説明

タダラフィルを含む薬剤の製造の方法

本発明は、タダラフィルを含む薬剤を製造するための方法に関する。前記方法において、タダラフィルは適切なアジュバントと混合されて、約100℃から約200℃、好ましくは約150℃から約200℃、とりわけ約200℃の温度に加熱される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タダラフィルを含む医用薬の製造のための方法であって、タダラフィルが適切な賦形剤と混合されて約150℃から約200℃までの温度に加熱される方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タダラフィル(IUPAC名:(6R,12aR)-6-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-2-メチル-1,2,3,4,6,7,12,12a-オクタヒドロピラジノ[2,1:6,1]ピリド[3,4-b]インドール-1,4-ジオン)は、勃起不全の治療のための経口製剤として用いられるPDE-V(ホスホジエステラーゼV)阻害剤の群に属する(例えば、WO 01/08688(特許文献1)を参照)。タダラフィルは、例えば、それを(6R,12aR)-2,3,6,7,12,12a-ヘキサヒドロ-2-メチル-6-(3,4-メチレンジオキシフェニル)ピラジノ[2',1':6,1]ピリド[3,4-b]インドール-1,4-ジオンと命名するDaugan A. et al. (2003) J. Med. Chem., 46, 4533-4542(非特許文献1)に従って製造することができる。
【0003】
タダラフィルは水にわずかに可溶性である。WO 01/08687(特許文献2)によると、タダラフィルは水に約2μg/mlしか溶けない。経口製剤は、活性物質がわずかに可溶性であっても、十分に高いバイオアベイラビリティーを持つように、溶解性の向上が必要である。
【0004】
EP 1 269 994 A2(特許文献3)は、活性物質の溶解性の向上を得るための、いわゆる濃度向上ポリマーについて記載する。
【0005】
WO 96/38131(特許文献4)は、わずかに可溶性の活性物質を含む固体分散系の製造の方法について記載する。活性物質の溶解性は共沈殿によって向上すると言われる。しかしながら、活性物質であるタダラフィルの放出に関する試験では、共沈殿物を含む錠剤は純粋な活性物質を含む錠剤よりもさらにゆっくりと活性物質を放出することが示されている。さらに、共沈殿物中には固体材料中に埋め込まれていないフリーのタダラフィル粒子の割合もある。これは、タダラフィルの望ましくない二峰性の放出を起こす可能性があり得る。加えて、共沈殿物は容易には再現可能でなく、即ち、大量の製造は複雑である。
【0006】
わずかに可溶性の活性物質の溶解性を向上させるためのもう一つの可能性は、WO 01/08688(特許文献1)またはWO 01/08686(特許文献5)に開示されるように、粉砕または微粉化することによって活性物質の粒子の表面積を大きくすることである。速放性の経口製剤はWO01/08688(特許文献1)から公知である。所望の溶解性または放出は、タダラフィルの粒子サイズを40μm未満に低下させることによって達成することができる。但し、活性物質の粉砕または微粉化は不利な点を有することがある。微粉化された粒子は集塊を形成する傾向がある。この結果、粒子サイズを定めることが困難であり、従って、溶解性を定めることが困難である。また、活性物質の想定されるさらなる静電荷は加工可能性に対して有害な影響を及ぼす。想定されるもう一つの不利な点は粉砕した活性物質の流動性が低いことである。特に、錠剤を圧縮しなければならない場合またはカプセルに充填しなければならない場合は、例えば顆粒化などのさらなる加工工程が必要である。粒子は小さいものの、しばしば、十分な溶解性を得るために多くの界面活性剤を加える必要がある。
【0007】
