説明

タイヤの加硫装置

【課題】高品質なタイヤを安定に製造しうる加硫装置2の提供。
【解決手段】タイヤ用加硫装置2は、ローカバーRと当接してタイヤのビードを形作る第一ビードリング14aを有するモールド4aと、このモールド4aの内側に位置するブラダー6と、この第一ビードリング14aに置き換えて使用可能な第二ビードリングとを備えている。この第一ビードリング14aをこの第二ビードリングに置き換えることにより、他のモールドが構成される。この他のモールドを使用した場合におけるブラダー6の端縁部20aの位置は、上記モールド4aを使用した場合におけるブラダー6の端縁部20aの位置よりも軸方向において外側にある。この加硫装置2によれば、高品質なタイヤが安定に製造されうる上に、ブラダー6の交換頻度が低減されうる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤの加硫装置に関する。詳細には、本発明は、この加硫装置に含まれるブラダーの使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤの製造には、加硫装置が使用される。この加硫装置は、モールド、ブラダー及びクランプを備えている。
【0003】
タイヤの加硫・成形工程では、予備成形されたローカバー(未架橋タイヤとも称される。)が、開かれたモールドに投入される。投入の時、ブラダーは収縮している。投入により、ブラダーはローカバーの内側に位置する。ガスの充填により、ブラダーは膨張する。この膨張により、ローカバーは変形する。この変形は、シェーピングと称されている。モールドが締められ、ブラダーの内圧が高められる。ローカバーは、モールドのキャビティ面とブラダーとに挟まれて、加圧される。ローカバーは、ブラダー及びモールドからの熱伝導により、加熱される。加圧及び加熱により、ローカバーのゴム組成物が流動する。加熱によりゴムが架橋反応を起こし、タイヤが形成される。ブラダーからガスが排出され、モールドからタイヤが取り出される。タイヤが取り出されるとき、ブラダーは収縮している。
【0004】
タイヤの形状は、膨張したブラダーの形状に依存する。さらに、ブラダーがローカバーに当接してタイヤの内周面を形作るので、この内周面の状態は膨張したブラダーの影響を受ける。高品質なタイヤを得るには、膨張したブラダーの形状が適正である必要がある。
【0005】
複数のタイヤを製造する場合、ブラダーは膨張及び収縮を繰り返す。ブラダーは、架橋ゴムからなるので、この膨張及び収縮の繰り返しにより徐々に伸長していく。このブラダーには、タイヤの製造サイクルが繰り返されることにより永久ひずみが生ずる。
【0006】
ブラダーの永久ひずみは、使用により増加する。具体的には、ブラダーの軸方向周長が増加する。大きな永久ひずみが生じたブラダーを膨張させてタイヤを製造するとき、このブラダーは、過大な実効周長を有するので、余剰な状態になってしまう。このブラダーでは、適正な膨張形状が得られないため、製造されたタイヤの内周面にベアー又はシワが生じることがある。ブラダーの永久ひずみは、タイヤの品質に影響を与える。なお、実効周長とは、ブラダーが最も膨張したときに、ブラダーの外周面のうち、ローカバーに当接する部分の軸方向周長を意味する。
【0007】
ブラダーが頻繁に交換されれば、ベアー又はシワの発生が防止されうる。しかし、ブラダーの交換には、手間がかかる。このブラダーの交換のときには、加硫装置が停止される。頻繁な交換は、加硫装置の稼働率を低下させる。
【0008】
高品質なタイヤの安定製造の観点から、加硫装置について様々な検討がなされている。この検討の一例が、特開2007−168208公報に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−168208公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、このような情勢に鑑みてなされたものであり、高品質なタイヤを安定に製造しうる加硫装置の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るタイヤ用加硫装置は、ローカバーと当接してタイヤのビードを形作る第一ビードリングを有するモールドと、このモールドの内側に位置するブラダーと、この第一ビードリングに置き換えて使用可能な第二ビードリングとを備えている。この第一ビードリングをこの第二ビードリングに置き換えることにより、他のモールドが構成される。この他のモールドを使用した場合におけるブラダーの端縁部の位置は、上記モールドを使用した場合におけるブラダーの端縁部の位置よりも軸方向において外側にある。
【0012】
好ましくは、このタイヤ用加硫装置は、上記ブラダーの端縁部を保持するクランプをさらに備えている。上記第一ビードリングは、このブラダーと当接しうる第一コンタクト面と、このクランプが嵌め合わされる第一嵌合部とを備えている。この第一嵌合部は、この第一コンタクト面から軸方向外向きに窪んだ凹みである。上記第二ビードリングは、このブラダーと当接しうる第二コンタクト面と、このクランプが嵌め合わされる第二嵌合部とを備えている。この第二嵌合部は、この第二コンタクト面から軸方向外向きに窪んだ凹みである。この第二嵌合部は、この第一嵌合部よりも深い。
