説明

タッチスイッチ及びそれを備える車室用照明装置

【課題】複数の操作面が並んで設けられ、隣り合う操作面の境界付近が触れられたときであっても適切なスイッチ動作をすることができ、各操作面の大きさや内部の構造にかかわらず操作性に優れたタッチスイッチ及びそれを備える車室用照明装置を提供する。
【解決手段】本タッチスイッチ1は、並んで設けられる2以上の操作面21、22と、操作面毎に設けられ、操作面又はその直下に形成された導電体の配線パターンからなる電極部31、32等と、各電極部と接続され、人体が各操作面に近接又は接触するときに生じる静電容量の変化を各電極部により検出してスイッチ動作を行う制御部4とを備える。少なくとも1つの電極部の配線パターンは、隣接する操作面との境界近傍部の配線が、隣接する操作面に設けられている電極部の配線よりも疎に形成される。これにより、隣接するスイッチの間での誤検出や不測の作動を減らすことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複数の操作部が隣接して設けられるタッチスイッチ及びそれを備える車室用照明装置に関し、詳しくは、操作部の大きさや配列、構造にかかわらず人体の接触を適切に検知することができ、操作性に優れたタッチスイッチ及びそれを備える車室用照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等の室内の天井等に設けられている車両用室内灯など車室用照明装置に用いるスイッチとして、人体の接触による静電容量の変化を検出することによってスイッチ動作を行うタッチスイッチが検討されている。タッチスイッチを用いれば、操作面を光源と一体に設けることができ、光源自体の部位に触れることによって照明をオン、オフするようにすることができるため、コンパクトで操作性に優れた車室用照明装置とすることができる。
しかし、車室用照明装置では、例えば車室内全体を照明するためのドームランプと各席を個別に照明するためのスポットランプ等、複数の光源が天井の一箇所に並べて設けられる場合も多い。このような場合、それぞれの光源を操作する複数の操作面を並べて設ける必要があり、その操作面毎の人体の接触を検出する検出部が隣接して配設されることになるため、各操作面の境界付近に人体が触れたときに誤操作が生じるという問題がある。また、このようなときには、いずれの操作面に人体が接触したかを正確に判定することが困難であるため、隣接する双方のスイッチが同時に反応することを避け、スイッチ動作が不規則に行われないように制御することが必要となる。
このような問題に対処するため、人体が検出部に触れている部分の面積を検出して、その接触面積の広さに応じてオン、オフする光源を異ならせる車室内照明装置が開示されている(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−46211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の車室内照明装置は、一箇所に、2つのマップランプと1つのドームランプを配し、これら光源を制御するためのタッチスイッチとして6つの操作面を設けている。また、操作面に近接又は接触している面積の大小を静電容量の大きさで計測し、各操作面について比較することによって制御する光源を決定している。
しかし、操作を行う指先が隣り合う2つの操作面の境界付近に位置する場合は、その2つの操作面に同程度の静電容量の変化が発生して区別が付けられなくなるため、どのスイッチが操作されたか判断が困難であるという問題がある。
また、車室用照明装置の構造によっては、部材の取り付け部や光源の光を通過させる貫通孔等、人体の接触を検出するための電極部を設けることができない部位が生じる。このような部位に人体が接触したときには静電容量の大きさを正しく検出することができないという問題もある。このような部位に接触等がされた場合にも、他の部位と同様に静電容量の変化を検出できる手段が望まれていた。
