説明

タグテープ、タグテープロール、無線タグ回路素子カートリッジ及び無線タグIC回路保持体の製造方法

【課題】粘着材層やタグテープ基材層が変形又は損傷し耐久性が低下するのを防止できるタグテープ、タグテープロール、これを用いた無線タグ回路素子カートリッジ及び無線タグIC回路保持体の製造方法を提供する。
【解決手段】基材テープ101は、無線タグ回路素子Toを配置したアンテナパターンシート161と、これを配置するベースフィルム101bと、アンテナパターンシート161をベースフィルム101bに定置させる粘着層101cと、アンテナパターンシート161を貼り付ける粘着層101dと、剥離紙101eとを有し、IC回路部151を保護する保護フィルム160の各端部に厚さ方向寸法が末端側に向かって順次小さくなる第1縮厚部160A,160Bを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部と情報の無線通信が可能な無線タグをテープ状に連続的に作成するタグテープ、タグテープロール、これを用いた無線タグ回路素子カートリッジ、及び無線タグを保持する無線タグIC回路保持体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
小型の無線タグとリーダ(読み取り装置)/ライタ(書き込み装置)との間で非接触で情報の読み取り/書き込みを行うRFID(Radio Frequency Identification)システムが知られている。例えばラベル状の無線タグに備えられた無線タグ回路素子は、所定の無線タグ情報を記憶するIC回路部とこのIC回路部に接続されて情報の送受信を行うアンテナとを備えており、無線タグが汚れている場合や見えない位置に配置されている場合であっても、リーダ/ライタ側よりIC回路部の無線タグ情報に対してアクセス(情報の読み取り/書き込み)が可能であり、商品管理や検査工程等の様々な分野において実用が期待されている。
【0003】
このような無線タグは、通常、ラベル状の基材に無線タグ回路素子を設けて形成され、基材の裏面側に設けた粘着材層によって対象物に貼り付け可能に構成される(=無線タグラベル)。その構造の一例としては、例えば特許文献1に記載のものがある。この従来技術では、IC回路部(ICチップ)とアンテナ部(送受信部)とを備えた無線タグ回路素子(ICモジュール)を、粘着材層及び熱可塑性樹脂層を介し表面基材に接合した積層構造を備えた無線タグラベルが開示されている。この無線タグラベルでは、無線タグ回路素子設置位置以外の部分の粘着材層の貼り付け側を、無線タグ回路素子の貼り付け側とともに共通の剥離シートで覆い、ユーザの使用時には、その剥離シートを剥がすことにより、無線タグ回路素子周囲部の粘着材層を露出させ、その粘着力でラベル全体を貼り付け対象に貼り付けるようになっている。
【0004】
【特許文献1】特開2002−99888号公報(段落番号0006、図1〜図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来技術では、ラベルの基本構造を、表面基材、熱可塑性樹脂層、(貼り付け用の)粘着材層、剥離シートの4層構造とするとともに、無線タグ回路素子を配置する位置では、粘着材層と剥離シートとの間に無線タグ回路素子を挿入するように配置して、表面基材、熱可塑性樹脂層、粘着材層、無線タグ回路素子(IC回路部+アンテナ部)、剥離シートという積層構造としている。
【0006】
このように無線タグラベルは、通常のラベルを構成する積層構造中のいずれかの層と層の間に、IC回路部及びアンテナを挿入(介在)配置するのが一般的である。このため、無線タグ回路素子を挿入配置されるその両側の層(上記の例では粘着材層や剥離材層)は、無線タグ回路素子のない領域から無線タグ回路素子の挿入配置位置となるときに両者が大きく離間する(ラベル全体としては膨らむ)とともに、その離間した状態の中に無線タグ回路素子を介在配置させた後、再び無線タグ回路素子のない領域になるときに両者が元通りに近接する(ラベル全体としてはもとの厚さに戻る)ように急激に迂回曲設された形状となる。
【0007】
ここで、無線タグ回路素子(特にIC回路部)は、略直方体形状あるいは略板状等、突起形状のエッジを持った形状に構成される。このため、上記のように無線タグ回路素子を挿入配置する領域においてその両側の層が大きく曲設されるとき、それらの層は上記エッジに十分には追従できず、無線タグ回路素子の端面との間に隙間空間が生じるとともに、上記鋭いエッジ形状が上記両側の層の少なくとも一方に局所的に当接することとなる。この結果、上記両側の層を含むエッジ近傍の層が当該当接箇所で局所的に変形又は損傷し、耐久性が低下する畏れがあった。
【0008】
また、上記無線タグラベルにおいて、上記従来技術のような構造の他に、IC回路部を確実に保持し外部衝撃等より保護するため、さらには製造時の取扱い操作を容易にするために、IC回路部及びその近傍(例えばアンテナとの間の接続部分)を樹脂等よりなる保護部材で覆った構造とする場合がある。この場合、このIC回路部、アンテナ、保護部材の結合体が、上記と同様、通常のラベルを構成する積層構造中のいずれかの層と層の間に挿入(介在)配置される。この保護部材についても、通常、さらに大きな厚みのある直方体形状とされるため、上記同様、鋭いエッジ形状が上記両側の層の少なくとも一方に局所的に当接し、耐久性が低下する可能性があった。
【0009】
本発明の目的は、無線タグ回路素子を挿入配置するその近傍の層が変形又は損傷して耐久性が低下するのを防止できるタグテープ、タグテープロール、これを用いた無線タグ回路素子カートリッジ、並びに上記構造の無線タグIC回路保持体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、第1の発明は、情報を記憶するIC回路部と情報の送受信を行うアンテナとを備えた無線タグ回路素子を複数配置したテープ状のタグテープ基材層と、このタグテープ基材層を貼り付け対象に貼り付けるための貼り付け用粘着材層と、この貼り付け用粘着材層の前記貼り付け側を覆うとともに貼り付け時には剥離される剥離材層とを有するタグテープであって、前記無線タグ回路素子は、前記IC回路部またはこのIC回路部を保護する保護部材が、そのテープ幅方向両端部及びテープ長手方向両端部のうち少なくとも1つの端部に、厚さ方向寸法が末端側に向かって順次小さくなる縮厚手段を備えていることを特徴とする。
【0011】
本願第1発明においては、タグテープを、テープ状のタグテープ基材層、貼り付け用粘着材層、剥離材層を含む積層構造で構成する。このとき無線タグ回路素子を厚さ方向において挟むように位置する定置用粘着材層及びタグテープ基材層は、当該無線タグ回路素子の部分でこの突起形状を迂回するように盛り上がる形状となる。本願第1発明では、無線タグ回路素子において、IC回路部を覆うように保護する保護部材(又はIC回路部自体)の端部に縮厚手段を設け、末端側に向かって順次厚さ方向寸法が小さくなるようにすることにより、この端部における上記突起形状を緩和して滑らかにすることができる。この結果、突起形状のエッジにおいて隙間空間をなくしてその近傍のタグテープ基材層等が変形又は損傷し耐久性が低下するのを防止できる。
【0012】
第2発明は、上記第1発明において、前記タグテープ基材層にその長手方向に所定の間隔で配置され、前記無線タグ回路素子をそれぞれ配置した略シート状の複数のアンテナ基材と、これら複数のアンテナ基材を前記タグテープ基材層に定置させるための定置用粘着材層とを有することを特徴とする。
【0013】
本願第2発明においては、タグテープを、テープ状のタグテープ基材層、定置用粘着材層、アンテナ基材、貼り付け用粘着材層、剥離材層を含む積層構造で構成する。このとき無線タグ回路素子は略シート状の上記アンテナ基材に配置されるので、この無線タグ回路素子を厚さ方向においてアンテナ基材の反対側から挟むように位置する上記定置用粘着材層及びタグテープ基材層は、当該無線タグ回路素子を含むアンテナ基材の部分でこの突起形状を迂回するように盛り上がる形状となる。本願第2発明では、無線タグ回路素子において、IC回路部を覆うように保護する保護部材(又はIC回路部自体)の端部に縮厚手段を設け、末端側に向かって順次厚さ方向寸法が小さくなるようにすることにより、この端部における上記突起形状を緩和して滑らかにすることができる。この結果、突起形状のエッジにおいてその近傍の上記定置用粘着材層や上記タグテープ基材層が変形又は損傷し耐久性が低下するのを防止できる。
【0014】
第3の発明は、上記第1又は第2発明において、無線タグ回路素子の保護部材は、少なくとも1つの端部に、縮厚手段として、厚さ方向寸法が末端側に向かって順次小さくなる第1縮厚部を備えていることを特徴とする。
【0015】
保護部材自体の少なくとも1つの端部に第1縮厚部を設け、末端側に向かって厚さ方向を順次小さくなるように欠損させることにより、この保護部材端部における突起形状を緩和し、滑らかにすることができる。
【0016】
第4の発明は、上記第1又は第2発明において、無線タグ回路素子の保護部材の少なくとも1つの端部に、縮厚手段として、厚さ方向寸法が末端側に向かって順次小さくなる第1縮厚部材を設けたことを特徴とする。
【0017】
保護部材の少なくとも1つの端部に、別部材として、末端側に向かって厚さ方向を順次小さくなる第1縮厚部材を設けることにより、保護部材端部における突起形状を緩和し、滑らかにすることができる。
【0018】