【0013】
本発明に係る複数のタイヤの製造方法は、
(1)タイヤのビードを形作る第一ビードリングを有するモールドに、ローカバーが投入される工程、
(2)このローカバーが、このモールドと、このモールドの内側に位置するブラダーとによって加圧及び加熱され、タイヤが得られる工程、
(3)このモールドの第一ビードリングを第二ビードリングに置き換えることにより、このブラダーの端縁部が、上記モールドを使用した場合におけるブラダーの端縁部の位置よりも軸方向において外側に配置された他のモールドが準備される工程、
(4)この他のモールドに、他のローカバーが投入される工程
及び
(5)この他のローカバーが、この他のモールドと上記ブラダーとによって加圧及び加熱され、他のタイヤが得られる工程
を含む。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る加硫装置では、第一ビードリングを第二ビードリングに置き換えることにより、ブラダーの実効周長が一定に保たれる。この加硫装置によれば、高品質なタイヤが安定に製造されうる。この加硫装置は、一のブラダーの使用回数の増大に寄与しうる。この加硫装置は、ブラダーの交換頻度を低減しうる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係るタイヤ用加硫装置の一部が示された断面図である。
【図2】図2は、図1の加硫装置の一部が示された拡大断面図である。
【図3】図3は、図2の加硫装置の第一ビードリングが第二ビードリングに置換された状態が示された拡大断面図である。
【図4】図4は、図3の加硫装置の第二ビードリングが第三ビードリングに置換された状態が示された拡大断面図である。
【図5】図5は、図4の加硫装置の第三ビードリングが第四ビードリングに置換された状態が示された拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0017】
図1には、符号Rで示されたローカバー(未架橋タイヤとも称される。)とともに、加硫装置2が示されている。この加硫装置2は、第一モールド4aと、ブラダー6と、クランプ8とを備えている。なお、この図1において、左右方向が半径方向であり、上下方向が軸方向であり、紙面に対して垂直な方向が周方向である。図1中、一点鎖線CLはこの第一モールド4aの赤道面である。
【0018】
第一モールド4aは、多数のセグメント10と、上下一対のサイドプレート12と、上側第一ビードリング14aと、下側ビードリング16とを備えている。この第一モールド4aは、閉じられた状態にある。
【0019】
この第一モールド4aでは、多数のセグメント10はリング状に配置される。セグメント10の数は、5以上20以下である。サイドプレート12、上側第一ビードリング14a及び下側ビードリング16は、実質的にリング状である。サイドプレート12は、各セグメント10の半径方向内側に位置している。上側第一ビードリング14aは、上側のサイドプレート12の半径方向内側に位置している。下側ビードリング16は、下側のサイドプレート12の半径方向内側に位置している。この第一モールド4aは、いわゆる「割りモールド」である。
【0020】
この第一モールド4aにおいては、セグメント10、サイドプレート12、上側第一ビードリング14a及び下側ビードリング16が組み合わされることにより、キャビティ面18が構成される。このキャビティ面18は、ローカバーRと当接してタイヤの外周面を形作る。
【0021】
ブラダー6は、第一モールド4aの内側に位置している。ブラダー6は、略円筒状を呈している。ブラダー6は、その上端にリング状の端縁部20a(以下、上側端縁部)を備えている。このブラダー6は、その下端にリング状の端縁部20b(以下、下側端縁部)を備えている。
【0022】
ブラダー6は、架橋ゴムからなる。ブラダー6は、その内部にガスが充填されると膨張する。ブラダー6は、その内部からガスが排出されると収縮する。図1に示されたブラダー6は、膨張状態にある。このブラダー6は、ローカバーRと当接してタイヤの内周面を形作る。
【0023】
図1において、両矢印LAで示されているのはブラダー6の実効周長である。この実効周長LAは、膨張したブラダー6の外周面22のうち、ローカバーRに当接する部分の軸方向周長で示される。この加硫装置2では、この実効周長LAが加硫前の状態にあるローカバーRの内周面24の軸方向周長の110%以上120%以下となるように設定される。
【0024】
上側に位置するクランプ8a(以下、上側クランプ)は、モールドリング26と上側クランプリング28とを備えている。図示されているように、ブラダー6は、その上側端縁部20aがこのモールドリング26と上側クランプリング28とに挟まれて上側クランプ8aに固定されている。この上側クランプ8aは、ブラダー6の上側端縁部20aを保持しうる。下側に位置するクランプ8b(以下、下側クランプ)は、下側クランプリング30を備えている。ブラダー6は、その下側端縁部20bがこの下側クランプリング30と前述の下側ビードリング16とに挟まれて下側クランプ8bに固定されている。この下側クランプ8bは、ブラダー6の下側端縁部20bを保持しうる。