タダラフィルの溶液を充填された、ゼラチンでできた軟カプセルはWO 01/08687(特許文献2)から公知である。タダラフィルの溶媒はPEG(ポリエチレングリコール)400 NF LAおよびポリプロピレングリコールの混合物である。または、カプセルにタダラフィル懸濁液を充填することができる。ゼラチンでできた軟カプセルは、活性物質の溶媒として専らPEG 400 NFを使用するWO 00/66099(特許文献6)からも公知である。しかし、軟ゼラチンカプセルは充填が複雑であるという不利な点を有する。例えば、特別な機械および厳密なサーモスタット付きの製造室が必要である。これに対して、硬カプセルは粉末供給装置の代わりに半固体物質用の供給装置を備えた標準的なカプセル充填機を用いて比較的容易に充填することができる。カプセル材料であるゼラチンを別として、セルロースをベースとする材料を使用することも可能である。
【0008】
従って、本発明によって解決されるべき問題は、タダラフィルを含む医用薬の製造のための方法であって、前記の不利な点、特にタダラフィルの困難な溶解性を本質的に回避または克服する方法を提供することであった。
【0009】
驚くべきことに、タダラフィルは固体または半固体の溶液として高い温度において非常に上手く加工することができて、例えばWO 01/08687(特許文献2)に記載されるよりも高い製剤中活性物質の濃度または割合に達することができた。
【0010】
従って、本発明の目的は、タダラフィルを含む医用薬の製造のための方法であって、タダラフィルが一つまたは複数の適切な賦形剤と混合されて、約100℃から約200℃まで、好ましくは約150℃から約200℃まで、特に約200℃の温度に加熱される方法である。一般に、最も低い温度は対応する賦形剤の軟化点を上回る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】WO 01/08688
【特許文献2】WO 01/08687
【特許文献3】EP 1 269 994 A2
【特許文献4】WO 96/38131
【特許文献5】WO 01/08686
【特許文献6】WO 00/66099
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Daugan A. et al. (2003) J. Med. Chem., 46, 4533-4542
【発明の概要】
【0013】
「約」という用語は、本発明に従って、一般に±5%、特にそれぞれの物理的な量の±2%を意味する。
【0014】
「賦形剤」という用語は一般に広く見られるすべての薬学的賦形剤を含む。
【0015】
本発明に基づく方法に基づいて、前記の不利な点は、タダラフィルが固体または半固体の溶液の形である限り、本質的に克服することができる。固体の溶液は、それらが透明で固体であるという点を特徴とする。半固体の溶液は、それらが透明でペースト状、即ち、液体でないという点を特徴とする。従って、溶液は粘稠性または高い粘稠性(ハチミツのよう)である。透明という用語は、通常は白色の粉末の形であるタダラフィルが適切な賦形剤に溶解することを意味する。
【0016】
固体および半固体の溶液の場合、活性物質が分子分散系である適切なポリマーに分散することから、基本的に集塊はない。これは、ほとんどまたは全く界面活性剤を必要としないという利点を有する。固体および半固体の溶液の場合、静電荷もない。さらに、一般に固体の溶液では、溶解、溶融物の形成および顆粒化は一つの加工工程で行われて、顆粒、ペレット、または極めて優れた流動性を持つ微粒子が製造されて、その後、それらは圧縮される。半固体の溶液の場合も、溶解および増粘が一つの工程で行われて、その後、カプセルに充填される。
【0017】
固体および半固体の溶液は、有機溶媒を必要としないという、共沈殿粉末を上回るさらなる利点を有する。従って、本発明に基づく方法は環境に優しい。溶媒の回収は必要ない。例えば、製造物中の溶媒残留のリスクもなければ、爆発のリスクもない。また加工工程は極めて少なくかつ短く、加工中の活性物質の変性のリスクが低減する。さらに、共沈殿粉末と比べて、粉砕した押し出し物は優れた流動特性を有して、錠剤化およびカプセル充填において優れた計量一貫性が確保される。
【0018】
特定の態様において、賦形剤の実質的に完全な溶融を達成するために、混合物は約2時間まで、例えば、約1時間から約3時間、特に約1.5時間から約2.5時間、とりわけ約2時間、加熱される。この加熱は通常のストーブで実施することができる。ホモジナイザーを使用する場合は、加熱時間は1時間よりも大幅に短くすることができて、押し出し成形機を使用する場合は加熱時間は約1分から約5分とすることができる。
【0019】