第5の発明は、上記第1又は第2発明において、無線タグ回路素子のIC回路部は、少なくとも1つの端部に、縮厚手段として、厚さ方向寸法が末端側に向かって順次小さくなる第2縮厚部を備えていることを特徴とする。
【0019】
IC回路部自体の少なくとも1つの端部に第2縮厚部を設け、末端側に向かって厚さ方向を順次小さくなるように欠損させることにより、このIC回路部端部における突起形状を緩和し、滑らかにすることができる。
【0020】
第6の発明は、上記第1又は第2発明において、無線タグ回路素子のIC回路部の少なくとも1つの端部に、縮厚手段として、厚さ方向寸法が末端側に向かって順次小さくなる第2縮厚部材を設けたことを特徴とする。
【0021】
IC回路部の少なくとも1つの端部に、別部材として、末端側に向かって厚さ方向を順次小さくなる第2縮厚部材を設けることにより、IC回路部端部における突起形状を緩和し、滑らかにすることができる。
【0022】
第7の発明は、上記第3乃至第6発明のいずれか1つにおいて、縮厚手段は、厚さ方向寸法が末端側に向かって連続的に漸減する三角断面形状又は円弧状断面形状を備えていることを特徴とする。
【0023】
厚さ方向寸法が連続的に漸減する縮厚手段によって保護部材(又はIC回路部)端部における突起形状を確実に緩和し滑らかにすることができる。
【0024】
第8の発明は、上記第3乃至第6発明のいずれか1つにおいて、縮厚手段は、厚さ方向寸法が末端側に向かって段階的に減少する段付形状を備えていることを特徴とする。
【0025】
厚さ方向寸法が段階的に減少する縮厚手段によって保護部材(又はIC回路部)端部における突起形状を確実に緩和し滑らかにすることができる。
【0026】
上記目的を達成するために、第9の発明は、情報を記憶するIC回路部と情報の送受信を行うアンテナとを備えた無線タグ回路素子をそれぞれ配置した、略シート状の複数のアンテナ基材と、これら複数のアンテナ基材を長手方向に所定の間隔で配置するためのテープ状のタグテープ基材層と、複数のアンテナ基材をタグテープ基材層に定置させるための定置用粘着材層と、複数のアンテナ基材を貼り付け対象に貼り付けるための貼り付け用粘着材層と、この貼り付け用粘着材層の貼り付け側を覆うとともに貼り付け時には剥離される剥離材層とを有するタグテープを、長手方向と略直交するリール軸の周りに巻回して構成したタグテープロールであって、タグテープのアンテナ基材に備えられた無線タグ回路素子は、IC回路部またはこのIC回路部を保護する保護部材が、そのテープ幅方向両端部及びテープ長手方向両端部のうち少なくとも1つの端部に、厚さ方向寸法が末端側に向かって順次小さくなる縮厚手段を備えていることを特徴とする。
【0027】
本願第9発明においては、リール軸の周りに巻回するタグテープを、テープ状のタグテープ基材層、定置用粘着材層、アンテナ基材、貼り付け用粘着材層、剥離材層を含む積層構造で構成する。本願第9発明では、第1発明と同様の縮厚手段を保護部材(又はIC回路部自体)の端部に設けていることで、この端部における突起形状を緩和して滑らかにすることができる。この結果、突起形状の端部において隙間が小さくなるので埃や湿気の進入を軽減して、上記定置用粘着材層や上記タグテープ基材層が変形又は損傷し耐久性が低下するのを防止できる。
【0028】
上記目的を達成するために、第10の発明は、情報を記憶するIC回路部と情報の送受信を行うアンテナとを備えた無線タグ回路素子をそれぞれ配置した、略シート状の複数のアンテナ基材と、これら複数のアンテナ基材を長手方向に所定の間隔で配置するためのテープ状のタグテープ基材層と、複数のアンテナ基材をタグテープ基材層に定置させるための定置用粘着材層と、複数のアンテナ基材を貼り付け対象に貼り付けるための貼り付け用粘着材層と、この貼り付け用粘着材層の貼り付け側を覆うとともに貼り付け時には剥離される剥離材層とを有するタグテープを、長手方向と略直交するリール軸の周りに巻回して構成したタグテープロールを収納し、このタグテープロールから繰り出したタグテープを用いてタグラベルを作成するタグラベル作成装置に対し着脱可能に構成された無線タグ回路素子カートリッジであって、タグテープロールのタグテープに備えられた無線タグ回路素子は、IC回路部またはこのIC回路部を保護する保護部材が、そのテープ幅方向両端部及びテープ長手方向両端部のうち少なくとも1つの端部に、厚さ方向寸法が末端側に向かって順次小さくなる縮厚手段を備えていることを特徴とする。
【0029】
本願第10発明においては、タグテープロールのリール軸の周りに巻回するタグテープを、テープ状のタグテープ基材層、定置用粘着材層、アンテナ基材、貼り付け用粘着材層、剥離材層を含む積層構造で構成する。本願第10発明では、第1発明と同様の縮厚手段を保護部材(又はIC回路部自体)の端部に設けていることで、この端部における突起形状を緩和して滑らかにすることができる。この結果、突起形状の端部において上記定置用粘着材層や上記タグテープ基材層が変形又は損傷し耐久性が低下するのを防止できる。またテープ形状において段差が無くなるのでカートリッジから繰り出すとき、滑らかに繰り出せる効果もある。
【0030】
上記目的を達成するために、第11の発明は、情報を記憶するIC回路部を覆うように設けた保護部材を、情報の送受信を行うためのアンテナを配置した略シート状のアンテナ基材に載置し、保護部材の端部に厚さ方向寸法が末端側に向かって順次小さくなる縮厚部を形成しつつ、保護部材とアンテナ基材とを接合させることを特徴とする。
【0031】
アンテナを予め配置したアンテナ基材に対し、予めIC回路部を覆うように設けた保護部材を載置し接合させて無線タグIC回路保持体を製造するとき、その接合時に保護部材の端部に縮厚部を形成しつつ接合することにより、新たな工程を設けることなく、当該保護部材端部における突起形状を緩和し滑らかにすることができる。この結果、この無線タグIC回路保持体を含むタグテープを作成する際、突起形状の端部において定置用粘着材層やタグテープ基材層が変形又は損傷し耐久性が低下するのを防止できる。
【0032】
第12の発明は、上記第11発明において、押圧用部材を用いて保護部材を厚さ方向側(アンテナ基材の反対側)からアンテナ基材側へと押圧することにより、保護部材の端部に縮厚部を形成しつつ、保護部材とアンテナ基材とを接合させることを特徴とする。
【0033】
接合時に保護部材をアンテナ基材側に押圧するのに用いる押圧用部材を流用して保護部材端部に縮厚部を形成することにより、新たな部材を用意することなく、保護部材端部における突起形状を緩和し滑らかにすることができる。
【0034】
第13の発明は、上記第12発明において、保護部材のうちIC回路部の存在領域を避けるように押圧用部材を保護部材に当接させて、アンテナ基材側へと押圧することを特徴とする。
【0035】
これにより、押圧時にIC回路部に悪影響を及ぼすのを確実に回避することができる。
【0036】
第14の発明は、上記第12発明において、前記保護部材の端部の前記縮厚部を生成する領域に設けた接合領域のみを押圧し接合するように、前記押圧用部材を前記保護部材に当接させて、前記アンテナ基材側へと押圧することを特徴とする。
【0037】
縮厚部に対応する接合領域のみを押圧することにより、保護部材のうちIC回路部の存在領域を避けるように押圧用部材を保護部材に当接させることができ、押圧時にIC回路部に悪影響を及ぼすのを確実に回避することができる。
【0038】
第15の発明は、上記第11乃至第14発明のいずれか1つにおいて、保護部材に加熱を行うことにより、保護部材の端部に縮厚部を形成しつつ、保護部材とアンテナ基材とを接合させることを特徴とする。
【0039】
保護部材を加熱してその端部に縮厚部を形成することで、当該保護部材端部における突起形状を緩和し滑らかにすることができる。
【0040】
第16の発明は、上記第15発明において、保護部材を介して、保護部材とアンテナ基材との間に介在する熱可塑性部材を加熱することにより、保護部材とアンテナ基材とを接合させることを特徴とする。
【0041】
保護部材を加熱してその端部に縮厚部を形成する際、その保護部材を介し熱可塑性部材を加熱することで、保護部材とアンテナ基材とを確実に接合することができる。
【発明の効果】
【0042】
本発明によれば、IC回路部を覆うように保護する保護部材(又はIC回路部自体)の端部における突起形状を緩和して滑らかにすることができるので、無線タグ回路素子の挿入位置近傍の層(タグテープ基材層等)がそれら突起形状のエッジにより受ける影響を緩和し、それらの層が変形又は損傷し耐久性が低下するのを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。この実施形態は、本発明を無線タグラベルの生成システムに適用した場合の実施形態である。
【0044】
図1は、本実施形態のタグテープロールを含むタグラベル作成装置用カートリッジを備えるタグラベル作成装置が適用される無線タグ生成システムを表すシステム構成図である。
【0045】
図1に示すこの無線タグ生成システム1において、タグラベル作成装置2は、有線あるいは無線による通信回線3を介してルートサーバ4、端末5、汎用コンピュータ6、及び複数の情報サーバ7に接続されている。
【0046】
図2は、上記タグラベル作成装置2の詳細構造を表す概念的構成図である。
【0047】
図2において、タグラベル作成装置2の装置本体8には、凹所としてのカートリッジホルダ部(図示せず)が設けられ、このホルダ部にタグラベル作成装置用カートリッジ100(無線タグ回路素子カートリッジ)が着脱可能に取り付けられている。
【0048】