【0025】
図2は、図1の加硫装置2の一部が示された拡大断面図である。この図2には、この加硫装置2の第一ビードリング14aの部分が示されている。図示されているように、第一ビードリング14aはサイドプレート12に嵌め合わされている。
【0026】
第一ビードリング14aは、第一コンタクト面32aと、第一成形部34aと、第一嵌合部36aとを備えている。第一コンタクト面32aは、膨張したブラダー6と当接する。この当接により、ブラダー6と第一モールド4aとの間にキャビティが形成される。このキャビティに、ローカバーRが収容される。
【0027】
第一成形部34aは、半径方向において第一コンタクト面32aの外側に位置している。第一成形部34aは、第一コンタクト面32aから軸方向外向きに窪んだ凹みである。第一成形部34aは、キャビティ面18の一部をなしている。この第一成形部34aは、ローカバーRと当接してタイヤのビードを形作る。
【0028】
第一嵌合部36aは、半径方向において第一コンタクト面32aの内側に位置している。第一嵌合部36aは、第一コンタクト面32aから軸方向外向きに窪んだ凹みである。図示されているように、この第一嵌合部36aに上側クランプ8aのモールドリング26が嵌め合わされている。第一嵌合部36aの形状は、モールドリング26の形状に対応している。この加硫装置2では、第一嵌合部36aは、第一コンタクト面32aから軸方向外側に向かって半径方向内向きに傾斜して延在する第一斜面38aと、この第一斜面38aから半径方向内向きに延在する第一平面40aとを備えている。この第一ビードリング14aでは、この第一平面40aが第一嵌合部36aの最深部に相当する。上側クランプ8aのモールドリング26は、この第一斜面38a及び第一平面40aに当接している。第一斜面38aは、上側クランプ8aの半径方向外向きへの動きを制限しうる。第一平面40aは、この上側クランプ8aの軸方向外向きへの動きを制限しうる。
【0029】
図2においては、第一コンタクト面32aと第一成形部34aとの境界位置が符号PAで示されている。この境界位置PAは、この第一モールド4aで製造されるタイヤのビードトゥに相当する。この図2においては、第一嵌合部36aの深さが両矢印D1で示されている。この深さD1は、第一コンタクト面32aから第一平面40aまでの軸方向長さで表される。この図2に示されたブラダー6の上側端縁部20aの位置が、この加硫装置2におけるブラダー6の上側端縁部20aの基準位置である。
【0030】
この加硫装置2は、第二ビードリング14bをさらに備えている。この加硫装置2では、第一モールド4aの第一ビードリング14aをこの第二ビードリング14bに置き換えることにより、第二モールド4bが構成される。この第二モールド4bの一部が、上側クランプ8a及びブラダー6とともに図3に示されている。この加硫装置2では、この第二ビードリング14bは、第一ビードリング14aに置き換えて使用可能である。この第二モールド4bでは、第二ビードリング14b以外の構成は、第一モールド4aの第一ビードリング14a以外の構成と同等である。
【0031】
図示されているように、第二ビードリング14bは、前述の第一ビードリング14aと同様、サイドプレート12に嵌め合わされている。
【0032】
第二ビードリング14bは、第二コンタクト面32bと、第二成形部34bと、第二嵌合部36bとを備えている。第二コンタクト面32bは、膨張したブラダー6と当接する。この当接により、ブラダー6と第二モールド4bとの間に、キャビティが形成される。
【0033】
第二成形部34bは、半径方向において第二コンタクト面32bの外側に位置している。第二成形部34bは、第二コンタクト面32bから軸方向外向きに窪んだ凹みである。第二成形部34bは、キャビティ面18の一部をなしている。この第二成形部34bは、ローカバーRと当接してタイヤのビードを形作る。
【0034】
第二嵌合部36bは、半径方向において第二コンタクト面32bの内側に位置している。第二嵌合部36bは、第二コンタクト面32bから軸方向外向きに窪んだ凹みである。図示されているように、この第二嵌合部36bに上側クランプ8aのモールドリング26が嵌め合わされている。第二嵌合部36bの形状は、モールドリング26の形状に対応している。この加硫装置2では、第二嵌合部36bは、第二コンタクト面32bから軸方向外側に向かって半径方向内向きに傾斜して延在する第二斜面38bと、この第二斜面38bから半径方向内向きに延在する第二平面40bとを備えている。この第二ビードリング14bでは、この第二平面40bが第二嵌合部36bの最深部に相当する。この第二斜面38bの傾斜角度は、前述の第一ビードリング14aにおける第一斜面38aの傾斜角度と同等である。上側クランプ8aのモールドリング26は、この第二斜面38b及び第二平面40bに当接している。第二斜面38bは、上側クランプ8aの半径方向外向きへの動きを制限しうる。第二平面40bは、この上側クランプ8aの軸方向外向きへの動きを制限しうる。