以下は、本発明に従って賦形剤または溶媒として特に適切であることが証明されている:ポリエチレングリコール(PEG)、コポビドン、モノステアリン酸ポリオキシエチレングリコール、グリセロール−リシノール酸ポリエチレングリコール、ポリビニル-ピロリドンおよび/またはビニルポロリドン−酢酸ビニルコポリマー。PEGは、特にPEG 200、PEG 400、PEG 600、PEG 800、PEG 1500、PEG 4000、PEG 6000、PEG 8000、PEG 10000および/またはPEG 2000から、好ましくはPEG 400、PEG 4000、PEG 6000および/またはPEG 20000から、特にPEG 400および/またはPEG 4000から選択される。ポリビニルピロリドンは好ましくは約40000の分子量を持ち、ビニルピロリドン−酢酸ビニルコポリマーは好ましくは約60000の分子量を持つ。上記の賦形剤に加えて、その他の適切な賦形剤を添加することもできる。
【0020】
好都合なことに、加熱は押し出し成形機で実施することもできて、これにより活性物質および賦形剤または溶媒の均質な押し出し物が得られる。本発明に基づく押し出し成形は、好ましくは約10barから約100barまで、好ましくは約20barから約100barまで、特に約20barから約50barまでの吐出圧で行われる。特に、押し出し成形機が約20℃(注入部温度)から約200℃(排出部温度)までの温度勾配を持つとすれば、それは有利である。例えば、以下の温度勾配(概算値)は、特に、好ましくは約60000の分子量を持つビニルポロリドン−酢酸ビニルコポリマーが賦形剤として用いられる場合に有利である:
勾配1:20−50−100−150−160−200℃、好ましくは約50barの吐出圧、
または特に
勾配2: 20−50−100−150−200−200−200℃、好ましくは約20barの吐出圧。
【0021】
押し出し成形機に依存して、押し出しダイ、スクリューの形状および/または材料処理量、その他のパラメータは、同一の結果、即ち、適切な賦形剤または適切な賦形剤混合物中でタダラフィルの透明な溶液を達成するように、用いることができる。
【0022】
以下の賦形剤または溶媒は、本発明に従って押し出し成形加工において特に有利であることが証明されている:ポリビニルピロリドンおよび/またはビニルピロリドン−酢酸ビニルコポリマー、特に約40000の分子量を持つポリビニルピロリドンおよび/または約60000の分子量を持つビニルポロリドン−酢酸ビニルコポリマー。
【0023】
本発明に基づく方法を用いて、驚くべきことに、これまでに公知であるよりもさらに高い割合の固体または半固体の溶液中のタダラフィルを得ることができた。従って、固体もしくは半固体の溶液中または押し出し物中のタダラフィルの割合は、本発明に従って、約2重量%から約15重量%、好ましくは約3重量%から約10重量%、特に約5重量%から約10重量%、とりわけ約7.5重量%から約10重量%とすることができる。本発明の例に従って、本発明に基づく押し出し成形加工では、約7.5重量%のタダラフィルが溶解可能であり、その他の場合は実に10重量%のタダラフィルが可能であった。
【0024】
本発明に従って、タダラフィルの経口の薬学的製剤を本実施例に従って製造することができる。特に、さらなる薬学的賦形剤としてLudipress(登録商標)もしくはKollidon(登録商標)、特にKollidon(登録商標)CL、またはAvicel(登録商標)、特にAvicel(登録商標)PH 102およびPrimojel(登録商標)の混合物;AvicelおよびKollidon(登録商標)、特にKollidon(登録商標)CLの混合物;Fujicalin(登録商標)およびKollidon(登録商標)、特にKollidon(登録商標)CLの混合物;L-HPCおよびLH11の混合物、ならびにPrimojel(登録商標)およびAc-Di-Sol(登録商標)の混合物を含む薬学的製剤が有利であった。驚くべきことに、タダラフィルおよびKollidon(登録商標)VA 64の純粋な押し出し物は、この場合において活性物質が最も早く放出されることから、特に有利であった。
【0025】