装置本体8は、カートリッジ100を嵌合させる上記カートリッジホルダ部を備えるとともに外郭を構成する筐体9と、カバーフィルム103に所定の印字(印刷)を行う印字ヘッド(サーマルヘッド)10と、カバーフィルム103への印字が終了したインクリボン105を駆動するリボン巻取りローラ駆動軸11と、カバーフィルム(被印字テープ)103と帯状の基材テープ(タグテープ)101とを貼り合わせつつ印字済タグラベル用テープ110としてカートリッジ100から繰り出すためのテープ送りローラ駆動軸12と、印字済タグラベル用テープ110に備えられる無線タグ回路素子To(詳細は後述)との間でUHF帯等の高周波を用いて無線通信により信号の授受を行うアンテナ14と、上記印字済タグラベル用テープ110を所定のタイミングで所定の長さに切断しラベル状の無線タグラベルT(詳細は後述)を生成するカッタ15と、上記無線通信による信号授受時において無線タグ回路素子Toをアンテナ14に対向する所定のアクセスエリアに設定保持するとともに切断後の各無線タグラベルTを案内するための一対の搬送ガイド13と、その案内された無線タグラベルTを搬出口(排出口)16へと搬送し送出する送出ローラ17と、搬出口16における無線タグラベルTの有無を検出するセンサ18とを有している。
【0049】
センサ18は、例えば投光器及び受光器からなる反射型の光電センサである。投光器と受光器との間に無線タグラベルTが存在しない場合には、その投光器から出力された光が受光器に入力される。一方、投光器と受光器との間に無線タグラベルTが存在する場合には、投光器から出力された光が遮蔽されて受光器からの制御出力が反転させられるようになっている。
【0050】
一方、装置本体8はまた、上記アンテナ14を介し上記無線タグ回路素子Toへアクセスする(読み取り又は書き込みを行う)ための高周波回路21と、無線タグ回路素子Toから読み出された信号を処理するための信号処理回路22と、前述したリボン巻取りローラ駆動軸11及びテープ送りローラ駆動軸12を駆動するカートリッジ用モータ23と、このカートリッジ用モータ23の駆動を制御するカートリッジ駆動回路24と、上記印字ヘッド10への通電を制御する印刷駆動回路25と、上記カッタ15を駆動して切断動作を行わせるソレノイド26と、そのソレノイド26を制御するソレノイド駆動回路27と、上記送出ローラ17を駆動する送出ローラ用モータ28と、この送出ローラ用モータ28を制御する送出ローラ駆動回路29と、上記高周波回路21、信号処理回路22、カートリッジ駆動回路24、印刷駆動回路25、ソレノイド駆動回路27、送出ローラ駆動回路29等を介し、タグラベル作成装置2全体の動作を制御するための制御回路30とを有する。
【0051】
制御回路30は、いわゆるマイクロコンピュータであり、詳細な図示を省略するが、中央演算処理装置であるCPU、ROM、及びRAM等から構成され、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行うようになっている。またこの制御回路30は、入出力インターフェイス31を介し例えば通信回線3に接続され、この通信回線3に接続された前述のルートサーバ4、他の端末5、汎用コンピュータ6、及び情報サーバ7等との間で情報のやりとりが可能となっている。
【0052】
図3は、上記タグラベル作成装置2に備えられた本実施形態によるタグテープロールを備えたカートリッジ100の詳細構造を説明するための説明図である。
【0053】
この図3において、カートリッジ100は、上記基材テープ101が巻回された第1ロール(タグテープロール)102と、上記基材テープ101と略同じ幅である透明な上記カバーフィルム103が巻回された第2ロール104と、上記インクリボン105(熱転写リボン、但しカバーフィルム103が感熱テープの場合は不要)を繰り出すリボン供給側ロール111と、印字後のインクリボン105を巻き取る上記リボン巻取りローラ106と、上記基材テープ101とカバーフィルム103とを押圧し接着させ上記印字済タグラベル用テープ110としつつ矢印Aで示す方向にテープ送りをする圧着ローラ107とを有している。
【0054】
第1ロール102は、リール部材102aの周りに、長手方向に複数の無線タグ回路素子Toが所定の等間隔で連続的に順次形成された上記基材テープ101を巻回している。
【0055】
基材テープ101はこの例では(無線タグ回路素子及びその近傍を除くと)基本的には5層構造となっており(図3中部分拡大図参照)、内側に巻かれる側(図3中右側)よりその反対側(図3中左側)へ向かって、適宜の粘着材からなる粘着層101a、PET(ポリエチレンテレフタラート)等から成る色付きのベースフィルム(タグテープ基材層)101b、適宜の粘着材からなる粘着層(定置用粘着材層)101c、適宜の粘着材からなる粘着層(貼り付け用粘着材層)101d、剥離紙(剥離材)101eの順序で積層され構成されている。
【0056】
ベースフィルム101bの裏側(図3中左側)には、粘着層101cを挟んで、保護フィルム160(保護部材)とこれに覆われる配置で情報を記憶するIC回路部151とが設けられている。保護フィルム160は例えば樹脂からなっており、IC回路部151は保護フィルム160の裏側(図3中左側)に位置している。この保護フィルム160の裏側(図3中左側)には、情報の送受信を行う2つのアンテナ152A,152Bを予め配置したアンテナパターンシート161(アンテナ基材)が一体的に設けられており、IC回路部151は2つの接続端子159A,159Bを介してそれぞれアンテナ152A,152Bに接続されている。なお、IC回路部151とアンテナ152A,152Bとによって無線タグ回路素子Toが構成されており、この無線タグ回路素子Toと保護フィルム160をアンテナパターンシート161に配置した構成が無線タグIC回路保持体Hに相当する。
【0057】
ベースフィルム101b及び粘着層101cはその裏側(図3中左側)で、保護フィルム160と無線タグ回路素子To全体を内包するように覆い、またベースフィルム101bの表側(図3中右側)には、後にカバーフィルム103を接着するための上記粘着層101aが形成されている。そしてアンテナパターンシート161の裏側(図3中左側)から全体を覆うように上記粘着層101dが形成されており、この粘着層101dによって上記剥離紙101eがベースフィルム101bに接着されている。なお、この剥離紙101eは、最終的にラベル状に完成した無線タグラベルTが所定の商品等に貼り付けられる際に、これを剥がすことで粘着層101dにより当該商品等に接着できるようにしたものである。
【0058】
第2ロール104は、リール部材104aの周りに上記カバーフィルム103を巻回している。カバーフィルム103は、その裏面側(すなわち上記基材テープ101と接着される側)に配置されたリボン供給側ロール111及びリボン巻取りローラ106で駆動されるインクリボン105が、上記印字ヘッド10に押圧されることで当該カバーフィルム103の裏面に当接させられるようになっている。
【0059】
リボン巻取りローラ106及び圧着ローラ107は、それぞれカートリッジ100外に設けた例えばパルスモータである上記カートリッジ用モータ23(前述の図2参照)の駆動力が上記リボン巻取りローラ駆動軸11及び上記テープ送りローラ駆動軸12に伝達されることによって回転駆動される。
【0060】
上記構成のカートリッジ100において、上記第1ロール102より繰り出された基材テープ101は、圧着ローラ107へと供給される。一方、第2ロール104より繰り出されるカバーフィルム103は、上述したようにその裏面にインクリボン105が当接させられるようになっている。
【0061】
そして、カートリッジ100が上記装置本体8のカートリッジホルダ部に装着されロールホルダ(図示せず)が離反位置から当接位置に移動されると、カバーフィルム103及びインクリボン105が印字ヘッド10とプラテンローラ108との間に狭持されるとともに、基材テープ101及びカバーフィルム103が圧着ローラ107とサブローラ109との間に狭持される。そして、カートリッジ用モータ23の駆動力によってリボン巻取りローラ106及び圧着ローラ107が矢印B及び矢印Dで示す方向にそれぞれ同期して回転駆動される。このとき、前述のテープ送りローラ駆動軸12と上記サブローラ109及びプラテンローラ108はギヤ(図示せず)にて連結されており、テープ送りローラ駆動軸12の駆動に伴い圧着ローラ107、サブローラ109、及びプラテンローラ108が回転し、第1ロール102から5層構造の基材テープ101が繰り出され、上述のように圧着ローラ107へ供給される。一方、第2ロール104からはカバーフィルム103が繰り出されるとともに、上記印刷駆動回路25により印字ヘッド10の複数の発熱素子が通電される。この結果、カバーフィルム103の裏面(=粘着層101a側の面)に所定の文字、記号、バーコード等の印字R(後述の図9参照)が印刷(但し裏面から印刷するので印刷側から見て鏡面対称の文字等を印刷している)される。そして、上記5層構造の基材テープ101と上記印刷が終了したカバーフィルム103とが上記圧着ローラ107及びサブローラ109により接着されて一体化され、印字済タグラベル用テープ110として形成され、カートリッジ100外へと搬出される。なお、カバーフィルム103への印字が終了したインクリボン105は、リボン巻取りローラ駆動軸11の駆動によりリボン巻取りローラ106に巻取られる。
【0062】