【0035】
図3において、符号PBで示されているのは、第二コンタクト面32bと第二成形部34bとの境界位置である。この境界位置PBは、この第二モールド4bで製造されるタイヤのビードトゥに相当する。両矢印D2で示されているのは、第二嵌合部36bの深さである。この深さD2は、第二コンタクト面32bから第二平面40bまでの軸方向長さで表される。
【0036】
この加硫装置2では、境界位置PBは、前述の、第一モールド4aが使用された場合における境界位置PAと一致する。さらに第二ビードリング14bの第二成形部34bの形状は、第一ビードリング14aの第一成形部34aのそれと同等である。この加硫装置2では、第二モールド4bとブラダー6とにより構成されるキャビティの形状は、第一モールド4aとこのブラダー6とにより構成されるキャビティのそれと同等である。
【0037】
この加硫装置2では、第二ビードリング14bの第二嵌合部36bは第一ビードリング14aの第一嵌合部36aよりも深い。この第二嵌合部36bの深さD2が第一嵌合部36aの深さD1よりも大きいので、この第二ビードリング14bに嵌め合わされた上側クランプ8aはこれが第一ビードリング14aに嵌め合わされた場合よりも軸方向において外側に配置される。このため、この第二モールド4bを使用した場合におけるブラダー6の上側端縁部20aの位置は、第一モールド4aを使用した場合におけるブラダー6の上側端縁部20aの位置よりも軸方向において外側に移動しうる。なお、図3中、点線で示されているのが、第一モールド4aが使用された場合におけるブラダー6の状態である。
【0038】
この加硫装置2は、第三ビードリング14cをさらに備えている。この加硫装置2では、第二モールド4bの第二ビードリング14bをこの第三ビードリング14cに置き換えることにより、第三モールド4cが構成される。この第三モールド4cの一部が、上側クランプ8a及びブラダー6とともに図4に示されている。この加硫装置2では、この第三ビードリング14cは、第二ビードリング14bに置き換えて使用可能である。この第三ビードリング14cは、第一ビードリング14aに置き換えても使用可能である。この第三モールド4cでは、第三ビードリング14c以外の構成は、第二モールド4bの第二ビードリング14b以外の構成と同等である。
【0039】
図示されているように、第三ビードリング14cは、前述の第二ビードリング14bと同様、サイドプレート12に嵌め合わされている。
【0040】
第三ビードリング14cは、第三コンタクト面32cと、第三成形部34cと、第三嵌合部36cとを備えている。第三コンタクト面32cは、膨張したブラダー6と当接する。この加硫装置2では、この当接により、ブラダー6と第三モールド4cとの間に、キャビティが形成される。
【0041】
第三成形部34cは、半径方向において第三コンタクト面32cの外側に位置している。第三成形部34cは、第三コンタクト面32cから軸方向外向きに窪んだ凹みである。第三成形部34cは、キャビティ面18の一部をなしている。この第三成形部34cは、ローカバーRと当接してタイヤのビードを形作る。
【0042】
第三嵌合部36cは、半径方向において第三コンタクト面32cの内側に位置している。第三嵌合部36cは、第三コンタクト面32cから軸方向外向きに窪んだ凹みである。図示されているように、この第三嵌合部36cに上側クランプ8aのモールドリング26が嵌め合わされている。第三嵌合部36cの形状は、モールドリング26の形状に対応している。この加硫装置2では、第三嵌合部36cは、第三コンタクト面32cから軸方向外側に向かって半径方向内向きに傾斜して延在する第三斜面38cと、この第三斜面38cから半径方向内向きに延在する第三平面40cとを備えている。この第三ビードリング14cでは、この第三平面40cが第三嵌合部36cの最深部に相当する。この第三斜面38cの傾斜角度は、前述の第二ビードリング14bにおける第二斜面38cの傾斜角度と同等である。上側クランプ8aのモールドリング26は、この第三斜面38c及び第三平面40cに当接している。第三斜面38cは、上側クランプ8aの半径方向外向きへの動きを制限しうる。第三平面40cは、この上側クランプ8aの軸方向外向きへの動きを制限しうる。
【0043】
図4において、符号PCで示されているのは、第三コンタクト面32cと第三成形部34cとの境界位置である。この境界位置PCは、この第三モールド4cで製造されるタイヤのビードトゥに相当する。両矢印D3で示されているのは、第三嵌合部36cの深さである。この深さD3は、第三コンタクト面32cから第三平面40cまでの軸方向長さで表される。
【0044】
この加硫装置2では、境界位置PCは、前述の、第二モールド4bが使用された場合における境界位置PBと一致する。したがって、この境界位置PCは、前述の、第一モールド4aが使用された場合における境界位置PAとも一致する。さらに、第三ビードリング14cの第三成形部34cの形状は、第二ビードリング14bの第二成形部34bのそれと同等である。この加硫装置2では、第三モールド4cとブラダー6とにより構成されるキャビティの形状は、第二モールド4bとブラダー6とにより構成されるキャビティのそれと同等である。