【0005】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたもので、複数の操作面が並んで設けられ、隣り合う操作面の境界付近が触れられたときであっても適切なスイッチ動作をすることができ、各操作面の大きさや内部の構造にかかわらず操作性に優れたタッチスイッチ及びそれを備える車室用照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記問題点を解決するために、本第1発明のタッチスイッチは、並んで設けられる2以上の操作面と、前記操作面毎に設けられ、該操作面又はその直下に形成された導電体の配線パターンからなる電極部と、各前記電極部と接続され、人体が各前記操作面に近接又は接触するときに生じる静電容量の変化を各該電極部により検出してスイッチ動作を行う制御部と、を備えるタッチスイッチであって、少なくとも1つの前記電極部の配線パターンは、隣接する前記操作面との境界近傍部の配線が、該隣接する操作面に設けられている電極部の配線よりも疎に形成されていることを要旨とする。
【0007】
本第2発明は、前記第1発明において、前記2以上の操作面は、第1操作面と、該第1操作面と隣接し該第1操作面よりも面積が小さい第2操作面とを含み、前記第2操作面に設けられる前記電極部の配線パターンは、前記第1操作面に設けられる電極部の配線よりも密に形成されていることを要旨とする。
本第3発明は、前記第2発明において、前記第1操作面に設けられる電極部の中央部の配線パターンは、前記第2操作面との境界近傍部の配線よりも密に形成されていることを要旨とする。
本第4発明は、前記第1乃至3発明のいずれかにおいて、前記電極部の一部に前記配線パターンがない非配線領域が設けられており、該非配線領域の近傍部の配線パターンはその周辺部の配線よりも密に形成されていることを要旨とする。
【0008】
本第5発明の車室用照明装置は、前記第1乃至第4発明のいずれかのタッチスイッチを備え、前記制御部は、各前記操作面への人体の近接又は接触を検出して対応する車室内の照明を制御することを要旨とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明のタッチスイッチによれば、隣接する複数の操作面を備え、一つの操作面に設けられる電極部の隣接する操作面との境界近傍の導電体配線パターンを、隣接する操作面に設けられる配線パターンよりも疎にすることによって、境界近傍に人体が近接又は接触したときの静電容量の変化を少なくすることができる。すなわち、当該境界近傍は、隣の操作面の電極部よりも人体の検出感度を低下させている。このため、操作を行う指先が隣り合う2つの操作面の境界付近に触れた場合には、配線パターンが相対的に密であって検出感度が高い側の電極部によって接触等を検出することができる。これにより、操作が隣り合う2つの操作面の境界位置になされた場合には、常に優先的に作動させる操作面を設定しておくことが可能になる。
【0010】
また、第1操作面と、第1操作面と隣接し第1操作面よりも面積が小さい第2操作面とを備え、前記第2操作面に設けられる前記電極部の配線パターンは、前記第1操作面に設けられる電極部の配線よりも密に形成されている場合は、小さな第2操作面に触れようとして、触れる位置が隣の大きな第1操作面の近くになっても、第2操作面の方が相対的に検出感度が高くされているため所望の操作を検知することができ、より操作性をよくすることができる。また、面積が小さな第2操作面と大きな第1操作面との間に触れられた場合に、小さな操作面に対する操作を優先的に作動させることができる。
前記第1操作面に設けられる電極部の中央部の配線パターンは、前記第2操作面との境界近傍部の配線よりも密に形成されている場合は、面積の大きい第1操作面の中央部に人体が触れたときの静電容量の変化が大きくなり、検出感度を高めることができる。これにより、第1操作面の第2操作面との境界部では検出感度を低くし、操作者が触れ易い中央部では検出感度が高くなるため、操作面の面積の大小にかかわらず同程度の検出感度とすることができ、更に操作性を向上させることができる。
前記電極部の一部に前記配線パターンがない非配線領域が設けられており、該非配線領域の近傍部の配線パターンはその周辺部の配線よりも密に形成されている場合は、非配線領域上の操作面の部位を人体が触れたときの検出感度が高められるため、タッチスイッチの構造によらず操作者が操作面のどこに触れても容易に検出することができ、操作性をよくすることができる。
【0011】
本発明のタッチスイッチを備える車室用照明装置によれば、複数の操作面毎に、また1つの操作面内の部位毎に、人体の近接又は接触の検出感度を最適に設定することができ、隣接するスイッチの間での誤検出や不測の作動を減らすことができる。これにより、狭くて視認し難い場所に設けられている車室用照明装置であっても操作性に優れ、操作者は不安なく操作を行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本発明について、本発明による典型的な実施形態の非限定的な例を挙げ、言及された複数の図面を参照しつつ以下の詳細な記述によって更に説明するが、同様の参照符号は図面のいくつかの図を通して同様の部品を示す。
