説明

タッチセンサの製造方法

【課題】折り返し構造のセンサホルダを採用した場合であっても、センサホルダを規定の形状に押し出し成形することができるタッチセンサの製造方法の提供。
【解決手段】センサホルダ50を折り返し構造として、当該センサホルダ50の取り付け本体部51とセンサ保持部58の凸部58aとを連結した状態に押し出し成形するようにし、その後、取り付け本体部51と凸部58aとの連結部分CPを切断するので、押し出し成形後にセンサ保持部58の凸部58a側が柔らかい状態であっても、センサ保持部58が自重で垂れ下がることを防止できる。よって、折り返し構造のセンサホルダ50を規定の形状に精度良く押し出し成形することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検出物の接触を検出するケーブル状に形成された感圧センサと、当該感圧センサを保持するセンサホルダとを備えたタッチセンサの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両に設けられるスライドドアやサンルーフ等の開閉体を自動的に開閉するようにした開閉装置には、開閉動作する開閉体による障害物(被検出物)の挟み込みを防止するために、挟み込み防止機能が設けられている。挟み込みを検出するためのセンサとしては、コードスイッチとも呼ばれる感圧センサが用いられ、この感圧センサは、ケーブル状に形成されて車体側開口部の端部や開閉体側の端部に装着されるようになっている。
【0003】
このような車両に設けられる感圧センサを用いた技術としては、例えば、特許文献1に記載された圧力感知装置(タッチセンサ)が知られている。特許文献1に記載された圧力感知装置は、ケーブル状のセンサ本体(感圧センサ)と、当該センサ本体を被覆保持する保持部を備えたプロテクタ(センサホルダ)とを備えている。センサ本体は長尺の中空管よりなる外皮部を備え、その内部には所定の間隔で並ぶようにして複数の電極が設けられている。障害物が接触してプロテクタおよび外皮部が弾性変形すると外皮部内の電極が短絡し、この短絡をコンピュータにより検出させることで上記挟み込みを検出するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−283459号公報(図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の特許文献1に記載された圧力感知装置によれば、当該圧力感知装置の組み立て時において、スライドドアの上下方向の長さに略対応する長さ(例えば1.2m)の保持部に対して、その一端から他端に向けて略同一の長さのセンサ本体を挿入し、当該センサ本体を保持部内へ押し込んでいくことで両者を一体化するようにしている。
【0006】
したがって、センサ本体と保持部との間に生じる摩擦抵抗によりセンサ本体の保持部への挿入作業には比較的大きな力が必要となり、組み付け難いばかりかセンサ本体が保持部内で撓む等の問題が生じ得る。センサ本体に撓みが生じる虞があるため、センサ本体を保持部へ組み付けた後に圧力感知装置の作動状態を確認、つまりセンサ本体内の電極が短絡しているか否かを検査する必要がある。
【0007】
そこで、このような煩わしさを解消すべく、例えば、プロテクタを形成する保持部にその長手方向に沿うよう開口部を予め形成しておき、当該開口部からセンサ本体を装着し、その後、センサ本体を包み込むようにして保持部を折り返すことでセンサ本体を保持部に組み付けることも考えられる。しかし、プロテクタは可撓性を有する弾性材料(EPDM等のゴム材料)を用いて押し出し成形により長尺に形成されるため、このような折り返し構造を採用した場合には、押し出し成形後の保持部が柔らかい時に当該保持部が自重で垂れ下がり、ひいてはプロテクタを規定の形状に成形するのが困難になるという成形上の問題が生じ得る。
【0008】
本発明の目的は、折り返し構造のセンサホルダを採用した場合であっても、センサホルダを規定の形状に押し出し成形することができるタッチセンサの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のタッチセンサの製造方法は、被検出物の接触を検出するケーブル状に形成された感圧センサと、前記感圧センサを保持するセンサホルダとを備えたタッチセンサの製造方法であって、前記センサホルダは、前記感圧センサを対象物に取り付けるための取り付け本体部と、前記取り付け本体部の内部に設けられる芯金部材と、一端が前記取り付け本体部の前記被検出物側に連結され、他端が前記取り付け本体部の前記対象物側に折り返されるセンサ保持部と、前記取り付け本体部の前記対象物側に設けられる被係合部と、前記センサ保持部の他端に設けられ、前記被係合部に係合する係合部と、前記センサ保持部の一端側と前記取り付け本体部との間に設けられ、前記感圧センサを収容するセンサ収容部と、前記センサホルダの長手方向両端に一体成形された端末部とを有し、前記芯金部材および溶融した成形材料を金型に送り込み、前記取り付け本体部と前記係合部とを連結した状態に押し出し成形する押出成形工程と、前記センサホルダを、当該センサホルダの長手方向に沿って前記対象物に応じて所定の長さ寸法に切断する第1切断工程と、前記センサホルダの長手方向両端に前記端末部を一体成形する端末部成形工程と、前記取り付け本体部と前記係合部との連結部分を切断する第2切断工程と、前記感圧センサを前記センサ収容部に収容する第1組立工程と、前記係合部を前記被係合部に係合する第2組立工程とを備えることを特徴とする。
【0010】
本発明のタッチセンサの製造方法は、被検出物の接触を検出するケーブル状に形成された感圧センサと、前記感圧センサを保持するセンサホルダとを備えたタッチセンサの製造方法であって、前記センサホルダは、前記感圧センサを対象物に取り付けるための取り付け本体部と、前記取り付け本体部の内部に設けられる芯金部材と、一端が前記取り付け本体部の前記被検出物側に連結され、他端が前記取り付け本体部の前記対象物側に折り返されるセンサ保持部と、前記取り付け本体部の前記対象物側に設けられる被係合部と、前記センサ保持部の他端に設けられ、前記被係合部に係合する係合部と、前記センサ保持部の一端側と前記取り付け本体部との間に設けられ、前記感圧センサを収容するセンサ収容部と、前記センサホルダの長手方向両端に一体成形された端末部とを有し、前記芯金部材および溶融した成形材料を金型に送り込み、前記取り付け本体部と前記係合部とを連結した状態に押し出し成形する押出成形工程と、前記センサホルダを、当該センサホルダの長手方向に沿って前記対象物に応じて所定の長さ寸法に切断する第1切断工程と、前記取り付け本体部と前記係合部との連結部分を切断する第2切断工程と、前記センサホルダの長手方向両端に前記端末部を一体成形する端末部成形工程と、前記感圧センサを前記センサ収容部に収容する第1組立工程と、前記係合部を前記被係合部に係合する第2組立工程とを備えることを特徴とする。