【0045】
この加硫装置2では、第三ビードリング14cの第三嵌合部36cは第二ビードリング14bの第二嵌合部36bよりも深い。この第三嵌合部36cの深さD3が第二嵌合部36bの深さD2よりも大きいので、この第三ビードリング14cに嵌め合わされた上側クランプ8aは、これが第二ビードリング14bに嵌め合わされた場合よりも軸方向において外側に配置される。このため、この第三モールド4cを使用した場合におけるブラダー6の上側端縁部20aの位置は、第二モールド4bを使用した場合におけるブラダー6の上側端縁部20aの位置よりも軸方向において外側に移動しうる。なお、図4中、点線で示されているのが、第二モールド4bが使用された場合のブラダー6の状態である。
【0046】
この加硫装置2は、第四ビードリング14dをさらに備えている。この加硫装置2では、第三モールド4cの第三ビードリング14cをこの第四ビードリング14dに置き換えることにより、第四モールド4dが構成される。この第四モールド4dの一部が、上側クランプ8a及びブラダー6とともに図5に示されている。この第四ビードリング14dは、第三ビードリング14cに置き換えて使用可能である。この第四ビードリング14dは、第二ビードリング14bに置き換えても使用可能である。この第四ビードリング14dは、第一ビードリング14aに置き換えても使用可能である。この第四モールド4dでは、第四ビードリング14d以外の構成は、第三モールド4cの第三ビードリング14c以外の構成と同等である。
【0047】
図示されているように、第四ビードリング14dは、前述の第三ビードリング14cと同様、サイドプレート12に嵌め合わされている。
【0048】
第四ビードリング14dは、第四コンタクト面32dと、第四成形部34dと、第四嵌合部36dとを備えている。第四コンタクト面32dは、膨張したブラダー6と当接する。この当接により、ブラダー6と第四モールド4dとの間に、キャビティが形成される。
【0049】
第四成形部34dは、半径方向において第四コンタクト面32dの外側に位置している。第四成形部34dは、第四コンタクト面32dから軸方向外向きに窪んだ凹みである。第四成形部34dは、キャビティ面18の一部をなしている。この第四成形部34dは、ローカバーRと当接してタイヤのビードを形作る。
【0050】
第四嵌合部36dは、半径方向において第四コンタクト面32dの内側に位置している。第四嵌合部36dは、第四コンタクト面32dから軸方向外向きに窪んだ凹みである。図示されているように、この第四嵌合部36dに上側クランプ8aのモールドリング26が嵌め合わされている。第四嵌合部36dの形状は、モールドリング26の形状に対応している。この加硫装置2では、第四嵌合部36dは、第四コンタクト面32dから軸方向外側に向かって半径方向内向きに傾斜して延在する第四斜面38dと、この第四斜面38dから半径方向内向きに延在する第四平面40dとを備えている。この第四ビードリング14dでは、この第四平面40dがこの第四嵌合部36dの最深部に相当する。この第四斜面38dの傾斜角度は、前述の第三ビードリング14cにおける第三斜面38cの傾斜角度と同等である。上側クランプ8aのモールドリング26は、この第四斜面38d及び第四平面40dに当接している。第四斜面38dは、上側クランプ8aの半径方向外向きへの動きを制限しうる。第四平面40dは、この上側クランプ8aの軸方向外向きへの動きを制限しうる。
【0051】
図5において、符号PDで示されているのは、第四コンタクト面32dと第四成形部34dとの境界位置である。この境界位置PDは、この第四モールド4dで製造されるタイヤのビードトゥに相当する。両矢印D4で示されているのは、第四嵌合部36dの深さである。この深さD4は、第四コンタクト面32dから第四平面40dまでの軸方向長さで表される。
【0052】
この第四モールド4dでは、境界位置PDは、前述の、第三モールド4cが使用された場合における境界位置PCと一致する。したがって、この境界位置PDは、前述の、第二モールド4bが使用された場合における境界位置PBと一致する。この境界位置PDは、前述の、第一モールド4aが使用された場合における境界位置PAとも一致する。さらに第四ビードリング14dの第四成形部34dの形状は、第三ビードリング14cの第三成形部34cのそれと同等である。この第四モールド4dとブラダー6とにより構成されるキャビティの形状は、第三モールド4cとこのブラダー6とにより構成されるキャビティのそれと同等である。
【0053】