図4は、上記高周波回路21の詳細機能を表す機能ブロック図である。この図4において、高周波回路21は、アンテナ14を介し無線タグ回路素子Toに対して信号を送信する送信部32と、アンテナ14により受信された無線タグ回路素子Toからの反射波を入力する受信部33と、送受分離器34とから構成される。
【0063】
送信部32は、無線タグ回路素子ToのIC回路部151の無線タグ情報にアクセスする(読み取り又は書き込みを行う)ための搬送波を発生させる水晶振動子35、PLL(Phase
Locked Loop)36、及びVCO(Voltage Controlled Oscillator)37と、上記信号処理回路22から供給される信号に基づいて上記発生させられた搬送波を変調(この例では信号処理回路22からの「TX_ASK」信号に基づく振幅変調)する送信乗算回路38(但し振幅変調の場合は増幅率可変アンプ等を用いてもよい)と、その送信乗算回路38により変調された変調波を増幅する送信アンプ39とを備えている。そして、上記発生される搬送波は、好適にはUHF帯の周波数を用いており、上記送信アンプ39の出力は、送受分離器34を介してアンテナ14に伝達されて無線タグ回路素子ToのIC回路部151に供給される。
【0064】
受信部33は、アンテナ14により受信された無線タグ回路素子Toからの反射波と上記発生させられた搬送波とを掛け合わせる受信第1乗算回路40と、その受信第1乗算回路40の出力から必要な帯域の信号のみを取り出すための第1バンドパスフィルタ41と、この第1バンドパスフィルタ41の出力を増幅して第1リミッタ42に供給する受信第1アンプ43と、上記アンテナ14により受信された無線タグ回路素子Toからの反射波と上記発生された後に移相器49で位相が90°遅れた搬送波とを掛け合わせる受信第2乗算回路44と、その受信第2乗算回路44の出力から必要な帯域の信号のみを取り出すための第2バンドパスフィルタ45と、この第2バンドパスフィルタ45の出力を増幅して第2リミッタ46に供給する受信第2アンプ47とを備えている。そして、上記第1リミッタ42から出力される信号「RXS−I」及び第2リミッタ46から出力される信号「RXS−Q」は、上記信号処理回路22に入力されて処理される。
【0065】
また、受信第1アンプ43及び受信第2アンプ47の出力は、RSSI(Received Signal Strength Indicator)回路48にも入力され、それらの信号の強度を示す信号「RSSI」が信号処理回路22に入力されるようになっている。このようにして、本実施形態に係るタグラベル作成装置2では、I−Q直交復調によって無線タグ回路素子Toからの反射波の復調が行われる。
【0066】
図5は、上記第1ロール102に巻回された基材テープ101に備えられた上記無線タグ回路素子To及びその周辺部の詳細構造を表す、図3の部分拡大図中V−V′断面による矢視断面図である。また図6は、図5中A部を抽出して示す部分拡大上面図であり、図7は、図6中VII−VII′断面による側断面図である。
【0067】
これら図5、図6、及び図7において、上記IC回路部151と接続される側に複数の接続端部152a,152bをそれぞれ備え情報の送受信を行う上記アンテナ152A及びアンテナ152Bと、これら2つのアンテナ152A,152Bを予め配置して一体に設けられた略シート状の上記アンテナパターンシート161と、上記IC回路部151と、このIC回路部151の一方側及び他方側端部151a,151bとこれらの近傍にそれぞれ位置する(テープ厚さ方向に重なる)アンテナ152A,152Bの接続端部152a,152bとを互いに接続するために設けられる上記接続端子159A,159Bと、外部衝撃等からの保護を目的の一つとする上記保護フィルム160とが設けられている。そして、IC回路部151及びアンテナ152を備えた無線タグ回路素子To、これを覆うように設けた保護フィルム160、及びアンテナパターンシート161が、上記粘着層101cと粘着層101dとの間に挿入されるように介在配置されている。
【0068】
保護フィルム160は、前述したように、上記IC回路部151及び上記接続端子159A,159Bと、さらにアンテナ152A,152B全体を略覆うように配設されており、それらを図7中上側より略覆っている。保護フィルム160は、詳細には、本実施形態の最大の特徴として、テープ長手方向の両端部およびテープ幅方向の両端部の全ての端部に、テープ厚さ方向寸法が末端側に向かって順次小さくなる形状の第1縮厚部160A,160B,160C,160D(縮厚手段)が形成されている。この第1縮厚部160A,160B,160C,160Dは、例えば保護フィルム160の端部において図7中上側のエッジを欠損させるよう削り加工して形成され、この例では厚さ方向寸法が末端側に向かって連続的に漸減する三角断面形状、すなわちアンテナパターンシート161側に偏った楔形の形状となっている。
【0069】
図8は、上記無線タグ回路素子Toの機能的構成を表す機能ブロック図である。この図8において、無線タグ回路素子Toは、タグラベル作成装置2側のアンテナ14とUHF帯等の高周波を用いて非接触で信号の送受信を行う上記アンテナ152と、このアンテナ152に接続された上記IC回路部151とを有している。
【0070】
IC回路部151は、アンテナ152により受信された搬送波を整流する整流部153と、この整流部153により整流された搬送波のエネルギを蓄積しIC回路部151の駆動電源とするための電源部154と、上記アンテナ152により受信された搬送波からクロック信号を抽出して制御部155に供給するクロック抽出部156と、所定の情報信号を記憶するメモリ部157と、上記アンテナ152に接続された変復調部158と、上記整流部153、クロック抽出部156、及び変復調部158等を介して上記無線タグ回路素子Toの作動を制御するための上記制御部155とを備えている。
【0071】
変復調部158は、アンテナ152により受信された上記タグラベル作成装置2のアンテナ14からの通信信号の復調を行うと共に、上記制御部155からの応答信号に基づき、アンテナ152より受信された搬送波を変調反射する。
【0072】
制御部155は、上記変復調部158により復調された受信信号を解釈し、上記メモリ部157において記憶された情報信号に基づいて返信信号を生成し、上記変復調部158により返信する制御等の基本的な制御を実行する。
【0073】
図9(a)及び図9(b)は、上述のようにして無線タグ回路素子Toの情報読み取り(又は書き込み)及び印字済タグラベル用テープ110の切断が完了し形成された無線タグラベルTの外観の一例を表す図であり、図9(a)は上面図、図9(b)は下面図である。また図10は、図9中X−X′断面(前述の図5においてはx−x′断面に相当)による横断面図である。
【0074】
これら図9(a)、図9(b)、及び図10において、無線タグラベルTは、図3に示した基本5層構造(無線タグ回路素子To等を除く)にカバーフィルム103が加わった6層構造となっており、カバーフィルム103側(図10中上側)よりその反対側(図10中下側)へ向かって、カバーフィルム103、粘着層101a、ベースフィルム101b、粘着層101c、粘着層101d、剥離紙101eで基本6層構造を構成している。そして、前述したようにIC回路部151及びアンテナ152を備えた無線タグ回路素子To、これを覆うように設けた保護フィルム160、及びアンテナパターンシート161が、上記粘着層101cと粘着層101dとの間に挿入されるように配置されるとともに、カバーフィルム103の裏面に印字R(この例では無線タグラベルTの種類を示す「RF−ID」の文字)が印刷されている。
【0075】
図11は、上述したようなタグラベル作成装置2による無線タグ回路素子ToのIC回路部151の無線タグ情報へのアクセス(読み取り又は書き込み)に際して、上記した端末5又は汎用コンピュータ6に表示される画面の一例を表す図である。
【0076】
図11において、この例では、タグラベル種別、無線タグ回路素子Toに対応して印刷された印字文字R、その無線タグ回路素子Toに固有の識別情報であるアクセス(読み取り又は書き込み)ID、上記情報サーバ7に記憶された物品情報のアドレス、及び上記ルートサーバ4におけるそれらの対応情報の格納先アドレス等が前記端末5又は汎用コンピュータ6に表示可能となっている。そして、その端末5又は汎用コンピュータ6の操作によりタグラベル作成装置2が作動されて、カバーフィルム103に上記印字文字Rが印刷されると共に、IC回路部151に予め記憶された上記読み取りID及び物品情報等の無線タグ情報が読みとられる(又はIC回路部151に上記書き込みID及び物品情報等の情報が書き込まれる)。
【0077】
なお、上記においては、印刷動作に伴い搬送ガイド13を移動中の印字済タグラベル用テープ110に対してアクセスエリア内に保持してアクセス(読み取り又は書き込み)するようにした例を示したが、これに限られず、その印字済タグラベル用テープ110を所定位置で停止させて搬送ガイド13にて保持した状態で上記アクセスを行うようにしてもよい。
【0078】
また、上記のような読み取り又は書き込みの際、生成された無線タグラベルTのIDとその無線タグラベルTのIC回路部151から読みとられた情報(又はIC回路部151に書き込まれた情報)との対応関係は、前述のルートサーバ4に記憶され、必要に応じて参照できるようになっている。
【0079】