【0011】
本発明のタッチセンサの製造方法は、前記押出成形工程において、前記取り付け本体部の前記対象物側に当該対象物を挟んで対向する第1脚部および第2脚部を形成し、さらに前記取り付け本体部の前記第1脚部と前記第2脚部との間に、前記係合部と当接して当該係合部の前記被係合部への係合状態を保持する保持突起を形成することを特徴とする。
【0012】
本発明のタッチセンサの製造方法は、前記押出成形工程において、前記取り付け本体部の前記対象物側に当該対象物を挟んで対向する第1脚部および第2脚部を形成し、さらに前記係合部に、前記第1脚部と前記第2脚部との間に配置可能に設けられて前記係合部の前記被係合部への係合状態を保持する保持片を形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、センサホルダを折り返し構造として、当該センサホルダの取り付け本体部とセンサ保持部の他端に設けた係合部とを連結した状態に押し出し成形するようにし、その後、取り付け本体部と係合部との連結部分を切断するので、押し出し成形後にセンサ保持部の係合部側が柔らかい状態であっても、センサ保持部が自重で垂れ下がることは無い。したがって、折り返し構造のセンサホルダを規定の形状に精度良く押し出し成形することができ、感圧センサを撓ませること無くセンサホルダに組み付けることができる。感圧センサの撓みを解消できるので、製品毎に感圧センサの感度がばらつく等の問題を無くし、タッチセンサの信頼性を向上させることができる。
【0014】
本発明によれば、押出成形工程において、取り付け本体部の対象物側に当該対象物を挟んで対向する第1脚部および第2脚部を形成し、さらに取り付け本体部の第1脚部と第2脚部との間に、係合部と当接して当該係合部の被係合部への係合状態を保持する保持突起を形成するので、感圧センサをセンサ収容部に収容してタッチセンサを組み立てた後に、係合部の被係合部からの脱落を防止することができる。
【0015】
本発明によれば、押出成形工程において、取り付け本体部の対象物側に当該対象物を挟んで対向する第1脚部および第2脚部を形成し、さらに係合部に、第1脚部と第2脚部との間に配置可能に設けられて係合部の被係合部への係合状態を保持する保持片を形成することもできる。この場合においても、感圧センサをセンサ収容部に収容してタッチセンサを組み立てた後に、係合部の被係合部からの脱落を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】ワンボックスタイプの車両を示す側面図である。
【図2】タッチセンサを備えた開閉装置の全開状態を示す平面図である。
【図3】図2の開閉装置の制御体系を示す説明図である。
【図4】タッチセンサを示す斜視図である。
【図5】タッチセンサの詳細構造を説明する断面図である。
【図6】(a),(b)は、感圧センサの詳細構造を説明する断面図である。
【図7】センサホルダを押し出し成形する際に用いる金型を説明する説明図である。
【図8】(a),(b),(c)は、センサホルダの製造工程(第1工程〜第3工程)を説明する説明図である。
【図9】(a),(b)は、センサホルダの製造工程(第4工程,第5工程)を説明する説明図である。
【図10】(a),(b)は、タッチセンサの組立工程(第6工程,第7工程)を説明する説明図である。
【図11】第2実施の形態に係るタッチセンサの詳細構造を説明する説明図である。
【図12】第3実施の形態に係るタッチセンサの詳細構造を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の第1実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0018】
図1はワンボックスタイプの車両を示す側面図を、図2はタッチセンサを備えた開閉装置の全開状態を示す平面図を、図3は図2の開閉装置の制御体系を示す説明図を、図4はタッチセンサを示す斜視図を、図5はタッチセンサの詳細構造を説明する断面図を、図6(a),(b)は感圧センサの詳細構造を説明する断面図をそれぞれ表している。
【0019】
図1に示すように、車両10はワンボックスタイプの乗用車であり、車両10の車体11における側面(車体左側)には、乗員等が出入りするための開口部12が形成されている。開口部12には、当該開口部12を開閉するための開閉体としてのスライドドア13が設けられており、スライドドア13は図中破線矢印に示す方向、つまり車体11の前後方向にスライドするようになっている。
【0020】
図2に示すように、スライドドア13にはローラアッシー14が設けられており、ローラアッシー14が車体11の側面に固定されたガイドレール15に案内されることで、スライドドア13は、図中実線で示す全開位置と図中二点鎖線で示す全閉位置との間で開閉自在となっている。ガイドレール15の車体前方側には、車室内側(図中上側)に向けて湾曲する曲部15aが設けられており、ローラアッシー14が曲部15aに案内されることにより、スライドドア13は車体11の側面と同一面に収まるよう閉動作の終端で車体11の内側に引き込まれて閉じられるようになっている。つまりスライドドア13は、略J字形状に形成されたガイドレール15の形状に倣って移動するようになっている。
【0021】
ここで、図示はしないがローラアッシー14はスライドドア13の前端部の上下部分(アッパー部およびロア部)にも設けられており、さらに、これらに対応して車体11の開口部12の上下部分にもガイドレールがそれぞれ設けられている。このようにスライドドア13は車体11に対して計3箇所で支持されており、車体11に対して安定した開閉動作が可能となっている。
【0022】
図2に示すように、車体11には、スライドドア13を自動的に開閉するための開閉装置20が搭載されている。開閉装置20は、ガイドレール15の車体前後方向の略中央部に隣接して車体11の内部に固定される駆動ユニット21を備え、駆動ユニット21からは車体前方側と後方側とに向けて一対のケーブル22a,22bが引き出されている。
【0023】
