説明

タイヤ用ゴム組成物

【課題】 氷上摩擦性及び耐摩耗性の改良されたタイヤ用ゴム組成物の提供。
【解決手段】 (i)ジエン系ゴム100重量部、及び(ii)アゾジカルボンアミド(ADCA)発泡剤と尿素(U)発泡助剤との混合物からなり、その混合比率U/ADCAが10/90〜80/20(重量比)である混合体を樹脂中に含む発泡剤含有樹脂0.5〜20重量部を含んでなるゴム組成物であって、前記発泡剤含有樹脂の樹脂分が、ジエン系ゴムと共架橋性でないポリオレフィン系樹脂を主成分としたものであり、かつ当該ゴム組成物が、加硫後に前記樹脂層によって被覆されたマイクロカプセル状の気泡を分散して有する構造となっているタイヤ用ゴム組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤ用ゴム組成物に関し、更に詳しくは、特に乗用車用スタッドレスタイヤ用として使用するのに適した氷上摩擦性能及び耐摩耗性の改良されたタイヤ用ゴム組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
スタッドレスタイヤ用コンパウンドとして、これまで発泡剤含有樹脂に関する種々の開発が行なわれて来た。例えば特許文献1及び2には、発泡剤含有繊維を配合したゴム組成物が、そして特許文献3及び4には、発泡剤含有水溶性樹脂を配合したゴム組成物が、更に本発明者らの特許文献5には、発泡剤含有樹脂を配合したゴム組成物が、それぞれ、開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開1999−60770号公報
【特許文献2】特開2001−2832号公報
【特許文献3】特開2000−191831号公報
【特許文献4】特開2000−191832号公報
【特許文献5】特開2003−183434号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、本発明の目的は、ゴムを効果的に発泡させて、得られるゴム組成物の氷上摩擦性能及び耐摩耗性を更に改良することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、(i)ジエン系ゴム100重量部、及び(ii)アゾジカルボンアミド(ADCA)発泡剤と尿素(U)発泡助剤との混合物からなり、その混合比率ADCA/Uが90/10〜20/80(重量比)である混合体を樹脂中に含む発泡剤含有樹脂0.5〜20重量部を含んでなるゴム組成物であって、前記発泡剤含有樹脂の樹脂分が、ジエン系ゴムと共架橋性でないポリオレフィン系樹脂を主成分としたものであり、かつ当該ゴム組成物が、加硫後に前記樹脂層によって被覆されたマイクロカプセル状の気泡を分散して有する構造となっているタイヤ用ゴム組成物が提供される。
【0006】
また、本発明によれば、前記成分(i)及び(ii)を含むタイヤ用ゴム組成物に、更に(iii)熱によって膨張して気体封入熱可塑性樹脂粒子となる熱膨張性マイクロカプセル及び/又は(iv)膨張黒鉛を配合したタイヤ用ゴム組成物が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、所定比からなる、発泡剤としてのADCA(アゾジカルボンアミド)と発泡助剤としての尿素との混合体を所定量、特定樹脂中に混入した発泡剤含有樹脂をゴム組成物中に配合するときは、ゴム加硫時における当該発泡剤と発泡助剤との相互の接触効率及び相補効果を高めるため、樹脂層によって被覆されたマイクロカプセル状の気泡がゴム中に効果的に得られ、もって、ゴム組成物の氷上摩擦性能及び耐摩耗性が予想外に改良されるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明では、ADCA発泡剤と尿素発泡助剤とを併用して、特定の樹脂によりセルパウダー化した発泡剤含有樹脂をジエン系ゴムに配合することを特徴としている。従来から、当該分野で用いられてきたADCA発泡剤は、一般に、より効果的であるとして提示されてきたDPT(N,N´−ジニトロソペンタメチレンテトラミン)発泡剤よりも発熱量が低くガス発生量が多いといった利点があるが、これらをそれぞれ単体で併用するときは、ADCAの分解(発泡)温度が若干上がってしまうという問題があり、また、ADCA発泡剤を単体で配合するときは、条件によってはゴム中で発泡しない場合があるという問題もある。そこで、本発明では、ADCA発泡剤と尿素発泡助剤とを樹脂中に併用混入して、特定の樹脂によりセルパウダー化した発泡剤含有樹脂とすれば、ゴム加硫時における尿素による分解温度低下作用を利用してADCAを発泡させ、少量配合でも効果的な発泡ゴムが得られること、また、微細なセル中に当該ADCAと尿素とが局在化して存在することによりそれらの接触効率を高めてより効果的な発泡ゴムが得られることに特徴を有する。このような上記発泡剤含有樹脂をゴム中に配合することにより、氷上摩擦性能の向上や耐摩耗性の改善などを顕著に達成することができた。なお、DPT及びADCAは、以下の構造を有する。
【0009】
【化1】

【0010】
【化2】

【0011】
本発明によれば、ジエン系ゴム100重量部に対し、アゾジカルボンアミド(ADCA)発泡剤と尿素(U)発泡助剤との混合物からなり、その混合比率ADCA/Uが90/10〜20/80(重量比)、より好ましくは80/20〜50/50(重量比)である混合体を樹脂中に含む発泡剤含有樹脂を0.5〜20重量部、好ましくは2〜10重量部配合する。この配合量が少なすぎると、空隙形成効果が不十分であり、逆に多すぎると加硫ゴムの形状安定性を損ね、かつゴムの耐摩耗性を著しく損ねるので好ましくない。なお、ADCAは、発泡剤として公知の化合物であり、例えば、永和化成工業(株)から、「ビニホール‐AC」などとして市販されている。
【0012】
本発明において、前記発泡剤含有樹脂を構成する樹脂成分は、ジエン系ゴムと共架橋性を有さないものでなければならず、具体的には、ポリオレフィン系樹脂を主成分としたものが用いられる。なお、ここで主成分とは、ポリオレフィン系樹脂が全樹脂成分の約75重量%以上のものをいい、他の成分としては、例えばオレフィンモノマーの未反応残渣、重合開始剤や触媒等の残渣、加工助剤、ポリオレフィン系以外のポリマー状樹脂などが挙げられる。
【0013】
本発明における前記発泡剤含有樹脂中の発泡剤の含有率は、5〜65重量%であることが好ましく、より好ましくは15〜50重量%である。この配合量が少なすぎると空隙の形成効果が不十分となるおそれがあり、逆に多すぎると形成される殻の厚みが薄くなり、マイクロカプセルとしての引っ掻き効果が不十分になるおそれがある。
【0014】
本発明において使用できるジエン系ゴムとしては、タイヤ用として使用できる任意のジエン系ゴム、例えば天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、各種スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、各種ポリブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム(NBR)などを挙げることができ、これらは単独又は任意のブレンドとして使用することができる。本発明で使用するジエン系ゴムは、冬用のスタッドレスタイヤ等に用いることを考慮すれば、その平均ガラス転移温度が好ましくは−55℃以下、より好ましくは−90℃〜−60℃のものである。
【0015】
本発明で用いる前記発泡剤含有樹脂を構成する樹脂は、前述の如く、ポリオレフィンが主成分でその含有率が75重量%以上、好ましくは85重量%以上である。この樹脂成分には、ジエン系ゴムとの共架橋を防ぐため、分子の主鎖中に二重結合が残っていないことが好ましい。当該発泡剤含有樹脂における樹脂成分のポリオレフィンの含有率が低いとゴムと架橋する恐れがあるので好ましくない。当該ポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリブチレン−1などから選ばれる少なくとも1種を用いることができ、これらは二種以上の混合物として、あるいはこれらの共重合体として使用してもよい。本発明で使用する発泡剤含有樹脂の粒子サイズとしては10〜200μmが好ましい。これより小さいとゴム表面に十分な大きさの凹凸を形成することできず、大き過ぎるとゴムの機械強度の低下が著しくなる。