以上のように構成した本実施形態においては、タグラベル作成装置2のカートリッジ100から印刷済みタグラベル用テープ110として取り出され搬送ガイド13によってアンテナ14に対向する所定位置(アクセスエリア)に設定保持された無線タグ回路素子Toに対し、順次アクセス(IC回路部151の無線タグ情報の読み取り又はIC回路部151への書き込み)が行われ、カッタ15により各無線タグ回路素子Toごとに切断されて無線タグラベルTが生成される。生成された無線タグラベルTは、ユーザによって上記剥離紙101eが剥がされて粘着層101dが露出された後、この粘着層101dを介し対象となる各種物品等に貼り付けられ使用される。
【0080】
ここで本実施形態においては、IC回路部151及びアンテナ152A,152Bを備えた無線タグ回路素子To、略シート状のアンテナパターンシート161、保護フィルム160が上記粘着層101cと上記粘着層101dとの間に挿入されるように配置され、それらを厚さ方向においてアンテナパターンシート161の反対側から挟むように位置するカバーフィルム103、粘着層101a、ベースフィルム101b及び粘着層101cは、無線タグ回路素子Toの部分でそれらを迂回するように盛り上がる形状となる(図7等参照)。しかしながら、本実施形態では、無線タグ回路素子ToのIC回路部151を覆うように保護する保護フィルム160の端部に縮厚手段である第1縮厚部160A,160B,160C,160Dを形成し、末端側に向かって順次厚さ方向寸法が小さくなるようにすることにより、そのままでは上記保護フィルム160の端部において生じうる突起形状を緩和して滑らかにすることができる。この結果、その滑らかな傾斜面で広く粘着層101cに貼着して局所的な押圧を回避できるため、粘着層101cやさらにはベースフィルム101b等が変形又は損傷し耐久性が低下するのを防止できる。
【0081】
また、基材テープ101をロール状に巻く際には、ベースフィルム101bの表面にしわや凹凸の段差を形成させずにきれいに巻くことができ、さらに装置本体8内やカートリッジ100内における基材テープ101の走行性が良好となる効果もある。なお、本実施形態では第1縮厚部160A,160B,160C,160Dを保護フィルム160の4つの端部全てに形成したが、これに限られず、少なくとも一つの端部に形成されていればその形成された端部において上記効果を得ることができる。
【0082】
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で、種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を説明する。
【0083】
(1)保護フィルムに円弧状断面形状の第1縮厚部を形成した場合
図12はこのような変形例において保護フィルム160の各端部に円弧状断面形状の第1縮厚部を形成した無線タグラベルTの側断面図であり、上記実施形態の図7に相当する図である。図7と同等の部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0084】
図12において、この変形例では、上記実施形態における保護フィルム160の各端部に形成した三角断面形状の第1縮厚部160A,160Bに代えて、厚さ方向寸法が末端側に向かって連続的に漸減する円弧状断面形状の円弧状第1縮厚部160a,160bが形成されている。
【0085】
本変形例によっても、円弧状第1縮厚部160a,160bを形成したことで、保護フィルム160の各端部に厚さ方向寸法が末端側に向かって順次小さくなる縮厚手段を備えたものとなるため、保護フィルム160の端部における突起形状を確実に緩和し滑らかにすることができ、上記実施形態と同様、突起形状のエッジをなくし、粘着層101cやベースフィルム101bが変形又は損傷し耐久性が低下するのを防止できる。
【0086】
(2)保護フィルムに独立した第1縮厚部材を設けた場合
図13はこの変形例において保護フィルム160の各端部に第1縮厚部材を設けた無線タグラベルTの側断面図であり、上記実施形態の図7に相当する図である。
【0087】
図13において、この変形例では、上記実施形態における保護フィルム160の各端部に形成した三角断面形状の第1縮厚部160A,160Bに代えて、保護フィルム160自体を直方体形状に形成し、その端部に厚さ方向寸法が末端側に向かって順次小さくなる三角断面形状の第1縮厚部材162A,162Bが設けられている。
【0088】
本変形例によっても、第1縮厚部材162A,162Bを設けたことで、保護フィルム160の各端部に厚さ方向寸法が末端側に向かって順次小さくなる縮厚手段を備えたものとなるため、保護フィルム160の端部における突起形状を確実に緩和し滑らかにすることができ、上記実施形態と同様、突起形状のエッジをなくし、粘着層101cやベースフィルム101bが変形又は損傷し耐久性が低下するのを防止できる。なお、この独立した部材である第1縮厚部材162A,162Bの材料としては、保護フィルム160と同じ材料を使用してもよいことはもちろん、接着剤や接着機能を有しない他の充填材を使用してもよい。
【0089】
(3)IC回路部に三角断面形状の第2縮厚部を形成した場合
前述の実施形態や、上記(1)(2)の変形例は、IC回路部151及びその近傍を保護フィルムで覆った構造に対し本発明を適用した場合を例にとって説明したが、これに限られず、そのような保護フィルムを設けない構造に本発明を適用してもよい。図14はそのような保護フィルムを設けない構造においてIC回路部151の各端部に第2縮厚部を形成した変形例による無線タグラベルTの側断面図であり、上記実施形態の図7に相当する図である。
【0090】
図14において、上記実施形態における保護フィルム160を設けずに、粘着層101cがIC回路部151に直接接触して無線タグ回路素子To全体を内包するように覆う場合には、IC回路部151が粘着層101cに対し突起する形状となる。そのため、この変形例では、図示するようにIC回路部151の各端部に厚さ方向寸法が末端側に向かって順次小さくなる三角断面形状の第2縮厚部151A,151Bが形成されている。
【0091】
本変形例によっても、第2縮厚部151A,151Bを形成したことで、IC回路部151の各端部に厚さ方向寸法が末端側に向かって順次小さくなる縮厚手段を備えたものとなるため、IC回路部151の端部における突起形状を確実に緩和し滑らかにすることができ、上記実施形態と同様、突起形状のエッジをなくし、粘着層101cやベースフィルム101bが変形又は損傷し耐久性が低下するのを防止できる。特に図示しないが、IC回路部151のテープ幅方向両端部においても同様の第2縮厚部を形成することで同じ効果が得られる。
【0092】
(4)IC回路部に円弧状断面形状の第2縮厚部を形成した場合
図15は、上記(3)の変形例と同様に保護フィルムを設けない場合の例で、IC回路部151の各端部に円弧状断面形状の第2縮厚部を形成した無線タグラベルTの側断面図であり、上記(3)の変形例の図14に相当する図である。
【0093】
図15において、この変形例では、上記(3)の変形例におけるIC回路部151の各端部に形成した三角断面形状の第2縮厚部151A,151Bに代えて、厚さ方向寸法が末端側に向かって連続的に漸減する円弧状断面形状の円弧状第2縮厚部151c,151dが形成されている。
【0094】
本変形例によっても、円弧状第2縮厚部151c,151dを形成したことで、IC回路部151の各端部に厚さ方向寸法が末端側に向かって順次小さくなる縮厚手段を備えたものとなるため、IC回路部151の端部における突起形状を確実に緩和し滑らかにすることができ、上記(3)の変形例と同様、突起形状のエッジをなくし、粘着層101cやベースフィルム101bが変形又は損傷し耐久性が低下するのを防止できる。
【0095】
(5)IC回路部に独立した第2縮厚部材を設けた場合
図16は上記(3)(4)の変形例と同様に保護フィルムを設けない場合の例で、IC回路部151の各端部に第2縮厚部材を設けた無線タグラベルTの側断面図であり、上記(3)の変形例の図14に相当する図である。
【0096】
図16において、この変形例では、上記(3)の変形例におけるIC回路部151の各端部に形成した三角断面形状の第2縮厚部151A,151Bに代えて、IC回路部151自体を直方体形状に形成し、その端部に厚さ方向寸法が末端側に向かって順次小さくなる三角断面形状の第2縮厚部材163A,163Bが設けられている。
【0097】
本変形例によっても、第2縮厚部材163A,163Bを設けたことで、IC回路部151の各端部に厚さ方向寸法が末端側に向かって順次小さくなる縮厚手段を備えたものとなるため、IC回路部151の端部における突起形状を確実に緩和し滑らかにすることができ、上記(3)の変形例と同様、突起形状のエッジをなくし、粘着層101cやベースフィルム101bが変形又は損傷し耐久性が低下するのを防止できる。
【0098】
(6)保護フィルムに段付形状の段階縮厚部を形成した場合
図17は、前述の実施形態や上記(1)(2)の変形例と同様、IC回路部151及びその近傍を保護フィルムで覆った構造における別の変形例であり、段付形状の段階縮厚部を形成した無線タグラベルTの側断面図であり、上記実施形態の図7に相当する図である。
【0099】
図17において、この変形例では、上記実施形態における保護フィルム160の各端部に形成した三角断面形状の第1縮厚部160A,160Bに代えて、厚さ方向寸法が末端側に向かって段階的に減少する段付形状の段階縮厚部164A,164Bが形成されている。
【0100】
本変形例によっても、段階縮厚部164A,164Bを形成したことで、保護フィルム160の各端部に厚さ方向寸法が末端側に向かって順次小さくなる縮厚手段を備えたものとなるため、保護フィルム160の端部における突起形状を確実に緩和し滑らかにすることができ、上記実施形態と同様、粘着層101cやベースフィルム101bが変形又は損傷し耐久性が低下するのを防止できる。
【0101】
なお、上記構成の無線タグIC回路保持体Hは、例えば以下のような手順で製造することができる。すなわち、上記無線タグIC回路保持体Hは、前述したようにIC回路部151とアンテナ152A,152Bとを備える無線タグ回路素子Toを保護フィルム160とともにアンテナパターンシートに配置して構成されている(本実施形態では接続端子159A,159Bをも含む)。この無線タグIC回路保持体Hの製造工程における最終段階の工程としては、すでにIC回路部151及び接続端子159A,159Bを内部に組み込んだ状態の保護フィルム106を、予めアンテナ152A,152Bを配置したアンテナパターンシート161に接合する工程となっている。
【0102】
図18は、この無線タグIC回路保持体Hを製造する際の上記接合工程を表す説明図である。この図18に示す接合工程においては、IC回路部151を覆うように設けた保護フィルム160をアンテナ152A,152Bを配置したアンテナパターンシート161に載置した後、IC回路部151の存在領域を避けつつ、アンテナ電極接合領域AAを加圧するように押圧用部材170を保護フィルム160に当接させ、アンテナパターンシート161側へ押圧することにより、押圧時にIC回路部151に悪影響を及ぼすのを確実に回避しつつ保護フィルム160の端部に厚さ方向寸法が末端側に向かって段階的に減少する段付き形状の段階縮厚部164A,164Bを形成し、さらに保護フィルム160とアンテナパターンシート161とを接合させることができる。このようにして、新たな工程を設けることなく、保護フィルム160の端部における突起形状を緩和し滑らかにすることができる。
【0103】
また、保護フィルム160をアンテナパターンシート161に押圧するのに通常用いる押圧用部材170を流用して保護フィルム160の端部に段階縮厚部164A,164Bを形成できるので、新たな部材を用意することなく、保護フィルム160の端部における突起形状を緩和し滑らかにすることができる点で有効である。
【0104】
なお、上記接合手順では、例えば保護フィルム160とアンテナパターンシート161とを接合させる保護フィルム160に加熱を行い、これによって保護フィルム160とアンテナパターンシート161との間に介在する熱可塑性部材(ACP)を加熱し、これによって接合を行うことが好ましい。この場合、加熱することによって段階縮厚部164A,164Bを確実かつ所望する形状に整形することができるとともに、ACPを加熱することで保護フィルム160とアンテナパターンシート161とを確実に接合することができる。
【0105】
(7)貼り合わせを行わない場合
すなわち、上記実施形態のように、無線タグ回路素子Toを備えたタグテープ(基材テープ)101とは別のカバーフィルム103に印字を行ってこれらを貼り合わせるのではなく、タグテープに備えられたカバーフィルムに印字を行うタグラベル作成装置用カートリッジに本発明を適用した場合である。
【0106】
図19は、この変形例のカートリッジ100′の詳細構造を説明するための説明図であり、前述の図3に対応する図である。図3と同等の部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0107】
図19において、カートリッジ100′は、感熱テープ101′(タグテープ)が巻回された第1ロール(タグテープロール)102′と、感熱テープ101′をカートリッジ100′外部方向にテープ送りをするテープ送りローラ107′と、感熱テープ101′の搬送方向を大きく転向させつつ搬送を行う搬送転向ロール120とを有している。
【0108】
第1ロール102′は、リール部材102′aの周りに、長手方向に複数の上記無線タグ回路素子Toが順次形成された帯状の透明な上記感熱テープ101′を巻回している。
【0109】
第1ロール102′に巻き回される感熱テープ101′はこの例では(無線タグ回路素子及びその近傍を除くと)基本的には4層構造となっており(図19中部分拡大図参照)、外側に巻かれる側(図19中右側)よりその反対側(図19中左側)へ向かって、PET(ポリエチレンテレフタラート)等から成るカバーフィルム(タグテープ基材層)101′b、適宜の粘着材からなる粘着層(定置用粘着材層)101′c、適宜の粘着材からなる粘着層(貼り付け用粘着材層)101′d、剥離紙(剥離材)101′eの順序で積層され構成されている。
【0110】
カバーフィルム101′bの裏側(図19中左側)には、粘着層101′cを挟んで、保護フィルム160(保護部材)とこれに覆われる配置で情報を記憶するIC回路部151とが設けられている。IC回路部151は保護フィルム160の裏側(図19中左側)に位置している。この保護フィルム160の裏側(図19中左側)には、情報の送受信を行う2つのアンテナ152A,152Bを予め配置したアンテナパターンシート161(アンテナ基材)が一体的に設けられており、IC回路部151は2つの接続端子159A,159Bを介してそれぞれアンテナ152A,152Bに接続されている。
【0111】
カバーフィルム101′bと粘着層101′cはその裏側(図19中左側)で、無線タグ回路素子To全体を内包するように覆い、またカバーフィルム101′bの表側(図19中右側)の表面が上記印字ヘッド10により印字される印字面となっている。そしてアンテナパターンシート161の裏側(図19中左側)から全体を覆うように上記粘着層101′dが形成されており、この粘着層101′dによって上記剥離紙101′eがカバーフィルム101′bに接着されている。
【0112】
なお、この剥離紙101′eは、最終的にラベル状に完成した無線タグラベルTが所定の商品等に貼り付けられる際に、これを剥がすことで粘着層101′dにより当該商品等に接着できるようにしたものである。そして、IC回路部151及びアンテナ152を備えた上記無線タグ回路素子To、これを覆うように設けた上記保護フィルム160、及び上記アンテナパターンシート161が、上記粘着層101′cと粘着層101′dとの間に挿入されるように介在配置されている。
【0113】
カートリッジ100′が上記タグラベル作成装置2のカートリッジホルダ部に装着されローラホルダ(図示せず)が離反位置から当接位置に移動されると、感熱テープ101′が印字ヘッド10とプラテンローラ108との間に狭持されるとともに、テープ送りローラ107′とサブローラ109との間に狭持される。そして、カートリッジ用モータ23(図2参照)の駆動力によるテープ送りローラ駆動軸12の駆動に伴い、テープ送りローラ107′、サブローラ109、及びプラテンローラ108が同期して回転し、第1ロール102′から感熱テープ101′が繰り出され、搬送転向ロール120で大きく方向を転向された後、印字ヘッド10側へと供給される。
【0114】
印字ヘッド10は、その複数の発熱素子が上記印刷駆動回路25(図2参照)により通電され、これにより感熱テープ101′のカバーフィルム101′bの表面に印字が印刷され、印字済タグラベル用テープ110′として形成された後、カートリッジ100′外へと搬出される。なお、前述の実施形態のようなインクリボンを用いた印字としてもよいことは言うまででもない。
【0115】
カートリッジ100′外へ搬出した後、前述のアンテナ14を介した無線タグ情報へのアクセス(情報読み取り/書き込み)、送出ローラ17による搬送、カッタ15による切断等については上記実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0116】
図20は、この変形例において保護フィルム160の各端部に第1縮厚部を形成した無線タグラベルTの側断面図であり、上記実施形態の図7に相当する図である。
【0117】
図20において、保護フィルム160は、テープ長手方向の両端部に、テープ厚さ方向寸法が末端側に向かって順次小さくなる形状の第1縮厚部160A,160Bが形成されている。
【0118】
本変形例のカートリッジ100′においても、上記実施形態とほぼ同様の効果を得る。
【0119】
すなわち、無線タグ回路素子Toにおいて、IC回路部151を覆うように保護する保護フィルム160の端部に縮厚手段である第1縮厚部160A,160Bを形成し、末端側に向かって順次厚さ方向寸法が小さくなるようにすることにより、そのままでは上記保護フィルム160の端部において生じうる突起形状を確実に緩和して滑らかにすることができる。この結果、その端部の滑らかな傾斜面で広く粘着層101′cに貼着して局所的な押圧を回避できるため、粘着層101′cやさらにはカバーフィルム101′bが変形又は損傷し耐久性が低下するのを防止できる。
【0120】
なお、上記は、印字ヘッド10によりカートリッジの外方からカバーフィルム101′bに当接させて印字を行ったが、これに限られず、前述の実施形態と同様、インクリボン105を用いてカートリッジの内方から印字を行っても良い(いわゆるレセプタタイプ。但し後述のように鏡面文字ではない)。図21はそのような変形例におけるカートリッジ100″の詳細構造を説明するための説明図であり、上記の図19に対応する図である。図3や図19等と同等の部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0121】
図21において、カートリッジ100″は、基材テープ101″(タグテープ)が巻回された第1ロール(タグテープロール)102″と、この基材テープ101″をカートリッジ100″外部方向にテープ送りをする上記テープ送りローラ107′と、基材テープ101″の搬送方向を大きく転向させつつ搬送を行う上記搬送転向ロール120とを有している。
【0122】
第1ロール102″は、リール部材102″aの周りに、長手方向に複数の上記無線タグ回路素子Toが順次形成された帯状の透明な上記基材テープ101″を巻回している。
【0123】
第1ロール102″に巻き回される基材テープ101″はこの例では(無線タグ回路素子及びその近傍を除くと)基本的には4層構造となっており(図21中部分拡大図参照)、外側に巻かれる側(図21中右側)よりその反対側(図21中左側)へ向かって、剥離紙(剥離材)101″a、適宜の粘着材からなる粘着層(貼り付け用粘着材層)101″b、適宜の粘着材からなる粘着層(定置用粘着材層)101″c、PET(ポリエチレンテレフタラート)等から成るカバーフィルム(タグテープ基材層)101″dの順序で積層され構成されている。
【0124】
カバーフィルム101″dの裏側(図21中右側)には、粘着層101″cを挟んで、保護フィルム160(保護部材)とこれに覆われる配置で情報を記憶するIC回路部151とが設けられている。IC回路部151は保護フィルム160の裏側(図21中右側)に位置している。この保護フィルム160の裏側(図21中右側)には、情報の送受信を行う2つのアンテナ152A,152Bを予め配置したアンテナパターンシート161(アンテナ基材)が一体的に設けられており、IC回路部151は2つの接続端子159A,159Bを介してそれぞれアンテナ152A,152Bに接続されている。
【0125】
カバーフィルム101″dと粘着層101″cはその裏側(図21中右側)で、無線タグ回路素子To全体を内包するように覆い、またカバーフィルム101″dの表側(図21中左側)の表面が上記印字ヘッド10により印字される印字面となっている。そしてアンテナパターンシート161の裏側(図21中右側)から全体を覆うように上記粘着層101″bが形成されており、この粘着層101″bによって上記剥離紙101″aがカバーフィルム101″dに接着されている。なお、この剥離紙101″aは、最終的にラベル状に完成した無線タグラベルTが所定の商品等に貼り付けられる際に、これを剥がすことで粘着層101″bにより当該商品等に接着できるようにしたものである。そして、IC回路部151及びアンテナ152を備えた上記無線タグ回路素子To、これを覆うように設けた上記保護フィルム160、及び上記アンテナパターンシート161が、上記粘着層101″bと粘着層101″cとの間に挿入されるように介在配置されている。
【0126】
リボン巻取りローラ106、リボン巻取りローラ駆動軸11、及びリボン供給側ロール111等については前述の実施形態と同様であるので詳細な説明を省略する。
【0127】
カートリッジ100″が上記タグラベル作成装置2のカートリッジホルダ部に装着されローラホルダ(図示せず)が離反位置から当接位置に移動されると、基材テープ101″及びインクリボン105が印字ヘッド10とプラテンローラ108との間に狭持されるとともに、基材テープ101″はテープ送りローラ107′とサブローラ109との間に狭持される。そして、カートリッジ用モータ23(図2参照)の駆動力によるテープ送りローラ駆動軸12及びリボン巻取りローラ駆動軸11の駆動に伴い、テープ送りローラ107′、サブローラ109、プラテンローラ108、及びリボン巻取りローラ106が同期して回転し、第1ロール102″から基材テープ101″が繰り出され、搬送転向ロール120で大きく方向を転向された後、印字ヘッド10側へと供給される。また基材テープ101″の表側(図21中上側)にはインクリボン105が当接される。
【0128】
印字ヘッド10は、その複数の発熱素子が上記印刷駆動回路25(図2参照)により通電され、これによりインクリボン105に接している基材テープ101″のカバーフィルム101″dの表面に印字が印刷され、印字済タグラベル用テープ110″として形成された後、カートリッジ100″外へと搬出される。
【0129】
カートリッジ100″外へ搬出した後、前述のアンテナ14を介した無線タグ情報へのアクセス(情報読み取り/書き込み)、送出ローラ17による搬送、カッタ15による切断等については上記実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0130】
図22は、この変形例において保護フィルム160の各端部に第1縮厚部を形成した無線タグラベルTの側断面図であり、上記実施形態の図7に相当する図である。
【0131】
図22において、保護フィルム160は、テープ長手方向の両端部に、テープ厚さ方向寸法が末端側に向かって順次小さくなる形状の第1縮厚部160A,160Bが形成されている。
【0132】
図21に示した変形例のカートリッジ100″においても、上記実施形態や図19に示した変形例とほぼ同様の効果を得る。
【0133】
すなわち、無線タグ回路素子Toにおいて、IC回路部151を覆うように保護する保護フィルム160の端部に縮厚手段である第1縮厚部160A,160Bを形成し、末端側に向かって順次厚さ方向寸法が小さくなるようにすることにより、そのままでは上記保護フィルム160の端部において生じうる突起形状を確実に緩和して滑らかにすることができる。この結果、その端部の滑らかな傾斜面で広く粘着層101″cに貼着して局所的な押圧を回避できるため、粘着層101″cやさらにはカバーフィルム101″dが変形又は損傷し耐久性が低下するのを防止できる。
【0134】
なお、上記において、前述の図19に示した構成のように基材テープ101″に感熱テープを用いることでインクリボン105を用いない印字としてもよい。この場合も、同様の効果を得る。
【0135】
なお、以上説明した実施形態や上記(1)〜(7)の変形例の構成を適宜部分的に組み合わせて構成してもよいことは言うまでもなく、これらの場合も同様の効果を得る。
【0136】
また、上記実施形態や各変形例において、接続端子、アンテナ、アンテナパターンシートの厚さ方向寸法が大きい場合には、それぞれの各端部に縮厚手段を設けてもよい。
【0137】
なお、以上においては、アンテナパターンシート161(アンテナ基材)にアンテナ152A,152Bが一体的に設けられ、これを粘着層(定置用粘着材層)101cを介してベースフィルム(タグテープ基材層)101bに設けた場合を例にとって説明したが、これに限られない。すなわち、アンテナ152A,152Bが直接ベースフィルム101bに印刷などの方法によって形成されていてもよい。この場合も同様の効果を得る。
【0138】
なお、以上において、カートリッジ100等のようなタグラべル作成装置本体側に着脱可能なものに限られず、装置本体側に着脱不能のいわゆる据え付け型あるいは一体型のものを用い、その中に上記第1ロール102等を設けてもよい。この場合も同様の効果を得る。
【0139】
さらに、以上においては、タグラベル作成装置2は、無線タグ回路素子ToのIC回路部151から無線タグ情報の読み取りまたは書き込みを行うと共に、サーマルヘッド10によってその無線タグ回路素子Toの識別をするための印刷(印字)を行うものであったが、この印刷は必ずしも行われなくともよく、無線タグ情報の読み取り又は書き込みのみを行うものであっても構わない。
【0140】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0141】
【図1】本発明の一実施形態のタグテープロールを含むタグラベル作成装置用カートリッジを備えるタグラベル作成装置が適用される無線タグ生成システムを表すシステム構成図である。
【図2】図1に示したタグラベル作成装置の詳細構造を表す概念的構成図である。
【図3】図2に示したタグラベル作成装置に備えられた本発明の一実施形態によるタグテープロールを備えたカートリッジの詳細構造を説明するための説明図である。
【図4】図3に示した高周波回路の詳細機能を表す機能ブロック図である。
【図5】図3の部分拡大図中V−V′断面による矢視断面図である。
【図6】図5中A部を抽出して示す部分拡大上面図である。
【図7】図6中VII−VII′断面による側断面図である。
【図8】無線タグ回路素子の機能的構成を表す機能ブロック図である。
【図9】無線タグラベルの外観の一例を表す上面図、下面図である。
【図10】図9中X−X′断面による横断面図である。
【図11】無線タグ情報へのアクセスに際し、端末又は汎用コンピュータに表示される画面の一例を表す図である。
【図12】保護フィルムに円弧状断面形状の第1縮厚部を形成した変形例における無線タグラベルの側断面図である。
【図13】保護フィルムに独立した第1縮厚部材を設けた変形例における無線タグラベルの側断面図である。
【図14】IC回路部に三角断面形状の第2縮厚部を形成した変形例における無線タグラベルの側断面図である。
【図15】IC回路部に円弧状断面形状の第2縮厚部を形成した変形例における無線タグラベルの側断面図である。
【図16】IC回路部に独立した第2縮厚部材を設けた変形例における無線タグラベルの側断面図である。
【図17】保護フィルムに段付形状の段階縮厚部を形成した変形例における無線タグラベルの側断面図である。
【図18】保護フィルムに段付形状の段階縮厚部を形成した変形例において無線タグIC回路保持体を製造する場合の側断面で示す押圧状態図である。
【図19】貼り合わせを行わない変形例のカートリッジの詳細構造を説明するための説明図である。
【図20】貼り合わせを行わない変形例において保護フィルムの端部に第1縮厚部を形成した無線タグラベルの側断面図である。
【図21】カートリッジの内方から印字を行う変形例におけるカートリッジの詳細構造を説明するための説明図である。
【図22】カートリッジの内方から印字を行う変形例において保護フィルムの端部に第1縮厚部を形成した無線タグラベルの側断面図である。
【符号の説明】
【0142】
2 タグラベル作成装置
100 カートリッジ
100′ カートリッジ
100″ カートリッジ
101 基材テープ(タグテープ)
101′ 基材テープ(タグテープ)
101″ 基材テープ(タグテープ)
101a 粘着層
101b ベースフィルム(タグテープ基材層)
101c 粘着層(定置用粘着材層)
101d 粘着層(貼り付け用粘着材層)
101e 剥離紙(剥離材)
102 第1ロール(タグテープロール)
102′ 第1ロール(タグテープロール)
102″ 第1ロール(タグテープロール)
103 カバーフィルム
151 IC回路部
151A 第2縮厚部(縮厚手段)
151B 第2縮厚部(縮厚手段)
151c 円弧状第2縮厚部(縮厚手段)
151d 円弧状第2縮厚部(縮厚手段)
152A アンテナ
152B アンテナ
159A 接続端子
159B 接続端子
160 保護フィルム(保護部材)
160A 第1縮厚部(縮厚手段)
160B 第1縮厚部(縮厚手段)
160C 第1縮厚部(縮厚手段)
160D 第1縮厚部(縮厚手段)
160a 円弧状第1縮厚部(縮厚手段)
160b 円弧状第1縮厚部(縮厚手段)
161 アンテナパターンシート(アンテナ基材)
162A 第1縮厚部材(縮厚手段)
162B 第1縮厚部材(縮厚手段)
163A 第2縮厚部材(縮厚手段)
163B 第2縮厚部材(縮厚手段)
164A 段階縮圧部(縮厚手段)
164B 段階縮圧部(縮厚手段)
170 押圧用部材
H 無線タグIC回路保持体
T 無線タグラベル
To 無線タグ回路素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報を記憶するIC回路部と情報の送受信を行うアンテナとを備えた無線タグ回路素子を複数配置したテープ状のタグテープ基材層と、
このタグテープ基材層を貼り付け対象に貼り付けるための貼り付け用粘着材層と、
この貼り付け用粘着材層の前記貼り付け側を覆うとともに貼り付け時には剥離される剥離材層とを有するタグテープであって、
前記無線タグ回路素子は、前記IC回路部またはこのIC回路部を保護する保護部材が、そのテープ幅方向両端部及びテープ長手方向両端部のうち少なくとも1つの端部に、厚さ方向寸法が末端側に向かって順次小さくなる縮厚手段を備えていることを特徴とするタグテープ。
【請求項2】
請求項1記載のタグテープにおいて、
前記タグテープ基材層にその長手方向に所定の間隔で配置され、前記無線タグ回路素子をそれぞれ配置した略シート状の複数のアンテナ基材と、
これら複数のアンテナ基材を前記タグテープ基材層に定置させるための定置用粘着材層とを有することを特徴とするタグテープ。
【請求項3】
請求項1又は2記載のタグテープにおいて、
前記無線タグ回路素子の前記保護部材は、前記少なくとも1つの端部に、前記縮厚手段として、前記厚さ方向寸法が末端側に向かって順次小さくなる第1縮厚部を備えていることを特徴とするタグテープ。
【請求項4】
請求項1又は2記載のタグテープにおいて、
前記無線タグ回路素子の前記保護部材の前記少なくとも1つの端部に、前記縮厚手段として、前記厚さ方向寸法が末端側に向かって順次小さくなる第1縮厚部材を設けたことを特徴とするタグテープ。
【請求項5】
請求項1又は第2記載のタグテープにおいて、
前記無線タグ回路素子の前記IC回路部は、前記少なくとも1つの端部に、前記縮厚手段として、前記厚さ方向寸法が末端側に向かって順次小さくなる第2縮厚部を備えていることを特徴とするタグテープ。
【請求項6】
請求項1又は2記載のタグテープにおいて、
前記無線タグ回路素子の前記IC回路部の前記少なくとも1つの端部に、前記縮厚手段として、前記厚さ方向寸法が末端側に向かって順次小さくなる第2縮厚部材を設けたことを特徴とするタグテープ。
【請求項7】
請求項3乃至6のいずれか1項記載のタグテープにおいて、
前記縮厚手段は、前記厚さ方向寸法が末端側に向かって連続的に漸減する三角断面形状又は円弧状断面形状を備えていることを特徴とするタグテープ。
【請求項8】
請求項3乃至6のいずれか1項記載のタグテープにおいて、
前記縮厚手段は、前記厚さ方向寸法が末端側に向かって段階的に減少する段付形状を備えていることを特徴とするタグテープ。
【請求項9】
情報を記憶するIC回路部と情報の送受信を行うアンテナとを備えた無線タグ回路素子をそれぞれ配置した、略シート状の複数のアンテナ基材と、
これら複数のアンテナ基材を長手方向に所定の間隔で配置するためのテープ状のタグテープ基材層と、
前記複数のアンテナ基材を前記タグテープ基材層に定置させるための定置用粘着材層と、
前記複数のアンテナ基材を貼り付け対象に貼り付けるための貼り付け用粘着材層と、
この貼り付け用粘着材層の前記貼り付け側を覆うとともに貼り付け時には剥離される剥離材層とを有するタグテープを、前記長手方向と略直交するリール軸の周りに巻回して構成したタグテープロールであって、
前記タグテープの前記アンテナ基材に備えられた前記無線タグ回路素子は、
前記IC回路部またはこのIC回路部を保護する保護部材が、そのテープ幅方向両端部及びテープ長手方向両端部のうち少なくとも1つの端部に、厚さ方向寸法が末端側に向かって順次小さくなる縮厚手段を備えていることを特徴とするタグテープロール。
【請求項10】
情報を記憶するIC回路部と情報の送受信を行うアンテナとを備えた無線タグ回路素子をそれぞれ配置した、略シート状の複数のアンテナ基材と、
これら複数のアンテナ基材を長手方向に所定の間隔で配置するためのテープ状のタグテープ基材層と、
前記複数のアンテナ基材を前記タグテープ基材層に定置させるための定置用粘着材層と、
前記複数のアンテナ基材を貼り付け対象に貼り付けるための貼り付け用粘着材層と、
この貼り付け用粘着材層の前記貼り付け側を覆うとともに貼り付け時には剥離される剥離材層とを有するタグテープを、前記長手方向と略直交するリール軸の周りに巻回して構成したタグテープロールを収納し、
このタグテープロールから繰り出した前記タグテープを用いてタグラベルを作成するタグラベル作成装置に対し着脱可能に構成された無線タグ回路素子カートリッジであって、
前記タグテープロールの前記タグテープに備えられた前記無線タグ回路素子は、
前記IC回路部またはこのIC回路部を保護する保護部材が、そのテープ幅方向両端部及びテープ長手方向両端部のうち少なくとも1つの端部に、厚さ方向寸法が末端側に向かって順次小さくなる縮厚手段を備えていることを特徴とする無線タグ回路素子カートリッジ。
【請求項11】
情報を記憶するIC回路部を覆うように設けた保護部材を、情報の送受信を行うためのアンテナを配置した略シート状のアンテナ基材に載置し、
前記保護部材の端部に厚さ方向寸法が末端側に向かって順次小さくなる縮厚部を形成しつつ、前記保護部材と前記アンテナ基材とを接合させることを特徴とする無線タグIC回路保持体の製造方法。
【請求項12】
請求項11記載の無線タグIC回路保持体の製造方法において、
押圧用部材を用いて前記保護部材を厚さ方向側から前記アンテナ基材側へと押圧することにより、前記保護部材の端部に前記縮厚部を形成しつつ、前記保護部材と前記アンテナ基材とを接合させることを特徴とする無線タグIC回路保持体の製造方法。
【請求項13】
請求項12記載の無線タグIC回路保持体の製造方法において、
前記保護部材のうち前記IC回路部の存在領域を避けるように前記押圧用部材を前記保護部材に当接させて、前記アンテナ基材側へと押圧することを特徴とする無線タグIC回路保持体の製造方法。
【請求項14】
請求項12記載の無線タグIC回路保持体の製造方法において、
前記保護部材の端部の前記縮厚部を生成する領域に設けたアンテナ電極接合領域のみを押圧し接合するように、前記押圧用部材を前記保護部材に当接させて、前記アンテナ基材側へと押圧することを特徴とする無線タグIC回路保持体の製造方法。
【請求項15】
請求項11乃至14のいずれか1項記載の無線タグIC回路保持体の製造方法において、
前記保護部材に加熱を行うことにより、前記保護部材の端部に前記縮厚部を形成しつつ、前記保護部材と前記アンテナ基材とを接合させることを特徴とする無線タグIC回路保持体の製造方法。
【請求項16】
請求項15記載の無線タグIC回路保持体の製造方法において、
前記保護部材を介して、前記保護部材と前記アンテナ基材との間に介在する熱可塑性部材を加熱することにより、前記保護部材と前記アンテナ基材とを接合させることを特徴とする無線タグIC回路保持体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2006−323735(P2006−323735A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−147920(P2005−147920)
【出願日】平成17年5月20日(2005.5.20)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】