載のソースドライバ回路。
【請求項6】
前記バッファ回路は、互いに異なる第1、第2極性のトランジスタを含んで構成され、
前記奇数用バイアスラインは、
奇数番目の各バッファ回路の前記第1極性のトランジスタに対する第1バイアスラインと、
奇数番目の各バッファ回路の前記第2極性のトランジスタに対する第2バイアスラインと、
を含み、
前記偶数用バイアスラインは、
偶数番目の各バッファ回路の前記第1極性のトランジスタに対する第3バイアスラインと、
偶数番目の各バッファ回路の前記第2極性のトランジスタに対する第4バイアスラインと、
を含み、第1から第4バイアスラインを、別個に設けたことを特徴とする請求項1に記載のソースドライバ回路。
【請求項7】
前記第1から第4バイアスラインを平行に敷設したことを特徴とする請求項6に記載のソースドライバ回路。
【請求項8】
前記奇数番目の各バッファ回路の出力配線の少なくとも一部を、前記第3、第4バイアスラインそれぞれとの間に寄生容量が生ずるように、前記第3、第4バイアスラインに対して平行に敷設し、
前記偶数番目の各バッファ回路の出力配線の少なくとも一部を、前記第1、第2バイアスラインそれぞれとの間に寄生容量が生ずるように、前記第1、第2バイアスラインに対して平行に敷設したことを特徴とする請求項6に記載のソースドライバ回路。
【請求項9】
液晶パネルの列ごとに設けられた複数のデータラインごとに設けられた複数のバッファ回路を含むソースドライバ回路であって、
奇数番目のデータラインを駆動する奇数番目のバッファ回路に対してバイアス電圧を供給する奇数用バイアスラインと、偶数番目のデータラインを駆動する偶数番目のバッファ回路に対してバイアス電圧を供給する偶数用バイアスラインと、を別個に設け、
奇数番目の各バッファ回路の出力配線を、前記偶数用バイアスラインと少なくとも一部において隣接して並列に敷設し、
偶数番目の各バッファ回路の出力配線を、前記奇数用バイアスラインと少なくとも一部において隣接して並列に敷設したことを特徴とするソースドライバ回路。
【請求項10】
ひとつの半導体基板上に一体集積化されたことを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載のソースドライバ回路。
【請求項11】
液晶パネルと、
前記液晶パネルを駆動する請求項1から9のいずれかに記載のソースドライバ回路と、
を備えることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−176057(P2008−176057A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−9364(P2007−9364)
【出願日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】