【0016】
本発明のゴム組成物では、更に好ましい態様として、上記発泡剤含有樹脂に加えて、ジエン系ゴム100重量部に対し、熱によって膨張して気体封入熱可塑性樹脂粒子となる熱膨張性マイクロカプセルを0.5〜20重量部、好ましくは2〜5重量部更に配合してもよい。この熱膨張性マイクロカプセルの更なる配合によって、加硫ゴム中のマイクロカプセル体の大きさに分布を持たせることができ、その結果として、ゴム/氷間でのミクロ排水効果の効率が更に向上するという効果が得られる。
【0017】
前記熱膨張性マイクロカプセルは、熱により気化して気体を発生する液体を熱可塑性樹脂に内包した熱膨張性熱可塑性樹脂粒子であって、その粒子をその膨張開始温度以上の温度、通常140〜190℃の温度で加熱して膨張させて、その熱可塑性樹脂からなる外殻中に気体を封入する。当該熱膨張性熱可塑性樹脂粒子の粒径は、好ましくは5〜300μmであり、更に好ましくは粒径10〜200μmである。
【0018】
このような熱膨張性マイクロカプセル(熱膨張性熱可塑性樹脂粒子)としては、例えば、現在、スウェーデンのEXPANCEL社より商品名「エクスパンセル091DU−80」又は「エクスパンセル092DU−120」等として、あるいは松本油脂製薬(株)より商品名「マツモトマイクロスフェアーF−85」又は「マツモトマイクロスフェアーF−100」等として入手可能である。
【0019】
前記気体封入熱可塑性樹脂粒子の外殻成分を構成する熱可塑性樹脂としては、例えば(メタ)アクリロニトリルの重合体、又は(メタ)アクリロニトリル含有量の高い共重合体が好適に用いられる。その共重合体の他のモノマー(コモノマー)としては、ハロゲン化ビニル、ハロゲン化ビニリデン、スチレン系モノマー、(メタ)アクリレート系モノマー、酢酸ビニル、ブタジエン、ビニルピリジン、クロロプレン等のモノマーが用いられる。なお、上記の熱可塑性樹脂は、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、トリアクリルホルマール、トリアリルイソシアヌレート等の架橋剤で架橋可能にされていてもよい。架橋形態については、未架橋が好ましいが、熱可塑性樹脂としての性質を損わない程度で部分的に架橋していてもかまわない。
【0020】
前記の熱により気化して気体を発生する液体としては、例えばn−ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、ブタン、イソブタン、ヘキサン、石油エーテルの如き炭化水素類、塩化メチル、塩化メチレン、ジクロロエチレン、トリクロロエタン、トリクロルエチレンの如き塩素化炭化水素のような液体が挙げられる。
【0021】
熱膨張性マイクロカプセルの配合によって生じるマイクロカプセル状気泡体と発泡剤含有樹脂配合によって得られるマイクロカプセル状気泡体は、性状や効果においてほぼ同一であるが、前者より後者の方が気泡が大きくなるという特徴があり、両者の併用によって生じるマイクロカプセルのサイズ分布がゴム/氷面からのミクロ排水効果の効率をより向上させる。従って、熱膨張性マイクロカプセルと気泡剤含有樹脂の併用によって相乗的な効果が得られる。
【0022】
本発明の好ましい他のゴム組成物の態様としては、更に、前記ジエン系ゴム100重量部に対し、膨張黒鉛0.5〜20重量部、好ましくは3〜10重量部を、発泡剤含有樹脂又は発泡剤含有樹脂と熱膨張性マイクロカプセルに加えて、配合する。この配合量が少な過ぎると所望の効果の一層の改良は得にくく、逆に多過ぎるとゴム加硫物の機械強度の低下が起こるので好ましくない。この膨張黒鉛は、層間に熱により気化する物質を内包する、好ましくは粒子径30〜600μm、更に好ましくは100〜300μmの粉体物質であり、加硫時の熱によって膨張して黒鉛膨張体となるものであることが好ましい。