【図1】タッチスイッチの構成を表わすブロック図である。
【図2】電極部の導電体の配線パターン例を説明するための模式図であって、(a)1面に形成された導電体、(b)密な網目状に形成された導電体、(c)疎な網目状に形成された導電体、(d)櫛歯状に形成された導電体を表わす。
【図3】タッチスイッチを備える車室用照明装置を示す正面図である。
【図4】タッチスイッチを備える車室用照明装置を分解してその構造を表わす説明図である。
【図5】車室用照明装置の電極部の導電体配線パターンを説明するための正面図である。
【図6】人体が操作面に触れる状態を説明するための模式図である。
【図7】電極部の異なる配線パターンによる静電容量の検出値の違いを説明するためのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図1〜7を参照しながら本発明のタッチスイッチ及びそれを備える車室用照明装置を詳しく説明する。
ここで示される事項は例示的なもの及び本発明の実施形態を例示的に説明するためのものであり、本発明の原理と概念的な特徴とを最も有効に且つ難なく理解できる説明であると思われるものを提供する目的で述べたものである。この点で、本発明の根本的な理解のために必要である程度以上に本発明の構造的な詳細を示すことを意図してはおらず、図面と合わせた説明によって本発明の幾つかの形態が実際にどのように具現化されるかを当業者に明らかにするものである。
【0014】
1.タッチスイッチ
図1は、本実施形態に係るタッチスイッチの構成を表わすブロック図である。タッチスイッチ1は、並んで設けられている2つの操作面(21、22)と、操作面毎に設けられ、操作面の直下に形成された導電体の配線パターンからなる電極部(31、32)と、各電極部と接続され、人体(手指等)9が各操作面に近接又は接触するときに生じる静電容量Cの変化を各電極部により検出してスイッチ動作を行う制御部4と、を備えている。
【0015】
前記操作面(21、22等)は、人が手指等で操作するときに近接又は接触するように配設される操作エレメントの表面をいう。本タッチスイッチでは、2以上の操作エレメントが並べて配設される。各操作面の形状、大きさ、構造、材質等は特に限定されない。また、操作面は、2つ以上の任意の数を並べて設けられ、それぞれの大きさ(面積)は異なっていてもよい。隣り合う2つの操作面同士は、隙間なく並べられていてもよいし、隙間を挟んで並べられていてもよい。また、2以上の操作面が1列に並べて設けられていてもよいし、縦横に並べて設けられていてもよい。更に、他の操作面から離れて配設されている操作面があってもよい。
【0016】
操作エレメント毎に、前記操作面の面上又はその面の直下に電極部(31、32等)が設けられる。電極部は、操作面に人体が近接又は接触したときの静電容量の変化を検出するための電極となる。この電極部は、操作面となる部材に設けられてもよいし、操作面の下方に配設される樹脂基板等の部材に設けられてもよい。電極部は、線状、膜状等の導電体を任意のパターンで配線することによって形成することができ、その構造、材質や、配線パターンの形成方法等は特に限定されない。操作面への人体の「近接又は接触」とは、人体の掌や手指等を操作面に近付け、又は操作面に触れる形態をいうものとする(以下、「接触等」という。)。人体が操作面に接触等すると、人体はその操作面に対応して設けられている電極部に近接することとなる。このため、操作面への人体の接触等により、電極部に生じる静電容量が変化する。
【0017】
前記制御部4は、各操作エレメントに設けられた電極部(31、32等)と接続されており、各操作面に人体が接触等したときに電極部に生じる静電容量の変化を検出するように構成される。静電容量の変化の検出方法は特に問わない。制御部4には、静電容量を検出するために各電極部に供給する電気信号(直流信号であっても交流信号であってもよい。)の出力回路や、各電極部に生じる静電容量の計測回路等を備えることができる。また、各電極部に生じる静電容量の大きさによって人体が近接又は接触しているか否かの判定を行う判定部、その判定結果を外部に出力する出力部を備えて構成することができる。例えば、図1において、人体9が操作面21に触れたときにはスイッチ信号S1をオンとし、操作面22に触れたときにはスイッチ信号S2をオンとするように構成し、スイッチ信号S1、S2により照明用光源等を制御することができる。