従って、本発明のもう一つの目的は、上記にさらに詳細に記載する通り、タダラフィルの固体または半固体の溶液を含み、本発明に基づく方法によって製造することができる医用薬でもある。特に、タダラフィルの固体の溶液は押し出し成形によって製造される。従って、医用薬はタダラフィルの固体または半固体の溶液を含み、好ましくはタダラフィルの80%がインビトロにおいて8〜120分後に、特に20分後に放出される。医用薬は例えば錠剤またはカプセルの形であり、好都合なことに、さらなる薬学的賦形剤を伴わない。カプセルは特に、例えばゼラチンまたはHPMCをベースとする硬カプセルである。
【0026】
ヒトにおける経口使用のための活性物質の用量は一般に一日当たり約1〜20mgの範囲である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
次の実施例は、本発明を制限することなくさらに説明することを目標とする。
【0028】
実施例
薬学的賦形剤および略号
Ac-Di-Sol(登録商標)(FMC Corp.):クロスカルメロース(架橋結合したカルボキシメチルセルロースナトリウム)
Aerosil(登録商標)(Degussa GmbH)細かく分散した親水性シリカ
Avicel(登録商標)(102/200;FMC Corp.):微晶性セルロース
Cellactose(登録商標)(Molkerei Meggle Wasserburg GmbH & Co. KG):75%α-ラクトース一水和物および25%セルロース粉末の噴霧乾燥した混合物
Cetiol(登録商標)(Cognis GmbH):オレイン酸オレイルエステル
CMC:カルボキシメチルセルロース
Cremophor(登録商標)(BASF AG):グリセロール−リシノール酸ポリエチレングリコール
DEP:フタル酸ジエチル
DBS:セバシン酸ジブチル
Emdex(登録商標)(J. Rettenmaier & Sohne GmbH & Co. KG):93〜99%デキストロースを含むマルトデキストリン
Eudragit(登録商標)(Rohm & Haas GmbH):アクリルポリマー
Flowlac(登録商標)(Molkerei Meggle Wasserburg GmbH & Co KG):噴霧乾燥したα-ラクトース一水和物
Fujicalin(登録商標)(Fuji Chemical Industry Co., Ltd.):リン酸水素カルシウム二水和物
Gelucire(登録商標)(Gattefosse):水素化した植物油をベースとする半合成グリセリド
GMS:モノステアリン酸グリセロール
HPMC:ヒドロキシプロピルメチルセルロース
Klucel(登録商標)(Hercules Inc.):ヒドロキシプロピルセルロース
Kollidon(登録商標)CL(BASF AG):クロスプロビドン(架橋結合したポリビニルピロリドン)
Kollidon(登録商標)VA 64(BASF AG):コポビドン(ビニルピロリドンおよび酢酸ビニルのコポリマー;平均分子量 60000±15000)
Kollidon(登録商標)30(BASF AG):分子量 約40000のポリビニルピロリドン
Labrafil(登録商標)(Gattefosse):エステル交換してポリエトキシル化した非イオノゲントリグリセリド
L-HPC(Shin-Etsu Chemical Co., Lte):低置換型ヒドロキシプロピルセルロース
Lubritab(登録商標)(Penwest Pharmaceuticals Co.):水素化した植物油
Ludipress(登録商標)(BASF AG):ラクトース一水和物(約93.4%)、Kollidon(登録商標)30(分子量 約40000のポリビニルピロリドン;約3.2%)、Kollidon(登録商標)CL(架橋結合したポリビニルピロリドン;約3.4%)および水(≦6%)を含む組成物。
Lutrol(登録商標)(BASF AG):PEG
Microcelac(登録商標)(Molkerei Meggle Wasserburg GmbH & Co. KG):微晶性セルロース(25%)およびα-ラクトース一水和物(75%)の噴霧乾燥した組成物。
Miglyol(登録商標)(SASOL Germany GmbH):カプリル−カプリン酸トリグリセリド
PEG:例えば4000、6000、8000および20000の対応する分子量を持つポリエチレングリコール
Pharmacoat(登録商標)(Shin-Etsu Chemical Co., Ltd):ヒドロキシプロピルメチルセルロース
Pluronic(登録商標)(BASF AG):ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマー
Povidon:ポリビニルピロリドン
Primojel(登録商標)(Avebe B.A.):カルボキシメチルセルロースナトリウムおよび澱粉をベースとする崩壊剤
PRUV(登録商標)(JRS Pharma GmbH & Co. KG):フマル酸ステアリルナトリウム
PVA:ポリビニルアルコール
PVP:ポリビニルピロリドン
PVP-VA:ビニルピロリドンおよびビニルアルコールのコポリマー
SDS:ドデシル硫酸ナトリウム
Solutol(登録商標)(BASF AG):ジエチレングリコールモノエチルエーテル
Tagat(登録商標)(Goldschmidt AG):モノステアリン酸ポリオキシエチレングリコール
TEC:クエン酸トリエチル
【0029】
実施例1
ポリマー溶融物におけるタダラフィルの溶解試験
タダラフィル 0.5gをポリマー 4.5gと混合(ホモジナイズ)して、2時間にわたってストーブで200℃まで加熱した。続いて、それを室温まで冷却した(1時間)。活性物質の割合は10重量%であった。
【0030】
溶解試験の結果、タダラフィルはこれらの条件下においてPEG 4000、PEG 6000、PEG 8000、PEG 20000およびKollidon(登録商標)VA64に非常によく溶解して、溶解はPEG 4000(Lutrol(登録商標)4000 P)の場合が最適であった。これに続いて、Kollidon(登録商標)VA64であった。PEG 6000、PEG 8000(Lutrol(登録商標)8000 P)およびPEG 20000も適切であった。
【0031】
実施例2
脂質ポリマーにおけるタダラフィルの溶解試験
1.タダラフィル 0.5gを液体賦形剤 4.5gと混合して、2時間、超音波処理した。これらの条件下においてタダラフィルは未溶解のままであった。さらに80℃まで2時間加熱したが、活性物質の溶解は得られなかった。
2.もう一つの実験において、タダラフィル 0.5gを液体賦形剤4.5gと混合して(活性物質の割合:10重量%)、ストーブで2時間にわたって200℃に加熱した。続いて、それを室温まで冷却した(1時間)。
【0032】
これらの溶解試験の結果、タダラフィルはこれらの条件下においてTagat(登録商標)、PEG 400およびCremophor(登録商標)ELに非常によく溶解して、この場合もPEG 400が再び最も優れた結果を示した。
【0033】
実施例3
溶融物押し出し成形
溶融物押し出し成形のために、92.5重量%のKollidon(登録商標)VA 64および7.5重量%のタダラフィルを混合した。続いて、それらをTurbula T10Bミキサーで5分間混合して、次にQuadro Comil U5ミルにおいて1000rpmで、1000rpmで1000μmの篩にかけた。その後、それをTurbula T10Bミキサーで改めて30分間混合した。
【0034】
混合物に応じて、押し出し成形は排出部温度 60〜200℃および吐出圧 10〜100barで実施した。押し出し成形機は個別に加熱可能な7本のバレルを持ち、材料はその内部の2つのスクリューによって注入部から吐出ノズルまで運搬される。バレル1は注入部であり、粉末混合物はここに投入される。バレル7は排出部、即ち、押し出しダイである。バレルは使用前に数時間予熱した。押し出し成形のために異なる温度勾配が設定されて、以下の2つは特に適していることが証明された。
a:20/50/100/150/160/160/200℃;全圧力 〜50bar
b:20/50/100/150/200/200/200;全圧力 〜20bar
【0035】
選択された条件において、押し出し物は直径 1.0〜1.5mmの撚り線の形で得られて、これを室温まで冷却した後、2段階の工程で粉砕した。平均的な粒子サイズは約1000μmであった。続いて、生成物の透明度を調べた。上記の温度勾配によって透明な生成物が得られることが明らかとなった。従って、それがKollidon(登録商標)VA 64におけるタダラフィルの固体溶液であった。
【0036】
実施例4
押し出し物の安定性
タダラフィルの安定性を調べるために、実施例3の押し出し物bを40℃において4週間保存した。試験は、化学的純度および押し出し物からのタダラフィルの放出に関して、保存した押し出し物および押し出し成形直後の保存していない押し出し物の間に本質的に差異がないことを示した。
【0037】
実施例5
押し出し物からの錠剤の製造
実施例3からの押し出し物bをComilで粉砕して篩にかけた。続いて、それを賦形剤と混合して、混合物を340mgの錠剤に圧縮した。1000μmの篩にかけた粉砕した押し出し物を製剤1A〜1Hのために使用した。製剤2A〜2Fには、粉砕した押し出し物を先ず800μmの篩に掛けて、続いて500μmの篩にかけた。
【0038】
【表1】


【0039】
錠剤1Dおよび1Gならびに2A〜2Fは最も優れた(機械的)安定性を示した。
【0040】
実施例6
固体タダラフィル溶液を用いた速放性硬カプセルの製造
活性物質(1)、および例えばKollidon(登録商標)VA64、Kollidon(登録商標)30、その他のいくつかのPVPポリマーまたはPEGもしくはHPMCに代わるポリマーのようなポリマー(2)の溶融押し出し物を任意の所望の粒子サイズ分布まで粉砕して、任意で篩にかける。任意で、顆粒は、例えばステアリン酸マグネシウム、タルクおよび/またはコロイドケイ酸のようなさらなる賦形剤(3)でコーティングすることができる。続いて、例えばゼラチンまたはHPMCをベースとする硬カプセルのようなカプセル(4)に顆粒を充填する。任意で、押し出し成形の前または後に、例えばSDSのような溶解性促進物質を加えることができる。タダラフィル 20mgの活性物質の量を有する適切な硬カプセルは次の組成を持つ。
【0041】
【表2】

【0042】
実施例7
固体タダラフィル溶液を含む速放性錠剤の製造
活性物質(1)、および例えばKollidon(登録商標)VA64、Kollidon(登録商標)30、その他のいくつかのPVPポリマーまたはPEGもしくはHPMCに代わるポリマーのようなポリマー(2)の溶融押し出し物を任意の所望の粒子サイズ分布まで粉砕して、任意で篩にかける。続いて、粒子を例えばセルロース、セルロース誘導体、澱粉、澱粉誘導体、PVP、ラクトース、糖もしくは糖アルコール、PEG、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、カラギーナン、カオリンおよび/またはシリカのようなその他の賦形剤と混合して、次に、例えばフマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、水素化した植物油、酸化エチレンのような潤滑剤と混合した;モノ-、ジ-もしくはトリ-ステアリン酸グリセロール、タルク、および/またはSDSを加えた。その後、混合物を圧縮して錠剤として、さらなる賦形剤および色素の水性または有機性分散系でコーティングした(4)-(7)。これらのさらなる賦形剤は、例えば、コーティング物質であるHPMC、ポリメタクリル酸塩、PVA、PVP、PEG、CMCならびに/またはPVA、PVPおよびPEGのコポリマー(4)、可塑剤であるセバシン酸ジブチル、PEG、プロピレングリコール、TEC、DBTおよび/またはDEP(5)、ならびにステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、水素化した植物油、酸化エチレン;固着に対する水分保護としてのモノ-、ジ-もしくはトリ-ステアリン酸グリセロール、タルク、および/またはSDSである(6)。任意で、押し出し成形の前または後に例えばSDSのような溶解性促進剤を加えることができる。タダラフィル 20mgの活性物質の量を含む適切な硬カプセルは次の組成を持つ。
【0043】
【表3】

【0044】
実施例8
タダラフィルの半固体溶液を含むカプセルの製造
活性物質を、例えば、PEG 600、Tagat(登録商標)および/またはCremophor(登録商標)ELのような加熱した賦形剤(2)に溶解して、加熱および任意で超音波処理した後、例えば、Aerosil(登録商標)200またはシリカ、ヒドロキシエチルセルロースもしくはその他のセルロースエーテルのような賦形剤(3)と混合して、半固体物質に適したホモジナイザーで混合して冷却する。半固体物質用のカプセル充填装置を用いて、半固体の集塊を硬カプセルに充填する。任意で、押し出し成形の前または後に、例えばSDSのような溶解性促進剤を加えることができる。タダラフィル 20mgの活性物質の量を含む適切な硬カプセルは次の組成を持つ。
【0045】
【表4】

【0046】
シリカの代わりに、増粘剤としてセルロースまたはHPCを用いることも可能である。
【0047】
実施例9
活性物質放出試験
タダラフィルの放出に関する試験は、37℃の水(pH 7;0.5% SDS)1000mLを用いて50rpmにて実施した(US Pharmacopoeia, Apparatus IIに基づく方法)。
【0048】
錠剤1Dおよび1Gを用いたインビトロにおける放出試験は、活性物質の80%が約50〜60分後(1D)または約120分後(1G)に放出されることを示した。しかし、実施例3の押し出し物bからの純粋な顆粒は、活性物質であるタダラフィルの80%が約8〜10分後には既に放出されるように、前記の錠剤よりも極めて速やかなインビトロにおける放出を示した。
【0049】
賦形剤を変えることによって、約20分後にタダラフィルの80%が放出されるように、押し出し物を伴う組成物の放出に影響を及ぼすことが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タダラフィルを含む医用薬の製造のための方法であって、タダラフィルが一つまたは複数の適切な賦形剤と混合され、かつ約100℃から約200℃まで、好ましくは約150℃から約200℃まで、および特に約200℃の温度に加熱される方法。
【請求項2】
賦形剤がポリエチレングリコール(PEG)、コポビドン、モノステアリン酸ポリオキシエチレングリコール、グリセロール−リシノール酸ポリエチレングリコール、ポリビニル−ピロリドンおよび/またはビニルピロリドン−酢酸ビニルコポリマーから選択されることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
PEGがPEG 200、PEG 400、PEG 600、PEG 800、PEG 1500、PEG 4000、PEG 6000、PEG 8000、PEG 1000および/またはPEG 20000から、特にPEG 400、PEG 4000、PEG 6000および/またはPEG 20000から、ならびにとりわけPEG 400および/またはPEG 4000から選択されることを特徴とする、請求項2記載の方法。
【請求項4】
ポリビニルピロリドンが約40000の分子量を持ち、かつビニルピロリドン−酢酸ビニルコポリマーが約60000の分子量を持つことを特徴とする、請求項2記載の方法。
【請求項5】
加熱が押し出し成形機またはホモジナイザー内で行われることを特徴とする、請求項1〜4の少なくとも一項記載の方法。
【請求項6】
ポリビニルピロリドンおよび/またはビニルピロリドン−酢酸ビニルコポリマー、特に約40000の分子量を持つポリビニルピロリドンおよび/または約60000の分子量を持つビニルピロリドン−酢酸ビニルコポリマーが押し出し成形中に賦形剤として用いられることを特徴とする、請求項5記載の方法。
【請求項7】
医用薬においてタダラフィルの割合が約2重量%から約15重量%、好ましくは約3重量%から約10重量%、特に約5重量%から約10重量%、およびとりわけ約7.5重量%から約10重量%であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項記載の方法。
【請求項8】
請求項1〜8の少なくともいずれか一項に従う方法によって製造することができることを特徴とする、タダラフィルの固体または半固体の溶液を含む医用薬。
【請求項9】
錠剤またはカプセル、好ましくは硬カプセルの形であることを特徴とする、請求項8記載の医用薬。
【請求項10】
タダラフィルの80%がインビトロにおいて8〜120分後、好ましくは20分後に放出されることを特徴とする、タダラフィルの固体または半固体の溶液を含む医用薬。
【請求項11】
請求項1〜8の少なくともいずれか一項に従う方法によって製造することができることを特徴とする、請求項11記載の医用薬。

【公表番号】特表2010−530858(P2010−530858A)
【公表日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−512607(P2010−512607)
【出願日】平成20年6月23日(2008.6.23)
【国際出願番号】PCT/EP2008/005066
【国際公開番号】WO2009/000493
【国際公開日】平成20年12月31日(2008.12.31)
【出願人】(509350608)ラティオファーム ゲーエムベーハー (3)
【Fターム(参考)】