【0023】
前記膨張黒鉛は、従来から公知のものを使用することができ、例えば、天然の鱗片状グラファイト、熱分解グラファイト、キッシュグラファイト等を無機酸である濃硫酸又は硝酸等と強酸化剤である濃硝酸、過塩素酸塩、過マンガン酸塩又は重クロム酸塩等で処理して、グラファイト層間化合物を生成させた炭素の層状構造を維持したままの結晶質化合物を挙げることができる。更に、酸処理した膨張黒鉛を塩基性化合物で中和したものを使用することが好ましい。ここで、塩基性化合物としては、例えばアンモニア、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物又は脂肪族低級アミン等を挙げることができる。この脂肪族低級アミンとしては、例えばモノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン等のアルキルアミン類を挙げることができる。アルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物としては、例えばカリウム、ナトリウム、カルシウム、バリウム又はマグネシウム等の水酸化物、酸化物(複酸化物及び錯酸化物を包含)、炭酸塩、炭酸水素塩(重炭酸塩)又は有機酸塩を挙げることができ、有機酸塩としては、例えばギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩又はクエン酸塩を挙げることができる。
【0024】
前記膨張黒鉛は、炭素原子から形成されたシートが層状に重なった構造をしており、その層間物質の気化によって高膨張させることができる。材質が硬いために混合による品質低下が起りにくく、また一定温度にて不可逆的に膨張するため、ゴムマトリックス内部に空間を伴う異物を容易に形成させることができる。このようなゴムを用いたタイヤのトレッド部は、摩耗時に表面凹凸が適度に形成され、表面上の水膜を効率よく除去することによって氷上摩擦力の向上に作用する。一方、膨張黒鉛は、炭素原子からなる骨格構造をとっているためにゴムマトリックスやカーボンブラックとの親和性が良好であり、ゴムに配合添加しても加硫ゴムの耐摩耗性能を低下させないという利点がある。
【0025】
本発明に従えば、ジエン系ゴムに前記発泡剤含有樹脂を配合して発泡剤成分の分解温度以下の条件にて混合及び押出し加工を行い、発泡剤成分の分解温度以上の温度条件にて加硫工程で加熱して膨張、発泡せしめることにより、ゴム内に樹脂によって被覆されたマイクロカプセル状の気泡を分散させて、タイヤトレッド用ゴムを製造することができる。
【0026】
本発明で用いる発泡剤含有樹脂に含まれる発泡剤の分解温度は、発泡助剤の尿素と併用しているため、略、140〜160℃で安定している。この温度が低過ぎると混合、押出し加工中に膨張し、加工中のサイズ安定性を損ね、逆に高過ぎるとゴムの加硫中に十分な大きさの樹脂被覆気泡を形成させることができない。
【0027】
本発明に係るゴム組成物には、前記した必須成分に加えて、カーボンブラックやシリカなどのその他の補強剤(フィラー)、加硫又は架橋剤、加硫又は架橋促進剤、各種オイル、老化防止剤、可塑剤などのタイヤ用に一般的に配合されている各種添加剤を配合することができ、かかる添加剤は一般的な方法で混練してゴム組成物とし、加硫又は架橋するのに使用することができる。これらの添加剤の配合量は本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。
【実施例】
【0028】
以下、実施例によって本発明を更に説明するが、本発明の範囲をこれらの実施例に限定するものでないことはいうまでもない。
【0029】
実施例1〜4及び比較例1〜3
試験サンプルの調製
表1に示す配合において、ゴム、カーボンブラック、老化防止剤、酸化亜鉛、ステアリン酸及びアロマオイルを1.7リットルの密閉型ミキサーで5分間混練し、温度が165±5℃に達したときに放出してマスターバッチを得た。冷却後、このマスターバッチに他の成分を加えて、同じバンバリーミキサーで混合してゴム組成物を得た。