制御部4は、ハードウェア、ソフトウェアのいずれによって実現されてもよく、好適には、CPU、メモリ(ROM、RAM等)、入出力回路等を備えるマイクロコントローラ(マイクロコンピュータ)を中心に、入出力インターフェース等周辺回路を備えることにより構成することができる。また、プログラム可能な論理回路、ゲートアレーその他の論理回路を用いて構成されてもよい。
【0018】
前記電極部は、前記操作面とほぼ同じ面積、ほぼ同じ形状の範囲で設けることができる。また、電極部の導電体の配線パターンは任意に選択することができる。図2は、電極部(31、32等)に形成される導電体の配線パターンの例を表している。同図(a)は、導電体61をある領域の全面に形成する例である。同図(b)及び(c)は、導電体61を網目状に形成した例を表している。同図(b)は、(c)に比べて導電体61に囲まれた領域62の面積が狭く、導電体61が密に配線されている。また、同図(d)では、導電体61が櫛歯状に形成されている。この他、導電体61の配線形態は適宜選択されればよい。
【0019】
電極部の配線パターンは、前記操作面毎に、また1つの操作面に設けられる電極部の部分(領域)により、異なったパターンとすることができる。人体が操作エレメントの電極部に近付けられたときには、当該電極部に生じる静電容量が増加する。また、一般に誘電体によって電極に生じる静電容量はその電極の面積に比例するため、電極部が同じ面積であれば、配線パターンが密であるほど、人体が接触等したときに電極部に生じる静電容量は大きくなる。
図1において、人体9が近づく方向から見た電極部の導電体の面積が大きければ、電極部に生じる静電容量は大きくなる。したがって、配線パターンの配線を密に(単位面積当りの導電体の合計面積を大きく)形成すれば電極部に生じる静電容量が大きくなり、配線を疎に(単位面積当りの導電体の合計面積を小さく)形成すれば静電容量が小さくなる。したがって、静電容量の変化を同じレベルで計測することとすれば、同じ面積の電極部であっても配線パターンによって人体の接触等の検出感度を変えることができるといえる。検出感度を高めたい操作面又は操作面の部分は配線を密にし、検出感度を低くしたい操作面又は操作面の部分は配線を疎にすればよい。
【0020】
少なくとも1つの操作面に設けられている電極部の配線パターンは、隣接する操作面との境界近傍部の配線を、該隣接する操作面に設けられている電極部の配線よりも疎に形成することができる。例えば、図1において、操作面21と22とは隣接している。この場合、操作面21側に設けられている電極部31において、隣の操作面22に近い一定の領域(境界近傍部311)の配線を、操作面22側に設けられている電極部32の配線よりも疎とすることにより、境界近傍部311の人体検出感度を低くしておくことができる。ここで境界近傍部311は、操作面の形状や操作面同士の隙間等によって定められればよく、例えば、隣接する操作面との境界から一定の距離(指先の大きさ程度)の範囲とすることができる。このようにすることで、人体9が操作面21と22との境界付近に接触等した場合には、配線がより密である電極部32の方が検出感度が高いため、操作面22に接触等されたものと判定することができる。すなわち、操作面21と22との境界付近に接触等されたときには、操作面22の検知を優先させる処理とすることができる。
【0021】
また、前記2以上の操作面は、第1操作面と、該第1操作面と隣接し該第1操作面よりも面積が小さい第2操作面とを含み、第2操作面に設けられる電極部の配線パターンを、第1操作面に設けられる電極部の配線よりも密に形成することができる。例えば、図1において、操作面21は22よりも面積が大きく、第1操作面21及び第2操作面22とする。この場合、面積が小さい第2操作面22側の電極部32の配線パターンを、第1操作面21側に設けられる電極部31の配線よりも密に形成しておく。これによって、面積の小さい第2操作面への人体の接触等の検出感度を相対的に高めることができる。
【0022】
また、前記第1操作面に設けられる電極部の中央部の配線パターンを、前記第2操作面との境界近傍部の配線よりも密に形成しておくことができる。例えば、図1において、面積が大きい第1操作面21側の電極部31において、その中央部312の配線を境界近傍部311の配線よりも密に形成する。これによって、電極部31の中央部312の検出感度が相対的に高くなるため、人体9の第1操作面21の中央部への接触等を確実に検出することができる。