この加硫装置2では、第四ビードリング14dの第四嵌合部36dは第三ビードリング14cの第三嵌合部36cよりも深い。この第四嵌合部36dの深さD4が第三嵌合部36cの深さD3よりも大きいので、この第四ビードリング14dに嵌め合わされた上側クランプ8aは、これが第三ビードリング14cに嵌め合わされた場合よりも軸方向において外側に配置される。このため、この第四モールド4dを使用した場合におけるブラダー6の上側端縁部20aの位置は、第三モールド4cを使用した場合におけるブラダー6の上側端縁部20aの位置よりも軸方向においてさらに外側に移動しうる。なお、図5中、点線で示されているのが、第三モールド4cが使用された場合のブラダー6の状態である。
【0054】
この加硫装置2では、次のようにして複数のタイヤが製造される。第一ビードリング14aを有する第一モールド4aが準備される。第一モールド4aが開かれ、予備成形されたローカバーRが投入される。投入のとき、ブラダー6は、この第一モールド4aの内側において収縮している。投入後、ブラダー6にガスが充填される。この充填により、ブラダー6は膨張する。膨張のとき、ブラダー6は伸長する。
【0055】
ブラダー6の膨張に伴って、ローカバーRが変形する。第一モールド4aが締められ、ブラダー6の内圧が高められる。ローカバーRは、モールド4のキャビティ面18とブラダー6とに挟まれて、加圧される。ローカバーRは、ブラダー6及びモールド4からの熱伝導により、加熱される。加圧及び加熱により、ローカバーRのゴム組成物が流動する。加熱によりゴムが架橋反応を起こし、タイヤが得られる。
【0056】
この加硫装置2では、膨張したブラダー6がローカバーRに当接する。ブラダー6の形状が適正であるので、ベアー及びシワの発生が効果的に抑制される。この加硫装置2によれば、高品質なタイヤが製造される。
【0057】
この加硫装置2では、複数のタイヤを製造する場合、ブラダー6は膨張及び収縮を繰り返す。ブラダー6は架橋ゴムからなるので、この膨張及び収縮の繰り返しによりブラダー6は徐々に伸長していく。このブラダー6には、タイヤの製造サイクルが繰り返されることにより永久ひずみが生ずる。サイクルが繰り返された後のブラダー6は、初期の周長よりも大きい周長を有する。
【0058】
この加硫装置2では、所定のサイクル数に到達した段階で、第一モールド4aの第一ビードリング14aが第二ビードリング14bに置き換えられ、第二モールド4bが準備される。この第二モールド4bが開かれ、ローカバーRが投入される。このローカバーRがこの第二モールド4bとブラダー6とによって加圧及び加熱され、タイヤが得られる。
【0059】
前述したように、この加硫装置2では、第二モールド4bとブラダー6とにより構成されるキャビティは、第一モールド4aとブラダー6とにより構成されたキャビティの形状と同等の形状を有している。このため、この第二モールド4bの使用により製造されるタイヤの形状は、第一モールド4aの使用により製造されたタイヤのそれと同等である。この加硫装置2では、第一モールド4aの第一ビードリング14aを第二ビードリング14bに置き換えても、製造されるタイヤの形状に差異は生じない。
【0060】
前述したように、この加硫装置2では、第一モールド4aの第一ビードリング14aを第二ビードリング14bに置き換えることにより、ブラダー6の端縁部20aが第一モールド4aを使用した場合におけるブラダー6の端縁部20aの位置よりも軸方向において外側に配置される。この配置は、ブラダー6に生じた永久ひずみを相殺しうる。この加硫装置2では、ブラダー6がガスの充填により膨張し、ブラダー6の適正な実効周長が達成されうる。実効周長が適正なので、タイヤにベアー及びシワが生じにくい。この加硫装置2は、高品質なタイヤの安定生産に寄与しうる。
【0061】
この加硫装置2では、タイヤの製造サイクルがさらに繰り返される。この繰り返しにより、ブラダー6の永久ひずみは漸増していく。このため、この加硫装置2では、所定のサイクル数に到達した段階で、第二モールド4bの第二ビードリング14bが第三ビードリング14cに置き換えられ、第三モールド4cが準備される。この第三モールド4cが開かれ、ローカバーRが投入される。このローカバーRがこの第三モールド4cとブラダー6とによって加圧及び加熱され、タイヤが得られる。
【0062】
前述したように、この加硫装置2では、第三モールド4cとブラダー6とにより構成されるキャビティは、第二モールド4bとブラダー6とにより構成されたキャビティの形状と同等の形状を有している。このため、この第三モールド4cの使用により製造されるタイヤは、第二モールド4bの使用により製造されたタイヤと同等の形状を有している。この加硫装置2では、第二モールド4bの第二ビードリング14bを第三ビードリング14cに置き換えても、製造されるタイヤの形状に差異は生じない。
【0063】
前述したように、この加硫装置2では、第二モールド4bの第二ビードリング14bを第三ビードリング14cに置き換えることにより、ブラダー6の端縁部20aが第二モールド4bを使用した場合におけるブラダー6の端縁部20aの位置よりも軸方向において外側に配置される。この配置は、ブラダー6にさらに生じた永久ひずみを相殺しうる。この加硫装置2では、ブラダー6がガスの充填により膨張し、ブラダー6の適正な実効周長が達成されうる。実効周長が適正なので、タイヤにベアー及びシワが生じにくい。この加硫装置2は、高品質なタイヤの安定生産に寄与しうる。