【0030】
ゴム物性評価試験法
得られたゴム組成物を以下の試験法で評価した。結果は表1に示す。なお、評価結果はすべて比較例3の値を100として指数表示した。数値が大きいほど硬度が高いこと、膨張率が高いこと、耐摩耗性に優れること、氷上摩擦力が高いことを示す。
【0031】
1)ゴム硬度及び加硫ゴム膨張率:各コンパウンドを直径3cm、高さ1.5cmの円柱形のモールド内で170℃にて15分加硫し、加硫後に十分に水中冷却されたゴムの水平面にて硬度測定を行った。その後、ゴムの中心部を切り抜き、比重測定を行った。膨張率は計算比重に対する加硫ゴムの比重の低下率として算出した。
【0032】
2)耐摩耗性:JIS K6264に記載されているランボーン摩擦試験法に準拠して測定を行った。
【0033】
3)氷上摩擦力:各コンパウンドを加硫した厚さ5mmのゴムを表面から0.5mm及び2mmの深さ位置から厚さ2mmのゴム片になるようにスライスし、それらのゴム片を偏平円柱状の台ゴムにはりつけ、インサイドドラム型氷上摩擦試験機にて氷上摩擦係数を測定した。測定温度は−3.0℃及び−1.5℃、荷重0.3MPa、ドラム回転速度は25km/hrとした。なお、表面から0.5mm面はタイヤでの使用初期、表面から2mm面はタイヤでの使用中期のトレッド表面をシミュレートしたものである。
【0034】
【表1】

【0035】
ADCA発泡剤/尿素発泡助剤含有樹脂: ポリエチレンとADCA発泡剤及び尿素発泡助剤(ADCA発泡剤/尿素発泡助剤の混合比=50/50)とを重量比50/50にてミキサーで混合して、樹脂に発泡剤と発泡助剤とを添着させ、100℃に設定した押出機でペレットを作製した。得られたペレットを、その後粉砕することによりサンプル試料を製造した。
【0036】
表1の結果により、本発明実施例によるゴム組成物では、その硬度、加硫ゴム膨張率、耐摩耗性、氷上摩擦力(−3.0℃、−1.5℃)の点で、いずれも顕著に向上していることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明に従ったタイヤ用ゴム組成物では、特に、氷上摩擦性能及び耐摩耗性能が顕著に改善されているため、これをスタッドレスタイヤ用ゴム組成物として使用することが極めて有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)ジエン系ゴム100重量部、及び
(ii)アゾジカルボンアミド(ADCA)発泡剤と尿素(U)発泡助剤との混合物からなり、その混合比率ADCA/Uが90/10〜20/80(重量比)である混合体を樹脂中に含む発泡剤含有樹脂0.5〜20重量部
を含んでなるゴム組成物であって、
前記発泡剤含有樹脂の樹脂分が、ジエン系ゴムと共架橋性でないポリオレフィン系樹脂を主成分としたものであり、かつ当該ゴム組成物が、加硫後に前記樹脂層によって被覆されたマイクロカプセル状の気泡を分散して有する構造となっているタイヤ用ゴム組成物。
【請求項2】
前記ジエン系ゴム100重量部に対し、(iii)熱によって膨張して気体封入熱可塑性樹脂粒子となる熱膨張性マイクロカプセル0.5〜20重量部を更に含む、請求項1に記載のタイヤ用ゴム組成物。
【請求項3】
前記ジエン系ゴム100重量部に対し、(iv)膨張黒鉛0.5〜20重量部を更に含む、請求項1又は2に記載のタイヤ用ゴム組成物。
【請求項4】
前記ジエン系ゴムの平均ガラス転移温度が−55℃以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のタイヤ用ゴム組成物。

【公開番号】特開2006−299031(P2006−299031A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−120856(P2005−120856)
【出願日】平成17年4月19日(2005.4.19)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
【Fターム(参考)】