【0023】
更に、前記操作エレメントの構造等によって、1つの操作面に対応する電極部の領域の一部に導電体の配線を設けることができない場合がある。例えば、電極部を設ける基材に部材取り付け用の孔が空けられていたり凹凸があったりする場合である。このような場合、その領域は配線パターンがない非配線領域となり、それに対応する操作面の部位への人体の接触等の検出感度が低下してしまう。このため、非配線領域の近傍部の配線パターンをその周辺部の配線よりも密に形成することによって、感度低下を補うことができる。非配線領域の近傍部とは、非配線領域を取り巻く一定の領域をいう。その非配線領域の近傍部を、例えば図2(a)に示したような1面の導電体パターンとすることによって、非配線領域による部分的な操作面の検出感度低下が防止される。
【0024】
2.タッチスイッチを備える車室用照明装置
以上に説明したタッチスイッチは、屋内や車室内等で、各種装置・機器の操作スイッチとして任意の用途に用いることができる。車両用途では、例えば、車室用照明装置や加飾パネル、表示パネル、空調装置等、狭い場所に複数の操作スイッチを配設してそれらを操作するためのタッチセンサとして適用することができる。
図3は、本タッチスイッチを用いた車室用照明装置の例を示している。この車室用照明装置2は車両の天井に設けられ、中央に1つの第1操作面21と、その左右側に第1操作面21よりも面積が小さな2つの第2操作面22を備えている。第1操作面21の下方(図の奥側)には車室全体を照明するための第1光源部(ドームランプ)、第2操作面22の下方には左右各席を照明するための第2光源部(スポットランプ)が組み込まれている。いずれかの操作面に手指等が触れられると、制御部4(図示せず)により電極部に生じる静電容量の変化が検出され、当該操作面に対応する光源部がオン、オフするように構成されている。
【0025】
図4は、前記車室用照明装置2の構造を説明するための分解図である。車室用照明装置2は、各操作面とレンズを兼ねた外装板13と、第1光源部の光を全体に配光する配光フィルム14と、各電極部、第1光源部、第2光源部及び操作面毎のインジケータの光源を設けた配線基板15と、ベゼル16と、を積層するように組み合わせて構成されている。制御部4は、例えば配線基板15等に組み込まれていてもよいし、他の場所(例えば別のECU等)に設けられて各電極部及び各光源部と接続されてもよい。
【0026】
図5は、前記配線基板15上の電極部等の配置を示している。配線基板15には、外装板13に設けられた第1操作面21の直下に位置する電極部31、及び第2操作面22の直下に位置する電極部32を備える。また、配線基板15には、外装板13の全体(又は主として第1操作面21部)から外部に光を放出する第1光源11、及び左右の各第2操作面22部を介して外部に光を放出する各第2光源12を備えている。更に、配線基板15の裏側には、インジケータの光源17を備えている。
第1光源11、第2光源12及びインジケータの光源17には、いずれもLED等を用いることができる。第1光源11から発せられる光は、配光フィルム14によって外装板13全体から放出されるようにすることができる。また、インジケータの光源17から発せられる光は、配線基板15に設けられている貫通孔213、223から表側に到達する。
【0027】
前記第1電極部31及び第2電極部32は、それぞれ第1操作面21及び第2操作面22への人体の接触等を検出するための電極であり、図5に示されるように、電極部により、また1つの電極部内の領域により、異なる配線パターンが適用されている。
第1電極部31の中央部312、及び第2電極部32は、導電体の配線が密に形成されている(図2(b)参照)。これにより、第1操作面21の中央部212と第2操作面22とでは、人体の接触等をほぼ同程度に検出するようにすることができる。また、配線の疎密の程度により、第1操作面全体として、第2操作面の検出感度と同程度とすることもできる。
【0028】
上記に比べて、第2操作面と距離が近い第1電極部31の境界近傍部311は、導電体の配線が疎に形成されている(図2(c)参照)。これにより、第1操作面21と第2操作面22との境界近傍へ人体が接触等したときは、その検出感度が第1電極部31よりも第2電極部32の方が高く、制御部4は、第2操作面22への操作と判定することができる。通常、操作者が面積の大きな操作面の中央付近に触れるのは易しいが、面積の小さな操作面の中央付近に適切に触れることは難しいため、第2操作面22に触れようとしたときに第1操作面21との境界付近に触れる可能性が高くなる。即ち、第1操作面21と第2操作面22との境界付近に人体が接触等した場合は、第2操作面22を操作しようとしている可能性が高いと考えることができる。このため、隣り合う操作面の境界付近に触れられた場合には、操作者が小さな操作面に触れようとしたと優先的に判定することが好ましい。
【0029】
また、車室用照明装置2の各操作面には、インジケータ17が設けられている(図5参照)。そしてインジケータ17の光を透過させるため、図5に示すように、配線基板15の第1電極部31及び第2電極部32には、貫通孔213、223が設けられている。これらの貫通孔部は導電体の配線パターンがない非配線領域となるため、各操作面のインジケータ部に人体が接触等するときには、その検出感度が低下する。この感度低下を補うため、各非配線領域の近傍部(313、323)の配線パターンを、その周辺部(312、322)の配線よりも密にしておくことができる。例えば、近傍部313及び323の配線パターンを、図2(a)に示したような導電体を一面に設けたパターンとする。これによって、操作者が操作面上のインジケータ部に触れたときにも、検出感度の低下を防ぎ、確実に検出することが可能になる。
【0030】
制御部4は、第1電極部31及び第2電極部32の静電容量の変化を定期的に計測し、その変化が一定以上であるときに接触等があったと判断して、接触等された操作面に対応する光源11、12をオン又はオフするように構成することができる。また、光源11、12が消灯しているときは、該当するインジケータランプ17の点灯を行うようにすることができる。
【0031】
図6は、車室用照明装置2の電極部を中心とする断面を示している。上記のように構成された車室用照明装置2によれば、使用者が車室全体の照明を必要としているときは、中央の第1電極部31が設けられている第1操作面21に手指91を触れることで第1光源11(ドームランプ)を点灯させることができる。また、部分照明が必要なときは、該当する側の第2操作面22に手指92を触れることにより、対応する第2光源12(スポットランプ)を点灯させることができる。このように、車室用照明装置2は、点灯又は消灯させたい光源11、12がある位置を手指等により触れればよいため、使用者は直感的に点灯又は消灯操作を行うことができる。
また、第1操作面21と第2操作面22との境界近傍に手指93が接触等した場合は、第1電極部31の境界近傍部311の配線パターンが疎となっており検出感度が低いため、相対的に第2電極部32による検出がされ易くなり、第2光源12が点灯することとなる。第2操作面22の面積が狭いため、誤って第1光源11を点灯してしまう可能性を減らすことができる。
【0032】
尚、操作面(電極部)と光源とを1対1に対応させるに限られず、任意に対応させることができる、例えば、1つの光源に対して、それを点灯させるための操作面及び消灯させるための操作面の2つを設けてもよい。また、各操作面に異なる明るさを対応させる等して照明の調光を行うようにしてもよい。
また、メカニカルスイッチと、そのメカニカルスイッチを取り囲むようにタッチスイッチを配設し、メカニカルスイッチの近傍の配線パターンを疎にすることもできる。このようにする場合は、メカニカルスイッチの操作時にタッチスイッチが誤作動をすることを抑制し、且つ、タッチスイッチの感知範囲をメカニカルスイッチの近傍まで広げることができる。
【0033】
3.接触部位の違いによる検出感度の変化
前記車室用照明装置2において、第1電極部31の境界近傍部311の検出感度が他の部位よりも低下しており、且つ導電体の非配線領域213の近傍部の検出感度が他の部位と同等であることを確認するために、次の計測を行った。第1電極部31の中央部312及び第2電極部32の配線パターンは、線幅0.5mmの2mmメッシュとした。また、第1電極部31の境界近傍部311の配線パターンは、線幅0.5mmの4mmメッシュとした。また、非配線領域213の近傍部313は、その全面に導電体を設けた。
静電容量の変化の計測は、図3に示したP1、P2、P3の3つの位置に手指を触れることにより行った。P1点は第1操作面21の中央部312の中央付近であり、P2点は第1操作面21と第2操作面22との境界上であり、P3点は非配線領域213の中心である。静電容量は制御部4の回路(ADコンバータ)を用いて計測した。そして、いずれの点にも手指が触れられていないときの計測値を基準(値0)として、各点に手指が触れられたときの計測値の減少分を「静電容量変動値」として求めた。
【0034】
上記の方法で各点について20回計測した静電容量変動値を、図7に示す。同図に示すように、P1点、即ち第1電極部31の中央部212に触れたときの静電容量変動値に対して、P2点、即ち第2操作面22との境界近傍である第1操作面21の境界近傍部211に触れたときの静電容量変動値は、平均して低下している。静電容量変動値の最小値及び最大値も、平均値と同程度低下している。これから、P1点よりもP2点の検出感度が低下していることが分かる。このため、第1操作面21と第2操作面22との境界部に手指が触れた場合には、検出感度の高い第2操作面22側で検出され易くなっているといえる。
また、P1点、即ち中央部212の静電容量変動値と、P3点、即ち非配線領域213の近傍部の静電容量変動値とは、平均値がほぼ同じ値となっており、検出感度が同程度であることが分かる。このため、直下に配線パターンがないP3点に手指が触れた場合にも、P1点と同程度に検出されることにより同様の操作が可能であるといえる。
【0035】
尚、本発明においては、以上に示した実施形態に限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した態様とすることができる。本実施例の車室用照明装置は、3つの操作面を備え、それぞれ該当するランプの点滅制御を行っているが、これに限られず、2つの操作面及び対応する2つのランプの点滅制御をするために用いてもよいし、4つ以上の操作面及び対応するランプの点滅制御をするために用いてもよい。
【符号の説明】
【0036】
1;タッチスイッチ、2;車室用照明装置、11;第1光源(ドームランプ)、12;第2光源(スポットランプ)、13;外装板(レンズ)、14;配光フィルム、15;配線基板、16;ベゼル、17;インジケータ光源、21;第1操作面、211;第1操作面の第2操作面との境界近傍部、212;中央部、213、223;非配線領域、22;第2操作面、31;第1電極部、311;第1電極部の第1操作面との境界近傍部、312;第1電極部の中央部、313;第1電極部の非配線領域の近傍部、32、322;第2電極部、323;第2電極部の非配線領域の近傍部、4;制御部、9、91、92、93;人体(手指)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
並んで設けられる2以上の操作面と、
前記操作面毎に設けられ、該操作面又はその直下に形成された導電体の配線パターンからなる電極部と、
各前記電極部と接続され、人体が各前記操作面に近接又は接触するときに生じる静電容量の変化を各該電極部により検出してスイッチ動作を行う制御部と、
を備えるタッチスイッチであって、
少なくとも1つの前記電極部の配線パターンは、隣接する前記操作面との境界近傍部の配線が、該隣接する操作面に設けられている電極部の配線よりも疎に形成されていることを特徴とするタッチスイッチ。
【請求項2】
前記2以上の操作面は、第1操作面と、該第1操作面と隣接し該第1操作面よりも面積が小さい第2操作面とを含み、
前記第2操作面に設けられる前記電極部の配線パターンは、前記第1操作面に設けられる電極部の配線よりも密に形成されている請求項1記載のタッチスイッチ。
【請求項3】
前記第1操作面に設けられる電極部の中央部の配線パターンは、前記第2操作面との境界近傍部の配線よりも密に形成されている請求項2記載のタッチスイッチ。
【請求項4】
前記電極部の一部に前記配線パターンがない非配線領域が設けられており、該非配線領域の近傍部の配線パターンはその周辺部の配線よりも密に形成されている請求項1乃至3のいずれかに記載のタッチスイッチ。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のタッチスイッチを備え、
前記制御部は、各前記操作面への人体の近接又は接触を検出して対応する車室内の照明を制御することを特徴とする車室用照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−84437(P2013−84437A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−223351(P2011−223351)
【出願日】平成23年10月7日(2011.10.7)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【Fターム(参考)】