駆動ユニット21から車体前方側に引き出されたケーブル22aは、ガイドレール15の前端に設けられた反転プーリ23aを介して車体前方側からローラアッシー14に接続され、車体後方側に引き出されたケーブル22bは、ガイドレール15の後端に設けられた反転プーリ23bを介して車体後方側からローラアッシー14に接続されている。
【0024】
駆動ユニット21は、各ケーブル22a,22bを巻き取りまたは送り出すように駆動され、駆動ユニット21を駆動して各ケーブル22a,22bを移動させることで、スライドドア13は車体前方側または後方側の各ケーブル22a,22bに引っ張られて自動的に開閉動作する。つまり開閉装置20は、所謂ケーブル式の開閉装置を採用している。
【0025】
図3に示すように、駆動ユニット21は、駆動源としての電動モータ24と、電動モータ24に接続される減速機25とを備えており、電動モータ24の回転は減速機25により所定の回転数にまで減速されて出力軸26から出力されるようになっている。なお、電動モータ24としては、例えばブラシ付き直流モータやブラシレス直流モータ等、正逆方向に回転可能なものを利用できる。
【0026】
出力軸26には、略円筒形状に形成されたドラム27が固定されており、ドラム27の外周面には、各ケーブル22a,22bが複数回巻き付けられている。これにより、電動モータ24が正転すると、ドラム27が時計方向に回転して閉側のケーブル22aがドラム27に巻き取られ、スライドドア13がケーブル22aに引っ張られて閉動作する。これとは逆に、電動モータ24が逆転すると、ドラム27が反時計方向に回転して開側のケーブル22bがドラム27に巻き取られ、スライドドア13がケーブル22bに引っ張られて開動作する。
【0027】
減速機25は電磁クラッチ(図示せず)を有しており、スライドドア13を手動で開閉操作する場合には、電磁クラッチを遮断状態として電動モータ24と出力軸26との間の動力伝達経路を遮断するようにし、これによりスライドドア13は軽い負荷で手動操作により開閉できるようになる。ここで、ドラム27とスライドドア13との間にはテンショナ機構(図示せず)が設けられており、テンショナ機構により各ケーブル22a,22bの張力が常時一定に保持されるようになっている。
【0028】
減速機25は、周方向に多数の磁極が着磁された環状の多極着磁磁石28を備えており、多極着磁磁石28は出力軸26と一体回転するようになっている。また、減速機25の多極着磁磁石28の近傍には、互いに所定の位相差を設けて2つのホールIC29a,29bが配置されている。出力軸26の回転に伴って多極着磁磁石28が回転すると、各ホールIC29a,29bからは、出力軸26の回転数に比例した所定周期のパルス信号が出力されるようになっている。
【0029】
電動モータ24を正逆方向に回転制御するために、電動モータ24には配線を介して制御装置(コントローラ)30が電気的に接続されている。制御装置30は、図示しないマイクロプロセッサ(CPU)やROM,RAMなどのメモリ等を内部に備えた所謂マイクロコンピュータとしての機能を有しており、電動モータ24の回転方向や回転数等を設定して、電動モータ24の動作を制御するようになっている。
【0030】
制御装置30には、各ホールIC29a,29bが配線を介して電気的に接続されており、制御装置30は各ホールIC29a,29bから入力される所定周期のパルス信号に基づいて、出力軸26の回転数、つまりスライドドア13の開閉速度を検出するようになっている。また、制御装置30は、各ホールIC29a,29bからのパルス信号の出現タイミングに基づいて、電動モータ24の回転方向、つまりスライドドア13の移動方向を検出するようになっている。さらに、制御装置30は、スライドドア13が基準位置(例えば全閉位置)にあるときを起点として、各ホールIC29a,29bからのパルス信号をカウントすることによりスライドドア13の開閉位置を検出するようになっている。
【0031】
スライドドア13の開閉動作を指令するために、スライドドア13には開閉スイッチとしてのドアハンドル31が設けられている。乗員等によりドアハンドル31が操作されると、制御装置30には指令信号(トリガ信号)が入力されるようになっている。つまり制御装置30は、ドアハンドル31からの指令信号の入力に基づいて、スライドドア13の開閉位置や開閉速度等をメモリ内に格納された制御プログラムを用いて演算し、演算結果に基づいて電動モータ24の回転制御(スライドドア13の開閉制御)を実行するようになっている。
【0032】
例えば、スライドドア13が全開状態にある場合にドアハンドル31が操作されると、制御装置30は、ドアハンドル31からの指令信号を受けてスライドドア13が全開位置にあることから電動モータ24を正転駆動させ、スライドドア13を全閉方向に移動させる。これとは逆に、スライドドア13が全閉状態にある場合にドアハンドル31が操作されると、制御装置30は、ドアハンドル31からの指令信号を受けてスライドドア13が全閉位置にあることから電動モータ24を逆転駆動させ、スライドドア13を全開方向に移動させる。
【0033】
ただし、ドアハンドル31としては、上記のようなON−OFF状態(2位置)に切り替えられる2ポジションスイッチに限らず、例えば、OPEN−OFF−CLOSE状態(3位置)に切り替えられる3ポジションスイッチ等を採用することもできる。
【0034】
図1に示すように、スライドドア13の車体前方側、つまりスライドドア13が閉じる際に進行方向側となる端部には、タッチセンサ40が取り付けられている。タッチセンサ40は、スライドドア13の図中上下方向の略全域に亘って延びており、スライドドア13と荷物等の障害物(被検出物)DAとの接触や、スライドドア13による障害物DAの挟み込みを検出するために設けられている。
【0035】
タッチセンサ40は、図2に示すようにスライドドア13に一体に設けられた取り付けステー13aに装着されている。取り付けステー13aは、スライドドア13の形状、つまり車体11のボディ形状に倣って波形形状に形成されており、タッチセンサ40は、波形形状の取り付けステー13aに装着可能なように変形可能となっている。ここで、スライドドア13および取り付けステー13aは、本発明における対象物を構成している。
【0036】
タッチセンサ40は、センサホルダ50と感圧センサ70とを備えている。感圧センサ70はケーブル状に形成され、図3に示すように配線を介して制御装置30に電気的に接続されている。これにより感圧センサ70の弾性変形時に生じる短絡信号が制御装置30に送られて、制御装置30は、スライドドア13と障害物DAとの接触や、スライドドア13による障害物DAの挟み込みを検出することができる。