【0064】
この加硫装置2では、タイヤの製造サイクルがさらに繰り返される。この繰り返しにより、ブラダー6の永久ひずみは漸増していく。このため、この加硫装置2では、所定のサイクル数に到達した段階で、第三モールド4cの第三ビードリング14cが第四ビードリング14dに置き換えられ、第四モールド4dが準備される。この第四モールド4dが開かれ、ローカバーRが投入される。このローカバーRがこの第四モールド4dとブラダー6とによって加圧及び加熱され、タイヤが得られる。
【0065】
前述したように、この加硫装置2では、第四モールド4dとブラダー6とにより構成されるキャビティは、第三モールド4cとブラダー6とにより構成されたキャビティの形状と同等の形状を有している。このため、この第四モールド4dの使用により製造されるタイヤは、第三モールド4cの使用により製造されたタイヤと同等の形状を有している。この加硫装置2では、第三モールド4cの第三ビードリング14cを第四ビードリング14dに置き換えても、製造されるタイヤの形状に差異は生じない。
【0066】
前述したように、この加硫装置2では、第三モールド4cの第三ビードリング14cを第四ビードリング14dに置き換えることにより、ブラダー6の端縁部20aが第三モールド4cを使用した場合におけるブラダー6の端縁部20aの位置よりも軸方向においてさらに外側に配置される。この配置は、ブラダー6にさらに生じた永久ひずみを相殺しうる。この加硫装置2では、ブラダー6がガスの充填により膨張し、ブラダー6の適正な実効周長が達成される。実効周長が適正なので、タイヤにベアー及びシワが生じにくい。この加硫装置2は、高品質なタイヤの安定生産に寄与しうる。
【0067】
この加硫装置2では、第一ビードリング14a、第二ビードリング14b、第三ビードリング14c及び第四ビードリング14dからなる群は、ビードリングセットとも称される。この加硫装置2では、ビードリングセットは、4本のビードリング14で構成される。このビードリングセットが、2本のビードリング14で構成されてもよいし、3本のビードリング14で構成されてもよいし、5本以上のビードリング14で構成されてもよい。
【0068】
この加硫装置2では、サイクル数の経過に合わせて、第一ビードリング14aが第二ビードリング14bに置き換えられ、この第二ビードリング14bが第三ビードリング14cに置き換えられ、そして、この第三ビードリング14cが第四ビードリング14dに置き換えられる。この加硫装置2では、この置換により、永久ひずみの発生にもかかわらず、ブラダー6の実効周長がほぼ一定に維持される。適正な実効周長が維持されるので、この加硫装置2は高品質なタイヤを安定に製造し続けることができる。
【0069】
ビードリングの交換により、ブラダー6の永久ひずみが相殺されるので、永久ひずみを起こしたブラダー6を交換することなく、タイヤを製造し続けることができる。この加硫装置2は、ブラダー6の交換頻度の抑制に寄与しうる。この加硫装置2が用いられることにより、ブラダー6の費用が節約されるとともに、ブラダー6の交換に伴う作業コストも低減されうる。
【0070】
ブラダー6の1サイクル当たりのひずみ量は、その使用の初期段階において大きい。ある程度のサイクルが繰り返された後は、この1サイクル当たりのひずみ量は小さい。永久ひずみが効果的に相殺され、高品質なタイヤが安定に製造されうるという観点から、第一ビードリング14aから第二ビードリング14bへの置き換えは400サイクル以上600サイクル以下で実施されるのが好ましい。第二ビードリング14bから第三ビードリング14cへの置き換えは、600サイクル以上800サイクル以下で実施されるのが好ましい。第三ビードリング14cから第四ビードリング14dへの置き換えは、800サイクル以上1000サイクル以下で実施されるのが好ましい。
【0071】
前述したように、図2に示された両矢印D1は第一嵌合部36aの深さを表している。図3に示された両矢印D2は、第二嵌合部36bの深さを表している。図4に示された両矢印D3は、第三嵌合部36cの深さを表している。図5に示された両矢印D4は、第四嵌合部36dの深さを表している。
【0072】
この加硫装置2では、永久ひずみが効果的に相殺され、高品質なタイヤが安定に製造されうるという観点から、第一嵌合部36aの深さD1は20mm以上30mm以下が好ましい。特に好ましくは、この深さD1は25mmである。第二嵌合部36bの深さD2は、25mm以上35mm以下が好ましい。特に好ましくは、この深さD2は30mmである。第三嵌合部36cの深さD3は、30mm以上40mm以下が好ましい。特に好ましくは、この深さD3は35mmである。第四嵌合部36dの深さD4は、35mm以上45mm以下が好ましい。特に好ましくは、この深さD4は40mmである。
【0073】
この加硫装置2では、永久ひずみが効果的に相殺され、高品質なタイヤが安定に製造されうるという観点から、深さD2と深さD1との差(D2−D1)は1mm以上が好ましく3mm以上がより好ましい。この差(D2−D1)は、9mm以下が好ましく7mm以下がより好ましい。特に好ましくは、この差(D2−D1)は5mmである。