【0037】
制御装置30は、感圧センサ70からの短絡信号を受けると、例えば圧電サウンダ等(図示せず)から警告音を発生させ、さらに電動モータ24の回転を停止させたり逆回転させたりする等の制御を行うようになっている。
【0038】
以下、タッチセンサ40の構造について、図4ないし図6を用いて詳細に説明する。
【0039】
タッチセンサ40は、感圧センサ70の周囲を被覆して当該感圧センサ70を保護するとともに保持し、感圧センサ70を取り付けステー13aに取り付けるためのセンサホルダ50を備えている。センサホルダ50は、ゴム等の絶縁体(EPDM(エチレン−プロピレン−ジエンゴム)等)を押し出し成形することにより可撓性を有するよう所定の肉厚で長尺に形成されている。
【0040】
センサホルダ50の長手方向両端には、図4に示すように、上側端末部50aおよび下側端末部50bがそれぞれ一体に設けられている。各端末部50a,50bは、センサホルダ50と同様の材料により中空の袋状に形成され、センサホルダ50内の感圧センサ70の両端部分(図示せず)を被覆している。各端末部50a,50bは、センサホルダ50を押出成形した後に当該センサホルダ50の長手方向両端に一体成形され、感圧センサ70の両端部分を保護するとともに、当該感圧センサ70の両端部分から突出される各リード線71a,71b(図6参照)を保護するようになっている。
【0041】
センサホルダ50は、感圧センサ70を取り付けステー13aに取り付けるための取り付け本体部51を備えている。取り付け本体部51は、図5に示すように断面が略U字形状に形成されており、取り付けステー13aを跨ぐようにして取り付けステー13aに取り付けられている。
【0042】
取り付け本体部51は、スライドドア13の取り付けステー13aに組み付けられた状態で、取り付けステー13aの延出方向と直交する方向に延びる水平部52と、当該水平部52の両端側にそれぞれ一体に設けられる第1脚部53および第2脚部54とを有している。各脚部53,54は水平部52の両端側から取り付けステー13aを覆う方向に突出しており、各脚部53,54は、取り付けステー13aを挟んでそれぞれ対向している。
【0043】
第1脚部53の取り付けステー13a側には、タッチセンサ40の取り付けステー13aからの抜け止めを行う一対の抜け止め片53aが一体に設けられており、各抜け止め片53aは、第1脚部53と取り付けステー13aとの間で弾性変形され、各抜け止め片53aの先端側は水平部52側に向けて延ばされている。
【0044】
取り付け本体部51のスライドドア13側で、第2脚部54の取り付けステー13a側には、センサ保持部58の凸部58aが入り込む凹部(被係合部)54aが設けられている。凹部54aにセンサ保持部58の凸部58aが嵌合することで、センサ保持部58の凸部58a側を第2脚部54に対して強固に固定できる。
【0045】
取り付け本体部51の内部には、センサホルダ50の長手方向に延びる長尺の芯金部材55が設けられている。芯金部材55は、薄板鋼材等をプレス加工することにより断面が略U字形形状に形成され、センサホルダ50の押し出し成形時に取り付け本体部51の内部に埋設される。芯金部材55は、取り付け本体部51を補強しつつ、取り付けステー13aの波形形状に倣って変形可能となっている。
【0046】
取り付け本体部51を形成する水平部52の被検出物側、つまり取り付けステー13a側とは反対側には、第1壁部56および第2壁部57が略垂直方向に延びるよう一体に設けられている。各壁部56,57は、取り付け本体部51を形成しており、感圧センサ70を挟むようにしてそれぞれ対向している。各壁部56,57の水平部52からの突出高さは、それぞれ略同じ高さ寸法に設定されている。ここで、各壁部56,57の高さ寸法は、感圧センサ70の半径寸法と略同じ寸法に設定されており、各壁部56,57は感圧センサ70の脱落を防止している。
【0047】
第1壁部56は、水平部52の略中央部分に配置されており、水平部52から離れるに従って徐々に薄肉となるよう形成されている。また、第2壁部57は、水平部52の第2脚部54側に配置されており、水平部52から離れるに従って徐々に薄肉となるよう形成されている。各壁部56,57の肉厚寸法は、それぞれセンサ保持部58の肉厚寸法よりも厚くなっている。
【0048】
第1壁部56の先端側(図5中上側)には、各壁部56,57の肉厚寸法よりも薄肉の肉厚寸法に設定されたセンサ保持部58の一端が接続されている。センサ保持部58の一端は、第1壁部56を介して水平部52に連結され、センサ保持部58の他端は、第2壁部57を跨いで第2脚部54側に折り返されている。センサ保持部58の一端側の内側には、感圧センサ70が収容されるセンサ収容部59が形成されている。
【0049】
センサ保持部58の他端には、第2脚部54の凹部54aに係合する凸部(係合部)58aが一体に設けられており、凸部58aは、凹部54aに入り込めるよう凹部54aと同様の形状に形成されている。凸部58aは、センサ保持部58の他端をさらに折り返すことで凹部54aに嵌合するようになっている。
【0050】
凸部58aの取り付けステー13a側には、タッチセンサ40の取り付けステー13aからの抜け止めを行う3つの抜け止め片58bが一体に設けられており、各抜け止め片58bは、凸部58aと取り付けステー13aとの間で弾性変形され、各抜け止め片58bの先端側は水平部52側に向けて延ばされている。
【0051】
このように、センサ保持部58の凸部58aを第2脚部54の凹部54aに嵌合した状態のもとで、タッチセンサ40を取り付けステー13aに装着することで、取り付けステー13aにより凸部58aが凹部54aに押圧されて、その結果、凸部58aおよび凹部54aは外れることなく強固に固定される。また、凸部58aと凹部54aとによる段差係合により両者にずれ(弛み)が生じることも無い。
【0052】
センサ保持部58の凸部58a側には、感圧センサ70の端部から延出された第1リード線71aおよび第2リード線71bを保持するフック部60が一体に設けられており、このフック部60は、センサホルダ50の長手方向に沿って設けられている。図5に示すように、フック部60の先端側は、第2脚部54の延出方向に延ばされ、さらに取り付けステー13a側に向けて湾曲されている。これにより、フック部60は各リード線71a,71bを保持することができる。さらにフック部60は、タッチセンサ40を取り付けステー13aに装着した時に、各リード線71a,71bを覆い隠すようになっている(図2参照)。
【0053】
センサ保持部58の一端側の境界部BD1からフック部60側の境界部BD2までの部分、つまり図中一点鎖線矢印に示す範囲部分Aは、センサホルダ50を構成する他の部分よりも硬度が低く(柔らかく)設定されている。つまり、センサ保持部58における範囲部分Aの剛性は弱められており、当該部分に外力が負荷された際に変形し易くなっている。これにより、感圧センサ70の十分な検出感度を確保している。
【0054】
センサ収容部59には感圧センサ70が収容されており、感圧センサ70の中心位置は、取り付けステー13aの中心位置から車体11の車室内側(図5中右側)に所定量オフセットされている。このように、感圧センサ70を取り付けステー13aの中心位置から所定量オフセットさせることで、スライドドア13の閉動作の終端において当該スライドドア13が車体11の内側に引き込まれる際に、タッチセンサ40が車体11を形成するピラー11a(図1参照)に接触するのを回避している。これにより、タッチセンサ40の不要な弾性変形を回避し、タッチセンサ40の誤作動や早期劣化等を防止している。
【0055】
図6(a),(b)に示すように、感圧センサ70は、内側電極72と外側電極73とを備えている。内側電極72は、可撓性および導電性を有する導電性ゴム(EPDM等)により線状(円柱状)に形成されている。外側電極73は、内側電極72と同様の導電性ゴムにより中空状(チューブ状)に形成されており、内側電極72の外周側に当該内側電極72と同軸に配置されている。
【0056】
内側電極72と外側電極73との間には、例えば、ゴム等の絶縁体により螺旋状に形成された3本のスペーサ部材74が配置され、各スペーサ部材74により内側電極72と外側電極73との間には隙間が形成されている。各スペーサ部材74は互いに周方向に等間隔で配置されており、これにより、感圧センサ70の長手方向および周方向の各位置における内側電極72と外側電極73との間の隙間寸法を、略均一化するようにしている。
【0057】
図中破線矢印に示す外力Fが負荷されない通常時、つまり障害物DA(図1参照)の非接触時においては、内側電極72および外側電極73は、各スペーサ部材74により互いに接触が規制されて電気的に絶縁されている。一方、外力Fが負荷された異常時、つまり障害物DAの接触時においては、各スペーサ部材74が弾性変形しつつ隣り合う各スペーサ部材74の隙間を介して内側電極72および外側電極73の接触が許容される。
【0058】
内側電極72の内部には、その長手方向に沿って第1リード線71aが埋設されている。第1リード線71aは内側電極72に接触して電気的に接続された状態となっており、内側電極72を長手方向に貫くとともに、その一端は制御装置30に電気的に接続されている。
【0059】
外側電極73の内部には3本の第2リード線71bが周方向に等間隔で埋設されている。図6(a)に示すように、各第2リード線71bは、それぞれ第1リード線71aを中心に配置された各スペーサ部材74の間に位置するとともに、各スペーサ部材74と同じピッチで螺旋状に配置されている。つまり、各スペーサ部材74および各第2リード線71bは、第1リード線71aを中心に、その周方向に沿って交互かつ等間隔に並んで配置されている。
【0060】
各第2リード線71bは、外側電極73に接触して電気的に接続されるとともに、外側電極73を長手方向に貫いており、その一端は制御装置30に電気的に接続されている。そして、外力Fによって外側電極73が内側電極72に接触すると、各第2リード線71bは外側電極73および内側電極72を介して第1リード線71aに短絡される。
【0061】
次に、感圧センサ70による障害物DAの接触(挟み込み)の検出について説明する。
【0062】
スライドドア13が閉動作しているときに、例えば、図1に示すようにタッチセンサ40に障害物DAが接触すると、センサホルダ50および感圧センサ70の外側電極73が変形し、外側電極73が内側電極72に接触する(図6(a)破線部参照)。ここで、感圧センサ70の変形量は、センサホルダ50の各壁部56,57(図5参照)により所定量に規制され、これにより、感圧センサ70が必要以上に弾性変形して各リード線71a,71bが断線したりするのを抑制している。
【0063】
外側電極73が内側電極72に接触すると、各リード線71a,71bが各電極72,73を介して短絡し、各リード線71a,71bに短絡電流が流れる。この短絡電流が検出信号となって、制御装置30は障害物DAの接触を検出する。その後、制御装置30は、スライドドア13を停止または開動作させ、これにより、スライドドア13による障害物DAの挟み込みを未然に防止できる。
【0064】
なお、感圧センサ70は、内側電極72と外側電極73との間に、上記のように略均一化された隙間を備えているので、感圧センサ70に対して障害物DAが周方向のいずれの方向から接触した場合であっても、その検出感度に大きな差が生じることは無く、挟み込みの検出精度が低下するようなことは無い。
【0065】
次に、以上のように形成したタッチセンサ40の製造方法について、図面を用いて詳細に説明する。
【0066】
図7はセンサホルダを押し出し成形する際に用いる金型を説明する説明図を、図8(a),(b),(c)はセンサホルダの製造工程(第1工程〜第3工程)を説明する説明図を、図9(a),(b)はセンサホルダの製造工程(第4工程,第5工程)を説明する説明図を、図10(a),(b)はタッチセンサの組立工程(第6工程,第7工程)を説明する説明図をそれぞれ表している。
【0067】
センサホルダ50は、図示しない押出成形機によって形成され、この押出成形機は、図7に示すような断面形状の金型80を備えている。金型80は、センサホルダ50の断面形状に対応する連通路81を有しており、連通路81には、その入口側から出口側に向けて、芯金部材55および溶融したゴム材料(成形材料)が送り込まれるようになっている。これにより、図示形状のセンサホルダ50を成形できるようになっている。
【0068】
つまり、押し出し成形後のセンサホルダ50は、取り付け本体部51と凸部58aとが連結部分CP(図中黒点)で連結された状態となり、これによりセンサホルダ50が押し出し成形後の柔らかい状態であっても、センサ保持部58が自重で垂れ下がることを防止(変形防止)することができる。
【0069】
押出成形機の金型80の入口側には、芯金部材55を連通路81に送り込む芯金供給装置(図示せず)と、溶融したゴム材料を連通路81に送り込む一対の溶融ゴム供給装置(図示せず)とが設けられている。一対の溶融ゴム供給装置のうち、一方の溶融ゴム供給装置からは少量の気泡を含むゴム材料(微細発泡ゴム)が供給され、他方の溶融ゴム供給装置からは多量の気泡を含むゴム材料(発泡ゴム)が供給される。
【0070】
これにより、センサホルダ50のセンサ保持部58における境界部BD1から境界部BD2までの部分(範囲部分A)を、発泡ゴムで低硬度(例えば硬度60度)に成形するとともに、センサホルダ50の他の部分を微細発泡ゴムで高硬度(例えば硬度80度)に成形することができる。このように、本実施の形態に係る押出成形機は、2色成形の押し出し成形が可能となっている。
【0071】
[一次成形工程(第1工程)]
まず、芯金供給装置および一対の溶融ゴム供給装置を駆動して、芯金部材55および溶融したゴム材料を連通路81の入口側から金型80内に送り込む。すると、図8(a)の矢印に示すように、取り付け本体部51および凸部58aが連結された状態のセンサホルダ50が、2色成形されて連通路81の出口側から徐々に排出される。これにより、押し出し成形の一次成形工程が終了する。このとき、センサホルダ50には加硫処理を施しておらず、当該センサホルダ50は柔らかい状態、つまり必要とされる弾性特性や強度特性を呈する状態となっていない。なお、図中網掛部分は、発泡ゴムにより押し出し成形された部分(センサ保持部58の範囲部分A)を示している。
【0072】
[二次成形工程(第2工程)]
次に、図8(b)に示すように、一次成形工程に引き続きセンサホルダ50に加硫処理を施して仕上げていく。具体的には、図中矢印方向にセンサホルダ50を移動させて、当該センサホルダ50を加硫装置82に送り込む。そして、加硫装置82を駆動して、図中破線矢印のように所定周波数のマイクロ波をセンサホルダ50に当てる。すると、センサホルダ50は、必要とされる弾性特性や強度特性を呈する状態となる。その後、センサホルダ50を冷却水槽(図示せず)に送り込んで冷却する。これにより、押し出し成形の二次成形工程が終了し、センサホルダ50が仕上げられる。ここで、本発明における押出成形工程は、第1工程および第2工程により構成されている。
【0073】
[一次切断工程(第3工程)]
次に、図8(c)に示すような切断処理を行い、仕上げられたセンサホルダ50をその長手方向に沿って所定の長さ寸法に切断する。この切断処理には切断装置83が用いられ、切断装置83は、図中上下方向に昇降駆動されるカッター部84と、センサホルダ50を支持するとともにカッター部84の刃先が近接する台座部85を備えている。そして、図中矢印に示すように、センサホルダ50の長さ寸法がL1となるところでカッター部84を下降させることで、センサホルダ50を長さ寸法L1に切断する。なお、センサホルダ50の長さ寸法L1は、本実施の形態においては、取り付けステー13a(図2参照)の長さ寸法に合わせて設定されている。ここで、本発明における第1切断工程は、第3工程により構成されている。
【0074】
[端末処理工程(第4工程)]
次に、図9(a)に示すように、センサホルダ50の長手方向両端に、上側端末部50aおよび下側端末部50bをそれぞれ一体成形する。具体的には、各端末部50a,50bは、図中矢印に示すように、第3工程を終えたセンサホルダ50の長手方向両端にそれぞれアウトサート成形等により一体成形される。このように、各端末部50a,50bをセンサホルダ50の長手方向両端に一体成形することで、感圧センサ70が収容されるセンサ収容部59(図5参照)への雨水等の浸入を防ぐことができる。ここで、本発明における端末部成形工程は、第4工程により構成されている。
【0075】
[二次切断工程(第5工程)]
次に、センサホルダ50の取り付け本体部51と凸部58aとの連結部分CP(図7参照)を、センサホルダ50の長手方向に沿ってハサミやカッター等の切断用具(図示せず)を用いて切断していく。ここで、第5工程における切断長さについては、図9(b)の矢印L2に示すように、センサホルダ50の長手方向両端に一体成形した各端末部50a,50bの途中部分にまで達する長さとする。そして、切断長さL2を切断した後、取り付け本体部51と凸部58aとが分離され、折り返し構造のセンサホルダ50が完成する。ここで、本発明における第2切断工程は、第5工程により構成されている。
【0076】
なお、連結部分CPの厚み寸法が薄くなるように金型80を設定することで、連結部分CPを手で切断することもできる。ただし、連結部分CPの厚み寸法は、一次成形工程後のセンサホルダ50が柔らかい状態のもとで、センサ保持部58が自重で垂れ下がるのを防止できる厚み寸法となるようにする。
【0077】
また、本発明においては、第4工程と第5工程とを逆にすることもできる(請求項2の発明)。つまり、本発明における二次切断工程を第4工程とし、本発明における端末処理工程を第5工程とすることもできる。この場合、第3工程後にセンサホルダ50の取り付け本体部51と凸部58aとの連結部分CPを切断し(第4工程)、第4工程後にセンサホルダ50の長手方向両端にそれぞれアウトサート成形等により各端末部50a,50b一体成形するようにする(第5工程)。
【0078】
[一次組立工程(第6工程)]
次に、完成したセンサホルダ50に感圧センサ70を組み付けて、タッチセンサ40を組み立てる。まず、図10(a)に示すように、センサホルダ50および別工程で組み立てた感圧センサ70を準備する。次いで、破線矢印(1)の方向にセンサ保持部58を折り曲げて、センサ保持部58と取り付け本体部51との間を開口させる。その後、センサ保持部58と取り付け本体部51との間の開口部分から、破線矢印(2)に示すように、第1壁部56と第2壁部57との間のセンサ収容部59に感圧センサ70を収容する。
【0079】
このとき、各壁部56,57間に、感圧センサ70を一端側から他端側に向けて徐々に装着していく。感圧センサ70の他端側を各壁部56,57間に装着していく際に、感圧センサ70の一端側は第2壁部57により支持されるので、各壁部56,57間から脱落することは無い。また、感圧センサ70に捻れや撓み等が発生することも無い。ここで、本発明における第1組立工程は、第6工程により構成されている。
【0080】
[二次組立工程(第7工程)]
次に、図10(b)の破線矢印(3)に示すように、感圧センサ70を包み込むようにしてセンサ保持部58を第2脚部54に向けて折り返す。このとき、センサ保持部58の折り返しとともに、破線矢印(4)に示すように、センサ保持部58の凸部58a側を折り曲げて、これに続いて、破線矢印(5)に示すように、センサ保持部58の凸部58aを第2脚部54の凹部54aに固定する。これにより、センサホルダ50への感圧センサ70の組み付け作業が完了し、タッチセンサ40が完成する。ここで、本発明における第2組立工程は、第7工程により構成されている。
【0081】
完成したタッチセンサ40をスライドドア13に装着するには、タッチセンサ40の第1脚部53とセンサ保持部58の凸部58aを含む第2脚部54との間に、取り付けステー13aが入り込むようにする。このとき、各抜け止め片53a,58bはそれぞれ取り付けステー13aとの間で弾性変形される(図5参照)。そして、図10(b)の破線矢印(6)に示すようにフック部60を折り曲げて、フック部60に各リード線71a,71bを引っ掛けていき、スライドドア13のリード線挿通孔(図示せず)に各リード線71a,71bの先端側を挿通し、さらに制御装置30に電気的に接続する。これにより、タッチセンサ40のスライドドア13への装着が完了する。
【0082】
以上詳述したように、第1実施の形態に係るタッチセンサ40の製造方法によれば、センサホルダ50を折り返し構造として、当該センサホルダ50の取り付け本体部51とセンサ保持部58の凸部58aとを連結した状態に押し出し成形するようにし、その後、取り付け本体部51と凸部58aとの連結部分CPを切断するので、押し出し成形後にセンサ保持部58の凸部58a側が柔らかい状態であっても、センサ保持部58が自重で垂れ下がることを防止できる。
【0083】
したがって、折り返し構造のセンサホルダ50を規定の形状に精度良く押し出し成形することができ、感圧センサ70を撓ませること無くセンサホルダ50に組み付けることができる。感圧センサ70の撓みを解消できるので、製品毎に感圧センサ70の感度がばらつく等の問題を無くし、タッチセンサ40の信頼性を向上させることができる。
【0084】
次に、本発明の第2実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、上述した第1実施の形態と同様の機能を有する部分には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0085】
図11は第2実施の形態に係るタッチセンサの詳細構造を説明する説明図を表している。
【0086】
第2実施の形態に係るタッチセンサ40は、図11に示すように、取り付け本体部51の水平部52における第1脚部53と第2脚部54との間に、各脚部53,54の延出方向に突出する保持突起90を設けている。保持突起90は、センサホルダ50を押し出し成形する際に水平部52に一体に設けられ、センサホルダ50の長手方向に沿って水平部52の第2脚部54寄りに形成される。保持突起90は、タッチセンサ40を組み立てた状態のもとで、センサ保持部58の凸部58aと当接して、凸部58aの凹部54aへの係合状態を保持するようになっている。
【0087】
このように形成した第2実施の形態においても、上述した第1実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。これに加え、第2実施の形態によれば、感圧センサ70をセンサ収容部59に収容してタッチセンサ40を組み立てた後に、凸部58aの凹部54aからの脱落を防止することができる。したがって、タッチセンサ40を搬送する際に、振動等によって凸部58aが凹部54aから脱落することを確実に防止でき、搬送先でのタッチセンサ40のスライドドア13への装着作業を容易にすることができる。
【0088】
次に、本発明の第3実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、上述した第1実施の形態と同様の機能を有する部分には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0089】
図12は第3実施の形態に係るタッチセンサの詳細構造を説明する説明図を表している。
【0090】
第3実施の形態に係るタッチセンサ40は、図12に示すように、センサ保持部58の凸部58aに保持片91を設けている。保持片91は薄肉に形成され、タッチセンサ40を組み立てた状態のもとで、第1脚部53と第2脚部54との間に配置可能となっている。保持片91は、センサホルダ50を押し出し成形する際に凸部58aに一体に設けられ、センサホルダ50の長手方向に沿って凸部58aの先端寄りに形成される。保持片91は、タッチセンサ40を組み立てた状態のもとで、第1脚部53と第2脚部54との間に突っ張るようにして設けられ、凸部58aの凹部54aへの係合状態を保持するようになっている。また、保持片91は、タッチセンサ40をスライドドア13へ装着した状態のもとで、水平部52と取り付けステー13aの先端との間に挟持されるようになっている。
【0091】
このように形成した第3実施の形態においても、上述した第2実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0092】
本発明は上記各実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、上記各実施の形態においては、スライドドア13の取り付けステー13aにタッチセンサ40を取り付けたものを示したが、本発明はこれに限らず、車体11の開口部12側に設けられる取り付けステー(図示せず)にタッチセンサ40を取り付けることもできる。
【0093】
また、上記各実施の形態においては、対象物としてスライドドア13としたものを示したが、本発明はこれに限らず、ヒンジ式ドア,バックドア,ウインドガラス,サンルーフ,トランクリッド等の開閉体を対象物とし、これらの対象物にタッチセンサ40を取り付けるようにしても良い。また、これらの開閉体により開閉される開口部を対象物として、当該開口部の端部にタッチセンサ40を取り付けるようにしても良い。
【0094】
さらに、上記各実施の形態においては、感圧センサとして、障害物DAが接触することにより弾性変形し、各リード線71a,71bの短絡により短絡信号を発生するものを示したが、本発明はこれに限らず、例えば、外力が加えられた際に所定電圧を発生する圧電素子(ピエゾ素子)を感圧センサとして用いることもできる。
【0095】
また、上記各実施の形態においては、センサホルダ50を押し出し成形する際に、取り付け本体部51と凸部58aとを連結部分CPで連結した状態となるものを示したが、本発明はこれに限らず、例えば、図7に示すように、取り付け本体部51と凸部58aのフック部60側の屈曲部分BP(図中黒点)とを連結した状態となるようにすることもできる。この場合、センサ保持部58の折り曲げ角度を小さくした状態で押し出し成形することができ、金型80のコンパクト化等を実現することができる。
【0096】
さらに、上記各実施の形態においては、図5に示すように、各脚部53,54の延出方向に対向する凸部58aおよび凹部54aの当接部分TP(図中黒点)を、水平部52と平行となるようにしたものを示したが、本発明はこれに限らず、当接部分TPの図中右側を図中下側に傾斜させるようにしても良い。この場合、凸部58aと凹部54aとの固定強度をより高めることができる。
【符号の説明】
【0097】
10 車両
11 車体
11a ピラー
12 開口部
13 スライドドア(対象物)
13a 取り付けステー(対象物)
14 ローラアッシー
15 ガイドレール
15a 曲部
20 開閉装置
21 駆動ユニット
22a,22b ケーブル
23a,23b 反転プーリ
24 電動モータ
25 減速機
26 出力軸
27 ドラム
28 多極着磁磁石
29a,29b ホールIC
30 制御装置
31 ドアハンドル
40 タッチセンサ
50 センサホルダ
50a 上側端末部(端末部)
50b 下側端末部(端末部)
51 取り付け本体部
52 水平部(取り付け本体部)
53 第1脚部(取り付け本体部)
53a 抜け止め片
54 第2脚部(取り付け本体部)
54a 凹部(被係合部)
55 芯金部材
56 第1壁部(取り付け本体部)
57 第2壁部(取り付け本体部)
58 センサ保持部
58a 凸部(係合部)
58b 抜け止め片
59 センサ収容部
60 フック部
70 感圧センサ
71a 第1リード線
71b 第2リード線
72 内側電極
73 外側電極
74 スペーサ部材
80 金型
81 連通路
82 加硫装置
83 切断装置
84 カッター部
85 台座部
90 保持突起
91 保持片
BD1,BD2 境界部
BP 屈曲部分
CP 連結部分
TP 当接部分
DA 障害物(被検出物)
F 外力

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検出物の接触を検出するケーブル状に形成された感圧センサと、前記感圧センサを保持するセンサホルダとを備えたタッチセンサの製造方法であって、
前記センサホルダは、
前記感圧センサを対象物に取り付けるための取り付け本体部と、
前記取り付け本体部の内部に設けられる芯金部材と、
一端が前記取り付け本体部の前記被検出物側に連結され、他端が前記取り付け本体部の前記対象物側に折り返されるセンサ保持部と、
前記取り付け本体部の前記対象物側に設けられる被係合部と、
前記センサ保持部の他端に設けられ、前記被係合部に係合する係合部と、
前記センサ保持部の一端側と前記取り付け本体部との間に設けられ、前記感圧センサを収容するセンサ収容部と、
前記センサホルダの長手方向両端に一体成形された端末部とを有し、
前記芯金部材および溶融した成形材料を金型に送り込み、前記取り付け本体部と前記係合部とを連結した状態に押し出し成形する押出成形工程と、
前記センサホルダを、当該センサホルダの長手方向に沿って前記対象物に応じて所定の長さ寸法に切断する第1切断工程と、
前記センサホルダの長手方向両端に前記端末部を一体成形する端末部成形工程と、
前記取り付け本体部と前記係合部との連結部分を切断する第2切断工程と、
前記感圧センサを前記センサ収容部に収容する第1組立工程と、
前記係合部を前記被係合部に係合する第2組立工程とを備えることを特徴とするタッチセンサの製造方法。
【請求項2】
被検出物の接触を検出するケーブル状に形成された感圧センサと、前記感圧センサを保持するセンサホルダとを備えたタッチセンサの製造方法であって、
前記センサホルダは、
前記感圧センサを対象物に取り付けるための取り付け本体部と、
前記取り付け本体部の内部に設けられる芯金部材と、
一端が前記取り付け本体部の前記被検出物側に連結され、他端が前記取り付け本体部の前記対象物側に折り返されるセンサ保持部と、
前記取り付け本体部の前記対象物側に設けられる被係合部と、
前記センサ保持部の他端に設けられ、前記被係合部に係合する係合部と、
前記センサ保持部の一端側と前記取り付け本体部との間に設けられ、前記感圧センサを収容するセンサ収容部と、
前記センサホルダの長手方向両端に一体成形された端末部とを有し、
前記芯金部材および溶融した成形材料を金型に送り込み、前記取り付け本体部と前記係合部とを連結した状態に押し出し成形する押出成形工程と、
前記センサホルダを、当該センサホルダの長手方向に沿って前記対象物に応じて所定の長さ寸法に切断する第1切断工程と、
前記取り付け本体部と前記係合部との連結部分を切断する第2切断工程と、
前記センサホルダの長手方向両端に前記端末部を一体成形する端末部成形工程と、
前記感圧センサを前記センサ収容部に収容する第1組立工程と、
前記係合部を前記被係合部に係合する第2組立工程とを備えることを特徴とするタッチセンサの製造方法。
【請求項3】
請求項1または2記載のタッチセンサの製造方法において、前記押出成形工程において、前記取り付け本体部の前記対象物側に当該対象物を挟んで対向する第1脚部および第2脚部を形成し、さらに前記取り付け本体部の前記第1脚部と前記第2脚部との間に、前記係合部と当接して当該係合部の前記被係合部への係合状態を保持する保持突起を形成することを特徴とするタッチセンサの製造方法。
【請求項4】
請求項1または2記載のタッチセンサの製造方法において、前記押出成形工程において、前記取り付け本体部の前記対象物側に当該対象物を挟んで対向する第1脚部および第2脚部を形成し、さらに前記係合部に、前記第1脚部と前記第2脚部との間に配置可能に設けられて前記係合部の前記被係合部への係合状態を保持する保持片を形成することを特徴とするタッチセンサの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−272276(P2010−272276A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−121717(P2009−121717)
【出願日】平成21年5月20日(2009.5.20)
【出願人】(000144027)株式会社ミツバ (2,083)
【出願人】(390035909)興国インテック株式会社 (18)
【Fターム(参考)】