【0074】
この加硫装置2では、永久ひずみが効果的に相殺され、高品質なタイヤが安定に製造されうるという観点から、深さD3と深さD2との差(D3−D2)は1mm以上が好ましく3mm以上がより好ましい。この差(D3−D2)は、9mm以下が好ましく7mm以下がより好ましい。特に好ましくは、この差(D3−D2)は5mmである。
【0075】
この加硫装置2では、永久ひずみが効果的に相殺され、高品質なタイヤが安定に製造されうるという観点から、深さD4と深さD3との差(D4−D3)は1mm以上が好ましく3mm以上がより好ましい。この差(D4−D3)は、9mm以下が好ましく7mm以下がより好ましい。特に好ましくは、この差(D4−D3)は5mmである。
【実施例】
【0076】
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
【0077】
[実施例]
図1に示された、第一モールドを有する加硫装置を用いて500本のタイヤを製造した。この段階で、この加硫装置の第一ビードリングを図3に示された第二ビードリングに置き換えて、第二モールドを準備した。この第二モールドを有する加硫装置を用いて、さらに200本のタイヤを製造した。この段階で、第二モールドの第二ビードリングを図4に示された第三ビードリングに置き換えて、第三モールドを準備した。この第三モールドを有する加硫装置を用いて、さらに200本のタイヤを製造した。この段階で、第三モールドの第三ビードリングを図5に示された第四ビードリングに置き換えて、第四モールドを準備した。この第四モールドを有する加硫装置を用いて、さらに200本のタイヤを製造した。
【0078】
[比較例]
図1に示された、第一モールドを有する加硫装置を用いてタイヤを製造した。この比較例では、この第一モールドの第一ビードリングは他のビードリングに置き換えられることなく、タイヤの製造が続けられた。
【0079】
[外観観察]
製造したタイヤの外観を目視で観察した。ベアー及びシワが発生しているタイヤの本数をカウントした。この結果が、下記の表1に示されている。
【0080】
【表1】

【0081】
表1に示されるように、実施例の製造方法では、比較例の製造方法に比べて評価が高い。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0082】
以上説明された方法は、種々のタイヤの製造にも適用されうる。
【符号の説明】
【0083】
2・・・加硫装置
4a、4b、4c・・・モールド
6・・・ブラダー
8、8a、8b・・・クランプ
12・・・サイドプレート
14、14a、14b、14c、14d・・・ビードリング
20a、20b・・・端縁部
32a、32b、32c、32d・・・コンタクト面
34a、34b、34c、34d・・・成形部
36a、36b、36c、36d・・・嵌合部
38a、38b、38c、38d・・・斜面
40a、40b、40c、40d・・・平面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローカバーと当接してタイヤのビードを形作る第一ビードリングを有するモールドと、このモールドの内側に位置するブラダーと、この第一ビードリングに置き換えて使用可能な第二ビードリングとを備えており、
この第一ビードリングをこの第二ビードリングに置き換えることにより、他のモールドが構成され、
この他のモールドを使用した場合におけるブラダーの端縁部の位置が、上記モールドを使用した場合におけるブラダーの端縁部の位置よりも軸方向において外側にあるタイヤ用加硫装置。
【請求項2】
上記ブラダーの端縁部を保持するクランプをさらに備えており、
上記第一ビードリングが、このブラダーと当接しうる第一コンタクト面と、このクランプが嵌め合わされる第一嵌合部とを備えており、
この第一嵌合部が、この第一コンタクト面から軸方向外向きに窪んだ凹みであり、
上記第二ビードリングが、このブラダーと当接しうる第二コンタクト面と、このクランプが嵌め合わされる第二嵌合部とを備えており、
この第二嵌合部が、この第二コンタクト面から軸方向外向きに窪んだ凹みであり、
この第二嵌合部が、この第一嵌合部よりも深い請求項1に記載の加硫装置。
【請求項3】
タイヤのビードを形作る第一ビードリングを有するモールドに、ローカバーが投入される工程、
このローカバーが、このモールドと、このモールドの内側に位置するブラダーとによって加圧及び加熱され、タイヤが得られる工程、
このモールドの第一ビードリングを第二ビードリングに置き換えることにより、このブラダーの端縁部が、上記モールドを使用した場合におけるブラダーの端縁部の位置よりも軸方向において外側に配置された他のモールドが準備される工程、
この他のモールドに、他のローカバーが投入される工程
及び
この他のローカバーが、この他のモールドと上記ブラダーとによって加圧及び加熱され、他のタイヤが得られる工程
を含む、複数のタイヤの製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate